1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/02(日) 18:57:02.43 ID:MMQ2amyl0
しんのすけは16歳。今年、高校に入学した。彼が入って高校は県内の公立トップの進学校。もともと、集中力のようなものは抜群に高い子供だった。それが勉強に向かえばそれなりの結果がついてくるのは必然である。
しんのすけ「いってきまーす」
しんのすけは母の返事も聞かずに、家から飛び出す。いつもの道でいつものやつらに出会う。
しんのすけ「おぉ、マサオ、ボー、今日もいい天気だな。」
マサオ「あぁ、しんちゃん。おはよう」
ボー「おはよ・・・今日は、32℃まで、気温が、上がる」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/02(日) 18:59:46.73 ID:MMQ2amyl0
ボーと呼ばれる青年が通うのは、いわゆる普通の公立高校である。しんのすけの通う高校とは二駅ほどの差があるだけで、毎朝一緒に高校へ通っている。
一方で、マサオが通うのは春日部国際農業高校、通称カス脳。農業を通じて人の心を作る。決して誰も見捨てない校風から、
少年院上がりでもどんな人間でも受け入れる画期的な高校であるとされているが、実態は県下一の荒れた高校で、独自の社会性とヒエラルキーによって成立している。
しんのすけ「マサオは今日も派手な頭してんなぁ」
マサオ「うるせぇよ。明日から夏休みだな」
ボー「ボー」
かつてかすかべ防衛隊の隊士であった三人は雑談をしながら並んで駅に向かう。端から見れば奇妙な光景である。不良と普通と秀才のなんともバランスの悪いトリオであるのだ。
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 19:01:47.60 ID:MMQ2amyl0
駅につくとマサオは肩で風を切りながらしんのすけとは別のホームに向かっていった。
そのホームにはチラホラと派手な頭と鋭い目をした男たちを観察できる。ボーとしんの
すけは向かいのホームからそれを眺めマサオも変わったなと口にだすことなく思う。お
互い変わったんだ。それでも、マサオは二人の中ではいつまでも泣き虫おにぎりなんだ。
ボーが目的の駅で降りる。しんのすけはまたなというような素振りを見せ電車に揺られる。
心地良い揺れと空調で眠気を誘われる。
マサオはため息をつく。またくだらない高校に来てしまったと。毎日繰り返される喧嘩
や傷害にはうんざりさせられていた。教室に入り、テキトウな椅子に座る。まずは朝の
一服だ。セブンスターを制服のポケットから取り出して火をつけようとするがライター
の調子が悪いのか火がつかない。
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 19:04:12.81 ID:MMQ2amyl0
マサオ「ちっ、ついてねーな」
ひとりごとのように呟いたその時、火のついたライターが自分に差し出されていた
気の利く奴も居るなと思い、煙を吐き出しそいつの顔を見る。
河村「おう、マサオ面貸してくんねー?」
マサオ「チーター、いや河村さん、おはよう御座います」
河村「昔のあだ名は勘弁してくれよ。タバコ吸い終わったら屋上に来てくれや」
マサオはまたかと心のなかでつぶやき。なんだか面倒だと思いながら曖昧に頷いて、
朝の一服を楽しんでいた。吸い終わった煙草を窓の外に投げ捨て屋上に向かう。
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 19:06:55.37 ID:MMQ2amyl0
河村「おう、マサオ。朝からすまんね。単刀直入に言うわ、俺の下につけよ。
来年上のやつが出たらこの学校を俺が〆る。お前もいっちょ噛んでくれや。
悪いようにはしねぇよ。好きなだけ大手を振って歩けるからよ。昔みたいに誰もお前を舐めたりしねぇよ」
マサオ「すいません。河村さん。俺にはこの学校のてっぺんとるとかそんなことは興味ないんです。
そりゃ、今まで絶対的なリーダーのいないココ〆るのは不良の憧れかもしれませんけど、俺にはそういうことに割いている時間ないんです」
河村「なぁ。マサオ?お前が執拗に俺の誘いを断る本当の理由ってなんだよ?オメェは中学の頃に急に名を上げた、
なんて言うか叩き上げの不良だろ?そんな奴がココで喧嘩もしやしねぇ。お前の興味ない理由がわからねぇ。
マサオ。なあ、お前そんなに何に追われてんの?理由言えねぇんなら暴力でお前も支配させてもらうぜ」
マサオは考えた。相手は河村含めて4人。やれない人数じゃない。最悪河村だけはヤレる。で
も、ここでやっても明日には数を増やし向かってくる。かなり話がややこしくなる。
ただ、その「理由」をここで話すのは気が引ける。考えろ。ない知恵振り絞って。
しかし妙案は浮かんで来なかった。せめてもの抵抗だ。
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 19:10:48.04 ID:MMQ2amyl0
マサオ「はっきり言ってすごく個人的な事情だから河村さんには話しますけど、
他の3人は席外していただけませんか?じゃねぇと話せないっす」
てるのぶ「は?てめぇ何調子乗ってんの?どっちらにせよ俺らには伝わるんだぜ」
河村「おいデブ、やめろ。わかったわ。俺だけで聞いてやる。悪いけど3人は階段で待っててくれねぇか?すまんな」
そう言われて3人はタバコに火をつけながら屋上から出ていった。
河村と対峙するマサオはゆっくりと煙草を取り出して火をつけようとする。
ライターが壊れているの忘れていたと心の中で思ったのが伝わったのか、
河村がライターを投げてよこした。ずしりとした重みが手の中に収まる。高いライターだろうな。
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 19:14:29.57 ID:MMQ2amyl0
河村「盗ったやつだしお前にやるよ。そのライター。で、理由話してくれねぇか?
