1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 03:20:00.70 ID:gQj+KNBS0
みくる「人気があるのは涼宮さんや長門さんですから」
みくる「私なんて、ただのお茶汲みです」
キョン「何言ってるんですか、こんなにかわいいのに」
みくる「キョンくんは優しいね……」
キョン「ほら、もっと自分に自信を持ってください」
キョン「俺がこのSOS団から抜けずにいるのは、あなたがいるからですよ」
みくる「はう……」
キョン「あなたの着替えを……じゃなかった、天使のような微笑みが見られるから、ここにいるんです」
みくる「からかわないでください……その、あたし本気にしちゃいますから……」
キョン「(かわいい!)」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 03:29:00.74 ID:gQj+KNBS0
キョン「あなたがSOS団の良心なんです、唯一常識のある方だと言ってもいい」
みくる「そんなことないです……あたしなんか、ドジでのろまで」
キョン「あなたのファンだって、たくさんいますよ!ネットで調べて見ましょう」
カチカチ
キョン「……」
長門は俺の嫁
いや、今俺の隣で寝てるから
お前ら寝ぼけてんのか?今俺の晩飯作ってるから
笹の葉の子供ハルヒかわええええええ
正直新OPのハルヒのケツがたまらん
最近ハルヒがかわいく見えるから困る
みくるでしゅwwwwおちんぽみくるでしゅwwwww
みくる「涼宮さんって体臭きっついですよね」
みくるって誰?
みくる「……ほら」
キョン「(逆効果だった!!)」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 03:33:39.34 ID:gQj+KNBS0
みくる「……あたし今日はもう帰ります。みなさん来ないし……」
キョン「わー!待ってください朝比奈さん!俺がいるじゃないですか」
みくる「……」
キョン「パソコンの前から離れない人間にはわからんのです!あなたの魅力が」
みくる「……も、もう!からかわないでって言ってるでしょ」プンスカ
キョン「(かわいい!)」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 03:44:57.97 ID:gQj+KNBS0
キョン「ほら、朝比奈さんも座って」
みくる「あ、どうも……」
キョン「この際だから、日ごろの愚痴とか全部吐き出しちゃいましょう」
みくる「そ、そんなのないですよぉ」
キョン「ほんとですか?ハルヒに苛められてストレスたまってませんか?」
みくる「……あたしは、毎日楽しいです」
みくる「いろんな衣装着せられたり、写真撮影させられたり、時々困ることもあるけど」
みくる「でも、すっごく楽しいです。みんなと会えてよかったって、今は思ってます」
みくる「最初はどうなることかと思ったけど……ふふ」
キョン「朝比奈さん……」
みくる「私、兄弟とかいなかったから……なんだか元気な妹とか弟がたくさんできたみたいで……えへへ」
みくる「お仕事としては、とても大変ですけど、それでもやっぱり私はここが好きです」
キョン「(かわいい!!)」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 03:53:52.87 ID:gQj+KNBS0
みくる「あ……お茶のおかわり淹れますね」
キョン「あ、いえいえ!たまには俺が」
ぴとっ
みくる「……きゃ」
キョン「ああ!す、すいません」
みくる「いえ……」
キョン「……」
みくる「な、なんかどきどきしちゃいますね」
キョン「そんなこと言われたら、余計とですよ!」
みくる「あう……ごめんなさい、だって……そ、その…今二人しかいないし」
キョン「!」
みくる「や、あの!ちがうんです!その……変な意味じゃ……あうう」
キョン「(もうどーにかなりそーだ!!)」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 04:01:05.81 ID:gQj+KNBS0
キョン「……朝比奈さん」
みくる「ひゃ、ひゃい!」
キョン「みんな、朝比奈さんと同じだと思います」
みくる「え……?」
キョン「古泉だって、ハルヒだって、あの長門だって……みんな今のSOS団が好きなんですよ」
キョン「みんなに会えてよかった、そう思ってます。もちろんそれは、朝比奈さんと会えてよかった、そういう意味でもあるんですよ」
キョン「当然俺だってそうです。あなたに会えてよかった」
みくる「……もう、キョンくんたら」
キョン「はは、ちょっと臭かったですかね」
みくる「ううん……ふふ」
キョン「(エンジェルスマイル!)」
みくる「なんだかとっても……うれしい」
キョン「(かわいい!!)」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 04:13:58.89 ID:gQj+KNBS0
キョン「さて、もう今日は帰りますよ」
みくる「あ、あの」
キョン「?」
みくる「その、着替え終わるまで、待っててくれませんか?」
キョン「ええ、いいですけど?」
みくる「よかった……なんだか今日は、一緒に帰りたくって」
キョン「……え、ええ」
みくる「ふふ、じゃあ悪いけどちょっとそこで待っててくださいね、すぐ着替えますから!」
バタン
キョン「今日部室に顔出してよかった……!」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 09:26:17.77 ID:gQj+KNBS0
みくる「こうやって二人で歩くのも、なんだか久しぶり」
キョン「驚きましたよ、あの時は……急に未来から来た、なんて言うんですから」
みくる「ふふ、でも私だって緊張してたんですよ?」
キョン「え?」
みくる「突拍子もないことを言って、相手にされなかったらどうしようって」
キョン「はは、確かに」
みくる「もう、笑い事じゃないの!……私にとっては死活問題だったんだから」
みくる「だって、だってですよ?私がもしここでキョンくんから変人扱いされて、口を聞いてくれなくなったら……私どうしていいか」
キョン「そ、そんなことしませんよ」
みくる「うん……あの時もキョンくん、あたしの話ちゃんと聞いてくれてて……すごくホッとしました」
キョン「こっちは別の意味でドキドキしてましたけどね」
みくる「え?」
キョン「だって、そうじゃないですか。朝比奈さんみたいな美人と二人っきりで、平常心でいられる男なんていないですよ」
みくる「もう、キョンくんたらまたそんなこと言って!」
キョン「(かわいい!!)」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 09:41:45.47 ID:gQj+KNBS0
みくる「でもね、さっきも言ったけど、私SOS団に入れてよかった」
キョン「ほう」
みくる「だって、私がなんとかお仕事ちゃんと出来てるのも、みんなに助けてもらえてるからだし……」
キョン「そうなんですか」
みくる「……私のせいで世界が崩壊寸前になったこともあったし」
