1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 10:45:41.58 ID:8Uae9uuO0
月「なんでこんなものが校庭に…」
月「とにかく読んでみるか…」ペラ
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 10:47:52.84 ID:8Uae9uuO0
月「HOW TO USE……全部英語か、面倒だな」
月「……」ペラ
このノートは囲碁のルールブック兼棋譜です
簡単なルール説明の後、私がこれまで打ってきた碁の棋譜を
書いています
月「ふーん…囲碁、ね」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 10:50:04.21 ID:8Uae9uuO0
月「ここまで几帳面にノート取るなんて結構手が込んでるじゃないか」ペラ
月「うわ……こっから棋譜がびっしり…」ペラ
月「ん?最後のページだけ赤いシミ…血か?」ペラ
月「まあいいか」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 10:51:19.32 ID:8Uae9uuO0
月「にしても囲碁ね……」
月「ちょうど退屈だったし、暇つぶしにはいいかな…」
月「…うん」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 10:54:17.15 ID:8Uae9uuO0
夜神家
月「ふぅ…」パタン
月「とにかく先ずはルールからだな…なになに?囲碁はいわゆる陣取りゲームです」
月「最終的に相手の陣地(地)より自分の陣地(地)の方が多ければ勝ちという
シンプルなゲームです…ふむふむ」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 10:58:26.11 ID:8Uae9uuO0
しかし、地を地として確立する為には最低でも二眼必要です
眼というのは…
月「…よし、大体覚えたし打ってみるか」パタン
月「こういうのはいくらルールだけ覚えたって実際に打たなきゃ成長しないし
打ちながらの方がルールも身につきやすいだろうしね」
月「それじゃ…」スッ
月「…………」
月「……誰と打てばいいんだ?」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 11:01:30.89 ID:8Uae9uuO0
月「妹、母さん……無理だ。あの二人が囲碁なんて知ってる筈がない」
月「じゃあ父さん…?」
月「ダメだ。父さんは忙しくていつ帰ってくるか分からない」
月「………っちぇ」ボフン
月「ルール覚えても打つ相手がいなくちゃ意味ないじゃないか、チクショウ!」
月「…………待てよ?たしか昔yahoo!ゲームで囲碁があったような…」カチカチカチ
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 11:04:14.57 ID:8Uae9uuO0
月「あった!これだ!」
月「残念ながらyahoo!ゲームは既になくなっていたが、ネットでも碁が打てる
ところがあった!」
月「ネット碁か……相手の顔も見えないから心理的な駆け引き要素が少し
薄れるかもしれないが、いいだろう」
月「そうと決まればさっそく…」カチャカチャ
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 11:07:04.65 ID:8Uae9uuO0
月「む?登録したと同時に向こうから誘いが来るとは…」
月「ハンドルネームsai?」
月「いいだろう!相手になってやる!」
〜〜30分後〜〜
月「バカな!?」
月「なんだ、こいつは?」
月「いくら僕がさっき囲碁のルールを知ったばかりだからって、ここまで
やられるか?」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 11:10:54.36 ID:8Uae9uuO0
月「これは罠だ!そうに違いない!」
月「じゃなきゃ、僕がこうも簡単に!」
月「くそう!」ドカッ
月「…………こいつのこの手!まさかここでこんな手を打ってくるとは…」
月「絶対に殺せると思ったのに、中央に飛ばれて上手く見会いにされてしまった。
繋げられたら二眼作られてしまうし……くっ」
月「これじゃあ殺せない…畜生!」
月「それにしても…」プルプル
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 11:12:50.65 ID:8Uae9uuO0
月「sai……こいつ、プロじゃないのか?」
月「いや、プロがこんなネット碁なんて……気晴らしの線は…」
月「いけない……一度の負けがなんだ!弱気になるな!」
月「もう一度!もう一度対戦すれば!」バッ
月「…………いない」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 11:16:52.87 ID:8Uae9uuO0
翌日。
粧裕「お兄〜ちゃん♪」ガチャ
月「なんだ、粧裕か?どうした」
粧裕「実は宿題で分からない所がありまして」テヘヘ
月「良いよ、どこ?」
粧裕「数学のラプラス変換でーす♪」
月「!?」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 11:18:23.46 ID:8Uae9uuO0
月「ま、まあ良いよ。けどその前に参考書見せてくれないか?」
粧裕「いいよ〜♪」
月「ふむふむ…」ペラ
粧裕「あれ?」
月「ん?」
粧裕「お兄ちゃん、これ何?」スッ
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 11:20:16.96 ID:8Uae9uuO0
月「ああ、囲碁ノートだよ。学校で拾ったんだ」
粧裕「ふーん。あっ棋譜も載ってる。すごーい」
月「!?」
粧裕「どうしたの、お兄ちゃん?」
月「棋譜って……もしかして粧裕、お前碁が打てるのか?」
粧裕「えっ?うん。ちょっとだけだけどね」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 11:23:43.76 ID:8Uae9uuO0
粧裕「お兄ちゃんも打つの?」
月「……」
粧裕「お兄ちゃん?」
月(なんて事だ。まさか粧裕が打てるとは…)
月(ここは昨日の負けで嫌になった気分を妹で晴らす絶好の機会!)
