1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 05:14:24.62 ID:CW/rTLuT0
佐々木「いいんだよ。どうせ橘さんも周防さんも出かけているからね」
キョン「最近よく出かけるんだな、あいつら」
佐々木「ああ、いい遊び場を見つけたようだよ。君もよく知ってる場所だ」
キョン「? この町内でか?」
佐々木「そうなるね。くく、君ならもう聴いてるかと思ったけれど」
キョン「なんだそりゃ」
佐々木「じゃあ、クイズにしようか。二人が見つけた、遊び場と言うのが、何処だか。僕が出題者で、君が回答者」
キョン「ふむ」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 05:17:35.18 ID:CW/rTLuT0
佐々木「そうだな、ヒントは三つまでにしておこうか。答えに直接リンクするようなものでなければ教えてあげよう」
キョン「やけに楽しそうだな」
佐々木「世は空前のクイズブームさ。正直、テレビを見ながら、何故ここまでクイズが跋扈するものかと悩んでいたけど」
キョン「同感だな」
佐々木「こうして出題する立場になってみると、なるほど、自分は知っていて、相手は知らない秘密を、相手に探らせるというのは、とても良い気分だ」
キョン「あまり性格のよさそうなセリフには聞こえないな」
佐々木「知らなかったかい? 僕はこれまで、僕よりも性格の悪い人間に出逢ったことが無いというくらいに、悪い性分の持ち主であることを」
キョン「初耳だ。以後心にとどめておこう」
佐々木「では、シンキングタイム」
キョン「ふむ」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 05:19:59.27 ID:CW/rTLuT0
キョン「早速だが、ヒントその1を頼みたいんだが」
佐々木「いいだろう。答えても支障の無いものであれば答えるよ」
キョン「そいつは、利用することで経済的なダメージが発生する類の場所か?」
佐々木「つまり、有料の施設であるかということでいいかな?」
キョン「だな」
佐々木「僕はその問題のスポットを訪れたことが無いから、本当のところは分からないけど。でも、おそらくNOだろうね」
キョン「つまり、機械的な仕組みで仕切られた組織によって運営されている類の"施設"ではないと」
佐々木「そうなるね」
キョン「ふむ」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 05:24:58.29 ID:CW/rTLuT0
キョン「よし、ヒントその2にいってもいいか」
佐々木「よしなに。僕は応えるよ、許容された範囲内であればね」
キョン「そこにゃ、屋根ってもんがあるか?」
佐々木「……面白いヒントを要求するね、君は」
キョン「そうか? 実は、今の時点で俺の中に、一つ答えの候補が出来上がってるんだが」
佐々木「ほう?」
キョン「俺の経験上……あるいは九曜なら、その場所を好むかもしれない。そう思える場所だ。その場所の決定的な特徴を挙げると……そこには屋根が有る」
佐々木「成る程」
キョン「で、このヒントは受け入れられるか?」
佐々木「いいだろう。応えてあげるよ。応えはYESだ」
キョン「屋根はある」
佐々木「ああ。おそらくね。常識的に考えて、屋根が無いことは有り得ないと思うよ。先にも述べたけど、僕はその場所を訪れたことが無いので、明確な事実ではないけれどね」
キョン「まず、間違いなく、常識で考えれば、その場所に屋根はあると」
佐々木「その通りだ」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 05:28:47.21 ID:CW/rTLuT0
キョン「……なるほどな」
佐々木「どうだい? なかなか難易度の高いクイズだと思うんだけれど」
キョン「応えの目星は、一つ付いた。それが正解かどうかは、今のところまだ分からないけどな」
佐々木「ほう? 今の二つのヒントだけで、もう答えにたどり着いたと言うのかい?」
キョン「経験が物を言ってくれたよ」
佐々木「……聴かせて貰おうか」
キョン「古泉んちだろ」
佐々木「…………何か、種があるんだね?」
キョン「簡単な事だよ」
佐々木「聞かせて欲しいな」
キョン「あいつが古泉んちにいるのを、見たからさ」
佐々木「……これは驚いた。まさか、初めから負けが決まっていたとは」
キョン「悪いな」
佐々木「いや、いいさ。でも、不思議だ。橘さんは、君のことなんて一言も話してなかったけど」
キョン「そうだろうな。あいつは俺がいる間、ずっと寝てたから」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 05:33:56.57 ID:CW/rTLuT0
佐々木「ふうん」
キョン「俺が見る限り、あの状況は実に絶望的状況だったんだけどな」
