シャナ「封絶ッ」上条「そげぶ」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 00:02:39.67 ID:DHad6NvA0

(プロローグ)

―深夜・路地裏

駒場(――無能力者狩り、…悲しきことだな)

駒場(必ずいつか、あの心ない連中を、――粛清してやるからな)ギリッ

駒場「行くぞ」ザッ

浜面(―――駒場利徳、俺はアンタについていくぜ。勿論、一生な…!)ザッ

―近郊のビルの屋上

炎髪(“能力者”と“無能力者”が交差する街―学園都市―)ヒュォォォォォォォォォォ

アラストール(…できうる限り、ここに立ち入ることは避けたかったのでは有るが…)

炎髪(――問題ない。早急に“仕事”を片づけて、可及的速やかにここから退避する。―それでいいんでしょ…?)

アラストール(ああ…。すんなり行けば…良いのであるがな…)

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 00:06:55.25 ID:DHad6NvA0

―(早春の学園都市にて)

―(上条当麻が禁書目録に出会い、記憶喪失になる少し前)

―(そして、炎髪灼眼の討ち手が運命のミステスと出逢う数年前のこと)



―翌日・下校時刻

初春「…そういうわけで、今日も風紀委員のお仕事が忙しくて、すぐに行かなきゃいけないんです…」

佐天「…」ボー

初春「ごめんなさい佐天さん」ペコリ

初春「? どうかしましたか、佐天さん?」

佐天「…あ、…うん…何でもない…」

初春「…そ、それじゃあお先に…! また明日」バイバイ

佐天「……うん」

初春(今日は…佐天さんに一度もスカートめくりされてない…。何かあったのかな?…佐天さん)シンパイ 

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 00:10:09.45 ID:DHad6NvA0



炎髪(…あの少女のようね)

アラストール(…)

炎髪(徒(トモガラ)に喰われてから…一両日、といったところかしら)

炎髪(最近この界隈にて、はるか遠くの町で10年前に疾走した少女が、当時と変わらぬ姿形で発見されるという騒動があった…)

炎髪(でも、その少女はすぐに消えてしまい、誰もその騒動の発生自体を記憶にとどめていなかった)

炎髪(この一件に徒が関わっているのは間違いない)

炎髪(そこで、徒の痕跡を探して周辺を巡っていたのだけれど…)


炎髪(ようやく見つけることが出来たわね、…トーチ)キッ

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 00:13:28.30 ID:DHad6NvA0

炎髪(今のところはまだ、周囲の人間から認識の対象となっている)

炎髪(そして、このトーチを作った徒は、…まだ遠くに行っていない)

炎髪(このトーチを利用して、徒に関する情報を取得する)

アラストール(――ここからの手順は、分かっているな)

炎髪(分かってる)コクリ

―人気のない路上にて

佐天「…」トボトボ

  ザッ

佐天「え」

炎髪「…」ギロリ


佐天「…誰…?」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 00:16:07.76 ID:DHad6NvA0

炎髪「…フレイムヘイズ」

佐天「フレ…?」

炎髪「私は贄殿遮那のフレイムヘイズ」コツ コツ

佐天(何…どうして…?)ゾク

佐天(こんな小さな子が…怖い…)ゾク

炎髪「…」コツ コツ

佐天「い、いや…、来ないで…」アトジサリ

炎髪「お前はもう存在していない」コツ コツ

炎髪「『紅世(グゼ)の徒』に喰われてとっくに死んでいる」コツ コツ

炎髪「お前は『トーチ』―死者の残り滓から作られた代替物」コツ コツ


佐天(死者…? 死んでる…? 私が…? 意味が…)ガクガク

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 00:19:31.57 ID:DHad6NvA0

炎髪(…トーチに残されたわずかな存在の力を利用して、トーチの存在に…割り込む…!)

スッ(佐天涙子に指先で触れようとする)

佐天(誰か…! 助けて…ッ!)


