1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 06:13:18.93 ID:BXjlljai0
キョン「おいハルヒ! しっかりしろ!」
ハルヒ「う……キョン……?」
キョン「よかった……目が覚めたみたいだな」
ハルヒ「ここは……どこ? 学校?」
キョン「ああ、そうみたいだ。北高ではないがな」
ハルヒ「私たち、なんでこんなところに? だって……さっきまでバスに乗って……山へ合宿に……」
キョン「俺も何が起きているかさっぱりだ……にしても、随分と人気がないな」
ハルヒ「もう日が暮れているし授業はとっくに終わっているはずよ。人がいなくても不思議じゃない」
キョン「それはそうだが……」
??「動かないで!」チャキッ
キョン「!?なっなんだ!?」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 06:24:05.61 ID:BXjlljai0
??「両手を挙げて、ゆっくりとこちらを向きなさい」
キョン「……わ、わかった」
ハルヒ「キョン、あれって……まさか本物の……」
キョン「わからん……とりあえず今はあいつの言うとおりにしておこう」
ハルヒ「そ、そうね……」
クルッ
??「武装はしていない……どうやら天使側の人間ではなさそうね」
???「だから言っただろう、ゆり。たぶん新入りだろうって」
ゆり「念には念を入れるべきよ、音無くん」
音無「そうは言ってもなぁ」
キョン「おい、人を無視して話しを進めるんじゃない」
ハルヒ「何なのよアンタたち? 急にそんなもん向けて……それに一体ここはどこなのよ!?」
ゆり「質問は後で受け付けるわ。とにかく今はここを離れましょ。奴が来るわ」
キョン「奴? いったい何だってんだよ!!
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 06:29:00.78 ID:BXjlljai0
ゆり「天使が来るのよ」
ハルヒ「天使!? 天使ってあの!?」
音無「あのってのがどれを指すのかわからないが、たぶんアンタが想像しているのとは違うぞ」
ハルヒ「何よそれ。じゃあ天使っていったい何のことなのよ!?」
キョン「おいハルヒ、少し落ち着け」
ゆり「質問は後と、言ったはずよ。行くわよ!!」タタッ
ハルヒ「ちょっ!!」
音無「悪いな、とにかく付いてきてくれ」
ハルヒ「何なのよ一体!!」
キョン「まあ俺も聞きたいことは山ほどあるが、とにかく付いていくしかないだろう。行くぞハルヒ!」
ハルヒ「言われなくてもそのつもりよ!!バカキョン!!」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 06:39:58.36 ID:BXjlljai0
校長室
ハルヒ「校長室? こんなとこ入ってもいいわけ?」
ゆり「問題ないわ。ここは私たちSSSの本部だもの」キィ
キョン「SSSって……」
音無「すまん、後でまとめて説明する。今は我慢してくれ」
ゆり「みんな、そろってるかしら?」
野田「おうゆりっぺ――何だそいつら!?」
キョン「うおっ!?」(なんだこいつは……槍か?銃といい、こいつら一体なにもんだよ!?)
ハルヒ「キョンっ!? ちょっとあんた! 急になにすんのよ!!」バシッ
野田「ぐぉっ!!」
音無「うおわ!! なんつービンタだ……」
日向「痛い。あれは痛いぞ」
野田「くそっ……女だからって手加減されると思うなよ!!」バッ
ゆり「いい加減にしなさいあんた達!!」
野田「……ゆ、ゆりっぺ……すまん」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 06:48:41.41 ID:BXjlljai0
キョン「ハルヒ、お前もすこし落ち着け! 俺はなんともない!」
ハルヒ「……うるさいわね! わかってるわよ!」
ハルヒ「で、一体ここはどこでアンタたちは何者なの? さっきからはぐらかしてばかりで……さっさと答えて貰うわよ!」
ゆり「はぐらかしてたわけじゃないわよ。あの場からは早急に立ち去る必要があっただけ」
ハルヒ「だから、その理由を早く説明しなさいって言ってるのよ!」
日向「いやー、初っ端から飛ばすな。あの子。ゆりっぺが押されてんよ」
音無「ああ、まあ、急にこんなところに放り込まれたんだ。混乱していらついてるんだろう」
キョン「いや、あいつはいつもあんな感じだ」
TK「Crazy for you ! 」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 06:58:03.90 ID:BXjlljai0
ゆり「説明するって言ってるじゃない!……まったく。随分せっかちなようだから、単刀直入に言うわ」
