キョン「上条たちと野球大会だって?」


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1 名前:!kab-!88[] 投稿日:2013/04/28(日) 15:37:37.92 ID:KzgHIisuP

ハルヒ「やっぱ野球でしょ」

キョン「そっちじゃねえ。大会ってお前、また罪もない善良な市民を巻き込むつもりか?」

ハルヒ「はぁ? キョン、

     あたし達が弱小チームばっかり集まる草野球大会に出るとでも思ってるの?」

キョン「いや弱小っておい」

 古泉「まあ。 上ヶ原パイレーツは相手取るになかなか難いチームでした。

    しかし、本気を出した我々の敵ではなかった、

    と涼宮さんはおっしゃりたいのでしょう?」

2 名前:!kab-!88[] 投稿日:2013/04/28(日) 15:41:01.53 ID:KzgHIisuP

ハルヒ「ええ、察しの悪い団員のせいで余計なフォローを入れさせて悪いわね、古泉くん。

     あのね、キョン。あたし達の相手は御坂さん達、超能力者なのよ?

     この2チームが参加した時点で市民大会の決勝カードは確定したも同然でしょう?

     なのに一戦一戦勝ち進んでいくなんてかったるいし、

     上条くんともお互いベストな状態で戦おうって決めてるし、

     だったらいきなり決勝戦から始めればいいのよ!」

キョン「うむ。じゃ、市内アマチュア野球大会には不参加ということだな」

ハルヒ「表向きそういうことね。

     しかし市民大会の歴史には残らないクロスゲームとして語り継がれることになるわ。

 SOS団として、地域の活性化への貢献という活動主旨からは外れるけど…、

 今回はあたしのワガママを通させてほしいの。…正直、忸怩たる思いよ。

     みくるちゃんのチアコスチューム姿を大勢の前で披露する絶好のチャンスを、

     あたしの手でフイにすることになるんだから」

4 名前:!kab-!88[] 投稿日:2013/04/28(日) 15:45:14.59 ID:KzgHIisuP ?PLT(12001)

sssp://img.2ch.net/ico/anime_morara02.gif
キョン「むしろそっちの方がいい。

     というより上条や俺達が交流する目的で野球をするのに、

     市民大会という概念は最初からいらんだろ。

     それからもう一つ確認したいことがある」

ハルヒ「何、前置きはいいからさっさと言いなさい」

キョン「さっき、『御坂さん達、超能力者』という単語が聞こえた気がするんだが」

ハルヒ「ええ、言ったわよ」

キョン「それと俺らは置いといてだ、

     御坂さん達、どちらかというと中学生が多くなりそうなチームが、

     市民大会で決勝戦に進んで当たり前みたいな言い方しなかったか?」

ハルヒ「そりゃそうでしょ、超能力が使えるんだから」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 15:49:19.33 ID:KzgHIisuP

キョン「アホかお前は!?」

古泉「確かに神聖な野球のゲームに超能力を持ち込むのには、

   疑問を差し挟む余地がありますね」

みくる「あ、あたし達ではとても勝てません……」

長門「しかしルールブックには超能力の使用を禁止する項目は含まれていない」

キョン「そうじゃねえぇーっ!!

     市民大会でないにしろ、野球なんて人の目につくスポーツで…」

ハルヒ「確かに向こうにとんでもないアドバンテージがあるわ。

     でも去年から更にレベルアップしたあたし達の実力なら…」ウーム 

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 15:53:25.74 ID:KzgHIisuP

古泉「ここはチーム対抗から切り替えて学園都市と我々、

   双方の参加者がクジを引いて紅白戦の形で、と持ち掛けてはいかがでしょう。

   彼の言うようにそもそも親睦を深めるというのが目的なのですし」

ハルヒ「‥そうよっ! あたしは上条くんと勝負できれば良かったのよ!

     それに両方のチームに超能力を使える人がいる方が、

     面白い展開になるに決まってるわっ!」

古泉「グラウンドの方は僕が申し込んでおきましょうか。

   日時の空き等確認次第連絡いたしますので」

ハルヒ「任せたわね古泉くん!

     と言いたいところだけど今回はあたしに手続きとかはやらせてちょうだい。

     キョン、佐々木さん達へ野球の紅白戦の件を即日伝えておきなさい!

     練習時間も含めて不公平があってはならないんだからねっ!」

キョン「だから話を聞けーーーーーっ!!」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 15:57:28.12 ID:KzgHIisuP

キョン「……というわけで野球の紅白戦だそうだ」

佐々木『くっくっく…、分かった。御坂さんたちや橘さんへは僕の方から伝えておこう。

     上条くんたちには御坂さんが連絡してくれるはずだよ』

キョン「そう言えばお前と御坂さんの携帯とかつながるよう、長門に頼んだっけな。

     もう電話やメール出来てたのか」

佐々木『ああ、おかげさまで。長門さんには直接お礼を言ったんだが、キミにはまだだったね。

     取り計らってくれてありがとう』

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 16:01:33.44 ID:KzgHIisuP

キョン「いや、俺は礼を言われるようなことはしてないからな。

     どうせなら御坂さんだけでなく白井さんやら、あの‥佐天さんや初春さんだっけか、

     彼女たちともつながるように出来ればな。

     そもそもハルヒや俺が上条に直接連絡するのが筋なんだろうが…」

佐々木『そうなるとあちらとこちらで電話もメールも、

     出来て当たり前だと涼宮さんに思われてしまうものね。

     一応、御坂さんが電磁波を操れる超能力者だから通信できることになってるから』

キョン「…ふぅむ……。まあ御坂さんに連絡するのは頼むとしても、

     何もお前がそこまで気を遣うことはないと思うぞ。

     古泉が何を言い出そうがつながるもんはつながるんだと開き直っちまえばいい」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 16:05:35.47 ID:KzgHIisuP

