キョン「駆け落ちだと?」


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トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:長門「やきゅうたいかい!」朝比奈「やるからには勝つわよ」

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15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/18(月) 19:28:05.68 ID:PDTqnTBD0

ハルヒ「そう」

佐々木「僕か涼宮さんかどちらか好きなほうを選んでほしい」

ちょっと待て。この二人は一体何を言ってるんだ?
いつも通りの変わらない放課後のわれらがSOS団部室、一つ異なるところがあるとすれば、親友佐々木と、その友人だかの橘がいるが。
いや、駆け落ちの意味は知っている。
門下、因縁、その他諸々の事情により結ばれることのできない二人がそこから逃れるための逃避行。
俺が知りたいのは何故この二人がそんな前時代的な言葉を口にしているかということだ。

長門「私が説明する」

キョン「長門、いたのか」

流石長門だ。摩訶不思議な事態が起こると、気がつけばそこにいる。そしていつも通りに解説をしてくれるわけだな。
それで、今回はどういう不思議体験なんだ?

長門「簡潔に言うと、情報統合思念体の主たる所見が変化した」

所見・・・、変化・・・、?長門、それでは簡潔すぎて俺の理解が及ばん。
情報なんちゃら体の所見、ああ考え方が変わるということは、あの朝倉涼子をけしかけてきたやつらがトップに立ったということか?
それで俺はまた狙われるということなのか?

長門「半分正解。情報統合思念体は求める進化の糸口として涼宮ハルヒを観察していた。
    しかしながら現在では、4年前情報爆発が発生したときと比較して、現在の涼宮ハルヒには当時ほどそれを得られる可能性が低いという
    推測が現実味を帯びている。涼宮ハルヒの能力の弱体化並びにその能力の一部が転移していることが観測され、
    情報統合思念体ではこの事実を重要な変化と認識し、一層の観察への注力が決定された。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/18(月) 19:51:14.67 ID:PDTqnTBD0

長門「一方で、現在の主たる所思とは異なるそれを持つ一部の派閥は、その観測された事実が
    自律進化を遂げる端緒としての彼女の能力を疑問視するものであると主張した。
    能力の弱体化により、大規模な情報発信がされなくなれば、手がかりは求められない。
    局所的ではなかったその変化への不安は彼らの立場を次第に確固たるものにし、現在では主流となっている。
    情報統合思念体は、再びの巨大な情報の発信を求めている。
    その手段として、涼宮ハルヒ並びにその能力の一部の転移が認められたものへ物理的および精神的な変化を与える事を決定した」

流石だ、長門。いつも通りやはり何を言っているのかさっぱりだ。

古泉「長門さん、説明を代わりましょう」

長門の不思議解説に頭を悩ませようかというところであったが、その間に古泉が来ていた。
相変わらずの業務用スマイルで、代わりに解説をしてくれるらしい。

古泉「長門さんの属する情報統合思念体でも、考え方や思惑の違う人たち、
   ―ここでは便宜上人といっておきますね―がいることはご存知ですね」

ああ。朝倉の件や朝比奈さんの件でもいろいろあったしな。

古泉「その中で、急進派と呼ばれる勢力が、最近俄かに発言力を増したようです。
    涼宮さんの力が弱まっている、このままでは進化の手がかりが得られないと。
    弱まっているということは本当のようです。実際に、最近では閉鎖空間の発生件数が減っています。
    情報統合思念体では、焦りを覚える人も増えたようでそのため、急進派の支持が増えたということです」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/18(月) 20:50:09.29 ID:PDTqnTBD0

古泉「そして、もう一つ確認された事実があります」

・・・何故だろうか、俺はその先を聞きたくない。
何となくであるが、お前が話そうとしていることがわかる。

古泉「涼宮さんから失われている力、実はその一部が別の人へ転移しているのです。
    勿論、その転移も一般の人にというわけにはいきません。
    もし、涼宮さんの力を受け入れることができる人がいなかったら、それはいずれ消えていったでしょう。
    ところが、あなたもご存知の通り、涼宮さんの力、神様の力と言う人もいますが、
    それの拠りどころとなる人がもう一人います」

全く、何てことだ。
今日はいつもと変わらず、実際に何をしているんだかわからない、ひょっとしたら何もしていない団活をして、
日が暮れるかどうかというころに家に帰り、もうすぐ中学生だというのにいささか心配になる妹の相手をし、
普段通りに食事を取り、一緒に入るだのと駄々をこねる妹を制して風呂桶に浸かり、ちっとも身に入らない予習をした後、
翌日もまたいつもと変わらないだろうと布団に入るものだろうと考えていたのだが。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/18(月) 21:05:48.78 ID:PDTqnTBD0

古泉「それが彼女、佐々木さんです」

全く、いつもはほんの少ししか気まぐれでないどこかにいる神様は、
今日に限ってはたいそうな気まぐれを起こしてくれやがる。

古泉「話を続けますね。情報統合思念体は急進派が実権を握り、そしてすぐに行動に移ることを決定したそうです。
    行動の目的は、4年前の情報の発信と同様のものを起こすこと、
    その手段は、涼宮さん、または、佐々木さんの間近で急な変化を発生させ、彼女たちに精神的な衝撃を与えること」

つまり――

古泉「具体的に例を挙げれば、彼女たちのすぐそばで貴方を殺すこと、などですね」

俺を殺す、か。えらく過激だな。
しかしそんなに浮世離れした出来事で本当に情報なんちゃらが起こるのか?

古泉「正確なことはわかりません。ですが、急進派の人たちにとっては衝撃は強ければ強いほうがいいということだそうです」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/18(月) 21:25:59.72 ID:PDTqnTBD0

古泉「とにかく、急進派の彼らはこのままでは何も得られないのではないかと焦っています。
    なので、あまり紳士的な対応は望めません。だから、貴方にはとにかく逃げ回ってもらいます。
    我々機関としても、できる限りのサポートをさせていただきます」

自分の不思議状況への適応力にはいやになるが、なるほど大体の事情は飲み込めた。
逃避行か。まさにフィクションの世界だな。駆け落ち、いやちょっと待て、これは駆け落ちではないぞ。
それにハルヒや佐々木の前でこんな話をしていていいのか?

長門「それは心配ない。私が二人には違う話が聞こえているようにしている」

古泉「お二人には本当のことは話していません。ただそれとなく貴方と逃げ回るようにという程度に伝えてあります」

鮮やかなお手前だな。お前と長門が手を組めば大半のことは解決できるんじゃないか?

古泉「お褒めに預かり光栄です。ですが流石に大半とはいきませんよ、それに、僕も長門さんも
    所属しているところの支援があってこそ、ですから」

別に褒めているわけじゃねぇよ。ところでだ、今の話でふと思ったんだが情報なんちゃら体は朝倉みたいなやつらがトップに立っているといったな、
長門は大丈夫なのか?バックアップだとか同期だとかいろいろ繋がっているんじゃなかったか?

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/18(月) 21:41:20.12 ID:PDTqnTBD0

古泉「それも心配ありません。長門さんは同期や結合を意図的に遮断することができますし、
    所属する中道派、前の主流派に基本的に接続しているそうなので」

そうか。

古泉「ああ、それとですね、駆け落ちというのは、お二人に今どういう状況なのか、
    そしてこれからどうするのかを端的に説明するのに使った言葉だったんですが、
    涼宮さんがえらく気に入れられたようでして」

それとだ、駆け落ちといったな、二人と逃げろということか?
何かの変化を避けるというのだったら、俺は別に逃げたほうがいいんじゃないのか?

古泉「それなんですが、先ほどあげたのは一つの例です。お二人の前で起きる出来事は、
    必ずしも貴方が殺されるということでなければならないわけではないんです
    それがご家族だったり、朝比奈さんなどの関係でもいいんです」

それはそれは見境のないことだな。

25 名前:遅筆謝意千万[sage] 投稿日:2010/10/18(月) 22:05:36.06 ID:PDTqnTBD0

ちょっと待て、誰でもいいといったな。ということは、たとえ俺が逃げたとしても
ハルヒか佐々木かの家族をを連れてきて目の前で・・・ということにはなったりはならないのか?

古泉「勿論その可能性はあります。ですから既に手を打ちました。
    貴方やお二人の家族は現在機関にて保護させていただいてます」

いつも通り根回しのいいことだ。いっそ俺たちも保護してもらえたら言うことないんだがな。

古泉「それは・・・、すいません。もし貴方たちまで保護するとなると、多分急進派の人たちは機関に直接くると思われます
    残酷なことを言うようですが、貴方やお二人には、あちらを引き付けておいて欲しいのです」

囮、というわけか。
毎度の如くの不思議体験だが、今回ばかりは胸を躍らせるスペクタクルというわけには行かないようだな。
朝倉もびっくりだ。
だけど、まあしょうがない。俺も腹を括ろう。
気がついたら世界が終わっていました、なんてのはごめんだからな。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/18(月) 22:18:56.34 ID:PDTqnTBD0

古泉「本当にいつもいつも、貴方には頼ってばかりで本当にすいません
    できることならば、代わって差し上げたいところですが」

ふん。
まあいい、それで、あれだ。逃げ回る―駆け落ち―だが、一体どうすればいいんだ?
どこかへ辿り着くか、時間が来れば勝ちなのか?

古泉「一番聞きたくなかった質問ですが、結局どうせ話さなければならないことですよね。
    実は、我々も具体的な解決策を持ち合わせているわけではありません。
    一応、情報統合思念体に接触を図ってはいます。話し合いで解決するか、
    或いは、涼宮さんや佐々木さんの力が消えてしまうか、
    いずれかのことになれば、「駆け落ち」は終わりです。
    ですが、どちらも必ずそうなるとは言い切れない事柄です」



・・・・・・絶句、だな。
終わりのない鬼ごっこ。ますますもってフィクションじみてきたことだ。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/18(月) 22:28:41.67 ID:PDTqnTBD0

古泉「本当に、申し訳ありません。
    勿論こちらも全力は尽くさせていただきます。
    しかし、本当にどうなるか・・・」

わかった、古泉、もういい。乗ってしまった舟だ。
もしかしたら、ここぞというときにとんでもパワーが何とかしてくれるかもしれないしな。
いささか楽観的過ぎるか。ははは。

古泉「・・・・・・。
    それで、どちらを選ばれますか?」

・・・なんだって?

