キョン「もちろん佐々木だ」


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トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:【艦これ】 北上「沈んでよ、大井っち」 大井「解体されてくださいな、北上さん」

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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 14:23:57.57 ID:e+qQ9YtE0

これは少し前の話なのだが、古泉がいつも通りのニヤケ顔で

「団活の後に少しお話があります」

と、これまたいつも通り何かの予兆の前触れを知らせるかのごとく話しかけてきた。
どうせまたハルヒ絡みなのだろうと思い、はいかイエスしかない選択肢を選ぶのであった。

そうして、いつも通り長門が本を閉じるのを合図とし俺は少し用があるといい、足早に校門に向かった。
尚、古泉はいつものようにバイトがあるといい俺よりも少し先に帰るという旨を伝えているのであった。
それにしても、よく長門が本を閉じる10分前に上手く出て行ったものだ。もしや裏で何かしらの約束でもしていたのではないのかと思いつつも
まあ、長門ならそれくらい話さずとも察してくれるのだろうと、そんな宇宙人パワーを信頼したりもした。 

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 14:29:21.93 ID:e+qQ9YtE0

「こっちです」

俺が校門をくぐり抜けようとしたときに声をかけられた。
まあ、その声の主はもちろん古泉なわけではあるが、その横にいつか見た(あるいはいつも見ている)黒い車が合った事に俺は少しの不安を覚える。

「まさか、森さんや新川さんまで繰るほどの自体だとわな……」

「ええ、そうですね。事は一刻を争います」

一国というより、一世界の間違いではないのか?という、心の突っ込みはこの際置いておこう。

「さあ、こちらに」

そういって、古泉は車の後部座席のドアを開けたのだった。
だが、俺にとってはそれが地獄の釜に見えて仕方がない

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 14:35:17.11 ID:e+qQ9YtE0

とくに何かの続きではありません。
初です。

「さて、さっそく本題に入らせていただきましょう」

車を少しは知らせた後に古泉はそう切り出した。
それまでの社内の空気はピリピリしていて毛が逆立ち、もしかしたら俺はこのままスーパーサイヤ人になるのではないのかと思ったほどだ。

「あなたは涼宮さんか佐々木さんかを選べと問われたときに、どちらをお選びになりますか?」

「なんだ?藪から棒に」

「すみません。ですが、これにまずは答えていただかない事には話を進める事はできないのです」

古泉がまっすぐとこちらを見てくる。気のせいか、前の席に座っている二人もこっちを見ている気がした。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 14:39:35.33 ID:e+qQ9YtE0

「どちらか選べか……」

俺はそういって考えた。
実際にはもうとっくに答えは出ている。だが、車内の空気がそれを左遷としているような気がしてならなかった。

古泉はいまだ「こちらを見つめている。
ええい!俺は男に見つめられてもときめきなんぞせんぞ。
だが、しかたがない。言うしかないのだろう。

「佐々木だ」

「それはどうしてなのか……。理由をお聞かせ願っても?」

きっと俺がどっちを選ぶか分かっていたのだろう。
古泉の口からはすぐにその問いが投げられた。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 14:46:39.34 ID:e+qQ9YtE0

「では、質問を変えましょう。恋人にするのならばどちらを?」

「もちろん佐々木だ」

自分でもびっくりするくらいの速さで答えていた。
が、古泉はそうでもなかったようで特に顔色一つ変えはしなかった。

「はっきり言わせていただきますと、涼宮さんはイブであなたはアダムなのですよ?」

「だからどうした。俺にとっては佐々木がイブだ」

「あなたは今言っていることがどれだけ危惧すべき事なのか、どれだけ罪深い事なのか分かっていらっしゃるのですか?」

「知らん。ハルヒが神だろうがイブだろうが知った事か。それではまるで俺は人柱だ」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 14:52:37.24 ID:e+qQ9YtE0

まさにこの世界を支えるための柱。
この世界を守るために俺は犠牲になり他の全てを守るという。

「いいえ、違います。あなたは神に見初められた唯一の人類なのです。言うならばあなたはこの世界のもう一人の神なのですよ?」

「もう一度言うぞ。そんな事は知らん。神になったところで俺の隣に佐々木がいなければこんな世界はいらん」

「あなたという人は……」

古泉が珍しく険しい顔をしている。
それほどまでの事か?一介の高校生の恋話だぞ?