キョン「あれは朝比奈さんのせいじゃないですよ、ハルヒのアホがたまたま機嫌悪かっただけですから」
みくる「何事も無く済んだのは、キョンくんのおかげです」
キョン「そんな大げさな……言ってみれば俺は古泉と長門の言うとおりにしただけですから」
みくる「それなんです」
みくる「私だけがいつも何も力になれなくって……」
キョン「まだそんなこと言ってるんですか」
みくる「だって、だって」
キョン「朝比奈さんがいるから助かったってこと、俺はたくさん知ってますよ」
みくる「ふぇ?」
キョン「ま、あなたはまだ知らないだけです」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 09:54:36.60 ID:gQj+KNBS0
みくる「何、何?何のこと……?」
キョン「禁則事項、ですよ」
みくる「もー!」
キョン「あはは」
みくる「はー……うふふ」
ぽつぽつ
キョン「ん、降ってきましたね」
みくる「今日は午後から、降るって言ってましたね」
キョン「え?そうなんですか……参ったな」
みくる「あ、私折りたたみの傘持って来たから、一緒に使おう?」
キョン「(なんという至福……!)」
みくる「ど、どうかしたんですか……?」
キョン「いえいえ、なんでもないですよ。お邪魔します」
みくる「はい、どーぞ」
キョン「(かわいい!!)」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 10:08:44.94 ID:gQj+KNBS0
キョン「随分雨脚が強くなって来ましたね……」
みくる「うん……」
キョン「!」
キョン「朝比奈さん、肩びしょびしょじゃないですか」
みくる「え、いや……これは、その、大丈夫だから」
キョン「何言ってんですか、ほらもっと中入ってください。風邪引きますよ」
みくる「でもキョンくんが……」
キョン「俺ならそこらのコンビニで傘買いますから」
みくる「ごめんなさい……」
キョン「あなたが謝ることじゃないですよ、むしろ俺が悪いんですから」
みくる「……ちょっと傘、持ってて?」
キョン「え」
ぎゅっ
みくる「これなら二人でも濡れないよ」
キョン「(これは夢か?夢なのか?)」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 10:12:46.23 ID:gQj+KNBS0
みくる「キョンくんの腕って思ってたよりもがっしりしてるね」
キョン「(あなたはすごく柔らかいです……)」
みくる「……」
キョン「……」
みくる「……あの、迷惑だった?」
キョン「いえ!とんでもない!なんなら一生このままで……いや、あの、俺は何を言ってるんだ」
みくる「ふふ」
みくる「ちょっとドキドキしちゃいますね」
キョン「ちょっとどころじゃないですよ」
みくる「涼宮さん……見てないよね?」
キョン「はは、まさか」
みくる「……えへへ」
ぎゅっ
キョン「(はっきり言おう、俺はもう今死んでもなんの悔いも残らん)」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 10:33:01.27 ID:gQj+KNBS0
みくる「……あったかいね」
キョン「え、ええ」
みくる「普通の女の子としての生活って、私の憧れなの」
キョン「はあ」
みくる「やっぱり私はお仕事しながらだから、純粋に学校生活を楽しめるのって、少しうらやましくって」
キョン「……朝比奈さん」
みくる「まあ私の場合、あまり変わらないかもしれないですけど、ふふ」
キョン「……」
みくる「でも、こうやって好きな人と一緒に帰ったり、手を繋いだり……自分の好きなように過ごすのも楽しそうだなって」
キョン「あ、あの……それって」
みくる「え……あ、ああ!?ち、違いますよっ……その、好きな人って言うのは、例えばの話でっ!」
みくる「か、勘違いしないでください……あうう」
キョン「やっぱり俺じゃ役不足ですかね」
みくる「そ、そういうことじゃなくって!……あ、あたしがキョンくんのこと好きなんて言ったらまた閉鎖空間が……」
キョン「……それじゃまるで本当は好きみたいですよ」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 10:39:52.26 ID:gQj+KNBS0
みくる「え!?やっ……ち、ちが……」
キョン「はは、わかってますよ。冗談ですって」
みくる「……」
キョン「?」
みくる「キョンくん、あのね……私」
キョン「どうしたんです」
みくる「……」
みくる「ううん、やっぱりなんでもないです」
みくる「(あたしがそんなこと言ったら、またややこしくなるだけだよね……)」
キョン「まあ、わかっちゃいますが残念ですね」
みくる「え?」
キョン「自分が朝比奈さんのそういう相手だったらいいなって思いますから、こうしてると」
みくる「……んで」
キョン「?」
みくる「なんで、そういうこと言うんですかぁ……」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 10:47:23.93 ID:gQj+KNBS0
キョン「あ、朝比奈さん……?」
みくる「ばかばか……キョンくんのばか」
ぎゅー
キョン「わわっ!ちょ、ちょっと朝比奈さん!?」
みくる「そんなこと言って、私にどうしろって言うんですかぁ」
キョン「ど、どうもしなくていいですよ……な、なにか気に障りましたか?」
みくる「私だって女の子なんですよ?年頃の、みんなと同じ女の子なんですよ?」
キョン「重々承知してますよ!」
みくる「なのにそんなこと言われたら、私……すごく切ない」
キョン「……あ、あの」
みくる「ばかぁ」
キョン「……」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 10:50:44.44 ID:gQj+KNBS0
キョン「……朝比奈さん、いいですか?これは、俺が勝手にやったことです」
みくる「ふぇ?」
キョン「だから、朝比奈さんに何の非もないんです、わかりますね?」
みくる「あ、あの」
キョン「ちょっと、目を瞑っててください」
ぎゅっ
みくる「きゃっ」
ちゅ
みくる「んん……」
キョン「……あはは」
みくる「……」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 10:53:31.53 ID:gQj+KNBS0
キョン「……す、すいません、急に」
みくる「……あ、あの」
キョン「へ?」
みくる「そんなちょっとだけじゃ、かえって辛いです」
ぎゅー
キョン「あ、あ……」
みくる「キョンくんはいっつもズルいの」
ぎゅー
キョン「朝比奈さん……」
みくる「いっつもちょっとだけ優しくして、私の心に足跡つけて帰るんです」
みくる「今日は……今日だけは……私も」
ちゅ、ちゅ
みくる「んちゅ……んちゅ……」
みくる「(キョンくん……)」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 11:01:44.11 ID:gQj+KNBS0
キョン「……」ぽけー
みくる「ご、ごめんなさい……その」
キョン「……」ぽけー
みくる「できれば、今日のことは忘れて……」
キョン「……そんな無茶な」
