20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/08(月) 20:19:42.80 ID:rPLIn9m4O
私は言う。
長門「あなたは私のバックアップのはず。独断専行は許可されていない。」
お願いやめて。
朝倉「いやだと言ったら?」
言いたくない。
長門「情報結合を解除する」
決めたはずなのに、迷いが出る。
朝倉「やってみる?ここでは私のほうが有利よ?
止まらない。
長門「情報結合の解除を申請する。」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/08(月) 20:20:54.31 ID:rPLIn9m4O
………
長門「終わった。」
何もかも。
朝倉「終わったってなんのこと?あなたの3年あまりの人生が?」
長門「ちがう。」
違う。そうじゃない。したくなかった。けど、これは既定事項。
長門「情報連結解除開始。」
朝倉「そんな……。」
朝倉涼子が消えていく。私はその様子を見ることができなかった。
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/08(月) 20:22:46.68 ID:rPLIn9m4O
キョン「手を貸そうか?」
彼が私を起こしてくれる。私は朝倉涼子の事で頭がいっぱいだった。
知っていたはずなのに、メガネの再構成を忘れる。
キョン「してないほうが可愛いと思うぞ?俺には眼鏡属性ないし。」
彼女と同じ言葉をはなつ。少し胸が痛む。
三年間考えたがわからなかったなので聞いてみる。
長門「眼鏡属性ってなに?」
キョン「なんでもない。ただの妄言だ。」
長門「そう」
知っている。あなたが返事をはぐらかすのも。
三年前から……
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/08(月) 20:31:33.22 ID:rPLIn9m4O
本編。
私はマンションの一角にあるその部屋の中でじっとしている。
これから三年間、1人で来るべき日を待たなければならない。
私は涼宮ハルヒを監視するために作られた、対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェース。
感情などというものは私にプログラムされていない。
3年なんて、私にしてみればさして長い時間ではないと思っていた。
その日が来るまでは……。
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/08(月) 20:34:11.11 ID:rPLIn9m4O
作り出されてから間もなく、部屋のインターホンが鳴る。また、何かの勧誘かと思いながらも受話器をとる。
カメラの向こうには見知らぬ二人。部屋を間違えたのだろうか。
??「長門有希さんのお宅でしょうか?」
長門「……。」
誰だろう。私の部屋を知っているのは『彼女』しかいないはず。
そんな事を考えていると、カメラごしの彼が言葉を続けた。
?「あー。何といっていいか俺にも解らんのだが……」
……言葉を待つ。
?「涼宮ハルヒの知り合いの者だっていえばわかるのか?」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/08(月) 20:38:35.33 ID:rPLIn9m4O
私は凍り付いた。この時間に涼宮ハルヒに関係をもつものなど、ほぼ皆無なはずである。
少し考えるが、何も浮かばない。とりあえず話を聞こう。
何かあれば負けるつもりはない。『彼女』もいることだし
長門「入って。」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/08(月) 20:43:30.07 ID:rPLIn9m4O
玄関を開けるとまもなく、二人の高校生がたずねてきた。
顔を見るが、まるで記憶にない。警戒心を強める。
ふと見ると、後ろの女性が震えていた。
彼らの構成情報をよみとる。さして問題はない…ただの人間。
ただ、気になるのは彼女の時間軸がはるかにずれていることだ。
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/08(月) 20:45:28.83 ID:rPLIn9m4O
??「いれてもらっていいか?」
彼は言った。
長門「……。」
とりあえず中にいれて話を聞こう。
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/08(月) 20:49:57.24 ID:rPLIn9m4O
彼から一連の話を聞いた。どうやら三年後から時間跳躍してきたらしい。
??「で、三年後のお前がこんなものを俺にくれたんだ。」
彼から短冊を渡された。情報を読み取る。三年後の私と同期する。
その後、私は後悔する事になる。
あまり未来をしるものではないと……
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/08(月) 20:56:04.54 ID:rPLIn9m4O
二人を居間の隣の部屋に案内し、二人を寝かせる。ドアを閉めると同時に、流体結合を凍結した。
ドアの前でみょうな感覚に襲われる。
これから三年間、二人を守りながら待たなければならない。
さっきまで、何ともなかったのに今は違う。胸のあたりがモヤモヤする。
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/08(月) 21:00:01.58 ID:rPLIn9m4O
三年後の私は『彼女』をけしてしまう。
今ではまったく考えられない事だ。
それに私は……
私は……淋しい??
