長門「朝倉ルートの攻略を推奨する」


メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:キョン「最近太ってきたな…」

ツイート

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/09(水) 19:19:34.26 ID:VLZPXfq10

キョン「朝倉ルート?」

長門「そう。あなたには是非とも朝倉涼子を攻略してもらいたい」

キョン「えっと…それはゲームの話か何かか?」

長門「ゲームの話ではない。これはリアルラブ」

キョン「はぁ……?」

長門「そのためにはまずフラグを立てる必要がある」

キョン「フラグ?」

長門「そう。明日、彼女にあいさつすればフラグが発生する」

長門「もう一度言う。あなたが彼女に『おはよう』と言うのが発生条件」

長門「分かった?」

キョン「あ、ああ…(一体何なんだ?)」




3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/09(水) 19:23:51.48 ID:VLZPXfq10

次の朝

キョン「しかし、昨日の長門は何だったんだ?」

キョン「朝倉ルートがどうのとかフラグがなんだとか…」

キョン「――んっ?噂をすれば朝倉じゃないか」

キョン「確かあいつに“おはよう”って言えばいいんだよな?」

キョン「おいっ朝倉」

朝倉「あっキョンくん」

キョン「おはよう、朝倉(これでいいのか?)」

朝倉「!!」

キョン「えっと…朝倉?」

朝倉「(キョ、キョンくんにあいさつされた!今までキョンくんからされたことなかったのに)」

キョン「あ〜い、朝倉。大丈夫か〜?」

朝倉「あっううん、おはよう、キョンくん」ドキドキ

朝倉「(どうしてキョンくんが私に!?)」ドキドキ

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/09(水) 19:35:05.77 ID:VLZPXfq10

キョン「なんか顔が赤いけど大丈夫か?」

朝倉「ううん、大丈夫よ。キョンくんにあいさつされてちょっとビックリしちゃったかな」

キョン「ビックリ?なぜ俺にあいさつされて驚くんだ?」

朝倉「だって今までキョン君から私にあいさつしたことなかったし…」

キョン「(そういえばそうかもしれん…)」

朝倉「い、一体どういう風の吹き回しなのかな?」ドキドキ

キョン「どういうって…(長門にやれって言われたんだがな)」

キョン「急に朝倉にあいさつしたくなった。それが理由かな?」

朝倉「!!」

キョン「朝倉?」

朝倉「あっ、あの、そろそろ授業が始まるから席に戻るね」

キョン「おっおい!」



長門「言葉のチョイスとしてはまぁまぁ。でもこれで彼女とのフラグが立った」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/09(水) 19:47:42.34 ID:VLZPXfq10

教師「え〜この場合の公式はすなわち――」

朝倉「(はぁ…キョンくんが私にあいさつしてくれるなんて)」

朝倉「(しかも突然私にあいさつしたくなったって…そ、それってもしかして)」

朝倉「(ううん、きっとクラスメイトとして仲良くなりたいとか、そういう意味よ)」

朝倉「(でももしかしたら……)」チラッ

キョン「??」

朝倉「(ひゃっ!キョンくんと目が合っちゃった)」ドキドキ

キョン「(なんかさっきから朝倉の視線を感じるんだが…気のせいか?)」

キョン「――んっ?誰だよ、授業中にメールしてくる非常識な奴は)」


―朝倉涼子にあいさつした? 長門―


キョン「(長門かよ!?……えっと、“言われたとおりしたぞ”っと」


―なら次は彼女との好感度を少しづつ上げるべき―


キョン「(好感度って言われてもどうすりゃいいんだが…)」


27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 20:03:54.46 ID:VLZPXfq10

キョン「結局、なにもできずに昼休みになってしまった…」

谷口「おいっキョン、昼飯食おうぜ!」

女子「朝倉さん、一緒にお弁当食べましょうよ」

朝倉「いいわよ。……あ、あれっ?」ガサゴソ

女子「どうしたの?」

朝倉「お、お弁当お家に忘れてきちゃった…」

キョン「(これは好感度を上げるチャンスか!?)」

朝倉「ううっ…困ったわ」

キョン「おいっ朝倉、お前お弁当を忘れたのか?」

朝倉「あっキョンくん…」

キョン「だったら俺の弁当でよければお前にやるよ」

朝倉「えっ!?」

キョン「(よしっこれで好感度がアップだな)」

朝倉「ご、ごめんね!購買で買うからいいの!」スタタタッ

キョン「あ、あれっ?好感度は?」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/09(水) 20:14:47.18 ID:VLZPXfq10

