ハニー・ポッター「勝つのは私、そうでしょ?」


メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:キョン「百合万歳!薔薇万歳!」長門「万歳」

ツイート

1 名前: ◆GPcj7MxBSM[] 投稿日:2013/01/20(日) 13:55:14.51 ID:dLhJPr2H0

ダーズリー家

ハニー「……嫌な夢をみたわ」

ハニー「マグルの老人が、知らない町で、しらない館の中で」

ハニー「……あの、ピーター・ぺティグリューと。それに、会話をしていたのは……」


ダドリー「ブヒィーー!ブヒィーー!」

ハニー「……腹黒豚よね。あなたのような豚にも満たない奴だったわ。私の可愛い豚のダドリー?」

バーノン「何の話だ小娘!!やめろ!!やめろと言うのに!!ダドリーを夏休み中足拭きマットのするのはやめんかああああああ!!」

ペチュニア「ダドちゃん!そんな小娘から投げられたパンを食べたらだめよ!不潔よ!それに、学校の先生に痩せるよう言われたでしょう!?」

ハニー「私の豚に私の許可なく体型を変えさせようだなんて、何様なのかしら。ねぇ、ダドリー?この踏み心地は私を満足させるためにあるんでしょう?」

ダドリー「光栄ですブヒィー!」

ハニー「あら。鳴き方はちゃんと、教えたはずよね?」

ダドリー「ヒンヒン!もちの同胞だ!ヒンヒン、ヒーーーン!」

バーノン「いい加減にせんか小娘!ふん!さっさとクィディなんとかだのなんだのに行ってしまえばええんだお前なんぞ!」

ハニー「えぇ。新天地だろうとどこだろうと、勝つのは高貴で可憐で儚げな私。そうでしょ?」

7 名前: ◆GPcj7MxBSM[] 投稿日:2013/01/20(日) 14:03:47.61 ID:dLhJPr2H0

バーノン「何が勝つ、だ!貴様はただ貴様のへんてこな友人だのなんだのに誘われて観戦にいくだけだろうが!」

ハニー「私の応援を身に受けて、どんなチームも負けるはずがないじゃないの。むしろその時点で優勝させるべきだわ」

ダドリー「ヒンヒン!」

ハニー「えぇ、そうよねダドリー」

ペチュニア「だ、ダドちゃん?お願いだからママにも分かる言葉で喋って頂戴、お願いだから……」

ハニー「私の前に余計な言葉はいらないの。そうよね?」

ボンッ!!!もくもくもく

バーノン「!?!?な、何事……ぬぁああああ!?小娘の世界のおかしな連中が我が家に来るとぬかすから着込んだ一張羅があああああ!」

ペチュニア「だ、暖炉が爆発して灰だらけ……あ、あぁ!ピカピカの床、机……」

ハニー「ロン、私の豚?」

ロン「もちのロンさ、ハニー!ヒンヒン、ヒーーーーーン!」

アーサー「お邪魔しますよ、ミスター・ダーズリー。ミス・ダーズリー……やぁやぁ、なんて良い家だ!コンセントがある!」

8 名前: ◆GPcj7MxBSM[] 投稿日:2013/01/20(日) 14:07:36.93 ID:dLhJPr2H0

VIPでやっとった

ハニー・ポッター「私が、魔法使い?」
ハニー・ポッター「賢者の石、ですって?」
ハニー・ポッター「賢者の石は、どうなったのかしら」
ハニー・ポッター「秘密の部屋?なぁに、それ」
ハニー・ポッター「スリザリンの継承者?なんなの、それ」
ハニー・ポッター「脱獄囚の、シリウス・ブラック?」
ハニー・ポッター「『エクスペクト・パトローナム!』」
ハニー・ポッター「『守護霊よ、来たれ!』」

のつづきやで

10 名前: ◆GPcj7MxBSM[] 投稿日:2013/01/20(日) 14:14:40.69 ID:dLhJPr2H0

フレッド「父さん、とりあえずマグル宅探索は後にしようぜ。ようハニー、久しぶり。なつかしすぎて涙がでるね」

ジョージ「とりあえずハニー、情けなくて涙が出るロニー坊やに下ろした腰を上げてもらって、君の荷物を運ぼう」

ロン「そんなもん僕が運ぶよ!ハニー!僕のハニー!君のためなら僕はトロールでもなんでも耐えられるさ!」

ハニー「そうね、私の愛とか」

ロン「重すぎて涙が出るよ!ヒンヒン!」

フレッド「ぶれねぇなぁ我らが弟豚はさ」

ジョージ「豚二頭を踏んでるハニーもな」

ロン「おい!ハニー以外が僕らを豚って呼ぶなよ!なぁ同胞!」

ダドリー「ヒンヒン(怒)!」

バーノン「だ、ダドリー!そんな連中と話しちゃいかん!やめろ!」

ハニー「私の前には誰であろうと等しく豚よ」

15 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 14:23:49.98 ID:dLhJPr2H0

アーサー「いや、いや。お騒がせして申し訳ありませんな……あー、とてもいいお住まいで!」

バーノン「……あぁ、どうも」

フレッド「ホントだよな、父さん。最新マグルのクールなお家はホコリだらけでとってもステキだぜ。おったまげ」

ジョージ「まったくさ。僕らが煙突飛行でクールクル飛んできたあとぶっ壊したあのヘンテコなもんの残骸とかな」

ペチュニア「あ、あぁ、去年買った、最新式の電気ストーブが……」

アーサー「あー、これは失敬。なに、子供達を送った後すぐに直しますよ!あぁ、私のことはご心配なく!『姿くらまし』を使えば暖炉の火がなくとも移動は可能ですのでね」

バーノン「なんだ、貴様、貴様らは暖炉に……道でもある、その」

ハニー「あのおじがしどろもどろだわ」

フレッド「オーケー、パパ。とりあえずその杖はしまったほうがいいんじゃないかな」

ジョージ「僕達だって包丁片手にママが怒鳴ってたらびくついちまうぜ、ほんとにさ」

18 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 14:29:32.44 ID:dLhJPr2H0

アーサー「ハニーをこの夏預からせてもらうことをお許しいただいて大変ありがたい。あー、うちの家族はハニーが好きでしてね」

ハニー「そうね、誰もが愛してやまない存在だもの」

ロン「あぁ、だってそれって僕らが生まれた瞬間に感じる当たり前のものだもんな。トランク持ってきたよ、ハニー!ヒンヒン!」

バーノン「ふんっ、ワシらも厄介払いできて精精しておるんだ。その、なんだかわからんスポーツ観戦だのなんだの勝手にしろ」

フレッド「おいおい、このマグルクィディッチを知らないときたぜ」

ジョージ「こりゃ驚いた。でかい図体には脂肪以外つまってないと」

アーサー「こら二人とも、失礼なことを言うな。あれは魔法使いのスポーツだろう。いいかい、マグルじゃロボコンという素晴らしいスポーツがだね……」

バーノン「……それも物凄く一部の人間しかやっとらんが」

アーサー「!?!?そんな!マグルの家には一家に一大家庭用ロボットがいるんじゃ!?」

ハニー「私にはあらゆるところに手足たる豚がいるけれどね」

ロン「手足?何言ってんのさハニー。僕らの全てがハニーの虜だよ!ヒンヒン!」

19 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 14:38:24.51 ID:dLhJPr2H0

アーサー「このプラグやコンセントの数は絶対充電のためだと思ったのに……なんのための気電なんだ……」

バーノン「生活のためにきまっとろうが!」

ハニー「あと電気だわ、お父様」

アーサー「おっと、そうだったね。さて、ハニーの荷物も持ってきたことだし、そろそろお暇しようか」

フレッド「見ろよ、ハニーに『お父様』って呼ばれたパパの顔。デッレデレだぜ」

ジョージ「ママが見たら怒るのかはたまた光栄だと思うのかどうなのか、後者か」

ロン「あぁ、ハニーって人が喜ぶことを呼吸をするレベルでいえる素晴らしい存在だよな」

ハニー「知ってるわ。それじゃ、おじさんおばさん、さよなら」

バーノン「……ふんっ」

ペチュニア「……」

アーサー「……? ハニーがさようならと言っていますが、聞こえなかったんですか?」

ハニー「いいのよ、この人たちはこういう豚以下だから」

バーノン「さっきも言ったはずだ。わしらわそいつがいなくなって精精するんだ、とな」

アーサー「この夏、もう姪ごさんい会えないんですよ?それに、ワシら、って」


アーサー「息子さんは、ハニーの荷物に自分を括りつけるくらい別れを惜しんでいるようですが……?」

ダドリー「ヒンヒーン!ヒーン!」

バーノン「何をやっとるんだダドリーーーーーーーー!?!?」

フレッド「みろよジョージ、ボンレスハムだ」

ジョージ「もらってもだーれも嬉しかないな」

ロン「あぁ、道理で重かったわけだ!マーリンの髭!」

21 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 14:48:49.50 ID:dLhJPr2H0

『隠れ穴』

グルグルグルグル ストンッ

ハニー「っ、っと……今度は、成功したわね。それはそうよ、私だもの」

フレッド「あぁ、かつて大失敗してロニーのお手手がサヨナラしたことなんて僕らは覚えてないさ」

ジョージ「煙突より一名様ごあんなーい。ようこそハニー、我らウィーズリーのお家へウエルカム」

???「うん?フレッド、ジョージ。帰ったのかい?おや、そっちにいるのは……」

ハニー「? あぁ、ひょっとして」

チャーリー「やぁ、ハニー。調子はどうだい?僕はチャーリー。二番目の兄貴だよ」

フレッド「ほら、グリフィンドールの伝説のシーカーって噂のね。今じゃドラゴンの研究でチャイニーズ・ファイヤーボール種とかを追いかけてるけどさ」

ジョージ「かつてはチャーリー・イズ・ファイヤーボールって言われるくらいの凄腕な選手だったんだらしいぜ?今じゃ火の玉どころか肉ダルマだけどね」

チャーリー「上手くないぞ。ハニー、君もかなりの名手だって聞いてる。あとで飛ぼうじゃないか」

ハニー「えぇ、伝説を越える存在なんて呼ばれなれているけれど、いい機会だわ」

クルクル、ストンッ

ロン「同胞ったらむせび泣いてぜ……あぁ、やっぱりチャーリーとは意気投合してる。飛行バカだもんなぁ、どっちも」

ハニー「ロン?」

ロン「ヒンヒン!なんだいハニー!」

ハニー「煙突飛行粉の入っていない暖炉に突っ込むと、どうなるのかしら」

22 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 15:03:19.83 ID:dLhJPr2H0

ロン「ペッペ、ペッ!マーリンの髭!結論は灰でむせる、だねハニー!」

フレッド「普通はその前に焼けどだのなんだのしそうなもんどな」

ジョージ「豚になってからすっかりたくましくなったなぁロニー」

チャーリー「食いっぱぐれたらドラゴンの餌係として雇ってやろう」

ハニー「お生憎ね、私の豚として永久就職内定済みよ」

ロン「ヒンヒン!」

???「おっと、いつからうちには妹が一人増えたのかな」

ハニー「あら……あなたは」

ビル「なんてね。やぁ、ハニー。会えて光栄だよ。ビル、ここの長男だ」

ハニー「へぇ……ハァイ、ビル。こちらこそ。えーっと、首席で監督生だった、って聞いていた印象とは、大分違うようなのだけれど」

フレッド「おっと、君の心中を当ててやろう、ハニー」

ジョージ「てっきりパース路線かと思ってた、だろ?」

ハニー「えぇ、まぁ。なんと言うか……垢抜けてる?髪は赤いけど」

ビル「っはは。ありがとう」

チャーリー「髪伸ばしてピアスなんかつけて、ビル兄ぃはイケイケの銀行員ってわけさ」

ビル「筋骨隆々でやけどだらけよりはまぁ、女の子のウケはいいかもなぁ」

チャーリー「なんだ?」

ビル「やるか?」

フレッド「チャー兄ぃに1クヌート、毎日ドラゴン相手にしてるんだから」

ジョージ「いいや、ビルだな。あのブーツみろよ、ひゅーっ、カックィー」

ハニー「……仲が悪いのかしら?」

ロン「挨拶みたいなもんさ。君が豚を踏んづけるのと同じだよ」

ハニー「なるほどね」

26 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 15:20:22.73 ID:dLhJPr2H0

ポンッ

アーサー「いやはやあの縄をとくのには苦労した……フレッド!ジョージ!」

フレッド「え?父さん、いきなり誰だいそれ?」

ジョージ「僕らの名前はグレッドとフォージさ」

アーサー「どっちでもいい!あの難解な結び目を作る縄!お前達があの子に渡したそうじゃぁないか!ハニーのおじさんとおばさんはおかんむりだったんだぞ!」

フレッド「やだなぁ、僕らは彼を手伝っただけだぜ?何で怒るのさ」

ジョージ「奴さん、ほんとについていきたいみたいだったからさぁ」

ロン「同胞の奴、見上げた根性だよな」

ハニー「私の豚だもの、えぇ」

ロン「あぁ、君の下にいれば百人力だよね。文字通り君の下にいる僕なんて百どころかマーリンの髭力さ」

アーサー「そうやって魔法の品を不用意にマグルに渡すから、父さんの仕事がやりにくくなるんだ!まったく、こんなことを母さんに聞かれたら……」

モリー「私に何をおっしゃりたいの?」

アーサー「あっ」

フレッド「あっちゃーー」

ジョージ「こりゃダメだ」

モリー「あらハニー、いらっしゃい。相変わらずリリーそっくりね。ロンとの仲も変わらないみたいで嬉しいわ」

ハニー「ハァイ、お母様。そうね、悠久に続く美しさだもの」

ロン「違いないねハニー!」

モリー「えぇ、それで。アーサー?そこの双子が、何を、あなたの監視下で、やらかしたのかしら?」

アーサー「あー、その、大したことじゃ、だね……」

ビル「ロン、ハニーの荷物を部屋にあげておけよ。話が長くなりそうだから」

ロン「もちの僕さ。さぁハニー!僕の背中に!」

チャーリー「……随分たくましくなったなぁ、ロンのやつ」

ハニー「私の豚だもの、当然よね」

27 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 15:28:20.50 ID:dLhJPr2H0

ハニー「あの二人は、相変わらずね」

ロン「あぁ、君の高貴で可憐さと同じくらいね。それに、今年はただの悪戯三昧どころじゃなかったんだ」

ハニー「回りくどいのは嫌いよ」

ロン「ごめんよヒンヒン!連中、オリジナルの悪戯グッズを作って売り出そうとしてたんだよ。『WWW(ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ)』って名前でね」

ハニー「へぇ……すごいじゃない、発明するなんて」

ロン「あぁ。昔っから部屋で変な爆発音がするとは思ってたけどさ。まさかそんな才能があったなんて知らなかったよ」

ハニー「将来はそういう仕事をするのかしら」

ロン「どうだかね。ママに猛反対されたし、試験の結果も良くなくて怒られてたから……仕事と言えばねハニー、パース……わっ!?」

ハニー「将来、ねぇ。私はきっと……あら。ハァイ、パーシー」

ロン「いきなり扉を開けるなよ!マーリンの髭!」

パーシー「あぁ、やぁハニー。君か。ロン、悪かったから騒がないでくれないか。僕は今報告書をしあげなくちゃいけないんだ。階段でドスンドスンするのもやめ……ロン、君ね、人を抱えながらトランクをもつのはいくらなんでも無茶というものだ」

ロン「無茶だって!?そんなもんハニーの前には霞んじまうよ!ヒンヒン!」

28 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 15:38:44.89 ID:dLhJPr2H0

ハニー「報告書、っていうのは?」

パーシー「あぁ、僕は今年から。魔法省!の、『国際魔法協力部』!にいてね。そこで、大鍋の厚さを標準化するための報告書なんだ」

ハニー「……大鍋の、厚さ……?」

パーシー「信じられるかいハニー、僕らが魔法薬や料理はたまた護身用に用いたり―アーこれは主に父さんが母さんの呪いからだけど―する生活に欠かせない大鍋が!各国や地域の輸入品によって厚さがバラバラという現状が長年放置されている現状にあるんだ!」

ハニー「……えぇ、っと。由々しき自体ね?」

パーシー「だろう!?考えてもみたまえローブの丈が膝までしかなかったらどうしますか三角帽子が四角だったらどうしますか大鍋っていう生活に密着した物品に関してこれまで魔法省が全く手をつけていなかったのは正直職務怠慢で許されるべきではないと僕は思いますね!」

ハニー「あー」

パーシー「現に昨今の輸入物の大鍋は漏れ率がなんと3パーセント!3パーセントも増加しているんだなんてことだこのままじゃ魔法界は今に大混乱に陥ってしまうよ!!!」

ハニー「そうね、えぇ。お料理の途中に漏れてしまったりしたら、うん」

ロン「ハニーの料理なんて僕の全財産をかけてもいいや。行こう、ハニー。こうなったパーシーは止められないし、誰もいなくっても話続けるよ」

ハニー「仕事が大好きなのね、パーシーって」

ロン「あと上司のクラウチがね。あの熱のいれようは、いつか婚約発表してもおかしくないと思うね、僕ぁ」

パーシー「それにクラウチさんいよるとだねハニー!クラウチさんは!クラウチさん!あぁクラウチさんクラウチさん!!!」

ハニー「……誰だか知らない人の豚になってしまったのね」

ロン「君の豚になってたほうが幸せだったろうになぁ」

29 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 15:52:20.41 ID:dLhJPr2H0

ハニー「そういえば、ハーマイオニーはもう来ている、って手紙で書いていたわね?」

ロン「あぁ、ごめんよハニー。パパがどうしてもパパの休みの日じゃないとダメだっていうからこんなに遅くなっちまって!」

ハニー「いいのよ、上出来な迎え方だったわ。そうね、出来る豚にご褒美を忘れてたわ」フーッ

ロン「うひゃぁヒンヒン!耳に息なんて光栄ですヒンヒン!ヒン!」

ハニー「それで、ハーマイオニーはどこにいるのかしら?一階には見当たらなかったけれど」

ロン「あぁ、例によって君は、あー、嫌じゃなきゃ僕の部屋に泊まることになっているんだけどさ」

ハニー「嫌なわけないじゃない。当たり前のことを聞かないの」

ロン「僕もう泣けてくるよハニー、ヒンヒン!君の美しさとかでね!それで、ハーマイオニーももちろんそうするんだ」

ハニー「私の枕があなたで、ハーマイオニーは掛け布団だものね」

ロン「僕寝れるのかな今年。それで、僕の部屋をジニーと一緒に掃除する、って聞かなくってさぁ。キャノンズのポスターを剥がしてたら追い出してやる……っと、着いたよハニー!」

ガチャッ



ジニー「おねぇさまのいいところ!笑顔がステキ!!」

ハーマイオニー「っ、中々良い線をつくじゃない、ジニー!それじゃ……ハニーのいいところ!い、意外に繊細!!」

ロン「……」

ハニー「……」

ジニー「な、なにそれ!おねぇさまはいつでも高貴で可憐で自信満々の素晴らしい人だわ!アウトよ!『おねぇさまの良い所をあげていく勝負』なのに!」

ハーマイオニー「残念だったわね!これは切り札だけど、私とロンにしか見せてない確かなハニーの……あっ、ふ、ふたりとも、いつかrきゃぁ!?」

ハニー「ハァイ、ハーマイオニー。そうね。私のいい所。あげれば星の数できりがないでしょうけれど……私にしか見せないあなたの姿も、とってもとってもステキだと思うわ……?」

ハーマイオニー「あっ、あぁ、また、そうやって出会い頭に押し倒して、あなた、ここロンのベッド、ダメ、そんな、あぁ、私の秘密なんて、あなたにはとっくにアパレシウムされてるじゃない……」

ジニー「つづけて」

ロン「どうぞ」

33 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 16:01:10.77 ID:dLhJPr2H0

ハーマイオニー「ふーっ、ふーっ、な、なにが秘密よ!またあなたはそうやって!そうやって!!」

ハニー「挨拶よ、挨拶。いいじゃない」

ロン「うんうん、眼福だよね」

ジニー「えぇ。だからつづけて」

ハニーの豚「ピーッピピーッ」

ハーマイオニー「ロンの飼い始めた豆フクロウも感化されないの!」

ジニー「あっ、ピッグウィジョン略しておねぇさまの豚ね。ひょっとして、おなかが空いてるのかしら。おいで、ヒンヒン」

ハニーの豚「ピピーィッ」

バタンッ

ハーマイオニー「……今、あの言語で異種間の交流がなされたように見えたのだけど」

ロン「ハニーの前では等しく豚だよ、当たり前だろ。ヒンヒンは世界を繋ぐのさ」

ハニー「ワールドワイドな私の魅力そのものね」

ハーマイオニー「頼むから限界というものを知って」

36 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 16:11:05.23 ID:dLhJPr2H0

ハーマイオニー「と、とにかくもう!あぁいうのは禁止よ!」

ハニー「?どういうののことかしら、教えてくれる?ハーマイオニー……?」フーッ

ハーマイオニー「あっ、そんな、ダ……ダメって言ってるでしょう!もう!!」

ハニー「……せっかく会えたのに」

ハーマイオニー「……え?」

ハニー「せっかく、やっと会えたから!わたし、とっても嬉しかったのに!寂しかったから少し、ってなんでダメなの!!!!なん……」

ハーマイオニー「……」

ロン「……」

ハニー「……ニヤニヤしない!!!」

ハーマイオニー「ロン、私、まだまだ修行が足りないみたいだわ」

ロン「まったくだねハーマイオニー。僕は出会い頭に頭を踏んできたハニーのかかとから『会えてとってもとっても嬉しいわ!ロン!わたしの大事なロン!』までばっちり聞こえたよ」

39 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 16:21:38.10 ID:dLhJPr2H0

ハーマイオニー「夏休みはどうだったの、ハニー?」

ハニー「えぇ、あっちの豚といつもの通り過ごしたわ」

ロン「高貴で可憐な休日ってわけだねハニー。あっ、トランク開けるかい?手伝うよ」

ハニー「ええ、儚げなね。シリウスが私の後見人だ、って言ったらあのおじとおばも真っ青になって、いつもより快適だったわ」

ハーマイオニー「マグルの世界でもまだ殺人犯だと疑われたままだものね……それで、お便りは届いたの?」

ハニー「えぇ、何度か。少しだけ、ね。そんなに特別でもないもの。まだ返事も、していないけれど……」

ロン「それで、ハニー!このトランクとは別におっきい鞄に入れられたこの羊皮紙の塊はどうしようか!ハニー!一大小説でも書いてるのかい!?」

ハニー「……」

ロン「あれっ、ちがうな。この膨大な量の文字がこめられた紙の方は、ハニーの筆跡じゃないや。僕はハニーの豚だからねよくわかる。それで、ハニーが書いたのは……何度も何度も迷ったように消されて、まだまとまってないみたいで……」

ハニー「ロン、私の豚?」

ロン「なんだいハニー!ヒンヒン!ヒン!」

ハニー「あなたはこれからヤギと呼ぶことにするわ」

43 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 16:55:32.37 ID:dLhJPr2H0

ロン「モシャモシャモシャハニーの書きかけの手紙を食べられるなんてヤギ冥利に尽きるよなモシャモシャ」

ハーマイオニー「あなたってもはや人知超えどころじゃないわね……」

ハニー「人知に収まらない私のヤギだものね」

ハーマイオニー「そういうのはいいの。ハニー、シリウスも手紙を待っていると思うわよ?」

ハニー「……家族に手紙なんて、何て書けばいいのか分からないの」

ハーマイオニー「ふふっ。私に送るのと同じようなものでいいのに」

ロン「あぁ、そういや君も大事そうに羊皮紙の束を抱えてたっけね。僕に食べさせてくれないかい?ハニー印ならご馳走中のご馳走さモシャモシャ」

ハニー「あなたに送るような、って、そんなのをシリウスに……冗談じゃないわ!あの、シリウスにはそんな、あー、親しみ、なんて」

ハーマイオニー「……ロン、どうしましょう。私の方からああいう、みだらな真似するのはダメよね」

ハニー「!?」

ロン「いやいや、遠慮なさらず。モシャモシャ。ハニーが底抜けに可愛いのが悪いよ」

ハーマイオニー「そうよね」

ハニー「何の話しをしているの! ヤギ、ちょっと、シリウスの手紙まで食べないの!ちょっと!」

44 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 17:02:34.89 ID:dLhJPr2H0

ロン「下の怒鳴り声が収まったね。ママも落ち着いたかな、それともハニーの美しさに世界が固まったのかな」

ハニー「鳥さえさえずりを止めるほどだものね」

ハーマイオニー「あなた何の魔法生物なのよ。またあの双子が何かしたの?」

ロン「ご名答さ。さっ、下に降りようか」

ハニー「そうね。ハーマイオニーは堪能できたし」

ハーマイオニー「こちらこそ」

ロン「まったくだよ」

ハニー「うるさいわ。お母様がお料理するのを手伝いましょう」

ロン「……つまり、ハニーの手料理が食べられるなんて!ああ!僕はなんて幸せ豚なんだ!」

ハーマイオニー「おめでたすぎて羽でも生えそうね、まったくもう」

ロン「そんなもん、ようやくハニーの飛行手段になれて万々歳だよ。さぁハニー!僕の背中に!こんな急勾配でマーリンの髭な階段で君の脚をわずらわせたりしないよ!」

ハニー「出来る豚ね、ロン」

ハーマイオニー「みてなさい、いつか全部の階段が自動で動く魔法を作ってみせるんだから。そうなったらあなたは用済みよ!」

ロン「そうなったら僕はハニーの足拭きマットになるだけじゃないか。もちのロンでね」

46 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 17:12:26.54 ID:dLhJPr2H0

モリー「庭で食べることにしましたよ。キッチンにこの人数は入りきらないもの。ハニー、ハーマイオニー。お皿を運んでくれるかしら?ビルとチャーリーが机を外に出してくれたから」

ロン「はいハニー、皿。さぁハニー!その皿を運ぶのは僕に任せてよ!君の一番の豚の僕にね!」

ハニー「えぇ、そうさせてあげるわ。お利口な豚ね」

ロン「ヒンヒン!」

ハーマイオニー「何をマッチポンプしているの……あっ、それ、私の分の皿だわ」

ロン「? 何言ってんのさ、君のも運ぶに決まってんだろ」

ハーマイオニー「あっ、そう……ありがとう」

モリー「はいはい、気遣いできる子になって偉いわロニー。でもね、あなたにはこの大鍋を運ぶ仕事があるの」

ロン「うげっ、そんなのあの大鍋にぞっこんなパーシーにやらせてよ、ママ」

モリー「パーシーを見習いなさい、間違ってもあの二人みたいになってはダメよ?いいわね?まったく、あの双子ときたら……」

ロン「……まずい、二人とも。早く離れよう」

モリー「脳がないってわけじゃないのに、どうしてああいう使い方しか……他の子全部合わせてもあの子たちの起こした厄介ごとの数には到底……まったく!!まったく!!アーサー!あなたが甘やかすから!まったく!!」

ロン「……あー、ママ?その肉、なんの肉なのかな。ねぇ、ママ?ぱ、パパはどこに……マm、うん、ごめんなさい。何も聞かないよ」

47 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 17:21:12.44 ID:dLhJPr2H0



バキッ!!! ブンッ!! バキャッ!!

ハニー「何の騒ぎ……きゃっ!?」

ハーマイオニー「!? テーブルが二つ、空中でぶつかって……!?」

ロン「ハニー危ない!!……って、なんだよ!何やってんのさ、ビル!チャーリー!」

ビル「いやぁ、さっきこの生意気な弟に喧嘩を売られたからね。ここで決着、ってわけ、さっ!」

フレッド「いやー、僕らが毎日使ってるテーブルが、ご立派な魔法使い二人にかかれば戦闘人形にはや変わりさ」

ジョージ「いいよなぁ、学校の規則で夏休みに魔法が使えないなんてバカげてる。早く17歳になりたいもんだ」

チャーリー「余所見してていいのかな、っと!」

ジニー「あっ、ビルのテーブルの脚が!あぁ、おうちにぶつかりそう!あぁ、面白いけど、ハラハラして、ダメだわ!」

アーサー「あぁ、まるでロボコンのようで面白いが……ハラハラと言えば、さっき誰か悲鳴をあげたかい?うん?」

ハニー「……クルックシャンクスじゃないかしら」

ハーマイオニー「そうね、ハニ、おほん。庭小人を追いかけてたクルックシャンクスが驚いた声だわ、ええ」

ロン「名前も丁度いいしね、あぁ。パパ、生きてたんだ。良かった」

アーサー「さすがの母さんも父さんを本気で呪い殺したりはしないよ」

フレッジョ「「本気ではね」」

アーサー「やめなさい」

48 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 17:35:02.36 ID:dLhJPr2H0

ガタガタッ

パーシー「静かにしてくれないか、兄さんたち!さっきから……うわっ!?」

フレッド「っひゅー!さすが完璧・パーフェクト・パーシー!もってるね君は!」

ジョージ「完璧なタイミングでもげたテーブルの足が顔面にクリーンヒットだ!」

ビル「ごめんよパース。それで、鍋底はどうなったい?」

パーシー「最悪だよ」

ビル「手伝うか?」

パーシー「そんなチャラチャラした人は僕の知ってる頼りになるビル兄さんじゃないから結構です」

ピシャッ!!

ビル「……」

チャーリー「……元気出せよビル兄ぃ、決まってるぜ」

フレッド「あぁ、チャー兄ぃがあげたドラゴン皮のブーツなんて最高さ、大丈夫だよ」

ジョージ「パースは悔しいんだよきっと。ビル兄ぃが大人になってイメチェンしてさ」

ジニー「ビル、ビルはとってもクールだわ。パーシーのいう事なんて気にしないで」

ビル「ありがとうお前達、グスッ、兄ちゃん泣けてきた」

ロン「あんなナリしてるけど、『呪い破り』って仕事は結構破天荒な人が多いから合わせてるだけなんだよ」

ハニー「苦労してるのね」

ハーマイオニー「首席然としてるのはパーシーだけど、どっちがいいのかしら」

ロン「そりゃ、大鍋より女の子にモテるビルが正義に決まってるよ。僕はハニーがいればそれいいけど、もちの僕で」

49 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 17:47:13.45 ID:dLhJPr2H0

夕方

アーサー「えー、それじゃあ我が家の最高のお客様二人に!乾杯!」

ロン「ハニー!僕らのハニー!ヒンヒン!」

ジニー「ヒンヒン!」

ハニー「凄いご馳走。ふふっ、可愛い豚さんたち?グラスなんて掲げて、私にぶっかけられたいの?」

ロン「もちの!」

ジニー「末兄だわ!」

ハーマイオニー「はいはい豚兄妹同士いい連携ですこと」

ロン「ハニー以外が僕らを豚って呼ぶのはやめろよ!」

パーシー「ハニー、ハーマイオニー、残りの夏休みゆっくり過ごしてくれたまえ。なるべく静かにね」

ハニー「えぇ、でもちょっと夜には約束しかねるわ。私がじゃなくって、ハーマイオニーの声が、だけれど」

ハーマイオニー「な、ナニそれどういう意味よハニー!?あ、いや、嫌ってわけじゃ、あの」

ロン「やっぱ僕寝れないよねこれ」

50 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 17:55:09.55 ID:dLhJPr2H0

パーシー「さぁ、それじゃ僕は報告書に戻らないと……」

フレッド「パース、パース。そりゃないぜパーシー」

ジョージ「折角の家族団欒豚狂乱だぜ?一緒しろよ」

パーシー「明日からワールドカップじゃないか!僕は月曜までには報告書をお出しします、ってクラウチさんに言ったんだ!まぁ、それでもクラウチさんの思っていたより随分早いみたいだけどね。何せ僕はクラウチさんの右腕としてクラウチさんのためにクラウチさん!」

ロン「パーシー、完璧な基準の底をもった大鍋かクラウチ、どっちかしか崖から助けられないとしたらどうする?」

パーシー「クラウチさんを助けた後に大鍋の下に飛び降りてせめて形を損なわないようにする」

ハーマイオニー「ロンと同じ何かを感じるわ」

ハニー「性根にあるみたいね、豚精神が」

パーシー「ともかくクラウチさんは大変なんだ。それもこれも『魔法ゲーム・スポーツ部』のルード・バグマンが……」

アーサー「こらこら、ルードのことをあまり悪く言ってはいけないよ。私達がこれだけの人数のチケットを手に入れられたのも、ルードのおかげなんだ」

パーシー「まぁ、そのくらいの能ですよバグマンなんて。なんで部長にまでなれたのか!どうせ元有名選手だからとかなんとかなんでしょう、全くクラウチさんのようなたたき上げのベテランとは格が違うのにクラウチさんああクラウチさんクラウチさん!」

ハニー「有名選手?」

ロン「ワイムボーン・ワスプスでプレイしてた名ビーターなんだ。イングランド代表にも選ばれたことがあるよ。あぁ、君にはとってもかなわないけどね!ヒンヒン!」



51 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 18:02:18.29 ID:dLhJPr2H0

チャーリー「あぁ、奴さんがいた時代は凄かった。まったくイングランドの今年の惨状ときたら」

ハニー「そういえば、明日観るのはワールドカップの決勝なのよね?イングランド、はどうなったの?」

チャーリー「酷いもんだ。トランシルバニアに三九〇対一〇で負けたよ。あぁ、やっぱりクィディッチ選手になるべきだったかな」

フレッド「おやおや、プロの誘いを全部蹴ってスニッチじゃなくドラゴンの尻尾を追いかけたのは誰だっけ」

ジョージ「贅沢な話だよな、チャーリー。今じゃ贅肉がつきすぎてスニッチ一つつかめないだろうけどさぁ」

チャーリー「言っておくけどこれは筋肉だからな、鼻をそれぞれ左右にへし折って見分けやすくしてもいいんだぞ?」

フレッド「怖い怖い。明日のカードはアイルランド対ブルガリアだよ、ハニー」

ジョージ「僕らの目立てじゃブルガリアが絶対勝つんだけど、一口どうだい?」

モリー「ジョージ!賭けなんて許しませんよ!!」

ジョージ「冗談さ、ママ! 冗談は置いとくとして、きっとブルガリアが勝つ、ってのは大マジだよ」

フレッド「なんてったって、ブルガリアにはクラムがいるしな。知ってるかい?ビクトール・クラム」

52 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 18:08:07.42 ID:dLhJPr2H0

ハニー「雑誌で、何度か。名シーカーなんですってね。私には敵わないでしょうけれど」

ロン「そりゃそうさハニー!でもきっと奴さん、君の次くらいにすっごいシーカーだぜハニー!ヒンヒン!」

チャーリー「次の次だろうな、僕もいるから。あぁ、確かにクラムは凄いがな、アイルランドにはそれが七人だ」

ロン「だからなんだよチャーリー!クラムは勝つぞ!絶対だ!」

ジニー「ロンったら、おねぇさまの次に彼にお熱なのよ。豚失格よね」

ハニー「全くね。ロン?私の豚?私の豚は私だけを見つめていればいいと思うのだけれど?」

ロン「もちのロンだよハニー!なんだこの雑誌の切り抜き!別名ハニーのヤギたる僕だって食べたくないね!」

ハーマイオニー「肌身離さずだったのね……これが、へぇ。あー、そんなに……熱よあげるような顔には、見えないわ。無骨で、寡黙で、育ちすぎた猛禽類みたい」

ロン「何を!君にクラムの良さは分からないさ!一年かけたってね!!!!!!」

54 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 18:19:47.19 ID:dLhJPr2H0

パーシー「――だから、あんまり時間がないんですよ。報告書もそうだけど、ほら。父さんも知っているでしょう?僕らの部署が計画してることを」

アーサー「あぁ、だがねパーシー。何もそんなに急がなくても」

ビル「パース、ほら。やっぱり手伝う……」

パーシー「チャラ男は黙ってください」

ビル「……」

モリー「ほら、パーシーもあぁ言ってるわ。ビル?ウィリアム?ママに髪を切らせて頂戴な」

ビル「母さん、気持ちはありがたいけどやめてください」

モリー「だってあなた、こんな、耳に大きなピアスもつけて。もう、銀行じゃなんと言われてるのやら」

ビル「他の連中もこんなもんだよ。それに小鬼の奴らも、僕らがちゃんとお宝を持ち込めば誰も僕らの服装なんて気にしやしないよ」

パーシー「とにかくですね。ワールドカップの後の。あの。僕らが計画してる、あの極秘の!プロジェクトのことが……」

ハニー「……なんだか、私達の方をチラチラ見ているわ」

ロン「パーシーの奴、夏中あんな風に何のことなのか聞いて欲しそうなのさ」

ハーマイオニー「そのくせ聞いても『僕とクラウチさんの極秘のことだからね!僕とクラウチさんのあぁクラウチさんクラウチさん!』ですものね」

フレッド「大方二人の挙式のことだろうさ」

ジョージ「ご祝儀はドラゴンの鼻くそだな」

チャーリー「任せろ」

55 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 18:32:23.32 ID:dLhJPr2H0



ハニー「ふぅ……お母様、ご馳走様。とっても美味しかった。こんなにたくさん食べたのはとっても久しぶりだったわ」

モリー「あら、ありがとうハニー……あちらではそんなに……?」

ハニー「いとこのダイエット計画に巻き込まれて。この私が退屈と体重計に抗うのはいつものことだけれど」

ハーマイオニー「ハニーの恐れる唯一のものだものね」

ロン「一応ね、そういうことになってるよな」

ハニー「ロン?」

ロン「なんだいハニー!」

ハニー「庭小人を追いかけてるクルックシャンクス、一人じゃ可哀想だわ」

ロン「慈悲深いねハニー!ヒンヒン!庭小人どもこの野郎ハニーの名にかけて駆逐してやるヒンヒーーーン!」

モリー「まぁ、率先してお手伝いなんて偉いわね、ロン。さぁ、みんな。今日は早く休みましょう。明日は早いわ」

アーサー「そうだね、未成年の子たちは明け方前には家を出るよ。みんな寝坊しないように」

フレッド「ちぇっ、大人たちは『姿くらまし』で一瞬です、ってやつか」

ジョージ「まったく、僕らも来年には使えるのにさ。フェアじゃないぜ」

ビル「チャーリー、お前も未成年組に入ったほうがいいんじゃないのかい?」

チャーリー「苦手だったのは克服したよ、お世話様。ビルこそ長い髪がバラけちゃ散々だぜ」

アーサー「髪の話はやめよう。それじゃ、みんなおやすみ」

ハニー「えぇ。さて、ハーマイオニー。ロンはどうやら遅くなりそうだから……二人、っきりね?」

ハーマイオニー「えっ、そ、そうなるわね。あっ、なんでそんな強く手引いて、まっ、あぁ、ハニー、そんな、明日早いから我慢しようっていう私の決意を簡単に、レダクト、しないで……」

ジニー「つづけて」

ロン「どうぞ ヒンヒン!」

クルックシャンクス「フシャーッ!」

57 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 18:40:08.19 ID:dLhJPr2H0

翌朝

モリー「ハニー、ハーマイオニー、ロンー?起きなさーーい?」

ハニー「スーッ、スーッ」
ハーマイオニー「スーッ……あっ、どこ、さわ、スーッ……」

ロン「うーん、むにゃむにゃ……」

モリー「……ベッドの上に乱れたシーツを被った女の子二人、下のカーペットにロン」

モリー「……」

モリー「仲が良いって、すばらしいことね」

ジニー「ホントよね、ママ」カシャカシャッ、カシャッ

モリー「そのカメラは?」

ジニー「パパにもらったわ」

モリー「そう。アーサーの趣味もたまーには役に立つようね」

60 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 18:54:03.44 ID:dLhJPr2H0

