俺「いいから長門に会わせろ古泉」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 09:35:02.19 ID:mzT4QjldO




3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 09:36:42.27 ID:mzT4QjldO



ハルヒの世界……二次元の世界に行く事に成功した俺を待っていたのは、古泉一樹と黒服の集団だった。

俺「マジで来たんだ……おお!?本物の古泉」

古泉「確保」

俺「ちょっ……!?待て待て待て待てっ!?」

大人数の黒服の集団に押さえ付けられ、両手両足を縛られ、目隠しをされ、なにか薬品を嗅がされ……俺は気を失った。

二次元の世界に感動する暇も無かった。



4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 09:38:19.87 ID:mzT4QjldO

………

……



俺「……あれ?」

次に目が覚めたのは、固いベッドの上だった。

俺「なんだ夢かよ……あーつまらん……」

古泉「夢ではありませんよ」

この声は……古泉!?マジで!?夢じゃないっ!?

俺「うひょー……って、なんだこりゃ?」

古泉の声を聞き、ベッドから飛び起きた俺の目に映った光景は……。

薄暗い部屋。コンクリート打ちっぱなしの壁。窓は無い。小さなベッドに洋式トイレ。小さいテーブルにパイプ椅子。そして正面には鉄格子。

俺「えーっと……牢屋?」

古泉「正解です」


5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 09:39:59.07 ID:mzT4QjldO

古泉の声は鉄格子の向こうから聞こえる……しかし暗くて姿は見えない。

……何がどうしてどうなっているんだこれは。

俺「あー……その、なんだ古泉……古泉一樹君」

古泉「はい。なんでしょうか○○○○君」

俺「……なんで俺の名前知ってんの?」

古泉「んっふ、申し訳ありませんが、監禁する途中に、いろいろと調べさせて頂きました」

俺「調べ……監禁っ!?」

古泉「ええ、我々は貴方を危険人物と判断しました」

俺「待て待て待て待て待てっ!!俺は危険人物なんかじゃ」

古泉「長門さんが貴方の思考を読み、危険人物だと判断しましたよ……異世界人の貴方をね」


7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 09:45:56.80 ID:mzT4QjldO

俺「異世界人……あー、うん。そうか……異世界人って事になるな俺は」

古泉「貴方を野放しにして置いては、この世界の女性全ての貞操の危機だと」

俺「ちょっと待て古泉」

古泉「なんでしょうか?」

俺「長門が思考読んだって今言ったよな?」

古泉「ええ、そうですが」

俺「どうやって?」

古泉「貴方の頭に手を触れ」

俺「うおおおおぉぉぉおおおああああぁぁっ!?」

古泉「?」

俺「どこ?どの辺?俺に長門が触った!?どこだ!?」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 09:51:44.82 ID:mzT4QjldO

古泉「……額にそっと触れてましたよ」

俺「ここに長門の手が指がああああああぁぁあっ!!」

古泉「……話を続けても宜しいですか?」

俺「ちょっと待て」

古泉「……なんですか?」

俺「なんで俺、その事覚えてないの?」

古泉「意識を失ってたからに決まってるでしょう。我々は長門さんの協力の元に、時空震と空間断裂が発生した場所で異世界人の貴方を確保しまし」

俺「なにやってんのおおおおおおおおっ!?」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 09:58:54.02 ID:mzT4QjldO

俺「うぅ……マジでふざけんなよ……」

古泉「……ふざけているのは貴方ですよ」

全てを理解した俺は泣いた。泣き叫んだ。

やっとの思いで二次元世界に来れたのに。

即、機関に拉致監禁。

長門に危険人物と判断。

俺「ちくしょう……ちくしょう……!」

古泉「とりあえず落ち着いてくれませんか?」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 10:07:15.11 ID:mzT4QjldO



落ち着けるかカス!

