1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/21(日) 22:15:04.77 ID:NDKIZVT80
長門「ズルズル… ススーッ… 」
キョン「おぃーっs…あれ?何か部室からいい匂いが…」
長門「ズズッ… !!」
キョン「おぉ長門、いたのか。…ってお前の手に持ってるそれって」
長門「! …この本が何か。」
キョン「いや、さすがにその誤魔化し方は無茶だろう。湯気出てるし」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/21(日) 22:20:05.55 ID:NDKIZVT80
長門「…ラーメン。」
キョン「…まぁ、それは見て分かるが。」
みくる「二人とも先にいらしてたんですか。
…あれ、長門さん…何でラーメンなんて持って…」
キョン「あぁ朝比奈さん、まぁこれはその…
どうしたんだ長門、昼飯まだだったのか?」
長門「昼食は別に済ませてある。これは間食」
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/21(日) 22:27:21.91 ID:NDKIZVT80
キョン「お前がもともと結構な大食だったってのは覚えがあるが
長門、お前でも小腹とか空くんだな」
みくる「長門さんは間食しても太らなそうでうらやましいです。」
長門「そういうことではない。
ただ、このラーメンという食料に最近一縷の興味を見い出した…」
キョン「…するってぇと何だ?
もしかして長門は今、ラーメンにハマってるということか」
長門「解釈としては正しい」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/21(日) 22:35:10.80 ID:NDKIZVT80
キョン「それにしても、長門の手に本でなくラーメンの丼…
何だか違和感を感じそうで、そうでもないんだな。」
みくる「なんか私もお腹が空いてきちゃいました」
キョン「確かに、放課後のこの時間に、この匂いは正直そそられますね…」
古泉「うーん、いい匂い…
おや、涼宮さん以外のみなさんはお揃いのようですね」
キョン「おっと、ここにも匂いにつられた奴がまたひとり…」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/21(日) 22:42:51.08 ID:NDKIZVT80
古泉「あれ?長門さん、今日お持ちの本はずいぶんと美味しそうな香りを放ちますね」
キョン「古泉、お前も相当無茶なフリをするんだな」
長門「それだけじゃない。
濃厚かつ口当たりの良い麺とスープ、それらが織り成すハーモニーはなお秀逸」
キョン「さすが長門、上手くボケを重ねてきたな」
古泉「なるほど、それじゃあ
このしおりに見えていたものはチャーシュ…ってこれラーメンやないか!」
みくる「…。」
キョン「…古泉、お前の負けだ。」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/21(日) 22:49:27.71 ID:NDKIZVT80
キョン「さて、古泉が取り返しのつかない火傷を負ったところで
…ハルヒの奴遅いな。あいつの方が先に教室出たってのに」
みくる「あ、私ここに来る途中で涼宮さんに会いましたよ。」
キョン「あいつ何か言ってました?」
みくる「えぇ…何か今日の活動にあたり
必要な資料を集めてくるから、先に部室に行っててほしい…って。」
キョン「また妙なことを始めさせられるのか。
いつものことながら嫌な予感しかしないぜ…」
長門「… ズルズル…」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/21(日) 22:54:12.58 ID:NDKIZVT80
キョン「ちょっとトイレにでも行っt」
ハルヒ「お待たせみんな!!」 バンッ!!
キョン「ひでぶっ!!
危ねぇなぁ!急にドア開けるなよ!」
ハルヒ「ちょっとジャマよキョン!!
っと、まずはみんなに見てほしいものがあるんだけど…」
キョン「人の顔面に打撃を食らわせておいて『ゴメン』の一言もないのか」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/21(日) 23:01:11.28 ID:NDKIZVT80
バッ
みくる「…これは?」
古泉「この街近辺のラーメン店のカタログ…ですかね。」
長門「…」
キョン「どうしたんだ今回は?
