1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 21:52:50.68 ID:LxtBTbiiO
古泉「おや? これはどういった風の吹きまわしですか?」
キョン「最近、ハルヒの弱点が分かったのさ」
古泉「弱点…ですか」
キョン「ああ。これがなかなか反応が面白いんだ」
古泉「…ほどほどにして下さいよ?バイトは嫌ですから」
キョン「大丈夫だろ。証拠は無いがな」
古泉「でも、興味はありますね」
キョン「だろ?」
古泉「少し様子を見させて貰いますよ」
キョン「ああ、珍しいハルヒが見れるかもしれないぜ?」
バン
ハルヒ「みんないる!?」
キョン「…よ、ハルヒ。遅かったな」
ハルヒ「あれ?まだキョンと古泉君だけ?」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 21:53:54.90 ID:LxtBTbiiO
古泉「はい。長門さんはコンピ研に行きましたよ」
キョン「朝比奈さんは分からんな」
ハルヒ「そう。ま、いいわ!聞いて聞いて!」
キョン「何だ?」
ハルヒ「あたし、ついに宇宙人を見たのよ!!」
キョン「へ?」
古泉「……」
ハルヒ「ほらっ!これが証拠写真よ!」スッ
キョン「どれどれ…」
古泉「ふむ…」
ハルヒ「……」
キョン「……」ジー
古泉「……」ジー
ハルヒ「ど、どう?」ドキドキ
キョン「……」ジー
古泉「……」ジー
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 21:56:17.54 ID:LxtBTbiiO
ハルヒ「……何か言いなさいよ!」
キョン「…あ、ああ」
古泉「失礼しました…」
キョン「……で、」
古泉「…これは何でしょう?」
ハルヒ「う、宇宙人って言ってるじゃない!」
キョン「この黒いのがか?」
ハルヒ「そうよ!」
キョン「この粘土みたいなちっこいのを、お前は宇宙人だと言うのか?」
ハルヒ「……」
古泉「はは…」
キョン「やれやれ…」
ハルヒ「…ちょっと無理があったわね…」
キョン「有りすぎだ」
古泉「これはこれで面白いと思いますが」
キョン「何がだよ、全く…」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 22:01:02.28 ID:LxtBTbiiO
キョン「で?」
ハルヒ「ん?」
キョン「何でまたこんな下らない事をしたんだお前は」
ハルヒ「そ、それは…」
キョン「……」
ハルヒ「なんか最近、あんたにからかわれてばっかりだから悔しかったのよ…」
ハルヒ「だ、だからちょっとだけ驚かせようとしただけじゃない!」
キョン「逆切れすんな」
ハルヒ「してない!」
キョン「…ハルヒ、ちょっとこっちこい」
古泉「…!」
ハルヒ「え?」
キョン「とにかく、こっちに来いよ」チョイチョイ
ハルヒ「は!?」
古泉「おやおや…」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 22:05:58.18 ID:LxtBTbiiO
キョン「仲直りしないか?だからちょっと近くに来いって」
ハルヒ「な、仲直りって…」
ハルヒ「いつあんたと仲悪くなったのよ!」
キョン「今だろ?」
ハルヒ「……あたしは別に…」
キョン「なんだ、違うのか?ならいいんだが」
ハルヒ「えっ…」
古泉「……」
ハルヒ「嘘!嘘よ!あんたなんか大っキライよ!」
キョン「……」
ハルヒ「だっ、だから隣に座ってあげなくもないわ!」
キョン「そうか」
古泉「成る程…」
ハルヒ「……」テクテク
ハルヒ「……」ストン
キョン「……」
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 22:08:31.88 ID:LxtBTbiiO
古泉「……」ニヤ
キョン「もっとこっち寄れ。さっきとあんま変わらんだろ」
ハルヒ「あ、あんたが寄ればいいでしょ」
キョン「…なら勝手にやらせて貰うぞ」スッ
ガタ
ハルヒ「だめ!ちっ、近すぎる!」
キョン「近すぎて何が悪い」
ハルヒ「悪くないわよ!でもダメなの!」
キョン「……」
ガタ
キョン「ここらへんか?」
ハルヒ「……」
キョン「そんなに怒るなよ。仲直りの握手でもするか?」
ハルヒ「握手…」
キョン「ああ。握手だ」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 22:12:29.49 ID:LxtBTbiiO
ハルヒ「…あんたも結構子供っぽいところあるのね。仲直りに握手なんて」
キョン「嫌なのか?」
ハルヒ「嫌じゃないけど…」
キョン「ほら」スッ
ハルヒ「ぅ…」
古泉「……」ニヤ
ハルヒ「…ゃ…」
キョン「どうした?」
ハルヒ「……」
ハルヒ「…バカキョン!」ペシ
キョン「!!」
ハルヒ「またそうやってあたしをからかうんでしょ!バカ!」
キョン「へ?」
ハルヒ「しっ、知らないわよ!」ガタ
キョン「おいハルヒ!」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 22:17:17.72 ID:LxtBTbiiO
バタン
キョン「……」
古泉「……」
キョン「…とまあ、こんな感じだ」
古泉「あなたの言いたい事は、嫌と言う程わかりました」
キョン「からかってるつもりは無いんだが、あいつにとって俺はからかってるって事になってるらしい」
古泉「…分かってやってるんですよね?」
キョン「何がだ?」
古泉「いえ…だから…その…」
キョン「…?」
古泉「まさか…」
古泉「分かってないんですか?」
キョン「何が言いたい」
古泉「…困ったお方だ」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 22:20:38.88 ID:LxtBTbiiO
キョン「とにかく、ハルヒは俺からの誘いに弱いらしい」
古泉「…はい」
キョン「いつもあいつから強引に引っ張って行くくせに、俺から積極的な意見を出すと逃げてっちまうのさ」
キョン「そういえばこの前、一緒に飯食いに誘った時は大変だったな」
古泉「……」
古泉「…ちなみに、あなたは何故そうなると思うんです?」
キョン「ん?」
古泉「涼宮さんがあなたの積極的な意見を聞くと、逃げだす事についてのあなたの考えを聞いてるんです」
キョン「ん…ああ…そうだな……」
キョン「俺の事が嫌いなんじゃないか?もしそうなら俺も相当性悪だがな」
古泉「…本気で言ってるんですか」
キョン「…本気だが?」
古泉「ははは……、もう僕は疲れました…」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 22:25:36.76 ID:LxtBTbiiO
長門「……」ガチャ
キョン「よう長門」
長門「……」コクリ
古泉「…どうも」
長門「どうしたの?」
古泉「いえ…なんでもないですよ…」
長門「…そう」
キョン「どうだ古泉、お前もハルヒをからかってみたら」
古泉「……」
キョン「閉鎖空間は出てないんだろ?」
古泉「……そうですね、今度、僕も涼宮さんを食事に誘ってみます」
古泉「しっかり見てて下さいよ?」
キョン「ん? あ、ああ…」
キョン(俺が見る必要性はあるのか…?)
長門「…?」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 22:29:51.34 ID:LxtBTbiiO
ガチャ
みくる「失礼しまぁす…」
キョン(ここで天使が舞い降りた!)
