消失世界の『もしも』


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1 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/20(水) 23:27:00.79 ID:QLAnpmxko

キョン「……なんだって俺は、こんな辺鄙な所に来ちまったんだ?」

キョン「なんか、足が向いちまったんだよな……」

キョン「えー……と……文芸部室……か」

キョン「まあ、どうせ帰っても妹やシャミセンと遊ぶだけだしな」コンコン

「っ……は、はい……?」

キョン「誰かいるのか?お邪魔するぞ」ガチャ

長門「……あ……」

キョン「ん、一人か?ここ、文芸部室だよな?」

長門「そ、そう……だけど……」

キョン「あ、悪い。活動の邪魔になってたか?」

長門「そ、そんな事は……ない、けど……」

キョン「よかった。ああ、俺の事は気にしないでくれ」

長門「………」

2 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/20(水) 23:29:06.08 ID:QLAnpmxko

以前に総合スレで少しだけ書いたものです
突っ込まれる事はないと思うけど、一応、念の為

3 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/20(水) 23:30:47.34 ID:QLAnpmxko

キョン(ふーん……文芸部に相応しいと言えばいいのか、本はたくさん置いてあるな)

キョン(だが、肝心の部員が一人しか見当たらない……他の部員はどうしたんだろうな)

長門「あ、あの……?」

キョン「ん?」

長門「ど、どうして、ここに……?」

キョン「ああ、いや、深い意味はない。えーと、だな……」

キョン(なんて答えたらいいんだ……?足が向いちまった、か……?)

長門「……?」

キョン「ちょ、ちょっと、な。この、えっと、文芸部に、興味があったから見学に来たんだ、そう」

長門「! ほ、本当に?」

キョン(なんか心なしか嬉しそう?)

キョン「あ、ああ、そうだぞ。こう見えて俺は、本を読むのが大好きなんだ」

4 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/20(水) 23:32:00.50 ID:QLAnpmxko

長門「ええと、それじゃあ……」トテトテ

ガサゴソ

長門「あった。あの、これ、あげます」スッ

キョン(……入部届け、だと?)

長門「……えへへ」

キョン「あ、ああ、ありがとう。でも、まだ、入部すると決めたわけじゃあ……」

長門「っ……そ、そう、なんだ……」シュン

キョン(目に見えて落ち込んでやがる……)

長門「で、でも、それは一応持って行ってくれて、構わないから……」

キョン「お、おう。サンキュ……えっと」

長門「あ……1年6組の、長門……長門有希」

5 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/20(水) 23:33:56.59 ID:QLAnpmxko

キョン「長門、な。サンキュ、長門」

長門「うん……」

キョン「それじゃ、俺はこれで帰るよ。邪魔したな、長門」

長門「邪魔じゃ……ないけど」

キョン「そうか?それなら、今後も気軽にここに来ていいってことだな」

長門「! も、もちろん!待ってる」

キョン「そうか、じゃあな長門」ガララ

長門「………」

長門「……えへへ……♪」

6 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/20(水) 23:36:22.45 ID:QLAnpmxko

その日から、俺は毎日のように文芸部室にお邪魔するようになった。

特に、深い理由はない。本当に、ただ、なんとなくだ。

長門は嫌な顔もせずに迎え入れてくれるから、少しだけ気を良くしたのかもしれないな、俺は。

そんなわけで、少しだけ長門と親しくなった、ある日。


キョン「お邪魔するぞー」ガチャ

長門「! よ、ようこそ」

キョン「おう、長門。今日も一人か?」

長門「うん……今日も、って言うより、文芸部は元々わたし一人だから」

キョン「! ……そうなのか」

長門「うん」

キョン(なるほどなぁ……そりゃ、興味があるって奴が来たら喜ぶわけだ)

7 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/20(水) 23:38:08.69 ID:QLAnpmxko

長門「………」ペラッ

キョン「いつも一人で、この部屋で本を読んでるのか?」

長門「うん。本を読むの、好きだから」

キョン「へぇ……一人なのに部活動をするってのはよっぽどの物好きじゃなきゃ出来なさそうだもんな」

長門「……」コクン

キョン「あ、いや、別に悪気があって言ったわけじゃないぞ?ただ、本当に好きなんだな、と、そう言いたかっただけなんだ」

長門「大丈夫、気にしてない。事実、その通りだし」

キョン「そ、そうか?なら、いいんだが……」

8 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/20(水) 23:41:26.63 ID:QLAnpmxko

長門「………」ペラッ

キョン(……会話が途切れたな)

長門「……あ」

キョン「? どうかしたのか?」

長門「………」

キョン(壁に立てかけられてるパイプ椅子を持ったぞ……)

長門「………ん」

キョン(な、長門の隣に椅子を置いて、俺に視線を送っている……それは、あれか?隣、どうぞとか、そういった意味合いか?)