フレッド「ようハニー、麗しの君。昨日はあれからよく眠れたかい」

ジョージ「やぁハーマイオニーー、よく聞かなくとも眠れなかったようだね」

ハニー「おはよう二人とも」

ハーマイオニー「えぇ、ほんとに、もう……おはよう」

ロン「マーリンの髭……ふぁーあ。おいジニー、あとで焼き増ししろよな」

ジニー「間近で見れたくせに何言ってるの。うーん……パパ、なんでこんなに早く出ないといけないの?」

アーサー「私達の地区はここから離れた所が集合場所だからね。少々歩かなくてはいけないんだよ」

ハニー「……ここから、歩いていくの?ワールドカップの会場まで?」

アーサー「いや、いや。そういう意味じゃない。マグルの注意をひかないように大勢の魔法使いを移動させるのは大変でね……今日が非番で本当によかった」

フレッド「どうやったんだい、パパ」

ジョージ「それにこのチケットもさ」

アーサー「なに、ルードが芝刈り機のことで少しやんちゃしたときの借りをね……」

モリー「大人の悪どさを見せないでちょうだい、アーサー。そしてそこの双子!ポケットの中身を見せなさい!」

フレッド「個人情報だ!僕ら子供にだって僕らの権利がある!」

ジョージ「母といえどもやっていいことと悪いことがあるよ!」

モリー「えぇそしてこれは母としてやらなくてはならないことよ『アクシオ!出て来い!』」

フレッジョ「「あぁ!僕らの悪戯グッズが!!!」」

ハーマイオニー「あれだけ注文書を取り上げられたのに、まだ諦めてなかったのね……」

ハニー「逞しさは見習うべきよ、ロン?お母様の言う事を聞かないのはダメだけれど」

ロン「ヒンヒン!あぁ、兄貴たちは反面教師ってねハニー!君は人生の救世主だけどね!ヒンヒン!」

63 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 19:02:32.56 ID:dLhJPr2H0

フレッド「あんまりだよ!ママ!僕らその『ベロベロ飴』を作るのに六ヶ月もかかったってのに!全部捨てっちまうなんて!」

ジョージ「『ベロベロ飴!』食べた奴の舌を最大1メートルまで伸ばしっちまう悪戯グッズさお値段は要相談!だってのに!」

モリー「宣伝するんじゃありません!六ヶ月、へぇ!そう!O・W・L試験が控えた学期中に、あなたがたはこれを作るのにせいを出していた、そう言うわけ!?」

フレッド「……あぁー、えっと、言葉のあやさ、うん」

ジョージ「ろ、六日だった、かな。もちのロニーでさ」

モリー「そう!試験の点数が悪かったのも、さもありなんということね!!!!」

アーサー「あー、モリー、モリー。おちついて。ほら、そろそろ私達は行かないと……」

モリー「……そうね。みんなをよろしくお願いしますね。ビルたちはお昼にはそっちにやるわ」

モリー「ロン、ジニー、ハニー、ハーマイオニー、楽しんでらっしゃい?そこの双子!お行儀よくするのよ!」

フレッド「……合点承知だよ、母さん。へっ」

ジョージ「借りてきたふくろうみたいにねっ」

69 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 19:10:02.88 ID:dLhJPr2H0



ハーマイオニー「和やかな出立、とはいかなかったわね」

ロン「空はハニーに出会えた心みたいに晴れやかで清清しいけどね」

ハニー「曇りないわね、えぇ。二人とも、いつもの調子になりなさいよ」

フレッド「お優しいハニーはほんとお優しいねありがとさん。僕らはいつだって本調子さ」

ジョージ「あぁ、調子乗りまくりの母泣かせな双子だね全く。パパ、どこまで歩くんだい」

アーサー「ストーツヘッド・ヒルのあたりかな。そこに、このあたりの魔法使いに割り当てられた『移動キー<ポートキー>』があるんだ」

ジニー「えっ?ポッターステキ?」

ロン「すんばらしいネーミングだねパパ」

ハニー「私くらいね」

アーサー「うん、そうだね。『移動キー<ポートキー>』だ。父さんの発音の悪さで手間をかけてごめんよ」

ハーマイオニー「悪いのはこっちの子たちの耳と頭だから気にしないで、おじさん」

フレッド「おいハーマイオニー、親父の頭には触れるてやるなよな!」

ジョージ「そうだぞハーマイオニー、好きで禿げてんじゃないんだぞ」

ハーマイオニー「意気消沈した状態に戻されたくなかったら黙って。ウィーズリーおじさんは話しを続けてくださいお願いだから」

71 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 19:23:29.03 ID:dLhJPr2H0

アーサー「あー、魔法省が何度も検討を重ねたのさ。十万人っていう規模の魔法使いを収容するための、そもそも施設作りからね」

ロン「十万人かぁ。すっごいや。ハニーの全世界に散りばめられる豚同盟の規模くらいだ」

ハニー「十万?まだ足りないでしょ?」

ロン「そうだねハニー!全人類だったね!」

アーサー「もちろん魔法使いの領域だけじゃそんなものは用意できない。ダイアゴン横丁に十万人も集結したら、パンクどころじゃなくなるからね」

アーサー「仕方なく、人里から離れたマグルが使うキャンプ場に隣接した森を切り開いた。これで施設はオーケー」

アーサー「次の問題は移動手段だ。どうやったって、一度に十万人も動けば目立つに決まってる」

アーサー「そこで、チケットごとに移動日をずらしたんだ。安いチケットしか買えなかった者は席も悪いし、キャンプに二週間も前から行かなくちゃいけない」

アーサー「で、マグルの交通機関を使う殊勝な魔法使いもいるけど、みんながみんなそれを選ぶわけじゃない。絶対にそんなものに乗るか、っていうあのルシウスのような愚か者もい、おっと、話がそれた」

アーサー「『姿あらわし』で移動する者も多い。森の一部が、『姿あらわし』を許可するポイントに使われているんだよ。そこ以外は森全域に『姿あらわし禁止』の結界が張られてる。もちろんマグル避けも」

アーサー「で、マグルの機関も『姿あらわし』も使わない、使えない者は。近くの者は歩いて、遠くの者は箒で飛んで確実に。それ以外の、そして大多数は……あった、あった」

アーサー「この、魔法省が定めた『移動キー<ポートキー>』で、会場までひとっとび、というわけさ」

ハニー「……古びた、長靴……?」

72 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 19:33:39.22 ID:dLhJPr2H0

ハーマイオニー「触れていれば指定された条件である地点から別の地点へ魔法使いを移動させる、とっても高度な魔法道具!初めて観たわ!」

アーサー「解説ありがとう。是非に魔法省に来て欲しいね君は。そう、とっても高度な魔法道具だ。これを作るのはおそろしく複雑だし、それに様々な制約がある」

アーサー「一介の魔法使いには作ることさえ禁じられているほどだからね。貴重なものなんだよ。これがイギリスには二百個設置されている」

フレッド「貴重で大層すんばらしいことは分かったけど、さぁ。パパ」

ジョージ「にしてもあんまり、見てくれが伴ってないぜ。長靴ってさ」

ロン「見てくれも中身も高貴で可憐な君とは大違いだね、ハニー!」

ハニー「世の誰もが放っておかないものね、えぇ」

アーサー「そう、そこだよ。あまりに眼を引くものだと、事情を知らないマグルが持ち帰ってしまうだろう。だからわざとなんの変哲も無いものにしているのさ。魔法省も苦労しているんだよ」

フレッド「その証が、さ。我らが偉大な大黒柱のパパ」

ジョージ「朝日を照らすその額ってわけだね!パパ!」

アーサー「……うん。父さんはね、部署違うのに何故かよく他所の仕事を回されるんだ、なんてことだ、私はマグル製品さえいじられればそれでいいのに……」

ジニー「フレッド、ジョージ。ママに言いつけるわよ」

フレッジョ「「ごめんなさい」」

73 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 19:42:05.31 ID:dLhJPr2H0

アーサー「さて、時間は十分にある。みんなよく歩いたね。少し休もう」

ハニー「そうね。ロン、ご苦労様」

ロン「ヒンヒン!なんてことないよハニー!君一人なんて重さを感じるどころか僕自身みたいなもんだからね!」

ハーマイオニー「城でも階段ののぼりは大体ハニーを背中に乗せているものねあなた……男の子ってずるいわ」

ロン「ハーマイオニー、その台詞、ホグワーツ中の豚が歯軋りして悔しがるぜ」

ジニー「パパ。これを使うのは私達だけなの?」

アーサー「さぁ、どうだろうね。分かってるだろうけど、我が家の周りにも何人か魔法使いが……おや、エイモス!こっちだ!」

エイモス「アーサー!やぁやぁやぁ、子供たちも一緒か!おいセドリック、おいで!ウィーズリーのみんなだぞ」

フレッド「うげっ」

ジョージ「あいつ」

ハニー「……」

ディゴリー「あー……えぇっと、こんにちわ」

アーサー「セドリック!久しぶりだな、ハンサムになって!みんな、こっちはエイモス・ディゴリーさん。『魔法生物規制管理部』にお勤めだ。息子のセドリックは知ってるね?君たちと同じホグワーツだ」

フレッド「よーく存じてますとも、パパ」

ジョージ「悔しいくらいにね、もちろん」

74 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 19:50:21.28 ID:dLhJPr2H0

エイモス「我が家は家内が留守番すると言ってくれたからチケット二枚で済んだが……アーサー、君のとこはまた随分と苦労しただろうな」

アーサー「いやぁ、そうでもないさ」

エイモス「……どいつだ?トワイクロスか?」

アーサー「いやぁ、彼の弱みを握っておけば二番目の息子も『姿現し』試験も落ちずに済んだのn、おっと、何のことかな」

エイモス「まったくこいつめ。それで、全部君の子か?」

アーサー「まさか。赤毛の子だけ……っと、そうじゃなくとも赤毛がいたんだった。こっちの双子はフレッドとジョージ」

フレッド「ジョージです」

ジョージ「フレッドです」

アーサー「意地悪はやめなさい。こっちのノッポはロン、末の子のジニー」

ロン「ヒン」

ジニー「ヒンヒン」

エイモス「???」

アーサー「それで、この子はハーマイオニー。ロンの友達だ。こっちはハニー、やっぱりロンの友達だ」

ロン「飼い主だよ」

ハニー「いい反応ね、ロン」

エイモス「! ほぉー、ほぉーー!こりゃ、ほぉー!言われてみれば!なんとまぁ、そうか!君が!」

ハニー「……こんにちわ」

85 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 20:42:17.08 ID:dLhJPr2H0

エイモス「君のことはよーく知ってるよ!まぁ、魔法使いで知らん者の方が少ないだろうがね」

ハニー「えぇ、そうね。天下に名が轟いているもの」

ロン「あぁ、遠き者も君を身に『姿現し』するだろうさ」

エイモス「あぁ、セドがよーく話してくれたさ!君と去年対戦したことも!わたしは息子に言ってやったね、セド!お前は孫子にまで語り継がれる自慢が出来たぞ!とな!そうだとも!」

ハニー「私と出会えた奇跡に?」

ロン「生まれてよかった」

ディゴリー「父さん、その辺で、その」

エイモス「何をかしこまっとる、セド!お前はあのハニー・ポッターに勝ったんだ!そうだろう!?え!?」

ハニー「……」

フレッド「……チッッ」

ジョージ「……クソが」

ディゴリー「父さん、父さん。何度も言ったろう。彼女は、箒から落ちた。事故だったんだ。だから、あれは勝敗じゃなくて……」

エイモス「それで、お前さんは落ちなかった!そうだろうが?え?うちのセドはいつだって謙虚でな、いいところだが困ったとこでもある。胸を張らんか!いつだって最高の者が、乗り手が勝つ!そうだろう!」

ハニー「その理論で言えば、やっぱり私は乗った瞬間勝利が確定なのだけれど」

ロン「違いないねハニー!」

エイモス「ハハハッ!強がりはいい!一人は落ちて、一人は落ちなかった!どっちが天才かなんて、誰でも分かるってもんだ!なっ!セド!」

ディゴリー「だから、父さん。あの……ごめんよ」

アーサー「あー、エイモス。何でかは聞いてくれるな。夜道に気をつけてくれ」

ハーマイオニー「全くだわ」

エイモス「!?」

90 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 20:51:31.42 ID:dLhJPr2H0

アーサー「そろそろ時間だ。エイモス、他に誰が来るか、聞いてるね?」

エイモス「いいや。ラブグッド家は先週から行っているし、フォーセット家はチケットが手に入らなかったと聞いている」

ハーマイオニー「ラブグッドやフォーセット、って。あなたの家のご近所さん、ってところ?」

ロン「あぁ、近所って言っても丘一つとか二つくら離れてるけどね」

ハニー「どんな人たちなのかしら。豚にはなれそう?」

ジニー「ヒンヒン!おねぇさまの前じゃ誰だってそうだわ!えっと、ラブグッド家のところの、ルーナは知ってるわ。ちょっと変わってるけど、いい子よ」

ハニー「あぁ、そうね。少しおかしな子、そうなんでしょ?」

ハーマイオニー「……なんで知っているのかしら?」

ロン「ハーマイオニー、顔怖いよママくらい」

ハニー「だって、『忍びの地図』で学校を見るとき。そのルーナって子、いつも一人でおかしなところを歩いているんだもの」

ジニー「『忍びの』……なに?」

ロン「お忍びハにーのピース、つまりハニーの笑顔は最高だよなってことさ」

ジニー「そうね。ヒンヒン」

ロン「うん」

ハーマイオニー「頭がいたくなってきたわ」

96 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 20:57:11.03 ID:dLhJPr2H0

アーサー「さぁみんな、この長靴をもって」

フレッド「僕たちの晴れの舞台への道のりがこんなオンボロ靴とはな」

ジョージ「同じ長靴なら、ビル兄ぃのイカしたブーツの方がいいよな」

アーサー「文句を言わない、効果はなんであっても同じだ。さっ、女の子たちも」

ロン「あぁハニー、ごめんよハニー、こんな汚いものを君に触らせるなんて僕は豚失格だ、ちくしょうなんでだって僕は『移動キー』になれないだマーリンの髭!」

ハーマイオニー「一応は人間だから、よ」

ハニー「平気よ。このくらいのもの、道具なしでトイレを掃除することに比べれば……って、豚の誰かが言ってたわ」

ロン「? 同胞かな」

ハーマイオニー「あなたもトイレの水を飲んだことあったし、有り得るわね」

アーサー「時間だ……離すんじゃないよ?ごー、よん、さん、にー、いち……」

グルンッ

 グルグルグルグルグル…………

99 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 21:08:39.59 ID:dLhJPr2H0

キャンプ場近くの森

フレッジョ「「ぐぇ!いってぇ……なんだよ!まねすんな!あれ?鏡か」」

ジニー「いたた……なんだか空中をグルグル回ったと、思ったら。ここ、森?」

ハーマイオニー「うぅ、『姿あらわし』もこんな感じなのかしら。今からなんだか不安で……ハニー?平気?」

ロン「あぁ、もちのロンでハニーがどこかに倒れそうなときはそれはイコールで僕が着地マットになってるからね!マーリンの髭!」

ハニー「えぇ、ありがと。出来る豚ね、ロン」フーッ

ロン「ヒンヒン!ありがとうございます!ヒンヒン!」

エイモス「ほれみろ、セド!一流の選手はこんな時もスタッと着地するんだ、自信をもて!」

ディゴリー「だから、やめてくれ、父さん。あー、あの、大丈夫かい?」

ハーマイオニー「お世話様、助け起こすのは私がやるわ。さぁハニー、手を……きゃぁ!?なん、なんでそのままの勢いで押し倒して、お礼とかいいから、今は、今は結構、あぁ、そんな、あなたって、どうして私の心の中にそうやって簡単に『姿あらわし』を……!」

バージル「五時ななふーん、ストーツヘッド・ヒルから……つづけて」

ロン「どうぞ」

105 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 21:22:48.98 ID:dLhJPr2H0

アーサー「バージル、おはよう。あー、個性的なキルトにポンチョだな」

バージル「おはようアーサー、非番かね羨ましい。これか?マグルの洋裁店で買ったんだ、イカすだろ」

フレッド「そりゃもう、イカしすぎてイカれっちまってるのかと思うね僕ぁ。パパの同僚さんさぁ」

ジョージ「はいよ、俺らのポートキー。ヒジョウシキーな格好のアンタに預けるのは心配だけどさ」

ロン「マグルのキャンプ場だから、精一杯マグルのような服装をこころがけてんだろうな」

ハニー「?それほど、大差あるかしら」

ロン「大半の魔法使いにとっちゃ、そうなんだってさ」

ハーマイオニー「……なんだか、っ、ネグリジェのようなもので、歩いているお爺さんも、見えるんだけど」

ジニー「知らないって罪ね」

バージル「奴さんの休暇も詰みだろうさ、後で連絡しておかないと。アーサー、君のキャンプ場はここから四百メートルほどあっち、最初の門のとこだ。エイモス、君は二番目。まったく、良い休日を。良いついでに黒い森の集団をさばくのを手伝ってくれないかね」

アーサー「ありがとう、バージル。ワールドカップが終わったら何か奢るよ……さぁ、みんなついておいで。テントを建てないと!」

ハニー「……お父様、ワクワクして見えるわ」

ロン「……パパ、一応聞くけど、杖を使って建てるんだよね?」

アーサー「まさか!火も薪と棒で起こすぞぉ!マグル生活を体験するんだ!」

ハーマイオニー「誰かおじさまにチャッカマンをもってきて」

107 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 21:31:10.50 ID:dLhJPr2H0

キャンプ場

ロン「ここの管理人、ボーっとしてたねハニー」

ハニー「魔法使いを目撃しすぎて、記憶の削除を受けすぎたんでしょうね」

ハーマイオニー「お役人の人たちって仕事が粗いわね」

ロン「あぁ、その点で言えばあいつの方がキチッとしてたかもな。誰だっけ?ゴホンロックゲホンハート!おっと悪いね。喉の調子が」

ハーマイオニー「喉笛引き裂いてあげましょうか、きっとすっきりするわよ」

アーサー「さぁフレッド!そっちの綱はしっかり張ったね!よーし!さぁジョージ!しっかりその杭を抑えておくんだ!パパが、この、木槌で!!木槌でそいつをしっかり地面に打ち付けるからな!よーし!!」

ジョージ「パパ、頼む、お願いだから興奮状態から冷めて頼むパパ、木槌は舌なめずりしながら構えるもんじゃ、おいフレッド!お前、こんな時ばっかり俺に先に喋らせやがって!」

フレッド「さぁてなんのことやら……あー、でも相棒が棒どころか平面になっちゃぁマズイ。そこの女の子二人?マグル時代の知識をご教授願えるかい?そこの子供みたいな大人に」

ハニー「そうは言っても……私、キャンプなんてしたことないわ」

ハーマイオニー「私も、数える程度しか……えーっと、おじさま。とりあえず布も何も張ってないのにロープだけ打ち付けても全く意味が……」

アーサー「なんだって!?これで陣を組むとあとは寝ているだけでテントが張れる、と聞いたが!」

ハーマイオニー「どう考えても合間に魔法の工程必須だわおじさま落ち着いて、まずはジョージが顔を真っ青にしてる原因の木槌を置いて」

112 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 21:42:29.60 ID:dLhJPr2H0

アーサー「完成だ!」

フレッド「あぁ、僕らのあらん限りの悲鳴を糧にね」

ジョージ「もうパパとキャンプなんかこりごりだね」

ジニー「おねぇさまのおかげだわ!あとハーマイオニー!」

ロン「流石だよハニー!あとハーマイオニー!」

ハーマイオニー「ほとんど私が組み立て方解明したのにこの扱い、分かっていたけど」

ハニー「私が見守ることで何事も上手くいく、そういうことよね」

ハーマイオニー「そうでしょうとも」

アーサー「さぁ、とりあえず中に入って荷物を下ろそうか。火をつけるのはそのあとだ!フレッド、ジョージ、お前たちの力に期待してるぞ!」

フレッド「誰だろうね、それ。相棒、検討がつくかい?」

ジョージ「あぁ、俺たちゃグレッドとフォージなのにな」

ジニー「あっ、待って!一番いいベッドは、おねぇさまのものよ!」

ハニー「……四人が、入ったけれど。この大きさのテントじゃ、これで一杯なんじゃ……ベッド?……えっ!?」

ロン「? どうしたのさ、ハニー。さっ、おいでよ!足を拭くのは僕の背中でいいというかウエルカムさ!」

ハーマイオニー「なぁに、ハニー? あぁ、分かっていたけどやっぱりすごいわね、『空間拡張の魔法』って。テントの中がどこかのアパートの一室みたい」

ハニー「……魔法って、すっごい!」

ロン「何言ってんのさ、君の美しさのが驚天動地だよハニー、ヒンヒン!」

114 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 21:50:16.54 ID:dLhJPr2H0

キャンプ場

ロン「僕らは水汲み、残りは火おこしか。こっちの方がまだマシかな」

ハーマイオニー「そうね、あれって実際火は起きるまでとっても時間がかかるもの……というか、おじさまは律儀にマグルの安全対策を守っていたけど……」

ガヤガヤワイワイ、ガヤガヤギャーギャー!
 パンパンッ!ピーーーーピピーーーー!
ヒューーーッ!ヒューヒューヒューーーッ!ピーチチチチチチチフォイチチチチチッ!

ハニー「……この喧騒の中で守る意味はあるのかしら。どう見ても、何人か魔法火を起こしているように見えるのだけれど」

ロン「パパも正直分かってるだろうさ。火起こししたいだけだろうしね。役人が走り回ってるはずだよな……将来魔法省勤めだけはしたくないね!マーリンの髭!」

ハーマイオニー「立派なお仕事なのよ、もう。あ、ああいう、人を、相手にするのは、大変でしょうけど……っ」


アーチー「わしゃそんなもん着んぞ!これはマグルの店で買ったんじゃ!マグルが着るもんじゃろうが!!」

役人「あぁ、けどなアーチー。そいつはマグルの女性の下着なんだ、頼むからせめてこいつを履いてくれ。頼むって」

アーチー「いやじゃ!わしゃ大事なとこに爽やかな風が通るのがいいんじゃ!ほっとけ!!!」


ロン「……やっぱり絶対、役人なんかにならないぞ!」

117 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 21:56:49.07 ID:dLhJPr2H0

ロン「あそこにいるの、僕らと同じくらいの歳の子たちかな」

 ベラベラベラ、ペチャクチャペチャクチャ
  マクシーム、ベラベラベラベラ

ハニー「あら。隣に私がいるのに、あんな女の子達に目を向けるなんて。偉くなったわね、ロン?私の豚」

ハーマイオニー「全くだわ」

ロン「ヒンヒン!ち、ちがうよハニー!ただ、あの子たちはどこの学校の子なんだろう、っていうのをね!制服だけど、ホグワーツとは全然違うよなぁ」

ハーマイオニー「フランス語、を喋っているように聞こえるわ。あっちの圏の学校でしょうね。学校が見学を主催してるのかしら」

ハニー「ホグワーツ以外の、学校、ね。興味はあるけれど、私がいないのならきっとどこもパッとしないのでしょうね」

ロン「あぁ!君がいるだけでそりゃもうホグワーツはあのトライウィザなんとかトーナメントで優勝もんだろうさ!!!」

役人「!? き、君!?今なんと言った!?なんで知っている!?!?」

ロン「?誰だいあんた。なんのことさ」

役人「あ、あぁ。分からないなら、いいんだ。すまなかったね」

ハーマイオニー「? なんだったのかしら」

ハニー「さぁ……なんだかマグルの銀行員の頭取みたいな、とってもピシっとした格好だったわね」

118 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 22:02:24.17 ID:dLhJPr2H0

フレッド「やぁ、遅かったな。こっちは上々だぜ、煙を起こすことに関しちゃ一家言もちだね」

ジョージ「それ以上求めてくれるなよな。僕らはこれでも手の皮が磨り減るくらいやったんだ」

ハーマイオニー「色々と見るものがあったし、人にあったの。あぁ、やっぱり……おじさん、マッチならあるからこれをつかいましょう?ね?」

ロン「ホグワーツのハニーの豚たちにも会ったしね。あと、あのチョウ・チャンもいたっけ」

ハニー「お友達に囲まれて、いたわね」

ロン「ハニー!君だって豚たちに囲まれてるよハニー!ヒンヒン! あんなのが何さ、憧れる気持ちは分かるけどね」

ハニー「……なんの事かしら」

ロン「さぁね!」

アーサー「こ、ここに、この赤い部分を、こするだけで!?ハーマイオニー、君は、その、大丈夫かい?どこか頭でも打ったんじゃ……」

ハーマイオニー「日頃杖先から火を出しておいて何をそんな……ほら、簡単でしょう?」

アーサー「うわっ!す、すごい!ハーマイオニー、君はひょっとして魔女かい!?!?!?」

ハーマイオニー「えぇ、その通りだから落ち着いて頂戴。私の中でおじさまの評価がだだ下がりだわ」

119 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 22:15:04.83 ID:dLhJPr2H0

昼すぎ

パーシー「パパ!年長組、ただいま『姿あらわし』ました!」

アーサー「あぁ、丁度良かった。昼ごはんの用意ができたところだよ」

ビル「随分と盛り上がってるなぁ。あっ、ブラジルの魔法使い一団がいる……あの時のペンバルがいたらどうしよう」

チャーリー「学生の頃と随分違うから奴さんも気づかないぜ、きっと……おや、ありゃぁ」

アーサー「どうしたね、チャーリー……おやおや、おや!時の人!ルードじゃないか!!」

ハニー「ルード?……あぁ、確か『魔法ゲーム・スポーツ部』の」

ロン「あぁ、それで元名ビーターのね!ごめんねハニー、昨日は間違ったことを教えてしまってこんな豚は踏んでくださありがとうございます!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「……クィディッチ用のローブを着て、もう、役人さんが先だって目立っているわ」

バグマン「よう、よう!我が友アーサー!どうだいこの天気は!え!?俺が現役の時だって決勝でこんなに晴れたこたぁなかったぜ!こんな完璧な日和はまたとないな!俺の出る幕もほとんどなさそうだ!」

 役人「あっ!またあっちで魔法花火があがりやがった!」
 役人「ちくしょう!どこのどいつだ!ちくしょう!人手が足りねえ!」
 役人「俺達部署違うのになんでこんな仕事までしないといけないんだ!ちくしょう!」

アーサー「……」

バグマン「……」

アーサー・バグマン「「HAHAHAHAHA!!」」

フレッド「悪い大人だ」

ジョージ「ああなろう」

ジニー「ママが泣くわ」

120 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 22:21:38.81 ID:dLhJPr2H0

パーシー「バグマンさん!初めまして、ご挨拶が遅れて申し訳ありません!」

バグマン「んー?おっと、この子は?」

アーサー「あぁ、そうだ。息子のパーシーで、今年から魔法省勤めでね。そのうちそっちに顔を出すこともあるよ、よくしてやってくれ」

バグマン「お前さんの頼みとあればな!よう、ようパース!部署はどこだ?」

パーシー「はいっ!『国際魔法協力部』でクラウチさんの下で勉強させてもらっていますクラウチさんのクラウチさん!いつかバグマンさんのところでもクラウチさん!」

バグマン「あぁ、バーティの。ハハハッ、元気があるじゃないか!」

ハニー「あれだけバグマンのことをこき下ろしていたのに」

ロン「世渡り上手だよな、パーシーは。あぁでもハニーの豚になってない、人生お先真っ暗だね」

ハーマイオニー「あなたの方が光り輝いているかというと、そうでもないような気がするわ」

123 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 22:59:18.60 ID:dLhJPr2H0

アーサー「――で、こっちがロンの友達のハーマイオニーとハニーだ」

バグマン「ハニー!?ほぉー!この子が!」

ハニー「ハァイ、あなたは凄い選手だって聞いたわ」

バグマン「あぁ!そりゃもう、いまじゃこの腹の肉が邪魔でにっちもさっちもいかんがね!ほぉー……オホン!そんで、アーサー!いい試合になりそうなんだが、一口賭けをしないか?え?」

アーサー「あー……」

バグマン「良い倍率を用意できるぜ!ポントナーはブルガリアが先取点だなんて無謀な賭けをした。アイルランドのチェイサー三人は歴代ベストと言ってもいいのにな。よく知らん奴はこれだから」

チャーリー「だとさ、聞いたか双子。バグマンさんもそう言ってるぜ」

フレッド「ふーん、なーるへそ。ためになるよな」

ジョージ「ってことはさ、決まってるよな、パパ」

アーサー「あー、うん。それじゃ、アイルランドの勝利に1ガリオン、でどうだろう?」

バグマン「…1ガリオン?たった?おいおいアーサー、お祭りだぜ!?」

ハーマイオニー「……そもそも役人のこの人が賭けを持ち込むってどうなのかしら」

パーシー「やはりこの部署は緩みきっているなんてことだくそう僕が魔法省大臣になったあかつきにはクラウチさん」

ロン「1ガリオンがたった、だとさ。喧嘩売ってるよな。ハニーの魅力はお金で現せないけどさ」

ハニー「グリンゴッツが破産してしまうわね、えぇ」

124 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 23:07:42.19 ID:dLhJPr2H0

バグマン「よしきた、他の子達はどうだ?え?この賭けに乗らない手はないぜ?」

フレッド「それじゃ、僕らが!おいおいパパ、自分もやっちまったのに止める義理はないぜ」

アーサー「うっ……あー、ほどほどにしなさい、うん」

ジョージ「チャーリー兄貴と、バグマンさんのアドバイスを元にして。予想してしんぜよう」

フレッド「まず、間違いなくクラムがスニッチキャッチする。これは譲れないぜ絶対にな!」

ジョージ「で、アイルランドが勝つ。これに三十七ガリオン、十五シックル三クヌートだ!」

フレッド「そう、それにおまけに俺達の力作『だまし杖』だもってけどろぼう!」

ジョージ「ホンモノそっくりで呪文を唱えるとおもちゃに早代わりって代物さ!」

アーサー「こら、こらこら。それは、お前たちの貯金全部じゃないか……それに、そんなつまらないものをルードに見せちゃいけないよ」

バグマン「いや、っはっは!!こいつぁたまげた!よく出来た悪戯グッズだ!それに、なんだって!?え?クラムがスニッチをとるけど、アイルランドが勝つ!?ハッハッハ!いいだろう!お二人には夢のような倍率を用意しようじゃぁないか!ほら、誓約書!アーサー、君にもな!」

フレッジョ「「毎度あり!」」

ハニー「……なんだかあの人に悲惨な未来が見えるわ」

ロン「未来も君の前には跪くよな。あー、あの二人って鼻が利くからなぁ」

ハーマイオニー「そんなに凄いのかしら、クラムって」

ロン「あったりまえだろ。僕、彼と友達になれるならなんだってするよ。なんだってね。ハニーの命令でも地の果てだって飛べるけどさ」

127 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 23:17:46.74 ID:dLhJPr2H0

バグマン「君に会えたのはラッキーだった。バーティを見ていないか?ブルガリアの責任者がごねててね。百五十カ国語喋れるバーティならなんとかしてくれるだろ?」

パーシー「クラウチさんですか?クラウチさんは二百は言語を扱えますよ何せクラウチさんですからねクラウチさん!水中人のマーミッシュ語、小鬼のゴブルディグック後、果てはトロールの……」

ロン「豚語もマスターしてないのにでかい口叩いてるぜ」

ジニー「豚以下よね。ヒンヒン」

パーシー「おい、いくら君達でも兄さん怒るぞ」

バグマン「頼りになるなぁ、バーティは。そのついでにバーサ・ジョーキンズも探してくれないものかね」

ハーマイオニー「バーサ・ジョーキンズ?」

アーサー「あー、失踪した役人でね。そうか、彼女はまだ見つかっていないのか……」

パーシー「少しだけ僕らの部署にもいたことがあったそうですが、クラウチさんは彼女を好いていたようですよあぁクラウチさん!バグマンさん、最後にはあなたの部署にいたのですから、なんとか消息だけでもお願いしますよ」

バグマン「そのうちひょっこり現れるさ。それで?バーティが彼女を好いていた、というのはどういう……ぉおっと!噂をすれば、だ!バーティ!こっちこっち!まぁ座れよ!」

パーシー「!!!く、くくくくくらうちゃさん!!!」

フレッド「二つの意味で誰だよ、噛みすぎだろう」

ジョージ「すっかり面白くなったなぁ、パースは」

ハニー「あら?この人……さっきの銀行員みたいな」

クラウチ「ルード、ここにいたのか。すっかり探したぞ……やあ、アーサー。君の子供たちかね」

128 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 23:23:53.34 ID:dLhJPr2H0

アーサー「やぁ、バーティ。みんな。バーティミウス・クラウチさん、『国際魔法協力部』の部長で、パーシーの上司だよ」

クラウチ「こんにちわ……パーシー?うん?」

パーシー「く、クラウチさん!ごきげんようございますクラウチさん!よろしければお茶は、お茶をいかがですかクラウチさんあぁクラウチさんクラウチさん!」

クラウチ「うん?あぁ、君は……あー、ありがとう。ウェーザビー君」

フレッド「ブハーーーッ!!!」

ジョージ「噴出すなきたねぇ!」

ビル「……パース、お前」

チャーリー「あんだけ甲斐甲斐しく慕ってるのに、名前さえ……」

パーシー「……す、すぐに準備しますクラウチさん!……」

フレッド「パース、ヘイヘイパース、元気出せよ、俺達の完璧・パーフェクトウェーザ、ゴホン、パーシー」

ジョージ「ほら、これをやるよ。相手に印象付けるならこれで決まり、今のトレンドはハート縁の眼鏡さ!」

131 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 23:33:36.55 ID:dLhJPr2H0

アーサー「君もルードを探していたのかい、バーティ。あぁ、お茶をありがとう……パーシー、急にどうした。あー、個性的な眼鏡だね?」

ルード「俺の方も君にブルガリア勢の相手をしてもらおうと……ッハッハッハッハッハ!!君、ユニークだなぁ!気に入ったぜパース!!!」

クラウチ「あぁ、そうするにしても君がいないと話にならないだろう……あぁ、お茶か。ありがとう。それでだな」

フレッド「……スルーしたぞ、マジかよ」

ジョージ「おいおい、あの面鉄仮面か?」

ハニー「パーシーの顔は熱した鉄のようね……貴方は頑張ったわ、パーシー」

パーシー「ありがとう。死にたい」

ジニー「えっと、こ、個性的でステキよ?ね?」

パーシー「……ほんとかい?」

ジニー「えっ。えっと、えぇ。ちょっぴり」

ロン「ジニー、優しさはね、時に人を傷つけるんだぜ。僕達豚はハニーの嘘なら傷つくどころかありがとうだけどさ」

134 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 23:42:19.37 ID:dLhJPr2H0

クラウチ「さぁ、すぐにブルガリア首脳陣のテントに行くぞ、ルード。あぁ、アーサー。君のとこにも今にアリ・バシールが襲撃するだろう。空飛ぶ絨毯の輸入禁止について、話したいと言っていた」

アーサー「そのことについては何度も手紙を送っているのに……まったく、あれはれっきとした『マグルの製品』だと何度答えれば……だが、言って分かる連中か?」

クラウチ「無駄だろう。我が国に輸出したくて必死なのだから」

バグマン「いいじゃぁないか、絨毯くらい。どうせ箒のシェアに取って代わることはないだろ?え?」

クラウチ「家族用として市場に入り込むつもりのようだ。実際、それは需要があるだろう。私の家にも祖父の時代に買った十二人乗りの絨毯があるぞ。最も、規制をされる以前のものであって、それ以降は厳重にしまっているがな」

アーサー「分かっているさ、バーティ」

バグマン「君はいつでも正しく公正さ、あぁ」

ハーマイオニー「見た目の通り、キッチリしておいでなのね。私の思っていた魔法省役人!っていうイメージそのものだわ」

ロン「ハニーは僕らの希望を具現化したそのもだよな」

ジニー「天使ね、いいえ、女神ね。おねぇさま美しい。ヒンヒン」

ハーマイオニー「二言めにはそれね、あなたたちって」

ハニー「ほんとのことだもの、仕方ないわね」

135 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/20(日) 23:51:20.92 ID:dLhJPr2H0

アーサー「非番なのに、これだ。君達は忙しすぎて、終わったらホッとするだろうね?どうだい?」

バグマン「何をおっしゃるアーサー!俺はこんなに楽しいことはないってのに!それに!これが終わったら!それこそお楽しみだ!そうだろ?え?」

クラウチ「ルード、それは機密事項だ」

バグマン「いいじゃないか!どうせここにいる子たちの殆どがあと一ヶ月足らずで知ることになるんだ!」

クラウチ「それでもだな……おや?そこにいるのは、さっきあれを口にした……ウェーザビー、ちょっとこっちに」

パーシー「はいクラウチさん!なんでしょうクラウチさんクラウチさん!えっ、か、顔こわ、えっ、いや、あの、この眼鏡はふざけてとかじゃ、あの、はい。いえ、いえいえいえいえ!全然!一言たりともその名前は!いえ!臭わせたりはしましたけd、いや、あの、その……」

ロン「あーあ、パーシーのやつ、怒られてら。何をしたんだろ」

ハーマイオニー「なんだかチラチラとロンの方を見てるわよ?」

ロン「なんだろうね、検討もつかないや」

ハニー「……豚の引き抜き?」

ロン「! やなこった!僕はハニーの一番の豚の地位からテコでも動かないぞ!」

ハーマイオニー「それが名誉職なのは世界広しといえどもあなた達の関係くらいのものだから杞憂はやめなさい」

136 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 00:00:42.63 ID:xStfciWo0



ロン「キャンプ場全体が興奮状態だね、ハニーの美しい寝顔の写真でも出回ったのかな」

ハニー「それはそれは暴動が起きるでしょうね」

ハーマイオニー「どれだけ罪なのよあなたの寝顔。私とかロンとかさらし者になるじゃない、徹底的に戦うわ」

ロン「ハニーの寝顔は僕らだけのものってね」

ハニー「常に完璧な美しさだものね」

ロン「いや、割と気が抜けてて笑顔でとってもニヤニヤが止まらないんだけどね君の寝顔tt」

ハニー「ロン」

ロン「なんだいハニー!ヒンヒン!」

ハニー「アイルランドサポーターの中で、『クラム最高!!』って叫んだら、どうなるのかしら」

138 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 00:10:07.24 ID:xStfciWo0

アーサー「開場が近いかな。みんな、揃ってるね?おや、ロン。全身アイルランドのクローバーだらけとは、気合が入っているね」

ロン「あぁ、ゲホッ、パパ。タダで応援道具が手に入れられてマーリンの髭さ」

ハーマイオニー「応援道具?」

ロン「あぁ、ケホッ。テントの中には露天商もいてね。それぞれのチームのグッズとかを売ってるんだ!このためにこの夏はカエルチョコを我慢してお金を溜めたよ!ハニーの笑顔を手に入れるにはまだまだ足りないだろうけど」

ハニー「豚にはプライスレスよ、当然じゃない」

ロン「あぁ、僕ってなんて愚かなんだろう。こんなお金どっかに投げ捨てて、いや、ここいハニー記念碑を建てよう。黄金の」

ハーマイオニー「バカなことを言っていないで。ウィーズリーおじさん?その、お店を見て回る時間はあるの?」

アーサー「あぁ、そうだね。私達のキャンプ場の移動は緑の花火が上がってからだ。その時にテントに戻ってきなさい。ロン、使いすぎは禁物だぞ。フレッド、ジョージ。お前達は今文無しだろう。パパと一緒にこの『オブーン』とやらの解明をしようじゃないか?うん?なんだろうねこれは。熱を発するとか、なんとか。気電か?気電なのかな!!」

フレッド「パパ、頼むから普通にこれを借りたパーキンズって同僚にでも聞いてくれ」

ジョージ「嫌だぜ僕たち、苦労して立てたテントがなくなって星空の下野宿なんてさ」



139 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 00:17:51.52 ID:xStfciWo0

セールス魔ン「さぁさぁお嬢さんたちよってらっしゃいみてらっしゃい!」

ロン「あーあ、魔法火どころじゃない客引きのオンパレードだ」

ハーマイオニー「魔法省の人たちももう諦めたみたいね。そこかしこでうなだれてるわ」

ハニー「職務を全うできないなんて、出来の悪い豚ね。それで、そうね。このクローバーの帽子をくださるかしら?」

セールス魔ン「はいよ!お嬢さんのようなべっぴんさんに被ってもらえるならこいつも本望でさぁ!お代は……お代、は……」

ハニー「えぇ、高貴で可憐な私に、いくら払わせるのかしら?」

セールス魔ン「いただけません!いえ差し上げさせてください!お願いします!!」

ハニー「そう、じゃあ代わりにヒンヒンお鳴きなさい」

セールス魔ン「ヒンヒン!ヒン!!ヒンヒン!!!」

ハーマイオニー「買い物でその手段は使わないって言ったじゃないの、ハニー!!」

ロン「大丈夫だよ、ハーマイオニー。これ露店だぜ?値切り上等さ。もちのロンで」

144 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 00:36:04.63 ID:xStfciWo0

ハニー「……わぁ」

ハーマイオニー「……色々なグッズを手にしたハニーが、固まってしまったわ」

ロン「ハニーの前じゃ価格暴落なんのそのだよな。えーっと、これは?」

セールス魔ン「『万眼鏡<オムニオキュラー>』さ!スタジアムの端から橋でも予言者新聞が読めるくらい拡大もできるし、映像をスローにしたりまき戻すこともできる!解説がテロップで流れて、初心者にもお勧め!一個一〇ガリオンの大特価だ!!」

ロン「あー、ちくしょ。クラムの人形なんて買うんじゃなかったなんだこれハニーの前じゃクズじゃないか万物だけど」

ハーマイオニー「それを見つけたときのあなたのはしゃぎっぷりを録画してまき戻して見せてさしあげたいわ」

ハニー「三個、頂戴!あぁ、ちゃんと払ってあげるわ!とってもステキだもの!」

セールス魔ン「まいどあり!」

ロン「は、ハニー!?悪いよ、そんな。そりゃ、僕はもう持ち合わせないけどさ。あの……」

ハニー「いいのっ!ふふっ、私の美しさごとしっかりそれで見ておきなさい?私の豚♪」

ロン「もちの僕さハニー!わぁーお!君って毛穴まで高貴で可憐だねハニー!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「試合で使いなさい、せめて。ありがとう、ハニー。あの、大事にするわ!」

ハニー「えぇ、私のあなたたちに対する態度くらいね!だってこれ、とってもステキで……こんな……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「……ニヤニヤしない、って、何度言えばいいの!?」

ロン「録画したかい、ハーマイオニー」

ハーマイオニー「もちのあなたじゃないの」

149 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 00:48:17.65 ID:xStfciWo0

競技場

ワーーーーァーーーーーー!!
 ワァアアアアアワァアアアアアアアアアアア!!

