2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:22:09.94 ID:jUiic/wb0
代行どうもです
ちなみに初SSですけど、よろしく
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:22:59.59 ID:jUiic/wb0
俺は何かに向かって手を伸ばしていた。
埃や塵が舞っていて、何に手を伸ばしているのかがはっきりわからない。
頭が痛い……脳に直接何かが入ってくるような感じだ。記憶がかき回される。……いや、これも記憶の一部なのか。
目の前の景色が変わる。
銃を構えた男が見える。こちらを向いたと思えば、ビデオの逆再生がかかったように向こうを向いてしまった。
意識が持たないぞこんちくしょうめ、と思った時、目の前が急にはっきりと見えるようになった。
俺はひたすら手を伸ばしていた。瓦礫の中、光を輝く石柱―――『モノリス』に。
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:24:27.21 ID:jUiic/wb0
事の始まりはこうだった。
何でもない日の放課後、掃除当番を終えて部室へたどり着くと、珍しくハルヒがヘッドホンをしてパソコンに向かっていた。
どうやらゲームをしているらしい。古泉がそのゲームのパッケージを持ってきた。
箱には「S.T.A.L.K.E.R.」と書かれていた。
キョン「これ、なんて読むんだ?」
古泉「『ストーカー』ですよ」
キョン「ストーカー?好きな相手を一方的に付け回すっていう……」
古泉「大抵題名だけを聞くとそう思われる方がほとんどでしょうね。しかし、実際は本格的なFPSですよ」
FPS……ってシューティングゲームの一種だったな。
古泉が箱から説明書を出して俺に見せる。
うわっ!全部英語かよ。
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:25:20.17 ID:jUiic/wb0
古泉「ご安心ください。日本語表示にすることもできますから」
キョン「そうなのか。しかし、なぜハルヒはこんなのをやり始めたんだ?」
古泉「暇つぶしにでも、と僕が持ってきました。意外に受けが良かったようで……」
んっふ、といつもの口癖を交えて続ける。
古泉「なかなか楽しいですよ?いくつか持ってきましたので、ひとついかがです?」
キョン「生憎だが、俺の部屋にはパソコンがないんでな」
それ以前に、俺はFPSというジャンルのゲームをしたことがない。
というか、なぜ同じものをいくつも持ってきているんだ。
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:26:12.85 ID:jUiic/wb0
みくる「すみませぇーん。遅れちゃいました〜」
ノックと共に部室の戸が開き朝比奈さんが入ってきた。
そして入れ替わるように俺たち男子は外へ出る。
キョン「しかし、パッケージだけだと内容の想像がつかんな」
『S.T.A.L.K.E.R.』と書かれたそれには、荒廃したであろう地をバックに、動物の顔とも取れるような取れないようなモノと兵士が一人いる。
あれか?バイオハザード的なゲームか?
古泉「チェルノブイリ原発事故をご存知でしょうか?」
古泉がこのゲームのあらすじを話し始めた。
ソ連にあったチェルノブイリ原子力発電所が爆発を起こして数十年後、再びそこで謎の爆発が起き『ZONE』と呼ばれる地域ができた。
放射能で汚染されたその地域は封鎖されたが、『ストーカー』と呼ばれる人々は、様々な理由でZONEで暮らしていた。
主人公もそのストーカーの一人で、事故にあったところを助けられた後、失くした記憶を取り戻すため旅に出る――
ずいぶん端折ったが、そういうストーリーらしい。
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:27:56.88 ID:jUiic/wb0
そんな感じに扉の前で暇をつぶしていると
みくる「きやあああ!」
朝比奈さんの叫び声が聞こえてきた。
これは黙っちゃいられない
キョン「朝比奈さん!何が……」
扉を開けるとメイド服に着替え終わった朝比奈さんが飛び込んできたっ。
うれしいことこの上ないな。
胸で泣きじゃくる朝比奈さんを受けとめながらパソコンの方へ眼を向けると、ハルヒが愚痴を垂れてマウスをガチガチ動かしていた。
もう少し優しく扱え。壊れるぞ。
キョン「それより朝比奈さん。いったい何があったんです?」
みくる「ふぇえええすみませぇん……涼宮さんのやっているゲームが怖くてつい」
あああ大丈夫ですよ朝比奈さん。俺でよければいくらでも抱き着いていいです。
むしろ抱き着いてください。
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:29:08.99 ID:jUiic/wb0
ハルヒ「びっくりしたわね、この怪物!食らいなさい!」
画面をのぞいてみると、薄暗い下水道のようなところで銃をぶっ放していた。
そこには何とも言えない形をした死体が転がっている。エイリアンか?
