キョン「そうさ。俺はこんな日常を待ってたのさ」


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59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 13:01:55.71 ID:RWJ72vdKO

長門がいつもの席に戻る。今日の長門はいつもに増して表情が無い。

キョン「長門?なにかあったのか?」

長門「なにも」

いつもの返事だが、今日の長門には少しの感情も見出だせない。あいかわらず何を考えてるかわからんやつだ

キョン「そうか……」

そんな短い会話を終え、小泉とポーカーをはじめようとしたときバンっ!と荒々しくドアが開き、我らが団長が戻ってきた。

ハルヒ「みくるちゃんは具合わるいから帰るって!」
キョン「大丈夫なのか?1人で帰れるのか?」

ハルヒ「本人が大丈夫って言ってたから大丈夫でしょ……?それよりキョン、これからちょっと出掛けない?」



61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 13:29:01.05 ID:RWJ72vdKO

キョン「別にかまわないがどこに行くんだ?」

ハルヒ「ちょっと買いたいものがあるの……ダメかな?」

「嫌ではないが部活はどうす……と言い掛ける途中でハルヒに腕を引かれ、部室を出るハメになった。
その時、俺は背中から感じる何かに気付くことが出来なかった。


長門「……。」


62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 13:48:24.82 ID:RWJ72vdKO

何かから逃げるように北高をあとにするハルヒに疑問をもちながらもいつもの駅前までやってきた。

キョン「ところで何を買いたいんだ?」

ハルヒ「……」

ハルヒは何も答えず、ただただ駅前を歩くだけであった。 それが一時間くらい続いたであろうか、さすがに痺れをきらした俺は

キョン「ハルヒ!いい加減目的を果たさないか?」

ハルヒ「……」

キョン「おいっ!」


ハルヒ「キョン…気付いてないの……?」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 14:09:14.14 ID:RWJ72vdKO

まぁ、今日気付いた事といえばハルヒが急に優しくなったことか…

ハルヒ「それもそうなんだけど…違うの……」

ハルヒが下を向いてるのでうまく表情が読めない。しかし、何か?に恐れるように急にハルヒの小さな肩が揺れはじめる。

ハルヒ「有希のこと……」

キョン「長門がどうかしたのか?」

ハルヒ「一週間前の事なんだけど…」

少しづつ語りはじめたハルヒの話を聞いた俺は驚きを隠せなかった。



67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 14:35:43.18 ID:RWJ72vdKO

一週間前の昼休みハルヒは部室へと忘れ物をとりにいったそうだ。ドアを開けようとすると中に人の気配がする。 まぁ、昼休みに部室に好き好んでいるやつなんて読書好きの無口な少女しかいないだろ。

ハルヒ「有希?いるの?」

ハルヒがドアを開けると、そこには何かを求めるように両腕をひろげて立っている長門の姿があった。



69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 14:49:45.20 ID:RWJ72vdKO

長門はまるでハルヒの存在を無視するかのようになにやら早口で呪文?を唱え始まった。


すると、長門の目の前に光が集まりはじめ何かをかたどっていく。

ハルヒはその時点で長門が俺たちとは違う非日常的な存在であると本能で感じた。まぁ、お前も非日常的な存在なんだがな?と、突っ込みを入れたいのだがやめておく。

光は次第に弱まっていき、ついには弾けるように拡散していきそれは現れた。 キョン「俺?」

ハルヒ「そう…」




72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 15:15:23.16 ID:RWJ72vdKO


そこに現れた俺?を長門はそっとその広げた両手で包み込む。

長門「キョンくん……」クスクス
長門は貪るように俺?をだきしめ続けた。ハルヒは非日常の出来事と長門の俺に対する思いに頭が混乱しよろめいた。

ガタッ

長門 ピクッ


長門がハルヒの存在に気付き、後ろを振り向く。その振り向いた長門の表情は凍てつく大地そのものだった。表情だけにね…

ハルヒ「やっほー!元気だったかい?」

ハルヒ自身、自分が何を言っているのかわからなくなっていた。

長門「見てたの?」

ハルヒ「ちょとだけぇ……」
長門「そう」クスクス
長門「キョンくん…涼宮ハルヒに見られちゃった……どうしよう」クスクス

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 15:35:29.54 ID:RWJ72vdKO

長門「キョンくん、聞いてる?涼宮ハルヒに私たちの事みられちゃった……私前から涼宮ハルヒが嫌いだったの。だってそうでしょ?私のキョンくんを好き放題振り回すんだから…」

ハルヒ「……」

長門「だからね、私考えたの。涼宮ハルヒなんて消えちゃえって!ねぇ?キョンくん。私、頭いいでしょ?可愛いでしょ? だからもっと私を見て!」




ハルヒ「実は有希があんたに好意があるのは知ってたの」

初耳だな。それは。

ハルヒ「それはあんたが鈍感なだけ」

ハルヒは話を続けた。

俺も話を続けたほうがいいかな?

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 15:53:24.35 ID:RWJ72vdKO

ハルヒはそんな長門に恐怖を覚え、部室を跳び出した。

ハルヒ「ほんと怖かったわよ。おかけで2、3日ねれなかったわ」

けどね、と話を繋ぐ

ハルヒ「有希は有希なりの愛情表現だと思うの。そりゃ、あん時の光景を思い出すと今でも震えがとまらなくなるし、有希とも気まずいし、なんであんなこと出来たかわからないし……」

そういうと、ハルヒは頬を少し赤らめながら

ハルヒ「私だって、ほら…なんていうの?わかるでしょ……」

ハルヒが俺の袖を軽く引く。さらに顔が赤くなりそれを隠すように下を向く。

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 16:11:17.28 ID:RWJ72vdKO

ハルヒ「有希に負けたくないっていうか……ね?だから古泉くんに相談したわけ!それだけ言いたかったの……」

ハルヒは言いたいことを言ったらスッキリしたようでバイバイ!っと言って帰ってしまった。
ハルヒの思いも長門の思いも大体わかった。しかし、長門の行動には少し注意しないとな。
と、そんなに深くは考えず帰路に着いた。


まさか、あんな事に発展していくとは思いもせずに。

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 16:55:05.27 ID:RWJ72vdKO

すみません。怖いんです。もぅちょっと書いてみます。

翌日。俺が家を出るとそこにはハルヒがいた。

ハルヒ「おはよう!ョン」

キョン「ハルヒ?どうしたんだこんなところで?」
ハルヒ「んー、なんとなくねぇ…」

キョン「なんとなくってなんだよ?」

ハルヒ「なんだっていいじゃない!ほらっ!学校ちこくしちゃう!」

そういうとハルヒは俺の腕をとり引っ張っていく。登校中ハルヒは珍しく無口だ。こいつにも恥ずかしいとかあるんだなと思いながら坂を上っていく。

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 17:05:52.08 ID:RWJ72vdKO

坂の途中

谷口「おいおいやめてくれよ。まじでオマエラ付き合ってんのか?」

いや、まだ何も始まってはいないんだが……

谷口「はいはい。わかったよ」

そういうと谷口は足早にさってしまったその先をみる。

キョン「あっ」

長門が校門の前に立っている。ハルヒがギュッと腕を強く掴む。 やはり、怖いんじゃないかお前。俺としてはまだどちらを「好き」とかそんな感情がないので、できればお前にも長門と普通にせっしてもらいたいのだが…

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 17:23:44.80 ID:RWJ72vdKO

長門「おはよぅ」

キョン「おっす」

ハルヒ「有希おはよ…」

きまづい沈黙が流れる。朝からこのテンションはなんだかな……話をふろうと口が開きかけたとき

長門「あなたに話がある」
キョン「おぅ。なんだ?」
長門「昼休み部室にきて」
そう言うと、テクテクと校舎に入っていった。ハルヒに目をやると恐怖が見て取れる。なんだ?あれは長門の愛情表現で私は負けないじゃなかったのか? そんなことを思いながらハルヒを校舎へと連れていった。

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 19:26:16.46 ID:RWJ72vdKO

つづきです



授業はほとんど耳に入らなかった。まぁ、いつものことなんだが……。昼の長門の話の件、後ろから伝わるハルヒの不安オーラをうけ、ますます気が遠くなる。
そんな事を考えているとあっという間に昼休みになってしまった。

キョン「んじゃちょっといってくる。」

ハルヒ「……」

無言はやめてくれよ。
……………

トントン
長門「入って」

中から返事が聞こえる。
キョン「おっす。話って……」

いた。 ハルヒの話に出てきた光から生まれた俺が
キョン「なっ…これはどういうことなんだ?」

長門「涼宮ハルヒから話は聞いたはず」

長門は淡々と語りはじめた



103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 19:38:26.91 ID:RWJ72vdKO

長門「私は決めた。いえ、決めていた。あなたを連れて異世界へ渡る」

また長門のエラーが蓄積したのかと解釈した。

長門「そうではない。あの時の私から決定的に違うものがある。それは感情による決断であること。あの世界改変から半年の間に私は感情を手に入れた、今回の異世界への渡航は私があなたに抱く『愛』『嫉妬』から決断したもの」

ちょっと待て、話が勝手に進んでるのだが俺の気持ちへの配慮はないのか……

長門「考えたが、もぅ手遅れ。私が涼宮ハルヒに対する感情が『憎悪』『殺意』になってしまっている。一週間前のあの時、私は涼宮ハルヒの情報連結の解除をすんでのところでとめていた。もう限界」

キョン「……」



104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 19:50:00.02 ID:RWJ72vdKO

キョン「だいたい話はわかった。ちなみにその『キョン』はなんだ?」

長門「これはこちらの世界に置くあなた。あなたがいなくなった事を涼宮ハルヒに気付かれたらきっと涼宮ハルヒはあなたを連れ戻しにくる」

あの力でか……
でも誰かにきづかれるんじゃないか?

長門「それは不可能。私が半年をかけ、この『キョン』にあなたの情報を書き込みさらに特殊フィールドを展開、暗号化。鍵は私しかもってない。『キョン』はあなたが異世界に渡ると同時に起動するようプログラムしてある」

長門「こちらの世界から私の存在だけ消す。複数の情報操作はミスにつながる。より確実な方法をとる」

俺は黙って話を聞く。

長門「あちらの世界には涼宮ハルヒはもちろん、sos団、その他あなたと接点をもつすべての人物がいる。しかし、あなたの記憶も私の記憶も消す。もちろん他の人も同じ。涼宮ハルヒとの七夕の接点も無い。」


105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 20:00:34.90 ID:RWJ72vdKO

キョン「なんでそこまで…」
長門「世界改変から私は感情と戦っていた。あなたへの日に日に膨らむ『愛』がとても辛かった…」

長門「私はインターフェース、私の仕事は涼宮ハルヒを観察。情報を思念体に送ること。頭ではわかってる……必死に我慢した。私は恋なんてしてはだめ。」
長門の頬につたるなにか

長門「でも、やっぱりあなたがとられるのは嫌……私だけをみて……………」


106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 20:11:27.90 ID:RWJ72vdKO

キョン「長門……」

こいつはこいつなりに色々悩んだろうな。たしかに、世界改変からの長門は少しづつ感情を表に出すようになってきた。しかし、これほどまでになっていたとは……
朝倉は言った「死の概念が理解できない」

長門がハルヒを殺すのは虫を殺すのも同じなんだ。こいつが人を殺すとは思えないが基本は朝倉と一緒だろう。それを必死に我慢し続け限界がきた結果が俺との異世界渡航か……

キョン「長門、ちょっとだけ時間をくれ」

長門 コクン

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 20:22:52.62 ID:RWJ72vdKO

12月から約半年。あの時確かに俺はエンターキーを押した。こちらの世界を望んだ。それにより長門は未来との同期を断り、感情を得た。しかし、それが逆に長門をここまで苦しめていたとは……。

ヤレヤレだ

長門を見る。顔がぐしゃぐしゃになるほど泣いている。 思念体よ。自律進化の可能性はここにあるんじゃないか??

ハルヒ、古泉、朝比奈さん、鶴屋さん、ついでに谷口、国木田。。ごめん。俺は長門を見捨てることもむざむざ人殺しにする事ができない。悪い。 あっちの世界でもおまえらは居るんだろ? きっと会いに行くよ。いや、会えるんだろうな多分……………なぁ?ハルヒ


112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 20:33:05.66 ID:RWJ72vdKO

長門  コクン

長門うなずくと高速詠唱をはじめた

すると周りに魔方陣みたいのが展開した。なんかかっこいいぞ。おい!

