1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 19:55:29.71 ID:pAQebl9UO
「夜分遅くに失礼します。非常にまずい事態になりました」
深夜1時
俺は古泉の電話で趣味を中断させられた
折角いいところだったのに
「起きてたから別に構わん。一体どうした」
俺は御座なりに応える
「涼宮さんの失踪とともに、閉鎖空間が発生しました」
「……またハルヒか」
「今から長門さん宅に集まる予定です。来られますか?」
「……ああ」
分かりました、それでは、と言い、電話は切れた
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 19:56:44.06 ID:pAQebl9UO
「よう」
俺が長門の家に到着すると既に全員揃っていた
「お待ちしてました」
笑顔で出迎える古泉
「……」
相変わらず無言の長門
「うぅ……キョンくぅん……」
そして、嗚咽を漏らす朝比奈さん
その場の雰囲気がいつもとは違うということを、顕著に表していた
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 19:57:43.71 ID:pAQebl9UO
「飲んで」
長門がお茶を淹れてくれる
「ああ、ありがとな」
俺はお茶に口をつけ、一息つこうとする
……と
「早速ですが……」
古泉が語りだした
まったく
急いで来たから疲れてるんだ
少しは休ませてくれよ
「すいません、何しろ緊急事態なものでして」
俺の表情に気付いたのか古泉が話を中断する
「あー、別に構わん。ハルヒがどうしたって?」
「失踪、あるいは誘拐されました」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 19:58:27.58 ID:pAQebl9UO
「…………ぁ…」
暗い部屋に、涼宮ハルヒは拘束されている
部屋の中は血の匂いで充満し、あまりの不快感に常人ならば5秒とて中にいる事は出来ないだろう
「…………ぅ…」
涼宮ハルヒは既に力なく俯いている
両腕を縛られ、辛うじて爪先が床につくように吊されている彼女の身体からは、全身から血が滲み出ていた
「…………ぁ……」
無論、室内の血は全て彼女のものである
散らばっている拷問器具は禍禍しく、使用された形跡がある
……と
「……」
1人の人物がドアを開いた
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 19:59:31.27 ID:pAQebl9UO
「要は土曜日の不思議探索の後からいなくなったということか?」
「ええ、恐らくは。調べたところ涼宮さんは土曜日から家に帰宅していません」
「だから今日は月曜だっていうのにあいつは学校に来なかったのか」
「随分と冷静ですね」
はぁ、と俺は大げさに溜息をつく
……と
「……」
古泉が怪訝な顔を見せる
俺はもう一度、心底呆れたように溜息をついてみせる
「お前ら機関は血で血を洗う争いをしてるんだろ?
お前らだけじゃない。俺だって殺されかけたし、朝比奈さんだって誘拐された。どこの勢力がいつハルヒに手を出してもおかしくはないだろ。
完全に予測の範囲内だ」
やれやれ、と肩すくめてみせる
「……それはそうですが…」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 20:00:20.66 ID:pAQebl9UO
「ハルヒを助けたいのなら尚更冷静になるべきだ。
機関はハルヒを監視してはいないのか?」
「ええ……」
「そうか、これからどうする?」
「長門さんは傍観に徹するようです。
世界の危機ということなので情報統合思念体と利害が一致し、協力してもらえると思ったんですが……」
そう言う古泉の姿は落胆している様子が手に取るように分かった
「朝比奈さんは?」
「どうやら未来と連絡が取れなくなってしまったようです」
なるほど、道理でさっきから泣いてるのか
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 20:01:02.48 ID:pAQebl9UO
「閉鎖空間は凄まじい勢いで広がっています。僕の仲間たちが何とか持ち堪えていますが、厳しいでしょう」
「……一刻を争う、というわけか」
「機関で捜索したいのは山々なんですが、閉鎖空間の処理に大人数が割かれています。
捜索に残されたのは僕を入れて少人数です。
その僕でさえ閉鎖空間に行かなければならない。
非常に……よくない状況です」
「……なるほど、
確かにそれはまずいな。俺と朝比奈さんしか自由に動きようがないのか」
「ええ……機関も出来る限りのことはします
絶対に世界を救いましょう」
そう言うと古泉は拳を作り、俺に向ける
その目はどこか清々しく古泉は微笑んでいる
「……ああ」
俺も古泉に微笑み返し……
「終わったらまた、団活に精を出そうぜ」
コツン、と拳を合わせた
それではまた連絡します、そう言って古泉は閉鎖空間へ向かった
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 20:01:51.06 ID:pAQebl9UO
「……ヒッ…」
涼宮ハルヒは部屋に入ってきた人物を見ると同時に悲鳴をあげる
「ぁ……ぁ……」
その顔は、まるで異形のものを見るかのように目は見開かれ、怯えていた
「…………」
感情のこもらない声で何か呟き、彼女を冷淡な目で見据える
「………ぃ……ゃ……」
異形が近づく
絶望に打ち拉がれる涼宮ハルヒはあまりの恐怖に失禁する
「……目をもらう」
「ヒッ……イヤ……」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 20:02:33.12 ID:pAQebl9UO
「……」
涼宮ハルヒはなけなしの力を振り絞り瞼を閉じる
……だが
「……」
異形はいとも簡単に瞼を無理矢理開かせた
「あ……ぁ……イヤ………イヤァ……」
涼宮ハルヒの抵抗は虚しくも、意味をなすことはなかったのだ
その開かれた瞳からは、一雫の涙が零れ落ちる
「あ゛……ぁ゛……」
異形は左手で瞼を無理矢理開かせ
「あ゛っ……あっ……ぁぁぁぁぁぁああああ!!」
右手の人差し指を眼球を刳り貫くように刺し入れた
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 20:03:44.32 ID:pAQebl9UO
