1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 00:38:07.09 ID:2Iu2Mb6e0
また今日もバイトで身も心もくたくたになり、アパートに帰る。
家で待っているのは俺の嫁、長門有希。
籍も入れてないし式も挙げてないが、俺の嫁である。
ヲタ「ただいま」
長門「……」
ヲタ「帰ってきたら『お帰りなさい』って言えつっただろ!
こっちはお前のために働いて帰ってきてんだよ!」
長門「……おかえりなさい」
ヲタ「何でそんな嫌そうに言うの? 俺の事嫌いなの?」
長門「……」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 00:39:25.84 ID:2Iu2Mb6e0
ヲタ「嫌いなら出ていってくれてもいいんだが?」
長門「ごめんなさい……次からは頑張る」
長門はいつものようによく解らない本を読んでいる。
ヲタ「お前さ、本なんて読む暇あったら家事の一つもやれば?」
長門「……部屋の掃除はしておいた」
ヲタ「掃除……? そういえば物の配置おかしいじゃねえか。
なあ、何か無くしてないだろうな?」
長門「わからない……」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 00:41:11.48 ID:2Iu2Mb6e0
ヲタ「……おい、萌え豚マガジンについてたエロチクビフィギュア応募券
どこやったんだ? ないじゃねーか!!」
長門「……捨ててしまったのかもしれない」
ヲタ「捨ててしまったじゃすまねーよ! ゴミ袋漁ってこいよ!」
長門「わかった……」
ヲタ「無駄飯食らいもいい加減にしろよ……」
長門「……」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 00:44:13.92 ID:2Iu2Mb6e0
さて、何故長門が俺の嫁になったのか説明しよう。
半年前、コアな長門ヲタだった俺は、『長門が嫁になればいいな』
なんて長門ヲタなら最初に覚える願いを、ずっと考え続けてた。
そしてある日、一通の宅配便の不在通知がポストに入っていた。
お届け先 ○○様
お届け物 『長門有希』
ご不在だったので持ち帰りました。
送り主は不明、聞いた事もない運送会社の伝票だった。
ちなみに○○様ってのは俺の名前じゃない。
きっと間違って入れたんだろう。
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 00:46:11.19 ID:2Iu2Mb6e0
でも俺は『長門有希』に興味が沸いて、不在通知に書かれていた
番号に電話してみたんだ。
ヲタ「あの、○○と言いますけど不在通知が入ってたんですが」
「『長門有希』のお客様ですね。午後2時ごろお届けにあがります」
そして指定の時間、チャイムが鳴ったので荷物が届いたと思ってドアを開けた。
長門「……」
そこに立っていたのは、長門だった。
ヲタ「え……」
長門「お届け物」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 00:47:57.68 ID:2Iu2Mb6e0
アニメのキャラクターが現実に居るはずが無い。
でも、それは確かに長門だったんだ。
どんな長門よりも長門らしい、愛らしい長門有希だった。
長門「私はあなたの嫁になる」
長門はそう言った。
彼女に、何故嫁になるのか、何処からきたのか、
誰に頼まれたのか、そもそもお前は何者なのか。
色んな事を尋ねてみたんだ。
そして、彼女は全ての質問にこう返した。
長門「わからない」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 00:51:09.02 ID:2Iu2Mb6e0
多分普段の愚鈍な俺なら、長門有希を目の前にした興奮で、
そのまま押し倒していただろう。
だがあの時の俺は冴え渡り、、脳をフル回転させて
冷静に状況判断をした。
長門の届け先は、本当は俺じゃない。
長門が嫁になる男は、本当は俺じゃない。
俺はすぐに入居できるアパートと、引越し業者を手配した。
このまま長門を自分の物にしたい。
これは一生に一度、いや何生に一度のチャンスだ。
ロクに長門に構うことなく、俺は逃亡に全力を掛けた。
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 00:53:08.91 ID:2Iu2Mb6e0
新しい住まいへの引越しが完了した時、
俺はもう一度長門に確認した。
ヲタ「お前は、俺の嫁なんだよな?」
長門「そう」
ヲタ「これからずっと一緒に暮らすんだよな?」
長門「そう」
ヲタ「どっかいったりしないよな?」
長門「そう」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 00:54:15.12 ID:2Iu2Mb6e0
ああ、俺は世界一の幸せ者なんだなって思った。
三次元のヤリマンビッチ女より遥かに美しく、純粋で、汚れていない最高の少女。
それに長門には凄い能力がある。もう、暮らしには一切不自由しない。
お金を作れといったらいくらでも作れるだろう。
世の中の『勝ち組』なんてものは、俺からすればゴミだって思ったよ。
キモメンで、童貞で、低学歴で、フリーターで、友達も彼女もいなくて、
ネットとアニメとゲームヲタクで、生きてても楽しくなかった。
でもそんなの、長門が嫁なら全部帳消しになる。
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 00:55:37.36 ID:2Iu2Mb6e0
そんな幸せいっぱいの気持ちで、
長門を押し倒した。
だが。
ヲタ「ふ、ふひひ……長門! 長門ぉぉ!」
長門「やめて」
やめて? なんで?
ヲタ「いや、俺の嫁だろ……?」
長門「こういう事はしたくない。やめて」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 00:57:43.34 ID:2Iu2Mb6e0
長門は、セックスどころか体を触ったりキスさえさせてくれなかった。
パンツを見せろと言ったって『恥ずかしい』と言って拒否するぐらいだ。
無理やり唇を奪った時は噛まれた。
無理やりスカートの中に手を入れた時は大暴れした。
無理やり風呂場に入り込んだ時は裸のまま部屋の外まで逃げた。
もちろん好きだ愛してると囁いたりもしたさ。
それでも長門は俺に興味を示さない。
何度も文句を言ったし、何度も怒鳴ったし、何度も手を上げた。
お前、俺の嫁だろう? 自分で嫁って言ったじゃないか。
夫に肌を見られるのを嫌がる新妻がどこにいる?