みくる「ごめんなさい、ごめんなさい……」
キョン「あ、謝らないでくださいよ……俺はその、嬉しかったですから」
みくる「でも、私がこんなことしてまた……」
キョン「またハルヒですか?」
みくる「だって私はそのために……」
キョン「でも、あなただって俺たちとそう歳の変わらない女の子なんだ」
みくる「でも、でも」
キョン「……いいです、じゃあこのことは二人だけの内緒です。でも、俺は絶対に忘れたりなんかしませんよ」
みくる「キョンくん……」
キョン「ほら、泣かないでください……」
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 14:54:56.79 ID:gQj+KNBS0
〜一週間後〜
ハルヒ「うー……」
キョン「な、なんだよ」
ハルヒ「どう考えてもおかしいわ!」
キョン「な、何が」
ハルヒ「このくじよ、くじ!」
キョン「……」
ハルヒ「なんであんたはいっつもみくるちゃんや有希と二人ペアになるのよ!」
キョン「知らんがな」
ハルヒ「いい?毎回毎回言うようだけど」
キョン「デートじゃないんだろ」
ハルヒ「……わかってるならいいけど」
みくる「……」
キョン「さ、行きしょうか、朝比奈さん」
みくる「は、はい」
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 15:28:54.26 ID:gQj+KNBS0
〜公園〜
みくる「んんっ……んちゅ……」
みくる「……だ、誰か来たらどうすんですかぁ……こんな所で」
キョン「心配しなくたってハルヒは来ませんよ、はは」
みくる「……もー」
キョン「よくよく考えてみれば、この団活の時間が一番安全なわけですよ」
キョン「ハルヒがどこで何してるのか、予想がつくわけですから」
みくる「そうだけど……」
キョン「嫌でしたか?」
みくる「……ううん、そんなことないです」
キョン「それはよかった」
みくる「いいのかな、探索しないで」
キョン「律儀ですね、朝比奈さんは……」
みくる「……あ、今ちょっと馬鹿にした?」
キョン「ははは、そんなことないですよ」
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 16:10:23.31 ID:gQj+KNBS0
キョン「(――それから俺たちはハルヒの目を盗んでは、二人きりの時間を作るようになった)」
〜SOS団部室〜
キョン「トイレ行ってくるから、ちょっとタイムな、古泉」
古泉「ええ、わかりました」
キョン「人がいない隙に勝手に駒動かすなよ」
古泉「そんなことしませんよ、失敬な」
ガチャ
みくる「……」
ハルヒ「はー、暇ね……」
みくる「……」
ハルヒ「ちょっとみくるちゃん、どこ行くの?」
みくる「あ、あたしもトイレに……」
ハルヒ「あら、そう」
古泉「……」
長門「……」
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 16:17:55.95 ID:gQj+KNBS0
キョン「はー、すっきりした……ってうわ!」
みくる「うわってなんですか、もー」
キョン「何してんですか、男子トイレの前で」
みくる「ねえ、キョンくん」
キョン「は、はあ」
みくる「ぎゅーって、して」
キョン「え」
みくる「もう三日も二人きりの時間がとれてなくて、私寂しいです……」
キョン「昨日電話したじゃないですか」
みくる「……ぐす」
キョン「その顔、反則ですよ……ほら、人目につきますから屋上でも行きましょう」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 16:23:03.90 ID:gQj+KNBS0
みくる「キョンくん……ぎゅーって」
キョン「なんか、いざそうやって言われると恥ずかしいもんですね」
ぎゅー
キョン「こんな感じですか?」
みくる「……もっときつくがいいです」
キョン「……これくらいですか」
ぎゅー
みくる「……もっと」
キョン「かわいいなあ……もう」
ぎゅー
みくる「あ、うん……そのまま……」
キョン「苦しくないですか?」
みくる「すごくイイです……でも、頭もなでてほしいな」
キョン「はー、そんな顔されたら断れるわけ無いでしょう」なでなで
みくる「んん……あったかいね、キョンくん」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 16:33:44.44 ID:gQj+KNBS0
みくる「んちゅ……んちゅ……」
みくる「んん……」
すりすり
みくる「キョンくん……どんどんキスうまくなるんだから」
キョン「朝比奈さんがいつもせがむからですよ」
みくる「もー……だって、癖になっちゃうんだもん」
みくる「柔らかくて、温かくて……頭がとろーんってなるんです……」
すりすり
キョン「こっちの頭が蕩けそうですよ、まったく」
キョン「(しかし毎度毎度いい匂いだなあ……はー)」
みくる「やぁん……あたし今、汗かいてるから……あんまり嗅がないでください」
キョン「(かわいい!!」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 16:40:41.73 ID:gQj+KNBS0
キョン「朝比奈さん、そろそろ……」
みくる「……もうちょっとだけ、こうしてたいな」
キョン「うう……しかしですね」
みくる「じゃあ、最後にもう一回……ちゅってして?」
キョン「わ、わかりましたよ」
ちゅ
みくる「んちゅぅ……んちゅぅ……」
キョン「……最後にって割りに随分濃厚な」
みくる「……えへへ」
キョン「ほ、ほら!先行ってください。一緒に帰ると怪しまれますから」
みくる「はぁい♪」
キョン「……やれやれ、俺も朝比奈さんも、どっぷり浸かっちまってるな」
キョン「――お互い『好き』って言葉を徹底的に避けてるあたりが、なんとも切ないがね」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 16:55:30.37 ID:gQj+KNBS0
〜一週間後〜
古泉「今日は一緒に帰りませんか?」
キョン「なんだ、珍しいな」
古泉「少し、お話ししたいことがあります……どうです、喫茶店でお茶でも飲みながら」
キョン「野郎と飲んでうまい茶なんかないと思うが」
古泉「まあ、そう言わずに。大切な話ですから」
キョン「……なんとなく、わかっちゃいるがね」
古泉「察してもらえれば幸いです」
ハルヒ「……?」
みくる「……あ、あの」
古泉「どうかしましたか?」
みくる「い、いえ……なんでもないです」
長門「……」
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 17:06:36.73 ID:gQj+KNBS0
〜喫茶店〜
古泉「さて、いきなり本題ですが」
キョン「朝比奈さんとのことだろう?」
古泉「おや、わかりますか」
キョン「いずれ、お前達にはバレるとは思っていたんだ」
キョン「街には俺が顔も知らない機関の人間がウヨウヨいたっておかしくないからな」
キョン「俺はそっちじゃちょっとした有名人だろ」
古泉「そこまでわかっているなら、単刀直入に聞きます」
古泉「何故です?」
キョン「……」