「あぁぁぁぁぁぁああああああああ!!」
先程、一雫の涙が零れ落ちた瞳からは、今は血の涙が流れ溢れている
「あっ……あ゛……ぁ………い゛だ゛ぃ゛………」
異形は眼球を傷つけぬように優しく、されど力強く指を掻き回す
「あぁぁぁぁぁぁあああああああ!!」
あまりの激痛に涼宮ハルヒは発狂し
異形の顔は鮮血に染まる
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 20:04:47.15 ID:pAQebl9UO
「あ゛……あっ…あがっ………」
そうして、涼宮ハルヒの右目は摘出された
「……」
異形は涼宮ハルヒの髪を掴み、無理矢理眼球を見せつける
「あぐっ……あっ……あっ……」
「…………」
異形は何やら呟くと、眼球を自分の口に放り込み、舌で転がせてみせる
「あっ……ぃ゛だい……………あ゛……」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 20:05:27.99 ID:pAQebl9UO
「…ふふ」
異形は優しく微笑み
「あがっ!」
涼宮ハルヒの髪を掴み、顔を上げさせる
そうして
「んっ……!?」
口付けをかわし、無理矢理眼球を涼宮ハルヒの口内へ押し入れる
「……うぐっ!?」
涼宮ハルヒは抵抗しようとすらが既に抵抗する力はない
「………んぐっ!!」
無理矢理眼球を口内へ押し込まれ
「んっ!」
吐瀉物が喉元まで流れ込んでくる
「ふふっ」
そうして涼宮ハルヒは全てを嘔吐した
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 20:31:39.00 ID:pAQebl9UO
「朝比奈さん、俺たちも行動しましょう」
「うぐっ……はい…」
「……」
「長門、気にするなよ。いつも俺たちはお前に頼ってきたんだ。今回ぐらいは自分たちだけでどうにかするさ」
「……ありがとう」
「さぁ、行きましょう。朝比奈さん」
「……はい」
「長門、ここを拠点にさせてもらうがいいか?」
「……構わない」
「ありがとな」
そう言って俺は微笑んだ
長門の家が1番安全だという理由もあるがそれだけではない
今回は参加出来ない長門だが、拠点を提供することで少しでも心苦しさがなくなればいい
そう思ったんだ
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 20:32:23.58 ID:pAQebl9UO
俺たちはハルヒが最後に消えた場所を中心に、なにか手掛かりをつかむために捜索した
だが……
「……はぁ」
収穫は零だ
「……くそっ」
空が明るくなってきた
朝比奈さんも疲れ切っているようだし今日はもう切り上げるか
……などと俺が考えていると
「……キョン君」
朝比奈さんが
意を決したかのように話しかけてきた
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 20:34:29.03 ID:pAQebl9UO
「古泉君のこと……どう思ってますか?」
「……どういうことです?」
朝比奈さんの言おうとしていること
「古泉君……」
それは
「古泉君のこと……」
絶対に言ってはならないことだ
……だというのに
「古泉君、怪しくないですか?それに……長門さんも」
朝比奈さんは
そんなことを言ってしまった
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 20:41:40.98 ID:pAQebl9UO
「朝比奈さん、本気ですか?」
「本気です!古泉君が今本当に閉鎖空間で戦ってるのかも分からないし、長門さんだって今回は関与してこないじゃないですか!怪しすぎます!」
「朝比奈さん落ち着いてください。そんなことをしてもあの2人にはメリットがないでしょう?」
「でも!でもぉ!!」
朝比奈さんはむせび泣く
「あいつらはそんなことしませんよ。俺が保障します」
俺は朝比奈さんを宥める
それに、古泉や長門を怪しいと言うのならば、朝比奈さんや俺だって怪しいということになってしまう
朝比奈さんは今この瞬間、俺のことを騙そうとしているのかもしれない
そういうことになってしまうのだ
「うっ……うぐっ……」
そんなことは考えたくもない
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 20:49:52.21 ID:pAQebl9UO
「朝比奈さん、とりあえず戻りましょう。今は色々起きすぎてきっと混乱しちゃってるんですよ」
「うっ……えっぐ……ごめんなさい……」
「俺も疲れました。家に戻ってゆっくり休みましょう」
「はい……。あっ、すいません、ちょっとトイレに行ってきますね。泣きすぎちゃって……」
「はい」
そうして俺たちは帰路についた
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 20:50:34.04 ID:pAQebl9UO
長門の家に着くと、古泉が待ち構えていた
そして
「どうか落ち着いて聞いてください」
「……どうかしたのか?」
古泉の表情から異変を察する
「……涼宮さんだけでなく、佐々木さんも失踪、または誘拐されました」
「……うそ……だろ…」
俺は自分の体を支えることが出来ずに、力なく座り込んだ
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 20:53:08.19 ID:pAQebl9UO
「……ぁ…」
血の匂いが充満した
暗い部屋
そこには、1人の人間と、誘拐された少女がいた
「…………」
誘拐された少女
佐々木はもはや声を発することが出来ない
「…………ぅ…」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 20:54:50.41 ID:pAQebl9UO
それは、肉体的外傷だけが原因ではない
「……なぜ」
君が
その言葉を何度呟いただろうか
何度問い掛けただろうか
「……ぅ……」
幾度問い掛けようが、返答はない
涼宮ハルヒも佐々木も、面識のない人間に誘拐されたのならば、まだ状況を理解できただろう
だが……
「……」
無言で佇む1人の人物
「…………なんで…」
彼女たちに、もはや力はない
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 20:55:37.18 ID:pAQebl9UO
「落ち着きましたか?」
「ああ、すまない」
ハルヒが誘拐されたのだ