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/08(月) 21:04:20.17 ID:rPLIn9m4O
彼らを凍結してからの三日間、私はぼーっとしてしまう。
これから起こるであろう事件。私はその時、既定事項をクリアできるのだろうか?
時間の流れを変えてはいけない。それはわかっているはず。
でも……
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/08(月) 21:16:05.49 ID:rPLIn9m4O
朝倉「長門さーん!いるー?」
長門「……。」
朝倉「もー、いるなら返事しなさいよね!!それより、これ一緒に食べない?おでん作りすぎちゃってさ!」
彼女は朝倉涼子。私と同時期に作られた急進派のインターフェース。
私とはかなり性格の構成情報がちがう。
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/08(月) 21:21:08.67 ID:rPLIn9m4O
朝倉「どうせ、ろくなもん食べてないんでしょ?ほらっ!食器とか用意して♪」
長門「わかった。」
二人で食事の準備をしている。
朝倉「あら?時間凍結?何やってるの?長門さん。」
長門「……実験。」
朝倉「ふーん。あなたも変り者よね?あなたの作り主はよくわからないわ。」
長門「……」
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/08(月) 21:27:52.00 ID:rPLIn9m4O
彼女はよく喋る。どうやら、三年間退屈しそうなのでアルバイトを始めたらしい。
朝倉「そこの店長が私をいやらしい目で見てくるのよ!!まったく有機生命体の分際で……」ブツブツ
彼女の話を聞きながら、私は軽い罪悪感に襲われる。
が、彼女の話が私のこころに生まれた『淋しい』の気持ちを埋めてくれた。
そんな事を考えていると、いつの間にか彼女が私をじっと見ていた。
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/08(月) 21:35:38.86 ID:rPLIn9m4O
長門「なに?」
朝倉「私の話し、つまらなかったかな……?」
そんな事ある分けない。
長門「ユニーク。」
彼女は驚いた顔で、クスクス笑った。
朝倉「へぇ、長門さんにもそんな感情あったんだ。ちょっと意外かも♪」
長門「そう?」
朝倉「そうよ!せっかく生まれてきたんだから、少しは楽しまないと♪」
長門「……。」
朝倉「それにこんな部屋に引き籠もってたらいつかエラーが爆発するわよ?」
彼女の言葉は当たっていた。しかし、それは私の知っている未来のもっと先の事だった。
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/08(月) 21:41:52.57 ID:rPLIn9m4O
朝倉「そうだ!長門さん!今度の日曜買い物いきましょう?」
長門「買い物?」
朝倉「そう♪どぅせ、その制服しかもってないんでしょ?私が可愛い服選んであげるから♪約束よ?」
長門「わかった。」
私の返事をきくと彼女はウキウキした様子で部屋に戻っていった。
66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/08(月) 22:07:28.70 ID:rPLIn9m4O
日曜の日、朝から朝倉涼子と街に出ていた。
朝倉「私ね。ずっと長門さんに着せてみたい服があったの!」
というと、私をとある服屋に連れていった。
朝倉「これこれ♪一回でいいから着てみて!買わなくてもいいからさ♪」
長門「これは……?」
朝倉「有機生命体の言葉だと『ゴスロリ』ってやつね。」
長門「ゴスロリ?」
目の前には何やらいっぱいフリルの付いた服が用意されていた。
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/08(月) 22:10:27.52 ID:rPLIn9m4O
朝倉「そうよ。ほらっ、試着室入って♪」
言われるがままに中に入る。
私にこんな服が似合うものなのだろうか?
着替えること数分。
朝倉「どう?着れた?」
長門「いちおう…」
彼女がカーテンをあける。
長門「……。」
朝倉「……。」
やはり私に似合うわけがない。
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/08(月) 22:32:25.16 ID:rPLIn9m4O
朝倉「そうよ。ほらっ、試着室入って♪」
言われるがままに中に入る。
私にこんな服が似合うものなのだろうか?