放課後の買い食いの打ち合わせでもするのか?」
ハルヒ「違うわよ…今回我々SOS団が追い求める
世の中の不思議テーマはこれ、ズバリ『ラーメンの神秘』よ!」
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/21(日) 23:07:04.67 ID:NDKIZVT80
みくる「ラーメンの神秘…ですか?」
キョン「一体何があったってんだ。
ハルヒ…不思議ばかり追いすぎてついにおかしくなっちまったか?」
ハルヒ「んもう!!あんたたちじゃ全然話が通じないわねぇ。」
長門「…ラーメンの神秘…いや、ラーメン、それは即ち神秘の料理…」
ハルヒ「!!」
キョン「…長門?」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/21(日) 23:16:51.28 ID:NDKIZVT80
長門「ラーメンとは神秘の力を秘めし料理…
確固とした形式を持ちながらも、その味、風味、スタイルは無限の汎用性と可能性を持ち、
たった数十センチの丼という空間に『宇宙』さえも意識させる、まさに奇跡の芸術」
キョン「長門…?おい、長門!」
ハルヒ「…素晴らしい。」
キョン「へ…?」
ハルヒ「素晴らしいわ有希!!
そうよね!まさにそうよ!ラーメンは奇跡の料理、まさに小さな宇宙!
あぁ…素晴らしい見解だわ。さすが私が見込んだ逸材部員だけあるわ!」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/21(日) 23:23:37.57 ID:NDKIZVT80
古泉「なるほど。確かにラーメンとは無限の小宇宙、
限りない進化の可能性も秘めているといえますね」
ハルヒ「古泉君も分かってくれるのね。さすが副団長!」
古泉「いえ。これも長門さんの熱弁のタマ物ですよ」
キョン「タマの部分をカタカナにするな。
あと話が未ださっぱり見えてこない!」
ハルヒ「…あんたって奴は!このバカキョン!!
これだけみんなが素晴らしい見解で私の言いたいことを
先に理解してくれたというのに、まだ分からないの!?」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/21(日) 23:32:00.25 ID:NDKIZVT80
ハルヒ「みくるちゃん!
この理解力のないバカキョンに、私達の目指すものを説明してあげて!」
みくる「ふぇぇ!!?」
キョン「おいハルヒ!お前まで他人に無茶振りをするのか!?」
みくる「んと、え〜と…(涼宮さんはラーメンを神秘の料理と… だから… )
…だから、その…秘められた神秘の謎を解明するべく
これからラーメンについて研究をしましょう…ということですか??」
ハルヒ「うーん惜しい、50点!
まぁギリギリの合格点ね!」
キョン「お前の設定してる合格ラインは意外と低いんだな」
ハルヒ「こらキョン!0点のアンタが偉そうに言わないでよ!」
キョン「へいへい」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/21(日) 23:40:31.29 ID:NDKIZVT80
―――この後、ハルヒの演説および主張は30分ほど続いた…
ハルヒ「…というわけで、私達SOS団はこの神秘なる料理、
ラーメンについて徹底的に研究、考察し次の学園祭を目標に
『究極SOS団ラーメン』なるものを開発し販売、いずれは全国に…」
キョン「… ん?長門、お前ずいぶん真剣にハルヒの話聞き込んでるな。」
古泉「メモまで取ってますね。今回は長門さん、俄然やる気のようですよ」
キョン(長門はメモなんて取らなくても
ハルヒのセリフを一言一句暗記だって出来るだろうに。
こいつのラーメンに対する愛情は既に本物だったんだな…)
ハルヒ「こらキョン!人が話してる最中に私語は厳禁よ!はい罰金!!」
キョン「ちょい待ち、俺今しゃべってないぞ!鍵カッコ部分よく見ろ!!」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/21(日) 23:47:23.29 ID:NDKIZVT80
ハルヒ「それじゃ今日はここまで。明日からは本格的に計画を実行に移すわよ!