ならば、同じ神である佐々木が誘拐される可能性も十分ある
「……僕たち機関に、佐々木さんを神とする機関が攻めてきましてね。
どうやら、僕らが佐々木さんを誘拐したと勘違いしていたらしいです」
「随分過激な集団だな」
「はい、
しかし今はお互い共同戦線をはっています。
世界を守る、根本は同じですから」
「なるほど、だからさっきからそこに橘がいるわけか」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 21:02:42.84 ID:pAQebl9UO
「あなたたちに面識があるので代表としてきました。よろしくお願いします」
「……ああ」
今は非常事態だからな
朝比奈さんを誘拐したことは今だけ忘れてやる
「よろしく頼むよ。早速だが話を聞かせてもらえるとありがたいんだが」
「話……ですか?」
ああ、と俺は頷く
「佐々木は俺の親友だ。絶対に助けてみせる。だから知ってることを全部聞かせてほしい」
「はい、頼もしいんですね。キョン君」
そう言うと橘は話し始めた
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 21:07:48.92 ID:pAQebl9UO
「はぁ……」
橘の話をまとめると、佐々木はハルヒと同じ日に誘拐された
「……それだけか」
「はい……ごめんなさい」
「なぁ、古泉……」
俺は古泉を見据える
「……何でしょう」
俺の真剣な面持ちに、古泉も合わせる
「この事件、お前ら機関の上の人間が起こしてるという可能性はないか?」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 21:14:07.62 ID:pAQebl9UO
「…………」
古泉は無言で先を促す
「お前ら下の人間には何も知らされていないだけで、お互いが潰しあってるんじゃないか?」
「……そんな!」
橘が口を挟むが俺は構わずに続ける
「橘たちの機関がハルヒを誘拐する、そして
ハルヒがいなくなったことに直ぐ様に気付いた古泉の機関の上層部が
橘の機関が誘拐したという確信はなくとも佐々木を誘拐した」
「しかし何故そのような……」
「なに、神が違えば人間は争う。至極当然のことだ」
「けど!世界を滅亡の危機に陥れてまでそんなことはしないと思います!」
「下の人間は騙され利用されるのが世の常だ。上層部が何を考えているいるのかは分からない」
俺は低く抑えた声で言った
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 21:23:10.11 ID:pAQebl9UO
「でも!でも!」
「別にお前を疑っているわけじゃない。1つの可能性の話をしただけだ」
「……確かに否定は出来ませんね」
古泉が同意する
「1つの可能性としては十分有り得るでしょう」
……と
「橘さんは……なんでここにいるんですか?」
朝比奈さんが声を発した
「あなたは私たちの敵なんですよね!?スパイじゃないですか!」
「朝比奈さん落ち着いてください」
例え橘が本当に送り込まれた密偵だとしても、手詰まりの今、情報を仕入れられる可能性がある
「えっ……違います、私は……」
「古泉君だって本当は閉鎖空間に行ってないのかもしれないし、長門さんだって何も関与してこないのが怪しいんです!!
キョン君もですよ!
一般人だとしても女の子2人ぐらいどうにかなるじゃないですか!!」
「朝比奈さん、落ち着いてください!」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 21:24:35.51 ID:pAQebl9UO
「朝比奈さん、今は仲間割れをしている場合じゃありません」
「こんな誰を信じていいかも分からない場所で仲間なんていないですよ!!」
朝比奈さんは慟哭する
「朝比奈さん、お願いします。今はとりあえず落ち着いてください」
「もう嫌です!私は出ていかせてもらいます!!」
朝比奈さんは走って家から飛び出す
「くそっ!古泉、俺は朝比奈さんを追い掛けに行く!!何かあったら連絡するからお前は待機しててくれ!」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 21:25:16.09 ID:pAQebl9UO
「分かりました……。朝比奈さんのあれも演技という可能性もあります。
……どうかお気を付けて」
「……ああ」
古泉の言う通りだ
……と
「あくまで、可能性の話ですが」
古泉が微笑む
「……ああ!」
俺は微笑み返し、勢いよく家から飛び出した
そうだよ
今はみんなを信じるべきなんだ
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 21:26:09.65 ID:pAQebl9UO
そうして
朝比奈さんが長門の家に戻ることは
二度となかった
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 21:28:02.88 ID:pAQebl9UO
事件は起きた
朝比奈さんが消え、長門の家には新しい入居者が入ってきたのだ
「うそ……だろ……」
しかしその入居者は
「あ……ぁ……うそ……いや…いやぁぁぁぁあああああ!!」
既に死んでいる
「あ……ぁ……」
裸体のままこたつの上に置かれ
「いやぁぁぁぁあああああ!!」
既に肉体は原形を止めておらず、胴体、頭、手足と6つに引きちぎられているのだ
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 21:29:24.56 ID:pAQebl9UO
こたつの上に置かれている肉体は、まるで生花のように整えられ
綺麗に飾られている
「……うっ」
橘が嘔吐する
当たり前だ
こんなものを見てしまったら誰だって……
「…………」
身体中は傷跡でうめつくされ、見るに堪えない
顔を見ると目は刳り貫かれ、眼球は1つの飾りとして使用されている
「……なんで……佐々木が……」
俺は、崩れ落ちた
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 21:30:35.99 ID:pAQebl9UO
「……あなたたちがやったんですか?」
橘が呟く
「あなたたちがやったんですか!?」
その目は、俺たちに敵意を抱いていることを顕著に表していた
「……なんで俺たちなんだ」
俺は橘に問い返す
「私たちの機関に対する挑発ですか!?なんでこんなことするんですか!?
