209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 20:58:42.08 ID:TjpSAvUNO
10月。
体育大会や文化祭などの行事はあらかた終わり、
それらの準備に追われる忙しい日々も終わった。
そしてそれと同時に、我が北高には今まで通りの平和で穏やかな日常が帰ってきた。
……ハズだったのだが。
それを『神様』は許しはしなかったようだ。
211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 21:14:49.81 ID:TjpSAvUNO
ある日、一人の生徒がSOS団に一人の生徒が駆け込んできた。
彼はなんと『奇妙な人外の化け物に襲われた』というのだ。
勿論、俺は信じなかった。
そもそも本当に襲われたのなら警察に行くべきであり、
例え誰にも信じて貰えなかったとしてもこんな変人の作ったチンケな団体に相談する事は普通の神経の持ち主なら絶対にしないからな。
きっと何か変なモンでも食って頭がイカれたんだろう。
こういう輩を真面目に相手にするのは馬鹿がする事だ。
適当に軽くあしらってやるのが一番なんだよ。
まぁ勿論我等が団長様がそんな事をするハズも無く――
「よし!早速今日から街をパトロールしましょう!私達の手でこの街の平和を守るのよ!」
……誰かコイツを止めてくれ。
216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 21:37:39.90 ID:TjpSAvUNO
「それじゃ、今日の晩7時に駅前に集合!遅れたら死刑だからね!」
そう言ってハルヒはとっとと帰ってしまった。
依頼者もそれに合わせて帰宅した。
……さて、ここからが本番だな。
「……古泉、どう思う?」
「恐らく……本当の事でしょう」
「実は機関によると複数の目撃証言があるようです。昨日だけでも、五人の目撃者がいます」
「……やはり危険なんですか?」
朝比奈さんが怯えている。
この人だけは守らなければ。
「えぇ。早くも被害者が何人か」
「ふぇぇ……」
217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 21:47:52.15 ID:TjpSAvUNO
「原因はやっぱり、ハルヒなのか?」
「いえ、恐らく違いますね」
「……長門、お前はどう思う?」
「……」
「……古泉一樹の言うとおり、今回の事件は涼宮ハルヒの力によるものだけでは無い」
「……恐らくクライシス帝国によるモノだと思われる」
「……クライシス帝国?」
「そう。怪魔界から現れた、この星とは違った生態系を持つ」
「要するに異世界人?」
「そう」
「恐らく涼宮ハルヒの能力を利用し、クライシス帝国がやってきたものと思われる」
219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 22:00:59.58 ID:TjpSAvUNO
「そいつらの目的は?」
「世界征服」
おいおい、小学生かよ。
いや、今時小学生でも世界征服なんて言わないぞ。
「……何か、対抗する手は無いのか?」
「情報操作を駆使すれば撃破可能。しかし今の所我々がそれ以外に彼らに対抗する術は無い」
「……しかし、クライシスの出現と同時に強力な力を持つ人物がこの街に出現した」
「……その人物ならクライシスの怪人達を倒す事が出来る」
「その人は私達の味方をしてくれるんですか?」
「恐らく」
「根拠は?」
「彼は既に怪人を5体倒している。人類の味方の可能性は高い」
220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 22:08:16.31 ID:TjpSAvUNO
「なるほど、わかりました」
「とりあえず、その人物と接触してみましょうか」
「どうやってだ?」
「長門さんなら場所の特定くらい簡単でしょう。お願い出来ますか?」
「……わかった」
「……」
「……付いてきて」
そう言うと長門は部室から出て行った。
やれやれ、また厄介な事になりそうだ。
223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 22:18:06.31 ID:TjpSAvUNO
長門はその後学校を出て、無言で歩き続け、近くの本屋で足を止めた。
ここにいるのか?
「そう」
「……」
「……この人」
なんか普通の好青年じゃないか。
本当にこの人なのか?
