10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/09(水) 08:53:21.77 ID:OqZ/AGajO
朝倉「あなたの写真を生徒手帳に入れて涼宮ハルヒの出方を見る」
キョン「……意味がわからないし、笑えない。
だってそうだろ?
なぜ俺の写真を入れる必要がある。
魔除けか?
御守りか?
散々ハルヒに連れ回されて迷惑を被ってる俺だ。
とても御利益があるとは思えんぞ」
朝倉「あら? 案外鈍いのね」
キョン「鈍い? 俺が? Why? なぜ?」
朝倉「私、わざと涼宮さんの机にこの手帳を置いておいたの。そしたら涼宮さん、何て言ったと思う?」
キョン「……どうせハルヒのことだ。
ろくなこと言わないに決まってる。
そうだな、朝倉さんって案外趣味悪いのね、なんてのはまだいい方だ。
呪われるわよ。
祟られるわよ。
どうせこんなとこだろう」
朝倉「正解。
涼宮さん、朝倉さんってキョンのことが好きなの? 趣味悪いわね、って言ったの」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/09(水) 09:04:48.12 ID:OqZ/AGajO
キョン「……俺は趣味悪い、ね。
そんなに俺を悪趣味だと思うなら、連れ回す奴は他の奴にしてもらいたいもんだ。
散々ハルヒに連れ回されて悪趣味扱いされたんじゃ割に合わん」
朝倉「でも、涼宮さんも可愛いとこあるわよね。
さっきから閉鎖空間があちこちで発生してるわ」
キョン「閉鎖空間?
なんだ?
また頭のおかしな妄想の話か?
こいつも普段はまともなフリをしながらハルヒ側の人間なのか?
ハルヒといい長門といい朝倉といい、俺の周りには変な奴ばかりだな……」
朝倉「ううん、何でもないの。
長門さんから説明を受けてるって聞いてたけど、まだ信じてないみたいね。
それならちょうどいいわ。
私と付き合ってみない?」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/09(水) 09:12:06.69 ID:OqZ/AGajO
キョン「俺が?
朝倉と?
付き合う?
……すまん、意味がわからない……」
朝倉「あら、簡単な話じゃない?」
キョン「……いったん整理しておこう。
俺は放課後朝倉に呼び出された。
そして今朝倉が俺と付き合おうと言っている。
朝倉はちょっと電波入ってる、閉鎖空間だっけ? が、谷口的美少女ランク堂々の第1位だ。
そんな奴が付き合わないかだって?
すまん朝倉、お前の期待には沿えそうもない」
朝倉「あら、残念。
今日のところはこれで引き下がるわ。
また明日、学校で。
涼宮さんとお幸せに」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/09(水) 09:27:18.02 ID:OqZ/AGajO
そう言って朝倉は教室から出て行った。
……いったい何だったっていうんだ?
それにハルヒとお幸せにだって?
幸せなのはあいつだけで、俺は迷惑してるがな。
はぁあ、帰るかね。
「ちょっとキョン!」
帰ろうと校門をくぐった所で、疲れた頭と体でも最も関わり合いを持ちたくない声に呼び止められた。
キョン「なんだ、ハルヒか。
悪いな、俺はいま疲れ……」
ハルヒ「あんた、教室で何してたの?」
キョン「やれやれ、人の話を聞かない奴だ……」
ハルヒ「私は団長だからあんたが人に迷惑をかけてないか聞く義務があるわ。
それにまだSOS団の活動時間中よ」
キョン「やれやれ、さっさと部室を後にしたのはどこの誰だったやら……。
だいたい活動時間ってのはいつだ?
部室にいる時間か?
それとも24時間か?
