8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 06:23:03.30 ID:+8P5XIJP0
キョン「あー、ハルヒからあげにして食いてぇ〜」
ふと、そんな言葉が口から出てしまった
別に人食癖がある訳じゃない、と言うか人食癖ってなんだ?
古泉「んっふ、突然どうしたんです?お腹でも減ってるんですか?」
キョン「いや、腹は減ってない」
古泉「ではストレスでも溜まっていますか?最近涼宮さんに振り回されっぱなしですから」
どうだろう、からあげにして食うって事は相手を支配したも同然なはずだ
そんな事が口から出るって事は、俺がアイツから主導権を奪いたいって思ってるからか?
キョン「…そうかもな、あれでストレスが溜まらないって奴がいたら拝んでみたいよ」
長門「食べる?」
キョン「は?」
長門「涼宮ハルヒのからあげ、食べたい?」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 06:34:51.62 ID:+8P5XIJP0
キョン「…それは「ハルヒ作のからあげ」か「ハルヒ使用のからあげ」どっちだ?」
長門「もちろん後者」
古泉「珍しいですね、長門さんがジョークを言うなんて」
長門「ジョークではない、彼が食べたいのなら用意する」
キョン「無理を言うな、ハルヒを殺す気か?かまわんけど」
おっとっと、つい本音が出てしまった
まぁ長門がハルヒを殺す理由は無いはずだ、何か策があるのだろう
長門「鶏肉と本人の髪の毛、皮膚、体液があれば容易に再現が可能、安上がり」
古泉「なるほど、鶏肉を涼宮さんの遺伝子で改変するんですね」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 06:41:46.68 ID:+8P5XIJP0
キョン「…よし、そうと決まれば始めるぞ」
古泉「やる気ですか…、どんな味がするのか楽しみですね」
そうと決まればまずはハルヒの遺伝子を手に入れなければ
部室の端っこにでも落ちていれば――――
ハルヒ「部活始めるわよー!」がたこん
みくる「ふひぃ〜…」
ナイスタイミング、朝比奈さん可愛い
キョン「ハルヒ、ちょっと動くな」
ハルヒ「え?…って、ちょっ!なんでそんなに近付くの…?」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 06:49:30.10 ID:+8P5XIJP0
ゆっくりとハルヒの髪に手を伸ばす、後少し…
ハルヒ「ちょ、ちょっとキョン…急にどうしたの?」ドキドキ
もらったぁっ!
キョン「オラァ!」ぶちぃ
ハルヒ「!?っ〜〜〜〜!」
キョン「すまん、今ゴキブリ付いてたから取ったぞ」
ハルヒ「はぁ?!アンタ素手でゴキブリ取るタイプだったの?!」
キョン「あぁ、アイツ等見るとつい…な」
ハルヒ「…何か納得いかないけど…私帰る!部活中止!」
みくる「ふぇ〜ん…そうですか〜」
ハルヒ(なによ…変な期待させて…)
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 06:55:54.22 ID:+8P5XIJP0
キョン「…よし、ハルヒの遺伝子ゲットだぜ」
古泉「かなりの量が手に入りましたね、これは十円ハゲレベルですよ」
長門「後は鶏肉があればいい、早速調達に向かう」
キョン「じゃあ近くのコンビニで買うか」
『コンビニエンスストア』
キョン「…これか?」
長門「骨付きは再現途中でエラーが発生する可能性がある」
古泉「長門さん、牛肉が安いのでこれも買いませんか?」
長門「かまわない」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 07:02:31.62 ID:+8P5XIJP0
『長門宅』
長門「では始める」
キョン「おう」
古泉「上手く行きますかね?」
長門「終わった」
キョン「早いなオイ」
古泉「これが涼宮さんの肉ですか…何と言うか、コメントしづらいですね」
キョン「あぁ、じゃあ油に入れるぞ」
古泉「いやいや!待ってください!貴方には下味とか衣とか関係なしですか!」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 07:09:20.54 ID:+8P5XIJP0
キョン「からあげって何もしないで揚げるからからあげじゃないのか?」