古泉「あなただって身をもって知ってるはずです、それがどれだけ危険な行為か」
キョン「……ハルヒにばれなければいいんだろう」
古泉「本気で言ってますか?」
キョン「さあ、どうだろうな」
古泉「……信じられません」
192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 04:54:05.17 ID:CDSxbHD80
古泉「とにかく……あなたもわかっているとは思いますが」
キョン「なんのことだよ」
古泉「僕も機関の人間ですから……このままの関係が今後も続くようであれば」
キョン「……」
古泉「朝比奈みくるをあなたから遠ざける必要があります」
キョン「お前、まさか」
古泉「ええ、その場合彼女は我々の目的を疎外するものとして、処理されます」
キョン「正気なのかお前!?」
古泉「あなたこそ、目を覚ましてください」
キョン「お前……っ!」
古泉「確かに、あなたと彼女が普通の人間ならば、何の問題もありません」
古泉「僕としても、心苦しいんです。あなたにこういう形で負担をかけることは」
古泉「でも、あなたはわかっていたはずなんです。涼宮さんが、あなたに対してどんな感情を抱いているか」
古泉「あなたがそれを無下にするというのは、世界を捨てるということに他なりません」
古泉「ここでヘマをすれば、彼女の存在する未来だって……なくなるんですよ!」
197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 05:17:19.90 ID:CDSxbHD80
キョン「……」
古泉「あなたは今さら無関係な一市民のフリをしようっていうんですか?」
キョン「そんなことは言ってない……ただ」
古泉「なぜ、どうして今このタイミングで……あなたは」
キョン「どっかでわかってはいたんだ。お前の言うとおり」
キョン「(だから、お互い居心地のいい関係でいようとした)」
キョン「(名前だって今までどおり苗字で呼んだし、敬語だって使う)」
古泉「……どうしたんです」
キョン「(そして、絶対の暗黙の了解……お互いある言葉を言わないこと)」
キョン「俺も朝比奈さんも、普通の高校生っていうのを楽しんでみたかったんだと思う」
古泉「その気持ちは、僕にもわからないでもないです」
古泉「……というより、痛いほどわかるんです」
キョン「……」
199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 05:31:49.68 ID:CDSxbHD80
キョン「なあ、古泉」
古泉「……はい」
キョン「お前がハルヒを支えてやればいいじゃないか」
古泉「……なんですって」
キョン「自分が超能力者だって、言えばいい」
キョン「それだけであいつの機嫌なんか気にしなくて済むんじゃないか?」
古泉「あなたは!何にもわかってない!」
キョン「そ、そう怒るなよ」
古泉「彼女が本当に望んでいるものは、宇宙人でも、未来人でも、超能力者でもないんですよ……!」
古泉「彼女は、自分のことを理解してくれる人を……隣にいてくれる人を探しているんです」
古泉「孤独なんですよ、彼女は……支えてくれる人が必要なんです」
キョン「……何を熱くなってるんだ、お前」
古泉「す、すいません」
205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 06:06:53.66 ID:CDSxbHD80
キョン「とにかく、お前の言いたいことはわかったよ」
古泉「わかってもらえて幸いです」
キョン「今日はもう帰る」
古泉「……やはり、怒っていますか?」
キョン「なんだ、そんなこと気にしてるのか」
古泉「いえ……何分個人のプライベートに土足で踏み込むような行為ですから」
古泉「仕事とはいえ、友人に対してこういうことを言わなければならないのも、心苦しいもので」
キョン「お前も真面目なやつだなあ」
古泉「……僕も、失礼します」
キョン「おう」
キョン「……言いたいことはわかったんだけどな」
206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 06:08:05.83 ID:CDSxbHD80
正直古泉に呼び出される云々無しにしたい
こんな重たい話じゃなくてただみくるとちゅっちゅする話が書きたかった
655 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 15:13:44.20 ID:YaA/pJQOP
保守してる人の暇つぶしに少しだけ 俺≠1 俺≠463
>>205
キョン「……言いたいことはわかったんだけどな」 から
――
みくる「ふぅ……ふぅ……」たったった
「あ! キョンくん!」
キョン「おはようございます。朝比奈さん」
みくる「お、遅れちゃってごめんなさい」ふぅふぅ
キョン「俺が早く来すぎただけで、まだ待ち合わせの時間前ですよ」
みくる「よかったぁ」
「……でも、本当にいいのかなぁ……」
キョン「何の事です」
みくる「その……キョンくんと……こ、恋人同士みたいに、外でデートするなんて」
656 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 15:18:11.25 ID:YaA/pJQOP
キョン「いいんじゃないですか? 今日は珍しくハルヒが何も計画してなかった休日ですし」
「たまには息抜きも必要ですよ」
みくる「……でも……」
キョン「……それとも、俺とデートするのが嫌だったとか」
みくる「そ、そんなこと!」
「そんなこと、あるはずないです」ぎゅっ
キョン「冗談ですよ」
みくる「も、もう! ……でも、こんなところをもし涼宮さんが……」
キョン「……」
「朝比奈さん。一つ、約束してください」
みくる「約束……ですか」
キョン「はい。今日一日だけは……ハルヒの事を考えないって」
「もしその約束を守れたら、朝比奈さんのお願いを一つきいてあげます」
658 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 15:22:48.42 ID:YaA/pJQOP
みくる「……ほ、本当ですか?! は、はい! 約束します!」
キョン「じゃあ、行きましょうか」
みくる「はい。えへへ……」ぎゅっ
キョン「どこか、行きたい場所はありますか?」
みくる「えっと……その」
「……わ、笑わないでくれますか?」
キョン「えっと、はい」
みくる「あの、わたし一度でいいから」
「動物園って、行ってみたかったんです」
キョン「……」
みくる「……」
キョン(今の発言のどこに笑う要素があったんだ? まあ、いいんだけど)
「いいですよ。行きましょう、動物園に」
659 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 15:34:30.83 ID:YaA/pJQOP
みくる「ほ、本当ですか? いいんですか?」
キョン「ええ、まあ」
(そんなに意外そうな顔をされてもなぁ)
――動物園
キョン「大人2枚で――ども」
「じゃあ、入りましょうか」
みくる「あの、わたしの分を払いますね」
キョン「いいんですよ、こういう時は男に払ってもらえばいいんです」
