長門「お湯を入れて三分...」


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38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 04:43:22.78 ID:MJOovXF7O

キョン「よう長門」

長門「…………」コポポポ

キョン「今日の昼はカップ麺か。ちょっとうらやましいね」

長門「あ」


キョン「?」

長門「それ、入れ忘れた」

キョン「あ、かやくか」

長門「ちがう」

キョン「え、でも……あっ」

キョン「まゆげって書いてある……」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 04:46:53.58 ID:MJOovXF7O

長門「今ならまだ間に合う。こっちに渡して」

キョン「え?は、はぁ」

長門「…………」ピッ サラサラサラ...

キョン「いや、ちょっと待て。食い物に眉毛って、お前……」

長門「あとは2分32秒待つだけ」

キョン「おい」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 04:50:52.67 ID:MJOovXF7O

長門「…………」

キョン「……なあ、もう3分経ったんじゃないのか?」

長門「あと8秒」

キョン「そうかい」

長門「3、2、1……」

ボンッ

朝倉「あっつぅ!!」

長門「久しぶり」

キョン「あ、朝倉!!」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 04:57:36.39 ID:MJOovXF7O

朝倉「熱いじゃないの!!」

長門「摂氏100℃のお湯。当然」

キョン「は?何だコレ?状況が理解不能だ。説明しろ」

朝倉「あ、あなたは!ここであったが100年目!あなたを殺して涼宮ハルヒの出方を見る!」

長門「落ち着いて」パーン!!

朝倉「キャッ!!」バキッ ガンッ ベチャッ

長門「説明する」

キョン「それよりいいのかアイツ……。壁に叩きつけられた後に頭から床に……」

長門「いい。心配ない」

キョン「…………」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 05:05:08.41 ID:MJOovXF7O

長門「これは簡易有機ボディ再生装置。通称NISSIN」

キョン「NISSINて……」

長門「お湯を入れて3分。それで非常用小型ボディの出来上がり」

キョン「随分とお手軽なことだな。眉毛は?」

長門「朝倉涼子の記憶と性質を媒介するためのプログラム。そして彼女はまゆげにサブ記憶領域を持つ」

キョン「あの眉毛にはそんな秘密が……」

長門「そう」

朝倉「眉毛にそんな機能があるわけないでしょ!」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 05:12:07.88 ID:MJOovXF7O

キョン「あ、生きてた」

長門「意外と頑丈」

キョン「ほんとだな」

朝倉「久しぶりの再開なのにヒドくない?」

キョン「いきなり殺しかけといてよく言うよ」

朝倉「ぐっ……。あんまり舐めてると刺すわよ!」

キョン「そんなちっちゃいやつに凄まれても怖くねぇよ」

朝倉「えっ?あれ?あたしちっちゃい!?嘘!」

キョン「今ごろ気づいたのか。今のお前はバービー人形サイズだ」

長門「着せ替えもできる」

朝倉「え……やだ……恥ずかしい」

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 05:22:28.73 ID:MJOovXF7O

キョン「でも長門」

長門「なに」

キョン「なんでいまさら朝倉なんかを再生させたんだ?」

朝倉「なんかとは何よなんかとは」

長門「わたしのエラー動作を未然に防ぐため」

キョン「というと?」

朝倉「あたしを無視しないでー」

長門「わたしの中に蓄積されたエラーをなるべく朝倉涼子に移すことで、エラー発生までの時間を引き伸ばすことが出来る」

キョン「なるほどな」

朝倉「おーい」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 05:29:41.69 ID:MJOovXF7O

長門「今の朝倉涼子はわたしのエラー吸い取り装置としての役割を持ち、統合情報思念体とはリンクされていない」

キョン「じゃあ、思念体の意思云々で俺たちを狙うことは無いってわけか」

長門「そう」

朝倉「人を装置扱いするなんてこの人でなしー。悪魔ー」

キョン「じゃあ、この朝倉が叫んだり野次を飛ばしたり、やたら感情豊かなのはそういうことか」

長門「どういうこと?」

キョン「そのうちわかるさ」

朝倉「……おーい」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 05:38:19.01 ID:MJOovXF7O

キョン「しかし、エラーが気になるんだったら、こんな所で陰気に本を読んでるよか、誰かと楽しくおしゃべりでもしてた方がいいと思うがな」

長門「…………」

朝倉「うっ!!」

キョン「朝倉?」

朝倉「……胸が締め付けられるような……」

キョン「大丈夫か?」

長門「心配ない。よくあること」

キョン「そうなのか?」

長門「そう。わたしは特に」

キョン「? ふーん……」

朝倉「今のはなに?」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 05:43:38.48 ID:MJOovXF7O

キーンコーンカーンコーン

キョン「しまった!まだ昼飯食ってねえってのに…」

長門「…………」

キョン「じゃあな長門。また放課後に」

長門「待って」

キョン「どうした?」

長門「彼女を連れて行って」

キョン「え?」

朝倉「へ?」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 05:50:07.59 ID:MJOovXF7O

長門「朝倉涼子は元々あなたのクラス」

キョン「そうだけどな」

長門「…………」

キョン「……わかったよ。朝倉」ヒョイッ

朝倉「わっ!えっ?」

キョン「ブレザーのポケットに入ってろ。いいか、絶対に声出すんじゃねえぞ」

朝倉「わ、わかったわ」

長門「…………」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 08:10:44.30 ID:MJOovXF7O

キョン「腹減った……」

朝倉「」ゴソゴソ

キョン「うわっお前!何してんだ!」

ハルヒ「? 何よキョン。どうしたのよ」

キョン「いや、何でもない。寝ぼけたんだ」

ハルヒ「ほんと腑抜けた頭してるわね」

キョン「ほっとけ。たく……」

キョン「で、お前はなんで出てきてるんだよ」ボソボソ

朝倉「良いじゃない。ちょっとくらい」

キョン「あのな……」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 08:19:52.56 ID:MJOovXF7O