長門「………」ストン パラパラッ

キョン(当の本人はまた椅子に座って本を読み始めた……ま、まぁ、俺の為に用意してくれたのだろう。厚意に甘えて座らせてもらうとしようか)スタスタ ストン

9 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/20(水) 23:48:21.57 ID:QLAnpmxko

長門「………」ペラッ

キョン(何も言わない……な、なんだ、この妙な緊張感は……)

長門「………」ペラッ

キョン(しかし長門の奴、本を読むスピードが速いな)

長門「………」ペラッ

キョン(隣に俺が座ってるのなんて全く気にしていないかのように読み進めて行く……見られてる事にも気付いてないのか?本当に本を読むのが好きなんだな)

長門「………!」

キョン「ど、どうかしたか、長門?」

長門「ど、どうかしたかは、こっちのセリフ……わ、わたしの顔に、何か付いてる?」

キョン「え、あ、いや……」

長門「……」オロオロ

キョン「いや、すまん、無粋だったな。ずいぶん真剣に読んでるなぁ、と関心しただけだ」

長門「そ、そう?いつも通りのつもりだったんだけど……」

キョン「そのいつも通りは俺は知らないからな。何度も言うようだが、本当に好きなんだな、読書」

長門「………」コクン

10 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/20(水) 23:51:53.29 ID:QLAnpmxko

キョン「………」

長門「………」ペラッ

キョン「俺も、なんか本借りていいか?」

長門「うん。なんでもいいよ。この部屋にある本は、わたしは全部読んじゃったから」

キョン「えっ?」

長門「何か、おかしかった?」

キョン(この部屋にある本って……あのでかい本棚に並んでる小難しそうな本を全部って意味だよな……やっぱり)

長門「え、えっと……」

キョン「あ、あぁ、すまん。いや、そりゃそうだよな、うん。この部屋にある本くらい、既に読破済みだよな、は、ハハ……」

11 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/20(水) 23:57:45.77 ID:QLAnpmxko

長門「ず、ずっとこの部屋で本を読んでたら、いつの間にか全部読んじゃってただけだから!じ、順番に読んだわけじゃないから、もしかしたらまだ読んでない本があるかもしれないし」

キョン「お、おう……?」(なんか焦ってる?)

長門「だ、だから、その……ごめん、なんでもない……」シュン

キョン(……もしかして、引かれたって思ってる?)

長門「………」ショボン

キョン「いや、別にいいことだと思うぞ、うん。ひとつの事を極めるってのはすごいことだもんな、ああ、そうだとも!」

長門「そう……かな?」

キョン「ああ、そうだ!決して本の虫だとか、ネクラだとか、そんなことは断じて思っちゃいないぞ!」

長門「…………」ショボーン

キョン(更に落ち込ませちまった!?よ、余計な事を言ったのか俺は!?)

12 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/21(木) 00:02:30.21 ID:BUwYkB5to

長門「……………」ペラッ

キョン(………気まずい)ペラッ

長門「………」ペラッ

キョン「あ、あー、さて、俺はそろそろ帰ろうかな!」パタン

長門「!」イソイソ

キョン「ん?今日の活動はもう終わりか?」

長門「う、うん……もうすぐ下校時間だし、そろそろかなぁ、って」

キョン(……まさか、俺に気を遣って帰るに帰れなかったのか?だとしたら、悪い事をしたな……)

長門「あ、あの……あ、あんまりわたしの顔、見ないで……」

キョン「わ、悪い!……って、さっきもやったなこのやりとり」

13 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/21(木) 00:06:52.19 ID:BUwYkB5to

長門「……クスッ」

キョン「! 今、笑ったか?」

長門「え、あ……」

キョン「よかった。今までこの部室に何度か来たが、お前が笑った顔を見た事は無かったような気がしたからな」

長門「………っ」カァァァ

キョン「ハハ、何言ってるんだろうな、俺。それじゃ、折角だし、途中まで一緒に帰ろうか?」

長門「……」コクッ

14 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/21(木) 00:10:14.19 ID:BUwYkB5to

帰り道―――

キョン「もうすっかり冬だな……まだ6時前だってのに、すっかり日が落ちてる」

長門「………」ギュッ

キョン「!」

長門「………」

キョン(服の端をつまんでる……?)

