1 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/02/16(月) 11:05:49.64 ID:sjK6Vzyu0
扶桑「ほら、見て下さい。空があんなに青いです」
扶桑「雲一つない」
扶桑「どこまでも、どこまでも青い空」
扶桑「ずっと見ていると、引き込まれそうな感じがします」
扶桑「・・・・・・」
扶桑「・・・さ、今日も頑張りましょうか」
2 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/02/16(月) 11:08:20.15 ID:sjK6Vzyu0
扶桑「今日は書類がいつもより多いですね」
扶桑「大変だわ」
扶桑「でも、頑張ります」
扶桑「・・・無理なんてしていないですよ?」
扶桑「そう・・・無理なんか・・・」
扶桑「・・・・・・」
3 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/02/16(月) 11:10:12.79 ID:sjK6Vzyu0
扶桑「・・・提督、そろそろお昼ですので」
扶桑「少々、席を外しますね」
扶桑「1時間後に、ここに戻ってきます」
扶桑「今日の昼食は、何でしょうか」
扶桑「あ、山城・・・えぇ、行きましょうか」
扶桑「・・・・・・」
4 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/02/16(月) 11:12:12.25 ID:sjK6Vzyu0
扶桑「ただいま戻りました」
扶桑「今日は肉じゃが定食を食べました」
扶桑「とても、美味しかったですよ」
扶桑「山城も、私と同じものを頼んで」
扶桑「とても、美味しそうにしていました」
扶桑「・・・・・・」
扶桑「・・・では、仕事に戻りますか」
5 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/02/16(月) 11:14:51.97 ID:sjK6Vzyu0
扶桑「・・・はい?」
扶桑「あら、間宮さん・・・」
扶桑「え? 仕事の合間に甘い物でもと?」
扶桑「わざわざありがとうございます」
扶桑「えぇ、ありがたくいただきますね?」
扶桑「あ、緑茶も・・・」
扶桑「・・・・・・」
扶桑「そうなんですか」
扶桑「緑茶にはリラックス効果が・・・」
扶桑「・・・・・・」
6 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/02/16(月) 11:17:36.19 ID:sjK6Vzyu0
扶桑「大量にあったはずの書類が」
扶桑「全て終わってしまいました」
扶桑「集中すると」
扶桑「これほど早く終わるものなのですね」
扶桑「今の私には、他にすることがないので・・・」
扶桑「・・・・・・」
扶桑「・・・少し、日記を書きますね」
7 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/02/16(月) 11:21:56.13 ID:sjK6Vzyu0
扶桑「今日は晴天」
扶桑「午前に、時雨ちゃんが」
扶桑「夕立ちゃんと同じマフラーをして」
扶桑「お揃いだね、と夕立ちゃんに微笑みかけていました」
扶桑「提督があげたんですか? あのマフラーは」
扶桑「・・・・・・」
8 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/02/16(月) 11:23:56.69 ID:sjK6Vzyu0
扶桑「今日の昼食は、山城と一緒に」
扶桑「肉じゃが定食を食べました」
扶桑「とても美味しかったです」
扶桑「山城は、いつも私と同じメニューを選びます」
扶桑「それがなんだか、おかしくて・・・」
扶桑「おかしくて・・・・・・」
扶桑「・・・・・・」
9 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/02/16(月) 11:26:08.50 ID:sjK6Vzyu0
扶桑「今日の午後は、第六駆逐隊の子達が」
扶桑「みんな仲良く、お菓子作りをしていました」
扶桑「一生懸命作るその姿は」
扶桑「とても可愛らしいものでした」
扶桑「出来上がったお菓子を食べさせていただきましたが」
扶桑「甘くて、とても美味しかったです」
10 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/02/16(月) 11:29:03.51 ID:sjK6Vzyu0
扶桑「間宮さんが持ってきたお菓子は」
扶桑「あの子達が作ったものだと」
扶桑「聞かされました」
扶桑「・・・・・・」
扶桑「そして、事務仕事が終わり」
扶桑「何もすることがなくなってしまいました」
扶桑「そう、何もないんです」