と、言いたいのを我慢して俺はゆっくり深呼吸を開始。

そうだ。落ち着け俺。

ここで騒いでも何もならない。

二次元世界に来れたんだ……スタートは最悪だがまだ何とかなるはずだ。

俺「……取り乱して悪かった古泉……一樹君」

古泉「どうしたんですか?急に改まって」

俺「騒いでも仕方ないしな……ちょっと質問していいか?」

古泉「どうぞ」

俺「あー……つまりだ。俺は異世界人って事で長門に危険人物と判断され、ここに拉致監禁されたと」

古泉「そうです」

俺「……で、これから俺はどうなるんだ?」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 10:12:18.85 ID:mzT4QjldO



古泉「処分はまだ決まっていません」

俺「処分……」

やべえ。

もしかして俺、消される?

古泉「まぁ、悪い様には致しませんよ。そんな顔しないで下さい」

俺「そうか……ん?そっちから俺の事見えてんの?」

古泉「ええ、勿論」

俺「俺は見えない」

古泉「当然でしょう。僕は別室にいますから」

なーんか違和感があると思ったら、そういう事か。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 10:19:52.44 ID:mzT4QjldO



俺「古泉……古泉一樹君」

古泉「なんですか」

俺「ちょっと姿を見せてくれないか?」

古泉「……何故でしょうか?」

俺「……単純に興味があるだけだ。俺の世界では、君はアニメの中の住人だからな」

古泉「…………」

俺「なぁ、頼むよ」

古泉「……んっふ、わかりました」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 10:28:05.27 ID:mzT4QjldO



古泉が来る。

俺の前に古泉一樹が来る。

俺「……なんか緊張するな」

俺はポツリと呟いて、辺りを見渡した。

……うむ。二次元世界だ。

しかし、質感や重さは確かにある。

自分の身体を見て触れてみる。

二次元だ。二次元の俺だ。

俺「……顔はどうなっているんだ?」

部屋に鏡は無い。ぺたべたと自分の顔を触ってみる……よくわかんね。

髪もそんなに変わってないみたいだな……いや。

体毛が殆ど無くなっているだと!?

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 10:34:10.81 ID:mzT4QjldO



俺「ちんこは……うわ」

なんだこれ。

エロ漫画ちんぽ?

俺「ちゃんと勃起すんのかこれ……?」

そんな事をしている内に――

カッカッカッカッ

俺「……来たか」

足音が近づいて来る。

暗い鉄格子の向こうに、人の気配を感じる。


古泉「んっふ、お待たせ致しました」




18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 10:39:40.96 ID:mzT4QjldO



俺「おぉ……」

古泉だ。古泉一樹だ。

画面越しじゃない。

確かに目の前に、古泉一樹が笑顔で立っている。

古泉「……そんなに凝視されると、対応に困りますね」

俺「あ、すまんすまん……ちょっと感動してな」

古泉「感動ですか。んっふ、初めて言われましたよ」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 10:49:35.29 ID:mzT4QjldO

古泉「さて、話を戻しますか」

俺「待て」

古泉「……またなんですか」

俺「鏡持ってる?俺どんな顔してるんだ?」

古泉「意味がわかりませんよ」

俺「俺の姿自体が変わってるんだ。どんな顔をしているのか、確認したい」

古泉「どんな顔って……別に普通ですよ」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 10:59:29.85 ID:mzT4QjldO



俺「普通?キモくない俺?」

古泉「言動は気持ち悪いですが」

俺「ふーん……通行人Aって感じ?」

古泉「良い例えですね。正にその通りです」

俺「なるほど……」




28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 11:10:46.00 ID:mzT4QjldO



現実世界では、キモオタの部類だったからな。

ハルヒの世界で良かったぜ。別のアニメだったらどうなっていたか。

うん。ここは素直に喜んでおくか。

俺「古泉……古泉一樹君」

古泉「……呼び捨てで構いませんよ。さっきから喋りにくそうですし」

俺「あー……じゃあ、御言葉に甘えて。古泉、処分が決まるまで俺はずっとこのままか?」

古泉「勿論、そうですよ」

死刑宣告かよ。

俺「……外を見てみたいなー……別世界の風景ってどうなってんだろうなー……」

古泉「貴方が見たいのは、風景ではなくて女性でしょう」

俺「…………」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 11:16:23.98 ID:mzT4QjldO