長門「………あっ、ご、ごめん」パッ

キョン「いや、気にしてないが……」

長門「………」オロオロ

キョン「どうかしたか?」

長門「こ、こんなに暗くなってから帰るのは、初めてだから……ちょっと、怖くって」

キョン「いつもはもっと早いのか?」

長門「……」コクン

15 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/21(木) 00:12:27.31 ID:BUwYkB5to

長門「……?どうして、謝るの?」

キョン「いや、だって……」

長門「………?」ジッ

キョン(……本人は俺がいるから残ってたと自覚してないのか?)

長門「………」キョトン

キョン「いや、なんでもない。それじゃあ、折角だし家まで送るよ」

長門「! いいの?」

キョン「ああ。こんな暗い中を、か弱い女の子一人に歩かせるわけにはいかん!」グッ

長門「……クスッ」

キョン(また笑ってくれた)

キョン「まぁ、そういうわけでだ。俺の自己満足だが、付き合ってくれるか?」

長門「それじゃあ、よろしく」

キョン「おう!」

16 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/21(木) 00:15:50.21 ID:BUwYkB5to

キョン「長門の家って、どの辺りなんだ?」

長門「駅の近くのマンションで、一人暮らしをしてるの」

キョン「一人暮らし?へぇ、高校生でねぇ。大変か?」

長門「大変は大変だけど……もう、慣れちゃった。朝倉さんも気に掛けてくれるし」

キョン「朝倉?って、もしかして朝倉涼子か?」

長門「うん」

キョン「へぇ……あいつ、長門と同じマンションに住んでるのか」

長門「あなたの話は、たまに朝倉さんから聞く。同じクラスで、大人しい人だって」

キョン「俺なんかの話をして何が面白いんだかねえ」

17 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/21(木) 00:23:04.58 ID:BUwYkB5to

長門「……着いちゃった」

キョン「ここが、長門の住んでるマンションか?」

長門「うん……」

キョン「そっか。それじゃ、また明日な、長門」

長門「あ、あの!」

キョン「ん?どうした、長門?」

長門「もし、よかったら……ちょっとだけ、家にあがって行く?」

キョン「いや、それは……」

長門「……っ」フルフル

キョン(そんな不安そうな顔で言われちゃ、断るに断れないな……)

キョン「それじゃあ、お茶を一杯だけ御馳走になってもいいか?」

長門「……!うん!」パァァァ

キョン(分かりやすい性格だよな、長門の奴……思ってる事がすぐ顔に出るし)

18 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/21(木) 00:26:39.70 ID:BUwYkB5to

長門の家―――

長門「上がって」

キョン「おう、お邪魔するぞ」

長門「適当に、座ってて。コーヒーと紅茶、どっちがいい?」

キョン「コーヒーを頼む」

長門「うん、わかった!」タッタッタッ

19 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/21(木) 00:30:35.11 ID:BUwYkB5to

キョン(………。よくよく考えてみたら……結構すごい状況なんじゃあないか?)

長門「………」コポポポ

キョン(日は落ちてるし、クラスは違うが一人暮らしの同級生の家にあがりこんでるんだぞ……)

トテトテ

長門「お待たせ」コトッ

キョン(これで万が一にも間違いを起こしてしまった日には、俺は学園どころか社会で生きて行けんな)

長門「どうかしたの?」

キョン「ん、いや、なんでもない」

長門「お砂糖とミルクは、お好みで入れて」

キョン「おう、サンキュ、長門」

20 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/21(木) 00:35:14.97 ID:BUwYkB5to

ピンポーン

長門「あ……ごめん、ちょっと出るね」

キョン「あぁ」

トテトテ

キョン(こんな時間に、一人暮らしの女子高生の家になんの用だ?もしかして、何か変な奴にでも付きまとわられてるんじゃ……)