さっきからマウスをガチャガチャしてたのはこいつを倒すためなのか。
キョン「ハルヒ、そんなに乱暴にすると壊れるぞ」
長門「……」
――――
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:30:19.08 ID:jUiic/wb0
パタン
長門が本を閉じる。部活終了の時間だ。
もうこんな時間か。
古泉「涼宮さん。お楽しみの最中申し訳ありませんが、部活終了の時間になりましたよ」
ハルヒ「え?……うーん、残念ね。古泉君、明日も借りていいかしら?」
古泉「ええ、どうぞ」
しかし今日も疲れたな。
というわけで俺は速攻で家へ帰り、寝た。
―――
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:31:47.81 ID:jUiic/wb0
古泉「お目覚めですか?」
その声と共に目を覚ますと、一面灰色の学校に俺はいた。お馴染みの閉鎖空間だ。
ただいつもと違い、古泉がすでに俺の横にいた。
顔が近い!なんでいつもお前はそう顔を近づけるんだ。
キョン「で、これは一体どういうことだ」
古泉「正直僕にもわかりかねます。この閉鎖空間には神人が存在しない」
長門「正確に言うとここは閉鎖空間ではない」
長門、いたのか。
長門「ここは涼宮ハルヒの夢の一部と閉鎖空間が重なったもの。特異な存在である私とあなたと古泉一樹、その他を除いてすべて涼宮ハルヒの想像」
古泉「つまり、閉鎖空間とは違い世界を塗り替えるようなことは起こらない、と?」
超能力者代表、古泉が聞いた。
後で俺にも説明してくれよな。
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:32:50.53 ID:jUiic/wb0
長門「この空間は通常の閉鎖空間と同様に拡大を続けている」
古泉「神人を倒せば消滅……というわけではないようですね。それを防ぐには?」
長門「涼宮ハルヒがこの世界において望んでいることを私たちが遂行する。いわばこの世界はゲームの世界」
古泉「ふむ。わかりました」
おいおい、俺を置いていくな。
俺はこれっぽちも理解できていない。
古泉「では、どのように閉じればよいのでしょう?」
長門「おそらく昨日遊んだゲームの影響を非常に強く受けている。」
長門「涼宮ハルヒはあのゲームの続きが気になってこの空間を生み出した。つまりこのゲームをクリアすれば閉じると思われる」
困ったもんだ。あいつは遠足前の子供か?
で、誰がクリアすればいいんだ?
長門「……恐らく、あなた」
長門が細い指で俺を指す。
おいおい俺だと?この手のゲームは全くやったことないんだぞ!?
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:33:48.55 ID:jUiic/wb0
長門「この世界は涼宮ハルヒの身近な存在が元となって構成されている。そして最も特別な存在であるあなたが主人公と考えるのが妥当」
古泉曰く、鍵だという俺。
ハルヒは俺に何を望んでいるんだ……
そんな風に愚痴を垂れていると、灰色の世界が虹色に変わり始めた。
うえ、気持ち悪い。
長門「もうすぐ世界がゲームの世界へと改変される」
高校だったはずのそこは徐々に姿を変え、広い草原へと変わっていった。
長門「私たちもそれぞれが別のところへ飛ばされるであろう。あなたともいずれ会う時が来るかもしれない」
長門「でも一つだけ覚えておいて。私たちのような特異な能力を持つ人間以外はすべて涼宮ハルヒの想像」
長門「迷ってはダメ」
その言葉の意味がよくわからないまま、長門は消えてしまった。
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:34:28.98 ID:jUiic/wb0
古泉「……どうやら僕の方もお呼びのようですね」
古泉の体が下から光に変わっていった。
古泉「この世界、あなたに託しますよ。では、またどこかで」
わけのわからないまま世界を託され、古泉が消えていった。
そして俺もまた、気づかぬ間に光へと変わって――
―――――――――――――
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:36:07.72 ID:jUiic/wb0
ザアアアアアア……
ブロロロロロロ……
激しい雨とエンジン音のうるさい音で、俺は目を覚ました。
頭が痛い。
キョン「ここ、どこだ……?」
エンジン音が雨音とともに夜の闇へと消えていく。
ガクガクと細かい揺れが体へ伝わってくる。
どういうわけか、俺は今トラックの荷台にいるらしい。
キョン「すいませーん!降ろしてくれませんか?」
運転席に通じるであろう窓を叩いてみるが、反応がない。
居眠り運転でもしてるんじゃないんだろうな?
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:37:27.30 ID:jUiic/wb0
ガクン!
大きめの段差があったのか、車両全体が大きく揺れる。
中途半端な膝立ち態勢だった俺は、その衝撃に成す術もなく荷台の端へ転がった。
キョン「いてえ!」
危ない危ない。もう少しで落っこちるところだった。
荷台にかけられた幌の隙間から外を見る。
ゴオッ!
雷が光る。稲光がこちらへ一直線に向かってくる!
キョン「やべえっ!」
逃げようと足を動かす間もなく、再び俺の意識は彼方へと飛ばされた。
――――――――――――
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:38:31.15 ID:jUiic/wb0
次に目が覚めたのは、やたらと狭いところだった。
豆電球がぶらりとぶら下げられ、淡い光を放っていた。
テーブルで寝かせられていたのか、腰が痛い。
俺はあの後どうなったんだ?
「名もなきストーカーに助けられたんだよ、君は」
懐かしい、聞き覚えのある声がした。
振り返ると、中学のころと変わらない佐々木がそこにいた。
佐々木「お目覚めのようだね、キョン。君は相変わらず面倒事に巻き込まれているようだが」
ああ、俺たちの団長様のせいでな。
少しは加減というのを考えてほしいね。
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:39:43.00 ID:jUiic/wb0
佐々木「くつくつ。ところで、君は自分が置かれている状況が理解できているのかい?」
キョン「ハルヒのせいでゲームの世界に飛ばされ、宇宙人と超能力者に変な話を聞かされ、雷に撃たれてここにいる、というとこか?」
佐々木「そうじゃない。この世界で君がどういう立場にいるか、を理解しているのかということだよ」
さぁ知らないね。
大体、こんな事態に巻き込まれて状況を理解できる奴がいるのか。
キョン「というか佐々木、お前は『現実の』佐々木なのか?」
佐々木「くつくつ。それは難しい質問だね、キョン。ここはあくまでも涼宮さんの世界だ。涼宮さんが作り出した世界。僕らはその世界の一部分にすぎないのさ」
佐々木「たしかに僕は君との思い出も覚えているし、つい先ほどまで自分の部屋で寝ていたのも覚えている」
佐々木「だがこの世界での自分の役割がすでに頭の中にあるように、この記憶もまた植えつけられたものなのかもしれない。さて、君はどう思う?」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:41:50.37 ID:jUiic/wb0
キョン「宇宙人に連れ去られた人の証言みたいなことを言うな。」
宇宙人の長門なら難なくできそうだが……それより
キョン「ところで、俺はここでどうすればいいんだ?」
佐々木「そうだね、本題に入ろうじゃないか。もたもたしていると空間が拡大し続けてしまう。この拳銃を持ってキャンプにいるWolfという人物に会ってくれ。仕事がもらえるはずだ」
佐々木が拳銃を俺に渡す。マガジン数個と一緒に。
ほー、これが拳銃か。思ったよりも重い―――おいおいおいちょっと待て!
