1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/09(水) 00:00:38.09 ID:ARUi/SFu0
死ってのは普段自分が思っているよりも案外あっさりと訪れるもんだな。
俺の場合、それはクラスで1,2を争う美少女によってもたらされた訳だが。
「生命反応無し・・・・・・さよならキョン君」
"生命反応無し"ね、それじゃ今その光景を目の前で眺めている俺は一体何なんだろうな。
ま、目の前に胸からおびただしい程の血を流して倒れている自分を見る限り朝倉の言っている事に間違いは無い。
つまり俺は幽霊ってとこだろう。
「・・・・・・何故殺した」
「あら長門さん、貴女にしてはこの空間の解析に相当苦戦したみたいね お陰で私の目的を果たす事が出来たわ」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/09(水) 00:04:14.66 ID:ARUi/SFu0
長門が倒れている俺の首に手を当てている。
が、当然その感触は俺に伝わらない。
・・・・・・なんか少し寂しいな。
「・・・・・・貴女は彼を殺す事によって何が起きるか認識し切れていない」
長門はコレといったコメントを残さずに俺の首から手を離し、再び朝倉と対峙した。
一方の朝倉は自分のやった事に満足しているのか未だに表情が締まらないでいた。
「認識し切れていないのは貴女達も同じよ、今後の世界の運命は正に神のみぞ知る、ってね」
「・・・・・・少なくとも情報爆発の発生は避けられない」
「私が上手く情報操作するわ それこそごく自然に、貴女達の納得いくような形で」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/09(水) 00:08:49.92 ID:ARUi/SFu0
翌日の朝、俺が転校したという噂がクラスメイトの雑談の主題だった。
とは言ってもそれは噂の域を出ておらず、直ぐに昨日のテレビ番組の話に戻った。
まぁ朝のHRによってそれは噂から事実に変わり、これを不思議と感じた1人のクラスメイトはグッとガッツポーズをした。
「先生、キョンは一体どこに転校したんですかッ?」
「ん、あぁ・・・・・・確かカナダとか聞いたな」
流石に無理がある。
俺の家は外国に引っ越すほど裕福な家庭じゃない、断じて無い。
「ったくキョンの奴、親友の俺にくらい声を掛けろっての」
「僕にも声を掛けないなんて・・・・・・少し寂しいね」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 01:48:18.33 ID:V3ldRAQ90
クラスを見回すが、俺一人が居なくなったところで
当然何か変わるわけではなく、何事も無く授業は進んでいく。
ハルヒは目を輝かせながらも、飛び出したい衝動を押さえつけるように外をボーっと見ていた。
朝倉は、昨日殺人を犯した場所に居るにもかかわらず、とても自然に振舞っている。…やれやれ、こいつも宇宙人だったとは…長門とは大違いだな。
放課後、ハルヒはHRが終わるのと同時に全速力で教室をあとにした。
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 02:04:05.24 ID:V3ldRAQ90
…ハルヒを追わなくちゃいけないよな。
死んだ後も手間がかかるとは…やれやれ。
ハルヒは部室の扉を勢いよく開けた。この扉、年越しは出来無そうだな。
ハルヒ「おまたせ!来たわよ来たわよ不思議が!調査にいくわよ!」
長門「……」
朝比奈「不思議…ですか?」
古泉「是非お聞かせください」ニコッ
すでにみんな揃っていたようだ。朝比奈さんの様子を見ると、
どうやら長門はまだみんなに話をしていないようだな。
ハルヒは定位置のパソコンの前に立って
ハルヒ「今日、突然キョンが転校したの!何も言わずによ?!」
朝比奈「…えっ?」
長門「……」ペラッ
古泉「…ほぉ…僕は何も聞いてませんでしたね、しかし突然ですね」
ハルヒ「でしょ?!しかも転校先はどこだと思う?カナダよカナダ!」
ハルヒ「転校先の住所や学校名を教えてくれって岡部に聞いたんだけど、それすら分からないって言うじゃない?!」
朝比奈「ほんとに転校しちゃったんでしょうか…?だってキョン君は…」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 02:07:42.13 ID:V3ldRAQ90
ハルヒ「岡部が朝電話をもらったって言うんだから間違いないでしょ?!」
ハルヒ「今更”実はサボリでした”なんて許さないんだから!」
ハルヒ「まずはみんなでキョンの家に行ってみましょう!」
ハルヒ「みくるちゃん!サッサと着替えて!時間が無いんだから!」
朝比奈「はっ、はぁ〜い…」パタパタ
長門「……」ペラッ
古泉「では僕は先に校門に行って待っていますので」
ハルヒ「うん!みくるちゃんを着せ替えたらすぐに行くから!」
朝比奈「ひゃ!自分で着…ひゃ〜!!!きがえますからぁ〜」
ハルヒのやつ、相変わらず朝比奈さんをおもちゃにしやがって…。
幽霊でなければ朝比奈さんを全力で守るナイトになるんだが…ちくしょ…
って、早く部室を出ないと。ハルヒのやつ、幽霊の俺にまで文句を言いそうだしな。
それにいくら幽霊だからと言って朝比奈さんの着替えを見ていい理由にはならない。俺の美学に反する…しかし若気の至りって気持ちも…(ry
そのころ、古泉は校門に向かいながら携帯電話で誰かと話をしていた。
古泉「はい、彼が突然姿を消しました。カナダに転校と…はい、お願いします」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 02:14:42.37 ID:V3ldRAQ90
校門で古泉の後ろに立ちながら待つこと数分。
ハルヒ「おまたせ〜!みくるちゃんのブラが壊れちゃってさぁ〜」
朝比奈「言わないでくださいってお願いしたじゃないですかぁ〜」ウルウル
なぁにぃ?!Σ(゚д゚lll)ガーン
じゃぁ今の朝比奈さんは…まさか!ハルヒ!!グッジョ…ばない!お前なぁ!