フレッド「すっげぇよ、パパ!最上階の特等席!ゴールポストの真ん中にある貴賓席だ!」

ジョージ「あぁ!このチケットのために何人の魔法省役人が非番を代わられたんだろう!」

アーサー「それは言わない約束だぞ!さぁさぁみんな、前に座りなさい!さぁ!」

ハニー「本当に、いい席だわ。ここならどっちのチームの動きもはっきり見えるもの」

ロン「やっぱりパパってすげぇや。あぁハニー、貴賓席のシートは柔らかいけど君の席は僕がしっかり守るよ僕の全身をかけてねっ!」

ハーマイオニー「どこまでいってもハニーのマットなのねあなた……まだこのボックス席には誰もいないみたいね」

ハニー「そうね。ここに入れるのは、きっと私のような高貴で可憐な……あら?あそこ……」

屋敷しもべ妖精「……」

ロン「うん?なんだい?あれ?あれって、あそこの済みに腰掛けてる、ちっこいの」

ハーマイオニー「屋敷しもべ妖精……?」

ハニー「まさか……ドビー!?あなたなの!?」

屋敷しもべ妖精「……お嬢様は今、ウィンキーのことをドビーとお呼びになりましたか?」

ハニー「……あぁ、少し違うわね。ごめんなさい、私の豚にそっくりだったものだから」

屋敷しもべ妖精「ですが、お嬢様。ウィンキーもドビーのことをご存知です!貴女様のことも!貴女様は!ハニー・ポッターさま!」

150 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 00:57:51.25 ID:xStfciWo0

ハニー「そうね、あなたたち種族にも私の存在が知れ渡っているようで嬉しいわ」

ロン「生きとし生けるもの全部君の豚候補だもんな」

ハーマイオニー「今年は無生物に手を広げるのをやめてほしいわ……」

ハニー「確証しかねるわね、私だもの。それで、えーっと、ウィンキー?ドビーと、お友達なの?」

ウィンキー「はい!ハニー・ポッターさま!ドビーにはこのあいだお会いしました!ドビーはいつも貴女様のことをお噂しています!」

ハニー「そう、相変わらず可愛い豚ね。元気にしてる?」

ウィンキー「ええ、えぇ、ですがお嬢様!あなたのなさったことは、ドビーを自由にしたことは、ドビーのためになったかは、ウィンキーめは自信をお持ちになれません!!」

ハニー「……えっ?」

ロン「どういうことさ。ドビーは奴さんをいじめてたフォイフォイんとこから逃れられて良い待遇になったろ?」

ウィンキー「それでございますぼっちゃま!ドビーは、ドビーはなんとまあ!新しい仕事をみつけるにあたって、お給料をいただこうとしているのでございます!!!」

ハーマイオニー「……?それの、何がいけないの?」

ウィンキー「あぁお嬢様!屋敷しもべ妖精にとってはとてもとても、身分不相応な高望みなのでございます!ウィンキーはドビーにおっしゃいました!恥を知りなさい!どこかちゃんとしたおうちに落ち着きなさい、ウィンキーはドビーにそうおっしゃいました!」

ロン「……なんかこいつの喋り方頭が痛くなるや。豚語はいける口かな」

ハーマイオニー「私の頭痛が加速するからやめて頂戴」

ハニー「あなたのは、寝不足でしょう?」

ハーマイオニー「その原因たるあなたが言わないの」

151 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 01:04:12.04 ID:xStfciWo0

ハーマイオニー「あー、ウィンキー?働くことにお手当てを要求することは当たり前だわ。それに、ドビーは辛い目にあったんだもの。少しくらい楽しんでも……」

ウィンキー「お言葉ですがお嬢様!屋敷しもべ妖精は、楽しんでらっしゃってはいけないのでございます!!」

ハーマイオニー「……えっ?」

ウィンキー「屋敷しもべ妖精は言いつけられたことをするのでございます!あたしは、ハニー・ポッターさま!高いところがお好きではありません!ですが、ご主人様のご命令で!ウィンキーはこちらにいらっしゃったのでございます!」

ロン「命令通りになんだって、か。豚精神溢れるよな。ハニーは豚がいやがることなんて一切命令しないけどさ」

ハニー「……それが、あなたたちなの?」

ウィンキー「その通りにございます!あぁ、なんて高い!ですがご主人様が席をとっておけとおっしゃいなさいましたので、あたしは、め、目を覆ってでも、ここにいらっしゃらねばならいのです!!ひぃっ!!」

ロン「……顔を覆って、縮こまっちまった。あー、なんていうか。へんてこりんだね、ハニー?」

ハニー「ドビーはもっとヘンテコ豚だったわよ。良い意味でね」

ハーマイオニー「……屋敷しもべ妖精が、こんな境遇にあったなんて!」

ロン「なんだい?全員ハニーの豚にしてやるかい?やめときなよ。奴さんたちは奴さんたちで今の現状が幸せなのさ」

153 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 01:20:24.58 ID:xStfciWo0

ハーマイオニー「プログラムによると、試合に先駆けて各国のマスコットによるセレモニーがある、って」

アーサー「あぁ、それはいつも見ものだよ。今年は両国、何を連れてくるかな」

ハニー「私が呼ばれてないわね」

ロン「そりゃそうさハニー。君が出て行ったらみんな試合どころじゃなくてハニーのワンマンショーをはじめざるをえないからね」

ハーマイオニー「本当にそうなりそうで怖いわ……時間が経って、お客さんもどんどん入ってきたみたい」

アーサー「いよいよだね……おやっ、やぁファッジ!」

パーシー「魔法省大臣っ!!!!ふぁ、ファファファファっジさんこんばんわ良い夕暮れですねこんばんわ!!!!」

ファッジ「やぁアーサー。うわっ!?な、なんだね君は、面白い眼鏡だが……あぁなるほど!アーサーの子供かね!見込みがありそうだ!」

パーシー「こ、光栄!光栄です!!フレッド、ジョージ。帰ったら僕に何でもいいなよ。何だって奢ってあげよう」

フレッジョ「「今、何でもって言ったかい?」」

ファッジ「おや、それにそっちに見えるのは!やぁ、ハニー!会えて嬉しいよ、元気かね?」

ハニー「えぇ、ファッジ大臣。そちらは?」

ファッジ「あぁ、ブルガリアの首相さ。一日中私が案内をしていてね……えぇっと、ハニーぃ、ポッター!ご存知だろう!えっ!?誰だか、ほら、『例のあの人』から生き残った女の子!はぁ、まったく私はここの言葉は苦手でね」

パーシー「大臣!そんなときこそクラウチさんです僕らのクラウチさんならこんなときでもクラウチさん!」

ファッジ「あぁ、そうだな。彼こそ案内役にぴったりだったんだが……しもべ妖精は席をとっているのに彼は見えんか、やれやれ」

154 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 01:27:36.61 ID:xStfciWo0

ルシウス「優秀なしもべを雇っているのですな、クラウチ氏は。見習いたいものだ。もっとも、ウィーズリー?あなたの家ではそんな余裕もないでしょうがな?」

アーサー「ルシウス……」

ファッジ「やぁルシウス。アーサー、ルシウスは先日聖マンゴ魔法疾患病院に多額の寄付をしてくれてね。私の招待なんだ」

アーサー「それは、それは素晴らしい。裏になにがあろうとも」

ルシウス「何にでも裏が見えるとは、忌むべき職業病ですな、ウィーズリー。その探求眼でマグルの製品をいじくり回す、と」

ファッジ「いやはや、二人が知り合いのようでよかった!」

ロン「……ファッジって物凄い鈍い奴だって聞いてたけどさ。これほどなんてな」

ハーマイオニー「……事なかれ主義なんじゃないかしら。目の前の問題を見過ごす、っていう」

ハニー「憎らしいフォイフォイが父親の影でファッジに見えないようにバカにしてきているけれど、ムシすることにしましょう。ああいうのは相手しないのが一番、そうよね?」

ロン「価値も無いしね。あぁハニー!君は全人類がかまいたくて仕方ないほどの最高級の価値だよ!ヒンヒン!」

155 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 01:41:25.66 ID:xStfciWo0

バグマン「満員御礼!準備万端!両国大臣、初めてもいいかな?」

ファッジ「あぁ、ルード。君さえよければいつでも」

ブルガリア大臣「」コクコクッ

バグマン「あぁ、それでは……『ソノーラス、響け!』」

バグマン「『レディース・アンドジェントルメン!!!ようこそ!第四百二十二回クィディッチ・ワールドカップ決勝戦に、ようこそ!!』」

ワァアアアアアアアアアアアアア!!!
 バグマーーーーーーン!! ビーターーーー!!! ブンブンブンブンブンブン!
 ワァアアアアアアアアア!

バグマン「『ワスプス時代の煽りもどうもありがとう!!さぁさぁ前置きはこれくらいにして!まずはブルガリア代表チームのマスコットによるセレモニーです!!!』」

ワァアアアアアアアア!!!
 ザワザワガヤガヤ……ザワザワザワザワ

ハニー「なにかしら、あれ……スタジアムに、女性……?」

アーサー「! ヴィーラだ!!!」

ロン「なんだいあれ、なんだ、なんだろうあれ、すっごい綺麗、な……ハッ!おらっ!」バキッ!!

ハーマイオニー「音楽が始まって踊りだしたら、なんだか周りの男の人のようsローーン!?自分を殴って何をしてるの!?!?」

ロン「だいじょぶ、僕はハニーの豚だから。うん。大丈夫、あんな綺麗な集団の虜になんtハッ!おらっ!!!」バキャッ!!!

ハーマイオニー「ロン、ローーーン!?」

ハニー「……一想いに、私からビンタでもしてあげようかしら」

ロン「そんなのご褒美だよハニーあぁあの中に飛び込んじまいたいくら……ハッ、お願いしmっっありがとうございまヒンヒーーーーーン!!」

159 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 01:53:49.39 ID:xStfciWo0

ハーマイオニー「……男の子って、まったくもう」

ジニー「ビルは髪を解いてキメ顔、チャーリーはボディビルのポーズをとっていたし、パーシーは眼鏡を煌かせていたわね。ほんと、男の子ってこれだから。ねぇおねぇさま?私達のおねぇさま?ヒンヒン」

ハニー「双子はどこから出したのかわからない量の花火をならすし……ロンは血まみれだものね」

アーサー「ろ、ロン、何があったんだ?そんなにか?そんなに鼻血を出すほどか?いつもあんな中に囲まれても一切手をださない見上げた精神力のお前が?」

ロン「触れないでくれよパパ、僕は自分の豚甲斐の無さが憎いんだ」

バクマン「『いやぁすんばらしいダンスでした!男子諸君、今夜はいい夢を見れそうだな!それとも奥さんの鉄拳制裁が先か!何はともあれお次はアイルランドチームのマスコット!!』」

ワァアアアアアアアアアア!!

ヒューーーーッ!!ヒューーーーーツ!!

ハニー「花火?……あっ!火の玉の中に、何人もランタンを持った小人がいるわ!」

ロン「さっすがハニー、万眼鏡を使いこなしてるね早速さ!」

アーサー「レプラコーンだ!」

ハーマイオニー「火の玉同士がぶつかって、クローバーの形に!それで、イタッ、なぁに、何かが降って……これって」

ロン「!!すっごい!僕らの胸に最大限の歓喜を沸き起こらせるハニーほどじゃないけど!金貨だ!金貨が降ってきた!!!」

ワァアアアワァアアアアアア!!
 ザワザワザワガヤガヤガヤガヤ ヒャッホーーーーーーーー!!!

160 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 02:07:43.99 ID:xStfciWo0

ロン「あぁ、僕、もう満足だ。ハニーのビンタはもらえるし、こんなにたっくさん金貨はあるし、もう帰ってもいいくらいだよ」

ハーマイオニー「何一つ得していない人が多すぎるわ」

ロン「なんだよ、君も金貨を拾えばよかったじゃないか。回りも大勢そうしてるのに。うん?なんでみんなじゃないんだろ。高貴な僕のハニーがそんな卑しい真似しないのは当然だけどさ」

ハニー「? 落ちてるお金なんて、ここじゃどこのお回りさんに届ければいいのか分からないじゃない」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「な、なんでニヤニヤするの。やめなさいよ。ちょっと。ちょっと」


バグマン「『さぁさぁさぁ、レディースアンドジェントルメン!改めて、どうぞ拍手を!ブルガリアナショナルチームの入場です!ご紹介しましょう――ディミトロフ!!!』」

ワァアアアアアア!!ウォオオオオオオオ!!
 ワァアアアアアアアア!

フレッド「すっげぇや。速過ぎて、姿がぼやけて見える」

ジョージ「あっちの応援もでかすぎて耳が霞むねこりゃ」

バグマン「『イワノバ!――ゾグラフ!――レブスキー!――ボルチャノフ!――ボルコフ!』」

ワァアアアアアアアア!!

バグマン「『そしてぇぇぇぇえええええ!――クラム!!!』」

ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
クラム!クラム!クラムクラムクラム!!!!クラム!クラム!クラムクラムクラム!

ロン「見てよハニー!君の次にでチャーリーくらいすっげえシーカー、クラムだ!!!ホンモノのクラムだ!!!」

ハニー「えぇ、しっかり見てるわ……目つきも鋭くて、体格も……それい、あんな飛び方。ほんと、とてもじゃないけど十八歳には見えないわね」

ハーマイオニー「鼻も曲がっているし、眉も濃くって……えーっと、飛び方は凄いけど。みんなそんなに食いつくほどなの?」

ロン「おいおいいい加減にしろよハーマイオニー!クラムは最高さ!もちのロンでね!」

161 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 02:18:14.35 ID:xStfciWo0

バグマン「『ではみなさん、どうぞ拍手を!――アイルランドナショナルチーム!』」

ワァアアアアアアア!!

バグマン「『ご紹介しましょう!コノリー!――ライアン!――トロイ!――マレット!――モラン!――クィグリー!そしてぇぇぇええええ!――リンチ!!!』」

ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
リンチ!リンチ!リンチ
 ガンバレー ガンバレー

ハーマイオニー「負けず劣らずの声援ね……リンチになんだか同情的な声援が向けられてるのが気になるけど」

ロン「彼の試合前のインタビュー知らないのかい?『精々がんばります。せめてスニッチを一目は見たい』だよ」

ハニー「自分の立ち位置をよく分かっているのね。豚にするべきかしら」

バグマン「さぁさぁ、さぁ!!それでは両チーム、決戦です!』」

バグマン「『試あぁぁぁぁああああああああい!開始!!!』」


ワァアアアアアアアアアアア!!ワァアアアアアアアアアア!!
 キャーーーーーーーー!!キャーーーーーーーーーー!
 ヒンヒンヒーーーーーン!








165 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 02:38:49.28 ID:xStfciWo0

深夜

フレッド「クラム〜クラム〜!我らが救世主希代のシーカークラム〜♪」

ジョージ「おかげで俺たちゃザックザク〜♪クラ〜ム〜愛して〜る〜♪」

アーサー「あ、あっはは……まさかこの子たちの予想がばっちり当たるなんて」

ハーマイオニー「でも、どうしてクラムはスニッチを獲っちゃったのかしら。自分達のチームが、一五〇点差をつけられているのは分かっていたのに」

ハニー「アイルランドのチェイサーが強すぎて、スニッチを見つけた頃には点差を縮められないって分かってたのよ」

ハーマイオニー「でも、せっかく一五〇点入るのに……」

ジニー「スコア、一六〇対一七〇よ?ゲーム中、一度しか得点できていなかったんだもの、ブルガリアチーム」

ビル「クラムは自分のやり方で終わらせたかったんだろうな。チャーリー様様の言う通りだったわけか」

ハニー「まぁ、私なら一五〇点差つけられる前にスニッチを捕まえて終わらせられたと想うけれど」

チャーリー「同感。ジニー、兄さん言ってたろ?開始十分の時、ピッチの下の方で何か光った、って」

ジニー「やっぱりチャーリーって凄いのね!ビルとどのヴィーラが一番いいか品定めしながら片手間にスニッチ見つけるんだもん」

ハーマイオニー「……伝説のシーカーって」

ハニー「……ふざけた伝説だわ、ほんと」

チャーリー「な、何を言うのさジニー、兄さんはね、そんなことしてなかったよ。むっつりのパーシーの方がハートの眼鏡の向こうでヴィーラをね?」

パーシー「一緒にしないでください」

ロン「伝説と言えば、ハニーのクィディッチ観戦で見せる最高の笑顔を万眼鏡で見ちゃった向こう側のスタンドの奴らが豚になったのは……伝説だろなぁ」

ハーマイオニー「……試合が終わっても騒動が続いたのはそのせいもあるわよね」

ハニー「私はいつだって渦中の人、そういうことよね。もってきた量の首輪で足りるかしら……」

ロン「君はいつでも用意周到だねハニー!ヒンヒン!」

ヒンヒン、ヒーン!

166 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 03:01:51.54 ID:xStfciWo0

ザワザワザワザワ
 ガヤガヤガヤヒン

フレッド「アイルランドサポーターの連中、まだまだ騒ぎたりないみたいだな」

ジョージ「あと豚どももな。こりゃ今夜は徹夜で祝勝会決定だな僕らの奢りで」

ザワザワガヤガヤ
 キャーー! キャーーー!
 バーーーン!!!

アーサー「っ……サポーターじゃない!みんな、荷物をまとめて!いいや、杖と、上着だけ羽織って!さぁ早く!!」

ドタバタドタドタ キャーーーー!!
 ボンッ!!バターン!!!

ハニー「……お父様、何事なの!?」

アーサー「いいことではないのは確かだ。さぁ、みんな早く!……あぁ、なんて人だ」

ドヤドヤドヤドヤ
 キャーーーー!キャーーーー!

アーサー「何が起きたんだ……あれ、あれは……っ!」

ビル「……向こうの方から、閃光でテントを焼いてる集団が近づいてくる」

チャーリー「……連中の上に浮かべられているのは、あれは、キャンプ場の門番をしていたマグルの家族か?」

パーシー「……酔っているのか?喚き散らして、狂ったように笑って……顔がない。いいや、あれは、仮面、ですね。父さん、あれって……」

アーサー「考えるのは後だ。ビル、チャーリー、パーシー。魔法省を助太刀する、いいね?」

ビル「休暇中くらい、呪いの類とは離れてたかったけどね。でもまぁ、いい運動だ。そうだろ、チャーリー」

チャーリー「あぁ、あんな火の魔法、ドラゴンの息吹に比べれば屁でもないさ。パーシー、兄さんたちの後ろに隠れててもいいぜ?」

パーシー「冗談は嫌いだよ。僕だって戦える、僕はあらゆる不正を正すために魔法省に入ったんだ!あんな連中、見逃してたまるか!」

アーサー「よし。フレッド、ジョージ。ジニーを任せたよ。ロン、女の子たちをしっかり守れ。森に逃げるんだ。いいかい、絶対に一人になるんじゃない!片がついたら迎えに行く!走れ!」

175 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 08:29:10.32 ID:xStfciWo0

森の奥

ハニー「フレッドたちと離れてしまったわね……ジニーをしっかり守ってくれてるかしら」

ロン「君は僕の背中とかが全力で支えるよハニー!ヒンヒン!ハーマイオニーも、手ぇ離すなよな!」

ハーマイオニー「え、えぇ」

ハニー「ふふっ、出来る豚ねロン……っ、あなた」

ドラコ「あぁ、精々そのぼさぼさ頭を低くして隠れているんだね、グレンジャー。とっ掴まって下着をめくられたいならご自由に?散々笑ってあげるよ」

ロン「なんだ、君か。靴底に張り付いた汚らしいチューインガムか何かかと思った、あぁ、そんなもんか」

ハニー「えぇ、そうね。私達の人生において係わり合いにならなくて十分な存在ね」

ハーマイオニー「どうせ私がマグル生まれだからあの集団の標的になるとでも言いたいのでしょう、放っておきましょ、えぇ」

ドラコ「失礼だな君たちは! ふんっ、忠告してやってるのさ。ほら、さっさと尻尾を巻いて逃げろよ、ポッター」

ハニー「逃げる?冗談はやめなさいこのフォイフォイ」

ドラコ「黙るフォイ!ウィーズリー、コソコソイタチにはお似合いの体たらくだな。君のパパが逃げろと言ったのかい?お優しい役人さんはマグルの連中を助けるつもりなのかなぁ?」

ロン「そっちこそ親父殿はあの仮面の集団にいるんだろ、まったく趣味が分かりやすいよな闇の陣営(笑)ってのはさ!」

ドラコ「うるさい! たとえそうだとしても、君達に教える義理はないねっ!」

ハーマイオニー「さぁ、もう行きましょう。三人を探さないと」

ハニー「……混乱の中だし、呪いのひとつでもかけて……あら?」

ロン「そりゃいいや、でもそういうのは僕に任せてよハニー!あいつに今度こそナメクジ……どうしたんだい?」

ハニー「えっ。あっ、あれ?いやだわ、私……わたし、杖、なくしちゃった、みたい」

176 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 08:42:39.82 ID:xStfciWo0

ハーマイオニー「最後に見たのはいつ!?」

ハニー「どうだった、かしら……えぇっと、観客席に座った時には確かに。万眼鏡を取り出した時に、触ったもの」

ロン「テントに置き忘れたのかもしれないよ。ハニー、大丈夫。事がすんだら取りに戻ろうよ」

ハニー「えぇ……テントが、無事ならね。あぁ、こんな状況で杖がないなんて…………不安なんかじゃないわ。落ちつかない、それだけよ!!」

ロン「あぁそうだろうねハニー!しっかり僕の背中にお掴まりよハニー!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「いざとなったらどうせロンは手を振れないんだからハニーがロンの杖を使えばいいんじゃ……きゃっ!?」

ウィンキー「悪い魔法使いがいます!ウィンキーはお退きになるのです!!早く!」

ロン「わっ、こいつか。なんだろ、何かに引っ張られてるみたいな、変な動きしてるね。なんで普通に歩けないんだろ」

ハニー「逃げていい、って主人に許可を貰ってないんでしょうね、きっと」

ロン「なるほどね。僕もハニーに許可を貰わなかったら雨が降っても金貨が振っても仁王立ちし続けるもんな」

ハーマイオニー「……なんて不当な扱いを受けてるのかしら!あの子、クラウチさんの屋敷に勤めているんでしょう!?高いところが苦手なのにあんなところに行かせたり、危ないのに満足に逃げることもできなかったり!あんまりだわ!」

ロン「あー、そうだね。クラウチ、結局観戦には来なかったもんな。何がしたかったんだろ……あー、落ち着きなよハーマイオニー。そういう難しい問題はパースんでも頼む」

ハーマイオニー「ロン!あなたのように腐敗した体制をなぁなぁで済まそうとする魔法使いがいるから……!」

バーーーーン!!
 キャァアアアアアアアアアア!

ハニー「……とにかく、進みましょう」

177 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 08:55:56.67 ID:xStfciWo0

森の奥 空き地

ハニー「……喧騒も遠くなったわね。ここで、待ちましょう」

ロン「そうだね。どっか向こうの方から逃げてくる人の声もするし、とりあえず騒ぎからは逃れられた。さぁハニー、君を地べたになんて座らせないよもちのロンでね!」

ハーマイオニー「自然に土の上だろうと寝そべるのねあなた……ねぇ、あっちから歩いてくるのって」

ハニー「? あら……バグマンさん?」

バグマン「あー、誰だ?こんなところでポツンと、何をしてんだ?え?こりゃなんの騒ぎだね……」

ロン「あー、えっと。暴動のようなものが起きてるんです。キャンプ場で」

ハーマイオニー「なんだか随分とくたびれておいでだけど、終わってから飲みすぎでもしたのかしら……」

バグマン「な、なんだって!?なんて奴らだ!顔面にブラッジャーをブチ当ててやる!!!」

ハニー「……行ってしまったわ。分かっていたけれど、なんだか少しズレている人だわ、バグマンって」

ロン「違いないね。でも、ビーターとしての腕前は本当に凄かったんだよ。あの人がチームにいたとき、ウイムボーン・ワスプスが連続三回もリーグ優勝したんだ……キャノンズなんか……やめよう。あぁハニー!君の方が腕前は異次元レベルだけどね!」

ハーマイオニー「二つの意味で地に足をつけていてほしいわ」

178 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 09:13:36.23 ID:xStfciWo0

ハーマイオニー「……すっかり、静かだわ」

ロン「もう騒ぎは収まったのかな。じきにパパが迎えにくるよハニー、眠いねハニー船を漕ぐのは僕に任せてほしいとこだけど」

ハニー「……っ!眠い?なん、のこと、かしら。私は常に完璧、だから。そんなとこ、あなたたちの、前で。わた……眠くない!」

ハーマイオニー「クィディッチで興奮したりこのことがあったりで疲れたのよね、分かってるわハニー」

ロン「寝つきのいいハニーもステキだよもちの僕で」

ハニー「私子供じゃないわ!やめなさい!もう!……おじさま、あのフォイ父を捕まえられたかしら」

ロン「だといいんだけどね。あの数だろ?それに、マグルを人質にしていたし……」

ハーマイオニー「……」

ロン「平気さ、ハーマイオニー。魔法省の役人が山ほどいたんだぜ?少なくともマグルを助ける方法を見つけるよ。ハート眼鏡のウェーザビーとかが」

ハーマイオニー「そう、よね。でも、本当に何を考えているのかしら。この場であんなことをしたら、ただではすまないと分かっているじゃない?ただ単に、飲みすぎて……」

ザクッ……ザクッ……ザクッ……ザクッ

ハニー「! 誰か、来たわ」

ロン「……?音はする、けど、姿がどこにも……おーい、誰かいるのか!?フレッド?ジョージ?ジニー!?」

???「……」



???「『モースモードル!』」


キャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
 ウワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

ハニー「なぁに、あれ。森が切れた空に……またレプラコーン?それにしては趣味が悪いわね。髑髏に、その口から……蛇?蛇は可愛いけれど……きゃぁ!?」

ロン「ハニー、しっかり掴まって!ハーマイオニー、悪いけど全速力だ!ここから離れよう!」

ハーマイオニー「もちのあなたよ!ハニー、さぁ!」

ハニー「ちょ、っと。待って!急に、何?それに、この悲鳴とか、そうよ、今のは私のじゃ……」

ハーマイオニー「ハニー!あれは、『闇の印』なの!!『例のあの人』の印よ!!」

ハニー「! 腹黒豚の!?」

ハーマイオニー「緊張感の欠片もないけど、そう!その豚よ!」

ロン「ハニーはいつだってハニー然としてるから高貴で可憐で儚げなのさ!ヒンヒン!さぁ、逃げ……う、わ」

ハーマイオニー「!? 魔法使いが、空き地を取り囲むみたいに、『姿あらわし』……か、囲まれてるわ!」

ハニー「伏せて!!!」


「「「「「「「「「「『ステューピファイ!麻痺せよ!!』」」」」」」」」」」

アーサー「!?ま、待て!待ってくれ!そこにいるのは私の息子だ!待ってくれみんな!!」

179 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 09:26:41.94 ID:xStfciWo0

ハニー「お父様……?なにが、どういう」

アーサー「ロン、ハニー、ハーマイオニー!無事か、良かった。あぁ、良かった。怪我はないか?今の失神呪文にあたった子は?平気か?」

クラウチ「どけ、アーサー。君に免じて呪文は使っていないが、そこの三人に容赦はしない」

アーサー「バーティ、何を……!」

クラウチ「誰がやった?おまえたちの中の誰が『闇の印』を打ち上げたのだ?」

ハニー「私達じゃないわ!私、あれが何なのかさえさっきまで知らなかったんだから!」

クラウチ「とぼけたことを言うな!おまえたちは犯罪の現場にいた!!」

魔女「バーティ、バーティ。やめましょう、ほら、落ち着いて。まだほんの子供じゃないの。ね?」

アーサー「あぁ、それに。バーティ、杖をつきつけている相手をよく見てごらん。いやしくもハニー・ポッターが。『闇の印』を作り出そうなんて道理があると思うかね」

クラウチ「…………ならば、あの印は誰が。どこからか、それは分かるか」

ハーマイオニー「あっちの、木立の方、でした。姿は見えなかったけれど、声が確かに……」

エイモス「そりゃ良かった。私の放った失神呪文は確かにあのあたりに飛んだはず。どれ……おいおい、これは。なんとまぁ、どういうことだ……?」

クラウチ「! 犯人がいたのか、エイモス!連れて来い!全部吐かせてやる、どんな手段を使っても……」

エイモス「あぁ、バーティ……だが、呪文は一つもいらんだろうさ。お前さんの命令なら洗いざらい吐くはずだからな、こいつは……この、しもべは君のとこのだろう?」

ハニー「……ウィン、キー?」

ウィンキー「……」



180 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 09:42:02.30 ID:xStfciWo0

エイモス「驚いたことに、このしもべは杖までもっていた。バーティ?君のとこのは、しもべに杖を持たせてるのか?」

クラウチ「そんなこと、は。何の間違いがあろうと、この私が!そんなまねは……なんだ、これは。この杖は、どこから……」

ロン「あれ? ハニー、あの杖ってさ」

ハニー「えぇ、やっぱりそうよね……その杖、私の物だわ」

エイモス「!? 何を言ってる!?あれだけ否定していたのに自白しているのか!?自分があれを作り出してそこに投げ捨てたと……」

アーサー「エイモス!」

エイモス「あっ、あぁ、すまん。すまんかった。ハニー、そうだな。セドの敗北者の君は、うん。こんなことはせん、分かりきっているのに」

ハニー「……分かってもらえたのはいいけれどその不名誉極まりない肩書きはやめていただけるかしら」

ロン「豚全員でセドリックの奴をボコにしちまえば汚名返上かな?」

ハーマイオニー「上乗せでしょうよ」

アーサー「つまり、何かね……まさか貴賓席でハニーのポケットから杖を盗み、そいつで、あれを……?」

エイモス「さぁ、それはすぐに分かるだろう……『プライオア・インカンタート、直前呪文』」

ハニー「? 杖から、あの黒豚の印のミニチュアが出てきたわ」

エイモス「こいつはその杖がどんな魔法を使ったか確かめることが出来る。さて、バーティ。あー、このしもべは目下をもって現行犯となるわけだが……」

クラウチ「……話しをする。『エネルベート、活きよ!』」

ウィンキー「……ハッ!?ここは、ウィンキーはどちらにいらっしゃるので……ひぃっ!旦那様!あぁ、魔法省の役人様!?それに、あちらに……闇の……あぁ、あぁ、ウィンキーは、ウィンキーは……」

クラウチ「ウィンキー。我が家に恥を着せぬよう答えろ、いいな」

ウィンキー「あぁ、旦那様。もちろん、もちろんにございます旦那様。ウィンキーはいつだってそうなさってきました!旦那様、あぁ……」

クラウチ「あの『闇の印』を作ったのも、ハニー・ポッターから杖を盗んだのも。すべて お 前 が、 独 断 で やったことだな?」

ウィンキー「あ……あぁ……その通り、に、ございます。旦那様。あぁ……ウィンキーが、なさいました」

182 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 09:55:27.67 ID:xStfciWo0








ハーマイオニー「あんなの、絶対おかしいわ!!!」

アーサー「……あぁ、ハーマイオニー。私もそう思う。だがね、屋敷しもべ妖精はクラウチに仕えているから、その扱いは彼の決定次第で……」

ハーマイオニー「だって!私達が聴いた呪文を唱える声は絶対にウィンキーみたいな甲高い声じゃなかったんですもの!ねぇ、ハニー!?ロン!」

ハニー「……そうね。もっと野太い、でも少し掠れた声だったわ」

ロン「よく覚えてないや。ハニーの鈴を転がしたような耳に優しい声に夢中だったから」

ハーマイオニー「それなのにあの人たち、最初から決め付けて!それに、ウィンキーのことを『しもべ!』ですって!なんてことなの!あんな疑いだらけの容疑で、ウィンキーをクビにするなんて!!」

アーサー「あぁ、確かに魔法使いの中には屋敷しもべ妖精に横柄な者が多い。でもね、ハーマイオニー。今は彼らの権利について話し合う時じゃない。さぁ、テントに戻ろう。幸い私達のところは無事だった。ビルたちが頑張ってくれたからね」

「アーサー、アーサー!あっちで何があったの!?」
「もしや、『例の』……!?」

アーサー「あー、違うよ。『あの人』ではなかった。みんな、早く休むといい。それで、あー、この子を見てごらん」

「うん?うわ!なんて美少女だ!」
「額に傷!!まさか!!」

ハニー「……ハァイ、ハニー・ポッターよ。この私を前にして、あの黒豚を恐れる道理があるかしら」

「うぉおおおおおおおおお!!ハニー・ポッター!!!」
「俺達には生き残った女の子がついてるぞぉおおおおおおお!!うおおおおおおおお!!」

ハニー「えぇ、漏れなく救ってあげる。だからヒンヒン鳴くことね」

「「「「「ヒンヒン、ヒーーーーーン!!」」」」」

ハーマイオニー「……おじさま、ハニーをだしに使うのは、あまり」

アーサー「ごめんよ……このままだと今度は魔法省相手に被害者たちが暴動をおこしかねなかったから……」

ロン「さっすがハニー!僕らの希望さ僕のハニー!ヒンヒン!」

184 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 10:37:45.73 ID:xStfciWo0

テント

ビル「『闇の印』の真下に君達がいたなんてなぁ」

フレッド「まったくハニー、君はいつだって騒ぎの真ん中にいるよな」

ジョージ「むしろ君自身が騒ぎそのものだったりするよな、ほんとに」

ハニー「ハプニングさえ私の虜よね、えぇ。困ったことに」

ジニー「あぁ、おねぇさまが無事でよかった。ヒンヒン?」

ロン「ヒン、ヒンヒン」

ハーマイオニー「情報交換は皆に分かる言語でして頂戴」

パーシー「あの印が出現してから、連中はすぐに『姿くらまし』してしまってね。捕まえられなかったんだ」

ハニー「? 私以外の普通の魔法使いがあれを怖がるのは当然でしょうけれど、どうして?あー、あの人たちはあの黒豚の支持者だったんでしょう?」

アーサー「死喰い人<デス・イーター>さ、うん。そうだね、あの印は十三年間一度も現れなかった。『例のあの人』が再び現れたも同然さ……」

ビル「アズカバン逃れをした残党どもは、親分が現れたらバカ騒ぎしている自分達を咎めるとでも思ったんだろう」

アーサー「あぁ、そうだろうね。そうでないかもしれない、が、何度も私の方に呪詛を放ったきたあの仮面の主だけは誰だか分かる気がするよ」

ロン「フォイフォイ言ってた?」

アーサー「あぁ、語尾どころか節々にね」

185 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 10:47:58.35 ID:xStfciWo0

パーシー「それにしても、お可哀想なクラウチさんあぁクラウチさん。不出来なしもべ妖精で迷惑をこうむるなんて……」

ハーマイオニー「何度も言うわ!ウィンキーは悪くないの!間の悪い時の間の悪い所に居合わせただけよ!」

パーシー「あ、あー、ハーマイオニー?君は僕くらい賢明だと思っていたのですけどね。いいかい、クラウチさんが解雇を決定したということはそれはつまりあの公正で品性溢れるクラウチさんの類稀な思考・判断力でクラウチさんしたからクラウチさんなんだ!」

ハーマイオニー「ハートの形でおめでたいのは眼鏡だけじゃないようね!!!」

ロン「ハーマイオニーがパーシーとぶつかるのは珍しいよな。君はいつだって賛美と賞賛を投げかけられてるけど」

ハニー「馬があっていたものね、私の次に」

チャーリー「あのバカをしていた連中が『死喰い人』だったとして、でも、印を作ったのも『死喰い人』じゃないとおかしい。そうだよね、パパ」

アーサー「あぁ。今はそうでなくとも、一度でも『死喰い人』だった者でなければあれは作り出せない。だからこそ私もバーティの決定には少し疑問が残るが……疑わしきは罰せず、という言葉が通じる人じゃないのさ、彼は何せ……まぁいい。この話はやめにしよう」

ハーマイオニー「大いに続けるべきだわ!みんな、おかしいと思わない!?例えばの話、ロンが濡れ衣でハニーの豚を解雇されたとするでしょ!?」

ロン「そんなもん僕はその瞬間にこの世から『姿くらまし』てるよ、どうも」

186 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 10:56:37.24 ID:xStfciWo0

深夜

ハニー「……」

ロン「キャノンズが二千とんで三十二失点キャノンズが……寝れないかいハニー?」

ハーマイオニー「ウィンキーのことを思ってあげてるのよね、えぇ、ハニーは優しいもの」

ハニー「……それも、あるけれど。あのね。あの印は……黒豚のものなんでしょう?」

ロン「あー、うん。あの時代、『あの人』の一派がその、酷い事をしたあとは空にあれを打ち上げてたらしいよ」

ハーマイオニー「誰もが恐れる印、って話だわ……ハニー、大丈夫よ。今はここには、あっ、ろ、ロンがいるからそういうのは、その、なるべく控えてもらえたら……」

ロン「いやいや気にせず、どうぞ」

ハニー「ううん、そうじゃ、ないの……ハーマイオニーは後でちょっと外に散歩しに行きましょう。あのね?」

ハニー「……私、三日前。夢をみたの。とっても……そうね、おかしな、ヘンテコな夢」

ハニー「その夢で飛び起きた時……今と同じで。傷跡がとっても痛んでいたわ。焼けるみたいに、何かを知らせるみたいに」

ロン「……それって」

ハーマイオニー「……ハニー、まさか」

ハニー「……」

ハニー「私があの黒豚の夢をみたのと、今日、ここにあいつの印が現れたこと。何か関係が……あるの、かしら」

188 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 11:16:44.91 ID:xStfciWo0

翌日 『隠れ穴』

モリー「あぁ、あなた!ビル、チャーリー、パー……素敵な眼鏡ねパーシー?ロン、ジニー!ハニーにハーマイオニー!無事でよかったわ!あぁ、あぁそれにお前達、フレッド、ジョージ!!」

フレッド「やぁママお久しぶり少し痩せたkぐぇ!?な、なんだよママ!僕達抱き締め殺されるような悪戯はまだしていないぜ!」

ジョージ「お久しい事だねママ少し太ったkいて!?な、なんだよママ!僕達とってもいい子にしてたぜ本当さもちのロニーで!」

モリー「あぁ、あなたたちに何かあったら!母さんがあなたたちに言った最後の言葉が『OWL試験の点が低かった』だったなんてなんて可哀想なことをしてしまったんだろうって思ったら……!あぁ、フレッド!ジョージ!愛してるわ!」

フレッド「分かった、分かったからママ、母さん、おふくろ、頼むからひとまず落ち着いて離しておくれよな。どうどう」

ジョージ「オーケー分かった分かりまくったおっかさん、悪戯小僧の僕らが形無しだから泣き止んでおくれよ、よしよし」

ロン「顔真っ赤だぜ、二人とも」

フレッジョ「「あぁロニー、お前の顔も血塗られればいいのにな」」

192 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 11:30:52.52 ID:xStfciWo0

キッチン

アーサー「思ったとおり、新聞は酷い書き方をされているね……」

パーシー「『魔法省のヘマ――警備の甘さは招いた不始末――』『犯人をとりのがす――闇の魔法使い、やりたい放題――』『戦いの最中にふざけた眼鏡をかけた役人――』誰のことだ!なんだその不謹慎な奴は!」

ロン「はっきり書いてやりゃ良かったのにな、ハート縁って」

アーサー「『国家的恥辱――責任者全員の辞職を求める』まったく、書いているのは誰だ?あぁ、やっぱり……リータ・スキーターか」

パーシー「あの女、何か魔法省に恨みでもあるのか!この間も散々クラウチさんに噛み付いて時間を無駄にさせたんだ!バンパイアの撲滅だなんてそのことについては『非魔法使い半ヒト族の取り扱いに関するガイドライン』第十二項にはっきりと書いてある、とクラウチさんがおっしゃられたのにクラウチさんをわずらわせるなんてクラウチさん!」

ビル「パース、頼むから」

チャーリー「黙れよ。部屋に戻ったジニーが起きっちまうだろ」

ロン「クラウチのこととなるとほんとパースはアレだな。ハニーのことになると僕はいつでもまいっちまうけどねハニー!ヒンヒン!」

ハニー「ええ、狂わせられて光栄に思いなさい」

ハーマイオニー「あなたに合わせられた常識の数々が泣いてるわ」

ハニー「ヒンヒンって?」

ハーマイオニー「その啼くじゃなくって」

アーサー「あぁ、どうやら私のことも書かれているようだ」

モリー「まぁ、ほんとう!?それを見つけていたらもっと安心できていたのに……」

アーサー「いや、名前は出ていないがね。『闇の印が出現した後森から現れたある魔法省役人は、血走った眼で「けが人は誰もいなかった、あの人ではなかった」と主張した。このことだけで後に負傷者が森から秘密裏に運び出されたという噂を否定できるのか甚だ疑問である』……それは、こんな書き方をすればそんな噂も起きるだろうね」



193 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 11:42:02.60 ID:xStfciWo0

ロンの部屋

ハーマイオニー「おじさまとパーシーは職場に、他のみんなもおばさまにはやし立てられて寝室に戻ることになったわね」

ロン「実際僕ら全然寝ていないもんな。いや、僕の場合は今後も眠れるか分からないけど……」

ハニー「……」

ロン「ハニー?物憂げな表情もうっとりするくらいステキだね。いつもだけどね」

ハニー「えぇ、知ってるわ……私の夢のこと、おじさまに話した方がよかったのかしら」

ハーマイオニー「いいえ、余計に混乱するだけだと思うわ。でも、そうね。何か呪いと傷跡を着けた相手の因果関係があるのかもしれない……ねぇロン、呪いに関して詳しい本とか持っていないの!?」

ロン「ここをどこだと思ってんだい?僕の部屋、つまりハニーの城だぜ?『マッドなマグル マーチン・ミグズの冒険』より難しい本は置いちゃいないよ。マーリンの髭」

ハーマイオニー「漫画じゃないの!いいわ、パーシーの部屋にでも行って七年生の時の教科書が置いていないか……あぁ」

ロン「奴さんの部屋はムリだよ、あぁ。部屋中書きかけの報告書やらなんやらで、少しでも動かしたら君だろうと大目玉だろうさ。ハニーなら何したってオールオーケーだろうけど」

ハーマイオニー「そうなると……ねぇ、ハニー。ダンブルドア校長先生に相談してみたらどうかしら」

ハニー「あの腹黒豚はきっと今それどころじゃないわ。ファッジに泣きつかれているでしょうし」

ロン「違いないね」

ハニー「……他に、誰か。『闇の魔術』に対抗できる、詳しい知識を持った誰か……

ハーマイオニー「……」

ロン「……」

ハニー「……そうね。仕方ないわ。とっても億劫だけれど、ええ。ここは……シリウスに。手紙を書いて……みようかしら!」

ロン「いいんじゃないかなハニー、その赤くなった頬とかね」

ハーマイオニー「万眼鏡万々歳だわ」

ハニー「録画しないの!!!ロン!ありったけの羊皮紙もってきなさい!!!」

195 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 11:52:44.73 ID:xStfciWo0

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「……親愛なる、シリウ……いきなり、親愛なんて変よね。えぇっと……」

ハニー「こんにちわ、シリウス……あぁ、でも、受け取るのが朝で、変な子だって思われたら……」

ハニー「ハァイ、シリ……ダメよ!ダメ、なんでそんなにくだけるの、えぇっと」

ハニー「ご機嫌よう、シリウスおじさん。暑さもまだまだ厳しいけれど、相変わらず、その、ハン、ハン……」

ハニー「っ!!」

ビリビリッ!!