「待てッ!」ザッ


佐天「!!?」クルッ

炎髪(…!)ムッ


上条(…あの2人の様子…よくはわからないが、普通じゃない…ッ!)

上条「そこのお前ッ!! その子から離れろッ!!」キッ


炎髪(無関係の第三者の介在…)

炎髪(まったく…面倒臭いわね)チッ

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 00:23:52.91 ID:DHad6NvA0

アラストール(―このような場合であっても、――)

炎髪(…分かってる)

炎髪(あくまで、…穏便に対応する)


炎髪「 封 絶 ッ ! 」

シュパ―――――――――――――ン


炎髪(封絶―その内部では紅世に関わる者以外のものはすべて停止する。勿論人間も)

炎髪(存在の力を感知できる徒にこちらの居場所を知らせてしまう恐れがあるから、今はなるべく使いたくなかったけど…)

シャナ「さて―」

アラストール「避けろッ!」

上条「離れろって言ってるだろ―――ッ!!」ガスッ

炎髪「がっ…!?」ドサッ

炎髪(あ、有り得ない…?)

炎髪(この人間、封絶の中で平然と動いている…!?)

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 00:27:11.71 ID:DHad6NvA0

炎髪(一体どうして…ッ!?)

アラストール「奴の右手だ…!」


アラストール「封絶を張った瞬間、動くはずのない右手が動き、封絶に対し何らかの作用を及ぼしたのだ…!」


炎髪「右手ッ!?」

炎髪「でもあの人間、何らかの宝具を有している様子は…ッ!?」

アラストール「落ち着け!」

上条(…アイツの首にかかるアクセサリー…がしゃべっているッ…!?)

上条(いや、今はそれ以上に…この状況が問題だ…)キョロキョロ

上条(…なんだ、この…妙な空間は…?アイツの能力か?)

上条(景色は変わってないが…辺り一帯が闇に包まれて…!)

上条(はっ…もしかして時間が止まっている…!?)

上条(この女の子も、固まったように、ピクリとも動かない…!?)

炎髪(この人間、――得体が知れない)スクッ

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 00:30:44.28 ID:DHad6NvA0

アラストール(迂闊に攻撃するな…!状況を把握せよ…!)

上条(この女の子に右手で触れれば…いや、迂闊に触れるのは…むしろ危険か?)

上条「おいお前…!」

炎髪「…!」

上条「お前は、一体何をしようとしてるんだ!? この状況を説明しろッ!!」キッ

炎髪「…」キッ

炎髪「…わかった」

炎髪「その代わりに、こちらの質問にも答えてもらう…!」

炎髪「――お前は、何者なの?」ギロッ

上条「俺は上条当麻だ!」

上条「レベル0の、ただの高校生だよ!!」

炎髪「…嘘」

炎髪「普通の人間が封絶の中で自由に動き回れるはずがないッ!」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 00:34:05.03 ID:DHad6NvA0

上条(フウゼツっていうのか…この奇妙な空間は…?)

上条「ああ、確かに俺はまるっきり普通の人間じゃあねぇよ」

上条「俺の右手は…どういうわけか、生まれつきあらゆる異能の力を打ち消しちまうんだよ…!」

炎髪(異能を…打ち消す…!?)

アラストール(…ふむ、…)

上条「だからだろうな、俺がこっちの女の子みたいに固まっちまわない理由は…!」

炎髪(どうする、アラストール…?)

炎髪(コイツの言っている右手のことが事実なら、普通に体術を使えばやすやすとコイツを排除できるはず…!)



アラストール(…よせ)

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 00:37:30.90 ID:DHad6NvA0

炎髪(!?…なぜ!?)

アラストール(仮にこやつの右手がこの神器コキュートスに触れた場合―)

アラストール(―ややもすると我らの間に成立しているフレイムヘイズとしての“契約”そのものが打ち消される恐れがある)

炎髪(! た、確かに…)

アラストール(それに加え…気付いているであろう。こやつの有する存在の力の途方も無き甚大さを…)

炎髪(そ、それは…)

アラストール(…こやつ、将来的には相当の大人物になるやも知れぬ)

アラストール(少なくとも、そのような可能性を感じさせる。――言わば、“原石”といったところであろうか)

炎髪(…“原石”…!)

