ハルヒ「もっとグレートにヘビーなチョコパフェが食べてみたいの!」


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5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 02:25:34.56 ID:pvC3W+vZP

代行サンクスコ

ハルヒ「バケツみたいなサイズのピッチャーで」

キョン「バケツは置いといて」

ハルヒ「いきなり置いとかれた」

キョン「ヘビーなのってのはどういうことだ」

ハルヒ「これ、何だと思う?」

キョン「お前の前にあるものか」

ハルヒ「そうよ」

キョン「この喫茶店の名物のチョコレートパフェだな」

ハルヒ「あたしは今日、街で噂のコレを食べてみたくて、電車を乗り継いでまで来たのよ」

キョン「そして俺はそれに付き合わされたと」

ハルヒ「早い話、期待はずれだわ」

キョン「店員に聞こえるぞ」

ハルヒ「どう期待はずれなのか、ひとつづつ説明してあげるから、耳の穴かっぽじってよく聴きなさい」

キョン「音量は小さめで頼む」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 02:39:06.44 ID:pvC3W+vZP

ハルヒ「っていうか、なんでこんな時間に、あたしはあんたとこんなとこにいるのよ」

キョン「俺の記憶が正しければ、この店に入ったのは午後二時ごろだったと思うんだが」

ハルヒ「時計が一周してるじゃない」

キョン「待てども待てどもスレが立たなかったんだよ」

ハルヒ「キョンの寄生虫! P民! 運営の犬! あんたのお母さん漫画家!」

キョン「文句は運営に言え、そして漫画家に謝れェェ―――ッ!」

ハルヒ「おかげさまで問題のチョコパフェも溶けほうだい緩み放題でぐっちゃぐちゃよ!」

キョン「いいから、話したいことをさっさと話せ、俺の体内時計はもう眠前ストレッチタイムなんだ」

ハルヒ「いい? あたしは『チョコレート好きなあなたのための絶品チョコレートパフェ』っていう触れ込みに釣られて来たのよ」

キョン「ああ、わざわざフルネームでオーダーしてたな」

ハルヒ「言い忘れてたけど、あたしは定期的にネット販売でベルギー産の輸入チョコレートギフトを注文してるくらいチョコレートにはうるさいのよ」

キョン「ギフトの意味をググってこい」

ハルヒ「これまでに空けたゴディバの本数は間違いなく100本を超えるわね」

キョン「お前いくつだっけ」

ハルヒ「で、このパフェ! まずキョン、この一番上で、当初は角を立てていたであろう、もはやデロデロの水溶き片栗粉にしか見えないこの半液状のものは何?」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 02:54:42.87 ID:pvC3W+vZP

キョン「現状からは想像もできんが、俺の記憶が正しければ、それは真っ白なホイップクリームだったはずだが」

ハルヒ「はい、それじゃあ次、その下で、墨汁をぶちまけた半紙のごときわびしさをかもし出してるこの層は?」

キョン「もともとは、バニラアイスと、見るからに濃厚そうなチョコレートアイスが、かわいらしい球体状で並んでたな」

ハルヒ「それじゃあ、その端で力尽きてる、ふやけた無縁仏のようなこの物体は?」

キョン「ウエハースとポッキーの朽ち果てた姿だろう」

ハルヒ「その他、視認できる範囲に散らばってる、モノクロの雪崩に巻き込まれた色とりどりの遭難者どもの正体は?」

キョン「あー、確か……イチゴと、マスカットと、スペアミントの葉が飾られてたような気がするな。」

ハルヒ「……ぜんっぜん違―――うッ!!」
ガオンッ ガシャーン

キョン「うおッ!! バカ野郎、いきなりひっくり返すやつがいるかッ! 今の俺の返答に何か間違いがあったか、おいッ!?」

ハルヒ「あんたの日ごろの行いのあらゆる違いっぷりもそうとうだけど、そうじゃなくて! このパフェのどこが」

ハルヒ『チョコレート好きなあなたのための絶品チョコレートパフェ&hearts』

ハルヒ「なのよっ!? 間違ってる、一から十まで間違ってるわっ!!」

キョン「タイトルなんか増えたなおい!? っつーか、上から見ただけで一から十までとか言っていいのかよッ!?」

ハルヒ「見てみなさい、今あたしがひっくり返したこのキンギョバチみたいなパフェグラスの中に隠れてた愚者どもを!
    アイスの下にはココアムース、その下に無糖のコーンフレーク、一番底に申し訳程度のチョコシロップ!?
    こんなハンパなていで、チョコレートを極めたかのようなタイトルを冠してあたしを騙した罪は、キンギョバチを何個割ったところで償いきるに足らずッ!!」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 03:07:13.17 ID:pvC3W+vZP

キョン「……ようするに、お前はこのパフェを心底楽しみにしていて、そしてその気持ちを豪快に裏切られ、大いに憤慨しているわけか」

ハルヒ「YES! YES! YES! あたしが求めてるのはこんなチョコ率せいぜい50割? なんてくしゃみが出そうなやっつけものじゃないのッ!!
    『チョコ』と『レート』! この世にこれほど相性のいいものがあるかしらッ!」

キョン「単品かよ」

ハルヒ「正直に言うわ。あたしは今までも、何度となくこれに似た辛酸をなめさせられてきたわ……この秩序のない現代社会にね」

キョン「パフェグラスでわかる現代社会、なんか本になりそうだな」メシメシメシ

ハルヒ「ウエハースの死体を拾い上げて齧っとる場合か――ッ!!
    そう! 『チョコが染みてる』スナック菓子は、ただのパーム油ベースの準チョコレートをベトベト塗りたくった、ラスクの端切れだったッ!」

キョン「あれはきなこのほうがうまかったな」

ハルヒ「ポッキーのチョコレート部分が従来の数倍! 一目ぼれだった……だけど! 私がキスをしたのはポッキーなんかじゃない、よくわからないフレーバーのマジパンに包まった湿気ったプレッツェルだった!」