俺「……国木田やキョンや谷口や国木田を見てみたい」

古泉「何故、国木田君の名を二回言うんですか?」

俺「国木田は俺の嫁」

古泉「……やはり貴方は危険人物ですねぇ」

俺「ちょっと待て。無し。今の無し。冗談だ」

古泉「冗談に聞こえませんでしたが?」

当然だ。

俺「あー……処分に関わったりする?今の発言とか」

古泉「ええ」

失敗した……下手な事言えねえ。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 11:20:47.76 ID:mzT4QjldO



俺「……俺の処分が決まるまで、どれくらいなんだ?」

古泉「初めてのケースですからね……結構かかると思いますよ」

俺「ふーん……会議とかしてんの?その、機関の幹部みたいな人達が」

古泉「まぁ、そんな感じですね」

俺「……そうだ!」

古泉「なんですか」

俺「森さん!森さんに」

古泉「無理ですね」



31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 11:28:45.50 ID:mzT4QjldO



俺「即答するな。無理ってなんだ」

古泉「森さんに会ってどうするんですか?」

俺「そりゃあ……」

愛の告白?

いやいや殴られるだろ。

……本当に森さんに会って、どうすればいいんだ?

どうすれば関係を持てる?

古泉「……何を真剣な顔で」

俺「すまん。今のも無し。やっぱり今は森さんに会いたくない」

古泉「なんですかそれ。何を考えているか知りませんが……貴方、詰んでますよ」

俺「それ言うなっ!?」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 11:34:39.91 ID:mzT4QjldO



古泉「この世界の女性に、貴方が出会える事は既に不可能」

俺「あーあーあー!聞こえない聞こえなーい!」

古泉「やれやれ……」

俺「困ったものです」

古泉「聞こえているじゃないですか」

俺「…………」



37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 11:44:34.17 ID:mzT4QjldO



俺「あー……やる気出ねえ……」

古泉「別に出しても出さなくても、こっちは困りませんがね」

俺「……なぁ、処分が決まるまでこのままなんだよな?」

古泉「ええ、何度も言っているじゃないですか」

俺「食事は?」

古泉「1日3食、時間になったら持って来ますよ」

俺「……こっちの酒やタバコに興味があるなーとか言ってみたり」

古泉「……喫煙者ですか?」

俺「そうじゃないんだが。気持ちはわかるだろ?」

古泉「……一応、報告はして置きますよ。期待はしないで下さい」

俺「風呂は?」

古泉「洗面器とタオルを持って来ますよ。自分で清拭して下さい」

俺「……テレビ欲しい」

古泉「ワガママですねぇ」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 11:54:53.78 ID:mzT4QjldO

俺「それぐらいのワガママは許してくれよ。このままじゃ発狂しちまう」

古泉「仕方ありませんね……善処しますよ。では、失礼しま」

俺「あー待て待て待て!待て古泉!」

古泉「またなんですか……」

俺「今日は何月だ?」

古泉「9月ですが?」

俺「古泉、まだ高校一年生か?」

古泉「ええ、それが何か?」

俺「……いや、何でも無い……うん。さっきの件、マジで頼むぞ」

古泉「……過度の期待はしないで下さいよ」

俺「わかってるさ。じゃあな古泉。暇ならまた来てくれよ」

古泉「……ええ、暇なら、ね。それでは」

そう言って、古泉は立ち去って行った。



45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 12:13:07.74 ID:mzT4QjldO



俺はベッドに転がって、人より足りない頭をフル回転させた。

今が九月で一年生って事は……俺、予言者的なボジションになれるんじゃね?

いけるっ!これは……いや待て落ち着け。長門はどれくらい思考を読んだんだ?