佐々木「橘さんから大体の話は聞いたから、状況は知ってるよ」
佐々木「彼女は周防さんの行く手を追って、彼……古泉君の家にたどり着いた」
佐々木「そこで、夜通しおいかけっこをしたツケが回ってきてしまったのか、深くにも眠ってしまった」
佐々木「目を覚ますと、一刻ほどの時が流れていて、彼女の傍には、そうめんを啜る古泉君と周防さんの姿があったそうだ」
キョン「なるほど。九曜の力を持ってすれば、あの程度のカオスをうやむやにするのに、たいした労力は使わないだろうな」
佐々木「興味があるな、君の目にしたカオスと言うやつに。一体、どんな状況だったんだい?」
キョン「……まあ、いいか。話したところで、迷惑をこうむるのは古泉の奴だろうからな」
佐々木「君もなかなか良い性格をしているよ」
キョン「俺とあいつは元来そういう仲でな」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 05:39:16.02 ID:CW/rTLuT0
佐々木「……成る程ね。たしかに、橘さんにとって良い状況ではなかった。そして、君はそんな状況を古泉君に押し付け、逃避したと」
キョン「俺はそうめんを届けに行っただけだ、あいつに群がってきた女どもの粗相の後始末をしてやる義理なんかないさ」
佐々木「だけど、彼女の頭の上で害虫を潰したのも、彼女の体にジンジャーエールを振りかけたのも、間違いなく君の犯行なんだろう?」
キョン「……禁則事項だ」
佐々木「くく」
キョン「橘に言うなよ」
佐々木「安心していい。僕は友人と友人の仲を悪化させるような手配を好んでするほど、悪い性分の持ち主じゃない」
キョン「だといいんだがな」
佐々木「それで、君はどう思う?」
キョン「何がだ」
佐々木「あの二人が古泉君の家をたびたび訪問しているという事実についてさ」
キョン「別にどうも」
佐々木「意外ではないかい?」
キョン「そりゃ意外ではあるな。何しろ、あいつら……橘と古泉って言や、敵対勢力同士じゃないか」
佐々木「そうなるね」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 05:45:32.08 ID:CW/rTLuT0
キョン「あいつらが仲良くしてる風景っつうのも、なかなか想像できないんだが」
佐々木「仲良く。というよりも、いやみを言い合いつつも共存していると言うところかな。まあ、それこそが仲良くと言う事なのかもしれないが」
キョン「九曜か」
佐々木「そう、彼女が鎹になっているようだ。周防さんは無垢だからね。古泉君にも、橘さんにも友好的だ」
キョン「友好的か。傍目に見れば、決して好感を持ってるようには見えないんだが」
佐々木「それは僕からみた、君と長門さんの関係も同じだよ。傍目に見れば鬱陶しく思っているようにも見える、しかし本当は違う」
キョン「分かりやすい例をありがとよ」
佐々木「いつの間に彼らは、そんなに親睦を深めたのだろうね」
キョン「さあな。六月のおでんパーティーの時に、いつのまにか九曜が居たことぐらいしか、思い当たる事は無いが」
佐々木「おでんで深まった親睦か。さぞかし芯まで沁みていそうだ」
キョン「笑えばいいのか」
佐々木「冗談だよ」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 05:59:17.69 ID:CW/rTLuT0
古泉「迷惑ですか?」
橘「はい」
古泉「……あなたからそんな言葉を聴けるとは。ええ、あえて言うなら迷惑ですよ。僕らSOS団が、それなりに涼宮さんの機嫌を取りつつ、存続する事を脅かしてもらっているのですから」
橘「…じゃ、なくて」
古泉「それなら、ご心配なく。僕もそれなりに楽しんでいますから、この不思議なスペクタクルをね」
森「zzz……」
九曜「すー……」
橘「……ウソっぽいです」
古泉「そうですか?ですが、これは僕の本音ですよ。悪くない、そう思っています。少なくとも、どなたかといがみあう事よりは、ずっとね」
橘「本当?」
古泉「ええ」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 06:03:56.29 ID:CW/rTLuT0
橘「今のところ、まだ組織にはばれてないんですよ」
古泉「そうなのですか? ……まあ。僕のほうも同じです。あなたと周防さんが、僕らの社宅にいらっしゃっていることが、上層部にばれてはいません」
橘「森さんのおかげですか?」
古泉「ええ。上層部は、僕が彼女に十分な教育を受けていると思っていますから。彼女、素はあんなですが、機関内ではそれなりに信用がある立場なんですよ」
橘「そうは思えないです」
古泉「それは僕も同じです」
橘「いいなあ」
古泉「森さんですか?」
橘「あたしも、あんな人が自分のお目付け役でいてくれたら、こんな性格にならずに済んだかも」
古泉「はは、自覚があったんですか?」
橘「自分のことぐらい分かります」
古泉「失礼」
