1 名前: 忍法帖【Lv=10,xxxPT】 [] 投稿日:2012/11/29(木) 19:26:58.47 ID:JaZ3zFmZP
ミサト「こっちとしても早くはっきりして欲しいというか」
シンジ「はっきり、ですか?」
ミサト「あ、べ、別にそれで賭けをしてる訳じゃないのよ? 流石にそんなこと、ねぇ」
シンジ「はぁ」
シンジ「遊園地、かぁ」
ミサト「行ったことはある……のよね?」
シンジ「はい。まぁ、一応」
ミサト「……レイは多分、行くの初めてだと思うから」
シンジ「そうなんですか?」
ミサト「ちゃんとエスコートしてあげるのよ」
シンジ「やれるだけやってみます」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 19:29:16.64 ID:JaZ3zFmZP
シンジ「……あ、でも、それならもっと大勢で行った方が」
ミサト「それは駄目!」
シンジ「!」ビクッ
ミサト「あ、えーと、ほら。今回はいつもエヴァに乗ってる三人を労うってことだから」
シンジ「なるほど」
ミサト「だから、ね。三人だけで楽しんでらっしゃい」
シンジ「……ミサトさん」
ミサト「な、なに?」
シンジ「わざわざ、ありがとうございます!」ペコ
ミサト(う……ま、眩しいくらいに純粋な瞳)
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 19:30:54.07 ID:JaZ3zFmZP
シンジ「そうですよね……僕も前からはっきりさせないとって思ってたんです」
ミサト「そ、そうなの!?」
シンジ「はい。僕なんかじゃ駄目だと思ってたけど、せっかくの機会だし、頑張ってみます」
ミサト「シンジ君……男前になったわね」
シンジ「必ず、アスカと綾波を仲良くさせてみせます!!」
ミサト「うんうん……うん?」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 19:34:02.60 ID:JaZ3zFmZP
シンジ「明日の遊園地、楽しみだね」
アスカ「遊園地なんて、別に楽しみでもなんでもないわよ」
シンジ「えー、好きじゃないの? 遊園地?」
アスカ「あんなのはアンタみたいなガキが楽しむ場所よ」
シンジ「……僕たちはまだ、子供じゃないか」
アスカ「アンタと私を一緒にしないで。私はもう立派なレディーなの」
シンジ「レディーってなんだよ」
アスカ「鼻で笑うな!」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 19:36:45.01 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「……それに」
シンジ「なに?」
アスカ「私のこと、ほんとは邪魔なんでしょ」
シンジ「邪魔って、なんでそんな話になるのさ」
アスカ「……エコヒイキがいるから」
シンジ「綾波? 綾波がいると、どうしてアスカが邪魔になるんだよ」
アスカ「……」
シンジ「……アスカがいないと、なんの意味もないじゃないか」
アスカ「……!」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 19:39:02.35 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「……ふーん」
シンジ「?」
アスカ「バカシンジは、私がいないと、困るんだ」
シンジ「そりゃそうだよ」
アスカ「……嫌なんだ?」
シンジ「嫌だよ?」
アスカ「……あっそ」クルッ
シンジ「どうしたんだよ」
アスカ「こっち見んな!」ゲシ
シンジ「いた! 酷いよアスカ!」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 19:41:19.26 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「……しょうがないから」
シンジ「え?」
アスカ「しょうがないから、明日はアンタのレベルに合わせて楽しんであげるわよ」
シンジ「あ、うん、楽しみだね!」
アスカ「……そうね」
シンジ「明日は頑張らないとなぁ」
アスカ「頑張るって、なにを?」
シンジ「ん……秘密」
アスカ「……?」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 19:44:23.89 ID:JaZ3zFmZP
綾波「遊園地」
綾波「……」
綾波「……」
綾波「初めての、場所」
綾波「初めての、交流」
綾波「……」
綾波「……」
綾波「碇君」
綾波「それと」
綾波「……」
綾波「…………」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 19:46:14.47 ID:JaZ3zFmZP
シンジ「……」
アスカ「……」
シンジ「綾波、遅いね」
アスカ「この私を待たせるなんて、いい度胸してるわ」
シンジ「心配だな」
アスカ「お人よしが過ぎるわよ。きたら早々にビンタかましてやろうかしら」
シンジ「や、やめなよ!」
アスカ「冗談に決まってるでしょ! 私をそこまで野蛮だと思ってるわけ?」
シンジ「違うけど……」
アスカ「ちっ」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 19:48:11.94 ID:JaZ3zFmZP
シンジ「……」
アスカ「……」
シンジ「あっ」
アスカ「なによ」
シンジ「綾波」
綾波「…………」テクテク
シンジ「よかった。なんともないみたいだ」
アスカ「そりゃそうよ」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 19:50:42.86 ID:JaZ3zFmZP
