1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/07(火) 19:48:19.27 ID:X4wPjITB0
カイジ「……っ!? ど……どこだっ……!? ここっ……!」
カイジ、目を覚ました場所は謎のバスルームっ……!
そして目の前には……
カイジ「ひっ……!」
死体……! 圧倒的死体……!
男の屍が、今目の前に、転がっている……!
カイジ「な、なんだ……! なんなんだよこれはっ……!」
逃げ出そうにも足首には鎖……!
見るからに頑強であり、引きちぎることなど不可能……!
なぜこのような状況になっているのか、カイジ、圧倒的混乱……!
カイジ「だ、だれか……っ、たす、助け……っ!」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/07(火) 19:48:39.32 ID:X4wPjITB0
ザバァ……っ!
カイジ「ぎゃあ……っ!」
突如起こった水音にカイジは情けなくも悲鳴……! しかし、それも無理からぬ……
反対側のバスタブの中から、白髪の男が出現したのだから……!
年齢こそカイジに近いようだが、その眼光はまさに異質……! 常人、凡夫とは一線を画している……!
カイジ「だっ、誰だよお前……っ!」
アカギ「……アカギ。赤木しげる」
カイジ「あ、アカギとやら……っ! ここはどこだっ……! お前が連れてきたのか……っ!」
アカギ「違う」
カイジ「じゃあ誰だよっ……! くそっ、つーかこの鎖外れろよっ……! くそっくそっ……!」
ぼろ……ぼろ……
カイジ、訳の分らぬ状況に陥り、ついに涙がこぼれ出る……嗚咽……号泣……!
アカギ、そんなカイジを見て一言……!
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/07(火) 19:49:07.71 ID:X4wPjITB0
アカギ「鍵ならある。今水面に浮いていた」
カイジ「え?」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/07(火) 19:50:40.85 ID:X4wPjITB0
と、ここで映画SAW1の圧倒的ネタバラシ……っ!
実はバスルームの真ん中に転がっていた死体は……死体ではない……っ!
生きている……! 似非の死体……っ!
圧倒的演技力……というわけではなく……薬によりそう見せかけているだけ……!
そう死んでなどいない……死んでいては物語が成立しない……っ!
そう、転がっている男は……っ! ジグソウ……っ!
このゲームの圧倒的黒幕……っ!
カイジとアカギを攫い、この場に監禁した者……っ!
なぜそんなことをしているのか……! それはこれよりお話しする……っ!
さて、このジグソウ、睡眠薬により眠っていたが……ふと自分が目を覚ましたことに気付いた……
ジグソウ「(起きられたということは、もうゲームが終わるころか……)」
そう確信し、ゆっくりと身を起そうとした……
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/07(火) 19:51:17.59 ID:X4wPjITB0
その時……っ!
ドガッ
ジグソウ「ごっ!?」
わき腹に圧倒的衝撃……! 耐えきれず、当然横に吹き飛ぶ……!
ガンッガンッガンッ
ジグソウ「がっ! ぎゃっ! がぶっ!」
追撃はやまない……! とどまることを知らぬ痛みの連続……!
「くそ野郎……っ! くそ野郎……っ! くそ野郎……っ!」
罵詈雑言とともに降りかかる激痛……!
ジグソウ「や、やめろ……っ! やめてごっ!」
ジグソウ、圧倒的混乱……! 混迷……! 困惑……!
懇願、命乞い……!
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/07(火) 19:52:43.46 ID:X4wPjITB0
「ククク……まぁやめてやれよ」
「……チッ……!」
もう一人の声に、舌打ち……荒れ狂う「暴」の嵐はおさまった……!
息も絶え絶えに、ジグソウは顔を上げる……!
そこには怒りに顔をゆがませた黒髪の男……っ!
そして薄い笑みを浮かべて笑う白髪の男……っ!
間違いない……! 二人の男は、ジグソウが「ゲーム」の対象として選んだ、カイジとアカギ……っ!
ジグソウ「(バ、バカな……どうして……っ!)」
ジグソウの視界が歪む……っ!
二人の男の姿は五体満足……圧倒的無傷……っ!
