139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/25(金) 15:34:54.54 ID:dYVvNCX3O
文才無いし、途中で飽きるかもしれんが…
…
………
キョン「はっ…!かっ…!?」
急いで飛び起き、首にかかった紐を確認しようとする。
しかし右腕に激痛が走り、仕方なく左腕だけで首元を確認する。
なぜか紐は取れているようだ。
周囲を確認すると、俺が先程まで寝てたであろう、ベッドと掛け布団
白い壁と隣にはいつものにやけ顔のこの男…
古泉「よかった、気が付れたようですね」
キョン「ここは…?」
古泉「病院です。学校の近くの…」
キョン「なぜ俺が病院…いや、どうしてどうなった…え!?」
混乱した頭の中を必死に整理しようと試みるも、頭の中は白いまま働かず
右腕に包帯が巻かれているくらいか…しか理解できない
143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/25(金) 15:42:00.64 ID:dYVvNCX3O
古泉「どうやらビニール紐だったからよかったようですね…」
キョン「…」
古泉「…いや、よかったといっても切れて窓から転落という形になってしまったわけですが…」
キョン「だからこの腕か…」
古泉「ええ」
次第に頭がクリアになっていく、と同時に、
俺が絞首刑に処せられた瞬間のハルヒの笑顔が頭に過ぎる
キョン「ハ…ハルヒは…!?」
古泉「彼女ですか…大変だったんですよ、あなたが転落した後
涙を流しながらも冷静に対処し、私達に連絡をくれたんですから」
キョン「涙ぐみながら…?」
あれ…確か俺が気を失ったであろうとき、あいつは悪魔のような笑顔で…
145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/25(金) 15:55:55.47 ID:dYVvNCX3O
古泉「ええ、大変でしたよ。涙を流しながらあなたに謝罪をする彼女を慰めるのは」
キョン「…」
涙を流しながら…?
馬鹿な、あの笑顔は俺の思い違いだったのか…?
古泉「さて、あなたも気が付かれたみたいですし、私は失礼しますよ」
キョン「あ…ああ」
古泉「あ、そうそう、もう少ししたら彼女と、朝比奈さんが来るそうですよ」
キョン「ハルヒ…が?」
ハルヒが来る…、そう聞いた瞬間、あの顔が頭を過ぎる
恐怖が心の中に広がってく。
古泉「ええ、朝比奈さんもです。」
キョン「ちょ、ちょっと待ってくれ」
古泉「?」
キョン「ま…まだ心の準備が…いや、まだ帰らないでくれ!」
146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/25(金) 16:12:54.15 ID:dYVvNCX3O
まだハルヒと合って正常で居られる自信がない…
朝比奈さんはきっと混乱したままで頼り無いだろう
こういうとき長門が居れば…いや、無い物をねだっても仕方がない
ここに居るこいつにしか頼る相手が居ないのが些か悔しくはあるが…
古泉「どうされました?」
キョン「いや、まだこんな静かなとこに一人で居るのは落ち着かなくてな」
古泉「おやおや…いいですよ、休憩室から将棋でも持ってきましょう」
キョン「おお、そうだな」
古泉が部屋を出ていく。
ハルヒが部屋に来るまで、落ち着いて頭の中を少し整理しよう…そう思いため息を付く
ふと、携帯の点滅光に目が止まり、何気なく携帯の画面を見た。
149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/25(金) 16:39:59.93 ID:dYVvNCX3O
『新着32件』
キョン「なんでこんなに溜まってるんだ…」
今日の日付を見ると事件の日から二日も経っているようで…
中身を見ていくと、谷口、国木田と、いつもの面々から俺の様子を心配をするメール
(谷口のやつは美人の看護婦が居たら紹介しろよ、とかいう
くだらない内容で即削除したが)
その中でも朝比奈さんからの心配や励ましの言葉(絵文字やデコレーションで可愛い)が
俺の混乱した頭をかなりクールダウンしてくれた。
他にも普段あまり話をしたことが無い面々からメールが届いており、
SOS団との付き合いで急落したであろう俺のクラス内での評判や、
地位も思ったよりは捨てたもんじゃないのだろうな…
などという、よくわからん自尊心が俺をくすぐっていた
が…「ハルヒ」という、一文を見た瞬間、その自尊心も凍り付いてしまった。
151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/25(金) 17:02:27.95 ID:dYVvNCX3O
ハルヒからのメールの内容は『ごめんなさい』の一言だけだった。
それだけにどう捉えていいのかわからない。
ああやって突き落としたことに対して謝っているのはわかるが
ハルヒが今、どういう心理状態でいるのか等、
この一言から考察するにはなかなかに情報が少な過ぎた。
頭の中では、突き落とした際の『悪魔のような笑顔』、と、
古泉の言う『涙を流しながらの謝罪』(普段のあれからは想像できないが)の間での
情報の差が埋められず、それがぐちゃぐちゃとしたジェル状のものになり、
ただただ流れ出ず残るばかりだった。
コンコン、と部屋の扉を叩く音がし、俺がそれに答えると
俺を悩ますぐちゃぐちゃジェルの片割れが、将棋板と箱を持ってやってきた。
キョン「時間がかかったな」
古泉「ええ、休憩室のご婦人に捕まりまして、少々抜け出すのに時間がかかりました。」
キョン「そうか」
157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/25(金) 17:41:43.81 ID:dYVvNCX3O
その後、将棋を指しながら、何気なくハルヒの様子を聞くと
聞こえてくるのは普段の傲慢なあいつとは違った、しおらしい一面ばかりだった。
どうやら俺を突き落とした次の日(昨日)は家で余程泣いたのであろう、目を腫らしていたそうだ。
部室に来ても上の空で、窓際で外を見ながら
古泉に俺の様子を聞いたっきり、「そう…」とだけ
そして「今日の団活は終わり」と、部室を後にしようとしたらしい。
古泉や朝比奈さんが見舞いに誘ったのだが、俺の寝ている顔を見ると気の毒に思うらしく、
どう顔を合わせたらいいのかと困った顔をして聞くのだと。
今日来ることも皆が説得してやっと来ると言ったくらいらしい。
今気がついたが部屋の横に飾ってある花(名前はよくわからん)は
あいつが代わりに飾っておちてくれと頼んだものだとか。
160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/25(金) 18:06:45.01 ID:dYVvNCX3O
その話を聞くに
どうやらハルヒの悪魔のような笑顔も、ただの思い違いだった、のか
それか、流石に絞首刑はやり過ぎだったと
後に反省したのだろう(やられた側は冗談じゃないが)の、
どちらかなのだろう。
そう頭の中で整理が付きそうに思う。
もしハルヒが、そのしおらしさのまま部屋に来たなら、
少しばかり皮肉を吐いて困らせてやって、後はいつも通りフランク(なのか?)な
関係で居るとしよう、そう思うようにした。
将棋の結果は二回戦やって俺が全勝。
古泉「いやはや、ブランクがあるのに相変わらずお強い」
キョン「ブランクっても二日寝てただけだろが」
古泉「はは…そうですね。」
相変わらずこいつはこういったゲームでは手応えがない
しかし、俺がハルヒと合うまでの頭の時間稼ぎにはなった。
今更ながら古泉を帰らせないでよかったと思う。
たまにはこいつにも感謝しておかないと罰が当たるなと、ちょっとだけ思った。
163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/25(金) 18:35:05.09 ID:dYVvNCX3O
俺達が将棋の三回戦目に興じていたとき
部屋の扉をノックして噂のハルヒと朝比奈さんが部屋に入ってきた。
みくる「あ…キョンくん!」
ハルヒ「あ…」
キョン「朝比奈さん、とハルヒ…」
みくる「気がついたんだぁ…よかった〜」
朝比奈さんが涙ぐみながら俺に抱き着いてくる
キョン「ええ、なんとかまだ川は渡らずに済みましたよ」
みくる「部室の窓から落ちたって聞いたから、あんな高さだし助からないかと思いました」
涙を流しながら、いつもの朝比奈さんスマイル
抱き着かれて胸を押し当てられたことにより
こういう状況に少し感謝しそうになる。
166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/25(金) 19:03:57.48 ID:dYVvNCX3O
問題はこっちだが…
俺は押し当てられている物への恥ずかしさからか、
話題を反らすために、その場にある無言の圧力源へ足を踏み入れるとする。
キョン「おい」
ハルヒ「な…なによ…」
いつもの仏頂面がそこにあった。
だがよく見ると、まだ少し目が腫れているように見える。
キョン「…」
ハルヒ「…」
無言…
その場の空気を読み取ったのか、古泉は朝比奈さんに目配せし
朝比奈さんは慌てて「お茶を汲んできます」と言い残し
二人して部屋を出て行った。
168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/25(金) 19:35:33.75 ID:dYVvNCX3O
ハルヒと部屋で二人となり、気まずかった空気が更に気まずくなる。
ハルヒからは確かに泣いた後の目の腫れのようなものは見えるが…
古泉から聞くしおらしさとかを感じない、俺がおかしいのか?。
やはり、まだ話かけるべきでは…、いや、二人になるんじゃなかった…と、焦りと後悔。
突き落とされたときの恐怖が頭を過ぎる
あの悪魔のような笑顔は本当は実在したんじゃないか?