11 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/02/16(月) 11:31:13.53 ID:sjK6Vzyu0
扶桑「提督、どうしましょうか?」
扶桑「この後は、何をしましょうか?」
扶桑「一体私は、何をすれば良いのでしょうか?」
扶桑「提督」
扶桑「提督・・・」
扶桑「・・・・・・」
12 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/02/16(月) 11:33:06.41 ID:sjK6Vzyu0
扶桑「・・・すいません」
扶桑「日記の内容は、少し嘘があります」
扶桑「時雨ちゃんは、微笑んでなんかいなかったです」
扶桑「泣いていたんです」
扶桑「提督があげた、夕立ちゃんとお揃いのマフラーを手に」
扶桑「そんな時雨ちゃんを、夕立ちゃんは慰めていたんです」
13 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/02/16(月) 11:34:59.43 ID:sjK6Vzyu0
扶桑「第六駆逐隊の子達が作ってくれたお菓子」
扶桑「甘くなんかなかったです」
扶桑「しょっぱかったです」
扶桑「食べているうちに、胸が苦しくなって」
扶桑「もっと、しょっぱくなりました」
扶桑「・・・・・・」
14 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/02/16(月) 11:36:47.00 ID:sjK6Vzyu0
扶桑「提督」
扶桑「貴方は今、どこにいるんですか?」
扶桑「まだ、海を彷徨っているのでしょうか?」
扶桑「私には、見つけることができませんでした」
扶桑「すいません・・・」
扶桑「本当に・・・」
扶桑「すいません・・・・・・」
15 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/02/16(月) 11:38:15.91 ID:sjK6Vzyu0
扶桑「どうして私を庇ったんですか?」
扶桑「無許可でT-5を飛ばしてきて」
扶桑「敵艦載機の爆撃を食らって」
扶桑「爆発して、そのまま海に」
扶桑「・・・・・・」
16 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/02/16(月) 11:40:31.31 ID:sjK6Vzyu0
扶桑「提督、もう私はダメです」
扶桑「胸が張り裂けそうで、苦しいです」
扶桑「頭がおかしくなりそうです」
扶桑「提督が味わった痛みと同じように」
扶桑「私も辛いです」
扶桑「貴方がいないから」
扶桑「・・・・・・」
17 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/02/16(月) 11:43:54.83 ID:sjK6Vzyu0
扶桑「私達は、この後どうすれば良いのでしょうか?」
扶桑「私以外の娘も、もう限界です」
扶桑「みんな、笑顔など無く」
扶桑「悲しんでいます」
扶桑「泣いています」
扶桑「無表情の娘もいます」
扶桑「どうすれば良いでしょうか?」
扶桑「提督、教えて下さい」
扶桑「提督・・・」
扶桑「・・・・・・」
扶桑「・・・もう、夕方ですね」
扶桑「少し、波止場に行きます」
18 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/02/16(月) 11:48:03.27 ID:sjK6Vzyu0
― 波止場 ―
扶桑「・・・・・・」
扶桑「綺麗な夕陽ですね」
扶桑「今日は、こんなにも真っ赤で」
扶桑「・・・少し、夕陽が滲んで見えます」
扶桑「おかしいですね」
扶桑「・・・・・・」
扶桑「こんな綺麗な光景」
扶桑「提督と一緒に、見たかったです・・・・・・」
― 洋上 ―
空母棲鬼「・・・・・・」チャプチャプ
空母棲鬼「・・・・・・扶桑」
駆逐棲姫「・・・?」
駆逐棲姫「扶桑ッテ、誰デスカ?」
空母棲鬼「俺にとって、一番大切だった娘の名前だよ・・・」
駆逐棲姫「ヘェー・・・」
20 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga] 投稿日:2015/02/16(月) 11:49:15.43 ID:sjK6Vzyu0
空母棲鬼「・・・・・・」
駆逐棲姫「・・・・・・」
空母棲鬼「・・・さ、そろそろ帰ろうか」
駆逐棲姫「・・・ハイ」
空母棲鬼「・・・・・・」ザザ
駆逐棲姫「・・・・・・」ザザ
空母棲鬼「・・・・・・」
空母棲鬼「(・・・扶桑、俺のことはもう忘れるんだ)」
空母棲鬼「(新しい提督に従って、どうかこの戦争を生き抜いてくれ)」
空母棲鬼「(強く、強く生きてくれ・・・)」
空母棲鬼「(さようなら、扶桑・・・そして)」
空母棲鬼「(また戦場で)」
――― 終 ―――