1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:02:48.59 ID:PkKnBXoj0
シンジ「綾波はエヴァに乗るのが怖くないの?」
レイ「あなたは怖いの」
シンジ「うん・・・」
レイ「信じられないの、お父さんの仕事が」
シンジ「信じられるわけないよ!あんな父親なんて・・・!」
レイ「・・・」ズイッ
シンジ「あ・・・」ビクッ
パァン!
シンジ「!・・・」
シンジ「・・・な」
シンジ「何するんだよ!!!」
バチィン!!
レイ「!?・・・!?」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:07:18.41 ID:PkKnBXoj0
シンジ「なんなんだよ!!ちょっと父さんと仲良いからって調子に乗ってんの!?僕のこと嗤ってんだろ!!」
レイ「」
シンジ「あーいいよなあ君は父さんと仲良くて!どうせ僕は父さんになんとも思われちゃいないよ!!でもさぁ!!」
レイ「」
シンジ「他人の君が人様の親子の間に入らないでくれる!?君には関係ないじゃん!!」
レイ「」
シンジ「もういいよ、先行くから。テストがんばってよね」ズカズカ
レイ「」
レイ「・・・」ジンジン
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:12:56.64 ID:PkKnBXoj0
レイ(碇君にぶたれた・・・初めて人にぶたれた)
レイ(あの人にもぶたれたことなかったのに)
レイ(なに?この気持ち・・・いやじゃない・・・)
シンジ(・・・女の子に手をあげちゃった・・・最低だ、僕って・・・)
シンジ(でも綾波が先に手を出したんじゃないか。おあいこだ・・・)
シンジ(でも・・・暴力って、やっぱ嫌だな・・・)
シンジ(それにどうしよう、零号機の再起動実験に影響あったら・・・どうしよう・・・)
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:17:33.87 ID:PkKnBXoj0
マヤ「・・・絶対境界線突破!零号機、起動しました」
シンジ「ふぅーっ・・・」
シンジ(よかった・・・綾波なら僕にひっぱたかれたくらい、気にしないかな・・・)
ミサト「あらシンちゃん、レイのことそんなに心配だった?」
シンジ「そ、そんなんじゃありませんよ!誰があんな子・・・」
ミサト「またまたぁ、ずーっと青い顔で心配そうに見てたくせにィ」
ビーッ ビーッ
冬月「碇・・・おそらく第五の使徒だ」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:23:07.89 ID:PkKnBXoj0
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シンジ「綾波は・・・何故これに乗るの」
レイ「・・・絆だから」
シンジ「・・・父さんとの・・・?」
レイ「・・・私には・・・他に何もないもの」
シンジ「・・・」
シンジ「ごめん・・・昼間、君のこと叩いたりして・・・」
レイ「・・・何故謝るの」
シンジ「だって・・・綾波にとっては父さんは大切なひとなんだろ・・・?」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:28:31.68 ID:PkKnBXoj0
シンジ「君の方が僕よりずっと・・・なのに僕は君に嫉妬して、暴力まで・・・本当に、ごめん・・・」
レイ「・・・嫉妬・・・?」
シンジ「そう、君がうらやましかったんだ・・・僕よりずっと父さんに近い君が・・・」
レイ「・・・」
レイ「あなたにとっても大切なのね、碇司令は」
シンジ「そう、なのかな・・・わからないよ」
シンジ「僕はずっと父さんのこと憎んでたから・・・母さんを死なせて、僕を捨てた父さんを・・・」
シンジ「でも心のどこかで、父さんに認めてほしかったのかも・・・ここに来たのも、エヴァに乗るのも、だから・・・」
レイ「・・・」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:34:11.39 ID:PkKnBXoj0
レイ「時間よ、行きましょ」
シンジ「あ・・・うん」
レイ「碇君、あなたは死なないわ・・・私が守るもの」
シンジ「えっ・・・」
レイ「さよなら」
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シンジ「綾波っ!」
レイ「うっ・・・ ・・・」
シンジ「よかった・・・綾波・・・」ポロポロ
レイ「・・・何故泣いてるの・・・?」
シンジ「綾波が助かったからに決まってるだろ・・・」
レイ「・・・私が嫌いだから・・・その私が助かったから・・・?」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:39:55.00 ID:PkKnBXoj0
シンジ「バカ・・・そんなはずないだろ・・・僕がいつ君のこと嫌いって言ったんだよ・・・」
レイ「だって・・・昼間・・・」
シンジ「あれは、本当に悪かったけど・・・でも君のことは嫌いじゃあないよ、本当・・・」
レイ「・・・?」
シンジ「君が無事で、嬉しいから・・・」
レイ「・・・嬉しくて・・・?嬉しいときにも涙が出るのね」
レイ(ぶたれたとき、嫌な気持ちがしなかったのと似てる・・・感情って不思議・・・)
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:44:25.80 ID:PkKnBXoj0
リツコ「レイ、もう退院していいわよ」
レイ「はい・・・あの、赤木博士。お聞きしたいことが」
リツコ「・・・?なあに?」
レイ「人は誰かにぶたれたとき、どんな気持ちになりますか」
リツコ「ぶたれたとき・・・?あなた、誰かにぶたれたの?」