みくる「あ、キョン君…!」
古泉「朝比奈さんも来たことですし、そろそろ今日の団活について考えませんか?」
キョン「おいおい、せっかく団長様が居ないんだ。それに、別に今更考える事でもないだろ」
古泉「すいません。僕、真面目なもので」
キョン「どうだかね…」
みくる「あ、あの、涼宮さんは…」
長門「涼宮ハルヒは今自宅へ向かっている」
キョン「帰ったのか」
古泉「みたいですね」
みくる「え?何でですか?も、もしかしてキョン君、また涼宮さんとケンカしたんじゃ…」
キョン「やめて下さいよ朝比奈さん。俺とあいつは、そんなにしょっちゅうケンカする程仲良くないですから」
古泉「……」
長門「……」
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 22:35:03.54 ID:LxtBTbiiO
翌日 放課後
ハルヒ「遅い!」
キョン「なんだ、俺が最後か」
ハルヒ「ぅー、駄目ね!全然駄目!」
キョン「何がだ。俺が遅いのはいつもの事だろ」
キョン(何故こんなこと自分で言わねばならん…)
ハルヒ「もっとビシバシやらなきゃ駄目ね…!特にキョンには!」
キョン「はぁ…」
ハルヒ「溜息ついたってあたしの考えは変わらないわよ? いいキョン!これからあんたはあたしの奴隷よ!」
キョン「やれやれ。とうとう頭がいかれちまったのかハルヒよ」
ハルヒ「黙りなさい。奴隷の分際で、崇高たるこのSOS団団長になんて口のききかたかしら!」
キョン「はいはいすいませんでしたハルヒ様。…それとも何か?団長様か?女王様か?」
ハルヒ「別になんでもいいわよ。とりあえず、あたし忘れ物したから取りに行って来なさい」
キョン「…結局いつもとさほど変わんねぇじゃねえか」
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 22:39:00.14 ID:LxtBTbiiO
ハルヒ「早く行ってきなさい!」
キョン「断る。取りに行くのも、奴隷もな。何が悲しくてお前の奴隷なぞやらねばならんのだ」
古泉「涼宮さん、荷物なら僕が取って来ますよ」
ハルヒ「あら、いいのよ古泉君は。あなたみたいな人をパシリに使うのは勿体ないし」
キョン「どういう意味だ」
古泉「はは、お褒めの言葉として受け取っておきます」
ハルヒ「何よキョン。あんた、自分が古泉君に勝ってるところがあると思ってんの?」
キョン「さあな。だがなハルヒ、俺はお前に勝ってるところならかなりあると自覚してるぞ」
ハルヒ「…なかなかあんたも言うようになったわね」
みくる「や、やめて下さいよぅ…」
長門「……」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 22:44:31.00 ID:LxtBTbiiO
キョン「お前も少しは長門を見習え。もっと静かに出来んのか」
ハルヒ「…このっ!」ガバッ
キョン「ぅお!」ガタ
ドテ
ハルヒ「キョン…!」グイー
キョン「このやろ…!」グイー
古泉「困りましたね」
みくる「こ、古泉君…」
長門「……」
ハルヒ「ぅりゃー!」ゴロン
キョン「ぅごぁ!」
ハルヒ「……ふん、どうよ…バカな、あんたにも、…効くでしょ…!」グリグリ
キョン「は、ハルヒよ、アレが!おい!む、胸が当たって!」
ハルヒ「…え?」
キョン「ぅご……」
古泉「…んふ」
長門「むね…」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 22:47:17.54 ID:LxtBTbiiO
ハルヒ「へ、へ…」
キョン「へ?」
ハルヒ「変態っ!」バシ
キョン「ぃだっ!」
キョン「ぅ…」
ハルヒ「死ね!何してんのよエロキョン!」
キョン「それはこっちのセリフだろ!お前が自分から当てて来たんだろエロハルヒ!」
ハルヒ「んな…!」
古泉「まあまあ痴話喧嘩はそのぐらいにして…」
キョン「何が!!」
ハルヒ「痴話喧嘩よ!!」
古泉「……」
ハルヒ「全く、油断も隙もあったもんじゃないわ…」
キョン「勝手に言ってろ。今度からこういう事は古泉にでもやるんだな」
ハルヒ「はぁ!?」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 22:52:05.33 ID:LxtBTbiiO
みくる「す、涼宮さんもキョン君も落ち着いて下さぁい…」
ハルヒ「変態は嫌ね。すぐ人を変態呼ばわりするから!」
キョン「お前の事だろ」
ハルヒ「あら?いーっつもみくるちゃんばっかり見て、鼻の下伸ばしてるスケベはどこのどいつかしら?」
みくる「ひっ…」
キョン「言わせてもらうがな、俺は鼻の下なんか伸ばした覚えはない。勝手な出任せを言うな」
ハルヒ「ふん、どーだか。常日頃みくるちゃんしか見てないくせに!」
キョン「俺は、長門の事だって気にかけてるぞ」
長門「……」
ハルヒ「……」
キョン「…特にお前の事は、人一倍気にしてるつもりではある」
ハルヒ「!!」
古泉「……」
ハルヒ「な……え…?」
長門「……」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 22:57:17.41 ID:LxtBTbiiO
キョン「お前は目を離すとすぐに何か厄介事を連れて来るからな」
ハルヒ「…!」
キョン「それを引き止めるのはいつも何故か俺だろ?」
キョン「古泉がお前に抵抗するとは思えんし」
キョン「長門や朝比奈さんだってそうだ」
キョン「お前が俺の事をどう思ってるかは知らんがな、俺が傍に居てやんねぇとお前は何しだすかわからんからな」
古泉「よくもまぁ真顔で…」
キョン「だから、奴隷は却下だ。俺はお前にこき使われる為に傍に居るんじゃないぞ」
ハルヒ「………」
キョン「…ハルヒ?」
ハルヒ「…あ?あ、うん、分かったわよ…」
キョン「なんだ、急に静かになったな」
ハルヒ「う、うるさい…!」
古泉「呆れます。いつそんな台詞考えたんです?」
キョン「台詞も何も、俺の考えるところをそのまま言ってやっただけだ」
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 23:00:02.71 ID:LxtBTbiiO
ハルヒ「あたしの……そばに…」ブツブツ
長門「蕎麦が食べたい」
キョン「ん?どうした長門、ずいぶんといきなりだな…」
長門「なんでもない」
キョン「そ、そうか…?」
古泉「あ、そうでした。涼宮さん、少しよろしいでしょうか?」
ハルヒ「え…?な、何?」
古泉「いえ、たいした話ではないんですけどね」
キョン「……」
古泉「今度、僕と二人っきりで映画館や遊園地に行きませんか?」
ハルヒ「ぇ!?あ、あたし!?」
キョン「!!」
長門「……」
みくる「古泉君…?」
古泉「はい。あなたです。 団長と副団長の意思の疎通も、たまには行っておきたいものです」
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 23:06:56.77 ID:LxtBTbiiO
ハルヒ「…流石古泉君、目のつけ所がいいわね」
キョン「……」
ハルヒ「でも駄目よ!別に二人だけでやる必要は無いわ!」
古泉「おや、僕は二人だけ、という事に意味があると思いますが」
ハルヒ「そう?でも、我がSOS団にそんな事してる暇なんて無いの!そんな事してるんだったら、不思議の一つや二つ、探索した方がいいってもんよ!」
古泉「…ごもっともです」
ハルヒ「また後で誘ってちょうだい!ほら、みんなが都合悪く欠席した時とか!」
古泉「はは、そうですね、そうしますよ」
キョン「…成る程な」
古泉「…お分かりになられましたか?僕が誘ってもこんなもんですよ」
キョン「やっぱり俺は嫌われてんのか」
古泉「知りません。しかも、何故そういう事になるのか分かりません。…答えは自分で見つけて下さいよ」
キョン「ん?なんだ古泉、怒ってんのか?」
古泉「……ここまで露骨に違いを実感させられたら、誰でも自分に自信が持てなくなりますよ…」ズーン
キョン「…?」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 23:10:06.91 ID:LxtBTbiiO
キョン「じゃあ、今度は俺が…」
古泉「…どうなっても知りませんよ?」
キョン「もしどうにかなった場合、苦労すんのはお前だけどな」
古泉「あなたって人は…」
キョン「おいハルヒ」
ハルヒ「ん?」
キョン「じゃあ俺と二人っきりでどっか行かないか?」
ハルヒ「!!」ピク
長門「…!」
みくる「!!」
古泉「鬱だ死のう」
ハルヒ「ど、どっかって何処よ!」
キョン「そりゃ、映画館とか、遊園地とか、水族館とか…」
ハルヒ「な!なんであんたなんかと行かなきゃいけないのよ!」
キョン「嫌か?すまん、無理にならいいんだが…」
ハルヒ「いっ嫌よ!でも無理じゃない!い、いや、嫌じゃない! え?」
キョン「え?」
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 23:15:31.35 ID:LxtBTbiiO
ハルヒ「そう!理由よ、理由によるわ!」
キョン「理由っつってもな…」
長門「わたしも聞きたい」
みくる「わ、私もです!」
古泉「……」
キョン「ん…そうだな」
キョン「…ハルヒと行きたいから?」
ハルヒ「ぅぐゃあ!!」
長門「……」
みくる「禁則!」
古泉「よくもまぁ真顔で…」
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 23:20:46.99 ID:LxtBTbiiO
ハルヒ「か、あたし帰る!」ガタ
キョン「あ、ハルヒ!待てって!」
バタン
キョン「やれやれ…一体どうしたんだ…」
長門「……」
みくる「……」
古泉「……」
キョン「……」
長門「……」
みくる「……」
古泉「……」
キョン「…へ?」
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 23:25:15.10 ID:LxtBTbiiO
翌日
キョン「ういーす」
ハルヒ「あ…」
キョン「よう、昨日はどうした?急用でもあったのか?」
ハルヒ「ぅ、うるさいバカ黙れ!どうでもいいでしょんな事!」
キョン「あ、ああ…まあな…」
キョン(何でこんなに怒ってらっしゃるのか…)
ハルヒ「……」
キョン「…そうだ、昨日の話だが」
ハルヒ「…!」ピク
キョン「忘れてくれ。つまり…」
ハルヒ「無かった事にはしないわよ!?」バン
キョン「ぅお!」
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 23:30:00.87 ID:LxtBTbiiO
ハルヒ「あ、あたしはね、一度聞いた話はもう忘れられないのよ!」
キョン「なんの超人だお前は」
ハルヒ「だからね、昨日の話だって、いきなり『忘れてくれ』って言われても、無理ってもんだわ!」
キョン「あー、忘れなくていいから、とりあえず無かった事に…」
ハルヒ「つまり、一回ぐらいなら別にあんたに着いて行ってもいい…かなって…おもって……」
キョン「聞いて無いな…。しかも最後の方、凡人な俺にはどうも聞き取れなかったぞ」
ハルヒ「だ、だから、別にいいって言ってんのよ!!」
キョン「はあ?何が」
ハルヒ「だから!あんたが昨日あたしを誘ったじゃない!!」
キョン「……え?」
ハルヒ「で?いつ行くのよ?なるべく早めに決めといてよね」
キョン「……え?」
キョン(今…こいつ何つった…!?一緒に…?)