キョン「うーむ…一体何がいけなかったんだろうか」

長門「全部」

キョン「な、長門!?おまえいつからそこに?」

長門「あなたが朝倉涼子にお弁当を渡そうとする場面から」

キョン「それなんだが長門、朝倉はどうして逃げちまったんだ?」

長門「あなたが最悪の選択肢をチョイスしたため」

キョン「自分の弁当を渡すのはそんなにダメだったか…?」

長門「ダメ。あなたと彼女の距離を考えればああなって当然」

キョン「俺と朝倉の距離?」

長門「そう。あなたたちはやっとあいさつを交わすようになった程度」

長門「頻繁に会話もなされていない状態で、あの選択肢は完全にマイナス」

長門「彼女には冗談にも感じられず、だから驚いて逃げてしまった」

キョン「つまり俺は朝倉の好感度を下げてしまったわけだ…」

長門「そう」



36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/09(水) 20:27:36.97 ID:VLZPXfq10

キョン「なんってこった…これは完全に嫌われちまったな」

長門「まだ嘆くのは早い。むしろ今の失敗で新たなイベントが発生した」

キョン「イベント?」

長門「そう。あなたの犯したバカな行為を彼女に謝罪するイベント」

キョン「バカは余計じゃないか…?」

長門「なに?」

キョン「いや、なんでもないです…はい…」

長門「このイベントでうまく謝ることができたらあなたの好感度は逆に上がることになる」

キョン「おおっ成程!そいつはグットな救済措置だな」

長門「ただし、あなたの言葉次第で好感度はさらに下がる可能性がある」

長門「むしろあなたという主人公の性格を考慮した場合、そうなる確立が非常に高い」

キョン「な、なんとか頑張ってみるさ」

長門「検討を祈る」



46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/09(水) 20:44:37.13 ID:VLZPXfq10

朝倉「はぁ〜さっきはキョンくん、なんであんなこと言ったんだろ…」

朝倉「もしかして私のことからかってるだけなのかな?」

朝倉「……そんなの嫌だな」

キョン「やっと見つけた!朝倉!」

朝倉「私に何の用かしら?それともまたからかいにきたの?」

キョン「そうじゃないんだ。さっきのことを謝ろうと思って…」

朝倉「えっ?」

キョン「さっきのだってべつにからかったわけじゃないんだ」

キョン「朝倉が困ってたから俺なりになんとかしようと思って…まぁ、そのせいで怒らせてしまったわけだが」

キョン「兎に角、俺のせいでお前を怒らせてすまん!許してくれ!朝倉!」

朝倉「キョンくん…」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/09(水) 20:58:48.30 ID:VLZPXfq10

朝倉「ううん、私の方こそごめんね。キョンくんは困ってる私を助けようとしてくれたのに…」

朝倉「それなのに私、驚いて逃げちゃうなんて最低だよね…」

キョン「いや、お前が気にすることはないぞ、朝倉。あれは戸惑って当然だ。俺が悪い」

朝倉「そうかな?」

キョン「そうさ。いきなり弁当渡されてもな困るよな…俺がお前と同じ立場だったらやっぱ戸惑うと思う」

キョン「だからお前が気にすることはないんだ。朝倉、バカな事をした俺を許してもらえるか?」

朝倉「うん、許してあげる」

キョン「そうか、そいつはよかった。(これでなんとか危機は回避できたか?)」

朝倉「うふふ」

キョン「なにがおかしいんだ?」

朝倉「キョンくんとこんなにたくさん話したの初めてだなぁ〜と思って」

キョン「朝倉…」



65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/09(水) 21:14:51.02 ID:VLZPXfq10