橘「……あたしだって、嫌ですよ」
古泉「何がです?」
橘「喧嘩です」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 06:08:52.23 ID:CW/rTLuT0
古泉「喧嘩、ですか。確かに、僕も得意なほうじゃありませんね」
橘「本当ですか? そんなガチガチした体してるのに」
古泉「はは、これは職業柄ですよ。……多少の肉体能力が備わってなければ、僕の任務は成り立ちませんから」
橘「ふうん」
古泉「もし、佐々木さんに涼宮さんの力が移るようなことがあれば。たちまちあなたも、こんな風になってしまうかもしれませんよ」
橘「……なりたくはありません」
古泉「でしょう。僕にしても、なりたくてなったわけじゃありません」
橘「でも、嫌いじゃないです」
古泉「僕のこの有様がですか?」
橘「はい。嫌いじゃないです……そうなりたくはないですけど」
古泉「はは、それはそうでしょうね。僕も、自分が女性でなくてよかったと思いますよ」
橘「森さんもそんな感じですか?」
古泉「不思議とそういうわけでもありませんね。僕は、特に、こういうふうになりやすい体質みたいです」
橘「ふーん」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 06:11:23.39 ID:CW/rTLuT0
橘「あなたって、私と同じなんですか?」
古泉「何が、によって、答えは異なってきますが」
橘「涼宮さんに対してですよ」
古泉「…………そうですね。同じかもしれません」
橘「あたし、佐々木さんが好きです」
古泉「はい、以前も聞きました」
橘「あなたは、涼宮さんが好きですか?」
古泉「それも以前、訊ねられました」
橘「今聴きたいんです」
古泉「好きですよ。とっても」
橘「同じかあ」
古泉「そうでなければ、やっていられませんよ」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 06:14:03.71 ID:CW/rTLuT0
橘「おかしい」
古泉「何がです?」
橘「何もかもです」
橘「私も涼宮さんが好きなような気がしてきます。ここにいると」
古泉「それは確かに、おかしな現象ですね」
橘「古泉さん」
古泉「はい」
橘「あなたのせいです」
古泉「で、しょうね」
橘「こっち向いてください」
古泉「もうすぐ洗い物も終わりますから」
橘「こっち向いてください」
古泉「はいはい」
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 06:17:13.81 ID:CW/rTLuT0
佐々木「君は、涼宮さんをどう思う?」
キョン「何をいきなり」
佐々木「いきなりじゃないさ。僕らはそんなことを尋ねあう関係だったはずだ」
キョン「微妙」
佐々木「選択肢をあげるよ。好きか、嫌いか」
キョン「卑怯な奴だな」
佐々木「くっくっく」
キョン「好きなんだろうな」
佐々木「だろうね」
キョン「でなけりゃ、こんなことを続けている理由が分からん」
佐々木「僕は君が好きだよ」
キョン「知ってる。前聞いた」
佐々木「涼宮さんの事だって好きさ」
キョン「それも聞いた」
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 06:19:10.63 ID:CW/rTLuT0
佐々木「じゃあ、古泉君のことだ」
キョン「残念ながら、前に聞いた。で、答えたよ」
佐々木「長門さん」
キョン「前に」
佐々木「朝比奈みくるさん」
キョン「聴い……た。で、答えた」
佐々木「今聴きたいな」
キョン「好きだよ」
佐々木「じゃあ、僕の事は?」
佐々木「今聴きたいんだよ」
キョン「好きだよ」
佐々木「なら、今、こちらを向いてくれるかい?」
キョン「……それも、聞いたな」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 06:25:43.65 ID:CW/rTLuT0
古泉「……何でしょう?」
橘「……佐々木さんには、これで届くんです」
古泉「僕は佐々木さんではありません。残念なことに、ね」
橘「あなた、やっぱり性格はいいほうじゃないです」
古泉「そう思います」
橘「……届かないです」
古泉「……こちらから伺いますよ」
橘「はやく」
古泉「はい」
END
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 06:27:28.64 ID:CW/rTLuT0
>>25
わーいありがとうでもこの包帯ぐっしゃぐしゃだからすぐ取れるね
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 13:03:35.24 ID:CW/rTLuT0
http://www.vipss.net/haruhi/1246426547.html
前スレにあたるもの!