106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 23:34:59.38 ID:LxtBTbiiO
キョン「……マジか」
ハルヒ「マジよマジ!本気よ!今更予定変更したら死刑だからね!」
キョン「……ああ」
キョン(まさか……あのハルヒが…)
ハルヒ「で?いつ行くのよ?」
キョン「あ、うん、明日は土曜だろ?明日でいいんじゃ…」
ハルヒ「明日ね!絶対よ!午前9時にいつもの場所!遅れたら罰金、いつもの5倍!」
キョン「結局お前が決めるのかよ…」
キョン(…有り得ん、まさか、こうなるとは…)
キョン(若い男女が二人っきりで映画館だぞ?遊園地だぞ?水族館だぞ?)
キョン(これじゃあ…)
キョン「まるでデートじゃねぇか…」
ハルヒ「明日ね…明日…」
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 23:38:01.89 ID:LxtBTbiiO
放課後
ガチャ
キョン「誰かいるか…って」
キョン「みんないるのか…」
古泉「涼宮さんは一緒じゃないんですか?」
キョン「ああ、あいつなら『見たい番組がある』とか何とか言って、帰っちまったぞ」
キョン「どうせ宇宙人だの未来人だの超能力者だのの、インチキ番組だろうがな」
古泉「…何かありましたね?」
キョン「…何だ」
みくる「教えて下さいよぅ…」
キョン「あ、朝比奈さん…」
長門「……」ジー
キョン「な、な…」
キョン「なんだよこれ…」
119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 23:41:03.95 ID:LxtBTbiiO
古泉「とぼけないで下さい。涼宮さんと何があったんです?」
キョン「…い、いや、特に何も…」
長門「右頬が右目寄りに約1.5ミリ動くのを確認。あなたは、嘘をつく時右頬が僅かに上へ動く癖がある」
キョン「うそっ!?」ガバ
長門「…というのは嘘」
キョン「なっ!」
みくる「何かあったんですね?」
キョン「ぅ…」
古泉「ひょっとしたら、僕達も力になれるかもしれませんよ?」
キョン「ぐ…」
長門「あなたの自由。ただ、わたしという個体はあなたに、今日あった事を包み隠さず話して欲しいと思っている」
キョン「わ、分かったからさ、とりあえずみんな落ち着こう、な?」
古泉「ようやく話す気になりましたか…」
みくる「楽しみですね」
長門「……」
123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 23:44:31.74 ID:LxtBTbiiO
キョン「まあおそらく、お前らが聞き出したいのは今日の朝の事だろうな…」
古泉「ほう」
長門「興味深い」
みくる「……」ドキドキ
キョン「実は、今日の朝―――」
キョン「―――って事なんだが…」
古泉「デートですね」
長門「でーと…」
みくる「頑張って下さいキョン君!」
キョン「はぁ…みなまで言わないでくれ…」
キョン(まさか、自分から厄介事に飛び込む事になるとはな…)
キョン「…やれやれだ…」
135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 23:49:43.92 ID:LxtBTbiiO
古泉「何溜息なんかついてるんですか!これはチャンスですよ?」
キョン「俺は今までの会話からチャンスを見出だす事なんて出来なかったぞ」
古泉「正直に答えて下さい。あなたにとって涼宮さんとは?」
キョン「ぅ…」
みくる「……」
キョン「ハルヒ…俺にとってハルヒは……」
長門「……」
キョン「…仲の良い部活仲間だ」
古泉「……」
みくる「……」
長門「……」
キョン「すまん。俺が悪かったからそう睨むな…」
キョン「えー、俺は、ハルヒを…」
キョン「まあ好きか嫌いかって言われたら好きだ」
143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 23:53:00.85 ID:LxtBTbiiO
古泉「なんですかそれ。そんな当たり障りの無い事を言って欲しいんじゃありませんよ」
キョン「だがな…そんないきなり言われてもだな…」
古泉「では、二択ならどうです?僕達が選択肢を提供しますので」
キョン「ああ…それなら…」
長門「ではわたしから」
キョン「長門!?」
長門「あなたは涼宮ハルヒのポニーテール姿についてどう思うか」
長門「A、性的興奮を覚える」
長門「B、美術的な何かを感じる」
古泉「流石長門さん。最初の質問としては適度なレベルですね。何事にもハードランディングはいけませんから」
キョン「…これ、ハードじゃないのかよ…」
みくる「キョン君、選んで下さい!」
キョン「分かってますよ。これは間違いなくBです。あいつ、それなりのプロポーションを持ってるからな」
古泉「成る程」
キョン「当たり前だ。Aというやつがいたら俺の所に来い。ポニーテールの在り方について軽く5時間は説教してやりたいね」
151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/20(水) 23:58:01.55 ID:LxtBTbiiO
古泉「それはそれで、なかなか怪しいものがあるかと」
キョン「黙りやがれ古泉。もういいだろ…」
みくる「つ、次は私が出しますね…」
キョン「何でもいいですよ、遠慮なくどうぞ」
みくる「えーっと、もし、涼宮さんとキョン君以外の男の子が一緒にいたら、キョン君はどう思います?…あ、二人共楽しそうにしてたら、です」
みくる「A、いらいらしてしまう」
みくる「B、平和な事だなぁって思う」
キョン「……」
古泉「朝比奈さん、なかなかやりますね」
長門「これは答えづらい筈」
キョン「…B」
古泉「…これは困りましたよ」
みくる「キョン君…」
キョン「…あいつに出会ってすぐの俺だったら、多分Bと答えたな」
キョン「…今は、きっと、おそらく、Aなんだ」
170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 00:09:02.54 ID:kyLT3+VpO
古泉「ふむ…」
古泉「そうですね。あなたは、涼宮さんの事が好きなんですか?」
キョン「!!」
古泉「好きか好きかのどちらかで答えて下さい」
キョン「待て!俺に選択権は無いのか!?」
古泉「落ち着いて下さい、意味合いが違います。」
古泉「前者は『友達として』、後者は『異性として』、です。」
キョン「最初からそう言え」
古泉「話をはぐらかさないで下さい。さあ、どっちなんです?」
長門「……」
みくる「……」
キョン「……下らん、そんなの『友達として』に決まってるだろ」
キョン「流石の俺も、あの傍若無人女なんかを好きになるような物好きじゃないさ」
180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 00:13:02.06 ID:kyLT3+VpO
古泉「…あなたの気持ちは十分に分かりました」
長門「掌握した」
みくる「わ、わたしもです!」
キョン「そうかい、よかったな」
古泉「本番はここからですよ。最初に言ったように、僕達はあなたをサポートします」
キョン「は?何の事だ」
古泉「明日の涼宮さんとのデートですよ」
キョン「…だから、デートなんかじゃないと思うんだが」
キョン「あいつの事だ、アヒル口で『変な気起こしたら殺すわよ!ちゃんと不思議も探しなさいよ!』とか言うに決まってる」
古泉「僕もそう思います」
キョン「…ま、どうにかなるだろ、俺はもう帰るぞ」スッ
みくる「ま、待って下さぁい!」
キョン「え?は、はい…どうしました?」
