6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/09(火) 22:27:49.52 ID:hVsCsHno0
圭一「できたってまさか……子供がか?」
魅音「多分……こないの。その……あれが」
圭一「まじかよ……。ちゃんと避妊してたのに」
魅音「どうしよう圭ちゃん。こんなこと皆に、園崎家に知られたりしたら……」
圭一(これはやばい。園崎本家に次期頭首を孕ませたなんてことがばれたら……。
レナの腹の中にも子供がいるっていうのに)
魅音「ねえ圭ちゃん。どうしようどうしよう」
圭一「落ち着け魅音。とりあえず今日の所は家に帰れ。そして明日診療所に行こう。な?」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/09(火) 22:42:21.30 ID:hVsCsHno0
魅音「わかった。じゃあね圭ちゃん」
圭一「じゃあな魅音」
圭一「さて、どうする俺。レナに次いで魅音まで妊娠しちまうなんて」
そりゃコンドームに穴空けてたら妊娠くらいするよな。だがしょうがなかったんだ。
レナに魅音。二人も妊娠しちまうとはなあ……。
何か対策を練らないと。
そう思って歩いてた俺の視線に、風になびく旗が映った。
綿流しのお祭り……。
ゴクリ。唾が音を立てて咽を通る。
そして俺の中の何かも確かに音を立てた。
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/09(火) 22:53:24.52 ID:hVsCsHno0
オヤシロさま。鬼隠し。
狂気が一気に俺を支配する。そうだ。レナと魅音を綿流しの日に。
祭りの日に死んだら皆がそれはオヤシロ様の祟りだと思うに決まっている。
上手くやれば、上手くやれれば……。
はっと我に返る。
なんてことを考えてんだ俺は。二人を殺すなんて。
二人は仲間じゃないか。それに二人のお腹には俺の子供が……。
子供がいる……そう。コドモがいるから俺はこんなに苦しい目に。
レナも魅音も死んで欲しくない。だけどコドモはいらない。
でもガキだけを殺すのは無理だ。となるとやっぱり二人を殺すしかない。
いや一人を殺せば。どっちを?レナを?それとも魅音?
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/09(火) 23:17:59.97 ID:hVsCsHno0
いや、駄目だ。一人だけでは祟りは成立しない。
二人の腹には子供がいるから問題ないかもしれない。
だが二人が妊娠していることを知っているのは俺だけだし、入江先生はレナの妊娠をしっている。
レナが死んで、魅音の妊娠が解れば真っ先に疑われるのは俺だ。
じゃあ、レナと入江先生を殺せば?
そうだ。入江先生を殺せばレナの妊娠を知る奴はもういない。
そしてレナもいなくなる。
魅音には子供を産んで欲しくはないが、園崎を敵に回せば俺まで殺される。
まあいい。そんなことは後から考えればいい。
とにかく綿流しの祭りの日、レナと入江先生を殺す。
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/09(火) 23:28:45.67 ID:hVsCsHno0
翌日、俺は一人で学校へと向かった。
魅音も学校へ来ている筈だ。
昨夜電話を掛け、早くに学校へ行くようにと伝えてあるからだ。
魅音「圭ちゃんおはよう。今日学校が終ったら入江先生の所に行くんだよね?」
圭一「ああ、そのことなんだけどよ。とりあえず様子をみねえか?」
魅音「どうして?行くなら早くいかないと駄目だよ」
圭一「いや今週の休みは綿流しのお祭りだろ?入江先生も忙しそうだし、その後でいいんじゃないかと思ってさ」
魅音は訝しげな表情だったが、俺が髪を撫でてやると笑顔を見せ、解ったとうなずいた。
しばらくして登校時間になる。
レナ「圭一君〜。どうして今日は一人で言っちゃったのかな、かな?レナずっと待ってたんだよ?」
圭一「わりいな。ちょっと用事があってさ、魅音に。漫画を早く返せってうるさくて」
レナ「ふ〜ん、そうなんだ。ねえ圭一君。今日学校が終ったらレナ買い物に行きたいな〜」
圭一「買い物?なにを買うんだ?」
レナは耳元で小さく呟く。
