1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 21:54:44.57 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「開けなさい、開けなさいよっ!!」
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 21:57:02.72 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「さっさと開けなさい!!」
ガチャガチャガチャ
ハルヒ「開けなさいっつってんのよこの馬鹿!!」
ドンドンドンドン
ハルヒ「はあっはあっはあっ」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:01:44.55 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「…はあ…」
ハルヒ「…疲れたわ」
ハルヒ「なんなのよここ…」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:07:08.35 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「どうしてあたしこんなとこにいるの?」
ハルヒ「思い出せないわ…」
ハルヒ「昨日は確かにちゃんと家に帰ってベッドに入って寝たはずなのに…」
ハルヒ「目が覚めたらこんなわけのわからない真っ白い部屋にいるなんて…」
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:09:01.04 ID:0rb2ArqyP
ドンドンドンドン
ハルヒ「みくるちゃん! 古泉君!」
ハルヒ「有希!」
ハルヒ「キョン!!」
ハルヒ「誰か助けに来なさい!!」
シーン
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:15:31.10 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「はあ…」
ハルヒ「……」
ハルヒ「あったま来たわ」
ハルヒ「こうなったら意地でもこんな部屋脱出してやるんだから」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:18:24.19 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「あるのは…テレビとベッドだけね」
カチッ ザーーーー
ハルヒ「何このテレビ。何にも映らないじゃない」
ハルヒ「……」
ハルヒ「だったら別に何に使ったって構わないわよね」
ハルヒ「よっと…どぉりゃあああ!!!」
ドガンッ
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:19:34.73 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「はあっ…はあっ、これでもダメか…」
ハルヒ「いったい何でできてるのよこのドア。頑丈すぎるわよ」
ハルヒ「…はあ…」
ハルヒ「…なんでこんなことになってるのかしら…」
ジワッ
ハルヒ「ううっ…泣けてきた…」
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:20:37.37 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「…グシグシ」
ハルヒ「……」
ハルヒ「だめだ。泣いてる場合じゃないわね」
ハルヒ「なんとかしなきゃ…」
ハルヒ「…そうだ。まず、情報整理から始めましょう」
ハルヒ「どうしてこうなったか。昨日何が起こったのか。そこからね」
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:21:51.00 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「昨日あたし何してたっけ…」
ハルヒ「いつも通り学校に行って、授業受けて、部室にいって」
ハルヒ「そしたら有希は本読んでて、古泉君とキョンは将棋やってて」
ハルヒ「やることなかったからあたしも将棋やったのよね」
ハルヒ「キョンのヤツ、俺に挑むとはいい度胸だとか言っといて弱いったらなかったわ」
ハルヒ「ふふっ」
ハルヒ「それで遅れてみくるちゃんがやってきて、着替えてからお茶淹れてくれて」
ハルヒ「…うーん。いつも通りね」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:23:49.68 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「その後はどうしたっけ」
ハルヒ「…家に帰ったわよね」
ハルヒ「途中まではキョンといっしょだったけど…うーん」
ハルヒ「それでご飯食べてお風呂入って」
ハルヒ「…特にいつもと変わらないのに」
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:24:51.13 ID:0rb2ArqyP
─────
ハルヒ「……」
ハルヒ「お腹空いたわね…」
ポテッ
ハルヒ「いたっ」
ハルヒ「?」
ハルヒ「パン…? どこから降って来たの? 天井?」
