ハルヒ「……無理」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 05:27:03.26 ID:KqkwwffA0

俺の知り合いに、恋愛は一種の精神病だと宣う奴がいる。

俺としては、その意見に諸手を挙げて賛成できないものの、
共感できるのもまた事実だ。

しかしながらと言うべきか、だからこそと言うべきか、
病と言うものは罹りたくて罹るものではなく、
罹りたくなくとも、予防をキチンとしていても、
いつの間にかなってしまっていたりするものである。

その点でさえも見越して、恋愛は一種の精神病だと言ったならば、
俺は至言だと思うね。

そいつに一度問うてみたい。

この状況は何なのか。

この気持ちは何なのか。

こい、というものなのか、とね。

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 05:28:00.81 ID:KqkwwffA0

そりゃな、俺だって心憎からず思ってはいたさ。

――しかしだな。

時間は一時間ほど前に遡る。

「――と、いう訳でっ!」

こいつにしては困ったような、しかし、勢いだけはこいつそのものの笑顔で、
ハルヒはそう叫ぶように宣言した後で、話し始めた。

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 05:29:11.90 ID:KqkwwffA0

「カップルらしいこと、その……えっと『6』……?!」

――キーン……

至近距離で大声を出されたため、耳鳴りがする。

刑事ドラマよろしく突きつけてくる手のひらサイズの手帳には、
そのカップルらしいことが連ねてあるのだろう。

きっちり閉じてあって中身は見えないため、
断言はできないが、でないとここで手帳を突きつける意味が解らない。

手帳を持ってない右手はなぜか親指を立てて握っている。

「あんたの奢りでご飯デートっ! さあ、どんどん食べましょ」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 05:30:21.08 ID:KqkwwffA0

「……その『5』くらいじゃなかったか……?」

耳鳴りが治まらず、箸を握った手を耳に当てたまま、
俺は記憶を辿ってそう返した。

「そうだったっけー!?」

しかし、ハルヒは困ったように寄った眉根はそのままに、
「あはは」と笑うとそう言った。

「……というか、だなぁ」

これまでの『カップルらしいこと』を思い出して、
俺は流石に声に怒気が混じることを抑えられなかった。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 05:32:22.22 ID:KqkwwffA0