いきなり銃を渡されても扱い方なんて俺は知らないぞ!
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:42:34.31 ID:jUiic/wb0
佐々木「キョン、そう言いながらも君はすでに銃に弾を装填しているんだ。わからないのかい?」
手を見ると、無意識に拳銃を手慣れたように扱っている俺がいた。
気付かぬ間にかゆいところを掻くように、カチャカチャと。
キョン「どういうことだ?」
佐々木「僕にこの世界での記憶があるように、君にもこの世界での記憶や勝手というのが頭にあるんじゃないのかな?」
佐々木「涼宮さんの、この世界で都合のいいようにね」
さながらご都合主義ってところか。
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:43:47.89 ID:jUiic/wb0
ところで人名や地名はカタカナにした方がいいだろうか?英語のままでいいだろうか?
キョン「とにかくWolfっていう人物に会えばいいんだな」
佐々木「気を付けて行ってくれよ、キョン。この世界では、セーブやロードなんてできやしないんだ」
どうせ再現するのなら、そこも再現してほしいんだがな。
キョン「じゃ、行ってくるよ」
佐々木に差し出されていた水を一気に飲み、後ろの思い思い扉を開ける。
地下だったのだろう、階段が上に続いていた。
そして佐々木が一言。
佐々木「くつくつ。グッドハンティング、ストーカー」
その佐々木の言葉が、俺はすでにこの世界の住人なんだということを自覚させたように思えた。
――――――――――――――――――――――――――
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:45:00.18 ID:jUiic/wb0
キョン「うおっまぶし!」
地下から急に出たらそりゃあ目が眩むだろうよ。
とりあえずWolfって人を探さなきゃな。
「おーい、あんたか?キョンって奴は?」
キャンプというより、たまり場といった方が正しいような感じだな。
焚き火の近くに、映画でよく見る軍隊の格好をした人がいた。
Wolf「佐々木から話は聞いている。俺たちの仲間を助けるのに協力してほしい」
なんだろう。俺の直感が反応している。
そう、今までハルヒの面倒事に巻き込まれてきた俺の勘が。
キョン「はぁ……。で、俺はどうすればいいと?」
Wolf「PDAをだせ」
PDA?なんだそりゃ?
と思いつつも俺の体は勝手に反応していた。ちくしょう、ご都合主義め。
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:47:05.08 ID:jUiic/wb0
Wolf「なんだ。お前何か作業してたのか?」
機械の画面を見ると、パソコンで言うメモ帳のような画面が開いていた。
そこには『KILL THE STRELOK』と書かれていた。
――ストレロクを殺せ?物騒だなおい……
とりあえず保存作業っぽいことをして、マップを開いた。
Wolf「えーと、ここだ。マークしている場所に行って、俺の仲間と合流してほしい」
どーせゲームなんだ。拒否権がないんだろ?
わかったって。
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:48:10.07 ID:jUiic/wb0
PDAというiPhoneより少し大きめの電子機器に導かれながら、俺は目的地へと向かっていた。
ここでいうスマートフォン的存在らしい。
さて周りを見渡すに、アスファルトはひび割れ、そこらにはちらほらと廃車やよくわからない錆びた部品が落ちてたりしている。
ちゃんと片付けなさい。俺の部屋でさえ、こんなに散らかってないぞ。
なぜこんな独り言を言っているのかというと、そうしなければ気が変になりそうだからだ。
現に、左前方には顔の崩れた犬の群れがワンワン鳴いていて、もう少し手前には人がうめきながら倒れていて―――
「パマギーチェ……(助けてくれ……)」
キョン「うおおおおお!?だいじょうぶですかー!?」
「さっきメクラ犬の野郎にかじられて……救急キットを……」
俺は佐々木に銃と一緒に渡されたバックを慌ててひっくり返す。何かないのか!?