アラストール(そのような人間をみすみす弑していては、…世界の秩序維持をモットーとするフレイムヘイズの使命に反するではないか)

炎髪(で、でも…)


上条「さあ、こっちは説明したからな…! 今度はアンタが説明する番だぜ…ッ!!」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 00:41:19.75 ID:DHad6NvA0

アラストール(彼奴はお前に対して敵意があるというよりは、…そこのトーチに関して何らかの関心があるのであろう)

アラストール(ここは、…)

炎髪「―わかった」ヤレヤレ

上条「…!」ゴクリ

炎髪「説明するわ。―簡潔にね」



―――

上条「つ、つまり…」

上条「そこにいる女の子はとっくに『紅世の徒』っていう化け物に喰われて死んでいて…」

上条「トーチっていう…置物に過ぎないってのか…!?」ヘタリ

炎髪「そういうこと」

炎髪「…それより」スッ

上条「…?」

 ボカッ

上条「がッ!?」ドサッ

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 00:44:37.44 ID:DHad6NvA0

上条「な、いきなり何するんだッ!?」イタタタ

炎髪「先に殴ってきたのはお前の方でしょ」フンッ

炎髪「言っておくけど、かなり手加減してあげたのよ」

炎の厚「普通に殴っていたら、お前の頭は木っ端微塵に粉砕されていた」

上条「わ、笑えない冗談ですね…」

アラストール「冗談ではない。事実だ」

炎髪「…もういいでしょ?」

炎髪「封絶のことも、紅世のことも、フレイムヘイズのことも…」

炎髪「お前が聞いてきたことは一通り話した」

炎髪「…もう用はないでしょ」


上条「――大アリだ」ギリッ


炎髪「…」ムッ

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 00:49:12.86 ID:DHad6NvA0

上条「さっき言ってたよな。これからアンタはこの子の存在に割り込んで、…この子は完全に消えてしまうって…!」

シャナ「言ったけど、…だから何?」

上条「何も…感じないのかッ!?」

上条「人ひとりの…まだ年端もいかない中学生くらいの子の命を…ッ!!?」

上条「アンタの一存で、この世から消し去るって言うのかッ!?」

上条「しかも、消えてしまったら、…周りの人間の記憶からも綺麗さっぱり消去されるなんて…」

上条「そんなの………悲しすぎるだろうがッ………!!」


炎髪「お前、私の話ちゃんと聞いてた?」ハアッ

炎髪「これはトーチ。私が消してしまわなくとも、そうね…、もってあと一日で消えてしまう運命なのよ」

炎髪「どうせ消えるのなら、早いうちに原因の徒探しに利用した方が有意義でしょ?…違う?」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 00:53:10.64 ID:DHad6NvA0

上条「ぐ…」

上条「どうせ…かよ」ギリッ

上条「どうして人の命を、そんなに簡単に割り切って扱えるんだよ…」ブルブル

アラストール「この子はフレイムヘイズ。人間に似て非なる存在。…ただそれだけのことだ」

上条「だからって…」

アラストール「――むしろ上条当麻とやら」

アラストール「なぜ貴様は、見ず知らずの人間の生死に対して、そこまで関わろうとするのだ…?」

炎髪「…お前には何のメリットもないのに」

上条「メリットとかそういう問題じゃねえよッ!!」

上条「困っている人を見かけて、放って帰るなんて薄情な事、俺には出来ねえんだよッ!!」キッ


アラストール(こやつは…)

炎髪(あーもう鬱陶しい…今すぐ本気で蹴っ飛ばしたい)イライラ

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 00:56:09.28 ID:DHad6NvA0

上条(クソッ…! どうにかしてこの子を救う方法はねえのか…!?)