ハルヒ「何よ、そこに誰かいるの!? いるならこんなもんよこしてないでさっさと出しなさいよ!!」
ハルヒ「何よ…こんなもん!」
モグモグモグ
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:26:30.35 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「…ふう」
ハルヒ「…お腹ふくれたらちょっと元気出たわね」
ハルヒ「よし。今度こそこのドアぶち壊してやるわ」
スタスタスタ
ハルヒ「せーのっ…どりゃああ!!!」
ドゴンッ
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:27:19.81 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「でいでいでい!!」
ドカドカドカッ
ハルヒ「このこのこの!!」
ズッコンバッコン
ハルヒ「ああもう!! 開きなさい!! 開けってのよもおおおおおおおおおおおお!!!!!」
プツン
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:28:26.15 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「? えっ?」
ザーーー
ハルヒ「な、なに? テレビがついたの? 勝手に?」
ザーーー
ハルヒ「な、なんで? コンセントもささってないのに…」
プツン
男「やあ」
ハルヒ「ひっ」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:29:36.63 ID:0rb2ArqyP
男「元気ですか」
ハルヒ「な…」
ハルヒ「な、なによあんた」
男「涼宮さん。僕が誰だかわかるかな」
ハルヒ「あ、あんたのことなんか知らないわよ!! それよりなに、あんたがあたしをこんな部屋に閉じ込めた犯人なの!?」
男「……」
ハルヒ「何よ! 黙ってないでなんとか言いなさいよ!!」
男「思い出せないのかな」
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:35:04.94 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「お、思い出せないって何よ。思い出せないわよ。いつ、どうやってあたしをこんな部屋に連れてきたの」
男「……」
ハルヒ「答えなさい!!」
男「いいんだ。ゆっくり時間をかけて思い出しましょう」
ハルヒ「はあ!? ゆっくりなんてしてたくないわよ!! さっさとここから出しなさいよ!!」
男「君ならきっと取り戻せる。じゃあ」
ハルヒ「!! ちょっ」
プツン
ハルヒ「……」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:36:52.02 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「なん…なんだったのよ今の…」
ハルヒ「気味悪い…」
ハルヒ「……」
ハルヒ「もういや…頭がおかしくなりそう」
ハルヒ「お願い…早くあたしをここから出して…」
ハルヒ「出してよおおおおおおおお!!!」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:38:09.11 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「ううっ」
ハルヒ「グスッグスッ」
ハルヒ「……」
ハルヒ「すーっ…すーっ…」
─────
「…ひ……るひ…」
ハルヒ「……ん……」
「…るひ……ハルヒ……」
「…ハルヒ、おい。ハルヒ起きろ」
ハルヒ「え……?」
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:40:13.34 ID:0rb2ArqyP
キョン「起きろハルヒ」
ハルヒ「……」
ハルヒ「…キョ、ン…?」
キョン「やっと眼覚ましたか。ずいぶん気持ち良さそうに寝てやがったな。顔にいたずら描きしてやろうかと思ったぞ」
ハルヒ「キョン……」
ハルヒ「キョン…キョン。キョン!!」
がばっ
キョン「おわっ! な、なんだ!?」
ハルヒ「よかった…キョン…キョン…!」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:43:44.08 ID:0rb2ArqyP
キョン「ど、どうした?」
ハルヒ「ううっ…ああああああん」
キョン「どうしたんだよハルヒ」
ハルヒ「わかんない…すごい怖い夢を見たの…」
キョン「怖い夢? おまえが? ははは。どんな夢だよ」
ハルヒ「まっ白い部屋に閉じ込められて…出られなくて…誰もいなくて…気味悪くて…すごいリアルで…怖かった…」
キョン「……」
キョン「ハルヒ」
キョン「残念ながらな、そいつは夢なんかじゃないぞ」
ハルヒ「えっ?」
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:45:21.98 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「……」
キョロキョロ
ハルヒ「……」
ハルヒ「嘘…どうして…まだこの部屋に…」
キョン「ハルヒ…」
ハルヒ「…夢じゃなかったの…」
キョン「ああ。残念だけどな」