古泉「おやおや…それは災難でしたね。大丈夫ですか?」
長門「私が一時的に補修したので問題ない」
ハルヒ「あっ!もう15:30回ってるじゃない!急ぐわよみんな!」
そう言うとハルヒは、まるで陸上選手のようなスピードで坂を下りていった。
今日何回目だろう。暇なヤツは数えてくれ。
…やれやれ…
朝比奈「まってくださぁぁ〜い…」
長門「……」スタスタ
古泉「では我々も急ぎましょう」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 02:26:27.21 ID:V3ldRAQ90
俺の家に到着。そういえば昨日は殺されてから帰ってないな。
自分が死んだなんて知ったら親も悲し…んでくれると信じたい。
ハルヒは俺の心構えが出来ないうちに(当然か)インターホンを押した。
ハルヒ「こんにちは〜、誰か居ませんか〜ぁ?」
妹「はぁ〜い、ってお姉ちゃん誰ぇ?」
ハルヒ「あら、キョンの妹ちゃんかしら?私はキョンのクラスメイトの涼宮ハルヒって言うの」
妹「…ハルにゃん?」
ハルヒ「そう。ここに居るのはみんなキョンの友達よ。聞きたいことがあって来たんだけど…お母さんとか居る?」
妹「まってね。」おかぁさ〜ん?!
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 02:34:35.62 ID:V3ldRAQ90
…妹よ。兄が居なくなっても全然変わらないな…気落ちしてるんじゃないかとハラハラしたこの兄の優しさを返せ。
しばらくするとお袋が出てきた。お袋も至って普通。どうやら俺が死んだということを知らないらしい。
母親「はい?」
ハルヒ「こんにちは。キョンのクラスメイトの涼宮です。キョンのことについてお話をお伺いしたくて来ました」
母親「あらあら、そうなの?キョンったら…何も話をしなかったのね…」
古泉「彼の友人をさせていただいています古泉と申します。話といいますと?」
母親「あの子はね、実家に帰ったのよ」
お袋にまでキョンと呼ばれるこの悲しさ。あんたは俺に立派な名前を付けてくれたじゃないか!せめて名前で呼んで…って…実家?
ハルヒ「実家って?田舎とかですか?」
母親「ん〜ん。本当の親が迎えに来てねぇ、ご両親が住んでいるカナダに引越しをしたの」
ハルヒ「…はっ?」
朝比奈「…えぇ?」
古泉「…なんと…」
長門「……」??
キョン「はぁっ?!」
まてよ、俺って生まれて物心が付いたときには、
目の前に居るお袋に抱っこされていたような…っておいおい!
俺ってこの家の子供じゃなかったのかよ?!
っておい!誰か説明してくれ!アラストール!!!
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 02:46:14.38 ID:V3ldRAQ90
この場に居る全員がフリーズしていた気がした。あのハルヒでさえ黙ったんだからな。お袋はすげぇよ。そんな状態を打破したのは古泉だった
古泉「えっと…彼はこの家のご子息ではなかったのでしょうか?」
母親「えぇ。色々あって養子なの。でもご両親との話し合いで、生みの親の所へ戻ることになったのよ」
朝比奈「…まさか…そんな…、だってキョン君は【禁則事項】なのに」
長門「……初めて知った」
ハルヒ「えっと…よろしければ引越し先とか教えていただけないでしょうか?」
母親「ごめんね、それがご両親の希望で…教えてもらえなかったのよ」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 02:53:47.31 ID:V3ldRAQ90
その後ハルヒはなんとか少しでも情報を聞き出そうとしていたが
お袋は何も知らず、聞き出すことは出来なかった。
朝比奈さんは真っ青な顔で震えているし、古泉はニヤケスマイルが消えかかっていた。
長門は…至って冷静。この宇宙人アンドロイドにはビックリとか無いんだろうか?
結局わかったことは
1)俺はこの家の子供じゃない
2)この家に来たのは2歳だった
3)俺の両親は日本人だが、今はカナダに住んでいる
4)連絡先などは一切不明
ということだけだった。…ってか、俺がはじめて聞いたよ。
ハルヒ「…これ以上の情報は聞き出せなかったわね…」
朝比奈「あのぉ…こんな事ってあるんでしょうか…?だってキョン君は…」
ハルヒ「在るも何も今聞いた話が事実でしょ。まさかここまで話を進めておいて冗談だったら許さないわよ!!」
古泉「彼が養子だったとは…。しかし彼は何も話をしてくれませんでしたね。残念です」
ハルヒ「まったく!もし会ったら許さないわよ!ふんどし一丁で校庭120周の刑よ!」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 03:05:15.20 ID:V3ldRAQ90
結局ハルヒは「解散!何か分かったら言うわ。みんなも調べてみてね」
という声と共に、その場で解散と…なったのはハルヒだけだった。
古泉「長門さん、朝比奈さん、今から少しお話をよろしいでしょうか?」
朝比奈「はい。私も話をしたことがあります」
長門「現在地からだと私の家が近い、話はそこで」
そういうと、3人は長門のマンションに向かった。…この場合は俺も行ったほうが良いんだろうか?