しかし、そこまで言って俺は急に脱力して、机に突っ伏した。

この場に充満する匂いが急激にやる気を奪うのだ。

「『にんにくラーメン専門店で奢り』って言う、
 このデートにあるまじき漢らしさ……ッ」

「おいしいでしょー」

ハルヒは先ほどまでの困ったような笑みではなく、清々しい笑みでそう宣うのだが、
もわーんと漂うにんにくの匂いがその清々しさを帳消しにしている。

周りから聞こえるラーメンを啜る音もその一端をになっている。

「旨い……けどもっ……」

俺は突っ伏していた頭を上げて、
今度は左手でその頭を抱えて首を小さく横に振った。

やれやれと溜息をつくやる気さえ奪うのがこの場の匂いである。


7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 05:33:40.65 ID:KqkwwffA0

「お前に常識とかデリカシーを求めた俺がバカだったっ」

「いっいや、求めて欲しいわよ? あたしは!!」

俺の言葉に反応してこちらを振り返るハルヒ。

その顔には再び困ったような笑みを浮かべており、
なぜか左手は握られ、親指が立っている。

どこか必死なのだが、場所が場所なだけに間抜けだ。

「……っっことわるっ!」


8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 05:34:47.21 ID:KqkwwffA0

俺はそう言うと、諦めて出てきたラーメンに再び取り掛かった。

ああ……悔しいがスープも旨い……
最近、腹回りが気になり始めたというのに……

泣いていいかな、俺。

流石に泣くわけにはいかないが、小言くらい並べ立てても罰は当たるまい。

「『カップルらしいこと』どころか、『ろくでもないこと』ばっかだったじゃねえか。
 ――例えば、このあいだのぶぅっ」

「はーいはいはいはい。忘れて忘れて忘れなさいっ!」

ハルヒは俺が話している最中にも関わらず、
俺の後頭部を掴んでぐしゃっと顔面から机に押し付けた。

ラーメンに直撃しなかったのはハルヒなりの気遣いかもしれないが、
そんなことはどうでもいい。


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 05:36:18.40 ID:KqkwwffA0

俺は机に押し付けられた頭を起こし、ハルヒに向き直ると、
溜まりに溜まった鬱憤を晴らすべく、口を開いた。

「い゛っ……てえな。何すっ――」

しかし、俺はそこまで言ったところで口を閉じた。

「……あー」

何を言おうか悩むように頬を掻くハルヒの表情を見ると、それ以上は言えなかった。

「……ごめん」

……いや、だからな。そうじゃなくて――……

まだヒリヒリする額を気にしながら、俺は数日前のことを思い出していた。


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 05:37:33.67 ID:KqkwwffA0

俺たちが暮らす街の近くを流れる川。

その土手は近くの学校の運動部員らがロードワークするのに持って来いであり、
体育のマラソンでもこのコースが使われることがあるようだ。

そして、朝や夕方には近所の中年がジョギングをしていたり、
小中学生と思しき子どもらが犬の散歩をしたり、遊んだりしている。

そこの橋の見える河川敷に俺たちは向かい合って座っていた。

「…………」

無言は俺とハルヒの二人分である。

ハルヒが口を開き、俺はドキリとした。


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 05:38:43.50 ID:KqkwwffA0

「……無理」

しかし、そのセリフを聞いて、今度は呆然となった。

「あっはっは!
 だってさぁっ、あたしたち何年バカ仲間(トモダチ)やってきたと思ってんのよっ!」

まさに抱腹絶倒といった体で、ハルヒは尚も続けた。

「今更こんなマジメにやるの無理よっ!!
 ついこのあいだまで、この調子であんたの鼻の穴に指突っ込んだりしてた……」

それは許してはいねえよ。

「って、あっ。ごめっ……」

俺が睨みつけてやるとハルヒはビクッとなり、すぐシュンとなった。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 05:40:23.15 ID:KqkwwffA0

――だって、こういうのは困るじゃねえか。

「……その相手に告白してきたのはお前だろ」

俺はいろいろなものに耐え切れず視線を逸らしてそう言った。

「……あー」

ハルヒは顔を上げてしばらく考えるようにしていたが、
膝を抱えるように身体を丸めると、その膝に顔を埋めた。

「そうなん、だけどさあ」

俺たち二人とも。

もし『失敗』だったとしても。

――何もなかったことにはできないって、気付いてしまった。

「恋人」にしたかったわけじゃないって。

……やっぱり「友達」の方が良かったって、後悔されてる気がして。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 05:42:30.83 ID:KqkwwffA0

「ごちそーさまっ!」

そう言ったハルヒが、そのままドンブリを机に叩きつけた。

どん! という重厚な音が店内に響き、意識が現実へと引き戻されていく。

俺もラーメンの最後の一口を食べ終えると、伝票を手に取り、席を立った。

俺たちは防寒着を身に付けながら、レジへと向かう。

「会計お願いします」

「おおきにっ! お会計三千九百円になりますっ!」

その値段の大きさに驚きながらも、千円札を四枚渡し、百円と割引券を貰う。

「このやろう……サイドメニュー制覇しやがって。しかも、全のせ……」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 05:45:08.78 ID:KqkwwffA0

「ごちそうさまっ! 味玉サイコーでした。黄味トロトロでー」

俺の愚痴が聞こえていてあえて無視しているのか、
聞こえていないのか、ハルヒは会計をした店員に話掛けている。

「いい食べっぷりだったよ、姉ちゃん! また来なよっ!」

そんなハルヒと店員との会話を聞き流しながら外に出ると、
いつの間にか雪が降り出していた。

「あ、雪……」

結構長い間降っていたのか、積もってまでいる。

しかし、二人の息は確実にニンニク臭いわけで、
情緒もへったくれもあったものではない。

俺は、寒さに身を縮こまらせて、ポケットに手を突っ込んで歩き出した。

「あ、ねえ」

「……へ?」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 05:47:35.31 ID:KqkwwffA0

俺が振り返ろうと顔を横に向けかけたところで、
ハルヒの顔が視界全体に広がった。

「――……!」

俺が思わず口元に手を当てるのとほぼ同時に、
ハルヒは素早く身を引き、腰に手を当てて得意げな顔をした。

「……題して、『木を隠すなら森の中』作戦」

まさかな。

「ファーストキ……がイン・ザ・にんにく臭ってどういうことだよ」

俺が呆然と呟くと、ハルヒが食って掛かってきた。

「うるさい! あたしだってそうよっ!
 そういうのは、女の方が気にするの。あたしだって悩んだわよっ」

悩みどころは意外と乙女チックだが、
語っている本人はにんにくの匂いを撒き散らしていて、非常に漢らしい。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 05:48:56.60 ID:KqkwwffA0

