キョン「俺が…三日後に死ぬ?」


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2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 12:00:54.44 ID:ONb7XeOAO

ハルヒが帰った後…長門は部室で俺にそう告げた

キョン「……お前なりの冗談か?」

長門「あくまでも予測、だが冗談ではない」

長門はこんなことを冗談で言う奴ではないことは分かっていた
だが…ポンコツな俺の頭は長門の言葉の意味を理解しきれずにいる
死ぬと言われても全く実感がわかない、一体どういうことだ?

キョン「…仮にそれが本当だとしよう、だとしたら何故俺は死ぬ?」

長門「第三者によって故意的に命を奪われる」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 12:02:10.45 ID:ONb7XeOAO

長門の衝撃的な言葉に頭を誰かに殴られたような錯覚を覚えた、意識が飛びそうになる…
だが待て、耐えろ…気を失う前に訊いておくべきことがあるはずだ

キョン「………誰に殺される?」

長門「私」

キョン「…………」

耳を疑った、古泉や朝比奈さんも俺と思うところは同じらしい
俺は何も言葉を返せずにいると長門は続けて語り出した

長門「最も恐れていた事態に陥った」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 12:05:05.78 ID:ONb7XeOAO

キョン「俺が……三日後に死ぬ?」

古泉「…もう少し詳しく聞かせて頂けますか?」

古泉の顔に驚きと戸惑いの感情が浮かんでいる
そしてその表情は笑顔の仮面のない、真面目なものだった

長門「情報統合思念体において急進派がクーデターを成功させた」

長門「強引な手段に頼ったため、実質彼らが支配が及ぶのは三日程度だと思われる」

長門「だが…、現在の統合思念体の主となっているのは間違いなく急進派」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 12:06:52.28 ID:ONb7XeOAO

古泉「そんな…まさか……」

古泉は相当の衝撃を受けたらしい、だが…それは俺も同じだった

キョン「急進派ってのは…朝倉の一派か?」

長門「そう」

脳裏に焼き付いた…朝倉がナイフを振り上げ俺に向かってくるあの光景が蘇る

キョン「アイツが…また俺の命を狙いに来るってのかよ」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 12:08:12.30 ID:ONb7XeOAO

俺は半ば絶望を交えてそう口にする、だが長門はそれを部分的に否定した

長門「可能性はある。だが今回、彼らの標的はあなたではない」

キョン「それは…つまりどういうことだ?」

何故だ…奴らの狙いは俺じゃなくなったのか?
俺以外でハルヒに近い人物…古泉や朝比奈さんか?

長門「今回彼らがターゲットとしているのは…涼宮ハルヒ」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 12:09:54.15 ID:ONb7XeOAO

古泉「な、何ですって!?」

キョン「バ、バカ言うな!アイツを消しちまったらお前らの言う進化の可能性とやらが…」

さすがに狼狽えずにはいられない、おい長門よ…その答えは予測外だったぜ
長門はそんな俺たちを見つめ、そして静かに口を開く

長門「…それも、責任は私にある」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 12:27:59.38 ID:ONb7XeOAO

な、長門の責任…?待て、意味が分からない

長門「以前、私は涼宮ハルヒから能力を盗み出し大規模な改変を行った」

みくる「私たちが…その…普通の人になっちゃった世界ですか?」

長門「そう」

キョン「それが……一体何の関係がある?」

長門「私は涼宮ハルヒから一時的にせよ情報創造能力を奪うことに成功した」

長門「この事実が彼ら急進派の行動に拍車を掛けている」

まだ話が読めてこない…それが一体どうだと言うのだ?

長門「急進派は涼宮ハルヒを殺すことで奔流した能力をそのまま掌握しようと考えている」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 12:33:13.63 ID:ONb7XeOAO

古泉「そんな…バカな!そんなことを出来るわけが…」

長門「極めて不確実で強引、だが成功時のリターンも大きい」

みくる「そ、そんな…嘘です……」

…なるほどな、大体の流れは掴めた。どうやらとんでもないことになっちまってるらしい
……そこそろこれを聞く頃か

キョン「待て…まだ腑に落ちない、俺がその急進派に殺されるなら話は分かる」

長門「…………」

最大の疑問…、聞くのが恐ろしくて最後まで回避し続けた問い

キョン「何故……俺を殺す相手が長門なんだ?」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 12:36:08.05 ID:ONb7XeOAO

みくる「そ、そうです!長門さんは急進派じゃありませんから言いなりになる必要は…」

朝比奈さんの言葉に長門は首を振る、どうやら事態はそう甘くはないらしい

古泉「…長門さんの送り主もクーデターに呑まれてしまったのですね?」

長門は肯定の仕草をし、続けて言った

長門「異変に気が付いた私は情報統合思念体からのアクセスを即座に遮断した」

長門「現在は私の意志に介在されないよう、最高レベルのプロテクトを掛けている」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 12:38:41.62 ID:ONb7XeOAO

長門「でも思念体の本体と比べれば私という個体の力は極めて微弱、このプロテクトも…」

いずれは破られちまうってことか…

長門「どんなに長く持たせても三日が限度、このプロテクトが外されれば私も…」
長門はそこで言葉を切った、…古泉がそれを察して代わりに言葉を紡ぐ

古泉「長門さんの意志に関係なく支配され、操られてしまう…そうですね?」

長門「…そう」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 12:41:14.22 ID:ONb7XeOAO

キョン「そして…操られたお前はハルヒを消して俺も消すってことか」

長門「あなたは…私が涼宮ハルヒを攻撃した場合、必ず彼女を庇う」

否定はしない、人が殺されかけていてそれを無視出来るほど俺は人間が出来ていないからな
ましてやハルヒのように相手が顔見知りならばなおさらだ

長門「そして…あなたは私を止めようとその身を呈して可能な限りの説得を試みる」

確かに…自分で言うのもアレだが、俺は長門を何とか止めようとするはずだ
……長門の予測は的を射ている

長門「だが…支配された私は呼びかけに答えられず、あなたを…」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 12:42:39.46 ID:ONb7XeOAO

ーーー

古泉「現状を表すには…緊急事態、などと言う言葉では足りませんね」

みくる「長門さんが……私…うっ…そんなの…ぐしゅ…イ、イヤです…」

キョン「…………」

話が終わった後、俺は特にうろたえずに、怯えることもなかった…
いや、そういう素振りを見せなかったというべきか
確かに俺だって怖い、だが長門は俺を遥かに超える重荷を背負っている
…俺がうろたえれば罪悪感から長門の荷はさらに増えるかもしれん
今まで世話になり続け、ここでさらにその荷を重くするようなことはしたくはなかった