お前ははっきり言って喧嘩は相当強い。そんな奴が俺と組めばマジでこの高校のてっぺん取れると思って、
お前を見込んで誘ってんだ。メンツ潰してる自覚有るか?」
マサオ「すません河村さん。迷惑かけてしまっています。なんだかんだで幼稚園から高校まで一緒の先輩で
懐の深さもリーダーとしての器も河村さんにはすげぇ有ると思ってます。
そんな縁がある河村さんにだから話します。すげーシビアで個人的な話だし、他人に話すのはあんたが初めてです。
お願いなんで、最後まで聞いてください」
マサオは深々と頭を下げ、河村の雰囲気を伺う。話してよさそうだ。
マサオの告白が始まる。
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 19:18:03.55 ID:MMQ2amyl0
河村さんは春日部で起きてる連続強姦事件を知ってますよね。この前も中学生がヤられたってやつです。
その被害者の最初の一人が俺と付き合ってた。いや、今も正確に言えば付き合ってるんだろうけど、
彼女なんです。河村さんも知ってると思います。そうです。桜田ネネです。中学3年の時だったんです。
ネネが襲われて、犯されて、俺、そんとき何も出来なかったんです。急に連絡取れなくなったって思って、
家まで行ったら、ネネは別人になってました。志望校を決めて、これからって時にです。
で、ネネの母親に聞いたんです。いったいどうしたんだって。そしたらレイプされたって聞かされて。
そんとき俺思ったんです。ヤッたやつ殺そうって、で蛇の道は蛇。正直に言えば中学卒業のときに就職しようと思っていました。
でも、県下の不良が一斉に集まるこの学校なら、そういうクズみたいな人間とか繋がりあるやつが居るんじゃねぇかって思ってここに来たんです。
最初から、てっぺんとるとか喧嘩のためにとか箔つけるためとかそういう目的じゃないんです。
ネネは今は自宅で療養しています。トラウマとかPTSDっていうんですかね?一言も口聞けなくなりました。
しんのすけとかボーとかと見舞いに行っても全然反応しないんです。人形みたいなんです。
で、俺ら決めたんです。警察に捕まってもらっても困る。俺らの手で復讐しようって。俺らの友達を壊したやつを壊してやろうって、
で、今も3人で色々調べたりしてるんです。もう一人風間って友だちもいるんだけど、あいつはこの事件がかなり応えたらしく、
友達のそういう姿は見たくないって言ってお見舞いにも来てないんですが、医者になるなんて言ってました。
ネネの事治すよなんて言ってます。あいつなりの気遣いなんだと思います。まぁ、中学から違いますしね。
で、そいうことで忙しいんで俺は、河村さんと、この学校のてっぺんとろうなんてことまで考えられないんです。
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 19:21:31.57 ID:MMQ2amyl0
河村「そうか。じゃあ誘えねーや。お前らも大変なんだな。それだったら俺のやろうとしてることなんかくだらなすぎて笑えるわな」
マサオ「で、この際だから聞きてぇんだけど、あんたらがその強姦野郎ってことはないでしょうね?」
河村はマサオの胸ぐらをつかむ。
河村「てめぇ、誰に向かって物言ってるんだ?俺らの中にそんなクズはいねーよ。
いたとしたらオメェに俺ら全員が殺されても文句いわねーよ。俺らをまじで疑ってんなら話は別になるぞ」
マサオ「すいませんでした。河村さんに図々しいんですけどお願いしてもいいですか?」
河村は手を離して頷く。
マサオ「なんか少しでもいいんで関係ありそうな奴とか情報を手に入れたら教えて欲しいんです。
代わりと言ってはなんですけど、この事件を解決し終わったら河村の下につきます。お願いします」
河村はわかったと一言言うと、屋上をあとにした。
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 19:25:30.77 ID:MMQ2amyl0
いつもの喫茶店に3人が集まる。マサオは河村に話したということを二人に伝える。
