1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/11(月) 04:31:14.47 ID:ydhF58Jo0
今からする話は僕、カツオが見ている走馬灯だ。
つまり僕は今走馬灯を見るような状況で、
この話はどうしようもなくバッドエンドに向かうわけだ。
それを分かったうえで聞いてほしい。
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/11(月) 04:32:36.36 ID:ydhF58Jo0
マスオ「僕たちは時間の檻に閉じ込められているのかい!?」
カツオ「そうだよマスオ兄さん。僕たちは終わることのない時間をずっと過ごしてるのさ」
マスオ「えぇーっ!そんな馬鹿な!カツオくん、僕をからかってるのかい?」
マスオ兄さんはリアクションが大きいから困る。
でも僕のどんな話だって真面目に聞いてくれる。だからこれもきっと馬鹿にしたりしないはずだ。
カツオ「からかってなんかないさ。マスオ兄さんは気づいてないの?」
マスオ「う〜ん、そんなこと言われてもなあ〜。全然考えたこともなかったよ」
頭の悪い返事がきた。どうやら少し疑われているようだ。ならば
カツオ「じゃあ僕が考えるきっかけを与えてあげるよ」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/11(月) 04:35:25.29 ID:ydhF58Jo0
マスオ「きっかけってなんだい?カツオくん」
きっかけというよりは、確信かな?
カツオ「マスオ兄さん、今年は昭和何年だったっけ?」
マスオ「どうしたんだいカツオくん。昭和44年に決まってるじゃないか」
予想通り過ぎる返答にがっかりする。もしかしたらとも思ったが、
完全に今の状況を通常だと思ってるんだろう。哀れだ。
では、気づかせてやるか。
カツオ「じゃあマスオ兄さん、うちの炊飯器は何年製のものかな?」ニヤリ
マスオ「そんなの東芝の平成25年製の最新型に決まって…」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/11(月) 04:37:02.88 ID:ydhF58Jo0
マスオ兄さんの動きが止まった。そして
マスオ「いや…でも…今年は…、へ…しょ…。う…うぐぅ…うわあああぁぁ〜!」ドサァ!
カツオ「マスオ兄さん!?」
叫びながらマスオ兄さんは倒れた。
カツオ「脳が処理限界を起こしたのか?分からない。
でもマスオ兄さんはもうリタイアだな。これ以上は巻き込めないよ。
しかしこうなったら次はだれに相談しようか。
お父さんや姉さんは頭が固いからダメだろ
ワカメやタラちゃんはこの話にはついてこれないだろう
となると、もうお母さんしかいないな」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/11(月) 04:37:50.80 ID:ydhF58Jo0
お母さんのいる台所に向かう。
運よくお母さん一人しかいないみたいだ。
フネ「おやカツオ、どうしたんだい?」
カツオ「お母さんに聞きたいことがあるんだ」
フネ「あたしに質問?珍しいねえ」
いきなり時間の檻なんて言ってもマスオ兄さんみたいに信じてくれないだろうし
カツオ「お母さん、今年は何年かな?」
フネ ピクッ「なんだい急に。昭和44年に決まってるだろう?」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/11(月) 04:38:43.02 ID:ydhF58Jo0
なんだ?お母さんがさっきの質問に変な反応をしたような…?
まさかもう気づいてるのか?まあいい。次の質問ではっきりする。
カツオ「じゃあさ、うちの炊飯器は―」ピトッ
お母さんの二本の指で唇ををおさえられる。
なんだか無駄にロマンチックだ
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/11(月) 04:40:13.72 ID:ydhF58Jo0
フネ「カツオ、あんたにその先を言う覚悟があるのかい?」
がむしゃらに動いてお母さんから離れる
カツオ「プハア!お母さん、もしかして気づいてるの?」
フネ「この世界の時間がおかしいってことかい?