みくる「で、でも……」
キョン「せっかくのデートなんですから、格好つけさせてください」
みくる「デ、デー……」かぁぁ
キョン「? どうかしましたか」
みくる「何でも、何でもないです!」
(……わたし、今キョンくんとデートしてるんだ……)
662 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 15:40:33.36 ID:YaA/pJQOP
キョン「何か見たい動物とかは」
みくる「ペ、ペンギン!」
キョン「……」
みくる「……」どきどき
キョン「――じゃあ、ペンギンで」
みくる「はい!」
キョン(朝比奈さんが、そんなにペンギンが好きだったとは……)
――ペンギン
みくる「わ、わー! すごいです! 動いてます!」
キョン「そうですね」
ばしゃーん
みくる「あ、飛び込んだ! ……凄い、凄い泳いでます!」
キョン「はぁ」
(家の妹でもここまでは喜ばないレベルのはしゃぎっぷりだな)
みくる「可愛いなぁ……」
665 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 15:53:33.56 ID:YaA/pJQOP
キョン「……あ、そういえば」
(監視員も居ないし、少しならいいだろ)
「朝比奈さん、今コンパクトって持ってますか」
みくる「コンパクト……あの、お化粧に使うコンパクトですか?」
キョン「ええ。持ってたらちょっと貸して欲しいんですが」
みくる「ちょっと待ってね? ……はい、どうぞ」
「でも、何に使うんですか?」
キョン「いいですか、こうやって通路の照明をコンパクトの鏡に反射させて」
「ペンギンの傍の壁に光を当てるとですね……」
ペンギン「?」トコトコ
みくる「わっ! ペンギンが、ペンギンが光に向かって歩いてます!」
「可愛い……わ、嘘すごい! いっぱい集まってきました!」
「キョンくんって魔法使いなの?」
キョン「ごくごく普通の高校生ですよ」
666 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 16:03:21.01 ID:YaA/pJQOP
キョン「人から聞いた話なんでうろ覚えなんですが、ペンギンの子供って人間の赤ちゃんくらいのみたいで」
「動く物とか光とかに興味を示す……って」
ペンギン(ちょ、何これ)わらわら
みくる「わぁ! ペンギンが! 集合してる! わぁぁ!!」
キョン「聞こえてないみたいですね」
(まあ、ここまで喜んでもらえれば嬉しいんだけどな)
監視員「……」
キョン「お、そろそろまずいか」パタッ
ペンギン(消えた)……解散
みくる「あ、消えちゃたぁ……」
キョン(ペンギン以上に、朝比奈さんが寂しそうだな)
「動物園の人に怒られそうなんで、すみません」
みくる「……はい」しゅん
670 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 16:16:14.72 ID:YaA/pJQOP
みくる「――ふぅ……楽しかったです」
キョン「あんなに嬉しそうな朝比奈さんって初めてみましたよ」
みくる「だってペンギンですよ? ペンギンって、もうこの――あ」
キョン「この?」
みくる「な、何でもないんです! 何でも……」あせあせ
キョン(……あまり深く聞かないほうが良さそうな気がするな)
みくる「キョンくんは、何か見たい動物っているんですか?」
キョン「俺ですか?」
みくる「はい」
キョン(正直な所、俺としては動物を見てる朝比奈さんを見るだけで満足なんですが)
「そうですね、じゃあ俺は――」
672 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 16:21:52.71 ID:YaA/pJQOP
うさぎ――子供向け、ふれあいコーナー
みくる「わぁー!」
「耳が、耳が長くて! 垂れて!」
「かわいいー!」
キョン「えっと、携帯で……カメラカメラっと」
監視員「噛まない子ばかりですから、どうぞ触ってくださいね」
みくる「いいんですか?!」
監視員「はい」
うさぎ(もふもふ)
みくる「……わぁ、やわらかぁ……キョン、キョンくん……」
キョン「な、泣かないでくださいね?」ぴろりろりー
みくる「でも、こんなに小さくて、柔らかくて……」ぴろりろりー
673 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 16:28:02.05 ID:YaA/pJQOP
それから、俺と朝比奈さんは――
ゾウ――
みくる「……ゾウって、こんなに大きいんですか……」
キョン「朝比奈さん、まだゾウの柵までかなりありますが」
みくる「う、嘘?! え、だってこれ以上大きかったら大変じゃないですか?」
キョン「でしょうねぇ」
キリン――
みくる「……さすがにこれは作り物なんですね」
キョン「生きてますよ。ほら、動いてるし向こうのは餌も食べてるでしょう」
みくる「そんな、だってあんなに首が長かったら折れちゃうんじゃ……」
キョン「たまに折れるそうですよ」
みくる「そんなぁ……そんな事って……」
キョン「すみません、嘘です」
みくる「も、もうっ!」
674 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 16:38:13.83 ID:YaA/pJQOP
ライオン――
みくる「……お昼寝中ですね」
キョン「そうみたいですね」
ライオン(暑い……)ぐでー
みくる「……ふふっ。何だか、ライオンってキョンくんみたいですね」
(大人しくて優しそうで)
キョン「なるほど、確かに」
(温厚なふりをして、実は猛獣な所とか)
閉演時間を過ぎた事にもまるで気づかず、監視員に閉演を告げられるまで動物園を楽しみ尽くしてやった。
677 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 16:43:13.08 ID:YaA/pJQOP
みくる「……はぁ、楽しかったぁ……」
「キョンくん、今日は本当にありがとう」
キョン「いえいえ。俺も楽しかったですよ」
みくる「ほ、本当?」
キョン「もちろん」
「……さて、じゃあ俺も約束を守りましょうか」
みくる「約束……ですか」
キョン「ええ。今日一日、朝比奈さんがハルヒの事を考えないでいられたら」
「朝比奈さんのお願いを一つ聞くって言ったでしょう?」
みくる「あ!」
(本当に、本当に忘れてました……)
キョン「まあ、俺に出来る事なんて限られてますけど」
「可能な限り、ご期待に答えますよ」
みくる「……す、少し待ってもらえますか?」
キョン「はい」
678 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 16:53:36.53 ID:YaA/pJQOP
みくる(どうしよう……何て言おう……)
(……どこまで、お願いしてもいいのかなぁ……)
(こんな事をお願いしたら、嫌われるかも……)
(……でも、でも)
キョン「……」
みくる「あ、あの!」
キョン「はい」
みくる「あの、わたし……わたしを……」
(涼宮さんじゃなくて、わたしの事を選んで)
(い、言えない!)