キョン「見つかったら大事なんだぞ」ボソボソ

朝倉「そうなったら長門さんにちょっとみんなの記憶いじってもらえばいいじゃない」ボソボソ

キョン「あのなぁ……長門ならできるだろうが……」ボソボソ

朝倉「それにね」ボソ

キョン「それに?」ボソ

朝倉「なんだか懐かしいなぁ、って。この光景」ボソボソ

キョン「…………」

朝倉「あたしもあんなことしてなかったら、まだこの教室で座って授業聞いてたんだなって思うとね。実際この目で見てみたくなっちゃった」ボソボソ

キョン「……そうか」ボソ

朝倉「自分でもなんでかわかんないんだけどね」ボソ

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 08:32:34.50 ID:MJOovXF7O

朝倉「自分のいない教室ってこんななんだぁ……。ちょっと新鮮かな。席順も随分変わってるし」

朝倉「でも、みんなはあまり変わらないわね。授業を受ける様はみんな相変わらず。懐かしい……」

キョン「しゃべりすぎだぞ」ボソ

朝倉「あたし一人がいなくても、この学校は何も変わらないのね」

朝倉「ちょっと残念だな」

キョン「…………」

朝倉「……なんで残念なんて思うんだろう。なんで……」

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 08:48:02.89 ID:MJOovXF7O

朝倉「おかしいわ。こんなこと。エラーとしか……」

キョン「いいから黙っとけ」

朝倉「でも……」

キョン「久しぶりに活動して疲れてんだよ。ポケットで休んでろ」

朝倉「そうね。……そうさせてもらう」

キョン「ああ、無理すんな」

朝倉「ふふ。あなたって案外優しいのね」

キョン「まあな」

ハルヒ「なに一人でぶつぶつ言ってんの?とうとう頭沸いちゃったの?」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 09:00:57.53 ID:MJOovXF7O

朝倉(なんだろう……、自分で自分がよくわからない……)

朝倉(今だってなんとなく寂しい感じがしてるし……)

朝倉(寂しい?)

朝倉(なによそれ。ありえない)

朝倉(でも、なんとなく、彼のそばにいるとそれが緩和されるような……)

朝倉「あぁ、もう!」ゲシッ

キョン「いてっ!!」

ハルヒ「キョン?どうしたの?」

キョン「わき腹が……」

ハルヒ「大丈夫?今日アンタ全体的におかしいわよ」

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 09:10:16.79 ID:MJOovXF7O

キョン「おい!朝倉!」

朝倉「なにかしら」

キョン「なにかしらじゃねえよ!いきなり人のわき腹蹴飛ばしといて」

朝倉「仕方ないじゃない」

キョン「何が仕方ないんだよ」

朝倉「……わからないわよ」

キョン「わからないのに蹴るか普通!?そんな小さいくせしてめちゃめちゃ脚力あるくせに……」

朝倉「好きで小さくなったわけじゃない。それよりここどこよ?」

キョン「男子トイレだが?」

朝倉「何て場所に連れ込んでんのよ!正気を疑うわ」

キョン「それこそ仕方ないだろうが」

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 09:26:38.92 ID:MJOovXF7O

朝倉「だからって…!」

キョン「お前と二人きりで話がしたかったんだよ」

朝倉「え?」

キョン「なに変な顔してるんだ?」

朝倉「い、いいえ!別に…」

キョン「授業中のここなら、比較的安全に話ができ」

カチャカチャカチャ ザー

キョン「え?」

バタン

古泉「やはりこの声はあなたでしたか」

キョン「古泉!?なぜここに?」

古泉「なぜって……。そりゃあ超能力者だって出るもんは出ますからね」

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 18:07:06.61 ID:MJOovXF7O

キョン「そ、そりゃそうだが……」

古泉「さっきから、どなたとお話してるんです?女性のような声でしたが……」

キョン「いや、何でもない!何でもないぞ!」

古泉「ふむ。なら良いんですが……あ、誰かが……」

キョン「え?」


古泉「隙ありですよ」

キョン「うわ!」


古泉「それは……人形ですか?」

キョン「いや、その……」

古泉「あなたに人形性愛趣味があったとは……困ったものだ」

キョン「ないぞ!断じてない!」

朝倉「…………」

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 18:16:52.90 ID:MJOovXF7O

古泉「成る程。あなたへのアプローチがことごとく徒労に終わるわけがよくわかりましたよ」

キョン「お前、やっぱりホモ……」

古泉「僕の話じゃありませんよ。心当たりがあるでしょう?」

キョン「そんなもんはない」

古泉「いやはや」

朝倉「人のこと、人形、人形って失礼しちゃうわ!」

古泉「!?」

朝倉「このにやけ顔!」

キョン「おいおい」

古泉「……一体これは?」

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 18:28:13.17 ID:MJOovXF7O

朝倉「あたしだって生きているの。立派な人間なんだから」

キョン「人間ってより宇宙人だろうが」

古泉「宇宙人?」ガバ

朝倉「顔近い顔近い」

古泉「もしかして、TFEI端末の朝倉涼子さんですか?」

朝倉「そうよ。何か文句でも?」

キョン「知ってるのか?」

古泉「ええ、一応この学校に転校する前に、校内のTFEI端末とおぼしき人物はそれなりにチェックをいれてありましたから」

朝倉「顔近いって」

キョン「そうか、それなら話が早い」

古泉「人形だと思いこんでたのと、直接的な接触が無かったせいで気づくのが遅れましたが」

朝倉「……あなた、お昼ににんにく食べたでしょ」

古泉「…………」

124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 18:37:21.76 ID:MJOovXF7O

朝倉「女性に対するエチケットぐらいきっちりしなさいよ。口臭いわよ」

古泉「……傷つきますね。まさか男子トイレに女性がいるとも思わなかったですけどね」

朝倉「それは別にあたしが……」

キョン「言い争ってんじゃねえよ。今は説明が先だ」

古泉「そうですね。お願いします」

朝倉「ちょっと!」
キョン「かくかくしかじかというわけだ」

古泉「まるまるうしうしというわけですね」

キョン「そういうことだ。話が早い」

朝倉「本当に早いわ……有機生命体の暗号かしら」

126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 18:47:13.49 ID:MJOovXF7O

古泉「しかし、それで長門さんの異常動作を抑えられるのなら、こちらとしても御の字なんですが」

キョン「だな。問題は……」

古泉「涼宮さんに見つからないことですね」

キョン「ああ。もし見つかったら……」

朝倉「見つかったらどうなるの?」

キョン「いじられて弄ばれて、さんざん玩具にされた挙げ句、ポイッだ」

古泉「でしょうね」

朝倉「玩具にされてって、それは一体……」

キョン「世の中には知らないほうが良いこともある」

朝倉「…………」

キーンコーンカーンコーン

キョン「おっやべ!30分近くしゃべってたぜ」

古泉「そうですね。戻りましょう」

キョン「俺は弁当を食わにゃならんしな。じゃあな」

朝倉「玩具にされてって……そんな……」

131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 19:02:29.99 ID:MJOovXF7O

放課後

コンコン ガチャッ

キョン「よっと」

みくる「いまお茶入れますね」

キョン「ありがとうございます」

古泉「遅れてすみません。涼宮さんは?」

キョン「都合よく掃除当番だ。しばらくは来ない」

古泉「そうですか。それは良かった」

キョン「出てきて良いぞ」

朝倉「ぷはっ!!」ヒョコッ

みくる「な、な、な、なんですかぁそれっ!!」

キョン「実は……」

みくる「可愛い!!」

朝倉「いや……そんな……」

133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 19:11:50.22 ID:MJOovXF7O

