長門「あなたは死ぬべき」


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トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:キョン「なんだこのトランク・・・ん?中に人形が」

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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/01(木) 03:27:47.65 ID:L5E/hPcGP

春、桜の咲き始める頃。

長いようであっという間だった高校生活三年間を終えた俺は

翌月より始まる大学生活に胸を躍らせていた。

大学といっても俺の学力ではMAXでも二流大学が限界であったが、

大学入学の暁には一人暮らしを許可されており

俺は来たるワンマンライフ・キャンパスライフを思いワクワクを100倍にし

ちゃっちゃか荷造りして早いとこ新居に活動拠点を移す為

卒業式後の級友達との涙涙の別れを終わらせ、たった今帰宅した所である。


4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/01(木) 03:29:52.95 ID:L5E/hPcGP


キョン「卒業式・・・思ったより感動的だったな」

キョン「朝比奈さんを送り出した時もそうだったが、まさか涼宮の奴があんなに泣くとは」

キョン「訳の分からん部活、SOS団なんてのを発足した時はどうなる事かと思ったもんだ」

キョン「・・・思えば古泉も朝比奈さんも何であんな部活にホイホイ入部したんだかな」

キョン「長門は部室を貸した流れで入部させられたんだったっけな」

キョン「しかしまぁ、部室でだらだらと過ごしたり、他の部活の助っ人に行った事も今となっては良い思い出か」

キョン「正直、二流大学も危うかったがハルヒと進学コースの古泉のお陰で何とかなったしな」


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/01(木) 03:32:17.64 ID:L5E/hPcGP


キョン「こうして部屋を片して色んな物を見てると、色々思い出すなぁ」

キョン「・・・・・お、何だこの分厚い本は?」

キョン「ハイ・・・ペリオン・・・こんな本持ってたっけ」

キョン「・・・・・・・あっ!」

キョン「そうか、こりゃ一年の頃に長門に借りた奴だ」

キョン「いきなり貸すって言われて持って帰ってそのまま忘れてたぜ」

キョン「ほとんど借りパク状態だな・・・長門覚えてるんだろうか」


13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/01(木) 03:34:22.86 ID:L5E/hPcGP


パラパラパラパラ・・・

キョン「はは、字ばっかりだな」

・・・ハラリ

キョン「ん?」

キョン「栞か。・・・・・・待て、何か書いてあるぞ」


―――午後7時に光陽園駅前公園にて待つ


キョン「・・・・・・は?」

キョン「こりゃあ、長門が書いたのか?ワープロみたいだが確かに手書きだ」


16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/01(木) 03:36:26.25 ID:L5E/hPcGP


キョン「待て待て待て、三年前に借りた本に挟まってた栞」

キョン「それに書かれた待ち合わせの文章」

キョン「・・・・・・・・」

ピピポパ

プルルルルルル・・・



ガチャ

「もしもし」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/01(木) 03:39:16.76 ID:L5E/hPcGP

ミスった、こっち先


キョン「な、長門か?俺だ」

長門「何」

キョン「あのさ、一年の時に借りた・・・ハードカバーの本覚えてるか?」

キョン「ずっと忘れてて今さっき栞に気がついたんだが・・・その」

長門「・・・・・・」

長門「すぐに来て」

キョン「え?」

長門「今すぐに光陽園駅前公園に来てほしい」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/01(木) 03:38:25.36 ID:L5E/hPcGP

キョン「い、今からか?」

長門「早く、今すぐ」

キョン「わ、分かった!すぐに行く」

バタバタ

きょもうと「はれひョン君、どほいふの?」

キョン「物を食べながらしゃべるんじゃあありません!」


ガシャガシャ

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/01(木) 03:40:44.07 ID:L5E/hPcGP


自転車をフルスピードで飛ばしたが、駅前に着く頃には辺りは夕暮れていた。

駅前公園の外灯の下、私服姿だったが確かに長門は待っていた。


キョン「わ、悪い・・・この本なんだが」

長門「遅い」

キョン「目いっぱい飛ばしたんだがこんな時間になっちまった」

長門「そうじゃない、今日の時間ではない」



長門「私は三年近くここで毎日待っていた」

長門「遅い。あまりに遅すぎる」


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/01(木) 03:42:34.79 ID:L5E/hPcGP