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 12:44:36.22 ID:ONb7XeOAO

古泉「長門さん、少々酷なことを訊きます…よろしいですか?」

沈黙を破ったのは古泉だった

長門「いい」

古泉「あなたは…自分自身の情報連結を解除することは可能ですか?」

キョン「古泉ッ!てめえ何てこと訊きやがる!!」

思わず古泉に掴みかかる、コイツ…長門に自殺しろと言ってんのか!
だが…古泉は俺の予想に反して肩を震わせながら大声で言い返した。

古泉「分かっています!僕とて…僕とてこんなことは訊きたくありません!」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 12:48:31.29 ID:ONb7XeOAO

……俺はただ行き場のない動揺を古泉にぶつけただけだ
古泉とて今まで一緒にやってきた長門を簡単に切り捨てることなんか出来るはずがない…
例えハルヒを巡って相対する組織の一員同士だとしても…俺達は同じSOS団なんだ

キョン「……すまん、頭に血が上っていたらしい」

俺が謝罪すると古泉は力のない笑みで応えた

古泉「いえ……こちらこそ、咎めていただき 感謝します」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 12:56:50.09 ID:ONb7XeOAO

長門「古泉一樹の問いに答えるならば、それは可能」

長門の言葉を聞いて古泉は改めて謝罪した

古泉「すみません長門さん…忘れてください、少々僕も動揺していたようです」

長門「かまわない、私も一つの手段として同じことを考えていた」

キョン「長門…ダメだ止めろ!そんなことをしても意味はない!」

長門が自分を消し去ったところでまた新しい刺客が来るだけだろう
それに…長門だって消えたいなどと思ってるはずがない!

みくる「あ…あの、一つだけいいですか?」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 13:00:29.57 ID:ONb7XeOAO

今まで泣きながら話を聞いていた朝比奈さんが口を開いた

みくる「何で…その役目に長門さんが選ばれたんでしょうか?」

その役目…ハルヒを殺す役目のことか

古泉「……確かに、それは僕も気になっていました」

古泉「長門さんは明らかに僕たちに味方してくれています、なのに何故わざわざ…」

確かに…単純にハルヒを消したいなら長門じゃなくてもいいはずだ
それこそ朝倉みたいな輩を大量生産して一斉攻撃すりゃ確実だろうに
そんな俺たちの疑問に長門は答える…ごくあっさりと

長門「私が…最も涼宮ハルヒに近いインターフェースだから」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 13:03:25.82 ID:ONb7XeOAO

長門「彼女の命を奪う際、彼女に最も大きな衝撃と絶望を与えるインターフェースだから」

…………………
何だろう、腹の底が煮えくり返るようなこの気持ちは

キョン「…それだけの理由で、長門を選んだのか?」

長門「彼女は感情が高ぶると力を発動しやすい、急進派にとって…」

キョン「そうじゃない!」

長門「…………?」

ハルヒの力が欲しいってのはよく分かったさ、けど問題はそこじゃねえ

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 13:06:04.38 ID:ONb7XeOAO

長門「……そう」

長門が間をおき、そして俺の言葉を肯定する……よし、完全に腹は決まった

古泉「何かなさるおつもりですね…?」

キョン「古泉、朝比奈さん…そして長門」

覚悟はある…古泉たちが賛同してくれなくとも、俺はやるつもりだ

古泉「…何でしょう?」

みくる「は、はいっ!」

長門「………」

俺はそんな自分勝手な都合でハルヒを殺そうとしやがるやつらを…
長門にそんなことをさせようとしやがる馬鹿共をぶん殴らなきゃ気がすまねえ

キョン「戦うぞ…全面戦争だ!!」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 13:07:15.27 ID:ONb7XeOAO

俺の言葉に三人共驚きを隠せないようだった、無理もない
相手は計り知れん力を持っている、俺たち如きが立ち向かえる相手ではない
古泉は俺を諭すように口を開いた

古泉「あなたの覚悟は分かります、ですが…真正面から挑んでも勝ちはありません」

古泉「彼らにとっては僕たち人間の僅かな抵抗など…」

キョン「それだ、古泉」

古泉「……?」

古泉は疑問の表情で次の言葉を待っている

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 13:08:38.74 ID:ONb7XeOAO

キョン「ヤツらは取り巻きの俺たちなんかはまるで眼中にない」

キョン「だからこそ俺たちが今、何をしようと妨害はしてこない」

みくる「あ、あの…言っている意味がよく……」

キョン「迎え撃つに当たり、最大限の準備が出来るってことです」

真正面から戦って勝てないなら工夫する、やれることは何でもやってやろうじゃないか

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 13:11:05.11 ID:ONb7XeOAO

古泉「…なるほど、分かりました」

みくる「こ、古泉君?」

古泉「機関にとってもこれは重要な戦いになります…、最大限の協力をお約束しましょう」

すまない古泉…感謝するぜ、今度何かおごらせてもらうぞ

キョン「朝比奈さんは…未来側と連絡はつきますか?」

みくる「え、そ、それは禁則……ううん、私も出来る限りのことはやります!」

未来から何か援護があれば嬉しいが…その言葉が聞けただけでも充分です

長門「…………何故?」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 13:15:03.55 ID:ONb7XeOAO

ふと、俺たちに長門が問い掛ける

キョン「どうしかしたか?」

長門「あなた達は涼宮ハルヒを残して逃げる選択肢も出来る…何故?」

何故勝ち目のない相手と戦うのか…そう訊きたいんだな、でもな長門…

キョン「…俺たちが答えなくても、自分で分かってるんじゃないか?」

古泉「そういうことです…それに、僕たちは負けるつもりはありませんよ?」

みくる「長門さん、絶対に涼宮さんもあなたも守ります!」

長門「…………」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 13:19:29.06 ID:ONb7XeOAO

みくる「でも…作戦って言ってもどうすれば…」

古泉「そうですね、我々の相手は恐ろしく強大…何か策はあるのですか?」

…正直言って全くない、自分で戦うと宣言しておきながら情けない限りだ
…使い古された策だが、こちらに有利な場で戦うってのはどうだ?
いやダメだ…、こっちばかりが有利になる都合の良い場所があるわけ…いや

キョン「……古泉」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 13:27:49.54 ID:ONb7XeOAO

俺はある閃きを三人に伝える

古泉「……なるほど、それならば僕たちにも勝機があるかもしれませんね」

話を聞き終わった古泉と朝比奈さんは少し希望を見出したようだ

みくる「でも…そんなことが可能なんでしょうか?」

そうだ…この策は古泉、つまりは機関にどれだけの力があるかに掛かっている

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 13:30:42.00 ID:ONb7XeOAO

キョン「…古泉、やれそうか?」

古泉「初めての試みです…無論、僕一人では不可能でしょうね」

古泉「機関の仲間達が総出で協力をしてくれればあるいは…といったところでしょう」

キョン「そうか…」

一応、別の策も考えておく必要がありそうだな…

古泉「いえ…お任せください、必ずや成功させます」

よし…そっちは古泉を信頼するとしよう、あとは…

キョン「長門…俺の考え通りに上手くいくだろうか?」

長門本人の意志…俺に賛同してくれるだろうか?