みくる「すごぉい!お人形さんみたぁい!」

キョン「あの、朝比奈さん?」

みくる「いろんなお洋服とか着せてあげたいなぁ」

キョン「朝比奈さん?」

みくる「ねえ、あなたはどんな服が着たいのかしら?」

朝倉「え?いや、その……」

みくる「わかった。わたしが見繕ってあげる!ごめんなさい、今日は私はこれで失礼しまぁす!いろいろ買いに行かなくちゃ!」タッ

古泉「メイド服のまま行っちゃいましたね」

キョン「ああ、だな……」

古泉「スイッチ入っちゃったんでしょうか」

キョン「どうやらそうらしい。ハルヒや鶴屋さんみたいなテンションだったからな」

古泉「会わしちゃまずかったですね」

キョン「だな……」

135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 19:25:31.08 ID:MJOovXF7O

キョン「さて、と」

古泉「落ち着いて話が出来ますね」

キョン「長門。ちょっといいか」

長門「なに」

朝倉「あれ?」

キョン「どうした朝倉?」

朝倉「いえ、なんでもないわ……」

キョン「ちょっと隣座るぞ長門」

長門「…………」

キョン「今後のことなんだが…」

朝倉(彼と長門さんが一緒にいるのを見るとドキドキする……)

古泉「…………」

197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 08:49:52.64 ID:gi1HH6hNO

キョン「朝倉はこれからずっとお前といることになるんだろう?」

長門「ずっと、かはわからない。しかし当分の間は」

朝倉「そこはずっとって言って欲しかったな」

キョン「なら俺はしばらく朝倉と一緒に授業を受けることになるのか」

長門「それが望ましい」

キョン「お前、そんなのいつかバレるに決まってんだろ!」

長門「問題ない。非常時はわたしがなんとかする」

キョン「しかしだな」

長門「ただし、涼宮ハルヒに気づかれた時以外」

キョン「はあ?一番気づきそうなやつじゃないか!」

長門「彼女に情報操作は使えない」

キョン「そんな無茶苦茶な……朝倉からも何か言ってやってくれ!」

朝倉「あたしは……その……、5組で授業受けたいかな、って……」

キョン「は!?」

199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 09:03:10.23 ID:gi1HH6hNO

キョン「何言ってんだお前?」

朝倉「いや、やっぱり自分のいたクラスだし……なんとなくね」

キョン「なんとなくって……」

古泉「しかし、長門さんのサポートもあることですし……」

長門「涼宮ハルヒが来る」

キョン「何だと!」
朝倉「え!? あたしどうしたら――!?」

キョン「とりあえず俺のポケットに……」

長門「…………」ガラガラ

古泉「窓を開けて一体……?」

長門「……」ガッ ポイ!

朝倉「きゃああああぁ!!」

キョン「長門!?朝倉!?」

ハルヒ「やっほー!あれ?どうしたのみんな変な顔して?」

長門「気のせい」

キョン「…………」

201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 09:12:13.88 ID:gi1HH6hNO

ハルヒ「今日は解散!!じゃあね」スタスタ

長門「…………」

キョン「おい、朝倉どうすんだ」

古泉「この高さで落ちて平気なんですか?」

長門「問題ない」トンッ

古泉「それはカップうどんでしょうか?」

長門「まゆげとお湯を入れて5分」コポポポ

キョン「おい、そんな悠長な……」

長門「…………」
――――――――――――――――
長門「あと3秒。2、1……」

ボンッ

朝倉「あっつぅっ!!」

長門「即席空間転移装置。肉体修復も兼ねる」

古泉「すごいテクノロジーですね。興味深い」

キョン「これ作った情報統合思念体って馬鹿じゃないのか?」

203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 09:19:31.92 ID:gi1HH6hNO

長門「この装置の名前はFOXと言う」

キョン「だいたいわかる」

長門「そう」

朝倉「熱い!制服にお湯が染み込んで熱い!」

古泉「透けてますね」

朝倉「みないでよ変態!!」

キョン「お湯は使わないようにはできないのか?」

長門「できないことはない」

朝倉「だったらそうしなさいよ!」

キョン(教室で串刺しにされたの根に持ってんのかな)

205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 09:28:51.90 ID:gi1HH6hNO

キョン「朝倉も無事に戻ってきたことだし」

古泉「そうですね」

朝倉「無事じゃないわよ!見てよ!いや、やっぱ見ないで!」

長門「騒がしい」

朝倉「誰のせいよ!」

キョン「じゃあ俺はこの辺でおいとまするよ」

古泉「では僕も」

長門「待って」

キョン「?」

長門「彼女を連れて帰って欲しい」

朝倉「え?」

キョン「俺ん家にか?」

長門「そう」

キョン「は?本気で言ってんのか?」

長門「本気」

211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 09:48:54.54 ID:gi1HH6hNO

キョン「しかしだな、俺ん家には家族がいるし」

長門「休息時はわたしとエラーデータはなるべく空間座標的に離れていた方がいい」

キョン「ならもっと他に方法があるんじゃないのか?」

長門「わたしのエラーデータ発生は主に学校にいる時。その時にはわたしの半径1km以内に朝倉涼子がいることが望ましい」

キョン「だから?」

長門「総合的に、あなたが朝倉涼子と共に生活するのが良いと、わたしはそう判断した」

キョン「そう言われてもな……」

古泉「では僕の家では」

長門「だめ」

朝倉「いや」

古泉「…………」

213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 09:56:02.11 ID:gi1HH6hNO

キョン「朝倉は? 宇宙人とは言え、仮にも女性なわけだし」

朝倉「仮にもって失礼ね」

キョン「どうなんだ?」

朝倉「あなたなら、別にいいかな」

古泉「…………」

キョン「本気で言ってんのか?」

朝倉「あたしはいつだって真面目よ?元委員長だし」

キョン「やれやれ」

古泉「僕にフォローは無いんですか?」

長門「ない」

214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 10:03:49.88 ID:gi1HH6hNO

キョン「ただいま、っと」

キョン妹「おかえりー、キョン君!」ダーン

朝倉「きゃっ!」

キョン妹「? なんか声がしたような」

キョン「ぶつかってくんじゃねえよ。ほら、向こういけ」

キョン妹「ぶー。キョン君のいじわる」

キョン「大丈夫か?」

朝倉「今のは効いたわ……」

220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 10:17:36.33 ID:gi1HH6hNO