佐々木『ふっ、くく‥。

     古泉さんが今まで重ねてきた苦労をぶち壊すに値するほどの不便でもないさ。

     彼女たちは中学生、僕と橘さんは高校生と、

     それぞれ違った学生生活に忙しくしているんだし、

     異世界という隔たりがあろうとなかろうと、というよりそうだな、

     東京という地理的に距離のある場所に住んでる、

     年の離れた友達という感覚が近いんじゃないかな。

     合間を縫って互いのケに楔を打つみたいな、

     たぶんたまに会うところでちょうどいいんだ。

     そう言えばこの間長門さん、橘さんと三人で学園都市に遊びに行ったんだよ』

キョン「へえ、長門とね」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 16:09:37.57 ID:KzgHIisuP

佐々木『正確には長門さんに連れていってもらったんだけどね。

     彼女たちが通ってる中学の辺りの広場で待ち合わせて、皆でクレープを食べた。

     トッピングの種類がユニークで楽しめたよ。

     そうそう、キョン。件の野球大会だが、参加者が増えても構わないだろうか』

キョン「そのほうが有難いね。最低十八人集まらないと始まらんからな」

佐々木『よかった。その時に、初春さんと佐天さんのクラスメイトの子と知り合ってね。

     春上さんというんだが、大丈夫、信頼するに足りる優しい子だよ』

キョン「うん。そりゃお前にとっても良かったな。

     だがこっち側は紅白戦とはいえ鶴屋さんを入れても一人足りねーからな」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 16:13:39.44 ID:KzgHIisuP

佐々木『国木田くんと、キミのクラスメイトの谷口くんがいるじゃないか』

キョン「俺はあいつらを念力やらテレポーテーションやらが、

     火花を散らすバトルフィールドに巻き込みたくないぜ」

佐々木『友人の平穏なる日常を守りたいというキミの切なる気持ちは分かるよ。

     ただ、涼宮さんは試合で超能力を行使することを前提にしているみたいだけど、

     上条くんや御坂さんたちが実際そうすると思うかい』

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 16:17:41.98 ID:KzgHIisuP

キョン「……言われてみれば失礼な思い込みをしていたかもしれんな。

     だがな、ヤな予感がするんだよ。俺もまあ誘いたいかといえばそうなんだがな」

佐々木『直感が指し示すことなら従うに越したことはない。

     無意識下で処理された膨大な情報に基づいて得られた結論だからね。

     余計な言葉で飾った論理に惑わされるよりよっぽどいい。

     時にね、キョン。

     橘さんから聞いたんだがキミが藤原くんたちと北高の文芸部室を訪れたとき、

     そこにヤスミという子がいたそうだね』

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 16:22:03.44 ID:KzgHIisuP

キョン「ああ、お前には話してなかったな。

     ハルヒが課した入団試験をパスしてもう少しで正式な団員になるはずだったんだが、

     もういない。いや、自分から辞めたんだよ。

     ハルヒの家に来て言うには、実は自分は近所の中学生で、

     どうしてもSOS団に入りたくて北高に放課後だけ潜ってたんだとさ。

     古泉に言わせりゃハルヒの無意識が実体化した姿で、

     俺や長門…皆を守るためにハルヒが生み出したもう一人の自分だったらしい」

佐々木『うん。だいたいのところは橘さんから同じようなことを伝え聞いたよ。

     ちなみに教えてほしいんだが、彼女のフルネームは何というんだ?』

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 16:26:09.69 ID:KzgHIisuP

キョン「わたはしやすみ。渡る橋と書いて…」

佐々木『泰平の世の水か』

キョン「なんで分かった!?」

佐々木『アナグラムになってるし、あとは涼宮さんなら、

     こういう漢字が印象をよく描写しているだろうというこちらの思い込みからさ。

     その泰水さんが今回参加しないだろうかと思ったんだけどね』

キョン「事を収めるためとはいえあんな形で辞めちまったからな。

     こっちが良くても本人がな…」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 16:30:12.47 ID:KzgHIisuP

佐々木『崩れかけようとしている世界とキミたちSOS団の運命を背負いながら、

     悲壮な素振りはこれっぽっちも見せずに分かたれた世界をただ一人行き来して、

     役目を全うした後は爽やかな思い出だけを残して消えてしまった』

キョン「だから、ヤスミに会ってもいないお前がなんで…」

佐々木『想像さ。涼宮さんの無意識なんだから、

     文字通り彼女にはそんな自覚なんてなかったに違いないけど。

     ただ、いつもただ一生懸命なんだよ。……僕も会ってみたかったんだ』

キョン「まぁ、ハルヒの分身ならまた時ならぬときに現れたりするかもしれん。

     役回りからいえばピンチヒッターみたいにな。

     ……しかし、どうなのかね。

     正体がハルヒと分かってる以上、ハルヒ本人に会うほうが手っ取り早い気もするが」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 16:34:13.60 ID:KzgHIisuP

佐々木『ああ、そうだね。

     ……おっと、今日中にまず御坂さんに伝えたいからそろそろ失礼していいかな』

キョン「ああ、悪いな。頼むぜ」

佐々木『任せてくれ。こちらこそ早速知らせてくれてありがとう。

     日にちのこともなるべく早く伝えてくれると有難いね』

キョン「分かった」


佐々木『じゃ、おやすみ』

キョン「じゃ」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 16:38:14.57 ID:KzgHIisuP

ガヤガヤ…

キョン「オッス」

ハルヒ「ん」

キョン「佐々木に電話しといたぞ。御坂さん達にもすぐ連絡したみたいから」

ハルヒ「ああ、そう」

ヅーッ ドサ

キョン「なあ、ハルヒ。お前、あれから渡橋ヤスミに会ってないか。

     佐々木が会ってみたいと言ってたんだが」ガサゴソ

ハルヒ「ヤスミちゃんに? どうして佐々木さんがあの子を知ってるの?」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 16:42:24.53 ID:KzgHIisuP

キョン「あー、その野球の…参加人数の話をしていてだな。

     どうにも揃わないということで俺が思い出した訳だ。

     ほら、あいつ中学生だってのに体力があったろ?