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 14:19:50.50 ID:CW/rTLuT0
酔いがさめて見てみたらなんだこれ
もうお笑い路線の続き書けないじゃん……
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 14:29:55.98 ID:CW/rTLuT0
ほんとだ
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 14:54:42.57 ID:CW/rTLuT0
それって佐々木なんか
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 15:15:45.32 ID:CW/rTLuT0
続きと聞いたらなんかどろどろしたの浮かんできた
もしもうちょい固まったら書くかも
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 16:08:49.60 ID:CW/rTLuT0
一応保守
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 18:22:41.32 ID:CW/rTLuT0
prrrrrrr prrrrrrrr
キョン「……ん」
prrrrrr prrrrrr
佐々木「……駄目だよ、キョン」
キョン「ん……起こしちまったか」
佐々木「出ちゃ駄目」
キョン「……しかしな」
佐々木「大丈夫だよ」
佐々木「一度くらい電話に出なくたって、世界は壊れたりなんかしない」
キョン「……」
佐々木「でもね。その電話に出たら、僕らのいるこの世界は崩れてしまう」
キョン「……」
prrrrrrr
佐々木「ちょっとしたわがままだよ……だから、出ちゃ駄目」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 18:30:16.39 ID:CW/rTLuT0
prrrrrrr prrrrrrrr
キョン「お前、今日はどうする?」
佐々木「心配しなくていい、もうすぐ帰るよ。さすがに、2日も君を独占しているわけには行かないからね」
キョン「別に、俺は構わないけどな。どうせ、独占される相手が変わるだけだ」
佐々木「君はいつも、夢を壊してくれるね」
キョン「……悪い」
佐々木「構わないよ、僕も似たようなものだからね」
佐々木「僕も、君じゃない誰かを独占するだけさ」
キョン「顔が近いぞ」
佐々木「かくも欲深き人の醜さよ」
キョン「佐々木」
佐々木「好きだよ」
キョン「まだ何も言ってない」
佐々木「言ってごらん」
キョン「俺が好きか? ……答えはもう聞いた」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 18:35:01.54 ID:CW/rTLuT0
橘「佐々木さん、まだ帰ってないみたいですね」
九曜「――開錠―――」
橘「……なんか涼しい」
橘「ああっ、クーラー付けっぱなし!」
九曜「―――浪費」
橘「あーもう……気持ちいいのがむかつく」
九曜「―――首」
橘「え? 何ですか、周防さん?」
九曜「―――傷――」
橘「首?」
橘「!」
橘「……これは、なんでもないです」
九曜「―――古―――泉――」
橘「なんでもないです!」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 18:40:00.22 ID:CW/rTLuT0
佐々木「ただいま……あ、二人とも、今帰ったところ?」
橘「あ、おかえりなさい」
九曜「―――朝―――帰り―――」
佐々木「お互い様でしょ」
橘「佐々木さん、クーラーがつけっぱでした」
佐々木「え」
佐々木「……周防さん、どうかした?」
九曜「―――匂い―――」
佐々木「! ちょ、ちょっと?」
九曜「―――いい―――匂い―――」
佐々木「……はは」
橘「……周防さん、最近やけにべたべたしますよね」
佐々木「……何か、心境の変化があったんでしょうね」
橘「ふうん」
九曜「――――――傷―――」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 18:44:10.68 ID:CW/rTLuT0
森「古泉、あんたさ」
古泉「はい?」
森「ぶっちゃけ、誰が好き?」
古泉「……難しい質問ですね」
森「私のことは好きよね?」
古泉「お考えの通りかと」
森「私最近、橘京子のこと好きよ」
古泉「そうなんですか?」
森「可愛いじゃない」
古泉「性格は悪いですけどね」
森「そうね。だから時々むかつくわ」
森「可愛いから好き、でも性格が悪いからむかつく。誰かと似てるわね」
古泉「誰でしょうね」
森「誰かしらね?」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 18:51:24.96 ID:CW/rTLuT0
橘「佐々木さん」
佐々木「何?」
橘「怒ってますよね?」
佐々木「どうして?」
橘「あたしが、古泉さんのところ行ったからでしょ?」
佐々木「おかしな橘さん、どうしてそれで私が怒るの?」
橘「……あたしはおかしいです、最近」
佐々木「……いいんじゃない、おかしくても」
橘「佐々木さん、こっち向いてください」
佐々木「……橘さんこそ、怒ってるんじゃない」
橘「私、あの人嫌いだったはずですもん」
佐々木「本当に?」
