20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/03/13(火) 18:22:06.28 ID:6Bp1XMdF0
現在 北高・文芸部室――――
ガチャッ ――
長門「………………」
キョン「お、長門、今日は遅かったな」
古泉「こんにちわ。長門さん」
長門「………………」
テクテク ――
キョン「聞かれちまったかな、さっきの会話?」 ヒソヒソ
古泉「さあ? 大丈夫なんじゃないでしょうか?」 ヒソヒソ
長門「……………………」
長門「…………わかった」
キョン「ん? なにがだ、長門」
長門「私はあなたと、男女交際をしてもいいと考えている」
キョン「………………、はい?」
長門「本日より、私はあなたの恋人となる」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/03/13(火) 18:33:55.52 ID:6Bp1XMdF0
一週間後 北高・文芸部室――――
ガチャッ ――
ハルヒ「さあ、今日もみんな揃ってるわね!! …………って、キョンと有希がいないじゃない?」
古泉「こんにちわ、涼宮さん。あの2人ならデートに行きましたよ」
ハルヒ「は?」
みくる「あの2人、付き合い始めたんですよ」
ハルヒ「なにそれ、初耳なんだけど」
みくる「あれ、キョンくんから聞いていないんですか?」
ハルヒ「まったく聞いてないわ。いつから交際してんの?」
古泉「今日で一週間になりますね」
ハルヒ「ふーん。………まあ、いいけどさ、大事なSOS団の活動ほっぽり出してデートってのは許せないわね!!」
ハルヒ「ってわけで、行くわよ、みくるちゃん!」
みくる「へ、ど、どこへですか?」
ハルヒ「活動には団員全員参加が原則!! 特に、キョンみたいな下っぱが無断でサボるなんて許されないわ
ハルヒ「デートの現場に乗り込んで、引きずり戻すのよ!!!」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/03/13(火) 18:43:56.59 ID:6Bp1XMdF0
みくる「そ、そんな、可哀想ですよ……。キョン君たち、今日が初デートなんですよ?」
ハルヒ「問答無用!! さあ、古泉君、あの2人がどこいったか教えなさい」
古泉「図書室です」
ハルヒ「ありがと。じゃあ、さっそく、図書室に………図書室?」
古泉「はい」
ハルヒ「図書室って、北高の?」
古泉「そうです」
ハルヒ「えーっと、あの2人、交際始めて、今日が初デートで、それで図書室? なんで?」
古泉「なんでと言われましても……」
北高・図書室 ――――
長門「………………」ペラペラ
キョン(随分と熱心に読んでるな…………)
キョン「……長門、楽しいか?」
長門「とても興味深いことが記されている書物だと感じる」
キョン(……いや、デートのことを尋ねたんだが…)
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/03/13(火) 18:54:57.20 ID:6Bp1XMdF0
コンッ ――――
キョン(………あ、痛っ!!?)
キョン(……なんか、頭に当たって…、なんだこりゃ、消しゴムの欠片か?)サスリサスリ
キョン(確か、向こうのほうから飛んできて……)キョロキョロ
キョン(ん、あの物陰にいるの、……ハルヒか? なんだ、おいでおいで?)
キョン「長門、悪い、ちょっとトイレに行ってくる」
長門「わかった」
スタスタ ――――
キョン「ああ……、なんだ、ハルヒ、……実はだな」ヒソヒソ
ハルヒ「ちょっと、あんたなにやってんのよ!!」ヒソヒソ
キョン「いやぁ、部活を休んだのは悪いと思ってるよ。しかしだな…」ヒソヒソ
ハルヒ「あんた、初デートの場所が図書室ってバカなんじゃないの!!」ヒソヒソ
キョン「……ん、あれ、そっち?」ヒソヒソ
ハルヒ「遊園地とか動物園とかカラオケとか映画館とか、他に色々あるでしょ!!」ヒソヒソ
ハルヒ「きちんと有希を、エスコートしてあげなさいよ!!」ヒソヒソ
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/03/13(火) 19:05:10.44 ID:6Bp1XMdF0
キョン「いや、しかし、この場所は長門がだな……」ヒソヒソ
ハルヒ「有希が?」ヒソヒソ
キョン「ああ、なんか、いきなりデートに行くって言われたから、付いてきたら……」ヒソヒソ
ハルヒ「女にリードさせんな、このボンクラ馬鹿キョンっ!!」ヒソヒソ
ゴンッ!! ――――
キョン「あでッ!!」ヒソヒソ
ハルヒ「初めてなんでしょ!! あんたから誘いなさいよ!!」ヒソヒソ
キョン「……俺から?」ヒソヒソ
ハルヒ「当たり前でしょ!!」ヒソヒソ
キョン「うーん……」ヒソヒソ
