1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 19:21:56.56 ID:pjE1cqd+0
ハルヒ「………」
みくる「キョンくんお茶どうぞ〜」
キョン「ありがとうございます、朝比奈さん」
みくる「………」チラッ
キョン「………!」ニコッ
みくる「///]
ハルヒ「……(怪しい…)」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 19:25:11.88 ID:pjE1cqd+0
みくる「〜♪」
ハルヒ「……ねえ、みくるちゃん?」
みくる「は、はい!」
ハルヒ「何か私に隠してることない?」
みくる「そそそそそんなこと、ないです!」
ハルヒ「……ふ〜ん…」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 19:31:03.14 ID:pjE1cqd+0
ハルヒ「ちょっと、キョン」
キョン「なんだ?」
ハルヒ「あんた私になにか隠してるでしょ?」
キョン「いーや。なんにも。
強いて言えばこの前の小テストでとうとう赤点とっちまったことくらいだ」
ハルヒ「そんなどうでもいいことじゃないわよ!
もっと大事なこと隠してるでしょ!?言いなさいよ!」
キョン「なに興奮してんだ。俺は何も隠してなんかないぞ?」
ハルヒ「……本当でしょうね?」
キョン「ああ、本当だ」
ハルヒ「……そう」
キョン「………」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 19:34:30.45 ID:pjE1cqd+0
キョン「おかしい……なんで気づかれたんだ?」
みくる「わからないです……」
古泉「………あの、ひとついいですか?」
キョン「ん?なんだ?」
古泉「あなたたち、本当に隠れて付き合ってる気なんですか?」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 19:43:17.86 ID:pjE1cqd+0
キョン「何言ってんだ。当り前だろ。
隠すつもりがないなら、毎日登下校は一緒にするし、
もっと手とかつないだりする」
みくる「キョンくん……///」
古泉「……じゃあとりあえず一つ聞きます。
あなたの鞄についている朝比奈さんの人形はなんですか?」
キョン「これか?かわいいだろ。朝比奈さんがわざわざ作ってくれた
んだ」
古泉「…それだけでも十分怪しいですが、朝比奈さん、あなたのかばんに
ついているのはなんですか?」
みくる「こ、これは、キョンくんの人形です」
古泉「…もう一度聞きます。あなたたち、本当に隠れて付き合ってる気なんですか?」
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 19:51:04.45 ID:pjE1cqd+0
キョン「……やっぱり、これダメだったか?」
古泉「気付いてやってたんですか?」
キョン「まあ、薄々だが」
古泉「ならなんで外そうとしなかったんですか?」
キョン「だって朝比奈さんがわざわざ作ってくれたもんだぞ?
そんな大事なもの外せれるわけないだろ。もったいない」
みくる「キョンくん…嬉しいです〜」
古泉「…あなたたち隠す気ないでしょ」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 19:59:47.97 ID:pjE1cqd+0
古泉「いいですか?もしこのことが涼宮さんに知られたら、世界は
一瞬にして崩壊を迎えますよ」
キョン「そんな大袈裟…でもないか」
古泉「ええ。僕はあなたたちが隠れて付き合うって言ったから何も言わず
祝福しました。でも実際はこれです」
みくる「ご、ごめんなさい…」
古泉「特に朝比奈さん、あなた一体何しにこの世界に来たのですか?
のん気にしていますけど、これは結構深刻な状況ですよ?」
みくる「ふ、ふえぇ…ごめんなさい…」
キョン「こら古泉。朝比奈さんを責めるな」
古泉「…申し訳ありません。少し言い過ぎました。
…今日は失礼いたします」 バタン
古泉「……どうして僕ばっかり苦労しなくちゃいけないんだ…」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 20:06:01.06 ID:pjE1cqd+0
古泉「(今日の僕はどうかしてる…早めに帰って休むとしよう)」 ガチャ
森「あら、古泉。おかえり」
古泉「……森さん」
森「帰ってきて早々悪いんだけど、牛乳切らしちゃってるから
買ってきてくれない?5分以内で」
古泉「……すぐ行ってきます」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 20:15:13.67 ID:pjE1cqd+0
古泉「買ってきました、森さん」
森「ありがとう。それじゃあ、次は晩御飯の用意お願いしてもいい?