上条(でも、こいつが言ってる通り、この子がもう死んでいるなら…トーチを守ったところで根本的にどうしようもねえよな…)

上条(もう…何もできないのか!?)ギリッ

上条(―――はッ!!! 待てよ…ッ!!!)

上条「存在の力ってのは―」

炎髪「何?…今さら」

上条「―その、人によって“味”が違ったりするのか?」

炎髪「味…?」

上条「例えば、年齢が若い方が味がいいから…徒の標的になりやすい、とか」

炎髪「…基本的に、そういう偏りがあるとは言えないはずだけど…」

アラストール「―何が言いたい?」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 01:01:05.72 ID:DHad6NvA0

上条「さっきのお前の説明にあった…、突然現れた10年前の少女ってのは、具体的には何歳くらいなんだ?」

炎髪「ええと、確か…失踪当時の年齢で14歳だったはず…」

上条「その少女と、今回新たに喰われたらしい女の子は、ほとんど同じ世代だろ」

炎髪「だから…?」

上条「もしかしたら、犯人の徒の目的は、単に存在の力を喰うことではなくて」

上条「狙いを定めた同じくらいの年齢の女の子の存在の力を集める…」

上条「そういう…コレクターのような奴かもしれないってことだよッ!!」

アラストール「…確かに、徒にも様々な属性・性癖を持つものがいる」

アラストール(宝具を利用して存在の力を保存し、一方でトーチを作っておくことで現世では消滅したように見せかければ、あるいは…)

アラストール「そういう収集癖をもつものがいないとも限らぬが…」


炎髪「でも、突飛な主張に過ぎない」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 01:04:43.10 ID:DHad6NvA0

炎髪「第一、判断材料が少なすぎる」

炎髪「お前が言うようなことが実際にあり得る可能性なんて、一厘にも満たないわ」

上条「でも…!!」ジリッ

上条「その可能性がゼロでないなら…! 俺はその可能性に賭けたいッ!!」

上条「その子のトーチが消えてしまうまでに元凶の徒を見つけ出し、そいつがその子の存在の力を隠し持っていないか確かめる…!!」

上条「そのためには、どうやら事情に詳しいアンタの協力が必要そうなんだ…!!」

上条「お願いだッ!! 協力してくれッ!!」ドゲザ

炎髪(…アラストール、こいつ殺していい?)

アラストール(…)ダメ


炎髪(…………最悪…………!)

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 01:08:20.50 ID:DHad6NvA0

―その後二人は、上条の意向により佐天涙子本人には手を出すことなく

―徒につながる情報を得るため、佐天涙子の人柄や交友関係を洗い出した



―その途上で


垣根「おいテメェ、今俺にガン飛ばしただろ」ザッ


炎髪「…なんか変なのが絡んできたわね」メンドクサ

上条「主にお前のせいでな…」ハァ

炎髪「お前の不良仲間か何かじゃないの?」

上条「こんな奴知らねえよ…ってか上条さんは不良じゃないし」


垣根「…ムカついた。この俺を無視するとはいい度胸じゃねぇか」ギロッ

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 01:13:11.26 ID:DHad6NvA0

炎髪「何、お前?――何なら相手してやってもいいわよ」

垣根「あ?――誰に向かって口聞いてると思ってんだ…!? 殺すぞ」

炎髪「たぶん本気でやったらお前が即死するから手加減してあげるわね」

垣根「テンメェ…!言っておくが俺の未元物質には常識は通用しねぇ…!!」

炎髪「ふ〜ん、そうなんだ(棒)――だから?」

上条(どうしてこんなにトントン拍子に険悪なムードになるんだよ…)

アラストール(無駄な殺生は―)

炎髪(もう…分かってるって)フウゼツ

垣根「」シーン

上条「ほんとこれ、便利だな」

炎髪「絡んできたのはあっちの方なんだから、腹いせに一発殴ってもいいわよ」クイッ

上条「俺が…?」

上条(まあいいか…どうせ相手には分からないし…まあストレス発散を兼ねて…)