―――あった。見慣れた十字マークの医療キットっぽいのが。
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:49:19.21 ID:jUiic/wb0
キョン「ほら、これでいいか?」
キットらしいものを手渡すと、その男は慣れた手つきで傷口に張っていった。
こんなことになるなら、俺もサバイバル技術の一つぐらい学んどきゃよかったな。
ストーカー「スパシーボ(ありがとう)兄弟!お前は俺の命の恩人だよ」
キョン「いえいえ、人として当然のことをしただけですよ」
ストーカー「……兄弟、もしかして、まだルーキーか?」
ルーキー?ああ、初心者って意味か。
ええそうですとも。さっきここに放り出されたばっかだ。
ストーカー「そうか。お前がこれからどこへ行くのかわからないが、役に立つ情報を教えておいてやろう」
思えば俺はここについてほとんど知らない。
勘みたいなのはあるらしいが、正直あてにしたくないもんだ。
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:50:22.26 ID:jUiic/wb0
ストーカー「まず南、お前が歩いていた方向と真逆の方だ。ずーっと行くと軍の前哨基地がある」
あー、たしかにキャンプ出るとき右見たら兵隊っぽいのが歩いてたな。あれが軍なのか。
ストーカー「あそこには近づくな。一瞬で蜂の巣にされる」
物騒な……。
話を聞いていくうちに、いろいろわかったことがあった。
一つ、軍はZONEで生活するストーカーたちと敵対している。
二つ、放射線の影響でいろいろな化け物が住み着いていたり、『アノマリー』と呼ばれる局地的な超常現象が多数あるということ。
三つ、これが最も重要なんだが……
生き残りたければ何でもしろ、と言われた。
ZONEでは全うな仕事などほとんどない。だが金を稼ぐためには仕事をしなければならないからな、常識的に。
物を届けろ、取って来いという仕事だけでは食ってはいけない。現実だって、そうだろ?
人を殺せ、嵌めて来い、半殺しにしろ―――そんな仕事も、時には受けなければならない。
仕事がないときは最悪、他人を殺してはぎ取るゲス野郎に成り下がらなければならない。逆も然りだ。
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:51:46.36 ID:jUiic/wb0
ストーカー「ここ、Cordon(コードン)はまだ穏やかな方だが、北のGarbage(ガーベッジ)や北東のDarkValley(ダークバレー)は気を付けた方がいい」
ストーカー「特にダークバレーはやめとけ。Bandits(盗賊)が城を作っているからな」
じゃあな兄弟、とそのストーカーは去って行った。
さて、俺も目的地へと行かなきゃな。
43 名前:357[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:53:00.31 ID:jUiic/wb0
「おーい、こっちだ」
草木の中をとぼとぼと歩いていると、数人のストーカーに呼び止められた。
どうやらこの人たちがWolfの仲間らしい。
そいつは正面に見える小屋の方を指さしながら、マシンガンもびっくりの説明を始めた。
「早速で悪いが時間がない。手短に説明する」
「あの小屋に俺たちの仲間の一人、Nimbleって奴が捕まっている。それを今から助けに行くんだ。いいな?」
よほど時間がなかったのか、こちらの返事を待たずにほかのメンバーに指示を出し始めた。
どうやら俺は、初っ端から危ない仕事に首を突っ込んでいたらしい。
佐々木め――いや、これはゲームだから仕方のないことか……。
「よし行くぞ。スリー、ツー、ワン―――ファイア!」
気付けば周りの人たちが銃を撃ち始めていた。中には果敢に突撃する奴もいた。
しかし、銃声って思ったよりうるさいんだな。かなり耳が痛くなる。
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:54:52.85 ID:jUiic/wb0
「おいルーキー!お前も来たんだったらはよ行け!」
は、はよ行けって、俺が突入する係かよ!?
ハルヒの無茶な命令とどっこいどっこいじゃないか!
あ、この世界もハルヒが作ったのか。
拳銃を構えながら、草にまぎれて進む。
……体が勝手に動く。まるで、幾度も経験してきたように。
キョン「わわっ!」
震える足を、気合と根性で押さえながら突き進む。
キョン(おお、勢いで何とかなるもんだな―――) バヒュン!
耳の横を何かが通り過ぎた。なんだ? バヒュン?
―――銃弾だよオイィ!!
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:56:13.08 ID:jUiic/wb0
キョン「やべぇ!マジこええ!こういうのはもう一人の俺の役じゃないのか!?木刀持った奴!」
自分でも訳の分からない言葉をつぶやく俺。
どうにか声と体を震わせながら正門っぽいところの壁に身を隠すことにした。
「ンーマツォバショー!」
怒号と銃声が響くって、小説とかでは何度も見たことあるけど、実際に聞くと笑ってられねえよ。
てかなんだよ松尾芭蕉マツオバショウうるせぇ!