長門「時間座標は明日の早朝…ただし平行世界の」
と長門が説明してる途中、急にドアが開いた

ハルヒ「キョン!有希!なにしてんの!?」

ハルヒが飛び込んできた。
長門「まずい。このままでは涼宮ハルヒまで」

キョン「くっ、ハルヒ!こっからでてけ!!!」


113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 20:43:53.57 ID:RWJ72vdKO

ハルヒ「くるなじゃない!あんたたちどっかに行くつもりでしょ!?団長様はすべてお見通しよ!」

ヤバイ。本当にハルヒまで異世界にきてしまう。それでは長門の思いが全て無駄になっちまう。

長門「時間が無い」
長門が小さい声である言葉を発して目をつぶった。やはり記憶をなくすとわかってても見たくないんだな…

キョン「なぁハルヒ」

ハルヒ「なによ!またあたしを一人にする気!?もぅ中学みたいに孤独はいや」
ハルヒは泣きながら言う。ごめんなハルヒ……言い返す言葉が無い。けどな、ハルヒ。お前はもうひとりじゃないだろ?周りをみろよ。 いっぱいいるぜ。お前が困ってるとき手を差し伸べてくれる友人が



114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 20:50:16.58 ID:RWJ72vdKO

長門はおれじゃないとダメなんだ。 こいつは実は宇宙人なんだぜ?知ってたか?
ハルヒ「そんな事どうでもいぃーーーーー!!!」
キョン「ハルヒ……」

今の俺は古泉みたいに微笑しながら困り顔なんだろな。
ハルヒの顔をこっちにむける。 閉鎖空間での出来事がフラッシュバックする。長門は?よかった。まだ目をつぶってる。

ハルヒ「ん………っ」

唇が重なる。

キョン「元気でな」ドンっ

ハルヒを突き飛ばす。


115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 20:54:55.08 ID:RWJ72vdKO

キョン「長門!!!」

長門がうなずくと同時に俺は光に包まれる。 光の隙間から見えるハルヒがなにか叫んでた。





その声は虚しくも中空に消えていく………………








またな。。。

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 20:58:02.19 ID:RWJ72vdKO

一段落です。ちょっと休みます。

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 21:24:00.17 ID:RWJ72vdKO

書き忘れ。
目の前でなにか起きたような……

涼宮ハルヒは文芸部室の前にいた。

ハルヒ「あれ?なんでこんなとこにいたんだろ……」
命が吹き込まれる。

キョン『ハルヒ、何やってんだ?』

ハルヒ「キョン?私にもわかんないんだ……」

何かを失う。

キョン『なんだそりゃ。変なもんでもくったのか?』

気付くのは未来。

ハルヒ「うるさいわね!あぁ、お腹すいた。キョンなんかおごってよ。」

あなたは何処?

キョン『安いのならな。』
そういうと二人は食堂へと向かう。 ハルヒが後ろを振り替える。
ハルヒ「??」

こぼれ落ちたのは……。


121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 22:10:45.38 ID:RWJ72vdKO

再開します。
2章?

目覚ましがなる。まだ寝てたいのに……あと10分だけ……。
ドタドタドタ!
来た。我が家の強力目覚ましが。
妹「キョンくん、おきろー!!」
妹の得意技、ボディープレスが炸裂する。
あぁ、毎日とはいえ、いい加減怒りたくなるが、大人の俺は我慢する。

キョン「今起きるから、朝飯準備しててくれ。」

妹「とっくに用意してあるよ♪早く降りてきてね♪」
布団に潜り込んでいたシャミを掴みあげる。

キョン「お前も起きるぞ」

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 22:21:19.65 ID:RWJ72vdKO

朝食を食べおわる。ゆっくり食べたせいで、少し焦る時間になってしまう。
キョン「やべっ急がないと」
顔を洗い、歯を磨き、髭を剃る。急いで二階にあがり制服に袖を通す。まぁ、制服といっても、うちの学校は指定が無いため適当に店で選んだやつなんだがな。
南高に入学して早2年。とても過ごしやすくなった6月。新入生も段々と学校になれてきたようだ。


123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 22:32:06.10 ID:RWJ72vdKO

準備を終え外にでる。いつもの時間に間に合った。

学校へは徒歩で15分なので健康のために自転車は使わない。

キョン「あぁ、夏が近いなぁ」

空を見上げると眩しく光る太陽。若干汗もでるような気温だ。
そろそろ夏休みだな。いや、その前に期末テストか…… そんな事を考えていた。






124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:41:08.08 ID:RWJ72vdKO

カツカツカツカツ
聞き覚えのある足音。それに耳を澄ます。この足音だけは間違えるはずが無い。
??「キョン!おっはよぉ!」
バシッと背中を叩かれる。これも毎朝の恒例行事なのだがついつい反応してしまう。

キョン「いってぇな!」

てへへっと少女が笑う。いや、少女ではないか。高校に入ってからのこいつはかなり成長していた。もぅ一人の女だ。

??「ごめーん♪ ほらぁ!また寝癖なんかつけて…まったくだらしないなぁ♪」

128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 22:55:08.05 ID:RWJ72vdKO

こいつの笑顔をみると怒る気も失せる。はたからみてもかなり魅力的らしいこいつの笑顔。
よく周りから羨ましいと言われる。まぁ、俺もまんざらでもないがな。そんな彼女を何気なくみていると…

??「あー!!忘れてた!今日ソフトの予算決める日だった!」
と、急いで走りだした。

??「ごめん!先行くね!また教室でね♪」


129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:06:24.76 ID:RWJ72vdKO

走っていく後ろ姿に声をかける。

キョン「車に気を付けろよ!有希ー!」

有希が振り返り笑いながら手を振る。

彼女は長門有希。俺の幼なじみだ。昔から元気が取り柄のソフトボール好き。なにやら今年は全国に手が出るくらい強者揃いらしい。まぁ、そんな中でエースで四番を不動のものとしてる。そんなちっさくて白くて痩せている体の何処にそんな力があるか聞いてみよう。
まぁ、ちょっと抜けてるがそこらへんはご愛敬。

131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:15:49.70 ID:RWJ72vdKO

有希いわく。

有希「パワー?そんなの必要ないない!才能よ、さ・い・の・う!キョンくんはなんの才能あるのかな?」
キョン「何もなくて悪かったな。」

有希「そんな事じゃお嫁さんなんて一生見つからないし、幸せにもなれないよ?まぁ、どうしてもってなら私がもらったげる♪」
ニヒヒーと有希。

まぁ、俺はソフトやってる有希の姿を見てるだけで結構幸せなんだがな。


133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:26:01.74 ID:RWJ72vdKO

才能だよ!なんて言いながら毎日キツい練習の後に自主練してるお前のことも見てる。
なんだかんだいいながらしっかりやってるお前も好きだ。

まぁ、なんだ?その…どうしてもっていうなら是非とももらっていただきたいものだ。

そんな事を考えてるうちに学校に着いてしまった。

134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:27:47.59 ID:RWJ72vdKO

校門につくと見慣れた顔があった。

キョン「よぅ朝倉!」

朝倉「おはよう!あら?珍しく一人?」
クスクスと朝倉。

キョン「有希はなんだか部活の打ち合わせだとよ。」
朝倉「どうせあの子のことなんだから忘れてたんでしょ?」

さすがは有希の相方。朝倉涼子。こいつも有希と同じソフト部でキャッチャー。おまえら二人してどこにそんなパワーがあるんだろ?と、また突っ込みたくなる。

135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:37:25.24 ID:RWJ72vdKO

たわいもない会話を続けていると。また一人声をかけてきた。

古泉「おはようごさいます。キョンくん、朝倉さん。」ニコニコ

キョン・朝倉「おはよっ」

こいつは古泉一樹。クラスは違うが中学からの友達だ。なまじ顔がいいために女が寄ってくる寄ってくる。ただ、昔から彼女などいった浮いた話は聞かない。男子からはガチなのでは?と噂がたつくらいだ。

古泉「おや?そんな性癖は持ち合わせていませんが?」
おっと、声にでてたか。悪いな古泉。ただ、お前の表情は今でもよくつかめんよ。今度問い詰めてみるか…

137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:48:40.31 ID:RWJ72vdKO

古泉と廊下で別れクラスに着くと同時に担任が入ってきた。

森「席につけー!!こらっ!朝倉、キョン。朝礼の五分前には教室にいろっていっただろ!」

朝倉・キョン「はーい」

いつの時代だよ。ちなみに担任の森園生 外見とは裏腹に中々肝の据わった女性だ。さらに柔剣道黒帯の持ち主で、以前お礼参りにきた上級生をギタギタにしたのは最近の記憶だ。ちなみに独身。顔が顔だけに男子から結構人気がある。





142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/02(火) 23:58:33.48 ID:RWJ72vdKO

うーん。そう考えると結構うちのクラスはレベルが高いのかな?森・朝倉・有希・学級委員の橘

他の女子も4人には劣るもののみな平均以上だ。同くらすの谷口いわく。

谷口「俺マジで南高選んでよかったよ!中学ではトンでもない女に振り回されたかな!しかも学校中!」

キョン「そりゃお疲れだったな。」

谷口は二年からの友達だ。女にランクづけして、Aランク以上は名前をフルネームで覚えてるらしい。その頭は勉学に使えないのか?

144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 00:06:38.17 ID:nffYk/zrO

谷口「勉学なんて将来の役にたたん。」

それは赤点ばかりとってるお前言うとムカつく。

谷口「ちなみにお前の連れはAAランクだ。まぁ、朝倉涼子はAAプラスだ。」

ランクが高いのは嬉しいのだがやっぱりお前が言うとムカつく。
有希にこのことを愚痴ると
有希「ユニークな人だよね?谷口くんって♪」ケラケラ
結構、有希は谷口をきにいってるらしい まぁいいか。

145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 00:15:03.28 ID:nffYk/zrO

さて、回想は終わり。

森「朝礼はじめるぞ!委員長号令!」

橘「きりーつ、れーい、ちゃくせーき」

森「んじゃ出席とるぞ。朝倉ー…………」

出席確認が半ばまで進んだくらいのとき

森「長門ー。………ん、長門有希ぃ!いないんか?」
あれ?そういえば有希がいない。俺の後ろの席を確認する。

148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 00:26:59.46 ID:nffYk/zrO

その時。 うしろのドアが開いた。

有希「ハァハァ、長門、有、希いまーす!」

かなり急いで来たみたいだが……。

森「ソフトが強くてわが校の自慢でもあるが、文武両道!それをわすれるなぁ。」

有希「はーい。」

肩をすくめながらこっちにくる。 俺の視線に気付くと

有希「予算の件は早く終わったんだけど、お腹痛くなっちゃってさぁ♪」ケラケラ

おぃおぃ、幼なじみといえ、俺は男なんだからな?

