ある超能力者の話・・・・ハルヒss


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1 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[age] 投稿日:2011/06/18(土) 09:12:54.19 ID:zXtTnZry0

注意:オリジナルキャラメインです

   ハルヒやキョンはほとんど出てきません。



2 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[age] 投稿日:2011/06/18(土) 09:14:38.64 ID:zXtTnZry0

私の話を少しだけ聞いてほしい。これは私が考えた小説のストーリーでも

昔見たB級映画の話でもない。自分の目で実際に見て体験した、現実で起こった話だ。

5 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/18(土) 14:35:27.28 ID:zXtTnZry0

四月、私は高校生になった。かなりつらかった受験勉強から解放され、これから

始まる高校生活に期待に胸を躍らせていた。ある時は友達と一緒に下校して、途中でお茶したり、

ある時は恋人と下校したりするような、そんな高校生活を私は思い描いていた。

最初は順調だった。クラスの仲の良い友達も何人かできたし、勉強もそこそこ

ついていくことができた。しかしある日の真夜中、それはすべて崩れ落ちてしまう。

ゴールデンウイークを間近に控えた、四月の終わりの頃だった。

7 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/18(土) 15:59:25.31 ID:zXtTnZry0

今思い返せば、その日は朝から家族の様子がおかしかった。

普段は私に厳しい両親の態度が妙に柔らかいというかよそよそしかった。

私の家は普通、晩御飯のメニュー、テレビのチャンネル、お風呂に入る順番などは

父さんの意見が優先される。しかし、朝学校へ行く前母さんが、

「今日の晩御飯何か食べたいものある?」と聞いてきた。私は、社交辞令的な質問

だと思い適当に答えたが、その日の晩御飯には私が答えたメニューと同じものが並んだ。

8 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/18(土) 16:04:54.80 ID:zXtTnZry0

私の父さんは勉強に関してはうるさい人だった。

下手に反抗して、波風をたてるのも嫌だったので私は晩御飯の後は、自室にこもり

宿題や予習をしていた。そしてその日も同じように過ごしていたのだけど

突然父さんが部屋に入ってきて、

「勉強なんていいからみんなで散歩に行かないか?」と言ってきた。

私はその時おかしいと思うよりも、

「勉強が早く終われてよかった」という考えが強かったため

素直に父の言葉に従った。

10 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/18(土) 16:48:14.24 ID:zXtTnZry0

続けます

家を出て、父さんと母さんと私の三人は会話のないまま歩いた後、近くの公園に行き着いた。

もう周りも真っ暗だったため他に人はいなかった。私達は白いベンチに腰掛けながら色々な

話をした。私の小さいころの話、父さんと母さんが付き合っていたころの話、私の、学校での

出来事、そしてこれからのこと、私は中学生のころから家族に距離があるように感じていたため、

少しみんなが近づいた気がして嬉しかった。

11 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/18(土) 16:51:38.68 ID:zXtTnZry0

「そろそろ帰ろうか」

父さんの一言で私達は再び我が家へと向かった。私は、お面を頭にのせて、綿あめを頬張りながら

父さんと母さんの二人に挟まれて歩いた、昔行った夏祭りの帰り道の事を思いだし、あの時と

同様に、このまま家につかなければいいのにと思った。

12 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/18(土) 17:15:59.02 ID:zXtTnZry0

しかし、無情にも我が家が見えてきた。私達は思ったよりも長い時間外出していたようで

時計はもう11時を回っていた。早く寝ないと明日遅刻してしまう。しかし、次の日にはまた

両親の態度が普段と同じようになっているかもしれないと考えてしまい、寝るのが億劫になった。

どうしてこんなに態度が急変したかは分からないが、そんなのはどうでもいい。

家族の距離が縮まるのはいいことなんだ。私は明日も両親とたくさん話ができるんだと考え

両親の態度は明日になれば普段通りになっているのではないかという疑念を振り払い、眠り

についた。

15 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage] 投稿日:2011/06/18(土) 21:37:30.84 ID:zXtTnZry0

