1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/14(木) 00:18:58.51 ID:ajfNEHjz0
俺はいつもの通学路を歩いていた
雪こそ降らないものの今日は最近で一番冷え込んでいるような気がした
さすような寒さに思わず身震いする
いつも思うのだがあの万能宇宙人長門でさえ余裕で凍結しちまいそうな寒さの中
手袋もせずに自転車に乗っている奴は何を考えているのか俺には到底理解ができない
氷のグローブでも手に入れるつもりか?
そんな俺には最近ハマっているものがある
朝の通学路の途中にある自動販売機であたたか〜いココアを買って
歩きながら飲むことだ
今日もやっとその自動販売機にたどり着いた
ガッチョンッ
今し方購入したあたたか〜いココアを手で包む・・・
そんな状況に心癒されふぅ〜とため息をつくと
吐く息が白く俺の目の前を霞んでいった
本格的に冬がやってきたみたいだな
そんな毎日と変わらぬ朝を過ごしていると
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/14(木) 00:25:39.41 ID:ajfNEHjz0
「よ〜うキョン!」バンッ
ぼはぁ!
俺がココアを口に運び飲み込もうとしたまさにその時
谷口の奴が俺の背中を叩きやがったせいで俺は盛大にむせた
「何すんだてめぇ」
谷口「あ、すまんすまん、大丈夫か?」
俺のブレザーからは俺の口から吐き出されたココアが染み込み
ほんのり甘い香りが漂っていた
大丈夫じゃねぇよ・・・
谷口「悪かったって!ほら、今日一日だけ俺の上着と交換してやるからよ」
谷口のブレザーは入っていてはいけないものが入っていそうで
とても嫌な予感がしたのだが
他にどうする手立てもないので俺は仕方なく谷口と交換した
そうこうしている内にチャイムが鳴った
完全に遅刻だ・・・
やっちまった
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/14(木) 00:28:43.24 ID:ajfNEHjz0
遅れて教室に入ってくる俺をハルヒがニヤニヤした顔で出迎える
なんだか今日はいつになく機嫌がよさそうだ
「遅刻なんてめずらしいじゃない!てっきり死んだのかと思ったわ!」
おいおいなんてこと言いやがる
冗談でもやめてくれ
なんせお前の冗談は冗談じゃなくなる可能性があるからな
「何言ってんのよあんた自殺願望でもあんの?」
ある訳がないだろう
そんな会話をしているといつの間にか教科担任がやってきていた
これから放課後まで睡魔と闘うことになるのは言うまでもないだろう
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/14(木) 00:31:28.55 ID:ajfNEHjz0
キーンコーンカーンコーン
やっと終わったか・・・
そうつぶやくと俺は席をたった
と同時にハルヒが俺のネクタイを掴む
「行くわよ!キョン!」
いつもの笑顔でそう呼びかける
お、おいおいちょっと待て!!
そういうとめずらしくハルヒは立ち止った
「何よ?」
俺今日掃除当番なんだよ
だからすまんな、先に行ってくれ
「仕方ないわね・・・5秒で終わらせなさいよ!キョン!」
無理だ
しかし俺のそんな意見が聞く耳を持たれるはずもなく
言い終わる前にハルヒは駈け出していた
やれやれ・・・
しかし若干ハルヒの表情が曇った気がしたが今日は機嫌がいいようだし
単なる俺の見間違いだろう
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/14(木) 00:34:07.51 ID:ajfNEHjz0
無事に掃除当番を終えて部室へと辿りついた
コンコン
「はぁ〜い」
ガチャリ
「あ、キョンくんこんにちは」
こんにちは朝比奈さん
そういうと俺はいつもの席に着く
案の定俺が最後だったみたいだな
ハルヒは今にも遅いわよと言いたそうな顔でこっちを見ている
長門は相変わらず本を読んでいる
そんな俺に朝比奈さんからお茶が渡された
みくる「どうぞ」
ありがとうございます
今日はココアが飲めなかった分いつもの3倍はおいしく感じますよ
みくる「ふふ、ありがとうございます」
天使の頬笑みが俺に向けられる
ハルヒ「あんた気持ち悪いわよ」
は?