アラストール「お、おい!ちょっと待(ry」

     ボカッ


84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 01:16:31.37 ID:DHad6NvA0

―10分後

垣根「紅世か…面白そうじゃねぇか。俺も付き合わせろよ」

炎髪「お前の右手のせいでコイツまで動くようになったじゃないッ!!どうしてくれるのッ!?」

上条「は!?そもそも殴れって言ったのはそっちじゃねえかよッ!?俺一人の責任じゃねえッ!!」


―更に10分後

垣根「」シーン


炎髪「よくよく考えれば…もう一度封絶を張り直してその隙に逃げればいいだけのことじゃない…」

上条「どうしてこんな簡単なことに気が付かなかったんだろうな…」

炎髪「お前が馬鹿だからよッ!!」

上条「それならお前こそ馬鹿だろッ!!」

炎髪「うるさいうるさいうるさいッ!!!」

上条「うるせえうるせえうるせえッー!!!」

アラストール(…我は…極めて頭が痛い…)

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 01:20:57.23 ID:DHad6NvA0

―河川敷

炎髪「佐天涙子。この春柵川中学に入学した一年生。無能力者。特技はスカートめくり…で、主な友人は同級生の4人」カリッ

炎髪「そのうち特に親しくしているのが初春飾利。レベル1。特徴は頭頂部に奇怪な植物…を生やしていること、風紀委員所属」モフッ

上条「あの〜、ちょっと聞いていいか贄殿…?」

贄殿「…贄殿…って私のことを言ってるの?」

上条「あ、ああ。さっき言ってただろ…お前の使ってる刀の名前…『贄殿の遮那(ニエトノノシャナ)』だったよな」

上条「その、名前がない以上なんか呼び方決めとこうかと…」

贄殿「…別に。勝手にすれば」プイッ カリモフ

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 01:24:49.60 ID:DHad6NvA0

上条「で、なんでお前、フツーに能力開発関連の知識とか持ってんだよ!?」

アラストール「――事前の下調べは当然であろう。学園都市という特異な環境に乗り込む以上、その内部の事情には精通しておいて損はない」

上条「じゃ、じゃあ。一番気になってたことを聞くぞ…!」

贄殿「――何?」

上条「贄殿、ひょっとしてメロンパンが大好きなのかッ!!?」

贄殿「――だから、何? お前に何か関係ある?」ギロリ

上条「いえ、…上条さんにはこれっぽっちも関係ないです」ゾクッ

贄殿「それにしても、お前の右腕、本当に便利ね」

贄殿「さっきも攻撃的な短髪電気女が急襲してきたとき―」

贄殿「―あっさりそいつの放ったエネルギー弾を無効化したし」

上条「つか、アイツを挑発したのはお前だろーが…」サッキハヤバカッタ…

贄殿「殺意を帯びた目でつっかかって来たのは向こうの方でしょ!」ムッ

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 01:28:20.81 ID:DHad6NvA0

贄殿「あの程度の相手、造作なく倒せるのに…」

上条「あいつが倒されたら倒されたで、この街じゃいろいろ問題になるんだよ…」ヤレヤレ

贄殿(まったく、…トーチに擬装すれば無用のトラブルを生じることなく調査ができたのに…)メンドクサイ

上条(…気のせいか、ビリビリとこいつってちょっと似てるような…主に胸の大きs)チラッ

贄殿「…あの短髪と知り合いなら、ちゃんと教えてあげた方がいい」

上条「何を?」

贄殿「自己の能力を過信すると必ずいつか自滅する、ってことをよ」カリモフ

上条(…この俺が、あいつに…ねえ)ムリムリ

贄殿「そろそろ初春飾利が風紀委員の仕事を終えて帰宅する頃合いね」

上条「まあ、ぼちぼち完全下校時刻近いからな」

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 01:32:48.14 ID:DHad6NvA0

贄殿「お前に免じて、トーチに対しては何の干渉もしなかったけど…」

贄殿「トーチと最も親しかった友人からは情報を聞き出しておきたいから」