橘「わかりません」
橘「でも、佐々木さんは好きです」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 18:56:24.47 ID:CW/rTLuT0
prrrrrrrrrrrr
キョン「……よう」
キョン「悪かったよ。寝入ってたんだ」
キョン「ああ」
キョン「……わあったよ」
キョン「構わんが、妹もいるぞ」
キョン「……好きにしてくれ」
キョン「いつだって構わんぞ。……片付いてるよ、馬鹿にすんな」
キョン「ああ、じゃあな」
pi
キョン「…………」
キョン「匂いが……するな」
キョン「どうすっか」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 19:01:56.87 ID:CW/rTLuT0
古泉「やあ、どうも」
ハルヒ「あ……古泉君、どしたの? もしかして、キョンのとこ行く途中?」
古泉「ええ、ちょっと届け物がありまして。そうめんのお礼です。涼宮さんも、彼の家に?」
ハルヒ「……ちょっとね。野暮用よ、野暮用」
古泉「そうですか。……でしたら、いっそついでに、涼宮さんにお願いしてもよろしいでしょうか?」
ハルヒ「それを届けるのを?」
古泉「ええ。大して重いものではありませんので。もしよろしければ、と」
ハルヒ「……いいわよ、任されてあげるわ」
古泉「どうもすみません」
ハルヒ「ううん。私こそ……ごめんね」
古泉「お気遣いなく」
ハルヒ「じゃ、また月曜にね」
古泉「ええ」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 19:05:52.34 ID:CW/rTLuT0
キコーン
ガチャッ
キョン「早かったな……って、おい」
橘「何ですか?」
キョン「なんですかじゃねえ。何でお前なんだ」
橘「……あたしが来ちゃいけません?」
キョン「何しに来たんだよ」
橘「……佐々木さん」
キョン「あん?」
橘「佐々木さんが来たから、あたしも来たんです」
キョン「…………」
ハルヒ「……キョン? どうしたの?」
キョン「……ハルヒ」
橘「あ」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 19:19:53.15 ID:CW/rTLuT0
古泉「……意外なお客さんですね」
佐々木「驚かせてすまないね」
古泉「いえ、お気になさらず。……よろしかったら、上がってください」
佐々木「ああ、ありがとう……ところで君は、今日、鏡を見たかい?」
古泉「鏡……ですか?」
佐々木「その首の傷……いや、噛み痕と言った方がいいかな。僕にはとても痛々しく見えるんだが」
古泉「……おや」
古泉「これは、お恥ずかしいところを見せしてしまいました」
佐々木「構わないさ。むしろ、親近感を持ってしまうよ」
佐々木「橘さんがお世話になったそうだね」
古泉「いえ、楽しいひと時でしたよ。たいしたおもてなしも出来ませんでしたが……紅茶でよろしいですか?」
佐々木「ありがとう」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 19:28:15.82 ID:CW/rTLuT0
古泉「わざわざご挨拶に来てくださったのですか?」
佐々木「まあ、そんなところだよ。……と、言うより、なんだろうね。僕も何がなにやら、今ひとつ分かっていないんだけれど」
古泉「と、申しますと?」
佐々木「周防さんがね。僕に言ったんだ、君のところに行ってこいと」
古泉「……なんと」
佐々木「まさか、彼女に締め出されてしまう日が来るとは思ってなかったよ」
古泉「……不思議な方ですね、彼女は」
佐々木「ああ。このところは特にね」
古泉「何か、思い悩むことでもあるのでしょうか」
佐々木「彼女は、変わろうとしているのかもしれない」
古泉「……なるほど」
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 19:45:35.58 ID:CW/rTLuT0
キョン「……どうしてこうなった」
ハルヒ「あたしが聞きたいわよ」
橘「……つーん」
キョン「口で言うなよ」
ハルヒ「……あんたたち、何、いきなり家に押しかけるような仲だったわけ?」
キョン「断じて違う。つか、そもそも俺の家をなんでお前が……」
橘「あなたのプライバシーなんてあってないようなもんじゃないですか」
キョン「……」
ハルヒ「……まあ、それはそうね」
キョン「おい」
橘「……そーめんのお礼ですよ」
キョン「は?」
ハルヒ「そうめん? ……あ、そうだ。キョン、これ古泉君から」
キョン「そうめん……ああ、あん時の。そいや、あの時お前、古泉んちに……」
ハルヒ「は? あなた、古泉君の家にも出没してるの?」
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 19:56:57.34 ID:CW/rTLuT0
橘「人を妖怪くちさけみたいに言わないでください」
キョン「なるほどな、あれをお前も食ったのか。それで、お礼を言いに来たと。……お前にそんな殊勝な精神があったとは」
橘「はん、お世話になったらありがとう、ご馳走になったらご馳走様。社会の常識ですよ、わきまえてない奴は人として不出来です」
ハルヒ「正論ね」
キョン「お前ら、気が合うな。俺はお邪魔だから退散するか」
ハルヒ「って、待て! いいから、早く入れてくれない? 蒸し暑くてくらくらしてきたわ、川辺の家って大変ね」