ハルヒ「デレデレしちゃって気持ち悪いって言ってんのよ!」
そういうとハルヒはあからさまに不機嫌な顔をしてその視線をパソコンへと向けた
朝比奈さんはオロオロしながらすいませんと言っていたが
悪いのは朝比奈さんじゃありませんよ、100歩譲ってもあいつですから
「遅かったですね」
よう古泉
今日は生憎掃除当番でな
「そうでしたか・・・それよりもう準備はできていますよ」
あぁ部室に入ったときから丁寧に準備されたオセロが見えていたよ
「では早速はじめますか」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/14(木) 00:36:49.68 ID:ajfNEHjz0
なんでもないいつもと同じ風景が広がっていた
長門は本を読み古泉と俺はオセロをしていて
朝比奈さんは編み物に興じている
ハルヒはというと・・・
「っあー!もうイライラするわね!」
ご機嫌斜めのようだ
どうしたんだハルヒ?
ホームページにいたずらのメールでも届いたのか?
「なんでもないわよバカキョン!」
そういうとハルヒはマウスが壊れる勢いでカチカチとやり始めた
何なんだよ全く
古泉「本当にあなたときたら・・・」
古泉が呆れたような苦笑いで俺を見てくる
その隙に俺は盤の角をとった
まあ隙なんか見せられなくてもオセロはいつも俺が勝つんだがな
それからしばらく古泉とのオセロを続けていると
・・・パタンッ
長門の合図と同時に帰り支度を始める
今日も一日が終わったな
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/14(木) 00:39:12.90 ID:ajfNEHjz0
家に着くと俺はベッドに寝転んだ
時刻はすでに17時半
冬が近づいてきただけあって辺りは既に暗くなっている
最近は学校と部活で一日が終わる
しかし俺はそんな充実した日々が気に入っていた
今日はハルヒのやつ朝は普通だったのにいきなり不機嫌になったな
どうしたってんだ?
すると急に携帯が鳴り始めた
ん?電話か?
そう思って携帯のディスプレイを見てみると
そこには涼宮ハルヒの文字があった
もしもし?なんだ?俺は今眠いんだ
この時点で俺は違和感に気付いた
いままでハルヒとの電話で「もしもし」なんて言う機会があっただろうか?
「・・・あんたちゃんと公園に来なさいよね」
ちゃんと?・・・分かった、いつだ?今すぐか?
「ええ今すぐ来てちょうだい」
心なしかハルヒの声は怯えている・・・?
というより不安で仕方がないという感じか?
怒りの感情も感じられる
ギリギリまで押し殺しているがその片鱗が見えてしまっている感じだ
とにかく一大事だ
何があったというのだろう
わかった今から家をでる
着くのは20分後くらいになると思う
「・・・わかったわ」
そういうとハルヒは電話を切った
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/14(木) 00:41:44.06 ID:ajfNEHjz0
俺は急いで公園へと向かった
しかし何かがおかしい
電話のハルヒからはただならぬ気配が感じられた
それなのに古泉や長門からはなんの連絡もない
何もおこっていないのだろうか
閉鎖空間さえ出現していないのか?
とりあえず今は会って話してみるしかないな
キキィー!
自転車のブレーキが激しい音を出した
それ相応のスピードがでていたのだろう
しかしようやく俺は公園へ到着した
ハルヒはどこだ?
いつものベンチか?
そう思い俺はベンチへと向かう足を速めた
ハルヒッ!