しんのすけ「でも、まぁ新しい情報はなしか・・・どこかに手がかりが隠れているんじゃないかと思う。
警察の発表では他の被害者によると犯人の年齢はオラと同年代かやや上くらい。
春日部でしか事件がないことや、犯行の手口が一貫してロープで手首を縛り犯すってことくらいしかわかんないもんな」
マサオ「あぁ、難しいことは俺にはわからねぇけどな」
ボー「こんなこと言うべきではないかもしれないけど、ネネちゃんが何か僕達に話してくれれば事態は進む気がする」
マサオ「かもしれねぇけど、ネネの今の状況見ると無理矢理にでも聞き出そうって気にはなれないよ」
しんのすけ「うん。オラもそう思う」
長い沈黙。しんのすけはあの夜のことを考えていた。
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 19:27:05.43 ID:MMQ2amyl0
マサオに誘われて、ボーちゃんと3人でネネちゃんの家に行った日の夜だ。おばさんから話を聞かされて、
お人形みたいに反応しなくなった友人の姿を見て、妙な無力感の中、怒りをぶつける先をなくして、
3人でいつもの公園で、全員で押し黙って、その後、風間くんが「ネネちゃんが襲われたんだってな…」と言いながら合流したけど、
オラ達3人の姿を見て、口をつぐんで4人で涙を流していた。その内にマサオが、俺達で見つけ出して殺そうって言い出し、
とんでもないことかもしれないけど、それが一番いい選択のような気がして、オラとボーは賛同したんだっけな。
風間くんは復讐じゃ何も解決しない。時間はかかるかもしれないけど友達の心の傷は僕が医者になって治す。とか言って、
でもオラ達を強く止めることをしないでいた。結局どこかで復讐したい心があったのだろう、でも彼はオラ達よりははるかに理性的だった。
しんのすけ「オラたちは簡単なことに気づいていなかったのかもしれない」
マサオ「簡単なことってなんだよ。しんちゃん」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 19:29:25.30 ID:MMQ2amyl0
しんのすけ「オラ達も男だってことだよ。PTSDとかトラウマは男性全般に対して恐怖とか不信感があるんじゃないか?
どこか、幼馴染だしマサオは彼氏だし、オラ達だけ特別大丈夫だろうなんて思っていたけど、それが間違いなのかもしれない。
おばさんとはコミュニケーションが少なくともとれているはずなんだよ。でも、オラ達とは無理なんだ」
ボー「一理ある。僕たちも怖いのかもしれない」
マサオ「よくわかんないけど、そういうこともあるんだな?で、どうすりゃいいのさ?絶対的に情報量が少ないし、
まさか他の被害者にあって話を聞くわけにもいかないだろ」
しんのすけ「ひとり・・・いや、二人あてがある」
3人は店の前で別れてそれぞれ帰路につく。
しんのすけ「ただいまぁ」
みさえ「おかえり、遅かったじゃない」
ひろし「おうしんのすけ、遅くなるなら連絡くらいしろよ」
しんのすけ「ハイハイ。で、ひまわりは?」
みさえ「自分の部屋にいるわよ。珍しいじゃないひまわりに用事があるなんて」
しんのすけはまぁねぇなんて言いながら階段を登る。ひまわりの部屋をノックする。中からなぁになんて声がする。
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 19:33:14.41 ID:MMQ2amyl0
しんのすけ「入るぞ」
ひまわり「だめ!今下着姿だもん。それにもう寝るし」
しんのすけはため息をついてわかったぞと言って部屋をあとにする。自分の部屋に戻ってベッドの上で考える。
思えば、ネネちゃんが襲われたことを知っているのはおばさんから話を聞いたオラ達くらいで、世間的には警察に届けていないので、
ネネちゃんはちょっと複雑な事情で不登校になった程度の認識なのだ。とーちゃんもかーちゃんも知らない事実を突きつけて、
ひまわりをどうしようというのだ、ネネちゃんが実はレイプされていて、その犯人像とかを聴きだして欲しいなんて頼むのか?