(そんな、キョンくんを困らせる事……言えない)
キョン「……もし、決まらないならまた今度でも」
680 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 17:01:50.72 ID:YaA/pJQOP
みくる「いえ、決まりました」
(……うん、これでいい。わたしはこれでいいの)
「今日は凄く楽しくって……楽しすぎて、この後1人になったら泣いちゃいそうだから」
「だから、もう少しだけでいいんです。わたしと、一緒に居てくれませんか」
キョン「ええ、いいですよ」
みくる「本当ですか?」
キョン「もちろんです」
みくる「……よかったぁ」
(うん、これでよかったんです)
キョン「でも動物園の前にずっと居るって訳にもいきませんし、どこかに行きませんか?」
みくる「あの、キョンくん。向こうにほら、観覧車が見えるでしょう」
「キョンくん。あの観覧車に、一緒に乗りませんか」
キョン「もちろんいいですけど。朝比奈さん、お願いは本当にこんな事でいいんですか?」
みくる「はい」
(わたしには、それだけで十分なんです)
682 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 17:10:27.55 ID:YaA/pJQOP
観覧車――
みくる「わぁ……綺麗。夜景って、高い場所から見るとこんなに綺麗なんですね」
キョン(朝比奈さんの方が綺麗ですよ……って、あたりまえだな)
みくる「……」
キョン「……」
「朝比奈さん」
みくる「はい」
キョン「俺……その」
みくる「……」
(なんだろう。今のキョンくんの顔……少し怖い)
キョン「俺、朝比奈さんの事が……朝比奈さんの事が」
みくる「だめっ!」
キョン「……」
みくる「ごめんなさい、それ以上は……」
「本当に、ごめんなさい」
684 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 17:31:44.89 ID:YaA/pJQOP
キョン「……どうして、なんですか」
みくる「……」
キョン「朝比奈さんが、未来人だからですか?」
みくる「……そうじゃ、ないんです」
キョン「え?」
みくる「そうじゃなくて……わたしがいけないんです」
「もし、もしも……。もしもキョンくんがわたしの事を本当に思ってくれてたら」
「わたしが、キョンくんの事を思う様に、キョンくんがわたしの事を思っていてくれたら」
「そんな事がもしあったら……わたしは嬉しすぎて、絶対、今まで通りじゃいられなくなります」
キョン「朝比奈さん……」
みくる「そうなれば、わたしはもう……キョンくんの傍に居られない……」
「ごめんなさい、わたしの我侭なんです。みんなわたしが、わたしがいけないんです」
「キョンくんの事が好きなのに、大好きなのに。キョンくんの思いには答えてあげられないんです」
「それなのに、何もできないくせに……それでも傍に居たくて、声が聞きたくて」
「……ごめん……ごめんなさい」
700 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 20:09:07.44 ID:YaA/pJQOP
>>684
キョン「朝比奈さん、すみません」
みくる「……え?」
キョン「俺、朝比奈さんはいつも自分の事を言えないでいるから」
「約束とか、そんな理由がなければ……自分の気持ちとか、何も言えないんじゃないかって思って」
みくる「……あ……」
キョン「結局、俺がやった事って、朝比奈さんを傷つけるだけだったんですね」
みくる「そんな! そんな事は……」
キョン「……」
みくる「そんなこと……」
キョン「……全部、しょうがないんですよね」
みくる「……」
キョン「俺とか朝比奈さんの気持ちとか、そんなの全部関係無しで」
「しょうがない、事なんですよね」
みくる「……う……うぅ……ふぇ……」
701 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 20:17:59.64 ID:YaA/pJQOP
キョン「……」
「泣かないでください、朝比奈さん」ピ ピ ピ
「まだ、泣くのは早いと思いますから」プルルルルル
みくる「え?」
キョン「――よう、古泉」
古泉『どうかしたんですか、こんな時間に』
キョン「悪いが、今はお前の演技に付き合ってやる気分じゃないんだ」
古泉『あ……』
キョン「はっきり言う。今日の俺と朝比奈さんの行動、全部見てたんだろ」
みくる「なっ!?」
古泉『まさか、そんな事はありませ……』
キョン「俺は演技は要らないと言ったぞ、古泉」
古泉『…………いつ、気づいたんですか』
キョン「いつからとかそんな事はどうでもいいんだよ」
「知っての通り、今日俺は……朝比奈さんに告白するつもりだった」
702 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 20:30:14.80 ID:YaA/pJQOP
みくる「……」
キョン「でもまあ、知っての通りそれは告白以前にごめんなさいで終わった訳だ……」
「本当、調子に乗った男の末路は惨めだよな」
古泉『いえ、そんな事は」
キョン「黙れ」
古泉『……』
みくる「……うっ……うう……」
古泉『えっ? まさか、朝比奈さんも聞いてる所で話してるんですか?』
キョン「それがどうかしたのか」
古泉『どうかしたのかって……」
キョン「これでお前の望んだ通りの結果になったってのに、何が不満なんだ?」
古泉『……』
キョン「というわけで古泉、俺はこれから……そうだな、風俗かどこかにでも行ってくる」
「そうでもしなけりゃ、明日はまともな顔じゃいられないだろうからな」
703 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 20:37:14.55 ID:YaA/pJQOP
みくる「……キョンくん……」
キョン「だから今すぐ、俺と朝比奈さんにつけた監視を全部外せ」
「先に言っておくが、嫌とは言わせねぇからな。世界の命運って奴がかかってるんだろ? そのくらいのプライバシーは認めろ」
「もし俺にはそんな権利すらないって言うのなら、それなりの覚悟をしてもらう事になると上司に言え」