キョン「そうだな、お前とこんなに話をしたのは今日が初めてかもしれないな」

朝倉「キョンくんとお話できて楽しかったわ。色々と、ね?」

キョン「うぐぐ…その事はもう忘れてくれ」

朝倉「どうしようっかな〜?」クスッ

キョン「と、とにかく、俺も朝倉と色々会話できて良かったと思う」

キョン「そこで提案なんだが…もしよければ今後、もっと頻繁に会話しないか?」

朝倉「えっ…?」

キョン「ほ、ほら、同じクラスメイトだし、もっと仲良くなってもいいと思うんだが…」

朝倉「(キョンくんと仲良くなれる…)」

キョン「やっぱりダメか…?」

朝倉「ううん、ダメじゃないわ!私でよければ是非!」

キョン「そうか、じゃあ決まりだな。これからよろしく頼むよ、朝倉」

朝倉「わ、私の方こそよろしくね。キョンくん」




73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/09(水) 21:28:50.66 ID:VLZPXfq10

キョン「――さてと、そろそろ教室に戻るとするか」

長門「……」ツンツン

キョン「おっ長門。もしかして見てたのか?」

長門「見てた」

キョン「なら教えてくれ。あの謝り方で間違ってなかったか?」

長門「……」

キョン「長門さん?」

長門「間違いも何も最高のチョイス。しかも予想外」

キョン「予想外?」

長門「そう。まさかこんな短時間でただのクラスメイトから仲の良いクラスメイトへ
    移行できるとは思いもしなかった」

キョン「はぁ…(褒められてるんだろうか?)」





77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/09(水) 21:44:26.18 ID:VLZPXfq10

長門「この調子で朝倉涼子の好感度を上げてほしい」

キョン「それなんだが…どうやって好感度を上げていけばいいんだ?」

キョン「俺には朝倉と会話することくらいしか思いつかんのだが…」

長門「なら他のコミュレベルを上げるべき」

キョン「コミュ?」

長門「あなたの近しい友人のコミュニティレベルを上げて助力を仰げばいい」

キョン「えっと、それは例えば国木田や谷口とかか?」

長門「そう。ただし谷口コミュを上げても得るものは何もない。上げるなら国木田コミュにするべき」

キョン「なるほどな。じゃあ、長門もよろしく頼むぜ」

長門「私?」

キョン「ああ、だって朝倉のことはお前が一番知ってるし、それに長門ほど頼りになる奴はいないだろ」

長門「!!」

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/09(水) 21:57:31.76 ID:VLZPXfq10

長門「ざ、残念ながら私のコミュは存在しない」

キョン「それはなぜだよ?」

長門「どうしても」

キョン「そもそもお前が言い出した話なんだぞ。俺に協力してくれないのか?」

長門「協力はする。ただし、最低限の助言に止める」

キョン「まぁ、アドバイスをくれるなら俺としてはありがたいが…」

キョン「そうか、でも長門コミュがないのは残念だな」

長門「ごめんなさい」

キョン「謝ることでもないさ。なんとか頑張ってみるよ」



長門「……危うく新しいフラグが立つところだった」

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/09(水) 22:12:49.06 ID:VLZPXfq10

長門「ただいま」

朝倉「あっ、やっと帰ってきたわね!遅いから心配したのよ!」

長門「そう」

朝倉「そうって…どこほっつき歩いてたのよ!こんな時間まで」

長門「…葛藤していた」

朝倉「へっ?」

長門「なんでもない。それよりも朝倉涼子、何か良いことあった?」

朝倉「わ、わかりますか?」

長門「いつもより口元が緩んでいる…」

朝倉「じ、じつはキョンくんに話しかけられたの」

長門「それだけ?」

朝倉「それだけじゃないんですよ。もっと仲良くしようって言われちゃった」

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/09(水) 22:23:09.65 ID:VLZPXfq10