頭がまたぐちゃぐちゃに混乱していく…
あれ…どこで間違ったんだ…?
いや、この場では俺が強気で居ても良いんだよな?
俺が突き落とされるようなことを言ったから?
いや、そこは今は関係ないよな…
こうなるとどこから手を付けて良いのかわからない…
そんなどうしようもない混乱、沈黙を破ったのはハルヒだった。
ハルヒ「…あんなことしちゃって、ごめんなさい」
キョン「あ…ああ」
175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/25(金) 20:42:51.84 ID:dYVvNCX3O
ハルヒ「その…冗談のつもりだったのに、こんなことになって」
キョン「…」
ハルヒ「悪いと思ってるわ…ごめ…ん」
キョン「ああ…」
ハルヒ「ごめ…ん…っ…ひ…」
キョン「お…おい…」
ハルヒの瞳から涙が零れ始める。
ハルヒ「ごめ…んなさっ…ひぐっ…ぅぅ…」
キョン「お…おう…」
おい、よしてくれ…
俺はちょっとこいつを小突いてやればよかったはずなのに
そりゃ少し謝ってもらいはしたかったかもしれんが…
謝られた後はいつも通りに…いつも通りに…
ハルヒ「うぅ…っわぁぁぁん……」
顔を手で押さえて泣き崩れたハルヒを、俺はどうしたらいいのかわからなかった
こいつのこんな顔を見るのは始めてで
俺のほうが被害者なはずなのに、なぜか気の毒な気持ちになった。
181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/25(金) 21:17:24.03 ID:dYVvNCX3O
その後、俺は何も言及できず、
長いお茶汲みから戻ってきた古泉と朝比奈さんが、
ハルヒを慰めつつ、連れて出て行くまで、
この気の毒さと混乱とでなにもかもがどうでもよくなっていた。
ただ、この一件は長らく俺の中に引っ掛ることになる。
それは、この謝罪を続けるハルヒの前で一瞬、
何か不気味な感情が自分の中で起ころうとしていたことだ。
その一瞬の不気味な感情は俺自身が理解する前に、理性が瞬時に拒絶し、
拒絶したおかげでか、その場では立ち消えてしまった。
俺も、その感情がなんだったのか思い出そうとするが、思い出せず。
しばらくすると、そのことすらも忘れてしまった。
しかし、それだけ不気味な感情だったのだろう
表面には出さないがハルヒに対し、少しだけの心の距離を生み出さずにはいられなかった。
184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/25(金) 21:41:17.46 ID:dYVvNCX3O
その後、俺は医者もびっくりするほどの、驚異的な回復力で病院を退院することになる。
古泉いわく、「これも彼女の能力でしょう」だとか
退院するまでの間、朝比奈さんと長門、古泉は毎日俺の様子を見に来てくれた。
それに吊られてか、機嫌を取り戻したハルヒも毎日俺の病室に見舞いに訪れ
ついに俺の病室は団長公認のSOS団仮部室なるものに変貌してしまった。
退院するまで、病院の中にも不思議があるはずと
夜中まで院内に隠れ、近くのおばさんに聞いた院内の七不思議、霊安室の幽霊退治や
どこからか聞こえる、うめき声の原因探し等々
病院側にかなりの迷惑をかけてしまった。
186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/25(金) 22:00:41.06 ID:dYVvNCX3O
…
………
俺が退院し、久々に教室に姿を現すと
教室内に静かなどよめきが起こり
谷口や国木田、阪中、普段話かけて来ない人からも退院を祝う言葉を貰い
少々小恥ずかしい気持ちになった。
ただ、谷口は俺の退院よりも、
俺が入院してる間に目に止めた看護婦の様子が気になっていたようだが…。
そんなこんなで、今日の授業も終わりを迎え、
久々に会った人達との別れの挨拶も済ませ
こちらも久々となるSOS団正式(と書くと誤解を招くが)の部室に足を運ぶ。
そこには久々なのに、全く変わらない、懐かしい風景があった。
キョン「よう、長門」
長門「…」
こちらに少しだけ顔を向け、コクリと頭を下げる。
少しだけ明るく感じたのは俺の脳内がそう着色しただけか、
はたまた本当にそうなのか…。
188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/25(金) 22:22:53.81 ID:dYVvNCX3O
キョン「いや…しかしこの部屋に来ると落ち着くな、来てる間は離れたくて仕方なかったんだが…」
長門「そう」
長門は相変わらず淡々と読書をしつつ、素っ気ない返事をする。
独り言とも取れる微妙な会話を振った俺も俺だが…
キョン「俺が部室から離れてる間、ハルヒは何か変な行動を起こさなかったか?」
長門「特に」
読んでいる本から目を離すことなく、答える長門。
キョン「特に…か、あれだけ感情的になる部分があったのにか?」
長門「そう、何も…」
キョン「そうか…」
190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/25(金) 22:42:55.87 ID:dYVvNCX3O
俺はあれだけ泣き崩れたハルヒの顔を見ていて
これでは世界が崩壊たり、長門や古泉あたりにも迷惑をかけていなかったろうかと
少しばかり心配していたのだが、どうやら杞憂だったようだ。
しかし、今までの件を考えると、何かしら起こってもいいもんなのにな、と、
不思議なこともあるもんだと思った。
長門「むしろ…」
長門は今読んでいる本を閉じ、俺のほうを見る。
心なしか表情が雲っているように感じる。
長門「むしろ…あなた自身に起こっているエラーのほうが問題」
エラー…?
一瞬長門が何を言っているのか理解に苦しんだ。
キョン「…エラー?」
長門「そう」
なにが?どこに?俺は自分の中に異常が無いだろうかと
頭の中を検索してみる、だが、答えが見つかりそうもない。
その疑問を感じたのか、長門は続ける。
195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/25(金) 23:01:36.72 ID:dYVvNCX3O
長門「そう、エラー…あなた達の概念で言えば思考、
心と呼ばれる物、それに亀裂が発生している」
キョン「亀裂?」
長門「そう、今は亀裂と言えるかわからない小さな穴」
キョン「…」
長門「今は亀裂の広がりも落ち着いているため
気にする必要は無いかもしれない
だが、一度広がり出した場合、放って置けば
深刻な状況を引き起こす可能性がある」
癌細胞のようなものか?と理解した俺は
そんな重大な病気のようなものが心にもあるのか…?と
自分の心に問い掛けてみるも、特にそのような塊が見つかるはずもなく
むしろ『心の亀裂』というアニメや漫画の中でしか聞けないであろう
陳腐な言葉が、長門の口から出るとは思わず、
そちらのほうが信じられないでもいた。
キョン「深刻な状況とは…?」
長門「わからない、現段階では判断できない」
キョン「そうか…そのエラーは長門の力で修復出来ないのか?」
長門「出来る、が、推奨はしない。精神に重大な問題を引き起こす可能性がある」
キョン「そうか…」
198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/25(金) 23:42:14.74 ID:dYVvNCX3O
キョン「俺はどうすれば?」
長門「早急にエラーの概要を捉え、拡大を防いだほうがいい」
キョン「概要…拡大防止、か…」
心の亀裂という漠然とした単語を俺なりに解釈し、考察してみるも
俺の中には特に思い当たる節も見当たらない
突き落とされた件もあるが、俺の中ではもう流れたことになっている。
他にあるとしたら、今朝起きるときに妹から頂いたボディプレスが
治ったばかりの腕に直撃したくらいか…
キョン「一応聞くが、この件はハルヒが原因ではないんだな?」
長門「直接的な原因は彼女、しかしその原因はごく小さなものだと思われる、
しかし、その後、亀裂を拡大させたのはあなた」
原因はハルヒ、拡大してるのは俺…?