古泉『……わかりました。言われた通りにしましょう』
『それでは、また』プッ プープー ――
キョン「……はぁ……やれやれ」
みくる「……ごめんなさい、わたし……わたしキョンくんの事を傷つけ……」
キョン「それにしても、観覧車の中ってのは都合がいい場所ですよね」
みくる「えっ?」
キョン「相手に、逃げられる心配をしなくてすみますから」
みくる「……キョンくん? な、何を……」
キョン「朝比奈さん、俺は朝比奈さんが思うほど優しくも大人しくもないんですよ」
「こんな状況で、何もしないで居られるほど、ね。幻滅させてしまってすみません」
707 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 20:50:21.26 ID:YaA/pJQOP
みくる「……キョンくん……」
キョン「抵抗してもらってもいいですよ、無駄だと思いますが」
みくる「……いえ、いいです」
「わたしには、それくらいしかできないから……」
キョン「じゃあ、遠慮なく」
(……すまん、古泉)
「俺、朝比奈さんが好きです」
みくる「…………あ……」
キョン「すみません、やっぱり我慢できません。朝比奈さんと初めて会った時から好きで」
「あの日、キスした時にはもう手遅れでした」
みくる「キョンくん、それは!」
キョン「あなたと隠れて会ってた時も、朝比奈さんは俺の事を好きだと一度も言ってくれませんでしたよね」
「だから俺も、好きって言葉を口にしちゃいけないって事はわかってたんです」
「でも、もう我慢できないです。朝比奈さんの事が、好きだから」
709 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 20:58:12.97 ID:YaA/pJQOP
みくる「……うっ……キョンくん、そんな……酷いです……」
「そんな事を言われたら、わたし……わたしもう……」
「自分に嘘をつけないじゃないですかぁ」
「キョンくんの事は、思い出にしようって……やっと、やっと思えてたのに」
キョン「……」
みくる「……わたしも、好きなんです」
「キョンくんの事が好きで、もうどうしようもなくって……」
「今日だって、二人っきりで居られるのが嬉しくて舞い上がっちゃって」
「本当に、本当に涼宮さんの事を忘れてました」
「……でも、本当にわたしでいいんですか?」
「きっと、涼宮さんの方が、キョンくんの事を幸せに……」
710 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 21:02:52.44 ID:YaA/pJQOP
キョン「俺は朝比奈さんがいいから、告白したんですよ」
「正直、俺は全然頼りにならないし、正直何もできない奴ですが……それだけは信じてください」
みくる「……うぅぅ……はい……はいっ……」
「わたしも好きです。キョンくんの事が大好きです」
キョン「……その言葉が、聞きたかったんです」
この時の俺は、本当に何だってできるって思っていた。
自分が、何の力もなく金もない高校生だって現実は無視してな。
駅構内――
キョン「さて……どっちにしましょうか」
みくる「え?」
キョン「朝比奈さんは、北と南だとどっちが好きですか?」
みくる「……そうですね、どちらかと言うと……南かなぁ」
キョン「じゃあ南で」ピッ
財布にあった紙幣で買える範囲で、二人で行ける一番南の駅までの切符を買った。躊躇いなんて少しも無かったね。
712 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 21:21:32.89 ID:YaA/pJQOP
電車内――発車前
みくる「でも、どうして古泉君の機関の人が監視してるって解ったんですか」
キョン「え?」
みくる「ほら、さっき電話で古泉君に」
キョン「ああ、あれは勘ですよ」
みくる「えええっ?! だ、だってあんなに強気で」
キョン「少し前に、古泉の奴に朝比奈さんの事を聞かれたんです。だから、俺が朝比奈さんをデートに誘えば」
「監視の一人や二人、絶対につけるだろうって思って」
みくる「……じゃあ」
キョン「?」
みくる「じゃあ……その、これから……風俗に行くのってお話しは」
キョン「あ、あれは古泉を誤魔化す為の嘘ですからね? 本気にしないでくださいよ?」
みくる「……」
「本当かなぁ」
キョン「そんなっ?!」
713 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 21:30:37.63 ID:YaA/pJQOP
みくる「ふふっ……冗談ですよ」
「――ちょっと、ジュース買ってきます」
駅ホーム――
アナウンス「まもなく、三番線から電車が発車します」
森『古泉、目標の現在位置は』
古泉「……」
森『古泉?』
アナウンス「危険ですので、白線の内側にお下がりください」
古泉「……目標、及び朝比奈みくるは……」
「それぞれ、自宅へと戻るようです。特に不審な動きはありません」
森『……了解、では電車の発車をもって監視を解除する。事後は命令があるまで待機に戻れ」
古泉「了解」プツッ
「……約束、ですからね」
「さて、後はどうやって森さんを誤魔化しましょうか……」
「まったく、困ったものです」
715 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 21:34:26.35 ID:YaA/pJQOP
電車内――移動中
キョン「それにしても、朝比奈さんがあそこまでペンギンが好きだなんて思いませんでしたよ」
みくる「だ、だって、映像でしか見たことがなかったから」
キョン「あの……もしかして、未来ではもうペンギンは絶滅して……」
みくる「あ、違います! って、違うって言っちゃいけないんだけど違うんです」
「これもちょっと禁則なんだけど……実は、未来では動物愛護団体の人が頑張ってて」
「動物を管理して、見物するのはいけませんって事になってるんです」
キョン「……そんな未来が待ってるんですか……」
みくる「だから、ペンギンを実際に見るなんて夢みたいでした」
キョン「……そっか、じゃあ」
みくる「え」
