1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 00:22:45.77 ID:49/1x12SO
キ「おじいさんのとけ……」
長門「……」
キ「イリヒー……!」
長門「……」 イラッ
キ「ひゃくねんいつもー動いていた、ごじまーんのとけい……」
長門「……」
キ「サラハァ……!」
長門「……」 イラッ
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 00:30:42.91 ID:49/1x12SO
キ「おじいさんのうま…」 ビクッ!!
長「……」
キ「……」
キ「……いつから?」
長「『ときめきをはこぶよチューチューとれえぇぇいえぇぇーー』、の辺りから」
キ「……1曲目じゃねーか」
長「そう」
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 00:37:08.61 ID:49/1x12SO
長「ちなみに、」 カチッ
『ときめきをはこぶよチューチューとれえぇぇいえぇぇーー……』
キ「!?」
長「全曲録音し自宅PCに転送済み」
キ「ハ、ハルヒにだけは……いや出来れば誰の耳にも触れない様に……」
長「……」 カチッ
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 00:44:15.04 ID:49/1x12SO
『はーるはーるはるひーー、かむとふにゃんにゃん、なゃんにゃにゃんふにゃん、かむーと…』
キ「!!?」
長「振りまで完璧だった」
キ「……いくらだそれ」
長「売る気はない」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 00:49:02.64 ID:49/1x12SO
キ「じ、じゃあなんの為に……」
長「退屈な夜。眠れない、でも本を読む気分でもない、そんな時」
キ「……そんな時?」
長「一人でクスクス笑う為」
キ「ちくしょーーーっ!!」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 00:54:30.64 ID:49/1x12SO
キ「ま、まさか古泉と朝比奈さんのも……!?」
長「当然ある」
キ「マジか!?見せてくれ頼む!!俺もクスクス笑いたいんだ!!」
長「推奨しない」
キ「ど、どうして!?」
長「あなたと涼宮ハルヒの方が100倍面白いから」 ププッ
キ「くっそぉおーーー!!!」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 01:06:43.80 ID:49/1x12SO
キ(こ、こうなったらこっちも長門の熱唱シーンを手に入れるしかない……!!)
長「……」
キ(……だが、こいつが熱唱する事なんてあるのか?
喋る事さえ稀なのに……)
長「……もしあなたが、私の熱唱隠し撮りを盗聴しようと考えているのなら」
キ「!?」
長「全くの無駄」
キ「……心を読むな。それに無駄ってどういう……」
長「聴かれて恥じるような歌唱力ではない」 フッ
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 01:07:35.86 ID:49/1x12SO
隠し撮りを盗聴ってなんだよオイ……
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 01:18:24.74 ID:49/1x12SO
キ「ほー……えらい自信だなぁ長門」
長「聞かせられないのが残念でならない。
熱唱する私を涼宮ハルヒは求めていない。残念。本当に残念。
私の完璧な歌唱力を披露する場がない。
でもしょうがないこと。私の任務は観察だから。残念至極」
キ「今からカラオケ行こうぜ長門」
長(――ビクッ)
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 01:23:34.33 ID:49/1x12SO
長「お金がない」
キ「奢るから」
長「あなたに悪い」
キ「気にすんなよ」
長「団活がある」
キ「全員で行けばいい」
長「いやいや」
キ「いやいやいや」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 01:34:35.49 ID:49/1x12SO
キ「上手いんならいいだろ?」
長「上手過ぎて引かれてしまう嫌われてしまう上手すぎて」
キ「大丈夫、そこまで器小さくないから」
長「貴方はそうでも朝比奈みくると涼宮ハルヒは違う
脛とか蹴られる、怖い怖い」
キ「蹴るか!さてはお前散々バカにしといて歌ヘタ…」
ハルヒ「……さっきから何やってんのアンタ達」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 01:43:29.24 ID:49/1x12SO
キ「おーハルヒ、いいところに来た。長門と今からカラ……」
カチッ
『おじいさんのとけ…イリ』
キ「!!?
か、からっ……ーボールを使って強盗に入られた時の店員の対応を訓練しないかと話してたんだよな長門」
長「そう」
ハ「は?なんでそんなこと……」
キ「……強盗に入られてからじゃ遅いだろ」
長「そう」 ニヤッ
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 01:53:36.67 ID:49/1x12SO
ハ「ふーん……?まぁやって損はない、……のかしら?」
キ「損はないよ」
長「ない」
ハ「まぁいいわ、アタシ今日用事あるからもう帰るわね。戸締まりよろしく」
キ「あぁ。…………やってくれるな長門」
長「うっかりボタンを押してしまった。ついうっかり」
キ「くっ……まぁいい。今日のところは俺達も帰るか」
長「そう」
キ(必ず長門を出し抜いてやる……必ず……!!)