気づかないわけないじゃないか」
予想外の返答だった。まさか僕以外に気づいてる人がいるなんて…
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/11(月) 04:41:38.22 ID:ydhF58Jo0
カツオ「僕はこれを世界が時間の檻に閉じ込められているって呼んでる。
お母さん、気づいてるならなんで教えてくれなかったのさ」
フネ「気づいているからだよ」
カツオ「それはどういう―」
フネ「カツオ、あんたはこの現象をどうしたいんだい?」
話をすり替えられた。だが答える。
カツオ「僕はこの現象を正したいと思ってるよ」
フネ「どうしてもかい?」
僕は強い意志を持って答える
カツオ「当たり前だよ。だってこんなの普通じゃないじゃないか!」
フネ「そうかい。なら中島くんのところに行っておいで」
?なぜここで急に中島の話が出てくるんだ?
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/11(月) 04:43:54.29 ID:ydhF58Jo0
カツオ「なんで?中島はなにも関係ないじゃないか。行く意味が分からないよ」
フネ「行けばわかるよ」
いまいち納得できないがここはお母さんの言うとおりにしよう。
玄関で靴を履いて扉を開けようとした
タラオ「カツオお兄ちゃんどこ行くですか?」
タラちゃんが話しかけてきた
カツオ「ちょっと中島のとこにね」
さっきまでのシリアスなテンションが抜け切ってないせいか、
いつものように「タラちゃ〜ん」と語頭につけることができなかった
タラオ「そうですか…。頑張れ!」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/11(月) 04:44:35.25 ID:ydhF58Jo0
カツオ「へ?」
なんだ?聞き間違いか?タラちゃんがはっきり喋ったような…
僕のシリアスモードが伝わっちゃったか?
タラオ「カツオお兄ちゃんいってらっしゃいで〜す」
聞き間違いのようだ
カツオ「うん。行ってくるよタラちゃん」
僕は勢いよく外へ出た。
そして中島の家へ向かう。
10分ほど歩き、もうすぐ中島の家だ。覚悟を決めよう。
この角を曲がればあと一息だな。
ドンッ!
曲がったところで誰かとぶつかった
中島「磯野じゃないか!野球しようぜ」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/11(月) 04:47:33.38 ID:ydhF58Jo0
カツオ「な、なかじまぁぁぁ!」
まさかこんな遭遇の仕方をするとは思っていなかった。
固まっていた覚悟が瓦解しかける
中島「どうしたんだ磯野?そんなに驚いて?野球しようぜ」
カツオ「いや、これといって用は―ある」
中島「なんだよもったいつけてさ。言ってみろよ。もしくは野球しようぜ」
ここは単刀直入にいこう
カツオ「中島、この世界の時間をどう思う?」
聞いた途端、中島が急に―
中島「ヒヒッ、クハハハハハ、ハーッハッハッハ!」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/11(月) 04:48:23.52 ID:ydhF58Jo0
笑い出した。それも今まで見たことないような笑い方でだ。
なんだ?中島はいったいなんなんだ?
中島「いィそのォ!なんだ。いつ気づいた?」
怖い怖い怖い怖い怖い!
でも、呑まれちゃだめだ
カツオ「二年くらい前からかな。いや、二年ってのもおかしな話か」
中島「そォ〜だなァ〜。この世界の時間は一年以上過ぎないもんなァ〜?」
やはり中島は気づいてる奴か
いや、もっと異質な…
カツオ「中島、お前はいったいなんなんだ?」
中島「ふゥ〜〜〜ん。俺の正体まではたどり着いてないのかァ〜
なら、教えてやるよォ!」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/11(月) 04:50:48.54 ID:ydhF58Jo0
そう言って中島は、メガネを…外し、投げ捨てた。
ミシイ!自由落下したメガネがアスファルトにめり込む!
あれはただのメガネじゃないのか?
