1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/20(木) 22:00:04.85 ID:gfkyphZS0
突然ぽんと放り出された場所。
そこは、毎日通う学校。
だが、何かがおかしい。
決定的な違和感を感じながら、その正体が判らないでいる。
「ハルヒの閉鎖空間・・・とも違う感じだな」
周囲には誰もいない。
日は高く、容赦なく夏の日差しが窓越しに襲ってくる。
「だけど暑くはない・・・」
不可解。
あまりに理解不能。
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/20(木) 22:05:53.75 ID:gfkyphZS0
パリンッ ガシャンッ
何かが割れる音にふりむくと、廊下の窓ガラスが全て割れ落ちていた。
「嘘だろ・・・」
木が揺れる様を見れば、おそらく突風でガラスがわれたのだろうことは判る。
問題は、風とともに吹き込んでいる・・・雪。
「日差しは夏・・・降るのは雪・・・そして暑くも寒くもない、か」
考えるのをやめたほうが楽になる。
その誘惑と戦いながら、状況を打破すべく歩き出す。
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/20(木) 22:08:51.22 ID:gfkyphZS0
ピンポンパンポーン
『今、突風でガラスが割れました。雪で視界も悪く、危険なので生徒の皆さんは教室で待機していてください』
ピンポンパンポーン
校内放送が流れる。
思わず何を見るでもなく見上げると、目に時計が映った。
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/20(木) 22:10:04.50 ID:gfkyphZS0
「もう1時か・・・」
手元に弁当は無い。
急に空腹を覚え、同時に焦燥感がつのってくる。
「もう風はやんだし雪も降ってない。外に出ても大丈夫なはずだろ」
なんとしても校外に出て、何かを食べなければならない。
そんな思いが胸を占める。
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/20(木) 22:14:21.80 ID:gfkyphZS0
階段に辿り着くと、生徒達が列をなしていた。
ざわざわという声とも音ともとれない雑音が耳にとびこんでくる。
「なんだこの列は・・・」
これだけの人数外ながら、先ほどまで気配を一切感じられなかったことに疑問はあったが、とりあえず、中の一人に声をかけてみる。
返ってきたのは「外に出るために並んでるんだよ」という簡潔な答え。
「それならこの列に並べばいいな」
だが、この列がどれくらいの長さなのか、外に出るのにどれくらいかかりそうなのか。
空腹はときに思考を鋭くする。
「玄関までどれくらい並んでるか見ておくか」
最後尾につくことをせず、その頭の位置を知るために再び歩き出す。
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/20(木) 22:18:01.42 ID:gfkyphZS0
「・・・確認してよかった」
列の先頭は玄関に向かうことなく、かなり手前で軌道をそらされていた。
教師達が監視しながら、列に並ぶ生徒達を教室に誘導している。
「こんなことじゃ、外には出られないな」
そっと、教師達に見つからないよう腰を落とし、列によって出来る死角に身をひそめて、監視の目が無くなる位置まで移動する。
どうしようか迷う視線が、ガラスの割れた窓をとらえた。
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/20(木) 22:20:45.11 ID:gfkyphZS0
「上履きのままだけど、しかたないか」
窓から外に出て、周囲に眼を配る。
幸い、監視は校舎内だけのようだ。
「さて、それじゃあスニーキングのはじまりだ」
植木や校舎の凹凸など校舎内から死角になる場所に身を隠し、窓の下を姿勢を低くして通り抜ける。
そしてようやく、下駄箱まで数メートルの距離に辿り着いた。
だが、そこには最後の監視がいた。
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/20(木) 22:22:55.40 ID:gfkyphZS0
眼が合い、そして、自分の目を疑ってみる。
眼の前にいるのは・・・ふわふわもこもこのうさぎコスプレをした・・・新垣結衣。
ガッキーの口が丸く開かれる。
「やばっ・・・」
とっさに手に触れたものを、その口にねじ込んだ。
その、手に触れたものとは・・・カッパ巻き。
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/20(木) 22:25:05.20 ID:gfkyphZS0
どうやら、教師用の昼食にとった寿司を、玄関近くにまとめて置いてあったようだ。
ガッキーは口をもぐもぐさせている。
その眼がきらきら輝いている。
そして、口の中のカッパ巻きを飲み込むと、こちらを向いて、大きく口を開けた。
戸惑っている俺に向かって、開いた口を指さすガッキー。
「ひょっとして・・・あーん?」
ためしに訊いてみると、こくこくと何度も頷く。
その口に、カッパ巻きを放り込む。
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/20(木) 22:27:25.36 ID:gfkyphZS0
幸せそうにカッパ巻きを咀嚼するガッキー。
「なあ。俺は学校の外に出たいんだけど、協力してくれるか?」
ガッキーは、頷くと上目遣いにこちらを見上げながら言った。
「逃がしてあげたら、野生のカッパ巻き、食べさせてくれる?」
・・・意味がわからん。
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/20(木) 22:29:13.51 ID:gfkyphZS0
「外に出たら野性のカッパ巻きなんかいくらでもいる!」
「ほんと?じゃあ逃がしてあげる」
玄関付近の監視の教師がいなくなるのを見計らって、下駄箱の陰に移動する。
校門は、重く冷たい鉄の門扉が閉ざしている。
開けるのに手間取ることは確実。
そうなれば、すぐに教師に見つかり教室に連れ戻されるだろう。
「何かいい手は・・・」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/20(木) 22:30:42.38 ID:gfkyphZS0
「私が先に行って門をあけてあげる」
ガッキーはそう言うと、校門に向かって全力で走っていった。
うさぎだけあって、流石に足が速い。
「よし、行くか」
ガッキーが校門に手をかけたのを見て、玄関から外に飛び出す。
行きがけの駄賃に、パックの寿司をふたつばかりちょろまかして。
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/20(木) 22:32:29.19 ID:gfkyphZS0
「あ、お前!」
「こら!何をしとるか!」
気付いた教師二人がこちらに駆けてくる。
一人は岡部。
もう一人は・・・・・・石原良純!?
つかまったらヤバイ!
全力で逃げないと!
タッチの差で校門から飛び出した。
瞬間、視界が暗転。
そして全てを理解した・・・・・・・・・
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/20(木) 22:34:48.94 ID:gfkyphZS0
古泉「・・・という夢を>>1が見たそうです」
キョン「・・・なぜ俺を主人公に置き換える」
古泉「いえ、まともなハルヒSSだと思った人が何人ひっかかるか気になりまして」
古泉「ハルヒキャラに置き換えたところは、特に誰ということもなく、顔の判別もできない変な人だったそうです」
キョン「そりゃ、夢の中でそううまく全員何かのキャラに置き換わることはないだろ」
古泉「ちなみに、二度寝した>>1が見たのは、良純と自分」
古泉「あとなぜかガッキーではなく、DMM.comのCMに出ている女性の三人でお寿司を食べている夢だったそうです」
キョン「・・・どうでもいい話をありがとう」
おわる