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 12:49:00.60 ID:49/1x12SO
だが、実際問題どうすりゃいい…
ああなった以上長門が部室で熱唱を披露などするはずもない。
俺の一般人力であいつを出し抜くことなど…、やはりあいつに手伝ってもらうしかないか……、
キ「謎の超能力者Kに……!」
――
K「長門さんの熱唱を録音する方法、ですか?」
キ「あぁ、何か思いつかないか?」
K「なぜそんなこと……」
キ「このままでは俺とハルヒ、いやKと朝比奈さんだって一生あいつにクスクスされながら生きる事になるからだ……!」
K「とりあえず何で僕イニシャルなんですか?」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 12:50:02.68 ID:49/1x12SO
キ「そんなことはどうでもいい!やるならやる、でなければ帰れ!!」
古「おや、いつになく理不尽……。そうですね、結論を言えば無理です」
キ「ど、どうして!機関の方々でいろいろできるだろ!」
古「出来るのはせいぜい盗聴盗撮が関の山、長門さんを歌わせることは誰にも出来ません。
いや、誰にもと言ったら語弊がありますね」
キ「……謎の神Hか」
古「いやもういいでしょそれ。長門さんを動かすなら涼宮さん、そして涼宮さんを動かすなら、」
キ「……やってやるさ。今の俺はハルヒを動かすキーワードを二つも持っているからな」
古「二つ?」
キ「あぁ。一つ目はジョンスミス、そして二つ目は、
――LOTTEのfit's」
古(……よくわかんないこの人)
――
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 12:51:03.42 ID:49/1x12SO
ハ「あれ、アンタだけ?」
キ「あぁ」
ハ「ふーん」
キ「……」
ハ「……」
キ「はーるはーるはるひーー、」
――ビクッ
キ「かむとふにゃんにゃん、にゃんにゃにゃんふにゃん、かむーと……」
ハ「ちちちちょっと何言ってんのアンタ!?」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 12:51:58.67 ID:49/1x12SO
キ「いやー、いいものを見せてもらったよハルヒ」
ハ「……あ、アンタ見てたの?」
キ「リアルタイムではないけどな。これがどういう意味か分かるか?」
ハ「録画……!?か、返して!あんなものが出回ったらもう生きていけない!!」
キ「くくっ……よく取れてたぜ、激しい腰の振りまでバッチリとなぁ……!」
ハ「い、いやぁ……お願いだから!何でも言うこと聞くからぁ……!
……とか言うと思ってんのアンタ」
キ「……え」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 12:53:24.58 ID:49/1x12SO
ハ「はっきり言ってね、アンタ>団員>親兄弟>その他が私の中の見られたら恥ずかしい順よ。
アンタに見られた時点でもうどーーでもいいわ」
キ(……それはそれで意味深だなオイ)
ハ(どさくさに紛れてアタシは何を言ってしまったのかしら……)
キ「……ハ、ハルヒにお願いがある」
ハ「な、何よ」
キ「長門の熱唱を録音したい」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 12:55:25.58 ID:49/1x12SO
ハ「はぁ!?何で有希!?おかしいでしょ!!今完全にアタシの流れだったじゃない!!ハルヒルートだったじゃない!!」
キ「……いやルートは知らんが。実はさっきの歌な、動画を持ってるのは俺じゃない、長門だ」
ハ「…なっ」
キ「お前だけじゃない、朝比奈さんも、古泉も、もちろん俺も。長門に熱唱シーンを撮られ毎日クスクスされているんだよ!!」
ハ「クスクスって……有希はそんな陰湿な娘じゃ……」
キ「陰湿ではない長門が思わず笑ってしまうほど俺たちの熱唱は面白いって事だろうが!!」
ハ「っ!!!」
ハ「……アタシの歌、そんなに面白かった…?」
キ「……俺のといい勝負だな」
ハ「……ふふっ、協力するわ。有希の熱唱、必ずアタシが手に入れる」
――
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 17:57:53.36 ID:49/1x12SO
キ「ただ、長門は俺がどうにかしてあいつの熱唱を手に入れようと動いてる事に感づいてる。
普通にカラオケ誘ったくらいじゃ乗ってこないはずだ」
ハ「男のアンタが誘うのとじゃ結果は変ってくると思うけど……そうね、せめて有希の好きな曲とか調べられない?」
キ「好きな曲か……」
みくる「こんにちはー、遅れてすみません」
ハ「ちょうどいいとこに来たわ!みくるちゃん、有希の音楽の趣味とか知らない?」
み「音楽ですか?えーと……、あ、そういえば」
ハ「そういえば!?」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 18:01:16.11 ID:49/1x12SO
み「以前不思議探索の時、私とペアになった事があって、」
ハ「うんうん!」
み「長門さんの携帯電話って普段は絶対マナーモードなんですけど、その時たまたま設定し忘れてたみたいで」
キ「着信来たのね!?」
み「はい、津軽海峡冬景色でした」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 18:04:39.55 ID:49/1x12SO
ハ「……え、演歌?」
キ「長門が……演歌?」
み「はい。それに以前お家にお邪魔した時もクローゼットに着物が」
ハ「そ、それは盲点だったわ……」
キ(長門が着物……)
ハ(有希が着物……)
((……アリだな))
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 18:07:34.59 ID:49/1x12SO
ハ「とりあえず有希の趣味さえ分かればこっちのものよ。
……そうね、準備に1週間。来週の火曜にカラオケの話切り出すからみくるちゃん話合わせて」
み「カラオケ?わ、わかりました。」
キ「俺は?」
ハ「アンタはいいわ、怪しまれてるんでしょ?カラオケには女3人で行くから」
――
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 18:10:46.52 ID:49/1x12SO
【火曜】
古「僕の負けですね」
キ「相変わらず弱いな。(いつ仕掛けるんだハルヒ……)」
ハ「……あー、なんだかすっごく歌いたい気分だわ」
キ(さりげなさゼロじゃねーかアホがーーッッ!!)