キョン「……ああ、そうだったな。古泉の土産も、さっさと冷蔵庫に入れんとな」
橘「あ、あの……これ、どうぞ。そうめんのお礼です。何度も言いますけど」
キョン「え?」
橘「……なんですか、その顔」
キョン「……本当に礼をする気で来てたのか」
橘「だから、礼節をわきまえてない人間は不出来だって何度も言ってるじゃないですか」
キョン「お前が出来た人間だとは知らなかった」
橘「怒りますよ」
キョン「……まあ、いや、悪い、ありがとうな」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 20:01:00.60 ID:CW/rTLuT0
ハルヒ「キョン、あついってば。ほら、古泉君のお土産溶けちゃうし、はやくはやく」
キョン「あ、ああ」
ハルヒ「ほら、あなたも」
橘「……へ? な、なんであたしまで」
ハルヒ「なんでって、暑いし、アイスも溶けちゃうからでしょ?」
橘「……い、いいんですか?」
キョン「あ? ……まあ、ハルヒが良いってんなら、俺は別に構わんが」
ハルヒ「八個あるから、あたしとキョンと妹ちゃんと橘さんで、とりあえず一個づつね」
キョン「おい。俺への土産を勝手に開けるのは、人として不出来じゃねーのか」
橘「……」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 20:09:35.60 ID:CW/rTLuT0
妹「あっ、ハルにゃんだあ」
ハルヒ「やっほー、久しぶりね、妹ちゃん!」
妹「えっと、そっちのお姉ちゃんは?」
橘「あ、えっと……妹さんですか? あたしは、橘京子です」
妹「キョン君の新しいお友達?」
橘「えーっと……」
キョン「そんなとこだよ。俺ら部屋に行くけど、はしゃぎすぎなければ来てもいいぞ」
妹「はーい」
橘「……いや、あたし、そんなしないで帰ろうかと思ってたんですけど」
キョン「……まあ、なんだかよう分からんが、何かの縁だ、寄ってけよ。ハルヒも悪い気はしてないみたいだしな」
橘「……は、はい、すいません」
キョン「……お前、アドリブ利かないのな?」
橘「はい?」
ハルヒ「キョン、先部屋行ってるからね!」
キョン「ああ、今行くよ」
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 20:22:31.32 ID:CW/rTLuT0
キョン「あー、クーラー強くないか……どうした、ハルヒ?」
ハルヒ「なんか、いい匂いがする」
キョン「!」
橘「……」
ハルヒ「なんかした? キョン」
キョン「別に何もしてねーよ。ほら、アイス」
ハルヒ「あ、あたしチョコミントね」
キョン「はいよ。橘は?」
橘「あっ……えっと、じゃあ抹茶で」
ハルヒ「渋いわね……あ、ちょっと溶けてる。ま、ちょうどいいぐらいね」
橘「……」
キョン「お、キャラメルがあるな。あいつはどうせバニラだろ……残りしまってくるわ」
ハルヒ「ついでに飲み物ねー」
キョン「はいよ」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 20:25:26.82 ID:CW/rTLuT0
ハルヒ「んー……やっぱり何かの匂いがするわ。ねえ、あなたは分からない?」
橘「!」
ハルヒ「いやな匂いじゃないんだけど、独特な匂い。……気のせいなのかしら」
橘「……佐々木さん」
ハルヒ「? 何?」
橘「佐々木さんの匂いですよ」
ハルヒ「えっ?」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 20:41:07.78 ID:CW/rTLuT0
キョン「悪い、待たせた……? 何だよ、ハルヒ?」
ハルヒ「朝の電話、何で出なかったの?」
キョン「電話……? さっきも言ったじゃないか、寝ちまってて」
ハルヒ「ふーん、そう。寝てたんだ、誰かと。どう、気持ちよかった?」
キョン「! ……何言ってんだよ、お前」
ハルヒ「にしても、連日、しかも夜と昼に女連れ込むなんて、あんた、そんな性欲旺盛だったっけ?」
キョン「ハルヒ、話を聞け」
ハルヒ「あたしね、三つ嫌いなものがあるの。言い訳と、言い訳する男と、あんたの顔」
キョン「ハル」
キョン「っつー……」
ハルヒ「あたし、帰るから……そのまま死んじゃえ!」
バタン
キョン「……橘、てめー……」
橘「……貴方が悪いんじゃないですか」
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 20:50:14.40 ID:CW/rTLuT0
キョン「お前、さてははなっからこのつもりで……なんだ、ハルヒを暴走させてどうにかしようってのか」
橘「……わかんないですね」
キョン「何がだよ」
橘「佐々木さんは、あなたの何が好きなんでしょう……おかしいです、みんな」
キョン「……お前だって、やってることは変わらんくせに」
橘「何がですか?」
キョン「首の傷、隠れてねーぞ」
橘「!」
キョン「……マジかよ。冗談だったんだけどな、一応」
橘「っ」
キョン「……古泉か」
橘「……黙ってください」
キョン「佐々木が好きなんじゃなかったのかよ、お前は」
橘「うるさいです、あなたに言われたくありません!」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 20:59:13.66 ID:CW/rTLuT0
キョン「っ……古泉に謝らんとな……」
橘「そんなレベルで済むといいですね」