有希「だよねぇ♪」

こいつからかってんな……。 まったく。



すいません。ちょっと書き溜めがへってきた&疲れ&風呂行ってきます。30分で戻ります。 皆様支援ありがとうございます。

156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 01:07:06.45 ID:nffYk/zrO

再開します。支援感謝します。

あぁ、自分の自己紹介がいまいちだったな。俺はキョン。本名は内緒。キョンってのはなぜか先生たちの間にまで定着してしまったアダナ。

なぜキョンかって?婆ちゃんに聞いてくれ。それを妹が覚えてしまい、それが有希伝わったが最後、有希までもがキョン。あとはねずみ講式。
ちなみに部活は写真部だが、もっぱら撮るのはソフト部ばかり。
ちなみに活動も気が向いたときしかやらない。

157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 01:10:25.88 ID:nffYk/zrO

そんなこんなで俺の一日が始まる。 ここでもぅちょっとだけクラスについてはなそう。

俺の席は窓側後方2番目と絶好の場所だ。しかもうしろに有希というおまけ付きだ。 たまに後ろからちょっかいを出してくる有希に止めろよ!といいつつも悪い気分にはならない。

朝倉「あなたたち高校生なんだからちゃっちゃっと付き合いなさいよ。まぁ、そんな関係に近いだろうけど?」
よく言われます。

159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 01:20:26.04 ID:nffYk/zrO

こんな話はしょっちゅうされる。もちろん、俺も、たぶん有希にもその気はあるのだが、なかなかきっかけがつかめん。
長い時間を過ごしてきた宿命なんだろう。
物思いにふけっていると、後ろから消しカスがとんできた。

キョン「お前な、席が前なんだから普通にやってくれ。ガキじゃないんだから。」

有希「ガキでごめーん♪それよりさ!来週の日曜日暇かな?」

キョン「特に予定はないが?なんだ?デートの誘いか?」






161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 01:30:40.38 ID:nffYk/zrO

有希「ざんねーん♪有希ちゃんソフトで忙しからデートしてる暇ありませーん!」
とニヤケ顔。

キョン「ならなんだ?また試合か?」

有希「さすがは私のキョンくん♪わかってるね!」
私ので少し照れてしまう。

キョン「この季節だと恒例の『あれ』か?」

有希「そうそう。『あれ』」

162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 01:41:14.01 ID:nffYk/zrO

『あれ』といえばこの地域で知らない人はいない!と、断言できるほど有名な行事だ。
なに?知らない?そいつはただのもぐりです。

『あれ』とは因縁の対決である我が南高ソフト部対北高ソフト部の練習試合だ。

もともとソフトではうちの地域は有名だ。中学の列強どもが南か北かの選択をする。もちろん学校側も必死だ。

なんせ全国にでれば、宣伝にもなるし、生徒も増える。まぁ、上の人の問題だろうけど…



163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 01:50:46.61 ID:nffYk/zrO

有希たちにとってはリベンジになる。

有希「去年はやられたわぁ。しかも、同じ一年生に」

去年、一年生にもかかわらず南高のエースに抜擢された有希は6回まで無失点に抑える好投。二点リードで迎えた最終回。さすがに疲れが見えはじめた有希にツーアウトに2、3塁のピンチ。

交代か?と思われたが続投した。

みんなが見守る中、相手はピンチヒッターを出してきた。

167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 01:58:55.10 ID:nffYk/zrO

ん?顔がよく見えないが、一年か? ソフトのマネージャーに聞いてみる。

マネ「うん。選手登録をみたんだけど、一年で間違いない。しかも調べたらソフト経験なしだって…何考えてるのかしら北高」

正直勝ったと俺は思った。有希の球はそんじょそこらの選手にはまず打てない。何度も有希の球を見ている俺が保障する。

案の定あっという間にツーストライクに追い込んだ。
マネ「なんか変ね」

あと1球コールが聞こえるなか、有希の投じた渾身の決め玉。

次の瞬間……

169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 02:11:39.90 ID:nffYk/zrO

かきーーーーーん


高く高く舞い上がった白球はライト方向へ ライトが追うのを止め白球をただただスダンドへ見送った。
彼女は狙っていた。有希の自身を打ち崩すかのように得意球を…… ツーストライクまで追い込んだのはいつでも打てる自信の表れだったのか、本人しかわからん。

北高スダンドが盛り上がる中、有希はマウンドで泣き崩れていた。
正直慰められる言葉が見つからない俺は自分を恥じたのは今でも記憶にのこっている。


170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 02:13:38.17 ID:nffYk/zrO

あれから有希はすぐに立ち直ると猛練習を重ねた。

有希「あんなのは二度とごめんだわ。」

有希はあの試合のになると急にまじめになる

有希「今度は私が彼女を三球三振にしとめてやるわ!」
キョン「頑張れよ!有希!」

有希はニコーっと微笑んだ。

172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 02:26:09.18 ID:nffYk/zrO

しかしまあ、明るさが取り柄の有希だが、彼女もやはり人間だ。

試合の三日前ともなるとピリピリした空気が彼女の周りにまとわりつく。こういう時の有希は完全ソフトモード。

一年の時だったかな?有希のピリピリオーラに耐えられなかった女子生徒が雰囲気を和ませようと冗談を彼女に言い放った。


一喝。


女子生徒はぼろ泣き状態。まわりも固まってしまった。
有希は有希で我関せず。

それから試合のまえの有希には話し掛けないのが常識となった。

174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 02:40:17.11 ID:nffYk/zrO

ん?俺か?俺は前から知っていたし、もちろん朝倉も知っていた。

ただ、話し掛けるのは別で、この時期は俺しか話し掛けるのはることができない。

朝倉「さすが旦那さまね♪」

キョン「冗談じゃない。俺だってかなり言葉を選んでるんだぞ。」

あの緊張感はジェットコースターで上まであがるドキドキよりも遥か上をいく。
朝倉「あら?そうだったね?けど、キョン君と話してるときは有希がリラックスしてるように見えるけどね?」クスクス

キョン「朝倉。有希までとは言わんが、少し緊張感をもったらどうだ?」

朝倉「あら?そんなふうに見える?私だって笑ってるけど腹の中では煮えたぎってるわよ?色々とね♪」

コイツ、なかなか食えないえない奴だな

176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 02:49:21.71 ID:nffYk/zrO

試合当日。

市民球場には多くの観客で溢れかえっていた。高校のOB・OGはもちろんのこと、商店街のおじちゃん、おばちゃん、近所の子供までが集まってある。この地域のすべての人がいるんじゃないかと錯覚を起こす。

ふと、有希を見ると試合前のほどよい緊張感にもどっている。

キョン「有希。調子はどうだ?」

すると有希は満面の笑みで
有希「絶好調!」


177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 02:58:49.89 ID:nffYk/zrO

その言葉を聞いて安心した。

ふと有希が相手側のベンチに目をやる。俺もつられてベンチのほうに目をやる。

いた。あのまっすぐに伸びた腰に届く黒い髪。 帽子で顔はよく見えないが間違いない。有希もうなずいた。

ん?なんだ? 彼女がずっとスダンドを見つめている。 有希も気付いたようだ。

有希「知り合いでも探してるのかしら?」

キョン「そうじゃないか?」

それにしても、やたら遠い目してんなあいつ。


178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 03:00:14.73 ID:nffYk/zrO

その時だった。


妙な感覚に襲われた。なんだ? なんかこの光景が懐かしような、前にもみたことがあるような……

デジャブーってやつか?自問自答を5秒ほどしたあと、すぐに気にも止めなくなった。

そろそろ試合開始だ。監督がなにやら作戦を伝えている。 有希の横顔をみながら頑張れよと口に出す。

審判が両チームをならばせる。

北・南『おっしゃーす!!』
試合開始の合図だ。

観客席に交じって応援するおれら、ただただ有希を思い応援する。

これが彼女たちと繋がる運命の橋とは知らずに。

180 名前: ◆eblTbhX84c [] 投稿日:2009/06/03(水) 03:04:43.29 ID:nffYk/zrO

長々すみませんでした。
とりあえずきりがいいので一旦終わります。話はまだつづきます。スレが残ってればまだまだ書いていきます。明日は恐らく7時から8時の帰宅となります。

この時間まで付き合っていただいた方、支援してくれたかたお疲れさまでした。よい一日を
でわ

255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 22:34:00.43 ID:nffYk/zrO

試合は投手戦となった。

有希が三振の山を築くと、相手側は凡打の山を築く。
北高のピッチャーは打たれて取るタイプでかなり有名人だった。名前は鶴屋とかいったかな? どっかの金持ちの娘らしい。

そんな二人の姿を、いや、有希の姿を夢中でカメラにおさめていった。

256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 22:35:31.25 ID:nffYk/zrO

試合が進むにつれて、緊張感が高まり、俺の手が止まる。
ボードに次々と0の文字が並べられる。

試合が動いたのは6回、有希がツーベースヒットを放つと続く朝倉もツーベースでようやく一点が入った。

有希の好投が一点を守り切り、ついに最終回、北高最後の攻撃。 一塁に走者を置いたままツーアウトまで追い込む。

その時、ついに北高の最終兵器が動く。

258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 22:53:55.09 ID:nffYk/zrO

古泉「おや?ついに北高が涼宮を出しますね。」

キョン「なんだ?お前あいつの事知ってたのか?」

古泉「当然ですよ。去年有希さんから逆転ホーマーを放った有名人ですから。かなり調べさせてもらいましたよ。」

キョン「ほぅ。どんな奴なんだ?」

古泉「それが、あなたもご存知だと思うのですがソフトに関しては経験は0。他の部活動でも助っ人として呼ばれるくらいオールマイティーな才能の持主なんですよ?」

キョン「………」

259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 22:54:54.48 ID:nffYk/zrO

古泉の説明を聞きながら、有希の事を考えてしまう。
あいつは幼い頃からソフトだけに力を注いでいた。つらい練習にも耐え、同年代の女の子がお洒落に気を遣う中でもお前は土にまみれたユニフォームを着ていた。
休みの日も練習。雨が降っても練習。辛くて泣いていたのだって俺は知っている。

そんな毎年ソフト人間が、才能だけにまかせた奴なんかに負けるわけがねぇ。

あいつのこの一年をよく知っている俺は精一杯の声で有希にエールを送る

キョン「うぉぉぉあ!!有希ーーーー!!!負けんしゃねぇぇええ!!」



263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 23:05:56.68 ID:nffYk/zrO

タイムをとりマウンドに駆け寄っていたナインの中

朝倉「ほら、旦那さまが応援してるわよ?」

有希「あいつ声でかすぎ……」
少し恥ずかしくなる。

朝倉「彼も私もあなたの一年をよくしってるわ。作戦は無し!私のミットに全力で投げてきなさい♪」

有希「わかってるって!」
ナインが円陣を組み、それぞれの持ち場へ戻る。

264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 23:07:23.06 ID:nffYk/zrO

有希がこちらを向き、俺と視線を合わせる。
その視線に俺がうなずいて応える。俺たちはこれだけで十分気持ちが伝わる。

有希がバッターボックスへと体をむける。
そこには彼女がいた。

有希「どうやら初球をねらうみたいね。。」

有希が一息着く。朝倉が構える。


渾身の球が朝倉のミットへと放たれた……

265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 23:16:40.29 ID:nffYk/zrO

かきーーーーーん!

スダンドが静まりかえる。

打球は高く高く空へと舞い上がる



視線が白球を追う




白く小さな塊はまるでそこにめがけて行くかのように舞い降りてきた。







有希の広く広げた両手の中に。



268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/03(水) 23:47:28.98 ID:nffYk/zrO

……………


有希「あぁぁ、マジで疲れたぁ……」

キョン「でもよかったじゃないか。あいつも打ちとれたし、試合も勝ったしな」
球場の横、市民公園で二人で話す。

有希「そぅだね♪やっと胸のつかえが取れた感じぃ」
有希にいつもの笑顔がもどってきた。いや、それ以上かな。

キョン「そりゃ何よりだ。」
そんな当たり障りのない会話をしていると後ろから誰かが声を掛けてきた。


??「ちょっといい?あんたたち。」

273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 00:04:18.03 ID:fNEKgKWwO

そこには美少女が立っていた。
ん?誰だったかな?

??「あんたじゃないわよ。そっちのピッチャーの子に様があるの!」

有希「……えっと、北高の……」

涼宮「そうそう!あっ、自己紹介がまだだったわね。私は涼宮ハルヒよ!こっちは朝比奈みくるちゃん!よろしくぅ」

みくる「は、はじめまして…」

有希「あたしは長門有希っ♪こちらこそよろしくね?こっちはキョン。ちなみにキョンはアダナだから。」

それは言わなくていい。

277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 00:15:27.81 ID:fNEKgKWwO

涼宮「キョン?変なアダナね。」

初対面の奴に変なはないだろ。それにそんなにジロジロ見るなよ。

涼宮「ふーん、まぁいいわ。それよりあなたなかなかやるわね!あたしを打ち取るなんてそうそうできないわよ?」

キョン「すごい自信だな」
涼宮「当たりまえじゃない。あたしを誰だと思ってるの?」

初対面のなんだが…

涼宮「SOS団団長よ!!」


はい?