長門「全てがあなたの策通りになるかは不確定…ただし実行する価値は十分にある」

それは…長門の紛れもない戦いの意思表示だった

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 13:43:28.44 ID:ONb7XeOAO

よし……ギャンブル性はあるがこれで行こう、多少のリスクは覚悟の上だ

古泉「では…早速準備に取り掛かりましょう」

みくる「わ、私も自分に出来ることを探します!」

キョン「よし、じゃあ…」

長門「待って……あなた達に一言だけ伝えたい」

俺たちの視線が長門に集まる、…長門の言葉は俺たちの決意をさらに高めることとなった

長門「…ありがとう」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 13:45:04.19 ID:ONb7XeOAO

三日後

キョン「長門…調子はどうだ?」

長門「現在まで統合思念体からのアクセスはされていない」

長門「だが…プロテクトは既に限界に近いはず」

キョン「…そうか」

古泉…時間がないぞ、急げ…
そう思った刹那、俺の携帯が鳴り響く。待ちわびた瞬間だった

古泉「お待たせしました、ひとまずは成功…形にはなりましたね」

キョン「よし!じゃあ俺たちもすぐそっちに…」

その時電話中の俺の前に黒い車が止まり、後ろのドアが開いた

古泉「車を回しておきました、それに乗ってください」

キョン「さすが…準備がいいな」

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 13:46:59.91 ID:ONb7XeOAO

数分後

古泉「やあ、お元気そうで何よりです」

着くと笑顔を浮かべる古泉の姿が目に入った、コイツの笑顔を見るのも久しぶりだな

古泉「二人とも早くこちらへ、準備は出来ています」

古泉に促され俺と長門はその後を付いていく
そして古泉は何もない空き地のような場で足を止めた

古泉「ここが入り口です…長門さん、お先にどうぞ」

古泉にうながされ長門はその中へと入っていった

キョン「…ちょっと待て古泉、ハルヒはどうした?」

せっかくの策もハルヒがいなかったら何の役にも立たない
だが、それは俺の余計な心配に過ぎなかったらしい

古泉「ご心配なく、既に中にです…もちろん眠っていただいてますが」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 13:50:33.82 ID:ONb7XeOAO

森「考えましたね…擬似的な閉鎖空間を作り上げ、そこで相手を迎え討つとは」

機関の中でも俺の知っている数少ない一人の森さんが俺たちにそう言った

キョン「長門が言ってました…急進派が支配出来るのは三日間、つまり今日までです」

キョン「今日一日を耐えしのげば俺たちの勝ちってことです」

閉鎖空間に立てこもるのはいくつものメリットがある
まず第一、戦闘時に古泉が自分の持つ能力をフルに発揮できる
第二、奴らがどれだけ激しい攻撃を仕掛けてこようと実際の町に被害は出ない
第三、…外部と完全に隔絶された空間なら長門が支配を受けることもない
つまり、長門が操られることを心配せずに戦うことが出来るってわけだ

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 13:55:50.55 ID:ONb7XeOAO

森「既に涼宮さんと他二名は中に入っています、あとは…」

古泉「敵が来るのを待つばかり…ですね」

???「あら、呼んだかしら?」

キョン「……!」

背筋が凍るのが分かった…幽霊を見たヤツってのはこんな感じを覚えるのだろうか?

森「私は閉鎖空間の維持の補助に戻ります!二人とも早く急いで!」

森さんの指示で我に返る…そうだ、これからが戦いだ

古泉「…さあ、僕たちも閉鎖空間に!」

俺は古泉に誘導され、閉鎖空間の内部へと入っていった

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 14:09:29.27 ID:ONb7XeOAO

みくる「あっ!キョン君、古泉君!」

中に入って最初に目に映ったのはハルヒをおんぶした朝比奈さんだった、……可愛い

みくる「ずっとおんぶしてたら疲れちゃって…ちょっぴり大変でした」

重いと言わない辺り朝比奈さんの優しさが感じられる……可愛い

みくる「あっ…二人共これを持っておいてください!」

朝比奈さんは肩に下げたバッグから何やら機会を取り出して俺達に渡す
……何だろう、ドライヤーっぽいこれは?

みくる「禁則なんですけど…それ、未来の医療器具なんです」
みくる「処置が早ければ大きな傷でも治せます…ただし、一度だけしか使えません」

なるほど…直接的な武器ではないにしてもこれはかなり頼もしい
何より回復系の道具は癒しの朝比奈さんにあっている……可愛い

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 14:18:39.68 ID:ONb7XeOAO

古泉「既に敵は襲来しています、朝比奈さんは涼宮さんを連れて隠れていて下さい…」

みくる「あたし…戦いとかじゃお役にたてませんから」

みくる「あ、あの皆さん…また…、必ず会えるって信じてます!」

そういって朝比奈さんはハルヒと共にこの場をパタパタと走って離れていった
朝比奈さんの言葉に励まされる、ああ…走っている姿も可愛……

長門「来る」

長門の言葉の数秒後、閉鎖空間内にそれは侵入してきた

古泉「ここに侵入するだけでも骨だと思っていましたが…あっさり侵入されましたね」

古泉は少々驚いている、こりゃ…敵は予想以上に強いらしいな

???「ここが閉鎖空間かー…何だか変な所ね」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 14:24:55.91 ID:ONb7XeOAO