まぁメチャクチャ家に居づらい感じになったし、ひとまず付いていくか…。
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 03:11:37.51 ID:V3ldRAQ90
数日前に来たばかりの長門の家。当然のことながら何もない
この殺風景な部屋の中央に置かれたテーブルに座った朝比奈さんと
古泉に、長門はお茶を出すと「飲んで」と一言だけつぶやいた。
古泉「まず長門さん、彼は本当にカナダへ行かれたんですか?」
長門「…行っていない」
朝比奈「じゃぁキョン君はどこへ?ご家族の人は何故カナダへ行ったと?」
長門「…ごめんなさい、全ての責任は私にある」
古泉「何があったのか説明をしていただけますか?」
長門はうつむいていたが、前を向いてゆっくりと話はじめた。
長門「彼は、昨日の17:46分に殺害された」
朝比奈「え…?」
古泉「ばかな?!」
長門「彼を殺害したのは朝倉涼子。私のバックアップインターフェイス」
長門「朝倉涼子は独断専行で暴走。彼を教室に呼び出して殺害した」
長門「朝倉涼子の情報操作に気がついたときには…すでに遅かった」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 03:19:40.52 ID:V3ldRAQ90
古泉「朝倉さんというのは…彼と同じクラスの方ですか?」
長門「…そう」ショボン
朝比奈「そんな!じゃぁ朝倉さんは今はどちらに?」
朝倉「ここよ♪」
玄関を見ると、朝倉はすました笑顔で立っていた。
朝倉「未来派、超能力派のみなさんもおそろいで♪」
朝比奈「なんでキョン君を!キョン君はこの先に…この先に…」ナミダ
古泉「…くっ…この先どうなっても知りませんよ」
朝倉「私たち情報統合思念体は、涼宮さんの情報爆発を観測するのが目的なの」
朝倉「キョン君が涼宮さんを変化させるには何年かかるか分からないじゃない?」
朝倉「しかも思念体が欲しい情報が確実に得られるかわからない」
朝倉「それなら情報爆発を促進させればいいじゃない?」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 03:30:02.14 ID:V3ldRAQ90
相変わらず澄ました笑顔でそう言い終えるのを確認すると、長門はこれまでにない強い視線を朝倉に向けた
長門「私は許さない」
朝倉「そう?まぁ今の私は罰則を受けていて何も出来ないし♪」
朝倉「この先どんな事になるのかじっくり観察させてもらうわ」
そう言うと、朝倉は隣の部屋に入ってしまった。…隣の部屋?
長門「朝倉涼子は私の監視下に置かれている。情報操作も一切出来ない」
古泉「長門さん、彼を戻すことは出来ないんですか?」
長門「不可能、有機生命体を構成するのは、思念体ではまだ不可能」
古泉「なら…朝比奈さんは?!過去に飛んで彼を救うとか」
朝比奈「…ごめんなさい。IFが出来るだけで、現状のこの時間平面状にはなんら変化がありません」
朝比奈「詳しくは禁則に該当するんですが…、キョン君はこの世界の鍵なんです」
朝比奈「キョン君が2人いる異世界が構築されてしまうと、未来にどんな影響が出るか…」
古泉「現在涼宮さんの精神状態は非常に不安定ですが、閉鎖空間は発生していません」
長門「しかし、バランスがひとたび崩れれば」
朝比奈「世界は崩壊…ですか…」ショボン
朝比奈さんは2割ぐらい小さくなって帰っていき、古泉はニヤケスマイルを復活できないまま長門のマンションを後にした。
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 03:40:44.95 ID:V3ldRAQ90
なんとか鶴屋さんを参上させてみたいと思います。
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俺は…さすがに無断で長門の家に居るのも気が引けたのでマンションを出ることにした。
ちなみに俺は幽霊だからなのか?壁とか通過して出てきた。こりゃ便利だ。鍵とかいらないじゃん?
俺は行くあても無く彷徨うのもイヤだったので、ひとまず部室に行くことにした。
学校までは…空を飛んだほうが早そうだが、幽霊と言っても空は飛べないらしい…ちくしょ…。
そんな悪態をつきながら学校に向かう途中、俺を凝視する人が居た。北高の制服を着た女性だ。見たこと無い人だ。
この人は俺が見えるんだろうか?霊感のある人なのかもしれない。
と言ってもここで「やぁ!俺が見えるの?いやぁ〜助かるよ〜」なんて言うわけには…
???「成仏してないみたいだねぇ〜?」
あははは(汗)話しかけてきた。どうしよう?ってか俺の声は聞こえるのか?
???「成仏するかい?手助けするけど?」
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 03:52:08.71 ID:V3ldRAQ90
成仏?いや、まだするわけにはいかない。ハルヒが暴走しないか見届けたいし。声が届くか声を出してみるか?
キョン「俺が見えるんですか?」
???「おや、やっとしゃべったね。名前は?」
キョン「△□って呼ばれていました」
???「△□君かい?私は鶴屋っていうんだ。よろしくね!」
あ!俺は転校した事になってるんだった!もし俺を知っている人だったらどうするか?ハルヒの仲間。として学校内では有名らしいからな…どうするか…。この場はなんとか切り抜けないと…
キョン「鶴屋…さんですか。よろしく」
鶴屋「んで、君は何をしてるんだい?」成仏したい感じはなさそうだけど?