194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 00:17:11.47 ID:kyLT3+VpO
みくる「これ…」
キョン「なんですかこの服…」
みくる「明日、これを着てって下さいね!」
キョン「へ?」
みくる「キョン君ならきっと似合います!頑張って下さい!」
キョン「あの、朝比奈さん?いまいちよくわからないんですが…」
みくる「とにかく、これを明日着て下さい!お願いしますぅ!」
古泉「朝比奈さんは衣装係なんですよ」
キョン「は、はあ」
キョン「明日着てくのは別に構わないんですが…。これ、なんだか高級な香が…」
キョン「…いくらしたんですか?」
みくる「ふふ、もちろん禁則事項です」
キョン「……」
209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 00:23:48.49 ID:kyLT3+VpO
長門「後でわたしの家に来て」
キョン「…俺か?」
長門「そう」
キョン「…分かったよ、気が向いたら行くよ」
長門「……」
古泉「では帰ってよろしいですよ」
キョン「ああ、帰らせて貰う。かなり疲れたんでな」ガタ
みくる「さよならぁ…」
長門「……」
古泉「また会いましょう」
バタン
216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 00:26:19.66 ID:kyLT3+VpO
キョン「……」
長門「入って」
キョン(どうにも暇で、結局きちまった…)
キョン「だが。何故お前もいる」
古泉「いたら何かまずい事でも?」
キョン「野郎の顔を見て喜ぶ野郎はいないだろ?そういう事だ」
古泉「それもそうですね」
長門「……」
キョン「で?何があったんだ長門」
長門「何かあった訳ではない」
キョン「…え?」
長門「見て」
225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 00:32:38.57 ID:kyLT3+VpO
長門「涼宮ハルヒの日常行動パターンから予測される、起こりうるであろう確率が最も高い言動を、まとめたのがこれ」スッ
キョン「…原稿用紙?」
長門「今回重要視するべき場所はそこではない。その内容」
キョン「……」ペラ
長門「今回は、あなたと涼宮ハルヒが接触してからおよそ10分までのところを予測」
古泉「ちなみに書いたのは僕です」
キョン「…さっぱり意味がわからんのだが」
長門「要するに、明日の下準備をする」
キョン「あ、そういう事か……って」
キョン「下準備が必要なまでの事なのか?」
長門「情報統合思念体はそう判断している」
キョン「段々胡散臭くなって来たな…その情報なんたらも…」
古泉「早速ですが、始めますよ」
229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 00:34:39.58 ID:kyLT3+VpO
古泉「あなたは、そこに書かれている事をそのまま演じて下さい」
キョン「演じる?」
古泉「涼宮さん役は、長門さんがやってくれるそうです」
長門「……」
キョン「おい、別に実際やってみなくてもだな」
長門「それは間違い」
キョン「!!」
長門「体で覚える」
キョン「…体?」
長門「そう」
キョン「はぁ…」
古泉「今日は随分と溜息が多いですね」
キョン「うるせえ。今俺は、あの時の浅はかだった自分を悔やんでいるんだよ」
古泉「浅はか?何言ってるんですか、あの時のあなたは輝いていましたよ」
233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 00:38:54.83 ID:kyLT3+VpO
キョン「嘘つけ、気持ち悪い」
古泉「失礼。ではそろそろ始めます。しっかりやって下さいね」
キョン「読めばいいだけだろ?」
古泉「なるべく、心を込めて。では長門さん、お願いします」
長門「遅い。罰金」
キョン「…!」
古泉「あなたが涼宮さんより遅れて来た、という設定です」
キョン「わ、悪いな待たせちまったか…」
長門「まあいいわ。あたしもさっき来たところだし」パクパク
古泉「ここで涼宮さんがあなたの服装を見て一言」
長門「何、あんたどうしたの?なんかいつもと違うわね」パクパク
キョン「えーっと、……服の事か?ああ、今日の為に買ったんだ。どうだ、似合うか?」チラ
長門「……」
長門「……」
235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 00:41:36.69 ID:kyLT3+VpO
長門「…何言ってんのよバカ。あんた、勘違いしてるようだから言うけど、これも不思議探索の一環なんだからね」パクパク
キョン「わ、分かってるさ」
長門「ならいいの。どこに行くかはあんたに任せるけど、不思議を探すのと同時に、しっかりあたしも楽しませてよね」パクパク
キョン「…俺は、こうしてハルヒとい、一緒にいるだけで…楽しいけどな……」
キョン「っておい古泉!」
古泉「どこ読んでるんですか。僕は急に出て来ませんよ」
キョン「いいから答えろ、この文書いたのは誰だ!」
古泉「僕ですよ。あれ、さっきも言いましたよね?」
キョン「お前か……。お前は、明日俺にこれを言えというのか」
古泉「だからこうして練習してるんじゃないですか」
キョン「……」
240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 00:47:23.67 ID:kyLT3+VpO
キョン「何故心にも無い事を言わねばならんのだ。発言の自由は俺に無いのか」
古泉「それは言わないお約束です」
キョン「お前とそんな約束した覚えは無い。悪いがここまでだ」
長門「待って」
キョン「……」
長門「ダメ?」
キョン「……」
キョン「ま、家に帰ってもする事ないし、別にあとちょっとなら……」
古泉(こいつ……!)
長門「そう」
キョン「長門、もうちょっとなんとかならんのか?いや、別にお前は悪くないんだが…」
長門「?」
キョン「いや、だからだな、その…どうせやるなら、もうちょっとリアリティが欲しいと思うわけだ」
長門「……」コクリ
キョン(長門、完全に棒読みだもんな…)
244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 00:50:15.13 ID:kyLT3+VpO
長門「……」ブツブツ
キョン「一体何を…」
古泉「長門さん…?」
シュン
キョン「うお!?は!ハルヒ!?」
古泉「!?」
長門「違う。その個体は古泉一樹。古泉一樹があなたに発する情報を、涼宮ハルヒのそれとほぼ同一にした」
長門「今から一時間で元に戻る」
古泉「な、何が起きたんです?」
キョン(声までそっくりだ!!)
長門「これでいい?」
キョン「あ、いや、ここまで完全再現されてもだな…」
古泉「一体…」
キョン「ハル…、いや、古泉。今、俺にはお前がハルヒに見えるんだ。声までそっくり、身長もちっこくなってる。ハルヒそのものだ」
古泉「僕がですか?」
キョン(ハルヒが僕っ娘になった!!)
255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 00:55:04.86 ID:kyLT3+VpO
キョン「ハルヒ、じゃなくて古泉」
古泉「なんでしょう?」
キョン「お前は本当に古泉か?」
古泉「そうですが…。と、言っても、あなたにとっては全然そうは感じないんでしょうがね」ニコ
キョン「ぁあ…」
キョン(いつもの古泉のニヤケ顔、ハルヒがやるとこんな感じなのか……正直、たまらん…!)