聞き慣れた声…だが思い出したくはない声、アイツだ

キョン「お前が来るとはな…驚きだよ、朝倉」

朝倉「お久しぶりね、キョン君」

自然と手に力が入る、それを見て朝倉はクスクスと笑った
…くそっ、忌々しいほどの余裕だな

朝倉「あなたはどうでもいいの…涼宮さんはどこかしら、ここにいるんでしょ?」

古泉「…何のことやら分かりませんね、ここには僕達しかいませんよ?」

朝倉「長門さんに加えて超能力者もいるのかー、これは少しキツいかもね」

ああそうかい…凡人の俺は眼中にないってか
だが変だ…数はこちらが圧倒的に有利なのに、奴は追い込まれている様子を見せない

朝倉「じゃあ…援軍を呼ばせてもらおうかしら」

キョン「な…援軍だと!?」

援軍…いや当たり前か、敵がたった一人で乗り込んでくるはずもないだろう
だが…まさかこの人が出て来るなんて

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 14:34:31.48 ID:ONb7XeOAO

古泉「喜緑さん……!」

…そうか、喜緑さんの送り主も…

喜緑「あまり戦いたくはないんです、でも命令ですから…」

喜緑さんの手が白く輝き…そして一直線に俺へと向かってきた

キョン「うおっ!」

間一髪で体を逸らして避けられたが…正直言おう、かなり怖い

朝倉「避けた?今のは人間に捉えられるスピードじゃ……ああ、長門さんね」

長門「身体能力を一時的に上方修正、加えて思考能力も上昇させてある」

長門「今の彼らは拳銃の弾を避けることすら容易」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 14:42:49.83 ID:ONb7XeOAO

そんなに凄くなってるとは知らなかった…一時的と言わずこのままにして欲しいくらいだ

喜緑「どうやら私は…長門さんと戦わなければいけないようですね」

長門もその言葉に応じて臨戦態勢を取った

長門「彼女は私が止める、あなた達は朝倉涼子を……」

そういうなり長門は喜緑さんと目にも止まらぬ攻防戦を始めた
やれやれ、漫画の世界みたいな戦闘を間近で見ることになるとはな…

朝倉「よそ見をしている暇はないわよ」

朝倉は両腕をしならせながら発光させ、俺と古泉を貫こうとする
確かに長門の補正のおかげで攻撃は見えるし避けられるのだが…

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 14:46:11.74 ID:ONb7XeOAO

古泉「くっ…これはなかなか厳しいですね」

どう動くか全く予想の出来ない腕を避け続けるのはかなり辛い

キョン「このままじゃ…共倒れだ!」

古泉「何とかこちらからも仕掛けなければ……ふんもっふ!」

そう言いながら古泉はカマドウマの時のように赤い光球を朝倉に叩きつけた

朝倉「へえ…面白い能力ね、でもそれじゃ勝てないわ」

あっさりと光球をはじく朝倉、あのくらいの一撃じゃダメなのか…

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 14:54:28.51 ID:ONb7XeOAO

キョン「古泉…いつもの赤い玉になってする攻撃はここじゃ出来んのか?」

俺の質問を少し間を開けてから古泉は肯定する

古泉「…出来ます、ただしアレは自身が弾となって直接体当たりをしているようなものです」

古泉「接近する際に下手をうてば…まずカウンターの餌食でしょうね」

そりゃ…確かに危険すぎるな、くそっ…考えろ

朝倉「もう抵抗は終わり?なら……お遊びはおしまいよ」

そう言って朝倉は呪文を唱えだす、長門がよくやるそれに酷似していた

古泉「こっ…これは一体……?」

長門「危険……、恐ろしいスピードで強引に空間情報を書き換えている」

キョン「な、何だと…?」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 15:05:32.48 ID:ONb7XeOAO

古泉「……仕方ありません、玉砕も覚悟の上です」

古泉の体が赤い光に包まれる、まさに捨て身の攻撃と言うべきか
呪文を唱えている間も腕の攻撃は絶えず続いているのが辛いところだ

キョン「……俺も行く、お前一人にはやらせんさ」

俺の言葉を聞き、古泉は僅かな笑みをこぼした

古泉「さあ…行きますよ!」

襲い来る触手を避けながら徐々に朝倉との距離を詰めていく…
もう少しでこちらの攻撃が朝倉へ届く範囲だ…このまま行ける!
異変が起こったのは…そう思ったその時だった

朝倉「残念…少し遅かったわね」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 15:16:13.79 ID:ONb7XeOAO

な…か、体が動かない…それは古泉も同じようだった

古泉「くっ…すみません、捨て身の決意が少々遅かったようですね」

古泉は申し訳なさそうに、そして悔しさを顔に浮かべてそう言った
決意が遅かったのは俺も同じだ…人間ってのはいざとなるとビビりが入っちまうらしい
情けない…あれだけ威勢が良かったってのに、俺はなんて腰抜けなんだ…

キョン「ダメだ…体が動かない、動け…動け!」

いいや、まだだ…諦めてたまるか、こんな所で終わってたまるか!
団員が全滅しその上ハルヒも殺されるなんてバッドエンドがあっていいわけがねえ!

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 15:28:53.71 ID:ONb7XeOAO

朝倉「…あなたたちをこのままにして涼宮さんを殺しに向かっても良いんだけどね」

朝倉「あなた達が死んでいるのを彼女が見たらきっとさらに絶望と衝撃を受けるわ!」

…気が付いて自分の親しい友人が全員息絶えていたら俺はどう思うだろう?
それも自分を守るために犠牲になったなどと聞かされたら…想像したくもない

朝倉「じゃあ…最初はやっぱりキョン君かな、一気に貫いてあげるから心配しないでね」

何の心配だ、くそっ……動け!どうした!?動けよ!!
俺の仲間を助けたいって覚悟はそんなもんだったのか!?

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 15:30:41.48 ID:ONb7XeOAO

朝倉「無駄よ…、唯一助けとなりそうな長門さんも喜緑さんの相手をするので手一杯」

朝倉「じゃあとどめね…死になさい♪」

朝倉の触手が一直線に俺を貫こうと伸びてくる、なまじ見えてしまうだけに恐ろしい

キョン「くそォォォォ!動けェェェェェェ!!」

叫んだ、全力で叫んだ…するとどういうわけか体が動いた
…俺の意志で動いたんじゃない、誰かが俺を助けてくれたんだ
古泉でなく、長門でもなく、ハルヒに付きっきりの朝比奈さんでもない…じゃあ…?

???「いっやー!めがっさ危ないところだったねっ!まさに間一髪ってヤツかなっ?」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 15:40:55.58 ID:ONb7XeOAO

驚いた…いや放心状態だった、何故この人がここに…?

キョン「つ、鶴屋さん!?」

古泉「な、何故あなたがここに…?」

俺も古泉も驚きを隠せない、あの朝倉でさえ焦りが伺えた

鶴屋「ふっふっふ、神出鬼没の怪盗鶴屋さんとはこのあたしのことだよっ!」

こんな時くらい冗談は言わなくてもいいのに…いや、意外に本当なのか?