古泉「貴方からあげ食べた事無いんですか?なんか周りに付いてたでしょう」
長門「まずは下味を付ける」どぼん
キョン「…」
古泉「…」
長門「…」
キョン「……」
古泉「……」
長門「……」
おい、誰かしゃべれよ
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 07:14:32.58 ID:+8P5XIJP0
キョン「…もういいんじゃないか?」
古泉「まだ早いんじゃないですか?」
長門「これでは味が付いてない」
キョン「………」
古泉「………」
長門「………」
キョン「いや、もう駄目だ、腹減って死ぬ、だから先進めよう」
長門「せかっち」
古泉「まぁ味は後でマヨネーズ掛けるなりレモン掛けるなりで何とかなりますか」
古泉はレモンかける派か…コイツとは相成れない関係だ
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 07:22:21.82 ID:+8P5XIJP0
キョン「で、次はあれか、衣か」
古泉「えっと…衣は何を付けるんでしたっけ?」
長門「以前朝倉涼子と揚げ物を作った時、パン粉を使った」
古泉「いえ、からあげはパン粉は使いませんよ、もっとシンプルな何か…」
キョン「でもパン粉以外に何があるんだ?天ぷらのあれか?」
古泉「天ぷらのあれは天ぷら専用じゃないですかね?」
キョン「でもなんか似てるだろ、あれとパン粉以外ないだろ」
長門「…パン粉を強行する」べしゃあ
古泉「……」
キョン「妥当な判断だ」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 07:29:00.84 ID:+8P5XIJP0
長門「…完成した」
キョン「おお…これが…」
古泉「涼宮さんの…」
長門「からあげ」
古泉「じゃあレモン掛けますね」
キョン「待て!まずは素材の味を味わえ」
古泉「そうでしたね、それでは…」
一同「「「いただきます」」」
キョン「……」もぐもぐ
古泉「……」むしゃらむしゃら
長門「……」きゅいーん
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 07:32:09.94 ID:+8P5XIJP0
キョン「……」
なんだ…何かがおかしい…
下味は対して付いてないが、気にする程度ではないはずだ
じゃあ衣か?たしかに古泉の言ってた事はおかしくなかったかもしれない
それに若干火の通りが甘い気もする
…だがそれよりも明らかにおかしい
…そうか
キョン「…これはハルヒのからあげじゃない」
長門「!」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 07:38:53.58 ID:+8P5XIJP0
古泉「一体何が違うんです?」
長門「この肉は涼宮ハルヒの肉とほぼ変わらない」
長門「多少違っても0.001パーセント以下の誤差」
キョン「確かにこの肉はハルヒと同じ肉かもしれない…」
キョン「でも俺はハルヒのからあげが食べたかったんだ!」
長門「……」
キョン「ハルヒの肉を使ったからあげじゃない…ハルヒを使ったからあげだ!」
古泉「それはつまり…」
キョン「ハルヒの全て…ハルヒの一本からあげが食べたかったんだ!」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 07:43:48.15 ID:+8P5XIJP0
古泉「……」
長門「……」
キョン「ぜー…はぁ…ぜー…はぁ…」
自分は何を言ってるんだ
視線が痛い
でも妥協はできなかった
古泉「…やりましょう」
キョン「古泉…」
長門「貴方の思いは伝わった」
キョン「長門…!」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 07:48:30.84 ID:+8P5XIJP0
朝倉「私もいるわよ!」
キョン「あーさーくーらー!」
古泉「そうと決まれば涼宮さんの家に行きましょう!」
長門「私が涼宮ハルヒを捕らえる」
朝倉「私は最高の衣を探してくるね」
キョン「あぁ…助かるぜ」
俺達の晩御飯ははこれからだ!
おわり、疲れた
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 08:03:59.59 ID:+8P5XIJP0
あれ…おかしいな…
何でこんな事になった?何で俺はハルヒのからあげが食べたくなったんだ?