粧裕「お兄ちゃんってば〜」
月「粧裕」
粧裕「ん?」
月「一局、打たないか?」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 11:27:49.14 ID:8Uae9uuO0
粧裕「うわっ、お兄ちゃんも打つんだ!やるやる♪」
月「じゃあ、ちょっと遠いけど碁会所まで行こうか、碁盤も石もないし」
粧裕「あっ、それなら心配しなくても…」
〜〜〜粧裕部屋〜〜〜
月「まさか粧裕の部屋に碁盤と石があるなんて…」
粧裕「最近の女の子はけっこう持ってるよ?」
月(そうなのか!?)
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 11:30:28.41 ID:8Uae9uuO0
粧裕「それより打とっ、お兄ちゃん!」
月「あ、ああ…」
月(いけない、平常心だ…こんな事で心を乱されるな。付け込まれる)
月「ふうぅぅぅ…」キッ
月「お願いします」
粧裕「お願いします」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 11:34:06.56 ID:8Uae9uuO0
〜〜〜40分後〜〜〜
月「なん……だと…?」
粧裕「やたっ!あたしの勝ち〜♪」
月「まさか……こんな…」
粧裕「お兄ちゃん碁を打つのは初めて?もっと肩の力抜きなよ〜」
月(そんな……昨日saiに負けてからというもの、完璧にルールを
把握してネットで他の対戦者の対局も見た!)
月(それなのに今日も、しかも妹にも負けるなんて……)
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 11:38:06.93 ID:8Uae9uuO0
粧裕「じゃ、検討ね。お兄ちゃんここはちょっと強引だったよ」
粧裕「この場合は一旦引くか様子を見ないと……それかこっちに飛んで
から出た方が良かったね。あたしの薄みもつけるし」
月(こんなはず……こんなはずが…)
粧裕「あと右上を守らずに地を稼ごうとしたのもちょっとね」
粧裕「おかげであたしに荒らされちゃったし」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 11:47:43.58 ID:8Uae9uuO0
月「…………」
粧裕「お兄ちゃん?」
月「粧裕…」
粧裕「うん」
月「お前、どこで碁を習った?」
粧裕「え?」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 11:50:22.62 ID:8Uae9uuO0
月「どこで習ったと聞いてるんだ!」
粧裕「どこって……棋院かな?」
月「棋院?」
粧裕「うん。そこで習ってるの。あたし院生なんだ」
月「院生?なんだ、それは…」
粧裕「なんて言うかな〜、碁の塾?」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 11:52:30.76 ID:8Uae9uuO0
月「そうか……そこでそんなに強くなったのか…」
粧裕「うん♪」
月「院生……か、僕も行ってみようかな…」
粧裕「えっ、無理だと思うよ?」
月「!?」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 11:54:55.59 ID:8Uae9uuO0
月「どういう事だ?まさか僕はその塾に行くほどのレベルじゃない
とでも!?」
粧裕「それもあるけど…」
月(あるのかよ!)