朝倉「ここ、あなたの部屋?」

キョン「そうだ。俺は飯を食ってくるから、ここで適当にくつろいでいてくれ」

朝倉「わかったわ。Hな本はどこにあるのかしら」

キョン「ば、馬鹿なこと言うんじゃねえ!」

朝倉「あ、あとお願いなんだけど……」

キョン「なんだ?」

朝倉「あたしもお腹が……」

キョン「わかったよ。何か見繕ってくるよ」

朝倉「ありがとね」

パタン

朝倉「さて」

朝倉「Hな本を探して机の上に整理整頓しなきゃね」

221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 10:26:06.61 ID:gi1HH6hNO

朝倉「机の引き出し! ……は無いか」

朝倉「じゃあ定石通りにベッド周辺ね!」モゾモゾ

シャミセン「…………」ジー

朝倉「…………」

シャミセン「…………」

朝倉「……今日は厄日だわ」

シャミセン「にゃあ!」

朝倉「きゃああ!!」

223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 10:41:38.94 ID:gi1HH6hNO

ガチャッ

キョン「朝倉ー。おにぎりとおかずを少し……」

朝倉「いやあああ!助けてー!」

シャミ「ふぎゃああ!」

キョン「シャミ!いないと思ったら……」

朝倉「ぼーっとしてないで助けてよ!」

キョン「あ、ああ。こら、シャミ。下行って飯食ってこい」
シャミ「にゃあ」

朝倉「頭かじられて、あたしもうお嫁にいけない」スンスン

キョン「何してて襲われたんだよ」

朝倉「整理整頓しようとして……」

キョン「なんで急に?」

225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 10:56:11.33 ID:gi1HH6hNO

朝倉「窓から投げ落とされた後もね」

キョン「うん」

朝倉「猫に追いかけられてたのよ」

キョン「そうなのか」

朝倉「あたしはジェリーじゃないっていうのに……」

キョン「そうだな。ジェリーはトムに勝つからな」

朝倉「ちょっと!」

キョン「まあこれ食って元気出せよ」

朝倉「うん……」

227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 11:11:40.71 ID:gi1HH6hNO

キョン「じゃあ、俺は風呂入ってくるけど」

朝倉「うん」

キョン「朝倉はどうする、風呂?」

朝倉「え!? い、いや、そんな……」

キョン「?」

朝倉「あたし女だし、その、どうしてもっていうなら……」

キョン「なにもごもご言ってるんだ?風呂入りたいならお湯くんでくるけど」

朝倉「あ、ああ、そうよね。お湯があればここでも入れるもんね。はは……」

キョン「その体で湯船に入ったら溺れちゃうもんな。待ってろ」

朝倉「なにやってんだろあたし……」

230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 11:34:17.62 ID:gi1HH6hNO

カチャッ

キョン「お待たせ」
キョン「この容器にお湯を溜めてきたぞ」

朝倉「どん兵衛の容器……」

キョン「手頃なのがこれしか無かったんだ。ペットボトルの蓋を桶替わりにしてくれ。着替えは確か長門から貰ってたよな」

朝倉「ええ」

キョン「石鹸とかシャンプーだとかも少し持ってきたし使ってくれ。フェイスタオルで体は拭いてくれればいいし」

朝倉「何から何までありがとう。助かるわ」

キョン「なに。団長様の手間に比べたらこのくらい。じゃあ風呂入ってくるわ」
パタン

朝倉「彼、意外と尽くすタイプね。優しい……」

朝倉「でもこの容器、ちょっとお出汁臭い……」

234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 12:00:36.88 ID:gi1HH6hNO

朝倉(なんだろなー。今日のあたしおかしいな……)

朝倉(懐かしいとか寂しいとか思ったり)

朝倉(特に彼と一緒にいると複雑な気持ちになるのはなんでだろう……わからない)

朝倉(わからないけど……なんかもっと一緒にいたいような)チャプンッ

ガチャッ

キョン「あっ……」

朝倉「えっ……」

キョン「いや、あの……」

朝倉「きゃああ!!」

キョン「ごめんなさい!自分の部屋だからうっかり!」

238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 12:16:30.21 ID:gi1HH6hNO

キョン「さっきはすまん」

朝倉「いいけどね。間借りさせて貰ってる身だし」

キョン「わざとじゃないんだ」

朝倉「わざとだったら寝てる間に刺すわよ」

キョン「それはおっかないな」

朝倉「で、あたしはどこに寝ようかしら」

キョン「さすがに同じ布団ではマズいよな」

朝倉「あたしは別にかまわないわよ。あなたが変なことをしなければ、だけどね」

キョン「寝返りで踏み潰すかも」

朝倉「やっぱり別の場所がいいわ」

キョン「じゃあ待ってろ」

239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 12:25:46.24 ID:gi1HH6hNO

キョン「これでどうだ?」

朝倉「缶ペンケースにハンカチを敷き詰めたのね」

キョン「なかなか良い感じだろう」

朝倉「確かにね。悪くないわ」

キョン「じゃあ俺は寝るぞ」

朝倉「あたしも今日は疲れたわ。おやすみ」

キョン「ああ、おやすみ」

パチン

242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 12:43:19.98 ID:gi1HH6hNO

朝倉「…なーんか、寂しいなー」

朝倉「とうっ」バッ ボフ

朝倉「うふ。着地成功」

朝倉「よく寝てるわね…」

朝倉「……温かい」

朝倉「…………」

朝倉「あたし、なにしてんだろ」

朝倉「でも、彼のそば、落ち着くのよね……」

248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 13:14:37.64 ID:gi1HH6hNO

キョン妹「朝だよーキョンくんっ」ドサッ

キョン「うわっ」

キョン妹「あれ?お人形さん?」

キョン「良いからさっさと下にいけ!(やば、見つかった)」

キョン妹「おかーさーん!キョンくんがねー、お人形さんと一緒のお布団でねー」

キョン「俺の人生終わった……。おい、朝倉、朝倉」

朝倉「………zzz」

キョン「なんで寝てられるんだよ……」

249 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 13:17:58.00 ID:gi1HH6hNO

キョン「朝倉」ユサユサ

朝倉「あ……おはよ……」

キョン「おはよ……じゃねえよ!なんで一緒の布団で寝てるんだよ」

朝倉「ごめん……低血圧だから……あと3時間くらい……」

キョン「寝過ぎだろうが」

朝倉「朝食は……バイキングが…いいな……」

キョン「ここはホテルじゃねえ!」

253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 13:25:06.23 ID:gi1HH6hNO

