ハルヒ「なんなのよ! このおせち!!」


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5 名前:>>1 代行ありがとうございます。[] 投稿日:2011/01/07(金) 21:54:50.98 ID:tFKpHw+uP

ハルヒ「早いものでもう12月も中旬かー。 色々あったわよねぇ」

キョン「なんだ、感慨にふけるなんてお前らしくないな」

ハルヒ「なによそれ! ……でも、そうね。 あたし、結構みんなに迷惑かけちゃったかなって」

キョン「おいおい、ほんとにどうした」

ハルヒ「あたしね、高校に入学してからの毎日、本当に楽しかった。
    なんていうか……、やっと生きてる充実感を得られたっていうか……。
    中学の頃はこうじゃなかったわ。 毎日が退屈で……、でも、今は違う。
    みんながいるから、それが凄く楽しいの」

みくる「涼宮さん……」

ハルヒ「あんまり楽しいから、周りが見えなくなってキョンたちのこと振り回して……。
    自分のことしか考えてなかったわ……。 ごめんね」

古泉「そんな……」

ハルヒ「……今のこの瞬間って、大事にしないと、すぐに消えちゃうような気がするの。
    だから、言えるうちに言っておくわ。 みんな……、ありがとう」

みくる「涼宮さーん……」グスッ

キョン「まぁ、確かに迷惑な目にいっぱい遭わせられたなぁ」

みくる「キョ、キョンくん!」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 21:56:17.27 ID:tFKpHw+uP

キョン「でもさ、それひっくるめて楽しかったぜ。 お前がいなかったら、
    きっと俺は退屈な毎日を過ごしてた。 ……ありがとな」

古泉「僕もです」

みくる「わ、わたしも!」

長門「わたしも」

ハルヒ「みんな……」ジーン


ハルヒ「そ、その日ごろのお返しの気持ちを込めてね、おせちを注文したの! みんなと新年を迎えたくて!」

古泉「おせちですか。 確かに今から注文しないと間に合いませんね」

ハルヒ「ちゃんと本格的なやつよ! 21,000円のところを10,500円で売ってたの! ほら、これ!」

http://gigazine.jp/img/2011/01/05/groupon_osechi/osechi_00_m.jpg

キョン「おお、凄いじゃないか」

みくる「美味しそうです〜」

古泉「これは立派なおせちですねぇ。 心遣いありがとうございます、涼宮さん」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 21:57:53.19 ID:tFKpHw+uP

キョン「それじゃ、元旦はSOS団のみんなでゆっくり過ごすか」

長門「私の家を使って構わない」

ハルヒ「そうっ? じゃあ、有希の家におせちが届くようにしておくわ!」

キョン「悪いな、長門」

長門「いい」

ハルヒ「でもみんな! その前にクリスマスや忘年会や初詣があるんだからね! そっちも気合いれるわよー!」

キョン「ああ、これからもよろしくな、ハルヒ」

ハルヒ「うん!」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 21:59:41.48 ID:tFKpHw+uP

そして、元旦


ハルヒ「あけましておめでとう〜!」

キョンたち「おめでとう〜」

ハルヒ「いや〜、有希のマンションって、立派でいいわよねぇ」

キョン「あんまり大騒ぎするなよ」

ハルヒ「正月は無礼講よ!」

キョン「お前は一年中無礼講だろ……」


ハルヒ「そういえば、お腹すいたわね〜」

みくる「今、お雑煮を作ってるところですから〜」

古泉「長門さん、注文したおせちは?」

長門「昨日のうちに届く予定だったが、未だに来ない」

ハルヒ「おかしいわねぇ、そろそろ来るんじゃ――」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 22:02:09.41 ID:tFKpHw+uP

ピンポーン

ハルヒ「あ、きたきたっ。 は〜い」

たったったっ がちゃ

キョン「……まるで我が家のような応対だな」


ハルヒ「みんな〜、届いたわよ〜」

キョン「腹減ったな、早く食おう」

古泉「……おや?」

キョン「どうした?」

古泉「あ、いえ、通常の配達物として送られたんですね。 こういうものはクール便だと思ってましたが」

みくる「確かにちょっと変ですねぇ……」

キョン「まぁいいじゃないか。 さすが豪華な箱だなぁ! こりゃ、中を見るのが楽しみだ」

みくる「そうですねっ! わたしも料理好きなので、おせちってすっごく興味あるんですよ〜」

古泉「わくわくしますねぇ」

ハルヒ「なにせ、横浜の人気レストランの厳選食材をふんだんに使った33品・3段・7寸の立派なおせちだからね!」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 22:05:46.39 ID:tFKpHw+uP