着替えること数分。
朝倉「どう?着れた?」
長門「いちおう…」
彼女がカーテンをあける。
長門「……。」
朝倉「……。」
やはり私に似合うわけがない。
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/08(月) 22:35:56.33 ID:rPLIn9m4O
朝倉「すごーい!予想どおりよ、長門さん!?」
意外な反応に戸惑う。
朝倉「うん!思ってた通りすごい似合ってるわよ!」
声が大きい。周りの人がやたらチラチラ見てくる。
朝倉「う〜ん。やっぱり私ってセンスあるわね。……あっ!ちょっといいかしら?」
彼女の手が私の顔に伸びる。
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/08(月) 22:37:09.28 ID:rPLIn9m4O
それからの三年間はあっという間だった。 私たちヒューマノイドは時間という概念は希薄だ。楽しい時間は過ぎていく。
私はその日をきっかけに彼女と過ごす時間が多くなった。
一緒にご飯を食べ、買い物に行き、夏には祭り、冬にはクリスマスパーティーもやった。
結局、高校入学前日までそんな日が続いた。
その頃には私はすっかり未来のことなど忘れ、こんな二人の時間が続けばいいと思っていた。
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/08(月) 22:44:58.17 ID:rPLIn9m4O
朝倉「明日からいよいよ本番ね!涼宮ハルヒの観測。」
私はこの言葉で一気に現実に引き戻される。
私は高校入学をして、まもなく、彼女を……。
私はには彼女の存在が大きなものなっていた。この三年間、ずっと私の隣にいて笑っていてくれた。私を満たしてくれた。
時間は残酷だ……。
朝倉「長門さんも明日から頑張ってね?」
長門「わかった。」
私が見た彼女の笑顔だったのかもしれない。
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/08(月) 22:51:20.51 ID:rPLIn9m4O
入学すると同時に彼女は変わっていってしまった。
朝倉「なによ!あの女。私が話し掛けてもまったくの無視よ!無視!これじゃかんそくなんてできやしないわ………」
長門「……。」
朝倉「早く何か起こさないと……」ブツブツ
朝倉「しかもなんなのよ。あのキョンってやつ!イレギュラー因子もいいとこだわ。」
朝倉「いっそのこと……」
駄目。私は心の中で彼女を必死で止める。 しかし、その願いは届かない。
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/08(月) 22:56:08.34 ID:rPLIn9m4O
………。
ついにその日が来てしまった。 彼はみんなに気付かれないようにしているが、部室にきてからずっとそわそわしている。
部活が終わると彼は足早に出ていってしまった。
私は気付かれないように後を追う。彼が教室に入ったのを見届ける。
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/08(月) 23:00:55.43 ID:rPLIn9m4O
少し時間が立つと、空間が希薄になる。
長門「始まった。」
私はドアの前に立つ。
この三年間の思い出が一気に押し寄せてくる。
楽しかった。
このまま、彼を見殺しにもできる。また、朝倉涼子と一緒に過ごす事ができる。
しかし、時間の流れは変えてはいけない。
少し考える。
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/08(月) 23:05:22.28 ID:rPLIn9m4O
これからの未来はきっと色々あるはず……そのは誰も知らない。知ってはいけない。
私は未来を知ってしまった。 これは私に対する罰。
決めた。迷ってはいけない。
これが未来を知ってしまった私のするべきこと。
私はドアの前に手をかざした。
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/08(月) 23:11:13.91 ID:rPLIn9m4O
……
あれから1ヶ月たった。今日は彼らの時間の凍結を解除する日。
その日は、涼宮ハルヒにとっても私にとっても特別な日。
その日は七夕ということで、涼宮ハルヒが願いごとをしよう。といって、短冊を渡してきた。
これも既定事項だったが、あの時の私は私の書いた言葉を理解できなかった。
今はよくわかる。
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/08(月) 23:16:48.50 ID:rPLIn9m4O
どこか、彼女が笑ってすごせるような世界があってほしい。
みんなとこうやって楽しく、そして私とも……。
私は短冊にそんな願いをこめてペンをはしらせる。
私の願いは今度こそ届くのだろうか?
誰も居なくなった部室。フラフラと笹にかかった短冊がゆれる。
『調和』『変革』
終わり。
90 名前: ◆eblTbhX84c [sage] 投稿日:2009/06/08(月) 23:36:20.23 ID:rPLIn9m4O
見てくれてた人いたんですね…… ありがとう。
実はたて方も頼み方も知らないので使わなくなったスレを再利用しました。
どうやればいいんでしょう?