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/14(木) 00:45:14.58 ID:ajfNEHjz0
そう呼んでみたが返事がくるはずもなかった
ハルヒはそこに居なかった
おかしいな
俺は公園中をくまなく探したがハルヒの姿は見当たらない
なんだってんだ人を呼び出しておいて
既に公園に到着してから15分は経過している
いつものハルヒなら
「あんた一体何やってんの!?」
などというお怒りの電話がかかってくるはずなんだが
俺はハルヒに電話をかけてみることにした
プルルルルルル・・・ガチャ
おいハルヒ、どこにいるんだ?俺はもう着いているぞ
「・・・」
ハルヒ?
「最低」
え?
おいハルヒ!いきなりそんなことを言われてもな
だいたいここに呼びだしたのはお前だろう?
それなのにお前の姿がないなんてどういうことだ?
つまらないドッキリだったら承知しないぞ?
お前はどこにいるんだよ自分から呼び出しておいて人を待たすなよ
「最低だって言ってんのよ!!!!!!!!」
鼓膜が破れるんじゃないかというくらいでかい声がした、耳が痛い
何を言っt「もういいあんたなんかと話したくない!!!!!」
ガチャ!・・・・ップーップー
訳が分からない
呼びだされてこの仕打ちを受けさすがの俺でも感情を抑えることはできなかった
ったくなんだってんだよ!!
そういいながら近くに落ちている空き缶を蹴り飛ばした
爪先がジンジンと痛むのがなんだか余計に俺の気分を悪くした
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/14(木) 00:49:49.03 ID:ajfNEHjz0
不機嫌な顔のまま玄関を開けるとそこには妹がいた
「キョンくんどこ行ってたの〜?なんか顔が怖いよ〜?」
いやいやなんでもないんだ
「本当に〜?」
いいって
「でもなんか怒ってるみたい「いいっつってんだろ!!」
気がつくと俺は怒鳴っていた
そんな俺を見て妹はみるみるうちに涙目になっていく
「キョンくんのバカ〜!!!」
俺は何をやっているのだろう
妹にあたって何になるんだ?
俺はすぐに謝った
しかし妹はそんな俺の声を受け入れずドタドタと走っていってしまった
廊下を走っちゃいけません!なんて言えたらどんなにいいだろう
今の俺にそんなことをいう資格はない
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/14(木) 00:53:29.13 ID:ajfNEHjz0
今日は気分が悪い一日になっちまった
ハルヒのやつはいまだに意味がわからない
怒りながらも俺は帰り道必死に考えてみたんだが
何を怒られたのか俺には理解できなかった
こんな日は早いとこ寝ちまおう
そう考えているとまた電話が鳴った
ハルヒか!?
「おやおや、期待に応えられなくて非常に残念です」
なんだ古泉か・・・
「なんだとはあなた一体どの口がそんなことをおっしゃっているのですか?」
・・・なんなんだよ
「あなたは自分が招いた事態を理解しているのですか?」
すまんな古泉、さっぱりなんだ
ふざけた調子でそう言ってみる
なんだかバカらしくなってきたのだ
何も悪くない俺が何故こうも怒られにゃならんのだ
「本気でそうおっしゃっているのですか?」
いつになく真剣な声だったが今の俺には
腹立たしいことこの上ない
ああ、本気さ、俺は何もしていない
公園に呼ばれてさんざんハルヒを探しまくった挙句怒鳴られただけさ
「そうですか、あなたには失望しました」
ああ、そうかい
「もう電話をかけることもないでしょう」
それはありがたいね
「では」
おうよ
そう言うと俺は思いっきり電話を切って携帯をベッドの上に投げ捨てた
こんな時でも携帯が壊れないように配慮しちまうなんて
そういいながら腹の虫をおさめようとしたがどうしてもおさめることができなかった・・・ちくしょう
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/14(木) 00:58:06.60 ID:ajfNEHjz0
次の日の朝
今日は妹が起こしにこなかった
いつもは迷惑な行為もいざなくなると寂しいもんだな
なんで起こしにきてくれなかったんだ?