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 01:00:27.16 ID:2Iu2Mb6e0
ある日、何もさせない長門に苛立って、何度も顔を叩いた。
ヲタ「お前、なんで一緒に暮らしてんのに乳のひとつも触らせないんだよ!」
長門「したくない……」
ヲタ「おい、俺の顔がキモいからか? キモいから触らせたくねえのか?」
長門「そうじゃない……」
また殴り、地面に倒れた長門の手を強引に掴んだ。
ヲタ「たまには旦那様にご奉仕しろよ」
長門「なにをするつもり……」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 01:02:02.36 ID:2Iu2Mb6e0
長門「いや」
ヲタ「握れよ!」
長門「いや……」
俺は強引に男根を握らせ、そのまま手で押さえつけて上下させた。
ヲタ「あー気持ちいい……気持ちいい……」
長門「…………」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 01:04:22.00 ID:2Iu2Mb6e0
長門は泣くとき、声を出さず涙も流さない。
肩を震わせて、この世の終わりを見たような、悲しそうな目をする。
それが長門なりの泣き方だと気づくのには時間が掛かったが、
声も涙も出ない分、あまり罪悪感は感じない。
ヲタ「泣くほど俺が嫌いなの? なあ?」
長門「こういうことを……されるのが嫌……」
長門はその後俺と口を聞こうとしなかったので、
その間一日一食にしてやったら、一週間ぐらいで
ごめんさいと言ってきたので許してやった。
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 01:06:04.30 ID:2Iu2Mb6e0
長門の無駄飯食らいっぷりは、やらせてくれないだけじゃない。
この長門には、なんの能力も無かった。
ヲタ「は? お金作れないの?」
長門「できない」
ヲタ「じゃ、銀行の金庫に忍び込んだりは?」
長門「できない」
ヲタ「むかつくやつを暗殺したりも?」
長門「できない」
ヲタ「じゃあ、何ができるの?」
長門「何もできない」
こいつは、普通の人間並みの能力しかなかった。
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 01:09:00.36 ID:2Iu2Mb6e0
いや、それは違う。長門は普通の人間ができることもできない。
ヲタ「お前なんでこんな早いの? バイトどうしたんだよ」
長門「解雇された……」
ヲタ「てめえいい加減にしろよ! 何回目だと思ってんだ!」
長門「ごめんなさい……」
家で食っちゃ寝ばかりさせておくのも勿体無いので
働かせてみても、すぐにクビになる。
愛想が無い。声が小さい。協調性が無い。とにかく仕事ができない。
どうしようもない穀潰し。
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 01:10:53.51 ID:2Iu2Mb6e0
長門は、家事もからっきしだ。
ヲタ「おい、お前肉じゃがも作れないの? この物体なによ?」
長門「ごめんなさい……」
そんな長門の毎日と言えば、本を読んでいるだけ。
ヲタ「お前さ、なんでそんなに本ばっか読むわけ?」
長門「本が好きだから……」
ヲタ「俺より本が好きなのか? あーーーっ!?」
長門「叩くのは……やめて……」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 01:12:51.78 ID:2Iu2Mb6e0
そんなわけで、何の役にも立たない長門を俺は家に住まわせている。
まあ、寝てる間に体を覗いたり触ったりしてるから、オナニーの
オカズには事欠かないがな。追い出さない理由は、それが第一だ。
ヲタ「もう出ていくか? 俺はそれで構わんのだが?」
長門「お願い、ここに置いて欲しい……」
ヲタ「なんで?」
長門「行くところが……ないから……」
居たかったらやらせろよって何度も迫ったが、それは嫌だって言いやがる。
じゃあどうしろよって言うんだ。
まあでも、こいつの容姿は飛びぬけているから、
実際出て行ってもいくらでも貰い手はいるだろうな。
でも、俺はこのオナペットを他の男に渡す気もないし、
生活がやっていける間はずっと『飼う』つもりだがね。
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 01:23:00.24 ID:2Iu2Mb6e0
以上が長門とのこれまでの生活のあらすじだ。
俺が長門に失望しつづけてきた歴史でもある。
長門「…………」
ヲタ「おい、エロチクビフィギュア応募券見つかったのか?」
長門「……無かった」
ヲタ「そんなわけないだろ! お前が捨てたんだからどっかに
あるだろうがよ! ちゃんと探せよ!」
長門「ゴミ袋の中を探した……でも無い」
36 名前:>>32 ごめん書き溜めは30の書き込みまで[] 投稿日:2009/10/11(日) 01:23:52.88 ID:2Iu2Mb6e0
ヲタ「あーそーか! 大事な物を捨てられた怒りは
そんなもんで済むと思ってんのか!!
じゃお前の本も捨ててやるよ!」
長門「それは……やめて……」
ヲタ「元はと言えば俺が買ってやった本だろうが!