「そう」
長門が言うんならマジなんだろうな。
で、誰が声をかけるんだ?
「あなた以外に誰かいますか?」
はぁ……やれやれ。
「あのー、すみません」
「ん、なんだい?」
「あー……」
声をかけたは良いが……なんて言えば良いんだ?
「?」
「えーっと、その……ですね」
おい、誰か助けてくれ。
226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 22:31:48.70 ID:TjpSAvUNO
ええい、黙ってても仕方ない。
なんでもいいから言っちまえ!
「すみません、あなたに力を貸して欲しいんです!」
「どういう事だい?」
「どうしてもこの街を守りたいんです!」
「……場所を変えよう。どうやらここでは都合の悪い話のようだからね」
229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 22:58:24.35 ID:TjpSAvUNO
PM5時。
そんなワケで、俺達は近くの喫茶店に入り、全てを話した。
これで人違いなら俺は死んでやる。
「……なるほど。だいたいわかったよ」
「共に闘ってくれるというのなら、それを拒む理由は無い」
「俺の名は南光太郎。仮面ライダーブラックRXだ。よろしく、キョン君。みくるちゃん、有希ちゃん、一樹君」
あっさり信用してもらえた。
初対面の俺達を全く疑わないとは驚きだ。
よっぽど人がいいか、それとも……。
230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 23:08:42.75 ID:TjpSAvUNO
かくして、仮面ライダーブラックRXとやらの協力を得る事に成功した俺達は、
一旦各々の家に帰宅し準備を整えた後、駅前へ集合した。
こうやって話がトントン拍子に進んでいる時は楽なんだが、これからの事を考えると気が重い。
「遅い!罰金!」
……ほらな。
早速コレだ。
「今6時50分だぞ?」
「聴いてないわよ!」
やれやれ。
「まぁいいわ。早速パトロール開始よ!相手は人を襲う化け物らしいから、皆で行動しましょう」
「それじゃあ早速出発よ!」
おいおい、ちょっとは喋らせろよ。
長門はともかく古泉達の台詞が無いじゃないか。
231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 23:15:34.08 ID:TjpSAvUNO
ともかく、俺達は街を歩く事になった訳だが、勿論なんの作戦も無い訳ではない。
ズバリ今回の作戦はこうである!
まず、俺達は適当に歩く。
もし怪物が現れた場合、長門の力で場所がわかるので俺達はさりげなくハルヒをその現場から遠ざける。
長門が隙をみて光太郎さんに場所をメールで送る。
そして光太郎さんが怪物を爆砕、ハルヒは怪物が出た事すら気付かずパトロール終了って訳だ。
我ながら完璧な作戦だ、惚れ惚れするぜ。
あぁ、自分の才能が恐ろしい。
俺って天才かもなぁ。
232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 23:30:28.27 ID:TjpSAvUNO
数十分後。
未だに収穫ナシ。ありがたい事だ。
出来ればもう来ないでくれ。
「……来た」
突然長門が呟いた。
やはりそういう訳には行かないらしいな。
「長門さん、敵は何処ですか?」
「目の前」
「何ぃ!?」
「ちょっとキョン!アレ見て!」
振り向くと怪物が立ってた。
そういえば異世界人だったな。
なら目の前に急に現れてもおかしくない。
あちゃー、その考えは無かったぜ。
233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 23:41:13.00 ID:TjpSAvUNO
「いくわよ!ぶっ飛ばしてやるんだから!」
ハルヒが金属バットを構えて走り出す。
いかん、止めれん!
「うぇぇぇえええい!!」
奇妙な叫び声と共にハルヒは怪人をぶん殴った。
が、やはり少しも効かなかった。
「かったーい……」
「ハルヒ!逃げるぞ!」
「何言ってるのよ!今がチャンスじゃない!」
「何だオマエは。……こんなもん俺には効かないぜ?」
「何ですって?」
怪人はハルヒの持ってた金属バットを容易く真っ二つにへし折った。
いかん、殺される……
234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/03(土) 23:54:50.13 ID:TjpSAvUNO
「待て!クライシス!」
この声は!