あとお風呂も」
古泉「……わかりました。すぐします」
古泉「(……ようやく自由になれた。
……自由な時間ができても、どうせ睡眠で消費されてしまう。
…僕は何を生きがいに生きていけばいいんだ?
……これも、3年前に彼女がこんな力を僕に与えるのが悪いんだ。そうだ、彼女のせいで…
…何を言ってるんだ。やはり今日の僕はおかしい。もう寝るとしましょう…)」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 20:20:08.93 ID:pjE1cqd+0
森「古泉、起きて」
古泉「ん……森……さん…?」
森「閉鎖空間が発生したわ。すぐ出るわよ」
古泉「…(…ふふ、そうか、睡眠も満足にとれないんでしたね)
…今行きます」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 20:44:21.13 ID:pjE1cqd+0
次の日のSOS団部室
ハルヒ「キョン、みくるちゃん。今からここに書いてあるもの買ってきてくれない?」
みくる「はい。わかりました〜」
キョン「珍しいな。こういうのはいつもお前が率先して買いにいくのに」
ハルヒ「きょ、今日はなんか身体の具合が悪いのよ。
いいからよろしく頼むわね」
キョン「……(なんか怪しいな)」
みくる「(きょ、キョンくんと2人で……こ、これってデ、デート…だよね?)」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 20:50:07.30 ID:pjE1cqd+0
ハルヒ「……よし、行ったわね。古泉君、行くわよ」
古泉「……」
ハルヒ「古泉君?」
古泉「え?あ、すいません。行くってどこへですか?」
ハルヒ「決まってるじゃない。あの2人の尾行よ!」
古泉「…ええ、わかりました」
ハルヒ「(絶対あの2人は何かあるわ。今日こそそれを暴いてみせるわ)」
古泉「……(いつもなら、ここで彼に忠告のメールでも送るところですが、
今はそんな気分にはなりませんね)」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 21:11:04.22 ID:pjE1cqd+0
ハルヒ「……今のとこ2人は普通ね」コソコソ
古泉「…涼宮さん、よくこんな変装グッズ持ってましたね」
ハルヒ「ええ、この日のために用意したの。準備は万端にしないと」
古泉「(……そんなに彼が気になるなら、素直に想いを伝えればいいじゃないですか。
こうやっていつまでも陰でコソコソやって彼に気持ちを伝えないから、彼は
朝比奈さんの方に気持ちがいってしまったというのに。
…少しは駆り出されるこちらの身にもなってほしいものですね)」
ハルヒ「…どうかしたの?古泉君?」
古泉「…いえ」
ハルヒ「ふーん。そう」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 21:19:27.03 ID:pjE1cqd+0
ハルヒ「…なんか楽しそうね、あの2人」
古泉「そうでしょうか?」
ハルヒ「そうよ。私と話す時はいっつも無愛想でどうでもよさそうに話すくせに…」
古泉「(…これで今日もアルバイトですか。あなたにも問題があるというのを
少しは分かってほしいものです。)」
ハルヒ「…お店に入ったわね」
古泉「(僕は一体、何のために生きているんでしょうか。
こうやって僕は生涯彼女の機嫌をとって、こんな彼女の望む姿で生きて
いかなければならないのでしょうか。
…それで僕はいいのだろうか…)」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 21:32:37.82 ID:pjE1cqd+0
ハルヒ「あ!なんなのあの2人、仲良くソフトクリームなんて食べて!