お前に文句言う権利あるわけ!?」
長門「ないけど……本は……大事……」
ヲタ「じゃあ自分で稼いで買ってこいよ!」
俺は、本をビリビリと引き裂いた。
長門が泣きながら本をセロテープでくっつけようと
するのを見て、無性にイライラして一人で牛丼屋に行った。
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 01:33:51.69 ID:2Iu2Mb6e0
牛丼屋で特盛りに卵と味噌汁を付けて、
満足して帰ってくると、長門がご飯を食べていた。
ヲタ「お前さ、あれだけ叱られてよくメシなんて食えるな?」
長門「……」
ヲタ「そのハム、俺が朝食べようと思ってたんだが?」
長門「お腹が空いていた……ごめんなさい」
ヲタ「お前、自分の身分わかってんの?」
長門「私は……あなたの嫁」
ヲタ「都合の良い時だけ嫁ヅラすんじゃねえよ!!」
長門「ごめんなさい……」
長門の食べていたご飯の茶碗をひっくり返し、
片づけを命じて俺はパソコンに向かった。
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 01:43:16.23 ID:2Iu2Mb6e0
ヲタ「あーなんか面白い動画ねえかな……」
長門にイライラした時、長門を殴りすぎない自制心のある俺の憂さ晴らしは、
主にネットだ。ニコニコ動画で気に食わない主の動画に、煽りコメントを片っ端から付けたりな。
ヲタ「ニコ生か……」
そうだ、穀潰しのあいつに金を稼がせるいい方法があるじゃないか。
ヲタ「おい長門、お前、欲しい本あるのか?」
長門「ある……」
ヲタ「もううちの生活じゃ、お前に本買ってやるの無理だわ」
長門「…………」
ヲタ「これからは自分で稼いで買えよな?」
長門「でも私には……」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 01:47:55.02 ID:2Iu2Mb6e0
ヲタ「なあ、欲しいものは自分のお金で買うって当たり前だろ?
お前さ、タダメシ食わしてもらってまだそんな贅沢言うの?」
長門「あなたには、感謝している……」
ヲタ「じゃあこれ以上迷惑かけられないよな?」
長門「…………」
ヲタ「お前、ニコ生でウェブマネー乞食しろよ」
長門「それは、なに?」
ヲタ「俺の言うとおりにすればいいんだよ。
お前キーボードぐらい打てるだろ? 俺の居ない時に
パソコン使ってネットの小説読んでるの知ってるぞ」
長門「あまり上手じゃない……」
ヲタ「で、やるのやらないの?」
長門「わかった……やる」
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 01:55:12.80 ID:2Iu2Mb6e0
ヲタ「じゃあそこに座って、俺が内容書いた紙のとおり喋れよ」
長門「わかった……」
長門「こんにちは……初めてニコ生配信するゆきっこです」
カメラに映らない位置に陣取り、デュアルモニタで内容を確認する。
『かわえええええええええええええ』
『うはwwwwテラカワユスwwwwwww』
『ちょwwwハルヒの長門に似てるwwwwwww』
当たり前だろ、リアル長門なんだから。
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 02:03:04.21 ID:2Iu2Mb6e0
長門『生活に困ってて……食べるものも……無い。
パソコンも……壊れそうで……お金が必要』
『俺がいくらでも出す!!』
『3千円でよかったら送るよ〜!』
『うはwwwウェブマネー5万円分買ってきたwww』
アホの童貞共が必死に貢いでくれるぜ。
ヲタ「(おい、おっぱいぐらい晒せよ! ブラでいいから見せろ!)」
長門『それは嫌……』
『え? 誰かいんの?』
『男が支持してんじゃね?』
ヲタ「(おい……俺に返事すんなよバカ! 殴るぞ!)」
長門『今のはコメントに返事した……』
『ゆきっこに男いたら自殺してるわ俺』
『ゆきっこはやっぱ俺の嫁だな』
『いや男いるって、怪しい』 『←嫉妬ブス必死w』
童貞は簡単に騙せるから困る。……俺もだがな。
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 02:10:35.00 ID:2Iu2Mb6e0
で、この試みは結果的に大成功だった。
何回かのウェブマネー乞食やったおかげで……
ヲタ「ふう、23万か、なかなかだな」
長門「これで……本が買える?」
ヲタ「おお、買えるぞ。頑張ったじゃないか。
でもな、俺の支持があってこその稼ぎだってわかるな?」
長門「わかる」
ヲタ「お前は今までさんざんタダメシ食って、本も買ってもらったのわかるな?」
長門「わかる」
ヲタ「なら、一万円も貰えば充分だよな? ほれ、お前の取り分だ。本でも買えよ」
長門「充分。ありがとう……」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 02:20:48.82 ID:2Iu2Mb6e0
ヲタ「じゃ、ちょっくら出かけてくるわ。今日は機嫌いいから
冷蔵庫の中のもん、冷凍食品だけなら勝手に食っていいぞ」
長門「わかった。いってらっしゃい」
それにしても良い稼ぎ方を発見したぜ。なんでこれに気がつかなかったんだろうな?
ひょっとしたらあいつって金の成る気じゃないか?
ヲタ「さあて、大金の入った祝いに……」
バイトの帰りによく通りかかる、高そうな焼肉店に入る。
今まで長門の食費やらで生活費が嵩んで、とてもこんな店はいれなかったからな。
ヲタ「特上カルビと特上ロースと特上タンください」
ああ、もっとこんな贅沢したいもんだぜ。
さて、メシの次は……。
ヲタ「ソープ……か……」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 02:26:36.15 ID:2Iu2Mb6e0
「一名様ご案内です!」
入店料2万円だってよ。
総額いくらするんだ?
嬢「ようこそおいでくださいました」
ヲタ「あ、ど、どうも……」
うはぁ……こんな美人がソープ嬢?