「赤ちゃんの服をね。買いたいの。圭一君、ついてきてくれるよね?」
圭一「う〜ん。それ一人でも行けるだろ?」
死ぬ奴の服を買うのにどうして俺がお前についていかなかきゃならない。
圭一「わりい。今日は忙しくてさ。一人で行っといてくれ」
レナ「うん……わかった」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 00:04:50.34 ID:J6IL5cXo0
途中で落ちてしまうかもしれんが、頑張って書いてみる
授業が終わり部活の時間だ。
レナは買い物に行くと言っていたが、どうやら部活の後に行くらしい。
部活はいつも通りだった。
魅音がはしゃぎ、梨花ちゃんは黒い。沙都子はうるさく、レナは笑っている。
その間俺はずっと二人を殺す妄想を頭の中に走らせていた。
「よし!じゃあ今日はここまで」
魅音が叫ぶ。
「それでは帰るのですよにぱー」
梨花ちゃんと沙都子が帰り支度を始める。
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 00:15:24.12 ID:J6IL5cXo0
「あーみんなちょっと待って!」
魅音はそういったがレナは急いでいるようだ。
「魅ぃちゃんごめーん。レナ輿宮に行けないといけないからもう出るね」
そう言い残しレナは去っていった。
「えっ、おーいレナー。……行っちゃったよ」
ため息を吐く魅音に沙都子が言う。
「なんですの?魅音さん。なにかありますの?」
「まあいっかレナにはいつでも言えるしね〜」
魅音は抱き寄せるように俺の腕を引いた。
何だ。なにするつもりなんだ?魅音のやつ。
「実はね〜。私園崎魅音は、おじさんからお母さんになる事が決まったんだよ!」
「みい〜?言ってることがよく解らないのですよ」
梨花ちゃんはそう言うが、その顔は心得たと言った感じだった。
「おじさん妊娠しちゃったんだよ〜。圭ちゃんの子をね」
……完全に想定外だ。レナには誰にも言うなと言ってある。
しかし魅音には口止めなどしていなかった。
まさか皆の前で言うなんて思いもよらなかった。
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 00:21:43.96 ID:J6IL5cXo0
「魅音。どうして今そんな事を言う必要が……」
幸せそうな魅音の表情。そして口を開く。
「今朝圭ちゃんが私に結婚しようって言ってくれたでしょ?」
魅音は顔を赤らめる。
「私ね、嬉しかったんだよ?だから皆に早く言いたくてさ!」
結婚?俺はいつそんなことを言ったんだ。
今朝?よく思い出してみる。
入江先生にはまだ言うなと言って、それから俺は魅音とキスをした。
それから……。
「圭ちゃん言ってくれたじゃん。結婚しようって。ずっと傍にいてやるって」
魅音の顔の赤さは尋常じゃない。
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 00:31:45.81 ID:J6IL5cXo0
どうしてそんなに顔が……、そうだ。
キスをしたあと俺達はそのまま教室で交わったんだ。
そして魅音が口元でずっと囁いていた。
愛している、圭ちゃんと子供と一生幸せに暮らしたい、と
俺は激しい快感に溺れると共に、レナを殺していた。
そして果てながら言っちまってたんだ。
「結婚しよう」と。
綿流しが終るまでは言うまいと思っていたのに。
「まあ、それはおめでとうございますですわ。」
沙都子の声が教室に響く。
「二人共おめでとうございますですよー」
梨花ちゃんは、にぱーと笑った。
魅音は俺に抱きついてくる。
「でも皆には内緒だからねー。レナにもだよ。」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 00:43:27.10 ID:J6IL5cXo0
「なんでレナに隠す必要があるんだよ……」
俺の言葉には生気がないみたいだ。
「レナにも私の口から直接言いたいくてねー。そうだね、綿流しの日にでも言おうかな〜」
思わず俺は魅音の顔を殴りそうになった。
それを必死で抑え、いつも通りに振舞う。
くそ、沙都子と梨花ちゃんにばれている以上、レナを殺すことが難しくなってきた。
かと言って綿流しの日には魅音がレナに……。
どうすればいい。レナにはっきりと言うか?