キョン「まあフランはポッキーじゃないからな、そもそも」

ハルヒ「『おいしくなって新発売』! 何度その言葉を信じ、何枚のガーナミルクチョコに打ちのめされてきたかッ!」

キョン「おとなしく明治のハイミルクでも食ってりゃいいだろ」

ハルヒ「ハイミルク? は・い・み・る・く・だ・と・ぉ・おおおお!?」

キョン「はいっ!?」

ハルヒ「チョコレートバーでミルクが最高にハイになってどうするってのよッ! チョコへの愛もなく高級チョコレートを気取りやがって! ム〜〜〜〜ッカつくゥゥゥ!!」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 03:23:58.76 ID:pvC3W+vZP

ハルヒ「」ピタッ

キョン「……な、なんだ、どうした……いきなり黙り込んで」

ハルヒ「愛……そうよ。市場に出回ってる三流チョコレートどもには、『チョコを愛する気持ち』がひとかけらも込められていないのよッ!!
    志向のチョコレートとは! チョコを愛するものが、チョコを愛するもののために、精神を込めて作り上げられなければ完成し得ないッ!!」

キョン「俺は睡眠を愛するものなんだが、その辺への配慮はチョコレート教団の訓えにはないんだろうか。ないんだろうな」

ハルヒ「キョン、決めたわ! SOS団の今冬の主な活動は、神から賜りし大地のかけら、チョコレートを追求することよッ!」

キョン「ああ、もう好きにしてくれ……で、もうこの店には未練も何もないんだよな? 期待はずれだったんだろ?
    だったら今日はもう、さっさと家に帰してくれ、そして俺に安眠を施してやってくれないか……いい加減」

ハルヒ「く……今すぐにでもこの情熱を行動に移したいけれど、確かにもう深夜だものね……っていうか、とっくの昔にこの店、閉ってるし」

キョン「いったい何故に、時計が一周するまで、誰一人として俺たちに気づいてくれなかったのか」

ハルヒ「はあ、とにかく今日は帰りましょう。あたしも、期待を裏切られたショックのほうが大きくて、今日はまだ動けな……ッ!?」

ドシュッ ドバドバドバッ ―――!!
ハルヒ「きゃあっ!?」ズガガガッ

キョン「ッ、ハルヒッ!?」(何だ、今、閉ってるはずの店の方から、手裏剣のようなものが、ハルヒに向かって飛んできたッ!?)

ハルヒ「つ……何よこれ……ッ! これは……この正方形、薄さは5ミリにも僅かに足りないほどの繊細な物体は!
    ―――『カレ・ド・ショコラ・ベネズェラ・ビター』! それも、たった今冷蔵庫から取り出したかのようなに冷たいわッ!」


???「ふふ……また一人、やってきたようですね……『調子に乗った蟻ンコども』が……」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 03:34:45.98 ID:pvC3W+vZP

キョン「ッ! 店の中に、誰かいる―――この声、俺には聞き覚えがあるッ!
    お前は―――!」


橘「ようこそいらっしゃいませ……『蟻ンコ』様御二名」クスクスクス

キョン「テメエは、朝比奈さんの時の! 何でここでお前が出てくる!? つーか、帰れないの!? 俺!」

ハルヒ「なによアンタ、ウェイトレスみたいな格好して! もう店は閉ってるのに、どうしてあんたは店の中にいるの!?」

キョン「ああ、ちなみに俺たちはオープンテラスに居たんだ」

橘「お言葉ですが、涼宮ハルヒさん……いえ、女王アリさん? 当店は『閉って』たりなんかしません。
  逆ですよたった今からが……この店は、口を『開ける』んです」

パパパパパパッ!

キョン(! 消えてた照明が、一気に点った!)

橘「改めて、『いらっしゃいませお客様』……ここは『私の店』……
   私、橘京子の『チョコレイト・ディ・ス・コ』は!!
   たった今から。お二人のために、営業を開始しましたッ!!」

ハルヒ「な、何ですって―――ッ!?」



キョン「いや、本当になんだこりゃッ!?」スパーンッ!

橘「あいたっ」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 03:49:38.23 ID:pvC3W+vZP

橘「何で叩くんですかっ!? それも額を! 後頭部や側頭部でなく、真っ向から額を!」

キョン「お前がわけの分からんコスプレでつけているその頭のヒラヒラと、邪魔ッ臭いついんてーるが邪魔で、正面からしか叩けないんだよっ!」

ハルヒ「キョン、あんた、このわけのわからないやつの知り合いなの?」パキッ

キョン「わけのわからないやつから投げられたチョコを食うなッ!」

ハルヒ「ん、適温。はあ……この気候のおかげで、チョコレートが手の温度で溶けて、フニャフニャになる悪夢におびえなくていいのね……」

橘「ふふん、チョコレートバーの最高の食べごろは、表面は常温よりやや低温、内部は最高でも5度以下!
  手の温度で温まる分と、その場の気温を考えて、柔軟に冷やす温度を変化させるのが、チョコレートを愛するもののチョコレートのたしなみ方というものです」

キョン「こんなうっすい基盤みたいなチョコに、内部も表面もあるかよ……」

ハルヒ「はいそこ、チョコのチの字も理解らないアホが一人登場!」

橘「こーゆーぼんくらが製菓会社の内部にのさばるから、世の中に涼宮さんのような、悲しみにくれるチョコレイテイスターが後を絶たないんです」

キョン「なんだそのとんっでもなく下らない造語は」

ハルヒ「あなた、どこのだれだか知らないけど話が分かるわね!」ガシッ

橘「あなたこそ、すばらしい信念を持ったチョコレイティストです! お会いできて嬉しいです!」ガシッ

ガッガッピシピシグッグッ


キョン「もうここでいいから寝ていいか、俺」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 04:01:19.21 ID:pvC3W+vZP