真夜中、私は誰かが体をゆすっていることに気づき目を覚ますと、二人の男

の顔が視界に飛び込んできた。私は強盗だと思い、家中に響き渡るような声で叫んだ。

一人の男がすぐに私の口をふさぎ穏やかな声で言った。

「落ち着いてください、私達は怪しいものではありません、だから落ち着いてください」

私は口をふさがれたまま、何度もうなずいた。






16 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/18(土) 21:40:45.52 ID:zXtTnZry0

男が手を外すと、

「誰なんですか・・・あなたたち・・」

私は恐る恐る尋ねた。

「貴方を迎えにきました」

今度は別の男がそういった。 迎えに来た? 私を? なんのために?

こんな夜中に? 私は必死で頭の中を整理するが全く状況が理解できなかった。



17 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/18(土) 21:44:31.80 ID:zXtTnZry0

私が混乱している間に、

「さあ行きましょう」

男たちがそれぞれ私の片腕をつかみベッドから引き剥がした。

「やめて、離してよ、父さん、母さん、助けて」

私は必死で抵抗し、助けを呼ぶが大の男二人に女子高生一人が

力でかなうはずもなく、両親も、寝ているのか助けに来る様子はない。

18 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/18(土) 21:47:25.22 ID:zXtTnZry0

私はあきらめずに、

「助けて、父さん、母さん」

ありったけの力を振り絞って声を張り上げるが、両親が駆けつけてくる様子はない。

私は涙を流しながら暴れ、男たちの拘束から逃れようとするがその抵抗も空しく、

私は部屋から引きずり出された。

23 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/19(日) 10:05:12.88 ID:4YNyyU5E0

私はそのままリビングまで連れて行かれた。

普段は三人で食事をする食卓もここにおいてある。

食卓の上には母さん、父さん、私の三人それぞれの

マイ箸が入っている筒状のケースが置いてある。

毎日目にしている光景なのに、私はそれを見た瞬間

さらに涙が込み上げてきた。

24 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/19(日) 10:10:15.13 ID:4YNyyU5E0

しかし男たちは容赦なく私を引きずっていく。

そしてそのまま玄関まで来てしまっていた。だが男たちの足は止まった。

私は玄関前に両親が立っていることに気付いた。

なんだ、寝ていたんじゃなかったのか・・・

どうして助けに来なかったんだろう・・・・

私は無言で、父さんと母さんを交互に見つめた。



25 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/19(日) 10:13:16.23 ID:4YNyyU5E0

すると男が言った。

「それでは娘さんをあずからせていただきます」

「はい・・・・・」

父さんがたったそれだけ言うと、二人とも下を向き私から目をそらした。

「ちょっと・・・どういうことなの・・・なんで・・・」

私は両親に向かって必死で声を張り上げるが、上手く声が出ない。

27 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/19(日) 10:30:07.91 ID:4YNyyU5E0

聞き取れなかったのか、それとも無視しているのか父さんも母さんも

黙ってうつむいたままだった。しかしこれだけは分かる。父さんも母さんも知っていたんだ。

今日のこの時間にこうなることが分かっていたんだ。普段は厳しく勉強、勉強うるさい父が

突然、散歩に行こうと言ったのもつじつまが合う。家族の距離が縮まったとおもったのは

私の勘違い。あれは連れて行かれる私に対しての罪滅ぼしだったのだ。

28 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/19(日) 10:32:08.40 ID:4YNyyU5E0

「説明は後です。さあ行きましょう」

男たちが再び泣き叫ぶ私を引っ張る。

そして、そのまま家から引きずり出された後、外に止まっていた

黒塗りの乗用車に放り込まれた。

32 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/20(月) 18:45:00.91 ID:ZeKnCPPZ0

私は車に入れられた瞬間、抵抗をやめた。目覚めてたった数分の間に起きた

出来事に疲れていた。私は車の窓から玄関のドアを眺めていたがドアが開いて両親が

出てくることはなく、車は走り出した。遠ざかっていく家を見てもなにも感じなかった。

しばらく車中は、沈黙の状態がつづき、車が信号に引っ掛か停車すると

私と同じ後部座席に座っていた男が尋ねてきた。

33 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/20(月) 18:48:41.96 ID:ZeKnCPPZ0