「あなたの気持ちは分かりました。ではアプローチを変えていくとしましょう」

そういった後に車が止まった。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 15:00:31.75 ID:e+qQ9YtE0

「あなたの家の前です。今日はお付き合いいただきありがとうございました」

「ああ、また明日学校でな」

「ええ、ではさようなら」

そして、車が走り出したと同時に携帯が震えた。
画面には佐々木の文字が出ていた。まるで狙ったかのような電話に若干驚きながらも出ると

「やあ、キョン。少し振りだね。今、大丈夫かい?」

「ああ、少し振りだな。佐々木。大丈夫だぞ。なにかあったのか?」

「いや、何もないさ。なさ過ぎるくらいでね、今度の日曜日よかったら僕と買い物にでもいかないかい?」

「ああ、そうだな。いいぞ・団長殿にお伺いを立てておくさ」

「くくっ、楽しみにしているよ」

「ああ、楽しみにしておいてくれ」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 15:04:38.78 ID:e+qQ9YtE0

最後に別れの言葉を告げ、電話を切る。

タイミングがよすぎて気味が悪い。
まあ、タイミングがいいのはいつもの事か。

そう思い俺は家に入り、いつものように一日を終わらせるとしよう。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 15:16:23.97 ID:e+qQ9YtE0

「はあ!?今度の日曜日休みたいですって!?」

「ああ、少し用事ができてな。すまん」

相変わらず騒がしい団長殿だ。
まあ、騒がしくなかったらなかったで気味が悪いのだがな。

「だめに決まってるでしょ!何考えてんのよまったく。だからあんたはイツまでも平なのよ」

「悪いがもう約束しちまってるんだ。故にいくことはできない」

「知らないわよ!あんたいい加減にしなさいよね!」

ハルヒよ。俺にだって我慢の限界があるんだぞ?

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 15:22:50.51 ID:e+qQ9YtE0

「いい加減にするのはお前だ。学生の大事な休日をなんで部活で、いや、部活にすらなっていないもので潰さなければならない」

「はあ!?部活なんかと一緒にすんな!こっちは神聖な内容なのよ!?」

「よくも分からんものを探すのが神聖ならば、俺は堕天しても一向にかまわん」

「なによそれ!それに部活だって休日にもしてるじゃない!」

「たいていの部活は午前中だけだ。それに休みだってある。ここみたいに毎日じゃあない」

「あったり前でしょ!休んでるときに宇宙人が来たらどうすんのよ!」

心配するな。うちの宇宙人は団活が休みの日には休みのはずだ。

「とにかくダメなモノはダメ!罰として今度の野外活動10回分全部あんたの奢りね!」

「そうか、なら俺は二度と参加はしない。やめさせてもらう。じゃあな」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 15:28:51.06 ID:e+qQ9YtE0

そういって俺は荷物をまとめて部屋を出た。
朝比奈さんは終始アタフタしていたし、長門間いつも通りだった。だが、古泉は表情とは裏腹に目はまったく笑っていなかった。

まあ、正直に言うと確かに勢いで止めるといったのもある。
だが、それ以前にずっと前からやめようと思っていたのだ。
いつもいつも喫茶店は俺の奢りで、何かあれば俺が奢らされ、挙句の果てには俺の金でパシリまでさせられる。
はっきり言うと普通の虐めよりもたちが悪い。

そのせいで欲しいものを買うために貯めていた貯金を崩し、それも底をつきかけている。
だが、これからは違う。意味の分からないもので俺を芝縛るものはない

最高の気分だ。
これが自由ってやつなのか。

そう思い、校門をくぐると黒いスーツの男達に囲まれて、俺の意識は途絶えた。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 15:40:55.53 ID:e+qQ9YtE0

「知らない天井だ」

「意外と余裕ですね」

「あ?」

聴きなれた声だと思い横を向くとそこには古泉がいた。

「なあ、まずは縄を解いてくれないか?あと床が冷たい」

「ええ、あなたがSOS団に戻って、涼宮産と付き合ってくれるのならばすぐにでも」

「そうか、ならこのままでもいいぞ。このまま帰るから」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 15:48:23.67 ID:e+qQ9YtE0

俺はいたく本気だ。
ココがどこかさえ分かれば這ってでも帰ってやる。

「そうですか、なぜそこまで嫌なのですか?有体に言えば涼宮さんはアイドルにだってなれるほどの人なのですよ?」

「そうか、アイドルか。いいんじゃないのか?ハルヒは歌も上手いからな。佐々木と二人でテレビで拝見させてもらうとするさ」

「あなたという人は……」

古泉が困った顔をしている。まあ、確かにお前ら的にはハルヒが絶対なんだろうがな。

「分かりました。ならこちらも考えがあります」

そういって古泉は俺の縄を解き、わざとらしく俺の足元にスタンガンを置いた。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 15:53:52.30 ID:e+qQ9YtE0