橘「もともとは、本物志向に拘る涼宮さんに、私がジャンクなチョコレート菓子で構成されたグレートにヘビーなチョコパフェを突きつけて、ふたりはそのディープさに頭を抱えるシナリオだったんですが」

キョン「シナリオとかもう言い出しちまったよ」

橘「正直昼間は面白いと思ったんですが、時計が一周する間スレが立たなくて、いざ立って冷静になってみたら、それほど面白くないし、時間も遅いし」

キョン「さっさと切り上げることにしたと。なるほど懸命だ、よし、このスレはここまででdat行きで、めでたしめでたしだな」

橘「でもせっかくスレが立ったんで、どうせなら一時期ちょっと流行った、gdgdと会話が続くだけ系の路線に変更しようと思って」

キョン「続くんだ。やっぱり続くんだ。いや、分かってたさ。分かってたともさ。
    分かっていたけど言わせてくれ続けるのかよ――ッ!!
    つーか、冷静になったんならスレ立て自体を切り上げればいいだろうがッ!!」

ハルヒ「そもそもTATESUGI256でP2でスレ立てようって、何の冗談よ」

橘「ぶっちゃけ依頼スレに提出してしまったので引くに引けなくなりました」

キョン「人生は三歩先を注意しながら生きような、お前ら」

橘「まあまあ、せっかくですから、私がお二人に叩きつけようと用意した大量のチョコ菓子でもつまみながら」ガサガサ

キョン「さながら柊家の戸棚の中ってラインナップだな……」

ハルヒ「ベルギービールがほしくなるわね」

キョン「だからお前はいくつだ」

橘「私はベイリーズがいいです」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 04:09:31.78 ID:pvC3W+vZP

キョン「つーかな、お前ら」

ハルヒ「何よ」

キョン「冗談とか抜きにな……俺は限界だ……」

橘「疲れたときこそ甘いものを」

キョン「糖分は十分に足りてるから……それをグルコースに分解する時間をくれ……」

ハルヒ「ふあ……確かにあたしも、さすがに眠いわね……寝る前にこのメニューの間食っていうのは、さすがにちょっと……」

橘「えぇー! せっかく用意したのに、お二人とも御無体です」

キョン「ああ、あれだ、また……なんだ、今度また、やる余裕があって、自分でスレを立てたときにな……」

橘「むー……仕方ないです」


ハルヒ「じゃ、電気消すわよー」

キョン「ちょっと待て」

ハルヒ「何よ、トイレ? 先に済ませておきなさいよね」

橘「雑魚寝って初めてです、なんかわくわくしますね」

キョン「ここはいったいどk……いや、いい。何も気にしないことにしよう。睡眠が得られるのなら」

三人「「「おやすみなさーい……」」」カチッ

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 04:14:14.64 ID:pvC3W+vZP

ごめん、あまりにもスレが立つのが遅すぎた
代行までしてもらったのに申し訳ないけど寝る
残ってたら明日午後にgdgdする
キョンの永遠の相方も登場するよ! 寝ゲロ

ひより「は……今、遠いどこかで、忘れていたい忘れかけの記憶を揺さぶられたような気がしたッス……」

ひより「ま、いっか。それより今は眠いッス……」



キョン「zzz」

ハルヒ「すー……」

橘「くー……むにゃ」

ひより「すぴー……」



―――SOS団フューチャリングよくわからない面子団が、午前四時十四分あたりをおしらせします

―――それではみなさまもおやすみなさい 3、2、1……

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 14:37:14.19 ID:pvC3W+vZP


四人「「「「おはようございます」」」」

キョン「一人増えてないか」

ひより「アタシも目が覚めたらみなさんが居て何事かと」

橘「よくあるちょっとしたスペクタクルじゃないですか」

ハルヒ「ちょっと寝すぎたわね……この時間って本当落ちにくいのね」

キョン「腹がすいたな」

橘「食べ物ならここにたくさんありますよ」ガサガサ

キョン「朝からチョコはちょっと……無くないか」

ひより「杉田智和があまいものを拒否するなんて」

キョン「俺は杉田智和でも坂田銀時でもない」

ハルヒ「あ、LOOK、あたしこれがいいわ」

キョン「それってうまいか? 果物とチョコレートがけんかしてるようにしか思えんのだが」

ハルヒ「あたしは好きよ」パキッ

キョン「いい音立てやがって畜生……橘の温度管理は化け物か。ちくしょう、俺も何か食いたい、チョコ以外で」

橘「チョコレートフレーバーのコンポートにするつもりだった果物もありますが」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 14:53:39.42 ID:pvC3W+vZP

キョン「りんご」シャクシャク

ハルヒ「LOOK」ポキポキ

ひより「バナナ」モキモキ

橘「カレ・ド・ショコラ・マダガスカル・ヴァニラ」パキパキ

キョン「そう書くとスター・プラチナ・ザ・ワールドみたいで無駄に格好いいな」

ハルヒ「ところで橘さん、あたしたちに出すつもりだった、そのグレートにヘビーなチョコパフェってどんななのか、気になるんだけどッ?」キラキラ

キョン「輝くライフライナー」

橘「まあ、今思えばとっても下らないことなんですけど、まずこの容器に」どん!