長門「あなたはずっと彼に好意を抱いていた」

朝倉「だから私今すごくうれしくって、幸せな気持ちなんです」

朝倉「ちょっとだけキョンくんと仲良くなれて」ニコッ

長門「……」

朝倉「長門さん?」

長門「やはり自制して正解だった」

朝倉「??」

長門「私はあなたの笑顔が見られるならそれでいい」

長門「頑張って」

朝倉「は、はい?――あっ、ところで長門さん、明日私帰るの遅くなりますね」

長門「なぜ?」

朝倉「クラス委員の会議が遅くまであるんですよ」

長門「新しいイベントを発見した」ニヤッ

朝倉「??」

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/09(水) 22:39:08.53 ID:VLZPXfq10

―翌日の放課後―

ハルヒ「みんな遅くまでご苦労だったわね!今日はこれで解散よ!」

キョン「はぁ〜やれやれ、なにがSOS団の方針会議だよ、まったく」

ハルヒ「ちょっとキョン!あんたまだ文句言うつもりなの!?」

キョン「当たり前だ。“頑張って不思議を探す”のどこが新たな方針だよ。変わってねーじゃん」

ハルヒ「うるさいわね!キョン、あんた罰として今日は私と一緒に帰りなさい!」

キョン「なっ!?」

ハルヒ「なによ?私とじゃ不服だっていうの?」

キョン「やれやれ、しょうがな――んっ?長門?」

長門「あなたには今、二つの選択肢が発生している」

キョン「選択肢だって?」

長門「そう。一つはこのまま涼宮ハルヒと下校する選択肢…」

長門「もう一つの選択肢は“一人で帰る”…」

長門「あなたはこのどちらかを選ばなければならない」


107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/09(水) 22:52:39.44 ID:VLZPXfq10

キョン「一人で帰る?なぁ、その場合だと何が起きるんだ?」

長門「それは言えない」

キョン「なぜだよ?」

長門「………」

キョン「朝倉か!そうなんだろ?長門」

ハルヒ「ちょっとキョン!あんたなにごちゃごちゃ言ってるのよ!さっさと帰るわよ」

長門「選んで」

キョン「ああ、俺は一人で帰るを選択する。――それでいいんだろ?長門」

長門「コクン」

ハルヒ「なにグズグズしてるのよ!早くしないとおいてくわよ!このバカキョン」

キョン「すまんが、ハルヒ…今日は一緒に帰れないんだ」

ハルヒ「えっ…?」





113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/09(水) 23:05:04.43 ID:VLZPXfq10

キョン「ちょっと用があってな」

ハルヒ「あんたのその用って何なのよ?」

キョン「へっ?」

ハルヒ「私と一緒に帰るのを断わるほど大事な用なんでしょ?何なのかいいなさいよ」

キョン「それはその…」

長門「(これが正規ルート…必要以上に絡んでくる)」

ハルヒ「もしかしてあんた、私にウソついてんじゃないでしょうね!?」

キョン「ち、違う!ウソじゃない」

ハルヒ「じゃあどんな用があるのか言ってみなさいよ」

キョン「ううっ…」

みくる「あのう涼宮さん、キョンくん困ってますよ…」

キョン「朝比奈さん」

ハルヒ「みくるちゃんは黙ってて!」

みくる「ご、ごめんなさい」

長門「(やはり朝比奈コミュは役に立たない)」

169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/10(木) 09:58:21.83 ID:lj2f2krl0

