キョン「ザ・ネクスト?」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 16:00:41.66 ID:FtvV5n4F0

古泉「そうですね、我々機関ではネクストと呼ぶ事にしました」

キョン「・・・・・・俺を研究対象にしようってか」

古泉「そうではありません、変身後の貴方を『ネクスト』と呼ぶのです」

古泉「人類の次なる姿、進化する姿、正にピッタシじゃないですか〜」

キョン「・・・・・・嬉しそうだな」

古泉「そうですね、涼宮さんに対抗する手段が出来たものですから」

古泉「あのままだと、僕達は軽く全滅してたでしょう」

古泉「3ヶ月前、突如謎の青と赤の発光体が出現し」

古泉「青は涼宮さんに、赤は貴方に、それぞれ発光体と接触しました」

長門「・・・・・・そして、青の発光体と接触した涼宮ハルヒは凄まじい勢いで細胞の増減を繰り返し」

長門「・・・・・・異型の生命体へと進化した、そして貴方も同じような事が私達の前で起きた・・・けど」

古泉「貴方は涼宮さんのように暴れる事無く、襲われた僕達を助けてくれました」
古泉「まるで宇宙から助けにきたヒーローですね」

キョン「・・・・・・人の気持ちを少しは察してくれ」

そう、あの赤い光りの塊と、その中で遭遇したあの変な奴との出会いはちょうど3ヶ月前の話だ。
俺やSOS団の面々が博物館へと向かう最中の事だった。

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 16:07:38.47 ID:FtvV5n4F0

―――3ヶ月前

ハルヒ「さぁさぁ!!恐竜博物館へ行くわよぉ!!!」

古泉「恐竜とは・・・幼い頃を思いだします」

みくる「ふぇぇ・・・恐竜は怖いです」

長門「・・・・・・」

とまぁ、いつもの如くハルヒの気まぐれに俺達の休日は無駄に割かれていた。
なんとも何時もの普通の光景である。

いや、これが普通となっている俺を前の俺が見るとどう思うだろうか。
・・・・・・いや、今はネガティブな思考はやめよう。

折角の連休だ。楽しまないとな。

ハルヒ「ほらほらキョン!!早くしないと電車に乗り遅れるわよ!?」

キョン「わかったわかった!そう急かさないでくれ!!」

ハルヒに無理やり叩きおこされてきた俺。
そう、俺は寝起きも当然なのだ!意識もままならないのに。

ハルヒの鬼畜っぷりにはただ呆れるばかりだ。うむ。

古泉「まぁまぁ、楽しみましょう」

こいつはこいつで笑顔を振りまいているが。古泉。それがイラッとくる原因だ。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 16:12:32.99 ID:FtvV5n4F0

俺はボーッと映り変わる景色を眺めていた。
その時、空にだが一瞬何かが見えた気がした。

・・・・・・いや、気のせいだな。

長門「・・・・・・どうかした」

キョン「・・・・・・え?」

長門「・・・・・・変」

キョン「あぁ、何でもない」

長門「・・・・・・そう」

珍しく長門から話しかけられた。
うーん、嬉しいのやら嬉しくないのやら。
まぁさっきのはどうせ疲れの錯覚か。
ある意は見間違えだろう。

ハルヒ「やりぃ!!上がりー!!」

古泉「はは、相変わらずお強いですねぇ」

みくる「ふぇぇ、負けちゃいましたぁぁ」

ハルヒ「さぁさぁみくるちゃん!罰ゲームと行こうでは無いかぁ〜」ワキワキ

みくる「ふぇぇ〜」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 16:20:41.61 ID:FtvV5n4F0

まぁそんなこんなで全世界の恐竜達の化石が見られるという、
なんとも素晴しい?博物館へ着いたわけである。

おいおい、今時高校生が化石なんか見るのか?

ハルヒ「時代は恐竜よね!!あの何とも言えない威圧感!!」

ハルヒ「想像してみなさい・・・巨大なゴジラみたいなのが何万年も前、この地上で普通に生活していたのよ!」

ハルヒ「とてつもなく凄い光景だったに違いないわぁ・・・」キラキラ

ハルヒは目を輝かせている。まったく好奇心だけは旺盛な奴だ。
というわけで俺達は入場券なんかを買って適当にふらりと見る事にした。
その度にハルヒが化石にがっついたのは言うまでも無い。

ハルヒ「ティラノサウルス!!」

キョン「もう少し声のボリュームを下げんか、小学生かお前は」

ハルヒ「・・・キョンは少年の頃の心を忘れているのね、悲しい人間だわ」

キョン「お前には言われたくねーよ!!!」

古泉「まぁまぁ」ニコニコ

とまぁ、こんな具合に見て回ったのだが・・・・・・、
その帰り、ハルヒが無茶な事を突然口走った。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 16:26:16.66 ID:FtvV5n4F0

ハルヒ「せっかく都心に来たんだしついでに遊園地にでも行きましょうか!!」

古泉「それはいい提案ですね、時間もまだ余っていますし」

おい!古泉!!何故そこで賛成する!!!

古泉「まぁまぁ、いいじゃないですか」

古泉「せっかくの休日ですし楽しみましょう」ニコニコ

古泉は勘に触る笑みを浮かべながらハルヒに着いていく。
無論金が無いわけではない。そういう問題ではない。
ハルヒに振り回されすぎ・・・いや、これはいつもの事か。

キョン「・・・・・・やれやれ、仕方ない」

長門「・・・・・・」

・・・・・・いつも当然横に居たりする。
お前は本当に物静かな奴だな。

キョン「行こうぜ長門」

長門「・・・・・・わかった」

その時の長門の返事が少しの躊躇いがあったと何故気付かなかったのだろうか。
あの時ハルヒを止めていればこうはならなかったろう。

いや、今更後悔しても無駄だが。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 16:31:01.95 ID:FtvV5n4F0

ハルヒ「うっはぁ〜!!観覧車行きましょ観覧車!!!」

みくる「いやぁぁぁ」

朝比奈さんはハルヒに凄い勢いで連れていかれた。
・・・・・・あぁ可哀想に。だがその表情もまたご馳走様です。

ハルヒ「なぁーにやってんのよー!あんた達も来るのー!!」

古泉「行きましょう」ニコニコ

キョン「あぁ」

不本意だが。

不意に長門が、裾をクイクイと引っ張ってきた。

長門「・・・・・・一緒」

キョン「は?」

長門「・・・貴方との同席を私は強く望んでいる」

おいおい、なんだ突然。熱でも出たか。
いや、長門に限ってそれは無いか・・・・・・

するとまた問題でもあるのだろうか。

長門「・・・・・・お願い」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 16:36:04.43 ID:FtvV5n4F0

その時の長門の目は今でも覚えている。
眉を顰め、ジッとハルヒの走り行く背中を刺すように見ていた。

キョン「あ、あぁ、解ったよ」


ハルヒ「はぁ?まぁいいわ」

ハルヒ「んじゃ私はみくるちゃんと・・・・・・って居ないじゃない」

古泉「どうやら観覧車に乗るのが怖いようですねぇ」

ハルヒ「うーん・・・なんだ、つまらないの」

ハルヒ「しかたない、私一人で乗るわ」

古泉「僕が同席しましょうか?」

ハルヒ「うーん、古泉君はキョンと一緒に乗ってやって」

ハルヒ「有希に何するかわかったもんじゃないわ」

キョン「おいぃ!!聞き捨てならん!!俺は何もしな(ry」

ハルヒ「んじゃ古泉君よろしくね、私先に乗ってるわ」

やれやれ、ハルヒは一方向に物事を理解するという悪い癖を持つ。
・・・・・・何を今更・・・だな。

長門「・・・・・・まだ、・・・まだ乗っては駄目」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 16:42:07.40 ID:FtvV5n4F0

