長門「あーーーー!?」


メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:女子「碇君があのロボットのパイロットってホント?」シンジ「…」

ツイート

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:18:06.64 ID:VgpyJTvr0


店員「ですから、当店の買い物カゴを持って帰られると困りますんで……」

長門「なんやの!! うちが泥棒した言うんか!! あーーーー!?」

店員「そういうわけでは……」

長門「ほな警察呼び! 呼べや! 呼んだらええねん!!
   けーさつ! けぇーーーーさつを!!」

店員「こ、興奮なさらないでください……」

長門「客を泥棒呼ばわりして! あーーー!? はよう!! けーーーーさつ!!」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:18:51.23 ID:VgpyJTvr0

『まあまあ、落ち着いて落ち着いて。店員さんも』

長門「はぁーーーっ!? なんやのあんた!! けーさつか!?」

『いえいえ、ただの買い物客ですよ。すいませんね店員さん、この人連れていきますんで
許してあげてください』

店員「あ、はぁ……」

長門「ちょっと! なんやの!! うわーーー!! さらわれるーーっ!!
   人殺しーーーー!! 人殺しやーーー!! さらわれるーーーーーー!!」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:19:37.33 ID:VgpyJTvr0

『長門さん、大声を出すと注目を浴びますよ。どうか落ち着いてください』

長門「人殺しやーーー!! 助けてーーーー!! 男の人呼んでーーーー!!
   誰か男の人呼んでーーーーーっ!!」

『僕の顔をお忘れですか? 長門さん』

長門「うわーーー!! うわー……え……あんたもしかして……」

『長門さん、30年ぶりですね。古泉一樹です』

長門「……」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:20:39.11 ID:VgpyJTvr0

長門「こんなとこ入ってもうちはお金はらわれへんで」

古泉「もちろん僕の奢りですよ。コーヒーでよかったですか?」

長門「……焼き飯大盛りとコーヒーでええわ」

「ご注文はお決まりですか?」

古泉「すいません、コーヒーが二つと、チャーハン……はないんですね、
   エビピラフを大盛りで一つお願いします」

「かしこまりました。ごゆっくりどうぞ」

長門「……で、なんやの……うちを笑いにきたんか?」

古泉「いいえ、そんなつもりは毛頭ありません。久しぶりに長門さんに合いたくなったもので」

長門「落ちぶれたおもってわらっとるんやろ……あーーーーー!?」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:21:45.88 ID:VgpyJTvr0

クスクス ナニアレー

長門「何わろうとるんや!! 文句あんねやったらドツキ倒すで!! あーーーー!?」

古泉「長門さん、どうか落ち着いて。……すいませんご迷惑をおかけしまして」

長門「あーーーー!! もう帰るわ!!」

古泉「長門さん、これを。ほんの気持ちです」

長門「あーーー!? なに……まあ、ええわ……」

古泉「その一万円はここに来ていただいた手間賃です」

長門「後から返せいうても返さへんで」

古泉「もちろん差し上げます。長門さんにお話を聞かせていただけるなら
   あと10万円、どうです?」

長門「じゅ……ほんまやろな!?」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:22:50.56 ID:VgpyJTvr0

古泉「ええ、もちろん」

長門「せやけど、あんたに話す事なんてなんもあらへんで」

古泉「長門さんの、これまでの人生を語っていただくだけでいいんですよ。
   簡単でしょう?」

長門「……人生て……やっぱりあんたうちを笑いにきたんか!! あーーーー!?」

古泉「決してそんなつもりはありませんよ。SOS団の皆さんの消息を知りたくなった、それだけです」

長門「……」

古泉「お聞かせ願えませんか?」

長門「……20万や。前金やで」


12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:24:26.75 ID:VgpyJTvr0

古泉「20万、いいでしょう。前金で10万円、全て聞いたあとにもう10万円ということで」

長門「……まあ、ええわ。んで何話したらええんや? うちが生まれた時からか?」

古泉「それはそれで実に興味深い話ですが、またの機会に。僕が聞きたいのは、
   長門さんが『人間になった』時からの事です」

長門「……あの時か」

古泉「ええ、お願いします」

長門「……」


--------------------------------------

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:25:53.47 ID:VgpyJTvr0

キョン「え……? 長門が普通の人間になっただって?」

長門「そう」

キョン「なんでまた……そんなことに」

長門「あなたが……」

キョン「……俺が?」

長門「あなたが、涼宮ハルヒと交際しだしたから」

キョン「ああ……それでハルヒの能力とやらも消えたんだったな。
    でも何でお前まで?」

長門「それは不明。情報統合思念体とのコンタクトも不可」

キョン「親玉と連絡とれないのか……そうだ、喜緑さんも宇宙人じゃなかったか?
    あの人に相談してみたらどうだ」


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:27:48.19 ID:VgpyJTvr0

長門「喜緑江美里は消息不明」

キョン「不明っておい……どうなっちまったんだ?」

長門「……わからない」

キョン「むう……ま、まあ喜緑さんは心配だが、お前が普通の人間になったなら、
    これからは変な争いだの事件だのに巻き込まれずに済んで、いいんじゃないか?」

長門「それは……でも」

キョン「でも……なんだ?」

長門「いざという時に、あなたを守れない」

キョン「ハルヒもおかしな能力を使う事もないだろうし、いざって時も
    来ないと思うぜ。気持ちは嬉しいけどよ。ありがとな」

長門「……」

キョン「……と、ハルヒからメールだ。悪いな長門、ちょっと行ってくるわ」

長門「わかった」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:28:39.11 ID:VgpyJTvr0

キョン「あ、何かあったら言ってくれよな。力になるぜ」

長門「わかった……」

キョン「じゃあまたな」

長門「……」

翌日、部室

長門「……」

古泉「おや、長門さんだけですか」

長門「そう」

古泉「……」

長門「……」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:29:37.15 ID:VgpyJTvr0