子供をおろして分かれてくれと。
いや、レナが妊娠していることがばれたら、園崎が黙っちゃいない。
魅音のやつ、余計なことを言ってくれやがった。
園崎本家さえなけりゃこいつと結婚なんてする筈がないのに。
うぬぼれやがって。
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 00:53:03.89 ID:J6IL5cXo0
本当なら俺はレナと結婚しようと思ってたんだ。
いつもあいつは傍にいてくれて尽くしてくれた。
だが魅音はどうだ?園崎と言うだけの女だ。
いつのまにか俺に近寄って、あげく妊娠しやがった。
レナとの幸せな日々をぶち壊しやがったんだこの女は。
殺したい。魅音を殺したい。
レナと一緒になりたい。レナと幸せな家庭を作りたい。
ピンポーン
玄関のチャイムがなった。家に帰った俺は物騒なことをひたすらに考えていた。
「はーい、どちらさまですか?」
こんな時間に誰だよ。
「こんばんは、圭一君」
「レナ。どうしたんだ?こんな時間に」
ああ、レナはやっぱり優しい子だ。会いたいと思っていたらこうやって会いにきてくれる。
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 01:02:34.60 ID:J6IL5cXo0
「うん。レナ今日買い物に言ったでしょ?でねでね。服を見て欲しいなって」
「ああ、しかしまだ男か女かわかんないんだぞ?」
「生まれたての時の赤ちゃんの服はね。性別は関係ないんだよ」
それからレナを家に上げ、買ってきたと言う服を見せられた。
幸い両親は留守にしていたが、一歩間違えればどうなっていたか。
レナといればこんな幸せな日がずっと続くんだ。
綿流しのお祭りの日……、魅音を殺す。
次の日俺はレナと二人で学校へ登校した。
魅音には会いたくなかったからだ。
しかし学校に行けば当然会う。
そして婚約発表をした魅音は俺に馴れ馴れしく寄ってくる。
「なあ魅音。いくらなんでも学校ではやめといた方がいいぜ」
「いいじゃん。別に悪いことしてるわけじゃないんだからさー」
「いやしかしレナが……」
「レナが何?」
「いや、だから」
「ああそっか。レナとそれから皆にもまだ内緒だもんねー。うん、じゃあやめとこう」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 01:54:00.25 ID:J6IL5cXo0
その後の一日もいつもと同じように過ぎていった。
部活をして家に帰る。
予定だったのだが魅音が家に来るように言った。
漫画がどうとかいう理由で。
「おい魅音。何の用だ?できれば早く帰りたいんだぞ俺は」
「はい圭ちゃん。これ」
「なんだこれは」
渡された本には、出産と育児と言う文字があった。
「圭ちゃんもパパになるんだからさ〜。こういうの呼んで勉強しといてよね〜」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 01:58:35.58 ID:J6IL5cXo0
魅音が俺に抱きついてくる。さっきまでの明るい瞳が豹変した。
「ねえ圭ちゃん、一生一緒にいるよね」
鷹の目のような鋭い視線。感情が無いような平坦な声。
「ど、どうしたんだよ魅音」
「昨日の晩、レナにあった?」
「なんでだよ」
「昨日の晩、レナにあった?」
いつもの魅音からは想像も出来ない程感情が失せた声。
瞳は俺を捕らえて離さない。
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 02:05:31.39 ID:J6IL5cXo0
「ああ、お袋と仲がいいのはお前も知ってるだろ?」
返事がない。魅音はただ黙ってその冷え切った瞳で俺を見ている。
「漬物!漬物を持ってきてくれたんだ。んでちょっと話込んじまってよ。そんだけだよ」
「本当に?」
「当たり前だろ?俺が信じられないって言うのかよ」
「裏切っちゃ、やだよ」
平坦な声色を変えず魅音は言う。
「ああわかってるって」
魅音の無表情だった顔色に明るい色が戻った。
「ま、そう言うんなら信じるけどね〜」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 02:13:06.63 ID:J6IL5cXo0
背中からは脂汗がたらりと垂れる感触があった。
咽がカラカラに渇いて、うまく声を出せない。
恐怖が俺を包んでいた。魅音のあの瞳、声。
「じゃ、じゃあ今日はこれで帰るぜ」
「またね〜圭ちゃん」
とにかく早く魅音から離れたかった俺は直に園崎家を飛び出した。
何も考えずひたすら走った。
十分程走ったか。疲れた俺は足を止め、その場に座り込んだ。
ひぐらしが鳴いている。鳴き声以外に音がないくらいに
やかましい。
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 02:23:01.82 ID:J6IL5cXo0
背後に気配を感じる。ごくりと唾を飲む音がはっきりと聞こえた。