「社会……というのはえらく厄介なものでして、属してしまえば確かに大きな力の一部となり身を守る盾となってくれます」

古泉がまた訳の分からない事を言い始めたようだ。
その間に俺は体を起こさせてもらうとしよう。

「ですが、社会に属してしまうと全体の多数の意見に従わなければならない。
 それは、トップの人間であっても同じ事」

「なあ、お前は一体……」

なにを言っているんだと、言おうとするのをさえぎるかのように古泉の拳が飛んできた。
ギリギリでよける事はできたが、俺と古泉の身体能力の差ではきっと道具でも使わなければ勝てないだろう。

「おい、いきなりなんだって言うんだ!」

「手加減はします。なので、あなたは本気でかかってきてください!」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 16:02:52.45 ID:e+qQ9YtE0

ああ、そういうことかよ。
お前はお前なりに応援してくれているんだな……。
心の中でだが、礼を言わせてもらうとするさ……。

俺は足元にあるスタンガンを手に取った。
どうかコレが強力すぎない事を祈って古泉の体へと当てる。

「がぁっ!」

初めて聞く古泉のうめき声だった。

「ここにいるのは、皆敵です。どうか油断しないように……」

そういって古泉は気を失った。
今更だが、最初から今この瞬間までずっとこいつは俺のために尽力を尽くしてくれていたのだろう。
出なければここに俺と二人っきりになんてなっていないだろう。

「グラッチェ!古泉!」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 16:08:06.54 ID:e+qQ9YtE0

俺が縛られているところから外へはなぜか誰にも合うことなく移動できた。

そうして、外に出ると一台の見慣れた黒い車が目の前に出てきた。

「さあ、こちらへ!」

「森さん!それに新川さんも!」

「古泉に頼まれていました。さあ、早くこちらに!」

そういって森さんは車のドアを開けてくれた。
古泉、お前はこんなにも俺のために……

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 16:10:18.33 ID:e+qQ9YtE0

『ここにいるのは、皆敵です。どうか油断しないように……』

「っ!」

そうだ、そうだった。この人たちも機関の人間だ。
古泉の親戚でもなければ友達でもない。
そうだ、この人たちも敵なのだ……

「い、いや、すみませんが、走って帰ります」

そういって立ち去ろうとした時

「捕らえよ!」

そう叫ぶ森さんの声が聞こえた。
ああ、やっぱりそうだったのか。畜生、これじゃあ古泉に合わせる顔がねえ……

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 16:20:11.73 ID:e+qQ9YtE0

「させない」

ああ、幻聴まで聞こえてきやがった。
こんなときにいつも助けてもらってるせいなのか、知り合いの宇宙人の声が聞こえてきやがる。

「っ!長門さん……あなたはてっきりコチラ側と同じ考えだと……!」

「私は誰かの敵ではなく、ただ彼の味方をしてるだけ」

「同じ事ですよ」

ああ、本当に着てくれたのか……

「長門……!!」

「待たせてしまってごめんなさい。でも後は任せて」

ハルヒなんかよりも長門のほうが俺にとっては神様に見えるぜ。

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 17:38:18.45 ID:e+qQ9YtE0

そこからは長門オンステージだった。
いくら超能力者といえども閉鎖空間外ではただの人間。
宇宙人にはかなう事などできず、まさに赤子の手をひねるかのようだった。

「いつもすまんな。長門」

「いい、私という固体はあなたのい幸せを願っているから」

おいおい、随分とすばらしい事を言うようになったじゃねーか。

「つかまって」

「ん?おう」

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 17:47:27.50 ID:e+qQ9YtE0

「キョン君!?無事ですか!?」

長門の腕をつかんだかと思うと目の前には朝比奈さんがいた。

「え?あ、朝比奈さん!?なんで?」

「空間切断および固定、その後に空間転移」

「要するに瞬間移動か……?」

「厳密には違うが、大まかには」

長門はそのうちス^パーサイヤ人になれるのではないかと思うぞ。

「あの、自分で言うのもへんなんだが、二人とも俺の味方をしてていいのか?