「すこしは落ち着きましたか?」

私は、あんなに流れていた涙が止まっていることに気付いた。

「なんなんですか・・・・どうしてこんなことするんですか・・・」

ゆったりとした口調で男に言う

「今からご説明します」

男がそう言った後、運転手がアクセルを踏む音が車中に響き

再び車は走り出した。

35 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/20(月) 18:55:45.97 ID:ZeKnCPPZ0

私は反射的に前を向く。運転手の顔は角度的に確認できなかったが

助手席には、家に入ってきたもう一人の男が腕を組みながら無言で

前を向いて座っているのが見えた。

再び隣にいる男に顔を向けると、男は口を開いた。

「単刀直入に申し上げますと」少し間を置き、

「あなたは超能力者です」そういった。

36 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/20(月) 19:00:19.22 ID:ZeKnCPPZ0

男はそのまま続け、

「貴方の自宅まで伺いご同行願ったのもそれが理由です」

少し表現が柔らかくなっていたのが気になったが

面倒なので指摘しなかった。いろいろ疑問がわいてきたが

私はそれを必死で抑え、男の話にじっと耳を傾けた。

37 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/20(月) 19:02:06.63 ID:ZeKnCPPZ0

三十分くらい男の話は続き、私はそれを一字一句逃さずに聞いた。

たまに小難しい言葉が出てきたが男はその意味も丁寧に説明した。



38 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/20(月) 19:04:52.02 ID:ZeKnCPPZ0

話は簡単に言うと、

私が超能力者になったのは、ある少女が原因だということ

超能力とはスプーン曲げや透視のようなものではなく、

ある空間限定で発動する能力だということ、私と同じ

超能力を持つ人は他にもいて、何人かは自分たちの組織に

所属しているということだった。

39 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/20(月) 19:05:47.43 ID:ZeKnCPPZ0

今思えばよくあんな電波的な話を冷静にきけたと思う。

40 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/20(月) 19:16:28.77 ID:ZeKnCPPZ0

男の話が終わっても車は走り続けた。

どこへ向かっているのかは、怖くて尋ねられなかった。

家での両親と男たちの会話から推測する限りでは、おそらく

二度と家には帰れないだろう。じゃあどこで暮らすのだろうか

そう考えながら、運転手の座るシートを

後ろからじっと見つめていると突然車が止まった。

41 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/20(月) 19:24:44.32 ID:ZeKnCPPZ0

窓をのぞくと、高級とまではいかないまでも立派なホテルがそこにあった。

「今日はここにお泊りください。詳しいことはまた明日。」

車から降りるように促し、私はそれに従う。

「料金は機関が負担しますので食事なども好きなだけどうぞ」

男はパワーウインドウを開けて、私にそう言った




48 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/24(金) 18:45:51.49 ID:eT2PNgdN0

ホテルの中へ入り、フロントから鍵を受け取ると機関が用意したという部屋へ向かった。

鍵を差し込みドアを開け部屋へ入ると冷蔵庫、テレビ、二人が寝るには少し大きすぎる

ベッドが置いてあった。窓の外を見るともう明け方となっていた。私はベッドに

仰向けに倒れこみ、これからのことについて頭をめぐらせた。

49 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/24(金) 18:51:36.88 ID:eT2PNgdN0

学校はどう通うのか、世界を守る戦いとは一体何なのか、いつこの力から解放されるのか

明確な答えを出せる問題は一つもなく、私は重い体を懸命に動かすと消灯のスイッチを押し

今度はうつぶせの状態で再びベッドに倒れこみ、目をつぶった。眠りに就くのにはそう時間は

かからなかった。

50 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/24(金) 18:56:18.72 ID:eT2PNgdN0

次の日(といっても眠った時には既に日付は変わっていたが)目を覚ますと私はすぐに

体を起こし、部屋に備え付けの時計を見た。すでに午後一時を回っている。

ベッドから降り冷蔵庫を開け、入っていたミネラルウォーターを一気に飲みほす。

シャワーを浴びようと思ったが真夜中に連れ出されたのであいにく着替えを持っていなかった。

51 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/24(金) 19:00:08.18 ID:eT2PNgdN0