ハーマイオニー「ロン、次の紙よ」

ロン「はいよ!さぁハニー!どんどんつづけて!大丈夫!いくらでもあるし僕らは見守ってるよハニー!特に口出しせずにね!もちのロンさ!」

ハニー「……もういや!なんで手紙もヒンヒンで片付けられないの!?」

ハーマイオニー「そもそもシリウスはその意味さえ知らないと思うわ」

198 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 12:07:24.57 ID:xStfciWo0

夏休み最終日

ハニー「お母様。今日も私に手紙は来ていないかしら」

モリー「あらおはよう、ハニー。そうね。まだどこからも」

ハニー「……そう」

モリー「ふふっ、ハニー?どこかにいい人でもいるの?ロンが憤死してしまいそうねぇ」

ハニー「そういうのではないわ。私に関することだけれど、それだけ!」

ロン「結局あれからハニーったら、文面を書くのに数週間かかっちまったもんな」

ハーマイオニー「学期が始まるまでに返事がほしかったわね……毎朝白豚を待ちわびるハニー」

ロン「豚冥利に尽きるだろうさ。あっ、パパ!なんだか凄く久しぶり!お帰り!」

アーサー「あぁ、ロン……最近毎日仕事詰めでね。君達が学校に行く日だけはなんとか休みをもぎとったよ」

モリー「アーサー、お疲れ様。じゃあ、これで一段落といったところ?」

アーサー「いいや、いや。それどころか、まだまだこれからさ。ようやくワールドカップの騒動に関するネタが尽きたと思ったら……リータ・スキーターめ。バーサ・ジョーキンズの失踪事件を嗅ぎ当ててしまった」

ハニー「あぁ、あの最後はバグマンのとこで働いていた、っていう」

アーサー「あぁ、ルードはなんだか萎んで見えるよ。忙しい以上に何か心配事があるみたいでね。今度いい飯でも食べにいこう……三人とも、宿題は終わったかい?」

ハニー「えぇ」

ハーマイオニー「もちの」

ロン「ママ、おかわり!」

モリー「……ロナルド?」

ロン「あ、あっはは。冗談、ほんの冗談だよ、ママ。あとほーんの、ほんのちょこっとだけなんだよほんとだよ、もちの、あの、彼で」

199 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 12:23:58.81 ID:xStfciWo0

ロン「えぇっと、なんだっけ?小鬼の反乱?そんなどうでもいいことを予習してなんになるってんだ……マーリンの髭」

ハーマイオニー「ヒト以外の魔法生物が権利を主張した重要な事件じゃない!私の監視の下しっかり終わらせてもらうわよ、おばさまにも頼まれたことだもの」

ハニー「どうせ外には出られそうにないもの、丁度いいわ」

チャーリー「折角今年みんなが集まれる最後に日なのに雨なんて、ついてない。ハニー、もう一度くらい君と飛んでおきたかったんだけどね」

ハニー「えぇ、そうね。負けはしないけれど、勝ててもいないもの。絶対にまた勝負するんだから」

ビル「チャーリーの飛行バカについていけるのは初めてみたよ。ポーン、前へ」

パーシー「……そんなバカな。チャラ男になった兄さんに負けるなて、僕の眼鏡とクラウチさんが許さないぞ……くぅ」

ビル「パース、君は頭が固すぎる。まぁ、最終日に仕事を休んだ心意義は認めてやるがね」

パーシー「クラウチさんが僕にお休みをくれたんだ!僕がワールドカップからこっち頑張りすぎている、ってね!クラウチさんに休めといわれたら僕は全力で休みますよクラウチさんだからねクラウチさん」

ビル「いや僕ぁビルだけど」

フレッド「休みすぎてそのままお眠りにでもなればいいのにな、パース」

ジョージ「そうそう、そうすりゃ幾分静かになるだろうぜウェーザビー」

モリー「……そこの二人はさっきから済みで何をしているのかしら?」

フレッド「宿題さ、ママ!ロニーと同じくね」

ジョージ「僕らもちょびっとだけ残しててね」

モリー「まさかあなたたち、また悪戯グッズのしょうもない発注書だったりしたら!!」

フレッド「ねぇママ、例えばの話だけど。明日のホグワーツ特急が衝突事故を起こしっちまうとするだろ?」

ジョージ「ママから僕らへの最期の言葉がいわれの無い中傷だったとしたら、ママはどんな気持ちがする?」

モリー「屁理屈を言わないの!もう……ふふっ」

200 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 12:41:24.36 ID:xStfciWo0



ロン「なんとか終わった……ハーマイオニーありがとう。君は最高さ。ハニーもありがとう。君は女神だね」

ハーマイオニー「どういたしまして。これに懲りたら宿題は前もって終わらせることね。私としたことがチェックを怠ったわ」

ハニー「そうね、高貴で可憐ね……さて、荷造りをしましょうか。この部屋ともお別れね」

ロン「あぁハニー!この夏中君に使ってもらえてこの空間も歓喜に満ち溢れていたことだろうさハニー!君がいない部屋なんて空っぽどころか抜け殻以下の真っ白だろうけど!」

ハーマイオニー「あなたは明日からハニー抜きの寝室ですけどね」

ロン「なんで僕は女の子じゃないんだちくしょうマーリンの髭!!髭!!」

コンコンッ、ガチャッ

モリー「制服を持ってきましたよ。私が買ってきた学用品に漏れがないか、もう一度確認しておいて頂戴ね?」

ハニー「えぇ、お母様。使いのようなまねをさせてしまって本当にごめんなさい」

モリー「あらいいのよ、優しい子ね。主婦はお買い物が生きがいだもの。それで、ロン?あなたが女の子だったらこのローブが無駄になってしまうからよして頂戴」

ロン「ローブ?なんのことさ……うわっ!?な、なんだよママ、この栗色のビロード……それに悪趣味なレースのフリル!?なんでジニーの服を僕に寄越すのさ!」

モリー「いいえ、それはあなたのよ。ダンス・ローブが今年の必需品の一つなんです!」

ロン「はぁー!?だ、だからって、なんでこんなもん!うわぁ、テシーおばさんみたいな臭いがするぅ、うわぁ」

モリー「し、仕方ないでしょう。あなたのは古着やさんで見つけるしかなかったんですもの……女の子二人?二人には最新のカタログを入れて置いたから、そこから選んで頂戴ね。クリスマスまでに用意すればいいそうですから」

ロン「あんまりだ!でもハニーのドレスローブか!うん!ありだな!もちの僕で!」

ハーマイオニー「ドレスローブ……何に使うのかしら。それは、ダンスでしょうけど、何か新しい催しものでも……きゃぁ!?」

ハニー「私だけのために、ベッドっていう舞台の上なんて、どうかしら」

ハーマイオニー「んなっ、なに言って、あっ、だから、荷造りから先に、ちょっと、あぁ、あぁ、ハニー、あぁ、私の心が、あなたの中にパックされてしまうなんて……」

モリー「つづけて」

ロン「どうぞ。ヒンヒン!ダンスとやらが楽しみだね!!!」

206 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 12:54:13.76 ID:xStfciWo0



ドタバタドタバタ

エイモス「そういうわけで、アーサー!すぐに現場に行ってほしい!マッド-アイめ、ようやく新しい仕事に就くことが決まったのに一日目から何をしとるんだか!」

アーサー「あぁ、また『闇の魔法使いの連中が我が家に押し入ってきたから撃退してやっただけだ!』とか言い出すのだろう……分かった。私も彼に牢獄へ入ってもらってはとても困る。アズカバンの囚人が謎の変死を遂げそうだし」

エイモス「違いない。モリー、騒がせて悪かったね」

モリー「いいえ、いいのよエイモス。トーストはいかが?」

エイモス「あぁ、お願いしようかな。その灰かき棒に突き刺してくれ。ありがとう」

ハニー「……魔法使いのお家じゃ、朝から暖炉の火の中に人の生首が浮かんでいることが普通なの???」

ロン「煙突飛行の簡易版で、ただしくやればあんな風に一部だけ移動先に出せるとかなんとかだよ、うん。君はいつでも世界中に光を射してるけどさ」

ハーマイオニー「マッド-アイ、って。あの、マッド-アイ・ムーディのこと?あの、高名な闇払いの??」

ビル「あぁ、それさ。高名なのは変人って意味でも、だけどな。パパ、今度は奴さん何をしでかしたって?」

アーサー「敵が襲撃してきた、と。それで、家を半壊させて手当たり次第に呪いを放ったらしい……あぁ、まったく。それじゃみんな、見送りができなくてごめんよ。いい新学期を。お前達も仕事を頑張りなさい」

フレッド「おったまげ。パパってあの奇人と知り合いだったんだ」

ジョージ「そりゃお前、パパだって一部じゃ変人ってな噂だろ?」

モリー「失礼なことを言うんじゃありません。お父さんはムーディーを高く評価しておいでよ」

ビル「ああ、往年のムーディは偉大な魔法使いだった。今じゃちょっとあれだけど、アズカバンの半分以上はあの人がとっ捕まえた連中のはずだよ」

チャーリー「たしか、ダンブルドアとも旧知の仲だったはずだぜ」

フレッド「ほらね、やっぱりだ」

ジョージ「似た者同士、ってね」

ハニー「底抜けに腹黒いのかしら」

ハーマイオニー「ハニー、それ遠まわしにおじさまも腹黒いと言って……あー」

ロン「え?なんだいハーマイオニー。悪いけどよく聞こえないよ。耳にマーリンの髭がつまっていてね」

209 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 13:03:58.21 ID:xStfciWo0

九と四分の三番線

ポーーーーーーッ!

モリー「フレッド、ジョージ!お行儀よくね!ロン!しっかり勉強なさい!ジニー、元気でね!ハニー、ハーマイオニー!ロンと仲良くお願いね!」

ハーマイオニー「はい。おばさま、泊めてくださって本当にありがとうございました」

ハニー「えぇ、そうしてあげるわ。お母様、夏中色々と。本当にありがとう」

モリー「あら、いい子たちね本当に。こちらこそよ、イロイロと」

ビル「元気でな。フレッド、ジョージ。資産のことで相談があったらマシな小鬼を紹介するぜ」

モリー「ビル、何をおかしなことを言っているの?」

フレッジョ「「ほんとだぜビル、頼むよ」」

チャーリー「じゃあな、みんな。ジニーも。お前もすっかり大きくなってびっくりしたよ……でも、僕とパースはまたすぐ会えると思うぜ」

ジニー「? どうして?」

チャーリー「今にわかる。僕がそう言ったこと、パーシーにはナイショだぜ?何せ『魔法省の超機密事項』、だからな」

ロン「! チャーリーも関わってるのか!?」

ビル「あぁ、僕もホグワーツに戻りたい。今城にいる子たちはラッキーだよ。あんないいものが観られるなんて。なんなら休暇をとって見物にでも行こうかな」

ロン「だから、何をさ!!」

モリー「さぁさ、お乗りなさい!すぐに分かりますよ!今晩にもねっ!いってらっしゃい!!」


ポーーーーーーーーッ!!


 ガタンゴトン、ガタンゴトンガタン……

210 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 13:15:45.18 ID:xStfciWo0

車内

ロン「一体全体何なんだろうな。何が開催されるんだろ。ハニー祭り?あぁ、毎日か」

ハニー「常日頃から崇め奉られているものね、えぇ」

ハーマイオニー「魔法省も、ドラゴン研究をしているチャーリーも巻き込む一大イベント、ってことよね」

ロン「何がなんだか。漏れない大鍋の展覧会だったら僕ぁパーシーの鼻に鍋を投げつけてやるね」

ハニー「もっと重要なことでしょうけれど。空いているコンパートメントがないわね……あら」


 ドラコ「父上は僕を本当はダームストラングに入れたがっていたんだ。だって、そうだろう?あそこは『闇の魔術』に対してホグワーツなんかよりもっと進んだ教育をしてる」

 クラッブ「……穢」

 ドラコ「うん?そうだな、あすこは『穢れた血』の入学も認めない。よく覚えてたじゃないか。偉いぞ。でも母上が、あんな遠くの学校に僕をやるのを嫌がってね」

 ゴイル「……菓子食べたい」

 ドラコ「うん?あぁ、そうだな。僕はかしこまるほどに大事にされてる。母上だからな。母上だから」


ハニー「……」

ピシャッ

ハニー「少しだけ扉があいていたせいで聞きたくもない会話が聞こえてしまったわ」

ロン「つっこんだら負けだから深く触れないけど、それじゃあいつはダームスなんとかの方が自分にあってた、って言いたいのかい?そうしてくれればどれだけ良かったか」

ハーマイオニー「お互いの精神衛生的にもね、えぇ。ダームストラング、よ。マルフォイのような人が好みそうなところだわ。とっても評判が悪いもの。闇の魔術に力をいれている、って」



213 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 13:27:00.81 ID:xStfciWo0

ロン「へぇ。元闇の陣営(笑)のお家な奴さんに、ほんと、お誂え向きじゃないか」

ハニー「さっさとそちらに転校してしまえばいいのに」

ハーマイオニー「一度入学したらムリだと思うわよ。元の学校の位置を知ってしまっているじゃない」

ロン「……?何言ってんのさ、君」

ハーマイオニー「あのねぇ。そもそもホグワーツはとっても厳重に、それに巧妙に隠されているでしょう?他のどこの魔法学校だって同じだけど」

ロン「隠されてる?何言ってんのさ、あんなバカでかい城を?」

ハーマイオニー「だから、そんなものをそのまま放っておくわけないじゃない。ワールドカップの会場にもかけられていた『マグル避け』だとか、移動の呪文の制限だとか、その他色々……あなたたち、『ホグワーツの歴史』をまだ読んでいないの??」

ロン「そんなもん、君が覚えてるんだから必要ないだろ?」

ハニー「ハーマイオニーはとっても頼りになるものね。そうでしょ」

ハーマイオニー「っ、光栄だけど、もう。それで、どの魔法学校も詳しい所在は在校生やOBしか知らないのよ。もっとも、ダームストラングはとっても寒いところだと思うわ。『欧州の名門魔法学校案内』によると、制服に毛皮のケープがあったし……」

ロン「あぁ、それならもっとたくさんチャンスがあったかもな。あのフォイフォイを氷河から突き落として挟まるフォイさせたりさぁ。残念だ。ハニーに出会えたから帳消しだけどねヒンヒン!」

ハニー「雪のふりしきる地での私っていうのも映えるでしょうね」

ロン「砂漠だろうが雪山だろうが君が入れば最高のステージさ!もちのロンで!」

214 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 13:32:41.18 ID:xStfciWo0

ネビル「ヒンヒン!ハニー!一人で座ってたら君に見えられるなんてなんて僕ついてるんだろう!ヒンヒン!」

ハニー「ハァイ、ネビル。夏休みはどうだった?」

ロン「僕ら、クィディッチの決勝を観にいったんだぜ!ネビル!」

ネビル「うわぁー!すっごい!すっごい試合だったって聞いたよ!あと謎の美少女に何人って観客が別の意味で熱狂したとかなんとか……」

ハニー「呼んだかしら」

ネビル「ヒンヒーン!やっぱりねハニー!君は最高だよハニー!ヒンヒンヒン!」

ハニー「賞賛の言葉は高貴で可憐で儚げで伝説的から受け付けるわ」

ハーマイオニー「気に入ったのね伝説ってフレーズ」

215 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 13:41:51.65 ID:xStfciWo0

ロン「これみろよ、ネビル。クラムの人形」

ネビル「うわぁー!あの、ハニーの次にもの凄いシーカーの!?すごい!実物みたいだ」

ハーマイオニー「ほんと訓練されてるわねあなたの豚って」

ハニー「当たり前じゃない。あと、私以外が豚って呼んじゃダメだったら」

ロン「それにな、ネビル!聞いて驚け、僕達なんと貴賓席だったんだ……」

ガラッ

ドラコ「そして君の人生最初で最後のな、ウィーズリー!」

ピシャンッ!

ロン「……それでな?すぐ間近にクラムが通り過ぎたんだ!あぁ、僕あの時絶対クラムと眼があって……」

ガラッ!

ドラコ「おい!今眼があっただろう!!何事もなかったのように扉を閉めるな!挟まるフォイしたらどうなると思」

ピシャンッ!

ガチッ

ロン「うるさくてごめんよハニー。僕のトランクでひっかけておいたからね。なんだろうねここの扉、たてつけが悪いのかな」

ハニー「そうね、さっきから開いたり閉まったり。なんなのかしら」

ハーマイオニー「きっと見た目も性格も悪い生霊かなにかの仕業じゃない?」


 ドラコ「こんのっ、おいクラッブ!ゴイル!タックルだ!突き破れぇっ!!」


ロン「せめて杖使えこの肉ダルマ!!あぁ、僕のトランクの中身が!!マーリンの髭!!!!」

217 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 13:50:48.91 ID:xStfciWo0

ドラコ「おや?おいおい、ウィーズリー。この服はなんだい?」

ロン「……糞くらえ」

ドラコ「これは驚いた!一八九〇年代に流行した骨董品だ!はっは、ウィーズリー!まさかこいつを着るつもりじゃないだろうな!そこの勘違い女王でもエスコートするのか?それともお似合いなぼさぼさ頭のほうか?」

ロン「何を言ってるんだ君は、うるさいな。とっとと帰れよ」

ハニー「招いた覚えはないわ、帰りなさいよ」

ハーマイオニー「お似合いって何よ余計なお世話よ帰ってよ」

ネビル「君がいると空気がマズイよ、ってトレバーが言ってる」

ドラコ「失礼のたたみかけか君らは!ふんっ、ポッター。どうせ君はエントリーするんだろう?目立ちたがり屋のポッター、見せびらかすチャンスは逃さないんだろう?」

ハニー「?」

ドラコ「それともウィーズリー、君が参加するのかい?賞金も出るようだしな、あぁ。そうすればもっと困るフォイゴホン困らないマシなローブが買えるかもなぁ?」

ロン「さっきから、君は何を言ってるんだ?フォイフォイフォイフォイうるさいな」

ドラコ「……まさか。ウィーズリー!知らないのかい!?え!?家族が二人も魔法省で勤めてるっていうのに!こりゃ傑作だ!!っはははははは!ほら、二人とも、笑え!ははっははははははは!」

クラッブ・ゴイル「「ゲラゲラゲラゲラ!!」」

ドラコ「父上なんかとっくの昔にファッジから聞いて僕に教えてくださったのに。そうか、君の兄貴や父親の前では重要なことは話さないんだろうな。悪いね、意地悪を言ってしまって。精々みじめに道中楽しめばいい!」

ピシャンッ!!

220 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 13:58:21.06 ID:xStfciWo0

ロン「……単刀直入に、あいつへの感情を二文字で表すよ」

ロン「死ねっ!!!!!!」

ハーマイオニー「ロン、挑発にのってはダメよ」

ロン「僕が?あいつなんかの挑発に?ハッ!誰が!煮えたぎってるのはハニーへの情熱だけだよ」

ハニー「いつでも沸騰させればいいけれど、あの人はムシが一番じゃない……汚い言葉で悪態をつく豚は嫌いよ?」

ロン「ごめんよハニー!マルフォイのやつ、どこか遠いところでおかくれになられればいいのにな!!」

ネビル「あー、ネビル。トランクの中身をしまわないと。手伝うよ……このドレス、あー、個性的だね」

ロン「ありがとよ。なんなら豚のよしみでタダでくれてやろうか」

ネビル「餌にもならないよ」

221 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 14:04:50.79 ID:xStfciWo0



ロン「まだ雨が続いてるなぁ。さぁハニー!僕の腕の下にお隠れよ!濡れて風邪なんてひかせたら豚どもに罵られるからね!」

ハニー「えぇ、できる豚ね。ハーマイオニー、もっとロンにひっつかないと濡れてしまうわよ」

ハーマイオニー「あなたねぇ……あっ、あそこ。ハグリッドだわ」

ハグリッド「いっちねんせいはこっち!いっちねんせいはこっちだ!ヒンヒン!ハニー!元気かぁー!ロン!ハニーをしっかり雨から守っちょれよーー!」

ロン「任せろよ同士!ヒンヒン!」

ハニー「引率しっかりやるのよ、ハグリッド!私の可愛い豚!」

ハグリッド「おっほぉー!ヒンヒン、ヒンヒンだハニー!よーしいっちねんせい!気合が入ったし、今年はちょっくら湖を泳いで渡るとするかぁー!」

ハーマイオニー「新学期早々事故を起こさないで頂戴ハグリッド!あなたはただでさえ、ただでさえなんだから!!!!!」

224 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 14:14:20.67 ID:xStfciWo0

大広間

組分け「被ってごらん〜♪すっぽりと〜♪」

ハニー「私達のときと、歌が違うわ」

ハーマイオニー「?それはそうよ……あぁ、そういえばハニーは自分以外の組分けを見るのは今年が初めてなのね」

ロン「毎年毎年何かしら起きっちまうからなぁ、ホグワーツに来るまでに。今年はフォイ襲来だけだったけど。ハニー、やっぱり世界は君を放っておかないねハニー!」

ハニー「中心だものね」

コリン「ハニー!こんばんわ!早速一枚!わぁーぉ!ありがとうございまヒンヒン!弟も今年からカメラクルーに入れようと思うんですが構いませんか!?ヒンヒン!」

ハニー「ハァイ、コリン。弟?あなた、弟がいたの」

コリン「はいっ!今年入学の、デニスといいます!豚にしてやってください!あっ、丁度今、組分けですよ!」

組分け「……」

デニス「……」

組分け「……慎みなさい、いいね? ハニ、ちがった。グリフィンドーーーール!!」

ワアアアアアアアアア!
 パチパチパチパチパチ ザワザワザワ

ハニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

コリン「やった!やった!やっぱりグリフィンドールだ!この三年間デニスにあなたの写真を送りまくった甲斐がありました!!!」

ロン「コリン、ちょっとあとで定例会議開くから絶対参加だぜ。弟もな」

225 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 14:23:22.56 ID:xStfciWo0

ダンブルドア「無事組分けも終わり、皆の衆の意識はペコペコのお腹に集中していることじゃろう。それとも目の前の空っぽの大皿かの?」

ダンブルドア「ところでじゃ、今年はホグワーツで素敵な催しを……と、今言うても無駄じゃろう」

ダンブルドア「おもいっきりかっこめぇい!!!」

フレッジョ「「いいぞいいぞっ!!!」」

ワイワイワイワイ
 ガヤガヤガヤガヤ

ロン「あー、これとハニーのために生きてるよな。ママの料理もいいけど、城のご馳走も最高さ」

ほとんど首なしニック「やあハニー、素敵な夕べですね」

ハニー「ハァイ、ニコラス。出来れば次からは私が食べているポークチョップから現れるのはやめてもらえるかしら?」

ハーマイオニー「ロン、いじきたないわよ大声あげてがっついてハニーの皿をひっくり返すなんて」

ロン「全くだよごめんねハニー。まるで女の子のような声をあげちまって」

ニック「なんだか話がよめませんが。今年も優秀な人材が揃ったようで素晴らしいですな。今年も是非とも、グリフィンドールの連続優勝記録を保ってほしいところですが」

ハニー「私がいるのよ?杞憂はおやめなさい」

ニック「違いありませんハニー!我らが霊魂の導き手!ヒンヒン! あぁ、お食事を邪魔してすみませんね。もっとも、この食事もなんとか間に合ったそうですがね」

ロン「なんだい?厨房にシリウス・ブラックでも迷い込んだのかい?」

ハニー「えっ!?」

ハーマイオニー「冗談よ、ハニー」

ニック「そこまでの自体ではありませんが。実は、今年度から雇われた屋敷しもべ妖精がとんでもない大ミスをしてしまい、スープが全部ダメになった、と、太った修道士が……」

ハーマイオニー「……ちょっと!?今、とんでもない台詞が聞こえた気がするわ!こ、この城に、屋敷しもべ妖精!?それこそ、冗談、冗談でしょう!?」

ニック「? 至極当然のことと思いますが、ハニーの美しさくらい」

ハニー「自然の摂理ね」

ハーマイオニー「そんなことで片付けさせるものですか!」

229 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 14:33:49.18 ID:xStfciWo0

ハーマイオニー「……」

ロン「……なぁ、ハーマイオニー。そりゃぁこの城じゃ英国一屋敷しもべ妖精が雇われてる、ってのは君にとって衝撃の事実だったかもしれないけどさぁ」

ハニー「あなた一人が絶食しても、何も変わらないとおもうのだけれど?計画性のないダイエットは無謀よ?」

ハーマイオニー「私がこれまでのうのうと食べていたこれらが!彼らの奴隷労働の形だったんだわ!お給料ももらわないで、休みもなくて!奴隷労働!!!!」

ロン「あー……もう、勘弁してくれよ。お腹がすいたら勉強もできやしないぜ?」

ハーマイオニー「明日からでもハグリッドの菜園からお野菜を分けもらって自分で作るわ!奴隷労働!」

ロン「呆れた、君、包丁一つ満足に使えてなかったじゃないか。あー、ハニー?君から教えてやってくれよ。君くらいになるのにどれくらい大変か、ってさあ」

ハニー「必要に迫られればあんなもの誰でも出来るわよ……ハーマイオニー?」

ハーマイオニー「何を言っても無駄よ!奴隷労働!」

ハニー「……ふーっ。ロン、そこのスープをよこして」

ロン「うん?はい、ハニー!でもどうすんだい?え?これを、君自身が飲んで何にな……ヒンヒン!豚ども!!!バリケードだ!!!!」

ヒンヒーーーン!

ハーマイオニー「? なぁに、私達を外から見えなくするみたいにハニーの豚たちで壁、むぐっ!?ん、んーーっ!!ぷはっ、はnんぐっ!〜〜〜〜っ!!」

ハニー「ぷはっ……これいじょうごねるなら、ずーっとこれで食べさせるわよ?どうなの?」

ハーマイオニー「……」

ハニー「なぁに?」

ハーマイオニー「……も、っと」



ロン「よくやったぜ豚ども!え?なんだい?羨ましい?そこかわれ?もげはぜろ?HAHAHA!やだねっ!!!!

233 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 14:50:03.80 ID:xStfciWo0

ダンブルドア「さて。みなの衆お腹一杯になったことじゃろう。別の意味で胸いっぱいになった子もおるようじゃが」

ハーマイオニー「絶対に禁止よ!!いい、もう二度と!!いいわね!?」

ハニー「あんなに喜んでいたのに」

ハーマイオニー「あ、あれは、熱にあてられてというか、口走っただけで、あ、あぁ、そう、だけど、ハニーの前じゃ私の胸の中はインセンディオで……やめなさいって言ってるの!!!!」

ロン「いや、いや。つづけて」

ダンブルドア「どうz」

マクゴナガル「アルバス」

ダンブルドア「うぉっほん!みなにいくつかお知らせがある。真に残念じゃが、今年は、寮対抗クィディッチ試合は中止じゃ。これはわしとしてもとても残念な……」

エェエエエエエエエエエ!?!
 ふざけんなーーーーーーー!! ガヤガヤガヤガヤ

ダンブルドア「お怒りごもっともじゃ。あー、泣き出しそうな子もおるの。すまん、ヒンヒン。じゃが、代わりと言ってはなんじゃがみなのしゅうを大いに満足させるイベントがある!ホントじゃ。嘘じゃない。その眼はやめるのじゃ、誰とは言わんが」

ダンブルドア「今年、ホグワーツで……!」

ピシャァアアアアアンッゴロゴロゴロゴロッ!!!
  バターーーーーーンッ!!!

ハニー「きゃぁ!?!?」

ロン「うわっ!もの凄い雷の音と一緒にかがんだハニーが下に敷いた僕の背中にすがりついてありがとうございます!!!」

ハーマイオニー「び、びっくりしたわね……あ、あら?大広間の扉が開いて……あっ」

フレッド「……っひゅー、さっすが。すんばらしいご登場だぜ」

ジョージ「義足に曲がった鼻、それに、あのでっかい青い義眼」

ダンブルドア「みなに、先に紹介しよう。今年度から『闇の魔術に対する防衛術』を担当なさってくれる、ムーディ先生じゃ。アラスター、久しぶりじゃの」

ムーディ「そうだなアルバス。まったくふざけた天井だ」

ダンブルドア「……それで、久しぶりの再開なのじゃが、わしの髭を必要にひっぱるのはなんの挨拶かね?」

ムーディ「貴様がニセモノだという可能性がある。おいアルバスのようなもの、俺とお前が大法廷であの腐りきった某校長から聞いた闇の陣営の者の名は?」

ダンブルドア「ドロホフじゃろう?あのころは君もまだ両目があってマッド-アイではなかったのう」

ザワザワザワザワ





235 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 14:57:52.92 ID:xStfciWo0

ロン「マッド-アイが、ホグワーツの教師!?それじゃ、パパが奴さんを庇いに行ったのは、このためだったんだ!」

フレッド「まったく親父殿も水臭ぜ!もったいない!」

ジョージ「こーんなサプライズを黙ってるなんてさ!」

ハニー「……」

ハーマイオニー「あー、ハニー?大丈夫よ、えぇ。意外に冗談というか、なんというか。そういうのが通じる人のようだから」

フレッド「甘いね、ハーマイオニー。奴さんは本気で大真面目にダンブルドアの髭をひっぱりまくってるからヤバイのさ」

ジョージ「その昔ハロウィーンで奴さんを脅かした奴がどんな目にあったか知ってるか、ハーマイオニー。語るも涙、さ」

ハニー「……今年の授業って減らせないの」

ロン「ちょっと校長にかけあってくるよ!僕のハニーのためならマッド-アイがなんだ!泥目なんて屁でもないさ!」

ハーマイオニー「そのマッドではないしあなたが目も当てられないことになったらハニーがもっと取り乱すからやめなさい」

236 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 15:10:53.12 ID:xStfciWo0

ダンブルドア「えー、それではお知らせのつづきじゃ。皆の気分がムーディ・ショックから立ち直ったかの?落ち着きたいときは、ほれ。ひっひ、ふーじゃぞ」

ダンブルドア「さて。クィディッチは今年度は取りやめ、そこまで知らせたことと思うが。代わりにホグワーツではまことに心躍るイベントを主催する運びとなった。魔法省の各署が何ヶ月にもわたり調整をかさね、ようやく決定したことじゃ」

ダンブルドア「今年、ホグワーツで。三大魔法学校対抗試合<トライウィザード・トーナメント>を行う!」

フレッジョ「「ご冗談でしょう!?!?」」

ガヤガヤガヤガヤガヤ
 ザワザワザワザワザワザワ
 ヒソヒソヒソヒソヒヒソヒンヒソヒン

ダンブルドア「ほっほ。冗談など言っておらんよ、ミスター・ウィーズリーズ。じゃがせっかくなので、この夏聞いた素晴らしいジョークを一つ。トロールと鬼婆とレプラコーンが一緒に飲み屋に入ってな――」

マクゴナガル「アルバス」

ダンブルドア「……おっほん。そう、三大魔法学校対抗試合の話じゃ」


ハニー「……なんだかどこかで聞いたわね。確か、ロン?あなたがくちばしっていたように思うのだけれど?」

ロン「あー、僕もビルとかチャーリーにむかーし、少しだけ。なんだっけ?有名な魔法学校が集まって、代表選手が競い合うんだよ」


ダンブルドア「そうじゃ。おぉ、すまんのみなのしゅう。この試合というのは、ヨーロッパ有数の名門校三つ――すなわちホグワーツ、ボーバトン、ダームストラング――が集まって、各校の代表選手<チャンピオン>が三つの魔法競技を争うのじゃ」

ダンブルドア「魔法使い、魔女たちが国を超えて絆を築くには、これが一番の方法じゃという理念のもとにのう」

ダンブルドア「おびただしい死者が出るにいたって、競技が中止されるまで、じゃが」

ザワザワザワザワ


ハーマイオニー「おびただしい死者!?」

ロン「すっげーや、そんな競技が復活するなんて!」

ハーマイオニー「ちょっと、ロン!最後の言葉を聞いてなかったの!?ねぇハニー、あなたもきっと怖がって……

ハニー「どんな競技を、するのかしら!」

ハーマイオニー「……好奇心が勝ったのね。あなたはたまに強気よね、たまに」

ハニー「いつ何時だって私は私よ、そうでしょ?」

237 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 15:25:38.23 ID:xStfciWo0

ダンブルドア「七百年前にこの競技が中止に追いやられてから何度となく復活の動きがあったのじゃが、その度に断念する結果となっておった」

ダンブルドア「じゃが今年は、各署の尽力もありいまこそ再開の期は熟せり、と相成ったのじゃ。ご紹介しよう、『国際魔法協力部』のバーテミウス・クラウチ氏。そして『魔法ゲーム・スポーツ部』のルドビッチ・バグマン氏じゃ」

ワァアアアアアアアア!
 パチパチパチパチ!

ロン「バグマンだ!奴さん、またあの選手時代のローブを着ているよ」

ハニー「一番気分が高まるんでしょうね、分かるわ」

ハーマイオニー「あなたが一番高まるのって何も着てないとkやめるわ、墓穴を掘るのは」


バグマン「よう!よう!ダンブルドア、それにホグワーツの諸君!すっげぇ試合だぞ!さぁはったはった……はは、バーティ!冗談だ、冗談!」

クラウチ「冗談じゃないぞ、ルード。まったく君という奴は……生徒諸君。この試合には一千ガリオンの賞金が用意されているが、間違ってもこの男のような軽率さで参加を決めないように……」

ザワザワザワザワザワ!

ロン「一千、ガリオン……!?えっ、あっ、ひー、ふー、みー、いっせ、せ、ちょっと僕、あのひとがなにをいってるかわからない」

ハーマイオニー「凄い賞金ね……でもそれだけ、危険なものってことでしょう?」


クラウチ「――と、ここまで説明するとそのような反応になると分かっていたため。魔法省はこの再開する三大魔法学校対抗試合において、17歳以上の年齢制限を設けることとした!これは最終決定である!」

エェエエエエエエエエ!?!?
 ザワザワザワザワ


フレッド「おいおい、おい!ふざけんな!」

ジョージ「俺達四月には17なんだぜ!?」


クラウチ「選手の選抜に関しては公正な審判のもとに選ばれるため、どのようなごまかしもきかないものと思っていただきたい!以上! ダンブルドア」

ダンブルドア「しずまれーーーーぇい! うむ、よろしい。それでは、お客様をご招待しようかの」

ダンブルドア「マダム・マクシームとボーバトン魔法アカデミーの生徒じゃ」

238 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 15:34:54.25 ID:xStfciWo0

バターーーン!

ズンッ、ズンッ、ズンッ

ロン「……おったまげー」

ハーマイオニー「そ、そうね……あの、先頭を歩いている、女の人。ハグリッドと同じくらい?もっと大きいかもしれないわ!」

ハニー「ハグリッド以外に初めて見るわね、あんなに大きい人は。そうね、驚きね、ロン……あら?」

ロン「いや、僕の言っているのはそっちじゃ、なくってさぁ……あそこの、女の子、あれ、あぁハニー、君の美しさは世界最高だけど、もちろんそうなんだけdハッ!!ハニー!僕の頬に一発お願いしまああああっ!ありがとうございます!!!ヒンヒン!!!」

ハーマイオニー「……確かに一人、凄く目立っているわね。シルバーブランドの髪で、神秘的で。それに……」

あぁフラーーーー!僕達・私達のフラーーーーーーー!
 ブヒィーーーー!ブヒィーーーーーーー!!!