確かに、ファーストキスはまだかだとか、
それを気にするタイプかだとか訊かれたりはしたが、
そんなことを悩んでいたとは思いもしなかった。

「だからこそ、気を遣って二人ともにんにくまみれでっ!」

一人だけなら気になるけど、二人ともならなんて熱弁を奮うハルヒ。

しかしだな。

「お前、絶対気を遣うところ間違ってるって!」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 05:50:50.57 ID:KqkwwffA0

俺のその言葉にカチンときたようで、ハルヒは額に青筋を浮かべた。

「これでもかなり考えたのよっ!
 前みたく自然に……こう、その変に気を回させたりだとか、
 負担にならないように……って、……思っ……たんだけど」

そのセリフを俺は呆然と聞いていたが、ハルヒの声は次第に小さくなっていく。

ハルヒはそこまで言うと、振り返り、
肩からズレ落ちそうになった鞄を掛けなおした。

酒を飲んだわけでもないのに、どことなくヨロめいているように見える。

確かに、アレじゃあな。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 05:52:35.26 ID:KqkwwffA0

「……前歯」

こんな時には息は合うもので、俺とハルヒは同時にそう言った。

俺とハルヒは唇どころか、前歯まで接触させてしまったのだ。

ごつっという鈍い音が響いたことを考えると、
ハルヒがヨロめいて見えたのも間違いではないかもしれない。

「うん……かなり痛かったよなぁ……」


24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 05:54:45.40 ID:KqkwwffA0

「あ゛ー……ごめん」

俺の呟きが聞こえたのか、必死な顔でハルヒは謝ってくるが、
俺は先へと歩いていく。

「いや、今のは……うん、事故みたいなアレということで」

欠けたりはしてないと思うしと俺は言い、やれやれと右手で頭を抱えていると、
ハルヒが駆け足で追いかけてくる音が聞こえた。

「……アレって何よ」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 05:56:42.31 ID:KqkwwffA0

ハルヒの問いかけをあえて無視して、
まだ綺麗なままの雪を踏みしめながら歩いていく。

ザク、ザクという音が二人分。

「という訳で、明日も来ようぜ、ここ」

その言葉に、ハルヒは立ち止まったのか、雪を踏む音が一人分になった。

少し進むと、俺の背中にハルヒの声が掛かった。

「……うん。鋭意努力させてもらうわ」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 06:00:47.29 ID:KqkwwffA0

一途で不器用な恋愛模様を書いてみたのですがいかがだったでしょうか。

ショートショートで物足りないとは思いますが、一応終了です。

設定としては、大学生あるいは就職後であり、
憂鬱でのキスシーンは互いに夢と考えているということにしておいてください。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 06:25:27.22 ID:KqkwwffA0

PiPiPi……

キョンの携帯がなる。

あたしと二人ベッドに横たわっていたキョンは、
先ほどまで情事を繰り広げていたのに、
疲れている様子もなく携帯を確認する。

「…………」

「あー、会社のヤツから」

あたしは何も言ってないのに勝手に言い訳を始める。

そう言い訳。

あたしはそれがわかっているから「ふうん」と気のない相槌を打っただけだった。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 06:27:35.40 ID:KqkwwffA0

大学に入った頃から、キョンは目が悪くなってきたのか、
はたまた、マジメに見せるためなのか、眼鏡を掛け始めた。

今、あたしはキョンと同棲している。

あいつの愛用している眼鏡は、
ここのところネジが甘くなってきていた。

だから、キョンが気付かぬ内にこっそりと閉めるのが、
あたしの週末の日課。

別に、気が聞く女というわけじゃない。

いつかあいつがあたしのもとを離れたとき、
弥が上にもあたしの不在を感じるように。

あたしは呪いをかけているのだ。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 06:31:10.30 ID:KqkwwffA0

クラナドのラーメンのシーンで友達に借りたシギサワカヤの本を思い出して、
記憶力を頼りに書いた。

ほとんどパクリだけど反省はしていない。

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 06:35:24.18 ID:KqkwwffA0

ハルヒ「よろしくてよ」
長門「年中発情期」

上の二作を書いた人間です。
見てくれたら解ると思うんですが、地の文主体でしか書いたことありません。

普通のを書きすぎて、台本形式が書けなくなってるからで、
流行り廃りは知りません。

他の人のを見ると台本形式が多いので、台頭というわけではないと思います。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 06:42:05.59 ID:KqkwwffA0