とりあえずベッドに腰掛けテレビをつけると、普段は見ることができないであろう

平日昼放送のトーク番組が出ていた。テレビからは大きな笑い声がたびたび聞こえてくるが

私には何が面白いのかさっぱり分からず、そばにあったリモコンで五分もたたずに電源スイッチ

を切った。

52 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/24(金) 19:05:38.56 ID:eT2PNgdN0

突然すいません。いま思ったんですが、便宜上男1 男2の名前があったほうが

いいかなと。そこで なるべく早く書き始めるために、皆さんにも考えてほしいです。

自分ひとりで考えるより効率的だと思うので。


主人公に色々説明しているのが男1

ぜんぜん台詞がないのが男2 とお考えください。

お願いします。

53 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/24(金) 22:14:19.56 ID:eT2PNgdN0

まあとりあえず男1の名前は「御影」とします。男2は今は保留ということで

続けます。

54 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/24(金) 22:18:28.85 ID:eT2PNgdN0

そして突然ドアをノックする音が聞こえた。相手がだれかはたいてい見当が付いている

ので、焦ることなくドアを開けた。やはり昨日私を連れまわした機関の男だ。

私と目が合うとすぐに言った。

「おはようございます。と言ってももうお昼ですが・・」





55 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/24(金) 22:23:27.28 ID:eT2PNgdN0

昨日と同じしわ一つない紺色のスーツ、教科書通りの丁寧口調、違ったのはもう一人の男が

いないということだけだ。私はすぐに気になっていた疑問をぶつけた。

「私、学校はどうするんですか」

男は少し間を開けて言った。





56 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/24(金) 22:26:08.84 ID:eT2PNgdN0

「あなたは転校することになりました。いえ正確にはもうすでに転校したことになっています」

私は愕然とした。友人たちとの突然の別れを告げられたのだから。

これに動揺しない者などいない。

「そう・・・・」 私は俯きながら静かに言った。

57 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/24(金) 22:29:17.18 ID:eT2PNgdN0

「落ち込んでいるところ申し訳ございませんがさっそく昨日の話の続きをさせてもらいます。準備してください」

男はどこから持ってきたのか、私に着替えを差し出してきた。

着替えを受け取ると私は無言のままゆっくりと振り向き、部屋の奥へと進んだ。

それと同時に男がドアをしめる音が聞こえた。




58 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/06/24(金) 22:31:06.58 ID:eT2PNgdN0

シャワーを浴び。備え付けのドライヤーで髪を乾かすと、部屋を出て男と共にホテルを後にして

昨日と全く同じ車に乗り込んだ

62 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/01(金) 23:10:34.63 ID:ZzhEoLrw0

車が発進した直後に男が言った。

「そういえば名前を名乗っていませんでしたね。申し遅れました、私は御影(みかげ)と申します」

「そうですか。よろしくお願いします。御影さん」

「御影で結構ですよ。あと敬語じゃなくてもかまいません」

「あっ・・私の名前は・・」そこまで言った時、御影が私を制し

「いえ、結構ですよ。もう存じております」

63 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/01(金) 23:13:28.34 ID:ZzhEoLrw0

なんて恐ろしい組織なのだろう。私はすぐにそう思った。今考えれば家に来たということは

住所も知られていたということになる。

世界の命運を握る組織なのだから、誰か一人の身元を調べるのは容易なことなのだろう。

車はしばらくすると、小さな事務所の前で停止した。御影が、降りるように促し私は

言われた通り車から降りた。

64 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/01(金) 23:18:12.67 ID:ZzhEoLrw0

「この事務所が我々のアジトです」

「わざわざ事務所を建てる必要はないんじゃないの?」

「さすがに多くの人間が頻繁に集まっていると不審に思われますからね」御影はさらに続けた

「我々は表向きは一般企業として活動しています。まあ名も知られていない小さな会社ですけどね」

さすがに世界を守る組織です。とは公にできないし、しても誰も信じないだろう。

偽の会社を創ってカモフラージュするのが私には納得できた。




65 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/01(金) 23:22:15.54 ID:ZzhEoLrw0