心臓がけたたましい音を立てて揺れている。
「……圭一君」
「レ、レナっ!なんだよ」
レナは鉈を右手持ち笑っていた。
しかしその笑顔はいつものとはかけ離れていた。
その瞳は……、魅音のそれと同じだった。
「圭一君は私のこと好きかな、かな」
「どうしたんだよいきなり」
「好きかな、かな」
同じだ。魅音と。そんな声をださないでくれ。
レナはもっと優しくて可愛い声をだすじゃないか。
「好きかな、かな」
「す、好きに決まってるだろう」
「本当?」
「当たり前だろ。俺が信じられいって言うのかよ」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 02:29:08.05 ID:J6IL5cXo0
「あっははははははははははは」
レナが急に笑い出す。今まで聞いたこともないような不気味な声をだして。
その瞬間周りの音が消えたように感じられた。
世界に響くのはレナの笑い声だけのように。
そしてすっと互いの鼻が触れるか触れないかくらいの距離まで顔を近づけた。
「裏切らないでね、圭一君」
「うっ、うわあああああ」
俺はレナを突き飛ばし全速力で走った。家に帰り自分の部屋へ飛び込み、布団を頭から被った。
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 02:35:00.59 ID:J6IL5cXo0
何かがおかしくなっている。
魅音もレナもあんな冷たい瞳で。二人とも昨日まであんなに優しかったのに。
今日だって学校が終るまでは普通だったじゃないか。
そうだ。あれは目の前の現実にちょっと気が滅入ってるんだ。
二人とも妊娠している。心配なんだ。
─昨日の晩、レナに会った?─
魅音はこういった。どうして知っている?俺がレナと会ったことを。
まさか昨日レナが家にあがった事をしっているのか魅音は。
「知っている筈がない。知っている筈がないんだ」
昨日レナが来る直前まで俺は魅音と電話してたじゃないか。
しかもその電話は俺からかけたんだ園崎家に。
だから知っている筈がないんだ。
子供服を見て楽しんでいる所も、リビングのソファでレナを抱いている所も。
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 02:44:44.30 ID:J6IL5cXo0
「なにがどうなってんだ」
そしてレナだ。あんな不気味な声で笑い出して裏切るな、なんて。
昨日、放課後教室の外に、床に小さな染みが数個あるのをみつけた。
水道の水が撥ね落ちた跡だろうと思っていた。
「レナはいたんだ……。あの場所に」
レナは聞いていたんだ。そして涙をながした。
レナは知っている。魅音が妊娠していることを、そして俺と魅音が結婚することも。
いや違う。あれは魅音が勝手にいったんだ。俺はレナと一緒になりたいんだ。
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 02:49:06.50 ID:J6IL5cXo0
ピンポーン
インターホンが鳴る。
ピンポーン
もう一度鳴った。
静かに俺は一階へと降りていく。
家の電気は真っ暗だ。帰ってきてから俺はずっと布団に潜っていた。
今は夜の9時くらいか。
ピンポーンピンポーンピンポーン
ホンが何度もなる。何度も何度も止まらずに。
真っ暗な部屋の中を足音を立てずに、玄関へと向かう。
手にはバットを握り締めて。
そして無意識の内に「俺は死なない」と小さく呟いていた。
外にいる誰かはもうホンが鳴り終わるの待たずにボタンを連続でおしている。
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 02:56:37.75 ID:J6IL5cXo0
そっと玄関の前に立つ。
俺の存在に気付いたかのように今度はドアをあけようとする。
がちゃがちゃと音がなる。
「だ、だだだ誰だよ!!!」
音が止んだ。
「圭一君。レナだよ」
「レナが何の用だよ」
「圭一君とお話がしたいの。開けてくれるかな、かな」
「何の話だ!」
「大切な話。だからねえ、開けて圭一君」
悲しみにしぼんだ時のレナの声だった。
「わかったよ。今開けるから」
「うん、ありがとう」
鍵を開ける。がちゃりとノブを回す。
「もう一個鍵があるんだよ。レナはせっかちだなあ」
「えへへ、ごめんね」
もういつものレナの声だ。そうさっきまでのおかしいレナなんかじゃない
このレナはいつものレナだ。
がちゃり。
最後の鍵も開けた。
少し強引にドアをレナは開ける。
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 03:04:36.42 ID:J6IL5cXo0
「こんばんは、圭一君」
レナの姿は月の光だけを受けていた為に、はっきりとはしなかったが、笑顔はいつも通りだった。
いやいつにもまして明るく可愛らしい笑顔だった。ああ、レナはおかしくない。
「上がっていいかな、かな?」
「ちょっと待ってくれ。今玄関の明かりを」