ヒントを頼りに捜すもますます俺の中には答えは見つからない。
200 名前: ◆Nfwib9MGgwnV [sage] 投稿日:2009/09/25(金) 23:59:57.04 ID:dYVvNCX3O
一応酉付ける
キョン「その原因とやらはなんなんだ?」
長門「わからない」
キョン「わからないって…」
1番頼れる存在からの頼り無い一言で
俺はますます不安になる。
長門「原因の発生時、彼女自身が強力なプロテクトをかけていたため探知できなかった」
キョン「今はわからないのか?」
長門「今は、彼女自身の手で心の中から消去されたため、
情報の断片はごく小数回収できたものの、完全な復元は不可能」
キョン「そうか…」
長門「現象の発生に気が付くのが遅かった、謝罪する」
キョン「いや、いい、ハルヒのせいだろう、謝る必要は無いさ」
206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/26(土) 00:37:49.21 ID:RjPXpZ0qO
長門「そう…」
長門は大方のことを伝え終わると、持っていた本を開き、
またひたすら読む作業に戻った。
俺は窓の外を見ながら、
行く末のわからない小さな雲に自分を重ね、途方に暮れた。
キョン「ハルヒが原因、それがわかっただけでも大きな収穫さ…」
長門「…」
俺は労いの気持ちを込めそうつぶやいた。
209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/26(土) 01:09:54.10 ID:RjPXpZ0qO
しばらくすると、SOS団のマスコット、朝比奈さんが部室に現れた。
朝比奈さんは俺に向かって満面の笑顔で話しかけてきた。
みくる「キョンくん退院したんですね、おめでとうございます〜」
キョン「ありがとうございます」
朝比奈さんが丁寧にお辞儀をし、それにつられて俺もお辞儀をする。
みくる「よかったです事で〜、あっ、今お茶を注ぎますね…」
そう言うと朝比奈さんは急須を用意し始めた。
無事で、と言われてもほぼ毎日会っていたのだが…
それだけ心配してくれていたのだろうなと思い、
なんだか嬉しさと、気の毒さでいっぱいになった。
そこに笑顔を冷凍保存したようなやつも現れた。
古泉「ほう…」
何か物珍しい物でも見るかのように、古泉は俺の姿をまじまじと見つめる
キョン「なんだよ?」
古泉「いえいえ、やはりあなたはその格好でここに居るのが似合ってるな…と思いまして」
キョン「そうかい…」
褒めてるのかけなしてるのか、よくわからないその言葉に恥ずかしくなった。
214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/26(土) 01:46:49.71 ID:RjPXpZ0qO
俺と古泉がチェスに興じながら
朝比奈さんの入れたお茶を飲んで余韻に浸っていると
その気分を苦々しいものにすべく、ハルヒが現れた。
ハルヒ「あらキョン、退院したのね!おめでとう!」
キョン「お、おう…ありがとよ」
普段聞けないハルヒからの労いの言葉で
あの件で、少しは人の気持ちを考える心が出来始めたかな、と
俺の事故もこれで少しは報われたのかなと思った。
ハルヒ「よーし、これで本格的に再始動できるわね、
キョンが居なかった分遅れを取り戻すわよ!」
キョン「遅れ、って俺の病室でやってたあれはなんなんだよ?」
ハルヒ「あれはあくまで仮で、出張みたいなもんよ、
本来の活動はここから始まらなきゃ本道じゃないのっ!」
さんざ病院で無茶したくせに、ハルヒからすればそれは道草クラスらしい
本道が再始動されると一体何かしらが行われるのやら…
252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/26(土) 13:09:06.10 ID:RjPXpZ0qO
本日の団活は明日の土曜に行う、町内探索のミーティングだった。
また町内探索かよ何度もやったろ…
ハルヒ「あんたが入院して活動出来なかった間、
普段はSOS団を警戒して表立って行動してない団体が、
ここぞとばかりに暗躍してるかもしれないじゃない」
白い指先をこちらに向け意気揚々とそう訴える我が団長
こんな一高校の一部活動をそこまで目の敵にするような団体いるわけ…いや、いるか実際に…
なお、この探索は俺が入院してる間に鶴屋さんから仕入れた
謎の山林の探索の下見も兼ねているらしい。
謎と言っても、鶴屋さん本人からは別段、なんの変哲もない山と聞かされてたらしい
ハルヒは、そのことを鶴屋さんが勿体振って隠しいると捉えてしまった、とか
病み上がり1番に、なかなかのハードスケジュールだ。
255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/26(土) 13:37:49.24 ID:RjPXpZ0qO
反対する人間が居るわけもなく、明日は町内探索に決まった。
集合はいつも通り、駅前の広場に朝9時、もちろん最後に来たやつは罰金、
若干一名ハンデがあることを考慮してくれるわけもない
そんな感じなことが決まり、長門が読み終えた本を閉じる音をきっかけに
今日の団活も終了した。
ハルヒは久々の町内探索とあり、意気込みも人一倍で
(人一倍と言っても他メンバーに人並の意気込みなんてものもないが)
元気に挨拶をして帰って行った。
俺も久々の学生生活の疲れもあり、早々に帰ることにした。
俺は帰宅してから、長門との会話について考察していたが見当も付かず
わかった時にでも対象すればいいかと思い、その日は寝ることにした。
257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/26(土) 14:13:05.87 ID:RjPXpZ0qO
翌日、ごく一般的な人なら、昼頃まで二度寝しようかなどと
のんびりとした気持ちを謳歌しているであろう土曜日
俺は律儀にも普段より1時間早く起きて準備を始めていた。
といっても、団活が楽しみだからとかそういうのではない
単に入院していたときの病院の起床時刻が早く、
その基準で体が出来上がっていたからだ。
しばらくの間それから抜け出せそうもない。
それに、体がいつもの調子が取り戻せているか心配でもあった。
体が言うことを聞かず、いつもより遅く到着、なんてことになれば
あいつのことだ、いつもの倍は奢らされるかもしれない。
だから今日は普段よりも30分ほど早く家を出発しようと思う。
少しばかりの時間の余裕からか、へたった車輪に空気を入れ、
体の調子を少しずつ確認しながら漕ぎ出してみる。
意外にもブランクは感じられずスイスイ進む。
これなら今回は罰金を回避出来るかもしれないな、なんてこと考えながら
いつもの集合場所への道を走る。
261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/26(土) 14:46:55.42 ID:RjPXpZ0qO
駅前の駐輪場に金を払い、自転車を止めた。
携帯を確認すると、まだ集合時間には20分以上の時間があった。
これは流石に早過ぎるだろうか…?
コンビニで立ち読みでもして適当に時間でも潰そうかなと考えていると
駐輪場の出口付近で背伸びをしてるハルヒの姿を見つけた。
団長はこちらに気が付くと、げっ、と
まずいものを吐き捨てるような声を出し一目散に走り出した。
俺も今日こそは罰金は勘弁願いたいと、ハルヒを追い掛けるも
校内一の駿足に太刀打ちできるはずもなく、罰金が確定した。
ハルヒ「ふぅ…今日も罰金ねキョン!」
久々に全力疾走し、息も絶え絶えな俺は、
その言葉に対し何のリアクションを行うことも出来ない。
ハルヒ「だけど惜しかったわね、もう少しで
私が奢る羽目になるはずだったのに、残念だわ」
残念だ〜なんて、これっぽっちも思ってないくせに…
263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/26(土) 15:12:25.34 ID:RjPXpZ0qO
ハルヒ「あら?思ってるわよ、それだけ我が団員がSOS団の
職務の大切さに気が付いてるってことなんだし、嬉しいことじゃない」
へいへい…
周囲の他のメンバーを見渡す。
皆一様に奢らされる俺を見て申し訳なさそうな顔をしてりいる。
ハルヒ「といっても、キョン以外は揃ってたし、
その大切さに気が付けてないのはあんただけだろうけど」
そうだな…これだけ早く来てるんだ、
もしかしたらみんな、俺が思っているより、この団の意義というものを
重要視してるのかもしれないな、なんて思う。
265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/26(土) 15:49:31.14 ID:RjPXpZ0qO
その皆の意気込みに答えるため、次はもう少し早く来てみるか…
そう思い、決意を実行に移すモチベーションを高めるべく聞く。
キョン「俺が先に来たらホントに奢るんだろな?」
ハルヒ「当たり前じゃない、その時は快く奢ってあげるわよ」
それを聞き、俺がもう少し早く来ていれば
ハルヒが申し訳なさそうに奢る姿が見れたんだろうか…と思った。
それはそれは残念に思う。
無邪気に勝ち誇るその顔を見、
俺の顔を見て落胆するこいつの顔を思い浮かべる。
この顔を…したならどうなるだろうと思ってしまう。
…?
何か違った感情が頭の中を駆け巡った気がする。
その内容を確認する間もなく、団長のつんざき声が聞こえた。
ハルヒ「こら、バカキョン、なにボーッとしてんのよ、早く行くわよっ!」
きょとんとした顔の朝比奈さん、何かを考え込んでいる古泉、長門。
今日の活動も忙しくなりそうだ。
281 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/26(土) 18:54:04.97 ID:RjPXpZ0qO
いつものように喫茶店の奥まった席を陣取る謎の五人組
店員の痛い眼差しが気になるが、横目で周囲を見渡すも
特にこちらを気にしている訳でもなさそうだ。
我ながら自意識過剰なのかもしれない、
店員から見たら、よく店に現れはするが、そこら辺にいる、
ごくごく普通に謎の計画を企てる学生にしか映らないんだろう。
ハルヒの提案でクジ引きによるチーム分けで探索をすることになった。
いつもやってるよな、これ…って?