アホキョンは明日までにしっかり復習してこないと死刑よ、いいわね!!」
みくる「それじゃ、失礼します」
古泉「じゃ、また明日ここで。」
キョン「はぁ〜…疲れた。」
長門「…」 ススッ
キョン「? どうした、長門。」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/21(日) 23:52:57.61 ID:NDKIZVT80
長門「いっしょに来て。」
キョン「…今回は何だ?まさか、またハルヒについてか…」
長門「違う。…来て。代金は私が出す」
キョン「…??」
―――それから十数分後…
ラーメン屋「らっしゃい!」
キョン「…そういうことか。でも何で俺まで…」
長門「…ここに座って。」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 00:03:17.16 ID:I1rrYNPa0
キョン「それにしても、こんな場所にラーメン屋なんて
あったっけなぁ…はじめて入った。」
長門「この場所には本来、ラーメン屋は存在しない。
私がこの空間一体に仮的な異空間を形成し、異所情報を組み込んで…」
キョン「へぇ…っておい! …それ、何か意味あるのか?」
店員「ご注文はお決まりですか?」
長門「いつもの…」
店員「はい、では黒とんこつ背脂ラーメン大盛りですね!」
キョン「は、はじめて見た…ラーメン屋で『いつものヤツ』を頼む(見た目)女子高生…。」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 00:12:45.69 ID:I1rrYNPa0
長門「この店の黒とんこつは絶品…あなたにもおすすめ。」
キョン「へ、へぇ…長門が言うなら、じゃ俺も同じやつで…」
店員「では黒とんこつ背脂、2つでよろしいですか?」
キョン「えぇ… !?って森さん、こんなトコで何やってんですか!?」
店員(森)「あら、気づくのが少々遅いですよ。」
長門「この店は例の組織が関わっている」
森「黒トン背脂、大2つお願いしまーす!」
新川「はい、承知いたしました。」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 00:21:24.70 ID:I1rrYNPa0
―――数分後
森「お待たせいたしました。」 ゴトッ
キョン「まだ現状を十分理解できずにはいるが…
なんかラーメン屋姿の新川さんと森さんも新鮮で悪くはないなぁ。」
ズルズル…
長門「…おいしい?」
キョン「あぁ。味は申し分ない、最高に旨いよ」
(新川さん…あの人マジで何者なんだ…?)
長門「スープの適度なコクとまろやかさ、麺の口ざわり、スープとの相性…
それに器に盛られた姿の美しさ、それらを味わったときの快感…」
キョン「…な、長門?…大丈夫か、心なしか目が潤んでるぞ…」
長門「大丈夫。想定外の奇跡に感銘を覚えただけ」
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 00:28:35.27 ID:I1rrYNPa0
キョン「俺としては、長門のそのリアクションが全くの想定外だよ。」
長門「この味…うまく言語化出来ない。でも、聞いて。」
キョン「いや…ここまで評価してもらったら
このラーメンにとっても身に余る栄誉だろうよ」
長門「対有機生麺体コンタクト用ラーメノイドインターフェース…それが私…」
キョン「長門ー!!大丈夫かー!!」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 00:36:42.48 ID:I1rrYNPa0
―――しばらくして
キョン「悪いな長門、今日はおごって貰っちゃって。」
長門「問題ない」
キョン「まぁ…何だ、今日はいろいろといい体験をさせてもらったよ。
ラーメンは旨いし、長門は心なしか生き生きしてたし。ありがとな」
長門「…私も、今日はありがとう。」
キョン「えっ…お、おう! じ、じゃあな//また明日!」
(長門のやつ…俺にラーメンの良さを教えようとしてくれたのか?それとも…)
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 00:41:20.86 ID:I1rrYNPa0
長門「…ただいま」
あちゃくら「もう!長門さん、遅かったじゃないですか!
どこか行ってたんですか?」
長門「彼とラーメンを食べに…」
あちゃくら「またラーメンですかぁ?長門さんここんとこ毎日…
え、今『彼と』って言いませんでした!?」
長門「今から夕飯のしたくをする…」
あちゃくら「ってごまかさないで下さい!」
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 00:47:38.57 ID:I1rrYNPa0
キミドリ「夕飯のしたくが出来ましたよー」
あちゃくら「あーもうお腹ペコペコでs…ってまたラーメンかよ!!
長門さん!何で最近ずっとラーメンばかりなんですかぁ!」
キミドリ「今日で一週間連続ですねぇ。
こうラーメンが続くとさすがに血管とか固くなりそうですよね」
あちゃくら「キミドリさんは風船だから関係ないじゃないですか…」
長門「いただきます…」
あちゃくら「長門さんまだ食べるつもりですか!?」
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 00:55:19.43 ID:I1rrYNPa0
―――翌日
キョン「んじゃ、先に部室行ってるぜ」
ハルヒ「あんた、昨日の復習はちゃんとしてきてるの?」
キョン「お前は俺の家庭教師か。
ま、昨日たっぷりと勉強させてもらったよ」
ハルヒ「え、誰によ!?」
キョン「お前以上にラーメンに魅せられてるある人に、な。」
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 01:02:59.13 ID:I1rrYNPa0
ガチャ
キョン「おーっす長門… 何じゃこりゃああ!!?」
長門「…」 ジュー ジュー…
古泉「うーん、今日もいい匂い… おや、これはこれは立派な厨房ですね。」
キョン「古泉、お前もっと驚けよ!