フラー「かわーいい子豚さーんたちですねー。ブヒブヒ啼いてみなさーい!」

ハーマイオニー「……人間矢倉の天辺に陣取っているのも。どこかで観た光景だわ」

ハニー「……なんでかしら。イラっとするわ」

ハーマイオニー「まごうことなく同属嫌悪だわ」

239 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 15:41:01.71 ID:xStfciWo0

ダンブルドア「長旅ご苦労じゃったの、マダム・マクシーム」

マクシーム「おー、だんぶりーどーる?うーまは表にとめてきまーしたけど、世話を頼めまーすか?貴重なうーまなんでーす」

ダブルドア「もちろんじゃ。この城の『魔法生物飼育学』の教授がしっかり見てくれるじゃろう」

マクシーム「でーすが、私のうーまはとても力がつよいーでーす」

ハグリッド「ま、任しちょくれ!なぁに!馬なんぞ俺にかかれば!こう!そんでこう!こうだ!でーじょうぶ!」

フリットウィック「ぎゃぁ!?ぎゃぁああっ!?!?」

マクシーム「おぉぅ……便りになりまーす。それで、その折りたたんだひーとはどうなるでーす?」

ハグリッド「うん?折りたたむ?なんのこっちゃ……うわぁああ!?フリットウィック先生どうなっちょるんだあんた!?」

ダンブルドア「ミネルバ、ポピーを頼む」

マクゴナガル「既に呼んでありますとも」

ダンブルドア「ほっほ、さすがじゃのう。それでは続いて、カルカロフ校長、そしてダームストラング専門学校の生徒たちじゃ!」

240 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 15:50:07.27 ID:xStfciWo0

ロン「!?!?ちょ、ちょっと待ってくれ、おいおいおいおい!?」

ハニー「まぁ……嘘でしょ?」

ハーマイオニー「あれって……あの、髭の長い校長らしい人の隣にいるのって」

カルカロフ「ダンブルドア!やあやあ、元気にしていたかね」

ダンブルドア「元気一杯じゃよ、イゴール」

カルカロフ「お招きいただきどうも……おや、後ろに懐かしい顔も」

スネイプ「……」

カルカロフ「いやぁ、ホグワーツの何もかもが懐かしい!実に嬉しいよ!ところで、暖炉に近い席を用意してくれたかね?我々は寒いところから来た上に、一人体調の良くない子がいてね。ほら、知っているだろう。この……」

ロン「クラム!!!ビクトール・クラムだ!!!!!!!」

ワァアアアアアアアアアアアア!!!
 キャアアアアアアアアーーーーーーーーー!クラム様こっちむいてーーーーーーーーー!!

クラム「……」



ハニー「……すごいわ!ね、ハーマイオニー!」

ハーマイオニー「……全然分からないわ。やっぱりムスっとしてて、猫背で……飛んでるときが嘘みたいじゃない?」

ロン「嘘みたいなのは君の感性だろハーマイオニー!すっげぇぜ!!最高だぜダンブルドア!ハニーの次に!!ヒンヒンヒーーーン!」

ダンブルドア「ほっほ、そうじゃのう。ヒンヒン」

カルカロフ「?」

242 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/21(月) 16:00:11.78 ID:xStfciWo0

ダンブルドア「さてさて。お客様が着席したところで、もう少しばかり説明しておこうかの」

「フラー!こんな硬いいすにあなたを座らせられません!僕がマットになりますブヒィ!」
「いいえフラー!いっそ僕があなたの椅子になりますブヒィ!ならせてくださいブヒィ!」
「男子は黙ってなさいよ!フラー!フラーあぁフラー!あーーーっ!!!」

※子豚語は子豚語なのでフランス語訛りがありません

フラー「子豚さーんたち、静かにしてくーださーい。おしおきしまーすよ?」

「「「「「お願いしますブヒィーーーーー!!」」」」」

ハニー「……統制がとれてるわね」

ロン「おい豚ども!負けてらんないぞ!みんなで特訓した豚組み体操、見せてやろうぜ!ヒンヒン!」

ヒンヒンヒーーーーン!

ハーマイオニー「学業に励む時間に何をやってるのあなたたちは。座りなさい」


ダンブルドア「元気がいいのはよいことじゃ。それでは、皆に代表選手を選ぶものを紹介しよう……」

ヒュンッ

サラサラサラサラサラ

ハニー「! 腹黒豚の杖の一振りで、校長席に置いてあった金の箱が……溶けていったわ」

ハーマイオニー「出てきたのも……金色の、何かしら。カップ?」

ロン「なんだ、ハニー像かと思ったのに……うわっ!?」

ボォオオオオオオ!!

ハニー「火が、ついたわ……綺麗」

ダンブルドア「ホグワーツ魔法・魔術学校、ボーバトン魔法アカデミー、ダームストラング専門学校の17歳以上の生徒たちは、明日からハロウィーンにかけてこの城で生活してもらい。決心のついたものから、この魔法火の中に名前を書いた紙を入れるのじゃ」

ダンブルドア「忘れるでないぞ?この魔法火はれっきとした魔法契約!成人したての諸君らといえど、この拘束から逃れられることは出来んのじゃ」

ダンブルドア「この、公正賢明たる審判の道具……炎のゴブレットからはのう」

ハニー「……炎の、ゴブレット?」

269 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 12:48:49.97 ID:MdQly6LE0

新学期

ザワザワザワ

ネビル「おはようハニー!君って新学期の晴れやかな気分にぴったりなくらいステキだね!ヒンヒン!」

ロン「あぁネビル、まさに僕らの心に吹き渡る春うららかな風だよなヒンヒン!」

ハーマイオニー「九月よ。まったくあなたたちは四年生になっても変わらないのね」

ハニー「私の可愛い豚さんだもの。あら、ハーマイオニー?本当に自分で食べることにしたのね……」

ハーマイオニー「まぁね。ざ、残念そうな顔をしないの!どちらにせよもうあんな真似はさせないわ!」

ロン「そういわず」

ネビル「遠慮なさらず」

ハーマイオニー「黙って。屋敷しもべ妖精の地位向上のためにはもっとやるべきことがある、って分かったのよ」

ハニー「そうね。勧誘しにいく?」

ハーマイオニー「精神的には救われるでしょうけど彼ら個人の地位は豚になるじゃないの」

273 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 12:55:59.00 ID:MdQly6LE0

ロン「おいおい、ハニーの豚なんてそんなクィディッチで例えればチャドリーキャノンズの終身名誉監督レベルだぜ?」

ネビル「キャノンズじゃダメじゃないかな……マグパイズだよ」

ロン「おいネビルいくら豚仲間といえどそれは僕に喧嘩を売ってるぞ……クィディッチといえば、クラムはスリザリンの席で朝食なんだよなぁ」

ハニー「マルフォイがおべっかつかっているわね」

ハーマイオニー「あそこの校長の、カルカロフは。なんだかスネイプ先生と話し込んでいたものね。昨日の席で」

ロン「その理論でいくとハグリッドと同じくらいデカイ校長がいるボーバトンの子たちはグリフィンドールに座るべきjいいや!ここにはハニーさえいればいいそうだよね具体的には僕の背中の上にねヒンヒン!!!」

ハニー「そうね、座り心地はいいけれど最近なんだかおかしなことを口走る豚にはうっかりかぼちゃジュースがこぼれそうだわ」

ロン「がぼがぼありがとうごぼごぼ」

ネビル「……一番豚昇格のチャンスなのかなぁ」

ハーマイオニー「どうかしらね」

275 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 13:07:03.36 ID:MdQly6LE0

フレッド「へいへいハニー、我らが女王様。例によって初日からマクゴナガルの使いっぱしりな俺達から君らの時間割の配布だぜ」

ジョージ「まったく女史も年々堪忍袋が磨り減っていると見えるね。僕らはただちょいとばかり祭り気分に華を添えただけなのに」

ハーマイオニー「大広間までの壁中に『年齢制限を十六歳に引き下げろ!マーリンの髭!』と書きまくるのはただのやりすぎな主張だわ」

ロン「おかげで僕が疑われたんだからな!マーリンの髭!」

ハニー「二人とも、それでもやっぱり参加するつもりなのでしょう?」

フレッド「もちのそこのマットさ。僕らの見込みじゃ、『老け薬』数滴でいけるはずだ」

ジョージ「ダンブルドア自ら引いた『年齢線』があったって、こいつは見抜けないだろ」

ハーマイオニー「ダンブルドア先生を甘くみすぎよ」

ハニー「一度は成功したとみせかけて叩き落すような気がするわ。あの腹黒だもの」

ネビル「で、でも、本気なの?とっても危険なんだろう?」

フレッド「おっとネビル、豚の中の漢たる君の台詞とは思えんねぇ」

ジョージ「なーに、今年は安全対策ばっちりだっていうじゃないか」

ハーマイオニー「それでも並大抵じゃないはずよ。過去の事例じゃコカトリスと対戦したこともあるというもの」

フレッド「コカトリス?そいつはさぁ」

ジョージ「怒ったママより怖いのかい」

ロン「そんな生物がいてたまるか。ハニーより美しいものが存在してないのと同じだろあぁハニー君は至高だね!」

ハニー「知ってるわ」

276 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 13:20:23.51 ID:MdQly6LE0

ハーマイオニー「過酷なのは競技だけじゃないわよ。代表選手になるほどの人って、相当な腕前の魔法使いでないと」

フレッド「おいおいハーマイオニー、僕らはグリフィンドールの悪戯番長をやってるんだぜ?」

ジョージ「ハーマイオニー、君は医務室に僕らの被害者専用ベッドがあると知らんとみえるね」

ハーマイオニー「知りたくもなかったわ。あのね、そういうことじゃなくて」

ハニー「私くらいの美しさがないと選ばれない、そういうこと?」

ハーマイオニー「自信があるのは結構だしその通りだけど茶々をいれないの。親善試合といっても、結局のところ各校の代表選手はお互いに激しくライバル視していたそうよ」

ロン「そりゃそうだよな。昨日僕らが豚定例会議に移動する時あっちの子豚勢と鉢合わせたけどさぁ」

ネビル「ヒンヒンとブヒィブヒィの罵り合いだったね、うん」

ハーマイオニー「次元が違うわ色んな意味で。選手はお互いに隠れて蹴落としあったり、情報を手に入れるために探り合ったり。手段を選ばない非情さもないといけないそうよ」

ハニー「よく調べてたのね、ハーマイオニー」

ハーマイオニー「あなたが途中から邪魔をしなければもっと調べられたんですけどね……あっ、別に、別に嫌だったというわけじゃ、その……」

フレッド「ナニをしてたのかは聞かないぜ。ともかくさ、俺たちはやるよ」

ジョージ「ヘイロニー、俺らが手段を見つけたらお前も名前をいれるか?」

ロン「うーん、どうするかな。ハニー、三大魔法学校対抗試合チャンピオン豚って、君としてはどうだい?」

ハニー「私の豚はそれだけで私の可愛い豚だもの。特別なものはいらないわ」

ロン「ヒンヒン!」

ネビル「ヒンヒン!」

フレッド「ぶれないなぁ、関心するぜ」

ジョージ「全くもって尊敬はしないが」

278 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 13:34:30.61 ID:MdQly6LE0

ハーマイオニー「午前はずっと課外授業のようね」

ロン「ハニーと外で過ごせるなんて豚冥利に尽きるよな。えぇっと、ハッフルパフとの『薬草学』に……うげぇ」

ハニー「またスリザリンとこ合同で『魔法生物飼育学』、ね」

ハニー「……私、あまり授業に関して批判はしないけれど。先生方って、何を考えているのかしら」

ロン「去年あんなことがあったのにな。あぁハニー!今年はフォイの奴が血まみれになる前にすぐに君の目から隠すからね!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「ハグリッドが今度こそクビになりそうな予想はやめて。あら、あっちから歩いてくるのはアーニーとジャスティンだわ」

ロン「ハッフル豚だな。ヒンヒン!」

アーニー「ヒン!?ヒン!ヒンヒン!」

ジャスティン「ヒンヒーン!」

ロン「おはようございますハニーあぁハニー今年もあなたはステキですね、とアーニー。当たり前だろう僕達のハニーだぜおはよう、とジャスティンだってさ」

ハニー「知ってるわ」

ハーマイオニー「知らないでほしかったわ……本当に、なんなのあなたたち」

ロン「? ハニーの……」

ハーマイオニー「そうじゃなくて、そうだけどそうじゃなくて、もう」

ハニー「ハーマイオニー、なんだか疲れてるわね……そうね、ロン?まだ授業開始まで、時間はあるわよね……?」

ハーマイオニー「あっ、ちょっと、温室の柔らかい外壁に、なに、ダメよ、もうそんなに時間が、ああ、そんな、ハニー、あなたの悪魔の罠はインセンディオできないわ……」

アーニー「つづけてください」

ジャスティン「どうか」

ロン「ヒンヒン!」

279 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 13:42:58.39 ID:MdQly6LE0

温室

アーニー「そういうわけで、ハッフルパフからはセドリックが出るんだ」

ジャスティン「ハニーには遠く及ばないけど、彼も模範的な監督生だから。応援してほしいな。ヒンヒン!」

ロン「そりゃ無理な相談だよ二人とも。あいつには個人的に恨みがあるからね」

ハニー「いつまでも引きずらないの。えぇ、豚の頼みとあれば、選手になったら彼を応援するわ」

ロン「ヒンヒン!頑張れセドリック!豚をあげて応援するぜ!!!」

ハーマイオニー「変わり身早いわね、もう。でも、そうね。ズルをして参加しようとしている人たちよりは、よっぽど応援のし甲斐があるわ」

ロン「へー、どうだかね。君はセドリックが監督生だからそう言うんだろ。おまけに、ハンサムだしな。ケッ、ハニーの前じゃ霞む顔なのに女の子にキャーキャーいわれてさ」

ハーマイオニー「お言葉だけど。私はハンサムだからって理由で人を選んだりは……」

ロン「ロック!ゴホン!ハート!ゲフン!あー、なんだか本当に喉の調子が。うん?ハーマイオニー、何か言った?」

スプラウト「いいですか?『腫れ草』の膿を取り出すのは慎重な作業が必要です。いいですね?ゆっく、グレンジャーーーーー!?ウィーズリーに鉢を振りかぶるのはやめなさーーーーーい!?!?!?」

281 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 13:50:26.40 ID:MdQly6LE0

ハグリッドの小屋

ハグリッド「ようハニー!ヒンヒン!お前さんは今日も晴れやかだな!いつでもおてんとさまみてぇに輝いちょるが!ヒンヒン!」

ハニー「えぇ、眩しいくらいにね」

ハグリッド「ちげぇねぇ!そんで、おはようさんハーマイオニー。ロン、どうした?朝っぱらから顔に絆創膏張ってよぉ」

ロン「マーリンの髭」

ハーマイオニー「おはよう、ハグリッド。何でもないのよ、なんでも」

ドラコ「ふんっ、大方ドンくさいウィーズリーのことだ。何もないとこでそのデカ足でもひっかけたんだろう。なぁ?」

クラッブ・ゴイル「「ゲラゲラゲラ」」

ロン「あぁ、君いたの。誰かさんと違って足が長いもんでね、見えなかったよ。ハニーの姿は城のてっぺんからでも見つけるけどね!あぁ間違えた僕がハニーより高いとこにいるなんて頭が高いね!ごめんよヒンヒン!!」

ハニー「えぇ、あなたは私の大事な椅子だものね?」

ロン「もちのロンさ!」

ハグリッド「おい!ロン!ハニーに最初に腰掛けてもらえたのは俺だからな!豚同志ってぇ言ってもそこは譲らねぇぞ!」

ハーマイオニー「ハグリッド、授業を始めて」

283 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 14:00:55.50 ID:MdQly6LE0

ワサワサワサワサ
 ガシャガシャガシャガシャガシャガシャチャキチャキ
ボンッ!!! シューーーッ

ロン「……あー、ハグリッド。この、いくつもの木箱に入ったこれ、なんだい?新手のパーティーグッズ?」

ハグリッド「『尻尾爆発スクリュート』だ!とんでもねぇ!今朝孵ったばっかりの赤ちゃんだぞ!」

ハーマイオニー「……生き物には、違いないでしょう、けど。殻をむかれたイセエビみたいな……それなのに、脚が勝手気ままなところについているし……」

ハニー「……」

ロン「頭らしい頭も、どこにあるのやら……尻尾から火花が出てないかい、これ?」

ハグリッド「言っただろ!『尻尾爆発』ってな!」

ハーマイオニー「……棘があるようにも見えるわ」

ハグリッド「あー、多分雄だな。うん。雌には腹んとこに吸盤みたいなもんがある」

ロン「……さっきから名前とか、説明とか聞いてたらさ、ハグリッド。まさここいつ、君が……」

ハグリッド「……うぉっほん!どうだいハニー、すんげぇだろ!」

ハニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「……かわいい!!」

ロン「!?」

ハーマイオニー「!?」

ハグリッド「! そーか!そりゃよかった!!ヒンヒーン!!」

286 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 14:14:04.59 ID:MdQly6LE0

ハニー「ふふっ、ごらんなさいなネビル。こんなに一生懸命這いずり回って、時々はねて、ふふっ」

ネビル「あー、うん。あ、あはは」

ロン「……そういや蛇に『かわいい』って言うんだもんな、ハニー」

ハーマイオニー「……バックビークを最初に見たときも『綺麗』が感想だったわね」

ハニー「かわいいわ……そうね、さしずめ……爆発豚ね」

ハグリッド「ヒンヒン!気に入ってもらえてなによりだハニー!」

ロン「……どんな生き物にも慈愛を向けるハニー女神!!!ヒンヒン!」

ネビル「!そうか! ヒンヒン!!!」

ハーマイオニー「折り合いつけるの早かったわね、さすがだわ。見習わないけど」

ドラコ「ふんっ、何を言ってるんだか。こんな汚らしくて臭い生き物に」

ロン「おいフォイフォイ、隣の奴らにそんなこと言うなよ。いくらなんでもかわいそうだろ」

ドラコ「はぁ? おい違う!違うぞ!お前達に言ったんじゃない!確かにお前達は食い散らかすし汗臭いが、役に立つぞ!えーっと、風よけとか!」

クラッブ・ゴイル「「……」」

ドラコ「とにかく。こんな何のために生きてるかも分からない生き物を飼育して、なんになるっていうんだい?」

ハグリッド「そりゃドラコ、お前、生き物の命の大切さを学んでもらうための教材に決まってるだろ」

ドラコ「……」

ロン「……びっくりした」

ハーマイオニー「伊達に去年バックビークの裁判のために色々と証言の文句を覚えたわけじゃないのよ」

ハニー「出来る豚ね、ハグリッド」

ハグリッド「ヒンヒン!」

288 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 14:25:06.92 ID:MdQly6LE0

昼休み

ロン「大層な文句を並べてたけどさ。実際問題、飼育するために何を食べるのかも分かってないんじゃ意味もないよな。まったく、ハニーの豚じゃなかったらフォイを投げ入れてやりたいとこだったよ」

ハーマイオニー「最初の授業は『スクリュートが何を食べるのかを試そう』だものね……結局、なんでも食べたけど」

ハニー「育ち盛りなのよ、きっと。いいじゃない、新しい生き物のことを知れるのは新鮮だわ」

ハーマイオニー「あのね、ハニー。その『新しい生き物』って部分がちょっとマズイとことなわけなの」

ロン「触れてやるなよハーマイオニー、折角豚が増えたんだ。食べると言えば、君、やけに急いで食べてるけどどうしたんだい?ハニーみたいに育つにはちょっと遅いと思うよ、至高だからね」

ハーマイオニー「余計なお世話をありがとう。図書館に行きたいだけよ」

ハニー「図書館?」

ロン「おいおいハーマイオニー、新学期初日だぜ?宿題の『し』の字も出てないのに何を言ってるんだ!?ハニーに出会えて『し』あわせなのは当たり前だけどさ!」

ハーマイオニー「ちょっと調べたいことがあるの。あぁ、ハニー。午後は授業が違うから、また夕食の時に会いましょうね?」

ハニー「……折角、一緒にいられる時間なのに?」

ハーマイオニー「……明日にしようかしら、うん」

ロン「君、僕がその台詞を言うと怒髪天のくせに。あぁ、折れたい気持ちはよーく分かるけどね。マーリンの髭」

290 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 14:35:57.04 ID:MdQly6LE0

夕食

ロン「トレローニー!あのジャラジャラトンボめがねめ!山ほど宿題を出しやがってマーリンの髭!僕がハニーと過ごせる時間がマーリンの髭になっちまうじゃないか!」

ネビル「天体の動きが向こう一ヶ月どんな影響を与えるか、なんて……分かるわけないよぉ」

ハニー「こう書けばいいわ。『毎日高貴で可憐で儚げで伝説的な女の子の豚でした』って」

ロン「絶対的中に違いないもんな!さっすがハニーだ!ヒンヒン!」

ネビル「君って予言者になれるねハニー!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「せめて少しはバリエーションを持たせないとあのインチキ教師様も納得しないと思うわ」

ロン「何言ってんのさハーマイオニー。ハニーの素晴らしさは日を追うごとに膨れ上がるんだぜ?いつだて同じものはないよ」

ハニー「そのうちはじけてしまうかもしれないわね」

ロン「ハニーという宇宙の誕生ってわけだね」

ハーマイオニー「もう何がなんだか」

フレッド「相変わらずネジの緩んだお話をしているじゃぁないか、ようようハニーと豚ども」

ジョージ「そんな君らのネジを絞める話題があるぜ。ムーディ!奴さんの授業、スンゲーや」

ハニー「私以外が豚と呼ばないの。ムーディ?あの、ヘンテコな人ね」

291 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 14:45:37.51 ID:MdQly6LE0

ロン「スンゲーって、どういうことだよ。ハニーの等身大の像を作り出せる魔法でも教えてくれたのかい?詳しく聞かせろよ」

フレッド「そいつぁ世の豚どもが毎晩と寝不足になる事だなぁ。違う違う」

ジョージ「闇と戦った男の言うことは違うぜ!クール!の一言につきるね」

ハニー「回りくどいのは嫌いだわ」

フレッド「おっとごめんよお姫様。ようやく『闇の魔術に対する防衛術』として様になった授業ってことなのさ」

ジョージ「現実に『闇の魔術』と戦うってのはすげぇぜ。奴さんは全てを見てきてるな、あぁ。流石奇人様様さ」

ロン「この世の素晴らしさ全てを集めてるハニーの前じゃそんなもん。でも、そこまでなのか……えーっと、最初の『闇の魔術に対する防衛術』はいつだっけ?」

ハーマイオニー「木曜ね」

ロン「そっか。それじゃあ豚どもとハニーの視界を塞ぐフォーメーションの打ち合わせはばっちりできそうだな」

ハニー「余計な世話はやめなさい。どうしてそんなものが必要なの」

ハーマイオニー「ムーディ初見のあなたの表情から判断したロンこと一番豚の決定よ」

ロン「ハニー以外が僕を豚って呼ぶなよ!マーリンの髭!」

292 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 14:56:56.06 ID:MdQly6LE0

木曜日 午後

ロン「やっとこの日がきたねハニー!おいネビル、ボサっとするなよ。君は最前列組だろ」

ネビル「あぁ、ごめんよ……うぅ、スネイプ先生にくらった『かえるの腸取り』の罰則が、キツくって……」

ハニー「あの童貞教師、なんだか今年はいやに荒れているものね」

ロン「四年連続で狙ってた『闇の魔術に対する防衛術』教師のポストを逃してるんだものな。ざまぁみろだ。ハニーの豚にさえなれてないのが運のつきさ」

ハニー「そうね。今までも事情はあれど『闇の魔術に対する防衛術』の先生を嫌ってみえたけれど……なんだか今年は、ちょっと違うわ。ムーディを怖がってるみたい」

ロン「本当かい!?言いこと聞いた、フレッドとジョージに奴さんたちを同じ部屋に閉じ込めてもらおう!」

ネビル「やめてよ!!きっとそのとばっちりで罰則が増えるのは僕だよ!!!!」

ロン「ああ、あと何故か授業でアイマスクを配る率が増えるんだよな。あいつは授業をしたいのか隠したいのかなんなのか……あぁ、ハーマイオニーがやっと来たね」

ハーマイオニー「はぁっ、はっ、ごめ、ん、なさい。はぁっ、私、さっきまで、図書館に、いて」

ハニー「息を荒げるあなたはやっぱりステキだけれど、遅刻寸前なんて珍しいわね」

ロン「間に合ったからいいものの、こんな良い授業で良い席が取れないのは勿体無いよ。まぁみんなハニーのために毎回最前列は空けるけどね」

ハニー「優しい豚たちだわ」

ヒンヒーーン!

ガチャッ!!

ムーディ「何事だ!!!敵か!!呪うぞ!!!!!」

294 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 15:16:15.33 ID:MdQly6LE0

ムーディ「アラスター・ムーディだ。マッド-アイなんて呼ばれることもある。見てのとおり、こいつ!低俗な輩にえぐりとられた目の代わりにはめたこいつのおかげでな」

ロン「あれってすっげぇんだぜ、ハニー。パパが言ってたけど、万目鏡みたいに遠くまで見通すし、なんでも透視みたいなことも出来るとか。そんなこと出来なくても君はすっげぇけど」

ハニー「へぇ。随分と便利な道具なのね」

ムーディ「耳もすこぶるいいぞ、ウィーズリー!そうだな、この目のおかげで私の目の届かんところは無いと思えフィネガン!チューインガムは机の裏ではなく口の裏にでも貼り付けておくんだな!」

シェーマス「ひぇっ!?ま、マジかよ。ハニーくらいすげぇ」

ハーマイオニー「そればっかりねあなたたち」

ロン「何せすげぇからねハニーが」

ムーディ「元闇払い、オーラーだ。ダンブルドアに頼まれたからこの仕事を引き受けた。お前達に『闇の魔術』と戦う術を教えろ、とのことだ!なるほど、そうだろう!油断大敵!!!」

ハニー「っ」

ロン「おっとごめんよハニー揺らしちまって。驚いたね」

ハニー「そう、そうね。しっかりなさい、私の可愛い豚」

ムーディ「この油断ならん忌むべき術と戦うには、実践教育が一番だ。魔法省によればわしが教えるべきは『反対呪文』、そこまでだ!六年生になるまで『闇の魔術』には一切触れてはいかんことになっている」

ムーディ「あまっちょろい考えだ!その芽がある輩は一年生でとっくに『闇の魔術』にドップリだというのに!対抗する側が後手に回りどうする!?え!?そういうわけで、ダンブルドアはお前達の根性を見込んでわしを採用した!」

ムーディ「戦うべき相手を知り、戦う術を学べ!身をていして守り方を習得しろ!闇の魔法使いがいざ現れたとき!奴さんはお前達に懇切丁寧に魔法のことを教えてくれはせん!!!つねに警戒し緊張しろ!!油断大敵!!!!」

ムーディ「ミス・ブラウン!その手紙はわしを暗殺するための計画を練っていると思っていいのだろうな!!!!」

ラベンダー「ひぃっ!?と、とんでもないわ!!」

ムーディ「よろしい!それでは授業を始める!教科書?閉じておけ!そっとな!勢いよく動けば敵とみなす!!!」

ロン「やべぇよこいつ」



300 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 15:27:19.16 ID:MdQly6LE0

ムーディ「お前達にまずは質問だ。『許されざる呪文』と呼ばれるものはいくつあるか」

ハーマイオニー「三つです」

ムーディ「その意味は!」

ハーマイオニー「使用が許されて、いないからです。その三つは使うだけで、アズカバンで……」

ムーディ「アズカバンで終身刑!よろしい!わしがぶちこんだ輩の隣で一生を終えたいのなら存分に使うといいだろう!」

ハニー「クィリナスみたいに元気に過ごせるといいわね」

ハーマイオニー「特殊過ぎる例をださないの」

ムーディ「さて、どの呪文から教えるか……知っている者は!手をあげろ!両手を脇を開けてゆっくりな!」

ロン「何をする気だよ……えぇっと、たまにはこういうところでハニーに褒めてもらおう、うん。は、はい」

ムーディ「ウィーズリー!そうだな、貴様ならてておやから何か聞いているだろう。何だ!三つ数える間に答えろ」

ロン「普通に答えさせてよ!えっと、あー、『服従の呪文』とかなんとか?」

ムーディ「よろしい!その通り、こいつは魔法省の役人を随分とてこずらせた!実演してみせよう……ここに一匹の蜘蛛がいるな」

ロン「ひぃ!!」

ハニー「ロン、あれはスクリュート、爆発豚よ。そう考えれば怖くないわ。ね?」

ロン「そ、そそそそそうだねハニー!ヒンヒン!」

ムーディ「『インペリオ!服従せよ!』」

302 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 15:38:46.65 ID:MdQly6LE0

ハニー「! 蜘蛛が……バレエみたいにダンスを始めたわ」

ロン「うげぇ」

ムーディ「どうだ!?お次はワルツといこう!お前達も冬までには覚えるはめになるだろうからな!」

ハーマイオニー「? どういうことかしら……」

ムーディ「次は糸を使って空中ブランコだ!どうだ!?芸達者だろう!?」

ハハ、ハハハハ
 アハハハハハハ!

ネビル「すごいや!」

ムーディ「お次はこの糸で編み物でもしよう!なんでもござれ!」

シェーマス「ほんと、なんでもできるんだなぁあの蜘蛛!」

ディーン「おっもしれぇ!アハ、ハハハハハハハ!!」

ムーディ「ハッハ、ハッハハハハハ!!こりゃ愉快だ!そうだな、次は何をさせる!?えっ!?この水槽の中に身を投げさせるか!?えっ!?どうだ!!!こいつは今なら な ん で も するぞ!!」

ムーディ「それともなんだ!?同じ蜘蛛を殺させるか!?こいつには牙がある!親だろう親類だろう仲間でも刺し殺すことは他愛ない!!」

ムーディ「それでもこいつには罪はない!そうだろう!?え!?わしがやらせてるだけなのだ!そうだろうが!?」

…………

ムーディ「……魔法省はこの呪文にてこずった。もちろん、何人もの人間がこの呪文によって操られたからだ」

ムーディ「だがそれ以上に『この呪文によって自分は操られていただけだ』と証言されれば、追及のしようがないからだ」

ムーディ「こいつは完全な支配だ。自分の意志で動いているのかそうでないのかすら、呪文を解かれるまで判断のしようがない。どうだ?え?これでもまだ貴様らは笑えるか?」

ムーディ「よろしい。こいつと戦うことに関してはわしは場数を踏んでおる。あぁ、戦う術はある!だがなによりかけられないようにするにこしたことはない!油断大敵!!!」

ムーディ「もっとも、人を支配する方法が一つとは限らんが、それはわしの教えるものじゃない。次!」

ハニー「……そうね、私の専売特許だわ」

ロン「ヒンヒン!確かに、僕ならハニーの命令で湖くらい飛び込むもんなl」

ハーマイオニー「……飛び降りたことは既にあるものね」

304 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 15:54:01.29 ID:MdQly6LE0

ムーディ「他に知っている者は。安心しろ、かけたりはせん!   多分な!」

ロン「多分までの溜めが長いよ怖いよ」

ネビル「……えっと。一つ、だけ」

ハニー「あら、ネビル。出来る豚ね」

ネビル「あっ、ありがとうハニー。ヒン、ヒン」

ムーディ「お前は……ロングボトムだな!よし、答えてみろ!なんだ!」

ネビル「……『磔の呪文』」

ムーディ「よし、よろしい!いいだろう!ロングボトム、こっちにこい!よーく見ていろ!少し大きくする必要があるな……『エンソージオ、肥大せよ』」

ロン「あれは爆発豚、同胞の爆発豚、拳大から人の頭くらいになってもあれは蜘蛛じゃなあれは同胞同胞キャノンズが1失点キャノンズが2失点……」

ハーマイオニー「スクリュートが大きくなる方が大惨事だわ、ロン」

ハニー「可愛がりがいがありそうね……ネビル?大丈夫?あなたも蜘蛛が苦手なの?」

ネビル「あ、あぁ、ありがとう。ハニー。平気だよ……」

ムーディ「……『クルーシオ、苦しめ』」

蜘蛛「ビギィイイイイイイイイイイイギィィイイイイギィイイイイイ!!!」

ハニー「っ!?」

ロン「う、うっわ、蜘蛛ゲフン爆発豚がひっくり返って、脚をバタバタさせてもがいてら……」

ネビル「――――」

ムーディ「この呪文は、単純に『苦痛』、それだけを相手に与える。ただ、人が受けうる最大限の『苦痛』だ。こいつ前にはあらゆる拷問道具が必要なくなる。これもかつて、盛んに行われた」

ネビル「――――」

ハーマイオニー「っ、やめて!もうやめて!」

ハニー「っ、大丈夫よ、ハーマイオニー。これくらい……」

ハーマイオニー「あなたもだけど!ネビルが辛そうです、先生!」

ネビル「――――」


305 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 16:02:50.73 ID:MdQly6LE0

ムーディ「っ、そうだな。ロングボトム、戻るといい。少しショックだったか?え?」

ネビル「―――あっ、はっ、いいえ、あの。どうも」

ムーディ「よろしい。なるほど、確かに目の当たりにするのは辛いだろう。うん?しかしだ。学ぶには真正面から見据える他はない、そうだろうが」

ムーディ「グレンジャー、最後の呪文は。お前は最優秀の生徒だと聞いているぞ。闇払いになりたければ三年後来い、鍛え上げてやる」

ハーマイオニー「遠慮します……三つ目は」

ムーディ「そうだ。最後にして最悪の呪文、それは?」

ハーマイオニー「……アバダ ケダブラ」

ムーディ「よろしい!よく知っていた。お前は学ぶということがよく分かっている!さぁ、見せてやろう!服従、苦痛、その次ぎはなんだ!――そう!『死』だ!」

ハニー「っ!?」

ムーディ「『アバダ ケダブラ』!!」

キャアアアアアアアアアア!!
 ウワアアアアアアアアアア!?!?

シェーマス「うわ、み、緑色の光が、飛んだとおもったら!」

ディーン「みろよ、あの蜘蛛!傷もないのに……死んでる!!!」

ハニー「……ロン。覆った手を離して。ハーマイオニー、平気だから。後でね。ええ」

ムーディ「そうだ、よく見ろ。ポッター、これは気分の良いものではない。避けえない死だ。反対呪文も存在しない。これを受けて生き残った者は、ただ一人」

ハニー「……高貴で可憐で儚げで伝説的な、私。そういうことね」

ムーディ「そうだ。正に伝説だろう、生き残った女の子」

306 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 16:15:56.42 ID:MdQly6LE0








ジリリリリリリリリリッ!