佐々木さんは!佐々木さんは何も悪くないのに!!」
その顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっている
「俺だって!俺だって佐々木にこんなことをした奴を許せねぇよ!!」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 21:31:43.88 ID:pAQebl9UO
「機関に報告させてもらいます!!」
橘はリビングから出ていこうとする
……だが
「古泉!」
俺は古泉に一瞥を投げる
「……」
古泉は瞬時に理解し、橘を押さえ込む
「いや!離して!離してください!!」
「落ち着いてください。今は機関同士で争っている場合じゃないでしょう」
「あなたたちが佐々木さんにひどいことをしたんじゃないですか!!」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 21:33:09.25 ID:pAQebl9UO
「僕たちがあなた方を挑発して何になると言うんです。……それに、いるでしょう、1人……」
古泉も気付いているか
「いなくなった人が……」
「あ……」
橘は力なく座り込む
「朝比奈さん。未来人です」
「……」
橘は俯いたまま何も言わない
「これはもしかしたら、未来人と現代に生きる僕らの戦いなのかもしれません……」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 21:33:56.90 ID:pAQebl9UO
「取り乱してしまってすいませんでした……」
「いや、俺も取り乱してもおかしくなかったから……」
「佐々木さんが死んでしまったことはもう知れ渡っていると思います。みんな分かってしまうから……
とりあえず私は機関に行きますね
未来人のこととか、色々報告しないといけないし」
「ええ、しかしあなた方の神はいなくなってしまった。戦う理由はないのでは?」
「上層部の判断は分かりません。でも、世界を守る、その根本は同じだから」
「ああ、よろしく頼む。下まで送っていくよ」
「ありがとうございます」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 21:34:57.84 ID:pAQebl9UO
「絶対に、犯人をみつけましょうね」
エレベーターの中
橘が静かに呟く
「ああ、佐々木の仇は絶対にうつ」
「それじゃあ、またお会いしましょう。何かあったら連絡します」
それでは、橘はそう言うと、ぺこりと頭を下げて去っていった
そうして橘は
機関に辿り着くこともなく、俺たちのもとに帰ってくることもなかった
橘京子は 失踪した
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 21:35:46.05 ID:pAQebl9UO
橘京子
新たな被害者
かつて佐々木が存在した場所に、彼女は拘束されている
「いやぁぁぁぁあああああ!!」
彼女は机の上に仰向けに拘束され、衣類は剥ぎ取られている
大の字
彼女の今の姿を形容するのにもっと適している言葉だろう
「あがっ!!」
彼女の口を無理矢理開かせ、器具を装着する
「あっ……あ……」
これで彼女の口は常時開けっ放しの状態になる
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 22:11:48.45 ID:pAQebl9UO
「……ヒッ……」
彼女の口にホースが入れられる
口の中に異物を注入されるのではないかという恐怖心が、彼女を怯えさせる
「あ……ぁ……ぃ……や……」
……そして
ホースからは大量の水が止まることを知らずに流れ落ちる
「あがっ!!あっ!」
水だと安堵したのも束の間彼女は絶望する
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 22:12:41.24 ID:pAQebl9UO
最初のうちは水を飲み込めた
……だが
「あぐっ!がっ!」
すぐに限界がきてしまったのだ
「がっ!あっ!」
口から水が溢れ、呼吸することは出来ない
鼻で呼吸するしかないが、それすらも口から溢れでる水に邪魔をされてしまうのだ
「あ゛っ!あ゛がっ!」
橘京子の腹部は瞬く間に膨れあがり
「……あっ!!…ハッ!ハッ!」
水は止んだ
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 22:16:30.30 ID:pAQebl9UO
「ハァ…ハァ……あっ!……」
息を整える間もなく、橘京子は次の苦しみを味あうことになる
「……あっ……えっ?………」
膨れた橘京子の腹部には手がおかれ、
「あがっ!!」
全体重をかけた、渾身の力で押し潰された
「あぁぁぁぁ!!あがっ!あ゛っ!!」
橘京子の口から水が溢れ出る
「あがっ!あっ!あ゛っ!」
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 22:19:44.61 ID:pAQebl9UO
何度も繰り返し、全ての水を吐き出させる
「あっ……あ゛……」
橘京子は虚ろな目で、信じられないものを目にしてしまった
「あ……ぁ……」
ホースがまた、用意されていたのだ
「あぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!」
繰り返されるであろう苦痛に、橘京子は絶望した
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 22:24:33.25 ID:pAQebl9UO
次の日、古泉は閉鎖空間から長門の家に帰ってくると同時に、こんなことを口にした
「橘さんが、失踪しました……」
「うそ……だろ……」
「恐らく、未来人に襲撃を受けたのではないかと……」
「くそっ!俺が機関まで送っていれば!!」
俺は壁をたたく
「あなたのせいではありませんよ。
そして、機関も非常に良くない状態です」
「……どうかしたのか?」
古泉の顔は、誰が見てもやつれていると分かる程であった
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 22:27:13.75 ID:pAQebl9UO