ハルヒ「あんた、本当に有希の彼氏なの?」ヒソヒソ
キョン「知らんよ。長門がいきなり、付き合おうって言い始めてだな……」ヒソヒソ
キョン「まあ、なんかの気紛れだろ。そのうち飽きて、元の関係に戻るさ。それまでの付き合いだ」ヒソヒソ
キョン「じゃあ、俺はあいつのところに戻るぞ」ヒソヒソ
ハルヒ「あ、ちょっと、待ちなさい!!」ヒソヒソ
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/03/13(火) 19:14:52.91 ID:6Bp1XMdF0
スタスタ ――――
キョン「……お待たせ」
長門「…………………」ペラペラ
キョン(……本の虫か…)
長門「……おかえりなさい」ペラペラ
キョン「…ん、ああ……。俺も何か、本でも読むかな」
ハルヒ「……まぁったく、なんなのよ、キョンの奴!! あそこまで唐変木だとは思わなかったわ!!」ヒソヒソ
みくる「……あのぉ、涼宮さん、2人を部室に連れ戻すんじゃなかったんですか?」ヒソヒソ
ハルヒ「気が変わった。あいつを、有希の彼氏として教育してやるわ!!」ヒソヒソ
古泉「教育ですか?」ヒソヒソ
ハルヒ「そうよ! 彼氏があれじゃあ、有希も可哀想でしょ」ヒソヒソ
みくる「はあ……」ヒソヒソ
ハルヒ「そうと決まれば、さっそく部室に戻って、作戦を立てるわよ、みくるちゃんに古泉君!」ヒソヒソ
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/03/13(火) 19:31:05.58 ID:6Bp1XMdF0
2週間後 駅前 ――――
キョン「やれやれ……」
ハルヒ「いい、キョン、今日の有希とのデート、しっかりやりなさいよ! ミスったら罰金だからね」
キョン「ミスったって、単に2人で映画見に行くだけだろ? そんなに気合を入れなくても…」
ハルヒ「ああーっ! もう!! あんた、本当に有希の彼氏って自覚ある?」
キョン「うーん、どうなんだろうな? 別に彼氏たってなあ……」
ハルヒ「だああああ!! 気合を入れろ、この馬鹿キョンッ!!!」
キョン「へいへい」
ハルヒ「…………はぁ…、まあいいわ、そろそろ、有希が来る時間ね」
ハルヒ「じゃ、私と古泉君であんたたちの後を付けるから、しっかりやんなさいよ」
スタスタ ――――
スタスタ ――――
長門「遅くなった。待たせてしまったのなら申し訳ない」
キョン「いや、俺も今来たところだ。(嘘だが」
キョン「じゃあ、行こうか」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/03/13(火) 19:42:13.97 ID:6Bp1XMdF0
映画館・ロビー
キョン「まだ少し時間あるな。……なんか買うか、長門?」
長門「では、この映画のパンフレットを…」
キョン「そっか、500円だな。……ん、万札しかないが、大丈夫かな」
長門「……私が欲しいのだから、お金なら私が…」
キョン「映画は割り勘なんだし、500円くらい俺が出すよ。金欠だけどな。……ほら」サッ
長門「…………ありがとう」
キョン(……そう、デートったって…)
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/03/13(火) 19:44:09.11 ID:6Bp1XMdF0
同・劇場内 ――――
キョン「ん、暗くなった。そろそろ始まるな。ケータイの電源切っとかないと……」
長門「…………」
キョン(2人で映画見て…………)
喫茶店 ――――
キョン「俺は、アイスコーヒーで。長門はどうする?」
長門「私も同じでいい」
キョン(その後、お茶でも飲んで…………)
本屋 ――――
キョン「あ、この漫画、もう新刊出てるんだな……。長門はまた、文芸コーナーか?」
長門「そう」
キョン(ちょっと街をブラブラして………)
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/03/13(火) 19:52:49.57 ID:6Bp1XMdF0
駅前 ――――
キョン「じゃあ、また明日、学校でな」
長門「…………」
キョン(お別れするだけ。いつものSOS団の活動を2人でやってるのと大差ないじゃないか)
長門「待って」
キョン「……ん、どうした?」
長門「半券が欲しい」
キョン「半券? ああ、映画の半券か。構わんが、どうするんだ、こんなの?」
長門「今日、あなたと一緒にいたということを思い出すための品にしたい」
キョン「………………。ほら」スッ…
長門「……ありがとう、今日は楽しかった。じゃあ、また明日」
スタスタ ――――
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/03/13(火) 19:57:33.79 ID:6Bp1XMdF0