古泉「貴方には、お二人のうちどちらかと一緒に逃げていただかなくてはなりません
    我々ができることや、長門さんの能力を考えると、それが限界のようなんです」

どっちか選べ、ああ、佐々木がさっきそのようなことを言っていたな・・・。
ハルヒか佐々木か。どちらかを選べというのか、俺に。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/18(月) 22:51:52.09 ID:PDTqnTBD0

いや、待てよ。おい古泉、もし俺が片方を選んだとして、もう一人はどうなる。

古泉「一応、手は考えてあります、ですが・・・」

何故だ、何故そこで表情を曇らせる。
いつもの営業スマイルで案を示すんじゃないのか。
何故だ。


いつもよりも気まぐれな神様は、どこか虫の居所が悪かったのだろうか。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/18(月) 22:56:41.68 ID:PDTqnTBD0

ちょっとどっちを選ぶのか迷っているので人がいるようでしたら意見下さい
明日の予習をしてますので。いないようでしたら適当に決めます。

1.ハルヒ
2.佐々木
3.無理を言って二人

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/18(月) 23:00:30.15 ID:zr39uEcYO

2

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/18(月) 23:01:22.73 ID:AQWBEA5+0

3

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/18(月) 23:02:23.20 ID:onQ1oq/FO

むしろ長門

ダメなら2

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/18(月) 23:06:58.66 ID:AS7XOn9XO

>>33


40 名前:なんと1がない!ハルヒ涙目wwwwwwww最近人気急上昇中の佐々木ですね[sage] 投稿日:2010/10/18(月) 23:52:45.27 ID:PDTqnTBD0

ハルヒか、佐々木か。
古泉の知っている限りでは、まだハルヒに残された力のほうが
佐々木に移っているそれよりも強いらしい。
仮に、俺が狙われやすいのだとしたら、それならば俺はハルヒから離れているほうが良いのではないだろうか。
佐々木を選んで、ハルヒへの危険の接近を避ける・・・

本当に頭にくる。  こんなときに打算的なことを考えてしまう自分に。
こんな考えで佐々木を選んだとしても、佐々木には勿論、ハルヒにも失礼だ。

だが。

キョン「・・・佐々木だ」

選ばなくてはいけないのだろう。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/19(火) 00:01:53.78 ID:+pg/QrL50

古泉「・・・わかりました。僕にそれをとやかく言う権利はないのですが、
    本当に、それでいいのですね」

ああ。それでいい。

古泉「わかりました。涼宮さんは、我々が責任を持って守ります」

よろしく頼む。ああ、それとあくまでも俺は何の変哲もない一般人だから、色々と頼むぜ。
これでも何かと頼りにしてるんだ。

古泉「勿論です」

・・・こんなときぐらい、虚勢でもいいからいつもの営業スマイルで返してくれよ。

43 名前:>>41ごめん[sage] 投稿日:2010/10/19(火) 00:13:50.48 ID:+pg/QrL50

ハルヒ「キョン、いつまで話をしているの、私待ちくたびれて死にそうよ」

古泉との会話に集中する俺にいい加減に痺れを切らしたのだろうか、
こっちをみているだけだったハルヒが話しかけてきた。
すまんな。今、ちょうど話がついたところだ。

ハルヒ「そう。それで、どっちを選ぶの」

これまでに何度か、ハルヒと口論したことがある。映画のとき、孤島のとき、・・・
今は言い合っているわけではない。だが、今から話そうとすることは、それらのどのときよりも、
口にしたくないことのように思える。

キョン「ハルヒ、俺は決してお前が嫌いというわけではない。
    SOS団の一員として、退屈することはなかったよ」

ハルヒ「キョン・・・?」

本当に悪いな、ハルヒ、佐々木。

キョン「佐々木だ。俺は佐々木と行く」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/19(火) 00:21:03.15 ID:+pg/QrL50

ハルヒ「・・・・・・」

佐々木「ボクかい?」

そうだ、佐々木、お前だ。

ハルヒ「・・・そう」

悪いな。だが、俺にだって譲れない考えはある。

ハルヒ「・・・・・・」

佐々木「・・・・・・」

・・・・・・こういうのを、重たい空気というのだろうか。俺は全身に、部室の雰囲気を背負っているような気がした。

ハルヒ「・・・なによ、なに申し訳なさそうな顔してるわけ?それなら初めから私を選びなさいよ。
    私が悲しむとでも思った?そんなわけないじゃない、私を誰だと思ってるの、SOS団の団長、涼宮ハルヒよ!」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/19(火) 00:41:47.52 ID:+pg/QrL50

キョン「ああ、そうだな。心配するまでもないな」

不思議や非日常を求めてはいても、彼女はいたって普通の常識人であるという
いつだったか古泉が言ったことを思い出す。

今、目の前にいるこの少しだけ普通でない女子高生は何を考えているだろうか。

ただ一言、すまんと心の中で呟いて、佐々木、古泉とともに、部室を後にする。

・・・古泉、閉鎖空間は発生したのか?

古泉「ええ、機関から連絡がありました。しかし、発生したのは空間だけで、神人は見られないとのことです
    最近はこういったケースが多いのですが、やはり、涼宮さんは力を失いつつあるということのようです」

そうか。しかし、どうしてハルヒから力が無くなっているんだ?

古泉「あくまで憶測ですが、貴方と過ごしてきたことが原因だと考えられます」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/19(火) 01:04:49.99 ID:+pg/QrL50

古泉「彼女は非日常をを求めていながら、常識をわきまえている人です。
    一般的には宇宙人や未来人、そして超能力者はいるとはされていません。
    SOS団で活動をしてはいても本当に見つかるかどうか、見つけたいとおもっていたのでしょうか」

あくまで推測の域を出ませんが、と古泉は繰り返す。
なるほどな。SOS団での活動で満たされた・・・とかか?
まあいい。とにかく今は、逃げることが重要だ。

太陽は大分傾き、そろそろ山の陰に身を入れようかという頃合である。
校舎の外に出ると夕日が眩しかった。

古泉「こちらです」

古泉の言うように従ってついた先にいたのは、

「キョン君、お久しぶり」

朝比奈さん(大)だった。


48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/19(火) 01:20:01.38 ID:+pg/QrL50

キョン「朝比奈さん・・・一体どうして?」

朝比奈(大)「詳しいことは禁則事項なんですけど、キョン君と、そこの佐々木さんには、今から過去に行ってもらいます」

キョン「過去に・・・?」

古泉「はい。逃げる一つの手段としてまず考えられたのが、時間を飛ぶことです。
    それなら流石に情報統合思念体も手を焼くでしょう」

朝比奈(大)「結構大変だったんですよ、話をつけるの」

なるほど、過去へ行くのか。確かにそれなら逃げやすそうだ。
だが、過去では古泉たちの支援が受けられそうにないが・・・
いや、ひょっとして過去というのは

古泉「お察しの通りです。行先は4年前、七夕の日です」

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/19(火) 01:42:51.38 ID:+pg/QrL50

ちょっと待てよ、よくよく考えれば、長門のなんちゃら体は過去に来た場合、
直接ハルヒに何かをするんじゃないのか?

古泉「それは、その可能性はゼロとは言い切れませんが、限りなく近いと思います。
    というのも、もしその時点での涼宮さんに接触した場合、
    いわゆる情報フレアに影響が出て、宇宙人などといった概念が否定され
    情報統合思念体の存在自体が揺らぐこともありえますので」

うむ、よくわらんが、おまえが問題ないというのなら、それを信じよう。
一つのときに俺が三人いるというのもいささか不安だが、まあいい。

佐々木「キョン、ちょっといいかな?」

キョン「どうした?」

佐々木「駆け落ちというのか、逃避行というのか、橘さんからある程度着ているのだけど
     結局のところ何をするんだい?」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/19(火) 01:54:25.00 ID:+pg/QrL50

ううむ、それは俺の口からではなんとも説明できんな。
端的に言えば過去へ高飛びというわけなんだが、
詳しいことは後々でいいか?

佐々木「ふむ、色々と焦っていたりすることを考えると、どうやらその方がいいようだね」

話が早くて助かる。とにかく、急がなくてはならんらしい。

朝比奈(大)「じゃあキョン君、そろそろ行きますよ?都合上私はすぐに帰ってこなければなりませんが、
        キョン君なら大丈夫って信じていますからね?いなくなっちゃ嫌ですよ?」

勿論です。俺だって、二度と朝比奈さんに会えなくなるのはごめんですから。

古泉「あと、最後にこれを。長門さんが記したメモです。過去でみるようにと」

受け取った。長門のカンペか。色々と助けてくれそうだな。

朝比奈(大)「はい、じゃあキョン君に佐々木さん、目を瞑って下さい。いきますよ・・・」

大外刈を食らったような体への力を感じる。
体の内と外がひっくり返るような浮遊感ののち、気を失った。

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/19(火) 19:28:38.02 ID:+pg/QrL50

「キョン、キョン・・・・・・」

毎度のことだが、この時間を遡るっていうのは慣れないものだな。
体がひっくり返るというか、なんというか。
・・・どうした佐々木、そんなに不安げな顔をしているお前を見るのは久しぶりだ。

キョン「朝比奈さん(大)は?知ってるか?」

佐々木「ああ、彼女なら、僕を起こした後に帰っていったよ」

そうか。朝比奈さん(大)の甘い香りに揺り起こされたかったのだが、膝枕もしてもらえなかったとはな。
と、まあそんな冗談を言ってるほどの暇があるわけでもない。行こうか。

長門の家に。

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/19(火) 20:11:24.01 ID:+pg/QrL50

さて、今いる場所は流石にあの時と同じ場所ではないな。
だが見知った場所だ。長門のいるマンションまでそう時間もかからないだろう。

佐々木「キョン、そろそろ説明してもらってもいいかな?」

ああ、そうだったな。移動の間にでもかいつまんで説明させてもらうとするか。

佐々木「駆け落ちというのもなかなか時代錯誤のものだね。
     もちろん、それとこれとが違うことはなんとなくわかるよ。
     毎度毎度キミはおかしなことに巻き込まれているようだけど、
     今回ばかりは僕も高みの見物というわけではすまないようだね。」

本当に笑っているのか怪しいいつもの笑い方だ。
さっきはあんな顔をしていたというのに、切り替えの早いことだ。

・・・いや、強がり、というものなのか?

73 名前:>>71はい[sage] 投稿日:2010/10/19(火) 20:44:26.38 ID:+pg/QrL50

とはいえ、何から話したものか。
橘やら藤原やらのことを考えると、大体の事情は知っているだろう。
となれば、今回のことだけを喋るのでも大丈夫だろうか。

ええとだな・・・



佐々木「・・・とりあえず、キミが説明を苦手としていることはよくわかった」

それは悪うございましたね。
だが、佐々木。ごく普通の一般人ではこれが当然だと思うぞ。
これは例えお前といえども変わらないと思うが。

佐々木「ふむ。まあ実際に長門さんから話を聞いたわけではないのではっきりとはいえないが
     要するにどうにかなるまで逃げ回るということだね」

そう、その通りだ。話が早くて助かる。

佐々木「それで、じゃあ僕たちはこれからどうするんだい?」

さあな。実を言うとさっぱりだ。だから、対処法を持っていると思しき人物のところまでいくというわけさ。

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/19(火) 21:02:30.64 ID:+pg/QrL50

佐々木「・・・・・・」

キョン「どうした?」

急に佐々木が考え込むような態度を取る。

佐々木「いや、ちょっとね」

なんだ。気になるじゃないか。

佐々木「僕たちはこうして過去にいるけど、その長門さんの団体がそれを見越していないとは限らないのでは」

・・・何?

佐々木「それに、あの部室にいた長門さんとこの時間での長門さんは必ずしも同じとはいえないだろう?
     部室での長門さんが接続を絶っていたとして、ここのの長門さんはどうだろうか」

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/19(火) 21:19:13.15 ID:+pg/QrL50

・・・なるほどな。それも一理ある。
だがな佐々木、どの道選択肢はないんだ。虎穴に入らずんば何とやらさ。
行ってみるしかないだろう?

佐々木「・・・ふふ、そうだね。ところで、いつからキミはそんなに逞しくなったんだい」

くっくと佐々木が笑う。

さあな。俺はいつも通りのつもりでいるが。
それとも俺がいつも逞しいのか。

佐々木「そうだね、でも少なくとも、あの時よりもずっと、キミの背中は大きく見えるよ」

あの時・・・中学生のときか?
なら、あれだ、単純に成長しただけの話さ。

佐々木「・・・いいや、あのころとはあまり変わっていないみたいだ」

なんだ、急に色々おかしなことを言ったり。

佐々木「いつか、わかるときがくるよ」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/19(火) 21:37:50.93 ID:+pg/QrL50

などと話をしているうちに、マンションに辿り着いた。
幸いなのかどうなのか、別段特に変わったことは起こらず。

長門のいる部屋を選び、部屋の主を呼び出す。

キョン「長門さんのお宅でしょうか?」

返事はない。

キョン「あー、なんと言えばいいか」

変わらない言葉。

キョン「涼宮ハルヒの知り合いの者だ」


ホールへドアが開く

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/19(火) 22:03:15.92 ID:+pg/QrL50

長門「入って」

初めて入ったときと変わらない、何の変哲もない部屋だ。
いや、前にも来たことがあるから知っているか。

佐々木の手を引き、居間へとお邪魔する。

今の時間は、ああ、もう既に俺と朝比奈さんは長門に時間移動をさせられているときか。

キョン「驚かないのか」

長門「別に」

そうか。長門ならそれもそうだな。

古泉から預かっていた、長門からのメモを渡す。何を書いてあるかさっぱりだったということは
当然こういう使い道というわけだ。

とりあえず、これを。

長門「・・・・・・・・・」

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/19(火) 22:17:22.54 ID:+pg/QrL50

長門「理解した」

そうか、それはなによりだ。
それで長門、俺たちはどうしたらいい?