「神である佐々木さんの死、そして橘さんが僕らのところから帰ってこないということ。
その2つを理由に、あちらの機関が僕たちの機関に攻めてきました」
「なっ!?嘘だろ!?なんで!?」
「あちらの機関は完全に僕らの仕業だと思っているようです」
「それで……どうなったんだ?」
「どちらもほぼ壊滅しました……生き残りは極僅かです」
「閉鎖空間はどうなるんだ?神人を倒す奴がいなくなったらまずいんじゃないのか?」
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 22:33:48.81 ID:pAQebl9UO
「さすがは涼宮さんというところです。
新たな超能力者たちが次々と誕生しています」
「なら、閉鎖空間は大丈夫なんだな?」
「いえ、新たな超能力者たちは本来ならば超能力に目覚めることのなかった人々です」
「……どういうことだ?」
「即興で作られた超能力者なので、質が悪いといいますか……」
「……」
俺は無言で先を促す
「神人と戦っては殺され、新たな超能力者たちが生まれる。
非常に良くない流れです」
「……悪循環に陥っているのか」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 22:42:28.40 ID:pAQebl9UO
「あなたのクラスからも数人、超能力者が生まれ、亡くなられました」
古泉は言いにくそうに呟く
「……そうか。
……これ以上被害者を出すわけにはいかない。
とりあえず、朝比奈さんを探すぞ
犯人と決め付けたわけじゃないが、話を聞こう」
今俺がやるべきことは悲しみに打ち拉がれることではない
これ以上被害者を出さないことだ
「ええ、そうですね。……ところで長門さんは?」
「ああ、俺が戻った時からいないな。買い物にでも行ったんじゃないか?」
「……そうですか、協力してもらいたかったのですが」
「しょうがないさ。早いとこハルヒを救出しないとな」
「ええ、行きましょう」
そうして俺たちは、朝比奈さんの家へ向かった
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 22:44:39.91 ID:pAQebl9UO
時は遡る
「あぁぁぁぁぁぁあああああああ!!」
薄暗い部屋
血の匂いが充満し
まるで室内だけ異世界のようだ
「あ゛っ……いやぁ……あぁぁぁぁぁぁあああああああ!!」
そして、異世界には新しい住人が加わった
「い゛だ゛ぃ……い゛やぁ……あぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!」
朝比奈みくる
3番目の住人である
彼女は今まさに、異世界の洗礼を受けていた
「あ゛っ……あっ……や゛めてぇ……いやぁ……」
87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 23:30:13.28 ID:pAQebl9UO
縄で拘束され
身体のいたるところからは血が溢れ出ている
「あぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!」
鞭で打たれる度に、皮を剥ぎ取られ、肉を抉られ、裂かれる
「あぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!」
異世界の主は、鮮血に染まる
否、
自ら浴び、悦楽に浸っている
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 23:31:58.41 ID:pAQebl9UO
朝比奈みくるを取り囲むように、禍禍しい拷問器具が立ち並んでいる
それらを使われるのかもしれないという恐怖、拷問器具自体が発する威圧感に、朝比奈みくるは絶望する
……だが
「あ゛ぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!」
今はただ
鞭で身体中を引き裂かれる激痛に耐えることで精一杯だった
異世界の主は鞭を捨て、朝比奈みくるに近寄る
……と
「……ヒッ……」
朝比奈みくるは怯えることしか出来なかった
「……ぁ……」
……だが
拷問は行われることはなく、
朝比奈みくるの、身体中の傷口から溢れる出る血を一通り舐め終えると
満足したのか部屋から去っていった
「……やっぱり……」
あなたが
その言葉を発することはなく、朝比奈みくるの意識は途絶えた
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 23:33:28.01 ID:pAQebl9UO
「……いないですね」
「………ああ」
朝比奈さんの住所を調べ、古泉と向かったが、既に家は蛻の殻だった
「……すいませんが、僕は閉鎖空間に向かわなければなりません」
「そうか……俺はもう少し手掛かりがないか探してみるよ」
「すいませんよろしくお願いします」
それでは、と言い残し、古泉は閉鎖空間へ向かった
さぁ、俺も行くか
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 23:34:30.09 ID:pAQebl9UO
俺は部屋に入る
「よう、元気か?」
「ヒッ……」
俺の目の前には満身創痍の3人が拘束されている
「……」
ハルヒに限っては気を失っているようだ
まぁ1番長くいるし、当たり前か
……と
「……長門」
何故お前がそこにいる
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 23:35:41.92 ID:pAQebl9UO
「長門、どうしてここが分かった?いや、お前にそんなことを聞くなんて愚問か……」
「……」
長門は無言で俺の顔を見据える
「お前の目的はなんだ……、ハルヒの救出か?」
俺は身構える
「私の目的は……観察すること」
「…………」
理解するのに数秒かかってしまった
「お前は観察するためだけにここに来たってことか?」
「……そう」
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 23:37:46.13 ID:pAQebl9UO
「ハハッ!そりゃあいい!要するに邪魔はしないってことだな?」
「……」
長門は無言で頷く