キョン「………。待て、長門」
ピタッ ――――
長門「………なに?」クルッ
キョン「……俺も楽しかったぞ。また明日な」
長門「…………。そう」
スタスタ ――――
スタスタ ――――
キョン「……やれやれ。なあ、ハルヒ、デートってのはこんなもんか?」
ハルヒ「んー、まあ、最初のデートならこんなもんなんじゃない?」
キョン「デートは2回目だぞ?」
ハルヒ「あれはカウントに入れない」
古泉「それで、長門さんとの初デートの感想はいかがでした?」
キョン「んー、……うん、まあまあだな」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/03/13(火) 20:10:58.36 ID:6Bp1XMdF0
三ヶ月後 北高・文芸部室 ――――
ハルヒ「………それで?」
キョン「……なにが?」
ハルヒ「なにがじゃない!! あれから、有希とは仲良くやれてんのかって聞いてんの!!」
キョン「ああ、別に喧嘩とかはしてないぞ」
ハルヒ「もおおおお、そうじゃないわよ!! 仲は進展してんのかって聞いてんの!!」
キョン「んんー、……別にしてないな」
ハルヒ「してないってことはないでしょ!! あんたたち、付き合い始めて三月経ってんのよ」
キョン「進展たって、たまに図書室行って、さらに極たまに2人で街ブラついてるだけだしなぁ…」
ハルヒ「この団長が、特別にあんたたち2人の活動免除してあげてるのに、本当になんにもないわけ!!」
キョン「ない、別にない」
ハルヒ「………。はあ…」
みくる「キョン君らしいですね」
古泉「やれやれです」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/03/13(火) 20:18:56.38 ID:6Bp1XMdF0
ガチャッ ――――
長門「………………」
ハルヒ「あ、有希」
みくる「こんにちわ、長門さん」
長門「…………」
クイクイ ……
キョン「ん、なんだ、人の服の袖引っ張って」
長門「キョン、図書室に本を返しに行くから、付いて来てほしい」
キョン「了解。……というわけで、ちょっと席を外すぞ、ハルヒ」
古泉「行ってらっしゃい」
ハルヒ「…………」
ガチャッ、バタン!! スタスタ ――――
みくる「…………、どうしました? 涼宮さん?」
ハルヒ「有希が、『キョン』って言った。いつも、人のこと名前とかあだ名で呼ばないのに」
ハルヒ「……なんだ、ちゃんと進展してるじゃない、あの2人!!」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/03/13(火) 20:34:10.80 ID:6Bp1XMdF0
五ヶ月後 校内廊下 ――――
鶴屋「ハルにゃんから聞いたよー、キョン君たち、付きあってるんだって?」
長門「…………」
キョン「ええ、まあ……」
鶴屋「で、おふたりさんはどこまで進んでいるんだい? お姉さんに隠さず言ってごらん!」
キョン「どこまでって……、別に何にもないですよ? なあ?」
長門「………………」コクコク…
鶴屋「ふーん、健全なんだね」
キョン「もう、なに言ってんですか……。じゃあ、俺たち部活がありますので」
鶴屋「また、ハルにゃんが面白そうなこと始めたら私も誘ってほしいっさー」
キョン「ははは、俺と立場変わってほしいですよ……。さ、行こうぜ、有希」ギュ…
長門「………わかった、キョン」ギュ…
スタスタ ――――
鶴屋「ばいばーい」ブンブン
鶴屋(…………おやおや、あの2人、手なんか繋いじゃって)
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/03/13(火) 20:49:15.03 ID:6Bp1XMdF0
八ヶ月後 北高・文芸部室 ――――
キョン「クリスマスまで、あと一週間だな……」
ハルヒ「そうね」
キョン「今年も一年の時みたいに、部室でパーティ開くんだろ」
ハルヒ「当ったり前でしょ」
キョン「……やれやれ、やるんなら前もって言っといてくれよ。まあ、別に予定もないんだけどな」
ハルヒ「なに言ってんのよ。あんたと有希は呼ばないわよ」
キョン「は? なんで、俺と有希だけ……」
ハルヒ「いや、あんたこそ何言ってんのよ? 予定がないってどういうわけ?」
キョン「ん、何が?」
ハルヒ「だから、クリスマスなんて恋人同士がイチャイチャするためにある日でしょ!!」
キョン「いや、キリストの誕生を祝う日だろ?」
ハルヒ「うるさいッ!! なぁんで、有希を誘って2人でイチャイチャしようって考えないのよ!!」
キョン「いや、だって、どうせお前が、パーティ開くだろうし……」
ハルヒ「恋人同士の邪魔するほど野暮じゃないわよ!! あんたらは誘わないから、2人でどっか行ってきなさい!!!」