粧裕「年齢制限あるから無理だよ?お兄ちゃんが今から行っても…」
月「年齢…制限?」
粧裕「うん」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 11:58:09.57 ID:8Uae9uuO0
翌日。
月「けっきょく、僕は院生にもなれないし……趣味で碁を打つしかないのか…」
月「くそっ!なにが囲碁ノートだ、こんなもの!」バッ
月「いや……囲碁ノートは悪くない。悪いのは負けた僕だ…」
月「にしても妹にまであんなに負けるなんて……くそっ、イライラする…」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 12:00:27.72 ID:8Uae9uuO0
パチッ パチッ
月「……ん?」
月「囲碁部……うちの学校囲碁部なんてあったのか…」
月「どれ…」ガラララ
部員「あれっ、夜神くん!どうしたのさ?」
月「ちょっと碁に興味持ってね。囲碁部ってなにしてるか気になって…」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 12:03:31.80 ID:8Uae9uuO0
部員「本当?夜神くんが碁に興味持つなんて!」
月「部員は……三人?」キョロキョロ
部員「今日はみんな用事があってね」
月「ふぅん…」
部員「そうだ!夜神くん、一局打たない?僕、相手いなくて暇してたし」
月「いいの?」
部員「大丈夫、大丈夫♪」
月「なら……」ジャッ
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 12:06:11.41 ID:8Uae9uuO0
部員「お願いします」
月「お願いします」
〜〜〜1時間後〜〜〜
部員「ふぅ…」
月「ふぅ…」
部員「いやあ、恐れ入ったよ、さすがは夜神くん!」
月「君もね。最後のヨセでひっくり返されそうになった時は焦ったよ」
部員「またまたぁ♪」
月(くくくくっ……なんだ、勝てるじゃないか)
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 12:08:07.61 ID:8Uae9uuO0
部員「それにしても夜神くんならプロも夢じゃないかも」
月「そんな大袈裟だよ」
部員「そんな事ないって!夜神くんならなれるよ、絶対」
月「そうかなあ?」
部員「うんうん♪」
部長「なんだ、お前負けたのか?」ヒョイ
部員「あっ、部長!」
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 12:11:34.97 ID:8Uae9uuO0
部長「そんなんじゃ下の部員に示しがつかねーぞ」
部員「てへへへへ」
部長「にしても、夜神くん凄いな、まさかうちの三将やぶるとは」
夜神「三…将?」
部員「あれ、言ってなかったけ?俺、三将なんだ」
部長「ちなみに大将は俺な」
部員「まあ、こんな弱小囲碁部の大将の棋力なんてたかが
知れてるけどね、あはははは」
部長「てめっ!?」
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 12:13:22.11 ID:8Uae9uuO0
部員「じょ、冗談冗談だって♪」
部長「いや、さっきのは傷ついた、傷ついたぞ!」
月(こいつが、三将?しかも弱小囲碁部だって?)
月(そんなのに勝って僕は喜んでいたのか?)
月(井の中の蛙もいいとこだ…)
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 12:19:49.05 ID:8Uae9uuO0
部員「夜神くん?」
部長「ふむ……もしかして全国模試一位の夜神くんはうちの
囲碁部よりももっと強い奴とやりたいのか?」
月「いや、そういうわけじゃ…」
部長「教えてあげようか?強い奴がいるとこ」
夜神「!?」
部員「部長、まさか…」
部長「どうなんだい、夜神くん?」
月「……いるのか、碁が強い奴が?」
部長「ああ、それもとびっきりな」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 12:21:28.49 ID:8Uae9uuO0
そして。
月「ここが部長に教えてもらった碁会所か…」
月「本当にこんなトコに強い奴が?」
月「……」
月「考えてもはじまらない…行こう!」ザッ
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 12:26:04.00 ID:8Uae9uuO0
ガララッ
市河「あら、いらっしゃい」
月「どうも…」キョロキョロ
市河「どうしたの?」
月「ここに強い人がいると聞いて…」
市河「強い人?ああ、アキラ君のことね」
月「アキラ?その人が強い人なんですか?」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 12:28:19.01 ID:8Uae9uuO0
市河「あなたアキラ君を知らないの?」
月「打てますか?その人と」
市河「えーっと……やめといた方が」
塔矢「呼びました?」ヒョイ
市河「あっ、アキラ君」
月(子供っ!?)