なんて理不尽な怒りをぶつけようとしたときには
昨日のことを全て思い出していた
・・・ったく、朝から気分が悪い
憂さ晴らしも含めて今日は少し早めに家を出ることにした
そうして俺は家を出てまっすぐ学校へ向かった
こんな日でも休まず登校しちまうあたり俺はまだハルヒや古泉との仲直りを
どっかで求めてるんだろうな、ああ認めるよ。
その日はココアなんてとても買う気分じゃなかった
教室に着くとやはりと言うべきかハルヒの姿はなかった
しかし鞄は置いてあったので学校には来ているのか?
予想外である
部室にでもいるのか?
俺は心のどこかで求めていた「仲直り」という可能性に負け部室へと足を運んでいた
遅刻?
そんなものは一度したら何度したって同じことだ
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/14(木) 01:00:32.25 ID:ajfNEHjz0
コンコンッ
返事がない
ガチャ
・・・朝比奈さんがいた
朝比奈さんおはようございます
ハルヒのやつ見ませんでしたか?
みくる「・・・」
朝比奈さんは椅子に座り俯きながら手を膝の上でギュっと握っている
あの、朝比奈さん?
みくる「・・・出て行ってください」
・・・そうか
そうなんだな、俺がバカだった
仲直りなんてこっちから願い下げだ
そう言うと俺は勢いよく扉を閉め、部室から出た
教室から戻る途中長門とすれ違ったが長門は俺のことを見向きもしなかった
いつものことなのだがどうやら今の俺にはそうは思えなかった
本当に気分が悪い
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/14(木) 01:03:05.78 ID:ajfNEHjz0
教室に着くとハルヒがいた
・・・と思うと俺を視界に1秒も入れたくないとでも言うように教室を出て行った
イライラする
いつになく機嫌の悪そうな俺に異変を感じたのか谷口や国木田さえ俺に
話しかけようとはしなかった
その方が好都合だ
今の俺は何に対しても腹を立ててしまいそうで迷惑がかかるからな
放課後俺は部室に行こうなんてこれっぽっちも考えなかった
そそくさと帰り支度をしていると長門が扉のところに立っていた
長門は俺のこと怒っていないのか?
長門「・・・」
どうなんだ?
長門「・・・怒っている」
そうかい
それだけ聞くと俺は足早に立ち去った
もう何も見えなくなっていたのかもしれないな
そうして俺は家に帰った
もしかしてという思いと罪悪感から携帯をチラリと見てみたのだが
長門からどころか朝と何にも変化のない無反応な携帯がそこにあった
その事実を確認して俺はまだ期待していたのかと自分が嫌になった
もう忘れよう
俺はこれから毎日平凡な日々を過ごすのだ
そうこう考えている内に俺は眠ってしまっていたみたいだ
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/14(木) 01:06:01.32 ID:ajfNEHjz0
次の日
この日もハルヒは学校に来ていなかった
あいつがいないとここまで学校は退屈になるのか
俺の背中に刺さるシャーペンの刺激がないことに俺は寂しさを抱いていた
しかしその反面公園での出来事を思い返すと煮えくり返るような思いもあった
そうだ
俺はハルヒや古泉に長門、それに朝比奈さんにまで嫌われている
もうあの日のように過ごせることはないだろう
いっそのこと携帯から番号を削除してやろうかとも考えたが
どうしてもそれだけはできなかった
そうしてなんの刺激もない授業が次々と終わっていった
原因は分からないが俺は不思議なことに授業中睡魔と闘うことはなかった
というより、闘うことができなかった
放課後
帰るとするか・・・
そうして今日も俺は支度を始めていた
ふと扉に鶴屋さんの姿が見えた
俺は声をかけようとしたがすぐその隣に居る人の存在に気付いて
早々と別の扉から帰ってしまった
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/14(木) 01:08:22.86 ID:ajfNEHjz0
家に着いた俺は放心状態だった
何も手がつかない
服もそのままでベッドに寝転んでいた
携帯も鳴りやしない
やはりこの期待感は拭えなかった
朝比奈さんは放課後鶴屋さんとどうして俺の教室に来たのだろう
そんなことを考えてしまうからだ
俺の気持ちは少しずつ傾き始めていた
というかそう何日もずっと怒り続けるなんて器用なマネは俺にはできない
・・・ということにしておいた
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/14(木) 01:12:42.72 ID:ajfNEHjz0
次の日
「こらっ!キョンくん起きなさい!」ドカッ!ぐほぉ!