長門は再び俺の裾をクイクイと引っ張ってくる。
あの鋭い視線は変わらず、何か緊張した面持を感じさせた。

キョン「・・・怖いのか?」

長門「・・・・・・観覧車事態に恐怖を感じているのではない」

長門「・・・・・・そして地上との距離が離れることに対しても恐怖を感じているのではない」

キョン「じゃぁなんだ?」

長門「・・・・・・涼宮ハルヒが、何かを起こそうとしている」

長門「微量だが、情報の波のような物が上空高度約35786kmにて観測」

長門「・・・・・・まだ詳しくは解析できていないが、危険と判断できる」

キョン「・・・・・・どういう事だ?」

古泉「・・・・・・どうやら長門さんの言う通りのようですね」

古泉「あれを見てください」

突然古泉が焦った口調で話に入ってくる。
聞いていたのか。いや、それよりも古泉に指差された空を見てみる。

キョン「・・・・・・なんだあれは?」

長門「・・・・・・悪魔」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 16:50:51.87 ID:FtvV5n4F0

俺が空高く上を見上げると、
そこには現実離れし過ぎた物が落ちてきていた。
青い光りの物体。それは突然方向を変えた。

そう、ハルヒの乗る観覧車へ―――

キョン「ハルヒッ!!!!」

俺は何も考えずに走り出していた。
あれは何かがマズい。そんな気が体中を走っていたのだ。

例えるなら地震前の静けさだとか、
そんな感じる事すら出来るかもわからない感覚。
だが俺はそんな感覚を一心に受けていた。
長門はこれを感じていたのだろうか。

長門「・・・・・・悪魔」

その言葉が耳に残る。
後ろで古泉が制止の声を発しているようだが今はそれどころじゃない。

馬鹿だが、何故か憎めない奴。それがハルヒだ。
決して悪い奴じゃない。それに同じ仲間なんだ。

俺が観覧車の側に着く頃にはハルヒの乗っていたゴンドラが青い光りに包まれていた。
観覧車も動き事態を止めていた・・・例えるなら空気感はそう。閉鎖空間と同じ感覚。

俺はハルヒの名前を呼び続けた。何度も、何度も。
すると暫くして止まっていた観覧車が動き出した。閉鎖空間のような感覚も同時に消える。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 17:01:11.16 ID:FtvV5n4F0

キョン「・・・・・・・ぁ」

古泉「・・・・・・どうやら正常な空間に戻ったようですね」

長門「・・・・・・まだ、終わってない」

突然だった。長門の言葉と同時にハルヒのゴンドラが爆発したのだ。
あまりに突然だった。俺はその状況をただ呆然と見ているだけだった。

爆発と同時に異形の者が姿を現した。
顔はまるでゴリラのような顔、体はゴジラのように背鰭があった。
だがゴジラ程完成した容ではなく、所々不気味に変な形していた。

その異形の者は素早い身のこなしで破壊活動を開始した。

キョン「・・・・・・な、なんだよ・・・あれ・・・・・・」

古泉「・・・・・・あれは!?」

長門「・・・・・・」

俺達は何も出来ずに居た。
他のゴンドラに乗っている人の叫び声が聞こえる。

キョン「古泉!お前の能力は使えるか!?」

古泉「だ、駄目です・・・・・・」

長門「・・・・・・情報操作も出来ない」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 17:04:59.63 ID:FtvV5n4F0

大きさは2mあるだろうか。
人よりも大きく、不気味な姿をした化け物は、
次々にゴンドラへ乗り移り、そこに居た人々を・・・・・・

喰った。

キョン「・・・・・・うわあぁぁぁ!!!」

古泉「落ち着いてください!!くっ!」

長門「・・・・・・他の生命体を取り込んで進化している」

長門「それも恐ろしい勢い・・・・・・」

長門「私達ではアレを止める事は出来ない」

キョン「・・・・・・くそっ、すまん古泉」

古泉「無理もありません、頭から喰いつくとは化け物当然ですからね」

古泉「いやぁ〜、これはちょっとした恐怖ですよ」

キョン「お前・・・」

古泉「それよりも逃げましょう、今の僕達ではすんなり食べられてしまうでしょうし」

キョン「ハルヒ・・・・・・は・・・」

長門「・・・・・・確認出来ない」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 17:08:05.20 ID:FtvV5n4F0

キョン「くそっ!!!」

古泉「・・・・・・さ、行きましょう」

みくる「ふぇぇぇ!?なんですかぁぁあれぇぇぇ!?」

キョン「朝比奈さん!!こっちです!!!!」

俺は朝比奈さんの手を引いて古泉に続いて走った。
途中朝比奈さんが転びそうになったが、長門がフォローしてくれていた。

そして。

古泉「はぁ、はぁ、近くに博物館があってよかった」

古泉「有難う御座います警備員さん」

警備員「いえ、突然の事でしたので・・・・・・なんなんでしょうねあれは」

キョン「朝比奈さん、大丈夫ですか?」

みくる「は、はいぃぃ」

長門「・・・・・・」

警備員「今、警察が来ているので安心してください」

長門「・・・・・・それは出来ない」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 17:13:55.97 ID:FtvV5n4F0

警備員「とにかく、私が外の見回りに行ってきましょう」

みくる「えぇぇ!?」

警備員「大丈夫、ちょっと見に行くだけですから」

そういい残すと、人当たりの良い優しい警備員は走っていった。
俺達を残して。俺達は中央の三階の休憩所で助けが来るのを待っていた。

ここには自販機もあり、購買もあったのだ。
警備員さんが色々と弄ってくれたお陰で自販機はボタンを押せば飲料が出てくる。
あの人曰く緊急事態には良いとの事らしい。

俺はただ少しの恐怖を収める為にコーヒーを飲んでいた。
朝比奈さんは端でビクビクと震えており、古泉は眉を顰め俺と同じコーヒーを手にしている。

長門は・・・・・・壁にもたれて何を考えているのかさっぱりだ。

古泉「・・・・・・これからどうなるんでしょうね」

キョン「あぁ・・・・・・」

俺や古泉は平気・・・・・・というか、平常心で居れているが、
朝比奈さんは「怖い」と口にしてビクビクと震えていた。

すると外で火薬の爆発音が聞こえた。

古泉「・・・・・・どうやら発砲を始めたようですね」

キョン「・・・・・・これで安心・・・か?」

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 17:18:42.76 ID:FtvV5n4F0

キョン「ハルヒは、無事だろうか・・・・・・」

古泉「あの状況では絶望的ですが、あの涼宮さんですよ?」

古泉「生きていますよ」ニコニコ

こんな時には頼りになりやがる。
まったくこいつはどう転がってもイラッとする奴だな。

古泉「・・・・・・もし」

キョン「ん?」

古泉「あの化け物が来たら、どうしましょうか」

俺にはわからなかった。
来たら?抵抗するのだろうか。
抵抗すると言っても武器になりそうなのは、
朝比奈さんの隣にある非常用の斧くらいだろう。
それにそもそもそれだけの勇気や覚悟が出来るのだろうか。
反攻した所でやられるだけでは?

古泉「僕は、反攻しますよ」

キョン「え?」

古泉「これでも一応死と隣り合わせの職業をやっていますので」

あぁ・・・・・・神人狩も、命がけなのか。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 17:25:43.85 ID:FtvV5n4F0

俺達は少しの恐怖と静けさに内心怯えながら助けが来るのを待った。

そして、人とは思えない者のドシリとした足音と、先の警備員の悲鳴が館内に木霊した。

キョン「・・・・・・来た」

古泉「のようですね、警備員さん・・・・・・」

長門「・・・・・・今の私は無力」

キョン「いいさ、ここは男二人に任せな」

長門「・・・・・・ありがとう」

古泉「早く朝比奈さんの所へ」

長門「わかった」


キョン「・・・・・・さて、外はどうなっちまったんだろうな」

古泉「発砲音が無いという事は、全滅・・・・・・が妥当でしょう」

キョン「まさかこんな事に巻き込まれようとは、もしかしてだがこれもハルヒだったのか?」

古泉「そう考えるのが妥当でしょうね、さて、それよりも現状をどうするか・・・です」

グオオオオ!!!!