そんなお前は日本で古今和歌集でも読んでろ!……あれは違うか。
キョン「あーもう!やけだやけ!どうにでもなれ!」
ちょうど頭の上ぐらいにあった窓に、手と銃だけを出して適当に撃つ。当たったかどうかもわからない。
手首に撃った衝撃が走る。案外来るもんなんだな。
そして撃ち続けているうちにあることを思い出す。
そうだ、これは一応現実に近い夢なんだ。ゲームみたいに、銃の中に弾が何発残っているなんて教えてはくれない。
ましてやそれを毎回覚えられるほど俺は賢くない。
おそらくこの銃の弾が切れるだろうということだけがわかる。
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 15:59:09.09 ID:jUiic/wb0
キョン「片手にマガジンもって、すぐに変えられるようにしておかなきゃな」
つまるところ、弾が切れる前にどうにかしなければならないわけだ。
長門も言っていた。この世界はハルヒの夢、現実じゃない。
キョン「迷ってはダメ、か。軽く言ってくれるぜ、長門よぉ……」
周りにいた味方が門から侵入する。
それに倣って突入すると、上から鉛球の雨が降り注いだ。
「トラックだ!トラックを壁にして打ちまくれ!」
とにかく俺は引き金を引いた。
すべてのマガジンを撃ち尽くすまで。
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 16:01:12.02 ID:jUiic/wb0
そうこうしているうちに戦いが終わった。
何発撃ったのか、何人殺したのかも覚えていない。
罪悪感も感じない。奇妙な感じだ。
目の前に倒れてる死体を漁る。これも、ここで生き残るためには仕方のないことだ。
キョン「9x18mm弾……なんでこんな銃弾の種類を知ってるんだろうか」
ふと、気配を感じて後ろを振り向くと、一人のストーカーが立っていた。
「あんたが佐々木から雇われたルーキーかい?助かったよ」
そうはいわれても、俺は銃を撃ってただけですがね。
話を聞いていくと、どうやらこの人がNimbleという人だったらしい。
どうも佐々木に大事なデータが入ったフラッシュメモリーを渡そうそしていたときに、Banditsに襲われたらしい。
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 16:05:49.26 ID:jUiic/wb0
Nimble「これがそのフラッシュメモリーだ。佐々木に渡してやっておいてくれ」
二言三言話を交えた後に、俺は佐々木の店がある方へと歩いて行った。
「おっ、新兵が帰ってきたぜ」
「お疲れさん。一杯どうだ?」
その声に反応して振り向くと、ウォッカ瓶を数本抱えた男たちが立っていた。
ちょっと立ち寄ってみると、意外にいい人達で、パンとかソーセージとかをくれた
ついつい乗せられて数口ウォッカを飲んでみる。
吐いた
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 16:07:49.41 ID:jUiic/wb0
他のストーカーたちに笑われ慰められながら、仕事を終えるために佐々木の地下へ向かう。
改めてみてみると、それは地下壕のようなところになっていて、正面には重たい扉がついていた。
佐々木「くつくつ。どうやら無事に生き延びれたようだね」
扉の向こうにいるのが俺とわかるや否や、変わらない口調で佐々木が話し始めた。
キョン「おかげさまでな。で、これを持ってくれば良かったわけか?」
佐々木「ああ、その通りだ。お礼と言ってはなんだが、いくらかの報酬を出そう」
よくよく考えてみれば、俺はこの世界の金を持っていない。Ruという単位だったか?
佐々木「ほら1500Ruだ。受け取ってくれ。弾とかご飯も買わなきゃいけないだろう」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 16:09:35.93 ID:jUiic/wb0
まだ残ってはいますが、もうちょっとで切れそうです
切れてもめげずに頑張りたいです
佐々木「ちなみに日本円にすると4,537円だ。1Ruは約3円らしい」
キョン「ここの物価がわからないと、高いとも安いともいえんがな」
佐々木「僕の店でもいろいろ売っている。さぁ、買っていくといい」
キョン「そうだな、どれどれ……これをもらおうか」
佐々木「ふむ、それだけじゃあ物足りないだろう。これもどうだい?」
その日、佐々木の口車に乗せられ、報酬はすべて佐々木のもとへ帰って行ってしまうことになった。
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 16:11:06.41 ID:jUiic/wb0
二日目の朝。
妹のとび蹴りを食らうこともなく、穏やかな朝を迎えた。
いや、穏やかとは言い難い。昨日のウォッカのせいか少し頭が痛い。
昨夜、俺は佐々木の店で寝泊まりさせてもらい、早速次の仕事にかかることにした。
キョン「で、次の仕事はなんだ?」
佐々木「ふむ、君もこの世界に慣れてきたようだね。キョン」
キョン「おまえほどじゃねえさ」
少しばかり話した後、佐々木が本題を切り出した。
佐々木「さて、本題に入ろう。まずはこのPDAをみてくれ」
佐々木がPDAをだし、地図機能を呼び出した。
そして自分の位置から北西へそこそこ行ったところに緑の印がついていた。
下にはその位置の名称だろうか。
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 16:12:54.65 ID:jUiic/wb0
キョン「Agroprom(アグロプロム)研究所……?」
佐々木「そう。僕が依頼した別のストーカーたちが手に入れた情報によれば、軍の研究所に『北へ辿り着いた人間』の資料があると聞いたんだ」
佐々木「ただ、当然軍の研究所ゆえに警備は厳しい。でも、情報屋としてはその情報は何としてもほしいものなんだ」
佐々木「君も聞いたことがあるだろう?北へ行った、唯一の人物の話を――」
キョン「……ちょっと待ってくれ!軍の研究所に盗みに入れと?無茶な」
キョン「それにだ、俺はここの世界をよくわかっちゃいないんだ。説明してくれないか」
佐々木「おっとそれはすまない。さて、どこから説明しようか」
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 16:14:12.96 ID:jUiic/wb0
佐々木「ここ、ZONEの北に位置するチェルノブイリ原発……。あそこは『未開の地』なんだ。その名の通り、誰も入ったことがない」
キョン「原発事故跡っていうと、そりゃ放射能とかも濃いだろうしな」
佐々木「いや、放射能だけなら問題はないんだ。Yantar(ヤンター)にいる科学者の方々が着ている防護服は、完璧に放射能を防げる性能らしい」
キョン「それはそれは……。だったら、何が問題なんだ?」
佐々木「そこがわからない。実は北に行ったものはだれも帰ってきていないんだ。ある人物以外はね」
キョン「ある人物?」
佐々木「Strelokという奴さ。その人物率いる一派は北に達して帰ってきた――らしいんだ」
ストレロク……?どこかで聞いたことがあるような―――そうだ、あのPDA!