ハルヒ「いや、もう嫌…」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:47:38.30 ID:0rb2ArqyP
キョン「……」
ハルヒ「…いや…」
キョン「がんばれハルヒ」
ハルヒ「がんばれって…いったい何をがんばれっていうのよ!!」
キョン「逃げるんだ」
ハルヒ「え…」
ハルヒ「に、逃げる…?」
キョン「ああ」
ハルヒ「で、でも、逃げるって言ってもドアに鍵が…」
キョン「はは、馬鹿だな。俺が入ってこれたんだぞ? ドアなんか開いてるに決まってるじゃないか」
ハルヒ「えっ嘘っ」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:49:09.13 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「…ほ、ホントだ。開いてる。どうやったの? キョン、あんたが開けたの?」
キョン「ん? ああ、まあな」
ハルヒ「へ、へえー…やるじゃない、キョン。見なおしたわ」
キョン「だろ?」
ハルヒ「ま、あんたの割にはだけどね。でも、この功績を讃えてヒラ団員から昇級させてあげてもいいわ」
キョン「おう。そいつは嬉しいね。どんな階級にしてくれるんだ?」
ハルヒ「そうね…副々々々のそのまた副団長くらいにはしてあげようかしら」
キョン「なんだそりゃ。ヒラとどっちが上かわかんないじゃねえか」
ハルヒ「感謝しなさい。あとで腕章も作ってあげるから」
キョン「ふん。元気出てきたみたいだな。それでこそおまえだ」
ハルヒ「な、なによそのニヤけ面。あったま来るわね! 昇級取り消すわよ!」
キョン「やれやれ」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:51:36.12 ID:0rb2ArqyP
キョン「おっと遊んでる場合じゃないんだ。早くしないとアイツらが戻ってきちまう」
ハルヒ「アイツら? だれよ、アイツらって」
キョン「いいからさっさと逃げるぞ。ハルヒ、ついてこい」
ハルヒ「う、うん」
タッタッタッ
ハルヒ「うわ…」
ハルヒ「なんなの、この長い廊下…」
ハルヒ「しかも壁一面真っ白…気持ち悪い…」
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:53:46.28 ID:0rb2ArqyP
キョン「こっちだ」
タッタッタッ
ハルヒ「こっちだって…あんた道わかってんの?」
キョン「ああ。…多分な」
ハルヒ「多分ってあんたねぇ!」
キョン「しっ!!」
ハルヒ「!!」
キョン「…よし。行ったな」
ハルヒ「な、なに…?」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:55:40.96 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「ね、ねえ…なんなのキョン…?」
キョン「……」
ハルヒ「今誰かいたの? それに、ここはいったいなんなの? キョンは知ってるの? ねえ…」
キョン「ハルヒ」
キョン「大丈夫だ。俺がついてる」
キョン「俺が、絶対おまえを守ってやるから」
ハルヒ「…キョン…」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:58:43.15 ID:0rb2ArqyP
タッタッタッ
キョン「…たしかここのドアを…」
ギイッ…
キョン「よし、あってた。ハルヒ、もうすぐだ。この階段を降りれば外に出られる」
ハルヒ「ほ、ホント?」
キョン「ああ。だから頑張れ。走るぞ」
ハルヒ「うんっ」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:59:55.26 ID:0rb2ArqyP
─────
タッタッタッ
ハルヒ「……」
タッタッタッ
ハルヒ「…ねえ、キョン」
キョン「どうした、疲れたか?」
ハルヒ「ううん、大丈夫だけど…それより、なんなのこの階段?」
ハルヒ「降りても降りても終わりがないじゃない。もう30分は降り続けてるわよ。あたしたち、どれだけ高いところにいたってのよ」
ハルヒ「おまけに横も上も下も全部真っ白…どうにかなっちゃいそう」
キョン「文句言うな。もうすぐ終わる」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:01:17.95 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「さっきもそう言ってたじゃない。…もう嫌よ…」
キョン「ったくしょうがないヤツだな…ほれ、掴まれ」
ぎゅっ
ハルヒ「!!」
キョン「離すなよ」
ハルヒ「う、うん…」
ハルヒ(キョン…)
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:02:51.92 ID:0rb2ArqyP
─────
タッタッタッ
キョン「おっ」
キョン「ハルヒ!! 着いたぞ!! 出口だ!!」
ハルヒ「え、嘘っ!」
キョン「見ろ!!」
ハルヒ「本当だ…! あの扉の向こうはもう外なの!? ねえキョン!」
キョン「ああ。これでこんな所からもおさらばだ」
ハルヒ「やった! やったわねキョン!!」
キョン「ああ!」
バンッッ
ハルヒ「ああ…」
ハルヒ「外だ。出られたんだ、あたしたち…」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:04:33.11 ID:0rb2ArqyP
キョン「…長かったな」
ハルヒ「うん…」