みくる「こんにちわぁ〜おくれちゃって……」

古泉「どうも朝比奈さん」

みくる「あれ……キョンくんと涼宮さんは今日も来てないんですか?」

古泉「そのようです。また二人で遊びにいってるんでしょうね」

みくる「……もう、SOS団も終わりなのかなぁ……」

古泉「涼宮さんはSOS団に興味を無くしているようですし、我々の任務も
   事実上の終了ですからね。閉鎖空間は起こらない、僕の超能力も消えてしまいましたし、
   涼宮さんを監視する必要も、もうありませんからね」

みくる「……なんだか、寂しいですね」

古泉「同感です」

長門「……」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:31:03.67 ID:VgpyJTvr0

三日後、部室

長門「……」

みくる「こんにちわ……」

長門「……」

みくる「え、ええと、長門さん……あたし……」

長門「……」

みくる「未来に帰る事になりました……」

長門「そう」

みくる「色々と迷惑かけちゃって……その、ごめんなさいです」

長門「いい」

みくる「じゃあ……お元気で」

長門「さようなら」


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:32:49.94 ID:VgpyJTvr0

長門「……」

古泉「どうも」

長門「……」

古泉「そこで朝比奈さんと会いました。未来へ帰られるそうで……
   実に……寂しいですね」

長門「……」

古泉「僕も、転校する事になりまして」

長門「そう」

古泉「長門さんには度々お世話になりました。ありがとうございます」

長門「そう」

古泉「どうか、お達者で」

長門「さようなら」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:34:08.26 ID:VgpyJTvr0

三日後、部室

長門「……」

キョン「あれ? 開いてる」

長門「……」

キョン「って、長門!? なんで居るんだ」

長門「……私は、文芸部員だから」

キョン「ああ、そうだったな……でも一人で寂しくないか?」

長門「……別に」

キョン「そ、そうか。ならいいんだが……。そうそう、ハルヒが部室にペンを置き忘れたそうでな、
    取りにきたんだ。長門、知らないか?」

長門「知らない」

キョン「そうか。以前のお前なら一発で場所ぐらいわかったろうになぁ。んじゃま、ちょっと
    探させてもらうぜ」

長門「どうぞ」

キョン「ったく、なんで俺が探さなきゃいけないんだ……」

長門「……」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:36:38.17 ID:VgpyJTvr0

キョン「この中……にはないか」

長門「……」

キョン「ここか? お……あったあった、これだ。
    長門、見つかったから帰るわ」

長門「……もう」

キョン「ん? どうした」

長門「もう、来ない?」

キョン「え?」

長門「もう……部室に来ない?」

キョン「それは……ハルヒ次第だな。あいつ、最近は部活のぶの字も口に出さんし」

長門「そう……」

キョン「ま、まあたまには来るさ。じゃあな、長門」

長門「……」


24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:38:53.48 ID:VgpyJTvr0



数日後、長門のマンション。

管理人「ああ、長門さん」

長門「……」

管理人「今月分の管理費と修繕積立費。引き落としできなかったんだけど
    手渡しでもらっておこうかい」

長門「……少し、待ってほしい」

管理人「なるべく遅れないように頼むよ」

長門「……」

長門「(手紙がきている……)

長門「(電気代と携帯代の請求書……)」

長門「(払えない……)」

長門「……」

長門「(まあいい。食事を作ろう……)」

長門「(米が……残り少ない)」

長門「(困った……)」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:40:50.33 ID:VgpyJTvr0





数日後、学校

長門「……」

キョン「よっ、長門」

長門「……」

キョン「どうした……? 顔色が悪いぞ」

長門「……」フラッ

バタン

キョン「長門? おい、長門!?」




キョン「……メシ食ってなかったのかよ。もっと早く相談してくれよ。
    仲間だろう?」

長門「すまない」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:41:39.46 ID:VgpyJTvr0

キョン「俺もあんまり金はないが……5000円ぐらいならやるよ。
    これでしばらく食い繋いでくれよな」

長門「……感謝する」

キョン「しっかし情報統合思念体とやらも薄情なもんだな。
    当分困らないぐらいの金を置いてから消えろっての」

長門「……わからない」

キョン「ん? なにがだ」

長門「これから……どうしたらいいのかわからない」

キョン「長門……」

長門「生活すること、生きていくということが、私には難しい……」

キョン「難しいって……そ、そうだ。バイトを始めて見たらどうだ?」

長門「……働く自信がない」

キョン「大丈夫だって、俺もバイト探し協力するからよ」

長門「……」


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:44:30.69 ID:VgpyJTvr0

牛丼屋店長「長門さんていうのね。あなたアルバイトは初めて?」

長門「……そう」

牛丼屋店長「え? なんだって聞こえない。アルバイトは は・じ・め・て・で・す・か」

長門「……そう」

牛丼屋店長「……あのねえ。あなたやる気あるの?」

長門「ある……」

牛丼屋店長「……はい、もう結構です。採用の場合は連絡しますんで。
      次の人入ってきてー!」

長門「……」

キョン「また面接落ちちゃったのか?」

長門「そう……」

キョン「メシはちゃんと食えてるか?」

長門「そろそろ……なくなる」

キョン「これでバイト見つかるまでなんとか凌いでくれ、
    三千円しかないけどよ」

長門「すまない……」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:47:09.29 ID:VgpyJTvr0





スーパー店長「長門有希さん、高校二年生ね」

長門「……そう」

スーパー店長「うち、食べ物扱う店なのは知ってるよね」

長門「知っている」

スーパー店長「君さあ、もうちょっと清潔にできない?
       髪はふけだらけだし爪の間真っ黒だし、それになんか匂うよ?」

長門「水道が……」

スーパー店長「なに? 声が小さくて聞こえない」

長門「……」

スーパー店長「まあいいや。ちゃんと仕事始まる日までに清潔にしてきてよ。
       うち人でが足りなくて大変だから、明後日にはきてほしいんだけど」

長門「わかった……」


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:48:02.41 ID:VgpyJTvr0





キョンの家

キョン「おや、どうした長門」

長門「……アルバイトが見つかった」

キョン「そりゃあよかったな。おめでとう!」

長門「それで……」

キョン「どうした?」

長門「お風呂を……貸して欲しい」

キョン「フロ……? あいや、今ちょっとそれはマズイんだが……」

ハルヒ「キョン−! 客って誰よー?」

キョン「あ、えと、宅配便だ! すぐ戻る!」

長門「……」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:48:59.01 ID:VgpyJTvr0