長門「ここにいるのが最善と思われる」

・・・なに、ここで待機なのか?
てっきり逃げ回るとでも思っていたが。

長門「状況把握や協力を考慮すると、それが最善と考えられる」

なるほどな。
だが、隣の部屋には俺と朝比奈さんがいるだろう?
何かあったとき、大事には至らないか。

長門「問題ない。既に対策を講じた」

そうか。頼りになるな、長門。ありがとう。

長門「礼には及ばない」

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/19(火) 23:05:33.86 ID:+pg/QrL50

なんというか、掴みにくい、1年の4月ごろの長門みたいだ。
ああそうか、今の長門の表情が読み安いのはSOS団で活動をしているうちになっていったんだっけな。

キョン「なあ長門、これからどうなる?どうすればこれは終わる?」

長門「現時点である情報では結論を下すことは不可能
    また、有用な結論が出る可能性は低いと考えられる」

そうか・・・。やはり終わりが見えない。
長門や古泉がどうにもできないことならば、俺はなおさらだ。

佐々木のほうを見やると、俺と長門の話に入ってこれないのか
壁に背を預けこちらを見ている。

そんな心配そうな顔をするなよ。

キョン「少しばかり聞きたいことがある」

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/19(火) 23:32:23.60 ID:+pg/QrL50

さっき佐々木と話をしていたんだが、お前は今どういう状態なんだ?

長門「それはどういう意味」

長門、お前は情報なんちゃら体のインターフェース、そうだよな。
情報なんちゃら体と連絡を取り合っているんだと思うのだが、違うか?
それで、連絡があるとして、ハルヒや俺たちのことはどう伝わっている?

長門「問題ない。確かに私はヒューマノイドインターフェースとして
    普段は情報統合思念体と同期している。
    しかし先ほどの紙媒体による連絡によって同期を終了。
    接続は絶っている」

なるほど、4年後の長門はそこまで手を回していたというわけだな。
それともう一つ。なんちゃら体が手がかりを求めていろいろやっているようだが、
あいつらはこの時代に来ることができるのか?
それと、もしそうだとして今は来ていないか?

長門「情報統合思念体から直接ここへくることは可能。
    しかし現時点までではそれらの到達は観測されていない。
    また、接近があった場合は私が感知できる」

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/19(火) 23:46:56.16 ID:+pg/QrL50

佐々木、良かったな。
前の心配は杞憂に終わりそうだぞ。

佐々木「そのようだね。ただ、それは今の時点での話ではないかい?
     これからどういうことが起こるかはわかったものじゃない」

まあな。でも、とりあえず一息はついてもよさそうだ。

佐々木「それは、そうだね。流石に僕も少し疲れたかな」

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 00:04:19.12 ID:6+IN9uQL0

ああ長門、それとだ。
紙に書いてあったかどうかはわからんが、こいつは佐々木、俺の親友だ。

嘘か本当かは知らないが、ハルヒのような神様の力を持つ候補でな、
話によるとハルヒの力が失われつつあり、そしてその一部が佐々木に移っているんだそうだ。

長門「把握している」

早いな。それで、今なんだが佐々木には力は転移しているか?

長門「・・・・・・確認できない」

・・・そうか。いや、悪いな。

佐々木「キョン?僕がどうかしたかい」

ああ、ちょっとな。

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 00:10:55.44 ID:6+IN9uQL0

なあ長門、仮にハルヒの能力が全部なくなって、
移るだけ佐々木に移ったりしたら何か変化はあるか?

長門「・・・それは現時点では判断できない」

・・・・・・。

長門「ただ、涼宮ハルヒとの性格の相違を基に推測するところでは
    大きな変化はないと思われる。しかし、涼宮ハルヒと異なり
    彼女は能力についての知識がある。それは大きな不確定要素となり
    判断がつかない」

そうか。
佐々木、お前は望んでいなかったよな、神様になることを。
それが今はどうだ。

佐々木「・・・・・・」

いや、別に何か悪いといいたいわけではない。
ただ世の中意図しないことだらけだと思ってな。

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 00:29:04.30 ID:6+IN9uQL0

確かにな、不安を覚えたりもするかもな。
神様のような力などといわれても、よくわからないし、
それを人間という器に入れても良いものかどうかもわからん。
だがな、一年をハルヒと一緒にいたが、あいつはあれが普通のようだ。
なんとなくそんな気がするだけだが、
神様の力があることを知ったとしても、何か特別起こるとも思えん。
きっとそうだ。
だから、大丈夫だろう。俺だってここにいるじゃないか。
逃げろとは言われたが、勿論俺はお前を守るつもりでだっているさ。

佐々木「・・・・・・ふふ」

な?

佐々木「ひょっとして、僕は口説かれているのかな?」

・・・いやそういうつもりでいったわけではな[佐々木「だとしてももう少し言葉を選ぶべきではないだろうか」

佐々木「女性に真剣に話をするときは、他の女性を引き合いに出すものではないよ
     いや、それとも僕はキミにとっては女性ではないのか」

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 00:33:14.61 ID:6+IN9uQL0

いや、だからな、佐々木。
そういうつもりとかではなくてだな・・・

佐々木「・・・ふ、ふふふ。あはははは
     キョン、もしかして本気に受け止めてくれたのかな?
     いや実に面白い」

くっくっくと笑う。

このやろう。人が真剣になっているというのに。

佐々木「いやいや、やはりキミは面白いね。
     馬鹿にしているわけではないよ。
     僕もなかなか愛されているということか」

・・・ふん。まぁ、いつもの佐々木に戻ったようだということにするか。

ただ少し、
佐々木を選んだときのことを思い出して、
少しだけ胸が痛む。

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 00:40:41.20 ID:6+IN9uQL0

すまんのう明日は1コマ目からあるけん
もう眠いのじゃ

ちょっと時間切れです。ごめんなさい
これからの展開について意見をくださいね

1.エンド1
2.エンド2
3.バッドエンド1
4.バッドエンド2
5.バッドエンド3
6.バッドバッドエンド

保守とか支援とかどうもありがとうございました
明日は今日よりは早く帰ってこられる予定です。

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/20(水) 00:42:49.54 ID:R+PikYle0

幸せな話が好きだよ

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 01:11:22.82 ID:a4UXxpUE0

ハッピーエンドが見たいものだ

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/20(水) 01:57:52.33 ID:hpDoNwPYO

6を選んでみる

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/20(水) 02:57:26.18 ID:sVegDyYYO

ラブラブ展開が好きっさ

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/20(水) 03:51:58.19 ID:ONO363+MO

>>94
キョンは1
佐々木とくっついてハルヒ除くSOS団と佐々木団が統合される

ハルヒは6
伊藤誠とNiceBoat

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 05:58:24.07 ID:vpa+NKb60

佐々木スキーだけど1,2以外を選ぶぜ!
あえて言うなら6

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/20(水) 06:16:22.59 ID:PeI8R9JMO

2ってどういうこと?

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/20(水) 07:31:48.01 ID:lyn62PMvO

佐々キョンでもっとも熱いハッピーエンドをお願えしますだ

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/20(水) 07:37:06.43 ID:HFGM8+4i0

ハッピーエンドならば
バッドエンドはやめてくれ

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/20(水) 07:42:40.75 ID:PeI8R9JMO

ハッピーエンドならなんでもいい

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/20(水) 08:54:01.07 ID:S0nhFI1tO

佐々木がヒロインになったから見てやったから
これからも佐々木がヒロインじゃねえとみねえから

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/20(水) 08:55:07.60 ID:NMoau3J+O

佐々キョンラブラブエンドしか見えない

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/20(水) 10:16:01.32 ID:PeI8R9JMO

イチャイチャさせてやれ

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 11:04:23.84 ID:AY+Mo6Jr0

ハッピーエンドならなんでもいい

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 11:21:05.68 ID:iJrC9a9z0

どれでもいいけど展開がタルい

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/20(水) 13:03:46.78 ID:ONO363+MO

佐々キョン成立
ハルヒは失明してラピュタから転落死でいいだろ

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/20(水) 14:02:35.22 ID:B0UWlVyj0

俄然ハッピーエンドで

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/20(水) 15:13:30.06 ID:8eNaPKBWO

イチャイチャしてくれれば悔いはないッ!!

126 名前:>>124特にどのキャラがではないです。でもちゃんと佐々キョンで書かせてもらいますよ[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 16:56:43.12 ID:6+IN9uQL0

特に話すこともなくなった。特に何かを話そうとも思わない。
そんな感じになって、部屋に静寂が訪れる。

古泉と話していたときの緊迫感を忘れてしまうくらい・・・暇だ

キョン「長門、ちょっと台所を借りるぞ」

長門「・・・・・・」

沈黙を肯定と受け取っておこう。

可もなく不可もないようなシステムキッチンだ。
お湯を沸かし、茶葉を取り出し、急須に注ぐ。

多くのことを考えなければならないような気がするが、それほどの気力も出ない。
キッチンに落ち着くような緑茶の香りがひろがり、しみじみとした気分になる。

128 名前:×火織 ○香り です。すいません[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 17:08:17.32 ID:6+IN9uQL0

居間に戻ってみると、長門に借りたのか佐々木までも本を読んでいた。
卓に湯飲みを置き、急須からお茶を注ぐ。部屋が緑茶の香りで満たされる。

ありがとうと軽く言って佐々木が湯飲みを取る。
朝比奈さんほどの味は保障しないが、と言おうとしたがやめておいた。

黙って俺も湯飲みを手に取る。

三つ用意したがどうやら長門に手をつける様子はなさそうだ。
何も言わず、表情の読み取れない顔でページをめくる。
佐々木も視線を本に戻していた。

紙の擦れる音だけが部屋に響く。
逼迫した空気とは縁遠い雰囲気が部屋を覆う。

追われているというのにただじっとしているだけ。
それは勿論、長門の能力など都合がいいからそうなのであるが、
ただでさえ欠ける現実味が一層感じられない。

131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 17:45:32.21 ID:6+IN9uQL0

ふと、佐々木のほうに目をやる。

透き通るような肌。細くしなやかな指。

読書に傾倒しているのか、俺の視線には気づいていないようだ。

蛍光灯の光を受けてきらめく長い睫毛。それに守られる瞳は文字を追って
右へ左へ動いており、その奥には知性と感性が感じられる。

「十人中八人が一見して目を惹かれる」

何となく、古泉が言っていたことを思い出す。

なるほど、これが魅力というものなのか。
吸い込まれてしまいそうなその雰囲気には、ハルヒとは正反対の何かがあるように思える。

ページをめくる手。時折お茶を啜ると動く喉。

ただ、佐々木を見ていた。

132 名前:ちょっとおでかけ[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 17:59:32.31 ID:6+IN9uQL0

顔に目を戻すと、佐々木がこちらを向いていた。

自分の顔に何かついているのか、そう言いたげな表情である。

感想でも言ってやろうかと思ったが、うまく口が動かない。
なんだか見詰め合ってるような気分になり、恥ずかしくなって窓の外に目をやる。

日はすっかり落ちて、街の灯りが闇夜に映える。

本に意識を戻したのだろうか、再びページをめくる音がする。

湯飲みに残った少しを飲み干し、床に寝そべる。

このまま目を閉じれば、何もかも終わるんじゃないか。
あのときのように俺はベッドから転げ落ち、翌日変わらぬ登校をするんじゃないか。

そんな風に考えたりする。

135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 18:58:54.61 ID:6+IN9uQL0

長門「伏せて」

耳に入ってから長門のその言葉を理解するのに若干の差があったが、
理解する前に体が動いていた。

佐々木の上に覆いかぶさるようになった瞬間、窓が派手な音を立てて割れる。

長門「ヒューマノイドインターフェースの進入を感知。
    場所は・・・特定できない」

お茶、飲み干していて良かったなどと暢気なことを考えている自分に驚きつつ、
窓の他には何もなかったことを確認する。

佐々木「キョン、重いよ」

すまん、気がついたときには体が動いていた。
大丈夫か、どこも痛くないか?