「さて、今日は機関員にあなたの顔と名前を覚えてもらうためご同行願いました。時間が多少かかりますがよろしいですね」

「ええ大丈夫」もしここで大丈夫じゃないと断ったら、どうなるのだろうかと考えたがさすがに

実行には移せなかった。それから私は、事務所にいる機関員たちに挨拶をしてまわった。

どうやら機関員全員が超能力者という訳ではなく、機関員の中には運転手や医者もいるらしい。



66 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/01(金) 23:25:26.55 ID:ZzhEoLrw0

年齢も20代〜40代など多様な年齢層だった。私と同じ、高校生の超能力者も他にいるらしいが

本来なら学校で授業を受けている時間なので一人も見かけることはなかった。一番驚いたのが

私以外の女性の機関員がいたことだ。見たところ20代前半だろうか。とても美人な人で、他の

機関員に指示を出していたので地位はそこそこ高いはずだ。

68 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/01(金) 23:46:47.02 ID:ZzhEoLrw0

機関員に挨拶をすませたあと、私は転入することになる新しい学校の視察へと向かった。

学力レベルは前の学校とほぼ同じ。しかし共学ではなく私立の女子高らしい。

なぜそこなのか御影は言葉を濁し教えてくれなかった。確かちかくに県立高校が

あったはずだ。どうせならそこへ行きたかった。ちょうど下校時間だったのか、

生徒たちが校門から出てくるのが見えた。

69 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/01(金) 23:55:01.98 ID:ZzhEoLrw0

楽しそうに話しながら帰路につく生徒たちを見て、私は一層不安になった。すると御影が

「やはり不安ですか?新しい学校は」私の心を見透かしているかのように的確に指摘した。

「ええ、まあ」

「そうですか。一応制服や教科書はそろえておきました。」

「ありがとう」わたしは上の空で返事をした。

「さてこれからあなたの新居へと向かわせて頂きます」

「えっ、ホテルに泊まるんじゃないの?」

「女子高生が毎日ホテルに泊っていると周囲にも不審に思われますから」

確かにそれは言える。

70 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/01(金) 23:59:46.05 ID:ZzhEoLrw0

気がつくと今までの憂鬱な気分は消えていて、どんな家なのか期待に胸を躍らせる自分がいた。

これは事務所で聞いた話だが高校生の超能力者にはそれぞれ直属の上司がいるらしい。

私の場合、御影がそれ。あの女の人も一人担当しているらしいが、誰なのか凄く気になっていた。

上司たちは担当している者の最低限の身の回りの世話をしてくれるらしいが、家を用意するのも

それに入るのだろうか。

71 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/02(土) 00:05:29.96 ID:E6WbklZH0

しばらくすると車は目的地へと着いた。私は上京した大学生が住むような小さなアパートを

想像していたのだが、そこそこ大きなマンションでキッチンも真新しく、高校生の一人暮らし

にしては豪華な部屋だった。私が部屋を見渡していると、御影の携帯電話が鳴った。

それと同時に私は何かの違和感を感じた。何か変なものがどこかにあるような、そんな感覚

だった。携帯電話が鳴りやんだ後すぐに、御影が言った。

「さて、そろそろ行きましょうか。研修に」

「研修?超能力の?」

「その通りです。さあ急ぎましょう」

72 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/02(土) 00:07:55.28 ID:E6WbklZH0

御影がいつになく慌てていたので、私も急いで御影の後を追い部屋を出た。

車に乗りこむと御影が口を開く

「さっそくあなたにも参加してもらいます。まあ最初ということで小規模な空間にしましょう」

「空間?」

「まあ行けば分かります。」

73 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/02(土) 00:11:13.06 ID:E6WbklZH0

そういえばさっきの違和感がだんだんと強くなっている気がする。

場所もなんとなくだが分かる。しかしいきなりの実戦参加か。

家から引っ張り出して、両親と離れ離れにさせてまでさせることとは、

世界を守る戦いとは一体何なのだろうか?