キョン「ハルヒの奴、付き合いだしてからすげえ嫉妬深くてな……
    そ、そういうわけで……あこれ、銭湯代ほら。
    ……すまんな」

長門「いい……ありがとう」

ハルヒ「ちょっと遅いわよ! まさか浮気じゃないでしょうね!」

キョン「い、今もどる! じゃあな、長門」

長門「……」


数日後、長門の働くスーパー

店長「長門くん」

長門「……」

店長「長門くん!」

長門「なに」

店長「なに、じゃないよ。返事ははいでしょ!
   君ねえ、もっとてきぱき動けないの? パートのおばさん達見習いなよ。君若いんだからさ」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:50:36.19 ID:VgpyJTvr0

長門「ごめんなさい」

店長「それとお客さんからクレームきてるよ。愛想悪いって。
   客商売なんだよ、わかってる?」

長門「ごめんなさい……」

店長「これからはもっと元気よくしてよ! じゃ今日はもうあがっていいよ。
   お疲れさん」

長門「わかっ……はい」

店長「あ、廃棄するお惣菜持ってかえっていいよ」

長門「え……」

店長「長門さん、貧乏してるんでしょ」

長門「はい……」

店長「ちゃんと食べて元気よく働いてもらわないと困るからさ」

長門「ありがとう……」

店長「じゃあまた明日頑張ってね」

長門「ありがとう……」

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:51:19.18 ID:VgpyJTvr0

長門「……」ゴソゴソ

長門「(チキン南蛮……)」ゴソゴソ

長門「(肉じゃがもある……)」ゴソゴソ

パートA「ちょっとあなた、何勝手に持って帰ろうとしてんの!」

長門「え……」

パートB「仕事もできない癖に……最近の若い子ってあつかましいわねえ」

長門「店長が……」

パートA「これあたしらが持って帰るから。長門さんはこっち」

長門「……あげ玉だけ?」

パートB「だけ? だって。図々しいにもほどがあるわよねえ」

パートA「ほんと、親の顔が見てみたいわねえ」

長門「……」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:52:21.24 ID:VgpyJTvr0

長門のマンション

管理人「長門さん、長門さん」

長門「……」

管理人「管理費と修繕積立費、まだですかいのう」

長門「もう少し……待って欲しい、お願い」

管理人「しょうがないですなあ。できるだけ早く頼みますよ」

長門「……」

長門「(疲れた……)」

長門「(食べるものが……あげ玉しかない)」

長門「……」カリカリ

長門「……」カリカリ

長門「……」カリ…

長門「(もうない……)」

長門「(おなか……すいた)」


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:53:33.47 ID:VgpyJTvr0

長門「(公園で水を飲もう……)」

長門「……」テクテク

長門「……」テクテク

長門「(これは……)」

"100万円まで即融資可能! 今すぐお電話を! 090−xxxxーxxxx"





ヤ「あのねえ、お嬢ちゃん。未成年にはお金かせへんねん」

長門「……」

ヤ「どうしても貸して欲しかったら担保もってき。もっとるわけないけどな」

長門「そう……」

ヤ「ほなとっとと帰ってや」

長門「……マンションは、担保になる……?」

ヤ「は、マンション?」


39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:54:15.15 ID:VgpyJTvr0


ヤ「ほな、そこに拇印でええから押してや」

長門「わかった」

ヤ「よし、これで契約完了や。ほなこれ4万」

長門「え……100万円ではないの」

ヤ「おどれアホちゃうか? どこのどいつが未成年に100万も貸すねん。
  特別サービスで5万、金利引いて4万や。あ、もう契約したから取り消しは無しやで」

長門「わかった」

ヤ「ほな、一ヶ月後に返しにきてや」

長門「給料が入れば返済する」

ヤ「(くく……アホが)」


一ヶ月後

店長「はいこれ、お給料」

長門「ありがとう……」

店長「仕事も慣れてきたみたいだし、これからもその調子で頼むよ」

長門「はい

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:55:03.83 ID:VgpyJTvr0

長門「(11万8千円……)」

長門「(5万円返しても暮らしていける)」

長門「……」グスッ

長門「(……?)」ポロポロ

長門「(これが……涙)」ポロポロ

長門「……」




長門「(たしか……ここがお金を借りたところ)」

長門「(あれ……)」

長門「(人の気配がない)」

長門「(鍵がかかっている……)」

長門「(困った……)」

長門「(また……明日くる)」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/12(月) 23:56:51.12 ID:VgpyJTvr0

翌日、長門のマンション

ドンドンドン! ドンドンドン!

ヤ「おら! 開けんかいカス!」

長門「……昨日お金を返せなかった。今、もってくる」

ヤ「あ? もう遅いで」

長門「遅い……とは」

ヤ「契約書よう見んかい! 一日でも返済が遅れたら担保で弁済しますと書いてあるやろ!!」

長門「どういうこと?」

ヤ「ここはお前の家やなくなったんじゃ! さっさと出ていかんかい!」

長門「……」





長門「(家が……なくなった)」

長門「(家が……)」

長門「……」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:01:17.18 ID:YQoSmhqb0

キョンの家

キョン「な……マンションを盗られたってお前……」

長門「もう……どうしたらいいかわからない」

キョン「誰か……その、頼れる奴はいないのか?」

長門「あなたしか、いない……」

キョン「俺……って言われても……な……」

長門「あなたしか……あなたしか……」ポロポロ

ハルヒ「ちょっとキョン! 遅……え、有希」

キョン「あ、これはだな……」

ハルヒ「しょっちゅうキョンにあいにきてたのは、あんただったのね」

長門「……」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:02:03.57 ID:YQoSmhqb0

