ハニー・ポッター「進まなきゃ、前に。そうでしょ?」


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1 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/25(土) 19:38:20.10 ID:Jd2H9ndG0



大広間

アンブリッジ「『教育令二十八号』に乗っ取り、本日より!」

アンブリッジ「このドローレス・ジェーン・アンブリッジが、ホグワーツ魔法・魔術学校の校長に就任いたしますわ!」

ザワザワザワザワ
 ヒソヒソヒソ
ウェッ、オェーッ ザワザワザワ

アンブリッジ「はい!みなさん拍手!おてをあわせなさいなっ!遠慮なさらなくてもよろしくってよ!」

パチパチッ、パチッ……
 チッ クソガ……


ハニー「……思った通りの展開、というところかしら。もっとも、私の予想が外れることなんてありえないけれど」

ロン「啓示みたいなもんだもんな君の言葉は、あぁ。もっとも、昨日の晩僕らのとこにもどってきた時はそりゃもう泣きじゃくって喋るどころじゃなk」

ハニー「ロン」

ロン「痛がとうございます!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「でも、ダンブルドア先生がいなくなるなんて……これからどうなってしまうのかしら、この学校は」

ロン「廊下中にピンクでフリフリの趣味の悪い絨毯が敷かれるに1ガリオンかけようか」

ハーマイオニー「それはそれで嫌でしょうけど……これまで以上に統制していきそうだわ」

ハニー「気にやんでも仕方ないわ、ハーマイオニー。……腹黒豚は、そうね。この私の前からいなくなって、しまったけれど」


ハニー「進まなきゃ、前に。そうでしょ?」

ロン「僕の背中に乗ってね!ヒンヒン!あぁハニー!君は女神だよ知ってたけど!」

ハーマイオニー「それって進んでるって言えるの……私は隣よ、隣!」

ハニー「……どっちの?ふふっ」

ハーマイオニー「あ、あなたのよ。決まってるじゃない。もちの、そこのあなたの豚で」

ロン「ハニー以外が豚って呼ぶなよな!マーリンの髭!」


2 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/25(土) 19:39:31.57 ID:Jd2H9ndG0

ハニー・ポッター「私が、魔法使い?」
ハニー・ポッター「賢者の石、ですって?」
ハニー・ポッター「賢者の石は、どうなったのかしら」

ハニー・ポッター「秘密の部屋?なぁに、それ」
ハニー・ポッター「スリザリンの継承者?なんなの、それ」

ハニー・ポッター「脱獄囚の、シリウス・ブラック?」
ハニー・ポッター「『エクスペクト・パトローナム!』」
ハニー・ポッター「『守護霊よ、来たれ!』」

ハニー・ポッター「勝つのは私、そうでしょ?」
ハニー・ポッター「何がこようと、受けて立つわ」
ハニー・ポッター「いつか必ず、来るものは来るのよ」
ハニー・ポッター「来るものは来る、来た時に受けてたてばいいのよ。勝つのは、私よ」

ハニー・ポッター「騎士団、いいえ。私の豚団ね、そうでしょ?」
ハニー・ポッター「『私は、嘘をついてはいけない』……?」
ハニー・ポッター「誰一人だって、欠けさせないわ」

のつづきやで


11 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/25(土) 19:54:03.78 ID:Jd2H9ndG0

校庭

アーニー「そ、それで、ハニー。ヒンヒン。校長先生はどんな風に逃げおおせたんです?」

ロン「おいアーニー、授業中じゃ飽き足らずまだその話をさせるのかい、まったく。ハニーを煩わせるなんて豚とは言えないぜ」

ハニー「いいのよ、ロン。正しい情報を知るのは大事なことだって分かったもの」

ハンナ「そ、それで、ファッジがダンブルドアに頭をカボチャにされて聖マンゴに入院しているというのは、本当!?」

ハーマイオニー「……こんな情報が飛び交うこのお城ですものね、えぇ」

ジャスティン「ぼ、僕は闇払い十二人を血祭りにあげてその血をすすった赤い鳥に乗って去っていった、って聞いたけど」

ハニー「……所々なんだか一致してるのが不思議だわ、その噂」

アーニー「僕はついでに双子が開発して来年売り出す煙幕だかなんだかをダンブルドアが駆使した、って聞いたよ」

ハーマイオニー「……広めてるのが誰か検討がついたわ、まったくもう」

ハンナ「あー、でも……朝食の席にいなかったし、あの、エッジコムって子が密告者だっていうのは確かなのよね?」

ロン「チョウの友達のあのアマかぁ」

ハニー「……ハーマイオニー、容赦ないわね。あの呪い」

ハーマイオニー「……残念だわ、本当に。謝りはしないけど。事情があったにてしても……ダンブルドアがいないのは大打撃だわ」

アーニー「なに、すぐに戻ってくるよ、うん。二年生の時だってそうだった……校長室は明け渡されていないって聞いているよ」

ロン「どういうことだい?」

ジャスティン「僕らの寮憑きゴースト、太った修道士が今朝がた、校長室の前のガーゴイルに追っ払われるアンブリッジを見たんだ、ってさ」

ハニー「……嫌味なだけじゃないのね、あのガーゴイル」

16 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/25(土) 20:05:33.33 ID:Jd2H9ndG0

ハンナ「相当の癇癪を起こしたそうだけど、あしらわれてたそうよ」

ハーマイオニー「校長室のあの椅子に座る自分の姿を見たくてしかたなかったんでしょうね。この城の守りをどうにかできるわけないのに」

アーニー「いや、守りというより。その、なんだろう。ガーゴイルに散々煽られたんだって。あー、ハニーの耳に届けるには[ヒンヒン]で隠しておきたいレベルの罵倒で」

ハニー「? どういうことかしら」

ロン「君は心から純白だなぁってことさ、もちのロンで」

ハニー「? えぇ、高貴で可憐ではあるけれど。ともかく……フィニアスが言っていたのはこういうことね。法律でどうやろうとしても、ホグワーツは新校長を認めない、っていう」

ハーマイオニー「当然ね。あの人に校長たるものなんて、すこーしもないもの。バカで思い上がりで、権力にとりつかれた――」


マルフォイ「おぉっと、グレンジャー。本気で最後まで言うつもりかい? そうなると、尋問官親衛隊の僕としては君を減点しないといk」


ハーマイオニー「――勘違いした歩く女カエルなんだもの。人望も尊敬もない、きっと歴代最悪の校長を更新で――」

マルフォイ「おい!!おい!!!無視するな!今のはやめるところだろう!おい!!」

ロン「はぁ?僕らが君をシカトすんのは今に始まったことじゃないだろ、何言ってるんだか」

マルフォイ「ぐっ、そういう態度だと君からも減点するぞ、このこそこそイタチめ!」

アーニー「さっきから君は何を言ってるんだ? 監督生同士は減点できないぞ!えーっと、ま、まる、えーっと」

ジャスティン「ほら、アーニーあれだよ。マルフィ」

アーニー「あぁ、そうだ。減点できないぞマルフィ!」

ハンナ「そんなことも覚えていないの、マルフィ!」

マルフォイ「フォイだ覚えろ近年溢れかえってるだろ!!むしろよく忘れられるな!驚きマくルフォイ!  おフォん、今それはいい。ところが、だ。さっきも言ったがね、僕は『尋問官親衛隊』なのさ」

ハーマイオニー「……尋問官、親衛隊?」

ハニー「……本当に発足させたのね、アンブリッジ」

20 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/25(土) 20:22:29.78 ID:Jd2H9ndG0

マルフォイ「このバッジが見えるかい?アンブリッジ新校長直々に選り抜きされた生徒に送られるのさ。みろ、こいつらも」

クラッブ「ゴアーッ!」

ゴイル「ウッホ、ウホッ!」

ガリガリガリガリ

ハーマイオニー「……噛みまくってるわね、栄えあるバッジを」

ハニー「ほんとバッジ好きね」

マルフォイ「!? おい、お前たち!やめろ!ちがう!それは食べ物じゃない! ほら、この前覚えただろう!ドヤ顔をこいつらに見せてやるんだ!」

ロン「……そういやこいつらバカ笑いか無表情しかみた事なかったもんな」

マルフォイ「よし、それでいい。その角度だ。どうだい? このグループは、魔法省を支持する生徒の中から選ばれているんだ。正に、正義の味方というわけさ」

ハーマイオニー「……あなたのお父上の入れ知恵なんでしょう、えぇ、そうでしょうとも」

マルフォイ「さぁ、僕には監督生だっても減点する権限をもっている。グレンジャー、新校長に対する無礼な態度で五点減点。マクミラン、フィンチ-フレッチリー、アボット、僕に対する無礼な言動でそれぞれ五点減点」

マルフォイ「ポッター、気に食わないから十点減点。ウィーズリー、貧乏だから五点減点。あぁ、グレンジャー。お前は穢れた血だったな。もう十点減点だ」

ロン「よーしオーケー、マルフォイ。人の形が残ると思うなよ?」

ハーマイオニー「ロン、だめよ。アーニー、ジャスティン、ロンを抑えて!」

マルフォイ「ハッハッハ、いい判断だグレンジャー。新しい校長、新しいじだい。ポッター、君が我が物顔で廊下を歩くのも終わりだろうね」

ハニー「冗談。私はいつだってしたいようにするの。真ん中を堂々と歩いてやるわ」

マルフォイ「ふんっ、精々粋がっていろ。僕はいつだって減点してやるぞ、ポッティ、ウィーズル王者、穢れた血め。行くぞクラッブ、ゴイル。いや、もうその顔はいい。やめろ。イラッとするから」

23 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/25(土) 20:33:51.01 ID:Jd2H9ndG0

大広間

ロン「あの吐ナメクジ野郎!!!」

ハーマイオニー「あなたよ吐いたのは……相手にしないの」

ハニー「えぇ、そうよ。あれに割く思考ももったいないわ」

アーニー「そうさ、そう、ロン。監督生から減点なんて、そんなの……許されるわけが」

フレッド「とーころがどっこい、そうはいかないのが世の常なんだよなぁ」

ジョージ「今度ばかりは奴さんたち、本当のこと言ってるようだぜ。見ろ」

ロン「なんだよ二人とも、見ろって、点数の砂時計……はぁっ!?」

ジャスティン「あ、あれ!?今朝までは、グリフィンとレイブンが接戦だったのに……レイブンが、追い上げてる?」

アーニー「上げてる、じゃない……グリフィンがごっそり減ってるんだ……レイブンもだけど。ハッフルパフは……まぁ、いいじゃないか」

ハンナ「……今朝と変わらないのは、スリザリンだけ、ね。こんなのって」

フレッド「あのアンブリッジ追っかけ隊?とかいう口にするのもとち狂ってる奴らはさ、みーんな減点する権限があるんだと」

ジョージ「モンタギューがさっきの休み時間に、僕らからも減点しようとしたのさ。なんだったか、うるさいから?名誉だね」

ハーマイオニー「『しようとした』、っていうのは?」

フレッド「あぁ、あの脳みそ筋肉は言い終わらなかったからな。それというのも、僕の手がうっかりすべってあいつの口の中にクソ爆弾をクソ程押し込んじまって」

ジョージ「それで僕の手もうっかりすべって、全身と口をスペロテープでグルグル巻きにして、二階にある『姿をくらます飾り棚』に頭から押し込んじまったから」

ハニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

フレッド「いやぁ、なんというかさ」

ジョージ「偶然ってこわいな、あぁ」



27 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/25(土) 20:47:21.28 ID:Jd2H9ndG0

ハーマイオニー「そんなのって、あなたたち、バレたらとんでもないことになるわよ!?」

フレッド「モンタギューのバカが見つかるまでは大丈夫さ。それでも数週間先だろうけど」

ジョージ「あいのバカをどこに送っちまったか分からないからなぁ。『秘密の部屋』か?」

ハニー「サラザールも今の『スリザリン』生には会いたくないでしょうね」

ハーマイオニー「そういう問題じゃなくって……」

フレッド「そうそう、才女様。言いたいことは分かるぜ。だがね、僕らは今後の学校生活がどうなるかってのを気にすることはやめることにした」

ハーマイオニー「気にした事あったの?」

ジョージ「そりゃあるとも、現に今まで退学になっていないだろ?僕らは常に一戦を守った。まぁ、つま先の根元あたりは越えたかもしれないが」

ハーマイオニー「それって思いっきり一歩ってことじゃない……」

ロン「でも、あー、今は?」

ハニー「……一歩どころか、そこから踊りだすつもり、そういうこと?」

ジョージ「察しがいいねぇ女王様。そう、ダンブルドアはいなくなった――」

フレッド「ふんぞり返るあのカエルには――大混乱こそふさわしい、だろ?」

ハーマイオニー「ダメ、ダメよ!あのひ、女カエル、あなたたちをこれ幸いとばかりに追い出しにかかるわよ?」

フレッド「望むところさ、そりゃもうね。言ったろ?僕らはすぐにでも出て行きたいところなのさ。でもま、あのババアにはダンブルドアの借りがある。おっと、そろそろ時間かな」

ジョージ「俺達は役目を果たしてからここを去る。さーてと、お前たち。昼飯は抜いて談話室にでもいたほうがいいぜ。そうすりゃ君たちには容疑がかからないからな、第一幕のさ」

30 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/25(土) 20:58:40.67 ID:Jd2H9ndG0

廊下

ロン「なにをおっぱじめるつもりだろうなぁ、あの二人。ハニーを崇める式典なら今夜零時からなんだけどさ」

ハーマイオニー「毎夜やってそうねあなたたち……とにかく離れましょう。巻き込まれたらただじゃすまないわ」

ハニー「あの二人のことだもの、私達に危害が及ぶとは思えないけれど……あら?」

フィルチ「フーッ、フーッ、探したぞ、ポッター!」

ハニー「……ハァイ、管理人のフィルチさん。探した?えぇ、私は全世界を天秤にかけてもまだ足らない財宝ですものね」

ロン「違いないね」

フィルチ「軽口はいい! 校長先生がお前に会いたいとおっしゃっている」

ハニー「…………私はそうでもないわ」

フィルチ「お前の意見などしらん!来い!」

ロン「おい!何ハニーの手引っ張ってんだこのやろうマーリンの髭! ハーマイオニー、止めるなよ――いや、待とうかハーマイオニー、杖は下ろそうか、うん」

ハニー「二人とも、行っていなさい。何もしていないのだもの、すぐに終わるわ……ついていってあげるから、手を放していただけるかしら?」

フィルチ「ふんっ、お前のような素行の悪い生徒は手械足枷でもつけておけばいいのだ」

ハニー「それさえ私にかかれば上等なアクセサリーに早代わりでしょうけれどね」

32 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/25(土) 21:09:02.76 ID:Jd2H9ndG0

『アンブリッジ 新校長♪のお部屋』

ハニー「……飾り文字がむかつくわ」

フィルチ「黙っていろ。オホン」

コンコンッ

 アンブリッジ「はぁ〜い、どうぞ♪」

ガチャッ

フィルチ「ポッターめを連れてまいりました、先生」

アンブリッジ「ごくろうさま、アーガス」

フィルチ「とんでもない、先生!おやすいごようで」

アンブリッジ「あなたはとても有能な管理人ですわね……おまけに魔法省に協力的。あのこと、考えてもよろしくてよ?オホホッ」

フィルチ「本当ですか! なれば、私が鞭を持つことも!生徒につるし上げの罰則を課すことも!」

アンブリッジ「えぇ、すぐに新しい教育令を出してもらいましょう。あなたの行い、引いてはわたくしのこの学校秩序統制には欠かせないものと判断しますわ」

ハニー「…………」

フィルチ「ありがたき幸せで! それでは、先生。失礼を……」

バタンッ

アンブリッジ「ふーぅん。人に尊敬されるのは慣れていますけど。あそこまで従順なのはありがたいですわ。ミス・ポッター?あなたが男子生徒を侍らせている気分はこんな感じなのかしら?」

ハニー「……一緒にしないで頂戴」

アンブリッジ「あーら、ごめんあそばせ。おっほほほ、わたくしは学生時代から高嶺の花でしたので、そういった経験がなかったんですの。あと、先生には敬語ですわ?」

ハニー「……そうでしょうね、そうでしょうとも、『先生』」

39 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/25(土) 21:22:15.06 ID:Jd2H9ndG0

アンブリッジ「さぁ、さぁ。ミス・ポッター。そこにお座りなさい」

ハニー「……そうしてさしあげるわ」

アンブリッジ「少しお待ちになって頂戴ね。わたくし、済ませてしまわなくてはならない書類がありますの」

ハニー「……教育令?」

アンブリッジ「どうかしらねぇ、えぇ」

ハニー「……私や、フレッド、ジョージの箒が……壁にくくりつけられているわ」

アンブリッジ「えーぇ、箒置き場なんかに置いていたら、あなた方がわたくしの目を盗んで飛ぶのを楽しむかもしれない、そうでしょう?」

ハニー「……」

アンブリッジ「わたくしのかわいらしいお部屋の景観には合わないのですが、仕方ありませんわね」

ハニー「シリウ、スナッフルからもらった、大事なものを……、っ」

アンブリッジ「今何か言いまして!? お、オホン。さて、わたくしの仕事はひと段落ですわ」

ハニー「……言っておきますけれど、私は何も――」

アンブリッジ「まぁ、まぁ。お嬢さん、硬くならなくて結構ですわ。何か飲みますかしら?」

ハニー「……えっ?」

アンブリッジ「飲み物ですわ、ミス・ポッター。コーヒー?それとも紅茶?かぼちゃジュースかしら?」

ハニー「……」

アンブリッジ「お酒、は、おほほっ!あなたのようなお子様には早かったですわね!」

ハニー「……いいえ、あー、『先生』 何もいりません」

アンブリッジ「そんなことおっしゃらずに! さぁ〜ぁ?何か選びなさいな」

ハニー「……それじゃ、その甘ったるい声を流したいもの。コーヒーを、砂糖抜きで」

アンブリッジ「えぇ、ブラックですわね」

ハニー「! そう、そうよ!ブラックで!!!」

アンブリッジ「!? え、えぇ。そうしましょう?」

41 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/25(土) 21:32:25.12 ID:Jd2H9ndG0

アンブリッジ「さぁ、お飲みになって」

ハニー「……えぇ、どうも」

アンブリッジ「昨夜の残念な事件の後ですもの。ゆっくりお話しようと思いましてよ」

ハニー「……私はとくに、話す事はないですけれど」

アンブリッジ「さぁ〜ぁ、どうかしらねぇ……お飲みになって頂戴、さささっ!」

ハニー「……」

ハニー「(ブラックコーヒー……飲みたい、のは山々だけれど)」

ハニー「(……この人、何を考えているのかしら……こんな甘ったるい声で、催促して)」

ハニー「(……あそこの壁に飾られてるお皿の絵の猫、青い目ね)」

ハニー「(ムーディ先生と同じ……ふふっ。『油断大敵!』 そうよね、せんせ)」

ハニー「……それじゃ、いただいてあげるわ」

グイッ

ハニー「……」

アンブリッジ「……っし!っし!!!」

ハニー「……(傾けて飲むフリしただけなのだけれど……小さく拳握ってるわね)」

ハニー「……ふぅ。美味しいわ、『先生』 ブラックだものね」

アンブリッジ「えぇ、そうですわねぇ。……わたくしとしても大変美味しいことになりそうですわ。そうそう、それじゃ――アルバス・ダンブルドアは、どこなの?」

ハニー「知らないわ、『先生』」

アンブリッジ「……さぁ、飲んで飲んで!お代わりわいくらでもありますわ、ミス・ポッター!お飲みになって、えぇ!足りないようですわ、えぇ!そうでしょうとも!」

ハニー「……(自白薬でも、はいっているのかしら)」

44 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/25(土) 21:41:14.79 ID:Jd2H9ndG0

アンブリッジ「もう一度聞きますわ。ダンブルドアはどこにいるの?」

ハニー「何度でも答えるわ。知りません、『先生』」

アンブリッジ「まぁまぁ、まぁ。子供だましのゲームはやめましょう、ミス・ポッター?あなたが知らないわけがありませんわ。始めから一緒にあれを考えていたのでしょうもの。いったい、アルバス・ダンブルドアは――」

ハニー「どこにいるのか、どこに行ったのか。私は知らないわ、『先生』……私としても残念なことにね」

ハニー「(……これ薬飲んでても答え一緒よね)

アンブリッジ「……結構、そうですか。あの老害は安全を期してあなたには逃亡先を教えなかった、なるほど。いいですわ、それでは――シリウス・ブラックはどk」

ハニー「し、知らないわ!!!!」

アンブリッジ「……」

ハニー「……」

アンブリッジ「ミス・ポッター、ふふふふふっ、おっほほほほ。正直な生徒はわたくし、好きですわよぉ?」

ハニー「わ、私はいつだって自分のしたいようにしているもの。正直よ。別に、あなたに好かれようとも思わないけれど。『先生』」

アンブリッジ「シリウス・ブラックの居場所を知っていますのね?」

ハニー「だから、知らないわ」

アンブリッジ「昨年十月、件の犯罪者がグリフィンドールの暖炉に現れた、このことは?」

ハニー「……初耳で」

アンブリッジ「はありませんわよねぇ〜?わたくしは確証していますの。奴が会っていたのは、あなただ、と」

ハニー「……」

アンブリッジ「恥をお知りなさい。魔法省転覆のために、自分の仇とも手を組みますのね。あなたも、ダンブルドアも」

ハニー「……恥を知るのは、どちらがかしら」

47 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/25(土) 21:58:16.06 ID:Jd2H9ndG0

アンブリッジ「十月には惜しくも逃がしてしまいましたわ……もしも証拠を掴むこと、髪の毛一本でも引き抜いていたら奴をすぐにでも自由の身ではいられなくしましたのに」

ハニー「……」

アンブリッジ「もう一度、聞きますわ。ミス・ポッター。シリウス・ブラックはどこですの?」

ハニー「知らない。検討もつきません、『先生』」

アンブリッジ「……」

ハニー「……」

アンブリッジ「……ふーぅっ、いいでしょう。ポッター、今回は信じておきます。彼が調合を間違えたのかもしれませんものねぇ」

ハニー「……?」

アンブリッジ「ですが、警告しておきますわ。魔法省の後ろ盾で、ホグワーツの暖炉は全て見張られていますの。このわたくしのプライベート空間以外は、ですが。乙女の秘密は、例え愛しのファッジにも覗かせられませんわ……あぁっ!でも!コーネリウス!あなたが求めるならわたくし……っ!!」

ハニー「……それで?」

アンブリッジ「いいところですのに……オホン。ふくろうの手紙も『尋問官親衛隊』が全て目を通していますの。連絡をとろうなどと考えないことですわねぇ?いいえ、とってもいいですわ。おほほ」

ハニー「……生徒のプライベートも何も、あったものじゃないわね」

アンブリッジ「生徒自身のためですわぁ。そして、城の全ての通路はフィルチさんの協力で把握していますの。このお城で彼以上に隠し通路に詳しい人間はいませんわ」

ハニー「……双子と、パパ達以外はね」

アンブリッジ「何か言いまして? とにかく、あなたが何かしでかそうとする証拠が少しでも見つかれば――それは遠い先の話ではないでしょう――わたくしは、即時あなたを退学――」



ドーーーーーーーーーン!!!!

アンブリッジ「うぎゃぁあああああああああ!?!?!?な、なななななんですの!?!?なんですのぉおおおおおおおおおお!?!?」

バンバンッ!!バンッ!!!!
 グラグラグラッ

ハニー「アンブリッジの反応が大きすぎて驚くのを逃したわ……なぁに、今の……爆発、音?」


ドーーーーーーーン!!!!
 パラパラパラッ

アンブリッジ「い、いったい……? ミス・ポッター、お話は以上! 騒ぎを起こしているのは誰ですの!!」

ガチャッ、バタンッ!! ボテッボテッボテッボテッ……

ハニー「……行ったわね。コーヒーは、この植木鉢にでも流しておきましょう……何が起きたのかしら」

ハニー「……」

ハニー「……って、考えるまでもないわね」

ガチャッ

ハニー「……でしょう?」

フレッド「その通りさ獅子寮の女王様。さ、ご案内しよう」

ジョージ「我らが御贈りするドタバタ劇の『第一幕』にね」

50 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/25(土) 22:15:08.66 ID:Jd2H9ndG0

玄関ホール

バチバチバチバチバチッ
 ヒューーーーーッ!ヒュルルルルルルッ ドーーーーンッ!

アンブリッジ「これ、これはなん、なんですの、なんですのぉおお!!」

パーーーーンッ! ヒュンヒュンヒュンヒュン!!!
 バチパチパチバチバチバチバチバチバチッ!!
グルグルグルグルグルグル

フィルチ「せ、せんせい、校長先生、これは、花火、花火で、うわ!」

アンブリッジ「そ、それくらいは分かっています!問題は、どう、どうして、こんなにも大量に、それに大きなものが、ああああああ!ど、ドラゴン!?ドラゴンの花火ですの!?」

フィルチ「ぎゃぁあああ!?わ、私の頭の上に、空飛ぶネズミ花火がぁあああああ!!」

シュルシュルシュルシュルッ!!!



ハニー「……すごい」

フレッド「君に褒められたとなると、僕らの開発期間も無駄じゃなかったなぁ。大広間がまるでビックリ箱だぜ」

ジョージ「ドラゴン型花火にどれだけの在庫が使われてるか……ま、それも火を点けりゃ問題にならないけどね」

ハニー「?どういうこと?」

フレッド「みてりゃ分かるさ。ほら、ご期待通りにアンブリッジがやってくれるぜ」

ジョージ「そう、花火を消すには杖だ。俺達は魔法使いだしな、あんなカエルでも」


アンブリッジ「いけません、いけませんわ!ど、ドラゴンの花火が火花を撒き散らして、上の階に!ふぃ、フィルチ!ここで全部回収しますわよ!」

フィルチ「は、はぁ!!」

アンブリッジ「学校中に広まれば、とんでもないことに――『ステューピファイ、麻痺せよ』」

バチッ……バーーーーーーーンッ!!!!

アンブリッジ「な、何故ですの!?わたくしが唱えたのは『失神』で、爆破では……あぁあああああああ!?!?」


フレッド「『失神』させたら大爆発、ってね。おーっと、あっちの肖像画に穴あいちまった。あとで修理してやろう」

ジョージ「あのババァカエルが花火に『消失』をかけてくれないかなぁ。その度十倍に増えるんだ、最っ高だろう?」

バチッ  ギュルルルルルルルルルルルルルッ!!
 バーーーーン!!バーーーーーーン!!!!

アンブリッジ「あああああああ!? ふぃ、フィルチ!!『消失』をかけてはいけませんわ!!いいですわね!!もう『消失』させるような失態はするんじゃありませんことよ!!」

フィルチ「は、はっ!  はぁ!?わ、わたしは呪文は――え、えぇ校長!もちろんですとも!」



フレッジョ「「HAHAHAHAHAHAHAHAHA!!」」

ハニー「……ふふっ。敵にしたくないわね、あなたたちって」

53 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/25(土) 22:25:18.73 ID:Jd2H9ndG0

『変身術』

マクゴナガル「よいですか、みなさん。この理論は少々難解です。存在、非存在。例えば、そこの扉は今閉まっていますが、このように開けると――おや?」

シュルシュルシュルシュルッ!
 バーーン!バチバチバチバチバチバチッ!

ハーマイオニー「あの花火、時間が経つにつれて燃え尽きるどころか……益々増えていくようね」

ロン「ハニーへの僕らの想いと同じだね、あぁ。火花出てるし」

ハニー「えぇ、そうね。どこかの火の枝も真っ青だわ……この教室にまで入ってきたわ」

ハーマイオニー「……何故だか、先生が向かえいれたようにも見えるわね、えぇ」

マクゴナガル「これは困りました……ミス・ブラウン?」

ラベンダー「はい、せんせー!」

マクゴナガル「校長先生を呼んできてください。この教室に暴れ花火が迷いこんだ、と。生憎、わたくしは驚いて猫になってしまうので」

ラベンダー「はいっ、せんせ!」

マクゴナガル「みなさん?猫が火から逃れるのは当然ですね?」

はいせんせー!
 にゃんこー!

ポンッ

猫「みゃーーーっ」


ハニー「……ふふっ、先生ったら」

ロン「最高だね、あぁ! にゃんこー!」

ハーマイオニー「ここぞとばかりに使うわね……あぁ、アンブリッジだわ……疲れきった」

ロン「あの様子じゃ、城中走り回らされてるんだろうね、あぁ。何故だか校長抜きじゃ花火退治できない、頼りない先生たちのおかげでね。もちのロンさ」

56 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/25(土) 22:34:18.39 ID:Jd2H9ndG0

廊下

アンブリッジ「……」


ロン「あぁハニー!放課後だねハニー!君と過ごせる放課後なんてなんて――ウェッ、一気に気分悪くなっちまった。背中の感触に集中しよう」

ハーマイオニー「煤だらけだわ、アンブリッジ」

ハニー「いい気味ね……あそこは、呪文学の教室?」


フリットウィック「先生!どうもありがとう!」

アンブリッジ「……えぇ、まぁ。ですが先生?あなたの魔法の腕前でしたら――」

フリットウィック「いやぁ、そうですな!もちろん私でも線香花火の退治は出来たでしょうが、どうにもそんな『権限』があるのかはっきりしなかったもので!」

アンブリッジ「……」

フリットウィック「次の教育なんとかにはそのあたりを書き示してみては? おっと、通りすがりの花火が!『エバネスコ!』」

バチッ バーーーンッ!!!
 ワラワラワラワラワラワラ

フリットウィック「わー、消失させたつもりが増えてしまうなんてー。 学校の治安維持のため、頼みました!校長!」

バタンっ!

アンブリッジ「〜〜〜〜っ、おまち、おまちなさぁあああいい!!」


ロン「やってくれるぜ、フリットウィック」

ハーマイオニー「やり過ぎな気もするけど……まぁ、ね」

ハニー「今度褒めてあげなくっちゃ、出来る豚だもの」

60 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/25(土) 22:51:52.17 ID:Jd2H9ndG0

談話室

ガヤガヤガヤガヤガヤ
 ヒューヒューッ!
フレッジョーーー! ワーーーワーーー!

フレッド「いやぁありがとう!ありがとう諸君!件の花火の予約はジョージの持ってるリストにどうぞー!」

ジョージ「ちーょいと時間はかかるがお届けするぜ!『ウィーズリーの暴れバンバン花火』をよろしくー!」

ロン「二人がまるで英雄みたいになってら。ハニーはいつだってそうだけど」

ハーマイオニー「二人とも、すばらしい花火だったわ!」

フレッド「おぉっと才女様!君にまでお墨付きをいただけるとはねぇ!こいつぁいい!」

ジョージ「君もどうだい?おっと、『将来の家族』割引はちょいと聞きかねるけどさ!」

ハーマイオニー「二人まとめて打ち上げてほしいの?」

ロン「なにハーマイ取っちゃってるのさ。あーぁ、あんなに儲けてるよ二人とも……マーリンの髭」

ハニー「あら、あなたはお金なんかよりずーっと心が豊かだと思うのだけれど?」

ロン「そりゃぁねハニー!僕の懐は君の存在で熱いくらいさ!ヒンヒン!  でも、そういえば宿題は待ってくれないんだよなぁ……お祝いに参加したいけどさ」

ハーマイオニー「あら……今日はお休みでもいいんじゃない?」

ロン「はいはい、分かったよ。今日やらないと、明日は後悔!とでも……えっ!?な、なんだって!?」

ハーマイオニー「宿題をするのはまたにすればどう、と言ったの。だって金曜からはイースター休暇だもの。そしたらたっぷり、時間はあるわ?」

ロン「……き、気分は悪くないかい?え?なんなら医務室に」

ハーマイオニー「あら、全然。聞かれたから言うけど、なんというか――気分はちょっと、反抗的なのっ!   きゃぁ!?」

ハニー「えぇ、そうね。ハーマイオニー、とってもいい笑顔だわ――反抗的になって、冒険してみる?」

ハーマイオニー「あっ、ちょ、っと、ハニー。そんな、反抗、なんて、こんなの、『私達の寝室』でいつも行われてるのと、変わらない、じゃない……」

ロン「つづけて!!!」


花火『どうぞ!!!』バチバチバチバチバチッ!!


フレッド「どうぞりたい時にはこの花火をどうぞ!」

ジョージ「文字入り線香花火、ヒン語にも対応さ!」

ヒンヒンヒーーーン!

65 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/25(土) 23:02:23.20 ID:Jd2H9ndG0

深夜

ハーマイオニー「みて、ハニー。あの花火たち、外にまで逃げおおせたみたい……校庭を飛び回ってるわ」

ハニー「そうね……ふぁ、っ……」

ハーマイオニー「……ふふっ。緊張したり、騒がしかったりして。疲れてしまったの?」

ハニー「っ、緊張って、なんのこと、かしら……私が、恐れるのは……退屈と体重計だけで……」

ハーマイオニー「はいはい、もう休みましょう。ね?明日は――」

ハニー「……スーッ、スーッ」

ハーマイオニー「――スネイプの授業で……あら、ハニー?もう寝たの?ハニー?」

ハニー「スーッ……スーッ」

ハーマイオニー「……ふーっ。ラベンダー」

ラベンダー「なぁに?」

ハーマイオニー「ちょっとその鋭そうなペンで手の甲刺してくれないかしら。反抗心を沈めなきゃ」

ラベンダー「沈めることないと思うわよ、えぇ」

パーバティ「名前は丸がつくペンだけど尖ってるわよねこれ、えぇ。あら?そういえば」

ハーマイオニー「なに?」

パーバティ「今日のハニー、なんだか、寝る前の……瞑想?みたいなこと、やってなかったわね」

ハーマイオニー「……そう、ね……大丈夫、でしょう。あー、でも……もしかして」

ハーマイオニー「……窓は開けておこうかしら」









68 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/25(土) 23:16:05.93 ID:Jd2H9ndG0




ハニー『(暗い、長い廊下……黒い、大きな扉)』

ハニー『(ここまでは、いつも通り……でも、今日は)』

ハニー『(今日、こそは……)』

パッ

ハニー『(開いたわ……前にみた、丸い部屋。たくさん、見分けのつかない扉……)』

ハニー『(ここ、ね……何故だかは知らないけれど、ここだわ……)』

パッ

ハニー『(今度の部屋は……長方形……なんだか、壁に光るものがたくさんあるようだけれど)』

カッチ、コッチ、カッチ、コッチ、カッチ

ハニー『(先に進まないと……もう、すぐそこだわ)』

ハニー『(すぐ、そこ……)』


パッ!


ハニー『(教会みたいに……高い天井)』

ハニー『(それを……床から続く高い、長い棚が覆ってる。たっくさんの……右をみても、左をみても、並びの端は見えないみたい)』

ハニー『(でも、私は……わたしは分かってる……どこに行けばいいのか)』

ハニー『(この棚……この奥の)』

ハニー『(無数に並んだ、水晶玉や瓶の中の)』

ハニー『(もう、すぐ先……わたしが、欲しい物が)』

ハニー『(……わた、し……?)』

ハニー『(いいえ……違うわ。欲しいのは、別の誰か…………)』

ハニー『(っ……傷が……痛……)』




ドーーーーンッ!!

ハニー「っ、きゃぁああ!?」

ハーマイオニー「は、ハニー!ごめんなさい!あのね、あー、あなたが変な夢をみてまた窓がお釈迦にされたら困ると思って、窓を開けたら!あの、花火が、入ってきてしまったの!!ごめんなさい!」

ラベンダー「いいじゃない、ハーマイオニー。みて、ネズミ花火とロケット花火、それに文字を浮かばせる線香花火がドッキングして……」

パーバティ「銀色の羽が生えたピンクの豚の花火になったわ!」

花火「ブヒィーーーィッ!」バチバチバチバチバチ

ハニー「……邪魔を、して……跪きなさい、この、花火豚!!!!」

花火豚「!! ヒンヒン、ヒーーーーン!!」

ハーマイオニー「……ちらっと聞いた文字対応だったのね……は、ハニー。興奮しないで、もう休みましょう?双子から聞いた追い払い方で外にやっておくわ」

ハニー「ふーっ、ふーっ、だって、あの豚が大きな音を立てなければ、私――」

ハーマイオニー「分かったわ、えぇ。でも、ほら。明日は、スネイプのあの授業があるじゃない」

ハニー「……ぁ」

ハーマイオニー「しっかり寝て、心を沈めていなきゃ?ね?」

ハニー「……もう遅いような気が、するわ」



69 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/25(土) 23:28:01.64 ID:Jd2H9ndG0

翌日 放課後

大広間

ハニー「……行きたくないわ、スネイプのところ」

ロン「ちょっと待っててくれよ、ハニー。豚達であの地下への入り口塞いできっちまうからさ」

ハーマイオニー「バカなことをしないの。それに、バカなこと言わないで、ハニー。必要な訓練でしょう?」

ハニー「……」

ハーマイオニー「……それは、またあの夢をみたのは罰が悪いでしょうけど。これ以上見ないようにするためには、訓練するしかないじゃない」

ロン「そういうことじゃないのさ、ハーマイオニー。あのネチネチスネイプクソッタレは、そのことでどれだけハニーにネッチネチドロドロ反吐を吐いてくると思ってんのさ」

ハニー「ロン、まるで私があいつを恐れてるようなこと言わないで。平気よ……少し疲れてた、それだけ。行ってくるわ」

ロン「あぁハニー!ヒンヒン!あの野郎の所に送り出すことしかできない無能な豚の僕をどうか帰ってきたら向こう脛蹴飛ばしておくれ!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「行ってらっしゃい、ハニー。あの、待ってるわ。頑張って」

ハニー「えぇ……」

ガチャッ、バタンッ

ハニー「……」

ハニー「……気が重いわね、本当。ダンブルドアのあのことがあってから、心を無にする暇なんてなかった、なんて言い訳……スネイプに通じるわけない、でしょうし」

ハニー「……今夜こそ、チョウや、シリウ、スナッフルの思い出をしっかり、守らなきゃ」

ギィィッ

チョウ「……私?なに、ハニー?」

ハニー「!? ちょ、チョウ……」

チョウ「……とりあえず、用があるのは私だわ。あのね……」

ハニー「あれから、なんともなかったかしら。あなたにも、アンブリッジに質問攻め、とか……?」

チョウ「いいえ、ううん。そうじゃないの……あの……マリエッタの、こと」

ハニー「あぁ――えぇ」

チョウ「……」

ハニー「……」

70 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/25(土) 23:38:33.14 ID:Jd2H9ndG0

チョウ「あのね、マリエッタはとってもいい子なのよ?ただ……」

ハニー「……」

チョウ「ただ、そうね。過ちを犯しただけ……」

ハニー「……『過ちを犯した』、けれど『いい子』、ですって?その過ちのおかげで、私達みんな――それに、ダンブルドアは」

チョウ「分かってあげて?あの子はね、お母様が魔法省で――」

ハニー「ロンのお父様だって魔法省に勤めてるわ。気づいてないなら教えてあげるけれど、彼の顔に走ってるのはただのソバカスで『密告者』なんて文字じゃ――」

チョウ「っ、ハーマイオニー・グレンジャーって、ひどいことするわ!マリエッタは、まだ入院してるのよ?あんなことをするなら、名簿を書かせるときに説明するべきで――」

ハニー「……っ、私は、そうして正解だったと思うわ。やり過ぎにしろ、ハーマイオニーは私達を守ったのだもの」

チョウ「……あら」

ハニー「……」

チョウ「へぇ、そうだった、そうだったわね……あの呪文は、愛しのハーマイオニーの……!」

ハニー「っ、そうよ! ハーマイオニーは、私の大事な人! マリエッタも、あなたにとってそうなんでしょうね!だけれど、あの子は……!」

チョウ「私のお友達を侮辱しないで!」

ハニー「あなたこそ!!」

チョウ「っ……」

ハニー「……私、やることがあるの。それじゃ」

チョウ「えぇ……いいわ、どうぞ! 知らない!」

ガチャッ バタンッ!!

ハニー「……」

ハニー「……っ、分からず屋……っ、ぐすっ……」

ハニー「〜〜っ! いいわ、切り替えて、行かなきゃ。そうね……」

ハニー「今のこの気分なら……スネイプのとんでもない記憶でも、暴けそうだわ」

75 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/25(土) 23:52:00.36 ID:Jd2H9ndG0

地下牢教室

スネイプ「遅刻だ、ポッター」

ハニー「……」

スネイプ「……無言か、まぁいい。グダグダと言い訳を並べられるよりはよっぽど。五点減点するだけで済む」

ハニー「……準備はいいのかしら」

スネイプ「こちらの台詞だ。そう、我輩の準備は既に終えている」

ハニー「……『憂いの篩』……?」

スネイプ「訓練に関係のない質問は受けつけん。さて、ポッター。あれからしかと練習したのでしょうな?」

ハニー「……えぇ、それはもう」

スネイプ「結構。みたところ何か怒りや恨みに駆られているようだが、それもすぐに分かることだろう」

ハニー「っ……」

スネイプ「杖を構えたまえ。三つ数えたらだ。一――二――」

コンコンッ

スネイプ「! 杖をしまえポッター。 入りたまえ」

ガチャッ

マルフォイ「スネイプ先生――あっ――すみません」

スネイプ「かまわん。ポッターはここで『魔法薬』の補習を受けている」

ハニー「……」

マルフォイ「へーぇ……それは……へーーーぇぇ?フォーーーーーイ?」

ハニー「……ニタニタするんじゃないわようるさいわ」

スネイプ「それで、ドラコ。何の用だね」

マルフォイ「あっ、フォイ。モンタギューが見つかったんです、先生! 五階のトイレに頭から詰っていました!」

スネイプ「……どうしてそんなところに?」

マルフォイ「さぁ……でも、ひどく錯乱してます。なんだか、自分はクソ爆弾だとかなんとか……実際口をあけたらそんな臭いで……」

スネイプ「よろしい、向かおう。ポッター、この授業は明日の夕方に変更だ。よいな」

スタッスタッスタッスタッ

ハニー「……」

マルフォイ「……ま・ほ・う・や・く・の・フォ・しゅ・う〜〜〜?」

ハニー「うるっさいわよこのフォイフォイ」

78 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/25(土) 23:58:55.11 ID:Jd2H9ndG0

マルフォイ「おっどろいた、あのいっつもえらそうな赤毛の女王様(笑)がねぇ……はっはっはっはっはっはっは」

バタンッ

ハニー「……呪ってやりたいわ、二人とも」

ハニー「さて、私もさっさと帰りましょう。ここに残りたい理由なんて、少しも」

ハニー「……」

憂いの篩

ハニー「……これのこと、すっかり忘れてたわね、スネイプ」

ハニー「……この中に収められている……スネイプの記憶」

ハニー「なんなのかしら……私に見せたくないもの、ここまでして隠したいもの」

ハニー「この間のような、もの?それとも……」

ハニー「……この光、神秘部の夢の中に出てきたのと似てるわ」

ハニー「……あっ」

ハニー「もしかして……もしかして、スネイプは神秘部について何か、詳しく知っていて」

ハニー「それを私に見られたくないと、思っていたとしたら……?」

ハニー「……モンタギューを助け出すまで、どれくらいかかるかしら」

ハニー「それからきっと、医務室に連れて行くわよね……彼はスリザリン・クィディッチチームのキャプテンだもの」

ハニー「時間はあるわ……えぇ」

ハニー「……少なくとも一時間近くは、誰も来ないはずよ。あの人に先生達との交流が、あるとは思えないもの」

シーーーーーーーーン

ハニー「……これの正しい使い方を、私はまだ知らないわ」

ハニー「うまく扱えば、映像だけをこの水面?に浮かばせることもできるのでしょうけれど……」

ハニー「と、なったら……また、あの裁判の記憶を見た時みたいに、この中に、飛び込めば」

ハニー「……スーーーーッ、ハーーーーッ」

ハニー「……えいっ」

ズブッ

グルングルングルングルン








84 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/26(日) 00:13:53.68 ID:ptfAGYCD0

ドサッ

ハニー「……ここ……何年も前の、大広間?」

カリカリカリカリ、カリ
 ガタガタッ、ガサッ カリカリカリカリ

ハニー「……でも、いつものように四寮のテーブルがなくって……同じ方向にならんだたっくさんの小机に、みんな座ってるわ」

ハニー「……何か、書いているのかしら」

ハニー「これは、スネイプの記憶なのよね。どこかにいるはずだわ……あぁ」

ハニー「真後ろに……筋ばって、生気のない顔ね」

スネイプ『……』ガリガリガリガリガリガリガリガリ

ハニー「凄い勢いで書き込んでるわ……脂ベッタリの髪を机の上にたらして」

ハニー「本当に、昔から変わらないのね……書いてる、のは」

『闇の魔術に対する防衛術――普通魔法レベル<OWL>』

ハニー「OWL……ということは、このスネイプは私と同じ学年なのね」

ハニー「……変な、感じ」

 フリットウィック『あと五分!』

ハニー「きゃぁ!?」

カリカリカリカリカリカリッ
 ガサガサッ、カリカリカリカリカリ

ハニー「び、びっくりしたわ……誰も聞こえないから、よしとしましょう。えぇ、そうね。フリットウィック先生が、試験監を……」

ハニー「………………」

ハニー「……先生が今、通り過ぎた机に座ってる、男の子」

ハニー「……クシャクシャの、黒い、髪……本当に、くしゃくしゃの……」

ハニー「っ! あっ、ごめんなさい――あぁ、当たらないのね、記憶だもの!どいて、ごめんなさい、あなたの机を通り抜けるわ!あぁ……」

バッ!


ジェームズ『……こんなところかなぁ。この僕が受けるにしては、随分と簡単すぎる気がするけれど』

ハニー「……パパ」

88 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/26(日) 00:26:14.71 ID:ptfAGYCD0

フリットウィック『ミスター・ポッター!私語は謹んで!』

ジェームズ『うん、先生。ごめんよ、隣のやつにちょこっと僕の回答を教えてしんぜようと思ったのさ』

スネイプ『……チッ』

ハニー「……凄い舌打ちをしたわね、スネイプ……少し睨んだら、また解答用紙に戻ったわ」

ハニー「スネイプは、どうでもいいわ……あぁ、パパ。本物の、パパ……あの時の霞では、分からないところも多かったけれど」

ハニー「目の、色……本当に、私、わたしと、おんなじ……!」

ハニー「すごい……パパが、わたしの前にいる……!」

ハニー「どうして抱きしめられないの、かしら……!もう!」

ジェームズ『フーーゥ……ふぁ、ぁ〜』

ハニー「大きなあくび……さっきも零していたけれど、随分余裕のようね」

ハニー「……解答用紙も、他の人よりずっと長いのに……」

ジェームズ『ふぅ……んー……? おっと、彼はどうだったか……』

ハニー「? 後ろを……あっ!!!!」

ジェームズ『親指立てて、ふぅん。そうかい。上々なのかな?僕には到底及ばないだろうけれど』

ハニー「シリウス……シリウス、だわ!」

シリウス『……ふぁ〜っ、あ』

ハニー「椅子にもたれて、そっくり返って……あぁ、とっても」

ジェームズ『……あのカッコも様になるなぁ、まったく。後ろの女の子が熱い視線送ってるじゃないか』

ハニー「……どうして突き飛ばしたりできないのかしら。もう」

89 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/26(日) 00:34:44.10 ID:ptfAGYCD0

ハニー「シリウス……若い時の姿は写真で見たけれど」

ハニー「っ、あぁ……もう、ずるい、ずるいわ」

ハニー「……シリウスは終わり!見るのは終わり、えぇ!……あっ!」

ハニー「リーマス!リーマスも! まだ試験を見直しているようだけれど……」

ハニー「……スネイプ以上に顔色があまりよくない、わね。満月が近いのかしら」

リーマス『……あの二人は、まったくもう』

ハニー「……昔から苦労してたのね、リーマス。ごめんなさい」

ハニー「……皺や白髪のないリーマスって、なんだか新鮮だわ。写真にとって、トンクスにあげたい……その前に撮るのは……いいえ、それは、いいのだけれど」

ハニー「……ぺティグリューもどこかにいるのかしら」

ハニー「……」

ピーター『うーん、うーーーーん……うぅ、ジェームズ助けて……うぅっ……』

ハニー「……頭抱えて……不安そうね。キョロキョロ答案を盗み見ようとしてるわ」

ハニー「この人らしい……パパは、どうしてるかしら」

ジェームズ『ふ〜んふんふふ〜ん♪』

ハニー「……鼻声まじりで、何か描いてるわね。これ、スニッチ……上手だわ。パパはチェイサーだったって聞いたけれど」

ハニー「……?ここに書いてる文字はどういう意味……?スニッチと並べられた……」

ハニー「……L・E?何かの略字かしら……?」

95 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/26(日) 00:54:53.28 ID:ptfAGYCD0

フリットウィック『はい!羽ペンを置いて!羊皮紙を集めるまで、席を立たないように!『アクシオ、来い!』」

ガヤガヤガヤガヤガヤ
 ガヤガヤガヤガヤガヤ

ジェームズ『終わった、終わった、っと』

ハニー「……色々飾りをつけてたL・Eが何なのかは、結局分からなかったわね……問題用紙に落書き、って。パパらしいわ」

ハニー「……見たところ、使った問題用紙は持って帰っていいのね……ハーマイオニーが試験の後は復習漬けになって、ロンがごねそうだわ」

ハニー「……そういえば」

ハニー「この記憶は、スネイプの記憶よね……もしもこのまま、各々の寮に戻ってしまったら……パパたちの様子が見れないわ」

ガヤガヤガヤガヤ
 ザワザワザワザワ

ハニー「一度パパたちからは、離れて……スネイプ……いた」

スネイプ『……』

ハニー「……猫背で、なんだかぎくしゃくした歩き方だわ。蜘蛛みたい」

ハニー「……パパたちと、同じ方向に向かってるわね。問題用紙を睨みながら、無意識に……?好都合だわ」

ハニー「スネイプの少し前を歩いて……ここなら、パパたちを観察できるわ」

ハニー「……変ね?女学生がペチャクチャと喋っているようなのに、なんだかパパたちの声がしっかり……」

ハニー「……そういうものだと思っておきましょう、えぇ。それより」

シリウス『ムーニー。君、第十問は気に入ったんじゃないか?』

ハニー「!!シリウスが、喋ってるわ!」

リーマス『いい質問だ、パッドフット。『狼人間を見分ける五つの兆候をあげよ』 ばっちりだね』

ジェームズ『僕ぁとても不安だなぁ。どうだい?全部の兆候をあげられたと思うか?』

シリウス『それが、僕もすこーしばかり自信がなくってね。是非とも監督生さんのムーニーにお教えいただきたいのさ』

リーマス『いいだろう。一、狼人間は僕の椅子に座ってる。二、狼人間は人間の服を着てる。三、狼人間はわざわざ不安気な声と半笑の顔をする友人二人を蹴飛ばしたくてたまらない。四、狼人間の名前はRから始まる』

ハハハハハハハハハハハ!!