綾波「……遅れて、ごめんなさい」
シンジ「ううん、気にしないで」
アスカ「ちょっとは気にしなさいよ」
綾波「……」
シンジ「アスカ!」
アスカ「なんでよ」
シンジ「五分くらい、いいじゃないか」
アスカ「私たちは15分前に来たから、計20分も待ってるのよ!」
綾波「……ごめんなさい」
アスカ「うんうん。遅れたら誠心誠意を込めて謝る。これが正しいマナーってやつよ」
シンジ「……そこでこっちが非難するのはよくないよ……」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 19:52:26.38 ID:JaZ3zFmZP
シンジ「……でも綾波……私服、なんだね」
綾波「……?」
アスカ「あたり前でしょ」
シンジ「そうだけど、見慣れてないから」
綾波「……どこか、おかしい?」
シンジ「いや、どこもおかしくないよ!」
綾波「そう」
シンジ「その、むしろ……」
綾波「……」
シンジ「似合ってると、思う」
綾波「……そう」
アスカ「…………」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 19:54:44.27 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「ちょっと」
シンジ「なに?」
アスカ「なにそれ」
シンジ「なにって」
アスカ「私には、なにも言わなかったじゃない」
シンジ「……?」
アスカ「服よ、服! 私にはコメント一つくれないわけ!?」
シンジ「え、ええー」
綾波「……」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 19:56:15.02 ID:JaZ3zFmZP
シンジ「だ、だって、僕たち一緒に来たじゃないか!」
アスカ「だったら、初めに見た時に言いなさいよ!」
シンジ「初めにって……部屋から出た時には、もうその格好だっただろ?」
アスカ「その時に言えば良かったじゃない」
シンジ「朝からいきなりそんなこと、言えないよ!」
アスカ「どうして」
シンジ「どうしてって、それは……」
アスカ「……」
シンジ「……」
綾波「……」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 19:58:16.41 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「もういいわ。エコヒイキは可愛いと思ったけど、私はシンジ様の好みじゃなかったってことでしょ?」
シンジ「そ、そういうことじゃないよ!」
アスカ「じゃあ、なによ」
シンジ「分かったよ……言えばいいんだろ、言えば……」
綾波「……」
アスカ「……ほら」
シンジ「……あ、あの」
アスカ「……」
シンジ「……その……だから……」
アスカ「……」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 20:00:23.83 ID:JaZ3zFmZP
シンジ「きょ、今日のアスカは……」
アスカ「……」
シンジ「か、可愛いと、思う……思い、ます」
アスカ「……」
シンジ「……」
アスカ「……ふぅん」
シンジ「……」
アスカ「……」
シンジ「……」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 20:02:24.39 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「……!」ポカ
シンジ「いたっ、なんでちゃんと言ったのに叩くんだよ!」
アスカ「無駄に緊張しすぎなのよ! アンタのせいで私まで―――」
シンジ「なんだよ!」
アスカ「……っ!!」ポカ
シンジ「い、いたっ! やめてよアスカ!!」
アスカ「……バカシンジなんて放っておいて、いくわよ!」
綾波「……ええ」
シンジ「ま、まってよ! アスカ! 綾波!」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 20:04:42.39 ID:JaZ3zFmZP
ミサト「ファーストコンタクトは、アスカの勝利ね」
リツコ「シンジ君の予想外の発言を逆手にとった、見事な作戦だったわね」
加持「いやはや、デートの初っ端から女性の服を褒めにかかるとは、シンジ君は悪い男になりそうだ」
ミサト「……」
加持「なんだよ、葛城」
ミサト「アンタだって、昔は嫌味ったらしいくらい、人の服装を褒めちぎってきたくせに」
加持「まぁ、俺は悪い男だからな」
ミサト「うげっ」
加持「御所望とあらば、今の葛城の服装も、事細かに褒めてやるぞ」
ミサト「かんべんして」
加持「服装の下なら、尚更だ」
ミサト「……さいってー」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 20:07:19.33 ID:JaZ3zFmZP
リツコ「ちょっと、イチャついてるんじゃないわよ」
ミサト「いちゃついてないわよ!」
リツコ「……そう言ってるけど?」
加持「素直になれないとこが可愛いだろ?」
ミサト「……もういいでしょ! それより本題!」
リツコ「そうね。あなた達は決まっているの?」
加持「うーん、悩むところだねぇ」
ミサト「んー……」
リツコ「保護者として、一番近くにいるでしょ。ミサトから決めなさいよ」
ミサト「むむむ」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 20:17:17.68 ID:JaZ3zFmZP
ミサト「じゃあ……そうね、レイかしら」
リツコ「あら、意外」