それに、原作流し読みだし細かいトコは覚えていねえ。

いやしかしだ。

これから起こる事で重大事件と言えば……リレー?マラソン?文化祭?

違うだろ!

消失……と分裂か……。

さて、どうやって絡もう。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 12:35:10.14 ID:mzT4QjldO



時間はある。ここは焦らずに冷静に考えよう。

俺「何か書くもの……あった!」

テーブルの上にはメモ帳とボールペンが置いてあった。

俺は記憶している限り、とりあえずハルヒ原作の時系列を書きなぐった。

朝比奈ミクルの冒険制作、文化祭、ライブ、コンピ研と勝負……絡む要素ゼロ。

やっぱり消失か。あれは12月18日……ちょうと3ヶ月後……3ヶ月……。

俺「それでどうすんだよ……」

何故、全て記憶するぐらい読まなかった俺っ!?



48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 12:48:07.34 ID:mzT4QjldO



考えても考えても、答えが見付からん。

『貴方、詰んでますよ』

うるせえ。黙れ。せっかく二次元世界に来たのに諦めてたまるか。

俺「くそっ……何か方法はないのかよ……」

――ガラガラガラ

俺「ん?」

鉄格子の向こうで、何か運んで来る音が聞こえる。

……食事か?そういや腹減ったな……。

ガラガラと音を立てて、黒服の男性が台車を運んで来た。

俺「おぉ」

テレビがある!

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 13:16:00.62 ID:mzT4QjldO

黒服の男性は、アニメでも漫画でも見たことの無い奴だった。

ガッシリとした体型に、短い髪。サングラス。あだ名、ヤクザ。

俺「えーっと……どちらさんでしょうか?」

……返答無し。

黒服の男は無言で台車と共に鉄格子の前に立ち止まり……どうやって入れるんだ?

――ガシャンッ

普通に鉄格子の鍵を開けやがった。

逃げるとか考えないのか?

いや、自信があるんだろうな……つうか何か怖いこの人。すっげぇ見てるんですけど。

黒服はそのままテーブルの上に食事と水を置き、テレビを設置した。

俺「……あ、ありがとうございます……」

黒服「……古泉さんに感謝するんだな」

俺「へ?」

古泉「さん」?

野太い声で呟いた黒服の男性は、タバコと酒をテーブルの上に置いた。

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 14:30:13.21 ID:mzT4QjldO



鉄格子の鍵を閉め、黒服の男はガラガラと台車を押しながら戻って行った。

……あの人が毎回食事を運んで来るのだろうか。

それよりもだ。

俺「うーん……美味いんだけど……」

食事も二次元だから、視覚的に何か違和感を感じまくる。

早く慣れなければ。



62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 14:34:29.08 ID:mzT4QjldO



食事を終え、テレビを付けた俺は歓喜した。

俺「すげえっ!」

全部二次元だから、全部アニメに見える。

ニュースもアニメだ。生放送アニメ?

俺「こりゃ暫く暇しねぇな……」



68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 14:47:58.08 ID:mzT4QjldO



タバコに火を付けて、グラスに酒を……液体の作画はもう少し何とかならなかったのか。

素晴らしき二次元世界も、完璧では無いって事か。

俺「味は……普通だな」

チャンネルを適当に決め、ぼーっと……してる場合かっ!!

目的を忘れるな。

何の為に二次元世界に来たんだ。

二次元の嫁を手に入れる為だろうがっ!