おい長門!一体どうなってるんだこれは!!」
長門「… 違う。あの味ではない…」
87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 01:08:19.06 ID:I1rrYNPa0
キョン「ま、まさかこれも
長門お得意の異空間なんちゃらってヤツか…?」
長門「これは現実。この鍋もコンロも、すべてその物質としてこの部屋に存在するもの」
キョン「かえってその方が大問題な気がするが…」
ハルヒ「おまたせ!みくるちゃんは日直で遅れるそうy…何よコレ!」
古泉「面倒なことになるかもしれませんね」
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 01:15:43.89 ID:I1rrYNPa0
キョン「あ…その、ハルヒ、これは…」
ハルヒ「有希…その格好。もしかしてこれ、有希が用意したの?」
長門「…」 コクッ
ハルヒ「…す、すごいわ!有希!大手柄よ!!
え、どうしたの?どこで手に入れたのこれ!?本格的なラーメン屋の厨房じゃない!」
キョン「あれま、そう来ちまったか」
ハルヒ「それにしても今回の企画、有希が大活躍ね。熱意もハンパじゃないし。
そうね…いっそこのプロジェクトは有希に引っ張ってもらおうかしら」
古泉「良かったですね。団長からじきじきに大抜擢ですよ」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 01:23:08.40 ID:I1rrYNPa0
キョン「それにしてもなぁ、長門。
いくらお前がラーメン好きになったとはいえ、ここまでする必要があったのか?」
長門「あのラーメン屋のあの味を自らの手で再現させようと思い、試みてみた…
しかし、どうしてもあのラーメンの味を100%再現することが出来ない。
使用材料、分量、加熱時間、すべて正確なはず。エラーも確認出来ない。」
ハルヒ「何だかよく分からないけど、すごい気合いの入れようね…
さすがに恐れ入るわ」
古泉(… !!このスープの味は!…しかし何故?何故長門さんがこの味を?)
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 01:32:23.23 ID:I1rrYNPa0
キョン「これが、試作品のスープか?」 ズズッ
ハルヒ「…何よこれ…ものすごく美味しいじゃない!!」
キョン「…あのスープだ、間違いない!
長門、もはや完璧なまでに再現されているぞ。一体これのどこが…」
長門「酸味と辛味がわずかだが足りない。ツヤの度合いも違う。」
キョン「でも長門、それくらいは…」
長門「それに何より、あの場で味わった『感動』が決定的に違う。
あの快感、恍惚感が表現出来ない…」
100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 01:45:54.21 ID:I1rrYNPa0
ラーメンに注ぐ興味が膨張するあまり
とうとう自らの手で理想のラーメンを生み出そうとする長門。
しかしそこには、彼女ですら想像し得なかった思わぬ壁が立ちはだかっていた。
果たして長門は、忘れえぬあのラーメンを蘇らせることが出来るのか?
そしてSOS団に課せられたプロジェクトは成功するのか?
涼宮ハルヒちゃんの憂鬱 〜ラーメンアラーメン〜
第二話をお楽しみに
116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 12:24:20.14 ID:lxbud8EF0
大変お待たせいたしました
第二話、いよいよスタート…したいんですが
Dion規制をくらいました
自宅のPCから書き込めません
どうしましょう
122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 13:15:00.75 ID:lxbud8EF0
仕方ない
合間を見て会社から続きを書き込みましょう
合間を見て
125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 13:52:42.64 ID:lxbud8EF0
みくる「すみません、遅れました〜」
ハルヒ「あっみくるちゃん!ほら見て見て見て!