古泉「どうやら化け物が来たようですね」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 17:31:00.08 ID:FtvV5n4F0

俺達は手摺の隙間からソイツの姿を確認しようとした。

間違いない。さっきの奴だ。

口には警備員の血だらけの手が見える。マジで喰われちまっているようだ。
俺達も、ああなるのだろうか。

いや。まだまだ人生浅い俺だ。死にたくない。みんなもそう思っている筈だ。

古泉「付き合う必要は無いんですよ?」

キョン「少しも力にはなれんかもしれないが」

キョン「俺だってハルヒのとんでもで鍛えられてんだ」

キョン「それなりの反射神経はあるつもりだぜ、運動神経は別だが」

古泉「ふふ、ちょうど斧も二つありますし、ね」

ドシリ、ドシリと・・・・・・悪魔の足音が聞こえる。
それは覇気をジリジリと感じる程のモノだった。

今まで静かだった館内が一気に緊張感に包まれる。

俺は喉をゴクリと鳴らした。

キョン「・・・・・・」

古泉「・・・・・・」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 17:39:16.14 ID:FtvV5n4F0

・・・・・・止まった。
ドシリというあの恐怖を煽る足音が、止まった。

・・・・・・どうやら辺りを調べているらしい。

なるほど、エサ探しってわけか。隠れているエサを探しているのか。

いや、違った。もう一つ足音が聞こえた。
ドサドサとまるで何人もの人間が一斉に走ってくる音だ。

古泉「・・・・・・助かりましたね」

古泉の一言で理解した。
自衛隊・・・・・・税金を無駄遣いしなくて済みそうだな。

状況を確認しようと見えるか見えないかの隙間から覗いてみる。
すると何人もの迷彩の軍服と装備をした自衛隊員が化け物を取り囲んでいた。

隊員「射撃用意!!!」

取り囲んだと同時に合図し、銃口を化け物に向ける。
次の瞬間「撃てッ!」の合図と共に一斉に集中砲火を浴びせていた。
火薬の光りが瞬き、爆音が館内に木霊した。

古泉「・・・・・・」

だが、それでも俺は助かったという安心感に浸れなかった。
倒してはいないのではないか?良くあるパターンだ。

だが、一斉射撃を浴びた化け物は金きり声を上げてその場にドサリと巨体を沈めた。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 17:43:51.14 ID:FtvV5n4F0

数人を未だに死体に銃口を向けさせたまま、
辺りの状況を確認したのか自衛隊の一人が声をあげた。

「誰か居るかー!!!!」

俺達はその声に返答した。「居ます」と。
助かった。本当に助かったのだ。

俺達はビクビクと震えた朝比奈さんを抱えて自衛隊に保護された。

隊員「大丈夫かい?」

キョン「俺達は大丈夫ですけど、この人が・・・・・・」

みくる「うわあああん」

隊員「おい!モーフだ!!!」

忙しなく片付けが始まる。
だが、長門は俺の裾を引っ張った。

長門「・・・・・・斧、持ったまま」

キョン「・・・・・・え?」

古泉「・・・・・・まさか」

そのまさかだった。朝比奈さんを連れた隊員が館内から救出した直後、
倒れていた不気味な巨大が再びその異常なまでに長い尾で隊員二名を吹き飛ばした。

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 17:56:11.13 ID:FtvV5n4F0

隊員「全員応戦!!!」

その声と同時に生き残っていた隊員が応戦するも、
復活した化け物に銃弾はまったく無効化だった。
それどころか、自衛隊員を次々と喰らっていた。

キョン「やばいな、古泉逃げよう!!!!」

古泉「駄目です、さっきの攻撃で扉が潰れてしまいました・・・」

キョン「何!?」

古泉「こうなったら戦うまで!!!」

古泉は落ちていた非常用の斧を化け物に投げつける。
回転しながら化け物の右肩に突き刺さるが、効いていない。

古泉「くっ、なら!!!」

俺は古泉の戦いぶりを見ているだけだった。
長門はホールの端で静観しているようにも見えた。

キョン「長門!早く逃げろ!!!」

長門「・・・・・・」

だが長門は眉を顰めたまま化け物をジッと見つめていた。
何やってんだ!!殺されるぞ!!!

古泉が近くに倒れていた隊員が持っていた銃を取り、化け物目掛けて弾丸を放つ。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 18:01:12.81 ID:FtvV5n4F0

キョン「やったか!?」

古泉の放った弾丸は先の斧が刺さっている部分目掛けての攻撃だった。
傷口にさらにダメージを与えて確実にダメージを与えるつもりらしい。

古泉の戦法は・・・・・・効いていた。
化け物が右肩を押えて後ずさりする。

キョン「古泉!!」

古泉「やはり、幾ら頑丈とはいえ、傷口がある以上はッ!!」

古泉はそのまま傷口を狙って射撃をやめない。
っていうか、古泉は素人とは思えない動きをしていた。

弾切れを起こそうものなら、隊員の服からマガジンを取り、
凄まじい手さばきでマガジンを交換する。

古泉「貴方は長門さんを連れてなんとか脱出を試みてください!!!」

キョン「お前は!!!」

古泉「なんとかしてみせます!!!」

ズダダダと、眩い閃光が館内に迸る。
俺は長門を連れて非常口を目指した。

化け物「グオオオオ!!!」

古泉「―――ッ!!!」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 18:06:48.82 ID:FtvV5n4F0

背中後ろで古泉の戦闘音が聞こえる。
・・・・・・良く良く考えれば、少々イラ立つ奴だ。

だが、事あるたびにアイツに世話になっていた。
――このまま、アイツを残して行っていいのだろうか。

いや、俺には何も無い。力も。能力も。
だけど、それでも俺はどうしようにも無かった。

長門「・・・・・・行って」

キョン「・・・・え?」

長門「貴方は行くべき、古泉一樹に加勢するべき」

キョン「でも長門――」

長門「行って」

グィィと長門が迫ってくる。
その目には「行け」の意思が篭っていた。

長門「私は、平気」

キョン「・・・・・・わかったよ、気を付けろよ」

長門「・・・・・・」

キョン「古泉ィィィ!!!!!」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 18:11:17.31 ID:FtvV5n4F0

古泉「・・・!?貴方何をッ!!!」

その瞬間、古泉は化け物の尾で吹き飛ばされていた。

キョン「古泉!!!!」

あぁ、何をやっているんだ俺は。
加勢する筈が隙を作って古泉を・・・・・・

吹き飛ばされた古泉は近くのトリケラトプスの化石に吹き飛ばされていた。
ドシャララグシャンという化石が激しく崩れ落ちる音と共に。

化け物の目は、俺を捉えていた。

キョン「・・・・・・ぁ・・・」

化け物「グルルル」

キョン「く、糞ったれぇ!!!!」

古泉が持っていた銃が幸運にも近くに落ちて転がっていた。
俺はそれを取ると化け物に照準の定まらない内に無我夢中で撃っていた。

ズダダダッ

キョン「くそ!!何でこんな事に!!!!」

ズダダダッ

キョン「くそおおおお!!!!!」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 18:15:38.70 ID:FtvV5n4F0

当たっているのにも関わらず、ノシリノシリと確実に迫ってくる化け物。

化け物の腕が、俺の顔面を捕らえようとした瞬間―――

――赤い光りが俺を包んだ。

突然だった。光りを意識した瞬間に何処か遠くへ飛ばされた気分になる。
正面から少し勢いのある風を受ける感覚。とても心が落ち着く。

あぁ、俺は死んだのか?

いや。そうではなかった。目の前に音を立てて線が走り・・・・・・

人のような容を創る。だけど、人では無い。

キョン「・・・・・・誰だ?」

?「・・・・・・」

キョン「お前は・・・・・・なんなんだ?」

キョン「ここは・・・・・・どこだ?」

?「・・・・・・君は、彼らを守りたいか?」

キョン「・・・・・・え?」

?「質問だ。とても簡単な・・・守りたいのか?守りたくないのか?」

キョン「んな事決まってんだろ・・・・・・守りたいに決まってるさ」

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 18:20:03.42 ID:FtvV5n4F0

少し誤字った。

その言葉と同時に再び光りが俺の視界を包む。
・・・・・・気付けば、あたりは酷い有様だった。

古泉が化石の瓦礫に倒れ、血だらけの隊員の死体の山。
暴れ狂う化け物。それは長門に迫っていた。

駄目だ。駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ!!!!!

