1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/13(日) 02:08:57.91 ID:e8hrQcJ9P
キョン「へえ、お前の口からそんな言葉が聞けるとはな」
ハルヒ「うるさいわね、若気の至りって誰でもあるでしょ」
キョン「確かに最近大人しくなったよな」
ハルヒ「そう?」
キョン「ああ、なんというか、会話が成立するようになった」
ハルヒ「あんたは歳取るごとに段々口が悪くなってくわね」
キョン「ははは」
ハルヒ「まあ、とにかく、もう宇宙人だとか、未来人だとか、超能力者とか、そういう無い物ねだりはいいの」
キョン「そうか」
ハルヒ「……その、普通の人でいいからさ」
キョン「?」
ハルヒ「あ、あの……ただ、一緒にいて、落ち着くというか、心地いいなって思う人が傍にいてくれたらな、って」
キョン「ん?なんだ、独りもんで寂しいのか。合コンでも行って来いよ」
ハルヒ「このニブチンが……っ!」ぼそっ
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/13(日) 02:24:00.75 ID:e8hrQcJ9P
ハルヒ「ねえ、キョン。お腹空いた」
キョン「そこに吉野家があるぞ、よかったな。じゃ、俺帰るから」
ハルヒ「おい」
キョン「はっきりと言おう。俺は今、外食をする金などない!」
ハルヒ「そんなこと、偉そうに言わないでよ……」
キョン「もうすぐ月末だぞ、月末。金なんかあるわけ無いだろ」
ハルヒ「まだ月半ばでしょ、あんた今そんなこと言ってたら、餓死するわよ」
キョン「家に帰れば冷蔵庫の中に食材はあるからな」
ハルヒ「へえ、あんた生意気に自炊なんかしてるんだ。男の独り暮らしなんてみんな外食だと思ってたわ」
キョン「とにかく、俺は家に帰るからな」
ハルヒ「……じゃ、じゃあ、あたしもあんたの家でご飯食べる」
キョン「は?」
ハルヒ「あ、あんたの下手くそな料理見て大笑いしてやるわ!」
キョン「……飯の代金は頂くからな」
ハルヒ「……あのね、別に食費を浮かすつもりで言ってんじゃないわよ」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/13(日) 02:31:00.14 ID:e8hrQcJ9P
〜キョン宅〜
キョン「うー、さむさむ。急に冷えるようになったな」
ハルヒ「おじゃましまーす……そういえば、あんたのアパートって初めて来たわ」
キョン「ま、あんまり綺麗なとこじゃないがな、くつろいでってくれ」
ハルヒ「ふーん、意外と片付いてるんだ」
キョン「そうか?お前一体どんなゴミ屋敷を想像してたんだよ」
ハルヒ「もう、仕方ないわね!掃除してあげるわよ!みたいな展開をちょっと予想してたんだけど」
キョン「まるで、アポ無しで来る母親のようだな」
ハルヒ「ま、いいわ。じゃ、あたしテレビ見てるから」
キョン「は?」
ハルヒ「早くご飯作ってよ、お腹空いたって言ってるでしょ」
キョン「お前のその殿様根性からして、前世はアラブの石油王なんだろうな」
ハルヒ「やぁよ、あんなヒゲもじゃ」
キョン「やれやれ」
ハルヒ「はー、こたつあったかい」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/13(日) 02:40:58.24 ID:e8hrQcJ9P
キョン「〜♪」トントン
ハルヒ「(意外と手慣れた感じね……)」
ハルヒ「(もっとこう、鈍くさそうな感じを想像してたんだけど)」
ハルヒ「(もう、仕方ないわね!あたしが作ったげるから食器並べてなさいよ!とか言って)」
ハルヒ「(そんで、出来上がった料理を食べて、キョンが「悔しいが美味いな……嫁に欲しいくらいだ」とか言っちゃって)」
ハルヒ「(二人で洗い物片付けてる時に、「な、なんか夫婦みたいね……」「そ、そうだな」とかいい感じになって)」
ハルヒ「(落として割った皿を片付けてる時に顔が急接近して、そのまま雰囲気でキスとかしちゃって)」
ハルヒ「でへへ……てやんでい」
キョン「おい、寝るな!」
ハルヒ「……はっ!?」
キョン「何を人の家に上がって一分足らずで熟睡しとるんだ、食器でも並べててくれ」
ハルヒ「……は、はい」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/13(日) 02:48:16.22 ID:e8hrQcJ9P
〜30分後〜
キョン「できたぞ」
ハルヒ「……おお」
キョン「なんだよ」
ハルヒ「い、いや、なんていうか。予想よりだいぶまともな晩ご飯だな、と思って」
キョン「だから、お前は俺をどんな扱いにしたいんだ」
ハルヒ「誉めてるんだからカリカリしないでよね」
キョン「やれやれ、いただきます」
ハルヒ「いただきます」
キョン「もぐもぐ」
ハルヒ「まずはお味噌汁から……ん!?」
キョン「なんだ、嫌いなもんでも入ってたか?」
ハルヒ「う、うまぁ……♥」
キョン「あ、なすの味噌汁いいだろ。俺も好きなんだよ」
ハルヒ「な、何なのよこれ……白米が進んで仕方ないじゃないの!」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/13(日) 02:58:43.16 ID:e8hrQcJ9P
ハルヒ「な、何食べても美味しい……」
キョン「よせよ、本当のこと言うと照れるじゃないか」
ハルヒ「ぐぬぬ……」
キョン「ま、お前がどうしてもって言うなら、教えてやってもいいぞ、料理」
ハルヒ「……あ?」カチン
キョン「うわっ!ちょ、お、おま!やめろ!テーブルをひっくり返そうとするな!」
ハルヒ「……するわけないでしょ、もったいない」ばくばくもぐもぐ
キョン「だっ、バカやろう!人のおかずまで食う奴があるか!」
ハルヒ「ケチケチしないでよ、意地汚いわね」
キョン「……その言葉、そっくりそのままお前に返すぞ」
ハルヒ「あはは」
キョン「やれやれ」
ハルヒ「(あ、この感じ……このささやかな幸せ感。すごく心地いいのよね……)」
きゅん
ハルヒ「……♥」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/13(日) 03:11:00.79 ID:e8hrQcJ9P
ハルヒ「で、でも、ほんとに美味しいわね」
ハルヒ「……」
キョン「ん?」
ハルヒ「あ、あの、その……なんていうか、お、おお、お嫁に欲しいくらいだな……なんて」
キョン「なんだ、お前。結婚しても家事は旦那任せにするダメ嫁タイプか」
ハルヒ「は?」
キョン「旦那の小遣い締め上げて、自分はブランド物にまみれて、エステに通って」
キョン「旦那の昼飯はコンビニのおにぎり、嫁は代官山で1500円のランチ、みたいな」
ハルヒ「……あんた、昼間のワイドショーでも見たの?」
キョン「よくわかったな、ああ、今思い出しただけでもイライラする」
ハルヒ「あのね!あたしは旦那には尽くすわよ。ただ、見返りはしっかりいただくけどね」
キョン「見返り?」
ハルヒ「(よしよし、って頭撫でて貰ったりとか、いっぱいハグしてもらったりとか……でへへ)」
キョン「結局お前も金か、スイーツ脳め」
ハルヒ「や、やかましい!」