「さあ降りてください」

そこはいたって普通の大通りだったが確かにここになにかある。そんな気がした。


74 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/02(土) 00:16:40.25 ID:E6WbklZH0

「この横断歩道の真ん中あたりに空間の入り口あるんですよ。入ってみてください」

「入るって・・・普通に通るだけでいいの?」

「ええ、それだけです」

私は言われた通りに群衆に交じって横断歩道を渡る。何かにぶつかった気がしたが

そのまま歩くと、次の瞬間私の目の前には全く光のない世界が広がっていた。

さっきと同じ光景だが、ビルも電気がついていない。信号も動いていない。

群衆もいなくなっていた。

75 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/02(土) 00:20:43.33 ID:E6WbklZH0

「これが閉鎖空間の内部です」一体いつ入ってきたのか御影が私のすぐ後ろにいた。

「我々超能力者はこの中に自由自在に出入りできるのです。」

「それで入った後はどうするの?」

「私についてきてください」

御影についていくと、ビルの屋上についた。

「さあ出てきましたよ。」

前を見ると、巨人が立ち上がりそして周りにある建物を破壊し始めた。

76 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/02(土) 00:24:53.48 ID:E6WbklZH0

巨人の体は青色で、煙でできているようにも見えた。

「あれは涼宮ハルヒのストレスを具現化したものです」

「涼宮ハルヒ?前話したあの少女のこと?私が超能力者になった原因の」

「ええ、何かあるとああいう風に破壊活動を行いストレスを発散しているわけです」

「で、あれを倒せばいいってわけ?」

「察しがいいですね。その通りです。あの巨人、我々は神の人と書いて神人とよんでいますが、あれを倒すために必要なのが超能力者というわけです。」

77 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/02(土) 00:29:48.85 ID:E6WbklZH0

すると赤い球がいくつかとんできて、巨人の周りを旋回し始めた。

すかさず御影の解説が入る。

「あれが超能力者達、あなたの仲間です」

「あの飛び回ったりするのが、私にもできるってこと?」

「はい。赤い球に包まれる自分をイメージして下さい」言われた通り、イメージしてみる。

体の足先から腕、指にかけて力がみなぎってくるような感覚に襲われた。

「嘘・・・本当に・・・」

「今度は飛び回ってみてください」

78 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/02(土) 00:34:30.92 ID:E6WbklZH0

私は神人に向かって体を動かしてみる。思ったとおりの方向に体が動き始めた。

私は空を飛んでいた。意外に速く動いたので建物にぶつかりそうになった。慌てて

方向を転換し、なんとか衝突を回避した。神人の近くに来たものの、私はどう動いていいか

分からずその場に浮いたままだった。すると一人の能力者が私に声をかけてきた。

79 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/02(土) 00:38:57.55 ID:E6WbklZH0

「僕が右手の方で旋回して引きつけます。あなたはその間に左手の方を攻撃してください」

この人は私が初参加だということを知っているのだろうか。いきなり攻撃を担当させるつもりだ。

するとまた別の超能力者が

「攻撃するときはな、攻撃する部位の周りを一周しろ。高速でな。そうすればその部位が切り落とされる」

そういうと後ろへさがり浮いたまま私を見つめていた。

80 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/02(土) 00:44:46.08 ID:E6WbklZH0

よく見るとさっき左手を攻めるように指示を出した能力者以外、全員戦闘をやめただ浮いている

だけだ。これはおそらく私に戦わせるためだろう。私は察しがいいのだ。仲間の人が引き付けてい

るため、神人の意識は右手にある。私はただ左手の周りを一周するだけでいいのに、いざとなると

足がすくみ動けなかった。後ろからは他の超能力者が励ましの声をあがているが、私には

無責任な言葉にしか聞こえなかった。



81 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/02(土) 00:54:04.46 ID:E6WbklZH0