キョン「えっと…色々あって死んじゃったみたいで…」
鶴屋「ふ〜ん…死んだ…ねぇ…」
キョン「???」
鶴屋「いや、気にしないで。成仏したいならうちに来ればやってあげるけど?」
キョン「あ〜…今はまだちょっと…。用事が済んだらお願いします」
鶴屋「そうかい。じゃぁ待ってるよ。家はこの通りの先、2つ目の十字路を右だよん」
キョン「ありがとうございます」
鶴屋「いやいや、気にしなくていいよ!じゃぁね〜!」
…幽霊に手を振って明るく去っていく女子高生。…なかなか無いシチュエーションだな。
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 03:59:15.34 ID:V3ldRAQ90
俺は学校の門をすり抜けて、部室まで難なく入ることが出来た。
さすがに時間が遅いので誰も居ない。いつもならここで「お茶でも…」と言いたい所だが、
幽霊はお腹が空かないらしい。便意もないらしい。何かの本で「死んだときの意識を保っている」
って読んだことがある。とすると、俺はお腹も空いてなかったし便意も無かったからこの状態なのか…。
幽霊にも時間は平等にあり、朝まで俺は一休みすることにした。…幽霊なのにとか言わない!
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 04:03:18.94 ID:V3ldRAQ90
次の日。気がつくと外は明るくて、時間は…どうやら9時すぎらしい。寝すぎたか。
教室に行ってみると、何事もなく授業が始まっていた。俺の席はすでに片付けられている。ハルヒは…休みか?来てないようだな。
風邪とか?いやぁ〜まさか。ハルヒが相手なら風邪だって逃げるさ。そういう女だあいつは。
学校に居ても放課後までは何もすることが無い。なら…ハルヒの家に行ってみるか?確か以前携帯に登録してもらったよな。住所はうろ覚えだがなんとかなるだろ。
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 04:20:28.66 ID:V3ldRAQ90
ここがハルヒの家。ハルヒの事だから、屋根が地面の下にあるような奇抜なデザインかと違った期待をしたがそれはなかった。至って普通の一軒屋。それがハルヒの家だった。俺の家と大きさは変わらないかな?ハルヒは…2Fかな?
おじゃましま〜す
一応礼儀でそうつぶやきながら部屋に入ってみた。…至って普通の女性らしい部屋だ。
ぬいぐるみとかはないけど、きれいに片付けられている。もしかして意外と普通の女の子?
ハルヒはベッドにうつ伏せに倒れていた。まさしく「倒れていた」という表現が正しい。
制服を着ているのでおそらく学校に行こうとしたんだろう。やれやれ…俺が突然転校して「不思議が来た!」って喜んでいた昨日とは全然違うな。
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 04:28:33.38 ID:V3ldRAQ90
キョン「ハルヒ。何をやってるんだ?授業は始まってるぞ?」
届かないと分かっていてもなんとなく声を出してみた…通じるわけがない。
参っているハルヒの顔はかわいいのはもちろんなんだが…部室を占拠したりしたハルヒの笑顔は、きっと今の朝比奈さんや長門に必要なんだと思う。だから…
キョン「ハルヒ、お前はSOS団を作った。そのとき何て言った?」
キョン「世界を大いに盛り上げる。そう言ったろ?」
キョン「盛り上げ役のお前が凹んでどうする?」
やれやれ。せめて言葉が通じてくれればきっと「うるさい!キョンのくせに!」って罵倒が帰って来るんだが。
俺はなんとなく今のハルヒを放置できなくて、隣に居てやることにした。
キョン「ハルヒ、せめてもう少しお前の奇行を止めて居たかったな」
しばらく居たが、ハルヒは寝てしまったため、再び学校に戻ることにした。
キョン「幽霊になってもこの坂道がキツイとは…やれやれ…」
やっとの思いで部室に入ると、午後の授業が始まっている時間にもかかわらず長門をはじめ、朝比奈さんも古泉も揃っていた。
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 04:34:41.96 ID:V3ldRAQ90
ーーーーーーーーーーーーーーー
古泉「昨日の深夜、かなりの数の閉鎖空間が発生しています」
朝比奈「涼宮さん…」
長門「おそらく夢を見ている」
古泉「涼宮さんが起床してからは、不安定ではありますが閉鎖空間の発生が一時的に落ち着いています」
朝比奈「早急に手を打たないと…ほんとに世界が崩壊してしまいます」
長門「しかし、現時点での我々には何もする手立てが無い」
古泉「長門さん、情報統合思念体の力で彼のダミーなどを作ることは…」
長門「可能。しかし、我々が把握している彼の行動パターンがあまりにも少ない為完全なダミーにはならない」
朝比奈「それなら、未来にあるキョン君の資料を参考にしては?かなりの文献がありますよ?」
長門「必要なのは思考パターン、彼の思考パターンが複製できなければ意味が無い」
朝比奈「そうですか…」ショボン
古泉「機関は昨日の会議で彼の存在による世界崩壊を防ぐ計画書の破棄を決定しました」
古泉「機関はこれより彼無しで涼宮さんの精神崩壊を防ぐ方法を模索します」
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 04:43:10.84 ID:V3ldRAQ90
俺はみんなの会話を40%ぐらいで聞きながら、今後のことを考えていた。
俺は死んだ。つまり幽霊だ。これ以上この世界に居てもなんら変化は無い。
むしろ成仏できないとこのまま一生彷徨うかもしれん。
なら、昨日の女の子店鶴屋さんだっけ?に頼んで、成仏するのが正解かもしれん。
朝比奈さん。短い間でしたがありがとうございました。
あなたの入れてくれるお茶はとてもすばらしく、この部室に来る唯一の楽しみでした。
これから先ハルヒが無茶を言うかもしれませんが、キッパリ断らないと駄目ですよ?
長門、お前とも短い間だったな。
長門が貸してくれた本、あれ3割ぐらいで止まってるわ。
俺にはちょっと文字数が多かったな…。もし次会うことがあったら俺でも
読めそうな面白い本を紹介してくれ。
それと、もう少し自己表現をしてもいいぞ?