ハルヒ「」

キョン「1500mlのピッチャーグラスじゃねえか」

ひより「え、お酒飲むッス?」

キョン「飲まないからお前はバナナ食いながらネーム描いてろ」

橘「これにこう、無造作にどさどさとチョコレート菓子を注いでは層を作っていって」ざらざらざらざら

キョン「うわぁ」

ハルヒ「」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 15:05:25.74 ID:pvC3W+vZP

橘「要するに、ジャンクな準チョコレートだって、温度管理や、食べる上でのメリハリなど、愛を持って賞味すれば十分に輝かしいと言いたいのです」

キョン「チョコレートにルールは無い」

橘「この上にチョコレートソースのパンナコッタを載せて、はい、再現完了です」

ハルヒ「た、ためしに食べてみてもッ?」

橘「どうぞです。昨日の私は、層を下るごとに植物性油脂率が高くなるように意地悪なレシピで作るつもりでしたが
  今回は愛を持って作りましたから、自信満々に志向の一品と言えるです」フンス

キョン「いや、まずこの容量の時点で愛もクソもないと思うんだが」

ひより「『ラブ・ソングの愛の大きさがギター・ソロの長さで決まるというなら、ボーカリストとはこの世で最も悲しい生き物だ』」

キョン「なんだそれ」

ひより「某有名スラッシュメタルバンドの楽曲の歌詞」

キョン「へぇ」

ひより「にありそうな今考えたフレーズッス」

キョン「ありそうだから困る」

ハルヒ「キョン、このパンナコッタおいしい! チョコレートソースがこんなに濃いのにすごくさっぱりしてる!」

キョン「ああ、そうkmg無理やり口に突っ込むな! ……まあ、たしかに悪くないが。これなら重くないな」

橘「さっぱり感は最後までチョコレートの重さにやられないために重要な要素なんです」フンス

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 15:28:04.39 ID:pvC3W+vZP

キョン「ほかに上から視認できるのは……中央に盛られたパンナコッタの周りにきのこの山が」

ハルヒ「縁の両側で斜めに設置されてる三角形のこれは、ハーフカットにしたガトーショコラね。こっちがわの隣の丸いのはチョコレートアイスかしら」

キョン「さすがヘビーパフェの名を冠するだけあって、全体的にチョコレート色だな。ホイップクリームもチョコレート味か」

ひより「デコレーションはポッキーじゃなくてトッポなんスね。チョコレートアイスの脇には、縦3ピースの板チョコが飾ってあるッス」

ハルヒ「! ホイップクリームが冷たい」

橘「表面の温度管理はホイップクリームとチョコアイスが担ってます。
  やや常温のガトーショコラとつめたいホイップクリームの組み合わせはナイスですよ」

キョン「グラスの半分側は冷たいエリア、もう半分は常温エリアってとこか。常温エリアのデコレーションは、こりゃチョコバナナか?
    そんで、ガトーショコラのもう半分……」

橘「実はこの第一層目、一番のミソはこの中央のパンナコッタを囲むきのこの山なんです。食べてみてください」

ハルヒ「きのこの山…? ! アイス側のきのこは、チョコ部分が音を立てるくらい冷やされてて、準チョコの独特のしつこさが感じられないわ
    その一方、バナナ側のきのこは、歯が沈んでいくような、チョコの香りが鼻を抜ける常温……『温度差』……!」

ひより「でも、常温のきのこはちょっとべたつくし、味もいかにもな甘さじゃないッス?」

橘「いいところに気づきましたね。そこでこの飾り切りしたチョコバナナです」

ひより「? ……あ、いい感じッス。果物の自然な甘さが常温きのこを包み込む、まるで濃いオカズに白いご飯みたいなベストマッチッス!」

橘「『口内調味』ですよ。日本人特有の、おかずと主食の概念を取り入れているです」フンス

キョン「橘、そろそろそのドヤ顔に突っ込んでもいいか?」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 15:57:19.03 ID:pvC3W+vZP

キョン「で、ガトーショコラをハルヒと田村が食べて、外壁のきのこやアイスももあらかた食い尽くされ、さながら二層目に突入ってところか」

ハルヒ「ここにはみっちりと何か敷き詰められてるわね……表面に、上層の水分で湿ったココアパウダーが詰まってるわ
    あむ。……これ、クリームチーズ? あ、わかった、ティラミスだわ!」

橘「上層は基本的にジャンクなラインナップでしたが、第二層はちょっとした高級感があるエリアです」

キョン「俺も一口……ああ、なるほど。ティラミスの生地に、チョコシロップを練りこんであるのか……
    だけど、それだけじゃないな、このやわらかさと冷たさは」

ひより「もぐ。……これ、シロップじゃなくって、ティラミス生地にココアムースが入ってるッス?」

橘「ふふ、田村さんはいい舌をしてるですね。そのとおりです。
  この特性ティラミスは、盛り付け当初はキンキンに冷やしてありました。それが上層を食べる間に、ほどよく溶けて
  チーズやココアの香りが感じられる適温になってます。
  軽めのムースをさっくり混ぜることで、生地全体に、通常のティラミスには無いあっさりさとほろほろ溶ける優しさがプラスされてます」

キョン「ん? 今、なんか噛んだな」

ハルヒ「あ、アタシも……クッキーよ、これ。ティラミスが二層になってるんだわ」

橘「それが三層目です。基本は二層目と同じティラミス生地ですが、+αが異なってます。
  ティラミス生地を作る際の生クリームをチョコレートフレーバーのものに置き換えて、更に、ムースでない別のものが練りこんであるです」

ひより「んー……あ、わかった、クッキー&クリーム! 31のクッキー&クリームのクッキーと同じ味です、これ!」

橘「そのとおりです! 二層目と比べてまったりした、アイスクリーム入りのティラミス生地。
  アイスクリームには僅かにコーヒーフレーバーを加えてあります。チョコとコーヒー……この組み合わせがベストマッチでないと言うチョコレート好きなんていませんです」

ハルヒ「うむむ……アタシは1から10までチョコレートオンリーのパフェを想像してた……けど、これは! チョコレート以外の要素を盛り込みながらも、間違いなくチョコレート率70割以上のヘビー・パフェ……!!」