古泉「では、そろそろ練習しましょうか。できる限り涼宮さんになりきってみせましょう」
キョン「ああ…頼む…」
長門「さっきの続きから」
古泉「了解です」
キョン「……」
古泉「…な、何言ってんのよ!バカじゃないの!」
キョン「す、すまんハルヒ! …あっ」
長門「…違う」
キョン「しまった、条件反射でつい…」
古泉「いいわよ、キョン?間違いは誰にだってあるわ。許してあげる。次こそ頼むわよ!信頼してるんだから!」
265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 00:59:56.45 ID:kyLT3+VpO
キョン「…!」
古泉「さ、キョンの台詞からよ?」ニコ
キョン「…古泉」
古泉「なあに?」
キョン「やってる時以外、普通に喋ってくれ…。俺が持たん…」
古泉「あ、ごめんね…キョン…」
キョン「お、おい!」
古泉「はは、すいません。お遊びがすぎました」
キョン「ったく…」
古泉「一時間の内に終わらせましょう」
キョン「…ああ」
古泉「全く、そのやる気を、いつもの団活でも見せなさいよ。そしたら、あんただって雑用からぬけだせるわよ」
キョン「おい!」
古泉「ふふ、キョンったら、そんなにあせっちやって。どうしたの?」
長門(古泉一樹……気持ち悪い…)ブルッ
268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 01:04:07.35 ID:kyLT3+VpO
―――
――
―
キョン「まあ、大体頭に入ったぞ」
古泉「ならいいのよ」
キョン「……」
長門「そろそろ」
古泉「え?もう終わりなの?」
キョン「早く戻れ。お前が自重しないから、こっちはいろいろ大変なんだよ」
古泉「ま、いいわ!あたしは楽しかったしね!」
パッ
キョン「お、元に…」
古泉「キョン!あたし、明日ちゃんと待ってるからね!絶対来なさいよ!」
キョン「……」
長門「……」
古泉「え…?」
キョン「俺…もう帰る…」
274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 01:11:36.51 ID:kyLT3+VpO
翌日
キョン「さて、急ぐかな」
キョン(昨日練習した事、あんま覚えてねーや…)
古泉「自転車に乗りました」
長門「追う」
みくる「古泉君、追いましょう!」
古泉「では行きますよ」
古泉「んもふ!」
277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 01:14:31.22 ID:kyLT3+VpO
古泉「でも、何故僕達も自転車なんですか?」シャー
長門「なんとなく」
みくる「風が気持ちいですぅ」
古泉「っていうかなんで僕の自転車に…」
長門「楽」
みくる「ですねぇ」
古泉「……もふ!」シャー
キョン「……」
キョン(誰かに見られてる?いや…まさかな…)
279 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 01:17:54.83 ID:kyLT3+VpO
キョン「よう、ハルヒ」
ハルヒ「あ…お、遅い!罰金!」
キョン「…!」
キョン(確か昨日これあったぞ…!)
キョン「…悪いな待たせちまったか?」
ハルヒ「ふん。まあいいわ。あたしもさっき来たところだし…」
ハルヒ「……」チラ
ハルヒ「何、あんたどうしたの?なんかいつもと雰囲気が…」
キョン「あ、ああ…服の事か?これ、今日の為に買ったんだ。どうだ、似合うか?」
ハルヒ「!!」
ハルヒ「え、今日何か予定あるの…?」
キョン「ん?お前と会う事以外、特に今日の予定は無いが」
ハルヒ「も、もう…なんなのよ…。あんた最近変よ…」
キョン(もう台本から外れたな…)
284 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 01:22:07.25 ID:kyLT3+VpO
キョン「…別に変じゃない。いつも通りさ」
ハルヒ「嘘付き!あたしをおちょくってんのは誰よ!」
キョン「誰だ?」
ハルヒ「あんたでしょバカ!」
キョン「勝手な事言うな。また変な夢でも見たのか?」
ハルヒ「な、何言ってんのよ!あんた、勘違いしてるようだから言うけどね、これも不思議探索の一環なんだからね!」
キョン(これは…)
キョン「…ああ、分かってるさ」
ハルヒ「ならいいのよ。どこに行くかはあんたに任せるけど、不思議を探すのと同時に、その…しっかりあたしも楽しませなさいよ」
キョン「……」
キョン「…俺は、こうしてハルヒと一緒にいるだけで楽しいけどな」
ハルヒ「!!」ピク
キョン「そうだな、今のはあくまで俺の個人的な意見だから、お前は気にすんな。せいぜい頑張ってみるさ」
ハルヒ「ぅ……」
キョン(…おい古泉!なんか俯いちまったぞ!今後何かあっても、全部お前の責任だからな!)
289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 01:27:04.44 ID:kyLT3+VpO
古泉「了解です」
長門「…?」
みくる「…どうしたんですか?」
古泉「いえ、先程、何やら責任を負わされたもので。とりあえず肯定しておいたんです」
長門「……」
みくる「…へ?」
古泉「おや、移動を始めましたよ」
長門「尾行を開始する」
みくる「長門さん…ノリノリですね…」
長門「……」ブツブツ
長門「……わたしたちから彼らに伝わる情報を強制的に遮断。不可視遮音フィールドを展開した。これで例え目前に彼らがいても気付かれる事はない」
古泉「もはや長門さんは崇拝するレベルですね」
みくる「そんなぁ…」
長門「解除するには、彼もしくは涼宮ハルヒのどちらかに触れればいい」
古泉「迂闊に接近しすぎるのは危険、ということですか」
349 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 08:05:33.68 ID:kyLT3+VpO
キョン「すまん。先に謝っとく」
ハルヒ「ん?」
キョン「実際、行きたいところなんか特に無いんだが。つまり、これからどうするか考えてないって事さ」
ハルヒ「…得意げに言う台詞じゃないわよ」
キョン「そんなつもりは無かったんだがな。お前は行きたいところとか無いのか?」
ハルヒ「あんた、とりあえず罰金。 そうね、行きたいところ……」
ハルヒ「…ゆ、遊園地でいいわ」
キョン「それが無難だな」
ハルヒ「……」
ハルヒ「…あんたは何にも乗っちゃだめよ。あたし一人で楽しむから。」
ハルヒ「テキトーにベンチにでも座って、土の中にいる未確認生物でも探してなさい!」
キョン「はは、俺じゃあ未確認生物どころかミミズすら発見出来そうにないな」
ハルヒ「…え?」
351 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 08:11:09.31 ID:kyLT3+VpO
ハルヒ「キョン?どうしたのよ、熱でもあるの…?」
キョン「何がだ」
ハルヒ「ちゃんと話聞いてた?あたし、あんたに遊園地に着いても黙って座ってろって言ったのよ…?」
キョン「ああ、しっかり聞いてたぞ。何だ、午前中は5000円で足りるか?まあ、足りなかったら戻って来い。ただ…あんまり無駄使いはすんなよ?」
ハルヒ「違う!も、文句ぐらい言いなさいよ!常識的に理不尽だと思わないの!?」
キョン「まさか、お前が『常識』という言葉をまともに使う日が来るとは…」
ハルヒ「うるさい!」
キョン「今日だけは、お前の好きにさせてやろうと思ってな。折角二人きりなのに、言い争ってばかりじゃつまらんだろ」
キョン「それに、俺はお前が楽しければそれでいいのさ」
ハルヒ「なっ……なんであんたはそんなに……」
ハルヒ「ぅ…もういい!」
キョン「ほら、行くぞハルヒ」
ギュ
354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 08:16:34.93 ID:kyLT3+VpO
古泉「なかなか楽しいものですね。僕達はこうして近くに居るのに、あちらは全く気付かない。どこかの一流スパイになった気分です」
長門「そう」
みくる「ほぇー…」
古泉「ほら、こうして目の前で踊ってみても、全然気付きませんよ」スッスッ
長門「古泉一樹」
古泉「はい?」クネッ
長門「第三者からはまる見え」
古泉「あっ……」
みくる(他人のふり他人のふり…)
長門「……」
古泉「……」
356 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 08:23:31.01 ID:kyLT3+VpO
ハルヒ「あっ…」ピク
キョン「遊園地だろ…」
ハルヒ「ちょっとキョン!何なのよこれ!」
キョン「ん?」
ハルヒ「手!」
キョン「ん、ああ…嫌だったか?」
ハルヒ「……」
キョン(何故黙る!)
