1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/01/25(水) 18:06:00.66 ID:dEHrCeJ10
キョン「…朝比奈さん…うう…」
ハルヒ「…ぐすっ…ひぐっ…」
古泉「残念です…」
長門「……冥福を祈る」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 18:10:04.38 ID:dEHrCeJ10
朝比奈さんが亡くなったという話を聞いたとき、目の前が真っ暗になった。
下校中、飲酒運転のトラックに轢かれ、朝比奈さんは帰らぬ人になった。
俺はしばし呆然とし、学校に向かった。
みんな、目を真っ赤にして泣いていた。
校内はどことなく静かだった。
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 18:12:19.69 ID:dEHrCeJ10
団室は静寂に満ちていた。
誰も何も言わない。
ハルヒは嗚咽を漏らし泣いて、古泉と長門は目を伏せている。
それからしばらく記憶がない。
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 18:23:47.98 ID:dEHrCeJ10
団活は続いた。
といっても以前のように賑わうことはなく、室内で雑談をする程度になった。
ハルヒの能力が大きくぶれることもなく、それについて古泉は
「あまりにも突然で能力の発動すらできていない」
と話した。閉鎖空間の発生も、なにも。
なにも起きない。
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 18:27:13.44 ID:dEHrCeJ10
未来側の対応に対しては長門に聞かされた。
「本来は起こることのなかった事故。今まで世界に影響してきたひずみが蓄積し、このような結果になった」
未来人の予想できなかった事態。
それがどのような意味であるかはもはやどうでもいいことだった。
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 18:33:30.73 ID:dEHrCeJ10
古泉も長門も、ハルヒの力でさえも。
朝比奈さんが帰ってくることはない。
エラーなら直せる。
怪我なら修復できる。
しかし長門や古泉は世界に溜まった歪みについては干渉できないとかなんとか。
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 18:35:47.89 ID:dEHrCeJ10
古泉は以前より明るくなった。
朝比奈さんの分まで場を盛り上げようとする懸命な姿が痛々しかった。
長門も少しだけ積極的になった。
面白い本を俺たちに教えてくれたり、お茶を淹れたりするようになった。
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 18:40:09.68 ID:dEHrCeJ10
ハルヒ「でね、そのときの発光体に宇宙人が…」
長門「それについては否定する」
古泉「もしかしたら、このような怪現象が…」
他愛のない話が続く。
だれも変わらないようで、少しづつ変わっていく。
元気になるにつれて、朝比奈さんの存在が薄くなっていく。
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/01/25(水) 18:49:44.55 ID:dEHrCeJ10
異変はいつも突然だ。
――――――
その日、ハルヒは元気すぎるほど元気だった。
溌剌とした笑顔がまぶしかった。
「今日は河川敷にツチノコを探しに行くわよ!」
久しぶりの野外活動だった。
心の傷が癒えたわけじゃないだろう。
それでも、ハルヒは前へ進もうとしているのだ。
スコップやビニール袋を持ち出し、河川敷に向かった。
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 18:54:45.44 ID:dEHrCeJ10
「たしかこのあたりに…」
草をかき分け、穴を掘る。
まさかすでにツチノコの巣を見つけているのだろうか。
古泉が青い顔をしていた。
ハルヒ「見てこれ! みくるちゃんのお肉よ!」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 19:00:47.93 ID:dEHrCeJ10
ハルヒ「これが腕のお肉!」
ハルヒ「これがお尻のお肉かしら?」
ハルヒ「脳みそもちょっとだけあるのよ!」
古泉「これは…」
体が動かない。口を開くことすらできない。
俺は、目の前にいる女の子が本当にハルヒなのかと思った。
ハルヒ「これだけあれば充分ね!」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 19:07:20.00 ID:dEHrCeJ10
古泉「あの…いったい、なにを」
ハルヒ「つくるのよ!」
古泉「え?」
ハルヒ「みくるちゃんをつくるの! ツチノコ探しは嘘よ!」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 19:13:27.10 ID:dEHrCeJ10
つくる。
朝比奈さんをつくる。
つくる、らしい。
ハルヒは本気だ。
本気の目で、俺たちを見ている。
ハルヒ「その袋の中に材料が入ってるわ。団室じゃ汚れちゃうし学校は人目があるけど、ここなら存分にできるわ」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 19:27:24.83 ID:dEHrCeJ10
ハルヒ「水はそこの川から汲んで、あとは塩とかアンモニアとか土とか。お肉も混ぜれば完璧よ!」
狂っていた。
狂っていたが、俺はハルヒの指示に従って作業を行った。
長門はぼうっと川を見つめ、古泉は冷ややかな視線を俺たちに向けていた。
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 19:34:45.66 ID:dEHrCeJ10
土をこね、肉をちぎり、混ぜる。
水を足し、得体のしれない薬品を混ぜ、かき回す。
ハルヒ「待っててねみくるちゃん。生き返らせてあげるから」
生臭いにおいが風に流れていく。
土ぼこりが舞い、川にさざ波が立つ。
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 19:41:52.52 ID:dEHrCeJ10
涙を流しながら、ハルヒは「朝比奈みくる」をつくる。
古泉「……はあ」
長門「……」
素体はできた。
目玉にビー玉。
歯は木片。
髪はカツラを置く。
ハルヒ「ほら、制服持ってきたわよみくるちゃん」
制服を着せる。
土がぼろぼろこぼれた。
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 19:56:27.08 ID:dEHrCeJ10
次はどうするんだ?
ハルヒ「呪文を唱えるのよ」
呪文?
ハルヒ「真上 孝心 転生 不滅 気滅 不浄 回生」
ハルヒ「イヴェアレーリ サルド ノウマク ツェイス」
ハルヒ「…………みくるちゃん、お願い……」
古泉(馬鹿なことを…時間の無駄だ)
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 19:59:02.02 ID:dEHrCeJ10
古泉(いつまでこんなことを続けるつもりなんだ)
古泉(まったくくだらない…)
長門「……! これは」
古泉「どうしました?」
長門「エラーの上書きが…行われた」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 20:07:27.57 ID:dEHrCeJ10
土くれに皮が張る。
生気がみなぎる。
ガラス球に光が灯る。
ゆっくりと立ち上がる朝比奈さんがそこにいた。
誰もが目を見張った。
ありえないものはいくらでも見てきたが、死者の蘇生を目の当たりにして呆然としないなんて無理だ。
古泉「そんな、馬鹿な…」
長門「神について語るならば、私は涼宮ハルヒを神と呼ばなくてはならない」
ハルヒ「ああああああああああああああ!!みくるちゃん!!あああああああああああああああああああああ!!」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 20:25:54.81 ID:dEHrCeJ10
飽きた