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 16:15:19.92 ID:pvC3W+vZP

ひより「これはおいしいッス、文句の付け所がないです! ……? 今、なんかまた違う香りがしたような……
    っていうか、食感の違う、別のクッキーの味を感じたッス……なんか、ちょっとまたジャンクっぽいような」

ハルヒ「? ……あ、アイスティラミスの下に、新しい層が……
    これ、砕いたクッキー……いや、違うわ、これはただのクッキーじゃない……
    この香ばしさ、知ってるわ、あたし……これは! たけのこよ、たけのこの里! 砕いたたけのこの里だわ!」

橘「ふふ、四層目突入ですね。ティラミスエリアの下は、チョコレートシロップと、上層から溶け落ちたアイスで湿った、『第二ジャンクエリア』です」

キョン「なんだ、こりゃ……色んなチョコ菓子が、無秩序に砕いて敷き詰めてあるぞ」

橘「正確には、上からたけのこの里、しみチョコ、そしてチョコホイップにオレオクッキーを混ぜ込んだ層です。
  涼宮さん、田村さん、今、感じませんでしたか? ティラミスエリアの高級感とは違う
  ジャンクでファンク・ザ・ミュージックのような素朴さ……そして、それが懐かしい、親しいとおもいませんでした?」

ハルヒ「く……あたしは、どちらかといえばきのこ派なのに……」

田村「アタシはたけのこ好きッス。なんかリッチなたけのこって感じで、食べててうれしくなってくるッス」

キョン「俺はどっちでもいいな……まあ、ここまで確かにまずいと思うような部分はないが
    それより、おかしいな、あれだけ寝たのに妙に眠たいような……」

ハルヒ「眠たい……! も、もしかして……最初のパンナコッタにかかってるソースから、少し感じてたけど……
    今、あやふやだったものが、確信に変わったわ! このパフェ……全体に何かがこめられてる……
    今までの層全体に共通して感じ続けてた、この香りと、芳醇な深みのあるほろ苦さ……
    ……このパフェ! 『お酒』が入ってるの……!?」

橘「くす……やっと気づいたようですね。そうです、このパフェの材料全てに微量づつ
  ゴディバリキュールと、クレーム・ド・カカオ、そしてブランデーをシェイクしたカクテルが、層ごとに比率に変化をつけてしみこませてあるです。
  その第二次ジャンクエリアには、一番ブランデー率が高いエリアで、もっとも強く洋酒の香りを感じられるようになってます。ここで『気づく』―――計算どおりです」フンス

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 16:31:20.31 ID:pvC3W+vZP

キョン「知らぬ間に酒を飲まされていたのか、俺は……パフェはもう残り1/3、ここまで来たら効いて来てもおかしくないな……」

橘「アルコールは人の心をおおらかにします。
  準チョコはNO! カカオ率こそ正義! きのこ死ね! たけのこくたばれ!
  ……そんな心の障壁を取り去ってくれるんです。これがこのパフェに施された、究極のトリック……
  いえ―――『愛』です。
  くだらない選り好みやこだわりを取り去って、純粋な、チョコレートを嗜む『愛』を、心の扉から盗み出してくれる
  それこそがこのパフェ……『チョコレイト・ディ・ス・コ』の真の能力……何よりも狡く、何よりも優しい」

ハルヒ「……美味しい……あんなに忌み嫌った、カカオをケチったチョコレート、甘さでごまかしたばかりのチョコもどきのお菓子が……
    ひっく……美味しいよぉ……あたし、今、『チョコパフェ』を食べてる……チョコレートに包まれてる……
    キョン、あたし、今幸せ……幸せだよぉ……ふえええええ……」ぼろぼろ

キョン「な、涙……!? あのハルヒが、怒ってばかりで、いつも『不満』、『ストレス』に心を侵されていたハルヒが……
    幸せの涙を流してる……これが……『愛』―――!!」




キョン「いや、ただアルコールで食欲が増して、味覚が鈍くなって、泣き上戸になってるだけじゃねえか…………?」

橘「『カレ・ド・ショコラ・ザ・セブンティー』!!」

ドシュドシュドシュッ ズガガガガッ!!
キョン「てててっ!! 悪い、もう言わない、だからよく冷えた薄いチョコを投げるなッ!」

ひより「あっ、ボーっとしてたら、涼宮さんに四層目をほとんど食べられちゃったッス……
    まあ、アタシはそれほどチョコ大好きっ子じゃないから、いいッスけど……で、もうパフェも残りわずかですね、なんだかんだ……」

キョン「まあ、三人で食ってりゃ、食えるもんだな……俺もなんだかんだで結局かなり食ってるし」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 16:48:42.54 ID:pvC3W+vZP

ひより「次でもう下から二番目ッスね……あ、これ、バナナだ」

キョン「おお、懐かしいな。五層目はバナナと……このクリーム状のものは何だ?
    ……む……こ、濃い……純チョコレート以上のチョコレート感を感じる……濃厚なチョコムースか……」

ひより「チョコムース……あ、もしかして、このバナナ!」

橘「お察しのとおり、ここで再び『口内調味』です。チョコムースは本来とても濃厚で、甘いものが好きな方でも、気持ち悪くなってしまいかねないディープなものですが
  フレッシュバナナとあわせて食べることで、しつこさが緩和され、バナナの新鮮さと、ムースの濃厚さが絡み合う、食べ甲斐たっぷりなエリアになってます。
  ちなみにここは、『意地悪バージョン』ではバナナチップとバナナのフリッターがどっさりで、胃もたれ確実なエリアになってますです」

キョン「考えただけで恐ろしい……ん、バナナ以外にも何か混ぜ込んであるな」

ひより「あ、これはコーンフレークッスね。そういえば、パフェにお約束のコーンフレークがここまで無かったッス」

橘「本来ならチョコフレークをチョイスするのが、ヘビー・チョコパフェの正しい姿とも言えますが
  ご安心を、このコーンフレークは、ここまでの層から溶け落ちてきたアイスやクリーム、シロップをたっぷりと吸ってます。
  ムースとコーンフレークとバナナはかならず一緒に口に入れるんデス!」