上条「ああ、まあそうだな」

贄殿「今から帰宅途中の初春飾利を尾行し、家の前で拘束、押し入って必要な情報を吐かせる…!!」キッ

上条「 強 盗 か よ テ メ エ は ッ ! ? 」

贄殿「何か文句ある? それが一番手っ取り早い方法だと思うけど」

上条「手っ取り早くてもそれは暴力的過ぎだろッ!?」

アラストール「…もう少し、穏便にこなせぬものか…?」

贄殿「アラストールまで…!?」


上条「よし、だったら俺に任せてくれッ!!」キリッ

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 01:36:05.17 ID:DHad6NvA0

―――初春飾利宅前

初春「ど、どちらさまでしょうか…? 新聞の勧誘ならお断りしてますが…」

上条「…」

贄殿「…」

上条(…よくよく考えてみれば、見ず知らずの人間が友達の動静について聞いてきたら普通に怪しまれるよな)ドウスレバ

贄殿(…コイツ、大見栄切っておいて頭は何も考えてなかったのね…)ムカムカ

アラストール(…我はもう知らん)

初春「???」ケゲン

上条(まずい! 何か言わないとますます怪しまれちまう…!!)

上条「あ、あの、…俺達、あなたの友達の佐天さんの事について、ちょっとあなたに伺いたいことがありまして…」

初春「え? 佐天さん…ですか?」

上条「そ、そうなんですッ!! 俺達佐天さんの知り合いで…!!」

初春「それなら…私に聞くより直接佐天さんに聞いた方がいいんじゃないですか?」キョトン

上条「」

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 01:40:06.52 ID:DHad6NvA0

贄殿(…バカ!)ドスッ

上条「あだだッ!?」

初春「? どうしました?」

上条「いや、その直接は聞きづらいっていうか…」

初春「直接は聞きづらい…?」ウ〜ン

初春(はっ!? もしかしてこの人、佐天さんのストーカーか何かじゃ…!?)

初春(それで直接本人には接触しづらいから、こうやって私から佐天さんの情報を得ようと…!!?)

初春(…う〜ん、…でも)ジー

上条「?」

初春「(ストーカーをするような)陰鬱な感じではないんですよね〜」ジー

上条「はい?」

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 01:45:52.32 ID:DHad6NvA0

初春(いや、むしろ逆…!? この人は佐天さんの彼氏さんで…!!)チラッ

贄殿「?」

初春(こっちの人は彼氏さんの元カノか何か…!?)

初春(血みどろの三角関係ッ!!)

初春(それで直接会いづらいから、代わりに佐天さんと親しい風紀委員の私に仲裁の依頼に来た…!!)

初春(そういうことだったんですね…!!)ナットク

上条「あの〜、もしも〜し…」

初春「わかりましたッ!! 任せて下さいッ!!」キリッ

上条・贄殿「「え」」

初春「ところで、一つ聞かせてもらっていいですか?」ズイッ

上条「え、あ、ああ何なりとどうぞ」

初春「黒髪ロングストレートが好きなんですか…?」

上条「は」

贄殿「何か…お前のせいで話が混乱している気がするんだけど」ギロリ

上条「って俺のせいかよ!?」ビクッ

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 01:48:09.56 ID:DHad6NvA0

上条「ちょ、ちょっと待ってくれ、初春さん!?」ガシッ

初春「ひっ!?」ビクッ

上条「何か、勘違いなさっているようですが…」

上条「とにかく俺達は、佐天さんを助けたいんだッ!!!」キッ

初春「…助け、たい…?」

贄殿「…」

上条「詳しい事情は、訳有って話せないけど―」

上条「―今、困難にぶち当たっている佐天さんを何としても助けたいんだッ!!」

初春「…」

上条「だから初春さん、アンタが知っていることをすべて教えてくれッ…!」

上条「―――頼む」ペコリ

初春「わ、わかり…ました…」ウツムク

上条「これで、いいよな? ―贄殿」ホッ

贄殿「い、…一応」

アラストール(…こやつ、隅に置けぬな)