み「た、たまには歌わないと心が枯れてしまいますよね」
キ(心が枯れるとか高校生絶対言わないだろ!!)
長「……?」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 18:15:01.95 ID:49/1x12SO
ハ「ということで、カラオケに行きます。今日は女子だけね」
み「い、いいですねカラオケ。ちょうど行きたいと思ってたんです」
キ(……絶対バレてる。絶っっ対にバレてる)
ハ「有希は?来るだけでもいいわよ。歌わないならお金は私達で出すし」
キ(……歌わなくていい?どういうことだ?)
長「行く」
ハ「うん。じゃあキョンと古泉君は戸締りお願いね」
キ「……?」
――
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 18:20:23.25 ID:49/1x12SO
【翌日】
長『つがあぁるかぁいきょおぉう、ふぅゆげえぇし………………きいぃぃ』
ハ「どうよ?」
キ「長門がこぶしを……ってか『し』の溜め長っ!!」
ハ「えぇ、伴奏はまるきり無視よ。さすが有希ね」
キ「で、でもお前これ一体どうやって……!?あいつ素直に歌ったのか?」
ハ「ううん、予想通り有希はずっと本読んでた。だからね……」
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 18:24:39.01 ID:49/1x12SO
【昨日】
ハ「さて、そろそろ普通に歌うのも飽きてきたわね」
み「え?あー……はい、そうですね」
ハ「有希は?一曲くらい歌う?」
長「いい」
ハ「そっか。じゃあこうしましょう。目次見ないで適当に番号入力して、曲がヒットしたらもし知らない曲でも必ず歌いきる、どう?」
み「わ、わかりました」
――
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 18:27:31.11 ID:49/1x12SO
ハ「適当に番号入力と言いながら、アタシは何曲か番号を暗記してたの。その内の一曲が」
キ「……なるほどな」
ハ「みくるちゃんもなかなか悲惨だったわよ、なぜかラップばっかり引くのよ
アタシはアタシで聞いたこともない古い曲を適当に歌いきる中で最善のタイミングを待った」
――
ハ(……そろそろね) チラ
み(……はい)
ポチポチポチポチ、ピー
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 18:30:41.59 ID:49/1x12SO
み「わ、わたしちょっとお手洗いに行ってきますね」
ハ「うん、わかった。………あら」
ぴりりりりりりり
ハ「有希ごめん、ちょっと電話出てくるから留守番してて」
長「わかった」
……ででででーん、てれれれー♪ ででででーん、てれれれーー♪
長「!!!」
――
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 18:38:19.82 ID:49/1x12SO
ハ「後は曲が終わるまでの4分弱留守にして、何食わぬ顔で戻ったの」
キ「だが録画はどうやって…」
キ(あいつが盗聴盗撮の類に気づかないはずがない)
ハ「簡単よ。カラオケボックスは安い上に曲が流れれば音はかき消される。
つ、つまりそーいう……その、あの、い、いかがわしい事をする奴らの対策の為に……」
キ「……監視カメラか」
ハ「そ。で、その映像を手に入れるために1週間前からわざわざバイトで潜り込んだってワケ」
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 18:43:40.57 ID:49/1x12SO
キ「……大したもんだぜ、お前は。
ただ、その何と言っていいか……この長門、なんだけど」
ハ「……えぇ、あたしも初見は驚いたわ。有希って」
キ「……あぁ、」
ハ「特別上手いワケでもなく、」
キ「かといってそれほど下手というわけでもない、」
キ「普通だな……」
ハ「普通でしょ……」
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/06(月) 18:46:29.47 ID:49/1x12SO
キ「……どうする?見せるか?長門に」
ハ「う、うーん…なんていうか、その……」
((めちゃくちゃ下手なのよりある意味恥ずかしい……!))
キ「心にしまっておこうか……友達だもんな」
ハ「えぇ……友達ですもんね」
おわる