まだ小学生の妹に…そう思うと少し自己嫌悪した。ノックの音が響く。
ひまわり「入るよ。さっきの用事何だったの?」
しんのすけ「いやぁ、漫画でも借りようと思ったんだけどね。少女漫画も悪くないかなぁなんて思ってさ」
ひまわり「ふーん。じゃあなんか持ってくるね」
しんのすけは漫画を受け取って再び横になる。あぁ、なんだかうまくいかない。
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 19:37:04.05 ID:MMQ2amyl0
翌日の朝、しんのすけは2001という番号を押して、合鍵を使いマンションに入っていく。20階建てのマンションのペントハウス。
ここが酢乙女あいの一人暮らしの家だというのだから驚きだ。あいちゃんの両親は今海外に行っているらしく、優雅に一人で暮らしている。
さすがに昔のように四六時中SPがついているわけではなく、週に3回ほど、お手伝いさんを雇っているらしい。
あいちゃん「しん様お早うございます。会いに来てくれて嬉しいですわ」
しんのすけ「朝から押しかけてゴメンな。ちょっと話ししたいことがあってさ」
あいちゃん「お別れの話は聞きたくないですわよ」
しんのすけ「いや、そんな話じゃない。あいと別れる気はこれっぽっちもないから安心してほしいぞ」
なんて言うと、あいちゃんはオラの唇にキスをして甘えた顔になる。でも、今日はそんなことしている暇はないのだ。
しんのすけ「あい。真剣な話なんだけど…」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 19:40:37.28 ID:MMQ2amyl0
しんのすけの真面目な顔に何か独特の雰囲気を感じたのかあいちゃんは長くなりそうですねと、
お茶を入れますから待っててくださいと言ってキッチンに立つ。そんな姿を見ていると、
しんのすけは、やっぱりオラにはつりあわない女性かもなんて考える。
こんなに綺麗で賢い女の子に幼稚園の頃から好き好き言われていれば悪い気もしない。
しんのすけは、酢乙女あいにネネちゃんのことを話した。あいちゃんは驚きと困惑、更に涙を流して、
今まで言わなかったしんのすけを責めた。桜田ネネとは性格は合わないものの、それなりに良い交友関係を築いていた。
中学生になってからは学校が別々になり交流も希薄になっていたが、その友人のことを何一つ知らない自分に腹がたったし、
何一つ伝えなかったしんのすけに腹がたった。
酢乙女あい「お見舞いに行ってまいります。しん様、申し訳ございませんが今日はこのへんで…」
しんのすけ「うん。1つお願いがあるんだ」
そう切り出した、しんのすけは、あいちゃんに心の中を告白する。
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 19:45:47.03 ID:MMQ2amyl0
酢乙女あい「私はしん様のすることに反対はいたしません。お気持ちも十分に察しております。
ですが、桜田さんの傷口に塩を塗るような事になるかもしれませんわ。わたくしにそういうことをする権利がございますのでしょうか?
しん様のためとはいえ…」
しんのすけ「出来ればでいいんだ。無理にとは言わない。ネネちゃんがこれ以上苦しむのはオラ達も望んでいない」
酢乙女あい「わかりました。では、お見舞いに行ってまいります。おばさまにはしん様から伺ったとお伝えします。桜田さんは、ピンク色はお好きかしらね」
しんのすけ「女の子はみんな好きなんじゃないの。よろしくね。お見舞いだけでもいいから、
同世代の女の子が来ることがプラスになるのかマイナスになるのかオラにはわからないけど、
あいは、人の心の機微が理解できるって思うから大丈夫だと思うぞ」
酢乙女あい「では、準備をいたしますので。なにか聞きましたらご連絡差し上げますわ」
しんのすけ「ありがとう」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 19:51:23.81 ID:MMQ2amyl0
しんのすけは酢乙女あいのマンションをあとにする。2人に連絡して、しらみつぶしに事件が起こったとされる場所を3人で数箇所回ることにした。
暑い日だった。繁華街から外れた、茂みの方から声がする。3人は緊張して、そこを覗きこむ。
そこで見たものは望んだものではなかったが、3人にとっては大きな事件だった。風間くんが数人の不良に因縁付けられているところであった。
マサオはすぐに行動し、カス脳の名前を出して脅すと不良はこれはまずいなという感じでどこかへ行ってしまった。カス脳のヤバさはこの県に住む高校生ならだれでも知っているのだ。
しんのすけ「風間くん。ひさしぶりだゾ。大丈夫か?」