ゆり「ここは――死後の世界よ」
ハルヒ「死後の……世界?」
ゆり「ええ。あなた達二人は死んだの。そして、この世界へやってきた」
キョン「冗談……だろ?」
ゆり「皆、最初はそう思いたがるわね。無理もないわ」
ハルヒ「……嘘よ……こんなの、私は認めない!!」
キョン「ハルヒ……」
ゆり「気持ちは分かるわ。けど、その内わかってくるはずよ」
音無「そうだな。二人とも、今はとにかく一旦休んで――」
ハルヒ「私は認めないわ! ここが死後の世界だなんて!だって……もしそうなら……こんなの……」
ゆり「受け入れるのは辛いと思うわ。けど――」
ハルヒ「こんなのって……普通すぎるじゃない!!」
ゆり「……え?」
音無・日向「え?」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 07:08:10.42 ID:BXjlljai0
ゆり「……普通?」
ハルヒ「いい? 死後の世界ってのは大体雲の上にあって、お花畑になってるのよ!」
ハルヒ「そしてラッパを持った天使やら髭の生えた神やらが羽をはやして飛んでるわけ!」
キョン「何なんだその小学生レベルのイメージは」
ハルヒ「もしくは薄暗い地下に血の池地獄やら針山だかがズラリと並んでいて!」
ハルヒ「赤鬼やら青鬼が棍棒持って立ってるの!それが死後の世界ってやつでしょ!?」
キョン「だからその呆れるほどテンプレートなイメージは何なんだ!?」
ハルヒ「それなのに何よ! こんなとこただの学校じゃない! あたしは認めないわよ!」
ハルヒ「ここは死後の世界じゃないわ!!」
ゆり「な……何なのよあんた……」
大山「新しい! 新しすぎますよこれは!」
日向「さすがにこのパターンは初めてだな」
TK「so crazy!!」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 07:14:33.03 ID:BXjlljai0
ハルヒ「あたしはここを死後の世界だとは認めません! 以上!」
ゆり「以上って……」
野田「おおい!てめえ!!」
ハルヒ「なによ?」
野田「ゆりっぺにイチャモンつけるつもりか? だったら証明してやるよ!ここが死後の世界だってな!!」ブン
ハルヒ「なっ!」
キョン(あいつ正気か!? あんなもん振り回して! くそっ!!!)
野田「うおらあああ!!!!!!」ブゥン
ハルヒ「っ!?」
キョン「ハルヒー!!!!!」バッ
ザシュ
ハルヒ「う……キョン?」
キョン「ぐっ……うっ……」
野田「ちっ……外したか」
ハルヒ「うそ……キョン……なんで、これ、血?」ポタポタポタ
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 07:23:16.54 ID:BXjlljai0
キョン「……平気か?……ハルヒ……」
ハルヒ「やだっ……バカっ……なにやってんのよ……どうして……」
キョン「バカ……とは……何だ……たく……」ガクッ
ハルヒ「キョン?……キョン!キョン!」
ゆり「……音無くん、日向くん。彼を保健室へ。必要ないと思うけど、簡単な治療を」
ハルヒ「必要ないって……あんた!!」バッ
ゆり「……意味ならすぐに分かるわ。その時はあなたも納得するはずよ。ここが死後の世界だって」
ハルヒ「何よ……何なのよ……」
ゆり「日向くん、彼女も一緒に連れて行ってあげて」
日向「おう、さ、行こうぜ。彼氏のことは心配すんな。すぐに目を覚ますさ」
ハルヒ「かっ彼氏なんかじゃないわよ!!」
ゆり「まったく賑やかね……野田くん」
野田「……す、すまん。ゆりっぺ……俺はただ……」
ゆり「わかってるわ。てっとり早く納得させるには有効な手段だったわ。けどね……」
椎名「……あさはかなり」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 07:44:51.30 ID:BXjlljai0
保健室
音無「よし、こんな感じでいいだろ」キュッ
ハルヒ「ちょっと!包帯巻いただけじゃない!こんなの治療なんて言わないわよ!!」
日向「本当は包帯も必要ないんだけどな」
ハルヒ「どういうこと……?」
音無「待っていればわかるさ。……俺も最初はそうだったからな」
ハルヒ「そんな……キョン……」
日向「そういえば名前聞いてなかったな。俺は日向。こいつは音無だ」
ハルヒ「……涼宮ハルヒよ。こいつはキョン」
音無「さっきから思ってたが変わった名前だな。本名か?」
ハルヒ「そんなわけないじゃない」
音無「そう……ですよね……」
日向「ドンマイ、音無」
キョン「……うう?」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 07:56:42.98 ID:BXjlljai0