ハニー「……言ってるリーマスも、笑ってるわ。ほんと……笑い飛ばしてたのね。あのこと」

96 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/26(日) 01:06:22.54 ID:ptfAGYCD0

シリウス『Rで始まる、ね。おっどろいた、どうりであのバカな弟は、満月が近いと唸るわけだよ』

ジェームズ『彼が君をみて苦い顔するのは、いつものことだと思うけれどね』

ピーター『ね、ねぇ、真面目に話し合おうよ。僕、口元の形、瞳孔、ふさふさの尻尾なんかは書けたんだけど――その他は、考えつかなかったんだ』

ジェームズ『おいおい、おい。ワームテール、なんだいそれは。僕の友人ともあろうものが情けない』

ピーター『ごめん……でも本当に、わからなかったんだ』

シリウス『月に一度は狼人間を見てるのに?君ときたら、お菓子のメーカーの前に覚えるべきものがあるだろう?』

リーマス『小さい声で頼むよ』

ジェームズ『全くだ。それに、ワームテールの選ぶ菓子には君といえどもケチはつけさせたくないね』

ピーター『あー……パッドフットの疎すぎるのも問題だね』

リーマス『ほんとだよ、庶民の敵パッドフット』

シリウス『何の話をしているのさ?』

リーマス『チマチマ買わずにあの石版のような特大チョコを買っておけばいいじゃないか、と、僕に言ったことは忘れない』

ジェームズ『ほら、こいつ、お坊ちゃまだから』

シリウス『やめろ。おいワームテール、よくも笑ったなこいつめっ!お前の話をしてたのに!』

ピーター『わぁあああん!いーたーいーよー、パッドフットー!』

ハニー「……スネイプは……変わらず、後ろにいるわね」

101 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/26(日) 01:19:33.37 ID:ptfAGYCD0

シリウス『とにかく、だ。僕はあんな試験は楽勝だと思ったね。『O・優』がとれていなくっちゃおかしい』

ジェームズ『君がそうなら、僕もそうだろうな。何せ君は一生僕の下にいることが決まってるから』

シリウス『吠え面をかく用意をしておくんだね。プロングズ、そう言った割には随分と最後までてこずっていたように見えたけどな?え?』

ジェームズ『? あぁ、あれか。違う違う。随分と簡単で、時間が余ったから。落書きをしていたのさ――僕を手こずらせる問題なんて、この世に存在しないけれどね』

リーマス『僕のあれは?』

ジェームズ『ふわふわと小さいものだったじゃないか、そうだろう?』

リーマス『……ふふっ。あぁ、そうだね』

ピーター『僕、その落書き見たよ。あー、プロングズが鞄にしまう前に、ってことだけど。スニッチと、文字を書いていたでしょう?』

リーマス『文字?』

ジェームズ『おいワームテール、よせ』

シリウス『任せろワームテール、眼鏡は抑えた。君に危害は加えさせない』

ジェームズ『放せパッドフット!くっ……ワームテール!君は裏切るような奴じゃぁない、僕は信じてるよ……?』

リーマス『ワームテール、あれは言っても言わなくてもとっちめるコースの顔だね』

ピーター『うん、なら言っちゃうよ。「L・E」って書いてあった』

ジェームズ『おい!   なんだよ』

シリウス『……』

リーマス『……』

ピーター『……』

ジェームズ『……ニヤニヤするのはよせ!』

ハニー「……なんだか、自分を見ているみたいだわ」

106 名前:誤送信[saga] 投稿日:2013/05/26(日) 01:35:59.37 ID:ptfAGYCD0

シリウス『おやおや、おや。随分と乙女な趣味をしているじゃないか、プロングズ』

ジェームズ『いっそ君のもひっちぎって女子寮に入ろうか。良い線行くかもしれないぜ』

リーマス『L・Eに……スニッチねぇ』

ピーター『露骨だよね』

ジェームズ『うるさいな。いいか、僕は君たちに何度止められようが諦めないぞ。そんな文字は父さんの書斎になかったからね』

リーマス『心意気は認めるけど……あれだけやっても、君はオオイカ未満だそうだよ』

ジェームズ『簡単にコロッと行くような女性じゃない、だからいいんじゃないか。彼女は可憐だ、高貴だ。少し声かけてなびくようなのは、パッドフットにでも拾わせればいい』

シリウス『おい』

ピーター『捨てるの間違いじゃないかなぁ』

シリウス『おい、こら』

ハニー「……?」

ジェームズ『まっ、焦らずいくさ。あそこまで露骨な態度を取られるようになったのは最近だもの』

シリウス『思うに、君が図に乗っているせいとは考えられないか?』

ジェームズ『そりゃ面目ないけど変えられそうにないなぁ。僕は僕だもの。さっ、このあたりで休もうか。木陰でのんびりと休息しよう』

リーマス『あぁ、それに、湖のほとりで涼んでる誰かたちも見えるものね』

ジェームズ『しつこいなぁ……ヘイ、ワームテール。さっきはよくもやってくれたな、この!』

ピーター『ひっ!か、勘弁して……ハハッ、アッハハハハハ!アハハハハハハハハハハ!!ヒー、ヒーーー!』

ハニー「……本当に、仲がいいのね。四人は」

ハニー「……スネイプは、近くにいる、のよね?どこに……」

ハニー「……いたわ。潅木の暗がりにすわって、まだ問題用紙を……一人で」

ハニー「……?」

107 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/26(日) 01:53:15.65 ID:ptfAGYCD0

ゴソゴソ

ジェームズ『これ、見ろよ。なんだと思う?』

リーマス『……頭が痛くなるから、考えたくないね』

ピーター『わぁー!それ……黄金のスニッチだ!』

ジェームズ『大正解だ、ワームテール。信じられるか?こいつを掴むだけで、僕が十五回ゴールを決めるのと同じ点が入るだなんて。とくに苦労もしていないけれど』

シリウス『で。目立ちたがりの君は、それをどうしたんだ?』

ジェームズ『キャプと揉めてね。次の優勝決定戦ではすぐに、シーカーがスニッチを取れ、とくる。冗談じゃない、これまでこのチームが圧倒的大差で勝ってきたのは誰のおかげだい?』

ピーター『君だよね、うん! いっつも何十回とゴールを決めるし』

ジェームズ『だろう? だから、僕が百五十点取るまで我慢するべきだ、って言ってやったんだ』

ジェームズ『それに、いつも思うのだけれど、それじゃどうしてこれまでの試合でもさっさとスニッチを掴まかったのか、って。僕はいつも君がスニッチ・キャッチする何十分も前に見つけてるから、気が散って仕方ないんだ、って』

リーマス『……シーカーの彼に、言ってやったんだ』

ジェームズ『そう。で、返す刀がこう飛んできた。「じゃあやってみろ!」』

ジェームズ『その答えが、これってわけさ。奴さん、昨日の練習中「みつからない、みつからない」って半ベソだったよ』

ピーター『凄いなぁ』

シリウス『君がやればいいじゃないか、シーカー』

ジェームズ『やだね。だって、クアッフルって赤いじゃないか』

リーマス『……そんな理由だったんだ』

ハニー「赤? パパは、赤いものが好きなのかしら……?」

114 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/26(日) 02:12:23.58 ID:ptfAGYCD0

スニッチ『』パタパタパタパタッ

ジェームズ『ほーら、自由になりたいかい?』

スニッチ『』パタパタパタ……ピッ!

 パシッ

ジェームズ『ざーんねん、捕まえた』

ピーター『うわっ! す、すっごいや!すごいね、ジェームズ!!』


ハニー「……今のタイミング、絶対に逃げられたと思ったのに……凄い反射神経ね。さすがパパ」

ハニー「でも、なんだか……うーん……ぺティグリューがうるさくないのかしら」

ハニー「……むしろ、パパは注目されるのを楽しんでる?」

ハニー「……? 何故だか、湖の方をチラチラみているし……何かあるのかしら。オオイカ豚?そういえばさっきそんな話が……」


シリウス『気はすんだか?いい加減やめろよ、それ。ワームテールが興奮して漏らしっちまう前に』

ピーター『も、漏らすって、ひどいなぁ』

シリウス『君も言ってやれ、ムーニー。読書の邪魔だって』

リーマス『僕は別に。いつものことじゃないか』

ジェームズ『分かった、分かった。君が気になるならやめてあげよう、パッドフット』


ハニー「……」


ジェームズ『君は随分と退屈そうにしているけれど、それじゃ、何か見つかったかい?え?どこを見てるのかと思ったら、品定めか?いや、君の場合は選ばれる側か』

ピーター『パッドフットは風に吹かれてるだけで様になるもんね……』

リーマス『趣味:カッコつけること。特技:ポイ捨て』

シリウス『やめろ』

115 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/26(日) 02:33:32.20 ID:ptfAGYCD0

ハニー「……ポイ捨てはいけないことだわ。戻ったら、シリウスによく言っておかないと……お掃除するのは私になるのに……いいえ、別に、そうね。他の人で、いいえ、ちが……」


シリウス『退屈だ、まったく。満月だったらいいのにな』

リーマス『そりゃいい、もっと楽しめるように噛んであげよう。さっ、腕を出しなよ」

シリウス『ほんの冗談さ』

ジェームズ『君はたまーに冗談の境界があやふやだな、パッドフット』

ピーター『あと、犬と人間の境界も』

シリウス『食べ方が随分とネズミらしくなった君に言われたかないね、ワームテール』

リーマス『「変身術」の試験がまだ残っているんだ。そんなに暇なら、僕をテストしてくれよ。ほら、教科書だ』

シリウス『ふんっ、そんなくだらない本は見るまでもないだろ?全部知ってる』

ジェームズ『僕の友人らしい頼もしい言葉だね、あぁ……おっと、パッドフット。もしかすれば、これで楽しくなるかもしれないぜ……あそこにいる奴を見ろよ』

シリウス『なんだ?君そっくりの子供でも――あぁ、いいぞ』

ハニー「! シリウスの目……猟犬みたいに、ギラギラして、っ、私を見てる!?ちょ、どうし、あぁ、どうすれば――」

シリウス『スニベルス<なきみそ>だ』

ハニー「? それって、確かスネイプの……あぁ」


スネイプ『……』


ハニー「スネイプが、立ち上がったのね。あっ……まずいわ……ここから、離れたら。パパたちの話が……?」

ピーター『また!あんなところで何してたのかな!ねぇリーマス!ねっ!』

リーマス『……あぁ、そうだね。終わったら言ってくれるかい。僕は、復習を続けてるから』

ハニー「……なぁに?ぺティグリューのこのワクワクしてる顔……リーマスは……ページをめくってはいるけれど……読んでるようには、見えないわ。顰めた顔で……いまから、何が……?」


ジェームズ『スニベルス! 元気か?』

スネイプ『――っ!!』

バッ!!!

ハニー「!? スネイプ、杖を!?呪うつもり……パ――」

『エクスペリアームス!武器よ去れ!』

ハニー「! ……え?」

スネイプ『ぐっ、くっ……』

ハニー「どうして、スネイプの杖が、吹き飛んで……あっ」

ジェームズ『おいおい、なんだい?僕はただ声をかけただけだっていうのに、随分な反応だなぁ』

ハニー「パパの手……いつの間に、杖が」

スネイプ『っ、杖、を……!』

バッ

シリウス『「インペディメンタ、妨害せよ」』

スネイプ『っ!〜〜〜〜っ!!』

ハニー「あ……妨害の呪いをかけられた、スネイプが……杖に飛びつこうとした格好のまま、固まったわ』

ザワザワザワ
 ワイワイワイワイ
ポッターだ! スネイプだ
 クスクスクスクス

ハニー「…………」

119 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/26(日) 02:51:09.17 ID:ptfAGYCD0

ジェームズ『試験はどうだった、スニベリー?』

シリウス『こいつ、羊皮紙に鼻をくっつけてたぜ』

クスクスクスクス

シリウス『おまけに髪の毛も。油染みだらけの答案じゃ、先生方も採点が大変だろうね」

ドッ! ハハハハハハハハハ

ハニー「……いつの間にか集まった人たちが、笑ってる……スネイプ、スネイプは……そうね、何度か聞いてたわ。嫌われ者だった、って……」

ピーター『アッハハハハハハハハハハッ!ひっどいや、そんな羊皮紙、僕なら触りたくないなぁ!』

リーマス『……』

クスクスクス

スネイプ『っ、うっ、ぐっ……』

シリウス『おやおや、無理に動こうとするなよ、スニベリー。まるで生まれたての小鹿のようだ』

ゲラゲラゲラゲラ!

ジェームズ『僕個人の意見としては、そのたとえは不快だからやめてほしいね』

スネイプ『っ、くっ、今に、みてろよ……!』

ジェームズ『うん?』

スネイプ『覚えてろよ――絶対、絶対に』

シリウス『なにを?』

スネイプ『っ、っっ』

シリウス『何をするつもりなんだ、スニベリー?え? あのフォイフォイうるさい先輩からの入れ知恵か?それとも君が献上した何やら素晴らしいものでも食らわせるのか?やってみろ  あぁ、それともただ単に鼻でもひっかけるつもりなのかな』

スネイプ『っっ、この、魔法界の、汚点、ども! くそ、くらえっ! 失神!!クラゲ足!!! 結膜炎!!セクタムセンプラ!!』

ピーター『アハハハハハハハ!杖も持ってないのに、何言ってるんだろ!』

ゲラゲラゲラゲラ!!


ジェームズ『口が汚いぞ。特に最後のはなんだ?虫唾が走るな、君の趣味は。少しは綺麗にしたらどうだ――「スコージファイ、清めよ」』

スネイプ『ぐっ、もがっ、ごぼごぼごぼ、ごほっ、ごはっ、ごぼごぼごぼごぼご』

ハニー「……スネイプの口から、泡が……」


ハハハハハハハハハハハハハ!!!
 ヒーーー!ヒーーー!!
  ゲラゲラゲラゲラ!!!

ハニー「……みんな、笑ってる……でも、こんなの。こんなの、って」

ハニー「〜〜っ、やめ――」


『やめなさい!!!!』

ハニー「!?」

スニベルス『ごぼごぼもがもがっ、っ!っ!!!』

ジェームズ『僕の髪どうかなパッドフット!!』

シリウス『あぁ!今日もくっしゃくしゃだ!いいぞ!最高だ!』

ジェームズ『ありがとう、当然だけれど!   やぁ、エバンズ。元気かい?』

リリー『えぇ、ついさっきまで。あなたの顔とその気取った声を聞く前は、ね!』

ハニー「……ま……ママ……!?」

123 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/26(日) 03:09:36.17 ID:ptfAGYCD0

ハニー「嘘みたい……歳も同じだもの、そうだろうとは思っていたけれど……本当に、私そのままだわ。鏡を見てる気分」

ハニー「あぁ、でも……目、目だけは、違うわね。信じられないくらい、深い緑色……綺麗だわ」

ハニー「……スネイプを、庇ったの?」

リリー『彼に構わないで。彼があなたに何をしたというの?』

ジェームズ『うーん、そうだな。むしろ、こいつが存在するって事実がもう、ね』

シリウス『あぁ、そりゃ違いない、っく、っふ』

ピーター『ハハハハハハハッ!』

ゲラゲラゲラゲラ!

リーマス『……』

ジェームズ『そいつがいるってのは、あれさ。僕が心底愛犬家だったとして』

シリウス『やめろよ気持ち悪い』

ジェームズ『大きな意味では間違っていないけれどね。まぁいいさ。そんな僕の前で「犬八つ裂き大好きショー」に所属してるようなもんさ。言ってる意味、分かるかな?』

リリー『なぁに、それ! だからって、あなたが「今」やってるのは!傲慢で胸糞の悪いだたの弱い者いじめよ! もう一度言うわ、彼にかまわないで!』

ジェームズ『そうだな、エバンズ。僕とデートしてくれたらやめるよ』

リリー『はぁっ……!?どうして、そういう話になるのかしら!意味が分からないわ!!!!!!!』

ジェームズ『いいや、分かるさ。どうだい?君が僕とデートしてくれたら、二度と親愛なるスニベリーには杖を上げないのだけれどね。僕の方からは。だいたいいつもそうだけれど』

リリー『〜〜〜っ、ふーーーーっ。ふざけないで。あなたかオオイカのどちらかを選ぶことになっても、あなたとはデートしない』

クスクスクスクス

ジェームズ『……また君かオオイカ!!!どこが、どこがいいのさ!!!あんなのの!!』

リリー『……柔軟性?』

ジェームズ『……パッドフット、君の肉球を僕に別けるつもりはあるよな?』

シリウス『肯定で呼びかけるよのはやめてくれるか』

128 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/26(日) 03:27:24.70 ID:ptfAGYCD0

スネイプ『ゴボゴボ、ゴボ……「ゴボゴボ、ゴボ!」 っはぁ、はぁ……』

ハニー「もしかして、さっきパパが書いてたのって……あぁ、スネイプが自分の杖で、泡を止めたわね。いつの間に」

シリウス『残念だったな、プロングズ……おっと!」

スネイプ『――っ!』

バーーーンッ!!

ハニー「!閃光が……あっ、あぁ! ぱ、パパ……!」

ブシャァアッ!!ダラーーーーッ

ジェームズ『……』

リリー『!? ぽ、ポッター! 頬、ひどい出血、ちょっと、せb――』

ジェームズ『僕が一番大嫌いなのは、だ』

スネイプ『っ、エクスペリ――』

バーーーンッ!!!

ジェームズ「卑怯の塊な不意打ちと、楽しい時間を邪魔される事。それに――闇の魔術だ。セブルス・スネイプ、君は今その全てを破ったんだ」

スネイプ『ぐっ、くっ、お、おろ、せっ!!!』

ジェームズ『少しの恥で終わると思うなよ? おやおや、随分上等なパンツだな、え!?』

ゲラゲラゲラゲラゲラ!!
 ヒーーー!ヒーーーー!!!!
ウエーッ! いいぞいいぞーー!

ピーター『アッハハハハハh、ハハハハh、アハハハハハハハハハッ!!』

リーマス『……っく』

ハニー「…………」

リリー『ふっ、ふふっ、くっ、やめ、やめなさい!下ろしなさい!!』

ジェームズ『承知しました。下ろせばいいだね?』

グンッ、ベシャッ!!

スネイプ『ぐぅっ、くっ、っそ!「セク――』

シリウス『同じことをさせると思うか?「ペトリフィカストタルス、石になれ」』

スネイプ『』

ジェームズ『いいぞ、相棒』

リリー『やめなさいって言ってるでしょう!?』

ジェームズ『あー、エバンズ。君に呪いなんてかけるつもりはないよ、大丈夫。大丈夫だから落ち着いて』

シリウス『いや、プロングズ。ここはむしろ杖を持っておいてもらった方がいい。それに少し離れよう、射程範囲だここは』

リリー『何のことかは分かるわよ!頬にママのキスより熱いものをくらいたくなかったら、早く呪いを解きなさい!』


129 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/26(日) 03:46:10.52 ID:ptfAGYCD0

ジェームズ『分かった、分かったよ……ほーら。「〜〜〜〜〜」』

スネイプ『……』

ジェームズ『スニベルス。エバンズが居合わせて、ラッキーだったな――』

スネイプ『……こんな汚らしい「穢れた血」の助けなんて、必要ない!』

リリー『――ふーーーーーん?』

ジェームズ『!!お前!!!!』

リリー『結構よ。これからは邪魔しないわ、「スニベルス」 それに、パンツを洗濯したらどう?また見せびらかすつもりならね』

ジェームズ『エバンズに謝れ!謝らないと、その髪ごと毟り取る呪いをかけるぞ!!!』

リリー『あなたからスネイプに謝れなんていって欲しくないわ! あなたも同罪じゃないの!』

ジェームズ『えっ?……えぇっ?ど、どうしてさ!?僕、ぼくは、一度だってきみに、ほら、その、あの、なんとかかんとかなんて!』

リリー『かっこよく見せようとして髪をクシャクシャにしたり!スニッチをみせびらかしたり!自分よりできない人を小ばかにした態度をとったり!!』

ジェームズ『……うぅ』

リリー『授業が分かるからって手をぬいたり!!そのくせ試験ではいい点をとって!!!また人をバカにして!!!!』

ジェームズ『……』

リリー『呪いが上手いからって悪戯に使ったり!いつも騒ぎ立てて!!いい迷惑だわ!!!いっつもいっつも気づいたらそこにいて!!!』

ジェームズ『……?』

リリー『思い上がりの頭でっかち!そんな頭でよく箒が離陸できるわね!あなたを見てると、あなたを、見てると……っ!!』

ジェームズ『……』

リリー『動悸、息切れ、吐き気がするわ!!!!!ふんっ!!!!』

タッタッタッタッタ……

ジェームズ『……』

シリウス『……』

リーマス『……』

ピーター『……』

スネイプ『……』

ハニー「……」

ジェームズ『僕って……あそこまで……嫌われてるのかぁ』

シリウス『!?……あー、まぁ、どうやら頭でっかちっていうのは正しいようだな、うん』

ハニー「……眼鏡が合ってないのじゃないかしら、ここまでくると」

135 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/26(日) 03:56:43.81 ID:ptfAGYCD0

ジェームズ『なんだい、僕がせっかく。あー、スニベルスの侮辱に、そうだな。怒った?のに。全く』

シリウス『そうだな、あぁ。珍しいことだ』

ジェームズ『それで?なんだい、彼女は……僕の何がいけないって? どうだっていいけれどね。まったく』

シリウス『っ、っふ、そうだな、友よ。つらつら行間を読むに、彼女は君がちょっと自惚れていると思っておる』

ジェームズ『よーし……そうか。もう頭にきたぞ……よーし』

バーーーンッ!

スネイプ『!? くっ、また、逆さづり、この……!』

ハニー「! ど、どうしてまた、そんな……もういいじゃない!もう、これ以上なんて、いいえ、もっと前、から!」

ジェームズ『おーい、みんな集まれよ!』

ハニー「こんなの、ただの……八つ当たり、じゃない……!!」

ジェームズ『誰か、今から僕がスニベリーのツンパを脱がせるのに賛成の人――』





ガシッ!!

ハニー「もう、もう……っ、痛っ、なによ、はな……痛い?そんなはず……」

スネイプ「………………」

ハニー「……ぅ、ぁ」

スネイプ「楽しいか?」

グンッ

グルングルングルングルン……

137 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/26(日) 04:03:13.73 ID:ptfAGYCD0

地下牢教室

ドサッ!

ハニー「……ぁの」

スネイプ「……すると?」

ハニー「あ、の……腕、痛……スネイプ、その、スネイプ、先生」

スネイプ「すると……お楽しみだったわけだな、ポッター?え?」

ハニー「い……いいえ……」

スネイプ「お前の父親は愉快な男だったな?え?ポッター。みんなの言う通りだったろう?え?その目で見てきたのだろう?その、目で!!」

ハニー「あの……わた、っ、わたし、は、そう、は……っ、っ」

スネイプ「……何故貴様が泣く」


スネイプ「泣きたいのはこっちだ!!!!!!」

ハニー「っ、あの、ごめ、ごめんなさ」

スネイプ「ここで見たことは誰にも喋るな!!!!」

ハニー「っ、それは、えぇ、それは、もちろん、そう、わたし――」

スネイプ「出て行け!!出るんだ!ここでもう二度とその目を見たくない!!!出て行け!!!!!」

ハニー「!」

ガシャーーーーン!!パリーーーーーン!!!

スネイプ「とっとと出て行け、ポッタぁあああああああああ!!」

ハニー「っ、し、失礼、します!」


ガチャッ! バタンッ!!!!


ハニー「…………」

138 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/26(日) 04:12:39.84 ID:ptfAGYCD0

グリフィンドール談話室

ロン「だから、あのバッジをさぁ……あっ!おかえりハニー!あー、えっと?ボサボサの髪でも、君はステキだね……?」

ハーマイオニー「バッジに権限があるわけじゃないわよ、だから、マルフォイに『生きる屍の水薬』を……は、ハニー!?その格好、どうしたの!?」

ハニー「……」

ロン「ま、まさか!あのスネイプ野郎に何かされ……うわっ!?」

ハーマイオニー「辞職じゃ済まされないわ辞生だわそんなもの……きゃっ!?」

ハニー「っ、っぅ、っ……」

ロン「……あー、ハニー?そうだね、僕は君のサンドバックだからさ。うん、思いっきり締め技しても構わないよ、もちのロンで」

ハーマイオニー「……何があったの、ハニー。あの、胸なら貸すわ。いったい……?」

ハニー「怖い、の……悲しいの……ううん、スネイプのことじゃないわ……怒鳴られたことや、死んだゴキブリの瓶を投げつけられたことじゃ、なくって」

ロン「それはそれで聞き捨てならないけどさ」

ハーマイオニー「ハニー……あなたが、怖い、って?」

ハニー「見物人の真ん中で、あんな目に合わされるのが……どんな気持ちか。あざけられた時、どんな、気分か……わたし、知ってるの。わたし、わたし……」

ハニー「わたしの、パパが……」

ロン「……うん」

ハーマイオニー「……えぇ」

ハニー「……色んな事情はあって、も……ひどい人、だったの」

ロン「……えっ?」

ハーマイオニー「……うん?」

ハニー「ぐすっ、うっ、っぅ、クズ、だったのぉ……っ、っっぐすっ、うぅぅぅっ」

ロン「……落ち着くまで待とうか」

ハーマイオニー「……もちのあなただわ」

177 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/27(月) 21:22:02.55 ID:htjJWHVn0

金曜日

談話室

ロン「それでさ、ハニー。僕は思うんだよ、OWLまであと六週間もあるんだから、復習よりもまずは君を崇め奉る準備とかそううのをどうか、ってね。いつものことだけど……」

ハニー「……えぇ、そうね」

ハーマイオニー「……あー。ハニー?そういえば、チョウとはどうしたの?もしかして、あのマリエッタって子のことで揉めた、とか……」

ハニー「……えぇ、そうね」

ロン「……上の空だなぁ。ハニーに流されるなんて新鮮すぎて口からナメクジ吐きそうようするに死にたい」

ハーマイオニー「無視というか……また、何か考え事で聞こえていないというところでしょ。もう……ねぇ、ハニー。あなたの、お父様は――」

ハニー「……パパの話はしないで」

ハーマイオニー「……あなたがそのことで悩んでいるのに?お断りよ」

ロン「えーっとさぁ、ハニー。昨日何を見たとしても、これまでハグリッドやらリーマスやらスナッフルやらは、君のご両親は素晴らしい人だったって何度も言ってただろ?」

ハニー「……友人の贔屓目で、それに、娘の私に気を使っていたとしたら?」

ハーマイオニー「あー、マクゴナガルも、フリットウィックも。とっても優秀だった、と言っていたじゃない?」

ハニー「……手を焼かされた、とも、ね」

ロン「でも、あー、ほら。スネイプの野郎も色々――」

ハニー「……最後の方は私怨になっていたわ。それに――どんな理由があっても、あんな……」

ハーマイオニー「でも……お母様は結局、あなたのお父様と結婚したわけじゃない?きっと、そんな一面以外にも……」

ハニー「……これまでずっと、パパに似てると言われると誇らしかったわ」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「……私の、わたしのやっていたことは間違ってないんだ、って。変わったわたしは――パパのようになれるんだ、って」

ハニー「……今はもう。考えたくもないの。この話はおしまい。いいわね?」

ロン「君がそう言うなら。えーっと、それじゃ君の素敵なところを千個くらいあげていこうかな。ハーマイオニー、君から、どうぞ」

ハーマイオニー「えっと、目がきれ――やらせないで」

180 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/27(月) 21:38:20.83 ID:htjJWHVn0

日曜日

図書館

ハニー「……ロンはクィディッチの練習……ハーマイオニーは、古代ルーン文字学の質問をしに職員室」

ハニー「この私を一人にするだなんて。まったく。まったく……」

ハニー「……二人には、パパのことを話さないでって前に言ったけれど」

ハニー「私一人だと、また、あの記憶のことを考えてしまうわ」

ハニー「パパは……スネイプを攻撃するだけの、理由があった。そう、思いたい、けれど」

ハニー「……何があっても……あんなこと」

ハニー「……あんな、酷くて、惨めな事」

ハニー「……」

ハニー「……ママは、ちゃんとした人だった。私に、そっくりで……」

ハニー「……もしもママが私と同じで……あんなことをするパパが許せないのだとしたら」

ハニー「パパの他の一面のことをどう想っていたにしろ……結婚なんて、考えないはずだわ」

ハニー「……」

ハニー「パパは、変わったの?それとも……ママに無理やり、迫って――」

ハニー「……考えすぎよね。でも、私――わたしは、二人について殆ど知らないんだもの」

ハニー「これまで聞いて来たことも……たったあれだけの否定する情報だけでひっくり返される、くらいに」

ハニー「知らないと、いけないわ……そのためにも」

ハニー「……そのため、だけ、だけれど」

ハニー「……」

ハニー「……シリウスに、会いたい、な――」



ジニー「ハァイ、ハニー!!!」

ハニー「!? じ、ジニー!?あっ、あー、あなた、練習は!?き、聞いていないでしょう……?」

ジニー「さっき終わったの。ロンがスローパーに付き添って医務室に行かなくちゃならなくなったから、あなたに伝言を。聞く?なにを?」

ハニー「そ、そう。ロンは気配りできるわね、褒めてあげないと……いいえ、なんでもないのよ。なんでも――」

ジニー「それで、あなたがあの憎いオオイヌ座のところへ飛んでいきたいっていう話なんだけど」

ハニー「ジニー」

ジニー「ヒンヒン!なに?ハニー!」

ハニー「マダム・ピンスに『ここの本をヤギになった兄が食べてしまいました』って言ったら、どうなるかしら」

187 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/27(月) 22:09:57.01 ID:htjJWHVn0

ジニー「『医務室をインクと血で染めて来ましょう』って」

ハニー「すぐ傍にマダム・ポンフリーがいるから、きっと無事でしょう。心配ないわ」

ジニー「頑丈だものね、ロンは。豚一同が引くほど」

ハニー「私の豚だもの、そのくらいは当然、そうでしょう?見習いなさい?」

ジニー「えぇハニー!ヒンヒン!  で、スナッフルの話ね」

ハニー「……私のペースに従わない豚は嫌いよ」

ジニー「ごめんなさいハニー!でも、ロンも似たようなものじゃない。それに、ロンじゃなくってもこのところのあなたの気が滅入ってるのは分かるわ」

ハニー「……」

ジニー「本当は、これを届けて元気付けてあわよくば褒められよう、って思ったの。あ、ついでに今渡すわね。はい、これ。ママからのイースター・エッグ」

ハニー「……ありがとう。包みに大きく『高等尋問官閲覧済み』の走り書きがなければ、もっと喜べたのだけれど」

ジニー「大丈夫、あのカエルが触ったであろう包みはしっかり洗浄しておいたわ。このチョコでも食べて元気をだして、って、思ったけど……チョコよりも甘いひと時がいいみたいね」

ハニー「……甘いのは嫌いよ、知らないのなら教えてあげるけれど。それに――さっきのは、ただの呟き。それだけよ」

ジニー「どうして?」

ハニー「ここに書かれてるのを見たでしょう? ふくろう便はアンブリッジが目を通すわ。それに、暖炉も見張られているの」

ジニー「……」

ハニー「……どうやったって無理なのよ。シリウスに会うのは」

ジニー「……昔、このママが作ってくれるイースター・エッグのことで、喧嘩をしたことがあるの」

ハニー「……?」

ジニー「うちは、こんなに大人数でしょう? 私が子供の頃にもらったイースター・エッグは、とっても小さくて。それでも嬉しくて、ママとのお買い物に着いていくときも持っていたら」

ジニー「近くに住む怖いマグルの大人に笑われたの。貧しいと、下の子まで用意するのは大変だな、って」

ハニー「……」

ジニー「ママは全然気にしてなかったけど。わたしはとっても悔しくって、家に帰って泣いていたら……フレッドとジョージが、すっごく大きなタマゴ形のチョコをもってきて」

ハニー「……」

ジニー「……中から、泣いて私に謝る件のマグルの声が聞こえるまでは、喜べたわね、えぇ」

ハニー「昔からえげつないのね、あの二人」

ジニー「割と。でもね、二人と暮らしてて良かったって思えるのは、度胸さえあれば何でも出来るんだ、って思えることなの」

ハニー「……」

ジニー「……あなたならきっと、なんとかできるわ。だって、私達のハニーだもの。ねっ、チョコを食べて、考えてみない?とっても美味しいのよ、ママのチョコは。あっ、中にフィフィ・フィズビーが入ってる」

ハニー「……」

パクッ

ハニー「……私のは、中に……あぁ」

ジニー「あっ。ママったら気が利く。犬の形の、ビスケットね?」

ハニー「……ふふっ。ねぇ、ジニー」

ジニー「ヒンヒン!なぁに、ハニー!」

ハニー「あなたって本当、いい女豚になったわね」

ジニー「! 光栄だわ、ハニー!ヒンヒン!!!」


マダム・ピンス「……図書館でチョコを食べる不埒者がいるのはここですか」

ハニー「……」

ジニー「……」

ロン「ま、ごふっ、マーリンの、髭……ハッ!ジニー!ハニーを連れて逃げろ!こいつは僕が食い止めゴフッ!!ま、マー髭!!!!!」

190 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/27(月) 22:37:24.14 ID:htjJWHVn0

イースター休暇最終日

談話室

フレッド「ってぇわけで、我らが愛すべき妹・ジニーからの頼みでね」

ジョージ「我らが獅子寮の愛される女王様をお手伝いをしてあげよう」

ハーマイオニー「……今は大事な『進路』についての資料を見ているところだから、物騒な話題はやめてもらえるかしら」

ロン「いいじゃないか、どうせ僕も君もハニーのとこに永久就職なんだから」

ハニー「ハーマイオニー。私がジニーに相談したことだから、聞いてくれる?」

ハーマイオニー「……私達じゃ相談するに値しないということかしら」

フレッド「責めてやるなよ才女様、どうせ今晩攻められるのは君だろうけども」

ジョージ「ハニーは君に言えば反対されるに決まってると思ったんだろ、あぁ」

ハニー「……シリウスと話をしたいの」

ハーマイオニー「……はぁぁ。言うと思ったわ」

ロン「もちのロンでね」

ハニー「……なぁに、それ。まるで私が、分かりやすいとでも言いたげね?」

ハーマイオニー「だってそうじゃない……予想はしてたわ。でも、バカなことは言わないで。アンブリッジに暖炉もふくろうも封じられているのに、どうやって……」

ジョージ「まぁ、そのくらいは難なく回避させられると思うね。俺達なら」

フレッド「俺達はこのイースター休暇の間、随分と大人しくしてただろ?」

ハーマイオニー「気味が悪いほどにね」

フレッド「僕らは考えたのさ。この試験間近の大事なイースター休暇中、わざわざ城を混乱させる意味があるのか?と」

ジョージ「僕らは自問し、自答したね。そんなもんに意味はない。みんなの学習の妨げになるのは本意じゃないからな」

ハーマイオニー「へぇ……あなたたちにしてはとっても関心な考えだわ」

フレッド「しっかーっし、明日からは平常運転だ。あのカエルを困らせる大混乱の阿鼻叫喚、伏魔殿な地獄絵図に仕立てなくてはならんのだ」

ハーマイオニー「関心を返して」

ジョージ「で、だ。せっかくちょいと、いや、もんのすごい騒ぎを起こすなら、ハニーが愛しいお犬様と話が出来るようにしてやろう、って」

ハーマイオニー「……あなたたちが騒いで、気を逸らしている間に。そういうこと? 何度も言うわ。そんなことをしても、スナッフルと連絡をとる手段そのものが……」

ハニー「……アンブリッジの部屋よ」

ハーマイオニー「……え?」

ハニー「アンブリッジ本人……本蛙?が言っていたわ。アンブリッジの部屋の暖炉だけは監視されていない、って」

ハーマイオニー「……気は確か!?……きゃぁ!?」

ハニー「えぇ、そうだと思うのだけれど。そうね。なんならあなたと一緒に気をやれば、もっといい案でも浮かぶのかしら……」

ハーマイオニー「ちょ、っと、ハニー! 今、そういう、そういうのはズルいわ、そんな、こと、あぁ、ハニー。そんな、『アンブリッジの部屋』のようにピンク色の思考にされて、しまったら……反対、でき、あぁ……」

ロン「つづけて!」

花火『どうぞ!』バチバチバチバチ!

フレッド「こいつは一番需要がありそうだなぁ」

ジョージ「主にロンとかネビルとかにな、あぁ」

195 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/27(月) 22:54:11.22 ID:htjJWHVn0

ハーマイオニー「フーッ、フーッ、染まらないわ!流されないわよ!絶対反対なんだから!」

ロン「いや流れるようにソファに倒れこんだ君が言ってもね」

ハーマイオニー「黙って! オホン! 第一ね、ハニー。どうやってアンブリッジの部屋に押し入るというの?あの人は絶対、アロホモラも封じる保護をかけているはずよ?」

フレッド「君の扉はハニーの前じゃ常時開いてるらしいがね」

ジョージ「情事の時は閉めとけよ?ジョージからのお願いだ」

ハーマイオニー「上手くないわよ黙ってなさい!!」

ハニー「鍵のことなら、問題ないわ。シリウ、スナッフルのナイフがあるもの」

ハーマイオニー「スナッフルの、ナイフ……?」

ハニー「去年もらった、クリスマスプレゼント。どんな結び目でもほどけて、どんな扉でも開けるの。これなら、アンブリッジの部屋に入れる」

フレッド「おやおや、流石は大先輩。いいものもってるなぁ」

ジョージ「元祖悪戯仕掛け人の持ち物は羨ましいねぇ、あぁ」

ハーマイオニー「っ、ロン!あなたはどうなの!?」

ロン「? 僕?」

ハーマイオニー「そう、あなた!ハニーのためを思うなら、こんな危ない真似は……」

ロン「ハニーがそうしたければ。ハニーの問題だろ? それに僕は」

ハーマイオニー「っ、そう!聞くまでもなかったわね!あなたはハニーの……」

ロン「あぁ、僕ぁハニーの一番の豚だからね。ハニーの悩みがそれで晴れるなら、ハニーを応援する」

ハーマイオニー「……」

フレッド「いいぞ、ロン。さすが真の豚、そしてウィーズリー一族らしい答えだ!このやろう!」

ジョージ「いつの間にかでっかくなっちまって。ロニー呼ばわりは卒業だな、え?この一番豚!」

ロン「ハニー以外が豚って、痛いっ!肩叩くなよこの、痛っ!マーリンの髭!」

198 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/27(月) 23:04:00.02 ID:htjJWHVn0

ハニー「……ハーマイオニー、あなたがとっても私のことを心配してくれているっていうのは分かってるの」

ハーマイオニー「……当たり前でしょう」

ハニー「えぇ、そうね。だって私のあなただもの。でも、ね。分かって欲しいの。私……わたしは」

ハーマイオニー「……ふーっ。えぇ、ハニー。分かってるわ、分かってますとも。でも、これだけは約束して。マズいと思ったら中断して、すぐに引き上げること。いいわね?」

ハニー「……うん」

ハーマイオニー「それじゃ、詳しい計画を立てましょう。そこの双子、何をしでかすおつもりなのかまで、しっかり説明してもらうわよ」

フレッド「おいおい才女様、そりゃないぜ。悪戯はいきなりだからいいんだろ?」

ジョージ「せっかくの種を明かすなんて、仕掛け人のプライドが許されないね!」

ロン「おいよせよ二人とも、いくら二人でも……」

ハーマイオニー「説明して、もらうわよ?」

フレッド「……はい、ママ……いや、ハーマイオニーさん」

ジョージ「分かったよ、母さ、いや、ハーマイオニーさん」

ロン「言っただろ……ハーマイ鬼ーはママそっくり……いや、いや、なんでもないよ。もちのロンで」

201 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/27(月) 23:27:11.14 ID:htjJWHVn0

月曜日

『魔法薬学』

ハニー「今日の放課後、このコマが終わった後の五時ピッタリに二人は仕掛ける。そうだったわね?」

ハーマイオニー「生徒みんなが廊下に出てる時間帯に一番効果があるものね、あの悪戯は……広げすぎないといいけど」

ロン「泳ぎに自信のない豚には浮き袋でも用意してけって伝えておいたよ。連絡網、いや、連絡ヒンで」

ハーマイオニー「なんだかほんと、わざわざ双子の呪文とかかけて用意したあの金貨がバカみたいで……あっ、スネイプが来たわ。喋るのはやめましょう……」

ハニー「……いいえ、大丈夫よ」

スネイプ「……」

スタスタスタスタ

ハニー「あの人、私のことを徹底的に無視する方針に変えたようだもの」

ロン「あんにゃろ、ハニーをシカトなんて屠殺もんだぜまったく!ヒンヒン!」

ハニー「いいのよ。実際、今までのようにネチネチと嘲られたりするよりずっとマシね」

ハーマイオニー「言われてみれば……いつもより作業がしやすいわ」

ロン「ついでにあの野郎が城から透明になって消えっちまえばいいのになぁ」

ハニー「……悩まなくてありがたくなるわね、えぇ。さっ、『強化薬』はこれで完成……スネイプのところに、提出してくるわね?」

ロン「あぁハニー!僕が代わるよハニー!今のあいつに君が近寄ったら何されるか!マー髭もんさ!」

ハーマイオニー「あなた攪拌中でしょ手を離さないの! ハニー、それじゃ、大鍋の中身は綺麗にしておくわね? あそこへ行くための準備もあるでしょうし」

ハニー「お願いね……スネイプ、あー、先生」

スネイプ「……」

ハニー「出来た、いいえ。出来ました。ここに……?」

スネイプ「……」

ハニー「……置いておくわ……それじゃ」

クルッ

パリーーンッ!

ハニー「!?」

スネイプ「おっと……フラスコが落ちてしまったようですな」

ハニー「……これ、今!私が、そこに置いて……」

スネイプ「おやおや、それは災難だ。ポッター、これではまた零点をつけざるを得まい……?」

ハニー「っ、いいわ!まだ、大鍋には……あっ」

ハーマイオニー「……あ、あぁ……ハニー、ご、ごめんなさい、あの……」

ロン「……マーリンの髭」

ネビル「! ハニー! 僕の薬を分けるよ!これを提出すれば――」

スネイプ「我輩の前で不正の提案とはいい度胸ですな、ロングボトム。罰則」

ネビル「明らかにわざと割ってハニーの点を下げた先生に言われたくないね本望だっ!!!!」

ロン「いいぞネビル!漢だ、漢だね君は!豚の中で!!」

206 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/27(月) 23:44:29.59 ID:htjJWHVn0

放課後

アンブリッジの部屋前

ハニー『……どこからも私、はみ出てないわよね。透明マントも、一人なら十分まだ大きいわ』

ハニー『パパの持ち物だった、この透明マント……』

ハニー『……わたしは、まだ、パパと似ていたいと思ってるのかしら』

ハニー『パパは酷い人だった、って……思ったままでいても、本当は何も問題ないわ』

ハニー『正直な話、夏まで待って、普通に会って、その時にシリウスに聞けばいいだけの話だもの』

ハニー『……でも、私は、わたしは今、知りたい』

ハニー『知りもしないのに、パパのことを蔑みたくない。分かりもしないのに、パパに憧れてちゃいけない』

ハニー『ちゃんと、聞かなきゃ……わたしが私であるために』

ハニー『……ダンブルドアは、私がこんなことで掴まったら。怒るかしらね』

ハニー『……その時は、勝手に行ってしまって何を言ってるのよ、って、言い返してあげましょう』

ハニー『……まもなく五時、ね』

ハニー『ロンとハーマイオニーは、グリフィンドール塔。フレッドとジョージにも、私にも、何も関係していないと思わせるために』

ハニー『私が掴まったら、巻き込みたくないもの』

ハニー『……大丈夫。大丈夫よ、わたし』

ハニー『……シリウスに会える、そう、思えば……』


バーーーーーンッ!!!!!
  キャァアアアアアア!!!
ワァアアーーーー!?!? ザワザワザワザワ


ハニー『! 始まったわ……あっ!』


ガチャッ!

アンブリッジ「何事!?また、あの馬鹿げた花火ですの!?まったく、まったく!!!!」

バタンッ、カチャカチャッ!

ボテッボテッボテッボテッ……

ハニー『……行ったわね。 シリウスのナイフを、扉の隙間にいれて……』

スーッ、ガチャッ

ハニー『……さっ、行くわよ。全部全部、確かめなくっちゃ』

207 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/27(月) 23:59:39.96 ID:htjJWHVn0

アンブリッジの部屋

ハニー「……『インセンディオ』」

パチッ ボォオオオオオオオッ!

ハニー「煙突飛行粉は、これね……っ」

パサッ……メラメラメラメラッ

ハニー「……炎が緑色に。これで、いいはずだわ。試したことはないけれど……これに頭だけいれれば、あっちの暖炉に私の、頭が」

ハニー「……慎重にやらないと。ロンは前に移動中のこれに腕を入れて……やめましょう。さぁ」

スッ……メラメラメラメラッ

ハニー「……『グリモールド・プレイス十二番地!』」

ボッ!

グルグルグルグルグルグルグルグルッ……




グリモールド・プレイス十二番地

リーマス「……こんなにも長い手紙……真剣なのは、分かるが……だが、私は彼女には……」

ポンッ

ハニー「……ケホッ、ケホッ……あぁ……リーマス?」

リーマス「……おや、どうやら私は……任務やらこの手紙のことやらで疲れすぎてるらしい。まさか幻覚を見るなんてね……しかも、ハニーの。ははは……これは、彼を笑えない……」

ハニー「リーマス、私よ! 幻覚じゃないわ! それは、私は夢のような美しさでしょうけれど」

リーマス「……君の守護霊はなんだ?」

ハニー「パパよ! そのことで、話があるの! シリウスもいてほしいのだけれど……」

リーマス「……何がなんだか。待っていなさい、今クリーチャーを探しに屋根裏部屋に行ってるんだ。連れて――」

バターーーーーンッ!!!!!