そんなことより先に仕事があるでしょうが。」
古泉「(……そろそろ彼に警告をしておかないとまずい展開になりそうですね。
…でも、どうしてでしょう。
僕の心の中で涼宮さんをもっと悔しがらせたいという感情がどこかにある…
…もう少し様子を見ておいても大丈夫ですよね)」
ハルヒ「なんなのよ…バカキョン…」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 21:49:13.75 ID:pjE1cqd+0
ハルヒ「…なんであの2人ベンチに座って休んでんのよ。
買い物が終わったならさっさと学校に戻りなさいよ。
団長のあたしが待ってるのよ」
古泉「…歩き疲れたのでしょう。休憩は普通だと思いますが」
ハルヒ「なに言ってるの古泉君。団員なら、まず自分のことより団長の事を
考えて行動するものよ。これは私がもっとしつけてあげなくちゃね」
古泉「………いつまでそうやって嫉妬しているつもりなんですか?あなたは」
ハルヒ「え?」
古泉「2人が仲良くしているのが悔しいなら、今から出て行って
「悔しいから仲良くするのをやめなさい」と言えばいいじゃないですか。
そんな回りくどい嫌がらせをしても、彼は気づいてなどくれませんよ」
ハルヒ「な、なに言ってるのよ古泉君。私は別に悔しくなんか…」
古泉「へえ、悔しくないのにこんな変装までして2人を尾行してるんですか。
ずいぶん暇な方なんですね。その暇を少しでも私に分けて欲しいものです」
ハルヒ「こ、古泉くん…?いったいどうしたの?」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 22:05:13.37 ID:pjE1cqd+0
古泉「今まで僕がどれだけ我慢してきたと思ってるんですか。
あなたの思いつきや嫉妬で振り回され、断ればあなたは不快になってしまうから
ご機嫌を取る為に今まで仕方なくついて行きました。でももう限界です」
ハルヒ「あ、あんた誰よ。古泉君はそんなこと言わない!
私の知ってる古泉君は、いつでも紳士的で、何を頼んでも
嫌な顔は絶対に見せないたりしないわ!」
古泉「本当にそんな人物が存在すると思っているんですか?
それはあなたが望んでいたから仕方なくやっていただけです。
ただの演技ですよ」
ハルヒ「うそ…うそよ…!」
古泉「そうやって、都合の悪いことは受け入れようとしない。
僕はあなたを常識人だと思っていましたが、どうやら少し見当違いだったようですね。
彼の言うとおりでした」
ハルヒ「いや……もうやめて……」
131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 22:34:22.03 ID:pjE1cqd+0
古泉「ほら、いつも彼に言っているみたいに何か言い返したらどうですか?
それとも図星だから言い返せないんですか?」
ハルヒ「違う…そんなこと…!」
古泉「なんですか?言ってみてください」
ハルヒ「……」
古泉「…ふっ、やっぱり。彼の前では強がっていますが、あなたは本当は
肝心なことは何も言えない、弱い人なんですよ。こんな人が団長なんて、
笑い話ですね」
ハルヒ「いや……いやあああああああああああああ!!!!!!!」
キョン「……?今の声は…?ハルヒ…?」
136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 22:43:52.25 ID:pjE1cqd+0
古泉「走り去ってしまいましたか……。
……僕は、大変なことをしてしまった…。
世界を守らなければならない機関の人間である…僕が…
……いや、もういいんだ。元々、僕が望んで入ったわけでもない…
僕が世界を守る義務なんて……どこにもない…」
キョン「古泉?なんでこんなとこに…っていうか、お前なんだ?
その格好は?」
みくる「ももももももしかして、私たちを尾行してたんですかぁ?」
古泉「……すいません。僕は少し疲れました。
…涼宮さんをお願いします」
キョン「おい、待てよ古泉!……どうしたんだ?あいつ」
みくる「そ、それより涼宮さんを追わないと!
やっぱりさっきの声は涼宮さんです!」
キョン「…そうですね」
149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 23:04:34.34 ID:pjE1cqd+0
古泉「……」 ガチャ
森「古泉!どこ行ってたの?!今大変なことになってるの!
驚異的な規模の閉鎖空間が
古泉「………すいません、森さん。
疲れたので少し休ませて下さい。」
森「何言ってるの!そんな悠長なこと言ってる場合じゃないのよ?!