ムーディ「……であるかあsなんだ!!!敵か!!!『レダクト砕けろ!!!』……あぁ、なんだ。終業のベルだったな。いかんな、また修理をせねば」

ロン「……ボケてんのかな」

ハーマイオニー「戦い詰めすぎて神経質になっているっていう証拠でしょう」

ハニー「……」

ムーディ「時間だ!次回からは訓練にうつる!それまでの間にこの呪文をかけられないように警戒を怠るな!油断大敵!!帰れ!背後に気をつけろ!わしがニセモノで貴様らを狙っているかもしれんぞ!ハッハッハッハハハ!!」

ガヤガヤガヤガヤガヤ

ロン「ったく、ほんと、すんげぇー授業だったよな。呆れるくらいにさ……ハニー?平気かい?僕のハニー?」

ハニー「大丈夫よ。パパとママを……そうした魔法のことを知れて、清々したくらいだわ。ホントよ。緑色の閃光のことは、去年知っていたし……それよりも」

ハーマイオニー「えぇ、そうよね……ネビル?」

ネビル「――――あっ。ハニー。やぁ。あ、あはは。すごい、あの。先生だったね。君には遠く及ばないけど」

ハニー「……ネビル?私の豚?」

ネビル「ヒン」

ハニー「……辛いなら言うのよ?」

ネビル「ありがとう、ハニー!僕らのハニー!本当、平気なんだ……あっ」

ムーディ「おう、まだ残っていたか……小僧、平気か?え?」

ネビル「あー……はい」

ロン「……おったまげ。優しい声なんてどっから出るんだろ、あの顔で」

ムーディ「眼かもなウィーズリー。ロングボトム、こっちにこい。茶でも飲もう、お前が興味を持ちそうな本がある。自信をつければ、惨い現実から逃げずにすもう。そうだな、ポッター?」

ハニー「えぇ、そうね。私の豚をよろしく……先生?」

ムーディ「頼まれるまでもない。わしは今はここの教師だ、そうだろうが」 

312 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 16:29:47.92 ID:MdQly6LE0

夜 談話室

ロン「僕らがあの呪文を教えられたって魔法省に知られたら、教えたムーディも雇ったダンブルドアもまずいことになるだろうなぁ。その時はハニー校長の誕生だね」

ハニー「あの腹黒のことだからそのあたりはどうにかするのじゃないかしら。そうね、そうしたら本当にこの城は私の豚を育てる場になるわ」

ロン「それはとっくの昔に実現してるけどさ……えぇっと、二週間後は『高貴で可憐で儚げで伝説的で眼も眩むようなクラクラする美少女の豚になっていた』っと……」

ハニー「一ヶ月分の予想には時間がかかるわね……宿題と言えば、またハーマイオニーは図書館に行ってしまったわ」

ロン「まさか君の上目遣いで『ついてく』を拒否するなんて罪深い行いをするなんてな。何を調べているのやら。三大のことかな?」

ハニー「さぁ、それだけハーマイオニー自身で何か成し遂げたいんじゃないかしら……人の少ない図書館なんて、たくさん機会があるはずなのに」

ロン「君たちがナニをするにしてもこれからたくさん機会はあるよ、きっと……あれ?」

  フレッジョ「「……」」

ロン「おったまげ。あの二人、あんな隅の方で小難しい顔をしてら。珍しい。ハニーの涙くらい、あぁ、結構あるか」

ハニー「記憶を跪かせられたいのかしら、ロン。そうね、らしくないわ」

ロン「なんだろうね、羊皮紙を持って……手紙でも書いてるのかな」

ハニー「そう見えるわ……コソコソ話しているつもりでしょうけれど、他に人がいないから少し聞こえるわ」

 ジョージ「ダメだ、これだと俺達が奴さんを脅してるみたいじゃないか」
 フレッド「当たり前だろ、これは俺達の正統な要求だぜ?ん?……あっ」

ハニー「……ハァイ」

 ジョージ「あー、ようハニー。ふぁ、あーあぁ。俺達、もう眠いくて仕方ない」

 フレッド「あー、そろそろ寝ようかな。じゃあなハニー、あとそこの弟豚くん」

ロン「ハニー以外が呼ぶなって言ってるだろ。 なんだろあれ、下手な誤魔化し方だ」

ハニー「やっぱり、らしくないわね。何を話し合っていたのかしら」

ロン「脅すとかなんとか言ってたね。ハニーの豚になる気かな、ようやく」

ハニー「頼もしいけれど、一番はあなたに代わりないでしょうね」

ロン「光栄だよハニー!ヒンヒン!」

313 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 16:39:11.50 ID:MdQly6LE0

ハーマイオニー「こんばんわ、ハニー。会いたかったわ。ロン、宿題は終わったの?」

ロン「もちの僕さ。みろよ、僕の豚的最高の一ヶ月を」

ハニー「誰もが羨む眩しい人生ね」

ハーマイオニー「もはや人と呼んでいいのかしら……そう。こっちも完成したわ!」

ロン「豚って呼んでもらうよハニーにはね。僕らはハニーになら屋敷しもべ妖精のごとく尽くすさ!」

ハーマイオニー「何か言ったかしらロナルド」

ロン「……言葉のアヤだよ、もちの、あの、彼で」

ハニー「ハーマイオニー、般若顔はやめてあげて。それはなぁに?ジャラジャラ音がしている箱のようだけど……」

ハーマイオニー「なんていいタイミングで聞いてくれたのかしら、やっぱりハニーね。これ、見て!」

ハニー「……バッジ?」

ロン「……S、P、E、W?スピュー(反吐)?なんだいこれ、フォイフォイにぶつけるのかい?尖ってた方がいいと思うな」

ハーマイオニー「『S.P.E.W』!しもべ妖精福祉振興協会の頭文字よ!!」

ロン「へぇ、聞いたことないなぁ」

ハーマイオニー「当然よ!だって、私が作ったんだもの!!」

ハニー「……」

ロン「……」

315 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 16:50:34.56 ID:MdQly6LE0

ハーマイオニー「同じ魔法界に生きる理性ある存在をあんな無碍にしたままでいいのかしら!いいえ、絶対に許されるべきではないわ!」

ハニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「本当は『魔法生物仲間の目に余る虐待を阻止し、その法的立場を変えるためのキャンペーン』ってしたかったの!だって、屋敷しもべ妖精以外にもたくさんたっくさん迫害されている魔法生物はたくさんいるのよ!私達と同じく理性をもっているっていうのに!」

ハーマイオニー「でもそれだと長すぎるでしょう?だから、それはとりあえずスローガンにしておいたわ。これ、垂れ幕ね」

ハーマイオニー「とりあえずは目下を持って、何世紀にも渡って魔法使いの!まさにしもべのような扱いをされていた小人妖精の奴隷制度の改革!!これを短期目標とするわ!」

ハーマイオニー「具体的には正当な報酬と労働条件ね!長期目標としては『杖の使用禁止』に関する法律を改正して!彼らを私達と等しい立場に……きゃぁ!?」

ハニー「えぇ、そうね。ハーマイオニー、とっても、とっても立派な志だわ。それに……張り切って、自信に溢れてるあなたの顔ってとってもステキ、ええ、仕方ないわ。だって今、ほかに誰もいないもの」

ハーマイオニー「あっ、ちょ、っと。まだ、まだ言いたいことはたくさん、あっ、そんな、自信だなんて、あなたがいたから、あぁ、ハニー、あなたって、なんて私をエネルベートさせるのかしら……」



ロン「つづけて、どうぞ。……なになに?入会金2シックルでバッジを買って、その資金でビラ配り……あー、まったく。マーリンの髭」

317 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 16:56:49.38 ID:MdQly6LE0

ロン「何度言えば分かるんだろうなぁ……奴さんたちは、言い方は悪いけど、奴隷でいることが好きでやってるのに」

ロン「耳を覚ませてほしいもんだよ、まったく……給料をもらうのが恥だと思ってる連中だぜ?」

ロン「アホくさ……さて、っと。宿題をしまっておこう。いやぁ我ながらいい出来だよ、うん」

ロン「とくにこの途中の、『高貴で華麗で儚げで伝説的で素晴らしい女の子の一番の豚の立場が危うくなる』なんて、波乱万丈であの先生ならお気に入りそうな……あれ?」

コンコンッ、コンッ フィピーッヒンヒン

ロン「ありゃぁ……白豚!」

ロン「あ、大丈夫、ハニー。僕が窓開けて、手紙受け取るから。うん。終わるまで紐を解かずにいるから、うん。つづけて、どうぞ」

ロン「何せすぐに外してやらないとあの窓枠から白豚が落っこちそうな量をもってるからね。もちのロンで」

318 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 17:08:20.48 ID:MdQly6LE0

ハニー「! シリウスからだわ!」

ロン「うん、分かってたけどね」

ハーマイオニー「ふーっ、ふーっ、もう!『S.P.E.W』について話す時間が、なくなっちゃったじゃないの!」

ハニー「後でゆっくり聞くわ、ハーマイオニー。ゆっくりね。えーっと」

ハニー「……何か切るものはある?」

ハーマイオニー「……任せて。『ディフィンド、裂けよ』」

ロン「もはや小包だもんなぁ」

ハニー「えぇっと、最初はここね……『親愛なるハニー』……当然ね!あなたは、私のおじさんだもの!えぇ!!!」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「……言うまでもないわね?いい?あんまりしつこいと私、一人で読むんだから」

ロン「もちの僕さハニー。ニヤニヤってなんだろうね」

ハーマイオニー「顔の筋肉の緩みね。なんのことかしら」

ハニー「……『手紙をありがとう。便りが無いのは元気な証拠と言うが、もしもどこかで私からの手紙が奪われていたらと少し心配していた』……シリウスったら」

ハーマイオニー「あぁ、そうね。もしも逃亡中のシリウスの手紙が見つかったら、とんでもないことになるわ」

ハニー「……『それとも君に何かあったのではないかと。平気かい?夏にあの家族から酷い扱いを受けたのではないか?風邪は引いていないか?――』」

ハーマイオニー「……」

ロン「……」

ハニー「……『あの二人の子供な君のことだ。体の丈夫さには心配ないことと思うがね。女の子だから、夜はしっかり暖かい格好を――』何の話しをしているの!!!」

ロン「シリウスって……」

ハーマイオニー「……ハニーの何になりたいのかしら」

320 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 17:23:34.00 ID:MdQly6LE0

ハニー「『――改めて、手紙をありがとう』……前置きが終わったわ」

ロン「うん、深夜ってなんだっけ」

ハーマイオニー「手紙の大部分があんな調子だったわね」

ハニー「心配性ね……えぇ、シリウスにとっては、大事な大事な私だもの!心配するのは当然で……大事、世界中万物の豚にとってそうだけれど!」

ロン「ハニーが顔も髪と同じ色になるのも何回目だろうね」

ハーマイオニー「覚えてないわ。それでつづきは?ハニー」

ハニー「えぇ……『数々の奇妙な噂が隠れている私のもとにも入ってくる。君の見た夢、そして傷の痛みはそれら全てに連なる重大な鍵だ。違いないだろう』」

ハニー「『次に痛む事があればダンブルドアのところに行くんだ。あの人はムーディも引っ張り出したそうだね?何か思う所があってのことだろう。あの人のことだ』……腹黒いものね」

ハーマイオニー「色々と策を講じてらっしゃるのよ」

ハニー「『ムーディにも頼るといい。目はあれだが、気の良い人だ。間違っても後ろから脅かさないように。私と君のお父さんは雨が降ると首の痛みを覚えたものだよ』……何をしたのかしら」

ロン「何かしたんだろうなあ」

ハニー「『またすぐに連絡する。私もじきに国内にたどり着くことだろうから、次はもっと早く返事を――』えっ!?!」

ハーマイオニー「つまり……帰ってくるということ?」

ロン「わぁーお!そりゃいいニュースだね、ハニー!」

ハニー「いいわけ、ないじゃない!わたしのたかが夢のことで、そんな!そんなの、見つかったらどうなると、えーっと、わたし、そんな!喜んでなんか……ニヤニヤしないの!!!!」

322 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 17:35:13.87 ID:MdQly6LE0

数週間後

ロン「あれからすぐ『なんともないから大丈夫!』って手紙をだしたけどさぁ」

ハーマイオニー「聞かないでしょうね。そもそも文面も『帰ってくる必要なんかないけれど、もしもこの手紙が間に合わなかったのなら仕方ないわ。どこにいるのかしら』ですもんね」

ロン「白豚にばっちり読んで聞かせたし、奴さんは出来る豚だからね。完璧さ」

ハニー「私の豚は迷わずすぐに届けるに決まっているわ……もう」

ハーマイオニー「心配事は、これ以上増やさないことにしましょう?ロン、あなたは宿題で手一杯でしょう?現に今、私達二人に手伝ってもらってるんだもの」

ロン「ごめんよハニー!不出来な豚を許して!ヒンヒン!」

ハニー「誰にだって得意と不得意なことがあるわ。許してあげる」

ロン「ヒンヒン!ハニーは女神だ!知ってたけど!……OWL試験まで時間がないのです!ってマクゴナガルは言ってたけどさぁ。あと一年も先じゃないか。マーリンの髭!」

ハーマイオニー「まぁ、ロン!たったの一年だわ!あの試験が私達の将来に大きく影響してしまうのよ!?」

ロン「僕の将来なんて確定してるから大丈夫だったら。あの占いの通りにね」

ハニー「点が低かったのは納得いかないわ。何が見えてるというのかしら、トレローニー先生は」

ロン「なーんにも、さ。僕は一つだけ褒められたけどね。でもそれもすぐに解決するって書いたからやっぱりお気に召さなかったみたいだけど」

ハーマイオニー「いつのこと?」

ロン「もうじき一番豚の立場が……いや、いいのさ。ムーディの授業に行こうよ。さぁハニー!僕の背中に!ヒンヒン!僕はハニーの一番の豚だからね!」

ハニー「えぇ、出来る豚ね、ロン」

324 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 17:43:13.06 ID:MdQly6LE0

ムーディ「今から諸君に、『服従の呪文』をかける」

ザワザワザワ

ハーマイオニー「せ、先生!それは違法だ、って!先生が最初の授業で……!」

ムーディ「こうも言ったはずだグレンジャー。実践が一番!そして学ぶことから逃れるなとな」

ムーディ「いいだろう。もっと厳しい学び方を教わりたいのなら、この教室から出て行け。授業は免除してやろう」

ムーディ「そしてのうのうと過ごし何も知らんまま、いつか彼奴らの手によって『服従の呪文』をかけられるといい!またとない体験授業だな!?え!?!?」

ハーマイオニー「……出て行きたいと思っているわけではありません」

ハニー「先生。私のハーマイオニーにそれ以上言うなら酷いわよ」

ムーディ「ハッ、何を言う!むしろ優しいほうだろうが、そうだろう。よし、そっちの席から順に前に出て来い。ロングボトムか!あの本は面白かったか?え?」

ネビル「は、はい!とっても面白かったです、水中魔法植物について……」

ムーディ「よろしい!『インペリオ!!!』」

ロン「会話をしろよ会話を」

ハーマイオニー「日頃ヒンヒン言っておいてなにを……す、すごい!!ネビルが後方二回宙返り一回ひねりを!?」


327 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 17:56:31.24 ID:MdQly6LE0


オォオオオオオオ!!

 ワァアアアアアア!!

きゃーーーーーー!!

 ………///


ハーマイオニー「……戻ったわ」

ハニー「お帰りなさい、ハーマイオニー……ふふっ」

ハーマイオニー「……忘れて頂戴お願いだから。いいえ、本心だけど、あの」

ロン「ハニーの素晴らしさについて延々語るなんて、僕と君が二人のときはいつものことじゃないか。それにみんな知ってるよ」

ハーマイオニー「クラスみんなの前でなんて!あぁ、恥ずかしくて火がつきそう……ちょ、ハニー、ダメよ、今授業……」

ムーディ「お熱いのは結構だが、ポッター!次だ!!」

ハニー「えぇ、受けてたつわ」

ムーディ「その意気が!よし、そこに立て……『インペリオ!服従せよ!』」

ハニー「……」

ロン「……いつもキリッとしてるハニーの力の抜けた顔……おい豚ども!ハニーの名誉のためにお前らは目をつぶれ!」

ヒンヒーーーーン!

ムーディ「いいや、よーーーく見ておくんだ!いいか、この呪文はたとえ生き残った女の子でも――」

ハニー「(……不思議な感覚……悩みも、考えていたことも……どこかにいったみたい)」

ハニー「(何か言っているけれど……聞こえないわ……あぁ、フワフワ浮いてるみたい)」


――その机の上に飛び乗れ――


ハニー「(なに……?ここに……?)」


――そうだ。そしてその上で――

ハニー「(えぇ……分かったわ……命令、通り)」

ハニー「……」グッ

――そうだ、そのまま飛び上がるんだ――

ハニー「(命、令……)」

ハニー「(なぁに、それ)」

――!?――

ハニー「(わたしが……この、私が!!!)」

ムーディ「むっ……っ!」

ハニー「私の可愛い豚の前で!無様な真似を晒していいわけがないわ!!……そうでしょ?」

ムーディ「! ようやった!よくやったポッター!おい、お前たち、みろ!!何を机につっぷしている!ポッターがやったぞ!なんだ!?わしを襲撃する準備か!?かかってこい!!!」

329 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 18:09:07.56 ID:MdQly6LE0

地下牢教室

ロン「『ポッターの目に鍵がある!』だってさ。あぁハニー!君は全身あますところなく至高だねハニー!ヒンヒン!」

ハニー「当然ね。あんな呪文で私をおさえられるわけがないもの」

ハーマイオニー「クラスであなただけだったわね、対抗できたのは……ねえ、その話はもういいでしょう?授業に集中しましょうよ」

スネイプ「そうしていただけるとありがたいですな、ポッター一味。思いあがりの激しい女王様は、この薬も簡単に出来てしまうとでも?」

ハニー「えぇ、そうね。『服従の呪文』だのなんだかよりは、そうじゃないかしら。眠ってでもね」

スネイプ「目はつむっておくのは賛成ですがな……『服従の呪文』?待ちたまえ、ムーディの授業、待ちたまえ」

ハーマイオニー「ハニー、ダメよ!他の先生方がムーディ先生の授業内容を知ったら……なんでもありません、スネイプ先生」

ハニー「……えぇ、なんでもないわ。忘れて頂戴、先生」

ロン「フォイフォイがドヤ顔で呼んでますよ、先生」

スネイプ「諸君、少々急用だ。自習をしていたまえ」

バタンッ

ハーマイオニー「……」

ハニー「……悪気はなかったの」

ロン「あんまり責めるなよハーマイオニー!ハニー、平気さ!奴さん、ムーディを怖がってる!そうだろ!?」





スネイプ「『服従の呪い』でナニをさせようとしたのだムーディめ奴めカルカロフなどはすれ違うだけで縮みあがっていたが我輩は違うぞ問い詰めてやるいいやこれはあのリリーではないポッターのためなどではないポッターのためではないあれはリリーではないあれはリリーではない静まれ我輩頑張れスニベルス」

ムーディ「……スネイプ、いくらダンブルドアの側にいる君とは言え、授業時間にブツブツと挙動不審だと退治たくなるが」

331 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 18:15:40.61 ID:MdQly6LE0

『呪文学』の教室

フリットウィック「うーん、ポッターさん。あなたはあまり、この呪文が得意ではないようですね?いいえ、あなたがダメというわけでは全くありませんよヒンヒン!」

ロン「当たり前だろ!!ハニーだぞ!!!!」

ハニー「……『呼び寄せ』呪文。豚ならすぐに来てくれるのに」

ハーマイオニー「ハニー、ゆっくり発音しましょう?『 ア ク シ オ !』、よ?」

ハニー「……やってるわ。でも、ダメなの。途中でどうしても……」

フリットウィック「あー、ポッターさん?『手に入れる物は自分とはほど遠い』、そう思っていませんか?それとも……うーん、『手に入れたとしてもすぐにどこかに行ってしまう』、とか」

ハニー「……」

ロン「何いってんのさ!!なんだって、いつだってハニーの隣にいるよ!だろ、ハーマイオニー?」

ハーマイオニー「えぇ。当然だわ」

ハニー「……今先生は、呼び寄せる物の話をしてるのよ、ロン。私の豚?ふふっ」

ロン「おっと、そうだったね!ごめんよハニー! 僕はハニーの一番の豚さ。もっとしっかりしないとね」

335 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 18:24:07.97 ID:MdQly6LE0

ハロウィーンの朝

ハニー「今夜ね、代表選手が決まるのは」

ロン「ハニーだな!」

ハーマイオニー「物理的な無茶を言わないの」

ハニー「私がホグワーツ一なのはみんなが認めるところでしょうけれどね。今日が最終日だから、駆け込みで入れる人が多いわ」

ロン「大広間の真ん中だから、どうやっても目立つよなぁ。クラムやあの例の銀髪の女王様……おらっ!ゲホッ、フラーだかって子達は初日に入れたらしいよ」

ハーマイオニー「会話の途中で自分を殴らないで頂戴、心臓に悪いから。あっ、ねぇそこのあなた!私達のために日夜働きお給料ももらえない屋敷しもべ妖精が可哀想だと思わない!?彼らのために何か出来ると思わない!?あのハニーも会員なのよ?どうかしら!」

ロン「君のほうこそ、隙あらばだれかれかまわず勧誘するのやめろよ。ハニーをだしに使うなよパパに言ったろ君自身が」

ハニー「思ったよりは集まっているけれど……」

ロン「冷やかし半分ってとこだね。もしくはハーマイオニーの迫力に押されたか。ハニーの魅力にゃかなわないけど」

ハーマイオニー「ありがとう!分かってくれて!はい、会員のバッジ……えっ、ちょっと、どうして!?ステキじゃない!あっ!新色もあるわよ!みて!素敵な赤い色でしょう!?」

ロン「文字通り反吐が出る、って顔して帰っていっちまった」

ハーマイオニー「『S.P.E.W』!!!スピューじゃないったら!!!」

336 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 18:33:29.69 ID:MdQly6LE0

フレッド「実の結ばない努力をしているなぁハーマイオニーは。よっ、お前達」

ジョージ「やめとけよハーマイオニー。奴さん達にとってもいい迷惑だろうさ」

ハーマイオニー「あなた達には分からないわ!」

フレッド「ところがどっこい、ぼくたちは何度も厨房に行ったことがある。君はどうだ?」

ジョージ「へいへい、学生が入る所とは思えない、そんな逃げ文句はなしだぜ?どうだ?」

ハーマイオニー「……ないわね、ええ」

フレッド「実態を知る前に論じるなんざ君らしくないねぇハーマイオニー。口を結んでいてくれるかい?」

ジョージ「今度教えてしんぜようハーマイオニー。それより僕らの実を結んだ努力の話しを聞いてくれ!」

ハニー「なぁに?その小瓶」

フレッド「聞いて驚け!完璧ウェーザビーな『老け薬』だ!」

ジョージ「今朝完成したてホヤホヤのかわいいこちゃんだ!」

ロン「なんだよ、この間真剣な顔をして話してたのはそれだったのか。マーリンの髭」

フレッド「まぁそんな所だ。さっ、いくぜ相棒」

ジョージ「おうよ。こいつを飲めば百人力だぜ」

ハニー「好き好んで歳をとるなんて、変な話だわ」

ロン「君はいくつになっても最高だろうけどね!ハニー!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「精々やってみればどうかしら……ダンブルドアの『年齢線』が、誤魔化されるはずないわ」

フレッジョ「「かんぱーーーい!!」」

337 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 18:38:58.32 ID:MdQly6LE0

アハハハハハハハハハ!!
 ザワザワザワザワ クスクスクスクス

フレッド「ぜんぶお前のせいじゃ!」

ジョージ「いんやお前のせいじゃ!」

ロン「っははは、はははは!『年齢線』を跨いだまでは良かったけど、名前を入れようとした瞬間弾き飛ばされて、二人が白髪でひげもじゃになっちゃうなんて!!」

ハーマイオニー「ほーら、だから言ったじゃない。もう」

ハニー「一度成功したように見せるのが、本当、あの腹黒豚だわ」

ダンブルドア「ヒンヒン」

ハニー「どこから湧いたの」

ダンブルドア「うむ?豚はいつでも君の隣におるのじゃろ? さてさてウィーズリーズ、忠告したはずなのじゃがのう。医務室に行きなさい、君達のベッドが空いておるよ」

フレッジョ「「ありがとよ、アルバス。ふぉっふぉっふぉ」

ダンブルドア「ふぉっふぉっふぉ」

340 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 18:49:50.00 ID:MdQly6LE0

ロン「いいもん見たよ。これでしばらくは連中をからかうネタができた」

ハーマイオニー「もっと大きな何かで脅し返される姿しかみえないわ」

ハニー「あの二人ですものね……あら!白豚!」

白豚「フィピヒィーン」

ハニー「返事を持ってきたのね……随分と遅かったじゃないの!どこを寄り道していたの!この……」

白豚「ヒィーン……」

ハニー「……ありがとう、ヘドウィグ。さっ、手紙を頂戴……なんだか、とても……薄いわね」

ロン「そうだねハニー!でもさ!奴さんは……あっ!そうか違うよハニー!これで普通の封筒くらいだよ!?」

ハーマイオニー「国内に戻ってきた潜伏先でこれだけ紙が手に入っただけでも凄いと思うわ……切れ端でもなく、きちんとした便箋だし」

ハニー「……無理はしないで、って、書いたのに」

ロン「そりゃムリな相談だぜハニー。彼は豚じゃないけどハニーのためなら何でもござれだろうからな」

ハーマイオニー「それで、手紙にはなんて書いてあったの?」

ハニー「……もう英国で安全な確保したから安心してくれ、って。それで……フクロウを変えて、城で起こったことは全て教えて、ですって」

ロン「白豚を使うな、ってことかい?」

ハーマイオニー「そうね……シロフクロウはもともと英国の鳥じゃないし、目立つから……」

白豚「フィピヒィーーーーーン!」

バシャァアアアアア!ベシャァアアアアアア!!

ネビル「ああああ!僕のカボチャケーキとジュースがああああ!!」

白豚「フィピィ、ヒィン」

ハニー「……ヘドウィグ」

ロン「自分を汚して、白じゃなくしたんだ!漢、漢だぜ白豚。豚フクロウの中で」

ハーマイオニー「悪目立ちだわ」

343 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 18:59:08.96 ID:MdQly6LE0

校庭

ロン「そういえば今学期はまだハグリッドんとこに遊びに行ってなかったね」

ハーマイオニー「授業もあるし、曜日ごとにスクリュートの観察記録をしに行っていたから忘れていたわ」

ハニー「爆発豚たちはスクスク育ってるわね……共食いを始めてしまったのは、とても悲しいけれど」

ロン「うん、まぁ、何でも食べるってことだよね。僕もハニーに出されたら自分の腕だって食べるけど」

ハーマイオニー「腕は一本しかないでしょやめなさい……ハグリッドはきっと、『S.P.E.W』に入ってくれるわよね!」

ロン「吐いて捨てるだろうさ、反吐だけにね」

ハーマイオニー「S!P!E!W!」

ハニー「はいはい……湖が見えてきたわね。あら、あそこ。ダームストラングが寝泊りしてる帆船の先、あの人がいるわ」

ロン「! クラムだ!! どうしよう、サインはもらえるかな!!あぁちくしょ、手持ちの色紙には全部ハニーのサインがある!そうだ!教科書だ!どうせいらないし!!」

ハーマイオニー「学徒にあるまじき台詞が聞こえたわ……なんだかこっちを見てるわね」


  クラム「……」


ハニー「私に見惚れてるのかしら。当然のことだけれど」

ロン「あぁ、もちのね。僕でね。く、クラムが、そんな、僕はどうしろってんだ」

ハーマイオニー「静かにしておけばいいんじゃないかしら。やっぱりなんだか、陰険な感じね。図書館にあの人がくるといつも困るわ、女の子たちがキャーキャーうるさいんだもの」

ロン「ハーマイオニー、僕、今度から図書館通いになるよ」

ハーマイオニー「見上げた志だけど理由が見下げはてるからやめなさい」

344 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 19:06:18.42 ID:MdQly6LE0

ハグリッドの小屋

ハグリッド「来てくれてありがとうよ!ハニー!ヒンヒン!」

ハニー「当然じゃない、私の可愛い豚の住まいだもの……でもね、えーっと」

ロン「……あー、ハグリッド?まぁ、外の木箱から漂うあの変な生き物のにおいも、あるんだけどさ」

ハーマイオニー「……あー、ハグリッド?髭剃りローションでも、あの、つけっぱなしなのかしら?」

ハグリッド「あ、すまん。あー、匂うか?その、オー・デ・コロンをつけてんだがよぉ」

ロン「……えっ?なに?おいでコリン?あの豚がどうしたって?」

ハニー「……香水をつけるのはこの私を向かえいれるマナーとして褒めてあげるけれど。ハグリッド、まさかあなた全身にかけたんじゃ」

ハグリッド「? おう!浴びたぞ!」

ハーマイオニー「ハグリッド、一張羅の背広を着込んだところ悪いのだけどとりあえず一度脱いで洗い落としてきて頂戴」

ロン「あー、あとその髪の毛のグリースみたいなのもね」

ハグリッド「な、なんかおかしいか!?うん!?俺にとっての目一杯のお洒落なんだがよぉ!」

ハニー「手伝ってあげるからいいから水浴びしてきなさいこの豚!!」

ハグリッド「ヒンヒン!ようがすハニー!ヒン!」

345 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 19:13:58.98 ID:MdQly6LE0

ハグリッド「お、おぉぉ!すげぇ!これは俺か!別人みてぇだ!」

ロン「そんなでかい人が君とマクシーム以外にいてたまるかい」

ハニー「櫛が中々通らなかったのは困ったけれど、ハーマイオニーの呪文のおかげでなんとかなったわね。ふふっ、さすがね?」

ハーマイオニー「あー、そうね。この癖毛をなんとかしたくって練習はしているの。時間がないから毎日はとてもムリだわ……ハグリッド、見違えたわね」

ハグリッド「おう!ありがとよお前さんたち!ハニー!ハニーはやっぱり女神だ!ヒンヒン!」

ハニー「整えればどんなに冴えなくったって変われるのよ。それで、ハグリッド?その格好はどうしたの?」

ハグリッド「あー、いや!なーんでも!なーんでもねえんだ!うん、おめぇさんが来るって言うから、そんだけ!あぁ!」

ロン「豚としちゃ見直すとこだけどねハグリッド、説得力ないよ頬をハニー色に染めてちゃさ」

ハーマイオニー「そうね。ハニー色に。ところでハグリッド、このハニー色のバッジ、ステキだと思わない?」

ロン「ついにそっちの方向で説得することにしたんだね、君」

ハグリッド「おぉ?そりゃなんだ?……反吐?」

ハーマイオニー「『S.P.E.W』!しもべ妖精福祉振興協会よ!もう!なんでみんなそう読むの!」

ロン「なんで、って。文字通り、文字通りだからに決まってるじゃないか」

346 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 19:22:11.80 ID:MdQly6LE0

ハグリッド「ハーマイオニー、そりゃダメだ。かえってあいつらのためにゃなんねぇさ」

ハーマイオニー「あなたは魔法生物が好きでしょう?だったら……」

ハグリッド「だからこそ、だ。連中はそれで幸せなんだ。全部の妖精から仕事を奪っちまったら連中を不幸にするだけだし、給料なんざ侮辱もええとこだ」

ハニー「私が自由にしてあげたとき、ドビーは、あの豚はとても嬉しそうだったけれど……」

ハグリッド「そりゃ、マルフォイのようなとこに仕えるのはかわいそうだがなぁ……あぁハニー、おめぇさんは優しいな!ヒンヒン!」

ハグリッド「とにかく、魔法使いはほとんど聞かんだろうよ。それに連中自体も望んでねぇ。何をするっちゅうんだ?」

ハーマイオニー「……もう!いいわ!こうなったら私たち三人だけでも頑張るんだから!ねっ、ロン!」

ロン「……えっ、なんだって?ごめん、今夜のパーティのご馳走のこと考えてた。ハニーの素晴らしさのついでに」

ハグリッド「そんなことより、そうだ。今夜だぞ。いよいよ三大魔法学校対抗試合が始まんだ!」

ハニー「競技について、あなたは何か知ってるの?ハグリッド?」

ハグリッド「おう!まず第一の課題は……だ、ダメだ!ダメだダメだ!ハニー、おめぇさんの頼みでもこればっかりは!」

ロン「なんだか見たことある光景だね」

ハーマイオニー「そんなハグリッドに教える学校側もどうかと思うわ」

348 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 19:32:21.44 ID:MdQly6LE0

ハグリッド「お前さんたちの楽しみを邪魔したくねぇんだ、聞かんでくれ、ハニー!」

ハニー「……分かったわ。可愛い豚の気遣いに免じてそうしてあげる」

ハグリッド「ありがとうよハニー!お前さんは慈愛の女神だ!ヒンヒン!おっと、暗くなってきおったな」

ロン「なんだか大半をハグリッドの改善計画に使った気がするよ」

ハグリッド「すまねぇなぁ、ありがとよ。さてっと、城にいく前に少しスクリュートたちの世話してこねぇと。待っちょれ。いんや、ハニー。大丈夫だ。ちょいと危ない作業もあるからな。俺一人でやってくる」

ロン「あの生き物と関わることで危なくない工程があっただろうか」

ハーマイオニー「いつだって焼けどしたり刺されたり吸われたりする可能性と隣り合わせだものね」

ハニー「あら、言うでしょう?美しいバラには棘がある、って。かわいい豚にだって歯もついているし」

ロン「うん、君についてる棘は先丸いけどねって去年……あれ?」

ハーマイオニー「どうしたの?……あら、ハグリッド。外に出て、なんだか立ち尽くしちゃってるわね。えーっと、何か顔が、ハニー色どころかもう熱した鉄みたいに……」

ハニー「……あら、ふふっ。ボーバトンの大馬車から出てきた、マダム・マクシームを見つめているわ」

ロン「なーるほどね、あの一張羅やオーデコロンはあの人のため、ってわけか。おっどろきー!あの二人の子供なら1トンくらいあるんじゃないかな」

ハーマイオニー「あっ、そのままマダムと一緒に行ってしまったわ……まぁ。私達と一緒に城に行くんじゃなかったの?」

ハニー「いいことじゃない、応援してあげましょう?さっ、戸締りして私達も……待って。人間矢倉を組ませて城に行くあの子と鉢合わせするのはごめんだわ」

ロン「ハーマイオニー!君が上だ!」

ハーマイオニー「二人で組んでもただのトーテムポールじゃないの」

349 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 19:45:55.11 ID:MdQly6LE0

大広間

ワイワイガヤガヤ
 ザワザワザワ

アンジェリーナ「私この間誕生日だったからさ。一応名前、入れてきたんだ」

ハニー「あら、それじゃあなたが代表よ、きっと。頼りになるチェイサーだもの」

アンジェリーナ「ははっ、ありがとう。今年はウッドから引き継いでキャプをやる予定なのが中止になって、なんだかやりきれなくってさ。思い切って、ね」

フレッド「わしらのぶんも頑張っておくれよ、あんぜりーな」

ジョージ「そうじゃ、せでりっくなんぞには負けられんのう」

ハーマイオニー「髭も白髪もすっかり治ったのに変な風に喋らないの」

ロン「誰になるかな。まぁ、本当の本当に最高なのはハニー一人だけだけどね!対抗馬なんて、誰も……ハッ!おらっ!」

ハニー「えぇ、そうね。ロン、私も揺れてしまうからせめて一声かけなさい」

ロン「ヒン!」

ハーマイオニー「あと人語にして頂戴、私も驚くから……あっ!ダンブルドア校長が立ち上がったわ!」

ザワザワザワザワ

ダンブルドア「皆、よく食べてよく飲んだことじゃろう。さて、とびっきりのデザートといこうかの」

ダンブルドア「炎のゴブレットほぼ決定を下したようじゃ。もう一分ほどで発表されるじゃろう」

ダンブルドア「呼ばれた生徒は起立しておくれ。皆、拍手で祝福しようぞ。三人出揃ったら、そこの扉から隣の部屋に移ってほしい。最初の指示がなされるじゃろう」

ダンブルドア「さて……いよいよじゃ」

ボォオオオオオオオオ!!

ハニー「炎が激しくなったわ」

ロン「クラム、クラム、クラムクラムクラム……!」

ハーマイオニー「ロン、腕がもげかけてるわ」


ボォオオオオオオオッ……ボッ!

ダンブルドア「名前が、出たようじゃの。よ、っと」

ザワザワザワ……シーン

ダンブルドア「……ダームストラング代表は――ビクトール・クラム!!」

ロン「そうこなくっちゃ!!」


ワアアアアアアアアアアア!!!
 クラム!クラム!クラムクラムクラム!!!

カルカロフ「ブラボーーーー!ビクトール!分かっていたぞ!君が選ばれるのは!」

クラム「……」

350 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2013/01/22(火) 19:59:01.26 ID:MdQly6LE0

ロン「やっぱりそうだよな!よし、このクラム人形を代表選手仕様にしないと!あぁ!腕がもげた!マーリンの髭!」

ハニー「ふふっ、ロンったら自分のことみたいに喜んで」

ハーマイオニー「ほんと、ホグワーツの代表よりも彼を応援しそうね……あっ、次だわ」

ボォオオオオオオッ……ボッ!」

ダンブルドア「……ボーバトンの代表は――フラー・デラクール!」

ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオブヒィーーーーーン!
 キャアアアアアアアアアアアアアアアアブヒィーーーーーー!

フラー「おーぉぅ、あっりがとうございまぁーす」


ロン「うわぁ、なんてこった!僕は誰を応援すれば、あぁ、どうし、あっ、眼があっttハッ!ネビル!おらっ!」

ネビル「うん!くらえっ!いつも得してるくせに!」バキャッ!

ハニー「いきなり自分で殴るのはやめてといたけれど他の豚に殴らせろとは言ってないわ」

ハーマイオニー「いつ伝えたのかしら……あぁ、どうせあれねもう」


ボォオオオオオオッ……ボッ!

ダンブルドア「最後は、ホグワーツ代表――セドリック・ディゴリー!」

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
 ヤッタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!

ロン「なんだよ……ってうわ!?うるさいな!大声はハニーを讃える言葉だけにしろよ!」

ハーマイオニー「は、ハッフルパフ生みんなが、泣くくらい喜んでるわ……まぁ少しだけ他の寮よりも地味だったものね」

ハニー「アンジェリーナ、元気だして。来年のクィディッチ杯で思い知らせましょ」

アンジェリーナ「ありがと、ハニー」

ロン「ヒンヒン!ハニーは優しいね知ってたけど!でもそっか、つまんないな。こりゃ応援するのはくら、いやあの子も、でも……あれ?」


ダンブルドア「結構!結構!ハッフルパフの諸君、興奮冷めやらぬことかと思うがセドリックがぺしゃんこになる前に話してあげるのがよかろうて!さて!選ばれなかった者もあらん限りの力を持って応援するのじゃ!そうすることでみながこの催しに貢献でき――」


ハーマイオニー「……どうして、炎のゴブレットがまた。炎が激しくなってるのかしら」

ハニー「これってまるで、さっきみたいに誰かの名前が……あっ!」

ボォオオオオオオオオオオオオッ……ボッ!

ダンブルドア「……」



ダンブルドア「ハニー・ポッター」

ハニー「……えっ」

351 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 20:07:30.33 ID:MdQly6LE0

シーーーーーーーーン

ダンブルドア「ハニー・ポッター!」

ハーマイオニー「ハニー、立たないと!ほら!」

ハニー「……っ」

ダンブルドア「……」

ハニー「……」

ザワザワザワ ザワザワザワ

ロン「……」

ヒン?ザワザワ……ヒン?


ロン「ヒンヒーーーーン!ハニーも代表だーーーーー!!!」


ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!ヒンヒンヒーーーーン!
 ザワザワザワザワザワザワザワ
 ズルしたんだ!  ザワザワザワザワヒン
17歳じゃないのに! またポッターだ!

ダンブルドア「……選手の諸君。隣の部屋へ移動するのじゃ。すぐに」

ハニー「っ、待ちなさい。私……」

ハーマイオニー「ハニー、今は先生に従って。えぇ、そうしてあげて……」

ロン「ヒンヒン!ハニー!フレーフレーハn……あっ」

 フラー「ふふーぅん? ふん、ふん。おもしろーいことみたいでーす」

 クラム「……」

 セドリック「……どうして」

 ハニー「……」

ザワザワザワザワザワ
 ワァアアアアアアアア!ワアアアアアアアア!!
 ふざけるなーーーーー! わああああああああ!! ヒンヒーン!

ロン「……」

ハーマイオニー「一体、どうなってるのかしら……あら?ロン、なんだか急に大人しくなったわね。まさかあの人にまた……ロン?」

ロン「……っ。ハーマイオニー、君、言ってたよな。選手同士はライバル視しあって……どんな手段を使っても、情報を……?」

ハーマイオニー「? えぇ、そうね。そういう話だったわ」

ロン「……」

ロン「ヒンヒーーーーーーーーン!!!」

ジニー「ヒン!?ヒンヒン!」

ネビル「ヒンヒン!?ヒーーーン!」

ハーマイオニー「手段は人知の範囲にしなさいっ!!!!」

352 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 20:23:02.04 ID:MdQly6LE0

空き教室

バグマン「いやいや、いや!なーんてことだ!声が聞こえていたがおったまげた!まさか、四人目の代表選手とはなぁ!え!ハニー!!」

ハニー「いらっしゃっていたのね……でも、私」

クラウチ「……」

バタン!

ダンブルドア「……」

マクシーム「だんぶりーどーる!?これはいかなことでーすか!?よにーんめの代表なんて、聞いていませーーーん!」

カルカロフ「同じく説明を求めたいものですな!アルバス!各校二人も代表ををだしていいとは聞いていませんが、それとも私が!規則を読み間違っていたとでも!?」

マクシーム「セ・タァンポシーブル!!」

スネイプ「誰の咎でもない。カルカロフ、マダム。ダンブルドアを責めるのはお門違いというものですぞ」

ハニー「……」

スネイプ「全て、は。このポッターの責任だろう。ポッターはこの城に来てからというものあらゆる規則を踏みにじってきた。そう、決められた線を越えてばかりいる。今回はそれが『年齢線』だったというだけの――」

ダンブルドア「もうよいセブルス。下がりなさい」

スネイプ「……ご命令とあらば」

ダンブルドア「ハニー。君は、炎のゴブレットに名前をいれたのかね?」

ハニー「いいえ。それに上級生の誰にも頼んでいないわ」

スネイプ「フンッ、信じられたものでh」

ダンブルドア「セブルス、黙っておいてほしいと言ったのじゃが」

カルカロフ「おやおや、おや!ダンブルドア!なにかつっこまれるとマズイことでもあるのかね!」

マクシーム「おーぅ、そうにちがいませーん。だんぶりーどーるの『年齢線』が、まちがっていーたとか」

マクゴナガル「全く馬鹿馬鹿しい!あなたたちはこれを何だと思っているのですか!アルバス・ダンブルドアですよ!?彼の魔法の腕に文句があるはずはありませんね!?それ以外にはあっても!」

カルカロフ「……まあ」

マクシーム「……」

ダンブルドア「ありがとうミネルバ。心に染み渡る言葉じゃ。色んな部分に」

マクゴナガル「当然です。そして、ダンブルドアもこの子の寮の寮監の私も!ハニーがそのような真似はしないと確信しています!みなさんが納得するにはこれで十分かと思いますが!?」

ハニー「あの……先生」

マクゴナガル「なんですポッター!」

ハニー「……必死すぎて」

357 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 20:41:04.03 ID:MdQly6LE0

カルカロフ「あー、バグマンさん。それに、あー、あの、く、くら、ひぃっ、クラウチさん」

マクシーム「おふたーりは公正な審査員でーす。おふたーりのいけんをお聞かせくーださい」

バグマン「あぁ、ああ。そりゃ、17歳以上と決められてはいたがね!それは今年に限り特別措置として設けられた制限だ!本来ならどんな年齢だろうがゴブレットには名前を入れられた!」

クラウチ「……そして、このことが重要なのだが。『炎のゴブレットからハニー・ポッターの名前が出てきた』つまり彼女にはこの瞬間から、競技に参加し競い合う義務がある。入れた入れないは関係なく、これは明白なルールであり魔法拘束だ」

ムーディ「そうだ!都合のいいことにな!」

カルカロフ「ひぃっ!?む、むむむぅでぃ!? なんだ、つ、都合!?そうだ、そうに違いない!ダンブルドアが、ホグワーツばかり都合よくことが運ぶように……」

ムーディ「不自然にどもるな呪う気か返り討ちにしてやるぞ!ちがう!わからんか!『炎のゴブレット』を欺くには強力な『錯乱の呪文』が必要だ!この小娘にはそんな真似はできん!この城にいるヒヨッこどもの誰にもな!」

マクシーム「おぉーう、それならやはりだんぶりーどーるの」

ムーディ「まだわからんか!ポッターを試合に参加させて得をするのは誰だ!?え!?こんな危険なものにだ!そう!ポッターを殺したくてしかたない輩にきまっておる!!!!」

ハニー「!」

ムーディ「どうだクラウチ、わしの考えはいきすぎた戯言か!?え!?」

クラウチ「……今年の試合は特別に安全であるからして」

ムーディ「あぁそうだろう!だがな、連中の考えることは狂ってる、そうだろうが!闇の力に魅入られた連中の、そういうやり方を考えるのがお前やわしのやり方だろう!身に覚えがあろうなカルカロフ!それに――」

ダンブルドア「アラスター!!!」

ムーディ「……あぁ、すまん。少し興奮した、ああ。酒でも飲もう、あぁ、取り乱した貴様の様子でも肴にしてな、カルカロフ」



361 名前: ◆GPcj7MxBSM[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 20:54:10.83 ID:MdQly6LE0

ダンブルドア「……どういった経緯や思惑の上で今この状況が成り立っておるのか、我々は知らぬ」

ダンブルドア「しかしじゃ、結果を受け入れねばならぬ。ルードやバーティの言ったとおり、『炎のゴブレット』の決定は絶対じゃ。それにあれの炎はもう消えてしもうた。再び選びなおすことも敵わんじゃろうて」

ダンブルドア「他になにか名案があるかの、イゴール。マダム」

カルカロフ「……まぁ、いいだろう。あー、試合を始めてその子がどう、というわけではない。優勝するのはビクトールに決まっている。うん」

マクシーム「……進めてくださーい」

ダンブルドア「だそうじゃ。バーティ、指示を」

クラウチ「……あぁ、指示。うむ」

ハニー「(……病気かしら。なんだか……凄く疲れてみえるわ)」

クラウチ「最初の課題は、君達の勇気を観るものだ。未知のものと遭遇したときの勇気は魔法使いにとって重要な資質であり、なくてはならない。競技は十一月二十四日に行われる」

クラウチ「いかなる助言もいかなる指導も教員から受けることは許されず、競技には杖のみの携帯が許可される。試合は過酷で、また時間のかかるものであるため。生徒は今年度の期末テストを免除するものとする」

クラウチ「……これで全部だろう。どうかね」

ダンブルドア「いかにも。じゃが、うむ。バーティ、少し疲れすぎてはおらんかね。やはり城に泊まってはどうじゃ?」

バグマン「そうだぜバーティ、そうしろよ!今やこのホグワーツが全ての中心だぜ!わたしは泊まらせてもらうよ、ダンブルドア!」

クラウチ「そうはいかない。若手の、ウェーザビーに任せっぱなしでね。熱心だし、最近では周りによく声をかけられているようだ。熱心すぎるのがどうも……それでは。選手、頑張りたまえ」

ダンブルドア「うむ。みな、かえってよろしい。セドリック、ハニー。早く寮に戻るのがよかろう。みな、君たちを中心にドンチャン騒ぎをしたくてしかたないことじゃろうて。さぁおかえり!チーチチッ!」



365 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 21:13:39.41 ID:MdQly6LE0

廊下

ディゴリー「……」

ハニー「……」

ディゴリー「それじゃあ、さ。僕達あの、戦うわけだ」

ハニー「……そうね。そうなったみたいだわ」

ディゴリー「……」

ハニー「……」

ディゴリー「あー、今度はさ。まぐれで勝った、とは言われないくらい。あー、僕自身が胸を張れるくらいに、勝つよ」

ハニー「……えぇ。私も、やるからには完璧にしてみせるわ」

ディゴリー「そう……そうか」

ハニー「……」

ディゴリー「……あー、僕、こっちだ。話せてよかった。それじゃ」

ハニー「えぇ、お互い大変ね……私はもう、何がなんだか、だわ。さようなら」

ディゴリー「……」

ハニー「……」

ディゴリー「なあ、あー……ポッター」

ディゴリー「君がどうして、参加することになってしまったんだ?だって、そうだろ?君は……」

ハニー「……えっ?」

ディゴリー「……なんでもないよ。じゃあね」

368 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 21:20:03.31 ID:MdQly6LE0

グリフィンドール寮

ガヤガヤガヤガヤ
ヒンヒーーーーーン!
 ヒーーーーーン!