朝倉…とまではいかないが、少しは見習ってもいいな。うん。
古泉。
お前とはもう少し色々話をしてみたかった。オセロとかやりたかったな。
ハルヒをよろしく頼む。このままではハルヒは孤立した人生になっちまう。
機関とか神様とかそういう話を抜きにして接してやってくれ。
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 04:51:28.76 ID:V3ldRAQ90
俺は、わずか1ヶ月ちょっとしか通わなかった学校を見て回った。
校庭、教室、屋上、職員室、校門…。
成仏ってどんな気分なんだろ?寝るような感じかな?
まぁ、朝倉にナイフを刺されたときみたいな痛みはもうないだろ。
なるべく楽観的に考えながら学校を後にして、俺はこの間教わった鶴屋さんという女性の家に向かった。
家までは結構あったが、成仏すると決めたから?なんか気分は晴れやかだった。
…すっげぇ家だなおい…。何をしたらこんな家に住めるんだ?
政治家だってもう少し質素だと思うが…。
そう思いながらも門をくぐると、SPのような黒いスーツを着た男2人が玄関脇に立っていた。
どんだけすごいんだ…この家。
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 05:02:21.06 ID:V3ldRAQ90
キョン「おじゃましま〜す…」
つぶやきながら玄関をあがると、長い廊下にいくつもの部屋。…正直迷子になりそうだ。
いくつ目かの部屋を覗くと、和服の女性が座ってこっちを見ていた。
???「お待ちしていましたよ」
あ、この人も霊感があるのか?
キョン「…えっと、こんにちは」
???「娘から聞いています。△□君ですね?」
キョン「はい。…って娘?ってことは…?」
鶴屋母「はい、あの子の母です」
キョン「そうでしたか、キレイだったのでお姉さんかと…」
鶴屋母「うふふ、うれしいことを言ってくれますね、ではこちらへどうぞ」
そういうと、部屋の中央にあるざぶとんに案内してくれた。成仏する霊にざぶとん。…まぁいいか。
ってかこの人といい鶴屋さんといい、いったいどういう人なんだろう?
キョン「あの…ひとつ質問をいいですか?」
鶴屋母「はいどうぞ?」
キョン「失礼ですがあなたは何者ですか?宇宙人?いや、超能力者?」
鶴屋母「あはははっ、私はいわゆる霊能者です。この家の家族は全員霊能者なんです」
キョン「どうりで俺の姿が見えるわけだ…」
キョン「んで、成仏ってどうやるんですか?成仏した後俺はどうなるんですか?」
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 05:09:18.56 ID:V3ldRAQ90
鶴屋母「その件で、あなたに一つ謝らなくてはいけません」
キョン「…はい?」
鶴屋母「あなたは完全に死んでおりません。いわゆる”仮死状態”なんです」
キョン「はぁ?いやいや待ってください!俺は間違いなく死にましたよ?」
鶴屋母「おそらく肉体は完全に死んでおりません。」
キョン「じゃぁ俺の肉体は…?」
鶴屋母「それはわかりません。ご家族や友人などに確認をとらないと」
キョン「…んな馬鹿な」
鶴屋母「そこで、私の霊力の一部をあなたに授けます」
キョン「…はぁ…?」
鶴屋母「私の霊力を使用すれば、あなたは自分の肉体の位置を知ることが出来ますし、肉体に戻るエネルギーにもなります」
キョン「えっと…つまり、俺は肉体に帰るわけですね」
鶴屋母「はい。そうすることで次は完全に死ぬことが出来ます♪」
キョン「Σ(゚д゚lll)ガーン」
鶴屋母「いいですか?いきますよ?【おん、なぁぼきゃぁなぁぼきゃべいろかのう…】」
なにやら呪文を唱え始めた。正直この手の話を俺は全く信用してない。
なぜなら、そんな事ができるならこの世は幽霊だらけのはずだからだ!。
キョン「…っ!なんだ…体が…引っ張ら…っ!!」
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 05:15:33.80 ID:V3ldRAQ90
同時刻、部室内。
朝比奈「あのぉ…キョン君は亡くなったんですよね?」
長門「…そう」
朝比奈「キョン君は成仏してしまったんでしょうか?」
長門「通常の霊体であれば、私の情報操作で視覚的に捉えることが出来る」
長門「しかし、情報操作をしても彼の存在を捕らえることができない」
古泉「…つまり、やはり成仏してしまった。と捕らえるべきでしょうか…」
長門「もしくは、死んでいないと捕らえるか」
朝比奈「えっ?」
古泉「しかし、彼は殺害されたのでは?」
長門「彼が転校したという情報操作の影響で、彼の肉体は消滅したために確認は出来ないが」
長門「彼が殺害されたという情報自体が私の誤りかもしれない」
古泉「ということは…」
朝比奈「キョン君は生きてる?」
古泉「しかし、彼の肉体は…」
長門「私が連結解除をしたので、すでに無い」
朝比奈「じゃぁキョン君は」
長門「生霊のまま彷徨うことになる」
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 05:26:54.39 ID:V3ldRAQ90
……ン、なんで……
キョン「なんだ?誰だ一体」
……たが居な………たら………、んはどうするのよ…
…独り言か?ってか俺は…鶴屋さんの家に行って…お母さんに会って…、
霊力とかってやつを当てられて…あぁ〜、肉体に戻ったのか。という事は
この声は誰かが俺の周りでぶつぶつ言ってるのか。
…まてよ、ってか俺は転校した事になってるんだよな?誰がぶつぶつ言うんだよ。
…ン…、…ョン…
…誰かが呼んでる?…誰だ。俺は今やっと肉体に戻って、これから生きるか死ぬかって瀬戸際なんだ。
ってか楽に殺してくれ。もう死ぬ気マンマンなんだからな。古泉たちにお別れも言ってきたし。
……る………い
キョン「はぁ?何だって?ハッキリ大きな声で言ってくれ」
死ぬなんて許さないわよ!!!