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 12:32:18.04 ID:8Uae9uuO0
塔矢「ボクに用ですか?」
月「キミがここの碁会所で一番強いの?」
塔矢「ええ、まあ…」
月(部長はこんな子供が強いと言ってたのか?情けない)
月(こんなおかっぱ頭にやられるとは…)
塔矢「あの…」
月「塔矢くん、だっけ?」
塔矢「はい」
月「一局打ってくれないか?」
月(僕がこんなおかっぱにやられる筈がない!勝負だ!)
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 12:35:00.85 ID:8Uae9uuO0
〜〜〜30分後〜〜〜
月「くっ…」
塔矢「……」パチッ
月「負け……ました…」
塔矢「ありがとうございました」
月「あり…がとう…ございました」
月(何故だ……何故こんな粧裕とたいして年も変わらなさそうな
子供なんかに!)
月(子供……?)
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 12:41:07.79 ID:8Uae9uuO0
月「もしかして……君は院生か?」
塔矢「いえ、違いますけど」
月「じゃ、じゃあなんでこんなに強いんだ」
月「プロじゃなきゃこんなに強いのは院生くらいじゃ…」
市河「あ〜あ、やっぱり」
月「!?」
市河「あのねえ、確かにアキラ君は院生でもまだプロでもないけど、
プロ顔負けの実力なのよ?それに、今プロ試験受けてるから
もうすぐプロになっちゃうけど」
月「プロ!?」
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 12:44:33.53 ID:8Uae9uuO0
塔矢「あっ、はい」
月「君がプロ試験?まだ子供じゃないか」
塔矢「碁のプロ試験は子供でも受けれるんですよ。
というより、若くプロになる方が多い世界なんです」
月「そうなのか?」
塔矢「先程院生の話も出ましたが、たしか院生も18歳まででしたし」
月「ハッ…!?」
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 12:50:56.23 ID:8Uae9uuO0
月「そうか……だから粧裕は…」
塔矢「あの…」
月「塔矢くん…」
塔矢「はい」
月「君と打てて良かったよ、ありがとう」
塔矢「いえ、こちらこそ…」
月「また、打ってくれるかい?」
塔矢「え?」
月「次は……負けない!」キッ
塔矢「…………いつでもどうぞ」
月「……」バッ
111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 12:55:02.02 ID:8Uae9uuO0
帰り道
月「くそっ……くそっ……くそっ!!!」
月「また負けた…」
月「しかもあんな子供に!!!」
月「何故だ!なぜ勝てない!?」
月「あいつの手は全部読んでいたのに!」
月「いくらプロ試験を受けるような奴だからって、僕があんな子供に!」
月「くそっ!」
???「ふふふふふふ、荒れてるな」
月「!?」
月「誰だ!?」
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 12:56:31.48 ID:8Uae9uuO0
リューク「俺だ」バッ
月「う、うわあああああああああ!?」
リューク「なにをそんなに驚く?囲碁ノートの持ち主、リュークだ」
月「囲碁ノート?ああ、あれか…」
月「すっかり忘れてたよ…」
リューク「ひどっ!?」
119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 12:59:31.04 ID:8Uae9uuO0
月「それでその落し主が何の用だ?ノートを返して欲しいのか?」
リューク「ノートを返してほしい?くくくっ、バカな」
リューク「もう、あのノートはお前のモノだ、好きにしろ」
月「……ふうん」
リューク「その様子だとあのノートがふつうのノートじゃないとは
まだ気付いてないみたいだな」
月「なに?ルール説明と棋譜が書いてるだけのノートじゃないのか?」
122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 13:03:26.72 ID:8Uae9uuO0
リューク「くくくくくっ、何を寝ぼけた事を…」
リューク「そんな何の変哲もないノートを俺が落すかよ」
月「じゃ、じゃああのノートに他に何があるって…」
リューク「あのノートにはまだ余白があっただろう」
月「ああ…」
リューク「そこに勝敗をあらかじめ書き込んでおくと、その通りになるんだ」
月「!?」
月「そんなバカな!?」
リューク「嘘だと思うならやってみろよ」
月「そんな……こと…」
リューク「負けっぱなしでいいのか?」
月「!?」
130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 13:05:06.78 ID:8Uae9uuO0