キョン「よく頑張ったな、ハルヒ」
ハルヒ「うん…ぐすっ」
キョン「泣くなよ」
ハルヒ「だって…」グシグシ
ハルヒ「…もう、終わったのね。助かったのね…」
キョン「ああ」
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:05:45.14 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「…夜だったんだ…」
ハルヒ「…白ばっかり見続けてたから、なんか夜空の黒がすごく新鮮に感じるわ」
キョン「ホントだな」
ハルヒ「ああ…いい空気…涼しくて気持ちいい」
ハルヒ「…星が綺麗」
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:07:05.72 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「……」
ハルヒ「…ねえキョン」
キョン「ん?」
ハルヒ「あそこはいったい…」
プップッ
ハルヒ「?」
キョン「おっ、お向かえが来たみたいだぞ」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:08:17.18 ID:0rb2ArqyP
バタン
みくる「おまたせしましたぁ〜」
ハルヒ「あっ」
ハルヒ「みくるちゃん! 久し振り!」
キョン「朝比奈さん」
みくる「キョン君、涼宮さん、お久しぶりです。お元気でしたか?」
ハルヒ「元気も元気よ! あったりまえじゃない!!」
ハルヒ「……?」
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:11:29.78 ID:0rb2ArqyP
みくる「さ、二人とも乗ってください。ちょっと急がないといけないですから」
キョン「朝比奈さん、車の免許取ったってホントだったんですね」
みくる「えへへ…苦労しましたけど」
キョン「あ、これ、ホンダのモビリオですか? いい車乗ってますね」
みくる「わっすごい。よくわかりましたね」
キョン「ふふふ。俺、車にはちょっとうるさいんですよ」
みくる「うふふ。高かったんですよぉ」
ハルヒ「……」
みくる「あ、お話は車に乗ってからにしましょう。乗ってください」
キョン「そうですね。お、よう長門、元気か」
長門「…元気」
ハルヒ「……有希……」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:13:52.95 ID:0rb2ArqyP
古泉「やあお二人とも、お元気でしたか」
キョン「おう。おまえも元気そうだな」
ハルヒ「古泉君……」
古泉「おや? どうかしたんですか涼宮さん」
キョン「ハルヒ? どうした?」
ハルヒ「…あ、ううん」
みくる「じゃ、出発しまぁす」
キョン「ハルヒ、出発の掛声の一つもかけないのか。せっかくの卒業旅行だぞ」
ハルヒ「……」
ハルヒ「卒業旅行…?」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:16:38.46 ID:0rb2ArqyP
─────
長門「…それが、こんなに大きかった」
キョン「はははは」
ハルヒ「……」
ハルヒ「…ねえ、キョン」
キョン「ん、どうした」
ハルヒ「何か…何か、変じゃない?」
キョン「変?」
ハルヒ「うん。変よ。どこか間違ってるような…」
キョン「おまえが変なのはいつものことじゃないか」
ハルヒ「茶化さないで…真面目に聞いてよ。だいたい、さっきまであたしたちがいたあの白い部屋…」
ハルヒ「あそこは…いったいなんだったの?」
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:23:35.16 ID:0rb2ArqyP
キョン「もういいじゃないか。済んだことだ」
ハルヒ「そんな…」
ハルヒ「…あたし、怖い…」
キョン「ハルヒ」
キョン「大丈夫だ。俺が絶対、おまえを守ってやるから」
ハルヒ「…キョン…」
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:25:02.52 ID:0rb2ArqyP
古泉「おやおやこれは。聞いてるこっちまでドキドキしてしまうようなセリフですね」
キョン「やかましい」
みくる「涼宮さん、キョン君…おめでとうございます。ふふ、ここまで長かったですね」
キョン「やめてくださいよ朝比奈さん。恥ずかしいです」
長門「…おめでとう」
キョン「…ありがとな、長門」
ハルヒ「…キョン…」
ハルヒ「あたし…嬉しい。ありがとう、キョン…大好き」
キョン「俺もだ、ハルヒ」
71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:30:29.70 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「……そう言えば、みくるちゃん、大学生活の方はどう? 楽しい?」
みくる「ええ。楽しいですよ。最初は誰とも話せなかったんですけど、そのうち友達もできまして。鶴屋さんがいっしょだったから本当に助かりました」
ハルヒ「そっか…よかったわね」
ハルヒ「じゃあ…彼氏はできた? みくるちゃん」
ドクン
ハルヒ「…!?」
ハルヒ「え…?」
74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:32:11.04 ID:0rb2ArqyP
ドクン
ハルヒ「……」
ハルヒ(…何…これ…)
ハルヒ(デジャヴ…?)