     でまあ、あとはパーソナリティーに関しても、何か飛び抜けてたしな。

     そんなことを俺が話していたら佐々木の気を引いたみたいでな」

ハルヒ「ふーん、あっそ。 会ってないわ。おかしいわね、近所に住んでるそうなのに。

     確かにあの子が来ればゲームが盛り上がるでしょうね。

     でも中学生と分かってる以上こっちから団活には呼べないわ。

     ヤスミちゃんがあたし達が野球やってるとこを見かけて、

     あの子から飛び入りって形なら構わないけど」

キョン「去る者追わずか」

ハルヒ「キョン。佐々木さんの連絡先教えなさい」

キョン「え?」クルッ

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 16:50:50.78 ID:KzgHIisuP

ハルヒ「グラウンドの予約。

     とりあえず最速で取れる日取っといたけど、御坂さん達の都合分からないでしょ。

     詰めてくのにあんたが間にいるとまどろっこしくてしょうがないから」

キョン「あ、ああ…。そうか」ゴソ…

ピッピ…

キョン「なあ」

ハルヒ「何」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 17:03:15.77 ID:KzgHIisuP

キョン「これは佐々木の受け売りだが、

     上条にしろ御坂さん達にしろ、試合の最中に超能力を使うとは思えないぜ。

     あいつらだって正々堂々と勝負したいだろ」

ハルヒ「……それは向こうの自由でしょ。ルールには使えとも使うなとも書いてないんだから」

キョン「ほう。なるほどな」

ハルヒ「佐々木さんがねぇ……」ボソ

キョン「?」   キーンコーン

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 17:13:14.80 ID:KzgHIisuP

鶴屋さん「うぉわっとと!」ピョン パシッ

キョン妹「わああっ。ごめーん、高すぎたぁっ」

鶴屋さん「なんのなんの!あたしもっと離れるから、もぉっと思いっきり放っておいでっ」

キョン妹「わかったぁ!」

鶴屋さん「(トット…)ここらでいいかな。 みくるーっ、行くよっ」

みくる「はーい」

ポーン

みくる「きゃああっ」ヒョーン テン テン テン

キョン妹「わあーーっ」パタパタ…

鶴屋さん「たっはは! ごめーんっ。あたしが思いっきり投げてるじゃないかっ」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 17:34:14.47 ID:KzgHIisuP

ハルヒ「……」ヒュンッ

長門「……」パシッ ヒュン

ハルヒ「……」パシ

ハルヒ「……」ヒュンッ

長門「……」パシッ ヒュン

ハルヒ「……」パシ


キョン「……それにしても遅えな。ひょっとして向こうでトラブってんじゃねえか」ヒョイ

古泉「(パス)まだ集合時刻は過ぎていません。

   何かあれば佐々木さんのほうに連絡が来るはずです」ヒュッ

佐々木「(パシッ)いや、今のところは。橘さんは?」ポン

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 17:41:22.46 ID:KzgHIisuP

橘「(パシ)あたしの(ヒヨッ)ほうにも」

キョン「たっ」パシ

橘「そんな引き気味なキャッチじゃ併殺できないわ。余計な心配してないで集中したら?」

キョン「余計な、てなあ。むしろお前らが悠長に構えていられる理由を知りたい。

     なんで長門を迎えに行かせないんだ?」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 18:04:30.96 ID:KzgHIisuP

古泉「おや。お尋ねしますが、長門さんが学園都市側の世界に移動できる理由を、

   あなたは涼宮さんに説明できるのですか?」

キョン「…タイミング的にまずいな」

古泉「それにもう一つ。仮に長門さんが向こうへ渡って、

   御坂さん方が我々の住む世界へ来る経路を開いたとしても、

   上条くんが通れない可能性が高いのです」

キョン「右手の力か。でもそれじゃ、

     みんな手を繋いで御坂さんの電気ショックと白井さんのテレポーテーションを、

     同時にかましてこちらに来る、て方法も使えないだろ」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 18:10:52.88 ID:KzgHIisuP

橘「……あなた、本気でそんな方法で異世界移動できると思ってたの?」

キョン「できねーのか」

佐々木「出来ない。多分死ぬよ。

     我々がその手段で異世界移動できたのは、

     涼宮さんと上条くんの力が拮抗した状態にあるときに、

     御坂さんと白井さんの能力が発動した瞬間のエネルギーを、

     長門さんが上手く利用してくれたからだろうね」

チリーン

キョン「…もう手詰まりじゃねえか!?」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 18:17:34.64 ID:KzgHIisuP

古泉「心配はご無用です。唯一にしてシンプル、かつ確実な解決法がありますので」

キョン「何だ?言ってみろ」

古泉「お分かりでしょう? 彼女が全ての始まりなのですから」チラ


ハルヒ「っっ」シュンッ

長門「……」パン!