キョン「おいっハルヒ!なにも朝比奈さんに怒鳴ることないじゃないか!」

ハルヒ「うっさい!あんたが悪いのよ」

キョン「話を逸らすな。朝比奈さんに謝れ」

ハルヒ「はぁ?なんで私がみくるちゃんに謝らないといけないわけ?」

キョン「当然だろ。朝比奈さんは上級生なんだ、少しは敬って然るべきだろ」

ハルヒ「なによ!みくるちゃんみくるちゃんって!このバカ!」

キョン「待てよ、どこへ行くつもりだ、ハルヒ」

ハルヒ「帰る」

キョン「帰るっておまえ…」

ハルヒ「一人で帰るから付いて来んなって言ってのよ!このバカキョン!」バタン

長門「(これで選択肢は自動的に消滅した。…しかし)」

みくる「グスン…キョンくん、ごめんなさい。私のせいで涼宮さんとケンカして」

キョン「朝比奈さんが落ち込むことはないですよ。だから元気を出してください、ねっ?」

みくる「キョンくん…」

長門「(このままでは別ルートが発生する恐れがある…)」

220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/10(木) 18:41:33.57 ID:lj2f2krl0

みくる「えへへ、キョンくんって優しいんですね」

キョン「そう…ですかね?」

長門「……」ツンツン

キョン「んっ?なんだ長門?」

長門「あなたが攻略すべきは朝倉涼子であって朝比奈みくるではない」

みくる「ふぇっ?」

長門「早く帰るべき」

キョン「そうだったな。一人で帰ればいいんだっけ?」

長門「そう。でも“ほんとに一人で帰ったら意味がない”」

長門「分かった?」

キョン「ああ、今のヒントでばっちりだ」

長門「頑張って」

キョン「おうっ」


長門「……頑張って」

224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/10(木) 18:53:08.78 ID:lj2f2krl0

キョン「とはいえ、問題はどこに朝倉がいるか…だよな」

キョン「とりあえず教室にでも行ってみるか」

キョン「……やっぱりいないよな。ゲームじゃあるまいし」

キョン「ふむ。机にカバンは置いてないから教室には戻ってこない、か」

キョン「さて、どうしたものか」

朝倉「人の机で何してるのかしら?」

キョン「朝倉!?」

朝倉「そんなに驚いてどうしたの?あっ!さては私の机に変なことしようとしたんでしょ!」

キョン「ち、違うぞ!断じて違う」

朝倉「ふ〜ん、じゃあこんな人気のない時間に何しようとしていたのかしら?」

キョン「だから誤解だって!俺はただお前を探していて…」

朝倉「えっ?」

キョン「あっいや、その…(しまった!口が滑ってしまった!)」

229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/10(木) 19:06:33.73 ID:lj2f2krl0

朝倉「わ、私を探していたってどういう意味かな?」ドキドキ

キョン「どういうって…(迂闊なことを言ってこいつを怒らせたりしないかな?)」

キョン「えっと、つまりその…」

朝倉「うん」

キョン「一緒に帰らないか?(ええい、ままよ!好感度が下がるなら下がれってんだ!)」

朝倉「わ、わわわたしと!?」

キョン「すまん、嫌ならいいんだ。断わってくれてもいいぞ」

朝倉「ううん、嫌じゃないわ。一緒に帰りましょう」

キョン「いいのか?」

朝倉「おかしなキョンくん。あなたから誘ったんじゃない」

キョン「そういえばそうだな…って笑ったな!朝倉!」

朝倉「クスッ」



231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/10(木) 19:20:33.62 ID:lj2f2krl0

朝倉「ところでキョンくん、どうして私と一緒に帰ろうと思ったの?」

キョン「えっと…(長門の選択肢に従ったとは言えんしな)」

キョン「ほ、ほらっ、昨日もっと会話しようぜって言っただろ?」

朝倉「うん」

キョン「だからその、一緒に下校したらもっと会話できるチャンスがあるんじゃないかなって」

朝倉「!!」

朝倉「あ、あのね、キョンくん…私、期待しちゃうかも」

キョン「期待?なんのだ?」

朝倉「いくら会話のためって言っても、普通はこんな遅い時間まで待たないわ」

朝倉「だ、だからね…私、キョンくんに期待しちゃうかも」

朝倉「やだ、私何言ってるんだろ…ご、ごめんね!今の言葉忘れて!」

キョン「おっおい!朝倉!――行っちまった」


キョン「期待、ね……」





237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/10(木) 19:34:40.58 ID:lj2f2krl0