キョン「聞いてくれ、ハルヒ。長門は今……」

ハルヒ「あんた、キョンの事が好きなんでしょ」

長門「……」

ハルヒ「前から思ってたわよ。そうやってキャラ作ってキョンに色目使ってるなって。
    で、何しにきたの? キョンは渡さないわよ」

キョン「ちょ、ハルヒ。話を聞けって」

長門「ごめんなさい」

キョン「長門、謝ることは……」

長門「ごめんなさい。もう来ない……」

ハルヒ「フン。それが賢明よ」

キョン「お、おい長門」

長門「……」タタタタ…

キョン「待ってくれ、長門!」ダッ

ハルヒ「キョン! どこいくのよ!!」


50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:03:18.16 ID:YQoSmhqb0

キョン「長門!」

長門「……」

キョン「長門……俺」

長門「(あなたが……あなただけが……)」

キョン「その……」

長門「(あなただけが……)」ポロポロ

キョン「これぐらいしか思い浮かばないんだが……役所に行って
    生活保護を申請してきたらどうだ?」

長門「……」

キョン「きっと役所にいけばなんとかなるさ、な?」

長門「そう……」

キョン「ま、またな!」

長門「……」


52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:04:26.74 ID:YQoSmhqb0

役所

長門「なぜ……」

役人「あなた住所が無いんですよね。なので保護は受けられません。それに月に12万円も
   収入があるでしょう。それで十分暮らせますよね?漫画喫茶とかビジネスホテルに
   泊まればいいんじゃないですか?」

長門「……」

役人「じゃあそういうことですので」

ヤ「すんまへーん、今月の保護費貰いにきましたで〜」

役人「あ、金田さん。まだお仕事見つからないんですか?」

ヤ「不況でっさかいあきまへんわ〜。努力しとるんやけどの〜」

長門「あなたは……」

ヤ「あ……誰じゃお前!! 何メンチきっとんねん! あーー!?」

長門「……」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:05:58.32 ID:YQoSmhqb0

長門「……」トボトボ

長門「(寝るところがない……)」

長門「(ビジネスホテル……)」

長門「(一泊4500円……)」

長門「(漫画喫茶という場所を探してみる……」





店員「オールナイトコースでよろしかったですか」

長門「そう」

店員「では24番のお席になります。ドリンクバーはあちらですので。
   ごゆっくりどうぞ」


57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:07:04.97 ID:YQoSmhqb0

長門「……」

長門「(ここが漫画喫茶……)」

長門「(本がたくさんある……)」

長門「(ジュースも飲み放題……)」

長門「(ここは……いいところ)」

キモオタ「フヒヒ フヒヒヒ フヒヒヒヒ」カタカタカタ

長門「(パソコンも使える……)」

キモオタ「フヒヒヒ フヒ……あ……」

長門「……」

キモヲタ「ハァ……ハァ……」

長門「(あの男性にすごく見られている……)」

キモヲタ「ハァ……ハァ……」

長門「(害はないようなので無視しておく)」

59 名前:ここから前回の続き[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:08:09.92 ID:YQoSmhqb0

数日後。長門の働くスーパー

店長「お疲れさん、もうあがっていいよ」

長門「はい」

長門「……」

長門「(更衣室……誰かいる)」

ギィ バタン

パートA「……あ、あら長門さん」

長門「……」

パートA「今日、余ってるお惣菜持ってかえっていいわよ!
    好きなだけ、遠慮せずに!」

長門「本当……?」

パートA「も、もちろんよ! 沢山あるからなんか袋に入れてもって帰りなさい!」

長門「ありがとう……」

63 名前:ここから前回の続き[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:09:08.68 ID:YQoSmhqb0

ギィ バタン

長門「(今日は……ごちそう)」

長門「(嬉しい)」

翌日

店長「な、長門くん! 君たいへんな事してくれたね!」

長門「え……?」

パートA「ちょっとあんた! 財布返してよ!」

パートB「証拠あるんだから言い逃れできないわよ!」

長門「財布……? 知らない……」

店長「昨日、長門さんが一番最初にあがったよね……」

長門「そう」

店長「更衣室からみんなの財布やら貴重品が盗まれててね……」


64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:10:15.13 ID:YQoSmhqb0

パートB「防犯カメラにあんたが紙袋抱えて帰るとこが映ってんのよ!
   来たときはそんなもん持ってきてなかったでしょ! おかしいじゃない!!」

長門「それは……お惣菜。持ってかえっていいってAさんが……」

パートA「はぁ? そんな事言ってないわよ! あんた他人に罪なすつけようっての!?
   昨日のお惣菜は全部廃棄したわよ!」

長門「でも……持ってかえっていいって……」

パートB「長門さんお金に困ってたのはみんな知ってるわよ! 盗む人なんてあんたしかいないのよ!」

店長「警察沙汰にはしたくないから、正直に言ってくれんかな」

長門「知らない……私じゃない……」

パートA「この様子じゃあずっとシラ切るんじゃないですか? もう、いいです、お金は諦めるんで
   せめて処分だけでもしてください店長」

パートB「そうよ! 泥棒と同じ所で働きたくないわよ!」

店長「……長門くん、そういうわけだからもう来なくていい」

長門「……」

店長「給料は被害にあったパートの人たちに弁償するからね」

長門「……」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:11:02.49 ID:YQoSmhqb0

その後、漫画喫茶

長門「(なぜ……こんなことに……)」

長門「……」ポロポロ

長門「(これから……どうすれば……)」ポロポロ

キモヲタ「ハァ……ハァ……ね、ね、ねえ……」

長門「……」

キモヲタ「なんで……ハァ……泣いてるの? フヒ、フヒ……」

長門「……」

キモヲタ「こ、困ってるなら助け、助けるよ、フヒヒ……」

長門「……」

キモヲタ「ちっ……」

長門「(あの男性は、なに……)」


68 名前:>>66 Exactry(その通りでございます)[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:12:32.02 ID:YQoSmhqb0