佐々木「なんともないよ。強いて言えば頭を打ったかな」

そりゃ悪かった。



136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 19:15:08.43 ID:6+IN9uQL0

立ち上がり、佐々木の手をとる。
長門は窓の外を心なしいつもより鋭い目つきで見据えている。

キョン「とうとう来たのか?」

長門が無言で頷く。

どうすればいいか、そう尋ねようと思った瞬間、
長門が小柄な体を振りかぶる。

割れた窓の枠に合うように白いもやのようなものがかかったかと思えば、
その瞬間に先ほどよりも派手な音を立てて砕け散る。

破片から守るように佐々木を抱きしめたが、
飛び散る欠片は長門と、その後ろの俺たちをを避けながら拡散し部屋を蹂躙する。

眩しさを感じて窓を振り返ると、ちょうどその光が途切れるところだった。

外には、黒のスーツにサングラスをかけたいかにもな容貌の男が何人か浮いていた。

139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 19:59:11.47 ID:6+IN9uQL0

長門が一歩前へ出る。

相手も長門をじっとにらみ返す。緊張が走る。

どれだけの時間が流れだろうか、
不意に男の一人が腕を振り上げる。

長門もそれに応じようと更に一歩、相手に近づこうとし、

長門「深刻なエラーが発生」

小石につまずいたかのように、


倒れこんだ。

140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 20:17:57.80 ID:6+IN9uQL0

長門、そう叫ぼうとしたとき、
爆音が鼓膜を突き破るかのように響き渡る

佐々木を抱く腕に力が入る。

長門「情報の組み換えが正常に行えない。
    接続が正常ではない。操作の過程で何者かに割り込まれている。
    初期化では間に合わないと判断。
    それ以外での状態の回復法は現在不明。

    残存するリソースを用いサポートする。
    現在選択可能な対処は、離れること」

長門、再び叫ぼうとしたとき、二度目の爆発が起きた。

部屋の中での爆発に、先ほどよりも強い衝撃が俺たちを襲う。
気がついたときには俺は宙を舞い、佐々木とともに窓の外を真っ逆さまに落ちていった。

最後に目に入った顔の見えた長門は、にげて、と言っているように思えた。

142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 20:54:53.15 ID:6+IN9uQL0

佐々木を抱きかかえたまま、俺は落ちる。
目に入ってくる景色は非常にスローモーな動きで、
走馬灯というのはこんな感じなんだろうかと考えた。

体が植え込みに突き刺さる。
あの高さからの落下だと言うのに痛みはなく、体に異常も感じられない。
あれほどいた男たちが迫ってくる気配もない。

長門が何かしたのだろうか。

深く考えることはやめて、這いずり出、佐々木の手をとり走り出す。

あてはないが、とにかくここから離れよう。

144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 21:12:33.18 ID:6+IN9uQL0

どこへ向かうか・・・

無意識のうちに選んでいたのは、駅への方向だった。
駅の周りなら人が大勢いる。それならきっと奴らも手を出しにくいはずだ。

佐々木の手をもっと強く握り締め、走る。

追われている。
          勝算なく走り逃げている。

なるほどこれなら駆け落ちらしい。

長門は大丈夫だろうか。
この時代に来たと言うことはもとの時間はどうなっているのだろうか。

考えたくはない。
走ること、周りの気配を察知することに意識を集め、他のことは気にしないように心がけた。

145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 21:23:56.07 ID:6+IN9uQL0

次第にと夜の街を照らす明かりが強くなり、駅が近づいていることを俺に教える。
何も具体的な解決があるわけでもないというのに、俺にはなぜかそれが希望の光のように思えた。


ちょうど列車が到着したのだろうか。
駅前には勤め先から帰ってきたであろう人々でいっぱいだ。

駅前広場のベンチで一息をつく。
息も絶え絶えな俺たちに通行人が奇異の目を向けるが構ったことではない。

死ぬかもしれないと言う瀬戸際なのだ。
本当に、構ったことではない。

佐々木はがっくりとうつむいて表情が見えない。
そばの自販機で飲み物を買い、手渡そうとするとやっとこちらを向いた。

走り回ったことで紅潮した頬を目にしたとき、こんなときに不謹慎ながらも
色気を感じ、目をそらす。

お互い何も言わず、350ml缶を飲み干す。

147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 21:47:03.45 ID:6+IN9uQL0

これからどうしようか、そう問いかけようと思った矢先、爆発音が辺りに響く。
長門のマンションで聞いたものと、同じ音。

振り返ると、駅前ビルの一階が抉り取られたかのように消えていた。
人に人が叫び声をあげている。

ところどころ赤く染まった路面や、ひっくり返っている乗用車。
余りの惨状に頭の処理が追いつかない。

やっとの思いで向き直ると、佐々木は直前までとは打って変わって蒼白な顔つきになっている。

自分を責めているような表情で俺を見上げる。

ばかやろう。お前の責じゃねぇよ。

そういってやりたかったが、口が動いてくれなかった。
黙って佐々木の手をとり、その場から逃げ出す。

149 名前:>>146自分でも何かいているかわからなくなってきている[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 22:01:04.89 ID:6+IN9uQL0

最早わけがわからない。
他の人がいれば躊躇するか、そうか考えていたのは甘かったのか。
相手は何の躊躇いもなく攻撃してきた。

今度こそあてはない。
右に左に、ある道をでたらめに、ひたすら走るだけだ。

どれぐらいの距離を走ったときだろうか。

不意に佐々木の手を引く右手にかかる抵抗が大きくなった。

キョン「どうした、佐々木!」

振り返った俺の目に映ったのは、アルコールでも回ったかのような紅い佐々木の顔だった。

152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 22:32:42.31 ID:6+IN9uQL0

佐々木は俺の手を振りほどき、誰かの家の塀に寄りかかるようにして立ち止まる。

キョン「佐々木、大丈夫か!?」

答えない。

キョン「どうした!?」

佐々木「・・・すまない。・・・なんだか、体が熱いんだ」

熱い・・・?風邪でも引いていたのか?

佐々木「いや、風邪を引いていたつもりはない。
     長門さんの家にいたときから、なんだか火照るような感じがしているんだ」

そう告げる佐々木の顔は確かに紅い。駅前のときよりもその赤色は鮮やかで、
瞳は潤んで軽く充血している。

何かあったのか?奴らが何かしたのか?

153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 22:46:07.94 ID:6+IN9uQL0

佐々木「わからない。ただ、何かがわた、僕の中に入ってきているような気がするんだ」

何かが入ってくる・・・?どういうことなんだ・・・。

佐々木「それはそうと、このみち、さっきも来なかったかい?」

なに?

佐々木「この家、さっきも前を通ったと思うんだけど・・・」

言われてみれば、そんな気がする。レンガ風な外装のこの家には見覚えがある。

佐々木「なんというか、同じような場所を、ぐるぐると回っているような」

・・・・・・しまった。

やられた。よくよく考えたら、相手は長門や朝倉のような存在じゃないか。
ここは、奴らがどうこうして外から切り離した空間か。

辺りを見れば、街灯以外に明かりの着いた場所はない。

154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 23:02:51.23 ID:6+IN9uQL0

まるで網に迷い込んだ魚だな。
相手が用意した檻の中で、そうとは気づかず闇雲に走り回る。

奴らはこんな俺たちをどこかで嘲笑っているのだろうか。

佐々木「・・・っ!」

キョン「佐々木!」

倒れそうになる佐々木を抱き止める。
熱い。佐々木の全身から熱を感じる。一体何だというのだ。

佐々木「・・・キョン、ちょっといいかい?」

なんだ

佐々木「ここから先は、二手に分かれていかないか?」

馬鹿を言うな!
二手と言うが、どうみてもお前は満足に動けそうにないじゃないか。

佐々木「じゃあ、正直に言うよ。僕を置いて行ってくれ」

156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 23:13:20.67 ID:6+IN9uQL0

ますますもって聞くわけにはいかないだろ。何考えているんだ。

佐々木「彼らは、僕が目的なんだろう?だったら、せめてキミだけでもと」

ここまで来て今更そんなことができるものか。
それに、守ってやると初めに言っただろう。

佐々木「でも、キミはどうにか打開する方法を持っているわけではあるまい。
     ならば少しでも被害を抑えたほうがいいじゃないか」

キョン「ふざけるな!!」

佐々木「っ」

キョン「あの時俺はお前を選んだんだ!それを今更!
    お前はそれでいいかもしれないが、俺はどうなる。
    お前を見捨ててぬけぬけとしていられるわけがないだろう!
    古泉や長門、朝比奈さん、そしてハルヒも、俺を信じてお前を預けた。それを裏切れと言うのか。
    それに、」

俺はお前が好きなんだ、そう続けようとした俺の体に、佐々木の細い腕が巻きつく。

佐々木「・・・そうだね。・・・悪かったよ、キョン」

157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 23:26:12.03 ID:6+IN9uQL0

佐々木「じゃあ、僕と一緒にいてくれるかい?
     僕を置いて、どこにも行かないでくれるかい?」

勿論だ。

俺は佐々木を抱きしめ返す。



佐々木を背負い、遅い足取りながらも確かに道を進む。
半年前でありながら4年前であるあの時。ここ一体には微かに見覚えがある。
少しの可能性にかけて、歩く。

佐々木「ねぇ、キョン」

背中越しに佐々木が話しかけてくる。
なんだ。

佐々木「僕たちが始めてであったときの事を覚えているかい?」

・・・あいにく、記憶に残ってないな。

159 名前:だんだんどうなってるのかわからなくなってますね[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 23:35:27.97 ID:6+IN9uQL0

佐々木「そうかい。いや、別になんでもないんだ」

佐々木「学習塾が同じだったよね。それで、よく自転車の後ろに乗せてもらっていた」

ああ、そうだったな。それでクラスの奴らやら何やらが勘違いしていたな。

佐々木「実はだね、あんなに親しく接した男の人と言うのは、キミが初めてだったんだよ」

そうかい。そいつは光栄だな。

佐々木「それで、前で自転車をこぐキミを見て、よく思ったのさ。
     男の人と言うのは、こうも逞しい、頼りたくなるようなものなのかなと」

ほほう。・・・なんだか照れるな。

佐々木「恋愛感情は病気の一種、といったよね。でも、実際は恋愛と言うのが
     どういうものかよくわかってなくてね」

なんだ、頭の言いお前にしては変な考えだな。

佐々木「僕は解析力は優れていないからね」

ああ、そんなことも言っていたかな。

162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 23:52:20.40 ID:6+IN9uQL0

佐々木「星が綺麗だね、キョン」

ああ、そうだな。辺りが暗いこともあるせいか、いつもより何となく光が強いな。

佐々木「キミは自転車を漕ぐのに必死だったかもしれないけれど、
     僕はいつも後ろでこれくらいの星を見ていたんだよ」

そいつは羨ましいな。
・・・あった。ここだ。

ジョン・スミスがド派手な模様を描いたことで有名な、東中学校。

都合よく門が開いていたので、佐々木を負ぶったまま、中に入ることができた。

間近で見ただけではなんだかわからない無数の白線。それはこの異空間でも変わらずあった。

そして、その中心に一つの赤く光る球体が見える。

それがなんだか、よくわかる。
いつも営業スマイルを欠かさない、SOS団副団長にして最大のスポンサー、古泉一樹だ。

163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/20(水) 23:59:35.66 ID:6+IN9uQL0

古泉「やっぱ・、ここに来て・れましたね。
    貴方なら、ここへた・りつくのではないかとお・っていたのですが、
    どうやら大せ・解のようです」

時々途切れるような声で、赤い球体の古泉が話しかけてくる。

キョン「古泉・・・!どうしてここに?」

ここへ来たのは正解だったのだろうか。
いや、古泉が情報なんちゃらの力に何かできるということは聞いたことはないが。
しかし、俺と佐々木のほかに誰かいると言うだけで、少し気力がよみがえる。

古泉「それはよ・わかりま・ん。色々積もる話・あるでしょ・が
    その・えに一つ、あ・まらなくてはな・らないことが・ります」

なんだ・・・?いや、なにか悪い予感がする。聞きたくない。

古泉「本当に、も・しわけありません・・・」

やめろ・・・。言うな・・・!