いいのかよこんなん。
嬢「即尺にします? お風呂がいいですか?」
ええと、よくわからん……
ヲタ「お、お風呂で……」
なんだこれ、気持ちいい。
体で体洗ってもらうのってこんなに気持ちいいのか……
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 02:30:57.52 ID:2Iu2Mb6e0
ああ……俺は童貞捨てた。
気持ちよかった……ああ……。
嬢「え? お給料ですか? うーん、平均で一本ぐらいですよ」
ヲタ「一本って……10万円ぐらいですか?」
嬢「まさか。それじゃあOLでもやったほうがマシですよ。100万円ぐらいです」
ヲタ「ひゃ……百万……」
凄い稼いでるんだな……ソープ嬢って……。
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 02:36:03.11 ID:2Iu2Mb6e0
ヲタ「帰ったぞ」
長門「お帰りなさい」
ヲタ「焼肉食ってきた。それとソープいってきた。
誰かさんがやらせてくれないしな。ま、高い金出すだけの価値はあったが」
長門「ソープ?」
ヲタ「風俗だが? チンコをマンコにいれてきた。凄いテクだったぞ。
マンコ触ろうとしたらギャーギャー騒いで逃げるお前と違ってな」
長門「…………」
ヲタ「なんだ? 人の金で何しようと勝手だろ? 本代なら渡したはずだが?」
長門「それは……浮気……」
ヲタ「はぁ……? 浮気だ?」
長門「あなたは私の旦那様。だから……浮気……」
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 02:40:53.08 ID:2Iu2Mb6e0
思わず手が出た。
ヲタ「やらせない嫁が、浮気だあ? お前頭おかしいのか!?」
長門「でも……浮気……」
今度は足が出た。
ヲタ「じゃあやろせろよ! ほら! マンコ出せよ!!」
長門「…………」
ヲタ「おら! お前とやってやるよ! 脱げよ」
長門におおいかぶさって服に手を掛ける。
長門「やめて……したくない……やめて……」
ヲタ「てめえいい加減にしろよなあ!」
長門「いや……いや……」
抵抗が激しいのでやめておく。
明日からまた一食にしてお仕置きだ。
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 02:47:13.08 ID:2Iu2Mb6e0
翌日もまた昨日のソープに向かう。
嬢「あら、また来てくれたんだ。嬉しい」
その翌日も。
嬢「常連さんになってくれるの? じゃ今日は生でいいよ」
そして……。
ヲタ「なあ、お前働く気ないか?」
長門「…………」
ヲタ「もう金が無いんだよ。それに俺、バイトやめてきたし」
長門「どうして……」
ヲタ「朝からソープ延長したらバイト遅刻して、主任にギャーギャー言われてな。
喧嘩してやめてやったよ」
長門「そう……」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 02:50:39.51 ID:2Iu2Mb6e0
ヲタ「なあ、働けよ。お前の頑張りが見たいんだ」
長門「でも……私はすぐ解雇される……」
ヲタ「お前ならどこのソープに行っても人気出るぜ?
まあコスプレイメクラもよさそうだがな……」
長門「それは……」
ヲタ「風俗だよ。問題あるか?」
長門「…………」
ヲタ「なあ、俺もう無職なんだ。俺たち食っていけないんだが?」
長門「いや……やりたくない……」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 02:57:49.84 ID:2Iu2Mb6e0
ヲタ「じゃあどうやって生きていくんだよ!!」
顔を右から引っぱたき、すぐ左から引っぱたく。
長門「やめて……叩かないで……」
ヲタ「痛いか? 辛いか? ご飯食べられなくなったらもっと辛いぞ?
あれがいやとかこれがいやとか、贅沢言ってていいのか?」
長門「…………」
ヲタ「お前、今までどれだけ俺に苦労掛けてきたんだ?
誰のおかげで生きてこられたんだ?
お前みたいな役立たず、世話してやったのは誰だよ!!」
長門「…………」
ヲタ「なあ、どうするんだよ? お前は俺を裏切るのか?」
長門「……わかった。やる……」
ヲタ「そうかそうか、やってくれるか!」
長門「やる……」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 03:05:23.60 ID:2Iu2Mb6e0
強情な長門をようやく説得し、俺はいきつけのソープに連絡、
長門の写真を送ってくれというのでメールに添付して送信した。
「いやあ、物凄く可愛い子ですね! 是非うちの店に!
一応形式上の面接はやらせていただきますが、即採用予定ですよ!
で、○日にマネージャーが店におりますので、面接はその日でよろしいですか?」
ヲタ「はい、よろしくお願いします」
よし、これで月収100万の生活ができる。
いや、長門ならそんなレベルの稼ぎじゃあないだろう。
テクなんて関係なく、見た目だけで稼げるぜ、こいつなら。
ヲタ「長門、就職決まってよかったな! お祝いにジュースでも飲むか?」
長門「…………」
ヲタ「いつまでもメソメソしてんなよ!」
その日長門はずっと泣いていた。
まったく、目出度いのにイライラさせんなよ……。
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 03:10:05.39 ID:2Iu2Mb6e0
翌日、長門はわけのわからん事を言いだした。
長門「遊びに……いきたい……」
ヲタ「はぁ?」
長門「外に……遊びに……デート……」
ああそうか、逃げる気だこいつ。
そんなに風俗が嫌なのか?
せっかくの金ヅルを逃がすわけないだろ。
ヲタ「無理。家で大人しくしてろ」
長門「デートに……いきたい……」
ヲタ「逃げようとしてんのバレバレなんだよ!!
そんなんで騙されると思ってんのか!!」
長門「違う……逃げない……そんなことしない……」
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 03:15:14.98 ID:2Iu2Mb6e0
ヲタ「だから、信用できるかよ!」
長門「お願い……いっぱい働く、約束する……」
ヲタ「泣くなようぜえな!! 大人しくしてろ!!」
長門「お願い……お願い……」
ああもう、殴って大人しく……!