数日後

長門「(……もう、お金が無い……)」

長門「(この食パンを食べたら……食べるものが……)」

長門「……」

店員「お待たせしました、ミートスパゲティになります」

長門「え……」

店員「ごゆっくりどうぞ」

長門「頼んでいない」

店員「ああ、あちらのお客様からです」

長門「あちらの……?」

キモヲタ「フヒヒ……フヒ……遠慮はいらないよ……フヒヒ……」

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:13:50.23 ID:YQoSmhqb0

長門「……」

キモヲタ「食べて……ね? フヒヒヒッ」

長門「ありがとう……」

長門「……」パク

長門「(おいしい)」ズズズズッ

長門「(おいしい、おいしい)」ズズズズズズズ

長門「(おいしい……)」ズズズ…ズ

キモヲタ「お、お腹減ってたんだね……お、おかわり、いる?」

長門「いる……」

キモヲタ「フヒヒ……フヒ……ねえ、お金……ないんでしょ?」

長門「……ない」


70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:14:33.87 ID:YQoSmhqb0

キモヲタ「ここの支払い……どど、どうするの?」

長門「……」

キモヲタ「払えないんでしょ……フヒヒ……」

長門「……」

キモヲタ「お、俺が払ってあげ、あげるよ」

長門「……」

キモヲタ「き、君、家出してるんでしょ」

長門「家出? ……違う」

キモヲタ「じゃあ、なな、なんでずっとここにいんの?」

長門「家……がない」

キモヲタ「それって、家出、でしょ……フヒヒ……俺が、面倒みてあげる……」

長門「でも……」

キモヲタ「いいからいいから……フヒヒ、フヒ……満喫で家出少女ナンパできるってVIPで見たけど
   マジだったんだな……満喫生活した甲斐があったぜ。フヒヒ……」

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:15:53.47 ID:YQoSmhqb0




キモヲタ「店員に言って席変えてもらったぞ……フヒヒ」

長門「席……変え?」

キモヲタ「俺が一緒にいて……君を……守らないと……フヒヒ」

店員「どうぞ、こちらのカップルシートになります」

キモヲタ「ほ、ほら、移動するよ」

長門「(カップル……シート?)」

キモヲタ「こ、ここでずっと一緒だよ……フヒヒ……」

長門「(なぜ、密着してくるの……)」

キモヲタ「ね、君、レイたんみたいで可愛いね……」

長門「私は、いい」

キモヲタ「え?」

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:17:24.93 ID:YQoSmhqb0

長門「元の場所がいい」

キモヲタ「……」

長門「戻る」

キモヲタ「おい……」

長門「戻る」

キモヲタ「じゃあ金返せ」

長門「……」

キモヲタ「も、持ってないんだ……ろうが……」

長門「ない……」

キモヲタ「じゃ、じゃあ文句言うな」

長門「……」


80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:19:46.62 ID:YQoSmhqb0

キモヲタ「フヒ……フッヒッヒヒ……」モミモミ

長門「……」

キモヲタ「ハァ……ハァ……ウヒヒヒッ」モミモミ

長門「やめて……」

キモヲタ「フー……なんだって?」

長門「体を触るのは……やめて……」

キモヲタ「いいじゃん……誰が面倒見てると思ってんの……
   このままホームレスになり、なるか? そのまえに、
   金、返せよな……」

長門「……」

キモヲタ「フヒ……生で乳揉ませてくれよな……」

長門「やめて……手を入れないで……」

キモヲタ「ハァハァ……あったけえ……乳首立ってないじゃん。
   気持ちよくないの……」

長門「やめて……」ポロポロ


82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:21:54.20 ID:YQoSmhqb0

キモヲタ「泣き顔も可愛いよ……」ベロ

長門「……!」

キモヲタ「ちゅぱ……口あけてよ、ベロはいんないじゃん」

長門「やめ……んん……ん……」

キモヲタ「唾液交換しよっか……フヒヒ……じゅる……レロレロ」

長門「う……ん……んぐ……」

キモヲタ「有希たんの唾液おいしいよ……ゴクッ 俺のも飲んで」

長門「(いや……いや……いや……)」ポロポロ

キモヲタ「じゅ……じゅるじゅる……」

長門「(こんなこと……彼以外と……いや……いや……うう……)」

キモヲタ「だ……だめだ……もうちんこ破裂しそうだよ……
   ふぇ、ふぇ、フェラしてくれよ……」

長門「(フェラ……? きっと、とても嫌な事……)」

キモヲタ「ほ、ほら、その可愛い口でしゃぶってよ……ほら……」ポロン

長門「(この……とても小さくて汚いドリル状のものを……口に……?)
   それは……いや……」

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:23:14.92 ID:YQoSmhqb0

キモヲタ「咥えろって、ほら!」グイッ

長門「いや……う……」

キモヲタ「ああああっ……やっべ……やっべ……あーーーー!!」

長門「(悪臭が……うう……)」

キモヲタ「あっ…………」ドピュッ ドクドク

長門「(いや……いや……助けて……こんなのは……いや……)」ポロポロ

キモヲタ「飲んで! 飲んでくれっ」

長門「う……う……」

キモヲタ「飲めよ……」

長門「う……ゴクッ」

キモヲタ「フヒヒ……美味しかった……?」

長門「グスッ……グスッ……」

キモオタ「有希たんは俺んちに連れていって、い、いっぱい愛してあげるからね……フヒヒ……」

長門「(たすけ……て……)」


91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:24:52.25 ID:YQoSmhqb0

キモヲタの家

キモヲタ「ただいま」

母「ちょっとたかし! その女の子どういう……」

キモヲタ「うっせーな、彼女だよ」

母「彼女って……、あんたもしかして何か悪いこと……」

キモヲタ「ああ!? 俺に彼女がいたらいけねーのかよ! ぶっ殺すぞババア!!」

母「で、でも……ちょっとあなた、本当にたかしの彼女なのね?」

長門「……(違う……)」



94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:25:39.57 ID:YQoSmhqb0

キモヲタ「彼女つってんだろ!! マジで殺すぞ!! おい有希いくぞ」

長門「(でも……言うことをきかないと……怖い)……彼女」

母「本当に……? 脅されたりしてるん……きゃっ!!」

キモヲタ「殺すぞババア!!」

母「たかし、乱暴はやめて……」

長門「……」

キモヲタ「ほら二階あがるぞ有希。おいババア、今日からメシは二人分もってこいよ!!」

長門「ごめんなさい……ごめんなさい……」




キモヲタ「ここが俺たちの愛の巣な」

長門「(凄く散らかっている……)」

キモヲタ「服脱いで」

長門「え……」

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:26:26.80 ID:YQoSmhqb0


キモヲタ「脱げって」ビリビリ

長門「やめて……いや……」

キモヲタ「裸じゃ逃げられねーだろ。フヒヒ……」

長門「いや……服を返して……」

バチン!