281 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 00:26:24.19 ID:fNEKgKWwO

有希「あの、SOS団って?」

涼宮「目的は団員以外は内緒!まぁ、最近は助っ人とかそんなんばっかりなんだけど…しかも今はなかなか人材が見つからなくてねぇ。団員は二人だけ。まぁ、みくるちゃんも見て分かるとおりこんなんだからもっぱらお茶汲みだけどね」

キョン「随分気前のいい団だな。

涼宮「さっきも言いったでしょ?本質は内緒。まぁ、しいていえばあるもので遊ぶこと♪」

お遊びサークルかなんかなのかと考えてると

涼宮「話を本題に戻すわよ!有希、SOS団に入らない?」


285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 00:39:20.61 ID:fNEKgKWwO

いきなり来たと思えば今度は勧誘とは。まるで台風みたいな奴だな。

有希「いや、あたしは部……」涼宮「いーのいーの!」
有希の言葉をさえぎるように言葉を続ける。

涼宮「学校が違うのなんて私は気にしないし、ほら?北高と南高の間に駅あるでしょ?そこにいい喫茶店があるの。放課後はそこに集まればいいでしょ?」

話が続く

涼宮「ちなみに毎日活動するからね。ちゃんとスケジュール立てといてね!」

涼宮「いいたいことはそれだけ!あぁ、これは私の携帯番号だから!じゃ連絡してね?!」

と、自分の言いたいことを言うだけ言って去ってしまった。

288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 00:54:49.62 ID:fNEKgKWwO

嵐がさった。


二人は呆然と涼宮ハルヒと朝比奈みくるの背中を見つめた。


有希「すごい人だったね?キョンくん」

キョン「あそこまで図々しいのは初めてだ。」

有希「私も」クスクス

有希「しかも凄く美人だったね?」

キョン「口がひらかなきゃな。」

有希「ふーん?」

何その目は?

有希「キョンくん鼻の下伸びてたよぉ?」

まじか!

290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 01:16:23.99 ID:fNEKgKWwO

有希「べっつにいいけどね♪」

キョン「……」

有希は抜けてるようで見てるところは見てるからな。危ない危ない。
有希はハルヒをみて俺が鼻の下を伸ばしたと思っている。


言えない。


隣にいた朝比奈みくるの胸を見てたなんて…

292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 01:28:09.31 ID:fNEKgKWwO

有希は自分の胸にコンプレックスをもっている。
そうなんだ。有希の胸は小さいのだ。極端に……
中学の時だったろうか?部屋に遊びに来た有希が俺の寝ている隙に机からから見つけてしまったんだ。

巨乳大全集 正月特別号 ふくろとじ付き

俺は叩き起こされた。

有希「何よ!この本!!」
うっすら涙をうかべなから
キョン「いや、それは……」
言い訳が見付からない。

有希「へぇ、キョンくん巨乳が好みだったのね?貧乳はお呼びじゃない?」

ハルヒ「だから違うってば……」

有希「んじゃ、どちらかといえば?」

キョン「そりゃまぁ、あったほうが……」

有希 プルプルプルプル

迂濶


バチーーン

293 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 01:35:32.67 ID:fNEKgKWwO

その2、3ヶ月はなにかあるたびに

有希「キョンくんは巨乳好きだからねぇ」ニコニコ

と言われ続けた。



有希の横顔を見ながら昔を思い出していると

有希「ねぇ、キョンくん?」

キョン「なんだ?」

心が読まれたと思いながらなるべく平然と答えた。


しかし、有希の言葉を俺はすぐには理解できなかった。

294 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 01:37:02.90 ID:fNEKgKWwO

有希「なんか涼宮さんとは初めて会った気がしないの」

キョン「去年の試合のせいじゃないか?」

有希が横に首を振る。

有希「顔を見たのは今日が初めて。だけど、初めてじゃないような気がするの」
有希「それに楽しさとか嬉しさとかなんかそんな感じの感情が湧いてくるの。キョンくんは何も感じない?」

キョン「いやなにも……」
といいながらも、有希がこんな事を言うなんてなんかあるんだろうと、俺の頭の小さい引き出しを引っ繰り返してみた。


295 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 01:39:30.83 ID:fNEKgKWwO

キョンくんが必死に考えている。 多分わからないよ?私にもわからないんだから。

私はキョンくんに嘘をついた。
優しさ、楽しさ、なんて感情は湧いてない。
確かに初めてあった気がしないのは本当だよ? でもね、この感情はキョンくんに知られちゃいけない気がする。体がそれを警告する。

なんだろ?体からふつふつと湧いてくるね黒い感情は………
そう私は…………

296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 01:40:56.23 ID:fNEKgKWwO

私は涼宮ハルヒが











憎い。。。

322 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 03:15:07.88 ID:fNEKgKWwO

無事、ソフトの試合を終えた翌日南高ではお祭り騒ぎだった。
宿敵の北高を完封という名誉ある勝利で飾り。その立役者である有希は登校早々に校長室に呼ばれていた。
それだけではなかった。翌日の地元新聞の一面にデカデカと有希の写真が載っていた。公式じゃないとはいえ、さすがは伝統試合だな。

323 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 03:21:27.78 ID:fNEKgKWwO

俺はというと、そんな有希の後光を浴び、朝から質問攻めにあっていた。

他人の事とはいえ、まるで自分の事のように自慢話を展開していた。
そんなのが担任の森先生が入ってくるまで続いた。

森「おらー。浮かれるのはわかるがもぅちょっと静かにしろー」 と言ってるさなか、有希が教室にもどってきた。
教室は歓声のあらしとなり森先生は頭を抱えた。

325 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 03:28:10.64 ID:fNEKgKWwO

有希はいつもの笑顔で返事をかえす。

またしてもクラスがわいた。
しかし、俺はハイテンションから一気に素に戻ってしまう。

クラスで何人が気付いたろうか? 相方の朝倉は気付いただろうか? しかし、そんな事確認が出来ない程に俺は有希の顔にくぎ付けになった。


有希が作り笑顔だと……?

326 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 03:29:22.64 ID:fNEKgKWwO

有希が向かってくる。
俺の顔を見ると微笑みかける。
やめてくれ。そんな顔……

何かあったのか?今すぐ聞きたい衝動にかられたが、周りが目があるため我慢した。 こいつが作り笑顔するくらいだ。みんなに聞かれていい事では無いはずだ。

俺は昼休みまで待った。

327 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 03:30:40.21 ID:fNEKgKWwO

有希の事を心配しつつも、つまらない授業をきいていると眠気が襲ってくる。
追い討ちをかけるように心地よい六月の日差し。
俺は眠りについてしまった……………


ハッと目を覚ましたときにはすでに四時限が終わり20分が立っていた。
すぐに後ろを確認するが有希の姿がない。

すぐに立ち上がると朝倉のの席へむかった

328 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 03:31:59.45 ID:fNEKgKWwO

キョン「有希どこ行ったかしらないか?」

朝倉「わからないわ。授業が終わるとすぐに教室から出てったみたいなの」

キョン「そうか……」

朝倉「もしかして朝のことかしら?」

さすが朝倉。気付いてたか
朝倉「当たり前じゃない。何年あの子といっしょにいると思ってるの?」

329 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 03:33:09.03 ID:fNEKgKWwO

キョン「そうだな。俺がわかってお前が分からないわけないな。」

これは有希と朝倉の生い立ちに関係してくるが、まぁそれはまた近いうちにはなそうか。

朝倉「当然よ。まぁ、わかってたけどこういう役目はあなたしかいないと思ったから」

わかってるよ。

朝倉「あら?いつになく鋭いのね?」クスクス

茶化すな。というと携帯を取出し、有希にかける。



331 名前: ◆eblTbhX84c [] 投稿日:2009/06/04(木) 03:39:04.51 ID:fNEKgKWwO

眠さ限界です。 誤字脱字もうしわけないです。  夜中までつかあってくださった方々。ありがとうございます。 明日7時か8時にはかえってこれると思います。 また会いましょう。おやすみなさい

380 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 21:21:01.41 ID:fNEKgKWwO

電波が届かないか、電源が入っていない……。アナウンスが流れる。

携帯をしまい、教室の外に出る。有希は有名人だ。誰かは見かけているだろうと行方を探す。

すぐに居場所がわかった。どうやら屋上に行ったらしい。
屋上へと続く階段を登りドアをあける

382 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 21:29:56.14 ID:fNEKgKWwO

有希は屋上の手すりから空を見ていた。 その顔にはいつもの笑顔はまったくなく、まるでロボットのような『無』しか見いだせなかった。

キョン「元気無いな、、」
有希「……。」

キョン「試合に勝ったし、お前も喜んでたじゃないか?」

有希「……そうね」

キョン「なんか不満でもあったのか」

有希「無い。」

今の有希とは会話にならないな… 俺の問い掛けを上の空で聞いている。
そんな無意な会話が5分くらい続いただろうか?きまづい雰囲気の中、ついに有希が言葉をだした

有希「私、昨日夢見たの。」

383 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 21:31:30.02 ID:fNEKgKWwO

私はただ広い部屋の中でただ座っている。 何年こうしていただろう? 誰とも交わる事無く、その日を待っていた。

孤独。

私にそんな感情はない。心のなかはからっぽ。

場面が飛ぶ。

私は学校にいる。窓辺に腰掛け本を読む。

誰かが部屋に入ってくる。心が満たされていくのがわかる。
私はあなたを見ているのが好き。
あなたは不思議な人。
からっぽのこころに色々詰め込んでくれた。


385 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 21:38:56.78 ID:fNEKgKWwO

それだけでよかった。それ以上は求めなかった。
そう思っていた。


また場面が飛ぶ。

彼が病室に横たわっている。私のせいで。

私は彼に声をかけた。
彼は怒った。私のために。

なにかがこころの中から湧いてくる。 どうしても止められない思い。



あぁ、これが恋なんだ。

386 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 21:39:59.82 ID:fNEKgKWwO

私は知ってしまった。

自分で自分を押さえらるない。


あぁ、あなたがほしい。


私だけを見ててほしい



私は思う。





彼女は邪魔。

388 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 21:45:12.19 ID:fNEKgKWwO

有希が話を終える。


有希「私もなんの事だかさっぱりわからないの。」

キョン「ただの夢だろ?」
有希「違う。あれはただの夢じゃない。」


有希は昨夜みた夢でこんなにも悩んでたのか…まぁ、夢見が悪い日は俺もあるからな。たまたまこいつがそれだったわけか。

キョン「そんなのすぐ忘れるだろ? 朝倉も心配してたし、教室にもどるぞ。」

ドアに向かって歩きだしたその時。

背中に有希が体をあずけてきた。

390 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 21:56:08.50 ID:fNEKgKWwO

心地よい香が鼻をつく。体温が伝わる。心拍数があがる。
キョン「ゆ・有希?」

有希「怖いの。」

有希がさらにもたれかかる。
有希「私の中に私がいる。感じるの。 強い憎しみを持ってる私。このままじゃ私が私でなくなる……。」
キョン「有希…」

有希「そうなったらキョンくんがどこかにいっちゃいそうなの。遠く、遠く私の手の届かないところ」

キョン「大丈夫だ。俺はいつも傍にいるぜ?」

有希が声を出して泣く。こいつもまだまだ子供なんだな…
有希「キョンくん、お願いがあるの…」

キョン「どうした?」

今の俺にコイツの願いを断る理由など無い。なんだ?甘いもんでも食いたくなったか? 何でも良いぜ。ドンとこいだ!

有希「キョンくん……」







有希「私を抱いて…」

398 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 22:51:26.21 ID:fNEKgKWwO

有希「今日、両親が法事で田舎に帰ったの」

俺は有希の言葉を思い出しながら昔を思い出していた。
俺と有希五歳からの付き合いだ。有希には本当の親がいない。ちなみに朝倉も。
有希と朝倉は同じ日の朝に孤児院の前におかれていた。
二人が五歳の時、里親があらわれ二人別々に引き取られていった。そんな有希がうちの近くに引っ越してきた。

初の出会いは近所の公園、俺が砂場で必死の思い出で作ったお城を、有希はボールを追いかけながら踏みつけ、あっさり壊した。

俺はワンワン泣いた。

幼希「なによ?おとこのこがそんなくらいでなくな!」
有希の声にビビり、さらに俺が泣き叫ぶ。


400 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 23:02:10.94 ID:fNEKgKWwO

幼希「もぉ、しょうがないわねぇ」

泣き続ける俺にグローブを渡してきた。

幼ョン「なにこれ?」

幼希「ぐろーぶしらないの?いいわ。あそびながらおしえたげる♪」

有希の満面の笑みに俺はうそのように晴れた気分になった。

それから毎日のように公園で遊び、家に行き来する仲になった。

有希の事は小学校高学年になるまで男だと思っていた。もちろん女だとわかったあとも男友達感覚だった。

401 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 23:03:03.90 ID:fNEKgKWwO

そんな有希を『女』と意識したのは中2の夏。
放課後、プールに行く約束をしていた俺は有希のこと待ちきれず、有希のマンションへとむかった。

インターホンを鳴らすと有希の義母さんが出る。

母「あら、キョンくん?今開けるから勝手にあがっといで。」
もはや慣れたものだ
俺は有希の部屋の前に行くと、ノックなしではいる。
キョン「有希!早く行こう…ぜ………」

有希「やっ……………」カァァァ

そこには下着姿の有希がいた。

俺は急いで外に出た。胸がドキドキして止まない。初めてみた女の体

それからだろう。有希を女として意識しはじめたのは。


403 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 23:14:59.96 ID:fNEKgKWwO

有希「じゃあ、先帰るね?」

キョン「お、おう」

有希「あ…、あのね。。ちょっと時間くれないかな……やっぱり色々準備しなきゃだから……」

キョン「わかった……」




どうしよう。土壇場になって怖じけずいてきた。こんな俺は情けないのか?古泉にでも初めての心得でも聞いとくかな?
いや、やはり止めとくかあいつに聞いたら最後。

古泉「ほぅ。あなたがそんなことを聞いてくるなんて実に興味深いですね。」

とかなんとか言ってあれこれ尋問されそうだな。

他にあてをさがしてみたが思い当たるやつがいないので俺も教室を後にする。

404 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 23:27:05.38 ID:fNEKgKWwO

有希が教室を出てから一時間、何件かコンビニに立ち寄ったが、コンドームやエロ本にやたら目が行く。
やっぱり買ったほういいのか?