いや、こいつはもはや大事な稼ぎだ、下手に怪我させると不味い。
ヲタ「ああもう、わかった。じゃあ逃げられないように
お前と俺を紐で結ぶ。それでいいだろ。してやるよ、デート」
長門「それでいい……ありがとう」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 03:19:32.82 ID:2Iu2Mb6e0
ヲタ「おい、いくならさっさといくぞ」
長門「まって……」
ヲタ「何を待つんだよ、逃げる準備はさせないぞ」
長門「違う。お弁当……」
ヲタ「はあ? お弁当……?」
長門「お弁当を……作る……」
ヲタ「……好きにしろよ……」
長門の意味不明な行動が理解できなかったが、
逃げないならそれでいい。……逃げないよな?
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 03:24:58.68 ID:2Iu2Mb6e0
長門がなにやら台所でガチャガチャやっていたので、
ニコニコ動画を見て暇を潰す。
ヲタ「おい、まだかよ?」
長門「できた……おまたせ……」
ヲタ「で、どこに行くんだよ? いっとくけど腰に
紐ついてるんだから、人の多い場所にはいかないぞ」
長門「景色がいいところ……どこでもいい……」
とか言い出すので、人の少なそうな平日の公園にやってきた。
ヲタ「ここでいいだろ? なあ?」
長門「いい」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 03:31:27.97 ID:2Iu2Mb6e0
適当な芝生に腰掛けて、何をするでもなくボーっとする……
のがヒマだったので、携帯で2chを覗く。
長門「…………」
ヲタ「お前さ、何がしたかったんだ? こんなとこ来て」
長門「デート。……今までしたことが、なかった」
そういえば、確かにそんな事はした記憶がない。
長門がやってきた頃は、いつ取り返しにこられるかビクビクして外に出さなかったし、
今は……長門の体には、あざやら擦り傷があるから、虐待してると思われて。
人に見せたくなかったんだ。まあ、俺がつけたあざや傷なんだけどさ。
長門はただ、景色をじーっと眺めて、時折俺の顔を覗いている。
逃げるタイミングを伺ってるようにも見えて、そうでもないように見える。
ほんと、何がしたいんだか……。
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 03:36:20.47 ID:2Iu2Mb6e0
長門「そろそろお昼」
ヲタ「ああ、昼か。俺そこらのメシ屋でも行って来るわ」
長門「いかないで」
ヲタ「なんだよ……まさか弁当食えってんじゃないだろうな?」
長門「食べて欲しい……」
ヲタ「お前の料理とか、懲りてるんだが」
長門「食べて欲しい……ちょっとだけでもいい……」
って、よく考えたら俺と長門は紐で繋がってるじゃないか。
俺一人じゃいけないし、長門をメシ屋につれていって助けでも呼ばれたら
この紐が動かぬ証拠になっちまう。
ヲタ「わかったよ、食えばいいんだろ?」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 03:42:31.41 ID:2Iu2Mb6e0
長門の作ってきた弁当。
不細工なおにぎりやら、崩れた玉子焼きやら、焦げたウインナーやら
なんだこれ? 残飯か?
長門「食べて」
ヲタ「ああ、わかったよ……」
まあ腹減ってるし……まて、毒とか入ってないだろうな?
ヲタ「長門、一緒に食べてくれよ。
お前が食べてるとこ見たい」
長門「わかった」
ヲタ「あ、どれも一個づつ食べてくれよな。
お前が作ったんだし味見しないとな?」
パクパクと少しづつ食べていく長門。 ……毒は無さそうだな。
長門「頑張った……味」
ヲタ「なんだそりゃ? 美味いのか?」
長門「食べてみて」
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 03:47:50.82 ID:2Iu2Mb6e0
おにぎりを食べてみる……おや……ふむ。
ウインナー……玉子焼き……ふむ。
あれ、見た目は悪いけど結構美味いぞ?
まあ腹減ってるからなんでも美味いか。
長門「美味しい?」
ヲタ「お前にしては悪くないじゃないか。まあ、美味いんじゃないか?」
長門「そう」
ヲタ「うん、腹へってたんだ。美味い美味い」
長門「そう……」
ヲタ「お前……なんで泣いてるんだよ? 俺は殴ってないぞ?」
長門「…………」
いきなり意味もわからず泣き出す長門に戸惑いながら、
夕方までひたすらボーっとして、デートみたいなものは終了し帰宅した。
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 03:56:30.39 ID:2Iu2Mb6e0
翌日。
この日、思いもよらぬ来客が訪れた。
まさかあのニコ生のせいでこんな事になるなんてな。
ヲタ「おい長門、明日はソープの面接だからな」
長門「わかってる……」
ヲタ「いっぱい稼いでくれよな、期待してるぜ?」
長門「頑張る……」
その時、チャイムが鳴った。
新聞の勧誘か何かだろうか?
ヲタ「はーい」
ドアを開けると、立っていたのは。
荒川「こんばんは。私小泉家執事の荒川と申します」
ヲタ「え……執事……?」
まさに『執事』としか言いようの無い初老の男が立っていた。
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 04:02:04.93 ID:2Iu2Mb6e0
なんだ? こんな安アパートに執事?
テレビの撮影か何かか?
ヲタ「あ、あの……なんでしょうか?」
荒川「長門有希さんをお返し頂きたく、お伺いしました」
ヲタ「あ……あ……」
来た……いつか来るんじゃあないかって……逃げても無駄なんじゃあないかって、
思ってたんだ……でもまさか本当に……!