リーマス「――くる必要はなかったようだ」

シリウス「今ハニーの声が聞こえた気がするがこれは私の幻聴か!?それとも鏡をここに起きっぱなしだったか!?え!?」

リーマス「どちらでもないがまずは落ち着くんだ」

ハニー「シリウス!!!」

シリウス「……夢か!?」

リーマス「頭の痛さは悪夢のようだけどね……ハニー、何があったんだい?」

シリウス「あぁ――どうした?助けが必要なのか、ハニー!? すぐにそこへ向かおう、少しつめてくれ」

ハニー「ち、違うの。それはもう望むところだけれど……いいえ、あの。私、話がしたくって……」

ハニー「……パパの、ことで」


209 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/28(火) 00:26:02.56 ID:SLZ12aUm0








リーマス「……」

シリウス「……」

ハニー「……教えて欲しいの。本当のパパが、どんな人だった、のか。私が見た記憶じゃ……その」

リーマス「ハニー、そこで見たことだけで君のお父さんを判断しないであげてほしい。彼はまだ十五歳だったんだ」

ハニー「私だって、十五だわ!」

シリウス「あぁ、分かってる。だがね、ハニー。これだけは分かっていてほしいのだが……ジェームズとスネイプは初めて出会った瞬間から馬が合わなかった。そういう相手がいることは、君も分かるね?」

ハニー「……」

シリウス「それでも、最初は少しからかう程度のものだった。奴とは寮も違ったし、普通にしていればそれほど関わることもない――だが、まぁ」

リーマス「……二人は学校生活を送るにつれ、益々憎しみを大きくしていったんだ。ジェームズは何でも出来た。それを褒め称える者もいれば――妬み、やっかみ、本当の彼はとんでもない奴だと糾弾する者もいる。スネイプが、そうだった」

リーマス「対してスネイプは、闇の魔術にどっぷり浸かった偏屈な奴だと知れ渡りはじめた――入学した頃には上級生の多くより呪いを知っていた。これは前にも話したね?」

シリウス「ハニー、君の目にはどう映っていたにせよ。ジェームズはどんなときも闇の魔術を憎んでいた。それはヴォルデモートを前にしても変わらない、強い想いで……」

ハニー「でも、でも! その時、パパがスネイプを攻撃したのは……シリウスが、『退屈だ』って、言ったからだわ!それじゃ、そんなの――いくら相手が憎むべき人だからって、なんでもしていいってわけじゃ!」

リーマス「……リリーも同じことを言っていたね、あぁ」

シリウス「……自慢にはならないな、うん。私達は若く、退屈を何より嫌ってた」

ハニー「っ、私だって、退屈はきらいよ!でも、その時は何もしていないスネイプに――」

リーマス「……ハニー。こう言ってはなんだが……本当にハッキリと、私達の声が聞こえていたんだね?」

ハニー「! ほんとよ!全部、全部!だから、こうして……!」

リーマス「いや、いいんだ。分かっている、確認しただけだ……おかしいと思わないかい?」

ハニー「?」

リーマス「どうして、スネイプの『記憶』に。本来ならそれなりに距離が離れていたはずの私達の声が残されているのか」

ハニー「……少し、だけ」

シリウス「……あいつは、盗み聞きしていたのか? 趣味の悪い呪文を使って?」

リーマス「そうでなければ、説明がつかない。ハニーが見たのは『スネイプの記憶』なんだ……ジェームズがそれに気づいた上で、私達のことをこそこそと探るスネイプに――あぁ」

ハニー「……」

リーマス「……分かるよ、それでも、やりすぎだ。君のお父さんと、ここにいる今はまるでアレな犬も、当時は何でも出来る学校中の人気者だったんだ。二人が少々いい気になっていた、それは否定しない」

シリウス「……僕らが傲慢で嫌なガキだった、と言いたいんだろう?え?」

リーマス「あぁ、本当にね。だが君たちだけじゃない、私も、あのネズミもだ。私達はみんないい気になっていた――スネイプが嗅ぎ回るところで、彼じゃなくとも誰かに聞かれてもおかしくないところで、あんな会話を堂々としていたのだから」

ハニー「……」

218 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/28(火) 00:55:26.42 ID:SLZ12aUm0

ハニー「パパは――ちょっとバカをしていた。そういうこと?」

シリウス「あぁ、当然あいつはちょっとバカをやった。私達みんな――まぁ、そうは言っても。ムーニー、君はそれほどじゃなかっただろう?」

リーマス「いいや、私もバカだったんだ。一度でもスネイプにかまうのはよせ、と言えたか?君たちのやり方はよくないと言う勇気があったか……?」

シリウス「いいや。ただ、君は時々僕らがやってることを恥ずかしいと思わせてくれた。あぁ、それが大事だった。リリーと同じくな」

ハニー「……この際だから、言ってしまうわ。ママは……ママは本心から、パパと結婚したの?」

リーマス「……ハニー、あれを見ても分からなかったかい?あー、君は、そうだな。割とそういうことには聡い方だと」

ハニー「違うの!えっと、あんな状態のパパとそういう関係になるのは、ママは耐えられないんじゃ、って」

シリウス「あぁ、ジェームズは七年生になると落ち着きだした」

リーマス「高慢ちきが治って、面白半分に呪いをかけるようなことはしなくなった」

シリウス「……もちろん、それさえ治ってしまえばジェームズが理想の男だった、とは言えない」

リーマス「彼はあの時代、そして今でも最悪の闇の魔法使いとして猛威を振るっていたヴォルデモートに反抗していたんだ。言っている意味が分かるかい、ハニー」

ハニー「……」

リーマス「正直に言おう。闇の魔術に傾倒する人間も、わざわざヴォルデモートに反抗する人間も。私達が卒業する頃には『狂ってる』という扱いだった」

シリウス「『勇敢なのと無謀なのは違う!』、行動しない人間の逃げ文句だ……そんなジェームズを、リリーは支えた」

ハニー「……」

リーマス「彼女の愛情を軽んじないでほしい。ハニー、大丈夫だ。君は二人の愛の下で生まれたよ。これは保障する。何せ私達は連日糖蜜パイを吐かされる気分だったのだから」

シリウス「あぁ、全く。僕ときたら骨でも噛んでいないと歯がボロボロになるところだった……だから、ハニー」

ハニー「っ、ぅっ、うんっ」

シリウス「……泣かないでくれ。君は笑顔の方がずっとずっと可愛い」

リーマス「……糖蜜パイが出そうだよ、あぁ」

221 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/28(火) 01:26:29.53 ID:SLZ12aUm0

ハニー「ぐすっ、っ、ママと付き合う頃には……パパは、スネイプに攻撃するのはやめたの?」

シリウス「……その記憶では、私達が一方的に奴をいたぶっていたそうだが。いいかい、ハニー。これは言い訳だが、スネイプの方からジェームズに仕掛けることも多かったんだ。その上で、あー……」

リーマス「……残念ながら、スネイプの方にはむしろ仕掛ける最大の理由が出来てしまったし……いや、それはいいんだ。あぁ、スネイプにやられっぱなしと言うわけにはいかない。ジェームズは、彼にだけはし返したよ」

ハニー「……ママは、そのことは」

シリウス「知らない……はずだ」

リーマス「どうだかね……ハニー、やっぱりまだジェームズが、その、なんだ。クズだと思うかい?」

ハニー「……事情は分かったわ。やりすぎたことを、若かったから、で済ませるのはどうかと思うけれど」

シリウス「……すいません」

リーマス「……ぐうの音も出ません」

ハニー「……驚いたの。まさか、スネイプに同情するようなことがあるなんて……考えもしなかったから」

シリウス「……君は優しいな。あぁ、君のような者が多かったら、私やあいつもあんな真似はしなかったんだろう」

リーマス「人は変われるんだ、ハニー。心を入れ替えることは不可能じゃない。それで、全てが許されるわけじゃない。けど、どこかで折り合いをつけなくてはいけない」

ハニー「……」

224 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/28(火) 01:41:20.59 ID:SLZ12aUm0

シリウス「……ジェームズはいい奴だった。確かにバカをしたし、とんでもないクズだった。思い上がっていた。私も同じくね」

リーマス「だが、ハニー。私にとっては二人とも紛れもない恩人だし、親友だ。私たちからいえるのは、それだけだよ」

ハニー「……えぇ、分かったわ。パパのやっていたことは、許されないと思う。けれど――それだけがパパの全てじゃない」

リーマス「あぁ。スネイプだってそうだ。彼とは色々とあったが、私は今や信用に足る人物だと思ってる。ダンブルドアもそうお思いだろう」

シリウス「……そういえば、全て見られた後のスネイプはどうだった?何かされなかったか?」

ハニー「えぇ、何も……あー、ゴキブリの瓶を投げつけられたりしたけれど」

シリウス「やはりそっちに行こう、奴と話す」

リーマス「落ち着くんだ。あぁ、それはそうだろう。むしろよく杖を上げなかったと少し感心する……」

ハニー「それに、私と二度と顔を合わせたくない、って。だから、『閉心術』の訓練はあれから一度も。きっと今後も、だけれど――」

シリウス「あいつが……なんだと!?」

ハニー「えっ? あー、そうね。それがまるでがっかりすることだとでも――」

リーマス「ハニー、本当か?あいつは君の訓練をやめたのか?」

ハニー「え、えぇ。だけど、問題ないと思うわ。あれから、危険な夢なんて――」

シリウス「ハニー、退いてくれ!そちらへ行って、奴と話す!!あいつめ、あの――」

リーマス「パッドフット、落ち着くんだ!お座り!」

シリウス「やめろ!!」

228 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/28(火) 02:01:16.55 ID:SLZ12aUm0

シリウス「じゃぁどうしろと言うんだ!?誰かがあいつに言わないといけないだろう!?」

リーマス「あぁ、それを言うのは私しかいない! ハニー、君はなんとしても訓練を再開しないといけない」

ハニー「えぇっと、けれど……」

リーマス「私は今学期の始めに君に言ったはずだ、忘れていないね?」

ハニー「……それは、もちろん」

リーマス「じゃぁもう一度約束してくれ。私からもスネイプには話をつける。君も、スネイプに言うんだ。訓練はやめるわけにはいかないと」

ハニー「……でも」

リーマス「でも、じゃない!ハニー!!」

シリウス「ムーニー!そんな言い方はよせ――」

リーマス「いいや、今は言わせてもらう!僕が黙ることで事態を重くするわけにはいかない、もう二度とだ!」

リーマス「ハニー、君が『閉心術』を身につけることは何よりも大切なことなんだ!いいかい、何よりも、だ!」

ハニー「……うん」

リーマス「……分かってくれ。正直……スネイプが訓練を放棄したとなると……彼の身も危ない」

ハニー「……?」

シリウス「……ダンブルドアが怒り狂うな」

ハニー「……それで出てくるなら、とも思うけれど。分かった、約束するわ。私からも、お願いしてあげ、お願いする。けれど、期待しないで。スネイプは、本当に怒っていたもの……あら?」

ドタドタドタドタドタッ!

ハニー「……クリーチャーが、降りてくる音?」

リーマス「……いや」

シリウス「……君の方から、聞こえるようだが」

ハニー「!? 私、戻らなくっちゃ――二人とも、ありがとう!また――夏にっ!」

ポンッ!

リーマス「……無事だといいが」

シリウス「……」

リーマス「……どうしたんだい?」

シリウス「……よりによって、よりによってな頃を見られたものだ、とね」

リーマス「おや。いいじゃないか、嫌われて。そうだな、本当に君達は根っからのクズだった、と言っても良かったんじゃないか?」

シリウス「……嫌われたいわけじゃない」

リーマス「君の色恋ざたっていうのは、何年経ってもイライラさせられるね。パッドフット」

シリウス「そっちこそ、ムーニー」

231 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/28(火) 02:10:46.47 ID:SLZ12aUm0

アンブリッジの部屋

ハニー「っ、ふぅ。戻ってこれた……首、繋がってる、わよね」

ハニー「……じゃなくって! マントを……っ!」

バサッ

ガチャッ!バーーーンッ!

フィルチ「あぁ、先生は鍵もかけず!いいや、それはいいんだ。急げ、急げ!下から二番目の引き出し、先生はそうおっしゃっていた……!」

ハニー『……フィルチ?なぁに、この、嬉しくてたまらないって顔は……』

ガタガタッ ガサゴソ

フィルチ「鞭打ち許可証、鞭打ち許可証……!とうとうその日がきた! あいつらはずっと前からそうされるべきだった!」

ハニー『……鞭打ち、許可証?」

フィルチ「あったっ!あぁ、愛しい許可証!ん〜〜っまっ!」

ハニー『……書類にキスしてるわ。あれで、何を……鞭打ち……まさか!』

フィルチ「さぁ急げ、急げ!玄関ホールだ、鞭打ちだ!腕がなる!腕が鳴るぞ!」

ドタバタドタバタ……!

ハニー『……フレッド……ジョージ……!?」

234 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/28(火) 02:29:17.40 ID:SLZ12aUm0

玄関ホール

ザワザワザワザワザワ

アンブリッジ「さぁ――観念なさい、ウィーズリーズ!」

フレッド「そうだな女蛙。そこの親衛隊さんたちの殆どに『臭液』を浴びせってやったことだし、そろそろか」

ジョージ「提供者のミスター・ほら貝にはあつい御礼を申し上げるぜ、直接会ってやれないのが残念だけどね」

アンブリッジ「御託はよろしい」


ハニー「っはぁ、はぁ、っ! 二人が、アンブリッジ……それに、親衛隊の輪の中に、追い詰められてる……!あぁ、なんてこと……!」


アンブリッジ「それじゃ、あなたたちは。学校の廊下を沼地に変えるのが面白いことだと思っているのですわね?」

フレッド「あぁ、面白いね。相当に、あんたの顔面と体型くらい」

ジョージ「感謝してくれよな。あんたの住処が増えたじゃないか」

アンブリッジ「お黙りなさい! あぁ、アーガス。持ってきまして?」

フィルチ「あぁ、先生――!ここに、ここに!」

アンブリッジ「はいよろしい――なんだかベタベタするのが気になりますが」

フレッド「てめぇの脂だろうが女蛙」

ジョージ「常に垂れ流してるもんな」

アンブリッジ「お黙り!  と、言うまでもありませんわ。アーガス、持ってきていますのね?」

フィルチ「はい、先生!あぁ、この日を夢見て毎晩手入れをしておりました!」ビュンッ!バチンッ!!!

アンブリッジ「いいでしょう。そこの二人。今からわたくしの学校で悪事を働けばどうなるか、思い知らせてあげますわ」

フレッド「ところがどっこい」

ジョージ「思い知らないねぇ」

フレッド「なーにがわたくしの学校だよ、全く」

ジョージ「そうそ、お前なんて沼地でゲコゲコしてるのがお似合いさ」

アンブリッジ「この……!」


ハニー「フレッド!ジョージ!」


フレッド「おっと、グリフィンドールの女王様――一つだけ質問しようかな」

ジョージ「僕らは君の豚じゃないけど――一度ヒンヒン、鳴いてもいいか?」


ハニー「っ……えぇ……鳴かせて、あげる!!」



フレッジョ「「ヒンヒン!(オーケー、ハニー。君が上手くやれたなら、僕らは本望だ)」」


ハニー「っ……二人、とも……」

241 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/28(火) 02:57:44.51 ID:SLZ12aUm0

アンブリッジ「なにを、勝手なことを――」

フレッド「なぁ、ジョージ、俺達はどうやら学生家業を卒業しちまったな?」

ジョージ「あぁ、フレッド。俺もずーっとそんな気がしてたよ、実を言えば」

フレッド「俺達の才能を、世の中で試す時がきた。そういうことかい?」

ジョージ「全くだ。俺達で笑わせてやろうじゃぁないか。世界ごとな!」

アンブリッジ「この――」


フレッド「アクシオ!俺達の箒よ、こい!」

ジョージ「アクシオ!トランクよ、こい!」


アンブリッジ「んな……ぎゃぁああ!?」

ビュンッ!!

フィルチ「あぁ、校長……うわぁああ!!」

ドターーン!


フレッド「流石は俺達の持ち物だ。どういう登場をすればいいかわかってやがる」

ジョージ「あの二人をなぎ倒して推参仕るとは、飼い主に似るたぁこのことだな」


ヒラリ

フレッド「さてと。またお会いすることもないでしょう、アンブリッジ校長先生様様」

ジョージ「あぁ、お便りも下さいますな。こっちからは大いに送らせてもらうけどね」

フレッド「さてさてお集まりの皆々様方、上の階で実演した『携帯沼地』をお買い求めになりたいならば」

ジョージ「我らが新店舗、『ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ』ダイアゴン横丁店へどうぞお越しを」

フレッド「我々の商品を、この老いぼれババァ蛙を追い出すために使うと誓ったホグワーツ生には」

ジョージ「全商品を特別価格にてお売りいたします!皆様どうぞ、ダイアゴン九十三番地まで!!」

ザワザワザワザワガヤガヤガヤガヤ
 いいぞいいぞーーーーー!!
ふとっぱらーーーーー!

アンブリッジ「この!!何をしてるの、親衛隊!捕まえなさーーーーいっ!!!」


フレッド「さーてと。そんじゃ、おさらばする前に。ヘイヘイ、アーガス!」

ジョージ「お前さんに一つ質問だ。何かお忘れじゃございませんか、ってね」


フィルチ「待て!待て!忘れてる!?それは、お前たちへの鞭打ちだ!!!」


フレッド「おーいおい、このじーさんすっかりボケっちまってるなぁ、おかわいそうに!」

ジョージ「あんたは僕らの前に随分とてこずった奴がいたろ?本当に覚えていないのかい」

トランク ガタガタガタガタッ

フィルチ「なん――な、まさ、まさか……いや、あいつは、消えたはず。そうだ、ずっと前に――」

アンブリッジ「あ、アーガス?何を言っていますの!早く、あいつらを!」

フレッド「おいおい老いぼれババァカエル、あんたも知ってるはずだぜ?え?」

ジョージ「あんたが学生の頃と比べて、何か足りない騒動の源はないか?え?」


ハニー「……?」

244 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/28(火) 03:02:32.20 ID:SLZ12aUm0

フレッド「七年前!そう、僕らが入学したての青二才だった頃!悪戯番長はあいつのものだった!」

ジョージ「僕らは我慢がならなかった!そんで、まぁ。捕まえて、押し込んでやったのさ!ここに」

トランク ガタガタガタガゴトゴトゴトゴト!


フィルチ「うわ――い、いやだ、いやだ!」


フレッド「こいつの発想はえげつなくてね!何度も僕らの生み出す無限の悪戯を手助けしてくれた!」

ジョージ「でもま、こいつはこの城の物さ。名残惜しいが、置いていくのが筋ってものだろう?え?」


フィルチ「いや、いい!!!やめろ!!!いやだ!!!!そいつは、見たくない!!!やめ――」



バカッ!!!



フレッド「あーばよっ!ポルターガイストの――ピーブズ!!!」

ジョージ「僕らに代わって城中を!混沌まみれにしてやがれ!!」



ピーブズ「イーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッヤハーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

パリィイイイイイイイイイイ!!!

 ガシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!

ウワアアアアアアアアアアアアアア!?!?
 キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!

250 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/28(火) 03:20:52.49 ID:SLZ12aUm0

ハニー「!?な、なに、あれ! あれ――飾りのついた帽子をかぶった……ご、ゴースト?」

ピーブズ「ノーーーーーーンノンノンノンげははははははははあーーーーっひゃははははは!!!!」

ピーブズ「おいおいお嬢さん!!!俺をそんじょそこらの透明お間抜け底抜け足なしどもと一緒にしないでおくれよあっひゃははああああああ!!」

ハニー「きゃっ!?ち、近いわよ!!」

ピーブズ「おぉお!?おおっとその傷!あんたポッターだ!知ってるぜポッティちゃん!ぽっつんぽっちりひーとりぼっちのポッティちゃんよぉ!」

ハニー「っ、別に、今は一人だけれど――」

ピーブズ「あっひゃははははうへへへコエーかいほーーーーれホレホレホレーーーーー!!変な動きだぞーーーー嗚呼ーーーーーっははははははぁああああああああああああ!!」

ハニー「なっ、きもちわる、この、へ、変態!!」

ピーブズ「ぐふぃふぃふぃふぃふぃふぃふぃふぃ!!!褒め言葉だなアーーーーリがっとよぉおおおおおおおおおおおおおお!!」

ピーブズ「シャバだシャバだシャバダバうははははははは!!!!先ずはぁああああっはぁああああ!!ステンドグラス全壊ィィいいいいいっひはああああああああああああ!!」

ガシャアアアアアアアアアアアアアアアン!
  キャアアアアアアアア!!

フィルチ「あぁああああ!!げ、玄関ホールの――」

ピーブズ「松明バサァアアアアアアアアアア!!!!」

ブンッ! ボォオオッ!ボォオオッ!!
  ウワアァアアアアアアアア!!

アンブリッジ「や、やめなさ――」


ピーブズ「その火の中にフィルチの事務所につまれまくってた書類バサァアアアアアアアア!!」

メラメラメラメラメラ!

フィルチ「やmどっからどうやってぇえええ!?!?」

ピーブズ「細けぇことは気にするなばあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああか!!あーーーーーーほ!間抜け!お前の父ちゃんにーーーんげーーーーーん!!そっちのあんたはカエルかなんかだぼぉおおおおおけ!!!」

ピーブズ「あっひゃはははははは!!!!!締めはこいつだ!!!!!」


ピーブズ「まず、熱いお湯を用意します」シュンシュンシュンシュンシュン

フィルチ「!?」

アンブリッジ「!?」


ハニー「どっからヤカンを……いいえ、もう、そういう話じゃないわね……」

257 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/28(火) 03:39:25.35 ID:SLZ12aUm0

ピーブズ「フィルターは、そうですね。どうせぶっ掛けるだけなんですからキッチンペーパーで。はぶけるところは省いちゃいましょう」

アンブリッジ「くっ、ふぃ、フィルチ!捕まえなさい!はやく!今なにか不吉な単語が聞こえましたわ!」

フィルチ「で、ですが校長、あいつ、手の届かないギリギリの中空で、おい、こ、この!」

ピーブズ「アホのフィルチのアホ丸出しな顔とアホな言葉はアホアホしいのでシカトしますこのアホ」

ピーブズ「そしてカエルはうるさいので沼に帰れ」

アンブリッジ「こ、このゴースト崩れ――」

ピーブズ「ゴーストじゃねぇとついさっき言ったのに学習能力低いアホカエルはシカトして。豆、豆はこのホグズミートで一番安いお徳用の豆を。アホにかけるにはこれくらいで十分ですアホなので」

ピーブズ「そしてゆっくりお湯をそそいでいって……」コポコポコポコポ……

フィルチ「降りて、降りて来いこの、いや、こ、こなくていい!もう関わりたくない!帰りたい!」

ピーブズ「いやぁアホのフィルチさん、久しぶりの再会じゃねぇか一杯付き合えよ。これから一杯相手してもらうけどよぉ。よーし、淹れた淹れた、なみなみと」コポコポコポコポ……カチャッ

アンブリッジ「上等ですわ!わたくしが、あなたなんぞ!魔法省の権限も駆使して、退治て――」

ピーブズ「ごちゃごちゃうるっせぇえええええええええええ!!そぉぉぉぉぉぉぉおおおおおい!!!」バッシャァァァァァ

アンブリッジ・フィルチ「「あっつぁあああああああああああああぁぁああああ!?!?!?」」

いったああああああああ!!
 いいぞいいぞーーーーーー!!!


フレッド「そんじゃ、校長に管理人さん。今後とも幸あらんことを」

ジョージ「どうか、願わくば過労死する前にお辞めにならんことを」


フレッジョ「「じゃあの!」」

ビュンッ! サッ……

ワアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
 ウィーズリー!ウィーズリー!ウィーズリーーーーー!

ブォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォオオオオオオ!!

ハニー「……ふふっ。寂しくなるけれど……騒がしくなりそうね、ほんと」




ピーブズ「いぇええええええええええええええええあっひゃひゃひゃあああああああああああ!!よーーーし!!フィルチの猫で三角ベースやろうぜえええええええええぐっふぃふぃふぃいいいいいいい!!」

フィルチ「やめてぇえええええーーーーーーー!!!」

283 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/28(火) 16:18:41.82 ID:SLZ12aUm0

数日後

ボーーン!

親衛隊「あ、アンブリッジ校長!二階で大量のクソ爆弾が!」

アンブリッジ「またですの!? 今すぐ行きますわ――」





ボーーーーンッ!!

親衛隊「あ、アンブリッジ校長先生!こんどは『臭い玉』です!」

アンブリッジ「〜〜〜っ!なんとしてでも犯人を捕まえなさいっ!わたくしは――あぁ、また」  ボーーーンッ!





アンブリッジ「や、やっと部屋に戻れますわ――ぎゃぁああ!!!」

二フラー「ガジガジガジガジガジッ」

アンブリッジ「な、なんてこと、なんてことですのこの獣!わたくしの部屋が滅茶苦茶に!!!!あぁあああ!ゆ、指輪に噛み付かないでぇええ!!」





ビーブズ「あーーーーーーーーーーひゃははははぁーーーーーーーっ!!!!」

パリィイイイン!! ガシャァアアアアアン!!
 バリバリバリバリバリッ! バサァアアアアアアア!!

親衛隊1「せ、先生!ピーブズが甲冑を!」
 親衛隊2「先生!ピーブズが地下教室中の蝋燭を!!」
親衛隊3「ピーブズが花瓶を!」 親衛隊フォイ「困るフォイ!」
 親衛隊5「三階が水浸しに!」  親衛隊6「生徒の羊皮紙の山が暖炉に!」

アンブリッジ「あの、ゴースト崩れ!!一体どこn」ビーブズ「後ろだ」

アンブリッジ「!?」 クルッ! ミ_

アンブリッジ「あ、あら?今、まるで真後ろから聞こえたように……考えすぎですわね」 サッ ピーブズ「……」

アンブリッジ「さて、では――」ピーブズ「ハエが食べたいゲコ!持ってくるゲコー!」

アンブリッジ「〜〜〜〜〜っ、このぉおおおおお!!」 ピーブズ「ワイはゲコや!反吐顔面ゲコや!!」

アンブリッジ「黙りなさいっ!!!この!!出て行け!!うせろ!!!」ピーブズ「ベロベロバーッ!ゲロゲロバァさんへのかーっぱーーっ!!」

アンブリッジ「むきぃいいいいいいい!!!」ピーブズ「キモイので地団駄踏むのやめてくださーぁい」





朝食 大広間

アンブリッジ「……」


ハニー「……痩せたわね、アンブリッジ」

ロン「あれから城中駆けずり回ってりゃそうかもね、あぁ。君のために東奔西走するのは豚のライフワークだけどね」

ハニー「えぇ、そうね。私のために縦横無尽に駆け回りなさい」

ハーマイオニー「フレッド・ジョージの商売は順調のようで、なによりね、ええ」

ロン「派手に出て行ってくれたしね。今のここでの流行語知ってるかい?『ハニーは女神』と『ヒンヒン』以外で」

ハーマイオニー「『ウィーズリーする』でしょ? 平たく言えば学校をやめるということだから、本気で言ってる人はいないでしょうけど。まったく」

ハニー「色んな意味で憧れになったわね、あの二人。ふふっ」

288 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/28(火) 16:47:09.33 ID:SLZ12aUm0

玄関ホール

ハニー「このあたりの惨状はすぐに戻ったわね……二人が沼地にした東塔の六階の廊下は、未だにそのままだったかしら」

ロン「あぁ、フィルチの野郎が渡し舟で運ぶ仕事をしてるよ。おかげで用もないのにそこを通ってこき使う奴が増えたけど」

ハニー「やっぱりあれも、きっとマクゴナガルやフリットウィックなら簡単に消せるんでしょうけれど……」

ハーマイオニー「わざと放っておいているんでしょうね。あの花火の時同じで……いい先生方だわ」

ロン「嫌味抜きにね。アンブリッジに手を貸すくらいなら、格闘してるのを眺めてるほうがマシだもんなぁ」

マクゴナガル「人聞きの悪いことを言うんではありません、ウィーズリー。私もあの沼には困っているのです。いるのですとも」

ロン「はいせんせー」

マクゴナガル「よろしい。ポッター、探しましたよ。あなたの『進路指導』は本日二時からです。忘れないように」

ハニー「えぇ、先生。うかがうわ」

マクゴナガル「結構……おや」

ピーブズ「えいっ!こんにゃろ!ぬけろ!このっ!」

ハーマイオニー「あぁ……ピーブズが、天井のクリスタルシャンデリアを外そうとしてるわ」

マクゴナガル「これは世間話ですが、三人とも。私は歳でして、最近首が上がりません」

ハニー「……はい先生」

マクゴナガル「ですので、私には自分の目線より上でおきていることは目に入っておりません。いいですね?」

ロン「はいせんせー」

マクゴナガル「それで、ミス・グレンジャー?今、シャンデリアがどう、とか?」

ハーマイオニー「はい、先生」

マクゴナガル「ホグワーツの歴史に興味がおありのあなたにはお教えしましょう。あれは――時計回りに回せば外れる!!!!――のですよ。勉強になりましたね?」


ピーブズ「! よっしゃぁあああああ! あーーーーんがとよ、にゃんころ!!!うひゃっはははははぁあああああ!!」


マクゴナガル「……? 今何か、聞こえましたか?」

ハニー「いいえ、先生」

ガシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!
 きやぁあああああああああああああ!?!?!?

ハニー「大広間からの騒音と、誰かの悲鳴で。全然」

マクゴナガル「物騒なこともあるものです、あなたがたもお気をつけなさい。いいですね」

289 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/28(火) 17:04:24.60 ID:SLZ12aUm0

ハニー「廊下を移動中は『あぶく頭』をつけるのが主流になったわね」

ハーマイオニー「そこら中で『クソ爆弾』やら『臭い玉』やらが破裂していたら、それはね……一応新鮮な空気が保たれるわ」

ロン「ハニーの吐息は死の縁にいる豚だってよみがえらせるけどね。破裂してんのは、あと、親衛隊の野郎共か」

ハーマイオニー「嫌な表現はやめて……まぁ、あの連中におかしなことが次々起こっているのは本当だけど」

ハニー「パンジー・パーキンソンはパグの耳が生えたわね」

ロン「似合いすぎてもう腹筋クルーシオだったよな、あぁ。ワリントンは顔面にコーンフレークをぶちまけたみたいになってたし」

ハーマイオニー「マルフォイは、最近じゃ腰巾着のクラッブ・ゴイルから益々離れないわ。それでもなんでもないところでこけたりしているようだけど」

ロン「君って、『足縛り』も得意だったんだな」

ハーマイオニー「割とね。なんのことかしら。さっぱりだわ……変なことになるといえば……アンブリッジの授業でのあれ、もうやめてくれないかしら」

ハニー「……『アンブリッジ炎』ね」

ロン「アンブリッジが教室に入った瞬間、嘔吐、鼻血、熱発、気絶その他症状が突然起こる恐怖の病気、『アンブリッジ炎』……おっそろしいよな、あぁ」

ハーマイオニー「フレッド・ジョージのマーケティングがね……いくらアレの授業だからといって、『ずる休み』なんて!」

ロン「あの授業受けるよりよっぽど有意義じゃないか。あーぁ、ほんと。二人の商売は順風満帆だろうなぁ……ところでさ、ハニー」

ハニー「ええ、なぁに?」

ロン「そろそろママがうるさく探ってきそうだから、二人がダイアゴンに店を構えられるくらいの資金があったのはダグに協力したとかなんとかじゃなくって、君から『三大』の賞金を貰ったんだ、ってこと。話してもいいかい?」

ハニー「えぇ、そうしなさい――やっぱり分かってたのね、あなた」

ロン「そりゃぁね。僕は君の一番の豚だし、なにより君って言ってしまえばこの城で一番分かりやすい……」

ハニー「ロン」

ロン「ヒンヒン!なんだいハニー!」

ハニー「その頭にかぶっている金魚鉢じょうの膜、今日一日つけていなかったら、どうなるのかしら」

291 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/28(火) 17:15:21.78 ID:SLZ12aUm0

ロン「〜〜〜〜〜〜」

ハーマイオニー「そういえば、ハニー。スネイプのところへは、もう行ったの?」

ハニー「……それは、あの授業は必修ですものね、えぇ」

ロン「〜〜〜〜〜〜」

ハーマイオニー「そういうことではなくって……リーマスと約束したんでしょ?」

ハニー「……分かってるわ。分かってる……それじゃ、何と言えっていうの?」

ロン「〜〜〜〜〜〜」

ハニー「パパはクズだったけれど、あなたが全面的に被害者だったというのも違う気がする。けれどあんな目に合った気分にはとても同情するので、水に流して訓練を続けて頂戴。こう?」

ハーマイオニー「わざと煽るなら行かないほうがマシよ……訓練はしなきゃ。あなた、昨日も夢を見ていたでしょ?」

ハニー「……さあ、なんのことかしら」

ハーマイオニー「とぼけないの。耳元で聞いてるんだから。『もうちょっと、もうちょっと』って。あと、『九十七列目』とか……きゃぁ!?」

ハニー「えぇ、そうね。あなたにもうちょっとで触れられるのに、焦らされる夢だったの。今、ここで、現実にしてしまいましょう?ハーマイオニー……?」

ハーマイオニー「あっ、ハニー、そんな、夢、夢だなんて、わた、私は、『神秘部の扉』みたいにあなたを拒むようなことできないって、わかってる、くせに……」


ネビル「つづけて!   あれ?  ろ、ロン、ローーーーーーーン!?なんであぶく頭をとってるの!?い、いや、今更君が息ができないくらいで倒れるなんて逆に意外だけど、ろ、ローーーーーーーーン!!!」

ロン「ど、っ、ぅぞ……」

293 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/28(火) 17:38:58.13 ID:SLZ12aUm0

二時

マクゴナガルの部屋

コンコンッ

マクゴナガル「お入りなさい」

ガチャッ

ハニー「ごきげんよう、先生――あら」

アンブリッジ「エヘンッ、エヘンッ!」

ハニー「……校長先生は、あー、どうしてこちらに?」

アンブリッジ「あーら、生徒の今後ついて把握しておくのは当然の権利ですわ、ミス・ポッター?」

マクゴナガル「……いない者として」

ハニー「……はい、先生」

アンブリッジ「何か失礼な言葉が聞こえましたわ!!」

マクゴナガル「オホン。ポッター、この面接はあなたの進路に関して話し合い、私が六年目、七年目でどの学科を継続するべきか指導するためのものです」

ハニー「継続……授業を減らすことが、できるの?先生」

マクゴナガル「えぇ。六年目からの授業は格段に難しくなるので、将来に関わらない授業はNEWT試験まで無理をして受ける必要はないですから。どうです、ポッター。卒業後、何をしたいか考えた事はおありですか?」

ハニー「……えぇっと。やりたいこと、はあるのですけれど……先生」

マクゴナガル「なんです?」

ハニー「……あの、お耳を」

マクゴナガル「あぁ、いいでしょう――ふんふん、ふん」

アンブリッジ「エヘンッ!エヘンッ!!! 校長の前でナイショ話とはなんですの!!!!!教えなさい!!!ポッターは卒業後何をしでかすおつもりですの!?!?」

マクゴナガル「何の話ですか、ドローレス。さて、ポッター。その夢は大変素晴らしい。あなたらしいと言えるでしょう」

アンブリッジ「やっぱりそうじゃないですの!!」

マクゴナガル「ですが、何はともあれ一度は定収入を得られる職に着いた方が良いでしょう。あなたのそれは、まずは趣味の範囲でどこまでやれるものかお試しなさい。いいですか、何もこれは反対しているわけではありません」

ハニー「……はい、先生。けれど、私、あまり……向いている職業、というのは、考えた事……」

マクゴナガル「ある人からの推薦ですが。あなたは『闇払い』を目指してはどうか、と、話したことがあります。どうです?」

ハニー「や、闇払い!?」

アンブリッジ「エヘンッ!エヘンッ!」

マクゴナガル「えぇ、そうです。あなたの土壇場での気転やこれまで成してきたことなど、高く評価されていました。あの物騒な隻眼は」

ハニー「そ、そう……私が評価されるのは、当然だけれど……闇払い……私が……?」

アンブリッジ「エヘンッ!!!エヘンッッ!!!エフ、ゴホッ、ゴホッゴホッ!!ウゴホッ!!!」

297 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/28(火) 18:09:41.47 ID:SLZ12aUm0

マクゴナガル「参考までにお聞きなさい。無理にそれを目指さなくてもよろしい。幸いあなたの成績ならば、そこから後に他の職業を目指しても大概修正が効きます」

ハニー「あー、それじゃぁ……教えていただけるかしら、先生」

マクゴナガル「えぇ――最低でも五科目で『E・期待以上』の成績を取る必要があります。その後、闇払い本部で一連の厳しい性格・適性テストをパスした最高の者しか採用はされません」

ハニー「……」

マクゴナガル「実際、この三年間は一人も採用されていないと記憶しています――それがあのトンクスだと思うと少し疑問が残りますが」

ハニー「軽いけれどやっぱり優秀なのね、トンクス……必要な科目、というのは」

マクゴナガル「当然、『闇の魔術に対する防衛術』、それに贔屓はなしにしても『変身術』をお勧めします。仕事上、闇払いは変身したりまたそれを解いたりしなくてはならない事態が多々あります――」

アンブリッジ「エヘンッ!」

マクゴナガル「ポッター。あなたの今のところの私での授業評価は概ね高評価ですが、時折、実技に不安があります。変化を恐れない、これを忘れないように」

ハニー「はい、先生」

マクゴナガル「それと、『呪文学』……こちらもほとんど問題ないようです。一部の呪文に関しては苦手意識があるようですが、と。自覚はおありですか?」

ハニー「……割と」

マクゴナガル「それではその呪文をしっかり復習なさい。『O・優』でもおかしくないでしょう……そして一番の問題は、ポッター。『魔法薬学』で――」

ハニー「先生、やっぱり私闇払いはやめた方がいいと――」

マクゴナガル「諦めるのではありません!あなたらしくもない!それに、薬や解毒剤の知識はどんな職につくにしろ不可欠といえますよ?」

ハニー「でも、けれど、先生……あの人が担当をしている限り、私、成績が上がるとは……」

マクゴナガル「ロングボトムより聞き及んでいます。今後二度同じ真似をしたら地下牢教室にぶら下がる頭でっかちコウモリに変えてさしあげることを約束したので心配はいりません。さて、ともあれ現実的にスネイプ先生は『O・優』を取った六年生しか教えませんので、頑張る必要が――」

アンブリッジ「うぉぇっへん!えへんっ!!!」

マクゴナガル「……のど飴が必要ですか、ドローレス?」

アンブリッジ「あら、なぜかしらミネルバ?結構ですわ!ご親切にどうも♪ ただわたくし、一言だけ口を挟んでよろしいかしら」

マクゴナガル「ご勝手に」

アンブリッジ「そういたしますわ! わたくし、ポッターが果たして闇払いになれるかわ、オホホ!甚だ疑問ですわ!」

マクゴナガル「そうですか。それで、ポッター。『変身術』と『魔法薬学』の復習をしっかりして六週間後のOWLにお備えなさい。『闇の魔術に対する防衛術』は、あなたはこれまでほとんど最高の点数ですので心配は――」

アンブリッジ「うぇぇっへん!!!えへんえへんっ!!えへん!!!

マクゴナガル「やはりのど飴が入り用ですねドローレス!?」

アンブリッジ「あら、いいえぇ必要ありませんわ。ですがわたくし、ちょっと気になりましたの。おほほ。ポッターが『闇の魔術に対する防衛術』で最高のてんすう? オホホホホッ。ミネルバ、わたくしからのメモに目を通しまして?」

マクゴナガル「あぁ、この趣味の悪い紙ですか。えぇ、一応は」

アンブリッジ「でしたら、お分かりですわね?この子のこのクラスでの成績は凄惨たるもので、とてもじゃありませんが最高の点数などとは天と沼ほど――」

マクゴナガル「言葉が足りなかったようですね。えぇ、はっきり申し上げるべきでした。この子は『有能な教師によって行われた件の科目のテストでは』! 最高の成績を収めています」

アンブリッジ「」

ハニー「……あー」

マクゴナガル「静かになりました。さぁ、ポッター。続けましょう」

ハニー「はい、先生」

306 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/28(火) 18:33:43.21 ID:SLZ12aUm0

マクゴナガル「何か質問は?」

ハニー「えぇっと、性格・適性試験というのは、どういったことを……?」

マクゴナガル「圧力に抵抗する能力を発揮するとか、でしょう。物騒隻眼はこのあたりにあなたの才能を見たと言っています」

ハニー「その名称確定なのかしら……」

マクゴナガル「その他忍耐、献身も必要です。何故なら無事に試験を終えたとしても、正式な闇払いになるにはさらに三年間の訓練を必要とします。卒業後もさらなる勉強が必要です――まぁ、これはあらゆる職業に言えることですが」

アンブリッジ「――そして、まぁ。どうせわかるはずですわ。魔法省は省に入る人間の経歴を調べます。犯罪歴を!」

マクゴナガル「――つまり、卒業後もさらなる試練を受ける決意がないなら、別の道も、あぁ、自ら選んだあなたにこれを強いるのは酷でしょう。ですがポッター、あなたは――」

アンブリッジ「つまり、この子が闇払いや魔法省役人になる確率は、ダンブルドアがこの城に戻ってくる可能性と同じくらいだということですわ!」

マクゴナガル「それでは、大いに可能性があるでしょう。えぇ」

アンブリッジ「あぁら、聞こえてないものかとばかり! この子は犯罪歴がありますわ!」

マクゴナガル「その全ての廉で無罪になったことは、去年の夏にあなたがその目で見たのではないですか!?ドローレス!」

バンッ!

ハニー「! アンブリッジが、立ち上がって……あー……足が短いから座ってる時と大差ないわね」

アンブリッジ「あなたがたのオトモダチのダンブルドアが口八丁の八百長三昧でこの子を無理やり無罪にしたことならよぉおおく知っていますわ!ポッターが我が省に入る可能性はまったくありません!」

マクゴナガル「ポッター!どんなことがあろうと、私はあなたが望む職業につけるよう援助します!えぇ、たとえ醜い両生類が立ちふさがったとしても! 毎晩手ずから教えることになろうとも、あなたが必要とされる成績を絶対に取れるようにしてみせます!」

ハニー「……先生」

アンブリッジ「ファッジは!魔法省大臣もよぉおおおおくご存知ですわ!彼がいる限り、ポッターに好きには――」

マクゴナガル「ポッターに準備が出来る頃には、新しい魔法省大臣になっているかもしれません!」

アンブリッジ「ほぉーーーう!?フォっほぉーーーーう!?ほら、ほら、ほら!それがお望みなんですわね、ミネルバ・マクゴナガル!あなたはダンブルドアがコーネリウス♪に取って代わることを目論んでいるのですわ!そしてあなた自身もかつての古巣に、上級次官として舞い戻ることを!わたくしの地位を奪おうとしているのですわね!!!」

マクゴナガル「何を戯言を。私の家はここです。見下げ果てた思考ですね、ドローレス――ポッター、これで面談は終了です。私は今からすこし、この方とお話があります」

ハニー「えぇ、あの……ありがとうございました、先生。それじゃ」

ガチャッ、バタンッ

ハニー「……」


ギャーーーーギャーーーギャーーーー!!
 アルバスがーーーーー!! コーネリウスがーーーーー!!

フシャァアアアアアアアア!!! ゲコォオオオオオオオオオオ!!

ハニー「……犬猿のように猫蛙って言葉が出来ても、おかしくなさそうね」

313 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga ] 投稿日:2013/05/28(火) 21:38:28.16 ID:SLZ12aUm0

五月週末

大広間

ガヤガヤガヤガヤガヤ
 ザワザワザワザワ

ハニー「試験までのこり一ヶ月を切ってしまったけれど……今日ばっかりは勉強もお休みね、ハーマイオニー」

ハーマイオニー「とても手につかないわ……だって」

ロン「……マーリンの最終戦だもんな。クィディッチの髭」

ハーマイオニー「逆よ、逆。ほら、ロン。しっかり食べなきゃ」

ハニー「この私が食べさせてあげているというのに、口を開けないのはどういうことかしら?」

ロン「ご、ごめんよハニー!ヒンヒン!喉通らないけどそうだな頬辺りにつめとくよガツガツモグモグ」

ハーマイオニー「空中で撒き散らしても知らないわよ……えぇっと、今日はレイブンクローとの試合なのよね?」

ハニー「えぇ、そうね……スリザリンがこの間の試合でハッフルパフに負けたから――」

ジニー「私達がこの試合勝てば、優勝杯はグリフィンドールのものだわ!」

ロン「勝ちゃぁね、勝ちゃぁ……あぁ、ほらみろよ。ルーニーがまた頭になんかのっけてるぜ」

ハニー「ルーナよ、ロン……ハァイ、ルーナ。あー、ステキな帽子ね?」

ルーナ「おはよ。うん、羽ばたく大鷲の帽子なんだ」

帽子 バッサバッサバッサ!

ネビル「ば、ばあちゃんの帽子みたいだ。あれハゲタカだけど」

ルーナ「優勝かかってるから、今日はそっちを応援できないもン」

ハニー「えぇ、それはそうでしょうね。平気よ、この私が応援するんだもの」

ロン「百人いや千人いや万人力だよハニー!ヒンヒン!」

ジニー「ゲームに参加してくれていたらもっと、ね……」

ハニー「あら、平気よ。だって私の大事な豚が、代わりを務めるでしょう?」

ジニー「ヒンヒン!まかせてハニー!」

ハーマイオニー「このくらいの威勢が欲しい物だわ……ほら、ロン。大丈夫よ、いつも通りに、あー……」

ロン「僕のいつも通りは散々な練習成果ってことだけどさ……まぁ、これ以上失うものはなにもないよな。もちのロンで」

316 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/28(火) 21:51:43.00 ID:SLZ12aUm0

クィディッチ競技場

リー「いぇええええええええええええええええええええええええええ!!!」

ワーーーーーワーーーーー!!
 ザワザワザワザワザワ

リー「さぁさぁやって参りましたクィディッチ最終戦!仲良し双子がウィーズりっちまってちょいと元気がなくなったと噂されてるそんな私リー・ジョーダン……」

リー「ノーだ!!!!べらぼうめ若干どこぞのゴースト崩れとキャラがかぶってるせいでやれもう実況いらないんじゃねとかやれめんどくねとかそんな声は撥ね退けて今日も道をウィーズリっちゃうそんなわたくしリー・ジョーダンが実況をおおくりしまーーーす!!!!」

ワーーーーーワーーーーー!

リー「さてさてさて!解説は本日はこの方をお呼びしてやりましょうこの野郎!!」

リー「這い寄る混沌、喧騒の爆弾ポルターガイストの   ピーブズだぁあああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

ワアアァアアアアアアアアアア!!
 キャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!



ピーブズ「どうも、リーさん」

リー「はいどうもピーブズさん。今日はよろしくお願いします」

ピーブズ「えぇ、私こういった経験は初めてでして。今日は一張羅で来てしまいましたよ、ハハハ」

リー「ハハハ!ゴーストと違ってピーブズさんはそういったことが出来るんですねぇ……さてピーブズさん、今日のみどころはどこでしょう?」

ピーブズ「いやぁやはり怪我から復帰したモンタギューでしょうか。えぇ、彼の執念とそして恐らく先日の事故があの双子により引き起こされたとみられますので、グリフィンドールにはなみなみならぬ復讐をしてやろうと誓っているのではないでしょうか」

リー「なるほど! そしてそれはスリザリンチーム全体に言えることである、と!」

ピーブズ「ハイ、そう思います。今日試合をすれば、チームの士気の高マルフォイが拝めることかと思いますね」

リー「そうですね。試合をすれば」

ピーブズ「えぇ」

リー「ピーブズさん」

ピーブズ「なんでしょう」

リー「今日、グリフィンドールとレイブンクローの試合なんですが」

ピーブズ「知るかばああああああああああああああああああああああああああああああか!!!!あっひゃはっはははははははははは!!!ほーーーーれほーーーーれ!!!!放送禁止用語喋りまくっちゃうぞグフィフィぐふぃふぃふぃふぃいいいいいいいい!!」

ウワアアアアアアアアア!!
 キャアアアアアアアアアアア!!!

マクゴナガル「ピーーーーーーブズ!!!」

リー「やっぱり解説は今日もあなたしかいませんねせーの!マクゴニャガルせんせーーー!」

ピーブズ「にゃんころーーーーーー!!」

にゃんころーーーーー!

マクゴナガル「真面目に実況をしなさああああい!!!」

324 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/28(火) 22:08:58.36 ID:SLZ12aUm0

ピーーーーッ!

リー「ゲーム開始です!クィディッチ最終戦、いよいよその火蓋が切って落とされました!グリフィンドール!優勝です!」

マクゴナガル「勢いだけで喋るんじゃありません!」

リー「そりゃ無理ってもんですよセンセー!ぼくから勢い取ったら何が残るんですか!」

リー「さぁさぁ試合はレイブンクローボールから始まります!キャプテンのデイビースがクァッフルを持つ!」

キャーーーー!キャーーーー!

リー「最近めっきり色づきやがってあのチョウともなんだか超いい感じだとかくそっ!落ちろ!箒から落ちろっっ!!!」

マクゴナガル「リー!」

リー「はいはい先生!いやぁですが聞いてくださいこの黄色い声援!ほんとクァッフル鼻に突っ込まれればいいのに……」

キャーーーー!キャーーーーー!ギャーーーーー!

ピーブズ「あひゃははははははぐへへへぐふぃふぃふぃふぃーーーー!」

リー「あ、違いました。ピーブズが観客席に向かってタランチュラを降下している歓声でしたね、失敬失敬」

リー「そんな勘違いしてモテ期到来とか息巻いていたデイビースはしかしまぁ勢いだけは止まりません!ジョンソンを――かわす!ベルもかわした!さぁ、ロン!やれ!一番豚!」

ロン「――」

カーーーン!

リー「あー……レイブンクロー、先取点」


スリザリン「「「「「ウィーズリーは我が王者〜〜〜♪ いつでもクァッフル見逃した〜〜〜〜♪」」」」」

ピーブズ「ウィーゼルウィージーコソコソイタチ〜〜!あひゃはははははははは!!!」


ハーマイオニー「……っ、ロン、もう!頑張って、ロン!!」

ハニー「ロン……」


ハグリッド「あー、どうだ?ロンは上手くいっとるか?え?」


ハニー「あら、ハグリッドやっときたの――きゃぁ!?」

ハーマイオニー「あら、さっきは小屋にいなかったからてっきり留守かと……は、ハグリッド!?そんなにまた、血だらけで!」

ハグリッド「シーッ!シーーッ!ちょいと、あのな。目立ちたくねぇんだ、頼む。静かにしちょくれ!」

ハーマイオニー「……ハグリッド、身体をかがめているつもりなんでしょうけど、それでも周りから一メートルは高いのよ、あなた」

327 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/28(火) 22:22:07.65 ID:SLZ12aUm0

ハグリッド「あー、あのな。ちょいと二人に来てもらいてぇんだ……みんながここで試合に夢中んなってるうちに」

ハニー「……今でないとダメなの、ハグリッド?」

ハーマイオニー「えーっと、試合の後では……?」

ハグリッド「今がえぇんだ。皆が試合に気をとられとるうちに……頼む」

ハニー「……分かったわ。あなたがそんなにお願いしているんだもの、聞かないわけにいかない、そうよね?」

ハーマイオニー「……えぇ、行くわ。ハグリッドの小屋に?」

ハグリッド「すまねぇ、ありがとうよ二人とも。いんや、ちょっとな……あれはこっちを見てねぇか?視力がどのくれぇかは測定してねぇが……」

ハーマイオニー「……アンブリッジのこと?あー、あの女カエルを警戒してたのね……あっ、平気みたいよ」

ハニー「丁度親衛隊と座ってるところにピーブズが突っ込んでいってるわね」


ピーブズ「アンブリッジの生まれは掃き溜めだ〜♪ いつでも吐き気を催した〜♪ だから歌うぞホグワーツ♪……巣にかえれ!ここはお前の生きる場所じゃない!!!!」

マルフォイ「……歌えよ!!!!」


ハグリッド「あー、なんだ。あれが騒ぎを起こしちょってくれればえぇな、うん……目立っちゃいけねぇ、うん……ほんと、すまねぇな。ロンの大事な試合なのに」

ハニー「……ロンの勇姿はこれから何度でも見られるわ、そうよね?」

ハーマイオニー「えっ、えぇ、あー、そうなれば、いいけど。さっ、急ぐんでしょう?」

ハグリッド「あぁ、着いてきちょくれ……ちょっと歩くが。あと、ホイ……これでも腰に巻いとってくれ。ほら、あー、足が見えると……あいつらがうるせぇ。ほんとうるせぇ」

ハニー「……森に入る、のね」


329 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/28(火) 22:34:19.07 ID:SLZ12aUm0



ワーーーワーーーー!!

リー「なんでしょう!何故だか僕のテンションが三段階くらい下がってしまいました何故だろうまるでハニーがいなくなっちまったみたいだ!気のせいでしょう、えぇ!」

ヒンヒーーーーン!


ロン「な、何言ってんだか、リーは……は、ハニーが豚の舞台を見に来ないわけがあの髭じゃないかマーリンの」

ロン「止めなきゃ、止める、止めるんだ、ロン!もちの!」


リー「デイビース、またもクァッフルをもってグリフィンドールゴールにつっこむ!あぁ〜〜ロン!頼む!!」



ロン「……!」

デイビース「はっは、ハッハハ!乗ってる僕を、止められるかな!」

ロン「やってみなくちゃ、わかんないだろ!というか君声大きいな凄いな!?」

デイビース「僕は今、乗りに乗ってるぞ!何せあのチョウともいい感じなんだ!」

ロン「だからなんだってんだ!マーリンの髭!だ、だいたい、チョウは――」

デイビース「あぁ!ポッターと仲が良かったのは知ってるよ!だけどね!はっは!チョウが言ってたよ!」


デイビース「ポッターは、よりによって グレンジャーみたいなブスを選んで!自分を捨てた、ってね!!」

ロン「」

デイビース「いっけェえええええ!!二十点目だああああああ!!!」


ロン「おいデイビース」

ロン「今」

ロン「ハーマイオニーに、なんつった!?え!? 」


バシッ!


デイビース「なっ!?う、うそだ!?あの軌道で、どうやって――!!!」

リー「!!!! ロン、止めたぁあああああああああああああああああああああ!!!!」


ワァアアアアアアアアアアアアアアア!!!