探索の方法について誰も提案しないんだ、
必然的にいつも通りになるのは仕方がない…
この団の団員はなぜこんなに、受け身な連中ばかりなのか
ハルヒみたく積極的に強すぎるやつは問題だろうが…
早くハルヒを上手く押さえられる、強かなやつが現れないものか…
俺は立候補したくはないが
そう思っていると、俺にクジ引きが回ってくる
俺は印入りだった。
他に印が入っている人は誰だろうか…朝比奈さんなら万々歳だが
しかし印入りを引き当てたのは、この団の俺以外の男だった。
古泉「二人きりでの探索とは珍しいですね。」
なにか意味深に聞こえる言葉使いはやめてくれ
俺はそっちの趣味はないんだ。
285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/26(土) 19:39:08.42 ID:RjPXpZ0qO
古泉と一緒に街を歩く。
ハルヒの認めるような不思議が簡単にあるとも思えず、
あったとしても、俺にはどこにあるのか見当も付かない。
勘に頼ってふらふらと道を選択していく。
その間古泉とは会話という会話もしていない。
普段からハルヒに関連した話か、ボードゲームで遊ぶくらいしかしてないためか
いざ二人きりになったとして、何を話していいのかわからない
谷口や国木田達となら冗談でも言い合って過ごせるのだろうが…
道端にあった缶を何気なく蹴る、あまり飛ぶことなく二人の前に落ちた。
予想よりも飛ばずに苦い顔をして頭を掻く、
すると古泉が「こうするんです」と見せつけるように、
その缶を追い掛け、思いきり蹴った。
俺のときとは違い、気持ちの良い音をたて、大きく弧を描いて飛んでいく
古泉の勝ち誇ったような笑顔を見ると少しイラ付き、同時に闘志が沸く。
気が付くと、いい年した高校生が笑いながら缶を蹴り合っていた。
292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/26(土) 20:27:11.64 ID:RjPXpZ0qO
息も上がり、正気に戻った自分が現れると
だんだんと体力的にも恥ずかしさ的にも
缶を蹴り続けるわけにはいかなくなった。
休憩とばかりに近くの公園のベンチに座ることにした。
古泉「はぁ…」
キョン「ひぃ…まだ走ることに慣れんわ」
古泉「まだ退院したばかりなんですから、無理はしないで下さい」
無理か、そうだな、今日のこれが終わったら
いつもの体力に戻るまで団活を休ませてもらおうかね…
古泉「しかしよかった」
キョン「うん?」
古泉「いえ…ね」
古泉が何か考え込むように腕を組んだ。
キョン「どうした?」
古泉「いえ…私の考え過ぎだとは思うのですが…」
なんだよ、嫌に勿体振るな
お前のそういう時の勘は変な方向にしか進まないんだ。
またハルヒが何かしらをやらかした〜とかそういうのか?
294 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/26(土) 20:45:40.17 ID:RjPXpZ0qO
古泉「いえ、そうではありません、彼女については今は安定しているほうです」
キョン「なら他になにが…?」
古泉「むしろこれはあなたに関係してることです」
キョン「俺に…?」
最近誰かに同じようなことを言われてた気もする…
そうだ、長門、情報思念体と機関はそんなに親密な繋がりがあったっけか?
古泉「いえ…これは私個人の私見です、
そうですか、あの人も何か受け取っていたのですか…」
キョン「なにがだよ」
頼むから俺が理解する前に一人で納得しないでくれ
古泉「そうですね、すいませんでした。
言い方を変えましょう、今日のあなたは…そう、なにか様子が変でした。」
変…?でした…?
変といえば二人して缶蹴りに夢中になっとる高校生のほうが
様子としては変だと思うが…
古泉「茶化さないで下さい」
茶化さずにはいられないんだ、聞いてはいけない気がしている。
そういう危険な信号を俺は受け取っていた。
301 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/26(土) 21:41:16.53 ID:RjPXpZ0qO
キョン「何がどうおかしかったってんだ?」
今日の行動を1から考え直してみても
特に変と捉えられる行動はしていないはずだ
朝早く起きすぎたからか?
いや、そんなくだらないことではないだろう
古泉「まず、今日集合場所を出発しようとしたときです」
出発時…なにかしたか?
古泉「ええ、意識されてなかったのかわかりませんが、あなたは笑っていました」
笑っていた、ただそれだけ?
古泉「いえ、笑っていたといっても、今までに僕が見たこともないほどの…
いや、こういうとあなたを傷付けるかもしれない」
キョン「そこまで来て止めないでくれ…聞かせてくれ」
古泉「そうですね…我々が出発するときに
あなたは何故か、どこを見るでもなく、ぼーっとしながら、
僕が今までに見たこともないほどに酷く歪んだ笑い顔で
何かをぶつぶつと呟いていたんですよ」
309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/26(土) 22:27:25.67 ID:RjPXpZ0qO
醜く歪んだ…?
俺はそんなことした覚えは無い、古泉の見間違いじゃないのか…?
古泉「見間違い…なら良いのですが…」
そうだよ、そうに決まってるさ…
お前は時々変なことを言って俺をからかう癖がある
今回もきっとそれなんだろう…?
古泉「そうだといいのですが、なにぶん…」
古泉がまた何かを言い続けようとしたが、
その前に俺の手が古泉を押さえ込んでしまった。
もういい、いくら俺でもそんなやばい顔すりゃ自分で気が付くだろう
古泉「ええ…それはそうですね」
そうさ、おまえの笑えない冗談に付き合ってあげるほど
俺は人間が出来てないんだよ…
古泉「…そうですね、この話はこれで止めておきましょう」
311 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/26(土) 22:44:25.48 ID:RjPXpZ0qO
会話が止まる。
古泉はいつもの無機質な笑顔に戻っていた。
その顔を見て我に帰る。少し言い過ぎてしまったか…
後悔の念が広がる。どうしたんだ俺は
冷静になれ、きっと昨日の長門との会話で思い詰めて
それで疲れて気が立ってしまってるだけだ。
そう自分に言い聞かせる。
キョン「すまん、ちょっと言い過ぎた」
古泉「いえ、僕も考え過ぎていたようですから」
落ち着いてまたベンチに座る。
しばらく気まずい空気のまま時間が過ぎていく。
俺はこの場の空気を正常に戻すほどの、気の利いた言葉が思い付かず。
古泉もまた、同じように考えているのか、表情はそのままに
ただ空を仰いでいるだけだった。
携帯のアラームが鳴る。どうやら集合時間のようだ。
古泉「時間ですか…」
キョン「ああ」
俺達は無言のまま、集合場所に戻ることにした。
318 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/26(土) 23:21:21.13 ID:RjPXpZ0qO
ハルヒ「それで?なにか見つかった?」
開口1番にそう聞いてきたハルヒに、俺は何も答えられずに居た。
俺は気まずくなり、そこで隣の爽やかな男に目配せをし
代わりに俺の代弁をしてもらう
古泉「いえ…我々の健闘虚しく、特にこれといったものは…」
そうそう、そう簡単に見つかるなら誰も苦労しないって
ハルヒ「う〜ん、古泉君が付いているのに情けないわね、ホントに探してたの?」
二人仲良く缶蹴りをしていました〜なんて言えるはずもなく
話を逸らすがために逆に聞いてみる。
キョン「そういうそっちはどうなんだよ…?」
ハルヒは急に黙りこくってしまった。
お互いに付かれたくない場所を付かれたのか
その後も話は進展せず…
ハルヒ「と、とにかくお昼にしましょ」
330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 00:40:28.75 ID:n/31zoL9O
昼はファミレスで食べることになった。
皆、自分の好みの料理を注文していく。
長門だけは相変わらず注文表と長々とにらめっこをしていた
そして小さく「チョコケーキ」と一言。
俺は古泉との会話が頭を離れず
何も注文する気持ちになれなかったが
他の人に変化を悟られるわけにもいかず
適当に今日のオススメを頼んだ。
長門の言っていた『心の亀裂』と、古泉の言う『醜い笑顔』
二人の言っているものは同じ現象なのだろうか
だとしたらどうしたらいいのだろう
長門が言うには亀裂を早急に見つけ、進行を止めろというが
それは俺の知らないところで進行している。
俺に見つけられるのだろうか
見つけられたところでどう対処していいのかわからない。
いや、今は古泉のほうは、ただの勘違いと思うことにしよう…
そう思わなければ、精神的に参ってしまう。
335 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 01:05:51.14 ID:n/31zoL9O
注文した品が届く
俺は上の空のままそれを口に運ぶ。
考え事をしているからか、何を食べているのかわからない、味がしない。
ハルヒが俺の食べているものを指指して、美味しそうねとか言ってくる。
俺の食べているもの…なんだろうか。
食べたいなら食べても良いぞ。
ハルヒ「それじゃあ遠慮なくいただくとするわ」
ハルヒが身を乗り出し、俺の食べていた何かに手を伸ばしてくる。
ふと、ハルヒの白い指が目に留まる
ハルヒの白い指、白い腕…そして…
俺は何を考えていたのだろう
気が付くと俺はハルヒの腕を掴んでいた。
ハルヒ「ちょっと、痛い!…キョン?」
ハルヒが困惑した顔でこちらを見ている。
俺はとっさに手を離す。
キョン「すまん」
予想以上に力が篭っていたのだろうか
手を離した場所は赤くなっていた。
ハルヒ「なによ、ホントは食べられたくなかったんじゃない
無理して譲らなくてもいいのよ…」
キョン「あ…ああ、すまん」
343 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 01:47:40.42 ID:n/31zoL9O
本当に何をしていたのだろうか
幸いハルヒは掴まれたことをそんなに気にしてはいないようで
「ちぇ…美味しそうだったのにキョンのケチ」などと言ってるが
周囲にいた長門は俺を無機質な表情で見、
古泉は何を考えているのかわからない笑顔
朝比奈さんに至っては何が起こっているのかわからない様子で
アタフタとしている。
しかしなんで勝手に腕が動く?