ヲタ「な、なんのことでしょう……」
ええい、しらばっくれろ……
荒川「あなた様が行った動画配信……それに映っておられたので
こちらを探し当てたのですよ。随分探しました」
荒川さんが俺に見せたものは、ニコ生のキャプチャ写真……。
ヲタ「う…………」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 04:09:22.11 ID:2Iu2Mb6e0
荒川「中にいらっしゃるのでしょう? 長門有希さんはあなたの所に間違って
届けられた。本来は私共の所にくる予定だったのですよ。
あなたが名前を騙られた事も、知っております」
ヲタ「い……いまさら……いまさら返せっていったって!! そんなもの……
第一、そう、長門は俺の嫁だ! 人の嫁を奪いにくるなんて、出来るわけないだろう!
け、警察を呼ぶぞ!」
荒川「警察はちょっと困りますねえ……」
ヲタ「そうだろう、捕まるのはお前らだ!」
荒川「いいえ、そうではございません。長門さんの氏素性が知られては困るのですよ」
ヲタ「な、長門がなんなんだ……?」
荒川「長門有希さんは、人造人間……アンドロイドですので」
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 04:19:02.29 ID:2Iu2Mb6e0
長門が……人造人間? アンドロイド? 馬鹿な!
ヲタ「そ、そんなSFみたいな話があるか! そんなの、今の科学で作れるわけないだろう!」
荒川「ご一般の方々が知る科学技術というものは、ほんの一端に過ぎません。
非公開の技術……あなたがたが決して知ることのない世界が存在するのですよ。
長門さんのようなアンドロイドは、一部の富豪や高貴な方々の需要によって作られたのです」
ヲタ「じゃ、じゃあ……長門はダッチワイフの様なものだっていうんですか」
荒川「その様な下品な目的のために作られたのでは御座いません。
小泉家の当主様は、長門有希さんを妻として娶られます」
ヲタ「妻だって……?」
荒川「ですから、あなたに『嫁』だと自己紹介したはずです。そのように作られたのですから。
届け先の主人を、夫と思うようにね」
ヲタ「あ……ああ……そん……な……」
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 04:26:15.10 ID:2Iu2Mb6e0
荒川「ですから、お返しいただきたいのです。
ご当主様は、すぐにでも長門さんを娶りたいと仰っています。
ええ、たとえあなたとこれまで何があったとしてもね」
ヲタ「う……そ、そんな勝手な話……。例え長門がアンドロイドだろうと、商品だろうと、
俺たちは夫婦ですよ……それを引き裂くことができるんですか?」
荒川「お言葉ですが……あなたは妻に虐待を行うのですか?」
ヲタ「は……虐待なんて……」
荒川「キャプチャー画像を分析しましたが、何箇所ものあざや擦り傷がございました。
化粧で隠しても、わかってしまうのですよ」
ヲタ「それは……」
荒川「それに、妻を風俗店で働かせる人に、夫の資格があるのですか?」
ヲタ「なん……で……」
荒川「調査済みです。……これ以上、長門有希さんを苦しめないでいただけますか」
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 04:32:10.05 ID:2Iu2Mb6e0
ヲタ「…………」
荒川「あなた様の元にいると長門有希さんが不幸になります。
お返しくださいませ」
ヲタ「……間違って届いたのは俺の責任じゃない、あんたらだろう」
荒川「その通りでございます」
ヲタ「それに、今まで長門を食わせるのに沢山金と時間と労力を使った」
荒川「誠にご迷惑をお掛けいたしました。お詫びいたします」
ヲタ「だったら……お分かりですよね? 子供の使いじゃないんでしょう?」
ソープの月収100万を3年分……3600……いや5000万は貰わないと割りに合わん!
金持ってそうだしそれぐらい出せるだろう……
荒川「それは勿論です。お詫びの気持ちとして、10億円、ご用意いたしました」
ヲタ「は……?」
101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 04:36:15.49 ID:2Iu2Mb6e0
荒川「当然、現金でただちにお支払いいたしますよ。
……私だ。……運べ」
安アパートの階段を黒服の男達がドカドカと掛け上げってきた。
ヲタ「あ……あ……」
荒川「とりあえず廊下に置かせていただきます。
手狭にさせてしまいすみません」
ヲタ「じゅう……おく……」
荒川「ご確認ください。勿論怪しいお金ではございません」
ヲタ「おく……おく……」
荒川「ご不満ですかな?」
ヲタ「どうぞ持ってかえってください!! どうぞどうぞ!!」
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 04:43:01.14 ID:2Iu2Mb6e0
10億だってよ! おいどうするよ!!
10円置くんじゃないぞ!?
長門、お前どうしようもない穀潰しだと思ってたけど、とんだラッキーガールだなおい!!
ヲタ「おい長門、めっちゃ良い話だぞ!」
長門「何が……あったの」
ヲタ「お前、出ていっていいぞ! めちゃめちゃ金持ちの家に
嫁として貰ってもらえるってさ!!」
長門「え…………」
ヲタ「よかったなあ長門! お前がうらやましいよ!
じゃ、ほら、出てけよ! 迎えが来てるぞ!」
長門「いや……いきたくない……」
ヲタ「…………は?」
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 04:48:06.19 ID:2Iu2Mb6e0
長門「いきたくない……ここにいる……」
ヲタ「お前、何言ってんだ? 凄い良い暮らしができるんだぞ!
ほら、いけよ! 荒川さんをお待たせするんじゃない!」
長門「あなたは……どうするの……」
ヲタ「お前が嫁にいくかわりに10億貰えるんだよ!