164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 00:06:47.75 ID:Yxv6oOjb0

古泉「涼宮さ・が・・・死にました・・・・・・」

は?

古泉「あな・が過去にと・でから、僕はきか・のメンバーと連絡・取り、
    すぐに涼・やさんの移動を・いししました。
    長門さんにともに・て頂いていたので、ある程度は大丈夫だ・うと
    考えておりましたが、どうやら甘・ぎたようでした・・・
    相手は数で来ら・たようで、初めの・ちこそしのいでい・ものの、
    少ししたところで長門さんの・・力を無効化され、
    ちか・で押し込・れるように・・・・・・」

おい、古泉、何を言っているんだ?
それは新手のドッキリか?
責任を持って守ると言ったじゃないか!どういうことだ古泉!

古泉「本当に・・・申し・けありません・・・・・・」

165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 00:14:46.85 ID:Yxv6oOjb0

ハルヒが死んだ・・・?
そんなことあるわけないだろう!
あいつはいつも傲慢で、唯我独尊の変人なんだぞ!
自分に都合の悪いことなど、いつもの変態的パワーでどうにでもなるんじゃないのか!?

古泉「それが・・・、最後の・うではほと・ど失われていたようで・・・」


ははは・・・。
そんな簡単にか。
こうも簡単に、俺は愛している人を一人失ったことを告げられた。


古泉「・・・・・・」

ふと、あることに気がつく。そんなことには気がつきたくもないことであるが。

キョン「なぁ、ハルヒは本当に・・・?だったら、情報フレアだかというのは、どうなったんだ・・・?
    ここは、なんともないようだが、もとの時間は・・・」

古泉「長・さんがいうには、情報フ・アは観測され・かったと言うことです。
    ただ、涼宮さん・ら、強い志向性を・った情報の発信があっ・と」

168 名前:書くごとに文が陳腐化かつ雑化している・・・(;ω;) ×志向性 ○指向性[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 00:20:01.87 ID:Yxv6oOjb0

強い、指向性・・・?

古泉「はい。あたか・、どこかも行きさ・でもあるかのよう・あると、
    長門さんはいって・ました。それと、元の世か・ですが、長門さんの
    話をいたら僕はす・にここにいたので、はっき・とは、わかりません・・・」

行き先・・・?

まさか!


佐々木「・・・ん、んぅ?キョン?何・・・?」

そのとき調度、いつの間にか眠ってしまっていた佐々木が目を覚ました。



     ”涼宮ハルヒの力が転移している”

169 名前:>>167内容は駆け落ちではないですけどね^^;[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 00:25:17.73 ID:Yxv6oOjb0

〜〜〜〜〜〜〜〜

ねえ、キョン。今、どこにいるのかしら。

私は自分がどこにいるかわからないわ。
古泉君の言うまま、車に乗って、どこかへ向かおうとしていたようだけど、
気がついたら車がひっくり返って・・・。

わかるのは、体が全然動かないと言うこと。

ねえ、キョン。貴方が部室を出て行ってから、何となく感じることがあったの。

私の、普通とは何か違うこと。

そして、それが色々と引き起こして、それから引き起こしつつあること。

全部、私が関係あるのね。
今回のことも、それのせいなのね。


ねぇ、貴方は今、どこで何をしているのかしら。

170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 00:31:06.62 ID:Yxv6oOjb0

あの時、貴方は私を選んではくれなかったけれど、
それはそれでしょうがないことなのかもしれないのね。

・・・いいえ、大丈夫よ。

私を誰だと思っているの?
北高最強のSOS団・団長、涼宮ハルヒよ。

佐々木さんは無事でいるかしら。
迷惑をかけて、本当にごめんなさい。

キョンをどうかよろしくお願いします。

キョンは、いつでも格好良くて、逞しくて、頼れる私の自慢の団員よ。
    ・・・・・・平だけど。

うん。きっと、大丈夫ね。

キョン、愛しているわ。
貴方と一緒にいたこと、七夕やスキーや南海のバケーション。
本当に本当に、大切な思い出よ。

貴方と一緒にいたことがあるから、私は大丈夫。

何も心配要らないの。

愛しているわ、キョン。

171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 00:39:31.57 ID:Yxv6oOjb0





        嘘。



確かに私は退屈することが多かったわ。
世の中、周りは普通のことだらけで、私はちっぽけな人間で。

でも、貴方と出会って、SOS団を作って、有紀やみくるちゃんや古泉君と出会って、
毎日が楽しかった。そりゃ、ちょっとはいらいらする日もあったわ。でも、どこか満たされていた。

こんな力、欲しくなんかなかった。貴方といられるだけでよかった。
貴方と一緒にいて、貴方を感じて、貴方に感じられて、それだけで、良かった。

本当は全然大丈夫なんかじゃない。
本当は貴方ともっといたい。
本当は貴方とずっといたい。
本当は今すぐ貴方を抱きしめたい。
貴方を感じ、感じられていたい。
貴方に抱きしめられて、貴方の耳元で愛していると囁いて、

    貴方に愛されたい。

172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 00:45:01.06 ID:Yxv6oOjb0

でも、
          もう、
    だめね。

だんだんと前は見えなくなってきて、
あんなに痛かった体中は今では何も感じなくて、
誰かが私に話しかけているようでも全く聞こえなくて。

だんだん、なにがなんだか、わからなくなってきたわ。

あなたをおもうことはもうでき、なくなってきたのか、な

あいして、いるわ。だか、ら、ほんとうにすこ、しだけど、

わたしに、のこっているぜん、ぶをあげ、るわ

さいごにのこった、ほんの、すこし、だけど、

ぜん、ぶぜんぶあなたに、あげるわ

きっと、あなたを、たすけ、てくれるとおも、うの

じゃあ、ねきょん

あいして、いる、のよ、きょん

173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 00:57:34.10 ID:Yxv6oOjb0

〜〜〜〜〜〜〜〜

さっきから佐々木が体が熱いといっていたが、もしかして・・・

古泉「はい、多ぶ・そうだとなが・さんもいってま・た
    す・宮さんが、最後の・からでおこ・ったこと・とすいそ・されます」

ハルヒ・・・・・・

古泉「ほ・とうに・しわけない・ですが、ぼくもそ・そろ、時間・れのよう・す。
    しだい・あな・をに・し・できな・なってき・・た。
    これからど・すればいい・は、ぼ・にもわ・りません。
    かさ・が・ね、ごめ・なさ・。
    さ・ごにひ・つだけ、なが・さんが・ばっく・っぷを・・たと・・・・・・・・・

バック、アップ
だんだんと弱まっていた光は、最後に雑音混じりにそれとだけ残して拡散した。
空を仰ぐと、東のほうが薄っすらと青みがかっている。

古泉も、もうお手上げのようだ。誰からの連絡も感じられない。
バックアップ、一体何のことだろうか。

ハルヒに対する佐々木のことか・・・?
いや、そう単純なものじゃないはずだ・・・。

根拠があるわけでもなく、そう思った。

174 名前:これは確実に俺の黒歴史に・・・!(^q^)[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 01:11:37.80 ID:Yxv6oOjb0

校庭いっぱいに描かれたメッセージ。
そのど真ん中で、俺は座り込む。
背負っていた佐々木を胸の前で抱える。

再び眠ってしまったのか、瞳を閉じて、胸を軽く上下させている。

力を入れてしまえば折れてしまいそうなぐらい、細くしなやかな肢体。
知性の存在を感じさせながらも、どことなくあどけなさの残る顔。
安心しているかのように俺に体を預け、安らかに眠っている、
その全てが愛おしくて、愛おしくて、俺はその唇に顔を寄せ、そっと、

            口づけをした。


佐々木「ん、・・・あ、あぁ、キョン・・・」

それのせいなのか、佐々木が目を覚ます。
なんとなく気恥ずかしくなって、日が昇る方向を見やる。

175 名前:ひとりでもつづける[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 01:19:29.50 ID:Yxv6oOjb0

佐々木「ねぇ、キョン」

どうした?

佐々木「僕はね、本当はキョンと同じ高校に行きたかった」

そうかい。

佐々木「本当はね、キミと一緒にいたかったんだ」

そうかい。

佐々木「高校生になっても、君のこぐ自転車の後ろに乗って、どこかへ行ったり・・・」

そうかい。

佐々木「サークルを作ったりして、放課後も楽しく過ごしたかったかな」

そうかい。

177 名前:こんなキョン、キョンじゃないやい・・・[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 01:26:00.11 ID:Yxv6oOjb0

佐々木「本当は、キミと一緒にいたくて、・・・」

佐々木「キミが、・・・好き、で」

ははは、そんなに恥ずかしいのか。顔が真っ赤じゃないか。

佐々木「ねぇ、キョン、どうして泣いているんだい?」

・・・しらねぇよ。だが佐々木、お前だって涙で顔がぐちゃぐちゃじゃないか。

佐々木「あれ、そ、そうかな?」

ああ。俺もお前も、涙で前がよく見えねえな。


泣いているのか笑っているのか、自分でもよくわからなかった。

青みがかった空はだんだんと朱に染まり、新しい一日の始まりを告げる。

そんななか、ふと、俺は誰かが近づいてくるのを感じる。それも、一人や二人ではない。

178 名前:そうか、ここに色々書くからしらけるのか[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 01:38:28.75 ID:Yxv6oOjb0

佐々木、ごめんな。散々あれだけ行っておいて、
もう俺にはどうすることもできない。どうすればいいかわからない。

古泉が最後に残した言葉、それが何を意味しているのかもわからない。

本当に、ごめんな。もしも次があるとしたら、そのときは絶対に約束を守るから。

せめて、最後まではここに、一緒にいるよ。お前を置いてどこかへはいかないからな。


一人、黒服の男が、すぐそばまで寄ってくる。


佐々木「ねぇ、キョン。僕は・・・私は、何も恨んだりしないわ。
     君が私にしてくれたこと、全部本当に私のことを思ってくれてのことだって、わかるもの。
     今はただ、君がそばにいてくれるだけでいいの。それ以上、もう何もいらない。
     このおかしな力だって、欲しい人に上げもいいわ。
     だけど、最後に一つだけ。 キスを、頂戴。
     君がここにいて、私がここにいることの証に、一度でいいから、下さい」

最後の願いがそんなことでいいのか。
やっぱりお前は変わった奴だな。
いいさ。キスぐらい、何度でもしてやるよ。

179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 01:42:13.65 ID:Yxv6oOjb0

俺にとっては二度目の、佐々木にとっては最初の口づけを、交わす。

なんとなく恥ずかしくなって、お互いすぐ顔をそらしてしまう。

佐々木「ねえ、キョン」

なんだ

佐々木「私は、キョンを愛しているわ」

ああ、俺もだ。


また一歩、誰かが近づいてくる。
俺と佐々木は瞼を閉じ、お互いにしっかりと抱き合って、次に起こると思うことに身を備える。

180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 01:46:36.23 ID:Yxv6oOjb0

だが、身を硬くして待っていたことは、いつまでたっても起こらなかった。


「キョン君、いつまでそうしているの?」

声が、する。

「君はそれでいいのかな?まだ、やりたいこと、やっていないことがあるんじゃないのかな?」

聞き覚えのある声だ。

閉じていた目を、ゆっくりと開ける。

「早くしないと、本当に終わっちゃうよ?」

昇る朝日を背に、見知った人が、立っている。

181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 01:50:33.37 ID:Yxv6oOjb0

キョン「朝倉・・・涼子・・・?どうしてここに?」

朝倉「ああ、待ってよ、そんなに身構えないで。
    今回はそういうわけでいるんじゃないわ」

周りを見ると、近づいてきていた男たちがみな倒れている。

これは、朝倉がやったのか・・・?

朝倉「もー、長門さんも人遣いが荒いのよ。
    バックアップの復元をしたかと思えば、すぐに飛んでけだの」

長門・・・?バックアップ・・・?