有希が我がSOS団のために、こんなものを用意してくれたのよ!」
みくる「わぁ、美味しそうなラーメンですぅ」
キョン「いや朝比奈さん…この厨房も長門が自分で用意したものなんです」
みくる「えっ…あれ?私間違えて調理室に来てしまったのですか??」
キョン「いや、だからですね…」
古泉「先生方に見つかったら大事になってしまいますので、
どうかこのことはご内密にお願いします。」
127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 14:10:56.48 ID:lxbud8EF0
ハルヒ「さて、役者も揃ったことだし、本日の活動を開始するわよ。
それじゃあ有希、さっそく指揮をとってちょうだい!」
キョン「おいおい、それはいきなり過ぎるだろ!!」
みくる「あれ…どういうことですかぁ?」
古泉「今回は長門さんがこのプロジェクトの…リーダーとでも言いましょうか。
長門さんのラーメンに対する情熱と覇気を涼宮さんに見込まれて、
先ほど涼宮さんから直々に任命された、というわけですよ」
キョン「長門…大丈夫か?」
長門「…やれる。心配はいらない」
129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 14:24:41.60 ID:lxbud8EF0
ハルヒ「じゃあまず、このスープをもう一杯作ってちょうだい!」
キョン「お前、自分が飲みたいだけだろそれ!」
長門「あれはまだ試作品。完成とは呼べない代物」
古泉(それにしても、あの味をあそこまで再現出来てしまうとは…
いくら相手が長門さんとはいえ、これは由々しき事態…)
キョン「俺達の目標は、とにかく旨いラーメンを開発する
とか何とかってことじゃなかったのか?」
ハルヒ「まずは能書きより肌で体感してその世界を知れ、っていうじゃない!」
キョン「肌というより、この場合舌だがな」
133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 15:02:00.93 ID:lxbud8EF0
長門「このラーメンのことより、まずは貴方達に
ラーメンに関する基礎の知識、情報を与えるのが先決」
キョン「ん?どういうことだそれ。」
みくる「要するに、ラーメン作りの基本から学んでいきましょう
って事ですよね?」
長門「近い。」
ハルヒ「何事にも基礎が大事ってことね。言い草が有希らしいわ」
キョン「普段からこの世の基本原理を無視しまくってるのが長門だけどな」
134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 15:14:10.18 ID:lxbud8EF0
ハルヒ「それじゃあキョン、材料を買ってきなさい」
キョン「いきなりパシらせるか!」
長門「材料なら既に人数分ある」
ハルヒ「ほ、ホント!?いや〜最近の有希はどこまでも気が利くわね!
いっそSOS団の副々団長に任命しようかしら」
キョン「そこまで褒めたならもう少し昇進させてやれよ」
長門「あと、これに着替えて…料理は衛生第一。」
古泉「長門さんも着ている割烹着ですね。わかります」
137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 15:29:00.80 ID:lxbud8EF0
ハルヒ「さすが、この格好だと雰囲気が出るわねぇ。」
古泉「ちょっと、手を洗ってきます」
みくる「ふぇ〜ん…何で私だけバニーの格好なんですかぁ〜?」
キョン「何で俺の衣装ラーメンマンなんだよ!!」
長門「割烹着が足りなかった…油断した。」
ハルヒ「おい新入り!この丼洗っておけ!」
キョン「いつから俺はお前の弟子になった!」
139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 16:04:38.18 ID:lxbud8EF0
長門「各人に配った材料を開けて…」
ハルヒ「…って何よこれ、チキンラーメンじゃないの!!」
長門「即席めんを上手に調理することは、ラーメンを作るにおいて基本中の基本。
とりわけチキンラーメンは即席めんの元祖、主と呼ぶべき存在。」
ハルヒ「…なるほど、有希。あなたの言いたいことは分かったわ。
たかがチキンラーメン、されどチキンラーメン、
これを美味しく調理できない者に技を伝授する価値はないって事ね!」
長門「私は貴方達に、ただ美味しいラーメンを食べてほしいだけ。」
ハルヒ「いいわ…あたしはこれを、有希からの宣戦布告と見たわ!
覚悟しなさいっ!気絶するほど美味なチキンラーメンを作ってみせるわ!!」
キョン「何なんだ、この二人のテンションの高さは…」
141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 16:13:43.83 ID:lxbud8EF0
ハルヒ「見なさい有希!これがあたしのラーメンにかける想いよ!!」
ビリィィィッ! シャッ! コンコン…パカッ!! ドシャシャァァァッ!!!