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 05:33:41.51 ID:V3ldRAQ90
キョン「…やれやれ、目が覚めたらお前の声か」
ハルヒ「こんなところでなにやってるのよ」
…ハルヒだった。あぁハルヒだ間違いない。しかし、心なしか小さいような…
髪の毛も長いし…
ハルヒ「こんなことろで何やってるの?って聞いてるのよ」
キョン「ここはどこだ?」
ハルヒ「さぁ?」
キョン「ハルヒ…だよな?」
ハルヒ「…っ?!なんで私の名前を知ってるのよ?!」
キョン「あ…いや…まぁ…な」
ハルヒ「あんた誰?何者?なんで私はここに居るの?ねぇ何かしらない?」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 05:38:15.54 ID:V3ldRAQ90
ハルヒの声をスルーして周りを見回す。
真っ白な空間。どれぐらい広いだろう…上も下もわからない。ただ広い空間。
俺は病院に戻ったんじゃないのか…
キョン「ここはどこなんだよ」
ハルヒ「しらないわよ!私だって気がついたら居たんだもん」
キョン「お前は涼宮ハルヒ、間違いないよな?」
ハルヒ「そうよ、ってかなんでそんなこと知ってるのよ?」
キョン「さぁな」
そう言って俺は立ち上がった。といってもどっちが床なのか分からないが。
さて、ここはハルヒのとんでも能力のによる影響と考えたほうがいいのか?古泉いわく
「涼宮さんには、周りの環境を構築する力がある」…だっけか、なんかそんなことを言ってたな。
あぁ…あいつのニヤケスマイルが頭から離れん。忌々しい。あぁ忌々しい忌々しい。
ハルヒ「ねぇ、暇だから何かしてよ」
キョン「…何かって?」
ハルヒ「なんでもいいわよ、なんか面白いことしましょうよ!」
キョン「…やれやれ…死ぬ間際でも俺はこいつに振り回されるのか…」
そう思って頭がうなだれた途端、頭上を何かが横切った
…???なんだなんだ?今度はなんだ?
周りを見ると…誰か居る。…あれは…朝倉?!手には…あのサバイバルナイフが握られていた。
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 05:51:07.83 ID:V3ldRAQ90
朝倉「キョン君ひさしぶり♪」
キョン「朝倉…おまえ何でここに」
ハルヒ「ねぇ、あんただれ?暇なら何かしてよ。そうね…けいおんゴッコとかどう?」
ハルヒ…今更ゴッコ遊びはやめようぜ…。ってかなんだけいおんって?
朝倉「あら涼宮さん♪やっぱりキョン君を助けようとしたのね」
キョン「どういうことだ!…ってか俺は死んだんじゃないのか?!」
朝倉「そうよ、私が殺したわ。でもね。涼宮さんはキョン君がとってもお気に入りみたい」
朝倉「あなた自身を守るプロテクトを貼ってあったみたい」
キョン「…プロテクト?なんだそりゃ?」
朝倉「簡単に言うとお守りみたいなものかな?”キョン君に何かあった場合許さない!”って意思が張り付いてるの」
キョン「なんだそりゃ?怨念みたいだな」
朝倉「あぁそうね。いい表現だわ♪」
キョン「ってか、お前はなんでこんなところに居るんだ」
朝倉「簡単よ、キョン君の構成情報自体に私の複製体を打ち込んでおけば良いんだもん♪」
キョン「インフルエンザみたいだな」
朝倉「ひどぉい!私はこれでも女の子なんだから!」
キョン「殺そうとした相手に女の子という感情は湧かねぇな」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 06:00:27.97 ID:V3ldRAQ90
ハルヒは…こいつだけでも逃がさないと。未だにこのハルヒが何なのかサッパリだが、
なんとなくハルヒを殺されるのはまずい気がする
しかし当のハルヒは朝倉に興味はないらしく、俺の服の中からみつけた携帯電話に興味を示している。
つまらなそうに携帯をいじる様はいかにもハルヒらしい。
朝倉「じゃ、お話はおしまい♪次こそ死んでね♪」
キョン「俺が死んでも意味ないだろ?転校したんだから」
朝倉「情報操作をすれば簡単よ♪飛行機が墜落…ってのはどう?それとも通り魔に殺されたとか?」
キョン「まさしくお前じゃねぇか…」
朝倉「んふふ♪ここでは私の情報操作はできないけど、長門さんの助けは来ないわよ?」
朝倉は楽しそうにナイフをもてあそんでいたが、やがて構えるとものすごいスピードで突っ込んできた。
俺はそれを真横に飛んで回避する。急いで立ち上がると、朝倉は俺が立ち上がるのを待っていた。
…余裕ってやつか。ちくしょ…情けないが運動神経も頭脳も朝倉には勝てそうにない。
しかもこっちは小型ハルヒを守らなくちゃいかん。
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 06:07:57.68 ID:V3ldRAQ90
ハルヒは何がなんだかわからないまま「危ないわねっ!そんなのしまいなさいよ!」と叫んでいた。
なぁハルヒ。その一言で「あ、そうだね♪」って言ってくれるなら、世の中の通り魔は居なくなると思うぞ?