「そもそもお前、最初から俺が犯人だと知ってたんだろ?」
「……」
長門は無言だ
無言の肯定ととっていいだろう
「それじゃあ、情報統合思念体が観察しろって指示を出したというのは嘘で、
本当は全部お前の意志ってことか?」
「そう、私はあなたの意志を尊重する。情報統合思念体からは何も指示は受けていない」
「ははっ!こいつら、最初は助けが来たと思ったんだろうなきっと!」
俺は橘の髪を掴み、頭をあげさせる
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/30(火) 23:40:14.65 ID:pAQebl9UO
「ああ!見たかったぜ!こいつらの絶望する顔!」
「……あぐ……」
「なんて助けを求めたんだ?なぁ?なぁ!?」
「あっ!あがっ!」
俺は橘の顔を地面に叩きつける
床には橘の血がこびりついていた
「おっと、やりすぎたら死んじまうな
……さてと」
まずはやらなければならないことがある
「ハルヒ、死んでくれ」
100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 00:20:28.58 ID:9WjENMH3O
腕から吊され、爪先がかろうじて床につくように拘束されているハルヒの縄を切る
「……」
ハルヒは倒れ崩れる
なんだよ、悲鳴を聞きたいのに気絶してたらつまらないじゃないか
俺はハルヒを椅子に座らせ固定し、顔に水をかける
「……ぅ…」
ハルヒが目を覚ます
「……キョン…」
俺の顔を見ると、ハルヒの頬に一雫の涙がこぼれ落ちた
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 00:21:15.24 ID:9WjENMH3O
俺は、人が1人入ろうが、なお余りある大きさの水槽を用意し、 水を注ぐ
……と
「涼宮さん!!」
古泉が入ってきた
「よう、早かったな」
俺は古泉に連絡を入れておいたのだ
【ハルヒが見つかった。今すぐここに来い】
……と
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 00:22:22.19 ID:9WjENMH3O
「なっ!?……うっ」
古泉は、その惨状に驚愕し、嘔吐した
「うっ……これは……一体?橘さんに朝比奈さんまで……」
「ああ、今からハルヒを殺そうと思ってな」
「……どういうことですか?一体誰がこんなことを……」
「俺だよ」
俺は即答する
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 00:23:30.10 ID:9WjENMH3O
「…………え?……何故……あなたが……」
古泉はあまりのショックに座り込んだ
目は大きく見開かれ、呆然としている
「僕はあなたのことを……信じていたのに……
なんで……」
「別に、ただの俺の趣味だよ」
「……嘘だ……」
「嘘じゃないさ。まぁそれだけでもないがな」
「……」
「こいつには少なからず……いや、大分恨みもあったしな」
俺はハルヒの髪をつかむ
「それに、確かめたかった」
「……確かめたかった?」
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 00:28:00.32 ID:9WjENMH3O
「世の中にはさ、絶対無二の存在なんてないじゃないか。
だから神として扱われているハルヒが死んだら、その能力を持つ新しい誰かが新しくでてきたりするのか気になってな。
それにハルヒがいなくなれば、ハルヒに注目している連中は全て混乱するからな。
それが見たかった」
「なっ!?
そんな意味の分からない理由で……
あなたは……狂ってます
それに何故佐々木さんまで……」
「ハルヒだけいなくなるより佐々木も一緒にいなくなった方が、お前ら機関や他の勢力のせいにできるからな。
それに2人いなくなる方が事も大きくなる。
それだけだ」
「……腐ってる…」
「それとお前ら機関が争ったら面白いことになりそうだなぁとか考えてたんだよ。
そしたら本当に争ってくれたからな、最高だったぜ。しかも壊滅って……ハハッ!最高だよお前ら!」
「……結局あなたはただの愉快犯ってことだったんですね」
「くくっ、さぁね」
「てめぇ!」
109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 00:32:05.31 ID:9WjENMH3O
古泉が殴りかかってくる
……が
「あ゛ぁ゛っ!!」
既にやつれている古泉に力はなく、呆気なく俺のスタンガンにより気絶させられる
「水は……まだか……」
水が入るまで暇だから朝比奈さんと橘で遊ぶかな
「……ヒッ……」
怯える2人をどうしようかと考えるだけで興奮がおさまらない
「長門、一緒にやらないか?凄く気持ちいいぞ」
「……」
「あぁ…たまらない…」
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 00:39:20.93 ID:9WjENMH3O
「朝比奈さんにしますね。ふふっ」
俺は優しく朝比奈さんに微笑みかける
「……ヒッ……ぃ……ぃゃ……」
朝比奈さんは怯え、震え声を出す
「……ん?」
水槽には既に6割程水が入っていた
「すいません、朝比奈さん。中止です」
俺は朝比奈さんに謝り、ハルヒを水槽の横に移動させる
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 00:45:07.62 ID:9WjENMH3O
「……ぅ…」
俺は古泉に水をかけ、目を覚まさせる
「よう、おはよう」
「くっ……」
古泉もハルヒ同様椅子に座らせ縛りつけている
「今から面白いものを見せてやるよ」
「何をするんです……?」
古泉は敵意のこもった目で俺を睨み付ける
「なぁに、ちょっとしたスペクタクルですよ」
俺は、皮肉たっぷりなセリフで言ってやった
119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 00:54:47.24 ID:9WjENMH3O
俺とハルヒは水槽に取り付けられた台の上にいる
「……まさか」
「ハルヒ、お前俺のこと好きなんだよな?」
俺はハルヒの髪を掴み、頭をあげさせる
「くくっ、最後にキスしてやろうか」