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 16:15:57.18 ID:jUiic/wb0
キョン「佐々木!そいつについて詳しく教えてくれ!」
自分のPDAを引っ張り出し、確かに佐々木の言った人物と同一であったことを確認した。
佐々木「キ…キョン?どうしたんだい、いきなり……」
つまり、そのストレロクとやらは、俺と関係があったはずだ。だから……
キョン「俺は、そいつを追わなければならない……」
PDAに書かれた『KILL THE Strelok』。本当に殺さなきゃいけない奴なのだろうか?
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 16:18:52.75 ID:jUiic/wb0
佐々木「分かった話そう……と言いたいが、正直なところ僕もそれぐらいしか知らない」
佐々木「ちょくちょくここに来る人から聞く、北に辿り着いた人間というくらいしかね……」
佐々木「ただ、僕の欲しがっている軍の資料に載っているかもしれないよ?北に辿り着いた人の情報だからね」
くつくつ、と佐々木が笑う。コイツ、逃げ道を塞ぎやがった。
キョン「分かった分かった。行けばいいんだろう」
佐々木「すまないね。本当は君一人じゃなくて僕も行きたいんだが、店番があるからね……」
キョン「気にしてないさ。で、資料を取ってくればいいんだな?」
佐々木「ああそうだ。資料を取ったら、ここではなくBar(バー)のトレーダーに持って行ってくれ」
キョン「バー?飲み屋のことか?」
佐々木「ここから北、Garbageをさらに北へ抜けるとDuty(デューティ)という派閥の本拠地がある。そこで一般向けのバーがあるんだ」
佐々木「悪いが僕のところでなくて、そこへ持って言って欲しい」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 16:20:04.21 ID:jUiic/wb0
キョン「わかった。じゃ、行ってくるよ」
いつものハルヒの無理難題に慣れているせいか、気分でも気づかぬ間に承諾してしまった俺。
まぁ、あれだけいろいろ巻き込まれたらなあ……
佐々木「くつくつ、無事を祈るよ。グッドハンティングストーカー、キョン……」
見送りの代名詞らしい言葉を背中に受けて、俺は地下室を出た。
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 16:21:24.49 ID:jUiic/wb0
さて、Nimbleという奴を助けに行った道をまた北へ流離う。
目の前に現るるは崩壊した橋げた。下には軍の兵隊たちが居座っていた。
キョン「たしか、アイツらは友好的じゃないんだよなぁ……」
さて、となるとどうすればいいのだろうか。
佐々木『やぁ、お困りのようだねキョン』
突然ポケットから佐々木の声がっ!
よくよく見ると、それはPDAからの無線通信だった。
佐々木(PDA)「おそらくその橋には軍が駐屯していて通り抜けられないと思う。その橋の線路に沿って東に行くといい。柵が切れているところがあるはずだ」
どれどれ……おお、流石は佐々木だ!確かに柵が切れていて乗り越えられる。
軍の人に見つからないようコッソリと渡り終えた俺に、佐々木司令官殿からまた指示が下る。
佐々木(PDA)「その先にFoxという、調査に向かったストーカーの救難信号をキャッチした。助けに行ってやってくれ」
救難信号、SOSか。
まさか、いつも聞いている身近な単語がこんな場面で聞くことになるとはね……。
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 16:23:02.69 ID:jUiic/wb0
指示された場所に行くと、犬の吠える声と銃声が混じり合うように鳴っていた。
一人のストーカーが懸命に犬を追い払っている。
キョン「大丈夫ですか!?」
Fox「頼む、手を貸してくれ!弾が切れちまう」
ショットガンを持ったその男はFoxと名乗り、どうやらこいつがSOSしていたらしい。
Fox「その犬どもをどうにかしてくれ。足をかまれて動けねえ!」
キョン「右をやります。左を!」
犬の吠え声が次第に近づいてくる。痩せ細った犬の声が。
さて、拳銃一丁でどれだけやれるだろうか。知ったこっちゃねえや。
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 16:25:00.11 ID:jUiic/wb0
Fox「来るぞ、構えろ」
キョン「言われなくても」
エサを見つけたように犬が走ってくる。
おれは動物が好きだ。正直撃ちたくない。
だが、向こうはこっちの命を狙っている。守るためには抵抗しなきゃいけないのが、世の中だ。
キョン「おらっ、おらっ!」
銃の上の部分の後ろと前に凹凸のポッチがあって、それを合わせて引き金を引く。
するとあら不思議、銃弾がそこに飛んでいくんだ。
銃口と照準の間には少しばかりのずれがあるのに、なぜこう当たるように作られてるんだろうな。
Fox「なかなかいい腕してるじゃねえか。おらっ!」
Foxのショットガンが火を噴く。かなりうるさいが、数匹の犬を一気に巻き込んだ。
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 16:26:49.26 ID:jUiic/wb0
残り数匹の犬に銃弾を撃ち込むと、犬の鳴き声がやんだ。
どうやら終わったらしい。
目の前には犬の死体が並んでいる。正直、目を当てたくない。
Fox「いや、すまない。おかげで助かった」
いえいえ、と数回の会話を繰り返す。
Fox「そうか、お前が佐々木の言ってた奴かぁ。見ての通り、俺は足をかまれ、キャンプに帰るのが精いっぱいだ。資料を頼む」
キョン「はい……ああそうだ。資料の在り処を見つけた人なんですよね?ストレロクって、一体誰なんです?」
Fox「ストレロク……ああ、アイツの事か。すまんが、俺は資料のありかを見つけただけでよく知らん」
Fox「Garbageにいる弟のSeriyがよく知っているはずだから、そいつに聞いてくれ。PDA……ここ、ここにいるはずだ」
男の指したところに緑色のマークがつく。ここか。
Fox「いい旅を!ストーカー」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 16:28:28.55 ID:jUiic/wb0
細い一本道をずーっと登っていく。
まるで北高への道を歩いていくのを連想させるような、そんな坂道だった。
途中でイノシシやら豚やらに襲われはするが、慣れてしまったのか、ためらいもなく撃ち殺していく。
この残客な性格が、元の世界に残ってほしくないんだがな……
キョン「はぁ、やれやれだ」
元々検問所らしき建物を通過し、Garbage――『ゴミ捨て場』と呼ばれるところについた
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 16:30:26.21 ID:jUiic/wb0
書き溜め切れたら考え直してみます
――Garbage―――
そして俺は今、ここGarbageが危険と言われてきたわけをよく理解した。
あっちではBanditsと、こっちではミュータントと戦い、ここに平穏という言葉は存在しないようだった。
キョン「くそっ……大量に買っておいた銃弾が尽きそうだ」
例によって、俺も何回も戦闘に巻き込まれた。
そしてたった今も、Banditsの野郎と撃ち合いをしたところだ。
殺した相手の背嚢を漁り、弾の補給を済ませる。
キョン「はぁ、いつになったら終わるんだ……」 ピーピー
ひとまず休みたい、という俺の願いをかき消すように無線機がけたましく鳴った。
『誰か、誰か救援を頼む!Garbageの車庫跡でBanditsから攻撃を受けている!くそっ!』パパパパパン!