キョン「目、覚めたか?」

朝倉「うん……まだ眠いけど……」

キョン「なんで同じ布団で寝てるんだよ。おかげで俺は家族会議ものだぞ」

朝倉「だって寂しかったんだもん」


キョン「え?」

朝倉「いや、違うの!今のは違くて!寒かったのよ!うん」

キョン「急に元気になったな」

朝倉「やっと頭の中がシャッキリポンしたわ」

キョン「美味しんぼか。ていうか寝癖すごいぞ」

朝倉「嘘!!」

254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 13:33:36.20 ID:gi1HH6hNO

キョン「はぁ、遅刻か……」

朝倉「あたし、遅刻なんてしたこと無かったのになぁ」

キョン「誰のせいだよ。しかしよくあんな低血圧で遅刻しなかったもんだ」

朝倉「だって早く寝て早く起きてたもの。お弁当も作らなきゃいけなかったし、することもなかったしね」

キョン「じゃあ今日も早起きしといてくれよ」

朝倉「目覚ましが無いと無理」

キョン「なんだそりゃ」

谷口「よーす、キョン。誰と話してんだ?」

キョン「!!」

谷口「なんだ、一人か?独り言ブツブツ呟いてるなんて、お前とうとう涼宮の電波にあてられたらしいな」

キョン「あ、ああ、そうかもな……」ドキドキ

朝倉(い、今のは危なかった……)ドキドキ

255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 13:49:22.75 ID:gi1HH6hNO

キョン「いいか、今日はあんま喋んなよ」ボソ

朝倉「わかったわ」ボソ

吉崎「えー、前言ってた通り、今日は小テストを行う」

キョン「え?」

ハルヒ「前に言ってたじゃないの。聞いてなかったの」

キョン「そういや、聞いたような…」

ハルヒ「ほら、問題回ってきたわよ」

キョン「あ、ああ」

ハルヒ「ふーん、この程度ならあんたでもいけるんじゃない?」

キョン「…………(全然わからん)」

257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 14:02:57.49 ID:gi1HH6hNO

朝倉「よいしょ」ヒョコッ

キョン「うわっお前……」

朝倉「問題みせて」

キョン「いいけど……」

朝倉「数Aね。簡単だわ」

キョン「そんな簡単簡単って言うと傷つくぜ」

朝倉「傷つくより勉強しなさい。いい?答え言うわよ。72°、15°、30°……」

キョン「お、おう」

吉崎「そこまでだー。隣近所と交換して採点しろ」

ハルヒ「あんた、やるわね。全問正解じゃない!あたしのおかげかしら?」

キョン「ま、まあな。お前は当然のように満点だけどな」

朝倉(あたしのおかげなのに……)

262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 14:30:15.19 ID:gi1HH6hNO

キョン「昼休みか。今日は部室で食うか……」

ガチャッ

キョン「よっ、長門」

長門「…………」

キョン「さてと」

朝倉「お腹すいたわ」

キョン「ちょっと待ってろ」

長門「…………」

272 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 16:07:26.10 ID:gi1HH6hNO

キョン「ほれ、朝倉の分。あ、お箸無いな。爪楊枝でもあれば加工すればお箸代わりに……」

朝倉「あなたが食べさせてくれる?」

キョン「は?」

朝倉「あなたが食べさせてくれれば、別に私にお箸いらないじゃない」

キョン「なんていうかお前、昨日からおかしくないか?」

朝倉「……やっぱりそうかしら?」

キョン「ああ、なんか妙だぞ」

朝倉「そっか……。そうよね……」

キョン「……まあいいや。ほれ、口開けろ」

朝倉「え!?」

キョン「お前が言い出したんだろ?ほれ」

朝倉「あ、ありがとう……」パク

朝倉(なんだろう、この気持ち……。すっごい幸せで、嬉しくて、でも、どこか複雑なような……)

長門「…………」

275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 16:17:27.76 ID:gi1HH6hNO

朝倉「じゃあ悪いけど、次の授業はあたし寝るから」

キョン「そうか」

朝倉「さびしい?」

キョン「いや、周りに気使わなくていいから楽だな」

朝倉「言ったわね!じゃあそういうことだから。おやすみ」

朝倉(おかしい……。あたしの行動は以前とは大幅に食い違っている)

朝倉(長門さんがあたしに移したエラーデータのせい?この不思議な感情は……)


朝倉(でも、今はどっちでもいいか……居心地いいしね)

279 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 16:36:47.97 ID:gi1HH6hNO

放課後

キョン「
みくる「待ってました!」

キョン「朝比奈さん!?」

みくる「実はぁ、昨日のお人形さんのためにいっぱいお洋服を作ってきましたぁ!」

キョン「目、赤いですね」

みくる「そりゃあもう、昨日は徹夜で、鶴屋さんにも手伝ってもらっちゃって!」

キョン「鶴屋さんまで?」

みくる「昨日の子はどこ?」

朝倉「なにかしら騒々しい」ヒョコ

みくる「いた――――――――――っ!!!」

朝倉「え、ちょっ、なn」

みくる「いま着替えさせてあげるからね」ガシッ

朝倉「お、落ちt キャッ」

キョン「じゃあ俺は外に出ときますんで」

朝倉「た、助けt」

281 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 16:47:44.06 ID:gi1HH6hNO

みくる「どう?これ自信作なんです」

朝倉「……ひどい。あんな乱暴になんて……」スンスン

キョン「ゴスロリ、ですか……」

古泉「僕は良いと思いますよ。作りも細やかで実に素晴らしい。モデルも良いですしね」

朝倉「そ、そう?」

みくる「キョンくんは?」

キョン「俺も可愛いと思いますよ。良くこんなの作れましたね」

みくる「難しいところはほとんど鶴屋さんにやってもらいましたぁ」

キョン(鶴屋さん、今ごろ死んでるだろうな……)

古泉(おいたわしや……)

みくる「他にもたくさん衣装あるんですよ!寸法は長門さんに聞いたんですけど、合ってるかな?」

朝倉「それはばっちりね」

282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 17:04:08.64 ID:gi1HH6hNO

みくる「他には、チャイナ、メイド服、CA、婦警、つなぎ、競泳水着、ウェイトレスなんかがあるけど、どれがいい?」

朝倉「普通なのが全然ないじゃない!」

みくる「じゃあ順番に試してみましょ?」

朝倉「えっまた!?やめっ」

古泉「いつも涼宮さんにやられてる分のストレスがたまってるんでしょうか」

キョン「そんな悠長なこと言ってる場合か!朝比奈さん落ち着いて!」

長門「涼宮ハルヒが来る」

キョン「えっ?何だって?」

ガチャッ

みくる「…………」

キョン「…………」

ハルヒ「…………」

朝倉(どうしよう……)

284 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 17:19:23.22 ID:gi1HH6hNO

ハルヒ「良い年こいて、二人して着せ替え人形で遊んでんの?」

キョン「これはだな、その……」

みくる「ふぇ〜」

ハルヒ「みくるちゃんはいいわ。あんたは男でしょ。人形なんかで遊んでたらキモいわよ」ツカツカ

ハルヒ「ふーん。良くできてるじゃない」グリグリ

朝倉(いたっ!痛い!)