な、10億だぞ? わかってんのか?」
長門「…………」
ヲタ「俺も幸せ、お前も幸せ、金持ち旦那も幸せ、
オールハッピーだろ?」
長門「そう……わかった……」
108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 04:54:16.87 ID:2Iu2Mb6e0
ヲタ「じゃ、行ってらっしゃい! 元気でな!!」
長門「…………」
ヲタ「玄関の外で待ってらっしゃるから!!」
長門「わかった……」
よし、10億! 10億! バラ色人生!!
バラ色! バラ色!
バラ……
荒川「あのぅ」
ヲタ「は、はい! なんでしょう! 長門が何か失礼を致しましたでしょうか!?」
荒川「長門さんが、今日だけここに居たいと」
ヲタ「は……はい?」
112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 05:01:42.07 ID:2Iu2Mb6e0
荒川「ご当主にもお聞きしましたが、
今日一日はそちらにいてくれて良いとのことです」
ヲタ「あ、いやでも……長門のワガママなんて聞いても……」
荒川「ご当主様の妻となる方です。最後の日ぐらい、
ご一緒にいてあげてください」
ヲタ「あ、はい。そう仰られるなら、それはもう!」
荒川「ですが、ひとつお願いがございます」
ヲタ「なんでしょう!」
荒川「長門さんをお抱きになるのは無論、口付けの一つもおやめいただきたい。
これは私のお願いなのですが」
ヲタ「そ、そんな、お金貰っちゃったのにヤっちゃったりしませんよ!」
むしろ長門なんて放っておいて高級ソープ巡りするつもりだけどな。
荒川「お約束願えますね?」
うわ……こえぇ……
ヲタ「もちろんですとも!!」
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 05:06:40.69 ID:2Iu2Mb6e0
荒川「では、明日迎えにあがりますので」
ヲタ「はい! お待ちしております!」
荒川「あぁ……それと……」
ヲタ「なんでございましょう?」
早く帰ってくれよ、ソープ行きたいんだよソープ!
荒川「長門さんの記憶は、明日リセットいたしますので……」
ヲタ「へ、リセット……?」
荒川「あなたが長門さんと出合った時のように、初期状態に戻します。
あなたの事は……全てお忘れになります」
ヲタ「そ、そうなんですか……」
荒川「では、長々と失礼致しました」
ヲタ「あ、はい……」
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 05:10:26.10 ID:2Iu2Mb6e0
そっか、そりゃあ消すよな。
中古よか新品の方がいいもんな。
ヲタ「…………」
長門「…………」
ヲタ「俺ちょっとソープ…………」
長門「…………」
ヲタ「メシにするか」
長門「する」
119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 05:17:43.34 ID:2Iu2Mb6e0
ヲタ「…………」
長門「…………」
ヲタ「出前のピザも悪くないな」
長門「ない」
ヲタ「なあ、明日楽しみだろ? すんげー豪邸なんだろうな?」
長門「…………」
ヲタ「…………」
長門「…………」
最後の夜だからってあまり話す事も無く、時間は過ぎていった。
でも、今日はいつもと違って、俺が怒ったり、長門が泣いたりする事はなかった。
ごく自然な。けど今までの俺たちにとっては不自然な、夫婦の時間だった。
124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 05:28:49.63 ID:2Iu2Mb6e0
ヲタ「もう寝るか……」
長門「…………」
ヲタ「さーて、明日は高級マンションでも見に行くかな……」
長門「…………」
ヲタ「なんだ? 腹でも減ったのか。
明日迎えにくるんだからもう寝ろよ」
長門「……一緒に」
ヲタ「……どういう風の吹き回しだよ……
今まで一緒に寝るの嫌がってたのに」
長門「……一緒に……」
ヲタ「最後だからってサービスするつもりか?
荒川さんに言われて、俺がお前に手を出せないからって……」
長門「そうじゃない……お願い」
ヲタ「わあったよ、入れ」
長門「ありがとう」
126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 05:34:39.08 ID:2Iu2Mb6e0
ヲタ「…………」
長門「…………」
ヲタ「ソープいけなかったら溜まってるんだ。
お前が隣にいたら襲っちまうぞ」
長門「いい」
ヲタ「は?」
長門「構わない……」
ヲタ「ば、ばかいえ。手出せない俺をからかってんのか……」
長門「構わない……でも……」
ヲタ「でもなんだ」
長門「一緒にいられるだけで、いい……」
ヲタ「…………」
しがみついてきた長門に、何もする事無く、でも眠れるわけでもなく、俺は長い夜を過ごした。
荒川さんに言われたから何もしなかったわけじゃない。
何かしたらかっこ悪い俺がさらにかっこ悪くなるって思っただけだ。
130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 05:40:58.83 ID:2Iu2Mb6e0
長門「おはよう」
ヲタ「おはよう……」
長門は早起きして身支度をしていた。
それと……朝食の支度を。
ヲタ「珍しいな、お前が朝メシ作るなんて」
長門「上手く……できたかわからない」
ヲタ「向こうにいったら、料理も覚えないと穀潰しって言われちゃうぞ?」
長門「がんばる……」
朝食を食べ終えたあと、玄関のチャイムが鳴った。
迎え……か。
134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 05:47:29.28 ID:2Iu2Mb6e0
荒川「おはようございます。長門さんをお迎えにあがりました」
ヲタ「おはようございます……長門、いらっしゃったぞ」
長門「…………」
盛「長門様の身の回りのお世話を努めさせていただきます、
盛でございます。 ……すみませんが、お着替えのために
お部屋を少々お借りしてよろしいでしょうか」
ヲタ「え、ええ……いいですけど、着替えていくんですか?」
盛「ご当主様にお顔合わせなさるので、失礼のないお衣装に
着替えていただきます」
……俺の買った安物の服じゃあ失礼ってか。
まあ、そうだろうけどよ……。
盛「長門様、お手伝いいたします、どうぞ……」
長門「…………」