キョン「ここは……」
ハルヒ「キョン!あんた大丈夫なの?傷は!?」
キョン「ん、そういえば……何だコレ?」
ハルヒ「どうしたのよ一体?」
キョン「傷が……塞がっている……」
ハルヒ「嘘でしょ!? ちょっと見せなさいよ!」グイッ
キョン「お前!引っ張るなよ!」
ハルヒ「……本当だわ。あれだけ血が出ていたのに……」
音無「これで信じてもらえるか?ここが死後の世界だって」
日向「ここでは死ぬことは無いし病む事も無い。それがこの世界だ」
キョン「おいおいマジかよ」
ハルヒ「信じるしかなさそうね……確かにここは、あたしたちが元いた世界では無いようだわ」
ハルヒ「けどだからと言って死後の世界であるとも言い切れない」
日向「どうしてだ?」
ハルヒ「記憶が無いもの。あたしにもキョンにも死んだと言う記憶がないわ」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 08:07:42.07 ID:BXjlljai0
日向「記憶喪失か。ここに来たばかりの奴にはよくあることだな」
ハルヒ「あたしとキョンはSOS団の合宿へ行くためにバスに乗っていた」
キョン「ああ、そこまでは俺も覚えている。しかしその先は……」
ハルヒ「あたしもここからさきは記憶にないわ。気がついたらここへ来ていた」
ハルヒ「だから、まだ死んだとは証明出来ないわ。確認のしようがないもの」
日向「あー、いやそれはそうかもしれないけどな」
音無(確かに……俺もまだ記憶が戻っていない。しかし、ここが死後の世界でなければ一体……?)
ハルヒ「とにかく、情報を集める必要があるわね。行くわよキョン!!」グイッ
キョン「お前!一応病み上がりなんだからもう少し気を使えよな!」
ハルヒ「もう治ったんでしょ!さ、行くわよ!今日のSOS団は異世界探索を行います!」
音無「なあ、そのSOS団ってのは……?」
キョン「あーそいつはだな、こいつが作ったサークルというか何と言うか」
ハルヒ「世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団!! それがSOS団よ!」
音無・日向「!?」
キョン(ハルヒお前……ほんっとうに何があっても変わらんな)
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 08:19:35.40 ID:BXjlljai0
ハルヒ「なにぼさっとしるのよキョン? 行くわよ!!」
キョン「だからネクタイを引っ張るなと言ってるだろ!」
日向「……なあ、音無。どうする?」
音無「どうするって……放っておくわけにもいかないだろう。追いかけるぞ!」
日向「だよなぁ。よっしゃ! 行くか!」ダダッ
音無「あいつら……いた! おーい!!」
日向「どこへ行くつもりだ?あんたら」
キョン「それはこいつに聞いてくれ。俺は一方的に引っ張られているだけだ」
音無「みたいだな……」
ハルヒ「ちょうどよかったわ! アンタたち、道案内をしなさい!」
キョン「お前な、それはどう考えても初対面の人間に、いやそんなの関係なく人に物を頼む態度じゃないぞ」
日向「どこへ行くつもりだ?」
ハルヒ「とりあえずさっきの校長室よ!あそこならパソコンもあったし、何だか拠点っぽい雰囲気だったわ!」
キョン「ハルヒ、お前はパソコンに色々と期待をかけすぎだぞ」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 08:34:48.00 ID:BXjlljai0
ハルヒ「何よ! 何か文句でもあるの!?」
キョン「文句は無いが、一応言っとくとネットなんかは無いと思うぞ。俺たちがいた世界とはどうやら違うみたいだしな」
ハルヒ「!? わっわかってるわよ其のくらい! とにかく、あそこへ行けば情報は集まるはずよ!」
音無「まあ間違ってはいないけどな……どうする、日向」
日向「大丈夫だろ、どっちにしろSSSについて説明する予定だったしな」
ハルヒ「ちょっと、何こそこそしてるのよ!さっさと案内しなさい!」
日向「おう、バッチリ案内してやんよ!」
音無「何ていうか、キョンだっけか? 大変そうだなお前」
キョン「ああ、高校へ入ってからと言うものあいつには振り回されっぱなしだ」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 09:11:51.07 ID:BXjlljai0
再び校長室
日向「ゆりっぺー、入るぞー……あれ? 竹山だけか」
音無「みんなどこへ行ったんだ?」
竹山「他の皆さんでしたら学食です。本日はオペレーショントルネードの実行日ですから」
日向「あちゃー、そういえばそうだったけか」