そう意識した瞬間、俺の胸に赤い光りが―――


長門「・・・・・・」

化け物「グオオオオ!!!!!」

化け物が長門を襲おうとした瞬間、強烈な光りが迸る。
その光りを発していたのは・・・キョンだった。

長門「・・・・・・あれは」

化け物『ハッ、ようやく姿を見せやがったか』

長門(人の言葉を喋る?)

キョン『長門から離れやがれ化け物があああああ!!!』

その一言と同時に、俺の体に何かが走り抜けた。それと同時に視界が光りに包まれる。

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 18:25:37.04 ID:FtvV5n4F0

化け物『アヒャヒャヒャヒャ!!!!』

同時に化け物の体にトカゲのような物が集まっていき・・・・・・
巨大化した。

一方、赤い光りを放ったキョンはまったく別の姿をしていた。
銀色に輝く装甲のような物で体を包み、人の姿をしている。

だが、人ではない。巨大なのだ。10mはあるだろうか。化け物と同じくらいの大きさだ。

胸には右肩左肩水落にかけて、赤いマークのような物が走っている。

長門「・・・・・・!」

銀色の巨人「・・・・・・」

銀色の巨人は化け物に突っ込んでいき、右ストレートをかます。

化け物『ぐおおッ』

銀色の巨人『デヤッ!!』

さらにリズムよく右左右左とパンチを当て続けていく。
化け物は殴られ続け、怯んでいた。

化け物が後ずさりし、距離を取ろうとする。

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 18:38:36.45 ID:FtvV5n4F0

だが化け物もやられてばかりではなかった。

その長い尾で、銀色の巨人を絡め取る。

?『!?』

化け物『グォォォ』

そしてグィグィと振り回し、地面に叩き付けた。

?『ッァ!!!』

化け物『グシャアアア!!!』

だが銀色の巨人は直ぐに体制を整え化け物に殴りかかる。

?『トァ!!!』

化け物『グワァァア!!!』

深く踏み込んだ銀色の巨人の攻撃で、
二つの巨体は抱き合う形になり、グイグイと押し合う。

だが、突然銀色の巨人が弱り始めた。
その隙にと言わんばかりに化け物は銀色の装甲に尾を叩き付ける。

巨人の巨体はティラノサウルスの化石を巻き込んで吹き飛ばされた。
館内が広かったおかげで、建物事態はぎりぎり崩れはしなかったが。

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 18:45:42.79 ID:FtvV5n4F0

巨人は化石の瓦礫からへなへなと立ち上がる。

だが、確実に弱っていた。そして胸のあのマークが点滅しているのだ。

長門「!?」

化け物『やはりな、お前は完全に人間と同化していない』

化け物『全部人間を喰っちまえばそれで良かったモノを――』

長門「・・・・・・まさかこれらは」

?『・・・・・・』

だが巨人は力を振り絞るようにして立ち上がる。
そして、巨人の右一の腕の突起物が光りを放ち始めた。

それと同時に巨人は瞬時に右回りし、閃光のような物を放つ。
瞬間化け物の右肩あたりから小規模な爆発が起こった。

化け物『ギシャアアアアアッ!!!』

?『・・・・・・』

まるで肩で息をするように巨人は右膝を着く。
あれが何かしらの必殺なのだろうか。

化け物はそのまま博物館の一部を吹き飛ばし外へと逃げていった。

長門「・・・・・・」

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 18:50:56.74 ID:FtvV5n4F0

銀色の巨人はそのまま倒れこんでしまう。
すると巨人を再び光りが包み込んでいく。

長門「――ッ」

光りが消えた後には倒れたキョンの姿があった。
かなり衰退している。

古泉「・・・・・・はは、やられてしまいました」

長門「古泉一樹」

古泉「僕は無事ですよ、まぁ、骨がいくつか逝っているのは確かでしょうけどね」

古泉「それほど気になるわけでもありませんし」

長門「それにしては肩で息をしている」

古泉「僕は良いんですよ・・・・・・それよりも」

長門「彼」

古泉「はい、あれは一体・・・・・・銀色の装甲を身にまとった巨人」

長門「だが突然弱った」

古泉「良く解りませんが、とりあえずこの人を連れて機関の人を待ちましょう、来るはずですから」

長門「コクリ」

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/23(水) 18:53:44.23 ID:FtvV5n4F0