しかし、私がやらなければ戦いは終わらない。私は勇気を振り絞り神人の左手にゆっくりと

近づく。あとは回るだけ。しかしそれができない。いきなり殴られたら、という恐怖心が

頭にあってどうしてもそれができない。しばらく私はまた左手の前で浮いたままになってしまった

右方向では、他の能力者が飛び回って左手から注意をそらしている。するといきなり左手が動き出

し、大きくテイクバックを取ったと思ったら私に向かって振りおろされてきた。

82 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/02(土) 00:57:20.62 ID:E6WbklZH0

気付いたのだろう。

足がすくんで逃げることもままならなかったためその場から動けなかった。弾き飛ばされる、そう

思い反射的に目をつぶったがいつまでたっても体には何の感覚もない。おそるおそる目を開けると

左手を失った神人が崩れ落ちていて、隣には右手で注意をひきつけていたはずの能力者がいた。



83 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/02(土) 00:58:26.83 ID:E6WbklZH0

「大丈夫ですか」

「ええ、それよりごめんなさい。」他の超能力者も私の周りに集まり

「まあ最初はこんなもんか」

「神人に近付けただけ上出来さ」

「さて、新入りよ おもしろいもんがみれるぞ」私に向かって大きな笑みをうかべた。

「なにそれ」

「ちょっとしたスペクタクルですよ」





84 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/02(土) 01:04:26.90 ID:E6WbklZH0

そういった瞬間、空にヒビが入り光が差し込んだかと思ったら、周りの光景は閉鎖空間特有の

暗闇から夕方へと戻っていた。空に浮いていたはずの私は、最初に御影と一緒にいたビルの屋上に

いた。

「お疲れさまでした」

「他の人たちはどこにいるの?」

「おそらくそれぞれ別の場所に戻られたかと」

「そう・・・」私は御影にもう一つ疑問をぶつけた

「この神人はいつまで続くの?」

「涼宮ハルヒの鍵となる男しだいですね。」

「カギとなる男?」

「ええ。彼の言動で閉鎖空間が発生することもあるんですよ。どうしてなのかは分からないですが」

「理不尽ね」

「仕方ありません」



85 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/02(土) 01:09:47.19 ID:E6WbklZH0

私達がどれだけ神人を相手にするかは一人の男にかかっているらしい。

顔と名前は知らないけどその男もまた大変だな。

まあくれぐれも涼宮ハルヒの機嫌をそこねて私達の仕事を増やすのは慎んでほしい。

自分が平穏な日々を送れるかどうかが他人にゆだねられるなんて凄く理不尽な話だ。

私は空を見上げた後、ため息をついた。

「やれやれ」

86 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/02(土) 01:10:14.92 ID:E6WbklZH0



             END!

90 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/02(土) 18:35:56.74 ID:E6WbklZH0

作者です! >>86は本当です・・・すいません

91 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/02(土) 18:37:27.81 ID:E6WbklZH0

連投すいません。

読んでくれた方、良かったら感想とか評価とかお願いします。

92 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/07/02(土) 19:42:16.43 ID:OX9QtfPK0

嘘…だろ…嘘って言ってほしい…そんな…
けっこう面白かったよ……本当に続き書いてほしいぐらい好きだったのに……残念すぎる……
ハルヒSSなのにオリキャラ主人公は新鮮で面白かったのに……本当に…

93 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/07/02(土) 19:43:41.64 ID:OX9QtfPK0

あと思ったんだが主人公の性格キョン子に似てないか?

94 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/02(土) 20:43:24.31 ID:E6WbklZH0

そうですか? 性格についてはなにも設定していなかったので恐らく偶然かと・・

洞察力がやや高い所とか、感情の起伏が激しいのは後付けです。

ちなみにタイトルを○○「〜〜」みたいにすれば良かったと後悔しました。

そうすれば一時的とはいえのくす牧場とかにのることができたのに・・・

96 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/07/03(日) 01:32:57.87 ID:iU2loHFno

乙。

「ちょっとしたスペクタクルですよ」
って言ったのは古泉だったりする?

97 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[] 投稿日:2011/07/03(日) 09:58:39.60 ID:TOqB+O600

>>96 はい古泉です。実は森さんも少し登場していますよ 台詞ないですけどwwww

主人公の名前なくても結構いけるんですね。ちょっと自分でびっくりしてます。



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