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 01:56:14.59 ID:DHad6NvA0

―その後、初春飾利から得た佐天涙子の前日の足取りから

―とある公園において佐天涙子が紅世の徒の襲撃を受けたものと推測

―そして、周辺を探索していた二人は、まだ近郊に滞在していた元凶の徒をついに発見する

贄殿「はあああああああああッ!!」ブシャ

徒「ぐあああッ!?」ドシュッ

 カラーン チャリーンチャリーンチャリーンチャリーン

贄殿「これは、こいつの宝具!? 中から…宝石みたいなのが…!?」

アラストール「なるほど。回収した個々人の存在の力を、宝具によって宝石の形態に変換して保存していたのか…!」

上条「ってことは…ッ!!!」

贄殿「よかったわね。お前の言ったとおりだったのよ」

贄殿「まだトーチとしてこの世から完全に消失していない佐天涙子は、宝石と化した存在の力で体を再構成することで、そのまま元通りになるわ」ニッ

上条「よ、良かった…!!」ウルッ

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 02:02:13.09 ID:DHad6NvA0

徒「天壌の業火アラストールと、そのフレイムヘイズたる炎髪灼眼の撃ち手…」クッ

徒「まさか君たちに遭遇する事になろうとは…」

贄殿「…まったくしぶといわね」ギロッ

上条「待ってくれ、贄殿」

贄殿「?…どうして?」

上条「あの野郎にトドメを刺すは、俺にやらせてくれないか」ギロッ

贄殿「…わかった」

徒「そして実に不可解なのは君の存在だよ…」

徒「どうしてただの人間が…!この封絶の中を自由に動き回っていられるんだいッ!?」

徒「わけがわからないよッ!!」



上条「テメェが知る必要なんかねえ!!!」ダッ

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 02:04:33.98 ID:DHad6NvA0

上条「人の命を―」

上条「―玩具みたいに弄びやがってッ!!!」

上条「まずは―」グォン


上条「―そのふざけた幻想をぶち殺すッ!!!!!」ガシュッ


徒「ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!?」

 シュウウウウウウウウウウウウウン

アラストール「―終わったようであるな」

上条「…な?」クルッ

贄殿「え?」

上条「限りなくゼロに近い可能性でもさ、信じてやってみれば上手くいくことだってあるもんだろ?」ニッ

贄殿「…そうかも、知れないわね」

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 02:07:27.66 ID:DHad6NvA0

―その後、二人の尽力により佐天涙子は無事消失を免れることとなった

―この後、彼女は幻想御手事件を経て精神的に成長していくことになる

―が、他の宝石に納められていた、かつて存在したはずの少女たちは

―とうの昔に存在基盤を失った上、徒が少しずつ存在の力を消費していたため、もはや生き返らせることは不可能だった

―仮に生き返ったところで、彼女たちにもはや“本来の居場所”は存在しないのであるが



―別れの時・橋梁にて

上条「もう行くのか?」

贄殿「そうね。この地には他の紅世の徒の気配は感じられないし」

上条「…そっか」

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 02:10:18.24 ID:DHad6NvA0

アラストール「上条当麻なる少年よ。ひとつ、忠告しておきたいことがある」

上条「ん? 何でしょうか…?」

アラストール「その奇妙奇天烈なる右手についてのことだ」

上条「はあ、こいつが何か?」

アラストール「ずっと逡巡しておったが、…あるいはその右手、貴様自身に訪れるべき幸運さえも打ち消しておるのやも知れぬ」

上条「ええっ…?」

贄殿「だから今回、お前は関わるべきでない紅世に“不幸にも”関わりを持ってしまった」

贄殿「そんな風に考えられない?」

上条「不幸…ねえ。まあでも俺は、あの佐天って子を救うことができただけで、充分…幸せだから、さ」

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 02:12:34.61 ID:DHad6NvA0