いかん、?と巨人入れ違えた。脳内保管願います。

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 18:56:14.12 ID:FtvV5n4F0

>>81 サーセン、俺にとってNEXTと言えばULTRAMANなんで。

―――とまぁ、その後古泉の機関の森さんやらにお世話になったわけである。

古泉「まさか貴方にそんな力が備わっていようとは」

キョン「ちげぇよ、なんか突然変な光りに包まれたんだよ」

古泉「ほう・・・」

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 19:16:01.58 ID:FtvV5n4F0

キョン「まぁ、良く覚えてないけど」

古泉「そうですか、当事者の貴方からは有力な情報を得られると思えたのですが」

キョン「すまんな、それよりも怪我はもういいのか?」

古泉「科学の力は凄いです」

キョン「そうか、良かった」

俺達はいつも通りにSOS団の部室に集まっていた。
ただ、ハルヒが居ない事を除いては。

キョン「どうしてハルヒが居ない事は問題にならねぇって・・・あぁ機関か」

古泉「ご名答です」

みくる「はい、どうぞ」

キョン「あぁ、有難う御座います」

古泉「ありがとうございます」

朝比奈さんのお茶はどんな時でも心を癒してくれる。
あぁ、この程よい温度・・・・・・

古泉「それでですね」

・・・・・・楽しいティータイムを邪魔された気分だな。
まぁ、こんな事している状況でもないのは確かなんだが。

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 19:24:03.72 ID:FtvV5n4F0

古泉「改めて状況を簡潔に説明しましょう」

古泉「僕達が遊びに行き、皆さんもご存知通り悲惨な事になりました」

古泉「現在の謎は三つと言った所です」

古泉「あの発光体の正体と、それに伴う対峙者の劇的な変身」

古泉「次に涼宮さんの生死です」

キョン「・・・・・・あの状況では流石に」

長門「違う」

長門「未だに情報の改変等が感じられる」

長門「これは涼宮ハルヒにしかできない」

長門「それなのに涼宮ハルヒは現場に居なかった」

古泉「・・・・・・薄々勘付いては居るのですが」

キョン「お前、ハルヒがあの化け物だって言いたいのか?」

古泉「その可能性は捨て切れません、というか、今一番有力なのはこの説です」

古泉「次に・・・・・・何故、あの時の貴方が化け物と同じように僕達を襲わず、助けたのか」

古泉「言うなれば人間的意識の云々ですね」

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 19:29:16.47 ID:FtvV5n4F0

古泉「その他は長門さんのおかげで随分と明らかになっています」

古泉「彼ら・・・発光体が、宇宙からの来訪者である事」

古泉「そして、そのうちの一つが今も貴方の中に居るという事です」

みくる「・・・・・・あの、キョン君」

キョン「・・・・・・なんですか」

朝比奈さんが少々怯えた様子で話しかけてきた。
無理も無い。今、俺の中にはあの時の化け物と同類の存在が居るのだから。
怖いに決まっている。

みくる「長門さんや古泉君を助けたのって・・・本当に?」

キョン「・・・解りませんが、どうやら俺のようですね」

キョン「すみません、怖がらせて、俺、今化け物なんですよね、はは」

みくる「えっえっ、あ、あの、そうじゃないんです・・・」

キョン「・・・?」

みくる「ただ、キョン君大丈夫なのかなって、色々あったし」

みくる「それにキョン君が守ってくれたって事は、あの怖いのに対抗出来るって事ですよね!」

古泉「その通りです、どうやら僕達には対抗手段が運が良い事にあるようです」

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 19:32:53.85 ID:FtvV5n4F0

キョン「ち、ちょっと待て古泉」

古泉「はい?」

キョン「つまり、俺が、あの、デカブツとやり合えと?命の駆け引きをしろと!?」

古泉「そうですね、あれ、嫌ですか?」

キョン「・・・それは俺が対抗手段なら、俺は喜んで力を貸すさ」

キョン「だ、だけどな、古泉、人間そんな上手く出来てないんだ・・・ぜ?」

キョン「俺だって怖いんだ、あんなのと素人の俺が勝てる筈ないだろ!!」

古泉「・・・・・・」

キョン「・・・・・・それに、どうして俺なんだ」

キョン「偶然か?あぁ・・・ハルヒか?」

キョン「だがな、俺にはこうやって人として意識があるんだ」

キョン「ただの一般人高校生なんだよ!!それも軟弱でヘタレで!!!」

キョン「・・・・・・俺に出来ると思える程の自信があれば喜んで戦うさ」

キョン「だけど無理なんだよ、古泉、俺はお前みたいに戦い慣れてないんだ」

キョン「それに怖いんだよ、死ぬのが」

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 19:36:29.79 ID:FtvV5n4F0

キョン「今思い返しても手の震えが止まらない・・・」

キョン「あの時は本当に切羽詰まってた」

キョン「長門も、お前も、朝比奈さんも」

キョン「それに・・・・・・ハルヒもだ」

キョン「だが俺達から出向くとなると話は別なんだよ」

キョン「震えて、震えて・・・・・・怖くて無理なんだよ」

朝比奈さん「・・・・・・キョン君」

キョン「朝比奈さん、俺には無理なんですよ・・・・・・なんのとりえも無い俺には」

キョン「格闘技をやっていた訳でも無い、それに、この力の使い方だって・・・・・・」

長門「・・・・・・」

古泉「そう・・・ですか、申し訳ありません」

古泉「・・・・・・貴方に、申し訳無い事をしました」

キョン「・・・・・・謝るのは俺の方だ」

キョン「・・・・・・こんな、臆病野朗・・・・・・なんだからな」

キョン「ハハ、どうしようもねぇや」

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 19:42:30.90 ID:FtvV5n4F0

キョン「そういえば、古泉」

古泉「なんでしょう?」

キョン「機関は、俺を拘束したりしないんだな」

古泉「そうですね、僕らはそこまで堅いわけでないので」

キョン「俺が突然暴れだすかもしれないんだぜ?」

古泉「貴方に限って、それは無いでしょう」

古泉「信じていますからね」

長門「それに貴方が敵対しているという疑念もあの時私達を守ろうという姿勢で証明されている」

長門「安心して良い」

古泉「ただ、唯一強力な対抗手段が無くなったとなると・・・・・・どうしましょうか」

長門「・・・・・・あれらに対抗出来る毒性の武器を今検討している」

古泉「それは直ぐに出来そうですか?」

長門「・・・・・・100%とは言えない、けど早い段階での完成は望める」

古泉「そうですか・・・・・・」

キョン「・・・・・・すまん、俺、帰るよ」

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 19:49:33.75 ID:FtvV5n4F0

古泉「そうですか・・・・・・ゆっくり体を休めてください」

キョン「あいつ・・・・・・あの化け物はどうするんだ」

古泉「僕らの方で何とかします」

キョン「そうか・・・・・・」

みくる「あ、あの、気をつけて」

キョン「ありがとうございます、さようなら」

俺はそのままSOS団の部室を後にした。
今日は久しぶりに、町をぶらつきたくなった。

なんでだろうな。良くは解らん。


都心であんな事があっても公にはされない。
さすが世界規模なだけはあるか。

この町の人達も何も知らないで生活してるんだよな。
そんな中であんな化け物が出てきたら・・・・・・大混乱だな。

俺がポツポツとコーヒー片手に歩いていると、見た姿がそこにあった。

キョン「佐々木何やってんだ」

佐々木「・・・・・・何って、キミこそ何やってるんだい」

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 19:56:38.58 ID:FtvV5n4F0

佐々木はどうやら本を買いにきていたらしい。
どんな本かは聞かなかったが。

そんなこんなで佐々木と途中まで帰る事になった。

佐々木「キミこそ何やってたんだい、悲哀感駄々漏れだったけど」

キョン「ちょっとな」

佐々木「・・・・・・格好付けてる?」

キョン「つけてねぇぇ!!!」

佐々木「くっくっ、なんだ、いつものキミじゃないか」

キョン「・・・・・・まぁ、そうだな」

・・・・・・。何を話していいのかわからなかった。
今の俺には何を話していいのか考え付かないのだ。

あぁ、何やってんだか。

佐々木「どうやらそうでも無いみたいだね」

キョン「・・・・・・別になんでもない」

佐々木「嘘だね、その表情が正にそうだ」

キョン「・・・・・・」

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 20:02:30.57 ID:FtvV5n4F0

佐々木「キミに何かあったのかまでは聞かないけどさ」

キョン「・・・」

佐々木「何、その、中学からの仲なんだし相談に乗るよ」

キョン「すまんな」

佐々木「謝らないでくれ、キミの顔色が本気だったからさ」

佐々木「んじゃ僕はこっちだから」

キョン「なぁ佐々木」

佐々木「なんだい?」

キョン「お前、今週どっか行ったりするのか?」

佐々木「そうだね、ちょっと中央の方に買い物でもしに行くかな」

キョン「中央って、あのデパートやら何やらがある場所か」

佐々木「うん、電車でね」

キョン「そうか・・・・・・わかった」

佐々木「どうしたのさ、いきなり」

キョン「なんとなくだ、自分でも何で聞いたのか解らん」

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 20:07:16.79 ID:FtvV5n4F0

佐々木「ふふ、変だね」

キョン「うっせ、笑うな」

佐々木「それじゃ、また機会があれば会おう」

キョン「え、あ、あぁ」

佐々木「・・・・・・たまには誘ってくれてもいいのに」

キョン「ん?」

佐々木「なんでもない、それじゃぁね」



俺は、眩しいくらいに赤く光ってた夕焼けを後にして帰路に付いた。
佐々木に今の俺の状況を話してもグダグダするだけだろう。