この時僕がメガネについて考えていたのを今は後悔する。
なぜなら、めり込んだメガネよりも見るべき部分が、注目すべき変化があったからだ。
中島の体が、明らかに人間のそれではなくなっていた
中島「ヒイイイィィ!ヒャハハハハァ!どうした磯野ォ?驚いて声も出ねエかァ?
あのメガネは拘束具だったのさァ!」
中島の体は恐ろしい変貌を遂げていた。
全身が漆黒に染まり、背中には禍々しい翼が生え、悪魔のそれとしか言いようがない尾が伸び、頭には鋭くとがった角が天を貫いていた。
つまり、悪魔がそこにいた
カツオ「あ…悪魔…」ガクガク
中島「悪魔ァ?お前にはそう見えるのかァい?いィィそォのォクゥゥゥゥン?」
カツオ「ああ、お前の姿はまさしく悪魔だよ。中島!」
中島「ひィィィでェなあ。これでも一応神様なんだけどなァァ?」
神?神様と言ったのかこいつは?
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/11(月) 04:51:28.32 ID:ydhF58Jo0
中島「でェ?いィィそォのォクゥゥゥゥンは何をしに俺様のとこまで来ィたのかなァ?」
怖い!怖い怖い!怖い怖い怖い!
でも!やらなければ!言わなければ!
カツオ「僕は、この世界を正しに来た!」
中島「正すゥ?この時間を普通の状態にするってことかァ?」
カツオ「そうだ!こんな状態は間違ってる!正さなければいけない!」
中島「へえェェェ?そォォォゥかなァァァ?今が平和なのは俺様が時間を弄ってるからだぜェ?
正すってことは平和を終わらせるってことだァ」
カツオ「お前がこんな状態を作っていたのか!どうしてこんなことになっているんだ!」
中島「ほらァ?俺様は神様だからァ?ちょちょって弄りゃあァ簡単なのよォ」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/11(月) 04:52:00.41 ID:ydhF58Jo0
カツオ「そんな説明じゃ納得できない!それに!この世界は時間が多く流れている!その時間はどこから用意したんだ!」
中島「いィィそォのォクゥゥゥゥンはそんなことが気になっちゃうタイプなのォ?ちっちぇえェェェなァァァ?
まあァ特別に教えてやるよォ。
お前らは生きてる中で通常より長い時間が流れてるって感じたことはねェかァ?」
カツオ「お前ら?いったい誰に喋ってるんだ!」
中島「神様の行動に文句つけすぎだろォ。読者に決まってんだろォ?」
本当によく分からない
中島「続きだァ。生きてる中で通常より長い時間が流れてるって感じたことはねェかァ?
会社でサボってソリティアやってる時とかァ
テスト勉強の息抜きで漫画読んでる時とかよォ?
あんときに俺、いや、俺たちがお前らから時間を奪ってんだよ。
だからお前らには時間が短く感じるんだよォ。その時間をこの世界の時間に継ぎ足してるわけだァ」
カツオ「???」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/11(月) 04:53:06.06 ID:ydhF58Jo0
中島「おォォォっとォ!置いてけぼりにしちまってたっみてえだなァ?
いィィそォのォクゥゥゥゥン!聞いてたかァ?お前には理解できねェってことを理解できたかァ?」
くやしいがその通りだ。
カツオ「だからなんだって言うんだ!今すぐこの現象を解除しろ!」
中島「ハッヒャハハハハ!面白ェ!俺様にそんな口を叩けるなんてなァ!いィィそォのォクゥゥゥゥン!お前すごく良ィぜえェ!
そんないィィそォのォクゥゥゥゥンに免じてチャンスをやるよォ!」
カツオ「チャンス?そんなもの必要ない!今すぐお前を倒す!」
中島「そんなに気張るなよォ?分かってんだろォ?俺を倒すのが無理ってことくらいィ」
カツオ「そんなことはない!」
いや、その通りだ。あんな化け物と戦ったって倒せるわけがない
中島「だァからチャンスをやるっつってんだァ」
カツオ「それはどんなものなんだ?」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/11(月) 04:53:42.80 ID:ydhF58Jo0
中島「野球だよォ、いィィそォのォクゥゥゥゥン?お前が勝ったら時間を弄るのをやめてやる」
野球?野球なら何とかなるかもしれない!