※袋を丼にあけ、卵を割り、お湯を注ぎました。
長門「所要時間9.82秒…動きに一切の無駄なし…出来る。」
キョン「いや、別に凄くはないぞ。100m走なら世界と渡り合えるレベルだが!」
みくる「あっ…いやぁぁっ、卵が上手く割れませぇん…グスン」
キョン「こちらでは早くも審査対象外の方が出てしまったか…」
144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 16:48:10.19 ID:lxbud8EF0
キョン「そういえば古泉の奴、おせぇなぁ…」
ハルヒ「さぁ、あとは3分待つだけよ。
キョン、アンタもチンタラやってないで早くしなさい!」
長門「…」
―――その頃、別室で…
古泉「…という訳なんです。このままでは我々組織の秘密が…」
新川「そうですか…でも心配は無用です。あの秘伝の味は誰にも…」
古泉「それが…相手はあの…」
新川「…早急に対策を練っておきましょう。」
古泉「ありがとうございます。では失礼します」 ピッ
145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 17:02:38.62 ID:lxbud8EF0
古泉「いやぁすみません。急にトイレにも行きたくなってしまいまして」
キョン「ちゃんとトイレの「後に」手を洗ったんだろうな…?」
古泉「勿論ですよ…ズボンをパンツより先に穿く人がいますか?」
キョン(でもお前のそういう姿が、俺には違和感なく想像出来てしまう)
ハルヒ「ほらぁ、二人とも急ぎなさい!
…あ〜、あたしのチキンラーメンもう3分経っちゃうよ〜!!」
みくる「ふぇぇ〜ん;;こぼしちゃいましたぁ〜…」
キョン「あぁあぁ朝比奈さんったら本当にもう…(可愛い過ぎます!)」
146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 17:12:41.33 ID:lxbud8EF0
ハルヒ「4…3…2…1… さぁ有希!これでどう!?
手順カンペキ、ゆで時間バッチリ、半熟玉子神レベルの究極チキンラーメンよ!!」
キョン「ここまで熱心に調理してもらって
このチキンラーメンも、もはやこの世に何の未練もないだろうよ…」
みくる「すごいです…即席めんとは思えない輝きですぅ。」
長門「ズルズル… …」
ハルヒ「ふふん、さすがの有希も感動のあまり言葉が出ないようね!
もっとも、ふだんからあまり喋らないけど。」
長門「…60点。」
ハルヒ「!?」
149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 17:23:22.07 ID:lxbud8EF0
ハルヒ「はぁぁ!!?
有希、あんたの味覚は一体どうなってんのよ!この
正真正銘完璧なラーメンのどこに、そんな40点分もの落ち度があるのよ!」
キョン「お、おい…長門、それはさすがに辛口過ぎるんじゃないのか…?
第一お前からハルヒの機嫌を損ねるような発言は」
長門「味は申し分ない。手順も非の打ち所がない。」
ハルヒ「じゃあいったい何が!?」
長門「あなたは『ラーメンとは神秘なる食べ物、小さな宇宙』と考えているはず。
しかしこのラーメンからは、神秘的な要素、無限の可能性を感じることは出来ない。
正確に言えば、あなたはこのラーメンに『宇宙』を与えようとしていない…」
ハルヒ「…??」
150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 17:28:06.24 ID:lxbud8EF0
長門「たとえば作り方を見てもそう。
あなたの所作は完璧。しかしそれは、記載されているレシピに寸分の狂いなく従っただけ。
例えるならレールに沿って人生を歩むエリートビジネスマン…」
キョン(長門らしからぬ比喩だが、ここは黙って聞くとしよう)
長門「そもそも即席めんの最も美味しい瞬間は、3分であるとは限らない…」
ハルヒ「!!!」
153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 17:38:11.56 ID:lxbud8EF0
長門「具材を見てもそう。あなたの使用したトッピングは卵のみだが
…もちろん判断は決して間違えてはいない。」
キョン「チキンラーメンにおいて王道ともいえる最適な組み合わせだからな」
ハルヒ「そうよ。他に具材を盛り込んで豪華に飾り付けることは、
チキンラーメンにおいて邪道よ」
長門「それならば、例えば、これを入れてみる…」
みくる「…!ご、胡麻油ですかぁ?」
古泉「もう片方には…白髪ネギですか。一体これを何に…」
155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 17:46:18.86 ID:lxbud8EF0
キョン「これをラーメンに加えるのか?」
長門「それだけでは能がない…」
シュボッ ジュワァァァッ!!