・・・今日は妹が起こしにきてくれた
どうやら許してくれたみたいだ、ありがとう妹よ
妹が許してくれていたこともあってか俺は取り戻しつつあった
期待というものがさらに大きくなった気がした
「もしかしたらハルヒの力でいつもの毎日に戻ったのかもな」
なんてバカげたことを考えながら学校への道を歩いていた
そういうこともあってか、今日はココアを買うことにした
今日は谷口とは会わなかったのでココアをおいしくたいらげることができた
そうして学校へたどり着き靴を履き替えているといつの間にか長門がいた
俺は本当に素直になれないな・・・この前のことを謝りたいのに「この俺に何の用だ?」なんて言葉しか
でてこない
長門「この前のこと」
ん?なんだよ?
長門「・・・私は怒っていない」
怒っていると言っていた口はどの口だ?
長門「この口」
あれはなんだったんだ?
長門「・・・もう」
もう?もう怒っていないってことか?
長門「そう」
それは嬉しいね、ありがとよ
長門「放課後待ってる」
部室か?
長門「そう」
行けると思ってんのか?
長門「思っていない」
じゃ、無理だな
長門「・・・教室にいて」・・・そういうと長門はスッっと行ってしまった
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/14(木) 01:15:05.10 ID:ajfNEHjz0
放課後教室か
しかし長門は許してくれたみたいだな
許すも何も俺はなにかした覚えはないんだが
教室に着くとハルヒは休みのようだった
授業は特に何事もなくいつも通り終わっていった
どうやら俺の周り以外はいつもと変わらない時間が流れているようだ
そんな変化の中心にいる自分にそろそろ疲れ果てていた
「謝りたい」
そんな衝動に駆られていた
何が悪いのか見当もつかんが皆があれほど怒っているんだ
俺は相当なことをしてしまったのだろう
とにかく謝りたい
俺は『少し席をはずす、戻ってくるから待っておいてくれ』
というメモを長門のために机に残し、あろうことか部室へと足を運んでいた
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/14(木) 01:17:32.98 ID:ajfNEHjz0
コンコン
返事はない
俺は扉の前で深呼吸をして気分を落ち着かせどう言うか考えていた
しかし最適なセリフは何も思い浮かばない
ええい!もうとにかく謝ればいいんだ!全力で!
ガチャリッ!!・・・勢いよく扉を開くと同時に俺は地面に手をついていた
皆!!!すまなかった!!!!!!!
・・・シ〜ン
へ?
顔を上げると部室はカラッポだった
なんだよとため息を着いた瞬間
古泉「やれやれ・・・あなたという人は格好がつきませんね」
後ろを振り返る・・・ニコリと笑う古泉
みくる「キョンくんは大バカ野郎ですぅ!」
そういいながら朝比奈さんが号泣していた
ああ・・・よかった
俺は許してもらえたんだな
肝心なあいつにはまだ許すどころか顔も合わせてないが皆がいればなんとかなると信じていた
「やはり俺にはここしかないみたいだ・・・皆、すまん」
もう一度そう言いなおすと2人は微笑んでくれた
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/14(木) 01:20:15.70 ID:ajfNEHjz0
そうして今4人で教室にいる
長門にも謝っておく、すまなかった
長門「・・・いい、それより」
そうだ
どうして俺を呼んだんだ?