早く準備しなさい!それから、キョン君にも連絡をとって!」
古泉「………僕が行かなければならない理由が、
どこにあるというんですか」
森「……古泉?あなた何を言ってるの?あなたは機関の人間なのよ。
機関の人間なら、世界を守る義務があるの」
古泉「僕は入りたくて入ったわけじゃない。超能力とかいう
訳の分からない力を身につけたせいで強制的に入れられただけです」
森「そう。あなたは超能力という世界を救える力を手に入れた。
これが理由よ。その力を持った時点で、あなたは世界を救わなければならないの。
そのために得た力よ。」
古泉「僕は欲しくてこんな力が身に付いたわけじゃない!
僕だって、人間らしい生き方がしたいんだ!」
森「……古泉!」 パチーン....
部屋の中で、乾いた音が響いた。
155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 23:09:39.96 ID:pjE1cqd+0
キョン「ハルヒの奴、どこにいるんだ?」
みくる「分かりません……
……キョンくん?あれ…」
キョン「え?……部室の電気が点いてる……」
みくる「きっと、涼宮さんはあそこにいるんですよ!」
キョン「そうですね、行ってみましょう」
160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 23:17:52.71 ID:pjE1cqd+0
キョン「…ハルヒ?いるのか?」
SOS団の部室の戸をノックしながら、声をかけたが
いずれも返事はなかった。
キョン「入るぞ」
戸を開けた先に見えた部室の光景は、団長席に一人頭を伏せているハルヒ
の姿だった。
キョン「………すいません朝比奈さん。ここは俺とハルヒだけにしといて
下さい」
みくる「は、はい。それじゃあ私は帰ります。(……キョンくん。頑張って)」
キョン「……」
169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 23:27:24.41 ID:pjE1cqd+0
キョン「………ほらハルヒ。
言われたもの買ってきたぞ」
ハルヒ「……もうどうでもいいわよ…そんなもの…」
キョン「どうしてだ?せっかく買ってきたのに」
ハルヒ「もう……SOS団なんて…どうでもいいわよ……
解散よ…こんなもの…」
キョン「…どうしてだ?一番張り切ってたお前なのに」
ハルヒ「……みんな…みんな私に気を使ってただけだったのよ…
本当はこんなとこ嫌でたまらなかったのよ…あんただってそうなんでしょ…?」
キョン「…まずは顔を上げて話したらどうなんだ?
話している気がせん」
180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 23:38:18.90 ID:pjE1cqd+0
ハルヒ「……」
キョン「?!ハルヒ……お前、泣いてんのか?」
俺の目に映ったハルヒの顔は、目の周りを赤くさせて、
未だ止めどなく涙を流していた。
ハルヒ「……あんたも…あたしなんかどうでもいいんでしょ…?
みくるちゃんの方が…ずっとずっと大切なんでしょ……」
キョン「…何を根拠にそんなこと言ってんだ?
お前は」
ハルヒ「知ってるんだから……今日だって仲良く買い物してたじゃない……
あたしの時なんかより…ずっとずっと楽しそうな顔して…」
キョン「……ああ、確かに朝比奈さんは俺にとって、大切な人だ」
ハルヒ「ほら見なさい…あたしなんてどうでもいいのよ…」
キョン「誰がそんなこと言った?
俺はお前がどうでもいいなんて、一言も言ってないぞ」
189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/15(火) 23:56:02.79 ID:pjE1cqd+0
ハルヒ「…嘘よ…みんなあたしに気を使ってるだけなのよ……本当はあたしなんか
消えればいいと思ってるのよ…」
キョン「……ハルヒ、お前いったい何があったんだ?」
ハルヒ「……古泉君が………あたしを…もううんざりだって……
我慢してたけど……限界だって…」
キョン「…古泉が?」
ハルヒ「…あたしは……本当はみんなと楽しく遊びたかっただけなの……
だから…みんなで最高の思い出を作りたくて……それで……」
キョン「……それを古泉に言ったのか?」
ハルヒ「……」
キョン「…言ってないのか」
ハルヒ「言っても…無駄だと思ったのよ……古泉君…すごく冷たい目で
あたしを見てた……」
202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/16(水) 00:16:05.69 ID:cbwDeyTs0
キョン「そうか、あの古泉がな。だが、あいつがお前に嫌気をさしたとは限らないだろう?