余計な心配をかけるわけには行かない。

キョン「・・・・・・ただいまー」

妹「おかえりーキョン君ー」

キョン「どうした、今日はやけに元気いいな」

妹「えへへ、明後日社会見学があるんだって」

キョン「今の若いのはそんな事するのか」

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 20:10:52.29 ID:FtvV5n4F0

妹「若いのって、キョン君若いよ?」

キョン「あー、そんな気もしないでもないな」

妹「変なのー」

キョン「うるさい」

妹「わー、キョン君が怒ったー」

キョン「お前は幼稚園児か」

妹「えへへー」

キョン「悪いが自室に行かせて貰うぞ、飯はいらん」

妹「えーご飯食べないのー」

キョン「腹減ってないんだよ」

妹「むー」


その夜、俺は空を見上げていた。
俺の中の化け物はあの上から来たって言うんだ。
少しは気になる。それと星も見たくなった。

キョン「・・・・・・まるで世界の終わりみたいな顔してるんじゃねぇだろうな俺」

自分にはやるだけの力があるそうだ。だが、俺は怖い。

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 20:17:27.88 ID:FtvV5n4F0

何故か時々奴の姿が頭の中でチラチラと走る。
今でも解る。あいつが暴れているのが。密かに。静かに。

だから怖い。俺も殺されてしまうのではないか。と。
幾ら立ち向かえたとしても、やられてしまうかもしれない。

あいつがどんどん他の何かを取り込んで強くなっているのが解る。
怖い、とてつもなく怖い。そういえばアレはハルヒなのだろうか。

仮にそうだとして何故こんな事をするのだろうか。

キョン「・・・・・・」

なぁに、自衛隊や機関の連中に任せればなんとなるだろう。
そんな考えが常に影のようにくっ付いてくる。

俺のことなかれ主義が戦うのを拒んでいる。

いかん、もう寝よう。いくら考えても今の俺には何も結果は出ない。


そうして俺は一日を閉じた。


次の日、いつも通りに授業をボーッと受け、
いつも通りに放課後を向かえ、いつも通りにSOS団へ――

気まずい。入るのが気まずかった。
・・・・・・俺はとことん臆病だ。前に進み出せない。
どうしようもない。もしかすれば一般以下かもしれん。

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 20:24:17.31 ID:FtvV5n4F0

俺が躊躇っていると、背後から聞きなれた声がした。

みくる「キョンくん?」

キョン「あ、朝比奈さん・・・・・・」

みくる「どうしたんですか?入らないんですか?」

キョン「え、あ、あの・・・・・・」

みくる「・・・・・・一緒に入りましょう」

キョン「ありがとうござます・・・・・・」

優しかった。今の俺には朝比奈さんが全知全能の神にも思えてきた。
あぁ、こんな優しい人が知り合いなんて俺は幸せ者だ。

古泉「あ、どうも」ニコニコ

長門「・・・・・・」ペラッ

そこにはいつも見慣れた光景があった。ハルヒの姿は無い。
だが、よく、見かける光景。ハルヒがまだ来ていない時に見る光景。

そういえば、あの化け物を野放しにしておけばこの光景も見れなくなるのだろうか。
俺の本当の意味での日常を壊されるんじゃないか。

キョン「・・・・・・古泉、オセロ付き合え」

古泉「よろこんで」ニコニコ

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 20:27:11.94 ID:FtvV5n4F0

静かな時間が流れる。
朝比奈さんがお茶を入れてくれて。
長門が窓際で緩やかな風に髪を靡かせながら本を読んで。
俺と古泉はボードゲームをやって。

ハルヒが居れば朝比奈さんを弄りながら「暇だわ」とか言ってそうだな。

古泉「あ、僕の勝ちです」

キョン「な――」

古泉「いやぁ僕が勝つ事もあるんですね」ニコニコ

キョン「・・・・・・」

古泉「・・・・・・どうしました?」

キョン「・・・俺、このまんまでいいのかな」

古泉「それは貴方が決める事ですよ」

キョン「あいつ、どうなってるんだ」

キョン「まだ暴れてるのか」

古泉「えぇ、この前も何十人も死傷者が出ましてね」

キョン「そうか・・・・・・」

長門「・・・・・・」ペラッ

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 20:31:53.81 ID:FtvV5n4F0

古泉「でも長門さんの開発した弾丸のおかげで随分追い詰められるようになりましたよ」

キョン「そうなのか」

古泉「えぇ、まぁ、そう上手く行くとも思えませんが」

みくる「おかわりいりますか?」

キョン「あ、はい」

古泉「僕もお願いします」


キョン「・・・・・・」

古泉「いつでも、返事を待っていますよ」

キョン「なぁ古泉、お前はこんな日々が好きか?」

キョン「ハルヒに振り回されて、俺に突っ込まれて、ボードゲームやったり何やったり」

古泉「そうですね、前はそうでもなかったですが―――」

古泉「今は不思議と気にいっていますよ」ニコニコ

キョン「そうか」

古泉「はい」

みくる「どうぞ」

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 20:36:09.44 ID:FtvV5n4F0

そうして、今日もSOS団を後にした。
すると、長門から本を渡された。

長門「・・・・・・」

キョン「読むのか?」

長門「・・・・・・読んで」

キョン「わかった」

これだけだった。前のようにしおりにメッセージが入っているわけでもなさそうだ。
しおりが見当たらないのでそのままカバンに突っ込んだ。

帰り、再び俺は町をうろうろとしていた。
昨日の佐々木と会った場所に差し掛かると、なんでかは知らないが佐々木が居た。

キョン「買い忘れ?」

佐々木「今のところここでしか買えなくてね」

キョン「そうか」

佐々木「最近良く会うね」

キョン「だな」

佐々木「ちょっとぶらついて行くかい?」

キョン「え?あぁ」

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 20:42:10.02 ID:FtvV5n4F0

佐々木「ジュースくらい自分で買えるのになぁ」

キョン「遠慮すんな、今日は機嫌が良い」

佐々木「そうは思えないけどな」

キョン「俺が良いって言うんだから、本人が言ってるんだから信じろよ」

佐々木「まぁ、とにかくありがとう」

飲んだり適当に話したりして俺達はぶらついた。
最近の学校での事とか、ごくごく平凡な雑談。

それに中学からの仲ならではの懐かしさってのもある。
この年になるとまるで年とった見たいな感覚になるな。はは。

キョン「・・・・・・」

佐々木「キミ、どうかした?」

キョン「あ、なんでも・・・ない」

佐々木「やっぱり変だよキミ、本当に大丈夫?」

こんな光景も、俺が何もせずに過ごしている内に消えてしまうのだろうか。

佐々木「?」

今までなんとなく過ごしていて、目に見えるモノは全て当たり前だと思い、
やれやれと頭を抱え、それでも楽しいって感じて。

125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 20:46:52.18 ID:FtvV5n4F0

今俺はどうしたいんだろうか。
目標はある。多分、俺はあの化け物と戦わなくちゃいけない。
あいつはどんどん強くなる。

それに対処できるのは俺だけなんだろう。
ほおって置けば全てが吹き飛ぶ。

解っているのに動けない。
踏ん切りがつかない。

佐々木「キミさ、ら、来週予定ある?」

キョン「・・・え、あぁ、暇だが」

佐々木「なら決定だな、キミちょっと買い物に付き合ってくれよ」

キョン「・・・運び係ですか?」

佐々木「いやかい?」

キョン「・・・・・・何もしないよりはマシだろうな」

キョン「ここんとこ体をまったく動かしてないし、いいぜ」

佐々木「ようし決まりだね」

キョン「元気だな」

佐々木「キミがオジサン臭いんだよ」

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 21:00:11.59 ID:FtvV5n4F0

その後俺達はそのまま昨日のように帰路にそれぞれついた。
なんとなく。流れで約束をした。来週に用事が出来た。

家の前、ふと長門の本が気がかりになり、確認してみた。
・・・・・・紙切れ、ではなく、しおり。

『公園で待っている』

・・・・・・俺は自転車を飛ばした。
前と同じ場所で長門は待っていた。
日はもう落ちる寸前の時間帯だった。

キョン「・・・・・・すまん」

長門「いい」

長門「来て」

こうして俺は、再び長門有希の自宅に上がる事になったのである。
前と同じパターンで淡々と茶を出され、感想を聞かれた。

長門「・・・・・・美味しい?」

キョン「あ、あぁ」

キョン「ところで、用って・・・・・・」

長門「・・・・・・古泉一樹に渡した対抗手段も何れ効かなくなる」

長門「私達はあの異形生命体を最初の者として『ザ・ワン』と名づけた」

129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 21:04:45.68 ID:FtvV5n4F0

長門「情報統合思念体からは、私達でこの事態を処理するようにと言われている」

長門「だけど、あの異形生命体についての情報を手に入れる事が出来た」

長門「私は、それにそってあの対抗弾丸を生み出した」

長門「・・・・・・だが、ザ・ワンの進化速度は抜きん出ていた」

長門「・・・・・・とてつもない勢いで、今も、進化している」

長門「・・・・・・きっと私の対抗手段も効かなくなる」

長門「幾らこちらであれこれと対抗手段を作れば、アレはそれに対抗して強くなる」

長門はつまりもう私達に打つ手は無いと言っている。
それと同じ意味を持っているんだ。そして、長門が俺に求めているのは――

長門「・・・・・・懇願する」

長門「戦って欲しい」

キョン「・・・・・・長門」

長門「貴方が望むならば、なんでもする」

長門「だから、戦って欲しい」

長門「・・・・・・この、生活を、手放したくないと、私の思考が感じている」

キョン「あ―――」

131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 21:08:18.43 ID:FtvV5n4F0