長門「上着のポケット」
ん?なんだ?
ガサゴソ・・・
何も入ってないぞ?
みくる「え!?どうしてですかぁ??」
古泉も驚いていた
「おかしいですね・・・」
そういうと顎に手をあて考え込み始めた
そこで俺はハッっとした
谷口・・・ボソッ
古泉「ん?何か思い出されましたか?」
谷口だ・・・!
あいつと上着を・・・
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/14(木) 01:23:11.61 ID:ajfNEHjz0
そして俺は3人にあの日の朝にあった出来事について詳しく話した
するとなんとまあいいタイミングで谷口が現れた
「おーい、キョン・・・と、皆さんお揃いで」
谷口・・・
「やっとだよ、お前昨日何を怒ってたんだ?怖くて話しかけられなかったぞ」
いいから早く返せ!!
「お、おい!なんだよどうしたんだ!?」
そうして俺は無理矢理谷口からブレザーを脱がせ上着を交換した
そうかあれ以来俺は谷口のを着ていたんだったな
すっかり忘れていた
「どうしちまったんだよ・・・?そんなに慌てなくてもいいじゃねぇか
ちょうど今返しにきたとこなんだぜ?」
ぶん殴ってやりたい衝動に駆られたがこいつにも悪気はない
あの日の俺と同じ立場の奴がもう一人増えるのはごめんだからな
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/14(木) 03:19:39.89 ID:ajfNEHjz0
すまん手違いで書き溜めしていた文章が全て消えた
思い出しながらだから話の劣化とペースが落ちるのは了承してください
古泉「そういうことでしたか」
長門「予想外」
谷口「なんだってんだ一体!?」
やはりこいつには痛い目にあってもらった方がいいな・・・
なんて考えていると谷口は何かを察したのか「用事思い出したから!じゃ、じゃあな!」と言い残し逃げるように去っていった
古泉「どうやら私達も謝らなければならないようですね」
みくる「キョンくんごめんなさい・・・」
いえいえいいんですよ何万歩譲ろうと悪いのはあいつなんですから
と、長門が上着のポケットを指さした
ああ、そうだな
俺はポケットの中を漁る
カサ・・・
ん?
そこには一枚の紙が入っていた
洗濯されてカピカピな上にところどころ文字がかすんでいる
『・ョン!今・の17時半に私の家・近くの公園に集・よ!!遅れ・ら死刑だ・ら!!』
要約してみると
キョン!今日の17時半に私の家の近くの公園に集合よ!!遅れたら死刑だから!!
なんともハルヒらしい文章である
しかしこれはなんだっていうんだ?
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/14(木) 03:30:48.50 ID:ajfNEHjz0
古泉「あなたは鈍感なので忘れられていたかもしれませんが」
おいおいいきなり失礼だな
古泉「その日はあなたの誕生日だったでしょう?
ですからあなたを驚かせようと涼宮さん発案で秘密裏に誕生日会の計画を練っていたのですよ」
なんだって・・・?
みくる「その中でも涼宮さんの徹底ぶりは凄かったんですから。私達も何度口止めさせられたか・・・」
長門「涼宮ハルヒはこの日をとても楽しみにしていた。」
古泉「あの日私達も公園で待っていたんですよ。しかしあなたは来ないどころかひどいことを言っていた・・・。怒るのも仕方がないです。」
古泉の言う通りだ
俺はバカだ
知らなかったから仕方がない
そんな言葉で軽々とすまされてしまう話ではなかった
『俺は今眠いんだよ
つまらないドッキリだったら承知しないぞ?』
あの時の自分の声が脳に響く
最低だ
俺もハルヒの立場なら最低だと言っていただろう
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/14(木) 03:46:34.74 ID:ajfNEHjz0
ハルヒのことを考えるととても胸が痛んだ
誕生日・・・
そんなことはすっかり忘れていた
そうか
だからあの時妹は俺の帰りを玄関で待っていてくれていたのか
またもや謝罪の念がこみ上げる
しかもハルヒと一緒に居た古泉や長門が俺に連絡できるはずもない
俺は今すぐにでもハルヒと話がしたい衝動に駆られた
おい長門!!