」
ハルヒ「勝手なこと言わないでよ……あたしは……嫌われちゃったのよ……古泉君に…
あの優しい古泉君があんな目をしたんだから…」
キョン「お前こそそれは勝手な妄想だ。あいつだって人間だ。
感情をむき出しにして怒ることだってある。
そうやって勝手に人を決めつけるところが嫌だったんじゃないのか?古泉は」
ハルヒ「……なんなのよ……じゃあ…どうすればいいのよ…」
キョン「古泉にお前の素直な気持ちをぶつければいい。お前は古泉に戻ってきて
欲しいんだろう?」
ハルヒ「………」
キョン「……ハルヒ、もっと素直になれ。少なくとも俺は、古泉が
お前をそこまで嫌ったとは思ってないぞ?」
ハルヒ「……じゃあ…あんたはどうなのよ…キョン…」
216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/16(水) 00:30:17.03 ID:cbwDeyTs0
キョン「…何がだ?」
ハルヒ「あんたは…あたしのこと……どう思ってるのよ…?」
キョン「…俺は、お前のことは嫌いじゃない。
むしろ好きだ。お前といれば何だかんだ面白いことが多いからな。
まあ、たまに面倒な時もあるが。…これが俺の素直な思いだ」
ハルヒ「……でもみくるちゃんの方が好きなんでしょ…?」
キョン「…ああ、朝比奈さんも好きだ。ただそれは好きという意味が違う。
朝比奈さんは恋愛対象として好きだ。そして、お前は仲間として好きだ」
ハルヒ「なによそれ……意味わかんないわよ…」
キョン「…お前は、どう思ってるんだ?俺のこと」
ハルヒ「………」
キョン「素直な思いを言え。どう思われていたとしても、俺は怒ったりしない」
ハルヒ「あたしは……あたしは……あんたが好きよ……」
225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/16(水) 00:50:28.72 ID:cbwDeyTs0
キョン「…そうか。それは、どういう意味でだ?」
ハルヒ「…わかんない……本当にわかんないのよ…」
キョン「…そうか」
ハルヒ「ただ…あんたがみくるちゃんと仲良くしているところを見ると……
とても辛くなるの……なんで……?」
キョン「…俺にも詳しいことは分からんが、それが恋ってやつじゃないのか?
なんか俺が言うと自惚れているように聞こえるがな」
ハルヒ「恋……これが……?
…でも、あんたはみくるちゃんが好きなんでしょ…?
…なら、あんたに恋したって、どうしようもないじゃない…」
キョン「…それが恋ってやつだ。実ることもあれば、失うこともある。
これに限ったことじゃない。何にでも、成功と失敗ってのはあるもんだ」
ハルヒ「……じゃあ…失敗したらどうすればいいのよ…?」
キョン「…新しく挑戦すればいい。恋の話なら、新しい相手を見つければいい。
…辛いだろうがな。(……そうか、こいつは思ったことが何でも叶っちまうから、
挫折ってもんが極端に少ないんだ。だから失敗した時が怖くて、わからないんだ)」
ハルヒ「……あたしは嫌よ……一度ほしくなったものを妥協するなんて……絶対…」
キョン「……なら手に入るまで挑戦すればいい。
…そっちの方が辛くなることもあるがな」
231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/16(水) 01:04:18.17 ID:cbwDeyTs0
ハルヒ「……それで…手に入ることもあるの…?」
キョン「……さあな」
ハルヒ「………そっか」 ガタッ
ハルヒは顔についていた涙を手で拭い、突然立ち上がって、俺の方を見た。
さっきまでの表情と違い、どこか吹っ切れたような、
清々しい顔をしていた。
ハルヒ「…ねえ、キョン。あんたみくるちゃんと付き合ってるの?」
キョン「…………ああ、付き合ってる」
ハルヒ「…そう。でも、あたし、諦めないから!」
キョン「…何をだ」
ハルヒ「絶対!絶対いつかあんたを好きにさせてみせるわ!