キョン「まあ、美味いな。……いや、ンまいと言うべきか」

ひより「肩は痒くならないッスけどンまいッス」

橘「ちなみにこのパフェにヘルシーとか栄養成分とかそういう概念は一ミリも含まれてません」

キョン「見れば分かるし食べてても分かるし想像してもわかる」

ひより「カロリーは美味しさの単位」

キョン「ダイエット板か、ここは」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 17:03:23.09 ID:pvC3W+vZP

橘「さて、パフェのほうを続けましょう。と行っても、もう最深層ですが」

ひより「ムースエリアの下、ヘビー・パフェ最後のエリア……なんだかどきどきするッス」

キョン「あまったムースを除けて……おお、これは」

ひより「あ……この、球状の可愛いころころは」

ふたり「「シュークリーム!」」

橘「はい……『シュークリーム』が入ってます。お菓子で売ってる一口サイズのチョコシューとは違う、ちゃんとしたプチシュークリームです。
  一人三つづつ入ってますが、いいですか? 必ず一つづつ食べてくださいです」

キョン「一つづつ? まあ、言われんでもそうがっつきもしないが……
    ……中身はカスタードクリームか。ムースの後にホイップクリームは重いから、これは丁度いいな」

ひより「もぐ。……あれ、アタシが食べたのは違うッス。これは、さっきのティラミス生地ッス!
    チーズがさっぱりしてて、ムースの濃厚さが洗われるみたいで、美味しいッス」

キョン「なるほど、三つそれぞれ違うフィリングが入ってるのか……お、二個目は俺もティラミスを引いた」

ひより「あ、アタシはカスタードでした。……となると、この一番下にうずもれてたのが、このパフェのフィナーレって事ッスね」

キョン「ああ。見るからに最後に食べてくれって感じに埋まってたな」

橘「ふふ、名残惜しいですよね、最後のひとくちっていうのは。
  でも、すべてのことに終わりはありますから。私の『チョコレイト・ディ・ス・コ』の最後のプレゼント、どうぞ、お好きなタイミングで食べてください」

キョン「その前に、いい加減その名前にツッコミを……と、まあ、いいか。それより、最後のシューの中身が気になるぜ
    ……なんか俺まですっかりチョコ人間にされちまったような気分だ」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 17:26:43.92 ID:pvC3W+vZP

ひより「あむ……!! まさか……一瞬、何が起きたか分からなかったッス……!!」

キョン「! ……これは……なんてこった……この『チョコパフェ』の最後の一口に……
    思えば、どうして、初めにこいつの姿が無かったことに疑問を覚えなかったのか……」

ひより「最深層、第六層……シュークリームエリアの、最後の一口は……」



ふたり「「……チョコクリーム……『ミントの葉』入りのッ!!」」


橘「……『チョコミント』は、孤独なチョコレートです。
  大半の人には受け入れてもらえず、一部の人に受け入れてもらえたとしても
  その人は周りから奇妙がられてしまうから、こっそりと、まるで人目を忍ぶように食べなくてはならない……
  『チョコミント』を愛することの許されない、悲しい現代……あたしは、そんな現代が嫌いです。
  罪なき人が咎人扱いされる世の中……甘い夢に満ちたチョコレートと矛盾しています。
  だから、私の『チョコレイト・ディ・ス・コ』は、最後に"罪なき囚人の味"を秘めている……
  チョコミントをのけ者にするこの悲しい世界で、届きもしない小さな反旗の声を上げるために。
  『愛』に満ちたチョコレイト・ディ・ス・コが最後に歌うのは、愛されることを求める悲しい歌。
  これが……『チョコレイト・ディ・ス・コ』の全てです。
  ……お客様、いかがでしたか?」

ひより「……思い出す……このパフェの、ここまでの一層一層の味が、胸の中に帰ってくるッス……
    バナナときのこの山の、人肌のようなぬくもりの味! ホイップクリームとガトーショコラの、心を解くような優しさの味……
    ふたつのティラミスの、きれいな音楽を聴いたみたいな、澄み切った冷たさ……チョコレート菓子の、懐かしい、昔なくしたおもちゃを見つけたときみたいなほろ苦さ……
    ブランデーの香りが移ったチョコムースと、とろけるようなバナナの甘さ……
    その、全部が……このミントの味で、目を覚ますみたいに思い出される―――……」

キョン「チョコミント……わるいが俺にとっても、とても好きとは言えない味……なのに、これは……この一切れのミントが、このパフェの全てに、『決着』をつけているッ!」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 17:38:47.84 ID:pvC3W+vZP

橘「喜んでいただけて、私も嬉しいです」

ぱん

橘「はいっ」

キョン「!」

ひより「はっ……今、あたし、何を見てたんだろう……なんだか、夢の中にいたみたいな……」

橘「これで、私のパフェはおしまいです。ふふ、お二人とも、気分はどうですか?」

キョン「いや……なんというか、意外……いや、俺の知らない世界を見せられたような気分だぜ……
    ハルヒのチョコレートへの情熱が、少しだけだが理解できたような……?
    ……あれ、そういや、ハルヒは?」

ハルヒ「」zzz

橘「四層目のブランデーがすこしきつ過ぎたみたいですね。
  涼宮さんは、お二人よりすこし早く、すこし深く、『チョコレイト・ディ・ス・コ』の魔法にかかりきってしまったようです」

ひより「涼宮さんは、もともと、チョコレートへの愛を知っていたから……ッスか?」

橘「ふふっ、そうかもしれませんね」

キョン(橘京子……なんか、今日のこいつからは、古泉に似た何かを感じる……俺の気のせいだろうか?
    佐々木のために行動していたこいつからはとても感じられなかった……なのに、何故?
    古泉にあって、橘になかったもの……無かった感情。
    ! もしかして……橘、お前は……本当に、ハルヒのために……
    ハルヒの『愛』を満たすために……その含み笑いは、つまり、そういうこと……なのか?)