キョン「早く開けてくれっ」

ハルヒ「うふふ、それじゃ開けるわよ〜!」


ごそごそごそ ぱかっ


ハルヒ「じゃーん! 豪華謹製おせちの――――えっ…………?」

http://getnews.jp/img/archives/00817.jpg

キョン「……ん?」

古泉「これは…………」

みくる「……ふぇ」

長門「…………」

ハルヒ「え、えっと…………」アタフタ

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 22:07:36.36 ID:tFKpHw+uP

ハルヒ「き、きっと2段目は凄いわよっ! ほらっ!」カパッ

http://getnews.jp/img/archives/00626.jpg

キョンたち「…………」


ハルヒ「3段目ならきっと!!」カパッ

http://getnews.jp/img/archives/00726.jpg

みくる「あ、6Pチーズだ……」


ハルヒ「な……、なんなのよこのおせち!! 写真と全然違うじゃない!!」

http://getnews.jp/img/archives/000210.jpg

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 22:11:20.86 ID:tFKpHw+uP

キョン「何かの間違いじゃないのか……? おせちというより、食い残しの弁当にしか見えないんだが……」

みくる「な、なんだか、酸っぱい匂いがしますぅ」

長門「……腐ってる。 食べるのは危険」

みくる「箱の中身……スッカスカですね……。 黒豆がえーっと……14粒かな」

長門「貝の中のアワビも1切れしかない」

古泉「この生ハム……、完全に乾いててカピカピですね」

キョン「この6Pチーズはなんだ……。 笑えばいいのか……?」

長門「違う、6Pではなく8Pチーズ」

キョン「どっちでもいいよ……」

みくる「4人前のおせちにハム2枚にチーズ1切れって…………」

古泉「スカスカだから配達の時に揺れて、中身が更に酷いことになってますね。 まるで残飯だ……」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 22:14:34.29 ID:tFKpHw+uP

ハルヒ「…………」

キョン「あっ! い、いや……、ちょっと大袈裟に言いすぎたな!」

みくる「え、あっ! そ、そうですね! よく見たら美味しそうかも!」

古泉「え、ええ! おせちなのに重箱の底が見えるところなんて前衛的なデザインで――」

ハルヒ「……っ!」


キョン(ば、ばかやろう! お前のフォローは嫌味にしか聞こえないんだよ!)

古泉(も、申し訳ありません……、気が動転して……つい…………)


キョン「それじゃ〜、いただこうか! ハルヒが俺たちのために用意してくれた、心のこもったおせちだもんな!」

長門「いや、だから腐って――むぐっ」ギュ

みくる「いただきましょう!(長門さん、空気読んで!)」

ハルヒ「いいわよ……、無理しなくて……。 有希の言うとおりお腹壊すわ……」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 22:17:32.75 ID:tFKpHw+uP

キョン「そ、そんなことないさ! うわぁ〜、この数の子おいしそうだなぁ〜!」

ひょい ぱくっ

キョン「うん! 味がしっかり染み込んで――――うっ! おげぇ!」

ぺっ!

キョン「げほっ! げほっ! な、なんだこの味……! 塩の塊を食ったみたいだ……」

みくる「こ、この数の子、塩抜きしてませんよ……。 皮がついたままだ…………」

古泉「い、いやぁ! これだけたくさん料理があったら外れもありますよ! なにせ33品目ですからねぇ!」

長門「いや、今数えたら25品目しかない」

キョン「こ、こまけぇこたぁいいんだよ!」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 22:20:25.91 ID:tFKpHw+uP

古泉「じゃあ、僕はサトイモをいただきますね!」

ぱくっ がりっ

古泉「うっ、うわあ、おいしい……です…………」ウッ

古泉(硬い! サトイモなのに硬いですよこれ!)

キョン(吐くな! 飲み込め!)

ごくん

古泉「さ、さすが本格おせちのサトイモ! 普段食べてるものとは出来が違うなぁ!」


キョン(だから、その嫌味やめろ!)

古泉(す、すいません、そんなつもりじゃ……)

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 22:23:15.62 ID:tFKpHw+uP

ハルヒ「もういいわよ…………」

みくる「わ、わたしは、このローストビーフをいただきますね!」

ぱくっ

みくる「うぉ、おいしい……なぁ……アハハ…………」ウウッ

みくる(どうしよう、吐き出したい……。 半分生な上に、本当に腐ってるよこれ……)

キョン(朝比奈さん、後で胃腸薬を買ってあげますから、耐えてください!)

ごくん

みくる「あ〜、お正月から幸せな気分です〜」アハハ…

キョン「そうでしょう! いや〜、楽しいなぁ!」アハハ…


ドンッ!


ハルヒ「もういいって言ってるでしょ!!!」


シーン……



49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 22:26:57.21 ID:tFKpHw+uP

みくる「す、涼宮さん……」

ハルヒ「ごめんね……、せっかくのお正月に水を差しちゃって……」グスッ

キョン「お前は悪くないぞ! ハルヒ!」

みくる「涼宮さんのお気持ちはしっかり伝わりました!」

古泉「そ、そうですよ! 悪いのは、こんなクソったれなゴミ汚せちを送りつけてきたバード○フェですよ!」

ハルヒ「ゴミ汚せち…………」


キョン(古泉……、後で真剣な話がある…………)

古泉(えっ!? 僕、また何かまずいこと言いました!?)