まぁ、こいつの場合、24時間不思議を求めてさまよってても疲れるってことを知らなそうだけどな。
たまには疲れた欲しいもんだぜ、まったく……」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/09(水) 09:45:22.49 ID:OqZ/AGajO
ハルヒ「あんたが教室に入ってすぐに朝倉さんが入って行ったみたいだけど、
あんたまさか変なことしてないでしょうね?」
キョン「おいおい、変なことってなんだよ……」
ハルヒ「そりゃあ若い男と女ですもの、体を持て余したりするのも仕方ないわ。
でもだからってあんたが朝倉さんに手を出していいってことにはならないわ」
キョン「……こいつの中の俺は朝倉に手を出すことが前提なのか……。
別に朝倉とは何もしてないぞ。
ただ朝倉に告白されただけだ」
ハルヒ「!?
あんたまさかOKしたんじゃないでしょうね?」
キョン「いや、断ったさ。
だいたいいくら可愛くても、ハルヒが閉鎖空間を発生させてるとか電波なこと言われりゃ、俺には手が負えそうもないことくらいはわかる」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/09(水) 09:47:48.09 ID:OqZ/AGajO
ハルヒ「ふ、ふ〜ん。
まぁ、あんたにしてはなかなかいい心がけね。
恋愛なんて一時の気の迷いで貴重なSOS団の活動時間に出られないなんてなったら団員としてあるまじきことだわ
それにあんたなんかと朝倉さんでは釣り合いがとれないもの」
キョン「……ハルヒの奴、急に機嫌がよくなりやがって。
そんなにSOS団の活動が大事かね。
あっ、そうだ、ハルヒ」
ハルヒ「な、何よ?」
キョン「朝倉がお前の出方がどうとか……、
いや、何でもない」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/09(水) 09:58:10.06 ID:OqZ/AGajO
翌日の昼休み。
ハルヒ「キョ……」
朝倉「ちょっといいかしら」
ハルヒ「え?」
朝倉「彼、昼休みの間借りてもいいかしら?」
ハルヒ「べ、別にいいわよ。
好きにこき使ってやってちょうだい。
体力だけは有り余ってるみたいだから」
キョン「……俺の意思とは無関係なところで俺の貴重な昼休みが決められてるぞ……。
つか俺はハルヒの所有物か?」
朝倉「ちょっと時間いい?」
キョン「まぁいいさ。
どうせ惰性で谷口と国木田と昼飯を食うだけの時間だ。
貴重な普通の時間ではあるが、
朝倉は電波なことは言ってもハルヒみたいに不思議を追い求めて引きずり回すことはしないだろう。
ああ、わかった」
朝倉「ありがとう。
それじゃあ屋上に行きましょう」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/09(水) 10:05:36.71 ID:OqZ/AGajO
谷口「うぉい! 何だよあれ!?
見たか国木田!?」
国木田「あれって、朝倉さんとキョンが一緒に教室を出て行くとこ?」
谷口「そうだよ!
なんでキョンと朝倉が一緒なんだ!?」
国木田「さぁ、僕にはわからないけど、たまにはいいんじゃない?」
谷口「いいわけあるか!
朝倉だぞ、あの朝倉がキョンと一緒なんだぞ!?」
ハルヒ「ちょっとあんた、うるさいわよ!
おちおちお弁当も食べられないじゃない!」
谷口「……おい、国木田。
涼宮の奴、やけに機嫌が悪いぞ」
国木田「それもそうだけど、涼宮さんが教室でお弁当を食べてるなんて珍しいね」
谷口「それもそうか。
いつもはどっかに行っちまうもんな」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/09(水) 10:14:41.19 ID:OqZ/AGajO
屋上。
朝倉「はい、あ〜ん」
キョン「これはいったいどういう状況だろう。
朝倉と一緒に弁当を食べることになったとこまではいい。
むしろハルヒが後ろから俺から平穏な昼休みを奪うように俺の名前を呼びかけたところを朝倉に誘われてラッキーだとさえ思った。
だがなぜこうなった?