そう言って明かりのスイッチを押した。
「おじゃまします」
レナがそう言い玄関の中に入ってくる。
「う、うわああああ。なななんだ、そっそれ!」
レナの制服は血まみれになっていた。暗くて解らなかったが顔にも血がついている。
そして片手にボールの様なものを持っていた。
そのボールからは血にまみれた緑色の何かがだらりと垂れている。
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 03:16:14.57 ID:J6IL5cXo0
「かっ髪?まさか……」
そのボールの正体に気付き絶句していた俺に、レナは丁寧にもそのボールの正面に当たる部分をこちらに見せた。
「みっみみみみっみみみおんっ!!!!!」
それは魅音の、いや魅音だったものの頭部だった。
口は半開きで、舌がたらりと垂れている。表情は恐怖と苦痛に染まったまま固まっている。
切断された首からは、今も血がだらだらと零れ落ちていた。
「どう魅ぃちゃんだよ。ねえn圭一君。レナは圭一君のことが大好きなんだよ?」
レナは土足のままあがり込み、腰が抜けた俺に近寄ってくる。
「圭一君はレナだけのもの。圭一君はレナのことだけ見ていればそれでいいんだよ」
「や、やめろ!来るな!」
俺は必死に手を足を動かしレナから逃げる。
どすん。リビングの真ん中辺りで何かにぶつかった。
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 03:24:52.47 ID:J6IL5cXo0
俺は首を後ろに回しそれが何であるかを確認した。
暗くてよく解らない。頭上から何かが垂れてくる。
ぽたぽたとそれは俺の顔にかかっていた。
それを手で拭って見てみたが暗闇の為になんであるかわからない。
レナがリビングの電気をつける。血だった。
そして背後にある物体を確認した。
「レっレナっ?」
そこには血まみれのレナが机にもたれ掛かるよう座っていた。
俺は慌てて前を見直す。
レナが笑いながらこちらによってくる。
もう一度後ろをみる。レナの体が、目をあけ開いたまま動かない
レナの変わり果てた姿がある。
「なにがどう……」
頭上を見上げる。先程から血がこぼれ落ちている。
という事は何かが上にある。
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 03:30:52.17 ID:J6IL5cXo0
「魅音!」
「圭ちゃん、役者だね〜」
魅音は机の上に胡坐をかいて座っていた。
顔も服も血だらけになっている。
「みっ魅音。お前生きているのか?」
「あっははははは」
レナと魅音が同時に笑う。
「おい、なんなんだよ。なにがどうなってるんだ!」
「圭ちゃんは私の子とだけ見てればいいんだよ」
「何をいってるんだ。こんな時に」
魅音は手に持っていた何かを床に捨てるように落とした。
「なんだよっこれ」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 03:38:44.78 ID:J6IL5cXo0
「これでレナのお腹にはもう子供はいない……。さあ圭ちゃん私と一緒にいこう?」
後ろにあるレナの死体をよくみてみる。
ほとんど血のどす黒さで解らなかったが、内臓が抜き取られているようだった。
レナの死体がどすりと横に足を開いて倒れる。
「うえっ」
瞬間におれは嘔吐した。
ある筈の生殖器はそこになかった。レナの腹部から下半身がごっそり抜けていた。
状況が全く理解できない。
目の前にレナがいる。後ろにもいる。
その上に魅音がいる。だけどレナの手には魅音の頭がある。
「圭ちゃん」
「圭一君」
二人が同時に俺を呼ぶ。
「私のことだけをみてればいいんだよ」
「私だけを見て」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 03:45:22.84 ID:J6IL5cXo0
「うううわあああっ」
俺は這いつくばって窓へ逃げる。魅音が机から降りてこちらに向かってくる。
レナも笑いながらこっちにやってくる。
俺は必死で窓へ向かう。そんな状況でもさっきから気になって仕方がないことがあった。
「首が痒い。首が、首が。」
「圭一君どうして逃げるの?」
「ねえ圭ちゃん、はやく結婚しよう?」
「あああああ来るな来るな来るな」
ボリボリボリボリボリボリボリ
掻いても掻いても治まらない
「痒い。痒い痒い痒いだれか助け……て」
ふと視界にバットが映った。
そのバットは血だらけだった。
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 03:50:41.07 ID:J6IL5cXo0
すみませんこれで終わりです。
やっぱり勢いでSSを書こうなんてのは無理だったようです。
初めてだったのと即興で書かなければいけないのとで、かなりパニックになっちまいました。
かなりはしょった部分、と言うか才能的に書けなかった部分もあったのでわかりにくかったと思います。
つまらなくてすみません