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 17:50:44.46 ID:pvC3W+vZP

橘「はあ、それにしても、用意してきたお菓子、ほとんど使っちゃいましたね」

ひより「うわ、アタシのゴミ箱がえらいことに……」

キョン「! 忘れてた……ここは田村の部屋だったか」

ひより「アタシも今思い出したッス」

橘「みなさんは御腹一杯でしょうけど、あたしはおなかぐーぐーです」

ひより「なんかちょっとさすがにしょっぱいものが欲しいッスし、コンビニ行ってきましょうか?」

キョン「ああ、なら俺がいく。部屋の主を使いに出すってのも何だしな」

ひより「そうッス?」

橘「じゃ、あたしはおでんが食べたいです」

ひより「アタシはポテトチップ……は、さすがにカロリー的にアレなんで、さきいかとかで」

キョン「お前、酒飲み癖治ってないのか……」

ひより「そんなの一年や二年で治ったら世の中アル中は居ないッス」

キョン「やれやれ」


キョン「じゃ、コンビニ休憩だな」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 18:18:13.24 ID:pvC3W+vZP

キョン「うーす」

橘「おかえりなさい」

ハルヒ「おかえりー」

キョン「よう、気が付いたのか」

ハルヒ「長い長い夢を見ていたようだわ」

キョン「概ね間違ってないな」

ひより「っていうか、キョンセンパイが出て行ってから気づいたッスが」

キョン「何に」

ひより「いや、どうせアタシ、遅めの晩御飯と夜食とありますし、おでんぐらい家で作ってもいいかなと」

キョン「ああ、そりゃ丁度いい、実は近場のコンビニのおでんの機械がぶっ壊れててな」

橘「なんですとっ!」

ひより「じゃ、下行って、ありものですけどなんか作ってくるッス。おでんは大根ぐらいしかないッスけど」

橘「あたしは大根さえあればおでんは満足です」

ひより「それじゃ、大根の煮物でも作ってきます」

ハルヒ「あたしも手伝おうかな」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 18:21:43.99 ID:pvC3W+vZP

キョン「ところでさっきまでのアレは」

橘「まあようするに初期の構想をちょっと形を変えて吐き出しました」

キョン「ようするに書きたいことは書いたわけだな」

橘「すっきりしました」

キョン「そうか、よかったな」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 18:53:48.29 ID:pvC3W+vZP

ひより「ただいまーッス」

キョン「おう。ハルヒは?」

ひより「野菜庫が混沌としてたのを見て、傷みそうな野菜で浅漬けを作るって言ってました」

キョン「相変わらず他人の家でもフリーダムなやつだ」

橘「おでんは?」

ひより「まだぜんぜん染みないッスよ」

橘「なんと」

キョン「ガムでも食うか?」

橘「おなかの足しになりそうもないですが」

キョン「ハルヒが食い残したパフェもあるが」

橘「あたし今日あんまりチョコ腹じゃないんです」

キョン「あれだけ俺たちに振舞っておいて」

橘「作って、食べてるのをみてるだけでおなか一杯な気分っていうか」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 19:04:35.13 ID:pvC3W+vZP

キョン「そういやあいつ、パフェのこと忘れてるのか」

橘「冷蔵庫に入れてあるから大丈夫です。まあ、途中から食べると、私のトリックどおりにことが進まないかもしれませんけど」

キョン「なんだ、まあ、世話になったな、今回は」

橘「何がです?」

キョン「いや、あのままハルヒがチョコ熱を上げたままだったら、おそらく俺たちも巻き込まれて、チョコの食い歩きやらなにやらさせられてただろうからな。お前のパフェのおかげで、とりあえず落ち着けそうだ」

橘「ふ、あたしはただ……人がパンと水を求め続けるように、チョコレイテイスターが求める欲望を、ほんのすこしだけ満たしてあげただけです」

キョン「そうか……お前がハルヒのために何かしてくれる日が来るとは思わなかったな」

橘「……何度も言いますが、これは涼宮さんの力の問題とはまったく別ですよ?」

キョン「ああ、わかったよ。……でも、ハルヒのためを思って行動してくれたことには変わりないだろ?」

橘「それは、その……つんでれです」

キョン「ツンデレは自分で宣言するもんじゃーないと思うがな……」


キョン「とにかく、あれだ。……ありがとうな」
橘「……お菓子だけに、貸しです」


ひより「……何この疎外感」

チョコレートファイターハルヒ 完?

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 22:14:52.02 ID:pvC3W+vZP

キョン「保守されても」

ひより「前みたいにgdgdやればいいじゃないですか」

ハルヒ「そもそもシナリオなんてあってないようなどうでもいい内容だったんだし」

橘「さしずめ『キョンその他がgdgdしながら全レス』というような」

キョン「いつの間にか菓子類や軽食の類が山と用意されてるな」

ひより「さっきアタシと涼宮さんで買出ししてきたッス」

キョン「飲み物も……おい、田村、お前それ今何飲んでるんだ」

ひより「ジン・フィズッス」

キョン「もう年齢がどうこうは言い飽きたから放っておくとして、よく売ってくれたな」

ハルヒ「私がめいっぱい低い声でレジに並んだら余裕で買えたわよ」

キョン「お前のその赤いのは何だ」

ハルヒ「カンパリソーダ」

橘「皆さん不良です」

キョン「リキュール入りパフェを振舞ってくれたお前が言えた口か」

橘「私も何か飲みたいです……あ、ほろよいのホワイトサワーがあるじゃないですか、これいただきますね」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 23:04:19.52 ID:pvC3W+vZP