144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 05:58:25.59 ID:2Iu2Mb6e0
ヲタ「……ご当主さんってのは、どんな方なんですか」
荒川「ご当主様は、昨年先代様がお亡くなりになられてから、
若干25歳にして小泉家の当主として立たれた、
とてもご立派で小泉財閥の総帥としても、申し分のないお方です」
ヲタ「25歳で財閥のトップですか……」
荒川「我々のような使用人にもお優しく、素晴らしい紳士であられます。
アニメーションが好きなお方で、それで長門さんを娶られる事となりました」
なんか、超勝ち組なのに俺と同じ長門ヲタってところがな。
人生って不公平だよな、まったく。
盛「お着替えが終わりました」
長門「…………」
148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 06:03:45.89 ID:2Iu2Mb6e0
長門は、煌びやかなドレスに身を包んで、
見違えるように綺麗になっていた。
今までショボい服着せてて、すまんな……。
荒川「さあ、参りましょうか」
長門「…………」
盛「ご当主様がお待ちです」
なんか、気の利いた事を言いたいけど……
俺にそんな事言える人生経験なんか、ねえよ……
長門「待ってほしい」
荒川「どうされました? 長門さん」
長門「彼と……話がしたい」
ヲタ「…………」
153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 06:10:50.24 ID:2Iu2Mb6e0
見慣れた汚い居間に、あまりにも不釣合いなドレスの少女。
長門は、こんなところに住んでていい奴じゃなかったんだな……。
与えられた僅かな時間、長門はしばらく口を開かなかった。
長門「…………」
ヲタ「…………」
長門「今まで……」
ヲタ「…………」
長門「あなたに体を許さなかったことを、謝りたい……ごめんなさい」
ヲタ「いいよ、そんなの……嫌なもんはしょうがないだろ。
俺もこんなキモいツラして、沢山あんなことして、ごめんな……」
長門「そうじゃない……そうじゃない……」
ヲタ「でも……」
長門「私は……」
ヲタ「…………」
長門「あなたと、普通の恋がしたかった」
155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 06:20:46.68 ID:2Iu2Mb6e0
ヲタ「長門……」
長門「私はあなたの嫁になるために生まれた。
……本当は別の相手なのだったとしても、私には、あなたしかいなかった」
ヲタ「…………」
長門「だから……あなたと合ってすぐに…………」
ヲタ「すまん! すまん!! すまん……」
長門「あなたは悪く無い……私が、気持ちをあなたに伝えられなかったのが、いけない」
ヲタ「すまん……すまん長門……すまん……」
長門「体だけの……関係になりたくなかった……あなたに愛して欲しかった。
あなたが、私を愛してくれるのを待っていた…………」
ヲタ「すまん……ううっ……長門……!」
長門「私が不器用で、あなたを傷つけた、だから……ごめんなさい……許してほしい」
163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 06:31:13.23 ID:2Iu2Mb6e0
長門「出合った頃のあなたは……私を叩いたりしなかった……私があなたを変えてしまった。
だから…………………………だから………………」
ヲタ「…………」
長門「…………最後に、お願いがある」
ヲタ「………………」
長門「あなたが、呼んでくれなかった名前で、呼んで欲しい…………」
ヲタ「…………」
長門「…………」
ヲタ「……有希!(行くな!)」
長門「ありが……とう」
ヲタ「有希…………(行くな……)
…………行って……らっしゃい」
長門「……うん」
165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 06:36:18.28 ID:2Iu2Mb6e0
長門「あなたが……好き」
長門は、俺にしかわからない泣き方で、泣いていた。
……………………。
長門の乗った車のエンジン音が遠ざかっていく。
さようなら、有希……。
171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 06:43:11.91 ID:2Iu2Mb6e0
今朝まで長門が居た部屋に、今は一人。
心にポッカリ穴が開いたように、何かをする気も起きずに時間は流れていく。
ヲタ「10億……か」
俺は、これと長門を引き換えにできるなら、そうしただろうか。
ヲタ「…………そんなの」
今まで散々酷い事してきた俺が、そんな選択したらおかしいだろう……
ヲタ「…………」
夜風に当たりたくなったのか、何だか寂しくなったのかわからない。
俺は外に出て、あの場所に歩きだした。
178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 06:47:45.23 ID:2Iu2Mb6e0
長門と一緒に来た公園。
あの出来事が、随分昔の事みたいに感じる。
ヲタ「…………」
ヲタ「何やってんだ俺、帰ろう」
公園の出口に歩き出した俺に、見知ったような人影が近づいてくる。
ヲタ「え……なんで……こんなところに……」
人影はすたすたと歩み寄り、やがて俺の目の前で立ち止まる。
180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 06:50:53.54 ID:2Iu2Mb6e0
ヲタ「あの……?」
腹に、冷たい感触。
ヲタ「え………………」
「長門さん……いえ、奥様に行った悪逆非道、たとえご当主様が許しても私が許しません」
ヲタ「あ……ちょっと……あ……」
腹部に広がる違和感。
なにかで内臓をかきまわされるような不快。
187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/11(日) 06:57:50.47 ID:2Iu2Mb6e0
ヲタ「なんで…………」
「10億円はあなたの年老いたご両親に送って差し上げますので、ご心配なきよう」
人影が遠ざかっていく。その足音も上手く聞こえない。
ヲタ「あーやっぱり……ロクな死に方しない気がしてた……」
視界には満天の星空……ではなく、濁った曇り空。
悪党にはロマンチックな死は許されないらしい。
ヲタ「でもほら……雪が降ってる……雪…………」
おしまい。