ハルヒは今どこに居るんだ!?
みくる「私達も行きます」
古泉「そうですね。私達がいた方が涼宮さんもあなたのいうことを信じられるでしょう」
すまないが俺1人で行かせてくれ
古泉「・・・なぜです?理由をお聞かせください」
俺はお前たちに大変な迷惑をかけた
ここ数日閉鎖空間とかすごかっただろう?
古泉が頷く。
だからこの問題に関してはこれ以上の迷惑はかけたくない
それに今のハルヒの状態では
俺一人だろうが4人で行こうが俺に対する態度は変わらないだろう
俺の話には聞く耳持たず
「行くわよ皆!」なんて言ってどこかに消えてしまうかもしれない
そうなると俺がハルヒに謝る手はなくなるだろう
その場合古泉達がハルヒに説明してくれて仮に俺のことを許してくれたとしても
それでは意味がない
そうだろ?
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/14(木) 03:55:13.24 ID:ajfNEHjz0
古泉「・・・渋々ですがわかりました、いいでしょう。しかし私達は何が起きても迅速に対応できるように近くで待機させていただきます。いいですね?」
長門「それは私からもお願いする」
ああ、わかった
ただしハルヒからは見えないような場所に居てくれ
頼む
みくる「私達の存在がバレたら意味がありませんもんね」
古泉「わかりました」
そして俺は長門からハルヒの居場所を聞いて全速力で駆けだしていた
古泉に「車がありますがどうします?」と聞かれたが
これに関しては俺自身で解決をしなければならない気がしていたので断らせてもらった
ハルヒはそこにいる・・・
とにかく今は一刻も早くそこに辿りつかないとな
そしてハルヒの笑顔が一刻も早く・・・見たい
やばい全然思い出せない
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/14(木) 03:57:35.36 ID:ajfNEHjz0
ハァッ!・・・ッ・・・ハァ!・・・ハァ!
俺はこんなに長い距離を全速力で走り続けたのはきっと
いや確実に人生で初めてのことだろう
今までにない激しい鼓動を感じている
今にも破裂しそうな肺の機嫌を伺いながら
俺はそこへ足を踏み入れた
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/14(木) 04:02:43.18 ID:ajfNEHjz0
>>56
すまん眠いんだ
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/14(木) 04:05:20.86 ID:ajfNEHjz0
ハァッ!・・・ッ・・・ハァ!・・・ハァ!
俺はこんなに長い距離を全速力で走り続けたのはきっと
いや確実に人生で初めてのことだろう
今までにない激しい鼓動を感じている
今にも破裂しそうな肺の機嫌を伺いながら
俺はそこへ足を踏み入れた
ギーコッ・・・ギーコッ・・・
その公園の静寂を破る音は錆びた鉄からでる規則的な音だった
俺は今あの時・・・17時半に来るはずだった場所へ来ている
風で草と草が擦れあう些細な音は今の俺の耳には入ってこない
俺の耳が聞き取れるのは1人の少女が奏でる
決して美しいとはいえない錆びた音だけである
ギーコッ・・・ギーコッ・・・
本当に寂しそうな音だな・・・
長門によるとハルヒはあれから毎晩ここに1人で訪れていたようだ
俺が近づくにつれてハルヒの存在がくっきりと浮かび上がってきた
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/14(木) 04:26:21.88 ID:ajfNEHjz0
「ハルヒ」
俯いていた顔を上げたハルヒは驚きの表情を浮かべていた
「すまなかった」
ハルヒは何もしゃべらない
ただその頬を大粒の涙が伝うのみである
ハルヒはまた俯いてしまった
するとハルヒが話しだした
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/14(木) 04:28:52.96 ID:ajfNEHjz0