キョン「――というわけで、すまん、長門。結局、朝倉と途中までしか帰ることができなかった」

長門「大丈夫、問題ない」

長門「むしろこれでエンディングへと近づいた」

キョン「それはどういうことだ?」

長門「――彼女に告白イベント」

キョン「なっ!?」

長門「時・場所・好感度、その他諸々を考慮して告白してほしい」

キョン「ちょっと待ってくれ!長門!」

キョン「告白ってことはその、朝倉に付き合ってほしいとか言うんだろ?」

長門「そう。朝倉涼子にあなたの気持ちを伝えてほしい」

キョン「いや、それは無理なんだ」

長門「なぜ?」

キョン「俺は朝倉に恋愛感情は抱いていないからだ!」

長門「………言ってる意味が分からない」



240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/10(木) 19:45:35.03 ID:lj2f2krl0

キョン「いや、俺も朝倉のことは良い奴だとは思ってるさ」

キョン「でも恋愛対象として見たことは正直ない…」

長門「じゃあなぜ今まで朝倉ルートの攻略を?」

キョン「いや、それはお前の指示に従っただけで…」

長門「てっきりあなたも彼女のことを好いていたと私は」

キョン「……すまん」

長門「あなたの無神経さに呆れる。朝倉涼子が可哀想…」

キョン「……」

長門「このままではバット・エンドに突入することになる」

キョン「バ、バットエンド!?」

長門「そう。朝倉涼子に刺されるか私に刺されるか…」

キョン「おっおい!長門!」

長門「バットエンドを回避したいなら態度を改めるべき」

長門「それにあなたは朝倉涼子の魅力に十分気づいてるはず」



245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/10(木) 19:57:19.42 ID:lj2f2krl0

キョン「朝倉の…魅力?」

長門「そう。朝倉涼子の魅力…それに気づければバットエンドは回避できるはず」

キョン「分かった。頑張ってみるよ…」

長門「そう」

キョン「朝倉の魅力ね……」


―次の日―


朝倉「なぁに、キョンくん?私に用って?」

キョン「ああ、じつはお前に大事な話があるんだ」

朝倉「大事な話?(も、もしかして告白かな!?)」

キョン「じつは俺、ある人に言われてお前のことを考えるようになったんだ」

朝倉「??」

キョン「朝倉涼子の魅力は何なのか……一晩中考えてみた」

朝倉「わ、私の魅力…」ドキドキ



253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/10(木) 20:07:42.84 ID:lj2f2krl0

朝倉「それでキョンくんが思う私の魅力って?」

キョン「ああ、色々思いついたんだが――朝倉、お前の魅力は笑顔だ」

朝倉「笑顔?」

キョン「そうだ。笑ってるお前の姿はとても可愛いぞ!」

キョン「思わずその…す、好きになってしまいそうだ」

朝倉「キョンくん!?」

キョン「だから朝倉、お前にお願いがあるんだ!」

キョン「もしよければお前の笑顔をもっと俺に見せてくれないか?」

キョン「もっとお前のこと好きになりたいんだ!ダメか?朝倉」

朝倉「も、もちろんいいに決まってるじゃない」

朝倉「私のことべた惚れにさせてあげるんですから」ニコッ

キョン「朝倉…」

257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/10(木) 20:17:04.60 ID:lj2f2krl0

キョン「改めて朝倉、これからもよろしくな」

朝倉「わ、私の方こそよろしくね」

長門「良かった…これでバットエンドを回避することができた」

―サクッ―

長門「??」

朝倉「きゃぁぁぁぁ!!キョンくん!!!」

ハルヒ「あんたが悪いのよ、キョン。私と帰らないで朝倉とイチャイチャするから」

キョン「ううっ…ハルヒ…」

ハルヒ「アハハハハッ!!ざまぁ見ろ!!」

朝倉「キョンくん!ダメよ!死なないで!キョンくん!!」



長門「………迂闊」


               〜fin〜



ツイート

メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:漣「ご主人さまに一服盛ってあげます」