「ふん!」
渋い声と同時に光太郎さんがタックルで怪人をハルヒから離す。
「貴様……」
「この子達に手を出す事は俺が許さん!」
「変……身!」
うお、眩しっ!
「俺は太陽の子!」
「仮面ライダーブラック!RX!」
おいおい、カッコ良すぎるだろ……
236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/04(日) 00:07:37.98 ID:+4iqYGLJO
「リボルケイン!」
「キョン君!今のうちにハルヒちゃんを連れて逃げるんだ!」
「は、はい!……行くぞ、ハルヒ!」
「う、うん……」
「キョン君、こっちですぅ!」
「長門さん、朝比奈さん、ハルヒを連れて逃げてください」
「ふえ?」
「いいから早く!」
「は、はい!」
「あなたはここで見ていてください」
な、なんだ?
何故今無力のハズの古泉がこんなに強気なんだ?
「んっふ、機関を甘く見ないでくださいと言ったハズです」
そういうと古泉はヘンなベルトをカバンから取り出し、巻いた。
「光太郎さん、手助け致します」
「何!?」
237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/04(日) 00:18:34.74 ID:+4iqYGLJO
『レ・ディ・イ』
「その命……神に返して頂きます」
『フィ・ス・ト・オ・ン』
「変身!」
そう叫ぶと古泉は白いライダーに変身した。
まさかこんな日が来るとはな……
「ふんもっふ!」
「おりゃぁ!」
光太郎さんと古泉二人が戦っている。
俺は……何もする事が出来なかった。
自分の無力さを思い知らされた。
所詮、俺はただの凡人なのだと。
240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/04(日) 00:31:59.35 ID:+4iqYGLJO
次の日。
俺は古泉を呼び出した。
「何の用でしょうか?」
「古泉。お前に頼みがある」
「俺にも……俺にも力をくれ!」
「イヤだったんだ……。無力な自分が……」
「……ハルヒが危ない目にあってるっていうのに、何も出来なかった自分が!」
「だから頼む。古泉、機関に頼んで何か武器をくれ!」
「別に強力じゃなくていい!光太郎さんやお前が駆けつけるまでの繋ぎでいいんだ」
「だから……だから頼む」
「俺に……大切な人を守れる力をくれ」
242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/04(日) 00:43:38.99 ID:+4iqYGLJO
「やはり、そう言うと思っていましたよ」
「……」
「いや、そう言って欲しかったんです。その為に昨日、僕達が戦っている所をわざわざ見せたんですから」
「……何だと?」
「あなたが戦いたいと言ってくれた方が、機関を説得しやすいですから」
「本当は機関の人間としてはあなたに戦わせたく無いんです。しかし、僕個人としては違う」
「今まで一緒に居た仲間として、あなたと一緒に戦いたいんですよ」
「古泉……」
「わがままを言ってすみません」
「いや、いいんだ。……一緒に戦おう」
「んっふ、改めてよろしくお願いします」
「あぁ!」
243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/04(日) 00:54:51.84 ID:+4iqYGLJO
その日の団活終了後。
「……これをどうぞ」
「このベルトを巻けば、力が手に入るんだな?」
「えぇ。そのベルトは最近発掘されたばかりで」
「巻けば古代の戦士の力が手に入るハズです」
「ありがとう、古泉」
「いいえ、構いませんよ」
245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/04(日) 01:06:43.11 ID:+4iqYGLJO
「よし、急いで帰ろう。ハルヒ達を待たせてるからな」
「えぇ……」
247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/04(日) 01:32:02.67 ID:+4iqYGLJO
「遅い!何してたのよ!」
「すまん、便所だ」
「はぁ……呆れた」
「まぁまぁ、とっとと帰ろうぜ」
と、その瞬間。
俺の携帯が光って唸る!