レイ「・・・」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
リツコ「なるほどね、そんなことが・・・」
レイ「・・・」
リツコ(シンジ君が暴力に訴えるなんて、予想外ね・・・それにその件を気にしてるレイも)
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:49:25.40 ID:PkKnBXoj0
リツコ「シンジ君が怒るのも無理はないわね、彼の心は人一倍デリケートなようだし」
リツコ「あなたの物言いは配慮に欠けるし・・・ね」
レイ「・・・はい・・・」
リツコ「それから最初の質問だけど・・・状況にもよるけど普通、誰かにぶたれたら大概は怒りを覚えるか、悲しくなるわね」
レイ「怒り・・・悲しみ・・・」
リツコ「前者は、不当な暴力を振るわれたことに対する感情。後者は・・・そうね、親しい人に暴力を振るわれたときかしら」
レイ「私は・・・どちらの感情も湧きませんでした」
リツコ「じゃあ、シンジ君にぶたれたときどう思ったの?」
レイ「・・・わかりません。うまく言葉にできません・・・でも」
リツコ「でも・・・?」
レイ「いやじゃ・・・・ありませんでした」
リツコ(この子・・・まさか)
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:55:13.04 ID:PkKnBXoj0
リツコ「そう・・・人の感情はロジックじゃないものね。そういうときもあるわ」
レイ「・・・碇君も、先日作戦終了後に泣いていました」
レイ「私が無事で・・・嬉しかったから、と」
リツコ「そう・・・ヒトの心ってそういうものよ。自分自身でもわからない、どうにもできないときがあるのよ」
レイ「・・・」
レイ(知りたい・・・私の心)
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/25(日) 00:00:12.97 ID:B5ZdvjMV0
シンジ「あ、綾波!退院できたんだ、良かった・・・」
レイ「ええ・・・」
レイ「・・・碇君、お願いしたいことがあるの」
シンジ「え、お願い?何かな・・・」
レイ「私を・・・もう一度、ぶってほしいの」
シンジ「・・・え?」
レイ「・・・」
シンジ「・・・ごめん、もう一度言って」
レイ「私を、ぶってほしいの」
シンジ「」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/25(日) 00:05:53.80 ID:B5ZdvjMV0
シンジ「な、なんでさ!?」
レイ「・・・」
シンジ(綾波、ひょっとして気に病んでるのかな・・・でも・・・)
シンジ「あ、あのときのことならもう気にしないでよ。むしろ悪いのは僕の方だったんだし」
レイ「だめ・・・お願い、ぶって」
シンジ「そ、そんな・・・できないよ」
レイ「お願い・・・碇君」ギュッ
シンジ「う、うう・・・」
シンジ(綾波、こんな真剣に・・・し、仕方ない・・・)
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/25(日) 00:10:59.32 ID:B5ZdvjMV0
シンジ「わ、わかったよ・・・ただし条件があるよ」
レイ「なに?」
シンジ「ぼ、僕のことも叩いてよ・・・それでおあいこ、いいだろ?」
レイ「・・・わかった。じゃあ・・・ぶって」
シンジ「う、うん・・・い、いくよ?」スッ
レイ「・・・」
シンジ「・・・」ペチ
レイ「・・・碇君?」
シンジ「え・・・」
レイ「なに、今の・・・」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/25(日) 00:15:21.30 ID:B5ZdvjMV0
シンジ「え、ぶ、ぶったん・・・だけど・・・」
レイ「だめ・・・全然、だめ」
シンジ「えっ」
レイ「そんな触れた程度じゃ全然だめ・・・もっとちゃんとやって」
シンジ「ちゃ、ちゃんとって・・・・でも・・・痛いよ」
レイ「痛いくらいやってくれなきゃ意味がないわ」
シンジ「そ、そうかもしれないけど・・・でも・・・」
レイ「やって」ズイッ
シンジ「わ、わかった!わかったってば!やるよ!」
レイ「・・・」
シンジ「・・・くっ」パチッ
レイ「・・・」ジロッ
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/25(日) 00:20:49.13 ID:B5ZdvjMV0
シンジ「え、えっと・・・だ、だめ・・・かな・・・」
レイ「まだ足りない。ちゃんと力を込めて」
シンジ「う、ううう・・・でも・・・」
レイ「お願い!ぶって!」
シンジ「」
シンジ「ああああああもうっ!わかったよ!!」
バチン!
レイ「!」
シンジ「う〜・・・ごめん、綾波・・・」
レイ「・・・」ジンジン
シンジ「あ、綾波?」
レイ(碇君がくれた痛み・・・いやじゃない・・・不思議)
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/25(日) 00:27:03.99 ID:B5ZdvjMV0
レイ「ありがとう、碇君」
シンジ「う、うん・・・なんかヘンだな、ぶってお礼言われるなんて」
レイ「そう・・・そうかもしれない」
レイ(ありがとう・・・感謝の言葉・・・初めての言葉・・・あの人にも言ったことなかったのに)
レイ「じゃあ・・・次は碇君の番」
シンジ「あ、う、うん・・・」
レイ「いくわ」グワッ
シンジ「ひっ・・・」
ズバチィン!!!
ミサト(・・・えらいもの見ちゃったわ・・・)
終
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/11/25(日) 00:30:14.33 ID:B5ZdvjMV0
求められていたものと違ったようだ・・・
だが私は謝らない