朝倉「どういうこと…?キョン君とその超能力者は確かに空間凍結していたはずなのに…」

鶴屋「さーねー、あたしはなーんにも知らないよっ!」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 15:58:14.35 ID:ONb7XeOAO

鶴屋「あれぇ、古泉も動けないのかい?」

鶴屋「動かないと思ってるから動かないだって!キョンだって動けたんだからっ!」

そう言って鶴屋さんは古泉の背中をバシッと叩いた
いや…動けたのは俺の力じゃない、この人が手助けしてくれたせいだと思うのだが

古泉「…体が動きます!」

鶴屋「ほーら、簡単に動くじゃないかっ!」

鶴屋さん…あなたは何者なんですか?

朝倉「そんな…あり得ないわ…!」

朝倉「くっ…喜緑さん」

朝倉の呼び掛けに従って喜緑さんは長門との戦闘を一時中断した
そのすきに俺たちも長門と合流する

キョン「長門、大丈夫だったか!」

長門「平気」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 16:04:19.14 ID:ONb7XeOAO

長門は衣服が僅かに切れているものの特に外傷は見られなかった

キョン「長門、鶴屋さんも俺達みたいに身体強化を出来るか?」

長門「…可能、すぐに実行する」

鶴屋「…おっ、体がめがっさ軽くなった!いっやースゴいね、さすがは長門っち!」

よしっ…希望はかなり出てきたぞ、四対二ならこのまま数で押し切れるかもしれん!

喜緑「予想外でしたね…まさか彼女が出て来るとは…」

朝倉「最悪よ…打つ手がないわ」

ヤツが焦っている今が好機とばかりに攻めようとする俺
だがそれを鶴屋さんて長門は止めた

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 16:07:02.03 ID:ONb7XeOAO

鶴屋さんの口調間違えた…マジで申し訳ない

鶴屋「待ちなよキョン君…あたしが来たからって有利になったわけじゃないよっ」

鶴屋「それは奴さんだって分かってるっさ…なのにあの動揺はちょろーんと怪しいね」

そうなんだろうか…今は長門と並んでこの上なく頼もしく思えるのだが

長門「あれほどまでに狼狽するのは妙、何か裏が……っ」

朝倉「………くっ」

何だ…まさかアイツ泣いているのか?

朝倉「…うっ……く…くっ………」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 16:18:51.61 ID:ONb7XeOAO

朝倉「うっ…く…くく……うっ……」

何だ…意味が分からない、あいつは一体何をしていやがるんだ?

長門「……げて」

朝倉の動作に気を取られ…俺は長門の言葉に反応することが出来なかった

長門「逃げて!」

反応できたのは二度目…長門が長門らしくない大声を上げたときだった

古泉「危ない!!」

鶴屋「キョン君逃げてっ!!」

二人の言葉もむなしく…俺は長門に腹部を貫かれた

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 16:32:18.15 ID:ONb7XeOAO

キョン「ぐっ…あ……」

長門は刺し貫いた腕を引き戻した、同時に脇腹から血が溢れてくる…
どうなっている……この状況は何だ?長門が俺を攻撃……?そんなまさか…

朝倉「くくっ…アハハハハハハハ!」

朝倉の高笑いが鳴り響く…くそっ、痛みで意識がはっきりしない

鶴屋「…古泉くんっ!キョン君は任せたからね!」

そういって鶴屋さんは長門と対峙する
嘘だろ…頼りにしていた二人がこんな形で戦うことになるなんて…

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 16:35:16.53 ID:ONb7XeOAO

古泉「朝比奈さんの治療器具です!これを早く!」

手渡された器具を貫かれた場所に触れさせる
驚いたことに急速に血は止まり、痛みも和らいできた
改めて思う…あの人はどれくらい先の未来から来ているのだろう?
こんな医療器具…開発されるのは一体何年後なのだろうか

古泉「……治療をして無防備な所を攻めてくるかと思いましたが来ませんね」

古泉の呟きを聞いた朝倉は余裕の表情で答えた

朝倉「フフ、私たちはもうそんな隙をつくようなことをする必要はないわ」

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 16:46:57.10 ID:ONb7XeOAO

キョン「長門が…奴らに支配されちまったからか…」

だが何故だ、隔絶された空間ならば長門は支配されないと踏んでいたのに…

古泉「僕らは…まだ彼らを侮っていたようです、まさかこの空間まで支配が及ぶとは…」

鶴屋さんは…まだ長門を相手に頑張っている
すげえ…何でも出来る人だとは思っていたがまさかここまでとは
だが…徐々に劣勢になっていくのが見て取れた

鶴屋「うっ!」

長門の攻撃が鶴屋さんの顔をかすめた、傷から一筋の血が流れ落ちる

鶴屋「いやーこいつは参ったね…ちょいと勝てそうもないや」

疲弊している鶴屋さんと古泉、…そして凡人の俺
相手は疲れ知らずの反則的強さの宇宙人が三人
…どちらが有利かは言うまでもないだろう

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 17:04:32.55 ID:ONb7XeOAO

鶴屋「……どうしよっかこれ、あたしたちに勝ち目はあるのかな?」

あの明るい鶴屋さんがこんなことを言うなんて…
今の状況がどれだけヤバいかを物語ってる

古泉「…………潔く、負けを認めるべきでしょうか?」

古泉も…もう心が折れかけているらしい、当然と言えば当然か…

朝倉「フフ…分かってるじゃない、賢い選択よ」

くそっ…憎しみを込めて朝倉を睨んだとき……その隣にいる長門が目に入った

キョン「な…長門……?」

見間違いだろうか…いや、見間違いじゃない…俺は確かに長門の目に光るものを見た
そして…それは折れかかった俺の心を再び立ち直らせるきっかけになった

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 17:17:11.25 ID:ONb7XeOAO

キョン「俺はまだ負けたわけじゃない」

今まで俺達を支え続けてきた長門が見せる初めての涙…
すまん……長門、お前を泣かせてたまるか!