『醜い笑顔』が頭をよぎる
俺は笑ったつもりはないんだ、
なのにワラっていたという。
もしかしたら亀裂とやらは俺の意識を無視して
何かしら行動を取らせるのだろうか。
だとしたら…自分が怖くなってくる。
その先の結果を認めたくない…
考えれば考えるほど、周囲の視線も気になり出してくる
あれはただの気の迷いだ…
だよな、俺…?
なんとか混乱を押さえ込み、昼食を食べ終える。
途中、朝比奈さんが俺のことを心配し、大丈夫ですかと声をかけてきた。
しかし、今はその気遣いに正しく答えられるほどの余裕もない
適当に大丈夫です、心配しないで下さいと月並みな言葉を言い
その場をごまかすしかなかった。
351 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 02:27:32.43 ID:n/31zoL9O
鶴屋さんから仕入れた情報である
謎の山林とやらに足を運ぶことにした。
もう正直帰りたくもあったが
これが終わったあとにでも、すぐに長門に変化を報告したかった。
あいつの答えを聞けば今より状況が整理出来るかもしれない
気休めに終わるかもしれないが。
謎の山林に付いたが、外から見ても
ただの普通の山という印象しか持てなかった
謎と聞いてはいるが、何かしらおどろおどろしい雰囲気も感じない
どちらかっていうと神々しい神さまとかが住んでいそうだ
流石は鶴屋さんの私有地、管理は行き届いているようだ
中に踏み込んでみるも、山道は綺麗に整備され、視界も良好。
空気もすがすがしい
病気に篭りきりだったからかいい気分展開になりそうだ
むしろ軽く踏破して景色を見渡してみたくなるぜ
ハルヒ「いい意気込みよキョン、その意気込みを買い、先陣を切ることを許すわ」
誰かの軽い一言のせいで先を行かねばならなくなった。
おい誰だよ軽く踏破できるって言ったの
俺か、俺だよ、俺
362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 03:28:44.46 ID:n/31zoL9O
先陣を切って進んでいく。
ただ今日は下見ということで
軽く登るだけで勘弁してもらえるようにはしている。
最初は体の調子もよく、皆を置いてすいすい進むも
まだ一合目を過ぎる頃には動悸がして気持ちが悪くなった。
一合目ってまだ100Mも進んでない気がするが
二合目に辿り付く頃には俺は周囲に置いて行かれ始め
その場に座り込み立ち上がることもままならなくなっていた。
自分もここまで体力が落ちていることに驚きを隠せない。
ハルヒ「こら、これはいくらなんでも情けなさ過ぎ!」
前を行くハルヒから叱咤され
立ち上がるも、まだ少し足元がふらつく。
長門も古泉もまだ汗一つかいておらず、心配そうにこちら見つめている。
なんでこいつらこんな涼しい顔で居られるのか
俺の苦しさを分けてやりたいよ…
唯一例外はハルヒに背中を押され、息も耐え耐えな朝比奈さんの存在。
これは俺だけじゃないんだよな、と少しだけ安心させられた。
377 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 05:42:41.40 ID:n/31zoL9O
なんとか三合目が見えてきた。
先程から酷い立ちくらみがする…
今までにないほどの頭痛…、一歩も動きたくない。
上手く頭が回らない、登った疲れが限界に達してきたか…?
二合目から続いてきたハルヒの声、早く登れと俺を急かしてくる
いい加減にしろ、うるさい…黙ってくれ…
ハルヒが右手を掴んでくる、勢いよく引っ張られ無理矢理走らされる。
もう走りたくない、頭が痛い、頭が回らない。
さっきからこいつはなにがしたいんだ…?
理解出来てるはずの、少しばかりの単純な疑問
その疑問の答えを探そうとしたとき
俺の頭の中を何か衝撃が走った。
その衝撃はまるで爆発がその場の全てを消し去るかのように
空虚さだけを頭の中に残した。
きっとその衝撃は何かの思考なのだろう
その一瞬の思考…、以前はその思考への拒否と恐怖が頭にあるはずだった。
しかし今は今までの憤りから、その拒否も恐怖も働かずにいた。
379 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 06:15:43.92 ID:n/31zoL9O
今までごちゃごちゃしていた頭がすっきりしてくる。
目の前には俺の右手を引きながら、
俺を走らせる人がいる…誰かはわかってる
何かを言っているような気がする…
言っていることはわかるし理解はできている
だが、もうこいつが誰なのか、その言葉の意味はなんなのかを認識したくない。
さっきからうざったいこいつの言葉、今すぐ消し去りたい。
左腕を持ち上げ、その存在に向かって振り下ろそうとする。
何かにひっかかる、何故…?
誰かが止めている。
誰だ…お前は…?
左腕を止めていたのは長門。
必死に俺の腕を両腕で抱え込み、その先を行わせないようにしていた。
その先…その先ってなんだ…?
頼りにしていた存在だからか、まだ許容できた。認識してくれた。
長門からの停止がきっかけとなり
その先の行為の重大さに気が付いていく。
俺は今、一体何をしようとしていた…?