その時、長門の表情が曇った。

俺には、そんな風に見えた気がする。

キョン「・・・・・・」

長門「・・・・・・」

キョン「長門、お茶・・・・・・おかわりくれないか?」

長門「・・・・・・待っていて」


長門「はい」

ことん、と、物静かな長門の家では確りと聞こえる。
俺はそれを一口でグビグビッと飲み干した。

キョン「・・・・・・これでいいさ」

長門「・・・え?」

キョン「今までの俺がアホだったんだ、何でもするなんて」

キョン「これだけでいいさ」

長門「・・・・・・本当になんでもする」

キョン「いいっていいって、どうせちょっとボクシングしてくるだけなんだしさ」

133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 21:12:09.43 ID:FtvV5n4F0

キョン「今まで、俺がその程度の事にビクビクしてただけなんだ」

キョン「・・・・・・ありがとうな、旨いよ、長門のお茶は」

そう、これは本当に美味しいお茶だった。
朝比奈さんのもいいが、長門のも良い。

代価なんて、これだけでいいさ。

キョン「この茶に掛けて、ザ・ワンとやらをぶちのめしてやりますよ」

キョン「すまんな、長門、今まで」

長門「・・・・・・いい」

キョン「決心着いたよ、久しぶりに喧嘩してくるよ」

キョン「まぁ、勝てるかどうかわ解らないがな」

長門「大丈夫、貴方は勝つ」

キョン「・・・・・・そう言って貰えるだけで勝つ気になるさ」

長門「そうじゃない、貴方の中に居る者・・・・・・それが確信させてくれる」

長門「彼はいい人」

キョン「・・・・・・そうか?勝手に人の体に入ってきて、こんな面倒事に巻き込んだ奴だぞ?」

長門「・・・・・・わかる、流星は優しい」

134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 21:15:42.11 ID:FtvV5n4F0

キョン「流星?こいつの事か?」

長門は俺の中の奴をそう呼んだ。
俺は何でか分からないが胸の辺りを腕で叩いていた。

長門「銀色の、流星」

キョン「こいつには勿体無い名前だな」

長門「・・・・・・宇宙から来た、銀色の流星」

キョン「・・・・・・はは、なんだかなぁ」

俺は、そのまま長門の家を後にした。
長門は、マンションの下まで俺を見送ってくれた。

もう、決心は着いた。踏ん切りも着いた。
やってやるさ。来週の約束だってあるじゃねぇか。
ちゃっちゃとこんな面倒な事、終わらせてやるぜ。

キョン「・・・・・・今日もちゃっちゃと寝ようか」

明日、俺は古泉に言いに行く。
「やらせてくれ、俺に」

と。その時の気持ちが偽った気持ちではなくて、
本当に戦う為にという気持ちでいたい。

そうである為に、今日は早めに寝る。

135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 21:19:59.93 ID:FtvV5n4F0

うおおお、誤字ったー

・・・・・・まただ。
あの時、赤い光りに包まれた時と同じ感覚。

前から受ける緩やかな勢いのような風のような物。
そしてやはり、音を立てて線が筋を作り、人の形を作る。

それは赤くて、まるで燃える太陽のようだった。
とても明るくて、俺には眩しい。

キョン「・・・・・・お前誰なんだよ」

?『・・・・・・』

キョン「勝手に人を巻き込んでよ、こっちは散々悩んだよ」

?『・・・・・・すまない、キョン』

キョン「お前もその名前で呼ぶのか、つか知ってるのかよ」

?『君は面白いな』

キョン「・・・・・・で、最終的に俺はあいつを倒さなきゃいけないのか」

?『・・・・・・多くは聞かないのか』

キョン「お前話してくれねえじゃねぇかよ』

?『・・・・・・そうだな、すまない』

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 21:26:00.53 ID:FtvV5n4F0

?『私は、あれを追ってこの星にやってきた』

キョン「・・・・・・宇宙人なのか」

キョン「そして俺はお前に選ばれたと?」

?『適合者が君だったんだ、すまない』

キョン「もう今更だ、俺は明日、ザ・ワンを倒す」

キョン「それでお前も報われるんだろ?」

?『・・・・・・あれをほおって置けば、いずれこの星は滅んでしまう』

キョン「優しいんだな、長門はお前が見えていたのか」

?『・・・・・・彼女は、不思議だな』

キョン「・・・・・・そうかよ」

?『すまない、私があれを倒し損ねたせいで・・・』

キョン「謝るんじゃなくて、明日負けないように戦うまで」

?『そうだな』

キョン「んじゃ俺は眠いから、もういいだろ?」

再び光りが俺を包んだ。目を開けた頃には、太陽が昇っていた。

138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 21:32:33.96 ID:FtvV5n4F0

キョン「あれ、俺・・・・・・あれ一応あだ名なんだけどなぁ」

キョン「・・・・・・まぁ、別にいいか」

俺の中に居るであろう、胸に腕を当てた。
・・・・・・やってやるさ。頑張ろう。

この日も、いつも通りに授業を受け、放課後、SOSの部室に俺は来ていた。
だが、この日だけは違っていた。この時間が。

古泉「・・・・・・行きましょう、ザ・ワンの位置を特定しました」

キョン「あぁ」

みくる「あ、あの、気をつけて・・・・・・キョン君!!!」

キョン「あんなブサイクギッタンバッタンドカバカボコンですよ!」

俺は朝比奈さんに見せ付けて見せた。
実際。そんな気持ちではないんだがな。

・・・・・・不安はある。

長門「・・・・・・私も行く」

古泉「そうですね、長門さんにも来て頂きましょう」

俺達は、学校を後にした。
古泉のコネなのか、森さんが装甲車に乗ってきた。
無論、俺達はそれに乗る事になったのである。

139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 21:37:40.44 ID:FtvV5n4F0

装甲車の中で、俺は、緊張していた。
腕が震える。今からあいつと対峙して、殺しあうのだ。

キョン「・・・・・・」

長門「・・・・・・大丈夫」

キョン「長門・・・・・・いや、すまん」

古泉「僕達もバックアップしますから、大丈夫ですよ」

森さん「もうすぐ着きます」

古泉「ありがとうございます、それじゃ、準備と行きましょうか」

そう言って、古泉はなにやら物騒な服やら銃火器等を身につけている。
この姿を見るだけで、余計に現実味を感じてしまう。

あぁ、・・・・・・怖い。でも、やるしかない。
守らなきゃいけない事が沢山ある。

キョン「・・・・・・」

古泉「・・・・・・行きましょう」

キョン「あぁ!!!」

それが、俺の決意であり、俺の使命だ。

やってやるさ。

140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 21:41:36.20 ID:FtvV5n4F0

配管工「・・・・・・うーん、おかしいなぁ」

配管工B「・・・・・・なんか臭くないか?」

配管工C「まwwwさwwwかwwwお前www」

配管工「も、漏らしてない!!漏らしてないよっ!?」

ビチョリ

配管工B「ん、なんだこのベトついた・・・・・・」

配管工C「うwwはww賢者モードww」

配管工「馬鹿な事言ってる場合じゃないぞ!?」

ザ・ワン「グゴゴゴ・・・・・・」

配管工&B&C『いやあああああああ!!!』


グショリッ、グゴッ......