キョン「すまん、迷惑だよな」
ギュウ
キョン「…?」
ハルヒ「……嫌でも迷惑でもないわよ。ただ…、寒いからこうしてたいだけ」
キョン「……」
キョン「ああ、ちょうど俺も寒かったんだ」
キョン「ありがとな」
359 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 08:33:25.50 ID:kyLT3+VpO
みくる「いいなぁ…」
古泉「青春を感じます」
長門「せいしゅん」
古泉「ええ。青春です」
みくる「でも良かった…。キョン君、やっぱり涼宮さんの事…禁則事項なんですね…」
古泉「それにしても、彼には驚かされます。昨日練習した意味がほとんど無かったにもかかわらず、よくあそこまで舌がまわりますね」
長門「……残念」
古泉「ま、まあ、涼宮さんも日々変化している、という事ですよ。長門さんの予測は完璧でした」
みくる「あの…何の話をしてるんですか?」
古泉「これは失礼。実はですね……」
361 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 08:40:02.03 ID:kyLT3+VpO
遊園地
キョン「さて、何から行こうか」
ハルヒ「ジェットコースターがいいわ!」
キョン「よし、了解した」
ハルヒ「あたし、ジェットコースターでやりたかった事があるのよ」
キョン「何だ?」
ハルヒ「あの安全バーだかベルトだかを外して、グルンってなるところを手を挙げながらうわーって通過したいの!」
キョン「お前らしいな」
ハルヒ「何よそれ。キョン、やってみたら?爽快感は保証するわ」
キョン「遠慮しとく。お前が保証するんだ、爽快感じゃなくて痛壊感になるのは目に見えてるしな。痛いに壊れるで痛壊だ」
ハルヒ「そんな事やってみなきゃ分かんないじゃない!なんなら、あたしも一緒にうわーって叫んであげるわ!」
キョン「お前は叫ぶだけなんだな」
ハルヒ「当たり前じゃない。危ないでしょ?」
キョン「…お前にゃ、つっこむのも疲れたよ」
407 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 13:02:15.01 ID:kyLT3+VpO
ハルヒ「さっさと乗るわよ!」
キョン「ああ、分かってるさ」
ハルヒ「ふふん、あたし、こういうの全然平気なんだけどね」
キョン「そうかい。何だ、やけに楽しそうだな」
ハルヒ「別に?気のせいでしょ」
キョン「…?」
長門「わたし達も乗る」
みくる「ふぇ、あ、あれにのるんですかぁ!?」
古泉「大丈夫ですよ朝比奈さん。これも娯楽の一種なんですから、気を楽にして下さい」
みくる「でも…」
長門「早く」
古泉「長門さん…?」
古泉(長門さんがわくわくしている!!)
411 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 13:15:11.20 ID:kyLT3+VpO
ガコン
キョン「おお…動き出した」ドキドキ
ハルヒ「変な声出すんじゃないわよ。知り合いだと思われたくないから」
キョン「こら、今のは失礼だぞ」
ハルヒ「何よこら、って。バカバカしい…」
ガコン
キョン「…あー、やっぱりこういうのは駄目だな。俺には向いてない」ドキドキ
ハルヒ「あら、もしかしてびびってんの?」ニヤ
キョン「来た…!」
ハルヒ「……え?」
キョン「…っ!」
ハルヒ「ひゃあぁ!キョーン!!いやぁぁあ!」ジタバタ
キョン「あ、暴れるな!危ない…っ」
ハルヒ「降ろしなさぁい!降ろしてよぉ!!」
キョン(超びびってんじゃねぇか!)
415 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 13:28:27.97 ID:kyLT3+VpO
古泉「うわ!?」
みくる「ふえぇぇぇえ!!」
長門「……」
古泉「こっ……これ…僕達も乗る…うわっ…必要って…あったんですかぁぁ」
長門「ユニーク」
みくる「ひぇえぇぇえ!」
古泉「えっ?何て言いました長門さぁん!」
長門「ユニーク」
みくる「ふぇ…」カクン
古泉「朝比奈さぁん!」
長門「……」
古泉「うおおぉ!」
みくる「……」
長門「……」
450 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 16:17:35.83 ID:kyLT3+VpO
キョン「なかなかスリルがあったな…」スッ
ハルヒ「きょ…キョン…」
キョン「ハルヒ?どうした、早く立て」
ハルヒ「ば、バカ、察しなさい…」
キョン「……あ」
キョン「もしかしてお前!」
ハルヒ「ぅ……」
キョン「…漏らした?」
バコッ
ハルヒ「腰が抜けたのよ!!」
キョン「嘘付け!今普通に立ってんのはどこのどいつだ!」ズキズキ
ハルヒ「あれ?」
キョン「お前本気で…」ズキズキ
ハルヒ「ありがと、おかげ様で治ったみたいね」
456 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 16:21:02.45 ID:kyLT3+VpO
ハルヒ「ほら、いつまでもうずくまってないの!」
キョン「ハルヒよ、今更強がっても無駄だぞ」
ハルヒ「…!」
キョン「初めてだったのか?お前、かなり恥ずかしい声出してたぞ」
ハルヒ「ぅ、うるさい!」
キョン「ほれ見ろ、お前がずっと掴んで離さなかった袖、なんか湿ってるし皺くちゃだ」
ハルヒ「バカッ!」バシ
キョン「いだっ!」
ハルヒ「あ、あんたねぇ!そんな事言って恥ずかしくないの!?」
ハルヒ「…しかも…、なんか勘違いされそうな…」
キョン「人に散々言っといて、自分がギャーギャー騒ぐお前の方が、よっぽど恥ずかしいと思うがな」
ハルヒ「だっ黙りなさいバカ!」ボカ
キョン「ぅお!?」
460 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 16:24:09.77 ID:kyLT3+VpO
古泉「公共の場で、こういう事をしているあなた達が1番恥ずかしいんですよ」
長門「聞こえていない」
古泉「分かってますよ、聞こえてたらこんなこと言いません」
みくる「仲良しですねぇ…」
古泉「彼が、あと一歩踏み出してくれればいいのですが…」
長門「それはあまり期待出来ない」
長門「彼は鈍感。その手の感情が欠落してると言っていいぐらいに」
古泉「確かに。フラグクラッシャーの肩書は伊達じゃない…という事ですね」
みくる「えっ?ふらぐくらっしゃーって…?」
古泉「つまりですね、お腹が空いていて、目の前に弁当があるにもかかわらず、それに気付かない…みたいな人の事です」
みくる「め、目の前にお弁当があるのに、気付かない人なんているんですかぁ…」
長門「例えが下手」
古泉「…すいません」
みくる「お弁当…?」
462 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 16:29:13.75 ID:kyLT3+VpO
キョン「お前、今本気で殴ったろ!」
ハルヒ「あたしは、やると決めたら何事にも本気で取り組む事にしてるの!」
キョン「なんだそれは…。選挙にでも出てみろ。当選する事間違い無しだぞ」
ハルヒ「嫌よ!自由に生きたいもん!」
キョン「いや駄目だ。前言撤回だ。お前じゃマジで当選しかねん…」
ハルヒ「何よ、そんな事言われたらやってみたくなるじゃないの」
キョン「待て、話が逸れた。だから何故お前はすぐ人を殴るんだ」
ハルヒ「…あんたじゃなきゃこんな事しないわよ」
キョン「……」
キョン(嘘付け…コンピ研部長におもいっきり飛び蹴り食らわしたのは誰だよ…)
ハルヒ「……キョン?」
キョン(こいつは将来大丈夫なんだろうか。面接とかで、いきなり面接官に殴りかかったり…)
ハルヒ「キョンってば!」
キョン(入って早々『宇宙人いる!?』とか言って一発ではねられたりするかもしれん。いや、多分そうだ)
ハルヒ「……」
465 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 16:33:28.90 ID:kyLT3+VpO
キョン(仮にこいつが入社出来たとしたら、会社のどっかに『SOS団支部』なんか作っちゃって、また無理矢理人を拉致するんだろうな)
ハルヒ「……悪かったわよ。謝るわ…。無視しないでよ…」
キョン(ならば、先輩として何か言ってやらねばな。 おい、聞いてるか、未来のハルヒに拉致されるそこのお前。一言言わせてもらうぞ。…ご愁傷様)
ハルヒ「キョン…ごめんってばぁ…」
キョン「…ん?あ、すまん。次行くぞ」スッ
ハルヒ「ぁっ…」
ハルヒ「ま、待ちなさいよ!」
ハルヒ(キョン、絶対怒ってるわよね…)
キョン「……」
キョン(ハルヒめ、また何か良からぬ事を考えてるな…)
ハルヒ「……」
466 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 16:36:15.77 ID:kyLT3+VpO
古泉「バイト…だと…」
長門「お疲れ様」
みくる「お疲れ様です」
古泉「もういいですよサボります」
長門「今のは超能力者らしからぬ台詞」
古泉「嫌ですよ、僕だけこんなおいしい場面見れないのは…」
古泉「神人退治は新川さんに任せます」
みくる「だ…大丈夫なんですかぁ…?」
古泉「ええ。多分すぐ済みますよ」
長門「……」
古泉「全く、あなたはもう少し空気を読んで行動出来ないんですか?」
長門「聞こえていない」
古泉「分かってますよ。聞こえてたらこんなこと言いません」
みくる「こんなに近くにいるのに私たちの声はキョン君と涼宮さんに届かないんですね…なんか不思議です…」
長門「……」キラーン
469 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 16:44:28.89 ID:kyLT3+VpO
ハルヒ「…キョン」
キョン「何だ」
ハルヒ「その、さっきはごめんね」
キョン「!?」
ハルヒ「……」
キョン「お前誰だ!?新たな過激派か!?近寄るな!」
ハルヒ「な、何バカな事言ってんのよ…」
キョン「ハルヒ…?」ジー
ハルヒ「ぅ…、ジロジロ見てんじゃないわよ!」
キョン「ど、どうした?頭でもうったのか?」
ハルヒ「…ぁたしだってね、ごめんぐらい誰にでも言うわよ!」
キョン「あ、ああ、そうか、そうだよな…?」
キョン(一体何故俺は謝られたんだ!?謝られて情緒不安定になる事なんてそうそう無いぞ…今俺が正にそうだが!)