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 18:25:02.56 ID:KzgHIisuP

佐々木「最初に御坂さんと白井さんの身体をこちらの世界に来させて、

     僕や橘さんを中の人にしたり、

     逆にあちらの世界へ飛ばされた僕と橘さんの身体に、

     御坂さんと白井さんの心を宿らせて、

     皆を戸惑わせたりするなんて実に彼女らしい愉快な現象を引き起こしたものだけど、

     それは余人をもって再現しがたいことでもある。

     そもそもどんな異能の力も退けるはずの上条くんを、

     どうやってこちらの世界に引き寄せられたのか。どんな理屈も飛び越えてる」

古泉「ただあの時その現象を解決しようと皆が行動し、

   そして今我々はここでこうしている……。そろそろ時間です」

チカッ
ヂヂガッ… バチバチッ‥

ズビャアアアアアアアンンッッッ!!!


ハルヒ「……!」ニッ

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 18:31:30.92 ID:KzgHIisuP

鶴屋さん「おおっ」クル

キョン妹「わっ!」ヒシッ

みくる「あっ」


キョン「…時間通りは罰金じゃなかったのかよ」


上条「ぶはっっ。御坂! スクラム組ませていきなり電気流しやがって、全員殺す気か!?」

佐々木・橘・キョン・古泉(やったんだ……)

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 18:53:53.35 ID:KzgHIisuP

美琴「仕方ないじゃない。

   参加者が揃って準備できたのに佐々木さん側の世界に移動する気配がないんだから。

   佐々木さんは涼宮さんに任せておけば大丈夫って言ってたけど、

   なんか弾みがいるのかなあと思って。

   まぁ実際流れる前にアンタが打ち消したでしょ」

黒子「わたくしも一応試みましたけど、

   打ち消される以前にこのような多人数をいっぺんに空間移動させられませんわ……」

Index“Short Hair,I warn you to part from Toma!”

ハルヒ「インデックスーーっ!」タタタタッ

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 19:01:02.46 ID:KzgHIisuP

Index“Haruhi!”

上条「涼宮さん! ってことはここは……」

美琴「なんだかんだで無事着いたみたいね」

黒子「空間移動とは一味違う感覚でしたわね。

   9人同時に、正確に集合場所の野球場に運んでみせるなんて凄い力の持ち主ですの」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 19:07:37.58 ID:KzgHIisuP

佐天「ここが…佐々木さんと橘さんの住んでる世界か。(スーッ)うん、なんか空気が違うわ」

初春「スタジアムの中に立ったことなんてないから比較できませんけど、そうですね。

   ‥春上さん、大丈夫ですか?」

春上「うん、大丈夫なの。 でも突然周りが白く光ってすごくびっくりした」

初春「ちょっと休みます?」

春上「ううん、平気。 とても広いの、ここ」

佐天「ほ〜ら初春! 球場に着いたんだから早速練習しようよ!

   (ドサッ ビーッ スチャッ)ふんっ!」ブンッ

佐天「おし!あたしのバットが空を斬るぜっ」

橘「今から張り切りすぎるとバテるわよ。今日も暑くなりそうだから」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 19:15:43.20 ID:KzgHIisuP

佐天「わわっ。 橘さん、佐々木さん、いたんですか!」

橘「あちらのほうでキャッチボールしながら到着を待ってたのです。

  皆さん元気そうでなによりだわ」

佐天「お二人も。 佐々木さん、その後順調ですか?」

佐々木「橘さんと練習はしてきたけど急には上手くならなくて。それマイバット?」

佐天「ええ、そうなんです。やっぱり使い慣れた……、って、あれ?」

初春「佐天さんだけですよー。バットまで持ってきたのは」

佐々木「気合い入ってるね。 春上さん、今度はようこそだね。

     初春さんたちお薦めのパスティッチェリア・マニカーニのケーキ美味しかったねえ」

春上「うん、みんなと食べてとても楽しかったの」

初春「そうそう、御坂さんから聞いたんですけど、

   こちらにも美味しいケーキ屋さんがあるそうですね」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 19:22:37.14 ID:KzgHIisuP

佐々木「ええ。と言ってもわたしも橘さんもあまり詳しくなくて。

    雑誌やネットで調べたり周りに聞いたりして何店かピックアップはしといたんだけど」

橘「開国後いち早く欧米との貿易拠点港としてスタートした横浜・函館・長崎にすぐ続いて、

  同じく貿易港として開港した市が近隣にあるのです。

  往時は商業に携わる多く外国の方がたがその市に住んでたのでしょうね。

  その市が日本でも有数の洋菓子文化の発祥地という歴史も側面に持ってるのは、

  彼らが好んで食べていたお菓子をもたらしたというきっかけがあったんじゃないかしら。

  また、その市から海岸沿いの東側には、

  古くから関西の高級住宅街の代名詞になるような市も隣接していて、

  その影響かこの地方一帯が現在に至るまで、

  ケーキ屋さんの激戦地帯と言っていいくらいなのです。

  食べたこともない身で言うのはなんですけど、初春さんたちの期待は裏切らないはずよ」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 19:38:29.77 ID:KzgHIisuP

初春「うわぁ〜、楽しみ…」

佐々木「今日家に来たらわたしたちの紹介しようとしているお店よりも、

     改めて皆さんで調べて訪れたいお店を決めるといいかもしれない」

初春「そんなことないです!佐々木さんと橘さんが選んだお店ならきっと…」

佐々木「でも本当にたくさんあるんだから。あれこれ見るのも楽しいよ」

初春「そんなにあるんですか?ええ、それは確かに…」

佐天「ちょっと待ったぁーーっ!」

初春「佐天さん、どうしたんですか?」

佐天「どうしたんですか、じゃないよ。

    佐々木さん、ケーキ屋さんも楽しみですけどもっと大事なことがあるでしょう?」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 19:54:18.17 ID:KzgHIisuP