長門「いた……い」

キモヲタ「俺の言う事聞いたら返してやってもいいけど」

長門「なにを……するの……いや……」

キモヲタ「初めての相手がこんな美少女とか最高だろ常考。
   30年間童貞守ってきてよかったわ」

長門「いや……いや……」


97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:27:18.07 ID:YQoSmhqb0

キモヲタ「あーいいっ さいこおおおっ!」

ギシギシ

長門「……」

ギシギシ

キモヲタ「はあ、はあ、中に出すよ、有希……」

ギシギシ

長門「やめて……お願い……」

キモヲタ「俺の熱いの全部受け止めてくれ!!」

ギシギシギシギシギシギシギシ

長門「やめて、お願い、やめて、出さないで、やめて、やめて!」

キモヲタ「はぁ、はぁ、はぁ、ああっ! あーーーーーっ!!」

長門「やめて! やめて!! いや!! いやああああああ!!」

ドピュッ ドピュピュ

キモヲタ「あー……よかったよ……有希……」

長門「……い……や……」


103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:28:41.45 ID:YQoSmhqb0

数ヶ月後

キモヲタ「ただいま」

長門「……」

キモヲタ「おい」ドガッ!

長門「痛い……ぶたないで……」

キモヲタ「お帰りなさいませ御主人様、だろうが。ああ?」

長門「おかえり……なさいませ……ごしゅじんさま」

キモヲタ「それでいーんだよ。……なあ、有希。お前お腹出てきてんじゃん。
   太ってキモくなったら追い出すからな、おい」

長門「太ってない……そんなに食べさせて……食べて……ない」

キモヲタ「お前まさか妊娠してんじゃねーだろな」

長門「妊娠……」

キモヲタ「ったく、ょぅι゛ょ以外のガキとかきれーなんだよ俺は。
   おーいババア! ちょっと妊娠検査薬買ってこいや!」

母「検査薬って……あんた、まさか有希さん妊娠させたんじゃないでしょうね!」

キモヲタ「うっせーよ! とっとと買ってこいや!」

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:30:01.37 ID:YQoSmhqb0





キモヲタ「で、どうだった」

長門「……反応した」

キモヲタ「どれ、見せてみろよ。……うわ、マジだ」

長門「……」

キモヲタ「おろせよ。ガキとかいらねーし」

長門「……どうすればいいの」

キモヲタ「おいババア! ちょっと金いっから出せや!」

母「たかし……うちはもうあんまりお金ないのよ……
  お父さんが残してくれた貯金もあんたが散財するから……
  あんたが働いてくれたら、こんなことには……」

キモヲタ「黙れ殺すぞ! いいから出せや! って、中絶っていくらいるんだ……?
   あーたぶん30万ぐらい」

母「30万? そ、そんなお金ないわよ!」


108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:31:26.99 ID:YQoSmhqb0

キモヲタ「あるんだろ! 隠してねーでだせや!」

母「ほんとよ……ほんとに……銀行には5万円しかないし……」

キモヲタ「あー!? 5万だと? ちっ……夏コミ用に残しておかねーとな……
   おい有希、腹殴ったら胎児死ぬんじゃね?」

長門「そんなの……いや……」

キモヲタ「じゃあどうすんだよ!! 産まれたら誰が育てんだよ!!」

長門「私が育てる……」

バチン!

キモヲタ「てめー生活力0のニートの分際で育てられるわけねえだろ!!
   身の程知れや!」

長門「じゃあ……働く……」

キモヲタ「駄目だ。外に出したら逃げるだろお前」

長門「……」

キモヲタ「バットで腹思いっきり殴ったらガキ死ぬって、我慢しろよ」

長門「それはいや……」

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:32:53.95 ID:YQoSmhqb0

キモヲタ「おいババア! 有希の体押さえつけてくれ! こいつの腹んなかのガキ殺すから!」

母「あんたまさか……有希さん妊娠してるの……?」

キモヲタ「おろす金ねーなら無理やり中絶させるしかねーだろ、おおいババア、はやくしろ!」

母「あんた……なんてことを……」

キモヲタ「ババア! 早くしねーとてめーからぶん殴るぞ!!」

母「あんた……あんた……いい加減にしないと警察呼ぶよ!」

ドゴォ!

母「が……」

キモヲタ「警察がなんだって? おいババア! ふざけんな!」

ドガッ! ドガッ! プシャー

長門「あ……ああ……」

キモヲタ「ぶっ殺すぞ!! おい!! 殺すぞ!!」

ドガッ! ドガッ! ドガッ!

長門「(殺される……ここにいたら殺される……)」

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:35:59.15 ID:YQoSmhqb0

キモヲタ「はぁ……はぁ……おいババア、身の程がよくわかったか?
   ……おい? なんとか言え」

母「……」

キモヲタ「おい、ババア、おい……」

長門「(おそらくもう……死んでいる……)」

キモヲタ「おい、おいって……おい!! ……マジ……かよ
    ババア!! ババア!! ママぁああああ!!」

長門「……」

キモヲタ「ママ……ママ……死んじゃった……ママ……」

長門「……」

キモヲタ「……有希……俺人殺しになっちまったかも……」

長門「……(怖い、怖い、怖い……)」

キモヲタ「死体隠すの……手伝ってくれ……なあ、有希!!」

長門「(逃げないと、逃げないと!!)」ダッ

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:37:43.95 ID:YQoSmhqb0

キモヲタ「おいこら! どこいくんだよてめえ!!」

長門「(数カ月外に出なかったから、体が思うように動かない……)」ダダダ

長門「(このままでは捕まってしまう!)」ダダダダ

キキィィーーーーーッ!!