キョン「は!?冗談だろ・・・どっかで止めるだろ普通」

長門「私はあなたが来ると思っていた」

長門「本来、ここから私のマンションに移動し粗茶を振る舞いながらあなたに話したい事があった」

長門「あなたに言うべき事は、もはや鮮度も必要性もほぼ失われているが」

長門「もうこの場で言う、耳の穴をかっぽじりしっかり聞くがいい」

キョン「おい、長門?」


長門「私と涼宮ハルヒは普通の人間じゃない」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/01(木) 03:44:01.35 ID:L5E/hPcGP


長門「私は情報統合思念体によって作られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェース」

長門「長ったらしいので宇宙人で構わない」

長門「私の仕事は涼宮ハルヒを監視する事」

長門「涼宮ハルヒには何も無い所から膨大な情報を生み出す力があり」

長門「すなわち周囲に自分の願望を実現化する事ができた」

長門「それは進化の可能性として統合思念体に中学時分から重要視されていた」

キョン「すまん、さっぱり分からん」

長門「信じてとか言わないから兎に角聞いて」


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/01(木) 03:45:43.63 ID:L5E/hPcGP


長門「あなたは涼宮ハルヒの行動のキーとして同時に重要視されていた」

長門「危機が迫るとすればまずあなた」

長門「それを伝えたくて私はあなたをここに呼び出していた」

長門「三、年、前、にね!」

キョン「そ、そうだったのか・・・」

長門「それを伝える事により、あなたはこの事態を知り」

長門「私、朝比奈みくる、古泉一樹らと共に涼宮ハルヒの能力によって引き出されるドタバタを何だかんだ言いながら収束させるはずだった」


35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/01(木) 03:47:28.89 ID:L5E/hPcGP


長門「だが全部予定が狂った」

長門「まず、私が一番初めにあなたに接触するはずだった」

長門「なのにあなたは来ない、どれだけ待ってもこない予定が進まない」

長門「季節が移り変わるも健気にここで待ち続ける私をどう思う」

長門「近所の子供と親には『ママ、あのおねえちゃん今日もいるよ』『しっ、指差しちゃいけません』的なやりとりを目の前でされ」

長門「巡回中の警察官にはいつしか『いつもご苦労様です』なんて労いの言葉まで掛けられるようになり」

長門「一度クラスメイトに遭遇した時は恥ずかしさで顔からインフェルノ」

長門「三年に渡りとんだ恥をかいたもの」


39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/01(木) 03:49:44.74 ID:L5E/hPcGP


長門「それだけじゃない」

長門「この人類などとは一線を画すヒューマノイドインターフェースのこの私が朝比奈みくると古泉一樹に不本意にも頭をさげ」

長門「『待って欲しい、私が一番初めに話すから!』と懇願する姿は正に滑稽」

長門「ちなみに朝比奈みくるは未来人で古泉一樹は超能力者ね」

長門「観察対象の変化のなさに痺れを切らした朝倉涼子があなたを殺そうと企てだしたので内密に処分したことも誰も知らない」

長門「本来その後から私はメガネっ娘じゃなくなるはずだったのに三年間掛け続けたこの立派なメガネ痕を見よ」


45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/01(木) 03:51:44.95 ID:L5E/hPcGP


長門「また涼宮ハルヒも涼宮ハルヒで何故かだんだんマトモになってきおって」

長門「困ってる部活の助っ人をしようだとか率先して学校行事に協力しようだとかトチ狂った事を言い出す始末」

長門「予定通りならば、あなたは涼宮ハルヒと二時間三十分この世界から消えていたり」

長門「皆で終わらない夏休みを15532回もループしたり」

長門「孤島で古泉一樹のグループが企てた名探偵ごっこをしたり」

長門「隣のコンピ件部長が行方不明になったり」

長門「朝比奈みくるが敵対勢力に誘拐されたりするはずだった」


47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/01(木) 03:54:31.31 ID:L5E/hPcGP