キョン「こうしていると誰もこないと言うのに、オチをつけると途端に続きを期待される矛盾」

ひより「お菓子だけに貸しでオチがついたと思われるとでも思ってたッスか」

キョン「やれやれ……辛口だな」

橘「うまいことを言ったつもりですか」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/02(火) 23:16:09.67 ID:pvC3W+vZP

キョン「お、アジフライ」

ひより「マミーマートで安かったッス」

キョン「この間のぴったんこカンカン以来食いたくて食いたくて」

ハルヒ「キョンも案外ミーハーね」

橘「アジフライ通とチョコレートホリックのカップル……なんだかうまくいきそうにないです」

キョン「誰がカップルだ」

ハルヒ「そ、そそそそうよ! バカキョンとカップルなんて、冗談でも虫唾が走るわッ!!」



ひより「…へへえ」にへらー

橘「くすくす」


55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/03(水) 00:07:56.25 ID:eYNWkbIOP

キョン「誰だ山本弘って」

ひより「ロバートの人がそんな名前だったような」

橘「あ」

キョン「ん?」

橘「いえ、チョコレイト・ディ・ス・コに、そういえばチョコパイを入れ忘れたなって」

キョン「今更だな」

ひより「そういう時はこう言うッス」

ひより橘「「あたしのチョコパフェは百八式まであ(ります/るッス)」」

キョン「ハモるな異次元人ども」

ハルヒ「カンパリって美味しいのね……」ごくごく

キョン「なんだこの嫌な予感」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/03(水) 00:12:09.62 ID:eYNWkbIOP

キョン「今年最も注目をあびる優れた黙るべき有名人は」

ひより「平野綾」

キョン「……正解」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/03(水) 00:29:23.90 ID:eYNWkbIOP

ハルヒ「うにゃー!!」

ひより「がるるる……」

ハルヒ「ふにゃっ」シュバッ

ひより「わうわうっ!」ドヒュンッ

ハルヒ「にゃー!!」ドドドド

ひより「がうっ!!」ゴゴゴゴ



橘「なんですかあれ」

キョン「よっぱらいという生き物だ」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/03(水) 01:39:06.94 ID:eYNWkbIOP

橘「グレートにヘビーなチョコレートをデコにあびる」

キョン「お前までぶっ壊れ始めてどうする」

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/03(水) 01:45:55.39 ID:eYNWkbIOP

キョン「もはやゴールも見失ったスレで何を成し遂げろと言うのだ」

ひより「そろそろ健康的におなかすいてきません?」

キョン「正気に戻ったのか」

ハルヒ「おでんが食べごろかしらね」

橘「なんですと」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/03(水) 02:03:24.20 ID:eYNWkbIOP

ひより「おでんというより大根と厚揚げの煮物ッスが」

橘「かれこれ六時間以上お預けをくらっていた身には宝石に見えます」

キョン「俺もすこし貰うか……ようやくチョコ腹も収まってきたしな」

三人「「「いただきます」」」

キョン「……あれ、ハルヒは?」

ハルヒ「」

ひより「さっきトイレで赤いものを吐き戻してました」

キョン「酒に弱いなら無理するなよ……」

ひより「飲みなれてないお酒はまわりやすいもんッスからね」

キョン「飲みなれてない酒を買ってくるな」

橘「誰でも最初は処女なんです」

キョン「深夜タイム禁止ッ!!」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/03(水) 02:16:11.59 ID:eYNWkbIOP

ひより「去年の夏ごろまでは一人酒スレにいるのが楽しかったッスが」

キョン「JKなのにおわせて鬱陶しがられるお前の姿が目に浮かぶな」

橘「大根に隠し包丁が……腐女子の料理スキルは甘く見れませんです」

ひより「最近は量が制限されてて、参加しても数レスくらい話してスルーされるだけだから、つまんなくなっていかなくなりました」

キョン「あそこでスレの頭から終わりまで居るような奴らはいったいどれくらい飲んでるんだろうな」

ひより「焼酎一本とかわりとあっというまッスしね」

キョン「それは知らん」

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/03(水) 02:47:34.41 ID:eYNWkbIOP

キョン「成立するのか、ヨーグルトパフェって」

橘「中東だとヨーグルトから作るチーズみたいなのもあるみたいですし」

ひより「っていうか、普通に売ってるヨーグルトを水切りするだけでも出来るッスよ、ヨーグルトチーズ」

キョン「どうやって水を切るというんだ、あんなさながらどう見てもケフィアです」

ハルヒ「本当にありがとうございました」

キョン「てな半液体を」

キョン「お、気分は大丈夫か」

ハルヒ「もうしばらく赤い色のものは飲みたくないわ……」

橘「でもパフェでヨーグルトのエリアが多いとがっかりしますよね」

ひより「しかも無糖で、これまた無糖のコーンフレークの上にかかってたりするッス」

キョン「適当なところで全体を混ぜるのが一番うまいんじゃないか、そこらのパフェってのは」

橘「見た目がなあ……」

ひより「そういえば、こないだテレビで、ヤキソバ焼く鉄板みたいのの上でアイス焼いてる人がいたッス」

キョン「それはたしか焼いているんじゃないぞ」

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/03(水) 03:26:13.16 ID:eYNWkbIOP

キョン「常駐保守してたスレも落ちたし」

ひより「ふあ、そろそろアタシたちも……」

ハルヒ「また今日も雑魚寝?」

橘「また目が覚めたら誰か増えてたりして」

キョン「不吉なことを言わんでくれ……今日で書きたかった事はあらかた書いたんじゃないのか」

ひより「じゃ、電気消しますね」

カチッ



「「「「おやすみー」」」」




―――SOS団フューチャリングよくわからない四人組が、三時半ちょい前あたりをお知らせします

おやすみなさいませ



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