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 20:36:25.21 ID:mzT4QjldO



真剣に考えろ。今本気を出さないでいつ出すんだよ。

俺はトイレ酒を流しながら呟いた。

確かにスタート地点は最悪極まり無い。

だが、カードはまだある。

何とかなるはずだ。

俺は、天井を見上げて叫んだ。

俺「おーいっ!古泉ーっ!」

返答無し。

俺「古泉じゃなくてもいいっ!誰か監視しているんだろっ!」

返答無し。

俺「……俺はこれから先、この世界で起こる事を知っているぞ!!」



91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 20:48:49.90 ID:mzT4QjldO



俺「…………」

――カッカッカッ

来た。来た来た。

古泉「……詳しく、お聞かせ頂きますか?」

俺「……先ずは確認だ。長門は俺の思考を読んだよな?」

古泉「ええ」

俺「そこのトコを詳しく聞きたいな……」

古泉「……貴方は」

俺「騙して長門に会いたいとか、そういう訳じゃないぞ。何なら、脳波や脈拍を調べながら語ってもいい。そういうの、君達機関なら直ぐに調達出来るだろう?」

古泉「ふむ……」

俺「それにな」

俺「これから3ヶ月後、重大事件が起こる……それには長門が……あ」

古泉「?」



93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 20:58:41.19 ID:mzT4QjldO



……うわぁ。もしかして俺は……まさか……呼ばれた?いやいや待て待て待て。

古泉「……どうしたんですか?」

俺「……長門の事、マジで教えてくれ。俺の思考を読んで何と言っていた?」

古泉は少し考え込むように額に手を添え、

古泉「……貴方は危険人物。この世界の女性に」

俺「それは聞いた……ええいっ!そうだ、認めるさ!俺は元の世界じゃあ二次元萌えのキモオタで長門は俺の嫁とかネットだけじゃなく現実でも……ってそんな顔するな古泉!ひくな!」

古泉「普通ひきますよ……」

俺「そんな事はどうでもいい。他に何か言ってなかったか?思考を読んだんだろう?」

古泉「……特に何も言ってませんでしたねぇ」



96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 21:05:42.06 ID:mzT4QjldO



俺「……思考を読む事と、記憶は読むと言う事は違うのだろうか……古泉、どう思う?」

古泉「さっきから何がおっしゃりたいのか解りませんが……いいでしょう。付き合いますよ」

俺「ええと、タバコ……あ、そういやありがとうな古泉」

古泉「いえいえ……あ、そのパイプ椅子」

俺「ん?」

古泉「鉄格子の隙間から渡して貰えますか?そのぶんだと、話、長いんでしょう?」

俺はパイプ椅子を折りたたみ、古泉に渡した。

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 21:12:59.30 ID:mzT4QjldO



古泉「さて……続きをどうぞ」

俺「うむ……3ヶ月後に起こる事から話そう」

俺は『涼宮ハルヒの消失』について、簡単に古泉に説明した。

古泉「…………」

俺「馬鹿じゃねーの?って顔をするな……」

古泉「全く信じられませんねぇ……」

俺「いやいやいや。マジなんだって」

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 21:29:18.74 ID:mzT4QjldO

古泉「……貴方は、元の世界で僕達の世界をライトノベルやアニメの世界と言いましたね」

俺「ああ」

古泉「先ず、そこからが信じられないんですよ」

そりゃそうだ。

古泉「貴方の言葉を、信じるに値する証拠はあるんですか?」

俺「……古泉、体育祭はもう終わったか?」

古泉「体育祭?明後日ですが……それが何か?」

俺「……証拠を見せてやんよ。明後日、体育祭で部活対抗リレーがある。そこで陸上部もラグビー部も蹴散らし、アンカーのハルヒがキョン視点で二着に約十三馬身差でゴールテープを切る。それは、長門の力によるものだ」

古泉「…………」



102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 21:34:55.06 ID:mzT4QjldO



古泉はそのまま立ち上がり、

古泉「……貴方の言葉を僕が信じるか信じないかは」

俺「明後日の体育祭で解るって事だ」

古泉「……それでは、僕はこの辺で失礼します。椅子、お返ししますよ」

俺「ああ、明後日な」

パイプ椅子を鉄格子の隙間から俺に渡し、古泉は踵を返して立ち去って行った。



107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 21:49:25.57 ID:mzT4QjldO