俺は奸悪な笑みを浮かべる
「うぅ…ぅっ……」
ハルヒは嗚咽を漏らしている
「じゃあな、ハルヒ。好きな男のために死んでくれ。なに、お前と遊んでる間、俺は最高に楽しかった。
誇りながら死ね」
そう言うと俺は、水槽にハルヒを椅子ごと放り落とした
「やめろぉぉぉぉおおおおおお!!」
1人の男の悲痛な叫びが、響き渡った
129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 01:20:41.40 ID:9WjENMH3O
俺は古泉の真横へ行き、隣へ座る
「どうだ?最高だろあの顔。ふふっ」
たわいもない会話をするように古泉に話しかける
「あぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!」
古泉は慟哭し、水槽に近づこうと懸命に暴れている
「何だ?もっと前で見たいのか?連れてってやるよ。よかったなぁ、古泉。
俺みたいな優しい親友がいて、くくっ」
俺は古泉を水槽の目の前まで移動させる
「あぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!」
古泉は涙を流しながら叫び続ける
目の前に、手の届く位置にいるというのに救えない
それが苦しいのだろう
130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 01:21:44.97 ID:9WjENMH3O
「ふふっ、ハルヒの顔がよく見える」
水槽の水は透き通り、ハルヒの苦痛に歪む表情を鮮明にこちらへ見せてくれる
「あ゛ぁ゛ぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!」
「長門、どうだ?最高だろ?くくっ
有機生命体も中々素晴らしいだろ
ハハッ」
「いゃぁぁぁぁあああああああ!!」
朝比奈さんが慟哭し、叫ぶたびに血を吐いている
よかったなぁ、ハルヒ
団員に慕われて
「ふふっ」
朝比奈さん、まだそんな叫ぶ元気があったんですね
ハルヒを見て興奮しているところなんです
やっぱり自分の手が1番気持ちがいい
131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 01:22:41.87 ID:9WjENMH3O
そうして
ハルヒは死んだ
132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 01:24:22.88 ID:9WjENMH3O
「うあぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!」
「ふむ、野郎の叫び声なんざに興味はなかったが、これこれでなくはないな」
「さてと……」
「あがっ!!」
俺は橘の顔を殴る
「あぁ……気持ちいい……」
「あぐっ!あがっ!あっ!」
「ハルヒを見てたら我慢出来なくなってしまってな。なに、もう終わりだ。
安心しろ」
身体を丸められる形で拘束されている橘の顔を殴り、蹴り飛ばす
「ハハッ!長門!パスだ!サッカーしようぜ!
あはははは!!」
俺は長門へ向かって橘を蹴り飛ばした
135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 01:31:04.01 ID:9WjENMH3O
「あがっ……あっ……」
長門の足に当たり、橘の体は止まる
長門は蹴り返してこない
「長門、俺はお前とサッカーしたい。……なっ?
ほらっ、パス!」
俺は片手をあげてパスを要求する
「……」
長門はなおも無言のまま蹴り返してこない
「長門、ハルヒはもういない。観察に徹するのは終わりでいいんだよ」
……と
「やめろぉぉぉぉおおおおおお!!」
俺と長門の会話は無粋な男により邪魔されてしまった
「黙れ古泉。
橘の声が聞こえないだろ」
俺は低く抑えた声で言った
136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 01:34:52.14 ID:9WjENMH3O
俺は古泉の口へ、橘に使ったものと同じ器具を装着した
「あ゛……ぁ……」
古泉の口は常時開けっ放しになる
これでいいだろう
……さて
「長門」
俺は長門の目を見据え
「蹴り返せ」
低く、抑えた声で告げた
138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 01:40:33.43 ID:9WjENMH3O
そうして、長門は橘を蹴り返した
「あがっ!!」
橘は一瞬の間に壁へ衝突し
「……」
まるで破裂したかのように身体は吹き飛び
「……え?」
絶命した
壁には橘の肉片や骨が埋め込まれ、俺の体は鮮血に染まる
140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 01:46:02.29 ID:9WjENMH3O
「長門、確かにいいものを見せてもらった……
だが、俺は自分の手で始末したかったんだよ」
俺は長門へ近づく
「加減することが出来なかった」
「……そうかい、まぁいい。滅多に見れないものを見させてもらえたしな」
「……そう」
「あれじゃあ即死だな…………ん?……即死?」
俺は長門の頬を片手で挟み込む
1つの可能性に気付いてしまった
「おい……まさかとは思うが……」
「……」
「あいつを安楽死させたってことはないよなぁ?」
腕に力をこめる
145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 01:51:33.13 ID:9WjENMH3O
「違う。加減が出来なかっただけ」
「くくっ、そうかい」
そう言うと俺は長門を殴り飛ばした
なんとなく想像はしていたが、長門は一切声をあげることはない
「長門は優しいなぁ!」
俺は長門の髪を掴み、顔を地面に叩きつける
何度も
何度も
何度も
「……違う」
「そうかい、ハハッ!」
148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 01:55:35.14 ID:9WjENMH3O
何度地面に叩きつけただろうか
「あはははは!!今はもう安楽死させたか、させてないかなんてどうでもいい!!お前も中々いいなぁ!