これがあたしの素直な気持ちよ!
そうよ、なんでこんな簡単なことに気付かなかったのかしら!」
キョン「…そうかい」
もうその時ハルヒの顔は、
以前のような希望に満ち溢れたパワーのある顔になっていた。
250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/16(水) 01:24:16.60 ID:cbwDeyTs0
……初めて、人に手をあげられた。
今まで、他人の言うことに逆らわず、動いてきたから。
だから、怒られるということを知らなかった。
でも、それは自分の意志ではなかった。「誰かのため」、「世界のため」
という項目を自分に言い聞かせ、機械のように、生きてきた。
だから、今日初めて手をあげられたとき、心の痛みというものを知った。
それと同時に、生きているという実感が、自分は人間なんだという実感が、初めて湧いた気がした。
古泉「(…僕は、自分の意志で動くことが…できたんだな)」
手を動かす。足を動かす。周りのものを見る。
今まで当り前のようにやってきたことだが、「自分の意志」でそれをやっていると思うと、
それらすべてがすべて新鮮に思えた。
255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/16(水) 01:34:37.89 ID:cbwDeyTs0
コンコン
部屋の戸を叩く音がする。
「……古泉。いるの?」
この声、森さんだ。
古泉「……はい。います」
森「そう……
…話があるの。リビングまできて」
何を言われるかは大体予想がついていた。
でも、僕は一つも恐れてなどいない。
僕は、自分の意思で、行動したのだから。
263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/16(水) 01:58:36.43 ID:cbwDeyTs0
森「…なんで呼ばれたかは、わかるわね?」
古泉「はい」
森「…どうして、私の指示に従わなかったの?」
古泉「…それが、僕の意思だからです」
森「…理由になってないわ」
古泉「理由など必要ありません。僕が行きたくないから行かなかった
んです」
森「……そう、なら覚悟はできているんでしょうね、古泉」
267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/16(水) 02:11:14.71 ID:cbwDeyTs0
古泉「ええ、どうぞ。煮るなり焼くなり、ご自由に」
森「いい度胸ね。それじゃあ、歯を食いしばりなさい!」
古泉「!!」
古泉「…………?」
森「……冗談よ。本当はこれを渡しに来たの」
古泉「……この紙は…」
森「機関の除名申請書よ。もう今のあなたに機関は勤まらないわ。
これに名前を書いて、どこへでも好きなように生きなさい」
古泉「……森さん」
273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/16(水) 02:22:28.75 ID:cbwDeyTs0
森「今まで無理に引っ張ってきて、悪かったわ」
古泉「……いえ」
森「………機関にお願いして、あなたが進路を決めるまではここに住んでいても
いいことになったわ。ゆっくりこれからのことを決めなさい」
古泉「………」
森「それまでは、今の学校にも通っても構わないわ。進路が決まったら、こちらから
学校へ退学届を提出するから。なんなら、あの学校で卒業してもいいわ」
古泉「……涼宮さんの監視はどうすれば」
森「あなたはもう何もしなくていいわ。涼宮ハルヒの監視は、新しい者を
探しておくから。だから、あの部室にもう行くこともないわ」
古泉「…………森さん」
森「なに?」
古泉「…すいません、少し考えさせて下さい…」
森「ええ、もちろんよ。何かあったらまた連絡をちょうだい」
275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/16(水) 02:32:31.87 ID:cbwDeyTs0
次の日
僕は何も考えずに足を運んでいた。
そして、気がつけばSOS団の部室の前に来ていた。
古泉「(どうしてここに足が向いたんでしょう。…もう、ここに戻ることは
できないのに。どこか僕の心の中に、未練があるとでもいうのでしょうか。)」
「ん?何してんだ?お前」
古泉「………あなたでしたか」
キョン「…?中、入らんのか?」
276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/16(水) 02:39:24.34 ID:cbwDeyTs0
古泉「……いえ、もう…僕には縁のないところですから」
キョン「……ったく。ほら、いいから入れ!」 ガチャ
古泉「わっ!ちょ、ちょっと!離してください!」
キョン「………まだ誰も来てないみたいだな」
古泉「………はぁ。」
キョン「ほら、そこ座れ。お前には言いたいことが腐るほどあるんだ」
280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/16(水) 02:55:48.31 ID:cbwDeyTs0
古泉「………」
キョン「……昨日、ハルヒがここで泣いてた」
古泉「……そうですか」
キョン「…お前が原因らしいな」
古泉「……」
キョン「おかげで、いらん手間がかかった。どうしてくれんだ」
古泉「……」
キョン「なんで閉鎖空間を自分で作るような真似をした?