これは賭けだった。

古泉を今すぐに信じさせるには、これしか無い。問題は長門だ。

俺の思考や記憶をどこまで読んだのか。

……全て読まれていたら、終わりだ。

今の長門は……世界改変を望みつつあるからな。

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 21:50:25.33 ID:mzT4QjldO

投下ペースについては、土下座するしかないんだ。

113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 22:09:15.98 ID:mzT4QjldO



これは俺の推測、確証は全く無い。独り言だと思ってくれ。

分裂以降……キョンに宇宙人と未来人。どちらかを選ぶ事を迫られる。

そして。

未来人……安定を選んだ。

選ばれなかった宇宙人は、諦める事が出来ずに。

今の長門が必要な情報を得るために、俺をこの時間軸に送りだしたんじゃね?

俺「長門に選ばれたっ!」

俺はそのままハレ晴れダンス……違うだろっ!?

この推測は穴だらけ。

そう、只の戯言。

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/18(金) 22:16:03.46 ID:mzT4QjldO



とりあえず明後日だ。

俺の知っている原作通りに進むのか、俺の思考を読んだ長門が手を打って、微妙に変更するのか。

リレーで負ける事は、ハルヒの望みもあるから無いだろうが……。

俺「しかし、こうするしか無いよな……処分される前に、この世界で関わるには」

他に方法があったかも知れない。

しかし、俺の足りない頭ではこれが限界。

……酒、残して置けば良かったかな。

120 名前: ◆HLR2b16n72 [sage] 投稿日:2009/09/18(金) 22:27:33.69 ID:mzT4QjldO

駄目だ。そのなんだ
考えたい

160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/19(土) 09:50:05.07 ID:hRmVxADbO



次の日

俺「……夢オチは勘弁してくれよ……」

そう呟やきながらゆっくり目を開ける……よし。夢じゃねぇ。

二次元世界だ。

俺「……寝てる間に置いて行ったのか?」

テーブルには朝食が置いてあり、ベッドの横にはタオルや洗面器、歯ブラシと髭そりが置かれていた。

俺は背伸びしながらベッドから立ち上がり、とりあえずテレビを付ける。

俺「……今日一日はする事ねーな……」

164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/19(土) 09:59:11.04 ID:hRmVxADbO



俺はタオルと洗面器を手に取り……手鏡がある。

俺「…………」

自分の顔を見るのに、朝からこんなに緊張する日が来るとは。

通行人A……どうなってんだ……。

俺「……普通……だな……」

普通。

これ以外の言葉が見付からないぐらい、普通の顔だった。

何の特徴もねぇよ。

鏡の前で笑ったり、さかめたり、変な顔をしても。

普通だった。

俺「まぁ……現実世界よりましか……」



167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/19(土) 10:18:03.58 ID:hRmVxADbO

適当に朝の支度を済ませ、朝食を食べ終えた俺はタバコを吸いながらぼーっとテレビを見ていた。

俺「早く明日にならないかな……」

――カッカッカッ

ん?

誰か来る……昨日の黒服ヤクザか?俺、あの人苦手なんだけど。


『御早うございます。昨晩は眠れましたか?』


……女の人の声っ!?

森「はじめまして。異世界人の○○○○君。私は」

俺「森さああああぁあぁああああぁんっ!?」



169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/19(土) 10:28:34.64 ID:hRmVxADbO



うひゃああああぁあぁあぁあああ可愛えええええあああああああああああああああっ!?森さんだ!生の森さん!森園生!!

しかも朝からメイド!メイド服!メイドの土産っ!?シャングリラのそっくりさん!?

なーにが『この世界の女性に会うのは不可能』『森さんは無理』だ嘘つき古泉がっ!?来てるじゃねーか俺の森さんがあああああああああああああぁあぁあぁっ!!

森「……少し落ち着きなさい」

俺「森さん!森さん!うわあああああぁあぁっ!?」

――ガシャンッ!