「あれー?有希に悪い虫が付いたかと思ったら……」

キョン「?」

朝倉「何やってるのよ、あなた。こんな時間に、有希の家で」

キョン「あ、朝倉っ?」

長門「あ、朝倉さん、違うの。わたしが……」

朝倉「まさかあなた、有希の事を狙ってるんじゃないでしょうね?」

21 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/21(木) 00:38:36.11 ID:BUwYkB5to

キョン「待て待て、俺は何もやましいことなんてしてないぞ」

朝倉「本当に〜?有希は可愛いから、心配だなぁ」

長門「あ、朝倉さんったら!」

朝倉「アハハ、ゴメンゴメン。半分冗談だよ」

キョン「もう半分は本気だったのか……」

朝倉「あら、あたりまえじゃない」

キョン「お前なぁ……」

22 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/21(木) 00:42:22.37 ID:BUwYkB5to

キョン「そういうお前こそ、どうしたんだ?そんな大層な鍋を持って」

朝倉「ああ、そうそう。有希の家に男物の靴があったから、すっかり頭から抜け落ちてた」

キョン「そんな大きい荷物を持っておきながら忘れるか、普通?」

朝倉「うるさいわね。はい、有希。今晩のお裾分け」

長門「いつもありがとう、朝倉さん」

朝倉「お礼なんていいっていっつも言ってるでしょ?同じマンションに住んでるんだから、これくらいで恐縮しないの」

長門「それでも、ありがたいから」

朝倉「もう、可愛いなぁ有希は!わたしがお嫁にもらっちゃうぞー!」ダキッ

長門「ちょっ、ちょっと朝倉さん!?」アセアセ

23 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/21(木) 00:47:27.53 ID:BUwYkB5to

朝倉「ん〜、抱き心地最高〜♪」ギュウウ

長門「そ、その、見てる人もいるから……!」ワタワタ

キョン「俺の事は気にせず、続けてくれ」

朝倉「言われずとも〜♪ん〜有希〜♪」スリスリ

長門「ちょっ……あ、あなたも見てないでやめさせて!」ワタワタ

キョン「すまん、長門……俺にはどうすることも出来ん」

長門「え、えぇっ!?」

朝倉「有希〜♪」スリスリ

長門「だ、誰かぁぁぁ……」

24 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/21(木) 00:52:27.71 ID:BUwYkB5to

―――――

―――




朝倉「大丈夫、有希?この人にいじめられてたりしない?はい、有希の分」

長門「ありがとう、朝倉さん。いじめられてるなんて、そんなことないよ」

朝倉「本当にぃ?」ジーッ

キョン「何故視線を俺から逸らさないんだ……」

朝倉「念の為言っておくけどね、有希をいじめたらわたしがあなたを殺すからね?」

キョン「物騒だな!?そう言うお前は長門の何なんだよ、朝倉」

朝倉「決まってるじゃない。わたしは、将来有希のお嫁さんになる朝倉涼子よ!」キリッ

キョン「何の臆面もなく言い切ったな。いっそ清々しい」

朝倉「まぁ、それも半分冗談だけどね。はい、あなたの分」

キョン「それももう半分は本気なんだな……ん、サンキュ」

25 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/21(木) 00:57:38.20 ID:BUwYkB5to

朝倉「しっかし、あの奥手な有希が男の子を家にあげるなんて、積極的になったもんだなぁ」

長門「っ!!あ、朝倉さんっ!?」

キョン「?」モグモグ

朝倉「大丈夫だって、有希。わたしは安心してるだけだから。有希にも、わたし以外の友達が出来たんだなぁ、ってね」

長門「心配し過ぎだよ、朝倉さん。わたしなら大丈夫って、ずっと言い続けてるのに」

朝倉「それでも心配なものは心配なのよ。有希の親友として、ね」

長門「朝倉さんったら……」

キョン「……親友、か」

長門「?」

キョン「いや、なんでもない」

朝倉「変なの?ね、有希」

長門「あはは……」

キョン(長門の知られざる一面、ってところだな。ちゃんと、友人はいるんだな……まぁ、当たり前と言えば当たり前か)

26 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/21(木) 01:01:50.03 ID:BUwYkB5to