キョン「いや、これから向かう目的地ですけど。南極ってのはどうですか」
みくる「な、南極ですか?!」
キョン「そこまで行けば、誰も追ってこないだろうし」
「俺と朝比奈さんとペンギン、悪くないと思いませんか」
717 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 21:43:06.58 ID:YaA/pJQOP
みくる「キョンくんとわたしとペンギン……」
「凄く、凄くいいと思います!」
キョン「じゃあ、決まりですね」
みくる「はいっ!」
停車駅――駅舎内
キョン「すみません、朝比奈さん。手持ちのお金は殆ど全部使っちゃったんで」
「今日は明日の始発まで、この駅で過ごす事になりそうなんですが……」
みくる「大丈夫ですよ、今は暖かい時期だし」
「それに、今はキョンくんが傍に居るから……」
キョン「朝比奈さん」
みくる「……あの、キョンくん」
「ちょっと喉が渇いちゃったので……ジュースを買ってきてもらえませんか?」
キョン「解りました、じゃあちょっと行ってきますね」
718 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 21:48:21.63 ID:YaA/pJQOP
駅前――自販機コーナー
キョン「……ふぅ」
(……まあ、普通に考えれば無茶な事をしてるよな)
(家出、というより駆け落ち……か)
(しかも何の準備も無しに、だ。……もう、ハルヒの事を笑えないぜ)
不思議と、不安は無かった。
これからどうするのか、なんて先の見えない未来も、朝比奈さんと二人で居られる事と比べれば小さな悩みだ。
きっと何とかなる、そう信じて疑わなかった俺の意識は
ピッ ガタタ
自販機のボタンを押した瞬間、途切れた――
長門「……」
721 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 21:55:14.27 ID:YaA/pJQOP
駅――駅舎内
長門「終わった」
みくる「ありがとう……ございました」
「……それで、その……」
長門「大丈夫。あなたの指示通り、彼の今日の記憶とあなたへの感情の一部を消して家まで送り届けた」
みくる「……すみません、長門さんにこんな事を頼んでしまって」
長門「いい」
「でも、一つ教えて欲しい」
みくる「え?」
長門「どうして、わたしを呼んだのか」
みくる「……それは……」
「わたしが未来から来た人間で、ここに居るのは仕事で」
「こうしないと、未来が大変な事になるから……その」
長門「……」
723 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 21:58:32.91 ID:YaA/pJQOP
みくる「………………本当は、怖いからです」
長門「怖い」
みくる「はい。この事でわたしが処罰されるのはいいんです、それは……自分のした事への責任ですから」
「でも……わたしのせいで、キョンくんの未来まで消してしまう事になったら……って」
「そう思ったら……もう、長門さんに電話していました」
長門「……そう」
「あなたが望むのであれば、あなたの記憶を改竄する事は出来る」
みくる「……」
長門「どうするかはあなたに任せる」
「……叶わない願いを持ち続けるのは、とても辛い事」
みくる「……長門さん……」
長門「……」
みくる「……すみません、それじゃあわたしの――
724 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 22:02:18.52 ID:YaA/pJQOP
部室――放課後
ハルヒ「じゃあ、明日の集合は駅前に9時! 絶対に遅れないこと! いいわね?」
キョン「ちょっと待て」
ハルヒ「何よ、何か予定でもあるの?」じー
みくる「……あ、あの」
キョン「何でそこで朝比奈さんを見るのか解らないが、明日は暇だ」
ハルヒ「じゃあいいじゃない」
キョン「俺が言いたいのは、明日出かける事じゃなくて目的地だよ」
ハルヒ「えっ何よ。まさか、動物園が子供っぽいとか言うんじゃないでしょうね」
キョン「違う。……実はな、俺、アレルギーがあるんだ」
ハルヒ「ア、アレルギー?」
キョン「ああ、動物系は正直全滅だ。俺だけ動物園の前でのんびりしてろって罰ゲームをするつもりじゃないのなら」
「悪いが目的地を変えてくれ」
みくる「……」
ハルヒ「ん〜、じゃあ水族館は?」
725 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/29(月) 22:04:39.85 ID:YaA/pJQOP
キョン「それなら構わん」
ハルヒ「じゃあ水族館で決まりね! キョン、あんたの為に仕方なく動物園を諦めてあげるんだから」
「明日は誰より早く来なさい。いいわね」
キョン「せいぜい努力するよ」
ハルヒ「それじゃ! みんなまた明日ねっ!」 ――バタン
キョン「ったく、騒がしい奴だ」
古泉「それにしても、あなたにそんなアレルギーがあるなんて知りませんでしたよ」
キョン「だろうな。嘘だから」
古泉「……えっ、今のは嘘だったんですか?」
キョン「ああ。同じクラスに犬を飼ってる奴が居るが、別に痒くも何ともない」
古泉「では、何故あんな事を言ったんです? 特に意味がある嘘だとも思えませんが」
キョン「さあな……俺にも、正直理由はよく解らんが」
「……何となく、ハルヒとは動物園には行きたくないんだよ」
「思い出せないけど、何か大事な思い出があった様な気がしてな」
726 名前: ◆1/dtGJfhU6.F [sage] 投稿日:2009/06/29(月) 22:06:37.86 ID:YaA/pJQOP
そう、おぼろげな記憶の中で、誰かが俺の隣で笑っていた気がするんだ。
とても大切に思っていた、誰かが。
おしまい 参考資料
槇原 敬之「PENGUIN」
http://www.youtube.com/watch?v=yjjiQOp612U&feature=PlayList&p=333905D13FA17E11&playnext=1&playnext_from=PL&index=36
普通にキョンとみくるがちゅっちゅする話じゃなくてすまん、悪いがそれは>>1に期待してくれ