ミサト「そう?」
加持「近くにいて、二人の親密さを見ていれば、アスカとシンジ君が結ばれる展開を予想しそうなものだが」
ミサト「うーん、二人はちょっち近すぎるのよね」
加持「へぇ」
ミサト「いつも傍にいる分、かえって進展を望まないというか、平行線のままでいそうというか」
リツコ「ふーん」
ミサト「相性は悪くないんだけどね。まぁ、恋愛にはちょっとの遠慮も必要ってことでレイに賭けるわ」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 20:19:54.06 ID:JaZ3zFmZP
加持「リッちゃんは?」
リツコ「私はもちろんアスカよ」
加持「手堅くいくねぇ」
リツコ「勝てる勝負にしか乗らない性質なの」
ミサト「ま、シンジ君はちょっと弱気なところがあるから、アスカみたいにぐいぐい引っ張ってもらえた方がいいかもね」
加持「ただ、アスカは恋愛に関してはシンジ君並に弱気だぞ」
ミサト「……む、たしかに」
加持「むしろ、より酷いといっても過言ではない」
ミサト「うーん……」
加持「倍率は大体同じと考えていいだろうな」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 20:21:28.63 ID:JaZ3zFmZP
ミサト「で、そういうアンタはどうするのよ?」
リツコ「どっちも駄目というのは無しよ。つまらないから」
加持「……いや、どっちも、でいかせてもらうよ」
リツコ「ちょっと」
加持「勘違いするなよ。どっちも手に入れる……ハーレムエンドに俺はBETだ」
ミサト「……うわぁ」
リツコ「本気?」
加持「当たり前だろ。男はいつだってハーレムを望んでいるものさ」
ミサト「……シンジ君はそんなこと、考えてないでしょ」
加持「ハーレムに望まれる男というのもまた、いるものさ」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 20:24:10.08 ID:JaZ3zFmZP
ミサト「ま、アンタがそうじゃないのだけは確かね」
加持「ああ、俺は葛城一筋だからな」
ミサト「……」
加持「惚れ直したか?」
ミサト「…………問題はシンジ君が恋愛より、女同士で友情を結ぶことを期待していることだけど」
リツコ(話を逸らしたわね)
加持「女性陣が多少、強引に来てくれることを望もう」
ミサト「レイ〜……頑張りなさいよぉ!」
加持「どのみち、苦労するのはシンジ君だろうが……頑張れ、若人」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 20:26:43.67 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「ふんふんふふ〜ん♪」
シンジ「……アスカ」
アスカ「なにのろっかなー♪」
シンジ「……アスカ」
アスカ「どれのろっかなー♪」
シンジ「……アスカ!!」
アスカ「なによ」
シンジ「歩くのが早いよ!」
アスカ「アンタたちが遅いんでしょ!」
シンジ「アスカが早いんだよ!」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 20:28:51.90 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「こんなにアトラクションがあるのに、時間は限られているのよ!? 急がないと!!」
シンジ「……なにがレディーだよ」ボソッ
アスカ「なにか言った?」
シンジ「別に、なにも」
綾波「……」
シンジ「綾波? 大丈夫、疲れてない?」
綾波「……ええ、平気よ」
シンジ「そっか、アスカがなんか張り切ってるからさ、ついていかないと」
綾波「……」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 20:31:00.11 ID:JaZ3zFmZP
綾波「楽しそうね」
シンジ「え?」
綾波「……」
シンジ「アスカのこと?」
綾波「……」コク
シンジ「そうだね。あれでもうちょっと、こっちのことも気にしてくれれば文句ないんだけど」
綾波「私も、ああいう風になれるかしら」
シンジ「なりたいの?」
綾波「……分からないわ」
シンジ「……みんなでいれば、分かるよ。だからさ、行こう」
綾波「……ええ」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 20:33:59.90 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「さーて、なにから乗ろうかしら」
シンジ「僕はなんでもいいよ」
アスカ「うわ、他人任せな男って嫌ね」
シンジ「えー……」
綾波「……」
アスカ「……エコヒイキは、なんか乗りたいもの、あるの?」
綾波「……」
アスカ「ま、アンタにそんなもの、あるわけないでしょうけど」
綾波「……」
シンジ「あ、アスカ!」
アスカ「なによ」
綾波「……」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 20:35:50.16 ID:JaZ3zFmZP
綾波「……あれ」ピッ
シンジ「えっ」
アスカ「あれ!?」
綾波「……」コクリ
シンジ「あれ……って、ジェットコースターだよ?」
アスカ「いきなり遊園地の王様に行くとか、せっかちね」
綾波「……」
アスカ「でも、その判断、嫌いじゃないわ。行きましょう、ジェットコースター!」
シンジ「いいのかな……」
綾波「……」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 20:37:45.17 ID:JaZ3zFmZP