音無「おい、俺たちも行かなくていいのか?」
竹山「二人はここに残り本部を守るようにとの指示が出ています。あと、僕のことはクライストと――」
ハルヒ「ちょっと、オペレーションって?」
竹山「我々SSSの活動の一つです。オペレーショントルネードとはガルデモの陽動によってNPC生徒を引きつけ……」
ハルヒ「ガルデモ? ちょっと、わかりやすく説明しなさいよ眼鏡くん!」
竹山「めが……いいでしょう。この僕がわかりやすく簡潔にSSSの活動について教えてさしあげましょう」
竹山「ただし、僕のことはクライストとお呼び下さい」
ハルヒ「そう、じゃあさっさと初めて頂戴クライスト」
キョン「頼むぞクライスト」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 09:19:51.06 ID:BXjlljai0
日向「音無、今なにか聞こえなかったか?」
音無「ああ、俺がここへきて初めて遭遇するパターンだ……」
竹山「……すみません、今なんとおっしゃいましたか?」プルプル
ハルヒ「さっさと初めてって言ったのよ」
竹山「いえ、その後です」
ハルヒ「? さっさと初めて頂戴クライストって言ったの。もう、クライストって呼びづらいわ!」
キョン「たしかにな。それにしてもクライストってどういう意味なんだ、クライスト?」
竹山「う……うう……」
ハルヒ「ちょっとどうしたのよ!? なんで急に泣き始めるのよ!」
日向「竹山!? お前まさか……」
音無「お前……消えるのか?」
キョン「消える!?ちょっと待てそんなこと聞いてないぞ!」
ハルヒ「ちょっと! クライストの体が透けてきてるわ!!」
竹山「僕は……此処へ来る前は自分の部屋に篭りきりでした……」」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 09:32:43.62 ID:BXjlljai0
竹山「僕は昔から体が弱く、外で友人と走り回ることはおろか、まともに学校へ通うことも出来なかった」
竹山「そんな僕に両親はパソコンをプレゼントしてくれました。体が弱い僕が、世界と繋がれるようにと」
竹山「おそるおそるネットの世界へ足を踏み入れた僕は、そこで初めて知りました」
竹山「ネットの世界では、現実のことなど関係ない。僕はそこでは何にでもなれたんです」
竹山「その内に僕は、ある匿名掲示板でクライストと名乗るようになりました」
ハルヒ「匿名なのに名前を名のるの?」
竹山「ええ。掲示板の世界には、一定の割合でそういう人たちがいるんです」
竹山「クライストとしての僕は、ネット上では知らないものはいない存在になりました」
竹山「けれど……ネットは所詮ネットでしかない。現実での僕は今だに、非力で弱い人間にすぎませんでした」
竹山「僕は誰かに呼んで欲しかった。現実の世界で、クライストと。そうすれば、変われる気がしたんです」
竹山「けれどそんなこと出来るわけがない。両親に頼めるわけはないし、気の置けない友人なんていなかった」
竹山「だけどこの世界に来て、僕はたくさんの仲間に出会いました。毎日が刺激的で、ネットよりも楽しい世界が広がっていた」
日向「竹山……お前……」
竹山「そして今日、僕はクライストと呼ばれた。僕は現実でも、クライストになれたんです」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 09:47:18.08 ID:BXjlljai0
竹山「ありがとう、お二人とも」キラキラキラ
音無「竹山……最後に教えてくれ! クライストって何なんだ!?」
竹山「クライスト……それは神の名……」
キョン「キリストのことか」
竹山「匿名掲示板という閉じた世界で僕は神として振舞っていました」
日向「神……神、か」
竹山「ありがとう、皆さん。僕は楽しかった……もし……また出会うことがあったら……その時は……」シュウーン
ハルヒ「消えた……? いったいどこへ?」
日向「成仏したんだ。竹山は満足したんだ、人生にな」
キョン(成仏だと? おいおい、やっぱり俺らはとっくに死んでるんじゃ……)
ハルヒ「成仏ですって? 満足すると消える!? 何よそれ!!」
音無「俺も最近まで知らなかった。この世界では、心残りを無くすと世界から消える。俺たちはそれを成仏と呼んでいる」
日向「ただ、誰もが成仏したいと考えているわけじゃないんだ。俺たちSSSのメンバーは」
キョン「すまん、ずっと聞きそびれていたがSSSって何だ?」
ハルヒ「涼宮ハルヒと最高の世界を目指す団かしら」
キョン「それは無いな」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 10:07:47.30 ID:BXjlljai0