朝倉はタコの形をしたウィンナーソーセージを箸でつまみ、
俺の口に入れようとせまっている。
まるでカップルのそれじゃないか。
意味がわからない」
朝倉「ほら、あ〜ん」
キョン「って、んなことできるかぁ!?」
朝倉「あら、どうして?」
キョン「どうしても何も、俺は自分の弁当があるし、お前に食べさせてもらえなくても自分で食えるからだ」
朝倉「いいじゃない、減るもんじゃないんだし」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/09(水) 10:43:43.42 ID:OqZ/AGajO
ハルヒ「ちょ、ちょっとキョン!
あんた何やってんの!?」
朝倉「あら、涼宮さん?」
ハルヒ「こいつに何かされてない?
大丈夫だった?」
キョン「……被害者がいるとすればそれは俺なんだが……
という俺のつぶやきも虚しくなるのは始めからわかっていたことで」
ハルヒ「あんたは黙ってなさい!」
朝倉「あら、私は何もされてないわよ?
それに私が好きでやってたことだもの」
ハルヒ「え?」
朝倉「私は彼のことが好きよ。
あなたはどうなの、涼宮さん?」
ハルヒ「わ、私は……べ、別に……」
朝倉「そう、ならよかったわ。
私と彼の間を邪魔しないでね」
ハルヒ「………………っ!」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/09(水) 10:47:01.20 ID:OqZ/AGajO
キョン「……言い過ぎだ」
朝倉「だって彼女、あなたのことが好きなのに好きじゃないって言うんですもの」
キョン「俺は人が隠したいと思っていることを無理やり暴く趣味はないんでね。
だってそうだろ?
藪をつつかなければ蛇は出てこないかもしれない。
まぁ俺の場合、つつかなくても隣にいる奴が勝手につついて蛇を出すんだが。
まぁそういうわけだ。
何だかんだ言って俺はSOS団の活動が気に入ってるんだ。
悪いな、朝倉」
朝倉「あら、残念。
私、ふられちゃった。
今度こそ涼宮さんとお幸せに」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/09(水) 11:01:29.66 ID:OqZ/AGajO
屋上。
朝倉「遅かったわね」
長門「あなたはとても優秀。
だから今まで時間がかかった」
朝倉「彼と付き合って涼宮ハルヒの出方を見る。
そうすれば涼宮ハルヒは何らかの行動を起こしてくれる」
長門「あなたは私のバックアップ。
自立した行動は認められていない」
朝倉「あら、でも今回のことで何かデータがとれたんじゃない?」
長門「今回のことは崩壊を伴う危険性があった」
朝倉「何も起こさない観察対象に飽き飽きしてたの。
それに、ね……?
私、今回のことで恋って感情が少しわかった気がするの」
長門「我々に感情はプログラムされていない」
朝倉「そうね。
だけど芽生える可能性は0じゃないと思わない?」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/09(水) 11:02:42.99 ID:OqZ/AGajO
長門「エラーが発生する可能性は確かに存在する。
しかしそれは感情ではない」
朝倉「そうかしら?
でも……私の役目はこれでおしまい」
長門「情報連結解除」
朝倉「不思議なものね。
ただ電子に戻るだけのはずなのに、ほんの少しだけ名残惜しい気がするわ」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/09(水) 11:09:41.91 ID:OqZ/AGajO
キョン「なぁ、ハルヒ」
ハルヒ「な、何よ?」
キョン「団長だろ?
SOS団の活動を優先して私生活を犠牲にした団員へ何か一言あってもいいと思わないか?」
ハルヒ「そ、そうね。
今日くらいはあんたを雑用から2階級特進で平の団員にしてあげる」
キョン「へいへい。
というか、2階級上がってようやく平なのか……。
雑用の一個上は何なんだよ……」
ハルヒ「ほら、くだらないこと言ってないで早く部室に来なさい!
今日は午後の授業を休んで活動よ、不思議は待ってくれないわ!」
キョン「へいへい」
おしまい