  ヒンヒンヒーーーーーーーーーン!!

333 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/28(火) 22:46:19.21 ID:SLZ12aUm0

禁じられた森

ザクッザクッザクッザクッ

ハニー「……随分深くまで入るのね、ハグリッド」

ハグリッド「すまねぇな。石弓なんかを持ってなかったら、おめぇさんたち二人を肩にかついでいけるんだがよぉ……」

ハーマイオニー「武器まで持って……穏やかじゃないわ。ハグリッド、また何かいるの?」

ハグリッド「あぁ、まぁ……前みてぇに化け物がいる、とかじゃねぇんだ。違う。全然違う。ほんとに」

ハグリッド「これは、用心のためだ。ほら、今おれは……ケンタウルスの連中から、よく思われてねぇ」

ハニー「……喧嘩をしているの?」

ハグリッド「フィレンツェがダンブルドア先生の下で働くと決めたとき、あいつらは怒り狂ってフィレンツェを蹴り殺そうとしてな……俺が止めに入った。そんだら、連中俺まで裏切っただのなんだのとよぉ」

ハニー「……」

ハーマイオニー「……」

ハグリッド「俺にはハニーやオリンペがおるっちゅうのに……やれ『どうせ授業中ボディタッチしてるんでしょう!』だの『おにゃのこの臭い嗅ぎ放題なんだろう!』だの『君の目線で見れば世の中の女性は大概ロリっこなわけか、素晴らし、ふぅ……ファキュー』だの」

ハニー「ほんと嫌あの駄馬たち」

ハグリッド「とにかく、俺のことまで敵視しおって……そんで、他の生き物たちもカンカンになった。ケンタウルスっちゅうのは、この森じゃかなり影響力が強ぇんだ。なんせ賢いからな。連中に目をつけられたら、前みたいにでかい顔で歩けねぇ。縮められもしねぇけど」

ハーマイオニー「それじゃ、ハグリッド。あー、私達を……ケンタウルスにあわせに?」

ハグリッド「いや、そうじゃねぇ」


 「チッ」
「ちがうのかよ……」
    「期待して損しt」

ハニー「ハグリッド、あそこよ。あそこの茂みを射ぬいて頂戴」

ハグリッド「ヒンヒン!」

ハーマイオニー「いいから行きましょう、キリがないわ……」

336 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/28(火) 23:07:10.17 ID:SLZ12aUm0

ザワザワザワ……
 パキッ、パキッ
ザクッザクッザクッザクッ

ハニー「……段々、道なんて呼べなくなってきたわね」

ハーマイオニー「木立もびっしり並んで……まだこんな時間なのに、夕暮れ時のような暗さだわ」

ハニー「……」

ハーマイオニー「えーっと、ハニー?手を?」

ハニー「……つないであげる」
ハーマイオニー「えぇ、ふふっ。そうしてもらえると助かるわ」

ハグリッド「ヒンヒン!」

ハーマイオニー「鳴いてないで……えっと、ハグリッド。杖灯りを点してもいいかしら?」

ハグリッド「あぁ、かまわねぇ。そうだな……ちょっとここらで止まろう。おめぇさんたちに、あー、なんだ。着く前に、話すこともある」

ハニー「?……『ルーモス』」
ハーマイオニー「?……『光よ!』」

パァァッッ

ハニー「……改めてこう見ると、ほんと、顔中酷い怪我だわ、ハグリッド」
ハーマイオニー「歩き方とかを察するに、きっと体中なのでしょうけどね……」

ハグリッド「あー、気にせんでくれ。うん、おめぇさんたち二人見てたら吹っ飛ぶから。ほんと。そんでな、あー……うん。話をせんにゃならん」

ハニー「……」
ハーマイオニー「……」

ハグリッド「俺、俺ぁ、っ、どうやら、近々クビになる」

ハニー「! そんな、そんなのってないわ!」
ハーマイオニー「そ、そうよ!これまで持ちこたえたじゃない!きっと、授業の内容をこれまで通り通せば、そんな道理……」

ハグリッド「あぁ、ハーマイオニー。そうだ、トレローニー先生のことがあった後も俺がここに残っていられたのは、多分お前さんが考えてくれた授業計画のおかだ。ほんと、ありがとよ」

ハグリッド「けどな……アンブリッジの部屋に、二フラーが入ったことがあったろうが?どうやら、あれをやったのが俺だと思われちょるらしい」

ハニー「……そんな」
ハーマイオニー「もちろん、違うのよね!?」

ハグリッド「そりゃそうだ! 二フラーは普段大人しいけどよ、カエルとは相性がよくねぇ!うん!」

ハグリッド「そんでも、すこーしでもその可能性がありゃつっついてでっちあげて押し通すのがあれのやり口だろう?弁解はできそうにねぇ……そんな暗い顔をすんな」

ハニー「……」
ハーマイオニー「……」

ハグリッド「なんも、それでおしまいってわけじゃねぇ。ここを出て行けば、ダンブルドアの手助けができる。騎士団の役に立てるんだ。そんで、お前さんたちの授業はグランプリー-プランク先生が見る。そうすりゃ試験も楽だろうが?え?そう、うん、っ、その方が……」

ギュッッ

ハニー「……」
ハグリッド「……ぐすっ。おまえさんたちは、本当にいい子だ。あぁ」
ハーマイオニー「……」



337 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/28(火) 23:21:45.11 ID:SLZ12aUm0

ハグリッド「そんでな。実を言えば、俺はアンブリッジに追い詰められる前に、さっさと城から離れるつもりだった」

ハグリッド「けどよぉ、そうもいかねぇ事情があって……あー、この頃には普通に一緒に歩けると思ったんだがなぁ」

ハニー「……?」
ハーマイオニー「……」

ハグリッド「それで、ついに出ていかなきゃなんねぇことになって……お前さんたちに頼んでおかなきゃなんねぇことがあるんだ。こんなこと、本当は話しはしぇほうがいいんだろうが……誰かに言わねぇと。そんで、お前さんたちに……出来れば、ロンにもお願いしてぇんだ」

ハニー「何がなんだかわからないけれど。あなたが困っているなら、私は助けるわ。当然じゃない」
ハーマイオニー「……そして、そんなハニーと一緒にいる私達もね。ねぇ、ハグリッド。何をすればいいの?」

ハグリッド「……ありがとうよ。あぁ、おまえさんたちならそう言ってくれると思っとった。決して忘れねぇ、うん……あっちだ。もう、すぐそこだ。ゆっくり行こう、気をつけてな……」

ザクッザクッザクッザクッ
  ザクッザクッザクッザウッ

ハニー「……?木立が……なんだか、途切れてる箇所に来たわね」
ハーマイオニー「途切れてる、というより……何かに、根こそぎ引き抜かれてる……?」

ハグリッド「よーし、こっからはもっと、ゆっくり頼む。あー……急に起こしたらなんねぇ」

ハニー「……起こす? あぁ……あそこに、大きな土塁があるわね。ねぐらなの?あんな……あなたの背丈くらいあるじゃない」
ハーマイオニー「……嘘でしょう」

土塁? ゴガーーー ・・・ ・・・ ゴロゴロゴロ

ハニー「あぁ、寝息のようなものが……ハーマイオニー?」
ハーマイオニー「ハグリッド……いったい、誰なの!?」

ハグリッド「あー……あのな」

ハニー「誰?何、じゃなくって?」
ハーマイオニー「ハグリッド、話が違うわ!誰も連れてこられなかった、って!来てくれなかった、って!」

ハグリッド「その、なんだ――いや、来たかったわけじゃねぇんだ、こいつは――だけんど俺は、こいつを連れてこなきゃなんねかったんだ!どうしても、こいつを……」

ハニー「……巨人、なの?」


巨人「ゴガーーー ・・・ ・・・ ゴロゴロゴロ」

341 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/28(火) 23:33:08.38 ID:SLZ12aUm0

ハーマイオニー「ハグリッド、どうして――どうして連れてきたりなんかしたの!?」

ハグリッド「あぁ、あんな、ハーマイオニー!俺には分かってた、こいつをここに、連れて戻って!」

ハニー「……背中を向けて、横になってるのね……横幅で、ハグリッドくらい……」

ハグリッド「そんで、そんで!少し礼儀作法を教えたら、みんなのとこに連れ出して……そうすりゃ、こいつは無害だってことをみんなに見せてやれる、ってよぉ」

ハーマイオニー「無害、ですって!ハグリッド、ハグリッド!あなた、最近鏡はみたの!?」

ハグリッド「あ、あー。うん、し、渋くなったろうが?」

ハーマイオニー「渋くなるのはこっちの表情よ!!この人がいままでずっと、あなたに怪我させてきたんでしょう!?」

ハグリッド「こいつは自分の力の加減がわからねぇんだ!そんだけだ!ちょいと、俺と遊びてぇだけなんだ!こいつは、こいつは……」

ハニー「この巨人を連れていたから、帰ってくるのに二ヶ月もかかった。そういうこと?」

ハグリッド「あぁ、そうなんだ。でも残しておけんかった。こいつは周りの奴らよりチビで、いじめられとった……見てられんかった!残してなんておけんかったんだ!」

ハニー「……」

ハーマイオニー「どうして!それは、あなたは優しいわ!けど、どうしてそこまでして――」

ハグリッド「こいつは、こいつは――俺の、弟なんだ!!」

ハニー「……」

ハーマイオニー「……おと、うと?」

ハニー「……ハグリッドのママが、ハグリッドのパパじゃなく、巨人の男との間に作った子供……っていう、こと?」

ハグリッド「そうなんだ……コイツは俺の、もうこの世でたった一人の、肉親なんだ」

ハニー「……」

ハーマイオニー「……」

ハグリッド「名前は……巨ぶt、いや、グロウプ」

ハーマイオニー「早速加盟させる気満々なのね肉親ごと」

343 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/28(火) 23:51:40.46 ID:SLZ12aUm0

ハグリッド「かあちゃんは俺のことも可愛がらんかったが、こいつもそうだったらしい。そりゃ、巨人なのにせいぜい五、六メートルしかねぇから、かあちゃんにとっちゃ大事にする気もなかったみてぇで」

ハーマイオニー「せいぜい五、六メートル!えぇ、ロンとほーんの少ししか違わないわね!」

ハニー「……頑丈な縄で腰のところと大木が縛られてるわね。犬のリードみたいに……犬のリードみたいに」

ハーマイオニー「繰り返さなくていいわ、ハニー」

ハグリッド「あー、その、ちげぇぞ?あの、こいつが危ねぇってわけじゃなく、ほら。こいつが迷っちゃなんねぇし、それに、さっきも言ったが自分の力がわかってねぇんだ、こいつは」

ハーマイオニー「……どうりであの賢者どもの茂みからこのあたりまで、鳥の一羽も見当たらなかったわけだわね」

ハニー「それで、ハグリッド。私達になにをしろっていうのかしら」

ハグリッド「世話してやってくれ……俺が、いなくなったら」

ハニー「……ハグリッド」

ハーマイオニー「……卑怯だわ……世話、っていうのは?食べ物、とか?」

ハグリッド「いや、それは問題ねぇ。やろうと思えば自分でなんとかできるんだ。いや、ちげぇ。友達だ。こいつには友達が必要なんだ。飼い主でもえぇが」

ハーマイオニー「最後」

ハグリッド「たまにここに来て、あぁ、お前さん達は試験もあるし、一週間に一回でえぇ。こいつに話しかけてやってくれ。言葉を教えてくれたら助かる……そうすりゃ、こいつが俺達のことを好きなんだってのがもっと色んな人にわかってもらえるかもしれねぇ」

ハニー「……えぇ、そうね。私の愛にかかれば……自然と喋りだすに決まっているわ。それはもう、流暢に。そうでしょう?」

ハーマイオニー「……はーぁ。やる気ね、本当に……いいわ、ハグリッド。やるだけやってみる」

ハグリッド「ありがとう、ありがとう!お前さんたちに頼めば大丈夫だと、思っちょった。どれ、グロウプを起こそう……お前さん達に引き合わせにゃならん」

ハーマイオニー「えっ、ちょ、ちょっとハグリッド!それは、いいわ!あの、私達別に――」

ハグリッド「遠慮すんな! よ、っと。この丸太で、背中をちょいとつついてやれば、っと!」

ハーマイオニー「やめ――」

ゴツンッ!

グロウプ「・・・ ・・・ ゴアーーーーーーーーーーァアアアアアアアア!!」

ビリビリビリビリビリッ

ハニー「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「……ハァマイ、オニィ」

ハーマイオニー「……えぇ、ハニー。分かってたわ。はい、手を貸すからしっかり立って……あんなにいさぎよく啖呵をきったじゃないの」

ハニー「でも、あんな、あんな大きな、声、こ、腰が、あぁ、っ、そうよ、たt、立たない、と、豚候補の前で、っ、なんで、すぐ、もう!」

ハグリッド「グロウピー、よーく寝れたかぁー!?」

グロウプ「・・・ ・・・ゴアーーッ」

347 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/29(水) 00:25:39.65 ID:wYTvmAYk0

ハグリッド「今日は友達を連れてきたんだ、グロウピー!」

グロウプ「・・・ ・・・」

ハグリッド「みろ!俺の友達……あっ!こら!」

グロウプ「ゴアーーーッ!」

バサバサバサッ、 バキバキッ、バキッ!

ハニー「……松の木が、軽々と曲げられてるわ」
ハーマイオニー「……単純に、遊んでるだけのようね。本人は」

ハグリッド「そんなことはやめろ、グロウピー!これ以上根こそぎにしてどうする?え?この悪戯坊主め!」

ハニー「……そしてあの笑顔よ」
ハーマイオニー「……もう何も言うまい、だわ」

ハグリッド「下を見んか、下を!ほれ!」

グロウプ「・・・ ・・・ ?」

グググググググッ

ハニー「……目玉が私の頭より大きい」
ハーマイオニー「……月でも見上げてる気分ね」

ハグリッド「こっちは、ハニー・ポッターだ!美しかろうが、え?俺が出かけなくちゃなんねぇとき、お前に会いにきてくれるかもしれねぇ!いいな?」

ハニー「……は……ハァイ、グロウピー」

グロウプ「・・・ ・・・」

ハグリッド「ほんで、こっちはハーマイオニー……あー、ハーマイオニー。ちょーっと難しい名前なんでな。ハーミーって呼ばせてもええか?」

ハーマイオニー「か、構わないわっ!」

ハグリッド「ハーミーだ、グロウピー!ハーミー!」

グロウプ「・・・ ・・・」

ハグリッド「二人とも、おまえと友達になってくれる――お、おい!!」

グロウプ「・・・ ・・・ゴアーッ!」

グググッ

ハニー「! ハーマイオニー、こっち!」

グイッ

ハーマイオニー「きゃあっ!?」

ドサッ

ハグリッド「は、ハニーが引っ張ってくれたおかげで助かったか……こ、こら!グロウピー!わりぃこだ!ハーミーに掴みかかろうとしたな!?え!?」

グロウプ「・・・ ・・・」

ハグリッド「おい!聞いちょるのか!?何見て……」

ハニー「あぁ、よかったわハーマイオニー。怪我、ない?じっくりみせて……じっくり、ね?」

ハーマイオニー「あっ、そんな、ハニー、ちょ、今そういう場合じゃ……そんな、あなたにみせたら、『聖マンゴ』なんていらなくなってしまうじゃない……?」

ハグリッド「つづけて!!」

グロウプ「ゴーーアーーーーーッ!!!」

バキバキッ!メキメキッ!!!

350 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/29(水) 00:38:50.43 ID:wYTvmAYk0

ハーマイオニー「フーッ、フーッ、ひ、ひどい、ファーストコンタクト、だったわ!」

ハグリッド「いえいえ最高でしたですえぇ」

ハニー「グロウプはあれから興奮状態になって、とても交流できそうではなかったけれどね」

ハーマイオニー「まったくもう! ハグリッド……これでもまだ私達に、グロウプの『教育』をしろって言うの!?」

ハグリッド「あー、ほら。これで今度ここに来たら、あいつはお前さんたちが俺の友達だって分かるだろう?でーじょうぶ、うん。あいつも随分と大人しくなったから、うん」

ハーマイオニー「……松の木を引っこ抜く程度にはね」

ハニー「約束したんだもの。もしもそうなった時は、しっかりやるわ。でもね、ハグリッド。出来ればあなたがいなくならないのが一番よ。それだけは覚えていて頂戴?」

ハグリッド「……ハニー。あぁ、ありがとうよ。お前さんは天使だ」

ハーマイオニー「……そうよ、あとたった数週間の学期じゃない。あなたはクビにならず、アンブリッジが魔法省に蛙、オホン、帰るかもしれないわ。そうなったら、とんだ取り越し苦労じゃない?」

ハグリッド「そうだな、あぁ。ハーマイオニーは本当に、頼りになる。ありがとうよ、二人とも」

ギュッ

ハニー「いいのよ、ハグリッド。だって」
                                ケンタウルス「……」
ハーマイオニー「そうよ、私達、友達で……」

ハグリッド「……今えぇとこなんだが」


ケンタウルス「やはり裏切り者でしたか!この、このヒト族め!そうやっておにゃのこの肩を抱いてあわよくばおつぱいにたtt……ふぅ。わたしはベイン。こちらはマゴリアン。そして愉快な仲間たちです」

マゴリアン「あなたはもうこの森には来てはならない、そう警告したはずです。ハグリッド。その子たちの腰に巻いてる何かを取り去るなら別でふぅ」

がさガサッ ガサッ
 パカラッパカラッ

ハグリッド「……なんのつもりだ?え?フィレンツェみてぇに、俺を蹴りつける気か?」

ハーマイオニー「……愉快な仲間と言う割りに、武装してるわね」

ハニー「全員千切れればいいわ……」

352 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/29(水) 00:50:22.10 ID:wYTvmAYk0

マゴリアン「あなたは介入するべきではなかった、ハグリッド。我々には我々の掟があり、我々には我々の裁き方がある」

ベイン「フィレンツェは仲間を裏切った」

ハグリッド「そいつがわからねぇ。フィレンツェは、お前さんたちも一目置いてるはずのダンブルドアを手助けしようとしただけだろうが?」

ケンタウルス「奴はヒトの奴隷に成り下がった!そんなプレイをしとるんだろ今頃ふぅ!まったく!ふぅ!」

ハグリッド「少しは老いれお前さんは……奴隷!なんちゅう言い方だ。いいか、お前さんたちは間違っとる!間違っとるぞ!」

ベイン「お前もそうだ、ヒトよ。我々はお前が森に何を隠しているか知っているぞ」

ハグリッド「……だったらどうした!この森は、おまえさんたちだけのもんじゃねぇ!ここに生きるみんなのもんだ!俺も、そんで、あいつも!」

マゴリアン「我々の忍耐は限界だ、ヒトよ。色々と。もうらめぇだ。ふぅ。しかし、今日はそのお連れのおにゃのこにめんじてふぅしよう。いや、見逃そう。行け」

ベイン「何故だ!ひっとらえてあがめたてまつってから丁重にお返しするべきだ!ふぅ!」

マゴリアン「仔馬に乱暴するのは恐ろしい罪だ!何を言っている!イエス!仔馬!ノー!タッチ!イェーア!?」

イェーァ!

マゴリアン「そういうことです。ふぅ……ヒトよ、行きなさい。できればもうここでは会いませんよう」

ハグリッド「それを決めるのはお前さんたちじゃねぇ!いいか、俺はまた来るからな!行こう、二人とも」

ハニー「……一応、口を出すのもどうかと思って、黙っていたけれど」

ハーマイオニー「……えぇ」

ハグリッド「?」

ハニー「もうこの森ごと焼いてしまうしかないんじゃないかしら」

ハーマイオニー「協力するわ、女の子の敵だもの、この森の主たち」

ハグリッド「!?」

354 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/29(水) 01:08:56.68 ID:wYTvmAYk0

ハグリッドの小屋前

ハグリッド「あー、色々すまんかった。特に最後は」

ハニー「あなたのせいじゃないわ。あの駄馬の群れはいつまでたっても……」

ハーマイオニー「あー、思ったのだけど。あんなにヒトを嫌うようになったケンタウルスのいるところを抜けて、私達がグロウプに会いにいくのは……ちょっと、無謀じゃないかしら」

ハグリッド「そこは心配いらねぇ。ほら、言っとったろう?あいつらは子供には手をつけねぇ……」

ハニー「子供じゃないわ、私!!」

ハグリッド「おっと、そうだなハニー。あんなにちっこかったのに……まぁ、そういうこった。きっとおめぇさんたちに危害は加えねぇぞ?」

ハーマイオニー「精神的気分的には大打撃ですけどね……あら」


ガヤガヤガヤガヤガヤ
 ワーーーー!ワーーーーー!

ハグリッド「おっ、スタジアムから人が出てきたな。お前さんたちはあれに紛れっちまえ。そうしたら誰も抜け出してたことに気づかんだろうが? じゃあな、ありがとよ。またな」

バタンッ

ハーマイオニー「……はぁー。どうしてハグリッドってこう、わざわざ背負い込もうとするのかしら」

ハニー「……それも自分の懐と同じくらい、大きいものをね」

ハーマイオニー「えぇ、実物的に……あぁ、もう。本当に、信じられない――


♪ ウィーズリーは我が王者〜
  ウィーズリーは我が王者〜
  クァッフルをば止めたんだ〜
  ウィーズリーは我が王者〜

ハーマイオニー「それに、もう!あの歌を歌うのはやめてほしいわ!余計惨めになるじゃない! あぁ、この分だと……」

ハニー「えぇ、ロンは…………あら?」


♪ ウィーズリーは守れるぞ〜
  万に一つも逃さぬぞ〜
  だから歌うぞ、グリフィンドール!
  ウィーズリーは、我が王者〜♪


ハニー「……ハーマイオニー、これ」

ハーマイオニー「?なに?早く行きましょう、これを歌ってる緑と銀色のバカな集団に出くわす前に……あら?ど、どういうこと?」

ハニー「歌ってるのは……赤と金色の、チームとサポーターだわ……!」

ハーマイオニー「あの、一番上……大勢に担がれてるの、って!」


♪ ウィーズリーは我が王者〜
  ウィーズリーは我が王者〜
  クァッフルをば『止めた』んだ〜
  ウィーズリーは我が王者〜


 ブオォオオオオオオ!ブォオオォォオオオオオオ!

♪ おかげで我らは大勝利〜
  だから歌うぞグリフィンドール
  ウィーズリーは、我が王者!!


ハーマイオニー「うそ……!ほ、ほんとに!?」

ハニー「……ふふっ。えぇ、実力を出すのが、遅すぎたくらいだわ。何がそうさせたのか、知りたいところだけれどね」


ロン「ハニーーーー!!ハーマイオニーーーーーーーー!!!やった、やったよ!!僕たち、勝ったんだ!!!優勝だ!!!やったぜ!!マーリンの……ヒンヒンヒーーーン!」

ワァアアアアアア!! ウィーズリー!ウィーズリー!ウィーズリー!
 ヒンヒンヒーーーーン!

397 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/05/31(金) 11:24:24.82 ID:zd1NH8dG0

翌日

談話室

♪ ウィーズリーは我が王者〜

ロン「それでさ、デイビースの奴が……お、おいおいまたかよ、やめてくれよまったく。マー髭だぜ、うん」

♪ クァッフルをば止めたんだ〜

ロン「まぁね、まぁね!最初の十点以外全部止めたけど、あぁ、だからってさ!昨日のことなのに何度も……」

♪ だから歌うぞグリフィンドール

ロン「いたっ!頭叩くなよ!痛いっ!マーリンの髭!あ、あはは」

♪ ウィーズリーは我が王者〜

ハニー「……朝から何度もこんな感じね」

ハーマイオニー「……浮かれるのは分かるけど、勉強に手をつけて欲しいわ。それに……グロウプの話も、切り出せないもの」

ハニー「こんなに浮かれているところに水をさすのも気の毒だものね……でも、仕方ないわ。ロン?」

ロン「ヒンヒン! なんだいハニー!」

ハニー「幸い、この私のように晴れ渡った綺麗な空だもの。勉強は外でしましょう」

ロン「あー、そうかい? もちのロンで、君がそうしたいなら僕こと一番豚はそうするのが当然なんだけど、あー、もうちょっと……」

ハーマイオニー「……スーパースターのあなたが談話室にいると、みんなが落ち着かないみたいよ?」

ロン「! は、ははは!じゃぁ、うん!そうだね!まぁ、ハニーがいたら老若男女がソワソワするのは生理現象だけどさ!」

ハニー「えぇ、そうね。落ち着く時は私に踏まれた時くらいのものかしら」

ロン「だから僕って常に心が平穏なんだなぁ」

ハーマイオニー「割と乱れまくりよあなた」

399 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/31(金) 11:37:28.50 ID:zd1NH8dG0

湖のほとりの木陰

ロン「それでさ、デイビースの奴に一回ゴールを決められた後だったんだけど」

ハニー「……えぇ」

ロン「あの野郎がふざけたこと言うもんだから、僕、頭がカーッとなって」

ハーマイオニー「? どんなことを?」

ロン「あー、うん、とにかく馬鹿げたことさ。それで、そっからはもう、やるぞっ!って」

ハニー「ゴールをしっかり、守ったのね。出来る豚だわ、ロン」

ロン「ヒンヒン!ありがとうハニー! あー、一度はまた抜かれたと思ったんだ。けど、飛び上がって、こう、箒かまえて、スパーーンッって」

ハーマイオニー「!? そ、そんな危険なプレーをしたの!?」

ロン「あの距離じゃ手は届きようがなかったからね。だから……」

ハーマイオニー「だからって、もしも体が落ち始めるまでに箒に跨るのが間に合わなかったらどうするつもりだったの!?危なすぎるわ!」

ロン「な、なんだよ!ゴールは守れたし、それにそっからは一度だって得点されてないんだぞ!マーリンの髭!」

ハーマイオニー「結果論で語らないで頂戴!もしも怪我して退場になったら、チームはキーパーなしだったんでしょ?」

ロン「なんだよ、マー髭!一言おめでとうも言えないのかい?え?僕は君が……あれ?ちょっと待ってくれよ」

ハーマイオニー「なによ!」

ハニー「……あ」

ロン「……なんで君、まるで僕のプレーを今見たかのように言うんだい?」

ハーマイオニー「……」

ハニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……こ、怖くて、観られなかったのよ!えぇ!」

ロン「君、怒った時に鏡見てみなよ」

400 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/31(金) 11:55:18.35 ID:zd1NH8dG0

ロン「――巨人の弟、おまけにそいつのおべんきょう!オトモダチ!おっどろき!ハグリッドにしちゃ、随分とちっちゃな問題をもってきてくれたよな!」

ハーマイオニー「えぇ、小山ほどのね……」

ハニー「あまり責めないであげなさい、ロン」

ロン「あぁ、ハニー。君は優しいね。ヒンヒン。でもこれだけは言わせてもらうよ。ハグリッドの奴、正気じゃぁないよ。マーリンの髭」

ハーマイオニー「否定はしないわ。でも、私達約束してしまったのよ」

ハニー「ハグリッドがいなくなったら、私達でグロウプの面倒をみる。そうね、約束を破るのはいけないわ」

ロン「でもさ、今までハグリッドの仲良しと関わって良いことがあったかい?ノーバートに、アラゴグ」

ハニー「バックビークに、スクリュートは私の可愛い豚だわ」

ハーマイオニー「後者はどうかと思うわ……」

ロン「そういやあいつらの生き残りはハグリッドどこやったんだろ……でもさ、あー。とにかくハグリッドは、まだ追い出されてない。そうだろ?」

ハーマイオニー「まだ、ね」

ハニー「そんなこと言わないの」

ロン「それじゃ、ひとまず巨大なオトモダチのことは考えないことにしようよ……今はこっちさ。あー……『ふくろうをオペラグラスに変身させる』?そんじゃ、OWL試験も三ヵ月後とかに変化できないかなぁ……」

ハーマイオニー「あら、それならもうクィディッチの練習もないことだし、朝から晩まで復習にあてられるわね?」

ハニー「しっかり励みなさい、ロン。あなたは出来る豚よ、大丈夫」

ロン「ヒンヒン!あぁハニー!君にそう言ってもらえれば僕ぁパース越えも間違いなしさ!ヒンヒン!」

401 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/31(金) 12:10:58.24 ID:zd1NH8dG0

六月

温室

ロン「ここんとこ、宿題が出なくて気分がいいね。ハニーがいればいつだって気分は爽やかだけどねもちのロンで」

ハニー「えぇ、そうね。松の香も真っ青な清涼感だわ」

ハーマイオニー「『元気の出る呪文』これ私初回の授業を聞き逃しているのよねなんてことかしらOWLの頻出問題だったなんてあぁフリットウィック先生にもう一度復習をお願いしないとでもここしゃっくりを止める反対呪文これは問題ないわねそれでここは――」ブツブツブツブツブツブツブツブツブツ

ロン「……宿題がなくっても勉強漬けなのは変わらないけどさ」

ハニー「まぁ、先生方もそうさせるために宿題を出していないんでしょうね」

ロン「ハーマイオニー、お言葉通り朝から晩までブツブツ言ってるけどさ。夜寝てるのかい?」

ハニー「平気よ。無理に続けようとしたら、疲れさせて眠ってもらってるから」

ロン「なんで僕って女の子じゃないんだろ」

アーニー「!?そ、それはよく出される問題なのかい!?聞いたことがないよ、女の子になる呪文なんて!」

ロン「僕だって知りたいさ……よぉアーニー、ハニーに挨拶はどうしたのさ」

アーニー「ごめんよハニーおはようハニー!ヒンヒン! 君達、一日何時間勉強してる?」

ロン「? さぁ、数時間だろ」

アーニー「八時間より多いか、少ないか」

ロン「少ないと思うけど、それがどうしたってのさ」

アーニー「僕は最低でも八時間だ!ハニーにちなんでっていうのもあるけど」

ロン「!そ、そうか!」

ハニー「豚として見上げた志だけれど、無理をしてはだめよ、アーニー?」

アーニー「ありがとうハニー!ヒンヒン!でも、無理なんて!調子がいいときは九時間やれるし、週末なんかは十時間はやれる!それに昨日は七時間しかできなかったんだ、でも月曜は九時間半できたから今日は八時間半やってそうすれば大丈夫だだだだ大丈夫あのアハハッハハハハハハハ」

シェーマス「お、おはようハニー!ヒンヒン!あ、アーニー、アーニー!落ち着け!君はしっかりやってるさ!」

ハニー「……みんな、ノイローゼ気味ね」

ロン「どうせならハニーに病的になればいいのにな」

アーニー「アハハハハハハ……あぁ、天使が見える……いや、女神だ。僕をOWLで勝利に導いてくれる女神だ……!」

ハニー「えぇ、そうね。アーニー、しっかり励みなさい。私の豚ならば、これくらいこなせて当然。そうでしょう?」

ロン「言うまでもなかったか、もちのロンでね」

402 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/31(金) 12:31:43.90 ID:zd1NH8dG0

地下牢教室 廊下

マルフォイ「試験の出来で物を言うのは、知識じゃぁないのさ」

パンジー「どういうことなのあぁドラコ!聞かせて頂戴えぇドラコ!」

マルフォイ「問題なのは誰を知っているか、なのさ。ところで父上は魔法試験局の局長とは長年の友人でね――」

クラッブ「ウホ」

ゴイル「ウホウホ」

マルフォイ「グリゼルダ・マーチバングス女史さ。そういうコネっていうのが、結局は社会に出てから――うわぁああああ!?な、なんだ!?ぼ、僕のローブがぁああああああ!?!?」

パンジー「きゃ、きゃああああああ!?ドラコのローブに青い炎がぁ!」


ハニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「本当かしら、マルフォイが今言って――」

ハニー「ハーマイオニー。あの火、あなたお得意の携帯式瓶詰め炎にそっくりだと思うのだけれど」

ハーマイオニー「なんのことやらまったく全然少しも分かりかねるわ。それで、マルフォイが今言ってたことって……」

ロン「割と手段選ばないよな君……さぁね。でも、僕らにはどうしようもないだろ?」

ネビル「本当じゃないと思うよ。だって、グリゼルダ・マーチバングズって僕のばあちゃんのお茶のみ友達だけど、一度もフォイなんて言ったことないもの」

ロン「ホラ吹きにまでなっちまったかマルフォイの野郎」

ネビル「やめてよホラ貝吹きとして我慢できないよ」

ロン「君いつの間にかすっかり定着しちまったなぁ」

ハーマイオニー「ネビル、マーチバングズさんって、どんな人なの?厳しい?」

ネビル「ばあちゃんに似てる、って言えば分かるかな……ほら、病院で会ったろう?」

ハニー「……えぇ、そうね。厳しいけれど、しっかり見守ってくれる人。そういうことね」

ネビル「……ありがとうハニー。ばあちゃんが喜ぶよ」

ロン「あー、ハゲタカの帽子を送るのは勘弁してくれよな」

ガチャッ

スネイプ「入りたまえ――」

ハニー「……」

スネイプ「――ウィーズリー、このゴミを捨てておけ」

ロン「あ? なんだこれ、紙の束……?こりゃ手紙だね、多分」

ハニー「……!リーマスと、私からの……!」

ハーマイオニー「クシャクシャにされてるわね……本当にあなたに教える気はない、ってことかしら」

ハニー「……そういう、ことでしょう。なによ、せっかくこの私が、わざわざペンを……あら?」

ロン「どうしたんだいハニー!ところでこのハニー直筆の手紙は僕ことヤギー・ウィーズリーが食べて良いのかな」

ネビル「! ず、ずるいよヤギー!」

ハニー「えぇ、そうさせてあげるわ……でも、この手紙。どうして『G』の文字だけ、くりぬかれてるのかしら……?」

404 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/31(金) 12:52:04.41 ID:zd1NH8dG0

金曜日

『変身術』

ザワザワザワザワ
 ガリガリガリガリガリガリ

マクゴナガル「ここに書きましたのが、OWL試験の時間割です。みなさんのOWLは二週間かけて行われます」

ロン「わぁ、死なす気だ。マー髭」

マクゴナガル「物騒なことを言うんじゃありません、ウィーズリー。一日一教科にすることで負担にならないようにという処置です。なんなら、あなたは一日三教科ほどうけて早めの学期末を過ごしますか?」

ロン「学校生活自体が終末を迎えそうですごめんなさい。続けてください、先生」

マクゴナガル「よろしい。午前中は理論に関する筆記試験、午後は実技です。ただし、『天文学』の実技はもちろん夜に天文塔で行われます。それ以外は規定の時間に、大広間の特設された試験場です」

マクゴナガル「一応警告しておきますが、試験中配られる羽ペン、試験用紙にはあらゆるカンニング対策がなされています。試験局の目を欺くことができると思わないように。それでも毎年一人は不正を行います……嘆かわしいことです」

ハニー「……ぺティグリューもあの時見つかって退学になればよかったのに」

マクゴナガル「我が校の、新しい――校長は」

ロン「靴の底にへばりついたチューインガムを見てるような顔しれた」

ハニー「言いえて妙ね、えぇ」

マクゴナガル「今年はカンニングは厳罰に処す、ここを追われてからも真っ当な道を歩けると思うな、とみなさんに伝えるようにおっしゃいました。もちろん、みなさんの成績次第でご自分の新校長体制の世間的評価が決まるからです」

マクゴナガル「みなさんはそんな戯言を歯牙にかける必要はまったくありません。ご自分のことだけを考えてベストをお尽くしなさい。みなさんは自分の将来を考えるべきなのですから」

ハーマイオニー「はい、先生!」

マクゴナガル「なんです、ミス・グレンジャー」

ハーマイオニー「試験の結果は、いつ分かるのでしょうか」

マクゴナガル「七月中に、ふくろう便がみなさんに送られます」

ロン「そりゃよかった。夏休みまでは、ママの拳がハニー色に染まることは無いってわけだ」

ハーマイオニー「物騒なたとえに使わないで」

406 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/31(金) 13:14:14.66 ID:zd1NH8dG0

日曜日 夜

大広間

ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ

ハーマイオニー「実体的呪文の定義――うるさいわね、もう。黙っていてくれないかしら……」

ロン「君こそ、夕食の時くらい本から手を放せよな、まったく。ちゃんと食べないと、眠れなくなるぜ」

ハニー「なぁに、ハーマイオニー。ふふっ。食べさせてほしいの……?」

ハーマイオニー「そ、そんなこと、あ、ありはする、けど……あっ!」

ロン「つづけて……うん? おっ、連中かな?」

ハニー「大広間に、魔法使いの集団が入ってきたわね。えぇ、きっとあれが」

ハーマイオニー「試験管だわ! あぁ……アンブリッジが、随分と低姿勢ね」

ロン「もとからずんぐりカエルなのに滑稽だね、ありゃ。あのババァが人に媚びるのは拝んでみたいもんだね……近くに行ってみようか?」

ハニー「えぇ、そうしましょう。試験の前に、少しはスッキリしたいもの」


アンブリッジ「ようこそおこしを、ようこそ、マーチバングス教授!あぁ、お会いできて光栄ですわ!道中は――」

マーチバングス「あぁ、順調だとも!旅はなーんの障害も無く順調だったさ、もう何度も来とるんだからね!あんたがおらんくたって!」

アンブリッジ「そ、それはようございましたわ。おほほ――」

マーチバングス「ところで!このところダンブルドアからの便りがない!どこにおるのか、皆目わからんのでしょうね?え!」

アンブリッジ「わかりません……そこの三人!夕食が終わったのなら早くお帰りなさい!」


ハニー「ごめんなさい、『先生』 さぁ、ロン。早く靴紐を結びなさいな」

ロン「ごめんよハニー!ヒンヒン!でもなんでだか、靴紐が指の間をすり抜けっちまうんだ!マーリンの髭!」

ハーマイオニー「――」


アンブリッジ「〜〜っ、オホン。あー、ですが魔法省は、まもなく彼の居場所をつきとめると思いますわ」

マーチバングス「さて、そりゃぁ無理だろうね。ダンブルドアがみつかりたくないのなら、まず無理さ。わたしにはわかりますよ、なにせわたしが『NEWT』であの子の『変身術』と『呪文学』の試験管だったのだから。あれほどまでの杖使いは、これまで見たことがなかった」

アンブリッジ「あぁ――まぁ」


ロン「あのばあさん、いくつなんだろ」

ハーマイオニー「さぁ……ダンブルドアに、あの子、って」

ハニー「……命の水でも、飲んでいるのかしら」

407 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/31(金) 13:32:10.44 ID:zd1NH8dG0

月曜日

玄関ホール

ザワザワ……
 ペラッ、ペラッ

ハーマイオニー「ブツブツブツブツブツブツ……」

ロン「……ハーマイオニーの教科書を捲る手と文字を追いかける目、早すぎてぼやけて見えるぜ」

ハニー「いよいよだもの。この私だって、少し緊張するわ。少し、ね」

ロン「あぁハニー、そうだねハニー!ヒンヒン!この震えはあれだよ、僕の緊張の方のあれで」

ハニー「ロン」

ロン「ヒンヒン!なんだいハニー!」

ハニー「……その、犬って書いてあげましょうか?」

ロン「……今はその優しさが痛いよハニー。ありがとうハニー。頑張るよ僕ぁ」

ガチャッ

マクゴナガル「みなさん、静粛に。五年生から先に入ってもらいます。グリフィンドール生、お入りなさい」

ガヤガヤガヤガヤ

ハニー「……あの記憶で見たのと同じ。たくさんの小机が並んでるわね」

ハニー「……今は考えない。あのことは、今は」

ハニー「……ふふっ。そう思ってるのに、私が座るところ。パパと同じ位置だわ。偶然っていやね、もう」

マクゴナガル「みなさん、席につきましたね? よろしい。試験時間は今から二時間。羽ペン、インクは机に置かれているものをお使いなさい。試験中、何かあったら手をあげること。カンニングは厳禁……それでは」

カタッ

マクゴナガル「始めてよろしい」

バサバサッ、ガタガタッ
 ガリガリガリガリ

ハニー「……(ハーマイオニーったら、もう書き始めてるわ)」

ハニー「……(頑張ってね、二人とも……頑張れ、わたし)」

パサッ

ハニー「……」


(a) 物体を飛ばすために必要な呪文を述べよ
(b) さらにそのための杖の動きを記述せよ


ハニー「(……ふふっ)」

ハニー「(今度は偶然に、感謝しなくっちゃ。それに、クィリナスとトロールにも、ね)」


ガリガリガリガリガリガリ……

410 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/31(金) 14:00:25.95 ID:zd1NH8dG0





ハーマイオニー「あぁ、やっぱり。やっぱり『元気の出る呪文』が出たわ……私、十分に記述できたか自信が」

ロン「おいハーマイオニー、承知のはずだぜ。終わった試験のことを一々復習するなよ……マーリンの髭」

ハニー「落ち込んでられないわよ。次は、実技ね……実技」

ハーマイオニー「……平気よ、ハニー。たくさん練習したもの、もう本番で間違えることも……きゃぁ!?」

ハニー「なんのことかしら、私はそんな心配はしていないわよ?でも、そうね。ハーマイオニー?最後に少し、練習に付き合ってくれないかしら……?」

ハーマイオニー「あっ、そんな、ハニー、練習、なんて、そんな、これなら毎晩、あぁ、せめて、空き教室で……」

ロン「つづけて!」

フリットウィック「名前を子から中にはいって、試験管のところまで――どうぞ!!!ヒンヒン!」





試験管「こんにちは、ポッターさん。試験管のトフティじゃ――有名な、ポッターさんかね?」

ハニー「えぇ、そうね。地上余すところ無く」

トフティ「ほっほ、それは頼もしい」


マルフォイ「ふんっ、粋がって失敗すればいいんだ――」

マーチバングス「余所見をするんじゃありません!集中なさい……あー」

パリーンッ!


ハニー「……いい気味だわ」

トフティ「安心なさい、しっかり集中すればあぁはならん。さっ、まずはこのワイングラスを。自分の頭より上でクルクル回転させてもらえますかな」

ハニー「……『ウィンガーディアム・レビオーサ』!」


411 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/31(金) 14:05:26.14 ID:zd1NH8dG0



ロン「……僕、明日の変身術はちょっとだけ自信あるよ」

ハーマイオニー「……す、すごいじゃない。ディナー用の大皿が、大茸に変わるなんて」

ロン「あぁ、すごいお間抜けだよな。おまけにそれが元に戻らないなんて」

ハニー「元気出しなさい、ロン。私も、変色と成長を混同して、ネズミが一度アナグマくらいの大きさになってしまったわ。やり直したから、平気だとは思うけれど……」

ロン「まぁね、君における失敗なんてそんなの新たな正解だもんな。もちのロンで」

ハーマイオニー「不正以上の大問題だわ……さ、そんなわけで」

ロン「あぁ、少しやす――」

ハーマイオニー「明日の『変身術』の復習よ。取替え呪文や消失出現見直しておくべきものはいくらでもあるわきっと理論の方は取替えが重要で消失はむしろ実技で問われると思うのでもやっぱり理論ももう一度理解しておけば呪文の成功率も――」ブツブツブツブツ

ロン「……これが、二週間?」

ハニー「……私の下にいるためと思って、がんばりなさい」フーッ

ロン「ヒンヒン!俄然やる気さハニー!ヒンヒーーーン!」

413 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/31(金) 14:27:58.75 ID:zd1NH8dG0





木曜日

午後

ハニー「……一昨日の『変身術』と昨日の『薬草学』は、小さなミスがあったけれど。今日は」

ロン「あぁハニー!君のおかげだよハニー!僕、始めて筆記試験中にペンを転がさずにすんだよ!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「あなた羽ペンで何を決めようっていうの!? とにかく、DAで実践をしていたおかげで理論もばっちりだったわ。ねぇ、ハニー。このまま実技も」


アンブリッジ「〜〜〜・〜〜〜、〜〜〜・〜〜〜、それに、ハニー・ポッター!お入りなさい!」


ハニー「呼ばれなくったって。あら、『先生』。私の『O・優』を取るところを観たいのかしら」

アンブリッジ「出来れば無様な姿の方を拝みたいものですわねぇ。トフティ教授のところへお行きなさい、さぁ早く!」


トフティ「またお会いしましたな、ポッターさん」

ハニー「ハァイ、教授。えぇ、よろしくお願いするわ」

トフティ「よろし。さぁ、まずは逆呪いを。それから、後でこの洋箪笥の中にいる、ある生き物を退治てもらいますぞ」

洋箪笥 ガタガタガタガタガタ!

ハニー「あら……ふふっ。つくづく、おあつらえ向きね」


試験官「それではミスター・マルフォイ、構えて。開けますぞ……そーれ!」

マルフォイ「フォイ! さぁ、なんだ!?バンシーか!それともまね妖怪でも――」

ピーブズ「マルマルフォイフォイマルマルォっフォッフォーーーーーーーイ!!!」バッシャァァァアアア

マルフォイ「あっつあああああぁぁああああああああ!?!?!?!?」






トフティ「すばらしい!ポッターさん、全て完璧!『まね妖怪』もしっかりあなたに跪いていますな!」

真似豚『ブヒィ!ブヒィ!』

ハニー「当然ね、私だもの」

トフティ「これはこれは、ふむ。ところでポッターさん?わしの親友のオグデンから、君は守護霊を作り出すことが出来ると聞いたのじゃが――特別ボーナスはどうじゃ?」

ハニー「……えぇ、いいわ。――『エクスペクト・パトローナム!守護霊よ来たれ!』」

パッ!

パカラッパカラッパカラッ

オォオオオオオオオオオ!

アンブリッジ「……っ」

トフティ「ブラーーボーーーー!ブラボーーーー!おぉ、なんと雄雄しい牡鹿!これはこれは――」

守護霊『それはそうさ、この僕の娘なんだから。さぁ、『O・優』に違いないだろうね?え?』

ハニー「黙って――あれを見たからかしら、また言動が悪化したわね、もう」

415 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/31(金) 14:46:27.72 ID:zd1NH8dG0

金曜日



ロン「あぁハニー!コマの都合で今日は君と一日休めるなんて僕ぁすっかり本調子だよハニー!ヒンヒン!」

ハニー「当然ね、病も何もあったものじゃないわ……ハーマイオニーの『古代ルーン語』はそろそろ終わるかしら」

ロン「どうだろうね。ありゃぁ実技がないから確かにそろそろだと思うけど……あーぁ、休むついでに飛べたら気持ちよさそうな空なのになぁ。ハニーを背中に乗せて」

ハニー「頼もしくなったわね、ロン……校庭の端で、ハグリッドが授業してるわ」

ロン「うん? あ、そっか。五年生と七年生以外は今はまだ学期中なんだもんね、うん」

ハニー「あれは、何かしら……一角獣、のようね」

ロン「ハグリッドもしっかりやってるよな。やっぱりこの分なら、クビは……お?」

ハーマイオニー「……終わったわ」

ロン「やぁ、どうだったんだい――あー、できればハニーの方をみて機嫌をなおしてから喋ってもらえると」

ハーマイオニー「機嫌!?すこぶるいいわよ!午後丸々ハニーの過ごせるんだから! それでも、ひとつ訳し間違えたことに変わりはないわ! エーフワズは協同で、防衛じゃないのに……私、アイフワズと勘違いしたの!」

ロン「そりゃ……まぁ、うん。災難だったね。でも、たった一箇所だろ?」

ハーマイオニー「その一箇所が合否の分かれ目になるのかもしれないのよ! それに、それだけじゃないの!」

ロン「なんだい?反吐を屋敷しもべ妖精福祉振興協会とでも訳しっちまった?」

ハーマイオニー「反吐が止まらなくするわよそれ以上言うと! アンブリッジの部屋に、またニフラーが入れられたそうよ!アンブリッジがもの凄い剣幕で――足を食いちぎられそうになった、って」

ロン「いいじゃん」

ハーマイオニー「よくないわよ!いい!?アンブリッジは、前回ニフラーを入れたのはハグリッドだと思ってるのよ!?」

ハニー「……ハグリッドは今、授業中だわ。今度のことまで、ハグリッドのせいには……」

ハーマイオニー「あら、ハニー!たまにとってもお人よしね!あの女蛙がそんな証拠を聞き入れるとでも思う?」

ハニー「……いくらでもでっちあげるわね、えぇ」

ロン「試験で大変だってのに、山ほど心配かけさせてくれるよな、まったく。小山の如くね」

418 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/31(金) 15:01:15.38 ID:zd1NH8dG0

月曜日

午後

マーチバンクス「――試験は終了です。大鍋から離れて」

ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ

ロン「スネイプの野郎がいないとさ、魔法薬作るのってこんなに楽しかったんだね。新発見だよ」

ハーマイオニー「あー、それは言えるかもしれないわ」

ハニー「嫌な視線も、最近のことも忘れられるものね。えぇ、集中できたわ」

ロン「そうそう。おかげでドクツルクサを刻む時に軽快にできたよ」

ネビル「うん、うん!緊張しなかったから、アルマジロの胆汁もゆっくり注げたよ!ハニー!」

ハーマイオニー「……ロン、今回の薬にドクツルクサは使わないわ」

ハニー「……ネビル。アルマジロの胆汁は、確か一気に入れて攪拌させるはずよ」

ロン「」

ネビル「」

ハニー「……大丈夫よ、あなたたちだもの。その他がちゃんと出来ていれば、高い点とまでは言わなくても落第は間逃れられるわ……多分」

ネビル「ありがとうハニー……君は天使みたいに優しいね」

ロン「ちがうだろ女神だろ……と、ともかく残りは、あとたった四つだ!」

ハーマイオニー「……たった!?気楽でいいわね、えぇ!私なんか一番手ごわい『数占い』があるっていうのに!」

ロン「あー……あー、うん。そうだね、うん」

ハーマイオニー「もう、もう……どきなさいよフォイフォイ!また燃やすわよ!!」


マルフォイ「だから、マーチバンクス教授は僕の方をほとんど見なかったろう?それはこの科目で僕が『O・優』を取るのがあの人と父上の間で決まってるからで――な、なんだグレンジャー!?こわ、も、燃やす!?!?」


ネビル「……ロン、いいの流しちゃって」

ロン「ハーマイが取れたら流石に止めるさ、あぁ」

ハニー「早く試験が終わって、大人しいハーマイオニーに戻ってほしいわ」

ロン「まだそれ見たことないなぁ。マーリンの髭」

420 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/31(金) 15:13:11.47 ID:zd1NH8dG0

火曜日

放課後

ロン「『魔法生物飼育学』は、まぁ、そこそこだったかな……ちょっと火蟹に焼かれっちまったけど。マー髭」

ハーマイオニー「あれでちょっとと言えるあなたがびっくりだわ……ハニーはなんともなかったの?」

ハニー「えぇ。ナールもボウトラックも、可愛かったわ……あら」


 ハグリッド「……」


ロン「小屋の窓から、ハグリッドが覗いてら。普通に出てきて声かけりゃいいのにさ、水臭い」

ハーマイオニー「気を使ってるのよ、きっと。手を振ってあげましょう?」

ハニー「えぇ、そうね……お礼もこめて」

ロン「お礼?」

ハニー「えぇ、私にあたった火蟹、あれ、爆発豚の親戚だったようだもの」

ハーマイオニー「あぁ……道理でどこからかヒンヒンって聞こえたはずだわ」


 ハグリッド「! 〜〜〜!」ブンブンブン! ガシャンッ!