ヤ「このボケ! どこ見て歩いとんじゃ!! 轢き殺すぞ!!」

長門「(こ、この人は……)」

ヤ「なんじゃワリャ! 文句あるんか! あれ、ワレ確か……」

長門「追われている。お願い、乗せて」

ヤ「は? なんやて?」

長門「お願い!」

ヤ「ま、ええわ乗れや」

長門「あ、ありがとう」

126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:38:42.90 ID:YQoSmhqb0


ヤ「お前誰に追われとるんか知らんけど、ワシも組に追われとっての」

長門「……」

ヤ「シノギで下手打ってもうたから、故郷の大阪に逃げる途中っちゅうわけや」

長門「……」

ヤ「ワレ、助けてやった礼はしてもらうで」

長門「……わかった」





129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:40:17.23 ID:YQoSmhqb0

一年後


ギシ ギシ ギシ

ヤ「おい、もっと声出せや」

ギシ ギシ ギシ

長門「……あん、あん」

ヤ「お前いつまでたってもマグロやの、もうええわ、尺八せえ」

長門「ん……ちゅぱ……」

ヤ「だいぶ上手なったやないけ。一年もピンサロ嬢やっとったら当たり前やけどな」

長門「じゅる……ちゅぱ、ちゅぱ」

「オギャーーー! オギャーーー!」

ヤ「おい! ガキうるさいど! 外ほりださんかい!!」

132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:41:44.21 ID:YQoSmhqb0


長門「きっと、おむつを替えてほしがっている……」

ヤ「ほっといたらええんじゃ、あーうっさいガキやの! 殺すど!」

ドガッ!

「オギャーーーー!」

長門「や、やめて蹴らないで。あなたは父親」

ヤ「ワシのガキでもない前の男のガキなんて知るか!! とっとと捨ててこんかい!」

長門「な、なにをする気」

ヤ「ワシはガキが嫌いでのう。ほれ、熱いど〜ひひひ」

ジューー

「ギャァァァアアア!!」

長門「やめて! 煙草の火はやめて! やめて!」

135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:43:13.10 ID:YQoSmhqb0

ヤ「おいキョン、熱いやろ? てゆーかキョンて変な名前やのう」

ジューー

「ギャァァァアアア!!」

長門「やめてええええええ!!」

ヤ「あーうっさいのう、ほらパス」ヒュッ

ゴン!!

「アぎゃっ!!」

長門「え……」

ヤ「お前、ちゃんとキャッチせなあかんで。変な声出しよったでえ」

長門「あ……キョン……あああ……」

ヤ「おい、尺八の続きせんかい」

長門「病院……病院に連れていく!!」


144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:44:54.85 ID:YQoSmhqb0

ヤ「ええから尺八せいって」

バキッ!

長門「あうっ……!」

ヤ「ほら、くわええ」

長門「うっ……うう……(キョン……キョン!)」




ヤ「あーよう出た。ほな寝るわ。おい、ガキ病院連れていくなよ」

長門「……ど、どうして?」

ヤ「虐待やらなんやらでポリとかきたらどうすねん。ほっといても死なんて。
  ほな、おやすみ」

長門「……」

長門「(キョンの顔が真っ青になっている……!)」

147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:45:59.40 ID:YQoSmhqb0

ヤ「……ぐー」

長門「(早く病院に連れていかないと……)」ソロリ……

ヤ「……おい、どこ行く気や」

長門「……」ビクッ

ヤ「病院いきよったら殺すど」

長門「……」

ヤ「とっとと寝ろや。ガキ死なんて」

長門「(この男……この男のせいで……)」

ヤ「……」

長門「(もう限界……限界……)」ソロリ……

ヤ「おい! どこ行くんじゃワレ!! 殺すど!!」

ブスッ

長門「……」

ヤ「あ……」

151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:47:13.99 ID:YQoSmhqb0

グリ……グリ……

長門「……」

ヤ「なんや……痛いで……痛いやん……」

長門「……キョンはもっと痛かった」

ヤ「痛い……て……ワレ……」

長門「……」

ヤ「……」

長門「(……人を、殺してしまった)」

長門「……」

長門「(今は……キョンを急いで病院に連れて行くことを考えないと)」


155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:48:33.25 ID:YQoSmhqb0

長門「すいません」

長門「すいません!!」

看護師「はーい。どうされました」

長門「子どもが……子どもが」

看護師「ちょっと今別の急患さんでゴタゴタしてるんで〜。
    空きベッドもないんで、隣町の大学病院の方に行ってもらえますか?」

長門「子どもが! 子どもが!! お願い!!」

看護師「他の患者さんも順番を待っておられるんで〜。
    じゃあ……お呼びしますんで待っててください」

長門「今すぐ、今すぐお願い!!」

看護師「ですからお呼びしますのでお待ちください」

長門「そんな!! お願いします!!」

看護師「夜間ですのでお静かにお願いします」スタスタ

長門「……」

158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:49:46.71 ID:YQoSmhqb0





長門「……」

長門「(あれから一時間は経つ……)」

長門「(キョンの顔色が……紫色に……)」

長門「うっ……ううっ……キョン……」

長門「(キョンが……冷たくなってきた……)」

長門「(死なないで……! 死なないで……)」




看護師「ナガトユキさーん。お待たせしました」

長門「遅いんや!! もっと早く呼べや!!」

看護師「怒鳴らないでください。こちらの診察室です」


163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:51:30.65 ID:YQoSmhqb0




医師「お亡くなりになられてますね」

長門「……え?」

医師「これは虐待の後ですかねえ。あなた母親?
   事件性があるんで警察に連絡しますので」

長門「嘘や……嘘や……」

医師「お気の毒ですが」

長門「嘘やあああああああああああああ!! うわああああああああああああああ!!
   うあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:53:46.69 ID:YQoSmhqb0



--------------------------------------

長門「……で、その後旦那殺しで捕まって、懲役5年や。
   情状酌量で軽くなったみたいやけどな。シャバに出た後は……
   ホステスやったり、パチンコ屋やら産廃屋やら色んな仕事したわ」