もう笑うしかなかった。
410 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 13:21:45.34 ID:n/31zoL9O
乾いた笑いが出てくる
俺は糸が切れたようにその場に座り込んだ。
古泉がみんな疲れてきたようなのでここで切り上げようと提案した。
ハルヒ「そう、みんな疲れているのなら今日はここまでにしましょう」
ハルヒはわりとすんなりと応じた。
俺は古泉の肩を借り下山する。
キョン「なあ古泉、やっぱりお前の話は本当だったんだなあハハッ…」
古泉「…」
古泉は何も答えなかった。
キョン「ホント情けないよなあ…」
下山して戻る間、俺は何も考えられずにいた。
駅前に着き、今日は解散となる。
明日あるはずだった登山も俺の体調不良から中止となった。
ハルヒが帰る前に何か俺に小言を言っていたようだが
俺は右から左へとそれを聞き流していた
ハルヒが帰った後、滞っていた頭を働かせ長門を呼び止める。
俺達はまた後で駅前で落ち合うことにした。
419 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 14:05:45.60 ID:n/31zoL9O
俺はしばらく時間を潰そうと近くのコンビニに立ち寄ったが
特に何をする気力もなく、店内をぶらぶらしただけで
すぐに駅前に向かった。
長門はもうそこにいた。
キョン「よう」
長門「…」
長門は小さく頷く。
長門がこんなに早く来ているとは思わず、
まだ話もまとまってなかった。
ここで立ち話もなんなので、最初に行った喫茶店に寄ることにした。
俺は一部始終を長門に話す。
古泉の言っていた笑いや、ファミレスでの件、登山中の感情の変化…
長門は時々頷きながら静かに話を聞いていた。
キョン「やっぱりこれが長門が言っていた亀裂の拡大ってやつか?」
長門「そう」
キョン「勝手に動き出したこともか?」
長門「そう、亀裂が以前より拡大したため、あなたの意識を無視して自立して動き始めた」
やはり亀裂は拡大していってるらしい
勝手に動き出している自分の体が怖くなる。
427 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 14:58:51.94 ID:n/31zoL9O
キョン「二重人格みたいなもんか?」
長門「正確にはそうではない、人格というには未完成な感情の塊」
キョン「そいつはこれからも俺の体を乗っ取ったりするのか?」
長門「可能性はある」
キョン「どうすれば止められる?」
長門「自立した意識を発見し、亀裂の拡大を防止し、修復する
そして意識の拡大を抑えること」
意識…感情…
未だ発見する糸口も見つからない暴走したそいつを
俺はどう防いだらいいのかわからない
八方塞がりな状況が俺を絶望させていく。
なあ長門、俺は怖いんだよ…
いつかあいつに、ハルヒになにか取り返しの付かないことをしそうで…
いっそのこと壊れてもいい、以前言っていたように長門の力で修復してくれよ…
長門「それは推奨できない」
キョン「何故…?」
長門「あなたが居なくなった際のハルヒの行動が予測できない、それに…」
またハルヒか…
俺なんかが居なくなったとこで何の変化も起こるようには思えないが…
435 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 15:25:41.83 ID:n/31zoL9O
長門「それに…私という個体はあなたを失うわけにはいかないと感じている」
その言葉を聞きハッとする。
長門からすれば俺はいろんな事件を乗り越えてきた大切な仲間
その仲間が目の前で殺してくれ、と言ってきている。
なんて酷い選択をさせているのだろう…
壊れてもいいなどと簡単に発してしまったことに後悔する。
キョン「そうだった、すまん、大切なことを見失ってた…」
長門は小さく頷く
キョン「そうだよな、しっかりしないとな…」
朦朧としていた頭が正常に働いてくる。
期待してる長門のために頑張らないとな…
キョン「ありがとうよ長門」
長門「…」
436 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 15:26:40.72 ID:n/31zoL9O
話も終わり、俺たちは喫茶店を出る。
マンションまで送ろうかと提案したが、いいと言われた。
キョン「それじゃあな、長門」
長門はこくりと頭を動かした。
長門「あなたが、ここから抜け出せることを祈っている」
キョン「ああ」
長門の言葉を聞き、決意を新たにする。
絶対にその意識を見つけてやる。
503 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 23:05:28.53 ID:n/31zoL9O
答えは見つかることなく、週明けになった
亀裂のヒントはやはり見つからず。
答えが見つかるまでハルヒとは距離を置こうと思っていた。
団活も古泉辺りに言伝を頼んで済ませてもらおう。
しばらくの間迷惑をかけるかもしれない
悪い気はするが、こうする他はない
あいつも状況を説明すりゃわかってくれるさ…
教室ではハルヒとは会話という会話もしなかった
俺が話しかけなかったからというのもあるが
本人も土曜の俺の不甲斐なさを根に持って
窓の外を見ながらぶすくれていたからだ。
こちらとしてはそのほうが都合がよかった。
放課後になり、事前にメールで呼び出しておいた古泉に状況を説明する。
古泉は話を聞くと、今までの疑問が解決したのか
古泉「そんなことが…わかりました、不自然じゃない程度に理由を用意しておきましょう」
爽やかな笑顔でそう答える。
こういうことでは話が早くて助かる。
古泉に別れの挨拶をし、俺は家路に付いた。
夜中にハルヒからメールが入った。
内容は「ふざけんなアホンダラ!」
俺はため息を付いて携帯を閉じ、その日を終えた。
506 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 23:25:09.99 ID:n/31zoL9O
一日一日と過ぎるたびに、俺の中に焦りが出てくる。
ハルヒの前の席に居続けているということが苦痛で仕方がない。
疲れからか家を出るのも億劫で、今では学校もサボり気味になった。
学校をサボりだしてからも
未だに団長からの催促の電話がかかってくる
それが更に焦りを生みだしていく。
最近では別のものが俺を焦らせているように思う。
そいつはなにかある度に俺の中から噴出しそうになる。
ストレスでだんだん周りの景色が灰色になっていく…
怖い…俺だけが取り残されていくみたいだ。
そいつは背中を押してくる。
居ても経っても居られない気持ちにさせる
だが、そいつを行かせるわけにはいかない。
きっとそいつはハルヒの元に行きたがってる。
俺は拳を握り閉め、身体を押さえる。
いつまで続くんだろうかこれは…
510 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 23:39:17.48 ID:n/31zoL9O
ハルヒから電話がかかる。
しかし受け取るわけにはいかない。
一分一秒が長い。
頭が狂いそうになる。
やっと音が終わる。
「そうだ、次かかってきたら文句を言ってやろう
そうすれば少しはおとなしくなるかもしれない」
どこからか聞こえるその提案を却下する。
出るわけにはいかないんだ。
また懲りずに電話がかかってくる。
受話器を持ち上げる。
「はい」
ハルヒ「あ、やっと出た」
懐かしい声がする。
ハルヒ「何も言わずに欠席なんて良い度胸してるじゃないの」
「古泉に理由は伝えてたはずなんだけどな」
伝えてなかったのかなあいつ…
513 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 23:48:47.88 ID:n/31zoL9O
ハルヒ「なに人の手を借りてんのよ、直接言いなさいよ!」
「すまんな、ちょっと妹の調子が悪そうでさ…」
おい、怒鳴り付けるんだよな…?
ハルヒ「え、妹ちゃん…なに、そんなに酷いの?」
「そうなんだ、なかなか辛そうでな」
いや、あいつは元気に学校に行って…
ハルヒ「そうなの…それは悪いことしたわね…」
「いや、いいよ…そうだ、なんならお前も看病に来るか?」
なにを言ってるんだこいつ…?
514 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 23:54:23.19 ID:n/31zoL9O
ハルヒ「え、そんな妹ちゃんに悪いんじゃない?」
「いや、お前が来てくれたらあいつも喜ぶよ」
嘘をつくなよ…
ハルヒ「え…そ、そう?」
「それに、俺は料理とか苦手だし、誰か作ってくれる人が居たら助かる」
嘘だ…
ハルヒ「そうよね…あんた料理下手そうだし」
「そうそう、お前の飯美味かったしな、頼むよ」
騙されるなハルヒ…
ハルヒ「そ、そうね、そこまで言うなら…!」
「おう、それじゃ待ってるぜ」
来ちゃいけないんだ…
通話が終わる。
受話器を起き、ため息を付く。
515 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/27(日) 23:57:40.42 ID:n/31zoL9O
「今から…用意しておくか。」
何をする気なんだこいつは…?
しかし、俺の疑問をよそに、こいつは部屋の中を探索し始める。
いつか感じた空虚感が頭の中に広がっていた。
しかし、今回は頭の中がすっきりしてくる。
周りの景色も色を取り戻してきた。
輝いて見えるくらいに。
しかし今ならこいつを抑えられるかもしれない。
今までは掴むことすら出来なかった存在がここに居る。
長門の言葉を思い出せ、あいつは何を言っていた?
どうすればこいつを抑えられる…?
518 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 00:05:32.65 ID:jYUxulTwO
『エラーの概要を捕らえたほうがいい』
概要…わからない、捉えようがない
『未完成な感情の塊』
感情の塊…そんなものあったか…?
『亀裂が以前より拡大している』
なぜ拡大した…?
『亀裂を修復し…』
…?
そこで急に場面が切り替わる
『悪いと思ってるわ』ごめ…ん…』
なんだ…なんで泣いてるんだ…?
『ごめ…んなさっ…ひぐっ…ぅぅ…』
お、おい、
『おい、よしてくれ…俺はちょっとこいつを小突いてやればよかったはずなのに…』
521 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 00:17:13.40 ID:jYUxulTwO
そうだよ…そうだったんだよ…
なのにこのときは…もっと…
もっと…?
もっとってなんだ…?
『そりゃ少し謝ってもらいはしたかったかもしれんが…
謝られた後はいつも通りに…いつも通りに…』
いつも通りになんだよ…その先を言えよ…
なにかが俺に話かけてくる。
「いい加減に気付けよ」
なにがだよ…何に気が付けばいいんだよ…?
「お前がこの時思ったんだろ…?」
なに…が…?
「この場面よりも酷い顔が見たいって」
なにを言ってるんだ…?
「お前が望んでいたんだ」
一つの可能性が頭を過ぎる
523 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 00:24:49.42 ID:jYUxulTwO
「そうだよ、やっと気が付いたのか?」
いやだ、俺は違う…
「そうだな、お前ははじめから俺のこと相手にしてなかったもんな」
俺は始めからそんなこと考えていない…
「亀裂なんか修復出来るはずもないよなあ…」
…
「始めから俺の存在なんかなかったことにしてるんだから」
違うっ!!