ロン「お、気づいた。ハハハ、嬉しそうに振り返してら。何か壊れる音がしたけど」

ハニー「……いい人だわ、ハグリッドは」

ハーマイオニー「……心配はさせられるけど。ええ、とっても」

ハニー「……いなくならないわよね……ハグリッド?」

422 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/31(金) 15:28:03.18 ID:zd1NH8dG0

水曜日



ロン「……ふぁ、ぁ〜あ。マーリンの髭……『天文学』の実技かぁ」

ハニー「午前中の筆記は上手くいったもの。ここで落とさないようにするわ」

ハーマイオニー「ハニーは割りと得意よね、『天文学』」

ハニー「……趣味よ、趣味。そうね、散々だった午後の『占い学』よりはよっぽどマシだったわ」

ロン「ありゃ落第する運命だったんだよ、うん。僕さ、水晶玉にひどいあばた面の男が見えたんだよ。それで、そいつのことを事細かに説明して、やったぞ!って顔をあげたら」

ハーマイオニー「……どうなったの?」

ロン「お察しの通り。ひどいあばた面の試験官本人が顔を真っ赤にしてたさ……マーリンの髭」

ハニー「でも、これでもう辞められらるじゃない。あの駄馬に会わなくていいと思うと気が楽だわ」

ロン「あぁ、それに今後はお茶の葉が『ロン!氏ね!そこ変われ!!』って言ってても やだねっ!ってゴミ箱に捨ててやれるよ」


トフティ「みなさん、望遠鏡の準備はよろしいですかな?正座図はいきわたっておるかのう?ふむ、いいようじゃ」

マーチバンクス「えぇ、それじゃ――はじめ!」

バサバサッ キリキリッ
 ガリガリガリガリ





ホーッ、ホーーッ、ホーーーッ

ハニー「(……すっかり、真夜中ね……あれから一時間、といったところ?)」

ハニー「(オリオン座は……これでいいわ。今度は、金星を――)」

ギィィィッ……

ハニー「(……? 何の音かしら、遠くから……今のは、正面玄関……?)」

ハニー「(……こんな時間に、どうして――五、いいえ。六人ね。人が、校庭に)」

ハニー「(……芝生を横切っていくわ……顔なんて全く、見えないけれど)」

ハニー「(あの先頭を進んでる、ずんぐりした、影は……)」

トフティ「オホン、ポッターさん?順調ですかな?」

ハニー「! えぇ、上々だわ。お世話様」

トフティ「それはよろしい。あと一時間、頑張りなさい」

ツカッツカッツカッツカッ

ハニー「……」

ハニー「(あの集団は、どこに……)」

ハニー「(……あっ)」

ハニー「(ハグリッドの……小屋)」

424 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/31(金) 15:45:58.44 ID:zd1NH8dG0

ハニー「……」

ハニー「(間違いなくアンブリッジの引き連れていた集団は……ハグリッドの小屋に、みんな入っていったわ)」

ハニー「(何を、話しているのかしら……何を、するつもりなのかしら)」

ハニー「(乱暴はしないで……ハグリッドは、もう、あんなに怪我をしてるのに)」


バ ウ ア ウッ!!!
 バ ウ ワ ウッ!!! バ ウ!!!

ハニー「! 今の……ファングの!」

ザワザワ……ザワ

トフティ「みなさん、試験中ですぞ。さぁ、星座図に続きを。えぇ、星座図に。間違っても正座図でなく」

マーチバンクス「ミス・ポッター。試験中は私語を謹んで。さぁ、さ、時間は迫っていますよ」

ハニー「……(そう、今は、試験……大丈夫、ハグリッドは、大丈夫)」

ハニー「(あぁ――金星のことを書いていたのに。間違ってるわ。書き直さなくっちゃ)」

ハニー「(間違えて、火星って――火、星……)」


バーーーーンッ!!!!

 キャァア! ウワッ!
ザワザワザワザワ

ロン「うーんむにゃむにゃ……ハッ!?な、なんだ!?ハニーは無事か!?」

ハニー「っ、私のことはいいの!あっちを!」

ハーマイオニー「あぁ……やめて、やめて!!そんな……!」

ロン「!? は、ハグリッドが、囲まれてる!?なんだよあれ、あの帽子って、魔法省のだろ!?なんで……」


「「「「「ステューピファイ!!!麻痺せよ!!!!!」」」」


ハニー「やめて!!!」

トフティ「み、みなさん静まりなさい!慎みなさい!試験中ですぞ!!」

ハニー「そんなの、そんなのどうだって!ハグリッド、ハグリッドが……あっ」

ロン「……す、すっげぇやハグリッド!失神呪文、真正面から食らってたはずなのに!仁王立ちしてら!」


  魔法使い「大人しくするんだ、ハグリッド!」

  ハグリッド「クソくらえだ、ドーリッシュ!俺ぁこんなところで掴まらんぞ!」

  ファング「バウワゥッ!!!バウッ!!!」


ハーマイオニー「あぁ、ファングまで――あっ!!!!」


  魔法使い「ステューピファイ!」

  ファング「キャインッ!――」

  ハグリッド「!! お前――ファングに、なにしちょるんだあああああああ!!!」

  魔法使い「!? ち、ちが、私はお前に当てるつもり、ウ、うわあああくぁwdrtgyふじこlp;@:@」


ロン「……うっわー……人ってあんなに飛ぶんだなぁ」

428 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/31(金) 15:59:13.76 ID:zd1NH8dG0

ハーマイオニー「ハグリッドが、本気で怒って……やめさせないと、あんなこと、あんなのって!」

ハニー「でも、どう……あぁ、誰かまた、城からハグリッドたちの方に!」


 「何ということを――何ということを!!!!」


ハーマイオニー「! マクゴナガル先生だわ!」


  マクゴナガル「おやめなさい!やめるんです!何の理由があって攻撃するのです?こんな仕打ちを――」

  「「「「ステューピファイ!!!」」」」

  マクゴナガル「――」

ドサッ


キャァアアアア!!

トフティ「!? 不意打ちだ、けしからん!!けしからんぞ!!!」


  ハグリッド「卑怯者!!!!マクゴナガル先生がお前さんらに何をした!!!杖も構えてねぇ相手に、何んてこと、この――」

  魔法使い「ごふっ!?」

  魔法使い「がはっ……!」

  ハグリッド「この――とんでもねぇ卑怯者め!これでも食らえ!これでもか!!」

  魔法使い「ぎゃぁっ!?」

  ドーリッシュ「は、ハグリッド!い、今のは違うんだ!つい、つい勝手に――」

  ハグリッド「うるせぇ!!ファングから離れろ!!」

  ドーリッシュ「ひぃいいい!」

  ハグリッド「ファング、行くぞ。お前さんはよーやった、流石ハニーの豚……おいドーリッシュ!マクゴナガル先生様を城に運べよ、いいな!!!」

  ドーリッシュ「わ、分かった!分かったから、拳を握るのはやめてくれぇっ!」

  アンブリッジ「〜〜っ、なにをしているのです情けない!早く捕まえなさい!!っ、『ステューピファイ!』」

  ハグリッド「!? お、お前さん魔法が使えるのかい?え!?こりゃたまげた、まるで人間みてーだ!」

  アンブリッジ「……きぃいいいいいいいいい!!!待てぇええええ!待ちなさいこの、このぉおおおお!!!!」

ドシンドシンドシンドシン ・・・ ・・・


ザワザワザワ

ロン「……行っちまった」

ハニー「……ハグリッド……ハグリッド……!」

ハーマイオニー「……あぁ、それに……マクゴナガル先生」


トフティ「まったく、なんと、なんと……むっ……あー、みなさん。のこりあと五分ですぞ」


ハニー「……もう、それどころじゃないわ」

430 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/31(金) 16:16:33.22 ID:zd1NH8dG0

談話室

ハーマイオニー「あの悪魔!!真夜中にこっそり、ハグリッドを襲うだなんて!!」

ディーン「トレローニーの時みたいに、誰かに邪魔されるのを避けたかったんだろうね……」

ロン「口出しされないようにな。でも、ハグリッドはよくやったよ。なんで呪文が効かなかったんだろ?ハニーへの想い?」

ハーマイオニー「それはもう強固でしょうけど、巨人の血よ。巨人を呪文で『失神』させるのはとても難しいことなの。でも、マクゴナガル先生は――あぁ――四本も『失神』の光線を胸に」

リー「……にゃん――」

ハーマイオニー「割と本気でぶっ飛ばすわよ」

コリン「先生は、すぐに出て行けたハッフルパフ生が運んでたみたいだよ……明日葡萄を持っていこう」

ハニー「……えぇ、そうね。マクゴナガル先生のところにはお見舞いに行きましょう――ハグリッド……残念で、悔しい、けれど」

ロン「あぁハニー、そうだね。うん、僕の背中を思い切り叩いて解消するといいよ。でもさすがに思いっきりつまむのはちょっといたたたたたありがとう!」

ハニー「でも――アズカバン送りにはならなかったわ。それだけは、喜びましょう」

ハーマイオニー「そうね、少なくとも掴まってはいないことだもの……ダンブルドアのところへ行くのかしら」

アンジェリーナ「でもさ、どうして今更クビにするんだ?最近のハグリッドの授業は、ほんと、良くなってたのに」

ケイティ「そうよ」

アリシア「そうよそうよ」

アンジェリーナ「NEWTの試験でもかなり助かったし、クビにするわけが……」

ハーマイオニー「アンブリッジは、半人間を憎んでるわ。ずっと前から、どんな些細な理由でも追い出そうとしていたのよ。それで、ニフラーを入れたのはハグリッドだということにしたのね」

リー「ゲッ、それ、僕だ……やっちまった」

ハーマイオニー「……」

ロン「ハーマイオニー、気持ちは分かるけど落ち着こうぜ、な、うん、僕の足も振るえっぱなしだけど」

シェーマス「でも、どっちみちハグリッドは追い詰められたんじゃないかな……ダンブルドアに近すぎるし。逆に、今までなんの追求も無かった方が不思議だよ」

ハニー「……その通りね。何より憎むのは……あの人? だわ」

ロン「アンブリッジの奴……レタス食い虫にでも食われっちまえばいいのに。マーリンの髭!!!!!」

431 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/31(金) 16:34:52.82 ID:zd1NH8dG0

木曜日

図書館

ハニー「……最終日なのに、気分が悪いわね」

ロン「僕は君さえいれば最高だけど……まぁ、あんなもんをみせられた後の朝じゃそうだろうな」

ハーマイオニー「幸い、『魔法史』の試験は午後からだわ。気持ちの整理をして、ノートを見返しましょう?」

ロン「……この五年分の、高さにして0・8ネイプくらいあるノートのタワーをかい」

ハニー「その数え方やめなさいってば……ほとんど眠れていないから、文字を読むのも億劫ね」

ハーマイオニー「ね、眠れなかったのは自業自得でしょう?」

ロン「ナニがあったんだろう。ほんと、僕ってなんで女の子じゃないだろ」

ジニー「そしたら私も姉がいて嬉しかったわね。ああ、私のおねぇさまはハニーだけだけど!ヒンヒン!」

ハニー「……ハァイ、ジニー」

ジニー「ハァイ、寝ぼけ眼のハニーステキ」

ハニー「知ってるわ……どうしたの?あなたも、来週から試験でしょ?」

ジニー「それはもう、てんてこ舞いだわ。けどね、ハニーたちのOWLが終わることの方がめでたいじゃない?」

ロン「めでたいなんてもんじゃないよ。僕ぁあと半日もしたら生まれ変わったような気分になってること請け合いさ」

ジニー「でしょう?だから、今日の放課後少しお祝いでもどうかな、って。ホグズミートにいけるわけでもないけど――」

ルーナ「あたしのパパが、あんたにお礼をしておいて、って。少しお小遣いをくれたんだ」

ハニー「あら、ルーナまで……お小遣い?」

ルーナ「うん。あんなに売れて、その後たっくさん投稿が増えたんだって。だから、バタービールとか、お菓子とか。取り寄せておいたんだ」

ハニー「……ふふっ。そう、そんな楽しみがあるのなら、頑張らなくちゃ。そうよね?」

ジニー「意気込むハニーステキ!……と、ところでこの話はこのくらいにしましょう?お菓子って単語を聞きつけたマダム・ピンスがすごい形相でこっちを見てるもの」

433 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/31(金) 17:02:26.54 ID:zd1NH8dG0

午後

マーチバンクス「それでは、始めてよろしい」

ガリガリガリガリガリ

ハニー「(あとたった二時間……眠気になんて負けてられない。しっかり、やらなきゃ)」

ハニー「(これが終わったら、マクゴナガル先生のお見舞いに行って……ロンやハーマイオニー、ジニーとルーナと一緒に)」

ハニー「(悪いことばっかりじゃ、ないわ。さっ……)」

ガリガリガリガリガリ



ハニー「(杖規制法は……小鬼の反乱の原因ではあるが……その他の要因も積み重なり……規制がなくとも、いずれ……)」

ガリガリガリガリ





ハニー「(秘密保護法の違反……確か、吸血鬼が関連したこと……)」

ハニー「(吸血鬼……ふふっ、そういえば前にルーナが、スネイプを吸血鬼だ、とか……)」

ハニー「……」

ハニー「……ハッ! っ!(寝ちゃダメよ、私!続きよ、ほら……秘密保護に違反した、のは……)」

ガリガリガリガリ





ハニー「(国際魔法使い連盟初代最高大魔法使いはピエール・ポナコー……)」

ハニー「(リヒテンシュタインが彼に反対したのは、トロール狩りをやめさせようとした、から……それで)」

ハニー「(それで……あぁ、頭が回らないわ……それで)」

ハニー「……(リヒテンシュタインは、山トロールの被害を前々から訴えて……これね)」

ガリガリガリガリガリ






ハニー「(リヒテンシュタインは、小鬼の陣営と一緒に出席せず……と)」

ハニー「(書けるところは、全部書いた、かしら……)」

ハニー「(暑さと、眠さで……あぁ、そんなこと言ってられないわ)」

ハニー「(時間一杯、やらないと。マーチバンクスさんがひっくり返した、砂時計は……残り……)」

サラサラサラサラッ

ハニー「(……綺麗な砂粒が、下に……キラキラ光って、落ちていくわね)」

ハニー「(光って……落ちて)」

ハニー「……」

ハニー「……スーッ、スーッ」

――――――――
――――――
―――


435 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/31(金) 17:15:24.86 ID:zd1NH8dG0


ハニー『(また……この廊下)』

ハニー『(でも……今日は、行けるんだわ……あの向こうに)』

ハニー『(あの扉の先……棚の奥まで……ついに……行こう、行かないと……)』

バタンッ

ハニー『(円形の部屋……こっちに進んで……)』

バタンッ
 カチッカチッカチッカチッ

ハニー『(何か光るものがある部屋を、通り抜けて)』

ハニー『(あぁ、時間がもったいないわ……速く、走って、走っていかなきゃ)』

バタンッ!

ハニー『(棚が並ぶ、大聖堂みたいな部屋……これの)』

ハニー『(九十、七番!)』

ハニー『(この奥だわ! ここを、進んで――)』

ハニー『(進ん、で……)』


『くっ……ぐっ……』


ハニー『(……突き当たりに……あれは、人?でも、手負いの獣みたいに……苦しんでる)』


『それを取れ さぁ 持ち上げるのだ……俺様は触れることが出来ぬ しかし、お前にはできる』


ハニー『(何、今の声……どこから……この、目の前の人からじゃない……今の……私?)」


『クルーシオ!』

『っあああああっっっぁあああああああ!!!……っ、はぁ、ぐっ』

『さぁ、苦しいのは嫌だろう……ヴォルデモート卿が待っているぞ さぁ、服従するのだ 俺様の言う通りにしろ』

『……殺すなら、殺せ……私はお前に屈さない。絶対に、だ』

『言わずとも、最期にはそうしてやろう だが これまでの痛みが本当の痛みだと思うか? 時間はある――考えなおすといい どうせ誰にも貴様の叫びは聞こえぬ』

ハニー「あ……あぁ……」

『シリウス・ブラック  この 神秘部の奥底九十七番の棚の突き当たりで 精々吼えるがいい――』





ハニー「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁああああああああ!!!!」

ザワザワザワザワザワ

ロン「ハニー!?なんだ、止めるな試験官このやろ!!マーリンの、髭!!」

457 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/31(金) 22:38:48.39 ID:zd1NH8dG0

玄関ホール

トフティ「……落ち着いたかね、ポッターさん?」

ハニー「はぁ、はっ、っ、えぇ、トフティ教授……平気、だから……何でもありませんわ……ただ、怖い夢を。夢、を……みただけ」

トフティ「うむ、試験のプレッシャーじゃな!さもありなん!お若いお嬢さん、さもありなん。さぁさぁ、冷たい水を飲みなさい……大広間に戻るかの?もう時間は僅かしかないが、回答を仕上げなさるか?」

ハニー「いいえ……私、わたし……」

トフティ「そうか、そうじゃな。君の解答用紙はわしが集めておこう。さぁ、医務室までいけるかね?横になっておるんじゃ……」

ハニー「医務室……そう、だわ!医務室に……ありがとう!それ、じゃ!」

トフティ「あぁ、走るでない! まったく、若い子は元気じゃのう。さっきわしに殴りかかってきて椅子に縛り上げたウィーズリーもそうじゃが。羨ましい」




医務室

バターーーンッ!

ハニー「先生!!」

ポンフリー「さぁモンタギュー、口を開けて?違うわ、鼻の穴じゃなくて。口を――ぽ、ポッター!?何事です!?」

ハニー「マクゴナガル先生にお会いしたいの!マダム・ポンフリー!先生はどこ!!!今すぐ、緊急に……!」

ポンフリー「み、ミネルバ?彼女なら、えぇ。ここにはいません……残念ですが」

ハニー「い……いない……?」

ポンフリー「……私の腕が及ばず。言い訳ではありますが、あのお歳で四本もの『失神術』……命があったのが奇跡的なほどです」

ハニー「……先生が……」

ポンフリー「昼日中に一対一で対決したら、あんな連中ごときにミネルバが負けるはずはないのに!ええ!なんという卑怯者たちでしょう……ポッター?」

ハニー「先生が……ダンブルドアもいない……このままじゃ」

ポンフリー「ポッター!?気分が優れないなら、『元気爆発薬』を差し上げますよ?」

ジリリリリリリリリッ

ポンフリー「あら、終業ですわね。そういえばポッター、あなたはまだ試験中では……?」

ハニー「! い、いいわ。私、わたし行かなきゃ。ありがとう……マダム」

ポンフリー「あっ、ちょ――」

バタンッ

ハニー「どう、どうしよう……行かないと……どこに、どこ、って……」

ハーマイオニー「ハニー!!」

ロン「ヒンヒン!あんにゃろ締め付けやがってマーリンの髭!ハニー!一体全体、どうしたんだい!?」

ハニー「! ロン、ハーマイ、オニー……どうしよう、どう、どうすればいいの……シリウスが……シリウスが!掴まって……!」

ハーマイオニー「は、ハニー、その名前……掴まった!?」

ロン「……とりあえず、人気の無いとこにいこう。さっ、ハニー。大丈夫、スニジェット並みに飛ばすからすぐさ、もちのロンで」

459 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/31(金) 23:03:26.18 ID:zd1NH8dG0

空き教室

ロン「『例のあの人』が、神秘部の奥でシリウスに……拷問!?」

ハニー「そう、それで、最後は殺す、って……!」

ハーマイオニー「ハニー、それ、それは、どうやって――?」

ハニー「さっきの試験中……また夢をみたの!あぁ、眠っていたことを怒るのはやめて!」

ハーマイオニー「そんなつもりはないわ!でも、ハニー。そんな場所に――どうやって?」

ハニー「どうやって、なんて、知らないわ!わたしがみたのは……神秘部の、小さなガラスの球で埋まった棚がたくさんある部屋、そこの、九十七番の棚の奥で……シリウスが、シリウスが今にも、あいつに……!!」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「わたし……どうやって、あそこに行けば、いいのかしら……!急がないと、シリウス……!」

ロン「ま、待った。ハニー……行く、って!?」

ハニー「神秘部に行くのよ!シリウスを、助けに!!」

ハーマイオニー「でも、ハニー……」

ハニー「なに、なによ!なんで……どうして二人とも、そんな顔をするの!わたし、わたしは……シリウスは今も……!」

ハーマイオニー「ハニー、落ち着いて聞いて。ヴォルデモートが、今もまだ魔法省に大勢人がいる筈のこの時間帯に……どうやって入り込んだというの?」

ハニー「あいつのことなんて知らないわ!透明マントでも、なんだって!蛇に入ってもいい!どうだって!だって、わたしがいつもあの部屋にはいるときは!いつでも、からっぽで!人なんてどこにも……!」

ハーマイオニー「ハニー!あなたは神秘部に入ったことは一度もないの! 夢よ! ただの、夢――」

ハニー「ただの夢なんかじゃない!!!!!」

ロン「……そうだね、うん。パパの夢なんかは、本当にあったことだった」

ハーマイオニー「あ、あれとは状況が違うわ! ハニー、シリウスはグリモールド・プレイスにいるはずよ?どうしてそもそも、そんな場所に」

ハニー「シリウスを使って、何かを持ち出そうとしていたわ!そう、そうよ……シリウスの弟は死喰い人だった!だから、シリウスに……武器の取り出し方を喋ったのかもしれない……だから、だからシリウスは閉じ込められていて……そうよ!」

ロン「辻褄は……」

ハーマイオニー「合わないわ!まるで合わない!証拠も何もないじゃない――」

ハニー「わたしが!!二人を!!!見たの!!!!」

ハーマイオニー「ハニー! 分からないの!? その夢は辻褄の合わないことだらけだわ……もしも、もしもヴォルデモートが、あなたをおびき出すために見せたただの夢だったとしたら――」

ハニー「ただの夢じゃ、ない!」

ハーマイオニー「あなたの――『人助け癖』を利用するために、見せたのだとしたら――」

ハニー「……なぁに、それ」

ハーマイオニー「……あ……あの……」

ハニー「わたしが……私が!!!誰かのためになにかすることが!!!!そんなに悪い事だって言うの!?!?!?」

ロン「ハニー、違うよ。そういうことを言いたいんじゃないさ、オーケー、うん。僕の背中をマルフォイだと思いなよ、そうすりゃ――痛い!ありがとう!」

464 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/31(金) 23:27:57.12 ID:zd1NH8dG0

ハーマイオニー「あなたのそういうところは素晴らしいわ、ハニー……けどね、けど、ヴォルデモートは、それを知っているのよ」

ハニー「あいつに、私のことを理解されてるなんて思えないけれど!」

ハーマイオニー「覚えてる?秘密の部屋にあなたをおびき出す時、あの人はジニーを連れていったわ。それに……スキャバーズだったぺティグリューも見ていたはずよ。ロンを助けに、先生も呼ばず、叫びの屋敷に向かったあなたの姿を」

ロン「……あんにゃろが話してるのは確かだろうね、うん」

ハーマイオニー「ハニー、お願いだから聞いて頂戴。私は何度も言ったわ。あなたの行動はいつも結果論だ、って。あなたが人を助けようって行動するのはとても良いことなの。いつもいい結果を呼ぶわ――でも、それを利用されたら」

ハニー「シリウスを引っ張り出して、わたしをおびき出そうっていうこと!? それじゃ 放っておいて シリウスが 死んでも――」

ハーマイオニー「違うわ、違うったら! シリウスが神秘部にいるっていう、証拠も無しに動いたら!あちらの思う壺で――」

ハニー「だから何だって言うの!!! もしもほんとだったら――シリウスは!!!死んじゃうのよ!!」



ガチャッ

ハニー「っ、っ!!」

ロン「あぁ、急いで拭きなよハニー。何って、そうだな、怒鳴ってかいた汗とかね、うん。もちのロンで」

ハーマイオニー「だ、だれ……あぁ」

ジニー「あー……あなたたちがいつまでたっても現れないから、探していて……」

ルーナ「そしたら、あんたの怒鳴る声が聞こえたんだもン」

ジニー「そうなの……ハニー、何かあった?」

ハニー「なんにも、ないわ! なんにも……」

ジニー「……あなたのやることにケチはつけたくないし、つけられなけど。でも私、あなたに嘘をつかれるのは、嫌いだわ」

ハニー「……」

ルーナ「――何かやらないといけないんじゃないの。事情は知らないけど。それならさっさと片付けて、バタービールでも飲んでるほうがマシだもン」

ハニー「……」

468 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/31(金) 23:36:12.24 ID:zd1NH8dG0

ロン「いいこと言うぜ、君。なぁハニー、ハーマイオニー。ここで怒鳴りあってても始まらない……この二人に手伝ってもらって、確認しよう。シリウスが本部にいるかどうか。そしたら文句ないだろ、ハーマイオニー」

ハーマイオニー「……えぇ。シリウスを助けるために、なんだってするわ……ハニー、分かって。あなたがシリウスを失いたくないのと、同じくらい……私、あなたを失うのが嫌なの」

ハニー「……怒鳴ってごめんなさい」

ハーマイオニー「……いいのよ。あなたがどれだけ首っ丈かは、一番知ってるもの」

ハニー「……ジニーと、ルーナも。八つ当たりして……」

ジニー「ご褒美だからいいわ、ハニー!ヒンヒン!もっとあたって!」

ルーナ「? あんた怒ってたわけじゃないのに、なんで謝るの? 泣いてただけじゃ――」

ハニー「いいから!  手伝ってほしい事が、あるの。協力してくれる?」

ジニー「もちの」

ロン「僕さ!」

ハーマイオニー「はいはい、兄妹で息が合うこと……それで、どうやってシリウスの安否を確かめるか、だけど……」

ルーナ「シリウスって、スタビィ・ボードマンのこと?だったら、パパが連絡先を知ってるよ」

ハーマイオニー「……謎のロックシンガーのことはいいわ、ルーナ。現実を見させて」

470 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/05/31(金) 23:52:34.94 ID:zd1NH8dG0

アンブリッジの部屋前

ロン「……準備いいかい?えーっと、透明マントかぶってるけど、そのあたりにいるんだよね?」

ハニー『えぇ、いいわよ』

ハーマイオニー『えぇ、いっ、んっ、ちょ、ハニー!不安なのは、分かったから……あ、えぇ!い、イイわ!』

ロン「なんで僕には魔法の眼がついてないんだ……マーリンの髭」

ハーマイオニー『フーッ、フーッ、じ、ジニーと、ルーナも!この廊下から人を追い払いだして頂戴』

ジニー「えぇ。誰かが『首締めガス』をこのあたりにどっさり流した、とでも言うことにするわ」

ハニー『……鮮やかな嘘ね、ジニー。どの双子からの受け売りかしら』

ジニー「ほんと、頼りになる兄をもったものよ」

ルーナ「あたしは、あっちの端に。頑張れぇ、ロナルド!」

ロン「ありがとさん。さぁ、始めるぞ……オフォン」

ドンドンドンッ!!!

ロン「てーへんだ!てーへんだ!!えらいこっちゃえらいこっちゃ!あんたの面とか!!!」

ガチャッ!

アンブリッジ「何事ですのなんて言い草ですの!? おや、ウィーズリー」

ロン「オエッ、アンブ、ウップ、アンブゥェッジ先生!ピーブズが、北塔のてっぺんで暴れまわって大変なんでさぁ!」

アンブリッジ「どうしてあの半巨人口調ですのあてつけですか!? ふぅ〜む、ピーブズが……?いいでしょう!案内なさい、ウィーズリー!」

ロン「へぇ!こっちです!!   うまくやりなよ」

ハニー『……ありがとっ!』

タッタッタッタッタ
  ボテッボテッボテッボテッ

ジニー「……ここの廊下は通れないわよ!向こうを迂回して!どこかのバカが『首絞めガス』を流したの!」

ザワザワザワ

ザガリアス「はぁ?そんなの、どこにも見えないじゃないか――」

ルーナ「あら、それじゃ進んでみたら?あんたの死体が転がってたら、後の人に説明する暇がはぶけるもン」

ザガリアス「ひぃっ!?わ、分かったよ、分かった分かった……」

ザワザワ……
……

ハーマイオニー『……人がいなくなったわね。さっ、ハニー』

ハニー『えぇ……シリウスの、ナイフで……お願い、シリウス……いて頂戴』

カチッ……ガチャッ

473 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 00:12:57.12 ID:KWvlmgUL0

グリモールド・プレイス十二番地

ポンッ!

ハニー「ゴホッ、コホッ……来られたわ……みんなが約束してくれた時間は、五分だけ……その間に」

ハニー「シリウス!」

シーーーーン……

ハニー「あぁ……あっ……今、今頃は、もうお部屋!そうよね、お部屋に……だから……厨房にいないのは……そう、そうよ!それだけ、それだけ、よ!」

ハニー「シリウス!!!シリウス!!!いる、のよね!?シリウス!!!」

ガタガタッ

ハニー「! シリ、ウス?よかった――」

クリーチャー「……ポッターの頭がここにあります」

ハニー「クリー、チャー?なぁに、その手の包帯に……その、勝ち誇った眼は」

クリーチャー「この子はなんでやってきたのだろう、クリーチャーは考えます」

ハニー「っ、そうだわ!今は、あなたはいいの!クリーチャー、シリウス!シリウスはどこにいるの!?呼んできて頂戴!声を、聞かせて!」

クリーチャー「……旦那様はお出かけです、ハニー・ポッター」

ハニー「おで、かけ……どこ、どこに!?どこに行ったの……答えて!!クリーチャー!!!」

クリーチャー「ケッケッケッ……お屋敷の秘密をこれ以上漏らすわけにはいきません。クリーチャーの手はもう包帯も負けません」

ハニー「何を、何言って……神秘部、なの……シリウスは、神秘部に行ったの!?クリーチャー!!!!」

クリーチャー「……旦那様は神秘部から戻らない!!クリーチャーは奥様と二人きりです!あぁ、奥様!クリーチャーめはお屋敷の平穏を取り戻しました!!」

ハニー「この――この!!!――っあぁ!?」

グイッ!

グルグルグルグルグル……


アンブリッジの部屋

ハニー「っ、ゴホッ、ハーマイオニー、まだ時間はあるはずでしょう!?あぁ、でもいいわ!すぐに行かなきゃ――」

アンブリッジ「どこに、ですの?ミス・ポッター?」

ハニー「……な……なん、で……あなたが」

477 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 00:28:47.31 ID:KWvlmgUL0

グイッ!

ハニー「! っ、あぁっ!! 髪、っ、はなし、て!!」

アンブリッジ「今のあなたにわたくしからの質問以外答える権利はありませんわ。こいつの杖をとりなさい、ドラコ」

マルフォイ「フォイ、先生。ふんっ、ポッター。いいざまじゃないか」

ハニー「っ、この……っ、ポケットに勝手に、触らないで……!」

アンブリッジ「二匹もニフラーを入れられたあとで、このわたくしが二度と汚らわしいゴミ漁りの獣を忍び込ませるとお思い?出入り口にはわたくしが部屋から出た瞬間から、『隠密探知呪文』がかけられていますの」

アンブリッジ「まぁ?ピーブズが地下で何か悪さをしているとフィルチさんについさっき聞いていましたから、このウィーズリーの道化が現れたときから何かおかしいと思っていましたんですけどねぇ」

ロン「っ、ごめん、よ。ハニー……くっそ、はなせこの人面ゴリラ!」

クラッブ「ゴアーッ!」

ハニー「っ、ロン!それに……」

ハーマイオニー「はなして、よ!猫臭いわ、あなた!ミリセント・ブルストロード!」

ブルストロード「シャァアアアアアアッ!」

アンブリッジ「優秀な人材が揃っていますでしょ、わたくしの親衛隊は……残りはどうしたの?」

ガタガタッ、バタバタ
 ガチャッ!

ワリントン「暴れるな!おい、そいつはしっかり猿轡かませとけ!いててっ、噛み付きやがって!」

ジニー「〜〜〜っ!!っ!!!っ!!!」

ハニー「ジニー! それに、あぁ、ルーナ……ネビル!?」

ルーナ「――」

ネビル「ンーーー!ンッ、ンニーー!!」

ワリントン「すいません、校長先生。こいつらを捕まえようとしたら、このチビが邪魔したので。一緒に連れてきました」

アンブリッジ「いいでしょう、いいでしょう。不穏分子を割り出す手間がはぶけましたわ……さぁて、ポッター?ミス・ポッター……一体誰と話をしようとしていたのかしら?」

ハニー「……」

アンブリッジ「アルバス・ダンブルドア?あの老人に泣きつくことでもあったのかしら?それとも、半巨人のお友達?あぁ、あれが暖炉があるような人並みの家にいられるはずがありませんわねぇ。それじゃ、ミネルバ・マクゴナガル? おぉっと、オホホ。まだ弱っていて、誰とも話せないんでしたわ」

ゲラゲラゲラゲラゲラ!!

ハニー「っ、この、この……!なんて人なの、なんて……あぁ、人じゃ、ないわ!このガマガエル!!!あなたになんて、私が誰と話そうが関係ないわ!!」

アンブリッジ「ざーんねん、言われなれてますわーぁ! さぁて、さて。素直に言うチャンスを与えましたのに……いいでしょう。ドラコ――スネイプ先生をお呼びなさい」

483 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 01:03:28.72 ID:KWvlmgUL0

スネイプ「……お呼びですかな、校長」

アンブリッジ「えーぇ、スネイプ先生――この状況に何も聞きませんのね」

ハニー「っ、っ……!」

ロン「髭!髭!!」

ハーマイオニー「……」

スネイプ「……別段驚くことではありませんので。して?」

アンブリッジ「えぇ、先生。実は『真実薬』をまた、一瓶お願いしたいんですの」

スネイプ「……『真実薬』? 校長、我輩の手持ちの最後の一瓶を、先日を尋問するという目的で持っていかれたはずですが?」

ハニー「……やっぱり」

スネイプ「まさか、一瓶使ったのではないでしょうな?三滴で十分、そう申し上げたはずですが?」

アンブリッジ「あー、わたくし、少し手が滑りまして……もう少ぉしだけ、調合していただけるわよねぇ?スネイプ、せ、ん、せ♪」

スネイプ「……お望みとあらば。そうですな、成熟するのに満月から満月の期間を要するので、大体一ヶ月ほどいただければ――」

アンブリッジ「い、一ヶ月!?わ、わたくしは今必要なんですのよ、スネイプ先生!ポッターがわたくしの暖炉を使って誰かしらと連絡をとろうとしていた、その現場を押さえた、今!!ここで!!!!」

スネイプ「ほう……先ほども申し上げましたが、この娘が規則違反をすることなど別段驚くべきことではなかろうと思いますがな」

ハニー「……」

スネイプ「こやつときたら、規則を規則と思わず、鼻持ちなら無い高慢さで、校則に従う様子などいままではたと見られることもなく、人の物をも自分のものと思っている節があり、ふざけた眼をしている。あぁ、そうだ。そのふざけた眼でこちらを見るな、ポッター。十点減点」

ハニー「……(気づいて…私がみた夢のこと……お願い、よ……!)」

アンブリッジ「こいつに尋問したいのよ!それには、『真実薬』が必要なの!」

スネイプ「ですから校長、我輩には今手持ちがない、と。ポッターに毒薬を飲ませたいのなら、話は別ですがな――校長がそうなさるおつもりなら、我輩も個人的にお気持ちはよくわかりますので都合しましょう?『目玉が飛び出る毒』なんて……」

アンブリッジ「〜〜っ!あなたは停職です!あなたはわざと手伝おうとしないのです!わたくしには分かります!あぁ、ルシウスがいつもあなたを褒めていたというのに!下がりなさい!」

スネイプ「……お望みとあらば」

ツカッ、ツカッ……


ハニー「――あの人が、パッドフットを捕まえたわ!!!」

スネイプ「――」

アンブリッジ「!? ポッター、いきなりなんですの!?」

ハニー「パッドフットが!あれが隠されている部屋に!あいつと一緒に!!!」

スネイプ「――」

アンブリッジ「パッドフット?あいつ?部屋? スネイプ、こいつはいったい何を言っていますの?」

スネイプ「――さぁ、我輩にはさっぱりわかりかねますな。ポッター、戯言を話したいのなら『戯言薬』を存分に飲ませるが?」

ハニー「っ、っ!!なん、で……なんで……!」

スネイプ「気分が悪い。校長、失礼しますぞ。我輩は何も見なかったし、聞かなかった。そういうことにいたしましょう」

バタンッ

487 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 01:22:42.64 ID:KWvlmgUL0

アンブリッジ「あの人は頼りになると思っていましたのに……せっかく、気持ち悪くとも仲良くしていましたのに……!」

ロン「鏡って知ってるか!マー髭!」

アンブリッジ「お黙りなさいウィーズリー! さて、さて……いいでしょう……ほかに手はありませんわ」

ハニー「手詰まり……最後の、望みだったのに……スネイプしか、いなかった、のに……!」

アンブリッジ「あら、わたくしの心境がわかりますのね、ポッター?それならば、理解できますでしょう?これは学校の規律の枠を超えます……魔法省の、安全のためですわ……」

パシッ!パシッ!

ハニー「……杖を手のひらに打ち付けて、なにを……」

アンブリッジ「……『磔の呪い』なら、舌も緩むかもしれませんわねぇ……?」

ハニー「!?」

マルフォイ「うっフォーーっ!」

クラッブ「ゴアーーーッ!」

ゴイル「ウッホウッホ!」

ロン「な……おい、おいっ!!!この、この醜悪ババァ蛙!!ふざけんな!!ふざけんな!!!!!僕のハニーに!!おい!!」

ハーマイオニー「やめて、やめて! アンブリッジ、先生!それは、違法です!――大臣も、先生に違法な手段をとってほしくないはずです!!」

アンブリッジ「知らなければ、コーネリウスは痛くもかゆくもないでしょう。それに、これは、そう……コーネリウスのためですわ。夏にわたくしがしたことと同じ……コーネリウスは、こいつを追放できると大層喜んでいましたもの……あぁ、あの顔が見れるんでしたら、わたくしは、違法なんて何も……!」

ハニー「この、夏……?  まさか……吸魂鬼をけしかけたのは……あなただったの!?」

アンブリッジ「誰かが行動を起こさなければなりませんの、ポッター」

アンブリッジ「わたくしの周りでは誰も彼も、お前を黙らせたいと愚痴ってばかりでしたわ――お前やダンブルドアを失墜させたいと――行動したのはわたくしだけ!そしてわたくしだけが、あなたたちを追い詰められるのですわ!」

アンブリッジ「そう、今回も!さぁ、覚悟おし――」

ハーマイオニー「やめて!!ハニー、もう、もう白状しないといけないわ!!」

ハニー「絶対嫌!!っ、こんな女の呪いなんか、平気よ!わたし……私は、ヴォルデモートの呪いにだって屈さなかったのよ!?」

ハーマイオニー「だからって、この人はいつまでもあなたを……もう、言って、しまいましょう……ダンブルドアに!!私達の武器ができたんです、って!!伝えようとしていたことを!!!!」

ハニー「そんな――えっ?」

ロン「…………な、なんてことしてくれてんだハーマイオニー!!!だ、台無しだ……もうおしまいだ……」

ハニー「……えっ?」

アンブリッジ「……ほっほぉー……ほっほぉーーーー!?お嬢さん、なーんでもペチャクチャ答えちゃう知ったかぶりのミス・グレンジャー!ですけど今は感謝しますわ!!あなたがたは、なにを!?誰に!?」

ハーマイオニー「言う、全部言うわ!だから、だから、ハニーにひどい事しないで……お願い」

アンブリッジ「えーぇ、えぇ!いいですとも、えぇ! さぁ、杖は下ろしましたわ!あなたとわたくしはオトモダチです!さぁ、お話しなさいな!」

ハニー「……えーっと」

ロン「あぁ、ハニー……言いたいことは、分かるよ。マーリンのひげだよなぁ、ほーんとさ」

492 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 01:43:48.20 ID:KWvlmgUL0

ハーマイオニー「私、たち……ダンブルドアにひそかに頼まれていたの……武器を作ることを」

ロン「……こうなったら、反吐っちまおうよ……通称、『魔法省を木っ端微塵にして乗っ取ってウハウハしてやるんジャー』を、だろ……?」

アンブリッジ「!? な、なんてものを!!なんてものを、あの老害!!!!」

ハニー「……」

ハーマイオニー「だ、ダンブルドアが設計して、後を残して行ったのだけど……それが完成して」

アンブリッジ「それで、それで!?ダンブルドアは今どこにいますの!?え!?」

ハーマイオニー「それは、それは、知らされていないわ――先生の厳しい監視のせいで、私達に……連絡が届くことは、なかったもの」

ロン「ちっくしょう!なんて手際が良くて的確な判断力と統制力なんだ!マーリンのひげ!」

アンブリッジ「ふ、ふっふん、それほどでもありますわ。それじゃ、どこに連絡を?え!?」

ハーマイオニー「ダンブルドアがよく現れそうな場所を、って……『三本の箒』とか、『もれ鍋』とか……それくらいしか、思いつかなかったから……」

ロン「あぁ……僕らなんか、あんたの前じゃ手のひら、いや、水かきの上で踊るオガクズさ……」

アンブリッジ「そうでしょうとも!はっ!なんてバカな子!学年首席が聞いて呆れますわ!」

ハニー「……今いかんなく発揮しているけれどね」

アンブリッジ「それで!?その武器は今、どこかにありますのね!?え?」

ハーマイオニー「ぐすっ……えぇ、厳重に、保管して……」

アンブリッジ「案内なさい!さぁ!そいつをわたくしに……」

ハーマイオニー「あ、あの人たちに、見せたくないわ……!スリザリン生みたいな、人たちに!」

アンブリッジ「あなたに条件が提示できると思って――」

ハーマイオニー「っ、だ、だったら、みんなに見せるといいわ。えぇ、もっともっとたくさんの人を、呼べばいいじゃない!武器は山ほどあるもの――あなたの側についたフリをした誰かが、あなたの目を盗んで武器をつかって、あなたたちを陥れれば!け、結局は私達のしたいことは達成、できるんだもの……!」

アンブリッジ「!? ……っ!」

マルフォイ「いい事聞いたぞ、父上が――な、なんです、アンブリッジ先生?ア、アハハ、あの、早くこいつに案内させましょうよ?ね?」

アンブリッジ「――いいですわ。グレンジャー、あなたとわたくし、それにポッターを連れていきましょう。親衛隊、残りのこいつらをしっかり見張っておくのです。いいわね?」

マルフォイ「……チッ……はい、いや、フォ、いや、はい、先生」

クラップ「ゴアッ」

ゴイル「ウホ」

ロン「あぁハーマイオニー、恨むぞハーマイオニー!!あと一歩だったのに!!!あの武器さえあれば、僕らは!!ダンブルドアは!!!」

ハーマイオニー「っ、っ、ごめん、ごめん、なさい……あぁ、ハニー!」

ギュッ

ハニー「えっ、あの……え、えぇ、ハーマイオニー……だ、大丈夫よ。あなたはあの……悪くないわ」

ハーマイオニー「……ぐすっ、そうよね……アンブリッジの前にはいつか暴かれる、そう、ダンブルドアも……おっしゃっていた、ものね」

ロン「あぁ!あの女はわしらの真の敵にて最強の障害じゃ!そう言ってたもんな!あぁ!もちの彼で!」

アンブリッジ「ふっふん、ふっふーーーん!それほどでも、ありますわーーー!」

ジニー「……」

ネビル「……」

ルーナ「……フーンフンフフ、フンフフフーン♪」


496 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 02:04:00.50 ID:KWvlmgUL0

数分後

校庭


ザクッザクッザクッザクッ
ザクッザクッザクッザクッ

   ボテッボテッボテッボテッ

ハニー「……ハーマイオニー、あの」

ハーマイオニー「シッ……あなたが場所を知らない、なんて態度を取ったら、怪しまれるわよ。ほら、いつも虚勢を張るのは得意でしょう?」

ハニー「だ、誰が。私はいつだって私よ、当たり前じゃない……けれど……いつの間に」

ハーマイオニー「……あなたが、両親の素晴らしい遺産を寮に取りに行ってる間に、よ」

アンブリッジ「コソコソ話すのはおやめなさい! ふっふぅん?遺産?それはなんですの、ポッター?」

ハニー「……この高貴で可憐で儚げで、伝説的で道徳的で家庭的な存在そのものよ」

アンブリッジ「お黙りなさい!戯言はけっこう!早く案内なさい! これは、そう!あの半巨人の小屋に向かってますのね!?」

ハーマイオニー「もちろん、違うわ。ハグリッドが間違って起動させては、困るもの」

アンブリッジ「あぁ――そうですわね。あのデカブツうすのろなら、やりかねませんわ。じゃぁ、一体……?」

ハニー「……生徒が絶対に見つけないところ、入らないところ、よ。『先生』」

ハーマイオニー「……『禁じられた森』です。『先生』」

ザワザワザワザワ……

 ゲーーゲーーゲーーーゲーーーッ!

ピーーィピピーィッ  ウゲーーーェッ

アンブリッジ「あら……あー……そ、そう……あー……そ、それじゃ、あなたがたはそのまま先にお進みなさいな」

ハニー「……杖がないと、流石に暗いのですけれど?」

アンブリッジ「いいえ、そうはいきませんわね、ポッター。生憎と、魔法省はあなたがた二人よりもわたくしの命の方にはるかに高い価値をつけてますもの」

ハーマイオニー「……武器と同じくらい計り知れなさそうだわ」

アンブリッジ「オホホ、そうですとも。さっ、お行きなさい」

502 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 02:34:39.16 ID:KWvlmgUL0

ガサガサガサガサッ
  パキッ、バキバキッ
 ガサガサガサガサッ

ハニー「っ……ねぇ、ハーマイオニー……ちょっと」

ハーマイオニー「なぁに、ハニー……あー、本当に暗くて大変ね。歌でも歌う?」

ハニー「そう、じゃなくって。速いわ、それに、あんまり音を立てて動いちゃいけないわ……この森じゃ、誰が聞き耳をたてているか」

ハーマイオニー「ホグホグワツワツホグホグワツワツおっしえってよー……聞かせたいのよ、もちろん」

ハニー「?」

ハーマイオニー「今に分かるわ……チッ、あの人、まだついて来られているわね」

アンブリッジ「ハッ、ハァ、ハァ、ハァ、お、お待ちなさい!少し、ゆっくり……あぁんっ、もう!お気に入りのローブがひっかかりましたわ!」

ハーマイオニー「! 今よ、ハニー!あの女蛙から離れましょう!」

ハニー「!? ど、どういうこと!? たとえ今逃げても、解決には……」

ハーマイオニー「いいえ、少しだけでいいのよ!そうしたら……」

ガサッ!

マゴリアン「お若いお嬢さんたち、ここは君達の踏み入れていい場所じゃない。そのお御脚で踏んでくれるのなら可……ふぅ。どうしてこんなところへ?」

ハーマイオニー「……ほら」

ハニー「……あぁ……見計らっていたのね、どこかから……そして」

ガサガサッ!

アンブリッジ「お待ち!逃げようとしても、そうは……ひぃっ!?」

マゴリアン「…………ここで何をしているのです、ヒト……?め……!!!!!」

ガサガサガサガサガサガサガサガサッ!!!

 ギリギリギリギリギリッ

アンブリッジ「!? ひっ、ひぃっ!?け、ケンタウルスの群れ!な、何のまねですの!わ、わたくしに弓を向ける、なんて……!」

ハニー「……中々、趣味のいいことするわね、あなたも」

ハーマイオニー「あら、マリエッタの顔のことを忘れたの?」

ベイン「こっちの台詞だこの存在そのものがテロ活動生命体!!うっぷ、なんとひどい!うっぷ、目が腐る!隣のおにゃのこたちをみ、ふぅ……何のまね、はこちらの台詞だと言っている」

マゴリアン「あなたは誰です、ヒト……?よ!何の目的があってこの森の賢者たちを破滅に追いやろうと言うのです!殺す気か!!!我々の下半身もろとも!させるか!うっひょぉスカートだスカートのおにゃのこが……ふぅ。今夜は火星がアレです……」

アンブリッジ「わたくしは、ドローレス・アンブリッジ! 魔法大臣上級次官にしてホグワーツ校長、ならびにホグワーツ高等尋問官です!」

マゴリアン「……魔法省の者……?」

アンブリッジ「そうです、だからお気をつけなさい!おまえたちのような半獣が、ヒトを攻撃すれば――」

ベイン「そちらのおにゃのこに手をだすつもりはない!NO!タッチ!仔馬!これ常識!ふぅ……ですからお嬢さんたち、どうだろう……一瞬、一瞬でいいから」

ハニー「一瞬で蹴り飛ばしていいなら、そうするわよ」

アンブリッジ「その子たちだけではありませんわ!当たり前ですが、わたくしを攻撃しようものなら――法令第十五号『B』に規定されているように『ヒトに近い知能を持つと推定され、それ故にその行為に責任が伴うと思料される魔法生物による攻撃は――」

マゴリアン「ヒトに近い、知能――!?ヒトからかけ離れた外見のあなたが何を言う……!生まれなおして微生物から出なおせ!!!豊満熟れ熟れキャリア魔法省役人に転生してから相手をして……ふぅ。あぁ、なんと愚かな」

アンブリッジ「黙りなさい!!!」

ハニー「……割と賛成だわ」

512 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 03:02:45.19 ID:KWvlmgUL0

ベイン「おまけにヒト……?よ!我々のことを半獣と呼んだか!?」

ハーマイオニー「そうよ!この人たちをそんな風に呼ばないで!」

ベイン「うっひょぉおにゃのこに庇われた……ふぅ。心優しいヒトよ、ありがとう」

ハーマイオニー「……たとえこんなんでも!!」

マゴリアン「我々の知能はヒトに近いどころかありがたいことにはるかに凌駕しているのです、ヒト……?よ。我々は先ほどのあなたの言葉は侮辱だと考える。おにゃのこのスカートの中身の次くらいの事項として考え……ふぅ。もう一度聞こう、我々の森で何をしている?」

アンブリッジ「我々の!?ハッ!聞いて呆れますわ!いいですか、魔法省がおまえたちにある一定の区画に住むことを許しているからこそ、この森にお前たちは住まうことが――ぎゃぁああああああああああああ!?」

ビィン――ッ  ドスッ!!