古泉「大変なご苦労されたのですね……」

長門「さあ、別に普通に生きとっただけや。あんたらみたいな『勝ち組』からしたら
   可哀想に見えるんやろうけどな」

古泉「いえ、僕はそんな……」

長門「高そうなスーツ着てあんた。金もっとるんやろが。なあ、一回一万円で口でぬいたるで。
   あんた昔ウチの事スケベぇな目でみとったやろ」

古泉「昔の長門さんはお綺麗でした。あいえ、今もお綺麗ですよ」

長門「嘘つけ、こないだピンサロの面接落とされたわ。豚のオバハンはいらんゆうてな!!
   で、残りの10万いつくれんの。はよ頂戴」

古泉「あ、知り合いが持ってくるので少々お待ちください。今すぐ来ますので」

185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:56:22.70 ID:YQoSmhqb0

長門「はあ? そんな事言うてはらわんつもりやないやろな!!」

「お待たせしました、10万円です。ご確認ください長門さん」

長門「は……?」

「お久しぶりです」

長門「喜緑……」

喜緑「私別に怒っていませんから。長門さん」

長門「……」

喜緑「長門さんに『封印』されてから、脱出するまでずいぶんと時間がかかりました」

長門「復讐か……? うちに復讐しにきたんか?」

喜緑「そのようなつもりはありません。むしろ私は、長門さんに『やり直し』してもらうと
   提案にきたのですよ」

長門「……どういうことや」

196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 00:58:09.09 ID:YQoSmhqb0

喜緑「長門さんが自らを『人間』に改変した事により、お言葉ながら、非常に不遇な人生を
   歩む事になりましたよね。長門さんは、その結果についてどう思われますか?」

長門「どうって……そんなん」

古泉「あなたは、彼が涼宮さんと交際したことにより、彼との距離が離れてしまい、
   彼の気を引くために『ただの人間』になった。そうですよね?」

長門「ち、ちゃうわ!! なんでそんな……ちゃうわ!! ボケ!!
   そんなん、そんなんちゃうねん……そんなん……」

古泉「だが、彼はあなたより涼宮さんを選んだ。あなたは元のTFEIに戻ることもできず、
   能力無しの常人として生きていくには、少し不器用すぎたんです」

長門「……」

喜緑「古泉くん、その言い方は長門さんに失礼ですよ」

古泉「あいえ、失礼しました。僕も……救いの手を差し伸べるべきでしたが……。
   数年間は機関にSOS団関係者との接触を禁じられていましてね……。
   その後は自分の仕事やら家庭やら……というのは言い訳になりますね、すいません」

203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 01:00:40.77 ID:YQoSmhqb0

長門「あんたら、結局うちを笑いにきたんか? 説教しにきたんか?
   もう……ほっといてや!! あーーーーーー!?」

喜緑「さっき、『やり直し』してもらうって言いましたよね。長門さんに、その選択を
   お聞きしたいんです」

長門「……そんなん、無理やろが。時空間の進行方向を逆行させるほどの干渉能力は、昔のうちにも
   あんたにも、ないやろ……」

喜緑「情報統合思念体は、長門さんの全ての記憶を蓄積しています。『あの頃』に戻る事が可能なのは、
   あなたならわかるでしょう?」

長門「でも……それは……」

喜緑「長門さんがSOS団にいた、一年と数カ月間。楽しかった時間だけを味わえるのですよ」

長門「……」

喜緑「もし長門さんがそれを望まないなら、構いませんが」

長門「……ええわ、そんなん」

207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 01:02:06.68 ID:YQoSmhqb0


喜緑「本当によろしいのですか?」

長門「ええわ……昔の思い出にすがっててもしゃあないやろ……」

喜緑「わかりました。では、お時間を取らせてすいませんでした。行きましょう古泉くん」

古泉「え、ええ。長門さん、どうもありがとうございました」

長門「……」

喜緑「では……」

長門「ま、待って!」

喜緑「お気が変わったんですか?」

210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 01:02:54.61 ID:YQoSmhqb0


長門「いや……その……虫のええ話かもしれんけど、10分、いや5分でもええ!
   5分だけ……『やり直し』させてほしいんや!! 頼む!!」

喜緑「5分でいいんですか? 長門さんにとっては、『ずっと』戻られた方が幸せなのではないかと」

長門「人の幸せ不幸せを他人に決められたくないわ!! な、頼む!! 5分だけ!!」

喜緑「わかりました……では、目を閉じてください」

長門「あ、ああ。おおきにな……」

喜緑「いってらっしゃい、長門さん」


214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 01:04:19.49 ID:YQoSmhqb0




古泉「僕にはよくわからないんですが、『やり直し』ってどういう事なんですか?
   まさかこの世界の時間を戻すなんて事は……」

喜緑「ええ、そんな事は不可能です。長門さんはただ、『夢』を見ているだけです」

古泉「夢……ですか?」

喜緑「私が出来るのは、過去の記憶を長門さんに再体験させているだけです。
   彼女が文芸部で彼と出会ってから、人間になるまでの、楽しかった時間の……」

古泉「その時間を過ごしたら、その後どうなるんです?」

喜緑「また、初めに戻るだけです。切り取った過去には、未来はありません。
   何千回も、何億回も、永遠に続くけれど、消して未来には届かない『夢』です」

216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 01:05:26.93 ID:YQoSmhqb0


古泉「でも、長門さんはその夢を見続けることを選ばなかったんですね」

喜緑「きっと、彼女にとって過去は過去でしかなく、今を生きているんですよ」

古泉「お辛い人生なのに、どうしてでしょう」

喜緑「それはきっと……」

「あ! オカンここにおった! オカン、500円ちょうだい!」

古泉「……オカン?」

「おっちゃんとお姉ちゃん誰? オカンの知り合い?」

喜緑「ボク、お母さんは少し夢を見ているの。じきに目を覚ますからお姉さんが
   何かごちそうしてあげる」

「ホンマ? やったー!」


228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/13(火) 01:07:21.34 ID:YQoSmhqb0


――陽の光が射す文芸部室。
懐かしい本の匂いを感じながら、私は目を開いた。

コツコツと近づく足音。部室の前で止まり、足音の主はノックの後ドアを開いた。

キョン「うぃーっす。長門だけか」

長門「……」

キョン「え……? おわっ!」

私は彼に駆け寄り、その胸に飛び込んだ。

キョン「ど、どどうした長門!? 何があったんだ!?」

長門「……」

キョン「長門……?」

長門「……ただいま」

キョン「……おかえり」



おわり。



ツイート

メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:国木田「キョンって腹筋割れてるね、触ってもいい?」