高校生のヤツや大学生のヤツは、
「陰鬱」と言うよりも「一途」で「不器用」と印象を受けました。

その点のみ考慮すれば、少しは合うかなと。

最初のヤツは岡崎と杏で書き始めたので、
最初から合うとは思っていませんでしたが。

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 07:47:40.91 ID:KqkwwffA0

「思ってたのと違った」

それは俺にとって、十二時の鐘に等しい意味を持つ。

これまで付き合ってきた人、みんなその言葉を残して去っていった。

外面を良くしているつもりは無い。

更に言えば、付き合う前と態度を変えたつもりもない。

それでも。

その言葉を残されるということは、
俺が意識しないところで何かが確実に変わっているのだろう。

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 07:53:19.16 ID:KqkwwffA0

あるいは、彼女たちが期待していたものを俺が与えることができなかったのかもしれない。

「だから、何だってんだ」

幾度目かの恋が終わった後、俺はそう悪態をついた。

いや、悪態というには少し情けなく、
一種の強がりのようなものなのだと思う。

先輩だとか後輩だとか同僚だとか。

そういうのとして仲良くしたいと言われたこともあった。

つまりは、付き合う対象としては何かが違うというわけだ。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 08:00:17.15 ID:KqkwwffA0

俺としては、相手に対して誠心誠意応えてきたつもりだった。

それでも、思っていたのと違うと言われるならば、
俺に返す言葉はなく、結局は付き合う前には戻れないものの、
仲の良い友人というところに収まる。

そんな折だ。

あいつに再会したのは。

忘れていたわけではない。

忘れられるわけはない。

しかし、高校を卒業した後に、意外なほど疎遠になっていたのは事実だ。

なぜかは解らない。

いつの間にか、電話もメールも偶にする程度になってしまっていた。

だから、その日。

誰に会おうと驚かなかっただろうが、
駅の改札の手前であいつに会った時、
俺はかなり意表を衝かれた。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 08:14:53.70 ID:KqkwwffA0

「あれ、キョン?」

「ん? ああ、なんだ、お前か」

久しぶりに会ったというのに、
そんな昨日まで顔を合わせていたような挨拶ができることに、
俺は自分のことながら、不思議に思った。

「お前、就職この辺だったか」

「そうよ。住所の変更、メールしなかったっけ?」

そう言われれば、そんなのも来ていた気がしなくもない。

「ちゃんとそういうのは覚えておきなさいよ」

あの頃から考えればかなりトゲの抜けた笑顔で、
そいつは続けた。

「まあ、いいわ」

意外なことに、所謂SOS団メンバーの中で院に進んだのは俺と長門だけだった。

研究なんかには一番向いていそうなハルヒはあっさりと卒業し、
どこかの有名な企業に就職していた。

そして、一番向いていないと思っていた俺が院に進んでいる。

いや、人生わからないものだね。

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 08:25:36.18 ID:KqkwwffA0

「あたし、今から暇なんだけど」

「俺も暇だな」

研究がひと段落し、久々のまとまった休みだと喜んでいた矢先、
彼女に例の言葉を言われた。

今日明日の予定は全てキャンセルとなり、家でゴロゴロするか、
久々にサークルに顔を出すくらいしかやることが無かったところだ。

「あんた、夕飯は?」

「さっき、食ってきたところだ」

「……あたしはまだだから付き合いなさい」

俺に訊いた意味を問い質したい。

そう考えたところで、俺は思わず吹き出してしまった。

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 08:27:03.97 ID:KqkwwffA0

「何よ」

「何でもないさ」

そうだ、こいつはこういうヤツだった。

「いきなり笑っておいて、何でも無いわけはないでしょ?」

こいつ、涼宮ハルヒは俺の意見なんか聞きやしない。

でも、自分でも意外なほどに不快ではないんだよな。

「この辺で巧い店知ってんだ。良かったら行くか?」

「誤魔化そうったってそうはいかないわよ。
 でも、そうね。そのお店の雰囲気次第で許してあげなくも無いわ」

トゲは抜けているとは言え、物言いはそのままだな。

それで安心している俺は実はMなのだろうか。

まあいいか。

「仰せのままに、団長さん」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/12/09(水) 09:43:13.05 ID:KqkwwffA0

短編は全部吐き出しましたし、
即興師ではないので、これ以上は無理です。
時間も有りませんし。

意図や時間的なつながりは無いです。
短編集くらいに思っていただければ。

お目汚し失礼いたしました。



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