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 18:10:05.69 ID:e+qQ9YtE0

「私はさっきも言った通り」

「えっと、わたしはその禁則事項が禁則事項で禁則事項になるけど大丈夫。禁則事項だから」

朝比奈さん、禁則事項が多すぎてなにをいってるのか分かりません。

「とりあえず、二人ともほんとうにありがとう」

俺はいくら下げても足りないであろう頭を下げた。
きっと一生頭をさげつずけても足りないだろう。

「それよりも、あと一日を乗り切ればきっとあきらめる」

「どういうことだ?長門」

「今は金曜日の23時36分」

「えっと、俺が拉致されたのが木曜日の放課後だから……!」

丸一日近く気を失っていたのか俺は!!

「だが、なんで土曜日を乗り切れば大丈夫なんだ?」

「あなたは鍵だから」

「え、えっと」

空気を察してか、朝比奈さんが説明してくれるようだ。

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 18:35:03.74 ID:e+qQ9YtE0

「あの、キョン君はいろいろな人から言われてるように鍵なの。
 でもその鍵はまだ形は決まってなくて、でも立った一回しか使う事のできない鍵なの
 でも鍵が一つなのに鍵穴は二つある。
 どちらかが決まらなければそれをめぐって争いが起きるけど、鍵の形が決まってしまえばもう誰にもどうする事はできないわ
 それこそ、神様でも」

「それならなぜ機関は俺を無理やりハルヒと?」

「鍵が鍵穴に入る前に崩壊する事を恐れているのよ。彼らは」

つまり、ハルヒに気づかれずにやれってことか。

「なあ、長門の力であと一日どうにかならないのか?」

「推奨はしない」

「やっぱり何かしらの影響が出るのか?」

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 19:01:26.08 ID:e+qQ9YtE0

「2万589年と10日後に出ると思われる。また、彼らが強硬手段を使った場合、私一人では対応できないと思われる」

「そうか、すまんな」

「いい」

最初から長門頼みなのもダメではあるが、やはりここは自分でどうにかするしかないのか。

「今日は泊まっていくといい」

「いや、悪いから帰るよ」

「推奨はしない。あなたの家よりはココのほうが安全」

「いや、そうなんだろうが……」

長門が無言で見つめてくる。
珍しいな、長門がこんな顔をするのは。

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 19:05:04.73 ID:e+qQ9YtE0

「それじゃあ、甘えるとするよ」

「そう」

「それじゃあ、はいキョン君。起きたときお腹空いてると思って簡単なもの作っておいたの」

やはり朝比奈さん、あなたは天使だ。

「おいしくなかったらごめんね?」

いえいえ、あなたの作ったものならどんなものでも美味しいといって全て平らげましょう。
そうして俺は朝比奈さん特性サンドイッチを食べ、いつか眠っていた部屋で眠りについた。



風呂飯

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 20:18:32.11 ID:e+qQ9YtE0

「んん……?」

長門の家で眠りについたはずなのだが、気がつけばいつかの灰色空間に来ていた。

「おいおい、どうしたんだよ」

少しの不安は覚えはしたが、今は長門がいる。それに朝比奈さんも、古泉だって。
みんなが味方してくれているおかげで、不思議と怖くはならなかった。

「まあ、今回もハルヒからのよびだしか?」

「違いますよ」

一人だと思っていて呟いた事を聞かれた事よりも、その声に俺は驚いた。

「何で、ここにいるんですか……」

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 20:24:48.27 ID:e+qQ9YtE0

「――森さん!!」

「何でと問われましても、私だって機関の人間です。閉鎖空間には簡単に入れます」

予想外すぎる人物だ。
前のパターンなら頑張っても少ししか入れないはずの空間に普通にいやがる。

「ああ、そうですね。説明をしましょう。どうしてあなたがここにいて、私が、私たちもここにいるのかを」

私たち、森さんがそういうと周りからゾロゾロと人が出てきた。
おいおい、マトリックスか何かか、オイ。

「ええ、確かに長門さんの家に侵入するのは不可能です。あちらの世界ならば。
 ですが、私たちは超能力者。閉鎖空間内ならば能力を使えます。危険ではありますが、わざと閉鎖空間をいくつか発生させました。」

おいおい、ハルヒに直接何か仕掛けるたあ、相当機関も追い詰められてるってのか?