古泉「まだ…あなたは勝算があるとお思いなのですか?」

ないさ…そんなモン一ミリもあるはずがないのは分かってるんだ、けどな…

キョン「古泉、ここで負けを認めるのは潔さじゃない…単なる諦めだ」

鶴屋「キョン君…」

何の力もない俺に出来るのは味方を鼓舞する…ただそれだけしかできない
だが…それだけでも俺に出来ることは何だってやってやる

キョン「俺達なら大丈夫だ…俺達はまだまだやれる!」

キョン「なあ、長門もそう思うだろ!」

長門「…………」

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 17:24:28.54 ID:ONb7XeOAO

俺の呼び掛けに沈黙する長門に代わり朝倉が笑いながら答えた

朝倉「フフ…、何言ってるの?長門さんはもう私の駒なのよ」

朝倉「いいえ…観測が目的の長門さんは最初からあなた達の仲間なんかじゃ…」

キョン「長門は…俺達SOS団の一員だ!」

俺にとって長門は…口数が少なくて、部室の片隅で本を読んでいて…
誰よりも頼りになり、信頼に足る…俺達に欠かせない仲間だ!
統合思念体なんぞ関係ない、長門は…長門有希は俺達の仲間なんだ!
……そして朝倉!とうとうお前の尻尾を掴んだぞ

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 17:31:58.72 ID:ONb7XeOAO

朝倉「…もういいわ、あなたの下らないお喋りを聞いている時間はないの」

朝倉の腕が光を増していく、どうやら俺の言葉に嫌気がさしたらしい
続いて喜緑さんの手も光り始めた、くそっ…二人同時かよ
そう思った時…古泉と鶴屋さんが俺の前に壁を作った

古泉「させませんよ…彼は、僕の大切な友人…仲間ですからね」

鶴屋「あたしも…大切な友達のキョン君を傷つけられちゃ困るからねっ!」

そう言って古泉は朝倉に、鶴屋さんは喜緑さんにそれぞれ単独で立ち向かう

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 17:37:01.11 ID:ONb7XeOAO

長門「…………」

向かいあう長門と俺……しばらくすると長門の腕も徐々に光り輝いてきた

長門「逃げて……今の私は自分の意志でこの体を制御出来ない」

キョン「…………」

長門「私は……あなたを殺したくない」

長門よ…、その言葉が聞けただけで十分だ

キョン「俺も…お前に攻撃することなんて出来やしないさ」

長門「……………」

長い沈黙、未だ俺を刺し貫かないってことは…長門も戦っているのだ
自分を操る統合思念体…いや、あいつと戦っているんだろう!
この間に逃げようと思えば逃げられる、助かろうと思えば助かる
だが…必死で戦う古泉や鶴屋さん、そして長門を残してどうして俺だけが逃げられる!

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 17:44:32.56 ID:ONb7XeOAO

古泉「うぐっ…あぁ……!」

古泉の叫び声が響く、朝倉の攻撃が古泉を捉えたらしい

キョン「古泉!!」

古泉「ぐっ…足が……」

足を深く斬られたらしい古泉はうずくまり、抵抗すら出来ないでいた

朝倉「もう左足は使えないわね…というより、もう決着はついたんじゃないかしら?」

朝倉が古泉を貫くべく腕を振りかぶる、させてたまるか…間に合え!

朝倉「じゃあね…超能力者さん♪」

古泉「くっ…僕もここまでですか……!」

朝倉の腕が伸びる直前、俺は古泉を突き飛ばして距離を取らせることが出来た
だが……

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 17:53:36.04 ID:ONb7XeOAO

朝倉「あら…最初はキョンから死にたいのね♪いいわよ、その願い叶えてあげるわ」

古泉を突き飛ばした反動で俺は倒れ込んじまってる…無理だ、避けられない!

朝倉「人間にしては頑張ったわね、なかなか面白かったわよ?」

くそ…くそっ!こいつの尻尾は掴んだのに…ようやく分かったのに

古泉「朝倉さん、あなたの相手は僕でしょう!やるなら僕から…」

次の瞬間、朝倉の輝く腕が猛スピードで俺に近づいてきて…辺りが鮮血で染められた

キョン「……………?」

何故だ、痛みを感じない…血溜まりが出来るほど出血しているのに…

朝倉「そ…そんな……どうして!」

何故……朝倉が驚愕の悲鳴を上げている?

長門「……………っ!」

何故…俺の目の前で長門が胸を貫かれているんだ?

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 18:08:47.57 ID:ONb7XeOAO

キョン「な、長門!!」

とっさに長門へ駆け寄ろうとする、だが長門は俺を見つめ…朝倉へと視線を移した
そして長門は体を貫かれながらも朝倉の腕を掴んで離さないでいる…ああ、分かったよ

朝倉「そんな…あなたには私のために涼宮さんを殺してもらわないといけないのに…」

……俺は体制を立て直して、狼狽する朝倉を力一杯殴りつけた

朝倉「あっ!」

長門のおかげで普段より何倍も力を込めて殴れたように感じられる
正直女を殴るってのは良い気分とは言いにくいが…そうも言ってはいられない

キョン「朝倉…お前の負けだ」

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 18:15:54.38 ID:ONb7XeOAO

殴られてひるんでいる朝倉に俺はそう言いはなった
だが…朝倉はまだ余裕の笑みを浮かべている

朝倉「フフ…残念でした、仮に私を倒せてもすぐに別の急進派が…」

キョン「来ないんだろ?」

朝倉「な…何を………」

俺には確信があった、これで全てが終わるはずだ

キョン「急進派のトップは…お前なんだからな!」

朝倉「!」

この反応…どうやら俺は間違えてはいないらしい

古泉「な…何ですって?」

古泉は驚きの声をあげる、そうだろうな…自分が戦っていたのが敵の親玉だったんだから

キョン「不思議に思っていたんだ…長門が操られた時点からな」

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 18:21:21.47 ID:ONb7XeOAO

キョン「長門が操られた時…最初は統合思念体とやらの力が想像以上だったのかと思った」

キョン「だが…クーデターで混乱している思念体にそこまでの力があるとは思えなかった」

朝倉「…………」

キョン「次に…長門や喜緑さんが動くのは必ずお前が行動したあとだった」

キョン「特に喜緑さんはお前に追従するかのように行動していたから分かりやすかった」

俺もなかなか口が回るもんだ、よし…こうなればこっちのペースだ

キョン「そしてお前はたびたび言っていたな、『私の』とか『私のために』って…」

キョン「まるでお前が急進派の頭みたいな言い方じゃねえか」

朝倉は俯いたまま俺の話を聞いていた…そして

朝倉「フフ…フフフフフ…アハハハハハ」

堰を切ったかのように笑い始めた

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 18:33:32.38 ID:ONb7XeOAO

突然堰を切ったかのように笑い始めた

朝倉「驚きね…あなたがそこまで切れるとは思ってなかったわ」

ああ…自分でもびっくりだよ、俺がこんなに……
…あれ、そういや長門が思考能力もあげてたんだっけか?
…いかんいかん、カッコつけた手前もある。これは俺の手柄にしておこう