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 16:31:31.51 ID:jUiic/wb0
少々走ると、無線の発信源を簡単に突き止めることができた。
なぜなら銃声が爆竹のように鳴り響いているからだ。わかりやすいことこの上ない。
銃声が聞こえてきたのは、どうやら元々電車の車庫だった倉庫のような場所で、数人のストーカーが他方の入り口から侵入してくるBanditsと争っているようだった。
車庫内ではすでに銃撃戦が熾烈を極めつつあり、銃弾の跳ね返る音がする。
そんな中、真っ先に目に付いたのは負傷している一人のストーカだった。
キョン「おい!だいじょうぶか!?」
ストーカー「頼む、メディキットを……」
数少ない医療キットを使って治療してやると、とりあえずここの指揮官らしい男の元へ向った。
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 16:34:16.27 ID:jUiic/wb0
といった矢先に切れた
セリフだけでやってみる
Seriy「どこの誰だかわからんが、援軍に来てくれて感謝する」
キョン「しかし状況は芳しくないようだが?」
Seriy「むこうはAKまで使ってきている。手伝ってくれるか?」
キョン「あいよ。じゃ、俺右手の援護に行きます」
Seriy「頼んだぞ!」
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 16:37:51.63 ID:jUiic/wb0
Bandits1「敵が一人増えたぞ!」
Bandits2「なに、大したことない。このまま子の車庫を取り戻せ!」 ババババババン!
キョン「あっぶね!あれがAKってライフルか。厄介だなおい」
ストーカー1「気をつけろ。AKの弾は跳弾した弾に当たっても十分死ねる」
ストーカー2「おいバカ、話してる暇あったら撃て!」
ストーカー3「おい、グレネード来るぞ!避けろ!」
87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 16:41:22.76 ID:jUiic/wb0
キョン「グレネード?……手榴弾か!?」 キン、コロコロ
ストーカー1「おい若いの!早く逃げろ!」
キョン「ちょ…やば!」
ドオオオオン!
キョン「あぶねえ、もう少しで巻き込まれるとこだったぞ……」
ストーカー2「避け終わったら早く撃て。死ぬぞ貴様!」
キョン「は、はいはいっ!」パンパンパン!
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 16:46:38.71 ID:jUiic/wb0
キョン「なんやかんやで助かったわけだが……」
Seriy「いや、本当にありがとう。君が来てくれたおかげで助かったよ」
キョン「そりゃよかった。で、少し聞きたいんだが、ストレロクって奴について教えてくれ」
Seriy「ああ、Foxから聞いたよ。ストレロクを探してるんだってな」
Seriy「この車庫をずっと進むとAgroprom研究所近くの廃ビル近くに出る。そこにMoleっていう俺のダチがいるはずだ」
Seriy「本当なら俺が行く予定だったんだが、ちょっとお尋ね者になってな、身を隠さなきゃなんねえ」
Seriy「代わりにお前に情報を渡すようMoleの奴に連絡しておく」
キョン「わかりました」
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 16:51:03.50 ID:jUiic/wb0
― Agroprom研究所近く ―
キョン「PDAによればあれが廃ビルらしいが……」
パパパン!
ドドン! パンパンパン!
キョン「軍に攻められてえらいことになっとる」
ストーカー1「おーいそこのアンタ!Moleに会いたいんなら手を貸せ!」
ストーカー2「このままだと死体出会うことになるぞ!」
キョン「!? おいお前ら、早く逃げろ―――」 シャアアアアッ!
バアアン!
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 16:53:51.23 ID:jUiic/wb0
ババババババババ……
キョン「あれは……ヘリからのミサイルか!?」
キョン「さっきそこにいた奴らは吹っ飛ばされたが、どうやら俺は気付かれていないようだ」
キョン「今のうちに行こう」
キョン「どうやらざっと見たところ、軍の兵士がヘリから降りてきて大混乱、という状態らしいな」
キョン「味方の兵力がバラバラになってるわけか」バキッ
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 16:57:26.50 ID:jUiic/wb0
兵士「……!?ストーカーがいたぞ!出会え出会え!」
キョン「くそっ……枝が折れた音で気づくとか、どんだけ耳がいいんだあいつら!」ザッザッザ……
兵士「プリクローイ!」ババババン!