夕食後―――

キョン「なんか、夕食まで御馳走になって悪かったな」

長門「気にしないで。久しぶりに、賑やかで楽しい夕食だったから」

朝倉「あら、心外ね、有希。わたしと一緒じゃ賑やかでも楽しくもないってこと?」

長門「そ、そういう意味じゃ……」

キョン「そりゃあなぁ。事あるごとに抱きつかれちゃ、長門も困るだろうよ」

長門「え、あ、えと……」

朝倉「む、言ってくれるわね?言っておくけどね、有希との付き合いは圧倒的にわたしの方が長いんだからね?有希に手を出したりなんかしたら承知しないんだから」

キョン「おーおー、恐ろしい事で。肝に銘じておきますとも、朝倉様」

朝倉「いちいち癇に障る言い方をするわね?あなたなんかに有希は渡さないんだから!」

27 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/21(木) 01:05:03.23 ID:BUwYkB5to

長門「け、喧嘩はしないで!」

キョン「いや、別に喧嘩をしてるわけじゃあないぞ?売り言葉に買い言葉なだけだ」

朝倉「ごめんってば、有希。そんなに不安そうな顔をしないの」ナデナデ

長門「こ、子供扱いしないでよ、朝倉さん……」

朝倉「あっはは!それじゃね、有希。また明日、学校でね!」

キョン「俺も、また明日な、長門」

長門「うん。気を付けて帰ってね」

28 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/21(木) 01:08:00.05 ID:BUwYkB5to

ガチャ バタン

キョン「さーてと、ずいぶん遅くなっちまったが、帰るかぁ……」

朝倉「あ、ちょっと待って!」

キョン「ん?なんだ、朝倉。まだ何か言い足りないのか?」

朝倉「ううん、違う、そうじゃない。あなた、最近有希と一緒にいることが多いなぁと思ってね」

キョン「まぁな。長門の奴が毎日文芸部室に一人でいるから、そこに入り浸ってるだけだ」

朝倉「そっか……」

キョン「それがどうかしたか?」

朝倉「毎日有希の事を見ていたらわかると思うけれど、あの子、一人でいることが多いでしょ?学校で、わたし以外に友達いないのかなぁってたまに不安になるのよね」

キョン「……それは、そうだな。俺もそう思った事はある」

朝倉「でしょ?なるべくわたしがあの子と一緒にいるようにはしてるつもりだけど、いつも一緒にいられるわけでもないから、余計に心配なの」

29 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/21(木) 01:12:31.95 ID:BUwYkB5to

キョン「何が言いたいんだ、朝倉?」

朝倉「うん。出来るだけ、あの子と一緒に居てあげて欲しいの。あの子、あなたには気を許しているみたいだからね」

キョン「………」

朝倉「いじめられてるようなことはないと思うけど、やっぱり心配なのよ。あの子の親友としては、ね」

キョン「ずいぶんと長門想いだな?」

朝倉「そりゃあね。偶然とはいえこうして同じマンションで暮らしてるんだし、なんだか他人のような気がしないから」

キョン「そうだな……長門のやつ、どことなく危なっかしいと思う所はあるな」

朝倉「あ、やっぱりそう思う?なーんか危なっかしいのよねぇ、あの子。いつか悪い人に騙されるんじゃないかって思うと、心配で夜も眠れないってものよ」

キョン「ん、了解。俺と朝倉で、長門の事を守ってやろうって、つまりはそういうことだな」

朝倉「単刀直入に言っちゃうとそんなところね。頼りにしてるからね?わたしのいないところで有希が泣く様なことがあったら、その時は………」

キョン「『俺を殺す』……か?」

朝倉「わかってるじゃない。よろしくね、有希の事」

キョン「了解だ。及ばずながら、俺も力になろうじゃあないか」

朝倉「それなら良し!それじゃあ、気を付けて帰ってね!」

キョン「ああ。また明日、学校でな、朝倉」

30 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/03/21(木) 01:15:46.85 ID:BUwYkB5to

本日の投下、以上
タイトル通り、消失世界でのもしもの話です
もしも消失世界が長門による改変が行われていない状態で存在していた場合の世界、というのがコンセプトです
基本的にキョンと長門の二人がメインの話になる予定ですが、ハルヒや小泉、みくるの登場も予定しています
よろしければお付き合いください

では



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