月「しかし…そんないかさまみたいな事…」
リューク「どんな勝ち方でも勝ちは勝ちだ」
月「!?」
リューク「試しに一回くらい使っても良いんじゃないか?」
月「本当だろうな?」
リューク「くくくくくっ」
月「…………」
134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 13:08:02.52 ID:8Uae9uuO0
帰宅
月「……」ガチャ
粧裕「あっ、お兄ちゃんお帰り〜」
月「……」ドタドタドタ
粧裕「あれ?」
〜〜〜月の部屋〜〜〜
バタン ガチャ
月「……ふ、ふふふふふ」
月「ふははははははははははは!」
月「囲碁ノート……本物だ!」
139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 13:13:57.72 ID:8Uae9uuO0
リューク「だから言っただろう」
月「リューク……聞きたい事がある」
リューク「なんだ?」
月「この囲碁ノート、僕は勝つと分かって書き込んだ」
リューク「ああ」
月「覚悟はできてる。僕はどうなる?魂をとられるのか?」
リューク「魂?」
141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 13:17:26.45 ID:8Uae9uuO0
リューク「なんだそれ、人間の作った勝手な空想か?俺はお前に何もしないし、訴えない」
リューク「おまえが拾った瞬間からそれはお前のモノだ」
月「僕のもの…」
リューク「いらなきゃ他の奴にまわせ。俺はそいつに憑く」
月「……」
リューク「それから元俺のノートを使ったお前にしか俺の姿は見えない」
リューク「もちろん俺の声もお前にしか聞こえない。これがどういう意味か分かるか?」
月「いかさま……しほうだい!」
147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 13:21:34.81 ID:8Uae9uuO0
リューク「けど俺に出来るのは棋譜がつかない聖地のズルくらいだ」
月「その他のズルをしようとするとバレル…か」
リューク「その通り。あとプロや院生を相手にする場合はそんなズル
も無理だろうけどな」
リューク「あいつらレベルになると直ぐにズルに気付いちまう」
月「なんだ、意外と使えないな…」
リューク「くくくくくっ、けどな…」
月「そのために囲碁ノートがあるんだろ?分かってるよリューク」
リューク「くくくくくっ…」
152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 13:25:41.38 ID:8Uae9uuO0
月「僕は囲碁ノートを使って……プロになる!」
リューク(やっぱ人間っておもしろっ!)
月「そうと決まれば早速粧裕と打つぞ」
月「こないだ負けてムシャクシャしてたんだ」
リューク「粧裕?ああ、妹か」
月「妹といって侮るな。流石は僕の妹、しかも院生だ」
リューク「クククククッ…」
月「?」
月「まあ良い…えーっと夜神粧裕…中押しで…」カキカキ
155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 13:29:13.74 ID:8Uae9uuO0
粧裕「お兄ちゃ〜ん、ちょっといい?」トントン
月(なんだ、さっそく来たか手間が省けてちょうどいい)
月(負けて僕のことを見直すがいい!)
月「待って、今開けるから!」
粧裕「えへへ〜、また宿題で分かんないとこがあって」ガチャ
月(くくくっ……まだだ、まだ笑いをこらえるんだ!)
粧裕「あれっ、お兄ちゃん?」
月「なに?」
粧裕「その後ろの大きい人、誰?お兄ちゃんの彼女?」
月「!?」
163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 13:36:51.99 ID:8Uae9uuO0
月「お前、リュークが!?」
月(ハッ……そういえばあの時!)
粧裕「はじめまして〜」ペコリ
リューク「くくくくっ、どうも…」ペコリ
粧裕「さっ、お兄ちゃんやっぱり宿題はいいから打とっか?」
粧裕「粧裕、イカサマする人なんかに負けないよ?」テヘッ
月「……う」
粧裕「弱虫」
月「うわああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
この日を境にして、夜神月は碁を打つのをピタリとやめたという。
その後、彼がどうなったかを知る者は誰もいない。
しかし所説によると、なんでもあまりの無念さに囲碁ノートに 取りついて死んだとか。
そのノートは後の世でこう呼ばれている。
『DEATH NOTE』と……。
夜神月「囲碁ノート?」 終わり
165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/10(木) 13:38:40.02 ID:8Uae9uuO0
やっつけSSオワタ
読んでくれた人いたらありがとうございました