このゲームは、無傷でクリアすることなど、不可能なはず……っ!
なのに、何故……っ!
まさか、水面に浮かせていたあの鍵をいきなり見つけたというのか……っ!
そして自分が死体ではないことすら、見抜いていたなど……っ!
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/07(火) 19:56:15.41 ID:X4wPjITB0
アカギ「ククク……」
アカギはジグソウの顔を見て一笑い……そして、その手に握っていたテープレコーダーのスイッチを入れた……!
ジグソウ『やぁカイジ。君とゲームがしたい』
ジグソウ『君はいつも自堕落に暮らして、まったくもって生きている幸せに感謝していない』
ジグソウ『君が生を感じるのは、ギャンブルという極めて破滅的なこと。生きることに対しての冒涜だ』
ジグソウ『君に生を実感できるチャンスを与えよう。脱出できれば、生きていてよかったと心から感じられるだろう』
ジグソウ『選択は君次第だ』
カイジ「何が『選択は君次第』だ……っ! ふざけやがって、このクソジジイ……っ!」
ジグソウ「や、やめてくれっ……!」
カイジが再び足を振り上げたため、ジグソウは慌てて制止させる……っ!
そう、ジグソウがこんなゲームを行っているのは……生きることに感謝していないものへの「教育」「矯正」……!
「死」を感じさせ、その恐怖を与えることで……「生」を浮かび上がらせること……っ!
しかし、生の実感など、「感じなければいけないもの」でも無いし、ましてや「強制的に感じさせるべきもの」では断じてない……!
ジグソウの行っていることは、自分本位の、極めて傲慢っ……!
圧倒的自己中心的思想……っ!
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/07(火) 19:58:35.54 ID:X4wPjITB0
カイジ「おい、アカギ……とっとと帰って、こいつを警察に突き出すぞ……っ!」
カイジ、当然の主張……っ!
命の危険にさらされ、もうこんなところには一秒も居たくはない……!
このジグソウにも、しかるべき罰として警察へ豚箱にぶち込んでもらわなければ……!
しかし、アカギはさらにテープを回す……っ!
ジグソウ『やぁアカギ。君とゲームがしたい』
ジグソウ『君は命がけのギャンブルを幾度となく行い、多くの人間を破滅させていったね』
ジグソウ『君は常々言っている。ギャンブルの本質は無意味な死だと』
ジグソウ『では君に、その無意味な死を与えよう。それでも無意味に死にたいのなら、そこに座っていればいい』
ジグソウ『ただ、脱出の鍵はある。選択は君次第だ』
アカギ「ククク……!」
アカギは笑う……っ! 悪魔の笑みを浮かべてっ……!
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/07(火) 19:59:22.23 ID:X4wPjITB0
アカギ「いいぜ、ゲームをしようじゃないか……」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/07(火) 20:00:52.92 ID:X4wPjITB0
その言葉に驚いたのはカイジとジグソウ……!
何を言い出すのか、すでにゲームは終わっている……っ!
アカギ「こんなまどろっこしい事をしなくても、俺はいくらでも命がけのギャンブルを受けてやった」
アカギ「だが、たった今終わったゲームでは……『お前はノーリスク』」
アカギ「破滅することなく、安全地帯から相手の破滅を見たかっただけ……」
そう、ジグソウがこのゲームを行う目的は、矯正も教育もただの上っ面のもの……!
ジグソウの本質は……「人が幸せを感じない」、そういう「日常の幸せ」を許すことができないという、幼稚すぎる欲求……!
そもそもゲームは、クリア出来るように作られていない……!
クリア出来る要素はあったというが……ごく普通に考えて、水面に浮いている鍵を見つけるなど、出来る訳がない……
ジグソウは、人を矯正するつもりなど、かけらもない……!
わずかな希望をちらつかせ、その希望によって死んでいく、絶望を見たかっただけ……!
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/07(火) 20:02:13.83 ID:X4wPjITB0
そして、ジグソウは今気付いた……!
この男が、"ただの"ギャンブル狂いではないことに……!
アカギ「だから、勝負しよう……お互いの破滅をかけて……!」
この男が、正真正銘の"狂人"だということに……っ!!