風間くん「大丈夫だよ。ごめんな情けないところ見せた上に助けてもらっちゃって、予備校に行く途中で因縁付けられてさ、ここまで連れてこられたんだ。ほんとうに助かったよ」
マサオ「風間くんは昔から変なのに絡まれているからな。幼稚園の頃からしんのすけがつきまとうのはいつも風間くんだったし」
4人は少し笑って、そこをあとにする。
風間くん「あぁ、予備校の授業には間に合わないよ。でも、あの不良には感謝だね。今日の授業は既に理解している上に、君たちにこうして会えたんだから」
ボー「ほんとうにひさしぶり」
しんのすけ「あのよる以来か」
口に出してしまったと思った。すぐに場を取り繕う。
しんのすけ「風間くんはあいかわらず、ママにベッタリなのかい?」
風間くん「しんのすけ!さすがに僕ももう子供じゃないよ。マ‥母さんとは別に普通だよ!失礼しちゃうな」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 19:55:40.60 ID:MMQ2amyl0
風間くんも暗い気持ちになるのを避けて、しんのすけをフォローする。マサオもボーも笑って、いつものかすかべ防衛隊であった。
ただひとつ紅一点ネネちゃんが足りないという事実は誰の胸にもあっただろうが。
風間くん「僕はもう行かなきゃ。自習室で勉強でもしているよ。この夏で高校の範囲を終えたいんだ。
ひさしぶりに君たちに会えてほんとうに嬉しいよ。またな!ちょっと暇ができたら連絡するよ」
3人は風間くんと別れて、歩き出す。かすかべ防衛隊か、随分昔のことのように思えるな。そういうことを思うと、3人はだれからともなく解散した。
ボーは2人と別れると河原に行き、面白い形の石を見つけようと思った。幼稚園の頃からずーっと続けている趣味である。
幼稚園の頃からなんだかんだみんなのアイドルだったネネちゃんはもう戻ってこないような気がしていた。
ネネちゃんにああいうことがあってからはそういえば河原に行っていなかった。久しぶりに頭の中からあの時の記憶や考えを追い出して、
無心に何かに没頭したいという気持ちになった。そう思うと足取りは早くなり、河原への道を急いだ。良い石は結局見つからずじまいだった。
暑い日だ。川べりに腰掛け足を川に浸す。復讐は蜜より甘い。そう呟いて家路についた。
翌日、朝からインターホンの音が鳴る。
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 20:00:10.78 ID:MMQ2amyl0
みさえ「はーい。今行きます」
酢乙女あい「あらお義母さまおはようございます。しん様はご在宅でしょうか?」
華やかな女性になったなとみさえは感心する。
みさえ「あら、あいちゃん。しんのすけなら部屋にいると思うから行ってみて」
酢乙女あい「おじゃまいたします」
酢乙女あいはしんのすけの部屋のドアをノックする。中から返事はない。ドアを開けるとしんのすけはお腹を出して寝ていた。
酢乙女あいが好きな無防備な寝姿だった。しばらく眺めてから、そっとしんのすけを起こす。
酢乙女あい「しん様、朝ですわよ」
しんのすけは寝ぼけた眼をこすりながら、おはようと挨拶をする。あいはしんのすけにキスをして、お話がありますのとしんのすけにつぶやく。
しんのすけは何かを察したかのように、長くなりそうだねと、キッチンから飲み物やみさえが隠していた高いクッキーの箱を持ってきた。
酢乙女あい「桜田さんのお見舞いに行って参りましたわ」
そういった酢乙女あいの顔をみて、しんのすけはなにか覚悟のようなものを感じられた。
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 20:04:32.40 ID:MMQ2amyl0
しんのすけから話を聞いた酢乙女あいは、お見舞いに最もふさわしいような服装に着替え、メイクを変え、
近所の花屋で、華美ではあるがお見舞いにふさわしい花束を見繕って、桜田家へと向かった。
果たして、桜田さんにあって何かできるのだろうか、良い方向に働くのだろうかという不安を胸に、桜田家のインターホンを押す。
ネネちゃんの母親に事情を話し、中へ通してもらうと、酢乙女あいの知っている桜田ネネとはかけ離れた姿を目にすることになった。
あれほどエネルギッシュだった女の子がこうまで変わるのかと涙がでるのを抑えるのが大変であった。
酢乙女あい「こんにちは。しん様から聞きましてお見舞いに参りました。遅くなり申し訳ありません。花屋さんで綺麗なお花を買って参りましたのよ。ぜひ飾ってください」
そういうことを言うので精一杯だった。ネネちゃんの母親が紅茶を途中で持ってきてくれた。
そのあとはベッドの脇に置かれた、椅子に座ってネネちゃんのそばにいるのが精一杯だった。
言葉が続かないのだ。長い沈黙を破ったのは意外にも桜田ネネであった。
桜田ネネ「あいちゃん。ありがとう」