ハルヒ「ごめんね……、ほんとゴメン…………」ポロポロポロ

キョン「ハルヒ…………」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 22:29:59.04 ID:tFKpHw+uP

長門「……涼宮ハルヒ、気にしなくていい」

ハルヒ「……有希?」

ビリビリ ひょい ぱくっ

長門「この8Pチーズは中々イケる」モグモグ

ハルヒ「…………っ!?」

ハルヒ「うわああああああああああああああん!!!」ダッダッダッダッ

キョン「お、おいハルヒ! ハルヒイイイイイ!!!」


ガチャ バタンッ


キョン「長門おおおおおおおおおおお!!!!」

長門「……何かまずかった?」

みくる「8Pチーズしか、まともなものがなかったんですね…………」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 22:33:36.37 ID:tFKpHw+uP



シーン……


キョン「……どうすんだ、このゴミおせち…………」

ぶるるる ぶるるる

古泉「すいません、機関からの呼び出しです……。 理由は言うまでもないと思いますが…………」

キョン「ああ、閉鎖空間だろ……。 行ってこい…………」

古泉「はい、失礼します…………」


ガチャ バタン


シーン……


長門「……マリオカートでもやる?」

キョン「いいよ……、俺も帰る…………」

みくる「う……、さっきのローストビーフのせいでお腹が…………」ゴロゴロ

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 22:37:30.87 ID:tFKpHw+uP

翌日 キョンの部屋


妹「あさー、朝だよキョンく〜ん。 起きろ〜」ユサユサ

キョン「ん……、休みなんだからゆっくり寝かせてくれ……」

妹「もう〜、寝ぼけてるな〜。 今日も学校あるでしょ〜。 起きて〜」

キョン「え……? 今日は1月2日だろ。 冬休みの真っ最中じゃないか……」

妹「何言ってるのキョンく〜ん。 今日は12月14日だよ〜。 学校に行くよ〜」

キョン「えっ!? ちょ、ちょっと待て!」ガバッ

妹「ふぇ?」

キョン「ま、まさか……! テ、テレビ!!」

ぴっ

キョン「ほ、ほんとだ……。 12月14日だ……。 まさか、夏休みのエンドレスエイトのようにタイムスリップを……?」

ぷるるるる ぷるるぴっ

キョン「もしもし! 長門か!?」

長門『今起きている現象を説明する』

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 22:40:52.04 ID:tFKpHw+uP

長門から受けた説明を簡潔にまとめると、
やはり、ハルヒの世界改竄能力によって、時間が巻き戻ったらしい。
理由は言うまでもないだろう。 昨日のおせちが原因だ。

あのゴミ箱から拾ってきたかのような残飯おせちを、
自信満々に差し出したハルヒは、激しくショックを受け、
あの恥辱をなかったことにすべく、この現象を引き起こしたようだ。

しかし、誰がハルヒを責められようか。
俺がハルヒの立場なら、一週間は引篭もってるであろうレベルだ。
俺は、ハルヒのことが無性に心配になり、学校への足を急いだ。



教室


キョン「ハルヒ……、ハルヒはまだ来てないのか……?」キョロキョロ

ハルヒ「おっはよー! キョーン!」

キョン「あ! ああ、おはようハルヒ……」

ハルヒ「ん? 何よ、随分元気ないわねぇ?」

キョン「い、いや、何でもない……。 と、ところでハルヒ、お前、おせちを買おうとしてるか……?」

ハルヒ「えっ!? どうしてそのことを……?」

キョン「い、いやぁ! おせちを注文しようと思ったら、今がギリギリだろっ? ちょっと聞いてみただけだっ」

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 22:43:35.21 ID:tFKpHw+uP

ハルヒ「そっか。 うん、実はさ、みんなと一緒にゆっくりお正月を過ごしたいなと思って、選んでるところなんだっ」

キョン「そうか……、ひとつ言わせてくれ…………」

ハルヒ「なに?」

キョン「グル○ポンで買うのだけは絶対にやめとけ!!」


こうして、俺はあの呪われた運命を回避することに成功した…………はずだった。
しかし、俺はこの時、気付いていなかった。 また、新たな困難が待ち構えていることに…………。



ハルヒ「なんなのよ! 楽○で注文したおせち、いつまで経ってもこないじゃない!!」



おわり

100 名前:ゴミクズ[] 投稿日:2011/01/07(金) 22:46:53.55 ID:tFKpHw+uP

終わりです。
アク禁 + キャップ漏れ騒動のおかげで、
中々、スレ立てできないよ……。
読んでくれた人ありがとう。



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