ピンポーン

「あっ、キョンくん。今開けるね!」

有希が玄関から顔を出す。
か、可愛い。。

有希は白いフリルのキャミソールを身に纏っていた。しかも体のラインがかなり強調されるデザインだ。有希、お前は貧乳だったよな? なんだそのふくらみは? すこし服の上から谷間が見えるじゃないか…

有希「なに止まってるの?中入って!」

キョン「あぁ」

406 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 23:42:54.61 ID:fNEKgKWwO

有希・キョン「……」


部屋に入ったがお互い会話がない

有希にいたっては天気の話をするばかり

有希「今日は晴れてるねぇ」 はすでに4回目。

俺がなかなか前に出れないばつかりに

有希「やっぱり私は魅力ないかな……。」

有希「やっぱり貧乳だし、ちびだし、女らしこと何一つできないしさ。」

キョン「有希…」

有希「ばっかみたいだよね? ちょっと女らしくしようと思って化粧して、慣れない服きてさ…実はこの服も朝倉からのかりもんなんだ。」


有希「やっぱりあたしは…キャッ」

言葉を待たずに有希をベットに押し倒す

409 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/04(木) 23:53:40.11 ID:fNEKgKWwO

有希「キョンくん……。」 キョン「有希。」

押し倒した勢いでキャミの下がめくれ、ふとももがあらわになる。
肩紐が外れ、胸のふくらみがよく見える。

軽く唇がふれる。すると俺の中から今まで我慢していたものが溢れだす。


有希「もっとキスしてぇ…」

俺と有希は激しくもとめあうように唇を奪いあう。

426 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 01:28:29.02 ID:8PJtjJw1O

あれから1週間がたった。おれは来たるべく期末テストにむけ、勉強にはげんでいた。

実はあの時、最後までことには至らなかった。
キスのすぐ後に有希の携帯が鳴った。 着信は父親らしく、さすがにシカトするわけにはいかなかった。

有希「うん…、うん。気をつけてね。」ツーツー

キョン「どうしたんだ?」
有希「高速道路で大きな事故があったんだって。当分動かなくなるらしいから帰ってきてるんだって」

さすがに両親がいないときに男と女が二人きりというのはあまりよく思われないだろうという事で俺はマンションを後にした。

427 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 01:34:53.99 ID:8PJtjJw1O

実は俺はほっとしていた。
あのまま最後までやっていたら何かを失ってしまう気がした。 その何かはよくわからない。
けど…なにか大切なもの。

キョン「俺も年をとったのかな。」

最近は余計なことばかり考えてしまう。いかんいかん高校2年の夏休み前だぜ?もっと楽しいことを考えなきゃな。


しかし、俺の考えはあっさりと崩されることになる。

428 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 01:43:21.26 ID:8PJtjJw1O

有希の事だ。

あの一件以来、二人の仲はより深いものになっていた。

最初はよかったんだ。

昼休みに屋上に行き、二人で弁当を食った。

有希「おいしい?」

ハルヒ「ん、かなり旨い」
有希「でしょう!!義母さんからの直伝唐揚げなんだ♪朝早く起きてキョンくんのために作ってあげたんだ♪♪」

いつもの笑顔がそこにある。

有希「これから毎日私がキョンくんのお弁当作ってあげるんだから♪」

キョン「それは助かる。ただ、朝練もあるんだろ?ほどほどにな?」

有希「大丈夫! 大丈夫!」

429 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 01:44:25.24 ID:8PJtjJw1O

休みの日といえば、図書館に行き期末の勉強をした。
有希「えーと、減速の場合はこっちが固定されるからこっちが出力……??」

キョン「それは3速の場合だ」

有希「うわーん!やばいよキョンくん!これじゃ赤点確実だよぅ……せっかく色々予定考えてるのに補習なんてくらったら人生終わる!」

キョン「シー!シー!ここ図書館だから!」

周りの視線が痛い。それを知ってかしらずか

有希「あれぇ?キョンくん私の水着姿見たくないのぅ? あっ、巨乳じゃないと駄目なんだっけ?すけべぇ♪」

と言いながら俺に抱きついてくる。

432 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 01:57:24.46 ID:8PJtjJw1O

他にも休みの日というと映画や買い物。 といった具合に清らかな高校生カップルを満喫していた。

朝倉「あら?あんたたちようやくくっついたの?」

キョン「いや、そういうわけじゃないんだが…」

朝倉「別にごまかさなくてもいいじゃない? 遅かれ早かれこうなってたんだから。」

本当だが……

朝倉「まぁ、いいわ。あんたたち二人がくっついた事は私も嬉しいわ。ただ、あんまり有希を振り回さないでよ?」

キョン「わかってるよ。俺を誰だと思ってるんだ?」
朝倉「はぃはぃ♪」

俺はなにもわかってなんかいなかった。

433 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 01:58:26.87 ID:8PJtjJw1O

有希が俺に執着するようになった。
何処へ行くにも後ろをついてまわる。 まだ、それはよかった。
クラスの女子とたわいもない会話をしていた。

有希「橘と何話してたの?」

キョン「あぁ、森先生のこの前の話しでさ〜〜〜ってんだよ!うけるだろ?」

有希「まぁ、別に良いけど、あんまり女子と話さないでよね?」

キョン「?…あぁ?」


436 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 02:10:28.71 ID:8PJtjJw1O


とある夜。有希と電話する約束だったのがうっかり布団で寝てしまった。

夜中に目を覚ます。 携帯が光ってるのに気付く。

キョン「悪い有希!寝ちゃってた。」

有希「何してたの?」

キョン「だから寝ちゃってたんだって」

有希「本当?実は誰かと遊んでたんじゃないの?」

キョン「いや、ないよ」

有希「……ふーん。わかったわ。私、もう眠いから寝るね?おやすみキョンくん。」

キョン「あぁ、悪かったな。おやすみ」

電話を切ると画面を見て絶句する。
10分おきの電話と5分おきのメールがそこにはおびただしく並んでいた。


438 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 02:20:52.86 ID:8PJtjJw1O

そんな事があった翌日。

朝倉「キョンくん、有希は?」

キョン「あぁ、ちょっと遅れるってさ。昨日遅かったからな。」

朝倉「そうなの。それよりちょっと話しいいかな?」
キョン「なんだ?」

朝倉「あんたたち、この前の休み何してたの?」

キョン「あぁ、二人で水族館に行って…」

バンッ!

朝倉が机を叩く

朝倉「何考えてんのあんたたち」

442 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 02:35:02.68 ID:8PJtjJw1O

朝倉の話はこうだった。

俺たちが水族館に行っている日、ソフト部は大事な公式戦だったらしい。
先日の対抗戦で注目のマトとなっていた南高。公式戦には企業のスカウトマンが有希はもちらん。3年生目当てできていた。

しかし、いつまでたっても有希は姿を見せず、携帯も不通。南高は主力を失い、さらに士気まで落ちてしまった。追い打ちをかけるように、相手方の絶好調打線につかまり、大量失点。
惨敗に終わった。

スカウト話はすべてが白紙。3年生は泣き崩れたらしい

443 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 02:37:05.44 ID:8PJtjJw1O

有希が登校してきた。

朝倉がこちらをチラリとみる。

わかってる。

有希「キョンくん!おはよう♪」

キョン「有希…、なんでこの前の休みの日試合あること言わなかったんだ?」

有希「あぁ、私ソフト辞めようと思ってさ♪」

キョン「なんだと…?」

これには近くで聞き耳を立てていた朝倉も驚いた。

朝倉「ちょっと!それどういうことよ!」

朝倉が怒鳴る。

有希「どうもこうもないわよ?」

朝倉「そんな…せっかく今年は全国に手が届きそうなのに…どうするのよ私たち……」

444 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/05(金) 02:39:42.65 ID:8PJtjJw1O

有希「知らないわよそんなの」

朝倉「そんなのって…」

有希「残りのあなたたちで頑張ればいいでしょ?」

朝倉はすでに返す言葉が見つからない。

キョン「おい、有希。そんな言い方ないじゃないか?それにお前、全国で優勝するのが夢じゃなかったのか?」

有希「私の夢はキョンくんのお嫁さんになってずっとそばにいること。それにソフト辞めたらこれからもっと一緒にいられるよ♪」

有希が笑顔を見せる。
戦慄がはしる。

俺は有希のこんな笑顔を知らない。


私が私でなくなる。



このことなのか有希?お前の中にいるお前はいったい誰なんだ…………



暗雲が広がる中、話は夏休みに入っていく。

2章? 完

447 名前: ◆eblTbhX84c [] 投稿日:2009/06/05(金) 02:47:26.93 ID:8PJtjJw1O

とりあえずここで今日は終わります。 444なんて不吉なところで終われてとても嬉しいです。 この時間まで付き合っていただいた方。保守、支援していただいた方。ありがとうごさいました!
明日も残っていればまた会いましょう。
明日の帰宅予想は9時前後かと思います。 でわ

515 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 01:10:05.05 ID:BmHnZ8FqO

再開します。

終章?

夏休み。誰しもが思いでを作るであろう。恋をする奴。大人になるやつ。急に遊びにはしる奴……とまぁ、上げたらキリがないほど、高校2年の夏休みは特別なイベントの一つだ。

こんな俺だって一夏の思い出を期待し、心躍らせる。

そりゃ、終業式までひともんちゃくあったが、一旦学校を出れば自由そのもの。8月末まではゆっくり休める。

何をしよう?
そうだ!とりあえず寝よう!昼間から寝れるなんて長期休暇のある学生の特権だぜ!

そんな特別な夏休みが初日から狂ってしまう。

517 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 01:16:54.49 ID:BmHnZ8FqO

ほのかにウトウトしていると携帯が鳴る。

着信『有希』

俺は少し出るのを戸惑ってしまう。
なんたってあんなことがあってからまだ、数日しかたっていない。 少し考えたがやはり電話に出る。


有希「キョンくん、電話に出るの遅いよ…」

キョン「悪いな。ちょっとウトウトしてたんだ。」

有希「健康な高校男子が昼間から寝てるんじゃない!」

キョン「いいだろ、別に……それよりどうした?」

有希「今、キョンくん家に向かってるから♪ちゃんと家にいてよ?」

と言うと、勝手に電話をきってしまった。

518 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 01:18:00.93 ID:BmHnZ8FqO

有希「急にごめんねぇ♪」

俺の部屋の中、冷たい烏龍茶を飲みながら向かい合っていた。

キョン「別に何も予定ないから別にいいよ。ところで要件はなんだ?」

有希「宿題終わらせようと思って♪」

キョン「なに?そんなの少しずつやってけば8月まで終わるだろ?」

有希「駄目よ!キョンくんいつもそうやって夏休みの終わりまで引きずるんだから!」

キョン「結局終わるからいいじゃないか……」

有希「いい?夏休みって、前半より中盤、後半のほうがいっぱいイベントがあるの♪今年はいっぱいキョンくんと出歩くの!」

と、満点の笑みで話す。
有希がこんな事を言いだすのには理由があった。

519 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 01:19:07.55 ID:BmHnZ8FqO

有希の夏休みと言えば、ソフトの大会、合宿、練習と俺が入る隙間もないほど、ソフトだけで有希のスケジュールはうまっていた。
有希も練習漬けの毎日にとても充実していた。
少々残念なおれだったが、有希のソフトをしている姿が大好きだった俺は、毎日学校へ通いつめ、有希を写真におさめていた。


しかし、今年の夏は俺にも有希にもそんな予定はなかった。


有希はソフト部を辞めてしまったんだ。

523 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 01:30:23.74 ID:BmHnZ8FqO

有希がソフト部をやめると言った次の日には、顧問に退部届けをだした。

流石に驚いた顧問は有希をなだめたらしが、有希はまったく聞く耳をもたなかった。

この話はすぐに全校に広まり、話題となった。

さらには校長からの呼び出し、後援会からの呼び出し、と波紋をひろげたのだが、ついに有希は考えを変えようとしなかった。


524 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 01:31:44.76 ID:BmHnZ8FqO

さらに事を大きくしたのが、朝倉だ。

朝、有希が登校してくるとすぐに朝倉が詰め寄ってきた。

朝倉「あんた、本気だったのね?この前の話し」

有希「またその話?もぅいい加減あきたわよ。なに?私がいないと試合に勝てないわけ?あんたたちどんだけ弱いのよ?まぁ、どうしてもっていうんなら気が向いた時だけ……」

バシーーン!!