長門「あ、周防九曜とか橘京子とか藤原とか知ってる?知らないよね」

長門「あなたの知り合いの佐々木とかいうボクっ娘のグループが我々と敵対するはずだった」

キョン「佐々木か、懐かしいな」

長門「そんな彼女らも出番ナシ、あなたのせいで見せ場ナシ」

長門「あと3年前の七夕の日に朝比奈みくると時間移動して涼宮ハルヒに会いに行くはずだった」

長門「そこであなたはジョンスミスとかいうダサい名前を名乗らなければならなかった」

長門「仕方がないから私が済ませた感謝しろ」


54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/01(木) 03:57:58.22 ID:L5E/hPcGP


長門「ちなみにクリスマスに私がエラー蓄積で世界を改変とかするはずだった」

長門「しかしそんなチャチなエラーじゃないくらいのストレスを受けた私は」

長門「鉄は打てば強くなる、カノン島の鬼くらい何があろうと揺るがない自我を持った」

長門「おかげでそんなイカれた行動を起こす事もなかった」

長門「ジョンスミスの名はその歳必要だったがそれも無意味に終わった」

長門「世界改変すればあなたのわき腹を朝倉涼子にナイフで一突きさせれたもののそこだけは残念で仕方ない」


56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/01(木) 04:00:20.19 ID:L5E/hPcGP


長門「そして私は放課後も休日も制服で過ごす神秘的無口無表情キャラだったのに」

長門「マトモになった涼宮ハルヒに団活もといお出かけする度服を選らばされ何このおしゃれさん」

長門「おかげで部屋は服がいっぱい物いっぱいあなたなんて家にあげてやるもんか」

長門「それによりクラスでも友人が出来て充実した毎日まさにリア充」

長門「それでも毎日午後7時30分前後はここであなたを待ち続けた」

長門「ハチ公にも匹敵する健気なこの私を崇めろ称えろ敬い尽くせ」


58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/01(木) 04:03:25.63 ID:L5E/hPcGP


長門「今日だって友人に夕方6時から卒業パーティに誘われていたのに」

長門「見てこの今日の為に用意したおろしたての服似合ってるでしょそうでしょ」

長門「これでクラスの皆に『ゆっきー何でも似合うから可愛いね』なんてチヤホヤされるはずが」

長門「何故今日になって栞を見つけて連絡してきたこのスットコドッコイ」

長門「もう涼宮ハルヒの能力も消えたし卒業と同時にお役ご免で普通の人間として生活できる事になってたのに」

長門「なんで三年も待ったせた挙句卒業式の今日にしたええおい」


61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/01(木) 04:09:07.70 ID:L5E/hPcGP


長門「す、少しは考えて行動してほしい・・・」

長門「ぜぃぜぃ・・・」

キョン「・・・・・・あー、えっと」

キョン「よ、よく噛まずに喋れるなお前」

長門「返してほしい」

キョン「あ、本・・・?」

長門「私の三年間」

長門「あなたは私に多大な感謝を寄せるはずだった、私が宇宙人的パワーであなたを何度も助けたから」


64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/01(木) 04:12:50.31 ID:L5E/hPcGP


長門「それであなたに何かと気にかけてもらったりするはずだった私の三年を返してほしい」

キョン「・・・・・いやしかしそう言われても」

長門「三年間待ち続けたせいで憎しみ通り越して好きになってしまった私をどうしてくれる」

キョン「な、長門?」

長門「この気持ち一体全体どうしてくれる」



長門「あなたは私と付き合って私を幸せにするべき」



66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/01(木) 04:14:54.63 ID:L5E/hPcGP


キョン「長門・・・」





キョン「ごめん俺ハルヒと付き合ってるから」

長門「あなたは死ぬべき」





70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 04:18:32.06 ID:L5E/hPcGP

寝る前に暇だったから思いつきだけで書いて今から寝るんだが

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/07/01(木) 04:25:27.51 ID:L5E/hPcGP

まぁ崩れは思いつき故に

読んでくれた人有難う!



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