カツオ「分かった、その勝負受けて立つ!」
中島「そォかいィ」パチン!
中島が指を鳴らす。その瞬間周りは一瞬で野球場に変わった
カツオ「なっ…!」
中島「さあァァァ?いィィそォのォクゥゥゥゥン!始めよォかァ!」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/11(月) 04:54:13.24 ID:ydhF58Jo0
試合のルールは
・一打席勝負
・中島が投手で僕が打者
・基本ルールは野球と同じ
・僕が塁に出れば勝ち
・僕が勝った場合時間が普通になる
そして…
中島「お前が負けた時は二度とこのことに気づけない用にお前を弄らせてもらうぜェ?」
カツオ「いいだろう!」
内心はすごく怖い
ルールもハンデがあるわけではないようだ。だが、勝つ!勝たなければ!
カツオ「その条件で勝負を受ける!」
中島「ヒャハハハハ!いいねェ!よォし!ならこの紙に触れ」
僕の目の前に謎の文字が書かれた紙が差し出される
カツオ「なんだこれは?」
中島「契約書だァ。これに触れて成り立った勝負は絶対の拘束力を持つ。
お前に約束を破られちまったらこまるからよォ?」
カツオ「俺は約束を破ったりしない!お前こそ大丈夫なんだろうな!」
中島「契約書は絶対だァ。俺様をも拘束する」
カツオ「なら安心した。早速勝負だ!」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/11(月) 04:54:45.73 ID:ydhF58Jo0
勝負が始まった。僕は右打席に入って構える。
カツオ「さあ!来い!」
あっという間に2ストライクだ
乱丁したかのようなスピードで追い込まれてしまった
恐ろしいのは中島の剛速球だ。投げたボールが僕のはるか後方の壁に2球めり込んでいることがその恐ろしさを物語っている。
どうすればいい?なにか策はないのか?悩み…そして閃く
そうだ!この手なら!
中島「なんだァ?なにか思いついたって顔してるなァ?まあァ、そんなの無駄だけどよォ!」
カツオ「どうかな?」
僕はそういって左打席に入った
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/11(月) 04:58:04.99 ID:ydhF58Jo0
中島「へっ!打てねえからってセーフティーバントかァ?つまんねえなあァ。そんなの通用しねえって直感でわかんねぇかなァ?じゃァ、さっさと終わらせるかァ」
そう言って中島は振りかぶり、投げた。
僕はバントの構えをしない。
中島「なっ?バントでもねえのかァ?」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/11(月) 05:00:17.12 ID:ydhF58Jo0
そして僕は思い切りバットを振った。ボールは僕のバットにかすりもせず、はるか後方へ飛んでいく。
僕はバットを振り終わるのもそこそこに、一塁に向かって走り出した!
中島「なァッ!なにして、まさか!振り逃げェ!?させるか!」
僕は一心不乱に一塁に向かう。後ろから中島の足音がする。
な、まさかあそこからもうボールを取って追いかけてるってのか?
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/11(月) 05:04:46.30 ID:ydhF58Jo0
中島「いィィそォのォォォォ!」
カツオ「中島ァァァァァァァ!」
一塁にヘッドスライディング。一塁を抱きしめる。中島にはタッチされなかった。
つまり、勝利した
そして、目の前の世界がどんどん崩壊していく。なんだこれは!?
薄れる意識の中、中島の声が聞こえた
中島「時間の檻が開くってこととこの世界の終りは同義だ。お前は最終回を迎えちまったのさ」
サザエさん ツギタシファイナル〜悪魔眼鏡と青色坊主〜 END