佐々木「そうね。肝心の明日どこに遊びに行くかだけど、

     ほら、学園都市って海に面してないから…」

佐天「違います。キョンさんとはその後どうなんですか」

佐々木「ああ、やっぱりそっちか……」

佐天「もう、分かってるならとぼけて話を逸らさないで下さいよ」

橘「この人、いつもこんな調子なのです。

  佐々木さん、皆さんがそのつもりで推してくれてるときくらい、

  花の方に目を向けてもいいと思うわ」

佐々木「ごめん。でもこの間言ったように済んだ話だから」

佐天「白井さんが話を聞く限りそんな風には思えない、って言ってましたよ。

   あたしもそう思います」

佐々木「白井さんがね‥。気を遣ってくれるのは有難いんだけど」チラ

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 20:04:46.62 ID:KzgHIisuP

ハルヒ「上条くん。今日は正々堂々と、なんて言わないわ。勝つか負けるかよ」

上条「ああ」

ハルヒ「御坂さんと白井さんね?」クル

美琴「ええ。涼宮さんね。はじめまして」

ハルヒ「そうだ。ちゃんとした形だとはじめまして、ね。うん」

黒子「その節はお世話になりましたの。今日はよろしくお願いいたしますわ」

ハルヒ「こちらこそよろしくね。

     ところでインデックス、あんたその服で参加するつもりなの?」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 20:11:39.66 ID:KzgHIisuP

Index“It is so. As a Sister,I always wear this ‘Walking Church’.”

ハルヒ「野球なんだから動くときは土の上走りっぱなしで汚れるし、

     いくら風通しが良さそうだからってそんなの着てたら、

     中盤になる前にゆで上がっちゃうわよ。

     そうだ、みくるちゃんの入り用の時に、て持ってきたのがあるわっ。

     うんうん、丈は合いそうだし着替えましょ。(パシ)さあ来なさいインデックス!」タタタ

Index“Right now? Haruhi,whawhat kind of clothes is it?”pitter-patter...

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 20:18:51.21 ID:KzgHIisuP

美琴「……アンタが涼宮さんに手こずるの、分かる気がするわ」

上条「手こずる?付き合うのに手こずるっていうことじゃ、

   キョンさんにとって涼宮さんはずっとなんじゃないか?」

美琴「…意外ね。アンタがそういうことに気がつくなんて」

上条「そういうことって、御坂は既に気づいてたのか!?」

美琴「え、ええ…? な、何よ、だからって……」

上条「俺は長門さんから聞いて初めて知ったんだぜ!?

   長門さんは宇宙人で、朝比奈さんは未来から来た人で、古泉さんは超能力者だって!」

美琴「」     

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 20:25:27.04 ID:KzgHIisuP

上条「涼宮さんとキョンさんだけがただの人間で、

   涼宮さんが願望実現能力を持ってることを本人には知られないようにしながら、

   涼宮さんの引き起こしたアレコレをキョンさん達でいつも解決してるんだろ?

   長門さん達はそれぞれ能力を持ってるからいいけど、キョンさんは特に苦労を…」

パカン

上条「イテッ! 白井、いきなり何だよ!?」

黒子「失敬。 わたくしの意志に反して、手の方が勝手に動きやがりましたの」

上条「そうかよ。白井も知ってたのか?」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 20:33:51.75 ID:KzgHIisuP

黒子「そちらの話でしたら、佐々木さんにお尋ねしたときにそれとなく。

   詳しいことはご本人がたに折々ただせば良いと思っておりましたけど、

   長門さんが多重能力者であることもプロフィールで納得ですの。

   それよりも貴方は長門さんからどういった経緯でその話をうかがいましたの?」

上条「ああ、会わせてほしい人がいる、て長門さんが訪ねてきてその時……」

鶴屋さん「やっほーー! キミたち本当に別の世界からびゅーんって飛んできたのかい?

      えらくたまげたよっ! ほぉー、キミ尖ってるねー。キミだね?

      さすが独りで違う世界にいきなり放り込まれても折れないだけあるね、ふむふむ」

上条「あ、あの…?」

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 20:41:07.53 ID:KzgHIisuP

鶴屋さん「おお!こちらのお嬢さんがたはまたあちらの佐々木・橘嬢に似ておいでだね!

      道理で入れ替わっちゃったりするわけだっ」

美琴・黒子「は、はぁ…」

鶴屋さん「おおっと悪かった!

      キョンくん、あたしをどひゃーんとこの子たちに売り込んでおくれよっ」

キョン「はぁ。えーと、鶴屋さんです。朝比奈さんと同じ上級生で、

     SOS団にとってはヒットアンドアウェイの賦活剤的実に有難い、

     名誉顧問にして……いや鶴屋さん、

     今のご自身の絡みで上条たちにとってはもう十分がっちりだと思いますよ。

     上条に、御坂さん、白井さんです。

     あっちで佐々木たちと話してる二人と、あの子は…」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 20:48:23.26 ID:KzgHIisuP

美琴「春上衿衣さん。また後で紹介するわ。御坂美琴です」

黒子「白井黒子と申します。お初にお目にかかりますの」

上条「は、初めまして…」

鶴屋さん「どうぞよろしくっぽ!」ペコッ ニカッ

キョン「それから、朝比奈さんにしがみつきながら顔だけ出して、

     興味津々の眼差し向けてるのがウチの妹」

美琴「こんにちは、はじめまして。お名前教えてくれる?」

キョン妹「……」

みくる「ふふ、御坂さんたちがテレビのヒーローみたいに突然現れたから驚いちゃって……。

 大丈夫だよ」サスサス

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 20:55:36.36 ID:KzgHIisuP

美琴「そうだったの?あちゃ…。なんかビックリさせたみたいでごめんね」

キョン妹「お姉さんたち、超能力者だって、キョンくんが言ってたの、本当だったの?」

黒子「ストレートな質問来ましたわね」

美琴「答える前にちょっとお兄さんとお話させてね。

   キョンさん、妹さんって“涼宮さんのクラブ活動”によく参加してるの?」ニコ…

キョン「(ギクッ)ま、まあクラブ活動自体より、

     合宿と称した旅行についてきて皆に交じって騒いでるだけのことが多いかな」

美琴「大体分かったわ。妹さん、貴女の言う通り私達は超能力者よ!」ビッ

キョン妹「……!」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 21:04:25.96 ID:KzgHIisuP