ハニー「! アンブリッジの頭スレスレに、矢が!」

ベイン「次は中てる。我々の色んな意味で百発百中だ。色んな意味で。ふぅ。さぁ、誰の森だ?」

アンブリッジ「汚らわしい半獣!!!けだもの!!手に負えない動物め!!」

ハーマイオニー「! 言いすぎよ、黙っ――」

アンブリッジ「『インカーセラス!縛れ!』」

グルグルグルグルグルッギチッ!

マゴリアン「――!なにをする!!!わ、私の緊縛初体験がこんな相手nうわあああああああああああああああああああ!!!」

マゴリアーーーーーーーーン!!!
 ウオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

ベイン「同志達よ!!!続け!!!捕らえろ!!!!大丈夫、三秒ルールだ!!三秒たったら隣に渡せ!!!」

アンブリッジ「ぎゃ、ぎゃああああああああ!!放せ、放しなさい!!!わ、わたくしをどうするつもりですの!!やめ、やめて!!乱暴する気ですわね!!その馬のような体d――」

ベイン「生憎だが人外はNO!!!! 若い仔馬の弓の的にでもしよう!!連れていけ!!!」

アンブリッジ「や、やめ、やめてぇええええ!! あああああぁぁぁぁ……!!」

パカラッパカラッパカラッパカラッパカラ……

ハニー「……行ってしまったわ。死ぬ、ことはないでしょうけれど……」

ハーマイオニー「あ、あの……ありがとう。たすかりました……」

ベイン「……さて、残った諸君。協議しよう――ここにいるおにゃのこ二人は、仔馬だと思うか?」

……NO!!

ハニー「……なっ」

ハーマイオニー「え……えっ!?」

ベイン「お嬢さん、あなたは我々を利用しようとした。その策略、まったくもって大人のそれだ。よって我々はあなたをレディと判断し……捕まえて檻に入れて奉ってローアングルから鑑賞会だあああああああああ!!!」

ワァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
 ドンドコドンドコドンドコドンドコ!!!!
ヒュイッ!ヒューーーーーイッ!!!

ハニー「お、お祭り騒ぎしてるんじゃないわよ! 来ないで、この……いい加減にしなさいこの駄馬ども!!!」

ハーマイオニー「や、やめ――」




バキバキバキッ!!

ベイン「? なん――お、お前は――」

グロウプ「ハガーーー!どこーーーー!?」

ハニー「! ぐ、グロウプ!?」

518 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 03:20:45.18 ID:KWvlmgUL0

ベイン「巨人よ、去れ!!ハグリッドがいなくなった今、お前は――」

グロウプ「ハガーーー!」

ベイン「聞け!!お前は我々にとって歓迎されない!くっ!何故ハグリッドにいたのが妹じゃなかったんだ!そうしたら巨人系妹という新しいジャンル……ふぅ。いや、後追いはよくない、後追いは」

ハニー「そういう問題なのあなたたちにとって!?」

ハーマイオニー「グロウプ、さっきから言っているハガー、って……も、もしかして」

ハニー「えぇ、きっと『ハグリッド』って言いたいんだわ……」

グロウプ「ハガーーーーー!……?……ハーニィー?ハーミー?」

ハニー「……え!?!?」

ハーマイオニー「まぁ……な、なんてこと!?お、覚えてて……」

グロウプ「ハグリッドはもしかして、この城を追われてしまったのですか?」

ハニー「」

ハーマイオニー「」

グロウプ「……お気持ちは分かります。ですが、ハグリッドと話し合ったんです。ちょっとバカを演じてたら、あなたがたが私を気にかけてくれるだろう、と……彼を責めないであげてください。あなたたちを騙したくて騙したのではありません、全ては……全ては、弟である…私の、ために……!!!」

ハニー「……この駄馬たちよ」

グロウプ「え?」

ベイン「……やめて」

ハーマイオニー「こ、このケンタウルスたちが!は、ハグリッドを攻撃して、この森に来られないようにしたわ!!」

グロウプ「……」

ベイン「……」

……

グロウプ「・・・ ・・・ ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

ドシーーーーーンッ!!!
 バキバキバキバキバキバキッ!!!

ベイン「は、放てぇええええええ!!弓、弓を!!!矢を、はな、うわああああああああ!!」



ハニー「逃げるわよ、ハーマイオニー!」

ハーマイオニー「や、やりすぎたかしら!?グロウプ、あの人たちを皆殺しにしちゃうんじゃ……!?」

ハニー「平気よ、彼はハグリッドの弟よ!?それに……あれだけ、ねぇ」

ハーマイオニー「……なんだか悔しい」

ハニー「……そしてクラップ・ゴイルは益々悲惨だわ」

527 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 03:35:43.52 ID:KWvlmgUL0

ハグリッドの小屋前

ハニー「あぁ、なんとかアンブリッジの手は逃れられた、けれど!時間を無駄にしてしまったわ……あれから、一体どれだけ……!」

ハーマイオニー「今更だけど、ハニー……シリウスは、やっぱり」

ハニー「っ、そう、そうよ!グリモールド・プレイスにはいなかった!クリーチャーからはっきり、『神秘部』に行ったって聞いたわ!!」

ハーマイオニー「そんな……あぁ、どうしましょう。急いで」

ハニー「っ、そうよ。急いで城に戻って、杖を取り戻して、それに、それにこれからどうやってロンドンに向かうかも考えなくっちゃ……早く、どうにかしなきゃ……!」

ロン「うーん、一応半分はクリアできてるんだけどさ。もちのロンで」

ハニー「きゃぁっ!? ろ、ロン!?」

ハーマイオニー「み、みんな!どう……ど、どうしてそんな傷だらけに!?」

ネビル「たたはったんだ、僕たち。あい、あニー、はーみおにー、君たちの杖」

ロン「拳に蹴りに噛み付きに、そんで、失神光線のどキツイのを二、三発に武装解除術。ネビルは『妨害の呪い』のすっげぇのをかましてくれたぜ。でもいっちばんは、ジニーだな。マルフォイの面をコウモリの鼻くそだらけにしてやった」

ジニー「笑えたわね、あれは。ねぇ、ルーナ?」

ルーナ「息出来なくなるかとおもったもン。アンブリッジは?」

ハニー「あー……えぇ、ケンタウルスの群れに、連れて行かれたわ……無礼な事を言って」

ハーマイオニー「怒って当然よ。それに、呪文を使うなんて」

ジニー「け、ケンタウルスは二人を置いていっちゃったの!?奇跡だわ!流石奇跡が形になって歩いてるハニー!ヒンヒン!」

ハニー「それもあるけれど。丁度、グロウプが来て追い払ってくれたのよ……追い払わせた、だけれど」

ルーナ「グロウプって?」

ハーマイオニー「ハグリッドの弟よ」

ルーナ「あぁ。それじゃきっと、出来た人なんだろうね。お兄ちゃんが、あんな風だから」

ハニー「……言わないであげて」

531 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 03:49:33.28 ID:KWvlmgUL0

ロン「……シリウスは、やっぱりいなかったんだね」

ネビル「……し、シリウスってあのシリウス?シリウス・ブラック?」

ハニー「えぇ、そうよネビル。しっかりなさい、私の豚でしょう? 彼は私の……わたしの大事な家族なの」

ネビル「オーケー!シリウス奪還作戦だね!!ほら貝の準備だ!」

ロン「順応早いなぁ」

ハーマイオニー「……話が進めやすくて助かるわ。それで……ど、どうやってロンドンに行くかだけど……」

ルーナ「全員、飛んでいけば?それしかないでしょう?」

ハニー「……とても冷静な提案をありがと、ルーナ。けれどね、一応言っておくわ。第一に、あなた自身も含めて全員と言ってるわけじゃないわよね?それに第二に、箒を持ってるのは今ロンだけで……」

ジニー「私も持ってるわ!」

ロン「あぁ、だけどお前は来ないんだ!当たり前だろ!!」

ジニー「お言葉ですけど、シリウスのことを心配してるのは私だって同じよ!それに、私はハニーが賢者の石を守った時より三つも上だわ!あと、さっきマルフォイをとっちめたことで私の魔法を褒めたのはだぁれ!?」

ロン「屁理屈言うなよ、マーリンの髭!」

ハニー「……あなたたちまで、巻き込むなんて」

ネビル「僕達、DAでみんな一緒だったよ。それもこれも、『例のあの人』と戦うためだ……ハニー、僕、戦える!君のため……だけじゃない。僕自身のために!」

ルーナ「それとも全部ゲームだったの? ただアンブリッジに反抗したかっただけ? 『あの人』の勢力と戦うため、っていうのはポーズだったの?」

ハニー「もちろん、違うわ!みんな、とっても……」

ネビル「じゃあ、僕達も行かなきゃ」

ジニー「巻き込まれるんじゃないわ、ハニー。私達が、そうしたいの」

ルーナ「そうよ。だってさ、友――んー、なんでもない。それに、飛ぶ手段なら……」


ブルヒヒヒヒヒンッ


ルーナ「ほら――あの子たちがいるよ?」

ハニー「……セストラル……!」

533 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 04:07:05.68 ID:KWvlmgUL0

ハニー「……みんな、本当について来るつもりなのね」

ネビル「もちの!」

ジニー「一番豚だわ!」

ルーナ「うん」

ハニー「……そもそも私、あなた達二人にも一緒に来て、って言った覚え、ないのだけれど」

ロン「おいおいハニー、何言ってんのさ。僕は君の一番の豚だぜ?  君が危ないところにいくのに黙ってられるわけないだろ?」

ハーマイオニー「私、言ったわよ?シリウスのためになんでもするって。あなたのために、なんでも。聞かなかったとは、言わせないわ」

ハニー「……」

ハニー「私……わたしは……怖い」

ハニー「今から向かう先で……わたしの大切な人が、いなくなってしまうかもしれない」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「それに……あなたたちまで。何が起こるかわからない場所に、連れて行くことになってしまう」

ハニー「わたしのせいで……あなたたちに何かあったら、って。怖い。怖くて仕方ない」

ジニー「……」

ネビル「……」

ルーナ「……」

ハニー「……同じような事があった時。もっともっと、わたしに力があればいい。そうも思ったこともあったわ……」

ハニー「でも……分かった。ううん、分かってた」

ハニー「ちっぽけで、弱いわたしに出来ることなんて、限られてる」

ハニー「でもわたしは……あなたたちを信じることだけは、諦めちゃいけないんだ、って」

ハニー「それで、あなたたちの力になるのなら……わたし、信じるわ。あなたたちのこと」

ハニー「……手伝って、くれる?」

ハニー「わたしの、わたしの大切な、お友達……」

ロン「当たり前さ、ハニー」

ハーマイオニー「さ、行きましょう。大切なものは、全部全部。それがあなたじゃない」

ハニー「……うん」

ハニー「もう、誰一人だって……欠けさせない……信じてるわ、みんな」

534 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 04:17:56.27 ID:KWvlmgUL0

上空

ハーマイオニー「は、ハニー!?ほんとに、ほんとに大丈夫なのよね!?私、ちゃんとしがみ付けている!?」

ハニー「えぇ、大丈夫よハーマイオニー!だからしっかり、ココ!このたてがみの部分を掴んで!私が後ろから支えているから――」

ハーマイオニー「お、お願い――って、さ、支えるって、どこ、ちょ、は、ナニ、あ――」


ロン「……なんで僕を支えるのが君なのさ」

ネビル「し、仕方ないじゃないか!セストラルが見えるのはハニーと僕とルーナなんだから!」

ロン「だからってさぁ……マーリンの髭!」

ネビル「ぼ、僕だって出来れば女の子にこうしてたかったよ!なにさ!よーし!」

ブォオオオオオオオオオオオオッ!


ジニー「はぁあぁあ、さっきのハニー可愛かったわ……なにあれ?あれがギャップ萌えってやつなのねあぁぁハニー凄い、流石無限の可能性!」

ルーナ「? いつもあんな風だと思うけど……でも、あれはあたしにも言ってたのかな」

ジニー「うん?どれ?」

ルーナ「友達、って」

ジニー「? それはそうよ。だって、ルーナだってそう思ったから、ハニーを助けるんでしょ?」

ルーナ「――そっかな。うん、そうかもね。あ、ジニー」

ジニー「なに?」

ルーナ「座る位置、もう少し左にしないとそのまま落っこちちゃうよ」

ジニー「で、出来れば今度からは早く言ってね!!」









535 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 04:40:44.96 ID:KWvlmgUL0

ロンドン

フワッ……ストッ

ハーマイオニー「あ、あんなに猛スピードで降下したのに、軟着陸ね……凄いわ、セストラルって。一度も迷った動きもなく、一直線にここまで」

ハニー「ハグリッドの説明は正しかったわね……みんなも降りてきたわ」

ロン「も、もうこりごりだよこんな移動……ハニー見れば一発で回復だけどさこのくらい」

ネビル「み、見えてる僕でさえ辛かったよ……あぁ、ハニーさえいればオアシスだよね、うん」

ハニー「天国の間違いじゃないかしら。ジニー、ルーナ。平気?」

ジニー「えぇ、飛ぶのは好きだもの――あっ!うそ!私も辛いわ!ハニーのおかげでへっちゃら!」

ルーナ「へぇ、こんなとこに入り口があるんだ。それで、これからどこに行くの?」

ハニー「まるで遠足みたいな口ぶりね、あなた……あそこの、電話ボックスにみんな入って。さぁ、急いで」

ロン「これかい? ウッヘー、こーんなに古ぼけたのを入り口に使うなんて、魔法省大丈夫なのかな」

ジニー「きっとまた目を引かないための、とかそういうのでしょ?」

ハーマイオニー「その通りでしょうね……六人入りきるかしら」

ネビル「ギリギリかな……せ、狭いや……ルーナ痛い痛い痛い痛い僕の足踏んでるようわああああん!」

ルーナ「あぁ、ごめんなさい。どうなるの?これ、スモモ飛行船で飛んでいくとか?」

ハニー「そこまでファンタジーじゃないわ……ロン、ダイヤルを回して!『62442』よ!」

ロン「ヒンヒン!オーケーハニー!『821315』っと……」

ハーマイオニー「広いところにでたら覚えてなさい!ひっぱたいてやるわ!」

ロン「じょ、冗談だよ、うん、ごめんよそんな暇なかったね、うん。『62442』と」

『魔法省へようこそ! お名前とご用件をおっしゃってください!』

ハニー「ハニー・ポッター、ロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャー、ジニー・ウィーズリー、ネビル・ロングボトム、ルーナ・ラブグッド!ある人を助けにきたわ! あなたがたが先に助けてくれるなら別だけれど!」

『ありがとうございます。外来の方はバッジをお取りになり、胸につけてお入りください』

カコカコンッ、カコンッ

ロン「へー、こんなのが……『ロン・ウィーズリー、救出任務』 だってさ」

ハーマイオニー「またバッジね……あ!」

ゴウン、ゴウンゴウンゴウンゴウン

ジニー「!地下に潜っていくわ!電話ボックスごと!」

ネビル「すごい!魔法みたい!」

ルーナ「でもきっと、空中要塞みたいなのも持ってるよ。うん。ファッジのことだもン」

ハニー「(大丈夫……あれから、鈍く痛むだけで傷は激しく痛んでない……あいつの感情の高ぶりは感じない……シリウスは、無事よ……大丈夫)」

ゴウンゴウンゴウンゴウン……

545 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 09:31:36.78 ID:KWvlmgUL0

魔法省

ポーン!

『魔法省です。本夕はご来省ありがとうございます』

ルーナ「綺麗なところだね」

ハニー「感想はまた今度にして……誰も、誰もいないわ」

ロン「あー……早めの夏休みかな……それとも、今日はバンディマンの駆除でもするとか」

ジニー「……ロンのフォローになってないフォローは置いておくとしても……なんだか不気味ね。この立派な像もある意味不気味だわ」

ハーマイオニー「……趣味の悪い像だわ。小鬼や屋敷しもべ妖精、ケンタウルスに崇められてる魔法使い……魔法省の象徴ね、まさに。ハニー、これからどこに向かえば……?」

ハニー「あっちのエレベーターよ……さぁ、乗って」

ロン「えっと……神秘部は、九階か」

カチッ

ガタゴトガタゴト ジャラジャラジャラジャラジャラジャラ!

ハニー「……これだけの音が立っているのだから、誰かいるのなら絶対気づくはずだわ。それでも、現れないのなら」

ハーマイオニー「……いよいよもっておかしいわね」

ロン「こんな施設だ、ガード魔ン一人いないのも変だもんな……あー、ここが」

ポーン!

『神秘部です』

ガチャガチャガチャッ

ハニー「……夢でみたのと同じ。細くて長い廊下……それに、黒くて大きい、扉」

ネビル「……ここに入って、いくんだよね?ハニー」

ハニー「えぇ……みんな、用意はいい? 扉の向こうに、誰かいるかもしれないわ……杖は下ろさないで……この扉が、夢の通りだとしたら」

ツカッツカッツカッツカッ……

パッ

ロン「! 勝手に開いた!さてはこの扉、豚だな!ヘイ同胞、気が利くね!」

ハーマイオニー「一生やってなさい」

548 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 09:49:34.58 ID:KWvlmgUL0


ハニー「……夢の通りだわ。円形の部屋、扉がたくさんある、この部屋!」

ジニー「ぜーんぶ、同じような扉ね。特徴も、目印もなさそう……ハニー、次はどこに進めばいいの?」

ハニー「……私が夢で見たときは、入って真正面の扉で……あっ!」

ゴロゴロ……ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!!

ハーマイオニー「! 部屋が……いいえ、壁が、回転してる!」

ロン「……マーリンの髭。入ってきたのも含めてまったく同じ扉が並んでるってのに」

ネビル「……ど、どれが真正面だったのか、分からなくなっちゃったね」

ハニー「……うだうだせずに進むべきだったわ。しらみつぶしに、開けていきましょう。幸い、どんな部屋だったかは覚えているもの」

ロン「12個かぁ。どれから行く、ハニー?」

ハニー「……ここよ」

ギッ……パッ

ハニー「……なんだか水槽がある部屋……はずれみたい」

ルーナ「! アクアビリウス・マゴット!?」

ロン「ぼくのおじさんがなんだって?」

ルーナ「アクアビリウス・マゴットだよ!パパが言ってた、魔法省はこの水蛆虫を繁殖させてる、って――!」

ハーマイオニー「残念ながら違うわ、ルーナ……これ……脳みそ、だわ」

ネビル「……ウェー……な、なんだって、こんなもの……?に、人間のじゃない、よね?半透明だし……違うよね?」

ハーマイオニー「さぁ……とにかく、ハニー。ここは違うんでしょう?」

ジニー「戻りましょう?探検してる暇はないんだし」

ハニー「えぇ……あの円形の部屋に戻ったら、また回転したりしないわよね?」

ハーマイオニー「二の舞は踏まないわ……『フラグレート、焼印!』」

ジューッ!  ×

ハーマイオニー「これで、この扉は確認済みって分かるわ。ね?」

ハニー「……あなたって、時々抱きしめたくなるわね」


ロン「よーし二人とも、この羽ペンでハーマイオニーの焼き印よりでっかく目印のこしてやろうよ。『ヒンヒン』っと」

ジニー「『WWWをよろしく』っと……」

ネビル「『豚団参上』っと……」

ルーナ「『アクアビリウス・マゴットの部屋』だね」

ハーマイオニー「……顔に×印でもつけられたいの?」

551 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 10:09:13.23 ID:KWvlmgUL0

ギッ……パッ

ハニー「この部屋も、少し押しただけで勝手に……今度はなに? 円形劇場、のような……」

ロン「的確な表現だねハニー。真ん中にある、ありゃなんだい……?」

ジニー「石で出来たアーチ……?どうしてこんなものが……さっきからそんなことばっかりね」

ハニー「アーチの中央は……ベール?が掛けられてて、向こう側が見えない、けれど……」

サーッ

ハニー「……風もないのに、動いてる……誰か、誰かいるの!? シリウス……!?」

ハーマイオニー「は、ハニー!気をつけて!」

ハニー「……誰もいない……本当に大きいアーチだわ……このベールは……?」

サーッ、サーーーッ

ハニー「……揺らいでる……どうして……」


ブツブツ……ブツブツ


ハニー「! 誰かの声……誰!?シリウス、シリウスなの!?」

ハーマイオニー「き、気をつけてってばハニー。あんまり近づいては……こ、声?」

ハニー「えぇ、そう!男の人の声……? ロン、ネビルなの!?」

ロン「僕ぁこっちだよハニー!ヒンヒン!」

ネビル「――あぁ、うん。あの……ヒンヒン!」

ハニー「あぁ、誰かこれ、聞こえない?これって、どういう――


『なぁ――見てみな――リリ――僕らの宝物――君に似て――多分――イタイッ!!』


ルーナ「あたしにも聞こえるよ。『あそこ』に人がいるんだ」

ハーマイオニー「『あそこ』って、どういう意味!?こんな細いアーチの間に人がはいる場所はないわ!これは、ただのアーチよ!ハニー――触っちゃ、ダメ!!!」

ハニー「でも――でも、今の声、だって」

ハーマイオニー「ハニー、私達は何のためにここに来たの!?おかしなアーチを見物するため?不思議なベールを捲るため?違うでしょう!?」

ジニー「――シリウス、を。探しにいきましょう?これ、なんだか、あんまり、観ていないほうがいいわ」

ハニー「――シリウス――そう、そうよ。シリウスは、今も……ごめんなさい。戻りましょう……?」

553 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 10:24:49.77 ID:KWvlmgUL0

ハニー「二つ目も、はずれ……次ね」

ギッ……ガチッ

ハニー「……?」

ハーマイオニー「どうしたの?」

ハニー「開かない……鍵が、かかってるわ」

ロン「ハニーが入りたいって言ってるのに拒むなんて、こいつ豚じゃないな。マーリンの髭。ハニー、ちょっとどいてな。ネビル、いくぜ」

ネビル「うん!いっせーの、っせ!!」


バンッ!!! ……


ロン「……ダメだ。ネビルを全力でぶつけてもびくともしない」

ネビル「今、ゴホッ、絶対、ゴホッ、二人でタックルするところだよね!?なんで僕投げられたの!?いいよ!!なれっこだよ!!!」

ハーマイオニー「……ここは放っておきましょう」

ロン「いいのかい?だって、この中だったらどうすんのさ」

ハーマイオニー「ハニー。あなたは夢の中で一度も、鍵のかかった扉を開けるようなことはなかったのよね?」

ハニー「あぁ――そうね。そう、だったらここは違うわ」

ハーマイオニー「そういうこと。『焼印!』」

ルーナ「――この部屋、何が入ってたのかな」

ジニー「じゅげむじゅげむじゃない?多分、正解よね」

ハニー「それじゃ……こっちに」

ギッ……パッ

ハニー「今度は――あっ!!ここ……ここよ!!この、キラキラした部屋!!」

ジャラジャラジャラジャラ
 カッチカッチカッチカッチカッチ
コチコチコチコチコチ カッチカッチカッチカッチ ボーーーン、ボーーーン

ハニー「この音……たくさんの、時計がある部屋だったのね」

556 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 10:52:41.66 ID:KWvlmgUL0

ハーマイオニー「時計、神秘部……ひょっとしなくても、『時』を研究する場所なのかしら……ひょっとするとどこかに、『逆転時計』も……」

ジニー「難しいことは分からないけど、これまでの部屋に比べたらステキよね?みて、この時計――」

ハニー「見物してる暇、無いわ!やっと見つけたのよ、急がなくっちゃ!」

ルーナ「あんたもさっき、アーチで大概だったけど」

ハニー「あ、あれは、重要だったのよ。時計はいつだって眺められるわ、えぇ、私の美貌くらい、うん。さぁ、この扉の、向こう!」

ギッ……パッ

ハニー「! 着いたわ! 棚の部屋……!」

ロン「うわ……すっごいや。天井もこれまでにないくらい、格段に高い」

ハーマイオニー「これまでは首一振りで部屋全体が見渡せたけど……端が霞んで見えないわ。『空間拡張』、それに――」

ジニー「講釈は、今はいいんじゃない?」

ハーマイオニー「――そうね。ハニー、九十七番の列、そう言ってたわ」

ネビル「こっちみたいだよ……あっちが五十三、右が五十四だ」

ハニー「えぇ……行きましょう。杖は構えたまま……ゆっくり。なるべく、喋らないで……」



ツカッツカッツカッツカッ……



ハニー「……(静かだわ)」

ハニー「……(まだ、目的の棚には遠いとは言っても……まるで、なんの物音もしない、なんて)」

ハニー「……(拷問をうけてる、シリウスは――もう、声も出せないくらい、弱ってるって言うの?)」

ハニー「……(それとも……)」

ハニー「っ!〜〜〜っ!!」ブンブンブン!

ハニー「(それなら、私の傷が痛むはず!あいつの感情で、分かるはずよ!シリウスは、無事……決まってる……そうに……そうで、いて……)」



ハーマイオニー「……九十七よ、ハニー」

ハニー「……。シリウスは、一番……奥にいるわ」

ロン「あぁ、ここまで来たんだ。早く助けっちまおうよ」

ハニー「……行きましょう。でも、やっぱりゆっくり……あいつがまだいるかもしれない……ヴォルデモートが」

ツカッ……ツカッ……ツカッ……

ハニー「シリウス……」

ツカッ……ツカッ……ツカッ……

ハニー「……もう、この辺だわ……きっとシリウスは……床に」

ツカッ……ツカッ……ツカッ……

ハニー「……?……? もう、もうすぐ、近いはずよ……だって」

ハーマイオニー「……ハニー」

ハニー「だって、ここで……ここ」

ハーマイオニー「……ここ、もう、突き当たりだわ」

ハニー「……」

ルーナ「争った跡も、何も無いね」

ハニー「それじゃ……ひょっとして……!違う列……」

ハーマイオニー「ハニー。あのね……シリウスは、ここにはいないと思うわ……」

557 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 11:09:08.49 ID:KWvlmgUL0

ハニー「……だって」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ジニー「……」

ネビル「……」

ルーナ「……」

ハニー「私、わたし……ここ……あぁ……」

ロン「……?」

ハニー「……穴があったら」

ロン「ハニー」

ハニー「っ、なに、よ、ロン! 何が言いたいの、言いなさいよ……そうよ、私が、バカで……」

ロン「君がバカなら僕は超ド級の間抜けだけどさ……これ、見たかい?」

ハニー「!なに!?シリウスの――なに、よ……ただのガラス球じゃない」

ロン「うん、そうなんだけどさ。でも、これ――君の、名前が書いてある!」

ハニー「……私の、名前……?」

ネビル「ラベルに、書いてあるね!えっと、十六年前くらいの日付かな黄ばんでて、他のは君の名前以外あんまりよく……えっと……」

ルーナ「――『S.P.TからA.P.W.B.Dへ 闇の帝王そして ハニー・ポッター(?)』」

ハニー「……????どういう意味?」

ジニー「さっぱりだわ……こんなところに、いったいどうしてあなたの名前が」

ロン「僕らの名前はどこにもないぜ。君だけだ、名前の書かれた瓶があるのは。流石ハニー、特別さ」

ハニー「それは、そうだけれど……なぁに、これ……」

ハーマイオニー「……触らないほうがいいわ、ハニー」

ハニー「どうして?だって、これは私に関係があることなんでしょう?  ここまで来て、何も、なかったなんて。それに、これはただの瓶でしょ?」

スッ  パッ

ハニー「……ほら。なにも、起こらない――」




「あぁ、ポッター。よくやった……さぁ、こっちを向きたまえ。ゆっくりとね」


ハニー「!? ルシウス……マルフォイ!?!?」

ルシウス「ご名答。それを私に渡してもらおうか……予言が、この手に納まるフォイだ」

559 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 11:25:43.21 ID:KWvlmgUL0

ザザザザザザザザザザザッ

ハニー「! 周りを……っ、死喰い人<フォイフォイうるさいバカな人たち>!」

ルシウス「失礼な呼び方はやめてもらおうか、誉れ高いデスイーターたちにむかって」

ハニー「どっちにしたって恥ずかしいでしょ!」

ルシウス「黙れ。さぁて、ポッター。何度も言わせるでない。それを私に、よこせ」

ハニー「っ、こんなガラス球ならいくらでも。けれど、答えてもらうわ。シリウスは、どこにいるの!?」

……

ゲラゲラゲラゲラゲラ!!!!

ハニー「!? な、なに……どうして、っ、どうして、笑うのよ!!」

「ハーーーーーッハハハ、アっハハ、ヒャハハハハハアアアhッハははハはアハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \ !!!闇の帝王は常にご存知だ!

ルシウス「常に、あぁ、まったくその通り」

ハニー「っ、どういう意味よ……あなたたちが捕まえているんでしょう!?シリウスは、ここにいる!私には、分かって――」

「ちーっちゃなちーっちゃな赤ちゃんベイビィちゃんのポッティちゃんが、こわーぁい夢をみておっきして!夢がホンモノだと思いまーちた!!」

ゲラゲラゲラゲラゲラ!!!

ロン「……この!!」

ハニー「っ、待って、ロン。何もしないで。まだ……」

「おぉ〜んやぁ?っぷ、あっはっはははははァッっはああああはははあはははは!聞いたかい?この子、いっちょまえに私らと戦うつもりだよ!え!?」

ルシウス「あぁ、ベラトリックス。それこそ、闇の帝王がご存知の、この小娘の『英雄気取り』だ」

ハニー「っ、〜〜っ!シリウスは、どこに――」

ベラトリックス「そろそろ夢とげんじちゅの区別がついてでちゅね〜?ポッティちゃん!!アハハ、ハーーーーッハハハハハハhははああはは八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \!!」

ゲラゲラゲラゲラ!!

565 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 11:48:48.44 ID:KWvlmgUL0

ルシウス「ポッター。我々はできれば穏便に済ませたい。予言を渡せ。さもなくば、杖をつかわねばならん」

ハニー「……使うなら、使いなさいよ。こっちにだって、杖はあるわ……」

ロン「あぁ、六本もね」

ハーマイオニー「勝ったつもりでいると足元をすくわれるわよ。詰めが甘いのは親子揃ってのようね」

ジニー「この中にプルウェット家に関わった人がいるなら、ママに代わって酷いわよ」

ネビル「……ぼ、僕だって、戦うぞ!」

ルーナ「ダンブルドア、軍団だもン」

ハニー「……みんな」

マルフォイ「杖をおろしたまえ。予言を渡せ。そうすれば、誰も傷つかぬ」

ハニー「……ハッハ、ハ、だわ。今度は私が笑う番よ。なんですって?予言?さっきからそう呼んでるわね……これを渡せば、あなたたちが私達に指一本触れずに帰してくれる? 冗談やめなさい!!」

ベラトリックス「『アクシオ、予言よ――

ハニー「『プロテゴ、守れ』!」

バチッ!

ベラトリックス「へぇ……?へぇ〜?やるじゃない、やるじゃぁないやるじゃぁないのさベビー・ポッターちゃん!さぁ、さぁさぁさぁ、いいでしょう。そのつもりなぁ〜、ら〜〜ぁ?」

ルシウス「やめろ、ベラトリックス!やめろといっている!もしもあれを壊したら、どうする!」

ベラトリックス「……チッ。そう、そうそう。説得が必要、そう言いたいわけねぇ口八丁のコソコソルシウスウンコたれ死ねボケ」

ルシウス「……普通に酷い」

ベラトリックス「いいさ、それなら。おいお前、あの赤毛チビを連れておいで。拷問をちょちょいとやればぁ?オトモダチだぁーい好き!なポッティーちゃんも言うことを聞くでしょぉ?」

「ゴアーッ!」

ハニー「させないわ!誰か一人でも危害を加えてみなさい……これを、床に叩きつけるわよ! あなたたちのご主人様はあまり喜ばないでしょうね?」

ベラトリックス「……ペッ!!」

マルフォイ「だから手をだそうとするな、と言ったんだ……ポッター、この状況がまだ分からないか。お前たちは袋のネズミだ、犬死にしようとするでない……おっと、犬は今の君にとって禁句だったか?」

ゲラゲラゲラゲラゲラ!!!

ハニー「……でかい笑い声、卑しい人たちだわ……ロン」

ロン「なんだいハニー!僕のハニー!君のどんな小声だって僕ぁ聞き逃さないさなにせ僕ぁ一番豚!」

ハニー「合図したら……みんなで、棚を壊して。そうみんなに伝えなさい」

ロン「もちのロンさ!」

567 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 12:10:57.20 ID:KWvlmgUL0

ハニー「……バカ笑いは終わったかしら」

マルフォイ「いや、いや。随分笑わせてもらった。楽しい夕べじゃないか。さぁ、あとはその予言を私にくれるだけ、そうだろう?」

ハニー「ふざけないで……さっきから、予言予言って。これが、何の予言だって言うの?」

…………

ハニー「……?」

ベラトリックス「な、ん、の、よ、げ、ん〜〜〜? 冗談、じょーうだんだろう、ポッターぁ?」

ハニー「冗談なんかじゃないわよ。どうして、ヴォルデモートはこの、なんだか予言をわざわざ――」

ベラトリックス「不敵にもその混血の舌であのお方の名前を口にするな!!!!!!!」

ハニー「あら、あいつだって混血よ!!知らなかったの!!」

ハーマイオニー「ぁあっ、ハニー……」

ハニー「そう、ヴォルデモートの父親はマグルよ!知らなかった?そうね、それともお仲間のあなた達の前じゃ、自分が純血だとでも言い張って――」

ベラトリックス「『アァアアアアバァァアアアダァアアアアアア」

ルシウス「やめろ!!!よせ!!クラッブ・ゴイル!ベラを抑えろ!!」

クラッブ「ゴアーッ!」

ゴイル「ウホッ!ウホッ!」

ベラトリックス「はなせぇええ!!こいつ、小娘!!!おまえはよくも!!」

バチバチバチッ!パリンッ!!

 『太陽の詩の時――一つの新たな』

ベラトリックス「平気でそこに――混血、穢れた血め……!!」

パリンッ!!!

 『そうだな――死んでも死なないと約束しよう。僕を誰だと思ってる?君の友人だ、リーマ――』

ジニー「……デタラメに杖から飛び出た呪いが、周りのガラス球やら瓶を壊していってるわ」

ルーナ「予言、って。声が閉じ込められてるんだ。ふーん。記憶かな?どっちでもいいけど」


ルシウス「攻撃するな!予言が必要なのだ!いいな!予言を手に入れるまで、待て!!」

ハニー「あら、やっぱり無事に帰すつもりなんてなかったじゃない」

ルシウス「それは――言葉のあやだ。そして、ポッター。貴様がさっき言ったことも、そうなのだろう?よもや君が、予言のことを知らないなどという道理があるか。小細工はやめたまえ」

ハニー「……知らないものは知らないわよ。小細工? 大掛かりな細工なら、しているけれど」

ルシウス「何を言っているのやら……ダンブルドアが、おまえが額にその傷を持つ理由が、神秘部に内奥に隠されていると話していなかったとでも?」

ハニー「私――えっ???き、傷???」

ルシウス「……えっ」

ハニー「……えっ???」

ルシウス「……本気で言っているのか、ポッター」

ハニー「……本気も何も……ダンブルドアからは、神秘部の『し』の字も聞いたこと、ないわよ」

ルシウス「……もっと早く言えよバカぁあああああああああ!!!!」

ハニー「!?」

ルシウス「どうりで……どうりで……ああっぁああああもう!!!もう!!!!おかげでどんだけ我々が闇の帝王に怒られたと思っている!!分かってるのか!?!?え!?!?!?」

ハニー「……あー」

ルシウス「どうして小娘は来ない!どうして小娘はあそこまでヒントをやってるのに取りにいかない!!お辞儀しろ!!アクロバットにお辞儀しろと何回……分かるか!?この歳でハンドスプリングする辛さが!!!!え!?!?!?!?」

ハニー「……ご、ごめんなさい」

570 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 12:25:57.21 ID:KWvlmgUL0

ハニー「っ、勢いに押されて、謝ってしまったけれど。謝る道理なんてないわよ。教えなさい。どうしてあいつは、私にここに来させたかったの?」

ルシウス「……神秘部から予言を取り出せるのは予言に関わる人物だけだ。他の駒を使ったとき、闇の帝王はその原理に気づかれた」

ハニー「……闇の帝王……私と、あいつに関する予言」

ルシウス「これまで疑問に思わなかったのか?ポッター、どうして闇の帝王はただの赤子に過ぎなかったお前を殺そうとしたのか」

ハニー「……その全部の答えが、ここに……でもそれなら、あいつが自分で取りに来ればいいじゃない。わざわざ私を……」

ベラトリックス「自分で、取るぅ〜う? おつむまでベイビーちゃんのようね、ポッティーちゃん?」

ハニー「あら、ようやく調子が戻ったのかしら。平時で狂ってるけれど」

ベラトリックス「省がめでたくもあのお方のご帰還を無視してくださっているのに、親愛なる従弟に無駄な時間を浪費しているというのに、あの老いぼれムーディが隠居から戻ってきているというのに、わざわざ魔法省に足を運ぶぅ〜?ポーッティーちゃーん、あーたまを、使いましょうねーぇ?」

ハニー「……そう。汚れた仕事は、危険な仕事は、怖い仕事は誰かに押し付ける。とんだ腰抜けね、ヴォルデモートは」

ベラトリックス「――貴様」

ハニー「たとえ本当に腰が抜けたって、私、わたしは、這ってでも進んでやるわ!!今よ!!!」

「「「「「レダクト!!!!」」」」」

ガシャァアアアアアン!!パリィイイイイン!!

 ギャァアアアアアア! うわあああああああ!!

ルシウス「なっ……!?くっ、まて、待て、ポッターぁあああ!!」

575 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 12:51:41.75 ID:KWvlmgUL0

時計の部屋

ハニー「っはぁ、はっ、はぁっ、っ。先に、走っていたはずの……!ロンと、ジニー、ルーナは!?」

ハーマイオニー「きっと、違う扉に入って、しまったんだわ……!あぁ、でも、この扉は閉じていないと!『コロポータス!扉よひっつけ!』」

ネビル「あの三人なら、きっと逃げられてるよ!なんてたってロンがいるんだ、うん!……あ、危なかった。連中、この扉のすぐ傍にいるみたいだ……」


 ルシウス「いいか!ポッターは予言を手に入れるまで傷つけるな!手に入れた後も、ポッターだけは殺してはいかん!後は好きにしろ!!ベラトリックス、ロドルファス、右の扉へ!クラッブ、ラバスタン、左だ。ジャグソン、ドロホフ、正面をいけ。マクネアとエイブリーはあっち――ルックウッドはこっち――マルシベールは、私と来い!以上!行け!!

 ルックウッド「……ど、どこだ!?」

 マクネア「――言われただろう」

 ルックウッド「生憎とお前たちの間柄と違ってルシウスとはツーカーではないのでねぇ!!!」


ハーマイオニー「ど、どうしましょう……今にも、この部屋に……早く戻りましょう!そうしないと」

ハニー「それじゃいつまでも追ってくるわ! ここで、止めなきゃ……」

ネビル「! 机の下に隠れよう!あっちの扉もあけて……そしたら、連中は!」

ハニー「冴えてるわ、ネビル! あとでじっくり褒めてあげる!」

ネビル「ヒンヒン!」

ガチャッ、ガタガタッ

 『アロホモーラ!』

ガチャッ!

死喰い人「開いた……チッ、いない!」

死喰い人2「くっそぉ……まて!あっちの扉が開いている!きっとここを通ったんだ」

死喰い人「よしきた!」

タタタタタタタッ……

「「「『ステューピファイ!麻痺せよ!!」」」

死喰い人「わー!」

死喰い人2「ぎゃーっ!」

ガッシャァアアアアアアンン!!

ハニー「……ほんとに名案だったわ、ネビル」

ネビル「あ、あはは。ここまですんなりいくとは思ってなかったけど」

ハーマイオニー「追うことばかり頭にいって、単純になっているのかしら……頭……あ……あ……」

ハニー「? どうしたの、ハーマイ……戸棚に倒れこんだ、死喰い人……そんな」

ネビル「あ……頭だけが……赤ん坊に、なった……でも、また元に……うわぁ」

死喰い人「オギャァ!オギャァ!オギャ……マーマ、マーマ……おかーさん……かあちゃん……おい、メシ……金よこせよ!ちっ、しけてんな……うるせーな!カッコイイんだよ……ハッ!お、俺はなに……オギャァ!オギャァ!オギャァ!」

ハニー「……」

ハーマイオニー「……『時』なんだわ。この部屋で、守られているのは」

579 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 13:09:09.27 ID:KWvlmgUL0

ハニー「……行きましょう、私達にどうすることもできないわ。死んでしまうわけじゃ、ないでしょうし」

ハーマイオニー「そうだと、いいけど……それじゃ、円形の部屋に戻って……」

ネビル「うん、ロンたちと合流しなきゃ――あっ!」

 死喰い人3「いたぞ!!いたぞ!!!」

 死喰い人4「捕まえろ!!」

ハニー「! こっちの部屋に!」

ガチャッ!バタンッ!

ハーマイオニー「『コロポータ――」

バーンッ!!

「「『インペディメンタ、妨害せよ!!』」」

ハニー「きゃぁ!!!」

ハーマイオニー「あぁっ……!」

ネビル「う、あぁっ!!」

ドンッ、バターーーン!
 バサバサバサバサッ!

死喰い人3「やったぞ!ポッターはどっちだ!?本に埋もれたのか!?」

死喰い人4「いいや、違う!壁に叩きつけられたほうだ! 捕まえたぞ!!この場所は……」

バサバサッ

ハーマイオニー「『シレンシオ、黙れ!』」

死喰い人4「ングッ、ンー、ンンンンーーーーーーー!!」

死喰い人「!? この――」

ハニー「『ペトリフィカス・トタルス!石になれ!』」

死喰い人「」

ハニー「あなたの十八番、借りたわ!ハーマイオニー」

ハーマイオニー「! とっても上手よ、ハニ――」

死喰い人4「〜〜っ、っ!」

ビュンッ! ボワァアアアアアアアアア!!!

ハーマイオニー「!? 無言呪――っあ」

バタッ

ハニー「ハーマイオニー!!!!」

ネビル「ハーマイ……うわっ!!ぐっ、蹴っても、いだぐなんか、ないぞ!」

死喰い人4「――――」

ハニー「……ネビルを踏みつけて、杖を向けて……自分なら呪文がなくてもハーマイオニーみたいに出来るって言いたいわけ?」

死喰い人4「――――」コクコク、クイッ

ハニー「……この予言を渡せば、どいてくれるのね――誰が信じるもんですか!どうせ皆殺しのつもりなんでしょ!?」

ネビル「そう、っだよ。ハニー!絶対、渡しちゃ……うあっ!?」

死喰い人4「――――!?」

死喰い人「マァアアマァアアアア!!ママぁあああああああ!!」

ネビル「さ、さっきの……頭が赤ん坊のまま、抜け出しちゃったんだ」

581 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 13:24:39.33 ID:KWvlmgUL0

死喰い人「マァマァアアア!どぉおおおこぉおおお!おうちかえるぅううううう!!」

死喰い人4「!?――――!」

ハニー「! 隙だらけよ――『ペトリフィカス・トタルス!石になれ!!』」

死喰い人4「」

ネビル「すごいや、ハニー。うぅ、鼻血が……あの赤ん坊、座り込んで泣き出しちゃった。おっさんボディであれは……ないなぁ」

ハニー「おぞましいわね……それより、ハーマイオニーよ……ねぇ、ハーマイオニー……目を覚まして」

ハーマイオニー「」

ネビル「脈は、あるよ……なんだったんだろう、あれ、紫色の、炎みたいな」

ハニー「分からないわ……でも、生きてるなら……よかった。ほんとに……あぁ、ネビル。あなもそんなに怪我……」

ネビル「だ、大丈夫らよ、うん。でも、あー……蹴られた時に、杖が折れちゃった。無事帰ってもばあちゃんに殺される……この杖、パパのだったんだ」

ハニー「……もって帰りましょう。もしかしたら、直してもらえるかもしれないわ。それまでは……ハーマイオニーの杖を使うといいわ」

ネビル「うん……僕がハーマイオニーをおぶるよ。行こう、ハニー。出口はそう遠くない。ロンたちも待ってる。絶対、待ってる」

ハニー「……えぇ、そうね。私に会う前に、無事でいられなくなんてさせないわ――」

ガチャッ

ジニー「っ!……ハニー!ネビル……は、ハーマイオニー!?」

ハニー「ジニー!みんな、大丈夫――」

ロン「あぁ、ハニー……アハハ……ここにいたんだね。なんてかっこしてん髭さ。マーリンののだよ、アハは、ハハハあはは」

ネビル「ろ、ロン……口から、血が!!ロン、ローーーン!?……じょ、冗談にならないや」

ハニー「何があったの……ロンは……」

ルーナ「ロンがどんな呪いをうけたのか、わかんない……天体が浮かんでる部屋で、死喰い人があたしとジニーに何か長い呪詛を唱えて……そんで」

ジニー「ロン、っ、嫌なときばっかり、お兄さんぶるんだから!そういうのは、っ、ハニーのためにとってあげて、よ!!!」

ハニー「……ロン」

ロン「ハハハ、ハニー。ぼく、臭い球をみたぜ?つまりさ、木星、モークセー、ってね。アッハハ、ハハハハアハハアアアハハハハ!!もちのもくせーさ!」

586 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 13:39:15.48 ID:KWvlmgUL0

ハニー「ロンは……動けるけれど、戦えそうにないわね」

ロン「チェスなら任せろ!」

ネビル「……機会があれば」

ルーナ「ジニーも、踵をやられてる。あんまり動けないよ」

ジニー「っ、このくらい平気よ!いいわ、肩なんて!戦える!杖なら振れるもの!」

ハニー「いいから、聞いて。ロンとハーマイオニーを早くここから出さないといけないの。だから――」

ジニー「私だけ、帰れっていうの!?嫌よ、嫌!私も戦う――」


ベラトリックス「へぇ〜〜、おっじょうちゃん、すっごいねぇ。勇ましいいやらしい嫌味ったらしいわかぁい言葉やら足やら心やら見せ付けられてぇ、そぉ〜んじゃお相手してもらおっかなぁああああ!?!?」

ハニー「! ベラトッリクス……逃げて!!みんな!!こっち!!」

ガチャッ

ベラトリックス「逃がすかよぉチビスケェエエエエエエ!!『ステューピファイ!』」

バタンッ!!

バーーンッ!!バーーンッ!!

ハニー「走って!!走って!!みんな……死なないで……お願い!」







590 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 13:58:22.53 ID:KWvlmgUL0





ルシウス「……さて、さて、さて。ポッター……君はよくやった」

ハニー「っ、はぁ、っ、ふーっ、っ、また、勝ったつもりで、いるの? さっきみたいに、出し抜かれるわよ?」

ルシウス「それは怖い。では整理しようか?今、そのアーチの台座近くにいる君たちの……四人は既に意識が無い」

ハーマイオニー「」

ロン「」

ルーナ「」

ジニー「」

ネビル「はぁ、っはぁ、ぅっ、ぅう」

ルシウス「対して我々は……そうだな、息があがっているものこそいれど。ほとんど無傷で、君達を包囲している」

ハニー「……」

ルシウス「もはやこれまで、そうだろう? さぁ、予言を渡せ」

ハニー「わたし、わたしは、どうなったっていい!予言も渡す!だから、みんなを助けて!そうしたら、これを――」

ゲラゲラゲラゲラゲラ!!

ルシウス「ポッター、きさまが取引できる立場だと思うか?我らは十人、お前は一人……」

ネビル「一人じゃ、ない!!数の数え方も知らないのか、この、フィフォイ!!」

クラッブ・ゴイル「「ゲラゲラゲラゲラゲラ!」」

ルシウス「黙れ!そっちもだ!今のは笑うところじゃない! ほう、お前はロングボトムだな?いいだろう、お前のばあさんは家族を失うことは慣れている。お前が死んだところで、大したショックではあるまい」

ベラトリックス「へーぇええ?ほぉ〜〜ん、そう!あんたロングボトムなの、おーちびぷくぷくちゃん!あっは、はははぁァハはああっははは!あたしわね、あんたのお偉いお両親とお会いする機会がおありになってねぇ〜え!?」

ネビル「っ、知ってるぞ!知 っ て る ぞ!! お前は、お前――」

ベラトリックス「なら話は早いな。『クルーシオ』」

ネビル「――っあああああああああああああああああああああ!!!!!!」

ハニー「ネビル、ネビルーーーーーーー!!!!!」

ベラトリックス「ちっちゃなベイビーポッターちゃんあーんたは甘い。戦うってーのはこういうこと。さーてさて?このローングボトムちゃんが親父さんより持ちこたえるかな?それともあんたが泣きながら土下座して予言を差し出すのが先かな?楽しいなぁ、楽しいねぇ、えぇえ?ポッターちゃああああん!!!」

593 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 14:20:56.25 ID:KWvlmgUL0

ベラトリックス「ちょーーっと休憩だよおっちびさん。さぁさぁあんたが苦しむのは誰のせい?考えてごらん、あんたがこんなに酷い想いをするのは誰のせーぃだ?」

ネビル「ぅぅっ、ぅぅっ、っ」

ハニー「ネビル……やめて!やめて!」

ネビル「ダメ、だ、ハニー……だぇ、だ!!渡すな!!僕、僕は、平気……こんなの、このくらい」

ベラトリックス「このくらい!こーのっくらい!!ああはハハハッハハハアハハハハはあっははハハハァハはあああははは!!ロングボトムちゃん、ろーーーんぐぼーーとむちゃん!あれが本気だと思ってる?まだまだまだまだ、いたーいいたーいのはこれから」

ベラトリックス「あんたの両親もそうだった!最初は強がったさ!口を割るものかってねぇ〜え?けどねぇ最後は私たちに命乞いしたさ?惨めに無様にまるで乞食のように!!たしゅけてください!たしゅけてください!!!」

ネビル「嘘だ――嘘だ!!!!お前たち、は、パパとママから、何も、聞きだせなくて――」

ベラトリックス「おやおやほんとに元気になった。それじゃ、死ぬか。お前」

ハニー「やめて!!!渡す、渡すわ!!だから――もう、やめてぇええええ!!」



バーーーーンッ!!!!