キョン「や、焼いたっ!!」
長門「仕上げに七味を加える。好みに応じて、万能ネギを使用しても可。」
ハルヒ「…!! 何、この食欲をそそる豊潤な香りは…!?」
長門「食べて…」 ゴトッ
156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 17:54:06.83 ID:lxbud8EF0
ハルヒ「… !!!」
キョン「…どうした、ハルヒ?」
ハルヒ「あたし…今気づいたわ。
ラーメンに秘められた無限の可能性…『小さな宇宙』の意味を…」
長門「先入観からは何も新しいものは生まれない。
まだ見ぬ不思議を追い求め、見つけ出す。あなたのふだん掲げている理念と同じこと。」
ハルヒ「…地図にない道を行くからこそ、新しい惑星に出会える。そういうことね。
失敗を恐れず、挑戦してはじめて、この小さな丼の中に『奇跡』が生まれる!」
長門「わかってもらえて嬉しい」
ハルヒ「有希!」
キョン「何だこの青春SFファンタジー!!」
186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 21:15:10.51 ID:ZdBrMIIgO
―――その夜
長門「…ただいま。」
あちゃくら「今日も遅かったですね。一体学校で何をしてるんですか?」
長門「…『宇宙』についてレクチャーしていた。」
あちゃくら「うおー、スケールでけー!さすが宇宙人」
キミドリ「いや、あなたも長門さんと同類じゃないですか」
188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 21:26:15.39 ID:ZdBrMIIgO
長門「すぐに夕飯のしたくをする… !!」
あちゃくら「? どうしたんですか、長門さん。」
長門「ラーメンがもうない…」
あちゃくら「えぇっ!? 今日の夕飯どうするんですかぁ!!
というかいつまでラーメンなんですかぁー!!」
キミドリ「つい先週箱買いしたばかりじゃないですか」
あちゃくら「長門さんが一日に10食分も食べるからすぐなくなるんです!」
189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 21:39:34.79 ID:ZdBrMIIgO
長門「やむをえない。ついて来て」
キミドリ「おや、もしかして外食ですか?」
あちゃくら「きゃーっ!長門さんイカしてます!!」
長門「ちょうど今日は替え玉無料の日…」
あちゃくら「ってやっぱりラーメンかこんちくしょー!!」
キミドリ「こう毎日ラーメンだと、体重も心配になってきますね。」
あちゃくら「だから〜キミドリさんには関係の無いことじゃないですか」
205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 22:13:35.16 ID:ZdBrMIIgO
―――翌朝
キョン「おっすハルヒ…あれ?何かお前、今日顔色悪くないか?」
ハルヒ「ん?別に。あんたには関係ないでしょ… ウェップ」
キョン「何だ、食べすぎか?不摂生も程々にな」
ハルヒ「何よ偉そうに!あたしは昨日あんた達のために
身体を張って実験にいそしんでたっていうのに…」
キョン「実験…おい、まさか例のラーメンの件か?」
207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 22:25:50.20 ID:ZdBrMIIgO
ハルヒ「団長であるあたしでさえ、こんだけ努力してるんだから
あんたも何か予習なり復習なりしてきたんでしょうね…?」
キョン「今はそんなことより次の定期テストに向けて自習したいよ」
谷口「ようよう、お二人さん。相変わらず仲むつまじいね〜」
キョン「何だ?今日も冷やかしに来たのか?
冷やかすのはお冷やだけで十分だぞ」
谷口「…あれ?お前ら、なんかラーメン臭くねぇか?」
キョン「あぁ。このままじゃ俺らは
そのうちラーメン星に帰還せざるをえなくなるやもしれないな」
209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 22:44:09.55 ID:ZdBrMIIgO
―――お昼休み
キョン「んあーっ、腹減った!さてと、メシメs」
ハルヒ「キョン!ラーメンを食べに行くわよ!!」
キョン「ぬはぁ!?お前正気か!昼メシくらい好きに食わせ…あっ!!」
ハルヒ「これ、食べていいわよ!」 ゴトッ
キョン「人の弁当を盗んで勝手にめぐむな!お前はネズミ小僧か!!
ってかお前らも勝手に食ってんじゃねぇよ!」
国木田「キョンの家の玉子焼き、ちょっとしょっぱいね。」