美琴「涼宮さんや朝比奈さんや貴女のお兄さん、

   そして佐々木さん達に会うために違う世界からやって来たんだから!」

キョン妹「ハルにゃんやみくるちゃんや佐々木お姉さんたちに会いに……?」

打ち止め「そしてミサカは長門さんに会いにはるばるやってきたのだ!

      ってミサカはミサカはここに宣言してみたり!」ピョコ

美琴「んむ」

長門「無事に着いて何より。今日は楽しんで」

打ち止め「長門さんも!」

長門「……」コク

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 21:11:36.47 ID:KzgHIisuP

キョン妹「有希っこの友だちなんだ。そのお姉さんと姉妹なの?」

美琴「そ、そうよ。よく似てるでしょ」ダキッ

打ち止め「御坂美琴お姉様はミサカの憧れの的なの、

      ってミサカはミサカは照れながらも素直な気持ちを打ち明けてみる」ギュッ

キョン妹「ふぅーん」

キョン「そうだったんですか」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 21:19:53.01 ID:KzgHIisuP

黒子「違います。お姉様、人の誤解に悪乗りして嘘をおっしゃるとはらしくありませんわよ」

美琴「う、嘘じゃないわよ。黒子…」

キョン妹「じゃあ黒子ちゃんも美琴お姉ちゃんと姉妹なんだ?」

黒子「いかにも。わたくしとお姉様は魂の奥深くで結ばれた姉妹ですのよ」ダキッ

打ち止め「むぎゅっ」

バチバチッ パチッ…
デュンッ

美琴「黒子とは中学の後輩で寮のルームメイトだから違うからね。

   ちなみにこんな風に電気を操るのが私の能力で、

   あんな風に一瞬で移動できるのが黒子の能力なの。

   黒子、その子と一緒に跳んで盾にしても無駄よ」パチ…

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 21:27:17.08 ID:KzgHIisuP

黒子「あらお姉様、いやしくもこの白井黒子、いたいけな子供を盾になど。

   むしろお姉様の……、って躊躇なく電撃を仕掛けてくるとは、

   貴女も発電系能力者ですの?

   姉妹というのも何の共通点もなくおっしゃったわけではありませんのね」

キョン妹「黒ちゃんも美琴お姉ちゃんもかっこよかったけど、なんかよくわかんない」

キョン「こらお前、白井さんは中学生だぞ。いきなり馴れ馴れしい呼び方するな」

キョン妹「だってー、黒ちゃん面白いしそのほうが可愛いもん」

黒子「‥まあ、小学低中学年の児童からどう呼ばれようがわたくしは…」

キョン妹「えー、あたし六年生だよー」

黒子「わたくしと一つしか変わらないですわ!てっきりこの子と同じくらいの年齢かと…」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 21:36:54.98 ID:KzgHIisuP

打ち止め「外見がどうだろうとミサカの精神年齢はもっと高いんだ、

     ってミサカはミサカは見た目に囚われがちな黒ちゃんに認識の修正を求めてみたり」

黒子「がぁああああっ。貴女まで変な呼び方に合流する必要はないんですのっ。

   いいですわ、貴女たちが揃ってそう言うのでしたら、

   常盤台中学に通う生徒として、

   今日はわたくしが貴女たちに一つ上の淑女の嗜みを身をもって教示しますの。

   さあ黒子についてきなさい!」ズンズン

打ち止め・キョン妹「わーい!」パタパタ…

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 21:44:57.20 ID:KzgHIisuP

佐天「……あ。ほら、白井さんこっちに来ますよ」

佐々木「うん。なんか決然としてるね」

初春「あら、あのアホ毛ちゃんともう一人女の子を従えてきてますね」

春上「白井さん、かっこいいの」



上条「……なんか白井のお嬢様魂に火がついちまったみたいだな」

美琴「真っ当なお嬢様のカタチを見せるのなら打ってつけなんじゃない、一応」

黒子「(デユン)お姉様もこの類人猿とくっちゃべってないで佐々木さんのところに行きますわよ。

   (パシッ)全くぁちらもあちらで(ブツブツ)」

美琴「わ! く、黒…」
デュン

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 21:51:59.39 ID:KzgHIisuP

鶴屋さん「……さて、後回しになってごめんよっ。キョンくん、この子は…」

キョン「…………お前…!!」

一方通行「……」

古泉「‥よもやあなたが来るとは。長門さん、上条くんを通して会いたかった人というのは…」

長門「そう。わたしが頼んで、彼に来てもらった。

   あなたの紹介のおかげで、彼の誤解が解けた。彼の事情も知ることができた」

上条「誤解って……アンタ達、何かあったのか?」

キョン「長門。上条にこの坊主と俺たちとのことを伝えてなかったのか」

長門「……会ったことがある、とだけ」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 22:01:24.63 ID:KzgHIisuP

上条「ああ…ひょっとして俺、何かとてもまずいことをしちまったかな…」

一方通行「…テメエはこの女が異世界から来たっつゥ経緯だけ説明した後は、

      打ち止めに引っ張り回されてただけだろォが」

古泉「落ち度があるとしたら、彼との間にあったことをあなたに伝えていなかった我々の方に。

   ですからどうぞ気に病まないで下さい」

鶴屋さん「キョンくん…?」

キョン「鶴屋さん、すみません。

   (ペコ…)長門とちょっと話してきます。長門、来てくれ」

クル スタスタ…

長門「……」スタ…

みくる「長門さん、キョンくん……」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 22:09:11.07 ID:KzgHIisuP

みくる「鶴屋さん、あの……」

鶴屋さん「おおっと、みくるっ」ピッ

みくる「へ」

鶴屋さん「キョンくんは長門っちと話し合いたいことがあるんだろう?