シンジ「二人ずつ並ぶみたいね」
アスカ「じゃ、エコヒイキは余りね」
シンジ「え、なんでだよ」
アスカ「なんでって、そうじゃないと」
シンジ「……?」
アスカ「そ、そうじゃないと……だ、だって、私、エコヒイキの隣なんて嫌だもの!」
シンジ「な、なんてこと言うんだよ!」
アスカ「知らないわよ!」
シンジ「ごめんね、綾波。アスカって、ちょっと変だから」
アスカ「んなっ」
綾波「……」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 20:40:37.44 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「……まぁ、別に? どーしてもって言うなら、アンタの隣でもいいけど……」
綾波「……」
アスカ「ど、どうなのよ」
綾波「……私も」
アスカ「ん?」
綾波「私も、あなたの隣、嫌だわ」
アスカ「……はぁ!?」
綾波「……」
アスカ「こ、この女、言わせておけば!!」
シンジ「わ、わぁ! 暴力は駄目だよ!! アスカ!!」ガシ
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 20:43:00.18 ID:JaZ3zFmZP
シンジ「アスカもそうだけど、どうして綾波までそんなこと言うんだよ!!」
綾波「……」
シンジ「綾波!」
綾波「……」
アスカ「あっ、この女、まさか」
シンジ「どうしたの、アスカ?」
綾波「……」
アスカ「……ふーん、そういうこと」
シンジ「なんだよ、なにか分かったなら教えてよ」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 20:46:32.74 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「バカシンジ」
シンジ「なに?」
アスカ「誰と隣になるのか、アンタが決めなさいよ」
シンジ「えっ」
アスカ「エコヒイキも……それで文句ないでしょ」
綾波「……」コクリ
シンジ「えーっと……」
アスカ「早く」
シンジ「そ、それじゃ―――」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 20:48:43.38 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「……で、どうしてこういう結果になるのかしら?」
綾波「……」
アスカ「また20分も待たされるし……」
綾波「……」
アスカ「バカシンジは、いつの間にかはぐれちゃったし……」
綾波「……」
アスカ「アトラクションに乗るだけならまだしも、待ち時間をアンタと二人きりとか、勘弁してほしいわ」
綾波「……」
アスカ「ここまで言われても無反応だし……」
綾波「……」
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 20:51:12.61 ID:JaZ3zFmZP
―――キャー!!
―――ウワァアアアアアアア!!
アスカ「上はなかなか盛り上がってるわね」
綾波「……あれに」
アスカ「あん?」
綾波「あれに私たちは、乗るのね」
アスカ「そうよ。あんたが乗りたがったんじゃない」
綾波「……」
アスカ「……アンタ、もしかしてビビってるの?」
綾波「……ビビってないわ」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 20:53:20.75 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「ウソでしょ」
綾波「……嘘ではないわ」
アスカ「……」
綾波「……」
アスカ「知ってる? ジェットコースターって、けっこう脱輪するのよ」
綾波「……」
アスカ「月に一回は死亡事故起こしてるんだって」
綾波「……」
アスカ「それでも乗りたがるんだから、人間って不思議よね」
綾波「……やめて」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 20:55:46.63 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「なによ」
綾波「嘘、言わないで」
アスカ「ウソじゃないもの」
綾波「……」
アスカ「もしかしたら、私たちが落ちる番、引いちゃうかもね」
綾波「……」
アスカ「あ、そろそろ私たちの番よ」
綾波「……」
アスカ「神様に祈っときなさいよ、死なずに済みますようにって」
綾波「……」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 20:57:31.38 ID:JaZ3zFmZP
ピピー
―――『発進します』
アスカ「一番前に乗れるなんて、ラッキーだったわね」
綾波「……」
アスカ「この落下前に登ってる感じが、天国へのカウントダウンって感じで心地いいのよねぇ」
綾波「……」
アスカ「ほら、見てよ、この眺め」
綾波「……」
アスカ「…………最期の景色には、ふさわしいでしょ?」
綾波「……」
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 21:00:00.53 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「あ、そろそろ落下するわよ」
綾波「……」
アスカ「さぁーん、にぃーっ、いーち!」
綾波「……」ギュッ
アスカ「ちょ、ちょっと、私の服、掴まないでよ!」
綾波「……」
アスカ「……ぐえっ、首、しま―――」
―――キャー!!
―――ウワァアアアアア!!