あ、ああ。そういうことだったのか。

長門は最後に、バックアップを送った、そう言ったのか。

183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 01:57:35.78 ID:Yxv6oOjb0

朝倉「長門さんからの伝言。
    『今、はっきりと認識できる。進化の可能性、発展の可能性、継続の可能性。
     可能性は、無数に存在する』
    だって。なんのことだろ?
    それで、貴方に時間を与えろ、だってさ。
    そんなわけで、あちらさんの相手は私がするから、
    後はなんだか知らないけど、頑張ってね」

進化の可能性?発展の可能性?継続の可能性?無数に存在する?
つまり、どういうことだ・・・?

長門が意味もない伝言をするはずがない。
きっとなにかの手がかりなんだ。

可能性・・・。

無数・・・。

184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 02:07:08.87 ID:Yxv6oOjb0

もしかすると、俺がハルヒを選んでいた可能性・・・。
ハルヒの前の席ではなかった可能性、北高には行かなかった可能性。
佐々木と同じ塾にいなかった可能性、佐々木と出会わなかった可能性。
俺が今の俺として、生まれなかった可能性。

つまり・・・。


朝倉「わわっ!ちょっと、キョン君!制限時間はそうそう長くないわよ!
    ちゃっちゃとやってくれないと、私にも限界ってものがあるんだからね!」

ああ、わかっている。わかっているさ。


なぁ、佐々木。
さっきお前は言ったよな。

俺と同じ学校行きたかったこと、不思議なサークルを作りたかったこと。

今はどうなんだ?まだそう思っているのか?

だとしたら、俺もお前も、諦めるのはまだ早かったのかもな。

185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 02:14:18.50 ID:Yxv6oOjb0

佐々木、想像するんだ。
本当はこうありたかったこと、なってほしかったこと。

現在がお前の思うようだったかもしれないだったかもしれない可能性、
それをしっかりと考えるんだ。

どうだ、考えられたか、そんな可能性は。

その可能性の未来が、欲しくはないか。
欲しかったのなら、作り出せばいい。そう、お前にはできるのだから。

お前にはあるだろう、ハルヒから貰った力が。
可能性を実現させる、神様の力があるだろう。

だから、可能性に満ちているんだ。



佐々木が、ぱちりと目を開ける。

その瞬間、俺はいかんとも形容しがたい無重力間に襲われる。
体の中がぐるぐるとかき回されているような浮揚感を感じ、ゆっくりと気が遠のいていく

186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 02:25:31.27 ID:Yxv6oOjb0

〜〜〜〜〜〜〜〜

いつもと変わらない放課後。
人のいなくなった教室をのそのそと出て、下駄箱を通り越して外へ出る。

誰も来ることはないだろう裏庭に、小さな小さな盛り土があり、これもまたそれほど大きくない石が、置いてある。



佐々木に与えられた力が発動し、世界が改変された。
改変と入っても、世の中のほとんど全ては変わっていないのだと、長門は言っていた。

ただ、涼宮ハルヒという存在の変化を除いて。

長門の言うところによると、今回の情報改変の引き金となったために、新しく構築されてここにはいられないということなのだそうだが
もっと詳しく言っていたことは、さっぱりわけがわからなかった。

佐々木の力による情報の大規模な発信に、情報なんちゃら体は満足したそうだ。
本当は、できるならそいつのそばまで行って、力の限りに、目一杯に殴りつけてやりたい気分だが。
しかしただの人間である俺にはそんなことを可能にする能力はない。

俺がハルヒにしてやれることといえば、ただ、忘れないでいてやることだけである。
ここに来る度、自分の至らなさを感じる。

187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 02:32:11.35 ID:Yxv6oOjb0

俺は踵を返し、校舎の入り口へと戻っていく。
行き先はたった一つ、放課後にはいつも行く部屋である。

数分歩いて、辿り着く。
扉には大きく 「SOS団」 と書かれている。

ゆっくりとドアを開き、中に入る。
するか早いか、声が飛んでくる。

「遅いじゃないか、キョン」

そら、始まった。

「遅刻は厳禁!そういったはずだけど、違ったかな?」

いえいえ、全く違いませんよ。

「ほほう、覚えているのに遅刻とは、なかなかいい度胸じゃないか」

へいへい、お褒めに預かり光栄だな。

「団長たるこの僕の言うことが聞けないとは、それだから君はいつまでたっても平なのだ」

190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 02:42:14.47 ID:Yxv6oOjb0

佐々木が力を使ってから、それで佐々木自身はどうなったのか、それはよくわからない。

今ここにあるのは、佐々木も俺と同じ北高に通う高校生で、
身の回りの不思議を求めてサークルを作った可能性。


それ以前の記憶があるのかないのか、聞いてみるのは少し怖い。

長門を持ってしても、それは聞いてみるまでわからないのだそうだ。

個人的には、残ってないほうがいいと思うんだが。
そのときにあったことやなかったことを含めて。

実を言うと俺も忘れたい。あっても困るだけだしな。
ああ、いや、忘れてはいけないこともあるけどな。

佐々木の力が現在どうなっているのかは、不明な点が多いのだそうだ。

     機関が存在し、古泉がいる。
          時間旅行の道具は存在し、朝比奈さんがいる。
宇宙には高度な知性を持った生命体が存在し、長門がいる。

それぞれはやはり佐々木の力だそうだ。
ただ、今なおそれほどの力があるかどうかは怪しいそうで、念のためにいるということらしい。

191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 02:46:08.38 ID:Yxv6oOjb0

時々思うんだが、実は佐々木も覚えていて、
俺や長門や朝比奈さんや古泉が、佐々木にばれないようにこそこそとやっているのを
ひっそりと見て楽しんでいるのかもしれない。
佐々木はこういう性格だからな。

とはいえ、やっぱりないんじゃないのかというのがここのところの結論だ。



佐々木「キョン、聞いているのかい?遅刻した場合は飲み物をおごること。
     そういう約束だよ。約束はちゃんと守ってくれるよね?
     今度はちゃんと、守ってくれるよね?」



なんてな

192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 02:50:04.33 ID:Yxv6oOjb0

   おわり

〜〜エンド2とバッドバッドエンドを足して2で割ったエンド


おわりです。
保守や支援は本当にありがとうございました
遅筆や誤字脱字についてはまことに申し訳ありません

ラブラブが足りん、とか、これがハッピーエンドか、という声もあるかと思いますが、自分にはこれが限界です

乗っ取りで書き溜めがないとこんなにのろまになるんですね。
あらためて小説家というのにはおどろき

お目汚し失礼しました。

では

193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 02:51:32.77 ID:Yxv6oOjb0

今日も1コマ目からなんだけど
あと少しで終わる、終わるとか思ってたらこんな時間に

単位\(^o^)/ いや、一回くらいならいいか

216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 18:57:21.28 ID:Yxv6oOjb0

何でそんなハルビッチハルビッチ言うの(´;ω;`)
ハルヒだって生きているんだよ(´;ω;`)
そんなこと言ったら可愛そうなんだよ(´;ω;`)

219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 19:22:14.43 ID:Yxv6oOjb0

ハルヒ長門みくるみくる(大)朝倉鶴屋さん佐々木橘九曜妹ミヨキチ
キョンの体力は持つのだろうか

224 名前:エンド1の流れです >>126から[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 22:56:18.39 ID:Yxv6oOjb0

余りにもやることがないので数えていた羊も、4桁を超えたところで
さっきの数がいくつだったかわからなくなってしまった。

長門に言われたとおりに俺と佐々木は部屋で待機。

会話が終わってから、俺はまさに暇を持て余している状況だ。

佐々木はいつの間にやら長門に本を借りていたようで、
何をしようか考えることで消費しいている俺とは反対に
身のある時間をすごしているようだ。


お茶でも淹れようか。

台所を借りると長門に伝え、SOS団部室で鍛えた腕を振るう。

225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 23:06:31.99 ID:Yxv6oOjb0

お茶から立ち上る湯気だったか香りだったかを松風と言うのだそうだ。
いや、抹茶を点てたときだったか?まあいい。

朝比奈さんほどの腕前とはいかないが、
上手い具合に香りよく入ったようだ。

食器棚から湯飲みを取り出し、急須とともに盆に載せて居間へ戻る。

紙が擦れる乾いた音が響いているだけの静かな空間だ。

お盆をテーブルの上におき、急須から湯飲みへ緑茶を注いでいると、
後ろから佐々木が手を伸ばして掻っ攫おうとする。

お前のために淹れたと言ってないんだが。

佐々木「でも、そうなんだろう?」

まあな。

227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 23:27:26.19 ID:Yxv6oOjb0

佐々木「ありがとう。おいしく頂くよ」

まあもともと長門の物だけどな。

なんとなく照れくさくなってそう返す。
飲むたびに動く喉がなんとも艶めかしい。
これ以上見ていられなくなり、残りの湯飲みに注ぐことを再開した。

長門の分も注いだが、こっちには意識も寄越さず
一向に手に取る気配がない。初めに聞いておくべきだったか。

自分の分を飲み干してから飲んでしまおうか。
飲み頃になったお茶をすする。

む、茶葉が違うと勝手も少し変わるようだ。
部室のものとはまた風合いが違う。もう少し上手い淹れ方もあるだろう。

相変わらず部屋にはページをめくる音が木霊している。

229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 23:37:55.71 ID:Yxv6oOjb0

2杯目のお茶も飲み干してしまった。
再びの退屈が俺に襲い掛かる。

時間を早送りする装置か道具かあったら、
今の俺なら間違いなく飛びつくだろうな。

時間。

今やるべきことはとにかく一秒でも長く生存していること。
古泉とのやり取りを思い出す。

時間が最大の特効薬

これは失恋したときの言葉だったか。
そうだとしても、居間の俺たちに調度当てはまるんじゃないだろうか。

元の時間は居間どうなっているだろうか。

230 名前:へぇ[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 23:52:10.48 ID:Yxv6oOjb0

それを知る手段は今はない。
想像してみようかと思ったが、時間の消費法としてでも
相当無理があるだろうことに考えが至り、やめる。

代わりに、昔のことでも思い出そうか。

事の発端はハルヒに出会ったことだよな。

偶然同じ年齢で、偶然同じ高校に合格して、偶然同じクラスに割り当てられ、偶然前の席に当たった。
いや、古泉やらの話からすると、俺はハルヒの求めよってその地位にいたったのだろうか。
望んだことを叶えてしまう、というよりも想像したとおりに創造してしまう力。

俺がハルヒに望まれるとしたら、それは当然、4年前、つまり今いるこの時間での出来事が原由だ。
あの時ハルヒの前に現れたのはまさしくこの俺で、
そのことがハルヒに俺に対しての憧れ、ある種の崇拝を持たせた。

勿論、はっきりと俺のことを認識したわけではあるまい。

232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 00:23:57.66 ID:AFB0wpvL0

俺がハルヒの前の席についたからSOS団員として選ばれ、過去に行ったわけで、
俺が選ばれ過去に行ったから、ハルヒはジョン・スミスを求めたわけで、
ハルヒが求めたから、俺はハルヒの前の席に当てられたわけで。

なんだかこんがらがってきたぞ。
タイムパラドックスとかいうやつだったか?
いや、それは違うような・・・。
ああ、鶏が先か卵が先か、そんなやつだったか。


・・・・・・。
深く考えすぎか。
そもそも席の並びは苗字の都合によるものだ。
偶然に偶然が重なっただけ。

233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 00:44:00.74 ID:AFB0wpvL0

偶然 ・ ・ ・ 。

長門は偶然ハルヒの発動を見つけ、朝比奈さんは偶然未来にて選ばれて、古泉は偶然超能力を授かった。

この偶然。

もしもこの偶然に意味があるとしたら?

ハルヒがそう望んで、そうなった世界が既にこれだとしたら?

それは本当に偶然なのか・・・?
例えハルヒに自覚がなくとも、これが作為の結果だとしたら?

俺のこの名前も、古泉や長門の諸々も、その他全てにおいてのことも・・・。
そうあるべくしてそうあることなのか・・・?