キョン「俺じゃお前を完全に消し去ることは出来ん…それに俺はもう目的を果たした」

朝倉「あら……あなたの目的って?」

キョン「一つは敵大将を一発ぶん殴ってやること、もう一つは…仲間を守ることだ」

朝倉「なるほどね…さっきのであなたはもう気が済んだわけか」

朝倉「でも…もう一つの目標は達成出来なかったみたいね?」

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 18:39:22.34 ID:ONb7XeOAO

な、何だと…そう思った時だった

長門「……………」

今まで朝倉の腕を掴まえていた長門が…膝からゆっくりと崩れ落ちていった

キョン「な…、長門!しっかりしろ!!」

俺の呼びかけにうっすらと目を開ける長門…だが、既にその目には力が感じられなかった

鶴屋「キ…キョン君!さっきキョン君の傷をふさいだアレ!もうないのかいっ!?」

そうだ…朝比奈さんは未来の医療器具を俺達に一つずつ渡したんだ
長門の分もまだ残っている

キョン「長門!傷を見せろ!」

胸部に医療器具をあてがった……おかしい、俺の時とは明らかに治るスピードが…

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 19:00:45.33 ID:ONb7XeOAO

みくる『処置が早ければ大きな傷でも治せます』

朝比奈さんの言葉が頭をよぎる、……処置が早ければ?

キョン「まさか…オイ、嘘だろ…?」

手遅れになっちまったのか…?いや…そんなわけがない!

古泉「長門さん…自らの力で体を再構成は出来ないのですか?」

怪我をした足の激痛に耐えながら古泉が提案する、そうだ長門…何とかならないのか?

朝倉「無理ね」

長門に代わって朝倉が答えた

朝倉「長門さんは確かに優秀なインターフェースよ、でももう手遅れね」

朝倉「それだけ肉体が損傷してしまったらもう自力ての修復は不可能よ」

……朝倉の言葉を聞き、目の前が真っ暗になった錯覚を覚えた

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 19:10:48.13 ID:ONb7XeOAO

キョン「くそっ、俺が……俺がミスったんだ!」

長々と得意になって推理なんかしていた俺のせいだ……
胸を貫かれてダメージがないわけないだろ!なんで俺はこうバカなんだ!

キョン「くそっ…うっ……」

ダメだ泣くな、泣いたらもう手遅れみたいじゃねえかよ…泣くな…泣くな…

長門「あなたは……よく……戦った」

俺の腕の中で長門はそう呟いた

長門「あなたは……何も…悪くない」

長門の言葉に胸を締め付けられるように感じた……長門、しっかりしろ!

長門「気にしなくていい……、それに…嬉しかった」

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 19:21:23.94 ID:ONb7XeOAO

長門は静かに語り出した……まるで最後の遺言を残すかのように

長門「あなたは……単なる観察者に…過ぎなかった…私を変えてくれた」

キョン「ダメだ……長門、もう喋るな!」

長門は俺の制止にも耳を貸さずに話を続ける

長門「そして…端末に過ぎない私を……仲間と呼んでくれた……」

長門「嬉しかった……嬉しかった……」

分かってるさ長門、いや俺だけじゃない!
古泉も鶴屋さんもハルヒも朝比奈さんも…みんなお前を仲間だと思ってる!

キョン「だから長門……消えるな!」

どんなに強く呼びかけても時間が経つごとに長門が弱っていくのを感じる…
…生まれて初めての絶望を俺は感じていた

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 19:31:23.31 ID:ONb7XeOAO

ハルヒ「有希!!」

突然ハルヒの声が聞こえてくる…どうして…?

古泉「鶴屋さんです…彼女が呼びに行ったようです」

気が付かなかった……いや、待て…ハルヒがこの状況を見たらどう思う?

古泉「……おそらく、最後の賭でしょうね」

ハルヒは肩で息をしながら慌てて長門に駆け寄った

ハルヒ「有希っ!キョン、有希は大丈夫なの!?」

俺は…大丈夫だと答えてやれなかった、ハルヒも俺の様子から事態の程を理解したらしい

ハルヒ「嘘よ…こんなの……有希がいなくなっちゃうなんて…あたしは絶対に嫌ァー!!」

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 19:38:32.39 ID:ONb7XeOAO

長門「あなた達に会えた私は……本当に………本当に……………」

ハルヒ「有希……嫌よっ!そんなのダメ…あたしの……命令なんだから…」

長門「……………」

長門は何か言っている、だが…声が小さすぎて聞こえない

キョン「長門……お前何て………」

長門「また………図書館に……………」

そういって長門が目を閉じると、その身体は徐々に、まぶしい光へと包まれていった

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 19:51:48.80 ID:ONb7XeOAO

ハルヒ「あ……ああ………ゆ、有希ィー!!」

刹那、閉鎖空間が地震を思わせるほど異常に揺れ始めた

朝倉「すごい……すごい情報爆発だわ!」

やっぱりハルヒの力か!神にも等しい能力とはよく言ったもんだ

古泉「こ、これはいけません!」

古泉が叫んだ、何だ?何が起こっている?

古泉「力があまりに大きすぎます!下手をすれば世界丸ごと滅んでしまうかもしれません!」

キョン「な、何だって…!!」

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 20:02:21.24 ID:ONb7XeOAO

朝倉「これよ……私はこの力を待っていたの!」

しまった…朝倉の狙いを忘れていた!

朝倉「アハハハハハ!今、私がこの力を使えば世界の大改変することも出来る!」

させてたまるかっ!俺と古泉はほぼ同時に朝倉に攻撃を仕掛ける
朝倉の体が目映い光に包まれる、くそっ!ふざけるな!

朝倉「私は世界を改変する!私の望む世界を構築する!」

そんなことさせて…………っ!
俺と古泉はふと足を止めてしまった……信じがたいものをこの目で見た
そして全てが明るい光で照らされ……俺は意識を失った

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 20:12:42.94 ID:ONb7XeOAO

……………………

キョン「うっ……」

ふと俺は目を覚ます、周りを見ると見慣れた光景が広がっていた

キョン「………部室?」

そう…ここは紛れもない、我がSOS団の部室だった
どうやら俺は今まで机に突っ伏して眠っていたらしい…

キョン「夢……?」

いや、夢なわけあるか!あんなリアルな夢を見るわけがねえ!
まさか…朝倉の世界改変が成功しちまったのか……?
……守れなかった、俺は何一つ……長門も…仲間達も…世界も……

キョン「……長門」

すまん…本当に………

???「何?」

124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 20:24:23.60 ID:ONb7XeOAO

キョン「えっ………?」

聞きなれた声が片隅から聞こえる…これは……

キョン「な…が……と?」

声のした方に目をやると…いつものように椅子に座り本を広げている長門の姿があった

長門「…………」

ああ…その無口な所すら感動的に思える、長門だ…夢じゃねえ!