古泉「もうすぐですね、ちょっとドキドキします」
ハルヒの肉は食ったんだ、これでいいじゃないか
長門「不審に思われないよう、貴方がターゲットを外におびき出してほしい」
キョン「あ、あぁ…」ぴぴぴんぽぴんぽーん
インターホンを押す、少し震えて連打してしまった
ハルヒ「……どちら様ですか?」
しばらくして不機嫌そうな声をしたハルヒ応対した
キョン「…俺だ俺…ちょっと外に出てきてくれないか?」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 08:14:59.92 ID:+8P5XIJP0
ハルヒ「…オレオレ詐欺はお引取りください」
キョン「違う、お前と同じクラス、部活も一緒…」
ハルヒ「えっ…?キョン?どうして私の家に…」
キョン「…それも踏まえて話があるんだ、ちょっと出てきてくれ」
ハルヒ「わかった…ちょっと待ってなさい…」
キョン「……」
今からでも遅くないはずだ、ハルヒが出てきたら適当に話してすぐ家に戻ってもらおう
ハルヒ「…こんな遅くに何の用?」
キョン「お、おお、ハルヒ…」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 08:21:29.14 ID:+8P5XIJP0
キョン「えっと…なんか、突然からあげが食いたくなってな!」
ハルヒ「は?」
キョン「明日あたり…昼ごろに無性に食べたくなる気がするんだ!」
ハルヒ「…で?」
キョン「…明日、からあげ作ってきてくれ」
よし決まった、これでハルヒは怒り無言で家に入るだろう
ハルヒ「……突然何言ってんの?」
キョン「…ハルヒのからあげが食べたいんだ」
ハルヒ「…レモンは?」
キョン「え?」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 08:28:58.67 ID:+8P5XIJP0
ハルヒ「レモンは必要なのか聞いてんの」
キョン「あ、いや…俺はレモン掛けない派だ」
ハルヒ「あっそ、じゃあ明日期待して待ってなさい」
…これはつまりハルヒのからあげって事か?左手から出すのか?
まぁそんな事はどうでもいい、早くドア開けて引っ込め、さっさと寝ろ
キョン「じゃあ明日な!おやすみ!」
ハルヒ「…おやす――――」
その時俺の視界が真っ赤に染まった
ハルヒが全身から血を噴出していた
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 08:37:07.55 ID:+8P5XIJP0
キョン「っ!?ハルヒ!」
ハルヒ「キョ…ン…」どしゃあ
キョン「おいハルヒ!しっかりしろ!何がどうなってやがる!」
長門「涼宮ハルヒの血液を排除した、からあげにするにしたがって必要な行為」
キョン「な…」
古泉「しかしこれは凄まじい光景ですね、見つかったら危険です」
長門「すでに血液の分解は始まっている、問題ない」
キョン「おい…ハルヒ…」
ハルヒ「――――」
長門「すでに朝倉涼子がからあげの衣を用意している、新鮮な内に帰るべき」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 08:42:02.01 ID:+8P5XIJP0
ハルヒが死んだ、俺の無意識な発言のせいでだ
俺が最後にハルヒにできること…
『長門宅』
長門「今帰った」
古泉「お邪魔します」
キョン「……」
朝倉「お風呂にする?私にする?それとも…か・ら・あ・げ?」
俺が最後にハルヒにしてやれる事、それは…
キョン「からあげだ」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 08:54:53.17 ID:+8P5XIJP0
長門「では始める」
キョン「なぁ…俺から頼みがあるんだ」
古泉「何でしょう?」
キョン「ハルヒを…最高のからあげにしてくれ」
長門「心配ない、今回は朝倉涼子もいる」
朝倉「じゃあ最初に涼宮さんの下ごしらえを…」
長門「それはここに来る前に済ませた」
朝倉「流石長門さんね、それじゃあ次は下味ね、醤油、日本酒、みりん…」
朝倉「摩り下ろしショウガ、塩コショウ、それとジャムとヨーグルトを混ぜたタレを作るの」
古泉「んっふ、本格的ですね」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 09:05:36.68 ID:+8P5XIJP0
朝倉「古泉君、これをお風呂一杯に作ってくれる?」
古泉「はい?いえ、さすがにそれは難しいですね」
朝倉「男の子なのにだらしないわね…じゃあ涼宮さんをお風呂場まで運んで?」
古泉「それなら僕にも可能ですね、ふんもっふ!」
長門「今湯船をタレで満たした」
朝倉「そしたら涼宮さんをタレに入れて内臓全体にタレを入れてね」
古泉「わかりましたよ!セカンドレイッ!」どがしゃあん
朝倉「後は…キョン君、卵を溶いてくれる?私は片栗粉を出すから」
キョン「ああ、任せろ」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 09:14:13.19 ID:+8P5XIJP0
キョン「……」かしゃかしゃかしゃ
朝倉「……」びりりばさぁ