そう叫んでみても、俺の中では一つの答えにたどり付いていた。
そうか…こいつは俺の願望だったのか…
俺は今までこいつを最初から無かったことにしようと
否定し続け、無視し、忘れ去り、気がつけば…
526 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 00:33:51.32 ID:jYUxulTwO
ああ、今まで悪かったな。
そうだよな…そうなんだよ…
長門、今亀裂の修復が終わったよ
お前はちゃんとしたヒントを言ってたんだな
たださ、修復が終わったらどうすればよかったんだっけ…?
なんかさ、それももうどうでも良い気がするんだよ
高揚感で頭がいっぱいなんだ。
この気持ちをお前にも分けてやりたいよ…
「ははっ…はははははははははは」
528 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 00:41:02.66 ID:jYUxulTwO
玄関のチャイムが鳴る。
俺はそれに答えるため、玄関へと向かった。
キョン「ようハルヒ」
ハルヒは制服のまま
買い物袋を腕から下げていた。
家には帰らかったのか…?
ハルヒ「久しぶりねキョン」
キョン「久しぶり…だな」
ハルヒ「妹ちゃんの様子はどう?」
キョン「うん?今は調子も良いみたいなんだ、上がってけよ」
ハルヒ「そう、それじゃ…お邪魔します」
ハルヒが靴を脱ぎ上がってくる
俺はハルヒに悟られないように玄関の鍵をかけた。
ハルヒから買い物袋を受け取り、妹の部屋に案内する。
妹がいないことを知ったらこいつはどういう顔をするだろう…
529 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 00:47:09.03 ID:jYUxulTwO
ハルヒ「妹ちゃんは…?」
当然の疑問だ、だが居るわけがない
キョン「うん…ちょっとな…」
俺は部屋の鍵を閉める。
ハルヒ「ちょっと?」
キョン「なあハルヒ…」
ハルヒ「へ…?」
キョン「いやさ…俺はさっきまである人と話をしてたんだけど」
ハルヒ「…」
キョン「そいつは最近心に変化があったらしい」
ハルヒ「う…ん?」
ハルヒは俺の言っていることが理解出来ないのか
困惑した表情をしている。
532 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 00:54:40.56 ID:jYUxulTwO
キョン「きっかけは小さなことなんだ」
キョン「普段ムカついてたやつの泣き面を見てさ…」
キョン「思ったんだよ…もっとこいつの崩れた顔が見たいって」
ハルヒ「ちょっと何言ってんのキョン…?」
キョン「だけど今までその気持ちを育ててたくせにさ」
俺は大袈裟に肩を動かしがっかりとした。
キョン「いざとなったときそれを追い出しやがるんだ…」
キョン「酷いと思わないか、なあ、ハルヒ?」
ハルヒ「ちょっ…と…」
俺はハルヒに向かって歩き始める
ハルヒは何かを感じ取ったのかそれに対応し後ずさる。
キョン「勿体ないと思わないか…?」
538 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 01:06:22.71 ID:jYUxulTwO
ハルヒ「いや…」
キョン「…」
壁際まで無言で追い詰める
ハルヒ「やめ…て…」
俺はハルヒの腕を掴む
白いよな…こいつの手
こうやって見るとやっぱ綺麗だよな…
ハルヒ「いやっ!」
ハルヒは掴まれた手を振りほどこうとするもびくともしない。
意外と力は強くないんだな。
もう片方の手で応戦してくるも
その腕もすぐに掴む。
ハルヒ「…っ」
ハルヒの顔が恐怖に歪む
そのままベッドに押し倒す。
体にのしかかる
ハルヒ「いやあああああっ!」
542 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 01:15:25.72 ID:jYUxulTwO
うざったい声、いつも耳に響く…
キョン「煩いんだよ…」
平手でハルヒの頬を打つ
パンッと乾いた音がする。
ハルヒ「…っ」
キッとこちらを睨んでくる。
キョン「まだ足りないのか?」
もう一発入れる。
ハルヒ「…っく」
大人しくなった。
今までこいつを黙らせる方法はいくら考えても思い浮かばなかったが。
だけど…意外と簡単だったんだな。
543 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 01:16:29.68 ID:jYUxulTwO
ハルヒの手首に紐を巻いていく
ハルヒからは反応がない
深い呼吸をしている。胸が上下に動いている。
ハルヒ「…やめ…てよキョン」…
やめる…何をだ?
ハルヒ「まだ誰にも…言わないから…」
そうだな…まだ途中だしな
誰にも言ってほしくはないなあ…
まあここまで来たんだ、安心しろよ
どちらにしろ言わせないんだから。
548 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 01:23:50.97 ID:jYUxulTwO
制服のリボンを外していく。
シャツの上から胸の形がわかる
こいつこんなに胸あったっけ…?
胸の上に手を置く。
ハルヒ「…っ!」
ハルヒの体がぴくりと動く。
軽く揉んでみる。
ハルヒ「…っ……ぁ…」
小さく声を上げるハルヒ
ハルヒ「やめ…て…」
やめられるわけがない。
シャツの下から手を入れていく。
だんだんハルヒの呼吸が深く大きくなっていく。
ハルヒ「ふぅぅ………っ…」
553 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 01:41:18.13 ID:jYUxulTwO
ブラの下から手を入れる
呼吸が深い、心なしか顔が赤くなっている気がする。
直接胸を揉む
ハルヒ「…っ…ぁ…」
声にならない声を出す
だんだん甘くなってきている気がする。
乳首に触れる。
ハルヒの身体が大きく跳ねる。
ハルヒ「…あっ…!」
俺は我慢できずにハルヒのシャツをまくっていき
手首の辺りまで上げる
手首がシャツに巻かれているようにも見える
ウエストが細い、綺麗だ。
ブラのホックを解く。
ブラのラインで赤く染まった白い胸…
そして薄く紅潮し、ツンと出た乳首。
俺は胸を掴み、乳首を指で遊んでみる。
ハルヒ「んっ…あっ…っ…んっ…」
必死に声を抑えてプライドを保とうとしているようだが
ピクリピクリと悶える様が滑稽に思える。
555 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 01:54:44.16 ID:jYUxulTwO
乳首を嘗めながらもう片方の胸を揉む
だんだんと粗くなっていく声
ついには紐で結ばれた腕で俺の頭を抑えてくる。
キョン「それはもっと激しくしてってことかい?」
ハルヒ「んっ…ちがっ…あっ、あっ!」
明確に返答が無い…
それなら遠慮せずに攻めさせてもらおうか…
強く胸を揉み合うしだいたり、乳首を摘んだりしてくりくりと擦る
もう片方の乳首を吸ったり、舌で転がしたりする
ハルヒ「ひゃっ…あっ、んっ…やっ…あぁん!」
声を立てながら、頭を抑えてる腕に力を入れてくる。
まだ攻め立てて欲しいらしい。
559 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 02:13:35.89 ID:jYUxulTwO
こいつの反応を見てたら
いつまでも胸を攻め続けたくなるのだが
それでは埒があかない、俺の興奮が収まらない。
太股から上に向かって、少しずつ指先で軽くなぞっていく
ハルヒはようやく攻めが終わったのかとほっ、と息を吐いたが
少しずつ指が延びていくと、それの意味がわかってきたらしく、
ハルヒの顔が強張り、呼吸が早くなっていく。
ハルヒ「やめ…て」
秘部に指先が当たる。
ハルヒ「ひっ…」
ハルヒの身体が跳ねる
すると今までの恐怖が表出したのか
ハルヒの瞳から涙が浮かび始めた。
ハルヒ「っ…うぅ…ぇぇ…」
あれ、泣いてしまったか
でも涙を見ても罪悪感が無い
ハルヒ「なんでっ…どうして…っ」
ハルヒは焦点が合ってない目で
何を見るでもなくそう呟く
なんで…なんでなんだろうな…
668 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 20:37:18.09 ID:jYUxulTwO
再び秘部に指で触れる。またビクッと動く。予想以上に湿っていた。
乱暴に擦っていく。
最初はすべりも悪かったが。
だんだん濡れてきてにちゃにちゃとした音を立ててくる。
もう良いだろうか…
スボンを脱ぎ捨て
秘部を覆う布をずらし、挿入する
ハルヒ「ひっ…ぐ…あ…!」
秘部がめきめきと広がっていく
一度も侵入されたことの無いであろう場所
苦痛に顔が歪む。血が滲み出てくる。
ハルヒ「あっぐ…うっ…がっ…」
完全に入りきった。
腰を打ち付ける度に苦痛からか
呼吸が乱れ、言葉にならない声を上げる。
その歪んだ顔を見るたびにどんどん興奮が高まってくる。
腰のスライドが早くなる。
「あっ…がっ…うっ…あぁああ」
それが見たかったんだよ…。