教室が固まった。朝倉が有希に手を上げた。有希が朝倉に飛び掛かる。

そっからは無茶苦茶だった。二人は机や棚を薙ぎ倒しながらもみくちゃ。女子生徒が先生を呼びに教室から駆け出る。男子は固まったまま なにもできず。ようやく教育指導の先生が来て止めに入ったが二人はすでにボロボロだった。

527 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 01:33:06.53 ID:BmHnZ8FqO

それからの二人は一言も言葉を交わすことなく終業式を迎えた。


鉛筆を持ちながら有希の顔を見る。有希はまったく普段通りだ。

有希「ちょっと。ぼーっとしてないで手を動かしてよ!」

キョン「わかってるよ。」
有希、お前は本当にこのままでいいのか?

夏休みは長い。時間が解決してくれることを信じてながら、五日間、朝から晩まで鉛筆を走らせていた。

529 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 01:42:35.63 ID:BmHnZ8FqO

キョン「終わった……」

有希「凄いじゃないきょんくん♪こんなに頑張ってるのはじめてみた!やっぱり私の事を思ってるからなんでしょう?♪」

キョン「まぁな」

別の意味で…

有希「ふふっ♪宿題も終わった事だしさっそく私からのお願い♪」

ソフトなやつで頼む

有希「三日後のお祭り一緒に行こう♪」

キョン「なんだ?そんな事か?」

530 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 01:57:35.18 ID:BmHnZ8FqO

有希「なんだってなによぉ…私、すっごい楽しみにしてるのに…」

キョン「わ、悪かったな。別にかわまんよ?特に予定もないし」

有希「じゃあ、約束ねっ♪」

有希とゆびきりをする。

有希「それじゃ、私これから用事あるから!それじゃ、三日後ね!」

というと年甲斐もなくスキップしながら我が家をあとにした。

531 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 01:58:38.39 ID:BmHnZ8FqO

俺は少し安心していた。
最近の有希はかなりおかしかった。いや、まるで別人だった。

しかし、二人でいるときの有希は昔から俺の知る有希そのものだった。

やっぱり有希は可愛い。あの笑顔を見ていると安心する。やっぱり時間が解決してくれるんだ。

俺は三日後の有希の浴衣姿を想像しながら深い眠りについた。

535 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 02:30:04.46 ID:BmHnZ8FqO

翌日を俺は何もすることがなく、ただ部屋でゴロゴロ過ごす。途中妹の遊んでコールで邪魔がはいったが、久しぶりの一人の時間を過ごしていた。

さらに翌日、有希からメールが届く。

有希『浴衣買いました(^-^)すっごい可愛いから期待しててね(*/ω\*)』

この前の用事ってのはこのことか?と返信。

有希『せいかぁい♪沢山種類があって選ぶのに今日までかかっちゃった(>_<)』

そんなに楽しみなんだな、祭り…



536 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 02:31:04.06 ID:BmHnZ8FqO

その後、普段のメールやりとりをして携帯を置く。

浴衣か……

財布の中身を確認する。少し寂しい気もするが……

キョン「俺も浴衣買いに行くか。」


せっかく、有希が気合いを入れてるんだ。俺も少しは応えてやらないとな。

俺は身仕度を整え、駅前にむかった。

537 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 02:32:20.13 ID:BmHnZ8FqO

久しぶりの駅前。

最近、色々あったからな…… たまには一人の買い物でも楽しむかな。

目的の浴衣屋は少し離れている。その道を歩きながら、服屋やゲーセンなどフラフラしていた。



やる事がだんだんなくなってきたので、そろそろ浴衣屋に向かおうかと本屋から出たとき、後ろから声をかけられた。

539 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 02:40:42.32 ID:BmHnZ8FqO

??「あれ?あんた何してるのこんなところで。」
後ろを振り向く。

あれ、名前なんだっけ?たしか…… 思い出せない。。 俺の様子に気付いたのか彼女が言葉を続けた。


ハルヒ「ちょっと、人の名前を忘れるなんていい度胸してるじゃない。」

思い出した。涼宮ハルヒだ。顔はよく覚えてるんだが……

キョン「す、涼宮さんですよね?買い物にきてたんですけど」

ハルヒ「涼宮さんなんて呼ばないでよ、気持ち悪い。ハルヒでいいわよ。あと、その変な敬語もやめて。」

キョン「ハルヒ……こそこんなところで何を?」

ハルヒ「なんであんたになんか言う必要があるの?」
キョン「…。」



542 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 02:50:23.98 ID:BmHnZ8FqO

ハルヒ「まぁ、いいわ。あんたこれから暇?暇なら少し付き合ってよ。」

キョン「今から?」

ハルヒ「そうよ?」

しかし、この前あったばかりの人と二人でどこかに行くのも何かこう、気まずい空気になりそうなので断ろうかと考えていたら

ハルヒ「はっきりしないやつね!ほらいくわよ!」


と、なされるがままに連れて行かれる俺だった。

543 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 02:52:10.33 ID:BmHnZ8FqO

連れていかれたのは、駅前の喫茶店だった。

ハルヒ「ここ、私のおすすめのお店なの」

キョン「もしかして、ここがあのナントカ団の集会ところ」


ハルヒ「sos団!」

キョン「そうだったな。」

ハルヒ「まったく、あんたは人の話聞いてんの?まったく。」

キョン「すまん。」


相変わらずの性格だな。顔は可愛いのに……

546 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 03:03:22.67 ID:BmHnZ8FqO

席に着いた二人はアイスコーヒーをたのんだ。

キョン「そうえば、sos団って普段は何してるんだ?この前秘密とか言われたから余計気になって。」

会話がなくなるのを恐れ、心にもないことを聞く。

ハルヒ「まぁ、あんたなら話していいかもね…」

それから俺は涼宮ハルヒによる宇宙人、未来人、異世界人、超能力者の話をえいえんと聞かされた。どうやら、sos団はそいつらと一緒に遊ぶことを目的としているらしい
さらには、街にある不思議をを探すため、休みの日を利用して街中をあるくらしい。


547 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 03:04:36.77 ID:BmHnZ8FqO

しかも、ハルヒは四年前の七夕の日に東中の校庭に宇宙人へのメッセージを書いた事も話してきた。


キョン「まさか、あの時のナスカの地上絵みたいなやちを書いたのが……」

ハルヒ「そうよ。」


当時のことはよく覚えてる。
新聞の地方欄にでかでかと航空写真でのっていた。

632 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 21:12:16.34 ID:BmHnZ8FqO

帰りました。再開です

しばらく地元はその話題でもちきりだった。色々な憶測がながれたのだが、結局、オカルトマニアのいたずらだろうということで、幕をおろした。


ハルヒ「たいへんだったのよ?石灰っていうんだっけ? かなり重いのよねあれ。終わったときはすでに朝方だったの。」

俺は少し呆れていた。永遠電波な話を聞かされたあげく、実際にこいつは行動まで起こしていたんだ。

もしかして、谷口の言ってた学校中を振り回した女ってこいつのことか?

636 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 21:21:00.78 ID:BmHnZ8FqO

それよりこんな初対面同然の奴になんでこんな話をわざわざしてくるんだろう……

ふと、時計を見る。ヤバイ!そろそろ閉店時間だ。そろそろ向かわないと間に合わない。
俺が席を立とうとするのをハルヒの言葉がそれをともる
ハルヒ「あんた、有希と付き合ってたりすんの?」

時間に終われている俺は適当に応える。

キョン「いや、べつに」

話を広げないようにする

するとハルヒは何かを考えている。

よくわからんやつだ。すまんがお前にかまってる時間がないんだ。失礼するぞ。俺が伝票を手にし、立ち上がった。



637 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 21:29:42.76 ID:BmHnZ8FqO

会計をすまし、外にでる。
キョン「じゃあ、俺行くから。またどっかでな。」

ハルヒ「ちょっと待って!」

キョン「?まだなんかあるのか?」

ハルヒ「あ、あのさ…今日話に付き合ってもらったし、奢ってもらったしさ……お礼といっちゃなんなんだけど、明日のお祭り一緒にいってあげる!」

キョン「いや、明日は…」

ハルヒ「へ、へんな誤解しないでよ!お礼よ、お・れ・い!どうせ毎日ひましてんでしょ?せっかく夏休みだし、あんたの暇潰しに付き合ってあげるだけ!」

キョン「いや、だから…」

ハルヒ「明日、駅前に7時に待ち合わせね!遅れたら死刑だから!」

といって帰ってしまった。おぃおぃどうすんだよ…俺はやつの連絡先を知らない。有希は知ってたはずだが……聞けない。


639 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 21:36:53.04 ID:BmHnZ8FqO

とりあえず用事をすましてから考えることにしよう。
店はすでに閉店の音楽がなっていたので、有希が好きな白を基調とした浴衣を選んだ。 もっとゆっくり見たかったのに…


あぁ、どうしよう。


時間は俺のそんな気持ちをまったく気にも止めず過ぎていった。


640 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 21:43:15.88 ID:BmHnZ8FqO

有希と待ち合わせは6時。落ち着いて家にいることができず、約束の一時間前にきていた。 さすがに有希もまだ来てない。

ハルヒの事を考える。あいつとの約束までは2時間ある。 途中、有希と別れて駅前にいき、断ってくるか。
いや、駄目だ。有希は間違いなく俺についてくる。ハルヒとあった事を黙っていたのに、さらに祭りの約束してたなんて知られたら……

一時間も待ち合わせ場所にこないなら、流石にかえるだろ。と結論にいたる。

641 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 21:48:37.48 ID:BmHnZ8FqO

「あれ?きょんくんもう来てたの?」

後ろを振り替える。

キョン「あぁ……」

俺は目を奪われた。

そこには通りすがる人すらもチラチラ見てくるほど、可憐な浴衣姿の女性が立っていた。
花柄の白を基調とした浴衣、少しのびた髪をアップにして綺麗なうなじが見える。さらに今日は唇にグロスが塗られていた。

やばい。 俺は唇フェチなんだよ。。

俺は有希をなめ回すように見入ってしまった。

642 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 21:49:37.46 ID:BmHnZ8FqO

有希「やだ、そんなに見ないでよ……へ、へんかな?」

キョン「いや、凄い可愛いよ。まじで」

有希がほのかに笑う。

有希「よかったぁ。。昨日何時間も鏡の前に立ったかいがあったよぉ♪」

有希「それにキョンくんとお揃いだね♪」

はっ!と自分と有希が世間でいうペアルックになっている事に気付き、少し恥ずかしくなる。


644 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 21:50:35.09 ID:BmHnZ8FqO

そんな事を気にも止めず有希が俺の腕を取る。

有希「ちょっと早いけど、行こっか?」

キョン「そ、そうだな!」
有希「楽しみぃ♪ねぇキョンくん!チョコバナナ一緒に食べようね♪」

キョン「そうだな。あっ、お前あんまり無駄遣いするなよ?」

有希「はぁい♪」


いつもの二人の会話。俺はすっかりハルヒの事を忘れ、これから有希と回る祭りに思いはせていた。


二人が祭りの会場に向かうバスに乗ったその同時刻。もうひとりの可憐な女性があらわれた。

645 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 21:51:28.90 ID:BmHnZ8FqO