音無「死んだ世界戦線、それがSSSだ。ま、名称はコロコロ変わるらしいがな」
日向「俺たちの目的はこの世界の神に抗うことだ」
キョン「神に抗う? この世界には神がいるのか?」
日向「おそらくな。はっきりとはわからないが、この世界を作った何者かがいる。それは確かだ」
ハルヒ「成仏したくないから神に抗うっていうの? こんなとこで留まっているよりも次の人生に期待したほうがいいんじゃないの?」
日向「うーん、そういう考えもあるにはある。ただ、ここに来る奴らは大体、理不尽な人生を送った奴が多い」
キョン「神を恨んでるってことか?」
日向「ああ。ただ翻弄されただけじゃムカつくだろ?だから、せめてこの世界では神に一発かましてやろうってな」
音無「その考えに賛同して集まったのが、今のSSSメンバーってわけだ」
ハルヒ「神に一発ブチかますか……いいじゃない!気に入ったわ!」
日向「おっ、ノリがいいじゃねえか涼宮!」
キョン「ハルヒお前……」
ハルヒ「何よいいじゃない! 神を殴るなんてそんな機会めったにないわ! あんたもやるのよキョン!」
キョン「俺に断る権利は……ないんだろうな」
ハルヒ「当たり前じゃない! これはSOS団としての活動でもあるのよ! SSSへの参加は団長命令よ!」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 10:16:45.66 ID:BXjlljai0
キョン「……ああ、聞いた俺がバカだったよ」
キョン「しかし神……神か」
音無「……信じられないか、キョン」
キョン「ん、いや……あり得ないことでは無いと思うが……」
音無「そうか。にしてもお前といい涼宮といい、随分と馴染むのが早いな」
キョン「ああ、まあ色々と経験してきたからな」
キョン(宇宙人やら未来人やら超能力者やら……無自覚な神やらな……)
音無「どうしたキョン?」
キョン「いや、何でもない」
キョン(この世界が神に作られたとしたら……まさかハルヒの力が関係している?)
キョン(いや待て、こんなパターンは今までに無かった。いくらなんでも世界を作るほどの力があいつにあるとは……)
キョン(くそっ……こんな時に長門、お前がいてくれれば!!)
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 10:26:49.49 ID:BXjlljai0
ハルヒ「それで神はどこにいるのかしら!? 早速殴り込みよ!!」
音無「いや待て、その心意気は素晴らしいが少し落ち着け涼宮」
ハルヒ「何よ? まさか神がどこにいるかわからないなんて言わないわよね?」
日向「あー、そのまさかだ。俺たちはまだ神の居場所を突き止めていない」
ハルヒ「何よそれ! アンタたちここで今まで何してきたのよ!?」
キョン「おいハルヒ、そういう言い方はないだろ」
日向「まあまあ、だが、神の居場所わからないが神に繋がる存在はわかっている」
ハルヒ「神に繋がる?」
キョン「もしかして、最初に言ってた天使ってやつか?」
日向「ああ、俺らは天使と戦うことで神を引きずりだそうとしているんだ」
ハルヒ「なるほど! つまり、その天使ってやつに一発かませばいいのね!」
音無「まあ……要約するとそういうことか」
ハルヒ「で、天使はどこにいるの!?」
日向「そうだな……よし、音無、二人を連れて学食へ行くぞ」
音無「大丈夫か? あそこは今、そうとう混乱しているんじゃ」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 10:36:25.79 ID:BXjlljai0
キョン「そういえばオペレーションがどうとか言ってたな」
ハルヒ「学食へ行けば天使って奴に会えるのね!?」
音無「いや、まだ2人が参加するのは早すぎ――」
日向「大丈夫だって! もう終わる頃だろうしさ。いざとなったら俺が守ってやんよ!」
音無「日向……」
日向「一応、こいつだけは持っていてくれ」
キョン「これって……拳銃か?」
ハルヒ「本物……なの」
日向「ああ、使うことはないと思うが早めになれたほうがいいからな。使い方はここを引いてこうだ」
キョン「そんなに危険な奴なのか?天使ってのは」
音無「ああ、まあ、行けばわかる! 行くぞ!」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 10:44:01.54 ID:BXjlljai0
学生食堂
ハルヒ「食堂にステージ?」
キョン「おいおい、この学校はディナーショー付きなのか?」
日向「ハハハ! まあたまにな。そろそろ始まるぞ」
フッ
ハルヒ「照明が消えた?」
キャーガルデモヨー! ガルデモノライブダワー! ウオーヒサコーウオー!