キョン・・・
私ね、すごく・・・怒ったわ
キョンなんてこの世からいなくなればいいのになんて思うほどに
でもね、そんなことを考えると何故かすごく胸が痛むのよ
キョンの誕生日を何日も前から楽しみにしてたし計画を練っている間は凄く楽しかった
「ハルヒ・・・」
そんな日々を送っていたら私は自分の中でのキョンがどれほどの存在なのか
どれほどの大きさなのか・・・気がついたの
だから当日はなるべく一緒に居たかった
でもキョンは朝から遅刻してくるわ放課後は掃除当番で遅れるわ部室にきたらみくるちゃんにデレデレするわで本当にイライラしたわ
「す、すまない・・・」
そして電話であんなこと言われて
一生許したくないって思った
何日かは本当に腹が立ったわ
でもやっぱり自分の気持ちに嘘はつけない
キョンと関わらない生活を送れば送るほどにその怒りは寂しさに変わっていった
それと同時に不安になったのよ
もうキョンと今まで通り接することができないかもしれない
そう考えると学校に行く気力も無くなったわ
一度だけ行った時もキョンの姿を見るとなんだか不安になって
私は逃げるように帰った
もう話すことも、目を見ることもできなくなるんじゃないかって考えたら
すごく怖かった
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/14(木) 04:41:56.55 ID:ajfNEHjz0
この先がどうしても思い出せない
ひどい内容になるが即興で考える
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/14(木) 04:46:54.57 ID:ajfNEHjz0
でね、キョン・・・
「何だ?」
さっきも言ったんだけど
私はこの数日間で自分の気持ちに気がついたの
本心にね
今までその気持ちが何なのかわからなかったんだけど
ようやくわかったの
私、キョンのことg「ちょっと待ってくれ」
な、何よ!
今人がせっかく!!「俺も話したいことがある・・・というかほとんどお前と一緒なんだがな」
え?
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/01/14(木) 04:50:55.54 ID:ajfNEHjz0
俺はお前のことが好きだ、ハルヒ
・・・え?
だ、だってキョンは私が嫌いになったから誕生日会に来なかったんでしょ?
違うの?
「それには色々と誤解がある」
俺はハルヒに谷口とのいざこざを説明した
この誤解を解く行為には苦労させられると思っていたのだが
ハルヒは真剣に聞いてくれていた
いつもの迫力がないぞ、ハルヒ
ハルヒ「そうだったのね・・・なーんだ」
なーんだとはなんだなーんだとは
ハルヒ「なんだか悩んでた私がバカみたいじゃない」
それに関しては同意見だ。悩んでいた俺がバカみたいという意味で。
ハルヒ「それなら谷口をボコボコにしたら万事解決じゃないの!」
おいおい・・・今となっては俺もその意見には賛成だが。そのままの意味で
ハルヒ「見てなさいよ谷口の奴!!顔が分からなくなるくらい痛めつけてやるんだから!!」
さようなら。谷口さん。今までありがとう。
しかし言っている内容はどうであれ今のハルヒは
いつもの笑顔だ
俺は今まで朝比奈さんのお茶の飲みに部室を訪れていたが
今度からお前のその笑顔を見るために部室へ来ることにするよ
そういうとハルヒは最初にムっとした顔をしたがその後すぐに
「毎日最っ高の笑顔をみせてやるんだから!覚悟しときなさいよ!!」
と言っていた
ありがとな、ハルヒ
早速その最高の笑顔とやらを見せてもらったよ
終わり
俺死亡
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/01/14(木) 04:54:10.00 ID:ajfNEHjz0
支援とかまじでありがとうございました
なのに最後グダグダですいませんでした
思い出そうとしたら頭の中がうぉぉぉぉぉぉ!ってなって
戦国乱世みたいになります
寝ます
ありがとうございました