      みくる達は見守るっさ!」

古泉「ですがあなたには…」

鶴屋さん「かっはっはっ。古泉くんもそんな強張ってると投球に響くよ?

      今日の友好試合に参加すっためにそちらの子もやってきたみたいだし。

      だったらあたしに説明しなきゃいけない事情なんてないっさ!

      みくるや古泉くんが話したいってんなら別だけどっ。

      それもキョンくん達を待ってからでも遅くはないんじゃないかい?」ニカッ

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 22:16:10.99 ID:KzgHIisuP

古泉「…そうおっしゃって下さるなら僕からは、特には」

鶴屋さん「あと、おたく」ソイッ

古泉「はい?」

鶴屋さん「今日は相手チーム同士だけど、あたしに変に気を遣っちゃだめにょろよ?」

古泉「……。くふっ。はい、分かりました。 いえいえ、元よりそのつもりですよ」ニコ

鶴屋さん「(ニカッ)さあさあ、みくるもっ。キャッチボールの続きしよっか?」

みくる「あ、はい」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 22:23:22.30 ID:KzgHIisuP

キョン「……長門。単刀直入に訊くが、お前をあんな目に遭わせた奴をどうして呼んだんだ?」

長門「心配を掛けてすまない。わたしのわがまま。打ち止めに見聞を広めてほしかった。

   その代わり、涼宮ハルヒとあなたの保全義務は最優先に遂行する」

キョン「…俺が心配してるのはそっちじゃねえ。いや、まず、あの坊主を呼んだのには、

     あいつが暴れずにこの場にいる全員が安全だと言い切れる根拠があってのことだと、

     そこは疑ってねえよ」

長門「(コク)学園都市での件は、車両の信号無視とわたしの言動が、

   彼と打ち止めの安全を脅かしてきた組織の取る手段と一致、

   あるいは酷似している等、不幸な偶然が重なったもの。

   そのためわたしを敵と誤認し、彼はただ、打ち止めを守ろうとしただけだった」

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 22:30:21.90 ID:KzgHIisuP

キョン「……よっぽどえげつない奴らなのかもしれんな、その敵ってのは。

     あの坊主が神経過敏になり過ぎて、

     ほとんどお前の話も聞かずに先手を打たざるを得ないほどだった、てことか」

長門「(コク)そう」

キョン「お前が坊主にやり返そうって気はねえ……よな」

長門(コク)

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 22:39:11.15 ID:KzgHIisuP

キョン「なら俺が横から口を出す道理はない…ただな、頭じゃそう分かっててもって話だ。

     今度、あの坊主がお前に手を出そうと、素振りでも、気配でも見せたら、

     俺は一切考えるのを止めちまう。

     そのつもり、という意味じゃない。ただ、そうなっちまう。

     俺はちょっと頭がおかしくなってるんだろうな。

     たとえお前やあの打ち止めって子の前でもだ。

     過ぎたことだと水に流せりゃいいんだろうが、

     自分の器の小ささを嘆くつもりは清々しいほどないね」

長門「………」

キョン「うつむくな。あいつのお前に対する誤解は解けたし、そんなことは起こらない。だろ?

     せっかくお前からお客さんを呼んだんだ。お前も今日は楽しまないとな。

     ……さて、戻るか。(スタ…)時間を取らせちまったが、そろそろ野球をしようぜ。

     (クル)‥ほら」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 22:46:24.04 ID:KzgHIisuP

長門「……(コク)」スタ…

キョン「……後ででいいから、上条には謝っといたほうがいいんじゃねえか。

     いきさつを詳しく教えずに紹介してもらったことをさ」スタスタ

長門「…(コク)」スタ スタ

キョン「お前がわがままをなぁ…」クスッ

長門「…?」

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 22:54:32.29 ID:KzgHIisuP

スタスタ

キョン「(スゥーッ)鶴屋さん、あの……」

鶴屋さん「(パス)よっ。長門っちと話はついたのかいっ。

      このまま試合を始めちゃっていいっかなあ?」

キョン「はい。あのですね」

鶴屋さん「ほいっ」ピッ

キョン「っと」パシッ

鶴屋さん「ならあたしは体が温まったからハルにゃん達を探してくるっさ!