シェーマス「僕らのハニーが代表だ!ヒンヒーーン!」

ディーン「優勝確実だ!ヒンヒンヒーーン!」

フレッド「花火だ煙幕だ火柱だーー!ひゃっほーーーーーーー!」

ジョージ「開発用の花火をぜーんぶ使いきろうぜ!ひゅーーっ!」

アンジェリーナ「ああ!ハニー!ほんと、頑張ってね!私が出れなくて残念だけど、あんたがやってくれればたのもしいわ!」

ハニー「賞賛の言葉は高貴で可憐から……ねぇ、分かったから。もう、可愛い豚たちね、はいはい」

ケイティ「髭も生やさずにどうやったの!?」

ハニー「あのね、私は……」

アリシア「応援旗を改造してマントにしてみたの!ハニー、さぁ!羽織って!未来のチャンピオンだわ!」

ハニー「そういうのは、いいの。あのね……」

ヒンヒン!ヒンヒーーーーン!!

ハニー「っ、もう!ロンとハーマイオニーはどこ?」

ハーマイオニー「こっちよ、ハニー」

ハニー「あら、ようやく……なぁに?談話室の外……そうね。寝室の方が私はいいのだけれど」

ハーマイオニー「そ、そういうのじゃなくて。ううん、そういうのも見越してなのかしら……あのね、ロンの調子がおかしくて。ついてきて、くれるかしら」

ハニー「?私の、一番の豚が?……案内して!早く!」

ハーマイオニー「……」

370 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 21:31:40.66 ID:MdQly6LE0

空き教室

ロン「あー、ごめんよハニー。君のお祝いパーティに顔を出せなくって」

ハニー「いいのよ。何か理由があったんでしょう?」

ハーマイオニー「……」

ロン「……まあ、出る気がなかったんだけどさ」

ハニー「……えっ?」

ロン「ハニー、どうして黙ってたんだい?そりゃ、言いづらかったかもしれないけどさ。君が立候補するなら、僕達豚……僕らは応援したのにさ」

ハニー「……ちょっと、何を言ってるの?」

ロン「だって、そうだろ?あー、きっと君はこう思ったんだね。この試合で優勝して、そうさ。カッコいい所をみせれば、もっともっと豚が、って」

ハニー「……」

ロン「何を使ったんだい?透明マント?それとも、僕より有能な使える、大事な豚?僕にはナイショだったのに。ハーマイオニーにも」

ハニー「私が……わたしが!!パパからもらった大事なマントを!そんなもののためにつかうはずがないでしょ!?!?あなたたち以上に、大事、なんて……!!」

ロン「もう付き合いきれない」

パチンッ

ハニー「!ちょっと、誰の許可でその首輪を外しているの。ロン!!やめなさい、ロン!!聞きなさい……聞いて」

ロン「やだね。僕はもう君の豚じゃない。この首輪はもっと相応しい奴につけろよ……それじゃ」

ハニー「待ちなさい!!ロン!!待ち、待って、まってよ、ロン……!!!」

ロン「……」

ハニー「どうしてよ!!どうして!!あなた言ったでしょ、わたしと、ロン!!!!!」

バタンッ

ハーマイオニー「……」

ハニー「……っ、っっっ、呆れたわ。主人のことも信じられない、っ、あんな、出来の悪い豚、いいえ、豚、以下だった、なんて」

ハーマイオニー「……ハニー」

ギュッ

ハニー「……ハーマイ、オニー。あなたは?」

ハーマイオニー「そばにいるわ」

ハニー「……ほんとう?」

ハーマイオニー「えぇ。きっとあの人も、すぐに。だから泣き止んで?ね?ハニー、あなたの涙もとっても、綺麗だけど。わたし、わたし、そうね……慰み者にしても、いいから……」





グリフィンドール寮

ロン「……」

ジニー「……」

ネビル「……」

ロン「……任せたよ」

ヒン!!!!!

378 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 21:42:08.54 ID:MdQly6LE0

翌日 大広間

ザワザワザワザワ ザワザワ
 ヒン

ジニー「おはようおねぇさま!ヒンヒン!……あー、いいわねハーマイオニーは。朝からおねぇさまと手が繋げるなんて豚の一生の頼みどころか再々来世まで本物の豚でいいくらいの望みなのに!」

ハニー「おはよう。そうね、来世だってあなたは私の豚に違いないわ、あなたはね」

ジニー「違いないわ!あっ、行かなきゃ!ヒンヒン! それじゃ、おねえさま!」

ハーマイオニー「なんだか忙しいわね、ジニー。ねぇハニー、ふくろう小屋にいきましょう?」

ハニー「……二人きりになるのなら、もっと良い場所があるけれど」

ハーマイオニー「ち、ちがっ、いいえ、どうせそうなりそうだけど……手紙を、書かなくっちゃ」

ハニー「……シリウスに?」

ハーマイオニー「えぇ。三大魔法学校対抗試合のことは新聞には絶対載ることでしょうし、規格外のあなたなら尚更だわ。シリウスも、あなたから知らせてほしいと思うの」

ハニー「……そうね。そうしてあげましょう。シリウスは……分かってくれるかしら」

ハーマイオニー「……」

ハニー「……やめましょう。行ってしまったものは仕方ないし、知らないわ。さっ、ふくろう小屋に行きましょう?しっかり歩いて。自分の足で」

ハーマイオニー「えぇ、あなたらしいわ。ハニー」

383 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 21:51:16.31 ID:MdQly6LE0

ふくろう小屋

フィーンフィーン
 ケーーーケーーッゲーッ
 ピーーピピチチピーフォイチチチッ

ハニー「『――私には何がなんだか分からないの。ムーディは、私を殺そうとしている誰かの仕業だ、って』」

ハーマイオニー「……あの人らしいわ。油断大敵!そういうこと?」

ハニー「えぇ、ほんと。あとは、知らせることは何も……でも、そうね」

ハニー「『――シリウスおじさんも、バックビークも。どうかお元気で』」

ハーマイオニー「……二つの意味で泣きそうだわ、シリウスは」

ハニー「? さっ、これをだして、早く授業に行かなくっちゃ……最初は……『薬草学』ね」

ハーマイオニー「……」

ハニー「……アーニーと、ジャスティンは」

ハーマイオニー「平気よ。それは、少しは思う所があるでしょうけど。あなたに二度と無礼なまねはしないって誓ったじゃない」

ハニー「……そうよね。ええ、グリフィンドールのみんなと……可愛い豚たちがいれば、へっちゃらよ」

ハニー「……他の寮の人からの、私がズルをした、なんて視線くらいね。へっちゃらだわ」

白豚「フィピヒィーン……」

ハニー「ありがとう、白豚。でもごめんね、やっぱりあなたは使えないの……女の子なのに汚くさえてごめんね、ヘドウィグ。大事な大事なお友達。一緒にいてくれる?」

ヘドウィグ「フィピヒン!!フィピィ!ヒンヒン!」

 フクロウs「ヒーーィンヒン!」

ハーマイオニー「……フクロウ豚部隊が統制されてるわ。いつの間に……あぁ、見越していたのね。まったく」

390 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2013/01/22(火) 22:07:31.64 ID:MdQly6LE0

地下牢教室

スネイプ「そしてこのニガヨモギはこう!こう入れるのだ!分かったな!」

ハーマイオニー「あなたがアイマスクをつけてから、スネイプ先生のテンションがなんだかおかしいわ」

ハニー「あの時の件で最初は苦々しく睨みつけていたくせにね……えぇ、今日は目を守ってくれる優秀な豚がいなかったから」

ネビル「ごめんよハニー!ヒンヒン!僕がノロマなせいで!」

ドラコ「おやおや、この分じゃ試合の結果は目に見えてるな。ポッター、ズルして何でも勝ち取るなんて、君はいつからこっちの寮風に染まったんだい?おっとそうなると、そこの『穢れた血』は君の隣にいるのはちゃんちゃらおかしいね」

ハニー「っ、マルフォイ。あなた今、的確に私の中の禁句を二つも三つも触れたわよ。いい加減にしなさい」

ドラコ「フォーイ?……オホン。ほーう?だったらどうなんだい?」

ハニー「……スネイプは魔法薬を作るのに夢中でこっちを観ていないわよ?」

ドラコ「言い訳は十分だ、くらえポッター!『デンソージオ、歯呪い!』」

ハニー「『ファーナンキュラス!鼻呪い!』」

ネビル「あぁーっ!フォイがフォイッと放った呪いとハニーの杖から放たれたすんごく綺麗な閃光が空中でぶつかって、お互いじゃなくてハニーのはゴイル!フォイのは……は、ハーマイオニー!?」

ハニー「っ!?ハーマイオニー、ハーマイオニー!?あぁ……」

ロン「! なんだよ、何事だい!? あーっと、ハーマイオニー!?どう……あー、あの、笑顔からのぞく前歯がステキ、だね。うん。いつも以上に」

ドラコ「ゴイル!ゴイル!こんの、ポッター!!ウィーズリーいたのか!うるさい鳴き声がしないから死んだものかとばかり!」

スネイプ「この騒ぎはなんだ!我輩が完璧な魔法薬を作る間に何をしている!」

ドラコ「先生!ポッターがゴイルに呪いを!」

スネイプ「……酷い状態の鼻になっておるな。あいにく治癒の薬がない。医務室につれていきなさい」

ドラコ「フォイ!」

ロン「マルフォイのほうだって!これをみろよ、おいハーマイオニーなんだよ、見せろって、ほら」

スネイプ「……とくに、いつもの前歯の様子と変わらんようだが?」

ハニー「っ、このっ、[ピーーー]!!!!」

ロン「[田島「チ○コ破裂するっ!」][田島「チ○コ破裂するっ!」][田島「チ○コ破裂するっ!」]」

ネビル「とても聞かせられない言葉なのでヒンヒンで隠しています!!」

395 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2013/01/22(火) 22:14:06.32 ID:MdQly6LE0

スネイプ「……左様。授業中に勝手に退出したグレンジャー、そしてお二人の教授に向けるべきではない失礼極まりない言動によって。グリフィンドールから50点減点」

ロン「この万年女日照り!」

ハニー「そんなことだからいつまでも童貞なんだわ!」

スネイプ「黙れ!!!!座れ!!!!!授業を続ける!!」

ロン「ふんっ、あのベタベタ野郎。ところで君ってなんであいつのこと最初っから童貞って……あっ」

ハニー「だって、子供っぽいってことでしょう?あの人ぴったりで……あ」

ロン「っ、おーいシェーマス、薬できたかい!」

ハニー「……一度座らせてくれたのに。そうね、体が覚えてた、だけなのね」

ネビル「なんせ君の一番の豚、だったからね……代わりはいないと思うけど」

ハニー「……どうかしら。ねぇネビル?あなたも、そうね?座り心地はよさそうだわ……?」

 シェーマス「上々さ……おいロン!!やめとけ!!!これ飲んだらマズイって!いや味という意味じゃなく!気持ちはわかるけど!ロン!ローーーーン!!」

399 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2013/01/22(火) 22:22:32.08 ID:MdQly6LE0

スネイプ「さて。約一名、一命をなんとか取り留めるような馬鹿げた状態になってはいるが。全員完成間近のようですな」

ハニー「ロンはあっちのほうでなにをしてたのかしら……そんなに私と話したことが嫌だった、ってことね」

ネビル「ち、ちがうよ、きっと、うん、いつものことだよ。ヒンヒン」

スネイプ「私語はつつしみたまえ。これ以上は減点されたくないだろう。さて、この薬品の味見を……ウィーズリー、半死半生で手を上げなくてよろしい。ほかのものに、もう一人。試してもらうこととしよう」

ネビル「これ、なんだっけ。『瞼が閉じて開かなくなる薬』、だったよね?」

ハニー「……正確にできていたらなんてことないけれど……」

スネイプ「さて、それではポtt……うむ?」

ギィィィッ

コリン「こんにちはハニー!ヒンヒン!スネイプ先生、ハニー・ポッターが呼び出されたそうなのでこの豚めがハニーの元に参りました!ヒンヒン!」

スネイプ「……なんの冗談だ。今ポッターはとてもとてもとてつもなく重要な授業の被験体になるのだが」

ハニー「やっぱり私にさせるつもりだったのね。何様なのかしら」

コリン「ですが先生!代表選手の呼び出しです!予言者新聞のインタビューやら、写真撮影、あ、これ僕がやるんですけど、とにかく緊急なんです!ヒンヒン!」

スネイプ「〜〜〜っ、よかろう!ポッター!とっとといけ!」

ハニー「……そうしてあげる。コリン、偉いわね。褒めてあげるわ」

コリン「はいっ!ヒンヒン!」

スネイプ「ロングボトム!一気だ!!」

ネビル「うわああああああああん!!!!」

404 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2013/01/22(火) 22:33:42.43 ID:MdQly6LE0

空き教室

バグマン「よう!よう!きたな、四人目の代表選手だ!ようハニー!元気か!」

ハニー「えぇ、あなたほどではないけれどね」

バグマン「はっは!違いない!こっちはリータ・スキーターだ!今日君のインタビューを担当する。短い記事だがね!」

ハニー「リータ……?聞き覚えが……あぁ」

スキーター「短くはないかもしれないわ、ルード。さぁて?ようござんすわ!さぁお嬢さんならんで!まあ!四人がそろいぶみ!すてきざんす!」

クラム「……」

フラー「よーく、言われまーす!」

ディゴリー「……なんだか人形みたいだ」

ハニー「……」

スキーター「んー?ちょーっと固いざんす!そこのマッチョメン!もっと笑って!その鍛え上げられた肉体にはどーんなあくどい術が秘めているんざんしょ!」

クラム「……」

スキーター「んまー可愛らしい!りんごのほっぺがステキざんす!赤いのは血色かしら、それとも誰かの血の涙ざんすかね!」

フラー「……おーぅ?」

スキーター「あまーいマスクの下には優越感かしら!それとも冷徹な瞳が覗いているのかしら!興味は尽きないざんす!」

ディゴリー「……」

スキーター「そしてそして!あぁーぁ!すてきざんすすてきざんす!ハニー・ポッター!反逆者は人気でるわよ!すてきざんす!」

ハニー「……別に反逆なんかしていないわ」

スキーター「生意気なところもスパイスばっちり!ルード!この子からインタビューしてようござんしょ?」

バグマン「あぁ、手短に……

スキーター「あの事はできればあたくしのメモ帳だけにしまっておきたいもんざんす」

バグマン「どうぞどうぞいくらでも!!!」

ハニー「……何を握られているのかしら」

418 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 22:46:26.28 ID:MdQly6LE0

箒倉庫

ハニー「……狭いけれど、妙に落ち着くのが嫌だわ」

スキーター「『自動速記羽ペン』を使っても?このほうがあなたとしぜーんに会話ができるざんしょ?」

ハニー「構わないわ。何のことか分からないけれど」

スキーター「そう、あなたはなーんにも知らない、右も左もわからないまだまだひよっこの魔女みならい!そうざんしょ、ハニー・ポッター!」

ハニー「誰に言って……」

スキーター「若干十二歳のあなたが十七歳の魔法使いたちに立ち向かう!どんなお気持ちかしら?」

ハニー「私、十四だけれど……『悲劇の過去の置き土産、額の傷が彼女の可愛らしくあどけない顔を台無しに――』この傷はたしかに苦々しく思ってるわ。だけどそんなこと一言も……」

スキーター「羽ペンは気にしないでほしいざんす。さぁさ、どうして決心したの?この試合に出ようだなんて」

ハニー「何度も説明しているわ。私は入れていない。どうして選ばれたのかも分からないの。悔しいことにね」

スキーター「なるほど、そういう体でいくわけざんすね!」

ハニー「聞いて……体って何よ!」

スキーター「もしかしてなるほど!過去のトラウマがあなたを駆り立てるんざんす?両親はあなたを誇りに思う、そうざんしょ?何せ三大魔法学校の一角ホグワーツの代表選手ざんすから!」

ハニー「選手の一人、よ!」

スキーター「あんな顔だけの鳥頭なんざ興味ないざんす!」

ハニー「あなたそれでも報道者なの!?私の眼には『両親を想うがための涙』なんて溜まってないわ!!」

スキーター「こんなもんざんしょ、どこの世界のマスコミだって。お嬢さん!さぁさ!もっと聞かせて頂戴!すてきざんすわ!」

421 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 22:56:25.39 ID:MdQly6LE0

グリフィンドール寮

ガチャッ

ハニー「……ふぅ」

ハーマイオニー「おかえりなさい、ハニー。取材だったり撮影だったり、大変だったそうね」

ハニー「あぁ、ハーマイオニー。えぇ、コリンがやけに張り切ってフィルムを何本使ったのかしら。戻っていたのね……無事、治ったの?」

ハーマイオニー「えぇ……マダム・ポンフリーに頼んだら、すぐだったわ。でも、あの……」

ハニー「? ……ふぅん」

ハーマイオニー「あー、えぇっとね!シリウスから手紙が届いていたわよ?十一月二十一日の午前一時、あなた一人で談話室にいるように、って!」

ハニー「本当!?見せて!……どういうつもりかしら。まさか、城に!ねぇハーマイオニー、し、シリウスに会えるのかしら……あぁ、やっぱり」

ハーマイオニー「あっ、ごめんなさいニヤニヤしていたつもりは……な、なに?あー、そうね。何にせよ、あなたと連絡をとるつもりでしょう……手?えぇ、繋いでほしいわ。なに……?」

ハニー「そうね、お願いしてあげる。ねぇハーマイオニー。今日はとっても嫌な気分だったけれど、シリウスのことや……その素敵なことのおかげで、ふきとんじゃったわ」

ハーマイオニー「な、なんのこと、かしら……あっ、あぁ」

ハニー「……もっと深く、ね?」

ハーマイオニー「あっ、あぁ、そんな、これ以上だなんて、あぁ、ありがとうマダム・ポンフリー、あぁ、ハニー、私の少しは控えようっていう決意まで、レデュシオされてしまうわ……」


ラベンダー「ねぇパーバティ」

パーバティ「なあに、ラベンダー」

ラベンダー「私達、いつまで談話室で寝るべきかしら」

パーバティ「さぁ。でも本望よね」

ラベンダー「もちのウィーズリーのあのおバカさんよ」

426 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 23:11:31.04 ID:MdQly6LE0

数週間後

ガヤガヤガヤガヤ

ハニー「……あの女。なにが三大魔法学校対抗試合のインタビューよ。私のことをあることないこと書いているだけじゃないの。私が全国紙をかざるなんて遅すぎる話だけれど」

ハーマイオニー「十三年前も前面記事大見出しだったと思うわ……フラーって子も、クラムも、最後の行に少しだけ。スペルは間違ってるけど

ハニー「セドリックにいたっては名前すらないわ……あぁ、ハッフルパフの人たち……」

ヒソヒソヒソヒソ
 ヒン ヒソヒソヒソ

ハーマイオニー「……ぶれない声が聞こえたわ。アーニーかしら」

ハニー「出来る豚ね」

ドラコ「おーいポッター!ハンカチはいるかい!?『瞳に大きな涙を溜めて気丈に両親へ必ず勝つと誓うハニー・ポッター』なんだろ!?」

ゲラゲラゲラゲラ

ハニー「……」

ハーマイオニー「……ムシよ、ムシ」

ドラコ「おーいポッター!『彼女は学校一の優秀な生徒であるとびきり可愛いグレンジャー嬢ともアブナイロマンス』だとさ!この学校ってのはどこのことだい?そこの頭でっかちが一番だ何てどこの世界だかな!」

そこかよドラコ 百合につっこめよ
 お前くらいだろポッターに話きけんの

ドラコ「!?」

「ハァイ、ハニー!」

ハニー「っ、えぇそうよ!私とハーマイオニーで誰も手の届かない高みを目指すタワーでも築いてやるわ!だから放っておいて……あっ」

チョウ「あっ、その、あなた、ハンカチを落としたわ。それを伝えようと思って」

ハニー「あぁ……ごめんなさい。チョウ」

チョウ「えぇっ。試合は、水曜よね?私、応援してるわ!同じシーカーとして、ねっ!」

ハニー「……ありがとう」

チョウ「いいえ!あぁ、あなたとハーマイオニーのタワー?とっても興味あるわ!今度聞かせて?それじゃ!」

ハーマイオニー「……なんというか、マイペースね」

ハニー「なんだか大して話してもいないのに好感度を上げさせられたわ。悔しいけれど」

ハーマイオニー「さすが、レイブンのあなた」

ハニー「なぁに、それ」

ハーマイオニー「今度ロンにでも聞きなさいな、あぁ、分かった、ごめんなさいったら。はいはい、手を繋いでほしいわ。ふふっ」

430 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 23:21:13.32 ID:MdQly6LE0

ハグリッドの小屋

ハグリッド「ほんと、おめぇさんはトラブルに巻き込まれやすいよなぁ、ハニー。誰がいれたか、やっぱり分からんのかい」

ハニー「えぇ、悔しいことにね。ジニーによると、ホグワーツで名前を入れた人は間違いなく自分の名前しか入れてないって。出来る豚だわ、彼女って」

ハーマイオニー「そうね、ジニーも」

ハニー「? も?」

ハーマイオニー「何でも。今度の水曜日が試合だなんて、信じられないわ」

ハグリッド「あぁ、あっという間だったなぁ……そんでな、ハニー。あー、今晩は空いてるか?」

ハニー「? 散歩のお誘い?そうね、スクリュートたちもそろそろ外を……あっ」

ハーマイオニー「……あー、今日はどうしても、ハニーは外出できないと思うわ。ねぇ?」

ハニー「そう、ね。ごめんなさいね、ハグリッド。豚なあなたの頼みだけれど……」

ハグリッド「いや、いや!いいんだ……と、すまねぇ。今回ばかりは、どうしても頼みを聞いちょくれ!あー……お前さんのためなんだ!」

ハニー「……」

ハーマイオニー「シリウスとの約束、今夜でしょう?断ったほうが、いいわ」

ハニー「……一時までに、その用事は済むの?」

ハーマイオニー「ハニー……はぁ。えぇ、あなたって、あなたのしたいようにするのよね。分かってたわ」

ハグリッド「ヒンヒン!終わらなくっても終わらせよう!もちの…………すまん、すまんハニー!!!ヒンヒン!ヒーーーン!」

ハニー「……ハグリッド。スクリュートって、あの吸盤に指を入れるとどうなるのかしら」

433 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 23:33:28.98 ID:MdQly6LE0

深夜

コンコンッ

ハグリッド「……ハニー?お前さんか?」

ハニー『この私の存在がすぐに分からないなんて、あなたを使える豚と呼んだのは間違いだったかしら?』

ハグリッド「すまねぇヒンヒン! よし、しっかり透明マントを着ちょるな。よし、ついてきてくれ」

ハニー『えぇ、そうしてあげる。ねぇ、どこに行くの?』

ハグリッド「森のはずれだ。あー、すまねぇが途中で人と待ち合わせちょる。お前さんに話しかけられねぇが、勘弁してくれな。すまねぇ、でもお前さんは学生だから、こんな時間に外に出ちゃなんねぇし……あっ!」

ハニー『それってつまり、待ち合わせてるのは……あぁ、やっぱり」

マクシーム「ボング・スーワー、あーぐりっど……指をどうしたんでーす?」

ハグリッド「ちょいとした義務でな!ヒンヒン!あぁ、オホン。マダム、エスコートさしちょくれ。あんたも絶対気に入るはずだ」

マクシーム「?」

ハニー『……マダムを見せたかったのかしら。いつでも観られるのに。この人を見過ごすのはさすがの私でも難しいもの……歩くの、早っ、もう!』

マクシーム「なーにがあるんでーす、あーぐりーっど?」

ハグリッド「着いてきてくれれば分かる。でも、俺が教えたって言わないでくれな?大目玉をくらっちまう」

マクシーム「……もちろんでーす」

ハニー『もう、ほんっと、早……少し休みましょう。あら?あっちの木立に何か……』

 カルカロフ「……」

ハニー『……あの人、マダムとハグリッドを見てつけてきたのね。それは、そうね。二人は目立つし……この城のことを知ってるのなら、ハグリッドがどれだけあの腹黒豚と仲がいいかも承知しているんでしょう』

ハグリッド「さあ、あそこだ。あのくぼみの向こう――どうだい、マダム。美しかろう?ハニーとあんたの次に」

マクシーム「……おぉーーーう!!」

ハニー『聞き捨てなら無いわねハグリッド、それはつまり、その人と――えっ!?」


グギャアアアアアアアアアアギャアアアアアア!
 ボオオオオオオオッ!

おい!そっちに回れ! 目をさましたぞ!
 チャーリー!遊んでないでファイヤーボール種……終わってる?あぁ、うん

ハニー「……ドラゴン?」

434 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 23:42:39.46 ID:MdQly6LE0

チャーリー「ふぅ。やぁハグリッド、待ってたよ」

ハグリッド「よう、チャーリー!手紙をありがとうよ。美しいな?え?」

チャーリー「カッコイイんだって言ってるだろ、まったく。あの人を連れてくるなんて聞いてないよ」

マクシーム「おぉーう、おーぉ!」

ハグリッド「気に入るかろうと思ったんだ。思ったとおりだったがな」

チャーリー「すっげぇデートプランだことだよ」

チャーリー「マダム!あまり近づかないでくださいよ。ホーンテール種は7、8メートル炎を吐くってことになってるけど、奴さんはその倍は吐くとこを僕は見てますからね」

マクシーム「おぉーう、わかりましーた」

チャーリー「……あの人、きっと自分とこの生徒に話すだろう?ったく、カンニングもこの試合の伝統とはよく言ったものさ」

ハグリッド「マダムはそんなことはしねぇ!あの人の心はきれぇだ!」

チャーリー「あぁあぁハイハイ、君くらいね。ハニーは元気かい?」

ハグリッド「あぁ最高だ!……こいつらと戦った後も、元気だといいんだがなぁ」

チャーリー「出し抜くだけさ、きっとね。殺すとは聞いていないし……一人一頭なんて贅沢だよな。僕の学生の頃なんて遠目に群れをみたことがあるくらいだった」

ハグリッド「まったくだ。良い経験をするなぁ、ドラゴンに間近で火を噴いてもらうなんて」

チャーリー「しかも敵意むき出しでね。カッコイイよな。代わってほしいよ」

ハニー『……チャーリーって』

436 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/22(火) 23:49:24.68 ID:MdQly6LE0

チャーリー「こっちのことがあるからまだ実家にいるんだけどね。ママは代表が決まってからずーっとハニーのことを噂してるよ」

ハグリッド「あぁ、ハニーだからな。どいつだって口にしたくなるわなぁ」

チャーリー「はいはい。あの新聞が出てからはもう涙涙さ。『あの子はジェームズとリリーを想って夜な夜な泣くんだわ!なんていい子なの!あぁ可哀想に!知らなかった!』だと」

ハグリッド「モリーは、あー、純粋だなぁ」

チャーリー「言葉を選んでくれてありがとうよ。それで、ハグリッド?さぁ、ドラゴンもぶっとばす僕の『失神呪文』をくらいたくなかったらその右足をひっこめるんだ。卵はちゃーーーーんと数えてるからね?」

ハグリッド「後生だ、チャーリー、後生だから」

チャーリー「残りの半生はもうドラゴンを飼おうなんてバカなことは言わん!って言ったろ、君」

ハニー『……そろそろ、時間ね……ハグリッド、ありがとう』ツツーッ

ハグリッド「おっほぉーーー!ヒンヒン、ヒーン!」

チャーリー「きゅ、急になんだよ!?あっ、卵を蹴飛ばして……あー、やぁ。ハンガリー・ホーンテールの角子ちゃん。あー、落ち着こうか。オーケー、クールになろう。君は最高さ」

グギャアアアアアアアアアアアアア!!
 ボオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!

ハニー『!?何事かしら……でも、急いで戻らないと』

437 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/23(水) 00:00:09.65 ID:Oei6ZC/D0

グリフィンドール談話室

ハニー「……良かった、誰もいないわ。それに、変な臭いもしないわね」

ハニー「ハーマイオニーの最終手段、双子に依頼して糞爆弾を雨を降らせる、は決行されなかったみたい」

ハニー「……ドラゴン、が。第一の課題、なのね」

ハニー「……知ったところで、どうしろというのかしら。クィリナスも、リーマスも、私にドラゴンに対抗する術なんて教えてくれていないわ」

ハニー「ハグリッドは……孵し方と飼い方を教えてくれたけれど」

ハニー「それに……マクシームもカルカロフも、あれを見たのよね」

ハニー「……ハグリッドの純粋さはとってもステキなところだけれど……マダムは、それにカルカロフも絶対、あの二人に教えるはずだわ」

ハニー「そうなると……ドラゴンのことを知らないのは。セドリックだけ」

ハニー「……」

ハニー「……そうよ、知ったところで何になるの?セドリックだってきっと、私のように途方にくれるだけ。何も、教えなくたって……」

ハニー「……私を信じてくれていた、のよね。あのときの、あの言葉って」

ハニー「……私は」

ハニー「……」

シリウス『……』

ハニー「……」

シリウス『……』

ハニー「……!?し、シリウス!?あぁ、暖炉にあなたの頭だけ……ビックリして、いいえ!あの、あぁ!もう!少しは声をかけて頂戴!」

シリウス『やぁ、ハニー。あぁ、っく、そうだな。その反応を見たかったわけではないのさ。誰かさんには何度も煮え湯を飲まされていたからね。っくく』

ハニー「笑わないで!もう!もう!!」

シリウス『あぁ、そうだな。うん?君も怒るのか笑うのかどちらかにしたらどうだい、ハニー。っくく』

440 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/23(水) 00:09:53.39 ID:Oei6ZC/D0

ハニー「――そういうこと。第一の課題はドラゴンで、それにロンは……まだ一言も、私と口をきかないわ」

シリウス『ちょっとまっていてくれハニー、すぐに体ごとそっちに行ってロンをしこたまぶちころがしてや』

ハニー「ま、待って!いいの!そこまでする時間に余裕はないのでしょう!?自分でなんとかするわ」

シリウス『そうか? そうだな、うん。君の友人だ、きっと話せば分かってくれる。私とジェームズやリーマスなど、話どころか何度拳を交わしたことか。あと肉球とか角とか牙とか前歯とか』

ハニー「じゃれあっていたのか本気で喧嘩していたのか判断に困るわ」

シリウス『私の話は、いいんだ。そう、君のことだ、なぁハニー……君は夜な夜な二人を想っ』

ハニー「その記事を書いた人のことは知ってるわよね!?まったくのデタラメよ!!当然でしょ!?」

シリウス『あっ、あぁ、そうか。もちろん分かっていたさ。あの新聞を読んだ日のネズミがちょっぴりしょっぱかったのは気のせいだろう』

ハニー「なんの事なの……そう、ネズミを食べてまで」

シリウス『何だって食べるさ。君の傍にいるためなら。ハニー、私は君の後見人として当然のことをしているだけだよ』

ハニー「……っ、あの。シリウス。あなたなんだか、そんな生活をしていたわりに、健康そうな顔ね?」

シリウス『そうかね? まぁ、アズカバンの時より食べ物はいいし、南国の温かい気候でゆっくりしていたからね』

ハニー「……パパとママの、結婚式の時の写真の頃に、髪型も近いわ」

シリウス『? ハニー?どうして顔を逸らすね?そろそろ話しを、ハニー?』

ハニー「……ちょっと待ってて、シリウスおじさん」

シリウス『……うん』

446 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/23(水) 00:28:30.42 ID:Oei6ZC/D0

シリウス『ハニー、ドラゴンのことは後回しにしよう。あれの群れに突っ込んだことがあるからね。対処法がある』

ハニー「何をしていたの……」

シリウス『ハンドルを切り間違えて……とにかく、ハニー。君の近くにはドラゴンより警戒すべき相手がいる。イゴール・カルカロフ。あいつは元死喰い人だ。この意味は分かるね?』

ハニー「……あの黒豚に使えてた、闇の陣営(笑)……ダームストラングの校長が!?」

シリウス『そう、闇(笑)の陣営だ。ネーミングセンスはプレティーンだが、あいつのしてきたことは笑えない』

シリウス『あいつはムーディが逮捕したれっきとした犯罪者なんだ。だが、多くの仲間の名前を売ったことで釈放された……連中からみれば、いわば裏切り者なんだ』

シリウス『君を狙って得をする者がいるとすれば、まずあいつだろう。ワームテールと同じだ、君の首を、と。絶対にさせんがね』

ハニー「……ありがとう。ムーディにカルカロフは掴まった、そう言った?」

シリウス『あぁ、だからダンブルドアは奴さんをホグワーツに呼んだのだろう。それに、聞いているだろう?新学期初日、ムーディは何者かの襲撃をうけた……アーサーは、ムーディの勘違いと片付けたようだが』

シリウス『本音はアーサーも気づいている。誰かが、ムーディの邪魔をしようとしたのだ。いいかいハニー、あれはちょっと言動はヤバイが、魔法省始まって以来の闇払いなんだ』

ハニー「えぇ、ちょっとおかしなところはあるけれど。信頼できる人だわ。そう思ってあげてる」

シリウス『あぁ。死喰い人の動きも活発化している。ワールドカップでは随分と図に乗っていたそうじゃあないか。あすこに私かリーマスがいたら壊滅させてやったのに……ジェームズかダンブルドアが出たら二秒で連中の方が逃げただろうが』

ハニー「そうね、随分と臆病な人たちだったようだもの。『闇の印』をみたら、消えてしまったわ」

シリウス『そう、問題はそいつだ。今の世の中でのうのうと暮らしている元闇の陣営の反吐が出るような人間の腐ったベタベタな輩は、そんな気概はないはずだ。ヴォルデモートに心からべったりな者は全員アズカバンにいる。愛しの従姉妹なんかもね』

ハニー「……愛しの?」

シリウス『あぁ、いつか話そう……ハニー、やめてくれ、その顔とその目で睨まれると私は尻尾もないのに丸まりたくなる。やめて』

447 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/23(水) 00:46:17.38 ID:Oei6ZC/D0

シリウス『とにかく、何もかもがきな臭い。失踪した魔法省役人の話は?』

ハニー「……バーサ・ジョーキンズ!?彼女も何か関係しているの!?」

シリウス『ああ、そうだ。彼女は最後アルバニアにいたらしい。ヴォルデモートが最後にいたとされる場所そのものずばりだ……彼女が最後に勤めていたのは?』

ハニー「……『魔法ゲーム・スポーツ部』それじゃ、彼女がヴォルデモートに情報を……」

シリウス『……彼女は私や君のお父さんと歳が近くてね。二つほど上だったか……とにかく知りたがりで、そのくせ頭がからっぽだった。あぁ、バーサならば簡単に罠にはまり、奴に全てを吐いただろう』

ハニー「それじゃあ、そのことを知った黒豚は、カルカロフに依頼した。それで、私の名前を……?」

シリウス『だが少し疑問が残る。カルカロフは絶対に、主人の力が強大になって守ってくださると確信しないと奴の下には戻らないだろう』

ハニー「……ワームテールみたいに?」

シリウス『あぁ、そういう奴らだ。しかし君を試合に出すことはなんにせよ、実行犯が誰にせよ、奴らの側に得することが多い。とりあえず目に見える相手を警戒していて損はない』

ハニー「そうね、なんだかとっても楽な作戦のようだもの。このままだと私は、ドラゴンの前で……たかがトカゲのようなものに、この私が怯える道理なんてないわ!そうでしょ!?」

シリウス『あぁ、その意気だ。なぁに、しっかり見据えていればなんとかなる。いいかい?『失神呪文』は無駄だ。並大抵の呪文じゃ鱗を通せないし、一人の呪文じゃ当てどころを間違えば返って逆上させるハメになる』

シリウス『それでも、簡単な呪文で奴らの動きは封じることが出来るのさ。いいかい、今から言う呪文をよく――」

トントン、トントントン

ハニー「!」

シリウス『!誰か、降りてくる』

ハニー「行って、シリウス!早く!見られたらいけないわ!行って!」

シリウス『しかし……』

ハニー「行って!大丈夫、私を誰だと思っているの?パパとママの子よ!なんとなするわ」

シリウス『あぁ、ハニー……また会おう』

ポンッ!

ハニー「……だぁれ?こんな間の悪い時に談話室に下りてくるのは。豚の誰かだったら、懲らしめて……あっ」

ロン「……」

ハニー「……」

449 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/23(水) 00:50:08.02 ID:Oei6ZC/D0

ロン「一体、何を。こんな時間に誰と話してたんだい?」

ハニー「……あなたには関係ないと思うのだけれど?」

ロン「……ハーマイオニーがいるわけでもなし。君、何してたのさ」

ハニー「あなた、何なの?豚以下の存在が気安く私の視界に入らないで。口をつぐんで回れ右しなさい。ヒンヒン啼く必要さえないわ、あなたなんて」

ロン「……あっそ。悪かったね。どうぞ、インタビューの練習でもしていなよ。どうせ……」

ハニー「あなたなんて……あなた、なんて!!!」

ロン「っ、じゃあね。邪魔してごめんよ。マーリンの髭」

パタンッ

ハニー「っ、っっ!大っ嫌い、なんだから!!!!ばか!!!!!!」






ガシャーーーーーーーン!!

ロン!ローーーーーーン!!!ここが何階だと思ってんだローーーーーン!
もう休め!休むんだローーーーーーーーーン!!!!