ドクン
ハルヒ(あたし、今と同じセリフ…)
ハルヒ(前にも…言ったことある…)
ハルヒ(彼氏はできた、って…)
ドクン
みくる「え? えへへ…それがですね…」
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:34:23.68 ID:0rb2ArqyP
みくる「実はあたしも…好きな人ができまして」
ハルヒ「……」
ドクン
キョン「本当ですか?」
ハルヒ「ええ。大学の同じサークルの人で…付き合ってるとか、そういうわけじゃないんですけど…」
ドクン
みくる「年はあたしの一つ上で…」
ハルヒ「…みくるちゃん…」
ドクン
76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:37:06.34 ID:0rb2ArqyP
みくる「とっても優しくて…そうですね」
ハルヒ(…嫌…)
ドクン
みくる「そうだ、どことなくキョン君に似てる感じがします」
ハルヒ「…みくるちゃん…前、向いて…」
ドクン
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:38:12.09 ID:0rb2ArqyP
キョン「俺にですか?」
ドクン
みくる「ええ。そっか…ふふ。キョン君に似てるんだ…だから…」
ハルヒ「みくるちゃん!!!」
みくる「えっ、あ」
キキーーーーーッッ
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:40:46.72 ID:0rb2ArqyP
──その瞬間、世界が逆さまになった。
体が無くなったような消失感を感じた後、あたしは闇の中を、どこまでも落ちていった。
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:42:11.57 ID:0rb2ArqyP
─────
「……」
「…涼宮さん、涼宮さん…」
「…起きてください。涼宮さん」
ハルヒ「……」
男「目が覚めましたか?」
ハルヒ「……」
ハルヒ「…ええ…」
男「大丈夫ですか? だいぶうなされていたみたいですが…」
ハルヒ「……」
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:44:59.37 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「…夢、見てた…」
男「夢、ですか。どんな夢?」
ハルヒ「……」
ハルヒ「…思い出せない…思い出したくない…」
ハルヒ「…怖い…夢…」
男「そうですか…」
ハルヒ「……」
男「では、今日もリハビリを始めましょうか」
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:46:49.66 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「リハビリ…?」
男「あなたは何もしなくても大丈夫ですよ。僕の質問に、覚えていることだけを答えてください」
ハルヒ「……」
男「あなたの名前は?」
ハルヒ「…東中出身…涼宮…ハルヒ…」
ハルヒ「…宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら…」
ハルヒ「……」
男「あなたは今何歳?」
ハルヒ「15…」
男「……」
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:51:16.81 ID:0rb2ArqyP
男「だめですか…」
男「いいんです。無理しないで。ゆっくり時間をかけて思い出しましょう」
男「君ならきっと取り戻せる」
ハルヒ「……」
ハルヒ「…待って…」
ハルヒ「…違う、違う」
95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:52:20.50 ID:0rb2ArqyP
男「!! 思い出したんですか?」
ハルヒ「あ…」
男「…あなたは今、何歳?」
ハルヒ「…1…8…」
男「高校三年?」
ハルヒ「そう…」
男「季節は春?」
ハルヒ「そう…」
男「ちょうど大学の合格が決まって、卒業しようというところ」
ハルヒ「そ…う…」
ハルヒ「あ…」
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:53:39.80 ID:0rb2ArqyP
─────
…思い出した…
思い出してしまった
あの日…あたし達SOS団は、大学の合格がみんな決まって、卒業旅行で、キャンプに行ったんだ
免許取り立てで、怖がるみくるちゃんに、あたしが無理やり運転させて…
…そうだ。その前の日に、キョンがあたしを呼び出して、言ってくれた。なかなか会えなくなる前に、言っておきたい、って
…好きだ、って…
これからもずっとおまえといたいって、俺が一生、絶対おまえを守る、って…
嬉しかった。今まで生きてきた中で一番嬉しい、って思った。あたしたち、付き合うことになって、
すぐにみんなに教えたかったから、電話で連絡した。みんな、喜んでくれて、それで…
…それで…
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:56:05.69 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「……」
男「…思い出したんですね」
ハルヒ「……」
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:57:13.96 ID:0rb2ArqyP
ハルヒ「…みんなは…」
ハルヒ「…みんなは…キョンは…どうなったの…?」
男「……」
男「あなた以外、誰も助かっていません。あなた一人だけが、本当に奇跡的に生き残ったのです」
ハルヒ「……」
ハルヒ「嘘…」
ハルヒ「…いや…」
ハルヒ「嫌あああああああああああああ!!!!」
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 00:16:13.24 ID:oqukyH0XP
──それから
ようやくあの白い部屋から解放されたあたしは…休学中というこになっていた大学に通った。だけど…すぐに辞めた
みんなのことを忘れることができなかったから…どんなことをしていても…キョンの笑顔が浮かんでくるから…
…あたしがあの時みくるちゃんに運転なんてさせなければ…あんなことにならなかった…
そう思うと、なぜ自分だけが生きているのか、不思議で、我慢できなくなった
あたしは…みんなの、キョンの後を追った。
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 00:20:43.03 ID:oqukyH0XP
終
112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 00:21:48.67 ID:oqukyH0XP
なんか意味わかんねwwwすまんwww