キョン「……」
橘「……なんですか? ……っ、ちょっ」
キョン「いい加減にしろよ、お前」
橘「……あなた、正気ですか? 理性ってもん、ないんですか?」
キョン「俺は今、とんでもなくお前が憎たらしいだけだよ」
橘「……あたしも、あなたが大っっっ嫌いです」
キョン「……」
橘「んうっ……ぐ……」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 21:07:56.93 ID:CW/rTLuT0
佐々木「突然押し掛けて、すまなかったね。そろそろお暇するとしよう」
古泉「もう大丈夫なのですか? その、周防さんの事は」
佐々木「どうだろうね。僕はただ、君の家に行くように言われただけで、そこで何をしろとも言われなかったからね。一応、彼女の示した条件はクリアしたと思うのだけど」
佐々木「もしこれで家に入れて貰えなかったら、どこかしらで時間を潰して、ほとぼりが冷めるのを待つとしよう」
古泉「彼女にお伝えください。もし何か頭を悩ませることがあるのなら、いつでも気晴らしにいらしてくださいと」
佐々木「くく、言うまでもなく、彼女は好きなときにこの家を訪れているようだけれどね」
古泉「はは、それもそうでした」
佐々木「……あ」
古泉「どうかしましたか…………おや」
佐々木「雨、だね」
古泉「そのようですね」
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 21:14:46.81 ID:CW/rTLuT0
橘「ぐすっ……ひっく…うぐ……」
キョン「……」
橘「ひっく……あなた、こういう度胸は、あるんですね……ぐす」
キョン「……嫌味を垂れる気力は残ってんだな」
橘「ほんと、なんで佐々木さんは、あなたみたいな人が……いいんだろ」
キョン「……お前は佐々木の何が分かってるってんだよ」
橘「……」
キョン(……何やってんだ、俺は?)
キョン(……おかしいだろ、何か)
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 21:21:17.23 ID:CW/rTLuT0
ハルヒ(……さむ)
ハルヒ(真夏なのに……なんでこんな、寒いのよ)
ハルヒ(あー、服、びっしょびしょ……)
ハルヒ(最悪)
佐々木「涼宮……さん?」
ハルヒ「!」
ハルヒ「あっ…………佐々木さん」
佐々木「どうしたの、傘も差さないで……びしょぬれじゃない」
ハルヒ「……いや、ちょっと……だ、大丈夫だから:
佐々木「風邪ひいちゃうわよ、ほら、傘入って」
ハルヒ「う……」
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 21:26:17.89 ID:CW/rTLuT0
佐々木「……もしかして、キョンと喧嘩でもした?」
ハルヒ「……」
佐々木「……ふむ」
ハルヒ(……誰のせいだと思ってんのよ)
ハルヒ(っていうか、普通、平然とあたしに話しかけられる? キョンの名前を出せる?)
ハルヒ(朝方までキョンのとこに居たくせに……)
ハルヒ(何なのよ。おかしいわよ、何か……)
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 21:34:11.18 ID:CW/rTLuT0
prrrrrrrrrr
キョン「!」
橘「……あたしのですよ」
キョン「……」
橘「古泉さんからです」
キョン(……古泉?)
キョン「……なんで俺に知らせる必要があるんだよ」
橘「……」
pi
橘「もしもし……今、ですか?」
橘「……キョンさんの家に居ます」
キョン「……」
橘「……いえ、ちょっと用事があっただけですよ」
橘「……周防さんですか? はい……いえ、特に……」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 21:37:30.38 ID:CW/rTLuT0
橘「……佐々木さんが?」
キョン「!」
橘「そうだったんですか……いえ、あたしは知りませんでした」
橘「……分かりました。帰ってみます」
キョン「ま、待った」
橘「……あ、すいません。なんだか、お話がある人が居るみたいですから、変わりますね」
橘「……」
キョン「……すまん」
キョン「古泉か? ああ、いや……まあ、たいしたことじゃないさ。それより……」
キョン「……バイト、入ってないのか?」
キョン「え? い、いや、別になんでもないんだ。大丈夫ならいいんだよ」
キョン「ああ……わかった。じゃあな」
pi
キョン「……悪い、返す」
橘「……不思議ですね」
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 21:47:33.03 ID:CW/rTLuT0
キョン「……ああ、不思議だな」
キョン(あのハルヒの怒りようからして……間違いなく、閉鎖空間が出来上がってると思ったんだが)
橘「あーあ、アイス……溶けちゃった」
キョン「……冷凍庫にあるやつ、とってきてやろうか」
橘「何ですか、それ。罪滅ぼしのつもりですか?」
キョン「……別に」
キョン(そんなんで滅びてくれるような代物ならいいんだが)
キョン「……取ってくるから、服着とけよ」
橘「言われなくたって着ます」
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 21:54:25.72 ID:CW/rTLuT0
バタン
橘(……なんでしょう、これ)