もう何度目だろう?朝倉のナイフをよけるのは。ここまでは奇跡と言っていい。
俺の服はすでにあちこちに切れ目が入っていて、血が出ている傷も多々あった。
ここまでの朝倉を見ていると、なぜかハルヒに狙いを定めない。あくまでも俺だけ。…何故だ?
ってか、朝倉は宇宙人。俺は人間。俺がたとえ幽霊だとしても体力的にそろそろ限界だ。
殺される。…長門…、朝比奈さん…、古泉…、ハルヒ…!!
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 06:11:54.62 ID:V3ldRAQ90
そうだ!
キョン「ハルヒ!」
ハルヒ「…なによ!早くなんとかしなさいよあのおねえちゃん!」
キョン「さっきの携帯電話はどうした?!」
ハルヒ「あるわよ!あんたのメールを1件ずつ読んで消してる最中だもん!」
こいつ!なんてことを!シークレットには朝比奈さんの秘蔵画像も入ってるのに!ってそんなことより
キョン「電話帳に”長門有希”という名前の電話番号がある」
ハルヒ「それがどうしたのよ!」
キョン「今すぐにかけろ!」
ハルヒ「いいけど…圏外よ?!」
キョン「お前が”つながる!”って思えば、圏外なんて関係ない!」
ハルヒ「はぁ?何言ってるのよ!」
キョン「早くしろ!殺されるぞ!」
朝倉は次々とナイフを投げてくる。…ってかあいつは何本ナイフを隠しているんだ?!
ハルヒを守りながらナイフの雨アラレを回避するのは正直もう…限界…
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 06:17:40.65 ID:V3ldRAQ90
朝倉は次々とナイフを投げてくる。…ってかあいつは何本ナイフを隠しているんだ?!
ハルヒを守りながらナイフの雨アラレを回避するのは正直もう…限界…
ハルヒ「コールしてる!」
キョン「つながったらこう言え!」
SOS団全員集合!5秒以内!!!
ハルヒ「今すぐ来なさい!命令よ!!!」
朝倉の真後ろに、青い球体ができると、その球体から強力な支援が来た
長門「待たせた」
朝比奈「ここはどこですかぁ〜?」
古泉「あなたも人が悪い。パーティーには早めに呼んでくれないと」
あぁ…やっと揃ったな。ハルヒはちょっと小型だが、これでSOS団が揃った。
ハルヒ「ねぇ!あの人たちどうやってきたの?!何?!宇宙人?!」
キョン「ハルヒ!俺の名前は」
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 06:19:29.48 ID:V3ldRAQ90
ジョン・スミスだ!!!!
この言葉をハルヒが聞いた途端ハルヒの目が変わった。
あのSOS団を結成したときの、太陽でさえ逃げるような力強い目は
もう安心していいことがわかる。
ハルヒ「朝倉。キョンを狙うまでは計画としてよかったわ」
ハルヒ「でもね、SOS団に歯向かった以上覚悟は出来てるんでしょうね?」
ハルヒ「閉鎖空間発生!」
ハルヒ「パーソナルネーム”朝比奈みくる”のTPDDの全リミッターを解除!」
ハルヒ「みくるちゃん!TPDDを使ってこの空間の時空を元の時間軸に接続!」
ハルヒ「情報統合思念体を、パーソナルネーム”長門有希”に接続!」
ハルヒ「有希、戦闘体勢に入って」
長門「了解、思念体への接続感謝する」
ハルヒ「古泉君、閉鎖空間内だから闘えるわね」
古泉「えぇ、お任せください」
朝比奈「涼宮さん!元の時間平面に接続完了しました!」
ハルヒ「ありがとうみくるちゃん!この空間維持は任せたわよ」
朝比奈「はい!」
ハルヒ「SOS団、朝倉涼子を殲滅開始!」
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 06:27:56.63 ID:V3ldRAQ90
その後は覚えてない。ひとつ言えることは、朝倉が可哀想なぐらいたこ殴りだったということだ。
気がついたら家のベッドで寝てた。…いわゆる「夢オチ」ってやつだ。
時間は…6:30。もう起きる時間かぁ…。
起きた途端に電話がなる。このタイミングで鳴らすのは…当然長門だ。
キョン「よぉ長門」
長門「……」
キョン「えっと…」
長門「全ての情報改変を戻した。通常通り登校して欲しい」
キョン「了〜解。…長門」
長門「……」
キョン「ありがとな」
長門「またあとで」
相変わらず淡白な電話だ。すこし感情表現を教えるか。
戻ってきた日常。
すべてはタチの悪い夢…だと思いたい。
が、夢ではない。という証拠に、俺の携帯に入っていたメールはなぜか半分以上消えていた。
教室に入ると、俺の後ろの席にはいつもどおり不機嫌そうなハルヒが窓の外を眺めていた。
キョン「よぉ、空からハトの糞でも降ってきて制服が汚れたか?」
ハルヒ「…ばかね、そんな被害に会うのはあんたぐらいよ」
ハルヒ「夢を見たのよ、なんかね、前半はすごくつまらなかったわ」
キョン「ほぉ…じゃぁ後半は?」
ハルヒ「楽しかったわ、あの世界に閉じこもっていたいぐらい楽しかった」
キョン「そうかい」
キョン「ハルヒ、世界を大いに盛り上げるまで付き合うぜ」
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 06:35:58.71 ID:V3ldRAQ90
放課後、岡部に呼び出されたハルヒは暗黒闘気をなびかせながら職員室へ消えた。
俺はいつもどおり部室へ。久しぶりな気がする。
コンコンとノックすると、中から「はぁ〜い♪」というエンジェルボイスが!