454 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/23(水) 01:03:38.09 ID:Oei6ZC/D0

次の日 図書館

ハニー「……ハーマイオニー。次の本を持ってきてくれる?」

ハーマイオニー「えぇ……あぁ、この本は役に立たないかも。『鉤爪を切る呪文』なんて、ドラゴンの健康管理をしたがる人に必要な知識だわ」

ハニー「ハグリッドとか、チャーリーとかね」

ハーマイオニー「チャーリーもやっぱりそんな風だったのね……『ドラゴンをしとめるのは極めて難しい。古代の呪文が原始のドラゴンの皮に浸透したことにより、最強の呪文以外は何一つ……』」

ハニー「……余計なことをしてくれたわよね、グリフィンドール」

ハーマイオニー「?」

ハニー「なんでもないわ。歌の一つを思い出しただけ。でもシリウスは、簡単な呪文で大丈夫と言っていたもの。簡単で、しかも最近ドラゴンに有効だと判明したものなのかもしれないわ」

ハーマイオニー「それじゃあ、呪文集を探してきましょうか……あら、嫌だわ」

  クラム「……」

キャー!クラムサンカッコイーーー!

ハーマイオニー「またあの人、ここに来るようになったみたい……もう、どうして自分の船の中で勉強できないのかしら」

ハニー「……」

  クラム「……」

ハニー「ハーマイオニー?あの人が見えるときは、なるべく笑顔にならないで。いい?」

ハーマイオニー「? どうしたの? 心配しなくったって、あなたといる時が一番笑顔よ、私」

ハニー「えぇ、だからそれを……あっちで詳しく聞きましょう」

ハーマイオニー「えっ、そんな、ここ図書館だから、そんな、人気の無い書架にいけばとかじゃ、ダメよ、時間がないのがわから、あぁ、そうね、静かに、あぁ、ハニー、あなたたってどうして、私にすぐにシレンシオを……」

  クラム「…………」

457 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/23(水) 01:15:22.35 ID:Oei6ZC/D0

校庭

ハーマイオニー「ここならいいわね。今日は晴れているし、気持ちがいいわ」

ハニー「私としてはもっと静かで二人っきりの所のほうがいいのだけれど」

ハーマイオニー「勉強にならないでしょうあなたはどっちなのドラゴンに挑むのか限界に挑むのか」

ハニー「どっちだって極めてみせるわ、私よ?」

ハーマイオニー「ほとんど攻略しかかってる方は放っておいて。いいからドラゴンのことを……あっ、マズイわ」


 ワイワイワイワイ アハハハハハハ!

ディゴリー「あっ、じょ、冗談か。なんだ、良かった。不治の病で困っている小鬼はいないんだね?もう、酷いぞみんな」


ハーマイオニー「ハッフルパフの一団だわ……えーっと、ハニー。湖の方に……?」

ハニー「……いいえ。ちょっとここで、待っていて? 彼に話さないといけないことがあるの」

ハーマイオニー「えっ!?ちょ、ハニー!?あぁ……もう」

ネビル「ヒン!」 ジニー「ヒンヒン!」 コリン「ヒーン!」デニス「ヒヒン!」

ハーマイオニー「……えぇ。いざという時のために茂みに待機してるのね。心強いわ。頭に悪いけど」


ハニー「……ハァイ、セドリック」

ディゴリー「アハハ……あっ。や、やぁ。ポッター?」

ザワザワザワザワ

ハッフル生1「おいおい、代表選手がなんのようだい」

ハッフル生2「これ、みろよ!ポッター!『セドリックディゴリーを応援しよう!』バッジさ」

ハニー「……みんなバッジ好きね。ちょっといい?話があるの」

ディゴリー「えっ、いいのかい。あー、いや。話?ここじゃ、ダメなのかな」

ハニー「二人きりで。お願い」

ディゴリー「あー、うん!みんな、ごめんよ。ちょっと……」

ハニー「……遠目に見えるけれど、凄く睨まれてるわね。私」

ディゴリー「あー、ごめんよ。あんなバッジはいいよ、って言ったんだ。それに、もう一種類……なんでもない。それで?話っていうのは?」

ハニー「……一つ目の課題は、ドラゴンよ」

ディゴリー「……えっ?????」

459 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/23(水) 01:31:03.42 ID:Oei6ZC/D0

ハニー「ドラゴンなの。一人につき一頭。出し抜く必要があるわ。何をすればいいのかまでは、悔しいけれど分からない」

ディゴリー「……あー、えーっと?うん。嘘をついている、風ではないね」

ハニー「当然よ。私は私のしたいようにするのがモットーなの。嘘なんて言っていないわ」

ディゴリー「だけど君……どうやって知ったんだい?」

ハニー「見たのよ、現物を。それにマクシームもカルカロフもね。残りの二人も知ってるに違いないわ」

ディゴリー「……」

ハニー「……」

ディゴリー「どうして僕に、教えてくれたんだい?」

ハニー「だってそれが、フェアじゃない。そうでしょ?」

ディゴリー「あー、まぁ。これで四人全員の足並みが……うん、確かに。やっぱり、君は」

ハニー「違うわ。あなた、私のことを信じてくれていたんでしょ? これで、借りは無しよ」

ディゴリー「あっ……ははっ。なるほどね。それじゃ、あー。ポッター。正々堂々、戦おう」

ハニー「? あぁ、えぇ。そうね、握手を。あなたも精々、頑張って頂戴」


ドラコ「おやおや、おや。ポッター!ホグワーツの真のチャンピオンに泣きついているのかい?」

ハニー「……」

ディゴリー「?あー、君は。フォイフォイ?違うよ。彼女は……」

ドラコ「マルフォイだ!仮にも君の応援者になんて言い方だ!おいポッター、こいつを見ろよ」

ハニー「……『セドリック・ディゴリーを応援しよう』バッジでしょう?知ってるわ。ほんと、この城の人たちバッジ好きね。私色のものは中々普及していないようだけれど」

ドラコ「どっこい、あるぜポッター。このバッジを押すと……」

グルグルグルッ パッ

ハニー「……」

ディゴリー「……あー」

ドラコ「ハッハ!!『汚いぞ、ポッター!』バッジにはや代わりさ!ハッフルパフと共同開発したけど、そっちの連中は一面しかないのしかつけていないみたいだな。本当はこっちが主体さ!汚いぞ、ポッター!このバッジや君の目みたいな薄茶色だ!はっは!」

ハニー「ハシバミ色っていうのよ。語彙が無いと困るフォイね。せいぜいそのおもちゃで喜んでいるといいわ。童貞らしく」

ドラコ「っ!なんだと!?」

ハニー「話は終わりよ。あなたもね、ディゴリー。それじゃ……」

ドラコ「まて!こら!ポッター!くっそぉ、涼しい顔で背中を……まるで僕が負け犬みたいじゃないか!させるか!『デンソー……」

ムーディ「おい若造!!!!後ろから襲うだと!!!卑怯な!!!貴様!!!!闇に落ちる芽があるな!死ねえええええええええ!!!」

ドラコ「フォオオオオイ!?!?!?」

ハニー「!?!?」

467 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/23(水) 01:47:50.67 ID:Oei6ZC/D0

イタチ「ピィイイイイ!ピィイイィイイフォイ!!!」

ムーディ「なんと下賎な奴だ!こいつめ!わしの目の前でよくも胸糞の悪いものを見せてくれたな!こいつめ!」

ハニー「あ、あー、あの。先生。ムーディ先生。目の前もなにも、ついさっきまであなたはいなかったような気がするわ」

ムーディ「なーにを言っとる!!この木の上に闇の輩がいそうな気がしてな!調べていたらお前達の方が下にきたんだろうが!こいつめ!こいつめ!」

イタチ「ピィイイイイイィ!フォイィイイイイイイ!」

ハニー「そう、それは分かったけれど。その白ケナガイタチは、あのフォイフォイなの?」

ムーディ「そうだ!こんな卑怯者にはこのくらいせんといかん!そーれ!跳ねろはねろ!このまま校庭を散歩させてやろう!!」

ザワザワガヤガヤ
 ザワザワザワ

シェーマス「おい、なんだよあれ。あっ、ハニーだ!ヒンヒン!やった、城以外で久々に会えた!」

ディーン「ムーディのやつ、何をやってんだろ……ヒンヒン」

フレッド「ちっくしょ、あのとんちきめ!しらばっくれやがって……フォイ?」

ジョージ「むかつくな、ああ。何か面白いことでも……おいおい、ドラコか?」

イタチ「ピィイイイイイイフォォオイイ!」

ムーディ「人も集まってきたな!よろしい!貴様の下劣な行為を反省させるのに丁度いい!いいか諸君!敵が後ろを見せた瞬間杖をぬく鼻持ちならん臆病者もおるのだ!油断!大敵!ほーれ、跳ねろ跳ねろ!!」

アハハハハハハハハハ!
 ゲラゲラゲラゲラゲラ

マクゴナガル「む、ムーディ先生?何の騒ぎです、これは!」

ムーディ「やあ、マクゴナガル先生。うむ、教育だ」

マクゴナガル「教……ムーディ!?こ、これは生徒だと言うのですか!?」

ムーディ「いかにも!!ポッターの背中に杖を向けた下劣な奴だ!」

マクゴナガル「…………」

ハニー「先生。マクゴナガル先生?」

マクゴナガル「ミス・ポッター。ミスター・ディゴリー。わたくしは今、この場に来ました。そうですね?」

ハニー「はい先生」

ディゴリー「ちがいありません先生」

マクゴナガル「おやムーディ、なんだか愉快なことをしていますね。童心に返って私もやってみましょう」

ムーディ「……う、うむ」

マクゴナガル「いいですか、みなさん?イタチというのは猫ほどではありませんが柔軟な肉体を持っていますので。もし例え間違ってこれが人間が変身した姿であったとしても――このように!これだけ高く打ち上げられても無事に着地できるのです。いいですね?何故メモをとらないのです、ええ、それではもう一度やるしかありません。そうですね?」

ハイセンセーーーー!

ハニー「……先生、ありがとうございます、とはいいにくいわ」

ムーディ「運のない奴が悪い。ポッター、こっちにこい。お前がディゴリーに話したことで、ちょっと話がある」

ハニー「っ」

474 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/23(水) 02:06:26.82 ID:Oei6ZC/D0

ムーディの部屋

クルクルクルクル ジーーッ パチパチッ

ハニー「……壁一面に、これ、大きさはまるで私の持っているものとは違うけれど。『隠れん防止器<スニーコスコープ>』ね」

ムーディ「ここに来てから鳴りっぱなしで止めておかないといけなくなった。『秘密発見器』もだ。生徒が四方八方で嘘やいい訳をしているからな。え?」

ハニー「っ、いい訳なんてしないは。私は、ただ――自分の知ったことをディゴリーにも、って」

ムーディ「あぁ、ああ。責めているのではない、ポッター。お前のしたことは、非情に道徳的な行為だ。そうだろうが?」

ハニー「……」

ムーディ「まあ座れ。『敵鏡』は気にするな。わしの敵が近づくにつれて姿がはっきりしてくるが、目が白く映る時には、わしのトランクが空けられた時だろうさ」

ハニー「? よく分かりませんわ」

ムーディ「老人の戯言だ。それでだ、ポッター。わしは別にお前がどうやって知ったのかを追求する気はない。カンニングは伝統あるこの競技で日常的に行われていたことだ」

ムーディ「ダンブルドアはあくまで高潔にしておるからお前に何にも接触してこないだろうが、残りの連中、カルカロフとマクシームは違う。連中は必死だ。ダンブルドアもただの人だと証明したいのだ」

ハニー「……腹黒い、ね」

ムーディ「あぁ、あいつほど澄んだ目で人を抜き去る奴も……それはいい。さて、ポッター。お前はどうやってドラゴンと対決する?」

ハニー「……それは」

ムーディ「ディゴリーは言ったな?これで四人の足並みがそろった。本当にそうか?え?ディゴリーはお前の歳には笛を歌う時計に変えていたそうだ」

ハニー「……」

ムーディ「デラクールは、わしを妖精のお姫様にしたようなものだ。笑うか?笑えんぞ?あの顔でわしなのだからな」

ハニー「……」

ムーディ「クラムは、頭の中はオガクズだが恵まれた肉体に、それにカルカロフの後ろ盾がある。あいつがどうやつで、クラムに何を入り知恵するかくらいは想像がつくな?え?」

ハニー「……」

ムーディ「それで、ポッター。さて、お前には  何があるんだ?」

479 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/23(水) 02:16:16.89 ID:Oei6ZC/D0

ハニー「……」

ムーディ「生き残った女の子!絶対死の呪文から逃れた伝説的な存在!わしの『服従の呪文』さえ覆す精神力!さぁ答えてみろ、ポッター!お前にはどんな強みがある!」

ハニー「……」

ムーディ「遠慮するな!ここにはわしとお前しかおらん!そうだ!そのカーテンの陰に輩でもおらん限りな『ステューピファイ!!!』」

ハニー「っ!」

ムーディ「ふむ、杞憂だったか。また窓を直さねば。ほら、ポッター!言ってみろ!え?どうだ!」

ハニー「……っ、っ」

ムーディ「ほら、どうした!もったいぶらずに言ってみろ!え?お前の強み!どうした!うつむいて、なんだ、溜めているのか?それともわしを呪う準備か!こい!さぁ……………あ」

ハニー「っ、っぅっ、っ」

ムーディ「あー、まて。まてまてまて。違う。わしは、そうじゃない。何も、別にお前を、その、あの」


ハニー「っっぅぅ」

ムーディ「……泣かそうとしたわけじゃ」

489 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/23(水) 02:30:44.70 ID:Oei6ZC/D0

ハニー「っ!泣いてなんか、ないわ!何よ……そう、わたし、わたしには、何にもない、わ……!」

ハニー「強がりも自信も、ほんとは、なんにも!!そうよ、わたしなんて、わたしなんて、ちっぽけな……なんにももっていないの!わたしは!」

ムーディ「……あー」

ハニー「大事な人、一人、そばにいてもらえなかった! 本当に、大事だったのに わたしに何か、あれば! きっとこんなことには、ならなかった わたしが……わたしが!」

ハニー「もっと力があれば わたしは愛してもらえたの!?」

ムーディ「っ」

ハニー「ううん、そうじゃない あの人はそんな風にわたしをみてない。 わたしの、大事な人たちは。そんなことでわたしを慕ってくれていたわけじゃない。わたし、わたしはいつだって、足手まといだった」

ムーディ「……」

ハニー「……大事な人にもいなくなっちゃって。なんにも力もないわたしは。もうこの試合に出るべきじゃない。先生。先生は、優しいわ。わたしに、そう教えてくれたのでしょう?」

ムーディ「……いいや、違うぞ。ポッター」

ハニー「……え?」

ムーディ「お前にはあるだろう。お前にしかない、なんだ。力が。煽らないから考えてみろ。お前の得意なものはなんだ?え?」

ムーディ「自信がなくてもいい。誇れるものでなくてもいい。お前の好きなものはなんだ?それは絶対に、お前を支える強みになる。そうだろうが?」

ハニー「……クィディ、ッチ」

ムーディ「そうだな、お前は素晴らしい乗り手だと聞いている」

ハニー「……わたしが、初めて人の役に立てた。空を飛ぶなんて怖いことを、初めて、迷わずに出来た。えぇ。わたし……飛ぶのが、好きだわ」

ムーディ「よろしい!さあ、ポッター。ここまでくれば、お前なら解決できるだろう?」

ハニー「……競技に箒は、持ち込めないわ」

ムーディ「そうじゃない。あぁ、持ち込めるのは杖だけだ。ポッター!お前ならば、それ一つで全て手に入れられるだろう!恐れるな!なにもかもすぐ近くにあるんだ!あぁあのウィーズリーとやらはまどろっこしい!!!」

ハニー「? ……手に入れる、すぐ近く……あっ」

――『手に入れる物は自分とはほど遠い』、そう思っていませんか?それとも……『手に入れたとしてもすぐにどこかに行ってしまう』――

――いつだってハニーの隣にいるよ!――




ハニー「……『呼び寄せ呪文』?」

494 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/23(水) 02:46:45.10 ID:Oei6ZC/D0

水曜日

ワアアアアアアアアアアア!!
 ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

ディゴリー「……テント越しだけど、すごい歓声だ」

フラー「おぉーう、緊張しまーす。ねぇー?……オッオー、このひーと、無口でーす」

クラム「……」

ハニー「……」

 ハーマイオニー「ハニー、ハニー。そこにいる?」

ハニー「……ハーマイオニー?テントの外……そこにいるの?」

 ハーマイオニー「もうすぐ始まるみたいだけど、やっぱり少しでもあなたの傍に、って。あぁ、ハニー。怖いわね、当然よね……」

ハニー「……そんなわけないじゃない。私を誰だと思って……うん。そうね。ちょこっとだけ」

 ハーマイオニー「っ、リラックスしてね?平気よ、一晩かけて、成功したじゃない。試したのは教室の端から端だけど、きちんと効果が発揮されれば距離なんて、関係ないわ。すぐにあなたの傍に、あの箒が……」

ハニー「えぇ……ねぇ、ハーマイオニー。あなたはずーっと、わたしといてくれたわね」

 ハーマイオニー「それは、そうよ。一晩であの呪文を習得するなんて持ちかけられたときは、あなたがムーディに何かされたんじゃないかって殴りこみにいきそうだったんだから……」

ハニー「そうじゃ、なくて。手、だして」

 ハーマイオニー「えぇ……ハニー。やっぱりあなたの手、震えてるわ」

ハニー「うん。わたしは、ちっぽけで弱いわ。ふふっ。知ってたはずなのに、あの時は泣いちゃって、こぼしてしまったけれど」

ハニー「でも。わたしにはこんなにも、力をくれる人がいる。えぇ、確かに……あの人は今、ここにいないけれど」

ハニー「わたしは一人じゃない。一人じゃなにも出来ないこと、知ってるわ。だから」

ハニー「大好きよ、ハーマイオニー。いってきます」

 ハーマイオニー「っ!!ハニー!!!」

ハニー「なぁに……っ!?ちょ、っと、んむっ、〜〜〜っ!?」

ディゴリー「!?」

フラー「おぉーぅ、レズビアーン?」

クラム「……」

ハニー「ぷはっ、はっ、はぁっ、あなた、何……」

ハーマイオニー「まるでいなくなっちゃうみたいに言わないで!何よ!大好きってなによ!私の方が大好きなんだから!!!」

ハニー「……あっ」

ハーマイオニー「ふーっ、ふーっ……もう。いってらっしゃい、ハニー。待ってるわ……あなたの大事な人たちと一緒に」

ハニー「……うんっ!」

497 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/23(水) 02:54:32.46 ID:Oei6ZC/D0








ワアアアアアアアアアアアア!ワアアアアアアア!
 バグマーーーーン!ブンブンブンブン! 詐欺師ーーーー!!

バグマン「レディースアンドジェーントルメーーーーン!」

バグマン「さぁさぁさぁさぁ!三大魔法学校対抗試合、第一の課題!いよいよ最後の一人となりました!」

バグマン「これまで三人の選手が!三様に素晴らしい術をもって、このおそろしい!ドラゴンに立ち向かいました!」

バグマン「腹の下に隠された、黄金の卵!さあさあ!最後の一人は無事に獲得となるでしょうか!頼む!お願い!」

バグマン「ご紹介しましょう!ハニー・ポッター!!!そして対するは、ハンガリー・ホーンテール!!!」

グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアゴォオオオ!
 キャーーーーーー!キャーーーーーーー!

ハニー「……えぇ。この私を迎え入れるのに十分な歓声じゃない」

竜「グアアアアアアアグルルルルルルルル!!!」

キャーーーー!キャーーーーーーーーーー!
 ハニーーーーー!!ヒンヒーーーーン!

ハニー「……」

ハニー「『アクシオ!ファイアボルト』」

499 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/23(水) 03:07:37.69 ID:Oei6ZC/D0

ハニー「(これが、私にできる精一杯)」

ハニー「(観客席からは、滑稽に見えるでしょうね)」

ハニー「(なんの魔法力も示さないで、ただ突っ立っているだけで)」

ハニー「(杖を前に向けて。目を瞑っている女の子なんて)」

ハニー「(それでも、わたしは信じてる)」

ハニー「(何の力もないわたしが、輝けるものがあるって)」

ハニー「(みんなが待ってる。みんなが。わたしの大事なもの、全部)」

ハニー「(みてなさい、ロン)」

ハニー「全部、全部!私の、手の中に!」


バグマン「おっと、ありゃぁ……競技場につっこんでくる、あの、赤い稲妻はわあああああああ!?!?」

ワアアアアアアアアアアアアア!!!
 ワアアアアアアアアアアアアア!!

パシッ!

ハニー「っ。遅い!でも、褒めてあげるわ。さぁ……いくわよ」

竜「グルルルラアアアアアアアア!!」

ボオオオオオオオオオオオオ!!!

ハニー「……ああ」

ハニー「なにが恐れよ。何が炎よ」

ハニー「こんなもの」


ビュンッ!!

竜「ぐるる……ぐぅぅ!?」

バグマン「ハニー・ポッターが炎にのまれた!?あぁなんてこった……あ、あれ?どこに……」



ロン「おい、どこに目ぇつけてんだ豚ども!!!!   上だ!!ヒンヒーーーーーン!!!」

ヒン!ヒンヒンヒーーーーーーーン!!」


ハニー「ホーンテール!さぁ、来なさい!」

ハニー「ただでさえ、高貴で可憐で儚げで、伝説的なこの私は!」

ハニー「飛んでいると――強いわよ!」


バグマン「嗚呼……あれは……なんだ」

ハグリッド「女神だ!!!女神にちげぇねぇ!!!ヒンヒン!ヒーーーーーン!」

502 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/23(水) 03:16:11.99 ID:Oei6ZC/D0

バグマン「こりゃぁおったまげた、いやぁ、すごい!なんたる飛びっぷり!!」

リー「そりゃそうでしょう、ええ!何せ彼女は我がグリフィンドールが誇る高貴で可憐で儚げで伝説的な最年少シーカー、ハニー・ポッターなんですから!」

バグマン「おや、君は?」

リー「ここからは僕が。ヘイ豚ども!用意はいいか!実況はわたくしリー・ジョーダン!解説は今日もこの方をお呼びしています!マクゴニャガルせんせーーーー!!」

にゃんこーーーー!!!

マクゴナガル「リー!マイクをルードに返しなさい!あと変な掛け声で呼ぶんじゃありません!」

リー「やなこった! さぁさぁさぁ、箒を片手に我らが女王様は今日も飛ぶ!辛くもへっぽこトカゲの炎から逃れた炎より赤く熱く僕らを滾らせる彼女はどこだ!?天か!?天使だからなそりゃそうさ!ヒンヒン!」

リー「いいやちがうね!ハニーは何度となく撃ちつけられるホーンテールの文字通り棘だらけの尻尾を!すんばらしい動きで避けております!」

リー「あれだけ間近にいてあんな動きができるなんて!あぁ!最高な彼女に相応しい最高の箒『炎の雷ファイアボルト』俗称炎豚の柄が光ります!」

リー「しかしなにより輝いているのはそれを駆るハニー!あぁハニー!君は光り輝いているぜまるでそのトカゲの腹の下にある卵のように!!」

ヒンヒーーーーン!
 ハニーーーーー!!ヒンヒンヒーーーーン!

510 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/23(水) 03:27:38.77 ID:Oei6ZC/D0

ハニー「っ、あれね。見えているけれど、警戒が強くて飛び込めない」

竜「グルルルルルルルルゥ!」

リー「ヘイトカゲ!いい度胸だ僕らのハニーを睨みつけやがって!」

ブーーーーブーーーーー!!
 くたばれトカゲーーーーーー!!

マクゴナガル「リー!あれは一応ドラゴンです!無駄に刺激することを言うのはやめなさい!」

リー「合点です先生!さぁさぁご大層なハンガリー・ホーンテールだなんてまるでぼくのかんがえた最強のどらごん(笑)の名前をもつドラゴンちゃん!お前なんか角子ちゃんがお似合いだぜ!」

アハハハハハハハッハハハハ!!
 ツノコチャーーーーーン!

竜「グルウウウウウグルルルル!!」

ハニー「えぇ、いいわ。私を顔の周りを飛ぶハエのように思ってイラだっているのね。伏せたままなんて傲慢な態度かしら。立たないと、尾も届かない場所に行ってあげる」

竜「グルルルルル!!グオオオオオオ!」

ボオオオオオオオオ!

リー「あぶない!っと、ハニーは角子ちゃんの炎さえ急上昇はたまた彼女の十八番な急降下で難なくかわします!いやあすごい!僕ならもう20回は死んでるね!その度にハニーの豚として生まれなおすけどねヒンヒン!」

リー「さぁさぁハニーの陽動は続きます!角子ちゃん、見ために反して猫舌かい?続けては炎が出せないようです!いいじゃんいいじゃん可愛いじゃん角子ちゃん!顔以外はなっ!!!」

ハハハハハハハハハハハハ!!
 ヒンヒーーーーン!

511 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/23(水) 03:46:02.42 ID:Oei6ZC/D0

竜「グルルルルルルルッ!」

ハニー「ええ、そうよ。もうあなたの今の体勢じゃ届きっこないわ。さっきまですぐそこだったのに、おかしいでしょう?」

リー「あんなに激しい動きで尾をよけていたにも関わらず!少しずつ少しずつ角子ちゃんと保った一定の距離を伸ばしていたハニー!あぁなんてテク二、おっと、これ以上は豚からクレームがくるのでやめましょう」

リー「さぁ!さぁ!角子ちゃん!どうすんのよ!つーのーこ!へい!つーのーこ!」

ツーノーコ!ツーノーコ!

竜「グルルルルルゥ、グゥゥゥッ!」

ググググッ

ハニー「! 来たわね」

リー「角子が立った!角子が立った!角子のバカ!根性なし!おっと前後した、失敬。さあ角子ちゃんの射程が大いに広がりました!あぁハニー!こりゃちょっと……」

竜「グォオオオオオオオオオオオオウ!」

ハニー「!」

ボォオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!

リー「あぁああああーー!角子ちゃんここに来て本日一番の大火炎ぇえええええん!ハニーーーーー!!ヒンヒーーーン!」

キャーーーーーーー!キャーーーーーーー!
 ハニーーーーーーー! ヒンヒーーーーーーーーン!


リー「あぁハニー!ハニー……ハニーーーーーー!!ヒンヒーーーン!あの大火炎をもろともせず!!ハニーは!角子ちゃんの後ろをとったああああああああ!」

ヒンヒンヒーーーーーーーン!

ハニー「っ、さぁ!!終わり……!!!」

竜「グオオオオオオオオオオオオォ!!!」

リー「!?角子の尻尾が!あぁ!!立ったことで尻尾の動きも……ハニーーーーーーーーー!」

ハーマイオニー「ハニーーーーーーーーーーー!!」

ロン「ハニー……ハニー!!僕のハニーーーーー!!ヒンヒーーーーーン!」

512 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/23(水) 03:47:17.56 ID:Oei6ZC/D0



ハニー「えぇ、そうよ。角子ちゃん」

ハニー「あなたは立ち上がったことで炎を吹き出す範囲も広がった。尻尾もさっきまでと違って、早く、十分に動かせるようになったわ」

ハニー「でもね。あなたは立ち上がってすぐ、私の誘いにのって大きな炎を吹き出した。そうね。周りが見えないくらいの」

ハニー「悔しい事に、いなしきれなくって少しやけどしたけれど。私はあなたの後ろに回る」

ハニー「あなたは焦って、そうね。必殺の尻尾を振り回すでしょうね」

ハニー「まだよく見ていない、この岩場で。クィディッチ競技場とは様変わりした、このたくさんの岩が塔のようになっている、この場所で」

ハニー「ついさっきまで、ほど近くをブンブン飛び回っていた私を見ていた、遠近感の崩れた!!その目でみながら!!!!!」


ガシャアアアアアアアア!!

竜「グルルルアアアアアア!?」

ハニー「あなたの後ろに!伸ばしてしまうと届くようになった!あなたより高い岩の塔があるとも知らずに、ね!」

ハニー「さぁ……」

竜「グルルルルルルゥウウ!?グウウウウウウウ!!!」


ハニー「跪きなさい、この豚ぁあああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

ドサアアアアアアアアアアアアアアアア!

 ヒンヒン、ヒーーーーーーーーーーーーーン!!!

519 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/23(水) 04:02:02.77 ID:Oei6ZC/D0

ワアアアアアアアアアア!!
 ワアアアアアアアアアアアア!!
ヒンヒーーーーン!ヒンヒーーーーーーーーーン!!

ハニー「っはぁ、はぁ。あぁ、もう……フラフラよ……あぁ」

ハグリッド「ハニー!こっちだ!ハニー!ヒンヒン!」

ハニー「ハグリッド……出来る豚ね……っ!」

ハグリッド「おうふっ!怪我ねぇか、ハニー!いやあるにきまってらぁ!でもすげぇ!みろ!城中、みーーーんながおめぇさんのやったことに感激しちょる!あぁ、ハニーはいつでも最高だけどな!ヒンヒン!」

ハニー「あぁ……そうみたいね。グリフィンドールはもちろんだけど……レイブンクローも、ハッフルパフも。ふふっ。すこーしだけれど、スリザリンまで」

ムーディ「言っただろうが。お前の強みを生かせば全部手に入るとな」

ハニー「先生……ありがとう」

ムーディ「むっ。礼を言われる筋合いなどないぞ。単純明快で、簡単な作戦だ。それでいて上手いがな。よぉくやった」

マクゴナガル「ポッター、ポッター!平気ですか!?あぁ、火傷があちこち。すぐにポピーのところへ行きなさい。大丈夫、彼女なら跡一つ残しません!あなたのような素晴らしいレディの顔に、それ以上傷はいらないでしょう。えぇ、ポッター。とても、あなたはとても素晴らしかった!」

ハニー「はい、先生。先生の最大限の褒め言葉だ、って。知ってるわ」

リー「おいおいなんの冗談だ!カルカロフ!点数が低すぎるだろ!?クラムには10点やったくせに!ちぇっ、まあいいや!ハニー!ハニー!僕らのハニーはあのクラムと同得点で第一の課題を終えました!いやぁバグマンさん、どうでした」

バグマン「順当だね、あぁ!わたしは元クィディッチ選手としてどちらも応援したいが、今日は素晴らしい飛行を見せてくれたポッターさんに拍手をおくろう!ハニー!素晴らしい!ハニー!そのままどうか!頼む!」

リー「なんだか情けない顔で我らがハニーの勝利を拝むバグマンさんを見れたところで今日のところはお別れです!ハニー!僕らのハニー!僕の声は角子ちゃんにゃ分からないから意味がなかったろうけど、どうだった!?」

ハニー「えぇ、とっても良かったわ。リー、あなたは出来る豚ねっ!」

リー「! ウィンクいただきましたーーーー!!ヒンヒーーーン!」

ヒンヒン!ヒンヒーーーーーン!

520 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/23(水) 04:12:13.32 ID:Oei6ZC/D0

救護テント

ポンフリー「去年は吸魂鬼!今年はドラゴン!なんです!?来年はヌンドゥか何かでも入れるつもりかしら!まったく!まったく!!」

ハニー「……マダム。しみるわ、この薬」

ポンフリー「当たり前です!精一杯染み渡らせて反省なさい!まったく!座っているんですよ!」

ハニー「えぇ……あー」

フラー「……むーっ」

ハニー「あなた、どうしたの?えぇっと、服がなんだか」

フラー「すっかーとに、火がついたんでーす……おぉーう、わたーしそういう趣味ないでーす、のーせんきゅー」

ハニー「? なんのこと?」

フラー「あのこーでーす」

ハーマイオニー「ハニー!ハニー!あぁ!あなたってやっぱりステキ!あぁハニー!」

ハニー「あー、そうね。うん……あら」

ロン「……」

ハーマイオニー「えーっとね、ハニー。ロンが、話がある、って。あのね。自分が間違いだって気づいたみたいで……」

ハニー「……」

フラー「オッオー……わたーしの怪我、もういいでーす。失礼しまーす」

ロン「……」

ハーマイオニー「……あなた、こんなところでもまさかあの子に見惚れて……」

フラー「あのーこは、このーこがガールフレンドなんでーす?おんなーのこを魅了するのは、わたーしでも時間かかりまーす。諦めまーすから、こわいこわーいかおしないでくださーい。ね?」

ロン「触んな!マーリンの髭!!!」

ハニー「……えっ!?」

ロン「……ハニー、あぁ、ハニー。まずは何も言わず。この僕。ロナルド・ビリウス・ウィーズリーの一世一代の土下座をみてやってください」

ロン「どうも……すみませんでしたああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

521 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/23(水) 04:24:03.44 ID:Oei6ZC/D0

ハーマイオニー「あの、フラーって子が!男の子を魅了して、ハニーの情報を手に入れようとしてた!?」

ロン「そうなんだ、うん。あの子を見てるとさ、ボーッとしちゃって。それで、なんだか話をしなくちゃいけない気分にさせられる」

ロン「ハニーが代表に選ばれたとき、真っ先にハニーに声援を送る僕を見た瞬間、あの女、僕を完全に標的にしてたんだ」

ロン「……ハニーに一番近くて、最も情報を持っていて、それで……ひっかかりやすそうな、僕を」

ハニー「……」

ロン「だから、僕は君から離れた。豚たちを使って、あの女に出くわさないように細心の注意は払えたけど。万一鉢合わせて、君が今何をしてるか、どんな状況か分からなくさせるために」

ロン「ほかの豚たちもさ。僕ほど君に近くないから、君が校庭に出た時はあの女に見つからないように茂みの中なんかに潜んでた。ヒンヒンで合図しあってね」

ロン「僕は隠れながら……ハニー、君のことをジニーから聞いてた。ヒンヒンって」

ロン「白豚と一緒に、シリウスに手紙を送れるようフクロウたちに話を通したのも……僕なんだ。ヒンヒンって」

ロン「でも、もしかしたらあの女が君に直接何かしかけてくるかもしれない。何か、コンタクトをとってくるかもしれない」

ロン「だから、心の底から、僕を嫌ってもらう必要があったんだ」

ハニー「……」

ロン「……馬鹿げてた。何度も死にそうになるし。君が心の中で何度も何度も泣いているのを僕は見てみぬふりしたんだ。君のためだ、って。独りよがりで」

ロン「ごめんなさい。ハニー。こんな手段でしか君を守れなかった僕を見下げはててほしい」

ロン「こんな方法でしか君のために尽くせなかった僕を罵ってほしい」

ロン「こんな僕を、たった、少しでもいいから、許してもらえるのなら」

ロン「君の豚の、端っこの席に。座らせてください」

523 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/23(水) 04:37:19.92 ID:Oei6ZC/D0

ハニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……ハニー」

ハニー「……まだまだ、頭が高いわね」

ロン「!ごめんなさい!!こうですか!!」

ハニー「頭をめり込ませてもだめよ。そうね。ます足を折って楽をしてみえるのが、許せないわ。しっかり地面に、体ごと押し付けなさい」

ロン「はいっ!こう!こうだねハニー!それで、次は……ぐぇ!?  は、ハニー……?」

ハニー「……いい座り心地ね、ロン」

ロン「……」

ハニー「信じてたわ。当然じゃないの。私を、誰だと思っているの?」

ロン「あぁ。君は高貴で可憐で。儚げで伝説的で。僕ら……僕の」

ハニー「ええ。あなたの。私の一番の豚の。なぁに?」

ロン「っ、僕のハニー!僕のハニーは、ハニー以外のなんでもないよ!ヒンヒン!」

ハニー「そうよ。だから。信じて、たんだから。ほんと、なんだから。っ、っぅ」

ロン「あぁ、ハニー!ヒンヒン!ごめんよ!あれ!?ここ、なんでテントなのに雨が降っているのかな!パパがたてたほうがまだマシだねマーリンの髭!」

ハニー「いい、ロン!分かっていたけれど、とっくにお見通しだったけれど!っ、こんなことは、こんな、ふざけたことは、っっぅ」

ロン「はい!二度としません!ハニーに嘘なんて金輪際つきません!もちの、あの、ロナルドさ!!」

ハニー「いい、ロン!二度と私に、あなたのことが、だいっ、っ、大嫌いだなんて、言わせないで!!!」

ロン「はい!僕ももう一度でも聞いたら全身からマーリンの髭が噴出して絶命しますので!」

ハニー「いい、ロン!ロン!!!ロン……ロン!わたし、わたしの、ロン!!」

ロン「なんだい、ハニー!」

ハニー「よかった……本当に、よかった、よぉ……!」

ロン「……ハニー」

ハーマイオニー「……ぐすっ、っ、これで、元通りね……ふふっ。あなたがここで頭をなでてあげられる甲斐性あってよかったわ、ロン」

ロン「もちのロンさ。だって僕は……ハニーの一番の豚だぜ? ヒンヒン!!」

527 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/23(水) 04:56:09.27 ID:Oei6ZC/D0

スキーター「あーぁっあもう!すてきざんす!すてきざーーーんす!」

ディゴリー「……バグマンさん、もう解散してはだめなんですか?」

クラム「……」

バグマン「あー、そうしたいんだがね。ハニーがまだ救護テントから戻らないし、それに、あー、リータが試合後のインタビューがしたいといって、聞かないんだ」

フラー「ふぅーふ、どうーせ一番ダメダメなわたーしをこきおろすはなしになるにきまってまーす」

スキーター「それはもうどーんどんぶち込ませていただきまーす!一度本性が知られた相手には楽ざーんす!もう遠慮しなくていいざんすから……おーやおや!スーパーヒロインの登場ざんすわ!ハニー!一言聴かせてもらいましょう!!!」

ロン「それでねハニー、だからねハニー、やっぱり君って最高だねっていうね!ヒンヒン!うわなんだいこいつ、あらゆる方向に全力で悪趣味なババアだな」

ハーマイオニー「巻きすぎカールに宝石ブチの眼鏡、刺すくらいの着け爪、真っ赤なワニ皮バッグ……ハニーの言ってたことから察するに、リータ・スキーターのようね」

スキーター「ご名答ざんすわ!さぁっすが学年一番愛嬌一番そんでハニーの一番のぞっこんさんざーんす?おんやおやぁ?ハニーを真ん中にこの二人とてをつないでいる、って、こ、と、はっ!ハニー!このぼーやがあなたのフィアンセざんす???」

ロン「違うよ、豚だよ僕は。ハニーの一番のね!ヒンヒン!」

スキーター「ぶ、豚あ!?なんざんすそれ、なんてセンセーショナルな、なんてキャラ付けざんす!?」

ハニー「キャラも何も、全くの事実だもの。ロンは私の一番の豚。それ以上でも以下でもないわ。そうでしょ?」

ロン「ヒンヒン!もちの僕だぜ!」

ハーマイオニー「あー、私としてはもう少しいい関係に改善してほしかったわ……とはいっても普通の友人という意味よ!いいわね!」

ロン「なんでそこで睨んでくるのさ!大体君、試合の前にハニーとここで何してたのさ!あとここ一ヶ月!ジニーがヒンヒン知らせてくれたんだからな!ずるいぞ!マーリンの髭!髭!!」

ハニー「あぁ、だからあなたあの夜あんなタイミングで……さて。わたしは見てのとおりのとっても高慢で、そして高貴で可憐で儚げな私なわけだけれど。そうね、一言?そう言ったわね」

スキーター「え、えぇ。それでようござんす……あぁっ!?わ、私の自動速記羽ペンQQQをへし折って、なにをするざんすーーーーー!?!?」

ハニー「この私のことを書くのに嘘いつわりは一切いらないの。いいこと?」

サラサラッ

ハニー「勝つのは、私。そうでしょ?」


上巻・完


シリウス「なんであんなに喋りあう暇があったら呪文だけでも教えなかったんだ私はバカか私はバカかバカ犬か僕はあぁ僕はハニーの後見人失格だなんてざまだすまんジェームズリリーあぁハニーはどうなったんだあぁお腹すいた」

 リーマス「……ハニーだがね、一位で通過だそうだよ。まったく、近くを通ったからきてみれば餌はぬきだね」

今度こそ、完

531 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2013/01/23(水) 05:00:39.21 ID:Oei6ZC/D0

っちゅうわけで上巻はこれで!
下巻は最短で今週末、遅くとも来週までには!
ここは落とすんでまた新スレでよろしゅう!スレタイは残念ながら考えてへん!堪忍な!
ラドクリフお大事に
じゃあの!


 ハリー・ポッターシリーズ

 一巻〜七巻

 世界的大ヒット発売中!

 2014年後半、USJにて

 ハリポタアトラクション建設決定!!



ツイート

メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:しんのすけ「ほっほーい、ケツダケ星人だゾ〜〜」ブリブリ〜モワッ