「ん?」
長門からのメールだった。
目の前に居るのにメール?
とりあえず確認して見る。
248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/04(日) 01:40:49.57 ID:+4iqYGLJO
なになに……
『クライシスの目的は恐らく涼宮ハルヒ。
彼女を洗脳して世界を思い通りに改変するのが目的だと思われる』
……なんだって?
ならハルヒはこれから先ずっとあんな危ない奴らに狙われ続けるって事か?
『そう。
さらに最近、違う勢力まで現れた』
違う勢力?
『名前はグロンギ。
ゲゲルと呼ばれる殺人ゲームを行う』
それじゃあこれからは……
『涼宮ハルヒだけでは無くいろんな人が殺される』
そんな……そんな!
251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/04(日) 01:51:11.39 ID:+4iqYGLJO
……
『これからは、いろんな人が殺される』
か……
「きゃー!!」
悲鳴!?
「ドゾレザ」
あれがグロンギか!?
「待てい!」
何処からともなく光太郎さんが現れ、グロンギを蹴り飛ばす。
「グッ……」
「変……身!」
「俺は太陽の子!仮面ライダーブラック!RX!」
252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/04(日) 01:56:03.69 ID:+4iqYGLJO
「長門!朝比奈さんとハルヒを……」
そう言おうとした瞬間、長門が吹っ飛んだ。
「!?」
「見つけたぞ……」
「あの小娘か」
こんな時にクライシスかよ……しかも二体も……
くそ!
「古泉!」
「わかってます!」
『レ・ディ・イ』
「その命……神に返していただきます!」
『フィ・ス・ト・オ・ン』
「変身!」
253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/04(日) 02:01:19.86 ID:+4iqYGLJO
「有希、大丈夫!?」
「大丈夫。問題無い。後10秒あれば動ける」
「……きゅう」
「みくるちゃん!?ちょっと!起きなさいよ!」
「……」
「みくるちゃん!みくるちゃん!」
『おい、オマエ』
『こっちに来い』
「そうはさせない!」
『……ただの人間か』
今、闘うしか無い。
ハルヒを守るために。
大切な人の笑顔を守るために。
255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/04(日) 02:21:54.75 ID:+4iqYGLJO
ベルトを巻くと、体に吸い込まれて行ってしまった。
……どうしよう。
まぁいい!どうにかなる!
「変身!」
そう叫ぶと、俺は赤い異形の姿に変身した。
「行くぞ古泉!」
「えぇ!」
「はぁぁああ!」
『イ・ク・サ・ナッ・ク・ル・ラ・イ・ズ・アッ・プ』
「「おりゃぁぁああ!!」」
256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/04(日) 02:27:20.06 ID:+4iqYGLJO
よくわからんからとりあえず蹴っ飛ばしたんだが、
どうやら蹴りが一番の必殺技らしい。
クライシスの怪人二体を撃破する事に成功した。
その時。
「リボルクラッーシュ!!」
『グッ……ガ……』
リボルケインがRの軌道を描き終わり、グロンギは爆発した。
流石光太郎さん、傷一つ負ってない。
257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/04(日) 02:30:29.90 ID:+4iqYGLJO
「大丈夫かい?」
「平気です。光太郎さんは?」
「勿論平気だよ」
「……」
「……キョン君」
「?」
258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/04(日) 02:35:45.34 ID:+4iqYGLJO
「……キミも、ライダーになってしまったんだね」
「……はい」
「先輩として一つ言っておくよ。……いいかい、決してその力に溺れてはいけない」
「その力は誰かを守るためにだけ使うんだ。もしキミが自分の欲望の為にその力を使った時は」
「俺がキミを倒す」
「……大丈夫です。そんな事は絶対にしませんよ」
「ふふふ……まぁキミならそうだろうね!あはははは!」
「光太郎さん、古泉」
「これからも一緒に守ろう。……この世界を」
終わり