ハルヒ「……」プイ
キョン(なんだってんだ…)
472 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 16:54:24.65 ID:kyLT3+VpO
ハルヒ「…あんた、怒ってないの?」
キョン「へ?怒る?俺が?」
ハルヒ「あんた以外の誰が居るのよ」
キョン(…そうか、あの時か…?俺が妄想してる時、ハルヒを一時的に無視した事になって…)
ハルヒ「…まだ怒ってる?」
キョン(…少し、からかってみるか。古泉、バイトに行く用意してろよ)
キョン「ああ。俺でもな、たったあんくらいの事で殴られて、怒らない訳無いだろ」
ハルヒ「…!」
キョン「お前にはもっと成長してもらいたいもんだね」
ハルヒ「だ、だからごめんって…」
キョン「ハルヒ、俺は疲れたんだよ。もう我慢の限界だ、お前の顔も見たくない」
キョン(我ながら、素晴らしい演技力だな。主演男優賞はいただきだ)
473 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 16:58:18.90 ID:kyLT3+VpO
古泉「またやってますね…」
みくる「キョン君…」
長門「彼は、こういう無駄な時に才能を発揮する」
古泉「しかも、これは涼宮さんにとって結構きついんじゃ…」
長門「いつ世界が崩壊してもおかしくないレベル」
みくる「そ、そんなぁ…」
古泉「止めに入りますか?」
長門「好きにしていい。わたしは観測を続ける」
みくる「ふぇぇ……」
古泉「では、僕もそうします」
みくる「古泉君!」
古泉「朝比奈さん、きっと何とかなりますよ。大丈夫、です」
長門「……」
長門「古泉一樹はバイトに行って」ボソッ
477 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 17:03:27.26 ID:kyLT3+VpO
キョン「じゃあな」スッ
ハルヒ「い!いや!待ってよ!嫌よ!」
キョン「……」
ハルヒ「ごめんね、もうしないわよ…だから行かないで…」
キョン(ん?胸倉掴んでつばを飛ばして来ると思ったが…)
ハルヒ「やだ…そんなの嫌よ…ごめん…キョン……」
キョン「あ…」
ハルヒ「ぅぐっ…っ…」
キョン「は、ハルヒ?」
ハルヒ「…ご、…ごめんってばぁ……ぐすっ」
キョン「お、お!?え!?ハルヒ!?おい!?」
キョン(しまった!主演男優賞どころの話じゃなかったか!?将来俳優間違い無しじゃねぇか!)
ハルヒ「ぅ…っ…」
キョン「う!嘘だ!嘘嘘!真っ赤な嘘!嘘もいいとこ、真っ青な嘘!」
483 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 17:07:19.83 ID:kyLT3+VpO
ハルヒ「ぃかなぃでぇ…キョン……ひぐ…」
キョン「ハルヒ!?俺はここに居るぞ!ほらほら、宇宙人と未来人と超能力もここに居る!びっくり仰天なびっくりショーだ!」
古泉「実際近くに居ますね」
長門「彼が何を言っているのか理解出来ない」
みくる「きっと、動揺してるんですよぅ…」
キョン「嘘だって!ハルヒの事なんか嫌いになる訳無いだろ!?有り得ん!いつまでも一緒に居てやるからさ!いや違うな、一緒に居たい!居させてくれ!な?」
ハルヒ「……」
キョン「だから…」
ハルヒ「……ふふ、もういいのよキョン」
キョン「…え?」
ハルヒ「あたしの勝ちね!」
キョン「…へ?」
ハルヒ「嘘よ!ぜーんぶ演技!あんたはこのあたしにまんまと騙されたのよっ!」
ハルヒ「あんたがあたしをからかうのは簡単に予想出来たわ。だから、今度はあたしがあんたを嵌めてやったってわけ!」
キョン「な、え…?」
ハルヒ「ふふーん、なかなか面白かったわよ?キョン?」
488 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 17:15:00.34 ID:kyLT3+VpO
古泉「涼宮さん…」
みくる「あれ、本当に泣いてましたよね…?」
長門「……」
古泉「一瞬、我に帰ったのでしょう。いつもとは違う自分を彼に見せている事に気付き、演技という事にした…」
みくる「演技であそこまで涙は出ないですよね…」
長門「涼宮ハルヒの力も作用。彼に悟られる事を回避した」
古泉「ここまで来ると、彼がうらやましいです。正直ね」
みくる「……」
長門「……」
古泉「何で僕は……僕は……」
みくる「……」
長門「……」
490 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 17:18:04.84 ID:kyLT3+VpO
キョン「…マジか」
キョン(あれが…演技…なのか?)
ハルヒ「あんたがあたしをからかうなんて、百億年早いのよ!木星の周りを逆立ちで三周してから出直して来なさい!」
キョン「……」
キョン(やれやれ、誰か、俺を殺してくれ…もしくは異次元空間に飛ばしてくれ…)
ハルヒ「…あんた言ったわよね」
キョン「…ん?」
ハルヒ「『ずっと一緒に居てやる』って」
キョン「言った…と思う」
ハルヒ「ふふ、あんたらしいわね」
キョン「……」
ハルヒ「ほんと?」
キョン「……ああ、嘘じゃあないな」
ハルヒ「ずっとよ?ずーっと死ぬまでよ?」
キョン「…そういう事だな」
ハルヒ「ふーん…」
497 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 17:22:51.10 ID:kyLT3+VpO
ハルヒ「ほんとにほんと?」
キョン「何ださっきから。本当だって」
ハルヒ「じゃあ…ギューってしなさい」
キョン「はあ!?」
ハルヒ「…嫌なの?」
キョン(何だ!?どうしてこうなった!)
古泉「ここまで来て気付かないとは」
長門「涼宮ハルヒの苦労が分かる」
みくる「キョン君…!」
ハルヒ「あ、あたしは別にどーでもいいんだけどね?ほら、あんたがそういう関係に成りたいんなら別に…」
キョン(どういう関係だ!?)
ハルヒ「と、とりあえず抱きしめてよね」
キョン「だ、抱きしめ…?」
ハルヒ「えっと、あの、アレはまだ早いでしょ?とりあえずよとりあえず」
キョン(一体どういう勘違いをしたらこうなるんだ…!)
505 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 17:27:21.08 ID:kyLT3+VpO
ハルヒ「ほ、ほら…」
キョン「は…ハルヒ?」
ハルヒ「何よ!」
キョン「…この事態に納得行かないんだが」
ハルヒ「!!」
キョン「納得行かないというか…意味不明というか…」
ハルヒ「…そうよね…分かったわよ」
ハルヒ「確かに、あんたからしか言って無いもんね」
キョン「へっ?」
ハルヒ「あ、…あたしは、前からキョンの事が、その、好きでした」
ハルヒ「だから…ずっと、一緒に居て下さい」
キョン「!!?」
長門「……」
古泉「凄まじい勘違いのオンパレード…」
みくる「絶対私たち悪い事してますよぉ…」
510 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 17:31:43.88 ID:kyLT3+VpO
キョン(そ、そうだったのか…!?)