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 21:02:09.03 ID:JaZ3zFmZP
シンジ「いやぁ、楽しかったね、ジェットコースター!」
アスカ「……」
綾波「……」
シンジ「二人は、どうだった?」
アスカ「……死ぬかと思ったわよ」
シンジ「……? アスカって、絶叫系とか大丈夫なのかと思ってた」
アスカ「絶叫系っていうか、昇天系っていうか……」
シンジ「なにそれ」
アスカ「……トラウマになったら、アンタたちのせいだからね」
シンジ「なにかあったの?」
綾波「いいえ」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 21:04:33.65 ID:JaZ3zFmZP
ミサト「……ちょっと」
リツコ「なによ」
ミサト「なんだか、勝利者無しのルートを突き進んでいる気がするんだけど」
リツコ「そうねぇ」
加持「肝心のシンジ君があの調子だからね、どうしようもないよ」
ミサト「……NERVの力で、どうにかならないの?」
加持「盗聴と盗撮が限界」
リツコ「それだって、見つかったら懲罰ものよ」
ミサト「くっ……私たちって、なんて無力なの」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 21:06:22.27 ID:JaZ3zFmZP
ミサト「かくなる上は!」
リツコ「なにするの?」
ミサト「電話よ! シンジ君に電話して、作戦内容の変更を指示して―――」
加持「それは、タブーだろ? 葛城?」ヒョイッ
ミサト「ちょ、ちょっと、私の携帯、返しなさいよ!」
加持「子供の恋愛に、大人が首を突っ込むなんて真似、一番やっちゃいけないな」
ミサト「む、むぅ」
加持「俺たちは下衆らしく、黙ってニヤニヤしながら見守ってればいいんだよ」
リツコ「結末は、神のみぞ知るってことね」
ミサト「……分かったわよ」
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 21:09:01.85 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「ふぅー、食べた食べた」
シンジ「アスカは本当によく食べるね」
アスカ「エコヒイキが食べなさすぎなだけー」
綾波「……」
シンジ「綾波、本当にそれだけでいいの?」
綾波「ええ」
シンジ「そっか」
アスカ「まったく……よく食べ、よく遊ぶ。子供ならそうしなさいよ」
シンジ「アスカって……」
アスカ「ん?」
シンジ「……いや、なんでもないよ」
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 21:10:54.62 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「この後、どうする?」
シンジ「パンフレット、見ながら決めよう。綾波はなにか乗りたいものある?」
綾波「……これ」ピッ
アスカ「これ、って」
シンジ「メリーゴーランド?」
綾波「……」コクリ
アスカ「さすがにこれは子供っぽすぎでしょ」
シンジ「あ、あはは」
アスカ「……ていうかさ、ジェットコースター以来、こういうメルヘン系にばっか乗ってない?」
綾波「……」
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 21:13:10.14 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「あんた、まだビビってるの?」
綾波「ビビってないわ」
アスカ「そりゃそうよ。殺されかけた私の方がビビってるわよ」
綾波「……」
アスカ「ね、シンジ。エコヒイキが乗れないっていうなら、私たち二人で絶叫系回りましょうよ」
シンジ「え、それは綾波に悪いよ」
アスカ「だって、乗れないっていうならしょうがないじゃない」
綾波「……」
アスカ「それに絶叫系にちょびっとしか乗らないなんて、遊園地に来た意味ないじゃない」
綾波「……」
100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 21:15:49.51 ID:JaZ3zFmZP
シンジ「うーん……」
綾波「……」
シンジ「綾波……絶叫系、駄目?」
綾波「……」
アスカ「……なんとか言いなさいよ」
綾波「……生命維持に、異常をきたすわ」
アスカ「……」
シンジ「……」
綾波「……」
シンジ「じゃ、じゃあ、やめとこうか」
アスカ「ま、まぁ、しょうがないわね」
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 21:18:20.28 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「でも、メリーゴーランドなんて嫌よ」
シンジ「……あ、じゃあ、こういうのはどう?」
アスカ「お化け」
綾波「屋敷」
シンジ「ここから近いしさ。ある意味、絶叫系って言ってもいいよね」
綾波「……」
シンジ「綾波も、これなら大丈夫でしょ?」
綾波「ええ」
シンジ「よかった、アスカもこれでいいでしょ?」
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 21:20:27.84 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「嫌よ」
シンジ「え」
アスカ「……」
シンジ「……」
綾波「……」
シンジ「ど、どうして」
アスカ「お化け屋敷なんて幼稚なもので、どうやって楽しめっていうの?」
シンジ「どうやってって言われても」
アスカ「暗闇で仮装した人間がわぁわぁ言ってるだけでしょ。アトラクションでもなんでもないわ」
シンジ「そんなぁ」
111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 21:22:52.95 ID:JaZ3zFmZP
綾波「怖いのね」
アスカ「……あ?」
綾波「……」
アスカ「喧嘩売ってんの!? この根暗メルヘン!!」
シンジ「だ、だからやめてよ、アスカ!」
アスカ「だって、こいつが、今!」
シンジ「綾波の希望と、アスカの希望が合致したんだから、もうこれでいいじゃないか!」
アスカ「う……」
綾波「……」
112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 21:25:27.20 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「……シンジは」
シンジ「え?」
アスカ「バカシンジも、一緒に行くんでしょ?」
シンジ「ああ、僕は行かないよ」
アスカ「なんでよ!!」
シンジ「だって、ほら、パンフのここに書いてあるじゃないか!」
アスカ「……二人ずつの、ペア、で」
シンジ「うん、僕は出口で待ってるからさ。二人で行ってきなよ」
アスカ「……」
綾波「……」
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 21:27:23.96 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「なんで、またアンタと二人っきりにならなきゃいけないのよ」
綾波「知らないわ」
アスカ「それも、こんな真っ暗な……」
綾波「……」
アスカ「こんな……」
綾波「……」
アスカ「ちょ、ちょっと! 歩くのが早いわよ!」
綾波「あなたが遅いのよ」
アスカ「こ、こんのー……!」
綾波「……」
114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 21:29:25.36 ID:JaZ3zFmZP
ヒュー……
ドロドロドロドロ!!