ハルヒ「心なしか顔がカナダに行った朝倉に似てる気がするわ」グニグニ

朝倉(やめてー!シェーのポーズにしないで!)

ハルヒ「ここは人形遊びをする部屋じゃないんだからね!」グニグニ

ハルヒ「じゃあ今日の活動始めるわよ!」

朝倉(シェーのポーズのまま団長机に置かれてしまった……恥ずかしい)

298 名前:寝落ちしてました[] 投稿日:2009/06/06(土) 20:02:56.32 ID:gi1HH6hNO

ハルヒ「じゃあ今日の団活はこれにて終了!解散よ」ツッカツッカ

キョン「朝倉、もういいぞ」

朝倉「恥ずかしい……」

古泉「ナイスファイトでした。良いパントマイマーになれますよ」

朝倉「ちょっとそれ嫌み? こちとら何回も恥ずかしいポーズとらされてんのよ! 何であの人、手持ち無沙汰にあたしのポーズ変えるのよ!」

古泉「これはこれは。僕は褒め言葉のつもりで言ったのですが。すいません」

キョン「ていうかお前よくインリン様なんてポーズとったよな」

長門「ユニーク」

朝倉「やめて!思い出させないで!オードリーもビートたけしもこまわりくんももう沢山よ!」

キョン「よくこまわりくん知ってたな」

長門「八丈島のキョン」

300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 20:12:35.73 ID:gi1HH6hNO

朝倉「あんたたちの団長って何考えて生活してんの!」

古泉「残念ながら、それがわかれば苦労はしません」

キョン「だな。というよりだな。もしお前が本当の朝倉だって知れたら、ハルヒはもっとお前で遊んでただろうよ」

朝倉「これ以上の辱めを受けてたっていうの?」

キョン「ああ」

古泉「10倍酷い目にあうのは間違いないかと」

みくる「そうですね」

長門「…………」

朝倉「なんであんた達、こんな団でやっていけてんのよ……」

キョン「たゆまぬ努力の賜物ってやつさ。それより長門。朝倉は今日もウチに?」

みくる「私の家じゃ駄目なんですかぁ?」

長門「だめ」

304 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 20:27:02.60 ID:gi1HH6hNO

みくる「どうしても…、ですか?」

長門「どうしても」

みくる「ふぇぇ、そんなぁ〜。ひどいですぅ」

長門「…………」

古泉「でも彼女がこうおっしゃるのですから、我慢してください」

キョン「まあ俺はかまわんけどな」

朝倉「あたしは別にどっちでもいいんだけどね」

長門「これ、彼女に必要そうなもの」

キョン「おっ、小さい日用品か。助かるな」

長門「情報操作でつくった」

朝倉(おかしいな…。なぜ彼女は彼の家にこだわるのかしら。不自然ね……)

古泉「聞くまでもないことですが、僕の家では」

朝倉「いや」

古泉「…………」

306 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 20:40:18.55 ID:gi1HH6hNO

キョン「朝倉?」

朝倉「…………」

キョン「朝倉?どうした?」

朝倉「……なに?」

キョン「元気ないな。どうした?」

朝倉「なんでもない」

キョン「なんでもないわけあるか。帰ってから急に落ち込んで…」

朝倉「ほっといて!」

キョン「……すまん」

朝倉「あ…、ごめんなさい。つい……」

キョン「いいさ。疲れてるんだろ?ゆっくり休めばいいさ」

朝倉「うん……。ごめん。ごめんなさい……。それと謝るついでに、もう一つお願いがあるの」

キョン「?」

307 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 20:48:12.87 ID:gi1HH6hNO

早朝

ガチャッ

長門「…………」

朝倉「やっぱり長門さんって朝早いのね」

キョン「じゃあな。俺はここまで、だったな」

朝倉「ええ、ありがとう。朝早くに悪いわね?」

キョン「気にすんな。じゃあな」

長門「…………」

朝倉「ねぇ、長門さん。正直にきかせてもらうわ」

長門「…………」

朝倉「あたしとあなた、微妙にリンクしてるでしょ」

308 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 20:55:54.24 ID:gi1HH6hNO

長門「それはわたしのエラーデータを発生と同時に転送するためのネットワークが」

朝倉「とぼけないで。確かにあなたの感情があたしに流れているのは時折感じるわ。でもそれだけじゃ説明がつかない」

長門「…………」

朝倉「全部おかしいのよ。何もかもが。だって、わたしは彼を殺そうとしてたのよ? なのに今はどう? 大した心変わりじゃない?」

長門「…………」

309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 21:04:11.00 ID:gi1HH6hNO

朝倉「おかしいと思ったから、ほとんど残ってない能力を駆使して、自己解析を開始したの。そしたらどう?明らかにあなたの干渉した跡があった」

長門「…………」

朝倉「あたしはね、人に良いように使われるのはごめんなのよ。ましてや同じインターフェース相手になんてね」

長門「あなたはとても優秀」

朝倉「前もそのセリフ聞いたわね。消される前だったかしら?」

長門「気づかれないようにしたつもりだった。彼と幸せな恋人ごっこをしてくれれば、それで十分だった」

朝倉「なら、自分でしたらいいじゃない?」

311 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 21:17:32.56 ID:gi1HH6hNO

長門「わたしには、できない」

朝倉「あら、どうして?」

長門「わたしのパーソナルデータに、そのような性格情報はインプットされていない」

朝倉「知ったこっちゃないわ」

長門「だから、あなたの性格情報上で、いろいろとシミュレートさせてもらった」

朝倉「やっぱり、わたしの理由のわからない行動はあなたの仕業だったのね」

長門「そう」

朝倉「許せないわ」

長門「…………」

朝倉「与えられた感情もウソ、とった行動もウソ。じゃあ今いるあたしは一体何?あなたの操り人形ってワケ?」

長門「…………」

朝倉「何度も言わせないでよ!あたしは人形なんかじゃない!!」

長門「…………」

朝倉「あたしはね、それでも楽しかったのよ?彼と一緒に生活して、授業受けて、よくわからない部活動をして……短い間だったけど。でも気づいちゃったから……」

313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 21:28:22.91 ID:gi1HH6hNO