長門「…涼宮ハルヒのタレの浸透速度を上昇化、塩分調整」
古泉「んっふ、んっふ…手ごわいですね」
『十数分後…』
長門「涼宮ハルヒに十分タレが浸透した」
朝倉「そう、それじゃ衣を付けましょ、キョン君、涼宮さんに卵を付けてあげて」
キョン「あぁ…」
ハルヒ…ちょっとタレ色に染まったな
ハルヒの体はすごく綺麗なんだな、腹が裂けてるのは少し痛そうだ
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 09:21:05.34 ID:+8P5XIJP0
キョン「…終わったぞ、こんな感じでいいか?」
朝倉「ええ、ムラ無く上手に塗れてるわよ、じゃあ片栗粉を付けるね」
ハルヒに片栗粉がまぶされていく
それはまるで町を覆ってゆく雪のように美しかった
朝倉「さて、ようやくお待ちかねの揚げの作業よ」
長門「朝倉涼子、問題が発生した、しかも重大な問題」
朝倉「えっ?…あ、そうだった、油を熱するのを忘れてたわ」
長門「そうじゃない」
長門「涼宮ハルヒが入る鍋が無い」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 09:30:31.30 ID:+8P5XIJP0
古泉「そんな…」
キョン「それじゃ…ハルヒをからあげにできないじゃないか!」
朝倉「……」
長門「もう少し早く気が付けばよかった、申し訳ない」
キョン「……」
古泉「…元気を出してください」
朝倉「そうよ…きっと何か別の方法が…」
その時長門宅のインターホンが鳴った
朝倉「すみません、今立て込んでいて…って、あれ?これって…」
玄関から戻ってくる朝倉、その手には人が入るほどのドラム缶があった
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 09:43:16.04 ID:+8P5XIJP0
キョン「どうしてドラム缶なんか…」
朝倉「玄関の前に置いてあったの」
古泉「ちょっと待ってください、何かメモが貼ってありますよ」
メモを読んでみるとそこには見慣れた名前が書いてあった
『おいキョン!困った事があったら言えって言っただろ?
谷口』
『皆で探したんだけどなかなか良いのが見つからなくて…でも応援してるよ
国木田』
『川原で待ってるにょろ
鶴屋』
『キョン君が困る事は『禁則事項』で知ってました
届けるのが『禁則事項』せいで遅くなってごめんなさい
朝比奈』
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 09:53:18.47 ID:+8P5XIJP0
キョン「谷口…国木田…鶴屋さん…朝比奈さん…」
キョン「その他大勢の皆…ぐすっ」
長門「これなら涼宮ハルヒを揚げる事ができる」
古泉「しかしこの部屋では十分な火を使えませんね…」
朝倉「川原で待ってるって…川原で揚げろってことじゃない?」
キョン「そうか…!よし、急いで川原に行ってみよう!」
俺たちはドラム缶とハルヒを抱えて川原へ向かった
片栗粉だらけのハルヒを見られるんじゃないかと思ったが、ドラム缶に入れる事で事なきを得た
川原に着くと20人程が集まっている
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 09:59:57.94 ID:+8P5XIJP0
キョン妹「キョンくーん!遅いよー!」
大きな火を囲む人達、それは全員俺の知り合いだった
谷口「キョン遅いぜ!…最高のからあげにするんだろ?」
キョン「あぁ…ああ!」
先ほどの気分が嘘のように晴れ渡った
ハルヒの顔も何処と無く嬉しそうだった
長門「…油の準備が出来た、これで行ける」
朝倉「それじゃみんな、最後の仕上げに入るけど…」
朝倉「この状態じゃ最高のからあげはできないわ」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 10:08:41.78 ID:+8P5XIJP0
谷口「ワァッツ?!そりゃどういう事だ?」
朝倉「揚げ物は温度との勝負よ、このドラム缶の容量では油が足りないの」
朝倉「この量の油に涼宮さんを入れたら油の温度は急激に下がるわ」
朝比奈「でも…これだけ火が強ければすぐに高温に…」
朝倉「…その前に旨味が逃げる」
朝比奈「……」
古泉「…僕が、やります」
キョン「古泉…?」
古泉「僕が涼宮さんの旨味を閉じ込めます!」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 10:16:41.09 ID:+8P5XIJP0
キョン「無理だ!お前の力は閉鎖空間でしか使えない!」
古泉「でも他に方法があるんですか!?ここで妥協するんですか!」
キョン「っ!?……そうだ、妥協は駄目だ」
あの時の思い
『妥協はできない』
長門「私も残りの力を使って彼をサポートする」
キョン「これしかないなら…みんなを信じる!」
キョン「最高のからあげに!」
一同「「最高のからあげに!」」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 10:20:35.14 ID:+8P5XIJP0
朝倉「…準備はいい?」
緊張が場を支配する…ってこういう事なのか?