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 20:31:45.71 ID:e+qQ9YtE0

「そうして長門さんの家のあたりにも閉鎖空間を発生させ、閉鎖空間内で進入した後、あなたを見つけ、コチラにつれてくる。
 普段の彼女ならそれすらもできなかったでしょう。ですが、今彼女は弱体化しつつある。
 そうなれば、閉鎖空間内ならば彼女と対等に渡り合える!」

長門が弱体化してるだと!?
なんだそれは、初耳だぞ。

「おや、知らなかったのですか?
 あなたの味方をすると決めたときに、情報統合思念体からのバックアップがなくなったのですよ?」

ああ、そりゃそうだ。今になって冷静に考えてみれば長門の親玉も俺とハルヒをくっつけ様と考える側のやつらだ。
長門がそれと逆の行動を取るとなれば確かにそうなるんだろうよ。クソッたれ……どうして今まで気づかなかった!

「さて、まあまずはコチラをどうぞ」

そういって俺の前に縄で縛られた人間が無造作に放られた。

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 20:46:39.34 ID:e+qQ9YtE0

「古泉……!!」

よく見ると顔に痣ができている。
そりゃそうだ。機関を裏切って俺を逃がしたんだからな。

「おや、これはこれは恥ずかしい所を見られてしまいましたね」

「お前は……どうしてそんな!!」

「感動の再開はここまででいいですか?
 では、取引です。今ココで古泉が生きながら地獄を見続けるか、それともあなたが佐々木さんをあきらめるか」

「ダメです。僕の事は放って置いてください。もう少しすれば長門さんたちがきっと……」

古泉が言い終わる前に顔面を機関の人間に蹴られ言葉をさえぎられていた。

「古泉!!」

「だ、大丈夫です。このくらい」

そういって古泉はいつもと同じニヤケ顔をしていた。

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 20:58:46.41 ID:e+qQ9YtE0

――――古泉 一樹

最初はただ上手いように利用してやろうと思っていた。
もしも神を思い通りに動かす事ができたのなら本当に世界征服だって出来てしまうのではないか。
そんな汚い感情だった。

だけど、神は自分が思っていたよりも純粋でとても綺麗だった。
宇宙人は最初はとても気味の悪いものだったが、今では心から信頼できる仲間になった。
未来人はとても頼りなく、出し抜こうと思っていたはずが、心を許す事のできる仲間になった。
そして、

そして、神に選ばれた鍵となる人間は、凡人だった。
なぜ、こんな何の取柄もないような人間が神が選んだのか分からなかった。
なぜこんななにもつまらない人間を選んだのか。
彼を何度○そうかと思った事か。
神は間違いを犯したのだとそう思っていた。

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 21:07:37.48 ID:e+qQ9YtE0

だけど、間違っているのは僕の方だった。

彼は確かに頼りない
だけどそれでも懸命だ

彼は確かに何も出来ない
だけどそれでも懸命だ

彼は自分が役に立っていない事を自覚していた
それでも彼はずっと頑張ってきたのだ

頼りなく頼れる人間であり、何も出来ない何でも出来る人間であり、役に立たない役に立つ人間だ。
彼は間違いなく神に選ばれるべき人間だと思った。

そうして僕は気がつけば神よりも彼の事を大事に思っていた。
初めて心から友と呼べる者ができた。
それは僕にとって初めてのことで、きっとこの先彼ほどの友を見つける事はないだろうと思っていた。

いつも運命に流されていた彼が始めて運命に逆らったのだ。
僕はそれを応援しなくてどうする。
ここで彼を守らなくてどうする!




僕は神に反逆する事を決めた―――

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 21:12:41.69 ID:e+qQ9YtE0

「さて、どうする?大事なお友達が苦しんでいるわよ?」

「っ、古泉……」

「はは、気にせずあなたは明日のデートの服装でも考えていてください。それとも今から買いに行きますか?」

いつものように軽口を叩く古泉だが、明らかに衰弱している。きっとあの後にも何かあったのだろう……。

「ああ、わかったよ」

ここまでやってくれて本当に感謝してるぜ?古泉
ああ、だからもういいんだ。ここまででいい

「あなたは一体なにを!」

「押さえつけて」

「ん゛−−!!」

「俺はあきらめるよ。やっぱり最初から無理だったんだよ。俺にはさ」

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/31(日) 21:20:29.65 ID:e+qQ9YtE0

「情けないですね。それでも佐々木さんが選んだ人ですか?」

「お前は……お前らは!」

「どうも機関の皆さん始めましてなのです!」

「――はじめ――まして―――」

「のん気に自己紹介をしている場合か。まったく、コレだから原人どもは」

橘京子に周防九曜、藤原までいやがる。
一体どうしたっていうんだ。

「あらあら、皆さんおそろいでどうしましたか?」

森さんが不気味に笑っている。



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