酢乙女あい「いえ、わたくしこそこんなに遅くなってしまって申し訳なかったわ」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 20:07:51.52 ID:MMQ2amyl0
そのあとは、思い出話に花を咲かせた。花を咲かせたといってもポツポツ話す程度ではあったが、
しんのすけから聞いていた話からすると、予想以上の会話量であった。でも、そこに違和感を覚える事が多かった。
その違和感の正体がなにかはその時はわからなかった。酢乙女あいは思い切って言ってみることにした。
酢乙女あい「しん様とまさお君とボーちゃんが探しているそうですね」
桜田ネネ「知ってるよ。私も復讐を望んでいるのか、それをしようとしてる友人を止めるべきかはわからないわ。たぶん彼らは復讐できないと思うの」
酢乙女あい「それはどうしてですの?」
桜田ネネ「それは言えない。言わないんじゃなくて言えないの。言ってしまえばいろいろなものが壊れる気がするの」
酢乙女あい「そう。私もこれ以上は聞けませんわ、そろそろ御暇いたします。また参りますので、何か欲しい物なんかがあれば言ってくださいませ。」
桜田ネネ「ありがとう。またね」
酢乙女あいは桜田ネネの家をあとにした、酢乙女あいが感じる違和感は、どんどん大きなものになっていった。
家に帰り、ベッドに入って考えてみた。その違和感の正体は、桜田ネネの言うとおり破壊を意味するようなものであった。
これをしん様に伝えるべきなのか、それを悩み抜き出した結論である。
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 20:13:41.99 ID:MMQ2amyl0
酢乙女あい「桜田ネネさんとお話して参りました。やっぱり男性はまだすこし怖いようですわ。
私とはそれなりにお話できましたもの。でも、お話している中にものすごく違和感があるんです。
思い出話なんかをしていたのですが、その違和感の正体は、すべての話においてある一点からずれているのです。
なにか、それを思い出したくないというか隠したいというような違和感だったのです。
最後に桜田さんに犯人のことをちょっと遠回りに質問しました。その答えはこうです、言えない、言わないのではなく言えない、
これがどういう意味か?
会話のなかの違和感とともに考えてみました。そしたら、有る1つの結論にたどり着いたのでございます。
なぜあなた達3人の前で桜田ネネ様がお話にならないのかもわかりました。」
しんのすけ「うん。結論を聞かせて欲しい。どのようなものであれ受け止める」
酢乙女あい「結論を申し上げてしん様にかなりのお悩みを与えることになります。桜田ネネを襲って人間は、貴方達4人のうちのどなたかです」
しんのすけは口が乾くのを感じた。4人?どの4人だろうか。4人と言えば、オラ、マサオとボー、風間くんか、この4人のうちの誰かが犯人?
しんのすけ「うそだろ…ありえないよ。さすがに、あい、怒るよ」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 20:19:29.94 ID:MMQ2amyl0
酢乙女あい「お待ちください。説明いたします。私が桜田ネネ様とお話して感じた違和感の正体は、
お話の中にこの4名の内3名の名前が出てきませんの。ほんとうに色々なことをお話しました、
でも、そういう方向に話が行かないようにかなり慎重に考え発言なさっていた印象でした、
唯一お話をしたのがまさお君のことでした、彼らは恋人同士ですからね。加えて、最後気持ちを、考えますと、
言えないというのは桜田ネネ様なりの皆様への配慮だったと思うのです。友達を友達の手でどうにかしてほしくないのだと思います。
たとえそれが憎きものでも…しん様がこのようなことをするとは考えられません。
ですから自動的に犯人の候補は、ボーちゃんか風間くんでございます」
しんのすけ「ボーちゃんか風間くんか…そんなこと」
言葉が続かなかった。酢乙女あいは何の根拠もなくこのようなことを言う女性ではないのは十分承知だった。
聡明で謙虚な酢乙女あいから出てくる言葉は信頼に値する。でも、そんなことがあり得るのだろうか。
ネネちゃんは友人に犯され襲われ、変わり果てた姿になったのだろうか…
しんのすけ「少し、一人にしてくれないか?」
酢乙女あい「わかりましたわ。何かありましたら、ご連絡ください。わたくしは常にしん様の味方です。
それに桜田さんを間近に見て、いやこれ以上は申し上げません。それでは失礼いたします」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 20:22:11.28 ID:MMQ2amyl0
そう言うと酢乙女あいは部屋から出ていった。しんのすけは考えていた。