・・・。

235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 00:54:17.92 ID:AFB0wpvL0

馬鹿馬鹿しい。
本当にそうなら俺は、この世に無数にある全てのことは、一体なんだというのだ。

仮にそうだとして、それを長門たちがわからないことなどないはずだ。
・・・断言できないが。

馬鹿馬鹿しい。

こんな考えは止めだ、止め。
何か別のことでも考えるか。



そう何か他に考えたりすることはないだろうかと頭を捻ったりしたのだが。
それは一向に頭から離れてくれなかった。

それすらも。ありとあらゆることが全て、ハルヒがいずれのときにか少しでも考えたことだとしたら。

全く、思春期の中学生かとばかりの感想に、いつものような頭であることを感じ、
少しだけ安心する。

236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 01:08:40.78 ID:AFB0wpvL0

佐々木「・・・どうしたんだい、キョン。さっきから難しい顔をしたりして」

そうか?そんなに俺は変な顔をしていたのか。

佐々木「いや、別に変な顔ではないよ。ただ、なにか思いつめたような顔をしているようだったね」

・・・。今どんな顔をしているかというのは、自分ではわからないどころか気がつかないもんだな。

佐々木「大丈夫かい?何か心配事でもあるのかな?」

心配事か?それはあるに決まっているだろ。そういうお前こそないのか?
今一体どんな状況だと思っているんだ。

佐々木「それはそうだね。でも、僕は余り怖いとは思っていないな。
     案外何とかなる、そんな気がするんだ」

ほーう。そりゃ肝っ玉が据わっていることで。
まあ、でも、確かになるようにしかならないことだしな、こればっかりは。

佐々木「うんうん、元気が出たようだね、なによりだよ」

237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 01:15:42.37 ID:AFB0wpvL0

なんだ、俺を元気付けようとしてくれていたのか。ありがたいことで。

佐々木「い、いや、そういう類の物ではないよ・・・。
     あ、そうだ。お茶の御代わりをもらえるかな」

何だ照れ隠しか、顔が赤いじゃないか。
そうからかってやろうかとも思ったが、あまりにも野暮ったいのでやめておいた。

黙って立ち上がり、キッチンに入る。
薬缶に水をいれ、コンロにかける。

佐々木。

ハルヒとはまた別の方向にだが、こいつも大概変わった奴だよな。
性格も考え方も、ほかではなかなかお目にかかれないだろうな。

そういえば、佐々木はこれまでどんな風に過ごしてきたのだろうか。

238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 01:21:08.31 ID:AFB0wpvL0

中学3年で初めて出会ったとき。
それから自転車の後ろに乗せて塾から帰っていたとき。

その前。
中学1年や2年のとき、そして、その前の時間で。

佐々木は一体どんな人間だったのだろうか。

橘やら何やらは、ハルヒの持つ変態パワーを同様に受け入れるかのせいのあった人間。

ふと思う。
ハルヒの力が発動したとされるとき、もしかして代わりに使っていたかもしれない佐々木は、
一体どんなのだっただろうか。

急に、気になりだす。
そう考えることが、思考を支配する。

261 名前:ただいまです[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 18:01:50.75 ID:AFB0wpvL0

何故今まで考えたことがなかったのだろうか。
4年前の佐々木を。

いや、考えたことはある。
以前にも一度そう思った。長門が何かを知っているのかもしれないと思い
尋ねたが、私にはわからないといわれ、九曜だかなんだかのしわざなのかと気に留めなかった。

もしも仮にさっき頭を支配した通りの世界が今だとしたら、
佐々木とは一体どういう存在だと言うのか。

262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 18:16:41.33 ID:AFB0wpvL0

今、この時間に九曜はいない。
長門に聞いてみるべきだろうか。

・・・なんともいえない恐怖感がある。

だが、俺は今か聞かなければならない気がする。

俺は曲がりなりにもハルヒに選ばれた存在で、
古泉が言うところの鍵であるのだから。


・・・いや、自意識過剰が過ぎるな。



いつの間にか先ほど頭から追い出そうとした考えに頭がいっぱいになっていた。

263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 18:31:15.01 ID:AFB0wpvL0

キョン「長門」

キッチンから呼びかける。

キョン「ちょっといいか?」

長門は無言で頷き、立ち上がり寄ってくる。
一瞬佐々木がこちらを向いたが、雰囲気を読み取ったのか、
すぐに本に向き直る。

沸騰する薬缶がその旨を告げる音を立てている。

コンロの火を止めながら、長門に尋ねる。

キョン「長門、頼みたいことがある」

長門「何」

キョン「佐々木の過去を知りたい。どうにかできないか?」

264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 18:39:43.17 ID:AFB0wpvL0

長門「・・・現在より前の時間帯の正確な情報は観測できない」

いや、正確なものでなくていい。今の世界における過去でいいんだ。

長門「わかった」

そういうなり目を閉じる長門。
急に心臓の鼓動が早くなってくる。

長門「 ・ ・ ・ 」

もしかしたら、佐々木は、

長門を待つ時間が無限のように感じられる。

長門「確認できない。何者かにブロックされている模様」

ふっと肩の力が抜ける。
なんだ。以前と同じ答えではないか。

267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 19:05:00.72 ID:AFB0wpvL0

長門「他には?」

あ、すまんな、もういいぞ。

長門は今に戻っていく。

しかし九曜がいなくても同じと言うことは、
もともと調べられないような設定だと言うのか?

長門自身がこうやってこの時間に来ていることを考えると
力が時間を越えて作用するとは考えにくい。

いや、それとも長門と同じように既にこの時間に九曜がいるのか。

わかったようで何もわからなかった。

もういいか。
なるようになるだろう。

そう設定された話だとしたらな。



269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 19:53:54.16 ID:AFB0wpvL0

湯飲みから立ち上る湯気。
くぁいたかみのすれる音。
黙々と本を読む二人。

傍から見れば追われているなど露とも思わないだろう。

それぐらいに穏やかなときだった。

このまま全てが終われば。

また変わらない毎日を過ごしてゆくのだろうか。

新しい麻に目を覚まし、
普段通りに通学して、眠気を催す授業を受け、
どこかのやかましい誰かさんに襟をつかまれ部室へ行き、
家に帰れば騒がしい誰かさんの相手をし、
そしてまあた新しい日を迎える。

270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 20:05:31.17 ID:AFB0wpvL0

そんな妄想をしていても意味はないか。

頭の中の空想をかき消す。
またもや暇が戻ってきた。
俺も本を借りようかと思ったが、長門のそばに積み重ねられている
それらの個々の厚さを見てやめることにした。

そうして時間を持て余していると、またもその考えが頭にやってくる。

佐々木・・・本当にもしかして、お前は・・・

271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 20:25:51.08 ID:AFB0wpvL0

考えたくないと思ってはいても、頭が勝手に話を広げてしまう。
眉間にしわが寄っているのがわかる。

一度頭を冷やしたほうがいいだろうか。

夜風に当たろうと思い、ベランダに向かう。


長門「待って」

窓まであとニ、三歩というところで長門に制される。

あ、すまん。一言かけてからの方が良かったか。

長門「違う。そっちは駄目」

どうした?

273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 20:37:15.08 ID:AFB0wpvL0

長門「窓の先に情報の改竄を感じる。
    近寄ってはいけないと判断」

・・・まさか、なんだったかが来たというのか?

長門「その可能性が高いと思われる。
    現時点では小規模な変化しか見らず
    他の個体の存在を感じられ・・・!!

話の途中で長門の表情が急に険しくなった。

長門「彼女を」

あ、ああ佐々木か。

長門「ここを離れる」

奴さんたちの急な来訪なのか。
それも、玄関ではないところからと洒落込むつもりのようだ。

274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 20:53:11.96 ID:AFB0wpvL0

長門「着いてきて」

ああわかった。佐々木、逃げるぞ。

佐々木「ん、厳しい状況になってきたのかな」

そのようだ。とにかく長門についていこう。

佐々木「わかった」


何だこれは。

佐々木「・・・」

玄関の外は普通にありえる万書のそれではなかった。
灰色のような何色でもないような、見覚えのあるそれ。

朝倉と対峙したときものとそっくりな空間が広がっている。

275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 21:19:41.04 ID:AFB0wpvL0

これは当然、奴らのやったことだろう。

キョン「長門、これはどうにかできそうか?」

朝倉のときのように出られない空間、
何もできないのが悔しいが、ここは長門に頼るほかはない。

長門「この状態を解除するのには少し時間がかかる。
    今はできない」

流石の長門でもそうそう容易くというわけにはいかないのか。

部屋からは窓の割れる音が響いてくる。

もう後ろには下がれない。

長門「・・・来た」

277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 21:27:20.73 ID:AFB0wpvL0

後ろだけではなかった。
前からも、黒い外套をまとったどこかの亡霊のようなヒトの形をしたものが迫ってくる。

朝倉のときのように何とかなるということはなさそうだ。

五つ見える影を見てそう思った。


長門「・・・こっち」

一瞬周囲をくるりと見回して長門が告げる。
俺の手をつかみ、反対の手を軽く振り上げ駆け出す。

ガラス以外にも何かが割れるような音を立ててエレベーターホールの窓が砕ける。

開け放たれたそこから長門が飛び出し、
手を握られた俺と、更に俺が手を握る佐々木もついて空に吸い込まれていく。

278 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 21:50:45.69 ID:AFB0wpvL0

予期せぬ長門の行動に頭がついていけず、
気がついたときには地面が目前に迫ってきていた。

思わず目を瞑ってしまったが、長門のおかげだろう
ハリウッド映画のワイヤーアクション張りの華麗な着地をしたようで
頭から地面にこんにちわということにはならなかった。

何事もなかったかのように俺の手を握ったまま長門が走り出す。

心臓が早鐘を打っている。

手が解かれないように長門のあとをしっかりとついていく。

何度か角を曲がったところで公園に出た。

中に入ったところで、長門が足を止める。

280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 22:03:14.05 ID:AFB0wpvL0

キョン「長門、さっきの黒い外套の奴らはお前のお仲間の何かだよな?」

こくんと長門が頷く。

長門「玄関の外に展開されていたのは同一座標上に描画処理された
    別空間。展開の解除には所要時間が大きいとして断念、
    対象の排除については数的かつ地形的に不利と推定。
    不可能としてとらなかった」

そう詳しく言われてもよくわからないが、とにかく逃げるのが一番良かったんだな?

また長門が頷く。

長門「一点において処理が不十分な箇所を発見。
    局所的な解除を実行した」

それがあの窓だったってことか。

三度目、長門が頷いた。

281 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 22:15:07.37 ID:AFB0wpvL0

そうか。長門、お前にはほんと助けてもらってばかりだな。ありがとう。

長門「逃げ切れたわけではない。接近を感じる」

確かに、そうだ。また走り回らないといけないか。
よし、呼吸もちょっと落ち着いたところだ。

佐々木「きょ、キョン。ちょっと、まってくれないか」


佐々木「キミや、長門さんは、大丈夫かも、知れないが、僕は、まだ」

あ・・・、すまん。

そうだ。佐々木と言えどもただの女子高生だ。
流石にあれだけ走ったのは堪えたか。

283 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 22:43:57.12 ID:AFB0wpvL0

キョン「長門、もうちょっと待ってくれないか」

長門「難しい。余り猶予はない」

キョン「だが、佐々木がすぐに動けそうもない」

長門「・・・、」


一瞬の沈黙。直後、何かに気がついたかのように長門が一方を見つめる。


長門「わかった。私が逆に前へ出る。彼女が落ち着いたら、
    あの建物を目印に走って」

あの目印・・・、学校か?

長門が頷く。

284 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 22:55:18.26 ID:AFB0wpvL0

わかった。が、長門、お前はどうするつもりだ?
さっき数的に難しいと言ってたじゃないか。
大丈夫なのか?

長門「・・・。大丈夫。私のこの体は所詮媒介に過ぎない」

・・・・・・。

長門「私の主な役目は涼宮ハルヒの観察。
    そして、この先では、貴方を守ることもそう。
    だから、私は構わない。
    時間がない。健闘を祈る」

俺が答えようとするまもなく、長門は元来た道を引き返していった。

ただ見ただけでは弱くもろそうな背中。
俺と佐々木は公園に残される。

佐々木「キョン・・・、ごめんね」

285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 23:00:36.30 ID:AFB0wpvL0

いや、お前は悪くない。悪くないはずだ。
もう、大丈夫か?