アスカ「ひっ」ギュッ
綾波「引っ張らないで」
アスカ「引っ張ってないわよ!」
綾波「離して」
アスカ「…………」パッ
綾波「……」
アスカ「……」
綾波「……」
アスカ「……」
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 21:31:49.21 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「い、言っとくけど、別に幽霊とかそういうのが嫌なんじゃないのよ」
綾波「……」
アスカ「こう……暗い所で、突然大きな音がしたら、誰だってちょっとビクつくでしょ」
綾波「……」
アスカ「だから、そう、人間として当然の反応をしているだけなのよ、私は!」
綾波「……」
アスカ「ま、お人形みたいなアンタには、わかんないでしょうけど……?」
綾波「……」
綾波「―――!!」パンッ
アスカ「!」ビクッ
118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 21:35:04.69 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「……ちょっと」
綾波「なに」
アスカ「なんで急に手を叩いたのよ!」
綾波「……蚊がいたの」
アスカ「嘘つきなさいよ!」
綾波「嘘ではないわ」
アスカ「この嘘吐き根暗メルヘン!! 性根が腐ってるんじゃないの!!」
綾波「……」
綾波「―――!!」パンッ
アスカ「!」ビクッ
120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 21:38:08.46 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「……」
綾波「……」
アスカ「……」
綾波「……」
アスカ「……バカシンジに、このこと言ったら、ぶっとばすわよ」
綾波「……」
アスカ「……」
綾波「……」
アスカ「……」ギュッ
綾波「……」
121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 21:40:47.10 ID:JaZ3zFmZP
ミサト「楽しそうねぇ」
加持「行くか? 遊園地」
ミサト「遊園地っていう歳じゃないでしょうに」
加持「大人が童心に帰る場所でもあるさ」
ミサト「ものは言いようねぇ」
加持「りっちゃんは、どうだい、遊園地?」
リツコ「私もパスね。本でも読んでいる方がまだ楽しめるわ」
加持「残念」
ミサト「おほほ。シンジ君と違ってアンタには行く相手もいないのね」
加持「こうして一緒にいるだけで満足するのがいけないのかもな」
ミサト「……ど、どーしてアンタはそういう臭い台詞を次から次へと!」
122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 21:42:29.17 ID:JaZ3zFmZP
リツコ「諦めなさい。口では加持君には勝てないわよ」
ミサト「いいえ、口喧嘩では負けたことなかったもの」
リツコ「謝ることを貴方がしなかっただけではなくて?」
ミサト「うっ……」
加持「俺が悪かった。愛してるよ……って言うと、すぐに萎れるんだよ、葛城は」
ミサト「変なこと言わないでよ!」
リツコ「いい加減、よりを戻したら?」
ミサト「死んでも、嫌!」
リツコ(……さて、シンジ君たちとどっちが早いかしらね)
124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 21:45:51.27 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「陽が傾いて来たわね」
シンジ「時間的に、次で最後かな」
アスカ「どれに乗ろうかしら……やっぱりジェットコースターにもう一度?」
綾波「……」
アスカ「な、なによ、文句でもあるの」
綾波「別にないわ」
シンジ「待ってよ、アスカ。最後に乗るものは決まってるんだ」
アスカ「どれ?」
シンジ「観覧車」
アスカ「観覧車ぁ〜?」
綾波「……」
127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 21:48:17.73 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「あれ、退屈じゃない」
シンジ「うーん、でもここの観覧車は景色が良いらしいんだ。夕日と相まって、すごく綺麗だと思うよ」
アスカ「えー……」
綾波「私は、良いと思うわ、観覧車」
シンジ「ほんと?」
綾波「ええ、碇君がオススメしてくれるなら」
シンジ「ありがとう、綾波」
アスカ「……ちっ、じゃあ私もそれでいいわよ」
シンジ「そう?」
アスカ「ただし! ……退屈させたら、承知しないからね!」
シンジ「それはアスカ次第かもしれないけど」
アスカ「……?」
128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 21:50:38.79 ID:JaZ3zFmZP
シンジ「……次が僕たちの番だね」
アスカ「……そういえば、席ってどうするの」
シンジ「席?」
アスカ「だって、片方に全員が座るのって、変じゃない」
シンジ「好きに座ればいいと思うけど」
アスカ「だ、だから! 好きにしたら荒れるでしょ!」
シンジ「荒れる?」
アスカ「それは……。……エコヒイキも、なんとか言いなさいよ」
綾波「……私は、好きな方に座るわ」
アスカ「だから、それをはっきり言えって言ってんでしょ!」
シンジ「なに言ってんだよ、アスカ……」
129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 21:52:46.13 ID:JaZ3zFmZP
―――『お客様ー? どうぞこちらへー』
シンジ「ほらほら、アスカ、先に入って」グイグイ
アスカ「あ、お、押さないでよ」
シンジ「綾波も、入って、入って」
綾波「ええ」
シンジ「ふぅ……」
シンジ「……」
シンジ「じゃ、閉めちゃってください」
アスカ「……は!?」
綾波「……」