お前はそこまでマゾだったのか?」
古泉「……あなたには分からないですよ。
僕が今までどれほど我慢をしてきたかなんて…」
288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/16(水) 03:20:26.90 ID:cbwDeyTs0
キョン「ああ、分からんね。
そんなもん、爆発するまで我慢しとく奴がバカだ」
古泉「じゃあどうすればよかったというのですか!?
3年前、まだ碌な思考力を持てない幼い頃に超能力が使える
からという理由で強制的に機関に入れられて、閉鎖空間の排除を
するよう教育され、涼宮さんの監視のために彼女の望む人物を演じて、
…僕には選択肢なんて存在しなかったんですよ…」
キョン「お前がどんな生き方をしてきたかなんて知らん。
俺はただここまで我慢する奴がバカだって言ってんだ」
古泉「…そうですね、この苦労がわからないあなたに、分かるはずがありませんね」
キョン「ああ、お前がそうやって勝手に自分で我慢して苦労を抱えてる
ことなんて、誰ひとりとして分からないだろうよ。お前が誰にも言わずに
隠してるんだからな」
古泉「僕はずっと機関にいたからあなたみたいに打ち明ける友達すらいないんです。
何不自由なくのんびり生きてきたあなたと一緒にしないでください!」
297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/16(水) 03:43:54.82 ID:cbwDeyTs0
キョン「俺が言ってるのはそういうことじゃねえ。
友達じゃなくても打ち明ける人なんているだろうが。
森さんがお前のこと心配してたの、知ってんのか?」
古泉「森さんが……?なぜあなたがそんなことを知っているんです」
キョン「昨日わざわざ俺ん家までお礼言いに来たんだよ。
「協力、ありがとうございました。古泉君をよろしくお願いします」ってな」
古泉「…そんな…」
キョン「ほれ、知らなかっただろ。お前は勝手に自分で抱え込んで、
人のことなんて頼ろうとしねえから、身近な人が心配してくれてることも
分からねえんだよ」
古泉「………」
キョン「…だが、お前の人間らしいとこが知れて、俺は少し嬉しかったぞ」
304 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/16(水) 04:10:26.13 ID:cbwDeyTs0
古泉「…え?」
キョン「今までのお前は何考えてんのかわからんし、弱点を見せようともせん。
正直、生け好かん奴だった」
古泉「…そうですか」
キョン「ああ。だから嬉しかった。お前でも怒ることはあるってのを知ることができたからな」
古泉「…僕も人間ですから、怒ることもありますよ」
キョン「ああ、そうだな。…まあ、でも今度は爆発する前にガス抜きはしとけ。
…俺でよけりゃ付き合ってやるからよ」
古泉「…ありがとう」
キョン「ああ。…で、どうだった?ハルヒにキレたのは?