あの二人のうちどちらかが犯人だとして、オラやマサオは復讐を果たせるのだろうか。
それにどっちが犯人だ?しばらく考えを巡らせた後に、マサオに連絡をとった。
もう、一人で抱え込むのは難しいと思ったし、マサオは友達を殺せるのだろうか。
いつものように喫茶店に集まる。今日は2人だ。マサオとしんのすけ。
マサオ「話ってなんだい。しんちゃん」
しんのすけは酢乙女あいから聞いた話をありのままマサオに話す。
結論まで言ったとき、マサオの顔は驚くほど冷たく残酷であった。
これは、オラ達仲良し5人組も終わりだな。そういうことを予感させる表情だった。
マサオ「しんちゃんを信用するよ。そして、今からはあの二人のどちらかが犯人だと思って行動する。
そんなことをする奴は友達でもなんでもないからね。で、しんちゃんはどっちが犯人だと思う?」
しんのすけは答えなかった。
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 20:26:49.22 ID:MMQ2amyl0
答えられるはずもない。既に気がついてしまったのだ。犯人はあいつであるということに…
マサオにそれを言えば友達を殺人者にしてしまう。そう思った。それに予感のようなもので根拠は乏しかった。
でも足場さえ固めてしまえば、それは確信に変わると思う。
しんのすけ「さぁな。いずれにせよ色々調べてみるゾ。本当に2人のうちのどちらかが犯人かもわからないんだ。
先走ったって、後悔しか残らない可能性もあるさ」
マサオ「そうだな。それじゃ、俺は帰るよ」
しんのすけ「先走るなよ。確信が持てなければ実行に移してはいけないゾ」
マサオはわかったというように頷いて喫茶店をあとにする。しんのすけはため息をついて目の前のコーヒーを啜る。
どっちに転んでも後悔しか残らないかもな。そういうことを考えながら…
しんのすけ「そろそろ行くか」
そう呟いて桜田ネネの家に向かった。
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 20:33:10.99 ID:MMQ2amyl0
インターホンを押す。少しつかれたネネちゃんのお母さんが出てきた。
いつもお見舞いありがとねなんてことを言いながらしんのすけを自宅に通してくれる。
しんのすけ「今日はおばさんに話があるんです」
ネネちゃんの母「わたしに?」
不思議そうな顔をして聞き返す。
しんのすけ「単刀直入に聞きます。ネネちゃんの事件のことを誰にお話しましたか?」
ネネちゃんのお母さんは顔を作って考える素振りを見せる。娘の重大な事件だ。思い出したくもないのは当然だろう。
ネネちゃんの母「そうね…お友達で言えば、あの夜お見舞いにくれたあなた達だけよ」
しんのすけ「わかりました。ありがとうございます」
ネネちゃんの母「うん。なんかしんちゃんも成長したわね。芋ようかんでも食べる?」
しんちゃん「いただきます。前みたいに切っていない方を食べたりはしないゾ」
そう言うとネネちゃんのお母さんは微笑んでくれた。
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 20:38:11.82 ID:MMQ2amyl0
桜田家をあとにすると、大通りに向かう。きっと奴は現れる。そういう確信があった。
しんのすけはすうっと息を吸って気持ちを落ちつけた。間違いない、ヤッたのは風間だ。
大通りに面する予備校は、県内一の合格率を誇る。そこで風間はトップクラスの生徒であった。
東京大学理科三類は間違いない。そう評されるのが風間トオルである。最も残酷で下劣な人間だった。
風間トオルは持ち前の慎重さと狡猾さで証拠を残すことをなく犯行を重ねていた。
勉強もスポーツも一流と呼ばれるくらいこなすことが出来る。かすかべ防衛隊の中でもっとも評判がよく賢い人間だった。
風間トオルが姿を現す。
しんのすけ「おう、風間くん。ちょっと話がしたいんだけど」
風間トオル「しんのすけじゃないか。この前は助かったよ。話ってなんだい?これから授業だから手短に頼むよ」
そう言って、風間トオルはしんのすけの正面に立つ。しんのすけは覚悟を決めた。
しんのすけ「全部かざまくんがヤッたんだな」
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 20:42:29.36 ID:MMQ2amyl0
酢乙女あいから2人の内のどちらかが犯人であると告げられた時にしんのすけは確信した。
風間トオルであると…以前から小さな違和感はたくさんあった。
風間トオルはオラ達3人とは疎遠にはなっていたが、一緒にお見舞いに行く事もなかった。
それに大きな違和感があった。
ネネちゃんがレイプされたと知った夜。風間は誰からその事実を聞いたのだろうか?