133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 21:55:40.22 ID:JaZ3zFmZP
―――『い、いいんですか?』
シンジ「はい、お願いします」
アスカ「ちょ、ちょっと、バカシンジ!」
綾波「……」
シンジ「早く! 出てきちゃうから!」
―――『は、はい、では失礼します』ガラガラ
アスカ「あああ!」
綾波「……」
シンジ「じゃ、二人とも。ごゆっくりー」フリフリ
アスカ「呑気に手ぇ、振ってんじゃないわよ!!」
綾波「……」
137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 21:58:35.45 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「……なんで、こんなことに」
綾波「……」
アスカ「あのバカ、いったい何を考えてんのよ……」
綾波「……」
アスカ「この観覧車、一周何分よ……」
綾波「……」
アスカ「アンタも、なんとか言いなさいよ」
綾波「……」
アスカ「はぁーあ……」
綾波「……」
140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 22:00:44.10 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「……わっ」
綾波「なに」
アスカ「外、綺麗だわ」
綾波「……」
アスカ「全部が赤とオレンジで、2号機みたい」
綾波「……」
アスカ「ま、バカシンジの言うことも、たまには間違いじゃないってことね」
綾波「……」
141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 22:02:55.90 ID:JaZ3zFmZP
綾波「……綺麗」
アスカ「あん」
綾波「綺麗って、なに」
アスカ「はぁ?」
綾波「楽しいって、なに」
アスカ「……」
綾波「あなたが感じていた、その気持ち」
アスカ「……」
綾波「私には、分からないの」
アスカ「……」
綾波「……なぜ?」
アスカ「……」
142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 22:04:26.99 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「人の気持ちなんて、私には分からないわよ」
綾波「……」
アスカ「誰がどう感じるのかなんて、そんなの人それぞれでしょ」
綾波「……そう」
アスカ「……」
綾波「……」
アスカ「……」
綾波「……」
アスカ「…………ああっ、もう!!」クシャクシャ
綾波「……?」
144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 22:06:12.50 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「アンタさぁ、今日一日、どうだったのよ」
綾波「……」
アスカ「楽しいとか分からなくても、『また来たいな』とか『もうちょっとここにいたいな』とか思わなかったの?」
綾波「……」
アスカ「バカシンジがいて……まぁ、ついでに私もいて」
綾波「……」
アスカ「それで、一人でいる時よりも、安心するっていうか……」
綾波「……」
アスカ「とにかく! そういう感覚に、ならなかったの!?」
綾波「……」
145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 22:07:42.52 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「景色だって同じよ」
綾波「……」
アスカ「『またいつか見れたらいいな』とか『ずっと見れていたらいいな』」
綾波「……」
アスカ「そういうのが、綺麗とか楽しいってことよ」
綾波「……」
アスカ「…………なにも感じないなんてこと、あるわけないでしょ」
綾波「……」
アスカ「……」
綾波「……」
146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 22:08:37.18 ID:JaZ3zFmZP
綾波「……そう」
アスカ「……」
綾波「これが、綺麗とか、楽しいってことなのね」
アスカ「……」
綾波「あなたは、ずっとこれを感じていたのね」
アスカ「……」
綾波「……」
アスカ「……」
綾波「……」
147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 22:09:54.69 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「……一つ、聞きたいんだけど」
綾波「なに」
アスカ「……アンタってさぁ、バカシンジのこと、どう思ってるの?」
綾波「……」
アスカ「……」
綾波「……よく、わからないわ」
アスカ「言うと思った」
綾波「……」
アスカ「……」
153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 22:12:17.32 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「特別?」
綾波「……」
アスカ「他の人よりも、一緒にいて欲しい?」
綾波「……」
アスカ「他の誰よりも、隣にいたい?」
綾波「……」
アスカ「……」
綾波「…………そう、碇君は、私にとって、特別」
アスカ「……ふぅん」
綾波「……」
アスカ「……」
154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 22:13:59.12 ID:JaZ3zFmZP
綾波「……」
アスカ「……」
綾波「……」
アスカ「……」
綾波「あなたにとっても、碇君は、特別?」
アスカ「……はぁ?」
綾波「……」
アスカ「あんなやつ、特別な訳ないでしょ」
綾波「……」
アスカ「私にとっては、オモチャね。オモチャ」
綾波「……」