スカッとしたか?」
古泉「…ええ、失礼ながら、スッキリしました」
キョン「はは、そうか」
309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/16(水) 04:15:11.22 ID:cbwDeyTs0
古泉「…本当にご迷惑をおかけしました。
そしてもう一度言わせて下さい。…ありがとう」
キョン「ああ。……って抱きつくのはよせ。気色悪い」
ガチャ
みくる「こんにちは〜……って、え……?」
おそらく、朝比奈さんの目に映ったものは、男が男に抱きついている地獄絵図
だろう。
みくる「そ、そんな……キョンくん………ふえぇぇぇぇん……」
あ!泣いた!
317 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/16(水) 04:27:07.96 ID:cbwDeyTs0
みくる「ふぐっ……えぐっ……」
キョン「朝比奈さん、泣きやんで下さい。こいつとは本っ当になにもないですから
おい、古泉。お前も黙ってないでなんとか言え!」
古泉「…すいません。ちょっと失礼します」 バタン
キョン「お、おい!」
古泉「………もしもし、森さんですか?
…ええ、これからどうするのか決めました」
320 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/16(水) 04:35:40.19 ID:cbwDeyTs0
バタン
古泉「…」
キョン「…なにやってたんだ?お前がいきなり黙って出て行くから、また
朝比奈さんが勘違いしちまったじゃねえか」
みくる「あ、あの。私はもう大丈夫ですから。ご迷惑おかけしました」
古泉「…ええ、すいません。もう一度、機関の一員としてやり直すことにしました。
ここの監視係としてね」
キョン「もう一度って…お前、機関を抜ける気だったのか?」
古泉「いえ、どうするか考えているところでした。
でも、あなたのおかげで決心することができました。ありがとうございます。」
キョン「…それがお前の決めた事なら、誰も文句はないだろうよ」
古泉「ええ。…森さんにもちゃんと言っておきました。「ありがとうございます、これからも
上司として、一人の人間として信頼をおきます」と」
キョン「そうか」
322 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/16(水) 04:49:10.49 ID:cbwDeyTs0
ガチャ
ハルヒ「みんなおっはよ〜う!」
キョン「さあ、うるさいのがきたぞ」
ハルヒ「なによキョン!…あ、古泉君…」
古泉「…」
ハルヒ「…あの、古泉君。ごめんね。今まで勝手に
古泉君のこと決めつけてて」
古泉「…いえ、いいんです。何も言わなかった僕も悪いです。
僕の方こそ、冷静を欠いてあなたに酷いことを言ってしまって、
申し訳ありませんでした」
ハルヒ「ううん、いいのよ。そんなことは。
…これからもSOS団の一員として、頑張ってくれる?」
古泉「…ええ、僕もそれをお願いしようと思っていました。
僕でよければ、これからもご一緒させて頂きます。
…これからは、少し生意気なことを言う時もあるかもしれませんが」
ハルヒ「本当?!さっすがSOS団副団長ね!
生意気でも全然かまわないわよ!」
古泉「ふふ、ありがとうございます」
324 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/16(水) 04:58:19.45 ID:cbwDeyTs0
キョン「(やれやれ、これで一件落着か?)」
ハルヒ「あ、そうそう、キョン!」
キョン「なんだ?」
ハルヒ「あたし決めたの!これからは素直な気持ちをぶつけていくわ!」
キョン「そうかい」
ハルヒ「そうよ!だからあたしの今の気持ち、もう一回言うわ!
キョン!あたしはあんたが好き!」
みくる「え、ええぇぇぇぇ?!」
ハルヒ「みくるちゃん、今はキョンはあなたに心がいってるけど、
いつか必ず私のところへ向けてみせるから!覚悟しときなさい!」
みくる「え、え、わ、私たちのこと知ってたんですかぁ?!そそそそそれに、困ります〜!」
キョン「(全然一件落着してねえ!…やれやれ)」
ハルヒ「キョンはあたしのものなんだから!」
おわり
328 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/16(水) 05:01:32.11 ID:cbwDeyTs0
ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。
明日にまたあと1回くらい書く予定なんで、よかったらまたお願いします。