キョン「くそっ!あいつらもAKみたいな銃か。一人じゃ勝ち目ねえぞこれ」 ガッ!
キョン「いてっ!なんだこりゃ……」 ゴソゴソ
キョン「……死んだ兵士が落としたAKか!これなら……」
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 17:00:41.09 ID:jUiic/wb0
兵士1「こっちはあらかた終わったぞ!」
兵士2「敵にはろくな装備をしている奴なんていないからな。こんなのらくsy ぐふぅ!」 ビシッ!
兵士1「……! 味方がやられた!撃て撃て!」バババン!
キョン「なるほど。むこうの装備がゴツすぎて拳銃じゃ無理だったのか」
キョン「弾は腐るほど拾った!このまま逆転するぞ!」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 17:05:09.10 ID:jUiic/wb0
キョン「ほら!よ!それ!」バン! バン! ババン!
キョン「すげえ!今までの拳銃が不良品に見違えるほど当たるぜ!」
キョン「さてさて、Moleって人はどこだろうか?」
Mole「……誰だっ!?」
キョン「Seriyから紹介されてきたんだが、あんたがMole?」
Mole「ああそうだ。Seriyに会う予定だったが軍の奴らに見つかっちまってこの様さ」
Mole「あんたストレロク追っているんだってな。ついてきな。隠れ家に案内してやる」
キョン「隠れ家? そんなのがここにあるのか」
バババババ……
Mole「いかん、軍が増援をだしてきよったわ」
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 17:08:27.30 ID:jUiic/wb0
Mole「おい、残ってる奴ら全員で突っ切るぞ!不要な装備は捨てろ!」
ストーカー「おう!」
Mole「行こう。増援に出くわすと厄介だ」
キョン「廃ビルの裏手の塀が崩れてるな」
Mole「あそこにマンホールが半開きの奴があるだろう?あそこが入口だ」
キョン「あ……あれが入口なのか……」
Mole「俺が誘導できるのはここまでだ。この下は地図もないし、軍が捜索に入っているやもしれん」
Mole「お前の無事を祈ってるぜ。ストーカー」
キョン「ああ、ありがとな」
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 17:11:55.11 ID:jUiic/wb0
――Agroprom地下――
キィキィキィ……
キョン「びっくりした……回転灯の音か」
キョン「見た感じ下水道のまんまだな……ん?」
hahaha! ソレデヨー
バカヤロウ ウォッカヨコセ
キョン「あれは……Banditsか?こっちには気づいてないみたいだ」
キョン「お、ちょうどいいところにドラム缶が……よっと!」ゴロゴロゴロ……
キョン「それ!」バン!
ドオオオオン!
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 17:15:59.46 ID:jUiic/wb0
キョン「さて、無駄に弾を使わずに行けたわけだが……」
キョン「これだけ見ると、どうやらここはストレロクの隠れ家じゃないみたいだ」
ポチャーン……
キョン「ん? ……まだ下の階があるのか」
カツコツカツコツ……
キョン「……全く音がしない。不気味すぎるなおい」
ギッ……ギッ……
キョン「照明が割れて暗い……ライト付けるか……」パッ
100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 17:18:13.61 ID:jUiic/wb0
キョン「明るいといえば明るいが、心細いな」
キョン「……一人語りも寂しくなってきたぞおい」
キョン「お、右わきに通路か?明かりが漏れている。やった―――」
シャオオオオオオオオッ!
101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 17:21:06.93 ID:jUiic/wb0
キョン「……!?なんだ?今の声」
ヒタッ……ヒタッ……
キョン「右!?」 バッ……
ヒタッ……ヒタッヒタッ……
キョン「違う!左だ!」 サッ!
ヒタッ……ヒタッ…ヒタッ…ヒタッヒタッヒタッヒタッ!
「キシャアアアアッ!」 バアッ!
キョン「うわあああッ!」ババババババン!
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 17:23:40.86 ID:jUiic/wb0
バババババ ガチガチガチッ!
「グルルルルル……」フッ
キョン「消えた?……っなんだあいつは!?」
キョン「いけねえ、マガジン……」 ガチャガチャ
フッ
「グオオオオオッ!」バッ
キョン「うわっ!また出てきた!?」
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 17:26:19.19 ID:jUiic/wb0
キョン「とにかくさっきの通路へ」
「おい、銃声がしたぞ」
「曲者だ、出会え!」
キョン「……げ!軍の連中かよ!逃げなきゃ――」
化け物「ゴオオオオッ」ヒトヒトヒトヒト……
キョン「挟み撃ちかよ」ガチャ……ガチン!
キョン「……待てよ?これは使える」
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/07/22(金) 17:31:17.97 ID:jUiic/wb0
やっぱりセリフだけだと伝わりにくいと思うからこっちに変える
……通路わきに見えたのは、一部の留め具のとれて天井から落ちた排気口だった
キョン「これをつたって天井に避難すれば……」
予想通りというか、あの化け物は上まで追ってこなかった。
いや、追わなかったのかもしれない
目の前に新しい犠牲者が来たのだから。
兵士「……うわっ!撃て撃……がぼっ」 ブシャアアッ!
兵士「く……来るなああ がふぅ!」ボトボトッ
あの化け物には毛が生えておらず、顔はまるでタコのように数本の触手がついていた