キョン「すごい盛り上がりだな」
日向「ああ、今日も大丈夫そうだ。演奏が始まったら外へ出るぞ」
ハルヒ「外へ?」
音無「ああ。天使がライブを止めにくるんだ。俺たちはそれを防ぐ」
キョン「武器を使ってか? そんなに危険な――」
ギュイーンギュインギュイン!!スタタタタタタン!!!
ハルヒ「始まったわ! すごい熱気ね!」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 10:50:26.09 ID:BXjlljai0
ヒサコーヒサコー! ヒサコカワイイヨヒサコー! ヒサコタンノギターデナグラレタイオ!
ハルヒ「大人気ね!」
日向「ああ、ガルデモはこの学校で知らない奴はいないからな!」
ギュインギュイン!ドドドドドド!パンパンパン!
キョン「なあ……変な音しないか? 楽器の音に混じって……破裂音が……」
日向「始まってるな。天使が現れたんだ!」
学食外
ゆり「現れたわね天使!」
天使「……ハンドソニック」ブイーム
ゆり「!? 邪魔はさせないわ!」ズドドドドドドド
天使「……」パインパインパイン
日向「始まってるな」
ハルヒ「天使って……あれが!?」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 11:00:52.56 ID:BXjlljai0
キョン「普通の女の子じゃないか……」
ハルヒ「あの子を……これで撃てっていうの!? どういうことよ!」
音無「……ああ、けどやらなきゃこっちが……」
ハルヒ「……気に入らないわね。だいたい、天使なのに羽も輪っかもついてないじゃない!」
キョン「お前はやっぱりそっちがメインか。しかしあの女の子……銃弾をすべて防ぎきっているぞ」
音無「天使が使用する武器は俺たちには未知のものだ。おそらく、神に付与された能力だと考えられている」
ゆり「あんたたち!? 本部を守れっていったじゃない!!」
日向「あ、ああーいや、二人に早く状況を把握してもらうのがいいかと思ってな、すまんゆりっぺ」
ゆり「……まあ、いいわ」
音無「戦況は?」
ゆり「計画通りよ。そろそろ始めるわ」
キョン「始める?」
ゆり「ええ。オペレーショントルネードスタート!!」
ブイームブイーム
ハルヒ「きゃっ!? なによこの風!?」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 11:11:54.08 ID:BXjlljai0
キャーナニコノカゼー カゼデヒサコタンノスカートガメクレルオ ショクケンガーショクケンガー
ハルヒ「風で食券が舞い上がってる……」
キョン「まるで紙吹雪だな」
日向「二人ともぼさっとしてんな!行くぞ!」
キョン「行くってどこにだ?」
ゆり「好きな食券を掴みなさい! じゃないと食いっぱぐれるわよ!」
ハルヒ「何ですって!? 行くわよキョン!!」
キョン「そういえばここへ来てから何も食ってなかったな。しかし死後の世界でも飯を食わなきゃならんとはな」
音無「ああ、俺も最初は驚いたぜ」
ハルヒ「キョン!そっちにとんかつ定食が飛んでいったわ!捕まえなさい!」
キョン「へーへー……」
音無「ほんと……大変だなお前」
キョン「ああ、もう慣れたさ」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/07(月) 12:33:55.68 ID:BXjlljai0
もう書けない