キョン「長門…長門……!良かった、本当に…うっ……良かった…!」

恥ずかしさなど顧みず俺は長門に抱き付いた
そして長門はそんな俺の頭に優しく手を乗せていた。

125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 20:29:24.88 ID:ONb7XeOAO

キョン「…んっ!」

何だろう…上から水が落ちてきた気がする

長門「………っ!」

長門は俺に顔を見せないようにそっぽをむいた…まさか

キョン「長門…お前まさか泣い……」

長門「ただの目薬」

キョン「いやいや長門…それはさすがにな……」

長門「目薬」

キョン「いや…だから」

長門「目薬」

………はい、じゃあ目薬でいいです

ーーー

古泉「まさに…奇跡といえるでしょうね、我々のこちら側への復帰は」

古泉は相変わらずの笑顔を作りながら俺と話していた

古泉「朝倉涼子は涼宮さんの力を制御しきれず、我々は偶然元の世界に帰ってこれた」

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 20:35:06.32 ID:ONb7XeOAO

そんなところですかね、肩をすくめてそう言って古泉はお手上げポーズを取る

キョン「お前……本当にそう思ってるのか」

古泉「と…申されますと?」

白々しい…何を言うかは分かっているだろうに

キョン「お前も見ただろう、いや見なかったとは言わせんぞ?」

古泉「おや……ではあなたもご覧になったのですね?すみません、僕の見間違えかと」

キョン「すっとぼけるな、わざとらしい」

あの時、最後の瞬間に俺たちが見たもの…それは朝倉良子の微笑みだった

128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 20:41:51.02 ID:ONb7XeOAO

古泉「つまり…あなたはこうおっしゃるのですね?」

古泉「朝倉涼子の変革は成功した……ここはその変革が終わった世界なのだと」

考えにくいかもしれんが…可能性としてはかなり高いと思うぞ?

古泉「ですが…あの時点から変わったことと言えば……」

キョン「消え去った長門が元に戻ったくらいか」

アイツがしたかったこと……それは一体なんだったのだろうか?

古泉「僕の予測ですが……朝倉涼子はあなたの言葉の影響を受けたのではありませんか?」

何、俺の言葉?

130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 20:48:33.62 ID:ONb7XeOAO

またお前の戯れ言か?

古泉「ええ…ただの戯れ言ですよ」

くそ、開き直りやがった

古泉「あなたの長門さんや僕たちへの熱い言葉…それに彼女は感化されたのでは?」

何だその少年マンガのような展開は…第一朝倉に限ってそんなことはありえん

古泉「だから戯れ言と言ったではありませんか」

付き合いきれん…

古泉「そう怒らないでください、半分本気なんですよ?」

………半分?

古泉「彼女が一番気にかけていた人物…それは誰だったでしょうか?」

134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 21:03:17.91 ID:ONb7XeOAO

キョン「…長門か」

古泉「ええ…その通りです」

朝倉はハルヒが消失した世界でも長門を気にかけていた…何かしら特別な存在なのだろう

古泉「あなたのラブコールを聞いた長門さんは実に幸せそうでしたよ?」

…………………

古泉「そんな幸せそうな彼女の生活を守ろうと…彼女は……?」

そこで古泉は言葉を切った、俺の反応を伺っているらしい

キョン「……戯れ言だな」

古泉「フフ……確かにそうですね、ああ…ところであなたにお願いがあるのですが?」

キョン「何だ?」

古泉「あなたは閉鎖空間で戦っていたとき…SOS団は仲間だと言いましたね?」

155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 21:52:50.41 ID:ONb7XeOAO

それがどうかしたか…?

古泉「僕もSOS団の一員なのですが…僕も仲間と思ってくださっていますか?」

……このバカは何を聞いているんだ、ああ仕方ない…答えてやろうじゃないか

キョン「当たり前だろ…お前も俺のな…まだ」

古泉「…すいません、途中がよく聞こえなかったのでもう一度よろしいですか?」

ふざけるなバカ、二度と言わせるな

古泉「ふう……やれやれ」

137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 21:11:15.06 ID:ONb7XeOAO

ーーー
鶴屋「いっやー、昨日はめがっさスッゴい夢見ちゃってさー!」

ああ…この人は全く変わらないな、良いことだ

鶴屋「どんな夢かはちょいと教えられないけどねっ!」

キョン「…鶴屋さん、それ夢じゃなくって」

鶴屋「キョン君!」

鶴屋さんはチッチッチッと言って俺を止めた

鶴屋「あれは…夢だったのさっ!」

長門と同じでこの人もガンとして夢と言い張るのだろうな…まあいいけど

キョン「ああ…良い夢を見られたようで何よりです、それじゃ俺はこの辺で…」

鶴屋「あっ、ちょいとキョン君!」

立ち去ろうとする俺を捕まえて鶴屋さんは耳元で囁いた

鶴屋「お疲れっ!カッコ良かったよ、…お姉さん惚れちゃった!」

何故だろう……クラッと来た

141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/27(日) 21:29:29.52 ID:ONb7XeOAO

ーーー部室

ハルヒ「……昨日は本当に悪夢を見たわ、二度と見たくないわね」

俺はあえてそれを根堀り葉掘り聞くことはしない、藪をつついて蛇を出しかねないからだ

ハルヒ「ねえキョン……」

キョン「何だ?」

ハルヒ「SOS団はあんたや有希にみくるちゃん、古泉君にあたし全員でSOS団よ!」

ハルヒ「一人でも欠けちゃ絶対ダメなんだからね!」

長門…聞いたか、団長様のありがたいお言葉を
お前はやっぱり紛れもない…俺たちの仲間なんだよ

長門「…………」

何故だろう…今日の長門はいつもより少しだけ微笑っているように見えた

〜fin

149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 21:36:24.21 ID:ONb7XeOAO

もう二度ともしもしからSSは書かない…そう思いました
遅筆で読みにくくグダグダな文章に最後まで付き合ってくださり感謝します



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