なんでもっと早くこうしておかなかったんだろう
後悔ばかりが頭を過ぎる。
671 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 20:45:23.58 ID:jYUxulTwO
腰を叩き付ける度に
どんどん愛液が玉のように流れ出て来始めた。
糸を引き、ぱちゅぱちゅという音を立てる。
ハルヒ「ひっ…あっん…!」
キョン「なんだよ気持ちよくなってきたか?」
ハルヒ「違っ…」
言い終わる前に赤く腫れたクリトリスを擦る。
ハルヒ「ひっ…!」
キョン「やっぱりそうじゃのえのか?」
ハルヒ「違うっ…違うのっ…!」
必死に首を振り否定するハルヒ
声を抑えているようだが
だんだんと快楽の声も押さえられなくなってきたようだ。
腰を叩き付ける度に身体が大きく跳ねる。
跳ねる「んっ…はあっ…あぁっ!」
だんだんと射精感が込み上げてくる。
俺は腰を振るスピードを更に上げる。
677 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 20:55:42.11 ID:jYUxulTwO
ハルヒ「そんなっ…あっ…いあっ…!」
キョン「そろそろ逝けよっ!」
腰を早く打ち付けていく。
愛液と血とが掻き交ぜられて泡立ってく。
俺の頭の中もだんだん白くなっていく。
ハルヒ「いやっ…あっ…あぁぁぁあぁあ!!」
ハルヒの絶頂。
その叫びを皮切りに、俺の猛りも限界に達する。
今まで溜まってた欲望を、ハルヒの中にぶちまける。
キョン「はぁ…くっ…!」
ハルヒ「いやっ…!だめぇえええ!!」
頭の中が白く輝く。
どくどくと波打つ俺の兄弟。
俺の身体から吐き出されたそれは
無防備なハルヒの体内に侵入し広がっていく。
ハルヒは絶頂の余韻からかぴくりぴくりと痙攣している。
679 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 21:02:52.35 ID:jYUxulTwO
ハルヒ「あぅ…うぁぁぁ…」
ハルヒは涙を流しながら、侵入したものを否定している。
キョン「気持ちよかったんだろ?」
ハルヒ「違うの…こんなの違うの…」
首を振りながらぶつぶつとなにかを呟いている。
行為は終わったが、まだまだ俺の興奮は収まりそうにもない。
そろそろ妹も帰ってくるだろう。
俺はハルヒを抱え、自分の部屋へと連れて行った。
682 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 21:10:22.98 ID:jYUxulTwO
その後何度犯しただろう。
俺の興奮はなかなか収まってくれず、
醜い塊を何度も何度もハルヒの中に吐き出した。
ハルヒは相変わらず快楽を否定し続けてたが
少しずつ苦痛な声も少なくなり
だんだんと甘い声へと変わり出す。
行為が終わったのは深夜。
服はぐちゃぐちゃに乱れ
表情も疲れ果て、焦点も合っていない。
口からはよだれが足れ
秘部からは血と白濁した液体が混じり流れ出ていた。
無残に変わり果てたハルヒの姿を携帯に撮る。
キョン「これの意味、わかってるだろ…?」
ハルヒからは反応が無い。
キョン「明日も家に来いよ」
683 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 21:17:13.35 ID:jYUxulTwO
…
………
古泉「先週は長いお休みでしたね、連休中はなにをしていましたか?」
キョン「ん?連休か?ハルヒをセックス漬けにしたぐらいだな」
古泉「なにを言ってるんですかあなたは」
なにを言ってるもなにもそのままの意味だが…
そんな困った顔すんなよ。
キョン「だから、ハルヒをセックス漬けにしてた」
古泉「ハハ、あなたがジョークを話すのは実に珍しいですね」
はは…ジョークか、まあそう言うのも無理は無いか
キョン「冗談?なにが?」
古泉「あの…あなたの言っている意味が…」
古泉の顔が凍りついていく。
俺もお前がなぜ理解できんのかわからん。
687 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 21:25:08.96 ID:jYUxulTwO
古泉「すいません、なにがなんだか…」
古泉は立ち上がり、俺から距離を取ってくる。
キョン「どうした?」
古泉「すいません、今日はちょっと混乱していて冷静な判断ができるか自信がないので…」
キョン「はあ…?」
そんな話を遮るかのように勢いよく扉が開く。
ハルヒ「おいーーっす!みんな元気にしてた?」
キョン「おお、ハルヒ、遅かったな」
ハルヒ「あ…ご主人さま、も、もう来てたの?」
キョン「掃除当番が意外と早く終わってな」
ハルヒ「そ、そうなの…んしょ」
ハルヒは俺の膝の上に座ってくる。
その様子を眺めながら古泉はぽかんと口を開けている。
690 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 21:32:35.21 ID:jYUxulTwO
キョン「ほら、鞄こっちに置いとけ」
ハルヒ「あ…はい、ありがと」
俺はハルヒの持っていた鞄を団長席の上に起く。
古泉は頭を抱えながら、出口に向かっていった。
キョン「おい古泉どこ行くんだ?」
古泉「いえ、こうなるに至った詳細はまた明日聞きますから、今日は失礼します。」
そう言い残し古泉は部室を出ていく。
キョン「お、おい、今来たばかりだってのに、なんなんだ、あいつ」
ハルヒ「ふにゃあ…」
ハルヒは気にすることなく俺の首に腕を巻いてくる。
キョン「ほら、ハルヒ!お前がちゃんとしないから古泉帰っちゃったじゃないか」
ハルヒはハッと我に帰り跳び起きる。
ハルヒ「ふぇ!?……あ、あれ?いつの間に…はう」
699 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 22:26:53.25 ID:jYUxulTwO
キョン「やれやれ……朝比奈さんも長門も今日は来ないみたいだし、帰るかな」
俺は立ち上がり、団長席にかけていたブレザーを掴み取る
キョン「おいハルヒ、帰ろうぜ」
俺が振り向くと子供のような笑顔をしたハルヒ。
ハルヒ「これで……二人っきりね」
キョン「え……あ、ああ」
ハルヒ「ふふ、ねえご主人さま?」
ハルヒはより掛かっていた長机から離れ、静かに歩み寄ってきた。
キョン「ん、なんだ?」
ハルヒはシュルシュルと制服のリボンを解いていく
白い指が胸元のホックを開き、
そこから少し赤みを帯びた白い豊かな胸元を覗かせた。
なにかどこかで見た光景…
思わず後ずさる
しかし、ハルヒも間を詰めてくる。
705 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 22:47:57.34 ID:jYUxulTwO
キョン「な、なんだよ…」
ハルヒは無視し近付いてくる
ハルヒ「ホントにセックス漬けにしてくれたね」
ハルヒ「それから…12回も犯されちゃった」
ハルヒ「おもちゃで絶頂しながら痙攣したし」
ハルヒの顔を凝視する。
いつもより少し頬を染めて、いつもと同じく挑発的に笑みを浮かべていた。
ハルヒが胸の中で身を捩る度に女の子特有の甘い香りが鼻腔を擽り、理性を圧迫する。
キョン「お、おい、冗談ならやめてくれ」
ハルヒの太ももが股関に割入り膨脹しつつある息子を擦った。
思わずその刺激に腰を引いて後退りしてしまう。
しかしすぐに窓際に追い詰められた。
「も、もういいだろうハルヒ!」
「ふふ、あたしが味わった恥辱に比べれば全然まだよ…」
706 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 22:48:45.40 ID:jYUxulTwO
ハルヒの両腕が頭の後ろに回され、徐々に唇が近付いてく。
艶めかしい吐息と柔らかい唇、懸命に動く熱い舌を感じてると首に白い輪が掛かった。
「……な」
力強く胸を押される。
体が窓の外へずり落ちていく。
同時に感じる無重力。
次第に遠退いていくハルヒ。
顔を真っ赤にしたハルヒは、あの時と同じ
悪魔のような笑顔で言い放つのであった。
「このエロキョン!」
707 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 22:49:33.71 ID:jYUxulTwO
校舎の屋上から部室を覗く瞳
「また彼等は『ここ』から抜け出せなかった」
「そうみたいね…」
「…」
「そんな残念そうな顔するなら助けてあげてもよかったんじゃない?」
「私の役目は観測だから…」
「そう…」
「それに、これが彼女の望み…」
「そうなの?」
「…」
「そう、でも…これでもいいのかもね」
「なぜ?」
「あの子たち、幸せそうな顔してるわよ」
「…」
長門は何も答えずに
次の世界へと情報を伝達した。
709 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/28(月) 22:51:50.39 ID:jYUxulTwO
というわけで終了です。
こんなストーリーに3日間も付き合わせてすいませんでした…
保守してくれたかた、ありがとうございます。