アラストール「コホン。とにかくだ、今後はむやみやたらに争いごとに首を突っ込むのは控えた方がよい。その方が身のためだ」

上条「わ、わかったよ」ポリポリ

贄殿「それじゃ、先を急ぐから―」スタッ

上条「あ、ちょいっと待ってくれッ…!!」

贄殿「な、何? まだ何かあるの…?」


上条「俺からも一言、言わせてくれ」キリッ

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 02:15:16.41 ID:DHad6NvA0

上条「贄殿、…メロンパンを食べていたときのお前の表情(カオ)はさ」

上条「何ていうか、そのまんま年相応の女の子って感じでさ―」

上条「―すごく、可愛いかったぞ」ニッ

贄殿「んなッ!?」ビクリ

贄殿「う、…うるさいうるさいうるさいッ!!!」

アラストール「…」

上条「そうそう、そーいう活き活きとしたカオだよ!」

贄殿「わ、私を侮辱しないで…ッ!!」タジッ

上条「贄殿がこれから世界中を渡り歩く中でさ―」

上条「そういう風にお前がいろんな表情を向けられる相手にいつか逢えたらってさ―」

上条「―俺は学園都市(ココ)で願っといてやるよ」

贄殿「…」

上条「――たぶん、その相手は俺じゃない気がするからな」

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 02:19:24.24 ID:DHad6NvA0

贄殿「…お前なんかに願われたら…」

贄殿「その相手との出会いは、むしろ“不幸の始まり”かも知れないわね」フンッ

上条「ぐっ」

アラストール「―そろそろ、だな………」

贄殿「うん…わかってる、アラストール」

贄殿「じゃあね、――――上条当麻」シュタッ

上条「…またな。フレイムヘイズの炎髪灼眼の討ち手さん、よ!」


上条(ずっと、考えてたんだぜ――)

上条(――アンタにもっと似合いそうな名前)

上条(贄殿遮那からとって、――“シャナ”――なんて、どうかな?)





美琴「見つけたあああああああああああああああああああッ!!!!!」ズドドドドドド

上条(―――不幸だ)

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 02:23:26.47 ID:DHad6NvA0

(エピローグ)

―同じ頃

―日本国内

ステイル(…ボクは、あんなにもいたいけなあの子のために)

ステイル(「敵」としてヤイバを向ける他ないのか…?)クソッ

神裂(――それが彼女の宿命であり、私達にとってもベストな選択なのです)ギリッ

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 02:25:49.94 ID:DHad6NvA0

―学園都市・某所

ミサカ9XXX号「く、あっ…」グシャッ  ドサッ

一方通行「…本日の実験はこれで終了っとォ」…ダレカ、オレヲトメテクレェ…



垣根(今日はヘンな夢を見たな…、…ん?)チラリ

垣根(…第一位・一方通行か)コソッ

垣根(テメェはいつか必ず潰すッ!―――この俺がな)ニヤリ

124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/13(金) 02:30:24.35 ID:DHad6NvA0

―御崎市内

池「そういや坂井は高校どこ狙ってるんだ? 僕は御崎高が第一志望なんだけど」

悠二「ええ〜? 池、もう受験の事考えてるの!? …まだ入学したばかりなのに」

―市内の河川敷


平井ゆかり(ここから見える景色はいつも綺麗だなぁ…)

平井ゆかり(―――いつまでも、この景色が見れたらいいな)


―この時の邂逅以来、“原石”の少年と、後に“シャナ”と名付けられる少女が再び相まみえることは、もう二度となかった

                               おしまい



 …稚拙な文章を最後まで読んで下さった方、ありがとうございました。

 禁書は知っているけどシャナは知らない、またはその逆の人が、それぞれの作品に新たに興味を持ってくれればと思って書きました。

 それでは、失礼します。



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