橘(こんなはずじゃなかったのになあ)
橘(……佐々木さん)
橘(佐々木さんに会いたいなあ……)
橘(……あの人から……佐々木さんのにおいがした)
橘(おかしい……こんなのおかしいです)
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 22:07:42.68 ID:CW/rTLuT0
佐々木「よかった、開いてる。ほら、入って」
ハルヒ「……お邪魔します」
佐々木「今、着替えられそうな服を持ってくるから、洗面所で着替えてくれる?」
ハルヒ「……ごめんなさい」
佐々木「いいのよ、気にしないで」
ハルヒ(びっしょびしょ……)
ハルヒ(あ……これ、高かった下着だ)
ハルヒ(馬鹿みたい、あたし、気合入れたカッコしてって……)
ハルヒ「ぐすっ……」
佐々木「涼宮さん、これ、サイズ合うかわからないけど……涼宮さん?」
ハルヒ「うっく……ひっく……うぐ……」
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 22:16:39.31 ID:CW/rTLuT0
佐々木「……」
ハルヒ「うえっ……ぐす……うう……」
佐々木「……きっと、僕のせいなんだろうね」
ハルヒ「! ……」
佐々木「……謝っても、許してもらえるものじゃないんだろうね」
佐々木「だけど……僕とキョンとは、君が思っているようなものとは違うんだ」
佐々木「上手く伝えられないけど……それは、決まりのようなものなんだよ」
ハルヒ(……何言ってるの? 佐々木さん……)
佐々木「……分かってくれないかな。君なら」
ハルヒ「ん……っ!」
佐々木「君は……キョンのことが、好きかい?」
ハルヒ「…………に、決まってるでしょ」
佐々木「聞こえなかったな」
ハルヒ「……」
ハルヒ「好きに決まってるでしょ……何なのよ、あなた……」
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 22:20:49.94 ID:CW/rTLuT0
佐々木「……そうか」
佐々木「君は、わかってくれるだろうか」
ハルヒ「何をよっ……」
佐々木「こんなやりかたを、だよ」
ハルヒ「んぐっ……!?」
佐々木「…………」
ハルヒ「むっ……」
佐々木「…………」
ハルヒ「ぷはっ、げほっ、ぐす……な、何す」
佐々木「分かってくれたのは、世界で彼だけなんだよ」
佐々木「君も……分かってくれないのかな」
ハルヒ「な、何よ……あなた、頭おかしいんじゃないのっ!?」
佐々木「そうかもしれないな」
佐々木「おかしいんだ、このごろ。色んなものが」
100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 22:34:55.11 ID:CW/rTLuT0
古泉「……さて」
森「zzz……」
古泉「テーブルで寝られるのが一番面倒なんですよねぇ」
古泉「仕方ない、部屋まで運びますか」
森「むにゃ……」
古泉「ふんもっふ……う、お酒の匂いが……」
古泉「……?」
古泉「……ああ、そうだ」
古泉(お酒の匂いに混じって感じる、森さんの匂い)
古泉(昼間、佐々木さんに感じた匂い……)
古泉(この匂いだったんだ)
101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 22:39:01.29 ID:CW/rTLuT0
キョン「あ」
ハルヒ「あ」
キョン「……よ、よう。おはよう」
ハルヒ「……早いじゃない、あんたらしくもない」
キョン「まあ、な。明日、日直だから、俺」
ハルヒ「関係ないじゃない」
キョン「……」
ハルヒ「……昨日は、悪かったわ」
キョン「!」
キョン「い、いや……俺こそ、あんな……」
ハルヒ「いいのよ、もう。……わかったから、佐々木さんのことも」
キョン「……ハルヒ?」
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 22:44:33.36 ID:CW/rTLuT0
ハルヒ「いいから、行くわよ、ほら」
キョン「あ、おい、引っ張るなって……」
キョン「!」
キョン(この匂いって―――)
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 22:46:47.24 ID:CW/rTLuT0
―――『はあ、キョン……強い、よぉ……』
―――『っつ―――あ、キョン、キョン!!』
―――『はっ……ずみ、さん……こいずみさん……』
―――『っは…………橘さん……うっ……はあっ」』
―――『や、やめ……い、たいです……キョンさ……』
―――『う、うぐ……あっ……あっ』
―――『い、嫌よ、やめて……痛い、痛いぃ!』
―――『……大丈夫。僕と同じように……君にもすぐわかるから―――』
九曜「―――不―――思議―――」
九曜「――――――人間――欲―――望――」
九曜「屈折―――様―――々――被虐―――」
九曜「―――興味―――深――い―――」
結局みんな変態 END
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/07(火) 23:05:08.77 ID:CW/rTLuT0
よし次はそのうち酒飲ませてあれこれやらそう!
やばい楽しい!人暴走させるの楽しい!
113 名前: ◆1e9vlX1dHk [] 投稿日:2009/07/07(火) 23:25:10.38 ID:CW/rTLuT0
じゃあこのトリップで