      みくるとキャッチボールでもして待っといとくれっ」ニカッ

ピュッ…

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 23:01:17.99 ID:KzgHIisuP

キョン「……」アゼン

古泉「話したかったら話してくれ、だそうです」

キョン「‥そうか」

一方通行「おい」

キョン「……」

一方通行「この間は悪かった。その女を敵だと、頭から決めてかかっていた」

キョン「…気にするな。お前と長門とは意志の疎通が出来たみたいだし、

     俺ん中でてめえと俺はお互いサマの両成敗だ」

一方通行「……? 意味が分からねェが、

      とにかく俺はこの世界じゃ能力を使って前みてェなことは出来ねェ。

      その女が演算処理のほぼ全てを代理している状態だからな」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 23:12:50.94 ID:KzgHIisuP

キョン「なんか言っている意味が分からんが、

     こいつの超能力パワー出力の元栓をお前が握っている、ってことか?」

長門「(コク)打ち止めの許可を得た。代理の代理」

キョン「ほう、煮るなり焼くなり好きにしていいんだな」

一方通行「イザとなりゃ他に暴れる手段が無ェワケじゃねェが…。

      コイツがいるから大丈夫だろ」

上条「どういう文脈で俺が当てにされてんだよ」

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 23:21:09.73 ID:KzgHIisuP

ザザッ

鶴屋さん「ほぅいっ。集合集合!連れてきたよっ」

ハルヒ「ほら見て見て! すごく似合ってると思わない!?」

キョン「…うむ、朝比奈さんとはまた違った趣があるのであろうな。…どうした、上条」

上条「イ、インデックスさん……!? その衣装は……!」ガビーン

Index“Toma... Don't look at me..”

ハルヒ「これなら思いっきり走り回れるでしょう?大丈夫、恥ずかしがることなんかないわ。

     ほんとは着せてみるまで不安だったんだけど、ばっちりよ。

     あたしがこう言うんだから自信を持ちなさい!」パンパン

キョン「あー、ところでハルヒ…」

ハルヒ「…」

キョン「いやその、お前も後ろで髪留めてるの、似合ってるぞ」ソワ

ハルヒ「…今日はあたしが九回まで投げるから」

キョン「え? お、おう」 

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 23:30:33.55 ID:KzgHIisuP

・・・
・・



               キャー
ポーン  パシッ

  ザッ        ヒュッ  パン




佐々木「キョン、試合が始まるぞ」

キョン「おう、いよいよだな」

佐々木(解)「ところで実況がキミで解説が僕、だそうだ」

キョン(実)「そりゃまたいつの間に、そして何故にそうなった」

佐々木(解)「なぜって、そうだからさ」

キョン(実)「そう言われれば、そうだった気がしないでもないが」

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 23:36:27.62 ID:KzgHIisuP

長門(審)「自身がプレー中、余裕の無い時は片方が兼任するなど、うまくやってほしい。

       出来そう?」

キョン(実)「適当にやるさ。 長門、お前は…」

長門(審)「審判」

キョン(実)「それは知ってるんだが、ちょっと聞いていいか?」

長門(審)「何」

キョン(実)「お前は今一塁側ファウルグラウンド内のブルペンにいる。

        佐々木は一塁側ベンチに座ってる。

        で、俺は一塁ベース上でゲッツー想定の橘の送球を受け中なんだが、

        つまりだな、こうやって会話できてるのはどういうわけだ」

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 23:45:18.38 ID:KzgHIisuP

長門(審)「‥台本形式だから?」

キョン(実)「確かに字面の上ではさほど違和感が無いかもしれん。

        しかし実際はこう、各々が独り言を堂々と発している様にしか見えんだろ」

佐々木(解)「ああ、僕なら問題ないよ。

        白井さんたちには先に、今、解説の練習中だと言ってある」

キョン(実)「佐々木。問題の本質はそこじゃない」

佐々木(解)「距離的に離れた者同士がどうしてこうもスムーズな会話ができてるのか、

        ってことだろう?」

キョン(実)「うむ。長門、そこらへんはどうなんだ」

長門(審)「対処する」ヴィィ…ン

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 23:51:47.58 ID:KzgHIisuP

長門(審)「このメガホン型通信機を両名が手にすることにより、

      あなたと彼女双方の肉声を電気信号に変換し直接相手の脳の聴覚野へ送り込み…」

キョン(実)「長門、これじゃ佐々木が俺に声援を送ってるようにしか見えん。

        どうして相手チームのプレイヤーに応援されねばならんのだ」

佐々木(解)「僕はこれで構わないけどな」

キョン(実)「それにしたってかさばるだろ。インプレー中はどうするんだ。

        右手にメガホン握ってちゃ送球がしにくいぞ」

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/28(日) 23:57:38.84 ID:KzgHIisuP

長門(審)「折り畳むことで小型化できる。実況・解説時のみ等、恣意的操作が可能」

キョン(実)「ポケットに入るな。(ゴソ…)よし、この状態でも聞こえるか、佐々木」

佐々木(解)「ああ、聞こえるよ」

長門(審)「ではそろそろ」

キョン(実)「たびたび悪いんだが長門。ところで…、俺と佐々木だけ通信できても、

        他のプレイヤーに伝わらなきゃ意味ないんじゃないか?」

長門(審)「問題ない。選手達に実況・解説の必要はないと思われる」

キョン(実)「それもそうか。  え!?」

長門(審)「もう一点、選手達には説明の必要がないことであるが、

       セリフと名前の間にある()にはポジション等が表示されている」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/04/29(月) 00:04:58.70 ID:o3trTp3OP

ハルヒ(投)「ちょっと、あんた!」

一方通行(捕)「あン?」

ハルヒ(投)「あん?じゃないわよ! もう試合始まるのよ?

        有希が着けてるみたいなマスクとかプロテクターはどうしたの?」

一方通行(捕)「何をいまさら喚いてンだ。 今まで投球練習してた通りでいいじゃねェか」

ハルヒ(投)「あのね、試合じゃ何球も投げるの。 万一ってことがあるでしょう?

        それにモヤシみたいな体だと余計に気になって全力投球できないでしょうが」

一方通行(捕)「生憎だが、体型はこの場で変えられねェし、

         防具を着けるなんて習慣は無いモンでな。

         ちょうどいい、今までが本気じゃねェっつゥンなら全力で投げてみな。

         俺がスマートに受けられたら文句は無しだ」ニヤリ

ハルヒ(投)「……」ギュウッ…



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