朝倉「ねえ、教えてよ。あたしって一体なんなのよ。あなたの自己満足だかなんだかの為につくられただけの存在なの?あたしの彼への想いはどこへぶつけたら良いのよ」

長門「…………」

朝倉「答えなさいよ!押し黙ってる今のあなたのほうがよっぽど人形みたい!」
長門「…わたしも」ツカツカ

朝倉「なによ。また消そうっての?好きにしたらいいわ」

長門「……人形じゃない」ツカツカ

朝倉「…………」

長門「じゃあ」ギィ

朝倉「待って!最後に一つだけ」

長門「……なに」

朝倉「あたしの体を小さくしたのって、間違っても彼と恋仲にならないようによね?」

長門「……そう」パタン

朝倉「やっぱりそうか……」

朝倉「駄目だ、泣きそう」

316 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 21:43:53.33 ID:gi1HH6hNO

朝倉「う…、う」グス

朝倉「あぁぁぁぁ!!」

古泉「あの、大丈夫ですか?」

朝倉「な、なによあんた。いつからそこにいたのよ!」ボロボロ

古泉「すいませんが、ほぼ最初からきかせていただきました。最近の長門さんの様子はおかしかったもので監視してたんですよ」

朝倉「影から覗き見なんて、あなた趣味悪いわ」ボロボロ

古泉「そうですね。反省しますよ。お詫びにハンカチをどうぞ。少し大きいですが」

朝倉「……ありがと」

古泉「どういたしまして。隣、いいですかね?」

朝倉「勝手にしたら?」グス

321 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 22:01:31.80 ID:gi1HH6hNO

古泉「泣きながらで良いんで聞いてくれますか?」

朝倉「…………」ヒック

古泉「たぶんね、長門さんは、あなたに申し訳なく思ってるんじゃないでしょうか」

朝倉「そんなわけ……」

古泉「長門さんは見ての通り不器用な方ですから。気持ちを上手く伝えられなかったり、自分の気持ちと思念体の意思とで葛藤してたりするんでしょうね」

朝倉「…………」

古泉「何より、あなたの人格をそのまま再生したのがその証左ではないでしょうか」

朝倉「それは、あの子があたしを利用しようと……」

古泉「でも、今の彼女なら自分にとって都合の良い人格を作ることは可能なんじゃないでしょうか?100%彼女の意のままに動く、そんなような人格を」

朝倉「…………」

古泉「おそらく、彼女は彼女なりにあなたを消してしまったことを気に病んでたのでしょう」

324 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 22:15:49.71 ID:gi1HH6hNO

朝倉「だからって、あたしを利用したことに変わりはないじゃない」

古泉「彼女も辛いんですよ。思念体のせいで彼にアプローチするわけにはいきませんしね」

朝倉「なによそれ」

古泉「涼宮ハルヒの観察の為に彼に必要以上に近寄るわけにはいかない、しかし彼には好意を寄せている。まさにジレンマです」

朝倉「……そんなのあたしだって」

古泉「しかし、あなたは今、思念体とは接続が切れていますから、かなり自律行動の幅は広がった筈だ。違いますか」

朝倉「確かにそうだけど……」

古泉「あなたの為に、あなたを思念体から解放して再生し、自分の為に彼にあなたを接近させ、しかしあなたと彼がくっつくわけにはいかないからあなたを小さくした」

朝倉「…………」

古泉「それぞれの葛藤の末、辿り着いたのが今のあなただったんでしょうね」

329 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 22:33:40.33 ID:gi1HH6hNO

古泉「おそらく今回の一件は彼女の独断でしょうね。エラー動作を防ぐため、と言いながらのエラー動作なんて彼女らしいというかなんというか……」

朝倉「でも、彼女の感情は確かに流れ込んできてるわよ。特に彼女が彼と話してる時なんて――」

古泉「建て前上でしょうね。さすがにまったくなかったらあなたに気づかれる可能性が高まりますから。でもそれは、微少なものでしょう?」

朝倉「ええ、そう言えばまあ……確かにそうかも」

古泉「彼女とあなたはあまり強いリンクでは無いのでしょうね」

朝倉「ずい分と彼女の肩を持つのね?」

古泉「そりゃあ、まあ……ね」

朝倉「?」

古泉「僕は彼女のことをよく見てますから」

朝倉「あなた……そうなの?」

古泉「……お恥ずかしながら」

331 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 22:44:16.14 ID:gi1HH6hNO

古泉「僕もね。機関の一員ですから、TFEI端末である彼女に近づくわけにはいかないんですよ」

朝倉「だからジレンマの辛さはよく知ってる、ってこと」

古泉「ご明察です。まあ僕の本分は現状維持ですから、機関云々が無くてもどうなったかはわかりませんが」

朝倉「みんな、それなりにつらいんだ……」

古泉「僕なんかまだましですよ。朝比奈さんなんか友達すらもろくに作れませんからね。恋人なんかもってのほか。団内でのほほんとしてるのは団長と彼ぐらいのものですよ」

朝倉「でもいいの?あたしもヒューマノイド・インターフェースなんだけど、こんな暢気にしゃべってて」

古泉「思念体と関係の無い今のあなたは、ただの女性ですから」

朝倉「そう。…………ありがとう」

古泉「いえいえ」

333 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 22:55:45.58 ID:gi1HH6hNO

古泉「おっと、そろそろ1限はじまりますね」

朝倉「もうそんな時間?」

古泉「長話をしてしまいました。ところで……」

朝倉「?」

古泉「今日は僕のクラスの授業を受けられてはどうですか?」

朝倉「え?」

古泉「落ち込んだ時は気分を変えてみるといい、とか良く聞くじゃないですか。それに」

朝倉「それに?」

古泉「あれからにんにくは口にしてませんし、大丈夫だと思いますよ」

朝倉「あ…、あの時はごめんなさい……」

古泉「いえ、僕のエチケット不足でした。で、どうします?」

朝倉「じゃあ、一緒に……」

古泉「良かった。また断られたらどうしようかと」

朝倉「だってあたし一人じゃこの部屋から出られないもの」

古泉「おやおや、そういう理由でしたか。参りましたね」

337 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 23:32:45.10 ID:gi1HH6hNO

古泉「いやあ、今日は助かりました。小テストのことをすっかり忘れてましたよ」

朝倉「でも、誰かさんとは違って、休み時間にちょっと勉強したくらいで満点とるあたりはさすがね」

古泉「勉強はそれなりにしていますからね。それに簡単でしたし」

朝倉「そうね。簡単だったものね。ふふ」

古泉「さて、これから僕は団活に向かおうと思いますが、あなたはどうされます?」

朝倉「え、あたしは……。そうね……」

古泉「辛いですか」

朝倉「そうね。まだちょっと顔合わせづらいかな……。彼にも長門さんにも……」

古泉「わかりました。僕の家で良ければ今夜泊まれますが?」

朝倉「行くあてもないし、お願いしたいところだけど……。あなた団活は?」

古泉「今日は休みます。彼らには事情を話しますが」

朝倉「それは構わないけど……あなたはいいの?」

古泉「僕は何回もあなたを誘ってますけどね。それに、僕だって積もった話を誰かに聞いて欲しい日もあります」

朝倉「あたしで良ければ……」

古泉「決まりですね」

343 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 23:51:25.24 ID:gi1HH6hNO