あはははは!!」
俺の興奮はしばらく、おさまることはなかった
150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 02:04:10.78 ID:9WjENMH3O
「……ふぅ」
長門を一通り愛でてやったので朝比奈さんに話しかける
「朝比奈さん、
俺にもポリシーがあるんですよ。
虫や動物に殺させるような方法もあるようですが、俺は嫌なんです。
確かにそっちの方が苦痛なのかもしれない。
でも、自分の手で愛でてあげないとね。
親愛に敬意、俺はそういうものが大事なんだと思います。」
「ヒッ……」
「でもね……今だけそのポリシーを破ります」
俺は感情のない目で、朝比奈さんを見据えた
154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 02:09:13.17 ID:9WjENMH3O
「長門、こっちに来い」
俺は長門を呼び寄せる
「……長門」
俺は朝比奈さんの髪を掴み、頭をあげさせ
「俺が納得するやり方で朝比奈さんを殺せ」
容赦なく言い放った
「ヒッ……イヤ……」
朝比奈さんは怯える
「納得出来なかったら……分かってるな?」
「……」
長門は無言で頷く
「さぁ、やっちまえ」
俺は微笑み、死の宣告を告げた
155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 02:18:27.23 ID:9WjENMH3O
「……さてと」
俺は古泉の椅子の向きを朝比奈さんの方へ向け
「一緒に高みの見物をきめこもうじゃないか、くくっ」
古泉の隣に腰を下ろす
「さて、人知の及ぶところではない、どんな素晴らしいものを見せてくれるんだろうなぁ、くくっ」
「あ゛……ぁ゛…」
「まぁ、黙って見てろよ。きっと堪らなくいいものだぜ、ふふっ」
ああ、言い忘れていた
「朝比奈さん!」
俺は朝比奈さんに話し掛け、
「さようなら」
満面の笑みで別れを告げた
158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 02:25:39.27 ID:9WjENMH3O
「イヤ……ぁ……ぁっ…」
長門は朝比奈さんに手をあて
「……大丈夫」
そう言うと
「ぁっ…………ありがとう……ございます…」
安らかな笑みで粒子状へ散っていった
「……くくっ」
そうかい
それがお前の答えか、長門
「くくっ」
まぁいい、宇宙人も殺してみたかったんだ
たっぷりと愛でてやろう
「……さて」
俺は立ち上がり、拷問器具の選別を始めた
162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 02:33:19.80 ID:9WjENMH3O
「鞭で皮を剥ぎ取り肉を抉るか
水責めで苦しむ顔を眺めるか
火責めで長門の体に俺のマークをつけてやるか」
どれも捨てがたい
……だが
「どうせなら、致死率が高くて普段使えないやつがいいかな」
「……大丈夫」
「なにがだ?簡単には死にはしないってことか?
くくっ、頼もしいじゃないか」
さて、どうしようか
「あぁ、早くしたい……」
163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 02:40:17.50 ID:9WjENMH3O
「……違う」
「何がだ……?」
俺は選別に勤しんでいるところなんだ
あまり邪魔をしないでほしい
「……あれ」
長門が指を指す
「……あ」
そこには、
「あ゛ぁ゛ぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!」
あまりの激痛に絶望し、泣き叫ぶ朝比奈みくるの姿があった
168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 02:51:33.32 ID:9WjENMH3O
「あ゛ぁ゛ぁ゛あぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!」
「……凄い」
思わず言葉が漏れる
なんという崇高美
神々しさすら感じてしまう
「……あれでよく生きてるな」
朝比奈みくるは、顔を除いた全ての部位がミキサーにかけられたかようになっている
そしてそれは再生され、破壊される
「……あぁ」
俺の頬に一雫の涙がこぼれ落ちる
俺は目尻に涙が溜まっていたことに気が付かなかったのだ
「あ゛ぁっ!!あがっ!!あぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!」
ああ
まさに絶対音楽
「……素晴らしい」
生まれて初めて俺は、感動で涙を流した
171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 02:54:42.85 ID:9WjENMH3O
「ふぅ……」
「……」
長門が無言で見つめてくる
「最高だったよ。本当はどっちにしろお前を愛でるつもりだったんだが、今日はもう満足した。
帰るぞ」
「……」
長門は相変わらず無言で俺の後をついてくる
173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 03:01:02.79 ID:9WjENMH3O
「あっ、そうだ」
俺は古泉に一瞥を投げて言った
「じゃあな古泉、運が良ければ助かるかもな。
……まぁ、気が向いたら1週間後ぐらいに見に来てやるよ。
覚えてたらだけどな」
「あ゛っ!………あぁっ!……」
古泉が何か叫ぼうとするが気にしない
否、
興味がない
「じゃあな」
俺は、古泉を見ることなく別れを告げ、部屋を出た
180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 03:28:52.98 ID:9WjENMH3O
「……ふぅ」
俺は、満足感に満ち溢れていた
「いやぁ、今回は中々に楽しかった。
暫くは安穏に暮らせそうだ。くくっ」
口元からは自然に笑みがこぼれ落ちる
「あぁ、けど今回で大体の勢力は潰してしまったかな。
鶴屋家ぐらいしか残っていない……か?」
「……安穏」
長門が呟く
「ああ、そうだった。
くくっ。暫くは余韻に浸るとするさ。
暫くしたら、また新しい勢力も出てくるだろうしな」
錯綜させ、混乱させ、混沌に陥れる
それこそが俺の生き甲斐、俺の全て
「あぁ……堪らない」
想像しただけで悦楽に浸れる
181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 03:32:22.40 ID:9WjENMH3O
そして……
俺たちは今
長門の家のベランダから
あかね色に染まるこの街を、この空を眺めている
「あぁ、ここから見る景色は……相変わらず美しい」
こうして
俺の1つの物語は
幕を閉じた
END
183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 03:34:57.82 ID:9WjENMH3O
終わりました。
こんな時間までお付き合いありがとうございます。
読んでくださってありがとうございましたm(__)m
192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/01(水) 05:54:54.23 ID:9WjENMH3O
保守、コメントしてくださった方々ありがとうございましたm(__)m
そろそろ寝ないと……