キョン(何故こうなったのか理解に苦しむぞハルヒよ!)
ハルヒ「……」
キョン「あ、ああ、そうか、そうだったか…」
ハルヒ「……」
キョン「お、俺もハルヒの事は、嫌いじゃないぞ」
ハルヒ「…あたし、勇気出したのに」
キョン「…!」ギクリ
キョン(マジで逃げられなくなってきた…どうする?俺は、ハルヒが…)
ハルヒ「…あんたは卑怯よ」
キョン「…?」
ハルヒ「いつも、あたしに文句言うのは、あんたが優しいからよね?あたしを見ていてくれてる証拠よ」
ハルヒ「でも、あんたみんなに優しいから、…嫉妬しちゃうんだもん」
ハルヒ「……ごめんね、キョン。なんでもないわ。全部忘れなさい。忘れないと死刑」
キョン「ハルヒ…」
517 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 17:35:56.72 ID:kyLT3+VpO
ハルヒ「いい?きれいさっぱり忘れなさいよ、じゃなきゃ国外追放するから」
キョン「……」
ハルヒ「……」
ハルヒ「…あ」
キョン「…?」
ハルヒ「異世界人見っけ!」ガバッ
キョン「ぅわ!?」
ハルヒ「…ようやく捕まえたわ」ギュ
キョン「ハルヒ…」
ハルヒ「…世界一鈍感な、」
キョン「……」
ハルヒ「…あたしの大好きな人」ギュ
キョン「……」
541 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 17:49:49.41 ID:kyLT3+VpO
ハルヒ「…このまま離したくない」
キョン「……」
ハルヒ「でも」
スッ
ハルヒ「…そんなの駄目よね」
キョン「……」
ハルヒ「……」
キョン「…俺、お前に言い忘れてた事があったんだ」
ハルヒ「……」
ギュ
ハルヒ「…ひゃ!?」
キョン「ハルヒ。今日の髪型、反則的なまでに似合ってるぞ」
ハルヒ「…ぁ、」
ハルヒ「ありがとう…」
543 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 17:52:35.19 ID:kyLT3+VpO
古泉「まだ午前中だと言うのに…」
みくる「こんなとこで抱き合ってますぅ…」
長門「……」
長門「……」スッ
チョン
キョン「……!」
キョン「うわ!な、長門!?」ガバァ
ハルヒ「!?」
キョン「古泉、朝比奈さんまで!」
ハルヒ「ぃ、居たの!?」
長門「……」
古泉「…偶然通りかかったもので。いえ、さっき続きをされても結構なんですよ?」ニヤ
みくる「ふぇ?ばれちゃったんですか?」
キョン(こいつら、どっから湧き出やがった!ちくしょう、見られたか?)
古泉「お二人は、ここで何をしてたんです?」
551 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 17:56:42.91 ID:kyLT3+VpO
ハルヒ「あ、あれよ、あれ!」
キョン「ああ、そうだ、不思議探索だ!」
ハルヒ「そうよそれよ!」
長門「……」
みくる「……」
古泉「おや?不思議探索をやる時は、団員全員でやるんじゃないんですか?」
キョン「あー…それはだな…」
ハルヒ「ばっ罰よ!ほら、キョンって、いつもこのあたしに文句ばっかり言うじゃない!?だから…」
キョン「ああそうだ、ハルヒの罰を受けてたのさ!」
古泉「……」
長門「……」
みくる「……」
古泉「…そうですか、では僕達はこれで」ニヤ
長門「さらば」
みくる「さよならぁ」
キョン「……」
ハルヒ「……」
556 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 17:59:39.40 ID:kyLT3+VpO
キョン「…あ、はは…」
ハルヒ「……」
キョン「はは…」
ハルヒ「……」
キョン「はぁ…」
ハルヒ「……」
キョン「…ハルヒ、これからどうする?まだここで遊ぶか?」
ハルヒ「……」
キョン「俺としては、早くここから脱したいんだが」
キョン(他の客の目線が痛いからな…)
ハルヒ「…帰りましょ」
キョン「…!」
ハルヒ「あたしはもう満足したから、もういいわ!」ニコ
キョン「あ、ああ…そうか…?」
ハルヒ「…ありがと、キョン」
594 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 19:00:49.35 ID:kyLT3+VpO
月曜日 放課後
ガチャ
キョン「……」
古泉「どうも」
キョン「やれやれ、お前だけか」
古泉「そんな露骨に嫌な反応されても困りますね」
キョン「嫌って訳じゃない。ただ、お前だけってのはな…」
古泉「あなたはここに目の保養に来てるんですか」
キョン「九割方そうだ」
古泉「…ご冗談を」
キョン「これが、案外冗談じゃないかもしれないぞ」
古泉「あなたがそんな方じゃない事は、僕も十分分かってますよ」
キョン「やめてくれ。何も出ないぞ」
596 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 19:04:10.86 ID:kyLT3+VpO
古泉「あなたから何か貰っても、気持ち悪いだけです」
キョン「奇遇だな。俺もだ」
古泉「話を変えましょう。土曜日の事です」
キョン「……お前、ホントに何も見て無いんだろうな」
古泉「随分羨ましい罰を受けてましたね」ニヤ
キョン「…おい古泉」
古泉「なんですか?」
キョン「……お前のバイト、なんとかして減らしてやる」
古泉「ありがとうございます」
ガチャ
長門「……」
キョン「よ、長門」
古泉「掃除当番ですか?」
長門「そう」
598 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 19:06:32.99 ID:kyLT3+VpO
長門「どう?」
キョン「え?」
長門「涼宮ハルヒと」
古泉「僕も是非聞きたいですね。どうなんです?」
キョン「…別にいつもと変わらん」
長門「…そう」
古泉「成る程」
キョン「何が『成る程』だよ、まったく…」
ガチャ
ハルヒ「やっほー!」
みくる「ど、どうも…」
キョン「来たか」
古泉「……」ニコ
長門「……」
603 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 19:11:24.89 ID:kyLT3+VpO
ハルヒ「さあ今日も飛ばして行くわよ!」
キョン「何をするんだ」
ハルヒ「ふふん、そんなの決まってるじゃない!」
ハルヒ「古泉君!」
古泉「…そうですね、団員全員の絆を深める活動、とでも言っておきましょうか」
ハルヒ「さすが副団長!分かってるわね!」
ハルヒ「いい?キョンも古泉君を見習いなさい!」
キョン「分かるかっつーの。お前の事だ、自作の衛星を宇宙に飛ばしたりするのかと思ったよ」
キョン「それに何だ、それってつまり、いつもみたいに時間潰しするだけなんだろ」
ハルヒ「それも大事な活動の一種よ!」
みくる「今お茶煎れますね」
キョン(…朝比奈さん、一体ドコで着替えて来たんだろうか)
古泉(本当にいつも通りですね…)
キョン「…ところで古泉、一つ質問があるんだが」
607 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/21(木) 19:17:40.52 ID:kyLT3+VpO
古泉「何でしょう?」
キョン「人をからかう事って、良い事だと思うか」
古泉「そうですね…、あまり良くない事だと思います」
ハルヒ「あ、そうだ!今度みんなで温泉に行きましょう!ただの温泉じゃなくて、それこそ呪いとか怪しい噂があるとこ!」
みくる「呪いですかぁ…」
古泉「ただ、一概に悪いとは断定できません。なぜなら、相手をからかう事により、お互いの意思の疎通や…」チラ
ハルヒ「みくるちゃん!怖がらなくて大丈夫よ!呪いなんてかかると思うからかかるの!気合いよ気合い!」
長門「……」
古泉「自分自身の主張が出来る場合もあるからです。…あなたがそうしているようにね」
ハルヒ「キョン!あんたどっかいい場所見つけといてね!」
キョン「やれやれ、分かったよ」
古泉「あなた自身も、まんざらではない筈ですが?」
キョン「…ああ。たまには、こういうのもいいかもな」
キョン「そうだろ?ハルヒ」
終わり
617 名前: ◆D/WPxQ1tnA [] 投稿日:2009/05/21(木) 19:22:21.28 ID:kyLT3+VpO
とりあえず、これで終わりです
保守&支援してくれた人、もしくは見てくれた人、どうもありがとう
またどこかでこの>>1を見かけたら、その時はよろしくお願いします
ノシ