古泉「確かこの辺り、貯水槽・・・・・・ですね」

長門「・・・近い」

キョン「あぁ、あいつの不気味さがビンビン伝わってきやがるよ」

古泉「・・・・・・シッ、誰か居ます」

142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 22:05:56.21 ID:FtvV5n4F0

?「・・・・・・あれ、キョン・・・それに有希に古泉君?」

キョン「・・・・・・なっ!?」

ハルヒ「・・・・・・あれぇ、どうしちゃったの三人共、怖い顔して・・・」

ハルヒ「それよりちょっと助けてくれない?なんか体中ゴツゴツしてるのよ」

キョン「・・・・・・ハルヒ・・・」

古泉「まさか・・・・・・涼宮さんがザ・ワンだったなんて」

長門「・・・・・・」

ハルヒ「・・・・・・ねぇ、有希?どうしてそんな銃なんて持ってるの?」

ハルヒ「・・・ってか、ここ何処よ・・・・・・あー、寒いったらありゃしないわ」

長門「・・・・・・貴方は、ここで死ぬ」

ハルヒ「・・・・・・何言ってるの?ちょっとキョン、説明しなさいよ」

キョン「・・・・・・」

長門「・・・・・・貴方は、死んでいる」

ハルヒ「何を言ってるの!?」

スタァーン......銃声が、木霊した。

143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 22:09:01.08 ID:FtvV5n4F0

ハルヒ「・・・・・・い、痛いじゃない」

キョン「なっ!?」

古泉「・・・・・・特殊弾を受け付けない、進化してるのか」

長門「――ッやっぱり」

ハルヒ「・・・・・・ククク」

ハルヒ「なんだぁ、おめぇら仲間に容赦ねぇのな」

キョン「黙れ!!!今すぐハルヒから離れろ化け物!!!」

ハルヒ「・・・・・・ククク、俺はこいつだよ、こいつは俺さ」

ハルヒ「喰っちまったんだからなぁ、旨かったぜぇぇ、人間の雌ってのはいい味すんのなぁ」

長門「・・・・・・気持ち悪い」

古泉「最低ですね」

ハルヒ「なんとでも言え・・・・・・ククク」

キョン「・・・・・・なんでこんな事を!!」

ハルヒ「なんで?腹が減ってるからに決まってるだろ?」

ハルヒ「お前らだって腹が減れば肉を食うじゃねぇか、それと同じなんだよ」

144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 22:13:51.86 ID:FtvV5n4F0

ハルヒ「それになぁ・・・・・・虫唾が走るのさ」

ハルヒ「・・・・・・だから喰って喰って、世界を喰い尽す」

キョン「・・・・・・」

・・・・・・こいつは、最低だ。
他人の事も考えない、生産性のまったくない奴だ。
許してはいけない。こんな奴を。許してはいけない。

それがハルヒの為にもなるはずだ!!!!

ハルヒ「ふん!!!!」

キョン「ぐわっ!!!!!」

ハルヒ・・・いや、ザ・ワンの右腕が巨大化し、俺の首を絞める。
・・・・・・あぁ、やってやるとも。許さない。

キョン「俺は・・・・・・俺は・・・・・・!!!」

キョン『俺はお前を!!!許さなぁぁぁぁい!!!!」

怒りを強く意識した瞬間。青と赤の光りが貯水槽を包んでいく。
二人の適合者が、その巨大な異形の姿を現す。

一つは、まるで悪魔のような忌々しい容を。
一つは、まるで流星の如く美しい輝く銀色の装甲に身を包んだ巨大な戦士。

ネクスト『デヤァ!!!』

145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 22:20:23.93 ID:FtvV5n4F0

変身と同時にネクストのパンチがザ・ワンに繰り出される。
前の時とは違い、確実に当てていくリズムだ。

ザ・ワン『グオォォォォ!!!』

だが、ザ・ワンもやられてばかりではない。
その誰が見てもおぞましいとしか思えない右腕で、
振りかぶり、ネクストの首や腹部にダメージを与えていく。

ネクスト『ッ!!!!』

ザ・ワン『グワアアアア!!』

ザ・ワンは更に攻めの動きに入っていく。
だが、ネクストも動じず、お互い組み合う形になり、
押し合いを始める。

ネクスト『デャッ!!!』

ザ・ワン『キシャアアア!!!』

古泉「す、凄い・・・・・・」

長門「・・・・・・私達の次元ではない」

長門「・・・・・・頑張って」

古泉「・・・・・・」

ネクスト『デャッ!』

146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 22:27:58.61 ID:FtvV5n4F0

なんていうか、元ネタ解らない人用に・・・
http://img.photobucket.com/albums/v655/cmaotaku/03.gif

ザ・ワン『グォォォ!!!』

ザ・ワンとの押し合いにネクストが勝ち、ザ・ワンは怯む。
次にネクストは追い討ちを掛けるようにパンチを繰り出した。

ネクスト『デヤァッ!!』

ザ・ワン『グゴゴゴ......』

ザ・ワンはネクストと距離をとる。
・・・・・・突如、ザ・ワンの体がメシリメシリと音を立てて光りを放ち始めた。

古泉「!?これは!!」

長門「ザ・ワンの進化・・・・・・!?」

・・・・・・次に、ねずみのような物がザ・ワンの部分に同化していく。
おぞましい量のねずみが古泉と長門の足元を走り去っていく。

ネクスト『!?』

ドクンドクンという衝撃と共に、ザ・ワンが光りを放ち・・・・・・

次なる姿へと進化する。

ザ・ワン『ギシャァァァァァァァァ!!!!』

147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 22:37:14.27 ID:FtvV5n4F0

古泉「・・・・・・更に忌々しくなりましたね」

長門「不気味」

ネクスト『・・・・・・!!』

更に巨大化したザ・ワンは50mあるだろうか。
・・・・・・既に、本当の意味での化け物へと昇華していた。

巨大なザ・ワンが天上をぶち破り、外へと逃げる。
瓦礫に古泉と長門が飲まれそうになるが、ネクストによって助けられた。

ネクストも、同時にザ・ワンが開けた巨大な穴から地上へと脱出する。
軽快な軽いジャンプで、地上へと古泉と長門をネクストは優しく下ろした。

ネクスト『・・・・・・』

古泉「あれは、ザ・ワンのあの形態はとても強力無比でしょう」

長門「・・・・・・」

古泉「それでも、やりますか?」

ネクストはコクリとはいの合図を古泉に返す。
ネクストの今の意志は、完全にキョンそのものだった。

古泉「すみません、ここまできてこんな質問・・・・・・」

地上へと出てきたザ・ワンは、ビル群中で破壊の限りを尽くしていた。

149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 22:45:11.36 ID:FtvV5n4F0

ザ・ワンは成長し、強大な姿になった。
そして口から次々と火炎弾を発射し、破壊を尽くしていた。

古泉「・・・どうしたものでしょうか」

長門「・・・・・・ッ、あれは」


長門の気付いた方向、そこには――
佐々木と、キョンの妹が居た。

佐々木「くっ、なんだあれは!?」

佐々木「・・・!君はキョンの妹さんじゃないか!」

佐々木「危ない!!早くこっちに来るんだ!!!」

妹「うええぇえええっぇえええ!!」

佐々木「っく!!!」

佐々木はキョンの妹の下へと駆け寄る。

佐々木「大丈夫?」

妹「・・・・・・うん」

佐々木「良かった・・・・・・!?」

ザ・ワンの火炎弾により、崩壊したビルが、佐々木達に倒れ込んできた―――

150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 22:49:02.70 ID:FtvV5n4F0

古泉「!!!」

長門「・・・・・・っ」

「あれは・・・・・・佐々木、それに」
「なんで居るんだよ!?」
「それどころじゃない!!間に合え!!!」

「間に合え!!間に合ってくれえぇぇぇぇ!!!!」

ネクストが、まるで神速のごとく勢いで佐々木達の下へと駆け寄り――
倒れ込んできたビルを―――光りが包んだ。

佐々木「・・・・・・?」

妹「・・・・・・うわぁ・・・なにこれ?」

そこには、完全な姿となったザ・ネクストの姿があった。
銀色の装甲に、血流をイメージさせる体・・・・・・

佐々木「・・・・・・ぁ」

ネクスト『・・・・・・』

自衛隊「さ、早くこちらへ!!!!」

佐々木「あ、はい!!!」

「・・・・・・良かったぜ、ッ!?」

151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 22:53:18.51 ID:FtvV5n4F0

因みに完全体NEXT
http://www.henshinonline.com/images/bafe_ultraevent_02.jpg
ザ・ワン
http://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/003/804/07/N000/000/000/N3402.jpg

ビルを背中で支えていたザ・ネクストだったが、
ザ・ワンがその隙を見逃すはずが無い。

火炎弾が、背中を直撃する。

ザ・ネクスト『!!!』

ザ・ワン『グシャァァァァァ!!!』

152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/23(水) 22:56:27.66 ID:FtvV5n4F0

すまん。俺はここまでだ・・・・・OTL

残ってたら続き書きます・・・・・・

バイトのお時間・・・



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