俺「ひっ!?」

森「黙りなさい」

俺「……ご、ごめんなさい」

170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/19(土) 10:32:37.89 ID:hRmVxADbO

鉄格子がぐにゃりとへこんでる……どんな拳だよ森さん。

森「……全く、気持ちの悪い……」

俺「…………」

森「貴方に幾つか質問があります。正直に、お答え下さい」



187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/19(土) 13:35:27.48 ID:hRmVxADbO



森「先ず、貴方の知っている私の未来を教えて下さい」

俺「……えーっと」

森さんの未来?

俺「……荒っぽい運転で、きょこた……橘京子達に拉致された朝比奈みくるを助ける?」

森「…………」

俺「…………」

長い沈黙。時間止まってんじゃねーの?

森「……橘京子と言いましたね」

俺「……はい」

森「ふむ……」

考え込む森さん……可愛い……二次元世界に来て良かった……。

森「……わかりました。もう貴方と話す事はありません」

俺「は?」

何でそうなる。

189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/19(土) 13:38:55.38 ID:hRmVxADbO



森さんは無言で踵を返し……って。

俺「森さん待って下さいっ!!」

無視。シカト。スルー。なんで!?

俺「森さあぁああああぁああああぁあああん!?」



191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/19(土) 13:44:25.58 ID:hRmVxADbO



俺「うおおおおおおおおぉおぉおぉっ!?」

泣いた。俺は本気で泣いた。

何故落ち着かなかった。

何故冷静に対応しなかった。

下手したら、最初で最後のチャンスだったかも知れないのに。

俺「森さんは命を落とします……でも、俺が干渉する事が出来れば」

とかさぁ!?なんで今思い付くんだよもおおおおぉおぉっ!?



192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/19(土) 13:50:02.61 ID:hRmVxADbO



――ガラガラガラ

泣いてふてくされて居る俺の前に、昨日の黒服ヤクザが昼食を運んで来た。

俺「……酒、ないですか」

黒服「…………」

黒服ヤクザは、無言で酒を置いてくれた。

俺「……ありがとうございます」

今日は飲むしかねぇ。



195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/19(土) 14:01:30.27 ID:hRmVxADbO

昼食をツマミに、テレビを見ながら酒を飲む俺。

俺「やる気でねぇ……しかも何だよこれ……」

テレビでは昼ドラらしき物が流れているが、俺の目には糞つまらないストーリーの棒読みアニメにしか見えねえ。

俺「チャンネル変えるか……」

『奥さんっ!僕はっ!』

『あぁ!?やめて下さいっ!?』

何かハジマタ。

『私には夫と子供が!?』

これなんてエロアニメ?

やべえ。マジで勃起してきおぉいっ!?CMってなんだコラふざけんな殺すぞ!?

早くしろ早くしろ早くしろ早くしろ早くしろ

『奥さん……』

『この事は忘れましょう……その方がお互い』

俺「がああぁあああああああああっ!?」

事後かよっ!?

197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/19(土) 14:05:03.73 ID:hRmVxADbO



俺「駄目だ……このままじゃ発狂するかも俺」

テレビは危険だ……NHKで固定して置こう。

……抜きてえ。森さんで。

しかし、監視されてんだよな……流石に出来ねえ。

俺「あーあ……」

本当に詰んでるな……いろんな意味で。

199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/19(土) 14:08:30.70 ID:hRmVxADbO



二次元世界。

夢と希望に満ち溢れた、素晴らしい世界だと信じていたのに。

絶望しかねぇ。

俺「絶望した!?二次元せか……」

やめた。

俺はベッドに横になり、ぼーっとテレビを見ている内に……うとうとして来て……



201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/19(土) 14:11:51.89 ID:hRmVxADbO



『○○○○君、起きて下さい。○○○○君』

俺「……んあ?」

古泉「んっふ、おはようございます」

俺「なんだよ古泉か……あれ?何処に居る?」

古泉「別室に居ますよ」

俺「……今日は姿を見せてくれないのか?」

古泉「ええ、そうですね」

薄情な奴だな古泉。



205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/19(土) 14:21:31.62 ID:hRmVxADbO



