3 名前:初SS ◆r75erMY25U [] 投稿日:2010/10/28(木) 17:17:04.27 ID:J0mj84G2O
はじめに。
代理人の方本当にありがとうございます。
最初に謝っておきますが、私はハルヒ作品を
・アニメ
・漫画
・SS
でしか見たことがないです。つまり原作は未読です。
色々とおかしな点があるとは思いますが、SSだからと思って頂ければと思います。
初SSなので稚拙ではありますが、投下していきたいと思います。
最後までお付き合い頂ければ嬉しい限りです。
では、始めます。
7 名前:初SS ◆r75erMY25U [] 投稿日:2010/10/28(木) 17:21:09.70 ID:J0mj84G2O
『今すぐ光陽園駅まで来なさい』
こんなメールが届いたのは金曜日の4限目が終わる少し前のことだった。言わずもがな、送信者は我らが団長様、涼宮ハルヒだ。
学校を欠席していたので心配して何度も電話してやったというのに、それを無視してこの反応、何とも勝手なものではあるが、あいつらしいとも思う自分がいる。
昼飯を食べることは……許しちゃくれんだろう、コンビニでおにぎりでも買ってから行くとするか。
9 名前:初SS ◆r75erMY25U [] 投稿日:2010/10/28(木) 17:24:04.12 ID:J0mj84G2O
まぁとにかく教師に見つかると面倒なので、ばれないよう慎重に裏門から抜け出す。三人にはあとでメールでもしておくとしよう。
『キョン、遅いわよ!罰金だから!』
駅に着いた瞬間にそんなことを言われるのだろうと想像していたのだが、そんな想像はハルヒの姿を見つけた途端に消え去ってしまった。
いつもの不機嫌そうな表情はそのままだが、目は赤く充血し、涙を浮かべているし、制服は昨日学校から帰ってそのままなのだろうか、シャツもスカートもしわくちゃになっている。
……やれやれ、これはただごとではないな。
何があったかは分からないが、覚悟を決め、しかしハルヒの気に障らないよう声をかける。
11 名前:初SS[トリはずしときます;] 投稿日:2010/10/28(木) 17:28:05.95 ID:J0mj84G2O
「……よぉ、どうかしたのか?」
やはりというか何というか、この問いにも答えてはくれんようだ。
「やっと来たのね。行くわよ」
とだけ言って改札へ入って行く。
仕方なく俺もICカードで改札を通り抜け、その背中を追いかける。この調子だとどこへ行くのかと聞いても答えてはくれないだろう、黙って電車に乗り込み、ハルヒの隣りに腰を降ろす。
黙って外の景色を眺めるハルヒに「飯食ったのか?」と尋ねると、首を左右に振って否定を表したので、持っていたコンビニの袋からおにぎりを一つ取り出して差し出す。「……ありがと」と珍しく素直に礼を言われ、二人で食べ始める。
13 名前:初SS[] 投稿日:2010/10/28(木) 17:31:42.67 ID:J0mj84G2O
食べ終わっても、ハルヒは何も話そうとしない。まぁ、こいつに振り回されるのはいつものことだ。
この時間で古泉、長門、朝比奈さんにメールで連絡しておくとするか。……といっても、あいつらのことだ、全部分かっている様な気がしないでもないが。
メールを一斉送信し、ケータイを折りたたんだところで、タイミング良くハルヒが立ち上がった。どうやらここで下りるようだ。
俺達が下り立った駅は、自然豊かな……まぁ単刀直入に言えば田舎だが、海が綺麗で良いところだ。
田舎、というワードを除いてハルヒにそう話しかけると、
「そうね、あたし海が見たかったの、ここで下りて正解だったわね」と言って、今日初めての笑顔を見せた。
17 名前:初SS[] 投稿日:2010/10/28(木) 17:34:44.02 ID:J0mj84G2O
しばらく歩くと砂浜に出ることができたので、並んで座り、黙って海を眺めた。
俺が波の音に聞き入っていると、ハルヒが「ねぇ」と口を開いた。俺は首を左側にひねって返事代わりにすると、それに満足したのか、言葉を続けた。
「……あたし、昨日母さんと喧嘩したんだ」
あぁ、なるほど。……いや、それだけのことで学校をサボってこんなところにまで来るはずがあるか?俺は何と答えて良いか分からず、ただ
「そうか」
としか言えなかった。
「それでね、あたしカッとなって『母さんのバカっ!!』って言って母さんを突き飛ばした」
俺は黙って頷き、続きを待つ。