古泉「…………とまあ、それが僕が機関に入った経緯ですよ」

朝倉「へえ、そうなの。半ば巻き込まれたも同然なのね」

古泉「そうなんですよ。むしろそんな経緯でよくこれだけ機関の為に働いてると思いませんか?」

朝倉「そうね。関心するわ」

古泉「こんな話をするのは機関外ではあなたが初めてですから、いささか緊張しました」

朝倉「そうよね。おいそれとできる話じゃなさそうだし」

古泉「ええ、誰かに話したくてウズウズしてたんですけどね」

朝倉「そうなんだ……」

古泉「あなたが聞き上手で助かりましたよ」

朝倉「あらそんな。ふふ」

古泉「思えば家に同年代を入れたのも初めてですね」

朝倉「あら、あたし3歳よ?」

古泉「おっと、そうでした」

345 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 00:01:01.37 ID:L91chwApO

prrrrrrr

古泉「電話ですね。おや」

朝倉「どうしたの?」

古泉「珍しい人からです。もしもし……ええ、そうです。はい」

古泉「わかりました……朝倉さん、あなたに」

朝倉「わたしに?」

古泉「はい。長門さんからです」

朝倉「彼女が?」

古泉「ええ。出るのがお嫌なら、僕が用件だけを尋ねておきますが、どうします?」

朝倉「いいえ……、貸して頂戴」

古泉「どうぞ」

朝倉「…もしもし?」

長門『…もしもし』

349 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 00:12:09.42 ID:L91chwApO

長門『あなたには申し訳ないことをした』

朝倉「ううん。いいの、もう」

長門『あなたとのリンクを解除した』

朝倉「そう…」

長門『あなたとのリンクはもともと、そんなに強いものでは無かった。彼のモニターを目的としたものではなかったから』

朝倉「わかってるわ。あなたが得たかったのは、彼の側にいる感覚、でしょ……」

長門『…………』

朝倉「あたしもね。わかったことがあるの」

長門『……なに?』

朝倉「あたし、再生されてから、今までずっとどこか寂しかったの。いつどこにいても、ずっと……。でもそれって、あなたが感じてた寂しさだったのよね?」

長門『…………』

朝倉「あなた、たぶん彼と一緒にいるあたしの感覚を得ながら、一人でいる自分に寂しさを感じてたたんでしょ?」

長門『…………』

朝倉「なんとなく、さっきからそれがなくなってて、気づいたのよ」

351 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 00:23:21.74 ID:L91chwApO

朝倉「あたし、ひどいこと言っちゃってごめんね?」

長門『謝らなければいけないのは、わたしのほう』

朝倉「いいのよ。あの時、あなたも泣きたかったのよね」

長門『わたしは泣くことができない』

朝倉「その分もあたしがきちんと泣いてといてあげたわよ」

長門『…ありがとう』

朝倉「……いいえ、こっちこそ」

長門『……?』

朝倉「ありがとう。あなたのおかげ」

長門『…………』

朝倉「あなたのおかげで、あたしはいま穏やかな気持ちでいられるわ。感謝してる」

長門『あなたが礼を言う意味がわからない』

朝倉「あなたもそのうちわかるわよ。時がくれば」

長門『時…』

352 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 00:38:19.15 ID:L91chwApO

朝倉「早く、来ると良いわね」

長門『…………。あなたを、元の体に戻そうと思う』

朝倉「え?」

長門『せめてものお詫び。その体には機能は一切付加していない』

朝倉「それって……」

長門『あなたはただの人間になる』

朝倉「まさか、熱湯を入れて30分、なんて方式じゃないわよね?」

長門『違う。今度は負担の少ない方法』

朝倉「……そう。ふーん」

古泉「?」チラッ

朝倉「せっかくだけど、まだ遠慮しとくわ」

長門『……なぜ?』

355 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 00:47:21.04 ID:L91chwApO

朝倉「姉ってのはね、妹より先に幸せになるのは嫌なものなのよ」

長門『わたしが姉』

朝倉「精神的によ」

長門『わからない』

朝倉「それがわかった時に、あたしも元に戻ることにするわ。じゃあね、バイバイ」プッ

古泉「彼女、何を話したんです?」

朝倉「ごめんなさいって。あと、元の体に戻してくれるって」

古泉「で、どうしたんです?」

朝倉「断っちゃった」

古泉「いいんですか?」

朝倉「ええ。彼女が自分の気持ちに素直になれたら、戻してもらうつもり」

古泉「それはまた」、ね

朝倉「うん。まあすぐ戻れると思うわ」

古泉「同意します。すぐだと思いますよ」

朝倉「そうよね」

356 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 00:57:03.14 ID:L91chwApO

時は過ぎ、修了式

古泉「朝倉さん」

朝倉「どうしたの?」

古泉「長門さんがさっき、彼と2人っきりで話をしていましたよ」

朝倉「あらそう。何の話?」

古泉「推して知るべし、ってやつです」

朝倉「ふふ。じゃあもちろん、結果も知らないのね?」

古泉「そんな無粋なことは聞きません。ところで」

朝倉「なにかしら」

古泉「どうなると思います?」

朝倉「無粋な質問ね」

古泉「すみません」

357 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 01:02:11.22 ID:L91chwApO

古泉「で、どうなると?」

朝倉「初恋は実らないものよ?」

古泉「経験則ですか?」

朝倉「経験則よ。あなたはどう思う?」

古泉「初恋は実って欲しいですね」

朝倉「そうなるとあなたの初恋は散っちゃうわね」

古泉「難しいものです」

朝倉「ともあれ」

古泉「なんですか?」

朝倉「元の体に戻っても、よろしくね」

古泉「こちらこそ」

朝倉「頑張りましょうね」

古泉「お互いに」

朝倉「お互いに、ね」


END

363 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 01:08:46.99 ID:L91chwApO

なんか熱で朦朧としながら書いたんで、いろいろつたなくてごめんなさい
終わり方は、恋愛映画っぽい感じを意識しました
この後それぞれがどうなるかは想像にお任せみたいな感じで
ボケがほとんど入れられなかったのとみくる空気なのが心残りです
長門スレで朝倉SSを書くという暴挙に付き合って頂いてありがとうございました!



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