俺「今、何時だ……?」

古泉「18:00過ぎてますよ」

どんだけ寝てんだよ俺は。

俺「……で、何の用だ古泉?暇になったのか?」

古泉「暇ではありませんがねぇ。貴方に報告する事がありまして」

俺「報告?」

古泉「明日の体育祭、部活対抗リレーなんて競技ありませんよ」

俺「……は?」



207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/19(土) 14:27:31.23 ID:hRmVxADbO



俺「ごめんマジで意味がわからない」

古泉「ですから、部活対抗リレーなんて」

俺「……おい」

古泉「なんでしょうか?」

俺「長門に会わせろ」

古泉「突然、何を言ってるんですか貴方は……」

俺「いいから長門に会わせろ古泉」

古泉「……無理ですね」

俺「いいから会わせろ!それにお前の『無理ですね』は信用出来んぞ!?今日だって森さんが来たぞ!?」

古泉「森さんが?」

俺「そうだ!森さんが俺に会いに来た!」

古泉「何を言っているんですか貴方は……酒でも飲み過ぎたんじゃないですか?」

209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/19(土) 14:32:06.42 ID:hRmVxADbO



俺「お前こそ何を言ってんだ古泉……」

うわぁ。

嫌な考えが頭に浮かんだ。

古泉「森さんは現在、この場所には居ません。ですから、貴方と会う事は不可能です」

俺「…………」

何も言えねえーっ!?



211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/19(土) 14:39:44.41 ID:hRmVxADbO



古泉「……どうしました?」

俺「……俺って常に監視されてんだよな?モニターか何かで」

古泉「ええ、勿論です」

俺「その……今日の朝の俺の行動とか、知ってるか?」

古泉「ええ、監視者から報告は来てますよ」

俺「……なんて報告?教えてくれ。頼む古泉」

古泉「朝食後、鉄格子に向かってブツブツと独り言を呟いたかと思うと、突然泣き叫び」

俺「……もういいです」

古泉「?」

あれ長門だ多分。

……詰んだわ。俺。



212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/19(土) 14:43:43.13 ID:hRmVxADbO



俺は全身の力がすーっと抜けていくのを感じた。

良く考えたら最初から無理だろうよ。

ハルヒの世界で、何の能力も無い俺が。

長門を敵にして何が出来るっていうんだ。



214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/19(土) 14:49:48.70 ID:hRmVxADbO



……でも、何で俺は生きているんだ?

記憶もある。

消した方が手っ取り早くないか?

俺「何がしたいんだよ長門……」

わかるかボケ。

いや考えろ。

ここは考えろ俺。



217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/19(土) 15:01:20.13 ID:hRmVxADbO



まだ利用価値があるって事か……?

長門『本当は貴方に止めて欲しかった』

それキョンの仕事。

長門『古泉一樹と機関の注意を』

これっぽい気がする。

長門『ただのイジメ』

長門にイジメられる人生ならそれはそれで……。

古泉「ちょっと貴方。何をニヤニヤしているんです?」

俺「あ、あぁ。すまん古泉……ちょっと考え事をしてたんだよ」

219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/19(土) 15:06:40.24 ID:hRmVxADbO



古泉「んっふ、今度はどんな嘘を考えていたんですか?」

俺「…………」

古泉の野郎。完全に俺を信用してないな……仕方ないと言えば仕方ないが。

俺「なぁー古泉ー」

古泉「なんでしょうか?」

俺「お前も本物?長門じゃないの?」

古泉「意味が全くわかりませんよ」

俺「だよなぁ……」



220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/19(土) 15:11:13.33 ID:hRmVxADbO



確かめる術なんてねーよ。

俺「古泉ー……ちょっと泣きたいから一人にして。監視してるからとかそういうツッコミ無しな」

古泉「……わかりました」

俺「うわあぁあああああああぁあぁあああっ!?」

また本気で泣いた。

二次元世界で俺、泣いてばっかりだ。

ちくしょう。ちくしょう。



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