20 名前:初SS[>>14嬉しい] 投稿日:2010/10/28(木) 17:38:17.31 ID:J0mj84G2O
「そしたら……母さん、よろけて頭ぶつけて……動かなくなって……」
段々ハルヒの声が震えていく。
「運良く父さんがすぐ帰って来たから……救急車呼んで、数日入院すればもう大丈夫、って言われたけど……あたし、どうしたらいいか……」
そういうことだったのか。神だとかなんとかいわる存在であっても。学校、特にSOS団であんな傍若無人な態度をとっていても。
元々涼宮ハルヒ個人は自分に正直過ぎるだけの、ただの一女子高校生なのだ。
自分のせいで家族に怪我を負わせてしまったら、自責の念を感じるに決まっている。
現に、今俺の隣りで体を震わせてポロポロと涙を流して、悔いているではないか。
22 名前:初SS[普通は。入れないのか?] 投稿日:2010/10/28(木) 17:42:33.74 ID:J0mj84G2O
俺は、そんなハルヒにポケットに入れてあったハンカチを渡してから、こう声をかけた。
「そんなん、謝っときゃ大丈夫だろ」
「……えっ?」
驚いて顔を上げるハルヒ。
「だってそうだろ?親なんて、子供に何されたって子供を嫌いになることはないし、命に別状がないんなら、全然問題ないじゃねえか。生きてりゃどうとでもなるって」
不謹慎であるとは思ったが、この際言葉は選んじゃいられない。ハルヒを笑顔にする為なら……って俺は何を考えているんだ?
「フッ……あんたらしいわね、バカキョン……」
「バカは余計だ」
……まぁいいか。明日にはハルヒが元のハルヒに戻っていれば、どうでもいいことだ。
24 名前:初SS[>>21改行のせい?ゴメン] 投稿日:2010/10/28(木) 17:48:11.97 ID:J0mj84G2O
「アハハ……でも……ありがとう、キョン」
顔を赤らめながら、小さめの声で言うその顔は、もう極上のそれで、一瞬ながら見とれてしまった。
ついつい照れ隠しに
「一日に二回もハルヒに礼を言われるなんて、明日は雪でも降るんじゃねえか?」
などと言ってしまう俺。予想通り、
「なんですって!?だったらキョンには二度と『ありがとう』なんて言わないわよ!!」
なんて言われちまった。
まぁ、いつものハルヒに戻った、ということにしておこう。
26 名前:初SS[>>23マジで嬉しい。] 投稿日:2010/10/28(木) 17:51:47.78 ID:J0mj84G2O
「まぁまぁ、善は急げ、だ。早いとこ母さんのいる病院に行ったらどうだ?」
ハルヒは あ、と小さく呟いて、少し考えた後に
「……一緒に来なさいよ」
とこれまた小さな声で言った。
当然可愛いことこの上ないのだが、そこらへんは割愛するとしよう。
俺は頬が緩み過ぎないよう気をつけながら、笑顔で頷いた。
27 名前:初SS[>>25自分は投下しかしてない] 投稿日:2010/10/28(木) 17:55:21.36 ID:J0mj84G2O
今俺は病室の前のシートに座っている。無論この病室にハルヒの母親がいる。
中に一緒に入って欲しいと言われたが、こればっかりはハルヒが自分で解決すべきことだ。いつぞやの閉鎖空間のときとはわけが違う。
下唇を噛んで無言の抗議をするハルヒに、
「大丈夫だって、俺はここにいるから、行って来い」
と、頭をポンポン、と撫でながら言ってやった。
自分でも随分と臭いセリフを吐いたものだとは思うが、ハルヒは諦めた様子で、「……バカキョン」と呟いて、室内へと消えて行った。
30 名前:初SS[] 投稿日:2010/10/28(木) 17:58:20.23 ID:J0mj84G2O
……15分ほど経ったろうか、扉が開いて、ハルヒが出て来た。
どうだったか、なんて聞かずとも分かる。
何故かって?あんなにニカッと笑ってピースサインされちゃあな。
俺はそれに応え、笑顔でピースサインを作る。
途中であいつが大泣きしていたことは、気付かなかったことにしてやるか。
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/28(木) 18:03:34.49 ID:J0mj84G2O
書き溜め分はここまでです。
反対意見が多くなければまた書いて投下、という流れにしたかったのですが、今回はやめておきます。
もし次回があれば>>28さんの意見を参考にさせて頂きます。
それまでに原作や他のSSを読んで勉強しておきます。