ルシウス「!?な、なんだ――」





「ハニーを泣かせているのは、どこのどいつだ」



リーマス「主に君だよ最近は」

トンクス「全くだよ、もう!一人で突っ込む人がいる!?もう!!」

キングズリー「省内で随分と派手にやってくれたものだ」

ムーディ「闇の輩!!!取り返しのつかないクズども!!!そこになおれ!!!!殺すぞ!!!!」


ハニー「みん、な――それに」

ハニー「シリウス……シリウス!!!!」


シリウス「そこをどけマクネア、マルフォイ。今たった一度なら見逃してやる。ハニーが私を呼んでるんだ――駆けつけないわけに、いかないだろう?」

626 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 22:57:30.95 ID:KWvlmgULo

ルシウス「殺せぇえええええええええええ!!!」

バーーーンッ!!!
 バチバチバチバチバチバチッ!!
ビュンッ、バサァアアアアアアアアアア!!

ハニー「っ、五人と、死喰い人の戦いに……ネビル、大丈夫、ネビル?」

ネビル「うっ、うんっ。ハニー、平気らよ。このくらい……それより」

バーーンッ!!!

マクネア「――」 ドサッッ

シリウス「だから退けと言ったんだ……無事か?」

ネビル「あー、はい。あの、ありが……」

ハニー「シリウス……シリウス、よかった、よかった……!!」

ギューーッ

シリウス「……」

ネビル「!? は、ハニーの真正面ハグをうけてなんだこの面しねばいいのに!!!」

ハニー「良かった……生きてる……シリウス、あなた、なのね……本当に」

シリウス「……ハニー」

グイッ

ハニー「えっ……か、肩掴んで、なに、を……ちょ、ちょっと、待って!!わた、わたし、そんな急に」

シリウス「……君に確かめたいことがある」

ハニー「そん、そんな、あの!こんなところで、こんな場所でなん、でも、あなたが、そう、したいなら――」


シリウス「何故、ここに来た」

ハニー「……え?」

シリウス「何故、こんなところに入った。何故、こんな危ないことをした。何故、こいつらと戦うような真似をしたんだ」

ハニー「何故って……だって……だって、あなたが!!危ないと、思って――」

シリウス「それが何故かと聞いている!!!!ハニー!!私は!!!君に命をかけられるような人間じゃない!!!!どうしてこんなことをするんだ!!!!」

シリウス「私は――君の両親を殺したんだぞ!?!?」

ハニー「…………」

627 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 23:00:11.54 ID:KWvlmgULo


シリウス「あぁ、あぁ!君が優しいのは知っている!!君はあいつに似ている!!身内にはどこまでも!!!」

シリウス「だが!!君はリリーに似ていて!!!君を見るたびに、あいつが自慢げにリリーのことを語っていたのを思い出す!!思い出されてしまう!!!」

シリウス「君が男だったらよかったのかもしれない!!あいつにそっくりで、それでも芯の部分ではリリーに似ている!!そんな男の子だったら私もここまで思い込まなかったのかもしれない!」

シリウス「だが、君は君だ!!!二人に似ているようで似ていない、似ていないようで似ている!」

シリウス「君を見るたびに、君が二人の子供だと思い知らされる!!私が――壊してしまった、君たちの人生をだ!!!」

シリウス「私があんな提案をしなければ、ジェームズとリリーは死ななかった!!」

シリウス「私がジェームズと一緒に過ごさなければ、あんなことにはならなかった!!!」

シリウス「私がジェームズと出会わなければ、こんな未来にはならなかった!!!」

シリウス「ハニー!ハニー!!私は、君の人生を滅茶苦茶にした男だ!!」

シリウス「そんな相手に命なんてかけるな!! 私のことなんて見捨てるんだ!!!」

シリウス「それなのに、どうして……どうして、君h」


スパァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

シリウス「」ドザァアアアアアゴロゴロゴロゴロゴロゴシャッ……

シリウス「……え」

ハニー「この……この大馬鹿!!!馬鹿!!!馬鹿犬!!!!この、」

シリウス「は、ハニ」

リーマス「ヘタレ!!!被害妄想!!!!自意識過剰の図に乗り男!!!」

シリウス「さっさと戻れ君は」

ハニー「私は前にも言ったわ!!!はっきり答えたはずよ!私、わたしは」

ハニー「パパとママと、過ごせるような夢、より!あなたと過ごす、未来のこと!大事にしたい、って!」

630 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/01(土) 23:04:52.30 ID:KWvlmgULo

ハニー「私を二人と違って見てる!?私のことを!?」

ハニー「違うわ!!!一番、一番パパとママのことしか見えていないのはあなたじゃない!!!」

ハニー「私は、わたしは!!!」

ハニー「わたしは、ジェームズとリリーの子供、じゃない!!!」

ハニー「ハニー・ポッターよ!!!わたしはわたしなの!わたしを、みてよ!!シリウス!!!!」

ハニー「それでも!!それでも、そのわたしがあなたを助けることが分からないって言うんなら!!」

ハニー「言うわ!!言ってやるわ!!!!よーく、聞きなさい!!」

ハニー「あなたを助ける理由!どうしてどうしてどうしてって!!!うるさいのよ!!!」

ハニー「そんなの!!!」





ハニー「あなたのことが大好きで!!!大好きで大好きでたまらないからに、決まってるでしょ、この馬鹿ぁあああああああああああああああああああああああああ!!!!」

633 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/06/01(土) 23:08:04.06 ID:KWvlmgULo

シリウス「……」

ハニー「はーっ、はーっ、はーっ、はーっ……なんとか、言ってよ」

シリウス「……」

ハニー「まただんまりなんてごめんよ!なんにもしないのもごめんよ!邪魔なんて、ネビルとリーマスが全力で排除してくれてるわ!」


リーマス「まったく、そんな役回りになってしまったよ、うん」

ネビル「ロンの代わりにしっかり頑張るよ!ヒンヒン!」


ハニー「だから答えてよ、シリウス!!断るのでも、いいから!ただ、それでもわたし、わたしは――あなたの、家族として」

シリウス「いやだね」

ハニー「っ、そ……そう……分かったわ。でもね、私が、あなたを、助けない理由なんんっ!?」


リーマス「」

ネビル「」


ハニー「んっ……ん、んーーーーー!!んっ……ん……っふ、はっ、ハァ、ハァ、ハァ、」

シリウス「――いいかい、ハニー。再来年のクリスマス、ヤドリギの下で続きをしよう。今度はこんなに短くない。それでも我慢できるかい?言っておくが、気持ちを押さえつけていたのは君だけじゃないんだ」

ハニー「……ぁ……の」

シリウス「分からないか?そうだな、言葉にしよう」

シリウス「君は僕の嫁だ、ハニー」

ハニー「〜〜〜〜〜〜っ!!!」


ネビル「あ、あいつ、今まで誰もが恐れ多くて言葉にしなかった台詞を、サラッと!!!なんて、なんてことだ!!あぁ、豚どもが血の涙を流す音が聞こえる!足元とかから!」

リーマス「……まったく。思い悩むくせに、タガが外れるとすぐだなぁ、彼は」


シリウス「さて……私も戦いに戻る。ハニー、みんなを連れて安全なところにいくんだ。いいな?」

ハニー「……うん。あなたも……気をつけて。シリウス」





シリウス「あぁ……平気さ。君がいるからな、ハニー」

638 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/06/01(土) 23:11:22.08 ID:KWvlmgULo

バーーーンッ!!!
 バチバチバチバチバチバチッ!!
ビュンッ、ビュンビュンビュンッ!!

ハニー「ネビル、動ける?平気?」

ネビル「うんハニー、君の顔の色ほどじゃないよ」

ハニー「忘れなさい!忘れて、お願いだから!さぁ、四人を、運ばないと……」


マルフォイ「ポッター、ポッターはどこだ!っ、予言だ!!予言をよこせえええええ!」


ハニー「きゃぁ!?」


リーマス「『インペディメンタ!』 ハニー、行け!一番やっかいなベラトリックスは、シリウスが抑えてる!」



ベラトリックス「自分がいいーぃことをしてるって酔ってるんでしょ、え!?せーいぎの味方になりたかったんだ!あたしらを見下してあんたはいやーーーなやつだった!」

シリウス「私から見ればお前たちみんなが、だ!人の道を外れるクズどもに何を言われようがなんとも思わない!さぁ、どうした!それで終わりか!?」



ハニー「……っ、ありがとう!さぁ、ネビル!」

ネビル「う、うん!ところで、あの、ハニー!」

ハニー「なに!?さぁ、ロンの肩……」

ネビル「あの、言いにくいんだけど……」

ハニー「何よ!回りくどいのは、嫌いよ!」

ネビル「ヒンヒン!ごめんよ!あの……」






ネビル「さっき、フォイ父が突っ込んできたとき……君、驚いた拍子にその……予言の、玉」

ハニー「……この床のバラバラにとびちったもの、は?」

ネビル「えーっと、そういうこと」

ハニー「……」

ネビル「……」

ハニー「……予言なんてなかった」

ネビル「それで行こう!君は最高だねハニー!ヒンヒーーーーン!」

642 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/06/01(土) 23:16:07.90 ID:KWvlmgULo

死喰い人「ぐっ、くそっ、おされてる。数じゃ勝ってるのに、どうして――」

ダンブルドア「ほっほ……愛じゃのう、愛」

死喰い人「そんなくだらないも――なああああああ!?」

ダンブルドア「さて……わしをしとめることができるという夢を抱いておる者はおるかの?」

ダンブルドアだあああああああ!!
 うわああああああああああ!!!
フォオオオオオオオイイ!!
ドタバタドタバタドタバタ!!!

トンクス「あっ、待てこの!!って、マッド-アイの手当てからしなきゃ……もー、いい加減引退だね、盆栽でも始めなよ。死喰い人とか名前付けてさぁ」

ムーディ「ぐぅ、なんの、これしきの出血……油断大敵だ、トンクス!気をぬくな!」

トンクス「気をぬくって、いったって……ダンブルドアが即座に三人捕まえて、あとは散り散り。残ってるのは……あっ、あいつがい、あぁ!!」



ベラトリックス「あっははははあああははははははハハッハァアアアア!!あっれぇ?わたし一人になっちまったのかなあぁそうか!いつだって私があの方の一番の味方だった!そうだ!!あっははハハハhははははハハァアアアハハハハハ!!」

シリウス「そうだなベラトリックス、お前は一人だ!!諦めればどうだ?今ならお前の得意なお辞儀一つで許してやらないこともない!」

ベラトリックス「ほざけ!このブラックの恥さらし!そうねぇ、そうねぇ!あんたは一人じゃなくなったみたいだ!えぇ、えぇぇええええ大犬座!!それが弱みだってことにも気づかずさぁああああああ!」

シリウス「何――やめろ!!!!」



ハニー「シリウ――」





ベラトリックス「ふっとべベイビー、ベールの向うにさぁあああああ!!」




ハニー「っ!!」








バーーーーーンッ!!!

644 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/06/01(土) 23:19:49.65 ID:KWvlmgULo

ハニー「……(まただわ)」

ハニー「(今にも死んでしまいそう、って、身構えたのに……何も身体を襲うものはなくて)」

ハニー「(でも、今度は違うわ。違う。目をあけたら……だって、ダンブルドアがいるのに)」

ハニー「(そうよ……ベラトリックスは捕まって……シリウスが、それに最後の哀れみの言葉をかけて)」

ハニー「(何もかもが終わって……シリウスが、わたしのことを抱きとめてくれて。みんながニヤニヤするのを、わたしが、怒って)」

ハニー「「(そんな終わり方でいいじゃない――)」

ハニー「(そんな、終わり方――)」



ハニー「いや、いや――」



バサァアアア



ハニー「シリウス……シリウス!!!」


シリウス「――ハ――」


ハニー「(シリウスが……アーチの方に吹き飛んでいく)」

ハニー「(あれは駄目……あのアーチは……ベールに)」

ハニー「(シリウスを行かせちゃ、駄目……駄目なのに)」



ハニー「シリウス!!」



ハニー「(わたしの手じゃ届かない……なんにも、できない)」



シリウス「――」



ハニー「(やめて……やめて!!!そんな顔やめて!!)」



ハニー「(わたしを守れたなら、なんて!わたしの想いを聞けたならなんて!!そんなの、そんなのいや!!!)」




ハニー「(失うなんていや!! あなたを  あなたと、ずっと一緒に、って)」



ハニー「(想って……渡した……わたしの……)」




―リウス「――」




ハニー「――『アクシオ!ロケットよ、こい!!!!』」

652 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/06/01(土) 23:30:51.16 ID:KWvlmgULo

グンッ!!!ドサッ!!!



ハニー「っ、ぁっ、っ!!や、った、やったわ!!シリウス!!シリウス!!」


シリウス「」


ハニー「シリウス!!よかった、あぁ!よかった……ここにいる、シリウス……!」

リーマス「……ハニー」

ハニー「あぁ、リーマス!喜んで!わたし、やったわ!やっと……やっと、守れた。わたしの、力で――」

リーマス「ハニー……聞きなさい」

ハニー「何を?だって、リーマス?どうしてそんな顔してるの?シリウスは……」

リーマス「……ハニー。どうすることもできない。シリウスは……あのベールの向うに行ってしまった」

ハニー「何を言ってるの……ここにいるわ!手も、暖かい!だって、だって……!!!ここにいるのに!!!!」

リーマス「……ハニー」


リーマス「……残念ながら。身体が生きていたとしても……彼の魂だけを取り戻す手段は……御伽噺だけの術だ」


ハニー「だって……だって!!あなたも、みんな、いて、どうして……どうして!!!シリウス!!ねぇ!!!」


シリウス「」


ハニー「起きてよ!!!笑ってよ!!!わたしが、わたしがこんなに、呼んでるのに……冗談やめて、シリウス!!!!!!!シリウス!!!!」




ベラトリックス「あはははは、あっははハァハアアアアハハァあああハハハハハハアアアハハハ八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \!!」

ベラトリックス「死−−−んだ!!しんだ!!!シリウス・ブラーーーーァックしーーーーんだ!!!あははははハハハハハハハhハハハハハァアアアア八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \!!」




ハニー「っ、ぁ、ぅ、ぁああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

リーマス「!!よせ、ハニー!!追うな――」

ハニー「あいつが――あいつが、シリウスを――!!!」

べラットリックス「おいでおいで、ポッティーちゃぁあん!こっちこっち、こっちだ、あっはははは!!!!」








675 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/06/01(土) 23:46:50.81 ID:KWvlmgULo

アトリウム


ハニー「ベラトリックス……ベラトリックスーーーーーーー!!」

バチバチバチバチバチバチッ

ベラトリックス「あっははハはははハハハハハァァッハハハハ!!凄い凄い!!」

ビュンッ!!

ハニー「っ!!」

サッ……バーーーーンッ!!!

ベラトリックス「どぉちたのベイビーポッティーちゃん?わたしを倒しにきたんじゃないのかい?わたしの可愛い従弟のかたきをうつんじゃないのかい?」

ハニー「そうよ……そうよ!!!そうよ!!!この――!!」

バーーーンッ!!

ベラトリックス「ッハッハハアアアアハハハハハハ!!!あぁぁぁぁ、なぁんて悲劇的だろう……あいつを、愛してたのかい!?ハニーぃ!?」

ハニー「っぁ、っ、そうよ!!!そうよ!!!だから、あなたを……あんたを!!!」

ベラトリックス「ハッはハハハハハァァッハハハハハハハ!!そいじゃあんたはまた一人ぼっちってわけだ!!ポッティーちゃん!!」

ハニー「っ、っっぅぅ」

ベラトリックス「可哀想に!!!かぁぁわいそうに!!!でもそおねぇ!あんたを愛した人間がひとぉりもいなくなる!いずれ闇の帝王が全てを打ち壊す!遅いか早いかだ」

ベラトリックス「それが今日はぁ?あの大犬座だっただけ、そーれだけーーーー!!ドンマイどんまーーーーーい、ッ、ッハハ、アアアアッッハハハハ八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \!!」


684 名前:saga入れ忘れ[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 00:00:48.97 ID:5d7oAE9Qo

ハニー「〜〜〜っぁああああああ!! 『クルーシオ!!!!』」

ベラトリックス「っぐ、っっっっっっはぁあああああ!!ポッティー?ポッター?はぁにぃ・ポッター?許されざる呪文を使ったことがないみたいねぇ?え?」

ベラトリックス「本気になる必要があるんだ。憎しみなんてもんはいつまでも続かない。楽しむのさ!相手を苦しめるのを!痛めつけるのを!どうやるか教えてやろう!さぁミス・ポッター?せんせーに挨拶は!?」

ハニー「『ステューピファイ!』」

バチバチッ

ベラトリックス「まぁあだ分からない!?お前がわたしに勝てるわけがない!お前みたいな小娘が、闇の帝王から直接闇の魔術を教わったわたしの呪文の威力に勝ると思う?思うのか――『クルーシオ!』」


ハニー「っ!!」


バチバチ、バーーーンッ!

ゴトッ

ハニー「黄金の象の、首……『ステューピファイ!』」

ベラトリックス「『プロテゴ!』」

ハニー「!」

バチバチバチッ!

ベラトリックス「さーぁさぁさぁさぁさささぁポッター嬢ちゃん、あんたが呪文を唱えてもあんたが隠れるそいつを削るだけ!わかった?そのちっちゃいちっちゃい脳みそで理解ができた????」

ベラトリックス「一度だけチャンスをやろう!予言を渡せば――そぉおおねぇえ、命だけは助けてあげる!」

ハニー「それじゃ、あなたは私を、[ピーーー]しかないわね!!!」

ベラトリックス「はーぁ? そう? そうそう、そーいう? 後を追うの? あーの大犬座も好かれたもの――」

ハニー「違う、わ!!!シリウスは死んでなんか――それに――もう私、予言なんてもっていない、もの!壊れて――痛っ!!」

ベラトリックス「――壊、れた?」

ハニー「っ、そう、そうよ……っ、額が……っ」

ベラトリックス「嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!このうそつき!!小娘!!『アクシオ予言よこい!!予言よこい!!!アクシオ!!!』」


687 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 00:10:52.62 ID:5d7oAE9Qo

ベラトリックス「なぜ、何故!?わたしの呪文が、間違ってるなんて――」

ハニー「っふふ、あはは、っはははは!!だから、言っているでしょう!?予言なんて――もうどこにも、ないのよ!」

ベラトリックス「うるさい!!すぐに殺して黙らせるんだから黙ってな!『アクシオ!予言よこい!』……『アクシオ!!!!』」

ハニー「何にもないわ!!なーーーーんにも!呼び寄せる物は何もない!あのガラス玉は砕けたわ!その場にいたマルフォイも聞くこともできずに吹き飛ばされたもの!!」

ベラトリックス「そんな――嘘だ!!嘘、嘘だ!!!お前は大うそつきの――」

ハニー「いくらでも言えばいいわ!どんなにあなたが嘆いたって、予言は私の口からだって出てこないわよ!任務は失敗した、って!ご主人様にそう言いなさい!」

ベラトリックス「あぁ――あぁ!我が君!私は努力しました――努力いたしました!どうぞ、罰しないでください――!」

ハニー「ハハ、ハハハ、ハハハハハハハハ!!!ここで言って、どうすると言うの!? あいつには、聞こえないわよ!」






「そうかな ポッター」



ハニー「――――っ」


「そう、俺様だ  俺様を呼ぶ声が聞こえたのでな 期待には こたえねばなるまい」

ハニー「お呼びじゃ、ないのよ……ヴォルデモート!」

ヴォルデモート「頭が高いぞ ハニー・ポッター」

691 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/06/02(日) 00:25:21.33 ID:5d7oAE9Qo

ヴォルデモート「そうか おまえが俺様の予言を壊したのだな?」

ハニー「……だったらどうだって、言うのよ!」

ベラトリックス「違います、違うのです我が君!この小娘は嘘を!すぐに、すぐに拷問して、吐かせて――」

ヴォルデモート「いいや、ベラ こやつは嘘をついておらん 眼を見ればわかる この愚にも付かぬ心の中から真実が俺様をみつめている」

ハニー「……」

ヴォルデモート「何ヶ月もの準備……何ヶ月もの苦労 それをまたも全て水の泡にされ 俺様の手下どもはまたしてもハニー・ポッターにだしぬかれたのか?」

ベラトリックス「お、お許しを、お許しを、我が君!私は、予言が壊れていたことなど、ついぞ――」

ヴォルデモート「黙れベラ! お前の始末はあとだ 女々しい言い訳は苦しみながら言うといい  さて」

ハニー「っ」

ヴォルデモート「お前もだ、ポッター お前の言葉など聞きたくもない かける言葉もこれ以上必要なかろう」

ハニー「こちらこそ、だわ。出来ればもう二度と会いたく、ないわね」

ヴォルデモート「そうなるだろう その震えた足では お前にはこれから何も出来んのだ」

ヴォルデモート「あまりにも長きに渡り俺様を苛立たせたお前の最期の場には、相応しいだろう 散れ 魔法界の英雄 間違いだらけの『生き残った女の子』」

ヴォルデモート「『アバダ ケダブラ』」

ハニー「っ!」

ガチガチッ、ドスンッ!!!バーーーーンッ!!

ヴォルデモート「――なに?」

ハニー「!? なん……なに、これ。噴水の、黄金の魔法使い像が動いて……私を、守った……?」

ヴォルデモート「――あぁ――そうか」




ヴォルデモート「貴様か   ダンブルドア」

ダンブルドア「――言葉はいらんじゃろ」

ヴォルデモート「あぁ――そのようだ  『アバダ ケダブラ』!」

693 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/06/02(日) 00:35:51.02 ID:5d7oAE9Qo

ダンブルドア「!」

クルンッ! サッ!


ベラトリックス「!?き、消え、ばかな、魔法省で……後ろです、我が君……あぁぁぁあああ!?」

ハニー「!ダンブルドアが杖を向けた、残りの立像……魔女の像が、ベラトリックスを取り押さえて……」

小鬼像・屋敷しもべ妖精像 バタバタバタバタバタッ!

ハニー「小さいのは……暖炉に?ケンタウルス像は……ヴォルデモートに向かって……像なら、かっこよくみえる、のね」



ケンタウルス像『オォオオオオオオオオオ……!』

ヴォルデモート「――」

クルンッ サッ!


ハニー「! ヴォルデモートも、消え――っ、魔法使いの像、ちょっと、押さないで、よ……様子が、見えないわ!」

魔法使い像『』ブンブンブンブン!

ハニー「近づくな、といいたいの!?ここまできて、そんな……ヴォルデモートは、噴水の淵に……」


ダンブルドア「今夜ここに現れたのは愚かじゃったの、トム。まもなく闇払いたちがやってこよう――まぁ、君がその前にわしにやられていなければ、じゃが」

ヴォルデモート「その前に、俺様はもういなくなる そして貴様は死んでおるわ!」


バチバチバチバチバチッ!!!  バーーーーーーンッ!!!!

 バシィイイイイイイッ!!!

 ボォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!

ハニー「……なに、これ……呪文の、強さも……攻撃も……格が……違うわ」

699 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/06/02(日) 00:55:04.12 ID:5d7oAE9Qo

バチバチバチバチバチバチバチバチッ

ヴォルデモート「俺様を殺そうとしていないな ダンブルドア そんな野蛮な行為は似合わぬとでも?」

ダンブルドア「人を滅亡させる方法は他にもあるのじゃ、トム。お前の命を奪うことだけでは、わしは満足せんじゃろう――」

ヴォルデモート「死ほど酷なことど何もないぞ ダンブルドア! そんな簡単なことも分からないか」

ダンブルドア「それがお前の、昔からの最大の弱点じゃ。トム、お前は大いに間違っておる」

ヴォルデモート「ほざけ――!」

バーーーンッ!

ハニー「! 緑の閃光……ダンブルドア――!」


ケンタウルス像『オォオオオオオオオオオ!!』

バシィイイイイッ! バラバラッ、バラッ

ダンブルドア「よくぞ守ってくれた。うむ――どれ、トム。その銀色の盾はもらおうかの」

ボォオオオオオオオオオ!!
ビュンッ! バッ!!


ベラトリックス「っ、あぁ、我が君が身を守っていた、盾を、炎で掠め取って――ご、ご主人様、お逃げ、くだ」


ヴォルデモート「俺様にむかい戯言をほざくな  ダンブルドア その炎は、本当に貴様のものか?」

ダンブルドア「……むっ」


ボォオオオオオ……
  シャァアアアアアアアアアアアアアッ!!

ハニー「!? ダンブルドアの杖先から出ていた炎が――蛇、に」


ダンブルドア「これは、見事じゃの――『去れ!わしの魔力じゃろ!』」シューッ、シューーッ

サァァァァァッ

ハニー「……蛇語が……あぁっ!」


ヴォルデモート「『アバダ ケダブラ』」

ダンブルドア「……」

ハニー「間に合わない……あんな……っ!?」

サッッ!

フォークス「フィピィーーーー!」


ダンブルドア「……すまんのう、フォークス。まだ若鶏だというのに」

702 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/06/02(日) 01:06:51.07 ID:5d7oAE9Qo

グワッ、バクンッ!!!
 ボォオオオオオオオオオオオ!! メラメラメラメラメラ!

ハニー「フォークスが、死の呪いを……食べちゃったの?」


ヴォルデモート「っ 糞鳥めが――」

ダンブルドア「そう、こやつは優秀じゃ。して、トム。いい場所に現れてくれたの」

バチッ  ザァアアアアアアアアアアアアアア!

ヴォルデモート「――――」


ハニー「……噴水の中央にあらわれた、あいつを――水の繭が、くるんでしまったわ」


ヴォルデモート「――――!」


パッ……ザパァァァァァァン!


ハニー「……き……消え、た……?今度は、どこにも現れない……あいつは」

ベラトリックス「そんな、そんな!わ、我が君!!我が君!!!」

ハニー「あいつは、逃げたの? 終わって――」

ダンブルドア「ハニー! 動くでない!!」

ハニー「!? な、なによ……今まで、あんなに魔法の決闘をしてても涼しい声だったのに、急に」

ハニー「急、に……なに……額……っ、い、っ、ぁ、っ、あああああああああああああああああ!!!」

ダンブルドア「ハニー!!!」

ハニー「ぁああああぁぁああああああ!!!(額が割れる、割れてるわ――痛い、体中が、蛇に締め付け、られ、)」

ハニー「っあああっ、っぐ、ぁぅううっ、俺様を 殺せ ダンブルドア (勝手に  声)」

ハニー「いますぐ 殺すのだ  死が何物でもないのなら この子を殺してみろ ダンブルドア」

ハニー「(痛いっ、痛いっ、熱い、もう、止めて……こんな痛み、止めて!終わらせて――終わらせるのだ、早く――こんな痛みに比べれば、死の呪いのほうがまだ――それに、シリウスにも、会え――)」

ハニー「〜〜〜っ、シリウス、は、死んで、なんか!ない!!」

バチンッ!

ハニー「っっ、はぁ、っはぁ、はぁ、っ、っく……わた、し……ここ……」


ザワザワザワザワザワ
 ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ


ハニー「……どう、して。こんなに、人……さっきまで、は」

ダンブルドア「ハニー。大丈夫か?」

ハニー「……随分と久しぶりに、呼ばれた気がする、わ……これは、この人たち、は?」

ダンブルドア「どうやら、小鬼と屋敷しもべ妖精の像が呼んだ者どもが到着したようじゃ……君は説明しなくてよい。わしに任せたまえ……ウォッホン……ようコーネリウス、あの時のうちみは平気かのう?」

ファッジ「わかってる!わかってる!そう何度も――だ、ダンブルドア!?」

ダンブルドア「いかにも、わしじゃよっ。お髭がキュートじゃろうが」

706 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 01:27:35.88 ID:5d7oAE9Qo

ダンブルドア「コーネリウス、君も見たかのう?あの大犯罪者ベラトリックスをひっつかんで『姿くらまし』する憎いアイツこと、ヴォルデモート卿がおったのを」

コーネリウス「あぁ、あぁ!震え上がらせてもらったさ!まったく……お前は、どうして、ここに!」

ダンブルドア「当たり前じゃろ、わし、あやつが恐れた唯一の人物とかなんとかかんとか。この子もじゃがのう」

コーネリウス「この子……うわ!?は、いや、ぽ、ポッター!?」

ハニー「……」

コーネリウス「な、なぜここにいる!?どうして、どうやって……」

ダンブルドア「コーネリウス。何がどうなって、は。ついさっき確認したばかりじゃろ。君はこの十二ヶ月、間違った主張をしておった。間違った者を追いかけておった。そういうことじゃ」

コーネリウス「私は……私は」

ダンブルドア「確たる証拠が手元にもほしいのならば、『死の間』に拘束した死喰い人が何人かおるからそれを連れて行くとよい……あと、そこにいる怪我人を医務室、一人を『聖マンゴ』に移させてもらう」

コーネリウス「ここで、ここで戦ったのか?ダンブルドア――私は、お前、に、聞かねば」

ダンブルドア「それはハニーを送り届けた後にしてくれるかの。ハニー、立てるかね」

ハニー「……えぇ」

ダンブルドア「さっ、これを。『ポータス!』 これでこの魔法使いの像の首は、校長室への『移動キー』じゃ」

コーネリウス「だ、ダンブルドア!!それを作る権限は……!」

ダンブルドア「なーんじゃねコーネリウス。この一年権限権限とさんざんわしをいじめておいて、そんなに硬いことをいうのか?のう?あー、野宿辛かった歳には堪えたぁ」

コーネリウス「う、嘘付け、どこかで悠々自適だったくせに!お前……君は、私に説明する義務が!」

ダンブルドア「三十分やろう、それ以上は譲れん。ハニー、いきなさい。三十分後に会おうぞ」

ハニー「……」

フッ

グルングルングルングルングルン








717 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 01:46:17.03 ID:5d7oAE9Q0

校長室

ドサッ

ハニー「……」

ハニー「……静かだわ」

ハニー「……外も、綺麗……夜明け前みたい……いつの間にか、あそこでそんなにも時間、経ってたのね」

ハニー「……あそこで……起きた、こと」

ハニー「……」

ハニー「……私が、わたしが、ハーマイオニーの言うこと……ちゃんと、聞いていれば」

ハニー「っ、わたしの『人助け癖』が……『英雄気取り』が……」

ハニー「あいつに利用される、ってこと……」

ハニー「……全部、全部……わたしのせい……シリウスは……どうなったの?起き上がった、のよね……きっと、きっと……リーマスが、考えすぎな、だけ……」

ハニー「……ダンブルドアは、あそこを……『死の間』って……」

ハニー「いや……いや!! 違うわ……違う……そんなんじゃ……」

フィニアス『まーた思春期にありがちな、自問自答かね……耳障りな』

ハニー「っ!……フィニアス」

フィニアス『名前で呼ばれる筋合いはないと言ったはずだ――ところで、こんな朝早くにどうしたね?それとも私の曾々孫に伝言か?え?』

ハニー「……あの時この部屋があいていたら、そんな手段も……あったでしょうね、えぇ」

エバラード『おや? そうだ、今はこの部屋は締め切られているはず……この子はいったい、どうやって?』

ディペット『もしや、ダンブルドアがここに戻るということなんですかな?』

フィニアス『あぁ――それはありがたい。あれがいないと――居眠りに精が出ないからな』

ディリス『聞いているくせに。あぁ、ダンブルドアがあなたをよこしたのでしょう?分かっていますよ。彼はあなたのことを、とても高く評価していますもの』

ハニー「……わたし、そんなんじゃ」

エバラート『そうだとも!君をいつも誇りに思っておる!』


ハニー「わたしは、わたし、そんな風に――そんな価値、なんて……!」


ポンッ!

ハニー「!……ダンブル、ドア」

ダンブルドア「待たせたのう、ハニー……」

パチパチパチパチパチパチパチッ!

ダンブルドア「あぁ、ありがとう、諸君。うむ、留守をどうもじゃ……さて、ハニー……座りなさい」

ダンブルドア「……長い話になるじゃろう」

722 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 02:05:36.41 ID:5d7oAE9Q0

ダンブルドア「さて……まず、君が一番気になっていることから話しておこうかの」

ハニー「……」

ダンブルドア「君の勇敢なる友人達に、長く後遺症の残る障害を受けたものはおらん。今、全員がマダム・ポンフリーの下で応急処置を行われておる」

ハニー「……一番酷かった、ロン、は」

ダンブルドア「そうじゃの。しばらくは『ドクター・ウッカリーの物忘れ軟膏』を朝夕塗らんといかんが、大したことはないそうじゃ」

ハニー「……そう。良かった……それじゃ、きっとシリウスも」

ダンブルドア「……シリウスは、『聖マンゴ』に運んでもらった」

ハニー「……そう、よね。あんなに、あんなに呼んでもおきてくれなかったんだもの。きっと、酷い怪我――」

ダンブルドア「……ハニー」

ハニー「そう、そうよ……多分、明日になれば……シリウスは、もう自由の身でしょう?」

ダンブルドア「……」

ハニー「そしたら……シリウスはきっとここに来るわ。そのくらいは許してくれるわよね?だって、だって今までずっと……シリウスは、ずっと」

ダンブルドア「……ハニー。君は受け止めなければならん」

ダンブルドア「シリウスが運ばれたのは、あの病院でも一番静かな場所じゃ。隔離病棟の、さらに奥」

ダンブルドア「……二度と起きることがない、と判断された者の――」

ハニー「……嘘よ」

ダンブルドア「……」

ハニー「……シリウスが……シリウス、は」

ダンブルドア「ハニー。気持ちは、よく分かる」

ハニー「――よくわかる、ですって!?!?」

ダンブルドア「そうじゃ」

ハニー「今日まで、今日まで一度も!!!私の目さえ見ようとしなかった、あなたに!!!なにが――何がわかるって言うの!!!!」

733 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 02:24:52.94 ID:5d7oAE9Q0

ハニー「あなたの言うことなんて聞きたくない!!帰して!!ここから、出して!!それで、シリウスの病室に行く!!行くわよ!!止めても無駄よ!!」

ダンブルドア「そうはいかん。ハニー、君もきっと聞きたくなるはずじゃ」

ハニー「あなたの言葉の何を!?あなたはずっと――ただ平気で――あなたなんかに!!」

ダンブルドア「ハニー、君の痛みもよくわかる。その苦しみも。そのもがきも。それは君が人間であるという証じゃ。そしてそれは、君の一番の強みなんじゃ――」

ハニー「だったら――わたしは、人間でいるのは嫌!!!強みなんて!!!あなたに!!!あなたに何を言われたって、わたしは――あなたに、理解なんて!!」

ダンブルドア「両親を失い、家族以上血のつながり以上の者を見出した相手を失う、そのことから、君は向き合わなければいかんのじゃ」

ハニー「――あなたは――いつだって!!!そうやって!!!!!自分が何もかも知っている、そんな風に――!!!」

ダンブルドア「そうじゃ、ハニー……もっとわしに怒りをぶつけるべきじゃ。なんなら杖を使ってもよい。君の感情の本流は、わしのみが受け止めるべきであり。他の者にも『君自身』にさえ、向けることはわしは我慢できん」

ハニー「なに――なにを」

ダンブルドア「シリウスがあぁなったのは、『わし』のせいじゃ。ハニー。君でも、誰でもない」

ハニー「……」

ダンブルドア「もっとも、ほとんど全部、と言ったほうがいいかの。全てと言い切るのは傲慢じゃて。シリウスは勇敢で、活力に溢れる男じゃった。そうじゃ。わしはそんな人間が一つところに閉じ込められる苦痛を知っておるというのに、彼に同じことを強いてしまった」

ハニー「……」

ダンブルドア「彼が君を想い神秘部に駆けつける行動に移させたのは、わしのせいじゃ。そして、ハニー。君があそこに向かったこともじゃ」

ダンブルドア「わしがもっと早く、君に打ち明けておけばすべてが変わった。わしが君達二人を祝福できんのは、わし自身の責任なのじゃ――全ての責めはわしのものであり、ハニー、わしだけのものじゃ」

ハニー「……分からない、こと。だらけだわ」

ダンブルドア「……そうじゃろう。さぁ、もう一度腰掛けておくれ。しかと話してしんぜよう」

734 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 02:46:54.64 ID:5d7oAE9Q0

ダンブルドア「ハニー。聡い君のことじゃ。わしと君が前年度までに話し合った、君の傷と奴の関係のことは覚えておるな?」

ハニー「……私は十五年前、この傷とあいつとの絆ができて。近くにいたり、感情が高ぶると傷跡が警告して――肉体を取り戻したとは、それが顕著に、強くなるだろ、ってこと」

ダンブルドア「そして、ハニー。これはスネイプ先生から君に伝えられていることと思う。ごく最近、奴がその絆の存在に気づいたのではないか、と。君があやつの心と頭にあまりに深く入り込んだせで、奴が気づく時がきた、と」

ハニー「……それが、アーサーお父様のころね……えぇ、聞いたわ」

ダンブルドア「……ハニー、疑問に思わなかったかね。何故わしは君に話もしないのか。何故、わしが君に『閉心術』を教えないのか」

ハニー「……一年悩みつくした、と言ってあげるわ……その目を見るのも、とってもとっても久しぶりだもの」

ダンブルドア「……すまんのう。全ては、奴が君との絆に気づいた時のことを考えてのことだったのじゃ」

ダンブルドア「わしは奴が復活したその日から、時ならずして君の心に入り込み考えを操作したり、心を捻じ曲げたりすることを懸念しておった。そして、それはもしもわしが君と近しいと――または近しいと思われることが一度でもあったと知られるとダッシュ―無闇に煽り立てることになるじゃろう、そう思ったのじゃ」

ハニー「……私を、ホグワーツのスパイにするかも、しれない」

ダンブルドア「そうじゃ。そしてわしの読みはある程度当たっておった。一度ならず、君の目をチラと見た折――その奥に奴の影がみえたように、わしは思う」

ハニー「あっ……そう、だわ。私……あなたを、無性に呪いたくなって……」

ダンブルドア「腹を立てられるのは慣れっこじゃがの。そして、ハニー。少しだけ訂正じゃ。奴が君にとりついて本当にしたいこと、それはこの城のスパイではない。わしを破滅させるため、ではない――君の破滅じゃ」

ハニー「……」

ダンブルドア「今宵、奴がそうしたように。わしの手で君を殺めるよう仕向けたかったのじゃろう――君を犠牲にすることを望んだわけじゃ。そういうことじゃから、わしは『君からわし自身を』遠ざけたのじゃ」

ハニー「……あなたが避けていたわけじゃ、なかった」

ダンブルドア「そうじゃ。だが、結局は同じこと……君を守ろうとしたことが、かえって君の心に悩みや焦りを生じさせてしもうた。老人の過ちじゃ」

735 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 03:28:02.18 ID:5d7oAE9Q0

ダンブルドア「さて……今でこそ過ちじゃと思っておるが、わしはそれでもまだ君を遠ざけておった。アーサー・ウィーズリーの襲撃事件の後は、君に心の武装をさせようと『閉心術』を身につけさせた」

ダンブルドア「それを抜きにしても、君はあやつが一年考え抜いていた『神秘部』の夢までみていたと知った……君をあの部屋に近づけさせるわけにはいかん。『閉心術』が益々重要となった、そう思った」

ハニー「でも、私……まるで練習しなかったわ。重要、そうよ……そうに決まってるじゃない。練習しておけば、あんな夢を……シリウスの……」

ダンブルドア「……それでも、他の手を使ったことじゃろうて。例えば――君は、シリウスの安否を確かめたのじゃろう?」

ハニー「えぇ……ぁ、あぁ!そうだわ!クリーチャー!クリーチャーは、どうして嘘を!?あの時、シリウスは掴まってなんか……」

ダンブルドア「クリーチャーは、何ヶ月も前からルシウス・マルフォイの妻、ナルシッサに仕えておったのじゃ。ブラック家の血が流れる、彼女にのう」

ハニー「!」

ダンブルドア「クリスマスの日、シリウスから『出て行け!』と言われたクリーチャーはその言葉通り屋敷を出て、ナルシッサの元に向かった。そうしてそれから、今日まで。二君に仕え、あちらが仕掛けるにあたって都合のいいように動くよう指示されていたのじゃ」

ハニー「どうして……そこまで」

ダンブルドア「当然じゃ、本人に聞いたからのう」

ダンブルドア「ハニー、君が昨夕スネイプ先生にあの暗号めいた言葉を発した後、スネイプ先生は迅速に行動した。シリウスの安全を確認し、騎士団に警告し。そして君たちが森から戻らなかった後は――本部へ出動するよう呼びかけた」

ダンブルドア「その時シリウスは残るはずじゃった――間の悪い事にわしは移動中での。本部に残って、わしに伝言するように、と」

ダンブルドア「当然じゃが、シリウスは拒んだ。自分のためにと君が危険な目にあっているのに、ジッとしていられるか、と。そういて、伝言をクリーチャーに頼んでいってしまったのじゃ」

ダンブルドア「……わしが本部に着いた時のクリーチャーは。高笑いして、『神秘部に行った!本当に行った!』と」

ハニー「……笑って、たの?」

ダンブルドア「よいか。二君に仕えると言ってもじゃ。クリーチャーに我々の本部の情報を漏らすことはほとんど出来ぬ。『秘密の守人』でないから所在を教えることもできず、作戦などはシリウスに他言することを全て禁じられておった。悔しかったじゃろう、ナルシッサのやくにたてず。ところが、思わぬ情報があちらの陣営にとっては非常に価値があったのじゃ」

ハニー「……わたしの、こと」

ダンブルドア「そう、クリスマスのこととか言っておったのう。シリウスが君をもっとも大切に思っており、また、君自身もそうじゃ、というクリーチャーの情報は、ヴォルデモートにとってあることに気づかされた。君が、何があっても助けにどこでも向かう相手。それはシリウスじゃ、ということに」

ハニー「……クリー、チャーは」

ダンブルドア「誇らしかったそうじゃ。ようやく役にたてた、と。そして、ルシウスの差し金で、ことが起こされた日はシリウスをバックビークの部屋に閉じ込めておったのじゃ。防音を施し、何ももたせず。ただ、シリウスはバックビークの怪我を治療しておったから、閉じ込められたことには気づいていなかった、とか」

ハニー「それを……クリーチャーは……あいつは、あなたに笑いながら、話したっていうの?」

ダンブルドア「話した、というか。うむ、わしの『開心術』で、こう。うむ」

ハニー「それなのに……あんなに酷い奴なのに!わたし、少しでも同情を!ハーマイオニーは、あんなのに優しくしろって!!」

ダンブルドア「当然、そうあるべきじゃ。よいか、ハニー。もしもの話じゃが――シリウスがもう少しでもクリーチャーを丁重に扱い、主人として対応してやれれば――」

ハニー「シリウスを、責めないで!!!! シリウスがあそこで……!!あの屋敷しもべ妖精に、あの家族に!!どれだけ苦しんだか、あなたは……!」

ダンブルドア「うむ、知っておる。それでも、じゃ。ハニー……いや、これはたらればの話じゃの……」

737 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 03:51:35.95 ID:5d7oAE9Q0

ダンブルドア「シリウスはあの屋敷しもべ妖精を、憎んでいたわけじゃない。憎んでいた、というのは……」

ハニー「……スネイプだわ。スネイプは、いつまでたってもシリウスをネチネチと、昔のことで、煽って!シリウスがあそこから、出て行きたいって思わせて!」

ダンブルドア「ハニー、二人はあれで大人じゃ。ヒートアップすることはあっても、本気で真に受けることなどありはしない。これは二人の名誉のために言おう」

ハニー「っ、いいえ!スネイプは今でも――あのことを、憎んでる!シリウスや、パパのことを!!」

ダンブルドア「……そうじゃな。確かに、そういう部分もあろう。いつか克服してくれると、信じていたのじゃが……」

ハニー「……スネイプがパパたちを憎むのはよくって、シリウスがクリーチャーを憎むのはいいってわけ!?」

ダンブルドア「そうではない。そうではないんじゃ、ハニー。あの噴水の像を覚えておるかの。魔法界は長年、同胞の待遇を誤り、虐待してきた。その報いを今の時代が受けておるのじゃ」

ハニー「……自業自得だったといいたいの!?!?」

ダンブルドア「シリウスが、じゃない。違うとも、ハニー。この社会が、じゃ。シリウスは、屋敷しもべ妖精全般にはむしろ親切じゃった。この城の厨房には何度となく食べ物を拝借しに行っておるからの……ただ、クリーチャーに対してだけは」

ハニー「えぇ、ぇえ!そうよ!あの家を憎んでいたから!それなのに!」

ダンブルドア「……そうじゃ。わしは彼を閉じ込めた」

ハニー「わたしも――同じ目に合わせて!!!誰だって閉じ込められるのはいや!!自分の知らないところで、自分の大切な何かが変わってしまうのは嫌!!!!もう、そんなのは――ごめんだわ!!!」

ダンブルドア「―――」

ハニー「……」

ダンブルドア「――そうじゃの、ハニー。その通りじゃ――その時が来た。今こそ、話して聞かせよう。五年前、君に話すべきだったことを」

ハニー「……なにを?」

ダンブルドア「すべてを、じゃ。ハニー」

740 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 04:31:02.96 ID:5d7oAE9Q0

ダンブルドア「五年前、君はこのホグワーツにやってきた。わしの思っていた通り、リリーに似て、そしてジェームズにそっくりな子供じゃった」

ハニー「……褒められている気がしないのだけれど」

ダンブルドア「ほっほ、褒めているとも……暗く辛い十年だったことじゃろう。それでもあの気高さと、優しさをもっていられたのじゃから」

ハニー「……そうでもなかったわ。特に、最後あたりは」

ダンブルドア「君はいぶかったことはないかね?どうしてわしは、君を預けるのにわざわざマグルのおばさんの家を選んだか。それこそ魔法界で庇護する方が、普通に考えれば安全なのではないか、と」

ハニー「……えぇ、何度か。答えは見つかりそうに、なかったけれど……血縁、くらいのものかしら……待って。思い出した。去年、あいつ、ヴォルデモートはそう言ってたわ……ダンブルドアは、私の守りを強化させた、って」

ダンブルドア「そうじゃ。君の母上が残した守護は、君の血の中で持続しておる。それ故わしは、きみの母上の唯一の血縁であるペチュニア・ダーズリーの下へ君を預けた。彼女が君との絆を育むかぎり、この守りは――」

ハニー「……おばさんは、私を愛してなんかいないわ」

ダンブルドア「それでも、確かに引き取った。嫌々かもしれんし、腹を立てたかもしれん。じゃが、彼女は君を引き取ってくれた。おかげで君の守護は確固たる者となった……あの家が君の家だと呼べる限り、ヴォルデモートが敷居を跨ぐことは絶対にできないよう魔法をかけたのじゃ。おばさんは、そのことをご存知じゃよ。しかと手紙に書いたからのう」

ハニー「……やっぱり、夏の『吼えメール』はあなたからだったのね。思いだせ、って」

ダンブルドア「画して、君の中にある守護も両親の面影も最良の形でこの城へやってきた――その年に起きた事件については、今一度説明しなくてもいいかの?」

ハニー「……えぇ、そうね。語り継ぐまでもないわ」

ダンブルドア「アズカバン奥地とかで週一で語られてそうじゃがの……君は、わしが想定していた時期よりもっと早く、奴と対決した。己の弱きも知り、意気地も知り、震える足であろうとも、君は勇敢に立ち向かった――わしは、誇らしかった。口ではいい現せられないほどに、君が誇らしかった」

ハニー「……当然ね。私、だもの。えぇ」

ダンブルドア「しかし、この時には計画に欠陥があった。明らかな弱点じゃ――後の全てを狂わせてしまうかもしれん、じゃから、わしは慎重になった――それこそが、弱点とも言えるのじゃが」

ハニー「……?」

ダンブルドア「覚えておるかね。ヴォルデモートとの戦いに疲れ果て、医務室で眠っておった君は。こう聞いたはずじゃ、聞きたかったはずじゃ、『どうしてそもそもヴォルデモートは赤子の自分を殺そうとしたのか』と」

ハニー「……」

ダンブルドア「……その時、話すべきじゃったのか? わからぬかのう、ハニー。この計画の弱点が」

ダンブルドア「わしは考えた。君はまだ十一歳、何かを背負うには早すぎる――そう言い訳したのじゃ。体のいい言い訳じゃ。その時、わしは気づくべきだった――すでに危険な兆候はそこにある、と」

ダンブルドア「二年目に入った。君はまたしてもヴォルデモートと対決し――過去を越え、今を越えて、わしにホグワーツの可能性を見せてくれた。あぁ、君は大人の魔法使いでも成し遂げられないことをやってのけたのじゃ。君は誇らしげじゃった……わしは、その勝利の余韻を君からぬぐいさるのは酷じゃ、そう思ってしまった」

ダンブルドア「ハニー、分かるかね。わしが犯してしまった過ちを。この計画の弱点が、もう分かったかの?予測していたわなに、わしは最早かかりきってしもうた」

ハニー「……よく」

ダンブルドア「きみをあまりにも愛おしく思いすぎたのじゃ、ハニー」

741 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 04:53:31.09 ID:5d7oAE9Q0

ダンブルドア「奴をくじくことが全てのはずじゃった。そのためには何もいとわないはずじゃった」

ダンブルドア「わしは非情になるつもりだった。じゃが、君をあまりに大事に思いすぎた」

ダンブルドア「君が幸せであるほうが、君が真実を知るより大事になってしもうた。君の心の平安の方が、魔法界の平安より気になってしもうた。計画が失敗した時に失われる多くの命よりも、君の命を何よりに考えるようになってしもうた」

ダンブルドア「つまり、わしは――ヴォルデモートが言うような、人を愛する者がとる愚かな行動を取っていたのじゃ」

ダンブルドア「三年生になった、君は両親の影を見、自分自身を見、全てを救うだけの力をわしに見させた」

ダンブルドア「わしはもう段々と口実が尽きておった。君がか弱い女の子でないのは最早明確じゃった。あぁ、そうじゃ。君自身がどう思っていようとも、もはや君には乗り越えるだけの準備はあるはずじゃった。それでも、あの時はわしは話さなかった……そう何年も、君に降りかかるはずがない。まだ早い、まだ早い、と」