有希と回る祭りは想像以上に楽しかった。
学校に居たときのような面影は無く、普段の有希に戻っていた。

有希「ねぇねぇ、きょんくん!このお面可愛くない?」

キョン「なんだその無機質なウルトラマンみたいなお面は?もっと可愛いやつあるだろ?」

有希「キョンくんわかってないなぁ。これが結構ツボにくるんだよ?」

笑いながらお面を手にして頭にかぶせた。

有希「どう?」

うん。今のお前はなんだって似合うよ。

653 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 22:41:26.43 ID:BmHnZ8FqO

それからいろいろ祭りを楽しんだ。

お化け屋敷。有希がキャーキャーいいながら俺に抱きついてくる。胸があたってますよ……

射的。
「…おじょうちゃん。そろそろ勘弁してよ。」 有希の手にはおもちゃがいっぱい。流石だな。

金魚すくい。
「お前、その大量の金魚どうするつもりなんだ?」

怪しい手相占い
「むむっ。あんたには女難の相がでてますな。」
……。


654 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 22:42:21.11 ID:BmHnZ8FqO

……


2人は最後に予定にある花火会場に居た。

有希「あぁ、ついにおわっちゃうねぇ……」

キョン「祭りなんてまだまだいっぱいあるだろ?」

有希「あぁ、これだからキョンくをは…」

キョン「なんだよ?」

有希「私はここの花火が楽しみだったの。」

キョン「?」

有希「見てればわかるよ♪」

655 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 22:43:21.97 ID:BmHnZ8FqO




花火があがる。

上空で花開く。


有希「見て…」

有希が海面を指差す。

なるほどな…


海面に花火が反射してまるで万華鏡ののように姿形を変える。

有希「きれい……」


ぼーっと花火を見る有希の横顔を見る。


俺はこいつを守っていけるのかな。ずっと一緒にいてやれるのかな。



657 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 22:44:26.10 ID:BmHnZ8FqO

有希「ねぇ、キョンくん…」

キョン「なんだ?」

有希「私たち今までずっと一緒にいたじゃない?だからいるのが当たり前みたいなかんじになってるでしょ?」

キョン「まぁ、な。」

有希「よく友達が言うの。『そんなの刺激のなくなった惰性でつきあってるカップル』ってね。」

キョン「そうかもな。」

有希「私は違うと思うの。そりゃ、たしかに刺激がないのはつまらないけど、それ以上に隣に居て当たり前の存在がいるってことが大切だと思う」

キョン「……」

有希「私はね、キョンくん。やっぱりあなたが好きなの……ずっと隣にいてほしいの。」



658 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 22:45:36.35 ID:BmHnZ8FqO

なんか昔にもこんな約束を交わしたような気がする。
なんだろう。なにか忘れている。

有希はずっとこちらをみている。
その眼差しは真剣だ。

俺はどうしたいんだろう。たしかに有希のことは好きだ。 だけど、何かが足りない。

自分にかけているパーツを見つけられない。

659 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 22:46:30.54 ID:BmHnZ8FqO



キョン「すまん。少し時間をくれないか?」

有希「わかった……」


その後、会話がなくなり二人の存在をかき消すように虚しく花火があがり続けた。

660 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 22:47:26.48 ID:BmHnZ8FqO

帰りのバスのなか、俺はずっと自分を責めていた。

せっかく有希が楽しみにしていた祭りを。有希が真剣に話してくれた思いを。なんだかわからない感情だけで

台無し。


有希になんか話し掛けなくてはと思いつつも言葉が見つからない。


ただ、バスの中から見える外の景色をながめるだけだった。

661 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 22:48:11.88 ID:BmHnZ8FqO

バスが駅前に差し掛かる。

そういえば、あいつどうしたかな。
すでに時刻は11時近かった。

キョン「まさかな…」

無意識に姿を探す。



そんな……。


駅前の花壇の椅子に一人すわる黒髪の少女がそこには居た。

662 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 22:50:13.66 ID:BmHnZ8FqO

あいつ今までずっと待ってたのか……

キョン「悪い有希!ちょっと忘れ物したからもどる!」

有希「えっ?ちょっ…キョンくん!!」


俺は運転手に急いでバスを止めてもらい。駆け降りると駅前へ全力で走った。


はぁはぁはぁ……


少女の前に立つ。

663 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/06(土) 22:51:32.36 ID:BmHnZ8FqO

ハルヒ「あら?遅かったわね。私を待たせるなんていい度胸ね。」

キョン「……」

ハルヒ「祭り終わっちゃったわね。まぁ、いいわ。また今度どこかにいきましょう?」

キョン「……。」

ハルヒ「私は帰るわ。ちょっと疲れたから。」

ハルヒが家路に付こうとする。

キョン「なんでだよ!なんで会って間もない俺の為にここまで…。」

ハルヒがこちらを向いた。

696 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 00:08:27.84 ID:qCLy6Bt/O


暗やみで彼女の顔がよく見えない。

ぽたっ ぽたっ

泣いてるのかハルヒ…

ハルヒ「わからない。分からないのよ私にも…あんなに試合で出会ってからずっとずっとなの……」

ハルヒ「あなたの事があたまから離れないの。ずっと前から知ってるような…そんな気持ちでいっぱい……。」

ハルヒ「あなたを街でみかけたとき、嬉しかった。だからなんかあなたと話せば何かわかると思ったの……」

ハルヒ「そしてわかったわ。……

ハルヒ「私はあなたが好き…」

702 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 00:16:28.71 ID:qCLy6Bt/O

頭が割れるように痛い……
その場に立っていられなくなる……

キョン「な、なんだこれ…」

頭の中にハルヒの言葉が流れ込んでくる。
『あなたが好き。』

ノイズが走る。





キョン「長門…思い出したよ…」



705 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 00:17:41.72 ID:qCLy6Bt/O

ハルヒ、古泉、長門、朝比奈さん。。

そうだ。俺はsos団の団員だった。

6月の上旬。二人からの告白を受けた。 しかし、俺は長門を一人にすることができずに、この異世界へと来たんだ。


ハルヒが泣いている。




あぁ、そうなんだ。今わかったよ。長門…




俺はハルヒが好きなんだ。。

710 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 00:26:54.74 ID:qCLy6Bt/O



おれがハルヒに向かって歩きだしたその時。


長門「やはりこの世界を選ぶべきではなかった。」

長門?

長門「ワーニングモードへ移行。パーソナルネーム涼宮ハルヒを敵性と認識。」
世界が一変する。この景色は覚えがある。

長門「この空間を私の制御管理下においた。もぅ、にがさない。」

711 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 00:27:53.10 ID:qCLy6Bt/O

キョン「どういう事だ?長門!」

長門「私はこの世界に来る前、こういう事態になることを予想してた。本来なら涼宮ハルヒなどいない世界にいくつもりだった。あなたへの配慮。」

キョン「配慮?」

長門「そう。私のわがままで異世界に連れていった。せめて少しでも元の世界へ近いところへ連れてきた。」

長門「しかし、やはり間違いだった。」


712 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 00:29:05.01 ID:qCLy6Bt/O

長門「このような事態へ備え、私は『有希』に特別なプログラムを書き込んでいた。そのプログラムは『有希』が涼宮ハルヒに接触するこにより起動。待機モードに移行した。さらに、その涼宮ハルヒにも『力』があった。」

キョン「まさか…」

ハルヒをみると怯えたようにこちらも見ていた。


長門「涼宮ハルヒは無意識的に元の世界の彼女と記憶をリンクさせた。 完全な形ではないにしろ、それだけで私には驚異。」




715 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 00:32:17.31 ID:qCLy6Bt/O

長門「だから私は『有希』にたいして涼宮ハルヒ『抹殺』のプログラムを書き込んだ」

私が私でなくなる。
このことだったのか。

長門「本来ならあなたは記憶を取り戻すはずではなかった。誤算。涼宮ハルヒがあなたへの気持ちに気付いた時点で彼女を殺して情報操作をする予定だった」

長門が泣いてる



長門「今さら止められない…キョンくん……」

有希がかいま見えた……



723 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 00:41:46.39 ID:qCLy6Bt/O

長門「あなたは元の世界に戻って…」

キョン「お前はどうするんだよ!?」

長門「私はもう疲れた。恋もなにもかも。ただ、あなたを取られるところをみたくない。こちらの世界の彼女を殺して1人で生きていく。」

ナイフを取り出した。


長門「ごめんなさい。もぅ終わりましょう?」


ナイフがハルヒにせまる。

間に合わない。



「ハルヒーーーーー!!!」

729 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 00:47:53.67 ID:qCLy6Bt/O



???

長門が止まっている。


長門「そんなはずは…。」

ハルヒが立ち上がりこちらを見た。

ハルヒ「途中から全部みえてたわよ。」

俺にはなんのことだかわからない。

ハルヒ「久しぶりね、キョン・有希。」

気付いた。こいつは元の世界のハルヒだ。


732 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 00:55:17.83 ID:qCLy6Bt/O

キョン「お前どうやって……」

ハルヒがため息をつく。

ハルヒ「あんた今まで何見てきたの?しかし、へんな力が私にもあったもんね。」

まさか、、

ハルヒ「そう、私は願ったの。2人を見つけたいって」

キョン「け、けど…どうやって気付いたんだよ。たしなあっちには長門がつくったもうひとりの俺がいただろう。しかも、お前は記憶を消されてたんじゃ?」

733 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 01:02:11.71 ID:qCLy6Bt/O

ハルヒ「あんな人形すぐにボロが出たわよ。気付くのに1週間かかったけどね。」

長門「気付くはずはない。私のつくった彼は完璧だった。」

ハルヒ「有希…?人はね、いろいろな感情があるの。たとへあなたが百年かけようが、完璧なその人は作れないのよ。私だってただあなたたちとすごしてきたわけじゃないの…sos団ってそんなちっぽけな存在だった?」

長門「……」

736 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 01:08:05.38 ID:qCLy6Bt/O

ハルヒ「そっからが大変だったわよ。古泉くんにあたしの事を全部教えなさいって、最初はうまくごまかしてたけど、死んでやるって言ったらすぐげろったわ。」

キョン「古泉……。」


ハルヒ「この世界もすぐに見つけられたけど、有希が何かしてたのかな?うまくこっちに伝達できなかったのよ。」

ハルヒの力は長門の思っているよりも遥かに強いちからだったんだな。

738 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 01:14:44.43 ID:qCLy6Bt/O

ハルヒ「それがさっき急に弱くなったのよ。きっとこの世界を作るのに力使っちゃったのかな? そのすきにこちらの世界に意識だけ飛ばしてきたわけ。わかった?」

わかった…

ハルヒ「まぁ、いいわ。それより有希。」

長門は震えている

長門「私は取り返しのつかない事を…」 バチン

ハルヒが長門に平手打ちされた

746 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 01:22:51.00 ID:qCLy6Bt/O

ハルヒ「たかだか一人の男を取られたくらいでこんなことしちゃダメよ。いい有希?人はね失恋したり、挫折したりする事で強くなってくの。一回の恋愛で自分を見失わないで…有希はきっとできるわよ?あたしが言うんだから間違いないわよ!」

長門「……私もあなたみたいになれる……?」


ハルヒ「私みたいにならなくたっていいの。有希は有希らしく強くなっていくの。いい?」

長門 コクン

750 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 01:35:07.56 ID:qCLy6Bt/O

ハルヒ「さぁ、元の世界に戻るわよ!」

さすがわ我らが団長だ。肝が座ってらっしゃる。

長門コクン

長門が高速詠唱しはじめる。

752 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 01:38:41.17 ID:qCLy6Bt/O

ハルヒ「あっ、ちょっと待って有希。一つお願いがあるの。」

長門「なに?」

ハルヒ「私の記憶を消してほしいの。この世界のことも、力の事も、キョンへの気持ちも。」

長門「いいの?」

755 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 01:41:45.53 ID:qCLy6Bt/O

ハルヒ「いいの、いいの。なんか後味悪いし、こんな力あるって気付いちゃったんだから何するかわからないわよ?」

それは困る。

長門「わかった」


ハルヒ「それにね、私はきっと…」








きっとまた貴方を好きになる。

762 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 01:51:54.50 ID:qCLy6Bt/O



元の世界に戻ってきて一週間がたった。

古泉「さすがですね。私も是非その世界に行ってみたいものですね。」

お前は絶対に連れていかん。

異世界の話は古泉には真実は話してない。
天蓋領域からの攻撃にたまたま俺が巻き込まれたことにしてある。流石は長門だ。

古泉「まぁ、またあなたに会えてよかったですよ。」
含み笑い。こいつなんか知ってやがるのか

とりあえず色々あったがまたおれは普段の生活がもどっていた。

765 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 02:01:57.13 ID:qCLy6Bt/O

あれから少し変わった事がある。


長門だ。

前の異常な程の執着心はなくなり、今も部室で本をよんでいる。が……

ハルヒ「やっほー!!」

勢い良くドアがあく。

ハルヒ「キョン!映画のタダ券手にはいったんたけど来週一緒にいかない?」

来週は…

長門「ダメ。来週は私と図書館にいく約束。」

ハルヒ「なによ!有希抜け駆け!?」キー

長門「あなたもおなじ」
…………
バタバタと騒ぎはじめた。やれやれだぜと、ふと窓の外を見る。

768 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 02:09:25.60 ID:qCLy6Bt/O

外ではソフト部が練習していた。

有希がんばってるかな?全国大会いけよ。 そっちの俺とは幸せにやってるか?
物思いにふける。

しかし、後ろのドタバタで現実に引き戻される。

長門がハルヒのチケットを持って逃げ惑う。ハルヒがそれを追い掛ける。朝比奈さんがお茶をこぼす。古泉が苦笑する。

俺がほしいのは宇宙人でも未来人でも超能力者でもましてや異世界人でもない。
おまえらがここにこうしている日常。

そうさ。俺はこんな日常をまってたのさ


なぁ?ハルヒ?