あぁ〜やっと帰ってきたんだな〜。
キョン「こんにちは朝比奈さん」
朝比奈「…ぐしゅ…、、、キョンくぅ〜ん…」
キョン「あ、朝比奈さん?!どうして泣いてるんですか?」
朝比奈「もう忘れちゃったんですか?キョン君は…キョン君はぁ…」ウルウル
あぁ〜そうだった。俺殺されたんだった…。
古泉「どうも。おかえりなさい。と言ったほうがいいでしょうか?」
キョン「よぉ。色々すまなかったな」
古泉「いえいえ、しかし…一時はどうなるかと思いましたよ」
キョン「俺はもう駄目だと思ってたさ」
古泉「僕もそう思ってました。しかし…涼宮さんに助けられましたね」
キョン「…かもな、とにかく今回は疲れた」
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 06:41:46.70 ID:V3ldRAQ90
キョン「…長門」
長門「……?」
キョン「色々ありがとな」
長門「お礼はいらない。元はといえば朝倉涼子の暴走が原因、こちらの不手際」
キョン「なぁ、なんであの小型ハルヒは突然すべてを知っていたんだ?」
長門「これはあくまでも予測。あの涼宮ハルヒは、おそらく世界改変そのものだと思われる」
古泉「なるほど…世界改変能力そのものであれば全てを知っていてもおかしくないですね」
朝比奈「じゃぁ今の涼宮さんは…すべてを?」
長門「いや、あれは能力そのものであり、記憶ではない。よって今の涼宮ハルヒにはあのときの記憶は無い」
キョン「そっか…じゃぁこれまで通りってわけだ」
長門「そうとも限らない」
古泉「といいますと?」
長門「何故世界改変能力があなたに付いていたのか、朝倉涼子に殺されたあなたを助けたのかが不明」
キョン「…朝倉はお守りとかって言ってたな…」
長門「これは推測の推測だが、世界改変能力は、涼宮ハルヒ自体には無いのかもしれない」
古泉「…ってことは…誰に?」
朝比奈「でも世界改変能力は涼宮さんの形をしてました」
長門「謎が多いのでこれ以上はわからない。情報統合思念体も観察を続行するように指示している」
古泉「とにかく、あなたはあの世界改変能力で復活なさったわけですね」
キョン「不本意だがな」
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 06:46:30.49 ID:V3ldRAQ90
キョン「…そういえば朝倉は?」
長門「情報統合思念体の判断で、あのあと連結解除された。今はもう居ない」
キョン「…あぁ〜…そっか…え〜っとだな長門…」
長門「…?」
朝比奈「…?どうしたんですか?キョン君」
キョン「あぁ〜…朝倉は戻してやってくれないか?」
朝比奈「なっ?!」
古泉「何を考えているんですか?!あなたは殺されたんですよ?」
長門「戻す理由が分からない、説明を」
キョン「ん〜っとな、朝倉は多分何か知ってたんじゃないかと思うんだ」
キョン「あの空間での一戦の時、俺を殺そうとはしたが、ハルヒには一切手を出さなかった」
キョン「朝倉は…多分世界改変能力の何かに気が付いたんじゃないかと思うんだ」
キョン「それに、長門だってもう知ってるんだろ?朝倉は自分の意思で俺を殺そうとしたんじゃない。って事」
長門「……」
キョン「一応親玉に相談してみてくれ。まぁもちろんもう殺されるのはゴメンだからそれなりの制限は欲しいけど」
108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/09(水) 06:47:51.74 ID:V3ldRAQ90
…遠くから地響きが聞こえる。あぁ、扉もそろそろ外れるかな…
ハルヒ「あぁ〜イライラする!みくるちゃんお茶!」
朝比奈「はぁ〜い」
キョン「どうした?なんかあったか?」
ハルヒ「どうもこうも無いわよ!岡部のヤツ!SOS団をやめろとかって言うのよ?!」
キョン「全うな意見だ…」
ハルヒ「はぁ?!なんか言った?!」
キョン「いいえ…別に…」
ハルヒ「ところでキョン。あんたの携帯を見せて欲しいんだけど」
キョン「なんでだよ?メアドでも変えたか?」
ハルヒ「いいえ、あんたのシークレットが見たいのよ」
キョン「(うっ…)な、なんでお前にシークレットを見せなきゃならんのだ?!」
ハルヒ「なんかね、確認しなきゃいけない気がするのよ」
キョン「断固拒否する!」
ハルヒ「古泉君、キョンを抑えて」
古泉「かしこまりました」
キョン「おい古泉?!」
ハルヒ「みくるちゃん、出入り口を封鎖」
朝比奈「あ、はぁ〜い」
キョン「朝比奈さん!言うこと聞く必要ないですよ?!」
ハルヒ「さぁ〜キョン。見せなさい〜…」
キョン「あ…あぁ!やめろハルヒ!!あぁ〜!!返せ俺の携帯!」
第一部 END
110 名前: ◆uic8tDTE71/T [sage] 投稿日:2009/09/09(水) 06:52:40.68 ID:V3ldRAQ90
オチがひどくてごめんなさい。
この後にはすでに続きの構想があって、世界改変能力をめぐる事件がこのあと発生します。
今回朝倉の幕引きが無かった理由。
鶴屋さんが何故霊能者の家系なのか
というのもすべてつながります。
そのためにどうしてもこのような理不尽なオチになってしまいました。
また機会がありましたらいずれ。
スレ汚しすみませんでした。