ネネちゃんのお母さんと話してわかった。最初から知っていたのだ。だって、こいつがその下劣な犯罪者だったのだから…
風間トオル「一体何なんだよ。もう僕は授業だから行くぞ。今日のしんのすけは変だよ」
そう呟いて予備校の中に姿を消した。しんのすけは家路につく。これでよかったのだろうか。何もわかりはしなかった。
翌日風間トオルは自殺した。遺書にはプレッシャーに負けたとだけ書いてあったそうだ。
マサオ「風間くんが死んじゃったんだってな…なんで俺達に一言相談してくれなかったんだろうな」
あいかわらずの泣き虫おにぎりだった。マサオは何も知らないでいい。
ボー「悲しいな」
しんのすけ「そうだな。本当に馬鹿なやつだよ」
108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 20:47:08.49 ID:MMQ2amyl0
3人は揃ってネネちゃんのお見舞いに行き、風間くんの死を告げた。
しんのすけの目には、ネネちゃんがふと微笑んだ気がした。
これで、友達はこれ以上不幸にならない。そういう微笑みだった。
風間トオルは残酷な人間だった。小学生から中学生になるときにしんのすけたちとは離れ、
私立の進学校に進んだ。その時に、桜田ネネに告白したのだ。結果は御存知の通りである。
風間トオルは完璧な人間だと自負していた。そんな自分が桜田ネネに振られるのはおかしいと、
そう考えていた。中学生になってからも勉強、スポーツとすべてを最高の成績でこなし、良い子を演じていた。
息をする様に嘘をつける。嘘が見破られそうになっても、少し前に回って修正できる。ずる賢い少年だった。
もちろんそれは、風間トオルのち脳と優れた身体能力があって初めて成立するようなものである。
ふと町を歩いていると、マサオとネネの姿を目にした。
二人はそれとわかるように手をつなぎ、寄り添うようにして歩いていたのだ。
桜田ネネはマサオが好きだ。そういう事実を突きつけられたときに犯行を決意した。
自分より下等な人間が、自分が手に入れないものを手に入れたという事実に耐えられなかった。
桜田ネネを犯してからは、その興奮と快楽を忘れることができずに犯行を重ねた。
112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 20:50:10.47 ID:MMQ2amyl0
風間くんが死んでから1年が経った、連続強姦事件はメディアを賑わすことがなくなった。
マサオは何も気がついていないだろうけど、河村と組んでカス脳統一を目指しているらしい。
ボーちゃんはうすうす感づいているのだと思う。彼は賢い人間だから。
しんのすけは真実を墓場まで持って行く事に決めていた。
もう、3人の中で強姦の犯人を探そうなんていう話題は出なくなっていった。
時が解決してくれることはそれだけではなく、ネネちゃんも回復していっている。
最近はあいちゃんと買い物に出かけるまでになった。
しんのすけは酢乙女あいからそういう話を聞きながら、酢乙女あいにもネネちゃんに感謝した。結局、きっと誰も手を汚すことはなかったのだ。
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 20:53:16.97 ID:MMQ2amyl0
3人で会うことも少なくなった。
それはある意味で事件の終わりを意味していた。
結局僕らは、糞野郎を殺すって1点だけでつながってしまっていたのだ。
すべての始まりはあの事件で、それから僕達の関係は純粋な友情だけで結ばれていることにはならなくなったのだ。
酢乙女あいと手を取り合って出かける。
河川敷を二人で歩いていると、前の方から見慣れた姿が歩いてくる。
ネネとマサオは二人でゆっくりと時間を慈しんでいた。
桜田ネネの写真にまみれた部屋でボーが呟く。
「復讐は蜜より甘いか…」
彼もまた、加害者なのかもしれない。
おわり
134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 20:58:36.42 ID:MMQ2amyl0
以上で終わりです。
支援やコメントをくださった方有り難うございます。
142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/02(日) 21:04:44.21 ID:MMQ2amyl0
ボーちゃんの最後のセリフですが、どちらとも取れるようにしてあります。
風間を殺したパターン
マサオにネネをとられて風間のプライドをくすぐり風間にレイプさせたパターン
これを最後に、ではドロンで御座るよ。
残ったスレは落とすか、雑談か練習かなんかをしてください。