……………完……………

774 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 02:14:39.17 ID:qCLy6Bt/O

長い間ありがとうございました。
話の途中から長門の暴走をどうやってとめるか悩んだあげく、力技でいきました。やはり長門が一番可愛いので

今まで付き合っていただいた方に感謝します。質問、要望、意見があれば↓

781 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 02:20:34.16 ID:U3GWrfDr0

よかった乙
でもどうしてハルヒはキョンへの感情まで消すように頼んだの?

783 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 02:21:36.50 ID:he0GO0pD0

みくるの出番が極端に少なかったのは何故?

785 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/07(日) 02:29:10.57 ID:qCLy6Bt/O

>>781 狂ってる長門じゃなくて、対等な立場で勝負したかった。という

>>783 書きながら気付いたんですが、非常に扱いにこまるです。

813 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 10:54:54.22 ID:qCLy6Bt/O

>>661

バスが駅前に差し掛かる。

そういえば、あいつどうしたかな。
すでに時刻は11時近かった。

キョン「まさかな…」

無意識に姿を探す。



いない……よな。



駅前には静かな時が流れているだけだった。




814 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 10:57:11.37 ID:qCLy6Bt/O



バスが黒い煙を吐きながら去っていく。


キョン「 悪かったな。今日は…」

有希「いいの!私のほうこそごめんね…せっかく楽しかったのに私のせいで台無しだね。」

キョン「有希…。」

有希「気にしないで!キョンくんにとっては私は幼なじみだもんね?そりゃ、いきなり付き合ってくださいは考えちゃうよね!」

違う。違うんだよ。

有希「あぁ!なんか考え事してたらお腹減っちゃった。返事は気長に待ってる!じゃあね!」


そういうと、有希は走りながら帰ってしまった。

816 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 11:01:35.96 ID:qCLy6Bt/O


俺は家につくと傾れ込むようにベットに入った。今日は色々ありすぎて疲れたな。

あぁ、有希の事を考えなくちゃ……

そうだ。ハルヒにもちゃんと謝らないとな……


気付くと俺は深い深い眠りについていた……

818 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 11:09:04.30 ID:qCLy6Bt/O

>>815 せっかくなんで。落ちるか>>1000まで


俺は夢を見ていた。

見覚えの無い部屋。まわりにはパソコンやら本やら、色々な物が置いてあった。

ここは何処だ? 当りを見回す。 なんだか懐かしい感じがする……


人を探そう。

部屋を出る。周りの景色がなにもかも灰色の世界。



820 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 11:17:13.12 ID:qCLy6Bt/O



体育館、教室、廊下、あらゆるところを見て回ったが、誰一人として見つけられなかった。


あきらめて部屋に戻ろうと窓の外を見た。


校庭の真ん中に少女がいた。

急いで外にでる。

少女は中学生くらいだろうか、何やら白線引きで一生懸命何かを書いている。

キョン「なぁ、お前なにやってんだ?」

821 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 11:23:14.53 ID:qCLy6Bt/O

声をかけたが、返事がない。聞えていないのだろうか?

キョン「なぁ、ここはどこなんだ?」


やはり返事がない。

何時間立ったろうか……。俺はただ少女の後ろ姿を見ているだけだった。

少女の手が止まる。どうやら終わったらしい。

少女がはじめて口を開いた。

823 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 11:31:43.76 ID:qCLy6Bt/O



?「お願い事をしてるの。」

キョン「お願い事?」

?「そう。織姫と彦星に…」

キョン「……」

少女の書いた線をよく見てみると何か文字のように見える。

キョン「なんて書いてあるんだ?」

?「……あなたはそれを知ってるはずよ?」

キョン「俺が?」

思い返す。俺はこの言葉を知っている。けど、思い出せない。 なんだろう。すごい大切なもののような気がする

825 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 11:41:11.73 ID:qCLy6Bt/O



キョン「ごめん思い出せない。」

少女は下をうつむいてしまった。


なんか申し訳ない気がする。

?「じゃあ、教えてあげる。私は…………」

急に少女の体が光に包まれると、少しずつ消えていく。

キョン「お、おい!」

?「気付かれたみたい。」


828 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 11:50:46.51 ID:qCLy6Bt/O



少女が向いた方を見る。

有希? ハッキリとは見えないがたしかにあいつの顔だ。

しかし、制服が違う。それは北高のものだった。

何やらブツブツと何かをいっている。早口すぎて聞き取れない。

少女が消えてしまった。

すると景色にヒビが入り、粉々に砕けていく。


『無』それだけになった世界で俺と有希?は向かい合っていた。

829 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 11:58:33.04 ID:qCLy6Bt/O



「あなたはここに来てはならない。」

有希?が口を開く。

キョン「ちょっと待て、ここはなんなんだ?それにお前は誰なんだ?」

同じ顔、同じ姿をしているがこいつが俺の知っている有希じゃないことはわかる。

「………」

何も言わず、俺に手をかざすとまた早口で何かを喋っている。
すると俺の体も透けはじめ、消えていく。

キョン「おい!まだ答えを聞いてない!まだ聞きたいことがあるんだよ!!」



そこで俺は目をさました。


832 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 12:15:45.72 ID:qCLy6Bt/O

俺はすぐさま起き上がると周りを確認した。

キョン「俺の部屋だ。」


とりあえず俺は安心して再びベットに横になった。

しかし、かなりリアルだったな。夢と現実の境目にいるような感覚だった。

あの少女はハルヒだったねか?喫茶店での話を思い出す。あいつの話とまったく展開が似ている。

キョン「宇宙人って、織姫と彦星の事だつたのか…それにあの絵の意味って…」
いくら考えてもわからなかった。

833 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 12:22:10.21 ID:qCLy6Bt/O



それにあの場に姿を現した有希。彼女はいったい…

もぅ一度寝よう。もしかしたら続きを見れるかもしれない。

俺の願いはあっさり打ち砕かれ、夢を見ることなく昼過ぎまでただ寝るだけとだけとなった。

835 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 12:35:12.87 ID:qCLy6Bt/O



昼過ぎに下におりていと妹と母親がリビングで何やら騒いでいた。


妹「きょんくん、おはよう!起きるの遅いよっ!」

キョン「ちょっと昨日疲れてたんだ。夏休みだから別にいいだろ。」

妹「だらしないなぁ。それよりキョンくん!大変なことになってるよ!」

キョン「なんだ?」

妹がテレビを指差す。ニュースね内容を聞いた俺は、今日の新聞をテーブル一面に広げた


キョン「……まじかよ。」

837 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 12:46:59.86 ID:qCLy6Bt/O



『期待の南。まさかの初戦突破ならず。』


新聞には泣き崩れる南高ナインの姿が写っていた。そこにはもちろん朝倉の姿もあった

いてもたっても入られず朝倉に電話する。でない……
俺はすぐさま着替えると携帯を忘れている事にも気付かず家を飛び出した

839 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 12:57:21.48 ID:qCLy6Bt/O

朝倉の家までチャリを全力で漕いだ。汗まみれの俺は朝倉を呼び出そうと、携帯を探したが俺は携帯を置いてきてしまったことに今更気付く。

有希の家とちがって朝倉の家に訪ねるのはこれが初めてだ。 親が出ない事を祈りながらインターホンを押す。

ガチャ

ドアが開く。そこには見知った顔が出てきて少しあんどする。

キョン「よう。朝倉…」

ひどい顔だ。目元が赤くはれあがっている。泣いてたのか…

840 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 13:05:51.14 ID:qCLy6Bt/O



キョン「ちょっと話したいことがあるんだが…」

朝倉「……ちょっと待ってて。」

朝倉が奥へとはいり、何やら親と話している

朝倉「いいわよ。あがって」

俺は朝倉に案内されながら二階へあがった。


初めて入る朝倉の部屋。有希の部屋と違いかなり可愛い部屋だった。普段ならドキドキするんだろうが、今の俺はそんな気持ちになれなかった。

843 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 13:19:22.36 ID:qCLy6Bt/O



キョン「悪いな急に、まぁだいたいきた理由はわかってると思うが…いったいどうしたんだ?」


いくら有希というエースがいなかったとはいえ、他の高校にいけば間違いなくトップに君臨できる猛者の集まりである南高が初戦敗退なんて…信じられん。


朝倉「チームはバラバラだった…」

朝倉「有希が部活をやめて以来、仲間どうしで衝突しはじめたの。もともとエース級の集まりでしょ?その中でも有希は頭三つ分くらい上をいってたわ。もちろん皆、有希を認めていたわ。」

キョン「……」

845 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 13:40:34.76 ID:qCLy6Bt/O

朝倉「有希は私たちのチームのまとめ役だった。彼女は自覚なかったかもしれないけど…この自己主張の強いチームは彼女の下だからこそうまく機能していたの。
それが有希が辞めたのにきっかけに崩壊したわ。まるでダムのようにね…大量の水を貯えるには大きく丈夫なダムが必要でしょ?そのダムがなくなってしまえば後は一気に流れだすだけ……」

言葉に詰まる朝倉をじっと待つ
朝倉「最初はね、小競り合い程度だったの。それは昔からあった事を事だから気にも止めてなかったわ。ただ、それが皆の中で不満としてたまり続け、爆発したの。そうなったが最後、練習すらまともに出来なくなったわ。あとはみんなの知っている通りの結果になったわけ。」

なんか申し訳ない……

846 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 13:49:24.68 ID:qCLy6Bt/O



朝倉「あなたが気にする事じゃない。勘違いしないで。これは私たちのチームの問題なの。」

朝倉「全国レベルの私たちも蓋をあけたら、有希がいないとなーんも出来ない弱カスだったってこと。」


…………

朝倉「あぁ、なんか愚痴ったらスッキリしたわ!うん。やっぱり1人で抱えるのはダメね♪」


俺は何も言えない。ただ聞いてるだけ…俺はなにやってんだ。

848 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 14:00:34.04 ID:qCLy6Bt/O



そんな俺の様子をみかねてか、朝倉がため息をしながら

朝倉「あんたね、私がこんなところで終わる女だと思ってるわけ?みくびられたものね。私はこうみえて執念深いのよ!みてなさい。来年はきっと全国にいくわ!」

それにね……と少し前にいけばキスできてしまうほど顔を近付けてきた。
胸が高鳴る。こんなときに何考えてんだ俺!

朝倉「元気のないあなたを見てると私まで辛い……」
どういう意味なんだ……それは

849 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/07(日) 14:14:05.29 ID:qCLy6Bt/O


ぱっと離れ後ろを向く朝倉。

朝倉「さっ!帰った帰った!陰気臭いのがいるとこっちにまでうつっちゃうわ。」

結局押し出されるように玄関まで出た。

キョン「なんか逆に励まされちゃったな。」

朝倉「いいの♪わたしも気分が晴れたからお互い様よ。有希と仲良くやるのよ?それじゃ、またね♪」

俺は家路に着いた。


……
朝倉「まったく…」
朝倉は俺の背中が見えなくなるまで見送り家にはいった。

その時、道路の影からそんな二人の様子を見ているものがいた。

その目に狂気をやどして



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