160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 22:16:22.44 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「……でも、ま、便利ではあるし……」
綾波「……」
アスカ「遠慮しないでいいし、良いところ、全くないわけじゃないし……」
綾波「……」
アスカ「……」
綾波「……」
アスカ「……」
綾波「……」
アスカ「…………だから、あげないわよ」
綾波「……」
167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 22:19:08.24 ID:JaZ3zFmZP
綾波「いま、なんて言ったの?」
アスカ「なにも言ってないわよ」
綾波「そう」
アスカ「ええ」
綾波「……」
アスカ「……」
綾波「…………碇君は物じゃないわ」
アスカ「聞こえてるじゃない!!」ガタッ
綾波「立つと危ないわ」
アスカ「くっ」ストン
170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 22:22:24.49 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「はぁ……」
綾波「……」
アスカ「……」
綾波「……」
アスカ「……アンタってさぁ、けっこう頑張ってるわよね」
綾波「……?」
アスカ「自分のこととか、エヴァの訓練とか……」
綾波「……」
アスカ「なにもしてないわけじゃない……」
綾波「……」
172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 22:26:10.24 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「エコヒイキじゃ、ないのよね」
綾波「……」
アスカ「……」
綾波「……」
アスカ「……」
綾波「……」
綾波「……見て」
アスカ「え?」
綾波「下」
アスカ「なによ」
綾波「碇君」
173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 22:27:51.33 ID:JaZ3zFmZP
綾波「手を振っているわ」
アスカ「……そうね」
綾波「……」
アスカ「間抜け面晒しちゃって、まるで主人の帰りを待つ犬ね」
綾波「……でも、私たちを待っているわ」
アスカ「……」
綾波「私たちを、待ってくれている」
アスカ「……そうね」
綾波「……行きましょう」
アスカ「ええ」
175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 22:29:23.01 ID:JaZ3zFmZP
加持「というわけで、俺の勝ちだな」
リツコ「厳密に言うと、違うけれど」
ミサト「ま、ここまでの結果でいうと、認めざるを得ないわね」
加持「まいど」
ミサト「はぁーあ、私のお酒が〜」
加持「なんだったら、次の賭けでもするか?」
リツコ「対象はなに?」
加持「もちろん、俺たちの未来を」ギュッ
リツコ「ふふっ」
ミサト「……」ピキッ
176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 22:30:40.45 ID:JaZ3zFmZP
リツコ「でも駄目よ、全員がミサトに賭けたら、賭けにならないわ」ペシッ
加持「なに言ってるんだよ、俺はハーレムルートに賭けるに決まってるだろ?」
ミサト「……ハーレムルートなんて、あるわけないでしょ!!」
リツコ「あらあら」
加持「そうかそうか、葛城」
ミサト「ん?」
ミサト「……」
ミサト「……!」
ミサト「そーいう意味じゃ、なーい!!」
178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 22:32:16.68 ID:JaZ3zFmZP
エピローグ
シンジ「明日、綾波と遊びに行くんだって?」
アスカ「……レイに聞いたの?」
シンジ「うん」
アスカ「あっそ」
シンジ「……」ニコニコ
アスカ「なに、ニヤニヤしてんのよ」
シンジ「アスカと綾波が仲良くなってくれて、嬉しいんだ」
アスカ「はぁ?」
シンジ「……」ニコニコ
アスカ「……」
179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 22:34:37.89 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「言っておくけど」
シンジ「なに?」
アスカ「アンタも一緒に来るんだからね」
シンジ「……聞いてないよ!」
アスカ「私、あの子に誘うように言っておいたもの。言葉足らずだったみたいだけれど」
シンジ「ええー……」
アスカ「嫌なの?」
シンジ「嫌じゃないけど……」
アスカ「じゃあ、いいじゃない」
シンジ「いいのかな……」
190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 22:44:31.98 ID:JaZ3zFmZP
アスカ「……そもそも、アンタがいないと、意味ないし」
シンジ「なんで?」
アスカ「知らない。さっさとご飯、作りなさいよ」
シンジ「え、ちょっと、アスカ」
アスカ「いいから! 口答えしないの!」
シンジ「ちぇっ、なんだよ……」
アスカ「……」
アスカ「……」
アスカ「……〜〜♪」
191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 22:49:05.74 ID:JaZ3zFmZP
綾波「初めての場所」
綾波「初めてではない交流」
綾波「……」
綾波「……」
綾波「碇君」
綾波「それと」
綾波「……」
綾波「……」
綾波「……アスカ」
終劇
195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/29(木) 22:50:36.34 ID:JaZ3zFmZP
オワタ。
△書いてないな―と思って始めたのに、なんかアスレイものになってもうた(´・ω・`)
あー。