ダンブルドア「わしの見込みはおおハズレもいいところじゃった。あ奴が動き、君は再び立ち向かった。君は友の犠牲を乗り越え、奴に正面から立ち向かう意思を見せてくれた――その意思にわしが本気で応える気があったのなら、話すべきじゃった。わしは、また君に話すことはできなんだ」

ダンブルドア「じゃが、今夜。わしは思い知った。わしが君に話さぬことで、君自身はおろか君の周りのあらゆる者に危害が及ぶ。君にはとうに、受け入れるだけの準備ができておったというのに……」

ダンブルドア「じゃが、ハニー。一つだけ弁明させてほしい。君が、この学校で学んだどの学生よりも多くの重荷をすでに背負っていたことを、わしはずっと見守っていたのじゃ……じゃから、この重荷を背負わせるのははばかられた。何よりも重い、この重荷を」

ハニー「……わたしの、すべてに関係すること」

ダンブルドア「そうじゃ、ハニー。今宵の騒動にも――『予言』は全てを、動かしてきたのじゃ」

746 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 08:35:00.09 ID:5d7oAE9Q0

ダンブルドア「君とヴォルデモート。二人に関する予言は神秘部に保管されておった」

ハニー「えぇ……でも、壊してしまったわ。予備があるようにも、思えないけれど……」

ダンブルドア「なに、心配はいらん。あれ自体が予備のようなものじゃ。あの予言を、聞いた者の記憶を見ればいいだけじゃ。そうじゃろう?」

ハニー「……そうね、A.P.W.B.Dさん」

ダンブルドア「その通りじゃ。そして予言したのは、S.P.T、シビル・パトリシア・トレローニー」

ハニー「……一つ目の本当の予言?」

ダンブルドア「そう。わしは十六年前、ホッグズヘッドの二階で彼女の採用面接をしておった。有名な予見者曾々孫だったものじゃから、期待しておったが……結果はあまりふるわず。帰ろうときびすを返したところで……様子が変わったのじゃ」

ハニー「……低い、しゃがれた声に。それに、目つきもなんだか」

ダンブルドア「そうじゃ。わしはそれがすぐにヴォルデモートに関連することなのだと分かった……外で盗み聞きをしていた者も、じゃ」

ハニー「……盗み聞き!?」

ダンブルドア「そのものは予言の前半であのヤギ男――バーテンにみつかりしめだされたが、その内容をヴォルデモートに知らせた。その後半の部分に自らの顛末までなされていたとはつゆ知らず」

ハニー「……」

ダンブルドア「じゃから、奴は復活してからずっと予言を欲したのじゃ。全貌が明らかになれば、己の敵を打ち破るよげんがなされておるかもしれぬ。そう考えてのう」

ハニー「……敵」

ダンブルドア「……さて。君はあまりもうこれを見たくないじゃろうが、使うこととしよう」

カタッ

ハニー「……憂いの篩」

ダンブルドア「……さぁ、これが記憶じゃ」

スッ スゥゥゥゥッ

ハニー「……」

ダンブルドア「ハニー……よいか?」

ハニー「……えぇ」

スゥゥゥゥッ

パッ

『闇の帝王を打ち破る力を持った者が近づいている……七つ目の月が死ぬとき、帝王に三度抗った者たちに生まれる……』

『そして闇の帝王は、その者を自分に比肩する者として印すであろう……その者は、闇の帝王の知らぬ力を持つであろう……』

『一方が他方の手にかかって死なねばならぬ……なんとなれば、一方が生きる限り、他方は生きられぬ』

『闇の帝王を打ち破る力をもった者が、七つ目の月が死ぬときに生まれるであろう……』


ハニー「……」

ダンブルドア「……」

ハニー「これ、は……この意味、は……つまり。つまり」

ダンブルドア「つまり、十六年前の七月末、ヴォルデモートを永遠に克服できる唯一の可能性をもった人物が生まれた、ということじゃ。これは、ヴォルデモートに三度抗った者の下に生まれる、と」

ハニー「それが……それが、わたし???」

751 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga ] 投稿日:2013/06/02(日) 09:13:59.20 ID:5d7oAE9Q0

ダンブルドア「奇妙なことに。実に、奇妙な事に。ハニー、もしかすれば君ではなかったのかもしれんのじゃ」

ハニー「……え?」

ダンブルドア「当時、わしの陣営には多くの勇敢な者たちが集まっておった。優秀で、力があり、そして、闇の魔術に飲まれない素晴らしい魔法使いたち。そんな中でも、ヴォルデモートと直接対決し、三度も逃れることができる人間は、そうはおらんかった」

ダンブルドア「リリー、ジェームズ・ポッター、そしてアリス、フランク・ロングボトムはそんな夫婦じゃった。同じ頃、どちらも子供を授かった」

ハニー「……じゃぁ、じゃぁ、ネビルが、そうかもしれないじゃない。どうして、私だって」

ダンブルドア「それは単純明快じゃ、ハニー。予言の後半を思い出してほしい。奴が『比肩する者』として印したのは、君だったのじゃ」

ハニー「……印……この、傷」

ダンブルドア「そうじゃ、ハニー。その傷は奴の呪いであり、奴からの祝福でもあった」

ハニー「……そうしたからって、間違ってなかったとは言えないわ!だって――」

ダンブルドア「ハニー、予言によって可能性が提示され、そして奴が選んだのは君だったのじゃ。分かるかね? どちらが正しかったか、ではないのじゃ。奴が動き、奴が印した者が、奴自身を滅ぼす存在になる。奴は自らの首を絞めたのじゃ」

ハニー「じゃぁ――尚更、どっちでも、よかったなんて――」

ダンブルドア「そうは言うておらん。そして、それはヴォルデモートも一緒じゃろう。奴は自分にとってもっとも脅威となるのはどちらか、と考えた。選んだのは、奴自身の心情とは間逆。混血の君じゃった――あやつは君を見る前から、君の中に自分自身を見ておったのじゃ」

ハニー「でも、おかしいわ――おかしいじゃない!その予言の、通りなら――」

ダンブルドア「そう、奴は君が『闇の帝王の知らぬ力をもつ』ことを知らなかった。盗聴者は、その前に締め出されておったからのう――」

ハニー「わたし、わたし、そんなもの、もってない!!!」

ダンブルドア「……」

ハニー「わたしは、わたしはそんな力なんて、何一つもってない!あいつが今夜戦ったように!あなたのように杖をふる事だってできない!!人に取り憑くことだって――憎くて憎くて仕方ないあいてを、苦しめること一つできない、わたしが――わたしが、どうして」

ダンブルドア「君の持つ力は、神秘部の鍵がかかった部屋で研究されておる。それよりも遥か昔、何十年、何百年、何千年と前から研究されておるものじゃ。追い求められておるものじゃ」

ダンブルドア「それは生のなによりも不可思議で、死よりも恐ろしく、人の叡智よりも自然の力よりも素晴らしいものじゃ……君はそれを、当たり前のように身に宿しておる。ハニー、君は無力などではない」

ダンブルドア「君はその力によって、今夜も、そしてこれまでも多くの事をなしてきた。君のその力が、奴が君に取り憑くことを護った。君が苦も無く奴の中で記憶を見れる一方、奴は君に取り付くと地獄の苦しみを味わっておった。当然じゃ。君の持つ力は、奴にとって最も脅威で、最も恐るべきものなのじゃから」

ダンブルドア「結局、君が『閉心術』を身につけるのは問題ではなかった……最後に君を護ったのは、君の心だったのじゃから」

ハニー「……でも、でも、わたしが……おびき、だされなければ」

ダンブルドア「それもこれも、君のその力を見くびり、予言のことを伝えておらんかったわしの責任じゃ。ハニー。君は責められるべきではない。わしを糾弾するべきなのじゃ――こんなものを、君のような若者に押し付けることを。そして押し付けることさえ拒み、隠し通そうとしていたことを」

ハニー「……予言の、最後」

ダンブルドア「――あぁ」

ハニー「……一方が生きる限り」

ダンブルドア「他方は、生きられぬ」

ハニー「……それじゃぁ……わたしとあいつは、最後には……二人のうちどちらかが、もう一人を。殺さなくちゃ、いけない?」

ダンブルドア「――そうじゃ」

ハニー「…………」

757 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga ] 投稿日:2013/06/02(日) 09:45:29.10 ID:5d7oAE9Q0

ハニー「……」

ダンブルドア「……」

ハニー「……上等、じゃない」

ダンブルドア「……」

ハニー「……いつか言ったわ……何度だって、何度だって、何度だってあいつを挫いて……」

ダンブルドア「……」

ハニー「今更だわ。私が、あいつを……倒すのは、ずっとずっと前から分かってたことだもの」

ハニー「パパとママのためにも……それで」

ハニー「……セドリックや、シリウスの、ためにも」

ハニー「あいつに、酷い事をされてきた、人たちの、ためにも……!」

ギュッッッ

ハニー「わたしが……ここでうろたえていいわけないでしょ……?」

ハニー「っ、わたしが……私が……!私しか、あいつを、倒すことが、できないんなら!」

ハニー「私は――予言なんか、なくったって!」

ハニー「前に、進む!こんな世界は間違ってる!闇に飲まれたまま生きる人がいるなんて!!!そんな人たちに負けたままだなんて!!!」

ハニー「これ以上、誰かが――!」

ハニー「っ、ダンブルドア――ダンブルドア!!!!」

ダンブルドア「……あぁ、ハニー」

ハニー「私、わたしはそれでも、弱いまま。あなたが言うような素晴らしい力なんておもいつかない。だから――手伝って」

ハニー「あなたの知っていること、全部でわたしを支えて。それくらいのことは、してくれるんでしょう?」

ダンブルドア「当然じゃ、ハニー。わしは――君の豚じゃからのう」

ハニー「……腹黒豚の名に恥じないわね、まったく!」

ダンブルドア「……ヒンヒン!」

761 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 10:13:12.81 ID:5d7oAE9Q0

二日後

医務室

ハーマイオニー「……『名前を呼んではいけないあの人、復活す』 ついに認めざるを得なくなった、という割には随分と紙面に出すのを迷ったようね、ファッジは」

ハニー「それでも、真実を伝える気になったのはいいことだわ……遅すぎるけれどね」

ロン「君を賛美する言葉に遅いも速いも何もいつも言ってるから問題ないねハニー!ヒンヒン!君の美しさってモークセーくらいでかいよな!」

ハニー「軟膏よ、ロン。飲みなさい」

ロン「もちのゴッゴッゴッゴッ」

ネビル「ロン、ローーーーン!!塗るものだ、塗るものだよそれ!ローーーン!!」

ジニー「新聞ったら、今度は随分とハニーのことを褒めっぱなしだわ。『孤独な真実の声……精神異常者扱いされながらも自分の説を曲げず……あざけりと中傷に耐え』」

ハーマイオニー「ふ〜ん。嘲ったり中傷したりしたのは自分達だ、ってことを書かないあたり、反省しきってはいないみたいね。まったく!! イタッ!」

ハニー「! 大丈夫、ハーマイオニー?」

ハーマイオニー「っ、平気平気。肋骨が、あと少し痛むだけだもの。流石はマダム・ポンフリーのお薬ね」

ハニー「えぇ……はやくよくなってね。痛むのにあまり、迫ったりできないもの……」

ハーマイオニー「な、ナニを!?」

ロン「いやいやハニー、大丈夫だよ、ポンフリーの薬よくきくし。だから、どうぞ」

ネビル「どうぞどうぞ」

ジニー「ヒンヒン!」

ハーマイオニー「入院が長引かされたい人たちがいるようね!? オホン。あら、この記事……ルーナ、このインタビューって」

ルーナ「うん。パパが『予言者』に頼まれて売ったんだ。とってもいい値段で。今年の夏は『スノーカック』を捕まえにスウェーデンに探検にいけそう」

ハーマイオニー「あー、そうっ、ステキね」

ハニー「……」

ハーマイオニー「……えっと、ハニー?大丈夫?」

ハニー「……あぁ、なんでもないのよ。ただ、あなたは手のひらのどの部分が弱かったかしら、とか。考えてただけ」

ハーマイオニー「……誤魔化しているのか本気なのか判断に困るわ」

ハニー「私はいつだって本気よ。いつだってね」

763 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 10:27:17.35 ID:5d7oAE9Q0

ロン「入院って言っても、ここに何日もいる羽目になってるのは僕と君くらいのもんだけどさ。マーリンって名前なんてたっけ」

ハーマイオニー「ジニーもネビルもルーナも軽症でよかったわ……ロン、そういえばあなた、あのいびきどうにかならないの?」

ロン「いびき?」

ハーマイオニー「というか、寝言というか……心臓に悪いのよ、夜な夜な『ハニー、ヒンヒン!』って何度も」

ロン「いやそれ言ったら君だって同じだからな?『ハニー、あぁ、ハニー!』って。勘弁してくれよ、ロニーがロナルドるだろ」

ハニー「……二人を見てると、夫婦みたいだわ」

ネビル「そうかなぁ?」

ルーナ「そうかなあ」

ロン「それで、まあいいや。学校では何が起こってるんだい?ハニーが賞賛と尊敬の雨あられなのは聞くまでもないというか豚にとっちゃ毎日がエブリデイそうなんだけどさ」

ハニー「……えぇ、そうね。私だもの」

ジニー「ハニーステキ。アンブリッジが校長からも高等なんちゃらも退いたから、とりあえずフリットウィックがフレッジョの沼を片付けたわ」

ネビル「あっと言う間だったんだ。でも廊下の隅っこに少しだけ水溜りを残して、ロープで囲ってたよ。『これはとってもいい魔法だったから』って」

ロン「粋だぜ、さすが先公豚。粋と言えば、それじゃ、ダンブルドアが戻ったから何もかも元通り、そういうことかい?」

ルーナ「ん。全部、普通になったよ」

ロン「……君が言うと途端に不安になるなぁ」

765 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 10:43:09.94 ID:5d7oAE9Q0

ハーマイオニー「沼もなくなったし、未だにくすぶっていた花火も始末されたのでしょうし。それなら、フィルチは喜んでいるんじゃない?」

ジニー「逆逆、真逆よ。ほら、あの人って――アンブリッジを崇拝してたでしょ?」

ハニー「……アンブリッジ、ね」

ロン「あー……あっちの、隅のベッドの」


アンブリッジ「――――」


ハニー「……ずっと、放心状態だわ」

ネビル「だ、ダンブルドアが一人で森に入っていって、連れ帰ったんだよね……人差し指でつまんで」

ハーマイオニー「マダム・ポンフリーは、外傷もないし、単にショックを受けただけって言ってたけど」

ジニー「寧ろ拗ねてるのよ、きっと」

ロン「あぁ、こうしてやると生きてる証拠を見せるぜ……」

パカラッパカラッパカラッ!



アンブリッジ「ひ、ひぃいいいいいいいいっ!?!?どこですの!?!?どこですの!?!?」

ポンフリー「!? ど、どうされました?アンブリッジ先生?」

アンブリッジ「あっ……いいえ。わたくし、ちょっと疲れたようで……なんでもありませんわ」



ハニー「趣味悪いわよ、ロン。けれど、よくやったわ」

ロン「ヒンヒン!ごめんよありがとうハニー!」

ハーマイオニー「っっふ、っく、っふふ。まったく、いいお灸になったんじゃないかしら……ケンタウルス、って言えば。フィレンツェが戻れるように、ダンブルドアは説得したのかしら」

ジニー「トレローニーも、フィレンツェも、学年違いで二人とも教えることになるそうよ」

ロン「ふーん。ダンブルドアも物好きだよな。あのままトレローニーなんておん出せばよかったのに」

ハニー「……」

ハーマイオニー「そう言える?本物の予言が存在するって分かったばかりじゃないの。あぁ、私、占い学に復帰できないかしら――あら、ハニー?」

ハニー「私、あー……ハグリッドのところに、行ってくるわ。今朝戻ってきたって、言っていたから」

ハーマイオニー「そ、そう? よろしく言っておいて頂戴……あの大きな紳士さんについても」

ハニー「……ふふっ。えぇ、言っておくわ」

ガチャッ、バタンッ

ハーマイオニー「……あの予言は、壊れたのよね?」

ネビル「うーんと、そのはず、だけど……」

ロン「ハニーから話したくなるまで口出し無用さ、もちの僕でね」

767 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 11:06:58.51 ID:5d7oAE9Q0

玄関ホール

ハニー「……(誰かと一緒にいたいのか、一人になりたいのか……よく、わからないわ)」

ハニー「(予言のことを、話すことも……まだ、わたしが、わたし一人で整理するのに、精一杯なのに)」

ハニー「(二人の反応を見る、余裕なんて……なんだか薄々、気づかれてそうで嫌、だけれど)」

ハニー「(それに……何かの拍子で……シリウスの話に、なりそうで)」

ハニー「っ、っ!」グシグシグシグシ

ハニー「(泣かない……泣かない!シリウスは、平気!心臓が動いてる、息だって、してる!)」

ハニー「(ただ、ただちょっと、眠ってるだけ!それだけ……そうじゃ、なくっても)」

ハニー「(わたしの……中にいる、シリウスは……消えたりしないもの)」

ハニー「……」

ソッ

ハニー「……いいえ、ち、違うわよ!!!唇とか、そういうのじゃなくって!!何思い出してるの、わたし!心とか!!!それよ!!!」


マルフォイ「うわっ!?う、うるさいな! なんだ、ポッター。また何か――夢でもみているのか?え?」

ハニー「……あら。お父上がアズカバンに囚われた系小者の、マルフォイじゃない」

マルフォイ「黙れ! ふんっ……吸魂鬼はアズカバンを放棄した。父上たちはすぐに出てくる……ポッター、お前は死んだぞ。思い知らせてやる。絶対に、絶対につけを払わせてる……!」

ハニー「どうやって?あなたのお父上がワルだっていうのは、もう世間に知れてしまったわ。あなたはもう二度と、大手を振って誰かにすりよることもできない……あぁ、そうね。一人だけ、存分に擦り寄る相手がいるんだったわ」

ハニー「ヴォルデモート卿とか。そうでしょ?」

マルフォイ「!?」

クラッブ「ゴ、ゴァ……」

ゴイル「……ウゥホ……」

ハニー「……怯えるって感情あったのね」

マルフォイ「な、なめるな。こいつらだってそのくらいはする。えーっと、暖炉の火とか……ポッター、お前は自分が何様だと思ってるんだ?え?」

ハニー「誰であろうと。二度と日の目を浴びないあなたたちよりましよ。マルフォイ」

マルフォイ「っ、この……!!!」

ハニー「 『インペディメ――」


スネイプ「ポッター!!そこで何をしておる!!」

ハニー「っ……あら、ハァイ。スネイプ、『先生』」

スネイプ「挨拶はいい。何をしておるかと聞いている」

ハニー「マルフォイにどんな呪いをかければいいか、考えていたわ」

スネイプ「……貴様は何様のつもりだ?」

ハニー「少なくとも『闇の魔術』を使うよりは、マシだわ。『先生』」

スネイプ「……それが貴様の決定というわけか。よかろう。グリフィンドールから二十点……おや?もうグリフィンドールには、その減点する点すらありませんな?」

ハニー「……誰かさんたちが特権をふりかざしていたからね」

マルフォイ「ざまぁみろ!」

スネイプ「よかろう。で、あれば一時的に、やむをえず点を――」


ギィィッ

マクゴナガル「点を加えますか、スネイプ先生。お手伝いしましょう」

ハニー「! マクゴナガル先生!! おかえり、なさい!」

マクゴナガル「えぇ、ポッター。戻りますとも。ここは私の家ですから」

778 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 11:19:00.74 ID:5d7oAE9Q0

スネイプ「これは、これは。聖マンゴを退院しておいでで!」

マクゴナガル「えぇ、もう暫くは安静にと言われましたが、学年末のパーティは少なからず楽しみにしていますので。歩行杖をついてなら退院してよい、と。そこの二人」

クラッブ「ゴァ」

ゴイル「ウッホ」

マクゴナガル「私のトランクを研究室までもっていってください。マルフォイ?二人が道を間違えないようについていきなさい、いいですね?」

マルフォイ「……チッ、いくぞ、クラッブ、ゴイル……一歩目から間違うな地下に行ってどうする、地下に!」

マクゴナガル「さて、そうですね。点数の話です。ポッターとその友達とは、世間に対し『例のあの人』の復活を警告し続けていました。それぞれ五十点、それでいかがです?」

スネイプ「あぁ――うむ、そうでしょうな」

マクゴナガル「では――ポッター、ウィーズリー兄弟四人、グレンジャー、ロングボトムにそれぞれ五十点ずつ」

ジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラ!!

スネイプ「」

ハニー「……ほとんど空っぽだった、グリフィンドールの点が……」

マクゴナガル「あぁ、それからラグブッドにも五十点。さぁ、ここからポッターがはたらいた狼藉に二十点減点、そうでしたね?」

ヒョイッ

マクゴナガル「おや……今年はどうやら私の寮が優勝のようで。ポッター……誇らしく思いますよ」

ハニー「……えぇ、先生。ありがとう」

マクゴナガル「評価されて当然のことを評価したまでです。さ、お行きなさい」



780 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 11:36:11.46 ID:5d7oAE9Q0

ハグリッドの小屋

ハグリッド「よー来てくれたな!ハニー!ヒンヒン!おめぇさんは女神だ!しっとったが!」

ハニー「えぇ、知ってるわ……ハグリッドの方こそ、今まで無事でよかった」

ハグリッド「そりゃ、俺は頑丈だからよ。それに、そんなに酷ぇとこにいたわけじゃねぇ。ホグズミートのはずれの洞穴だ。ほれ、去年シリウス――ぁ」

ハニー「――あなた、顔色がよくなったのじゃない?」

ハグリッド「あ、ああ?あ、あぁ!まぁな、うん。グロウプの奴め、そりゃもう俺が帰ったら喜んでなぁ」

ハニー「なんて喋ったの、えぇ」

ハグリッド「あぁ、『これまであたり散らしてすみませんでした。ハグリッドがいなくなって初めて、僕なんかに構ってくれるあなたの優しさ、そして本当の意味での大きさというものが身に染みました。ハグリッド……兄さん、って、呼んで、いいですか?』ってよぉ……!俺ぁ、俺ぁ感無量で」

ハニー「……実はあなたも普通に喋れるんじゃないでしょうね」

ハグリッド「ありゃいい若者だ、うん。いずれ女友達でも連れてこんにゃなんねぇと思っちょるんだが……オリンペに従姉妹でもいねぇかな」

ハニー「普通サイズじゃ意味ないわ……」

ハグリッド「ハニー……タンポポジュースはうめぇかい?」

ハニー「……えぇ、とっても」

ハグリッド「……シリウスも、それが好きでなぁ」

ハニー「…………」

783 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 11:56:30.22 ID:5d7oAE9Q0

ハグリッド「お前さんの親父とあいつときたら、色々悪戯で困らせた後に。悠々とお茶を飲みにきおった」

ハグリッド「怒る気にもならんかったから、出してやったわい。茶ぁじゃなくて、このタンポポを入れたもんをな」

ハグリッド「仕返しのつもりだったんだが……奴さん、気に入りよった。ジェームズなんかは『庶民の味は新鮮か?』とか、茶化しとったが」

ハグリッド「人がいれてくれたものを飲むのがそもそも、とか。あぁ、シリウスはちょっと難しい時期もあったけどよ。いい奴だった。それに、いつだって勇敢だった」

ハグリッド「あいつは戦って、死んだ。だから、悔いは――」

ハニー「シリウスは、死にたくなんてなかった!!!」

ハグリッド「……あぁ、すまん。そう言いたかったわけじゃねぇんだ。あのな――あいつは、そういう奴だってだけで。友達のためなら、自分の犠牲なんて省みない奴だったんだ……昔から。だからよ、お前さんが、自分をもしも責めてるなら――」

ガタッ

ハグリッド「!」

ハニー「……私、ロンとハーマイオニーのお見舞いにいかなきゃ」

ハグリッド「あ、あぁ、そうか!うん、よろしく言っといてくれ!グロウプも、ってな」

ハニー「……えぇ。……ハグリッド」

ハグリッド「ヒンヒン!なんだいハニー!」

ハニー「…………水筒とかって、あるかしら」

ハグリッド「おおとも!いくらでももってってくれ!!ヒンヒン!!」

785 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 12:14:12.61 ID:5d7oAE9Q0

湖のほとり

キャッキャ!!
 ハハハハハハハ!
バシャバシャバシャバシャ!

ハニー「……みんな、はしゃいでるわね」

ハニー「……それはそうよ、学年末なんだもの。試験が終わった五年生と七年生なんかは……ゆっくりすごして当たり前だわ」

「ハァイ、ハニー!」
 「こんにちは、ハニー! げ、元気?」

ハニー「……ハァイ。えぇ、当然じゃない。私だもの」

キャーーキャーーー!
 ワイワイワイワイ……

ハニー「……すれ違いざまにかけられるのは、疑いの視線でも、興味ある視線でもなく。好奇と、それに、私に声をかけるものに変わったわ」

ハニー「……魔法省は、私を『英雄』って売り出そうとしているみたいだもの……みんなミーハーよね、ほんと」

ハニー「……少し前なら、みんなに私の言っていることを信じてもらえるならなんだって、って、思った、けれど」

ハニー「……」

ハニー「どうだっていいわ……もう」

ハニー「きっと、出来るだけ独りでいることが、私にできる最良だもの」

ハニー「……」

ハニー「……」

コポコポコポ……

ハニー「……あんまり、美味しくないわ」

ハニー「……だって」


ハニー「しょっぱい、もの……これ」








788 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 12:33:59.25 ID:5d7oAE9Q0

学期最終日

ハーマイオニー「ハニー?本当にいいの?そのくらい待てるわよ、私。ロンも。ジニーやネビルだって」

ハニー「……いいのよ。荷造りがまだ終わっていないのは、私の責任だもの。先に行って、学年末パーティへ」

ハーマイオニー「……そんなこと行って、この間みたいに現れないつもりじゃないわよね?」

ハニー「……」

ハーマイオニー「……ねぇハニー。悩んでるのはわかるけど……私達を避ける道理は」

ハニー「……遅れるわよ?」

ハーマイオニー「……ハーッ。待ってるわね。それしか、出来ないもの」

バタンッ

ハニー「……」

ハニー「……行けるはずないわ。きっとダンブルドアは、去年度みたいに。魔法省であったことについて話をするもの」

ハニー「……私がどうこう、ってことは言わないかもしれないけれど」

ハニー「……とにかく、荷造りが終わっていないことは確かだわ……早く」

ハニー「……あ」

ゴトンッ!

ハニー「っ、古いローブが……あら?なぁに、これ……何かをくるんで」

ハニー「……! これ、これ、そうよ、シリウスからの、クリスマス・プレゼント……!」

ガサガサッ、ガサッ

ハニー「……これは……鏡?随分古そう……あ!手紙!手紙が、あるわ!」

ハニー「……」

『これは両面鏡だ。私が対になるもう一つの鏡を持っている。私と話す必要があれば、この鏡にむかって名前を呼ぶといい。これはとても便利だ。ジェームズと私が別々に罰則を受けていたとき、この鏡を使ってさらにしかけるタイミングを打ち合わせたものだ――』

ハニー「……すごい……けれど」

ハニー「……今、シリウスの手元に鏡があるわけ……ないわ」

ハニー「……なんで、これのことを……もっと早く……もっと、そうすれば!!」

ハニー「っ、なんて、バカなの……私……っ!!」

ブンッ! ピシッ!

ハニー「全部全部遅すぎる。何もかも。こんなことで、私は……あいつに……本当に、独りで」

ハニー「また、シリウスと――」

ハニー「――そう、だわ」

ハニー「もしも、もしも――シリウスが本当に、そうなっているなら」

ハニー「……戻って、こられるじゃない。そうよ……そう。確かめ、なくっちゃ!」

ガタガタッ、ガタッ、バタンッ!

796 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 13:36:29.63 ID:5d7oAE9Q0

玄関ホール

ザワザワザワザワザワ

ピーブズ「アアアアッハハハハァーーーーー!!でーーーてけ!!でーーーーーてけ!!!」

アンブリッジ「ひぃいいいいっ!!やめ、おやめ、おやめなさああああい!!」

バシッ!バシッ!!バシッ!!

アハハハハハハハハ!!

ロン「アンブリッジのやろ、みんなが大広間にいる間にこっそり出て行くつもりだったんだろうな。ま、ピーブズに見つかったのは運のつきさ」

ハーマイオニー「片手にチョークをつめた袋……もう片方って、あれ」

ロン「僕らの寮監様が使ってる歩行用杖に似てるなぁ、あぁ、偶然ってスゴイ」


ピーブズ「ギャアアアアッハハハハハハハ!!!ほーーれほーーーれ!ゲコゲコないて沼に帰れーーー!」

アンブリッジ「い、今にみてなさい!この!!かえるのは魔法省へですわ!いまに――」

フィレンツェ「――なんの騒ぎです?私はいま、もうそ、オホン、瞑想で忙し――」

アンブリッジ「ぎゃあああああああああ!!!!」


アハハハハハハハハ!!
 ゲラゲラゲラゲラゲラ!!


ロン「いい気味だ。このままあっちでも大人しくなりゃいいけどなあ」

ハーマイオニー「それは、どうかしら……って、あら?」

ロン「なんだい?アンブリッジの落し物でも見つけた?ピーブズに届けてもらおうか」

ハーマイオニー「違うわ……今、あっちの上の階段を……ハニーが走っていったような」

ロン「……こっちに、じゃなく?」

ハーマイオニー「えぇ、それもかなり、急いで……何、してるのかしら」

800 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 14:01:51.31 ID:5d7oAE9Q0

四階の廊下

ハニー「いた……やっと見つけた!ニコラス!」

ニック「……おや、おやおや、われらが霊魂の光たるハニー!ヒンヒン!どうしましたかな、てっきり宴会に行き遅れたのは私だけかと。まぁ、私はいつでも逝き遅れですが」

ハニー「あなたに、聞きたいことがあるの!えぇ――そういうようなことで!今、いい!?」

ニック「あー――後ではダメなのですかな?今から私と共に宴会に行きましょうぞ、ハニー。あなたが行けば、みなが喜び――」

ハニー「待てないの、今、聞かせて欲しいのよ!ニコラス!」

ニック「……あぁ、いいでしょう。あなたのその顔には逆らえますまい……そちらの空き教室で?」

ハニー「えぇ、えぇ、いいわ。あんまり聞かれたくもない話だから――あなたにも、ひょっとして聞いてほしくない話題かもしれないわ。その時はちゃんと言いなさい、いいわね?」

ニック「あぁ、ハニー。あなたは優しい。ですが、平気ですとも……予想はついていました」

ハニー「予想……?」

ニック「あなたが我らゴーストの下を訪ねることを、です。よくあることなのです。誰かが……哀愁にくれる誰かが……」

ハニー「えぇ……そう、なの。あのね。あなたは今……死んでしまっているけれど、その」

ニック「……平気ですよ。つづけて」

ハニー「そう、ありがとう。あのね……死んでしまったあなたは、いま、ここで、私と話してる……人は、帰ってこれるんでしょう???ゴーストになって、完全に消えなくてもいいんでしょう!?そう、なんでしょう!?」

ニック「……」

ハニー「どうなの、ニコラス……!」

ニック「……誰しも、というわけではありません」

ハニー「……えっ」

ニック「戻ってこられるのは、魔法使いだけです」

ハニー「あぁ――ふふっ、そんなこと!えぇ、だったら、だったらいいの!あのね……私が、考えていたのは」

ニック「……ハニー。シリウス・ブラックは、きっと戻ろうとしないでしょう」

ハニー「!? ど、どういう、どういう意味!?戻ろうと……しない!?」

ニック「我々魔法使いは、死後に自らの痕跡を地上に残せます……ですが、ほとんどの人はそうしません」

ハニー「あぁ、それなら平気よ!シリウスは、普通と違うのを――」

ニック「あの人は帰ってこないでしょう……彼は私とは違う……死を恐れるような人じゃぁない。そうですとも、ハニー。あの人は逝ってしまうでしょう」

ハニー「そんなこと、言わないで!!あなたにしか――死んでしまっているあなたにしか、聞けないのに!」

ニック「残念ながら、私自身は死後ですが――私の知っている死に関することなど、ほとんどないのです。何せわたしはそれから逃げ、この生と死の間を揺らいでいるのですから」

ハニー「そんな……そんな……」

ニック「このことは、神秘部の学識ある魔法使いたちが――」

ハニー「わたしに、あの場所の話を!!!しないで!!!!!!!」

ニック「……お力になれず、申し訳ありません。ハニー」

ハニー「っ、っぅ、っ、行って!!行ってよ!!宴会にでも、なんでも!!早く!!!」

ニック「えぇ……逝ってきましょう」  スゥゥゥッ

803 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 14:34:17.78 ID:5d7oAE9Q0

ハニー「っ、っっぅ、っ」


キィィッ


「――何してるの?」


ハニー「!? っ、っ!」グシグシグシグシグシ

ハニー「……ハァイ、ルーナ」

ルーナ「ん。宴会には、行ってないんだ?」

ハニー「……あなたこそ、何してるの」

ルーナ「あたし? あたしは、自分の持ち物をさがしてるとこ。いつも色々なくなっちゃうから、この時期は大変なんだ」

ハニー「……なくなる、って。どうして?」

ルーナ「さぁ。きっと、私の物を隠して面白がるんじゃないのかな」

ハニー「っ」

ルーナ「ほら。みんな、あたしのことをちょっと変だ、って、思ってるみたいだから」

ハニー「……そんなの、あなたの持ち物を取っていいことにはならないわ。えっと……手伝う?」

ルーナ「あら、いいよ。張り紙もしたし、最後には戻ってくるもン……それであんたは、どうして宴会に行かないの?」

ハニー「……気が乗らない、だけよ」

ルーナ「うん、そういうことってあるよね――シリウス・ブラックって、あんたの後見人だったんだって?」

ハニー「……えぇ。それだけじゃ、ないけれど――あなたは」

ルーナ「うん?」

ハニー「あなたは――セストラルが、見えるなら。誰か身近な人が、亡くなったの?」

ルーナ「うん、あたしのお母さん。とってもすごい魔女だったんだよ。実験が好きで――それで、あるとき自分の呪文で酷く失敗しちゃって。九歳だったかな」

ハニー「……あの……かわい、そうに」

ルーナ「ちょっと厳しかったな、うん。でも、いいんだ。あたしにはパパがいる。それに、ママにあえなくなったわけじゃないもン。でしょ?」

ハニー「……心の中、自分の中に、って。そういう……?」

ルーナ「そっ。それに、あたしたち聞いたよね。ベールの裏側で。みんなの声を」

ルーナ「たったあれだけ、すぐ傍に隠れてるだけなんだ。それが、ちょっと見えないところなだけ」

ルーナ「あんたの中だけじゃないよ。あんたがちょっと見つけてやれば、あの人はきっとすぐ傍にいる」

ハニー「……」

ハニー「ねぇ、ルーナ……少し、お茶をしない?」

ルーナ「ん」

カチッ コポコポコポ

ハニー「……」

ルーナ「……いまいちだね」

ハニー「……えぇ。あんまり、美味しくないわ……でも でも 独りじゃないと、美味しいわ」

ルーナ「……しょっぱいんじゃない?」

ハニー「ううん……美味しいの。ありがとう……ルーナ……本当に」

ルーナ「いいよ。だって、ほら――」

ハニー「わたし……あなたは、大切な。お友達だわ」

ルーナ「!!!」

804 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 15:00:22.96 ID:5d7oAE9Q0

ルーナ「ほんと!?」

ハニー「っ、うん……」

ルーナ「ほんとの、ほんと!?あんたと、あたしが!?」

ハニー「……嫌じゃ、なければ」

ルーナ「嫌じゃないよ!! あのさ、それじゃ、これ!」

パチッ パチンッ

ハニー「? なぁに……あら、これ」

ルーナ「赤いカブの、イヤリング。片方あげる!」

ハニー「……いいの?」

ルーナ「いいよ。だって――友達!だもン!」

ハニー「……ふふっ。うん、ルーナ。友達ね」



ハニー「(バカみたい……勝手に避けて、勝手にきめつけて、勝手にみんなのため、なんて思って)」

ハニー「(わたし自身が泣いてるのに これでいいんだって、納得して)」

ハニー「(そんなの、同じじゃない。変わる前のわたしとおなじ。受け入れられるのを怖がる私と同じ)」

ハニー「(わたしも……私も……みんなと一緒にいたいに、決まってるのに)」

ハニー「(友達って、そういうことなのに……それで)」

ハニー「(戦うって決めたなら……みんなのことを信じるのが、わたしに出来ること)」

ハニー「(もう分かってた、はずなのに)」

ハニー「……ありがとう。気づいたわ、やっと。わたしがみんなと、どうしたいのか」

ルーナ「うん、随分かかったね」

ハニー「……え?」

ルーナ「おかげで、扉からはみだしてきてるよ。あの人たち」

ハニー「……え?」


ギチギチギチギチギチッ

ジニー「お揃いなんて!しかも片方ずつ!その手が――ハニー。わたし達みんな、あなたに首っ丈なの」

ネビル「ハニーは泣いても高貴で可憐だね!ヒンヒン!  僕、少しでも、たった少しでも、君の力になるよ!」

ハーマイオニー「ハニー……あなたがどんなに悩んでたって、そっぽをむいてたって、隣にいるわ。忘れないで」

ロン「いたたたた!踏むなよな!おい!   僕は心配なんかじゃなかったよ、ハニー。いざとなりゃ、無理やり君をおぶってでも進むんだからさ。もちのロンで」

ハニー「……ありがとう」



ハニー「大好きよ、みんな!」

807 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 15:24:35.45 ID:5d7oAE9Q0

ホグワーツ特急

ガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタン

ハニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ジニー「……」

ネビル「……」

ハニー「いつまで、ニヤニヤ、してるの!!!!忘れなさい!!!!!」

ロン「いやー、それは無理ってもんだよハニー、うん。でもちっくしょう、ジニーとネビルにまでそれを言われるときがきちまうなんてなあマーリンの髭」

ジニー「異議あり!ハニーは誰のものでもないわ!」

ネビル「そうだそうだ!全豚の崇拝対象だ!」

ロン「だよな!!ヒンヒン!」

ジニー・ネビル「「ヒンヒン!!」」

ハーマイオニー「変わらないのねそこのところは……ハニー?夏休み、聖マンゴに足を運べそうなの?」

ハニー「ダンブルドアの返答次第だわ――そうさせるけれど。何せあれも、私の豚だもの。そうよね、豚さんたち?」

ロン「ヒンヒン!……おっ?」

ガラガラッ

マルフォイ「また会ったな、ポッター」

ハニー「特に用もないのに本当ね。なぁに?」

マルフォイ「ここにはお前の味方をする先生様もいないぞ!観念するんだな――」

ハニー「あら、そう」

ガラガラガラガラッ!! ガラガラガラガラガラッ!

マルフォイ「!おい、なんだ、見世物じゃ――あ」

ディーン「ロンの読みどおりだったね。ヒンヒン!」

シェーマス「君のことだ、帰りの列車で何かしかける、ってさ。ヒンヒン!」

アーニー「……僕らのハニーに、なにを?ヒンヒン!」

ジャスティン「観念させるっていうんだ、マルヒン!」

ハンナ「点数のことで恨みがあるのはわたし達だって同じよ!」

スーザン「ほんっっっとに来たのね。なんて下劣なの」

ラベンダー「男三人でつるむならせめてあんたレベル三人にしなさいよ!」

パーバティ「それか痩せろよ両脇二人!需要ないわよ!」

パドマ「ニッチすぎるわよ!」

アンジェリーナ「クィディッチのことは、まぁ優勝できたし水に流してやるよ。けどさ、コレはまた別問題だ」

アリシア「そうね」

ケイティ「そうよね」

リー「さあああああああ残念観念はめられフォイなマルフォイくん!!!最後の断末魔を、どうぞ!!」

マルフォイ「ふぉ……f」

リー「言わせるかやっちまえええええええええええ!!!」

バーーーーーン!!バチバチバチバチバチ
 バーーーーン!! モクモクモクモクモク フォォ……ぃ

816 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 15:47:22.67 ID:5d7oAE9Q0

ウネウネウネウネウネ

ピシャッ!


ロン「ゴイルの母親は喜ぶだろうさ、自分の醜い息子がかわいい巨大ナメクジに変わってんだからね」

ハーマイオニー「多様な呪いとか呪詛が煮詰まるとあんなふうになるのね……勉強、にはならないけど」

ロン「ナメクジと親和性高い奴でもいるんじゃないか?そういや、マイケルの野郎は僕が声かけようとしたら逃げっちまったけど、ありゃなんだい?え?仮にも――」

ジニー「あら、だって、元カノのお兄さんと話すなんて気まずかったんでしょ?それに、今はチョウと付き合ってるはずだし……」

ロン「そうだけ――元!?!?お、おい!聞いてないぞ!!なんだよそれ、僕聞いてないぞ!?マーリンの聞いてないぞ!?それに、チョウ!?うわぁめんどくせぇ!!」

ハニー「私、もうなんとも思ってないわ。平気よ……ほんとに」

ジニー「聞いてないって、それはそうよ。言ってないもの……一々言わないといけないわけ?」

ロン「当たり前だろ!僕はな、兄貴たちに代わって君を、監督する義務があるんだ!」

ジニー「……っぷ!!っふふ、あははははは!ロン、今の、パースそっくり!!」

ロン「んな、やめろよ!!僕をあんな石頭と一緒にするな!こんちくしょう!マーリンの髭!!髭!!!!」

ハニー「微笑ましいわ。ふふっ……ハーマイオニー、何か真新しい記事はある?」

ハーマイオニー「あんまり。まだ色々と本格的じゃないわね……ヴォルデモートの目撃情報の投書、吸魂鬼の撃退法、死喰い人の追跡記事……きゃぁ!?」

ハニー「それじゃ、下に敷いてしまってもいいわよね。ねぇ、ハーマイオニー?なんでチョウのことを話した瞬間、新聞が一瞬グシャグシャになったのかしら……?」

ハーマイオニー「あっ、ハニー、そん、な、昨日、最後だからってあんな、ちが、チョウのこと、なんて……『フローバーワーム』くらい、どう、でも、いいじゃない……」


ネビル「つづけて!!」

ジニー「どうぞ!!」

ロン「ヒンヒン! あー、来年は魔法生物なんだなぁ。もちのロンで」

821 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 16:08:47.21 ID:5d7oAE9Q0

九と四分の三番線

シューーーッ!シューーーーッ!

ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ ガヤガヤ

またね!ハニー!
 ハニー!元気で! ハニー! ヒンヒン!ヒンヒンヒーーーン!!

ハニー「えぇ、バイ。 さよなら、あなたもね。 えぇ、そうね。よく鳴く豚は好きよ?」

ハーマイオニー「……五年たっても有名人ね、ハニーは」

ロン「何言ってんのさ。むしろ加速度的に素晴らしさと美貌がマシ続けてるハニーだぜ?有名どころか超名だよ、もちのロンで」

ハーマイオニー「上げられてないわよ……ハニー、そろそろホームから出ないと」

ハニー「えぇ、そうね……帰ってしまうんだわ、あそこに」

ハーマイオニー「……きっとすぐよ、ハニー」

ジニー「えぇ、絶対に!特に今年はママが、ダンブルドアをグーで殴ってでもそうするって!」

ロン「マジでそうしそうだぜママは……大丈夫さ、ハニー。腹黒豚の奴も反省して、改名したんだろ?」

ハニー「えぇ」

ハーマイオニー「そうなの?」

ハニー「意地悪豚になったわ」

ハーマイオニー「……上がったわねひどさが……ダンブルドアなのに」

ハニー「私にとってはかわいくて、こ憎たらしい豚よ……さ、行きましょう」


ガラガラガラガラガラ


ハニー「(……戻らなきゃいけない、理由はわかったけれど)」

ガラガラガラガラガラッ  スーーーッ

ハニー「――(やっぱり、マグル社会に戻るの、は……さみs)」


ムーディ「油断大敵!!!ポッターー!!!」

ハニー「えっ!?きゃ、きゃぁ!?!?」

トンクス「マーーーーッド-アーーーーイ!!!台っっ無しだよ!!!台無しだよいっつもあなたは!!!」

ハニー「と、トンクス!?それに……あぁっ!」

モリー「おかえりなさい、みんな!イイ子にしてた!?」

フレッド「イイ子にしてたかー、ロニー?ジニー?学徒たるもの真面目に生きねばならぬ」

ジョージ「そーうそう、俺たちみたいになっちゃ、ママから耳に蛸ぶち込まれるぜ?え?」

アーサー「みんな、大変だったね。待っていたよ」

リーマス「特に君のことをね。ハニー」

ハニー「リーマス、みんな、みんなでどうしたっていうの? それに、みんな……こんなところで、どうして」

ハニー「……魔法使いの格好の、まま?」


ザワザワザワザワザワザワ
 ヒソヒソヒソヒソヒソヒソ

仮装パーティかしら
  やーねぇいい歳した男の人まで

リーマス「……とっておきの満月用のをみせればいいのかな」

トンクス「まってまって、リーマス。ハニー、あのさ!こうしたほうが、分かってもらえると思って!あなたが魔法界から離れるのはほんの少しだけ!約束するよ!」

ハニー「……トンクス」

824 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 16:33:58.29 ID:5d7oAE9Q0

ムーディ「まっこと、そうだ。シリウスがいないといっても、お前を見守る眼がなくなったわけではない。気をつけろ、ポッター。どこで何が見ているかわからんぞ。この眼もな!ハッハッハッハ!」

ハニー「……ムーディ」

モリー「ハニー、辛かったわね。家族がいなくなるのは悲しいわ……我が家の元気を!すぐにあなたに分けられるように、準備しておきますからね!」

ハニー「……お母様」

アーサー「そう、君はいつだって我が家の一員だ。歓迎するよ、ハニー。出来ればこんどの迎えは、私が君の家まで電車を使っていきたいものだよ、うん!」

ハニー「……お父様」

フレッド「みろよハニー、このドラゴン革のジャケット。最高級だぜ!」

ジョージ「ぜーんぶ君のおかげだ。この夏は僕らの店に来てくれよな!」

ハニー「フレッド、ジョージ……」

リーマス「ハニー。この夏は私と、あいつに会いにいこう。もしかすれば、君が近くにいれば目を覚ますことがあるかもしれない――御伽噺よりは、正直君たち親子の起こす奇跡のようなものの方が、信用できるかもしれないさ」

ハニー「……リーマス」

ジニー「いってらっしゃい、ハニー!またすぐね!蛇がいたなら教えて?今度は私が助けちゃうから!」

ハニー「……ジニー」

ハーマイオニー「ハニー、またすぐ、会いましょう。寂しくて仕方ないわ、きっと。ううん、絶対」

ハニー「……ハーマイオニー」

ロン「そんなの当たり前さ。僕はハニーの一番の豚で   友達なんだから。なっ、ハニー!」

ハニー「……ロン」


ハニー「(こんなにいたんだわ。ううん、もっとたくさん――わたし一人じゃ、支えられないくらい)」

ハニー「(みんなを、信じて――やっていけるのかしら。わたしは――ヴォルデモートと、戦えるのかしら)」

ハニー「(あんなにも、憎くて    怖くて仕方なくて   それでも)」

ハニー「(どんな恐ろしい企てをして また、あいつと向き合う事に、なっても――)」

827 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 16:41:01.56 ID:5d7oAE9Q0

アズカバン


カツン……カツン……

ルシウス「……私は悪くない……全てはポッターが……ポッターのせいだ……奴が」


ヴォルデモート「いつまでもそうは言ってられぬぞ ルシウス 我が友よ」


ルシウス「!!あぁ、あぁ、わが君!!あぁ!!なんと、このような場所に――なんと慈悲深い!私めたちのために――」


ヴォルデモート「いいや まだ出さん お前たちは罰せられるべきだ ルシウス ヴォルデモート卿の命令の沿えなければ そうだな?」

ルシウス「っ、もちろん、そうでございます我が君! 我々は、しくじり――」

ヴォルデモート「あぁ、そうだ  特にルシウス――貴様のしくじりは酷いぞ――貴様独りでは到底、罰しきれん」

ルシウス「!!! あぁ、よもや、妻を、こ、ここ、殺……」

ヴォルデモート「いいや お前の妻は優秀だ 俺様のために情報をよこした 違う  ルシウス  ルシウスよ」




ヴォルデモート「貴様には  ポッターと同じくホグワーツに通う  息子がいるな?」

ルシウス「――――」

ヴォルデモート「俺様に さしだせ ルシウス  貴様の罪は 息子に晴らしてもらう」

ルシウス「――――なん、なりと。我が君。ドラコは――ドラコは私の、自慢の、息子にございます」




832 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga sage] 投稿日:2013/06/02(日) 16:54:05.93 ID:5d7oAE9Q0

ハニー「(――それでも、わたしは、立ち向かわなきゃ)」

ハニー「(あんな奴が、ずっとずっとわたしたちを不安にさせるなんてごめんよ)」

ハニー「(ずっとずっと、大好きな人たちと)」

ハニー「(もう、誰も――失わないために)」

ハニー「(信じてる、みんなのために――)」




ハニー「進まなきゃ、前に。そうでしょ?」




ハニー「……みんな一緒に。ね?」












トンクス「そういうわけで、私達だけでとりあえず来たけど……やっぱり狭いねー――」

リーマス「ハウス……ハウス……!」

シリウス「――――」

トンクス「……いやリーマス、それで戻るのはシリウスの犬部分だけな気がするよいいのそれで、いいかぁ、変わらないかぁ……あれ?これ、誰が置いていったんだろ。なっつかしー!」

トンクス「『吟遊詩人ビードルの物語』!好きだったな、これ」

リーマス「……よし、トンクス。それを貸してくれ」

トンクス「うん?あ、使う?いいよ、わたしがやるよ……よーし!」

リーマス「トンクス、トンクス、わたしは何もその角でシリウスを殴って起こそうとか、そういうつもりでやるわけじゃないしそれで起きるなら苦労は、ちょ……す、ステイ!!」

今度こそ、完

846 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga ] 投稿日:2013/06/02(日) 17:01:40.21 ID:5d7oAE9Q0

騎士団編はこれで!何とかおさまったな!
犬のお休み理由?んなもんおったら途中でスレタイがハニー・ブラックになってまうからにきまっとるやろ!
六巻開始は未定や!堪忍な!
ラドクリフお大事に
じゃあの!



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