みんなの息遣いが全て聞こえるようだ
古泉「…いつでも!」
長門「どこでも」
谷口「よし…入れるぞ!」
国木田「せーの…」
ハルヒが油に沈められる
高温の油が谷口と国木田を襲う
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 10:25:21.75 ID:+8P5XIJP0
国木田「うわぁあぁあああ!」じゅあ
谷口「っぐぅぅうううっ!」ばしゃあ
キョン「おいっ!大丈夫か!?」
谷口「ぐぅ…キョン!アイツから目を離すな…!」
キョン「くっ…すまん」
朝倉「古泉君!温度が下がってきたわ!」
古泉「やります!」
長門「!」
ドラム缶が赤く光輝く
それは以前見た光の弾よりも強く、明るく輝いている
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 10:34:52.62 ID:+8P5XIJP0
朝倉「すごい、旨味が逃げてない…!」
古泉「くぅ…はぁっ…!」
キョン「頑張れ古泉!もう少しだ!」
古泉「やります…っ、やり遂げてみせます!」
朝倉「温度上昇中…適正温度まで70…65…60…」
古泉「はっ…はっ…」
長門「……」
朝倉「50…45…40…30…」
古泉「ぐぅぅ…」
長門「…――――」どさぁ
みくる「長門さん!?」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 10:41:09.06 ID:+8P5XIJP0
鶴屋「大丈夫さ!気絶してるだけにょろ」
古泉「っぐわああぁぁぁぁ!」
キョン「古泉!もういい!十分だ!」
古泉「くっ…まだ…いけます…」
朝倉「15…13…11…9…8…」
古泉「……っ……」
朝倉「7、6、5、4、3、2、1!」
古泉「……」ぐらぁ
朝倉「適正温度に到達確認!」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 10:43:31.96 ID:+8P5XIJP0
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
古泉「……」
「おめでとう」
古泉「…ありがとう」
美味しく揚がりましたー
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 10:48:20.79 ID:+8P5XIJP0
古泉「……」
長門「……」
朝倉「……」
キョン「できた…のか?」
谷口「これが…お前のからあげか…やればできるじゃねぇか…」
キョン「あぁ…」
ハルヒのからあげが出来た
俺が望んだ最高のからあげ
キョン「みんな…ありがとな、いただきます」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 10:55:21.80 ID:+8P5XIJP0
しょっぱかった
別に味付けが失敗したって訳じゃない、失敗な訳が無い
でもただただしょっぱかった
キョン「ハルヒ…お前は最高のからあげだよ…」
キョン「俺…ハルヒからあげにして食ってるよ…」
カリカリの衣が濡れる
ポタリポタリと、雨でもないのに水が落ちてきた
キョン「…ごちそうさま」
ハルヒ…お前さ…
ちょっと脂肪落とした方が良かったな
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 11:06:55.33 ID:+8P5XIJP0
―――――――――
―――――
――
チュンチュチュンチュン…
キョン「んぁ…?」
最近唐揚げ関係の夢を見る事が多い
いつも誰かに助けられてる、そんな気がして長門に能力者にしてもらった
これで宇宙人、未来人、超能力者に並べたかと思った…が
手に入れた能力は左手から唐揚げを出せる事、微妙だ
でも一つだけ分かった事がある
唐揚げの食べ過ぎは体に悪いらしいって事、それだけ
おわり
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/24(月) 11:09:19.73 ID:+8P5XIJP0
ごめんやっぱ俺にからあげは難しかったわ、最後のイメージが足りなかった
「つまんねぇよクズ」って言う人には申し訳なかった
「まぁまぁじゃん」って言ってくれる人にはダンケシェン