佐々木「ああ、息も整ったよ」

そうか。じゃあ、行こう。

長門とは逆の方向へ、走り出す。
長門が何に気がついたのかはわからないが、
きっと事態を大きく変えてくれるものだろう。

右に、左に、止まることなく駆けていく。
東の空がぼんやりと明るくなっている。

希望の光か、はたまた終わりの光か。

286 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 23:07:45.73 ID:AFB0wpvL0

学校がだいぶ大きくなってきた。
間も無く正面に出ると言うところであるが、
長門が託したと思しきものには出会わなかった。

・・・!
佐々木「キョン!」

それどころか、曲がろうとした最後の角から
俺たちの前に現れたのは黒い外套のやつだった。


迫ってくる。とっさに庇うように佐々木を抱きかかえる。

背中に大きな衝撃を感じ、直後塀に叩きつけられる。

キョン「佐々木!すまん、大丈夫か?」

佐々木「あ、うん、大丈夫、キョンは?」

287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 23:17:17.54 ID:AFB0wpvL0

大丈夫だ、何とか答える。

佐々木を背に隠れるようにしながら前を向く。

一瞬目が眩む。
外套の奴が、5体になっていた。

あのとき、窓から入ってきたのは2体、エレベーターホールで見かけたのが3体。
それ以外にいないとすれば、全員である。

長門は・・・!?

追ってきた奴らに大して逆に長門は打って出た。
その奴らが全員ここにいるとすれば。

長門は。

288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 23:22:05.03 ID:AFB0wpvL0

俺にできることは何もない。
無駄だとはわかりながらも奴らのうちの真正面にいるのを睨みつける。
奴らが寄ってくる。

佐々木をより自分に引き寄せる。

馬鹿にでもしているのか、足取りはゆっくりだ。
立ち止まり、こちらを見てくる。

最早どうしようもない距離だ。

一人が踏み込んでくる。
思わず目を瞑る。

鬼ごっこは、終わり。
何も考えられない。

289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 23:27:24.57 ID:AFB0wpvL0

佐々木は何を考えているだろうか。

目を閉じて少し経つ。そんなことを考えるほど時間があったのか。
体には何も感じられず、痛みもない。

恐る恐る目を開けると、そこには見知った制服を着た少女が立っていた。

キョン「なが・・・、と・・・?」

長門「間に合ってよかった」

長門がここにいる?さっき分かれてからどうなった?
大丈夫なのか・・・?

そこまで考えて気がつく。

眼鏡をかけていない。
元の時間の長門だ。

290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 23:38:13.86 ID:AFB0wpvL0

長門が無言で腕を振り上げる。
外套の奴らが5体ともいっぺんに砂のように細かく砕け、
風に巻かれるように消えていった。

長門「貴方たちを迎えに来た」

迎え、だと?

長門「重要な発見。
    事態打開の可能性がある」

ほんとか!それは一体・・・?

長門「とにかく、まずは4年後に戻る」

そうか、だが、どうやって?また凍結とか何かか?

「ながとさ〜ん、もう大丈夫ですかぁ〜?」

長門「問題ない」

291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 23:41:46.95 ID:AFB0wpvL0

キョン「朝比奈さん!?」

朝比奈「キョン君!無事でよかったぁ〜」

どうして朝比奈さんが・・・、もしかして長門をこの時間につれてきたのは朝比奈さん?

朝比奈「そうです、長門さんが何か見つけられたようで、
     それとキョン君たちを合わせるためにって・・・」

ということは、元の時間には朝比奈さんが?

長門「そう」

眼鏡をかけていない長門と、ニコニコと微笑む朝比奈さんに
安堵を覚える。

思わず頬が緩む。

292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 23:51:14.61 ID:AFB0wpvL0

朝比奈「じゃあキョン君佐々木さん、いきますよ」

時間を移動するのにはやはり慣れない。
体が大きく揺さぶられるような感覚にまた見舞われることを考えると、
少しだけ気分が重くなる。
だが、そんなふうに感じられるのはゆとりがあるからだろう。

身を硬くしてそれに備える。


そして、やっぱり気分が悪くなる。
これは宇宙飛行士の訓練に使えるんじゃないか?

そんなことを考える。

293 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/22(金) 23:55:48.31 ID:AFB0wpvL0

目が覚める。
最初に目に入ってきたのは、見慣れた部室の天井。

頭の後ろにやわらかさを覚える。
体を起こして返り見ると、それは長門の太ももだった。

古泉「起きられたようですね」

聞きなれた声。

ああ、帰ってきたぞ。

古泉「怪我が無いようで何よりです」

背中がちょっと痛いがな。

古泉「今度系列の病院を紹介しますよ」

・・・。相変わらずだな。

294 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/23(土) 00:00:45.35 ID:PslXfdvi0

それで、何がどうなっているんだ?
長門がどうにかなるかもというようなことをいっていたが。

長門「貴方があの時言ったことを後日再度確認してみた」

言っていた事・・・?

長門「彼女について」

彼女、・・・ああ、佐々木のことか?

長門が頷き、続ける。

長門「解析を繰り返したところ、ある事実を発見」

なんだ?

長門「彼女の過去は、存在しない」


・・・なんだって!?

295 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/23(土) 00:09:46.91 ID:PslXfdvi0

長門「また涼宮ハルヒも同様に、過去が存在しない」

ハルヒもだと?

長門「正確に言うと、過去というよりも存在そのものが存在しない」



古泉「つまりこういうことです。涼宮さんが世界を改変したとするその日、
    彼女と佐々木さんは誕生したのです。
    お二人とは更に全く別の、誰かによって」

古泉「この世界は正確にはその誰かが、作ったということです。
    そして、その人が思い描いたとおりのストーリーを辿っています」

どういうことだよ、それ。
俺が空想してそれよりももっとひどい話じゃないか。

296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/23(土) 00:15:00.22 ID:PslXfdvi0

全てがその誰かが思い描いた空想の世界だと?
この高校に入ったこと、奇妙な部活をはじめたこと、
今回の騒動、
そしてハルヒも、佐々木も、空想の産物だと?

ふざけるなよ、じゃあ俺たちは一体なんだっていうんだ。

長門「・・・・・・」

古泉「・・・・・・」

俺が今こう憤っているのも、長門がその過去に辿りついたのも、
そのほか全てが、誰かがそういう世界を望んだとおり、
そんなこと有り得るのか!

長門「断定はできないが、そうであると判断している」

297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/23(土) 00:21:28.22 ID:PslXfdvi0

古泉「その誰かはそれまでの世界に確かに退屈していたようで、
    何かの変化を求めていたようです。
    そこに偶々、本当に偶然に、神様のような力が与えられた。
    そして、その方は知らないうちに発動していた、
    こういう世界があればどんなものだろうと思いながら」

・・・・・・・。
全く、こんなに趣味の悪いことをする神様とやらの顔、
是非とも拝んでやりたいもんだ。

長門「彼女は既に満足していると思われる。
    今からは、そこへと回帰しなければならない」

古泉「長い夢の世界も、これで終わりです。
    目覚めは、必ず来るものですから」

・・・。そういえば佐々木は?戻ってきてからどうなった?

長門「彼女は、その鍵の一人」

はぁ?

298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/23(土) 00:27:11.46 ID:PslXfdvi0

古泉「涼宮さんと佐々木さんが、その方の分身なんです。
    この世界における、主人公として」

どうするんだ?

長門「二人の情報を結合し、元の本人を生み出す」

・・・そうか。

長門「ただ、一つ問題がある。もとの彼女の情報が足りない」

できないのか・・・?

長門「不可能ではない。どちらかを基礎としてその上に二人の情報をつなぎ組んでいけば問題ない」

じゃあ、問題というのは、

長門「どちらを基にするか、選ばなければならない」

300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/23(土) 00:37:52.37 ID:PslXfdvi0

ハルヒか、佐々木か、どちらかを選ぶ・・・。
それはもしかして俺がか?

長門が黙って頷く。

どうやら俺はまた、非常に判断のつきかねる選択を強いられるらしい。

キョン「なぁ、何かヒントはないのか・・・?
    どんな人間だったか、ハルヒや佐々木とどう関係があるのか」

古泉がいつもの顔で首を横に振る。

古泉「それが、本当に何もないんです。
    涼宮さんと佐々木さんについて、ですが
    どうやらお二人はそのお方の望んだある種のヒロイン像なのだそうです。
    つまり、こうだったら、こう有り得たかもしれないというキャラクター。
    もとのお方自身との関係はそれ以外にはわかりません」

古泉「ですが、もしかしたら、生み出されるといってもそのお方自身が
    分裂したものかもしれません。そうだとしたら、涼宮さんが
    もともとを受け継いだ部分が多いかもしれません。
    理想の結果だとしたら、それは逆になるでしょうが」

301 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/23(土) 00:41:43.65 ID:PslXfdvi0

これは参った。
過去に戻る前の選択よりも厳しいじゃないか。

どちらを選ぶか、選んだほうが新たに生まれ、選ばなかったほうが
その中に組み込まれる。

片方に死ねと言ってしまうような気分だ。

頭を抱える。

長門「貴方がどちらを選んでも、私はそれに異議を唱えないし、
    何に対しても悪いとは思わない」

古泉「お願いします。貴方が選ばれたヒーローなんです」

なんてことだ・・・。

302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/23(土) 00:43:30.60 ID:PslXfdvi0

――――

――



しばしの逡巡のあと、腹を括る。
そして、その名を告げる。

キョン
  「選ぶのは ―――

303 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/23(土) 00:47:45.97 ID:PslXfdvi0

長門「把握した」

古泉「わかりました」

返ってくる短い言葉。
もう何もすることはない。

目を閉じ、二人のことを思い返す。

出会ったこと、過ごしたこと、色々とある。



古泉「これで、また情報の拡散が発生して
    情報統合思念体も満足するでしょうね」

古泉がそういったのが最後に五感が受け止めたことだ。

ふわふわとした気分に包まれる。

304 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/23(土) 00:51:41.85 ID:PslXfdvi0

――――
   ―――
     ――
       ―


チャイムの音とともに、俺は授業から解放される。
教科担任と入れ替わりに教室に入ってきた担任の話も短く、
すぐに今日一日の拘束も終わりだ。

俺は足早に教室を出る。

向かう先はいつもと同じ。こじんまりとした部屋。

306 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/23(土) 01:00:58.53 ID:PslXfdvi0

変革も、情報の足りない中での作業だったためか、
色々と残っている点が多いようだ。

長門の話によると、二人が一つに合わさったときの
情報の噴出になんちゃら体は満足したようで、
長門自身は今は以前の世界と今の世界との係わり合いを調べることと、
当の彼女を観察することだそうだ。

朝比奈さんはやっぱり上級生としてこの学校にいて、
我らが団のマスコットとして健在ということであるものの、
まだ未来人がどうのこうのという話は聞かせてもらっていない。

古泉はやっぱり超能力者であるようだ。
しかしながらそれを発揮する場所がないのだと嘆いていた。
別に平和で何もないならいいのではと思うのだが。

307 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/23(土) 01:06:16.65 ID:PslXfdvi0

実はこの世界もまた、誰かの夢だったりするんじゃないだろうか。
時々そんなことを考えてしまう。
今のところそれの証拠は出ていないが。

漢文に胡蝶の夢だったか、似たような話があったか。

そうこうしているうちに目的地に着く。
部室の前。

ノブに手をかけたとき、ふと思う。

もし今から俺が中にいるだろう団長様を抱きしめ、
やさしく愛を語り、そっと口付けを交わしたら、
また世界がぐるぐると回って新しい何かが始まったりするのだろうか。




                   なんてな

308 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/23(土) 01:16:19.55 ID:PslXfdvi0

    おわり


エンド1のつもりだったのになんだかわけわからなくなった
その成れの果て

そもそも途中から長門の話になってるしハルヒ完全スルーだし佐々木空気化してるし
ほんと何やってたのかわかんね(^p^)

頭の中では場面が浮かんでいるのに
それを文字にすることの難しさがよくわかった

やっぱり物書きってすげぇって思った



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